法務会計研究所 / 論点から引く

判例・論点索引

見出しは裁判所が付けた判示事項、結論は裁判要旨をそのまま転記しています。 会社法・商法(旧商法を含む)を参照法条とするものに絞っています。 論点の言葉で絞り込めます(例:「全員出席」「代理人」「定足数」)。 文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

このサイトの表示原文ママ 一次情報をそのまま転記原文整理 一次情報どうしの機械的な対応づけ原文解釈 当サイトによる解釈

最高裁 / 裁判集登載250件

甲の乙に対する債権を丙が仮差押をした場合、甲の乙に対する債権につき、時効は進行を停止するか

最高裁判所第二小法廷昭和42年11月17日昭和38(オ)964集民 第89号191頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲の乙に対する債権が、丙によつて仮差押されても、民法第一五八条乃至第一六一条所定の停止の事由にあたらず、甲の乙に対する債権の時効は、進行を停止しない。
参照法条民法158条,民法159条,民法160条,民法161条

訴訟中請求金額に不足する弁済供託金を受領した場合に、供託金額をこえる部分について留保の意思表示があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和42年11月2日昭和40(オ)914集民 第89号47頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨金額に争いのある債権につき、全額に対する弁済を供託原因として供託した金額が債権者の主張する額に足りないのに、債権者がその供託金を受領した場合であつても、債権者において、右供託金を受領するまで一貫して供託金額をこえる金額を請求する訴訟を維持続行していたときには、請求金額中供託金額をこえる部分については、当然留保の意思表示…
参照法条民法494条,民法496条

一 臨時物資需給調整法第四条ノ二に違反した行為の効力 二 第三者のためにする契約において契約の利益を受ける者に反対給付を課しうるか

最高裁判所第二小法廷昭和42年10月27日昭和41(オ)269集民 第88号793頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 臨時物資需給調整法第四条ノ二に違反した行為も、私法上その効力がないとはいえない。 二 民法第五三七条の第三者のためにする契約においては、契約の利益を受ける者に反対給付を課することを妨げない。
参照法条臨時物資需給調整法4条ノ2,民法90条,民法537条

相手方の陳述した事実に基づいてした訴の変更の許否

最高裁判所第一小法廷昭和42年10月12日昭和41(オ)1166集民 第88号681頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨相手方の陳述した事実に基づいて訴を変更する場合でも、これがため著しく訴訟手続を遅滞させる場合には、訴の変更は許されない。
参照法条民法232条

一 記名株式を目的とする質権の設定の要件 二 親権の共同行使に違反して親権者の父または母が単独でした未成年の子の財産についての処分行為の効力

最高裁判所第二小法廷昭和42年9月29日昭和41(オ)1225集民 第88号611頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 記名株式を目的とする質権の設定には、質権設定の合意のほか株券の交付を要するが、それのみで足りると解すべきである。 二 親権の共同行使に違反して親権者の父または母が単独でした未成年の子の財産についての処分行為は無効である。
参照法条商法205条(昭和41年法律83号による改正前のもの。),商法207条,商法209条,民法824条,民法825条

無断増改築禁止特約違反を理由とする土地賃貸借契約解除を有効とした事例

最高裁判所第一小法廷昭和42年9月21日昭和40(オ)1169集民 第88号469頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨無断増改築禁止特約に違反し、借地上の居宅(実測一五坪五合)中九坪五合をバー店舗に改築した場合には、土地賃貸借関係の継続を著しく困難にする不信行為として、右賃貸借契約を即時解除することができる。
参照法条借地法11条,民法540条

土地使用関係が賃貸借ではなく使用貸借であると認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和42年9月7日昭和42(オ)498集民 第88号357頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地の借主が、約三年の間に礼金または賃料として三回にわたつて一万円ないし一万五〇〇〇円を支払い、貸主が特段の異議を留めることなく受領していた場合であつても、右金額が適正賃料額に比してかなり低額であり、かつ、その金額は借主において一方的に定めたものであつて、貸主との協議に基づくものでないうえに、必ずしも定期的に支払われた…
参照法条民法593条,民法601条

強制執行受諾条項づきの公正証書作成嘱託と民法第一〇九条の適用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和42年7月13日昭和41(オ)1432集民 第88号23頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨強制執行受諾条項づきの公正証書作成嘱託については、民法第一〇九条の適用はない。
参照法条民法109条,民訴法599条3号

債務の本旨にしたがつた賃料債務の履行の提供にあたらないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和42年7月13日昭和42(オ)439集民 第88号27頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審認定の事実関係のもとでは、土地賃借人の賃料債務の履行の提供ないし供託は約定の範囲を越えた土地の賃貸を右履行の受領により招来させるためのものであり、債務の本旨に従つたものとなすを得ない。
参照法条民法493条

表見代表取締役が自己の利益を図るためにした行為と会社の責任

最高裁判所第一小法廷昭和42年7月6日昭和41(オ)875集民 第88号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨商法第二六二条は、第三者が代表権の欠缺について善意であるかぎり、表見代表取締役のした行為の目的のいかんにかかわらず適用され、行為者の意図が自己の利益を図ることにあつた場合においては、第三者がその意図を知り、または知りうべかりしときにかぎり、会社は、民法第九三条但書の提起を類推適用して、その責を免れることができるにすぎな…
参照法条商法262条,民法93条但書

従前の土地所有者は仮換地について地上権を設定することができるか

最高裁判所第一小法廷昭和42年6月29日昭和39(オ)751集民 第87号1377頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨従前の宅地の所有者は仮換地自体について、その本換地として確定する以前にこれを使用収益しうべき旨の地上権を設定することはできない。
参照法条民法265条,土地区画整理法99条

一 銀行員の預金業務について銀行に民法第七一五条第一項の責任があるとされた事例 二 不法原因給付にあたらないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和42年6月22日昭和39(オ)838集民 第87号1087頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原審認定の事実関係のもとでは、銀行員がその業務を行なうにあたり預金として受入れる意思がないのに相手方から預け入れ小切手を騙取したものとして銀行に民法第七一五条第一項の責任を問うことができる。 二 原審認定の事実関係のもとでは、貸付金が貸主が他から横領したものとしても、右金員の貸付をもつて不法原因の給付とは解せられな…
参照法条民法715条1項,民法708条

債権者代位権行使の場合の対抗問題

最高裁判所第二小法廷昭和42年5月26日昭和40(オ)1270集民 第87号839頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が乙に対する債権者として、乙の丙に対する所有権に基づく土地明渡請求権を代位行使する場合にあつては、当該土地の所有権の帰属につき甲丙間に対抗問題を生ずることはない。
参照法条民法177条,民法423条

新民法施行後における旧民法による家督相続人選定親族会決議無効確認の訴の利益の有無

最高裁判所第二小法廷昭和42年4月28日昭和40(オ)467集民 第87号341頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨新民法施行後は、旧民法によつてされた家督相続人選定親族会決議の無効確認を求める訴の利益はない。
参照法条旧民法951条,旧民法985条,民法附則23条,民法附則25条,民訴法225条

利益相反にあたらないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和42年4月25日昭和41(オ)79集民 第87号253頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨親権者が、その経営する事業につき、第三者の援助を仰ぎたいと考えて、子の財産を右第三者に贈与する契約を締結したとしても、右は親権者の単なる内心の意図にすぎず、民法第八二六条の利益相反行為にはあたらない。
参照法条民法826条

婚姻関係が破綻した後に不貞行為をした者からの離婚請求の当否

最高裁判所第三小法廷昭和42年4月11日昭和40(オ)807集民 第87号69頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨婚姻関係が破綻した後に、夫が他の女性と同棲しても、右事実は、夫からの離婚請求の当否判断に影響を及ぼさない。
参照法条民法770条

多少の落度があつた当事者の民法第七七〇条第一項第五号に基づく離婚請求の可否

最高裁判所第三小法廷昭和42年3月7日昭和41(オ)256集民 第86号481頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨婚姻を継続し難い重大な事由にあたる事態を招いたことにつき、夫婦の一方にもいくらかの落度はあつたが、相手方により多くの落度があつた場合には、前者の後者に対する民法第七七〇条第一項第五号に基づく離婚請求を認容しても違法とはいえない。
参照法条民法770条1項5号

共有者全員の同意に欠ける抵当権設定契約の解釈

最高裁判所第一小法廷昭和42年2月23日昭和41(オ)214集民 第86号361頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨通常の共有の場合、抵当権設定契約が共有者全員の同意に欠けるため、共有物自体について抵当権設定の効力を生じない場合でも、特段の事情のない限り、同意をしない共有者を除き、右抵当権設定契約をした共有者の各共有持分について抵当権を設定したものと解すべきである。
参照法条民法251条

建物賃貸借契約解除後の建物修繕による費用償還請求権と建物留置権

最高裁判所第二小法廷昭和42年1月20日昭和39(オ)626集民 第86号97頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨建物賃借人は、建物賃貸借契約解除後占有中の右建物を修繕しても、その修繕費償還請求権をもつて右建物につき留置権を行使することはできない。
参照法条民法295条2項

立木の引渡があつたとはいえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和42年1月20日昭和41(オ)1034集民 第86号133頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨双方立会のうえ検収がすまないかぎり、買主は伐採木を搬出することができない旨の約定がある場合には、検収が終了しないかぎり、売主から買主に木材の引渡がされたものとはいえない。
参照法条民法182条

農地の買戻による目的物の引渡と県知事の許可

最高裁判所第二小法廷昭和42年1月20日昭和41(オ)859集民 第86号123頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨県知事の許可がないかぎり、農地の買戻は効力を発生しないから、売戻人の目的物の明渡義務も発生しない。
参照法条民法579条,農地法3条

被相続人の死亡を知らないでした相続財産の処分と単純承認の効果

最高裁判所第一小法廷昭和41年12月22日昭和39(オ)1453集民 第85号787頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨相続人が判示の事情のもとに被相続人の死亡を知らないで相続財産を処分しても、民法第九二一条第一号による単純承認の効果は生じない。
参照法条民法921条

共有者の換地予定地使用権につき裁判所に分割を請求することの可否

最高裁判所第一小法廷昭和41年12月22日昭和40(オ)632集民 第85号795頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地の共有者は、その共有する換地予定地使用権の分割を裁判所に請求することができる。
参照法条民法256条,民法264条,土地区画整理法99条

民法第七七〇条第一項第五号の事態を招くについて、主たる責任を有する者からの離婚請求の許否

最高裁判所第一小法廷昭和41年12月22日昭和41(オ)1170集民 第85号809頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第七七〇条第一項第五号にいう「婚姻を継続し難い重大な事由」に当る事態を招いたことが、主として配偶者の一方の行為によつて惹起されたと認められるときは、その者は相手方配偶者に対し離婚の請求をすることはできない、と解するのが相当である。
参照法条民法770条1項5号

取得時効の成否の判断にあたり占有開始の起算日の調書の記載により右日時について当事者間に争いがないとした原判決の判断を違法といえないとした事例

最高裁判所第三小法廷昭和41年12月20日昭和40(オ)246集民 第85号763頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨取得時効の成否の判断にあたり、占有開始の起算日についてその弁論が、判示のように口頭弁論調書に記載されている以上、右日時をもつて占有を開始した事は当事者間に争いがない旨判示しても、原判決には違法があるとはいえない。
参照法条民法162条,民訴法144条,民訴法147条,民訴法257条

一 賃貸人の承諾をえた賃借権の譲渡による旧賃借人が賃貸借関係から離脱した旨の判断については、当事者の主張を要するか 二 所有者兼賃貸人からする賃借人に対する損害賠償の請求について同人の占有関係を確定しないでこれを排斥することが適法とされた事…

最高裁判所第二小法廷昭和41年12月16日昭和41(オ)798集民 第85号685頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 賃貸人の承諾をえた賃借権の譲渡による旧賃借人が賃貸借関係から離脱した旨の判断については、当事者の主張を要しない。けだし、これは、適法な賃借権の譲渡の事実から生ずる法律上の効果にすぎないからである。 二 所有者兼賃貸人から賃借人に対する損害賠償の請求は、賃貸借の終了による原状回復義務の債務不履行にもとづくものであると…
参照法条民訴法186条,民訴法39条,民法613条,民法416条

代物弁済の予約成立の要件

最高裁判所第三小法廷昭和41年12月6日昭和39(オ)255集民 第85号531頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨代物弁済の予約が成立するためには、代物弁済によつて消滅すべき債権の数額が当初より一定していることを要しないが、少くとも一定しうべき基礎が定められていることを要する。
参照法条民法482条,民法556条

準禁治産宣告を受けていない場合に心神耗弱中の法律行為の取消ができるか

最高裁判所第二小法廷昭和41年12月2日昭和41(オ)954集民 第85号521頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨心神耗弱者は準禁治産宣告を受けて始めて無能力者として法定の取消権を取得するものであり、その場合に該らない以上、心神耗弱中の法律行為であることのみを理由として、その行為を取消すことはできない。
参照法条民法11条,民法12条

不動産の処分を委ねられた者が自己の名で譲渡した場合本人に効力が及ぶか

最高裁判所第一小法廷昭和41年12月1日昭和41(オ)60集民 第85号481頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨不動産の処分を委ねられた者が、代理の形式によらず自己の名で該不動産を第三者に譲渡した場合でも、所有権は本人から該第三者に移転する。
参照法条民法99条

土地の一部を目的とする売買契約に基づき買主の取得する債権について選択債権に関する民法の規定を類推適用すべきであるとした事例

最高裁判所第二小法廷昭和41年11月25日昭和37(オ)393集民 第85号389頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨売主所有の土地について指定された換地予定地の一部を目的物として売買契約が成立した場合において、その契約の成立にいたるまでの経緯および右目的物に関し原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、同契約に基づき買主の取得する当該土地所有権移転請求権については、いわゆる選択債権に関する民法の規定を類推適用すべきであ…
参照法条民法406条,民法407条,民法408条

約束手形の交付により既存債務を消滅させる合意の成立を認めることが経験則に違反するとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和41年11月24日昭和38(オ)912集民 第85号269頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨既存債務のため手形を交付する場合、右手形の交付は弁済の方法としてなされたものと推認すべく、現実の弁済を得た事実の認められない以上は、特段の事情のない限り、既存の債務を終了せしめる効果を伴うものではない。原審の確定した事実関係(判決理由参照)の下では、原判決認定の合意(本件手形の交付により、上告人に対する被上告人の本件約…
参照法条民法493条,民法482条,民法513条

還付請求権の代理関係が供託書に表示されていない場合の弁済供託の効力

最高裁判所第二小法廷昭和41年10月21日昭和40(オ)1304集民 第84号679頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨共同売主たる甲乙に対する代金金額の供託が供託物還付請求権者甲のみの表示をもつてなされ、乙との関係が供託書上に何ら表示されていないとしても、乙が右売買取引に関する一切の代理権を甲に与えている以上、該供託は右代金債務全部に対する弁済供託としての効力を有するものと解して妨げない。
参照法条民法99条,民法479条,供託法9条

地盤上に植栽された立木の所有権取得と対抗要件

最高裁判所第二小法廷昭和41年10月21日昭和40(オ)654集民 第84号661頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨地盤上に植栽された立木の所有権を取得した者は、明認方法等の対抗要件を備えないかぎり、右地盤(土地)を地上の右立木とともに買いうけ右土地についてその所有権移転登記を経由した第三者に対し、前記立木所有権取得を対抗することができない。
参照法条民法177条,民法242条

保険会社外務員と民法第九六条第二項の第三者

最高裁判所第二小法廷昭和41年10月21日昭和41(オ)722集民 第84号703頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨保険会社外務員は、保険契約の締結について民法第九六条第二項にいう第三者にあたらない。
参照法条民法96条2項

使用貸借の解約告知に基づく家屋明渡訴訟の口頭弁論により新たな解約告知をしたものと認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和41年10月20日昭和39(オ)12集民 第84号607頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨使用貸借の解約告知に基づく家屋明渡訴訟を維持し口頭弁論を行なつた場合には、もしさきの解約告知の効力が認められないとすればあらためて解約告知をなす意思を、弁論の都度表示したものと解すべきであり、告知の時期を異にすることにより、明渡請求権が別個の権利となるものではない。
参照法条民法597条,民訴法186条

準備書面に記載した形成権行使の意思表示がなされた時期

最高裁判所第一小法廷昭和41年10月20日昭和41(オ)641集民 第84号629頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨準備書面に記載した形成権行使の意思表示は当該準備書面を相手方に受領せしめた時に行使されたと認めることもできる。
参照法条民訴法243条,民法97条

代理人の名を示さず本人の名においてなした行為は代理行為として有効か

最高裁判所第三小法廷昭和41年10月18日昭和40(オ)49集民 第84号583頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨代理人が自己の名を示さず本人の名においてなした行為も代理行為として有効である。
参照法条民法99条

同時履行の関係にないものを反対給付の内容とした供託の効力

最高裁判所第二小法廷昭和41年9月16日昭和41(オ)633集民 第84号397頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨抵当権設定登記の抹消を反対給付の内容としてした被担保債権の供託は無効である。
参照法条民法494条,供託法10条

限定種類債務の目的物特定後における債務不履行

最高裁判所第三小法廷昭和41年9月6日昭和39(オ)718集民 第84号311頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨限定種類債務の目的物が当事者の合意により特定し一時買主の保管下におかれた場合でも、売主において修理を加え完成品として引き渡すことを後日に留保したときは、いまだ売買目的物の引渡しを了したものとはいえず、債務不履行責任を生じうる。
参照法条民法401条,民法415条,民法570条

賃貸人と賃借人、不法占有者との間の関係と民法第一八九条第一九〇条の適用の有無

最高裁判所第二小法廷昭和41年8月26日昭和40(オ)1200集民 第84号287頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃貸人と賃借人ないし不法占有者との間には民法第一八九条、第一九〇条の適用はない。
参照法条民法189条,民法190条,民法607条

債権譲渡の通知に審理不尽の違法が存するとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和41年7月21日昭和39(オ)287集民 第84号137頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審認定の事実関係のもとにおいては、甲四号証(債権譲渡通知書)の記載のみならず、右通知のなされるにいたつた経緯、とくに右通知を必要とするにいたつた基礎となる請求権の発生その他の法律関係の発生の経過等についても審理探究し、その他の証拠資料をも綜合して判定すべきであるのに、右の点について審理判断することなく、本訴請求権の譲…
参照法条民法117条,民法467条,民法555条

民法第八二六条の利益相反行為と行為の動機

最高裁判所第二小法廷昭和41年7月15日昭和41(オ)489集民 第84号121頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第八二六条にいう利益相反行為に該当するか否かは、親権者が子を代理してなした行為の外形によつて決すべきであり、その行為の実質的な効果を顧慮して決すべきでない。
参照法条民法826条

一 双務契約の当事者の一方が債務の履行をしない意思を明らかにした場合と同時履行の抗弁 二 催告の特定

最高裁判所第三小法廷昭和41年7月5日昭和40(オ)1459集民 第84号13頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 双務契約の当事者の一方が自己の債務の履行をしない意思を明確にした場合には、相手方が自己の債務の弁済の提供をしなくても、右当事者の一方は、自己の債務の不履行について、履行遅滞の責を免れることをえないものと解するのが相当である(昭和三八年(オ)第三二二号、同四一年三月二二日第三小法廷判決参照)。 二 特定の取引にもとづ…
参照法条民法533条,民法415条,民法545条

一 代理人の代理人について表見代理が成立すると認められた事例 二 基本たる行為に関係のない行為と民法第一一〇条の表見代理の成立

最高裁判所第三小法廷昭和41年6月28日昭和39(オ)76集民 第83号951頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 復代理人を選任しえない場合に、原審が復代理人が適法に選任されたと判断したことは違法であるが、原判示事実関係(原判決理由参照)に照らせば、代理人が復代理人としてではなく自己の代理人を選任したものと解する余地があり、右代理人の代理人について代理人のため、また、代理人について本人のため、順次民法第一一〇条の表見代理が成立…
参照法条民法104条,民法110条

根抵当の被担保債権総額が極度額を越える場合と債務の本旨に従つた弁済の提供

最高裁判所第一小法廷昭和41年6月23日昭和39(オ)1478集民 第83号905頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨根抵当の被担保債権総額が極度額を越える場合において、右極度額を提供したのみでは、当然に債務の本旨に従つた弁済の提供をなしたものということはできない。
参照法条民法493条

相続開始後の遺留分放棄と民法第一〇四三条

最高裁判所第一小法廷昭和41年6月16日昭和38(オ)1375集民 第83号769頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨相続開始後の遺留分放棄は、民法第一〇四三条第一項にかかわらず、効力を生ずる。
参照法条民法1043条

一 移転登記請求訴訟の被告から二重譲渡を受けた者は民訴法第二〇一条の承継人にあたるか 二 仮執行宣言付判決に基づく登記の効力

最高裁判所第一小法廷昭和41年6月2日昭和38(オ)1319集民 第83号675頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 不動産買受人甲が売渡人乙に対し所有権移転登記手続履践の請求訴訟を起こし、甲勝訴の判決が確定した場合において、乙から同一不動産の二重譲渡を受けた丙が、右訴の事実審の口頭弁論終結後にその所有権移転登記を経たとしても、丙は、前示確定判決について、民訴法第二〇一条第一項の承継人にあたらない。 二 登記義務者の登記申請意思の…
参照法条民訴法201条,民法177条,不動産登記法25条

他人の物の賃貸借において賃借人が賃料支払を拒否できるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和41年5月26日昭和38(オ)1458集民 第83号605頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨他人の物の賃貸借において、賃貸人がその物の所有者に対抗できる何らの権限をも有しないため、賃借人が、その物に対する使用収益に関して、現実に所有者から不法占有を理由とする損害賠償の請求等を受けて、その責に任じなければならない事態となつたときは、賃借人は賃貸人に対する賃料の支払を拒否し得るものと解すべきである。
参照法条民法576条,民法533条

民法第一〇九条の表見代理の成立が認められた事例

最高裁判所第三小法廷昭和41年5月17日昭和40(オ)1266集民 第83号531頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲会社営業部責任者が松本市内において店舗を賃借し、乙をこれに常駐させ、長野県下の工事注文の獲得に尽力させており、乙は、右店舗の入口に「甲会社Dセンター」と表示し、右名称を刻したゴム印を同所に備えつけ、自己の氏名に右センター所長の肩書を付し、かつ甲会社の本店等の所在電話番号を付した名刺を作成使用していたものであり、右店舗…
参照法条民法109条

相続権を侵害された者の相続人が右侵害者に対して有する相続回復請求権の消滅時効の起算点

最高裁判所第三小法廷昭和41年4月26日昭和39(オ)270集民 第83号407頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲の相続権を乙が侵害している場合、甲の相続人丙の乙に対する相続回復請求権の消滅時効の期間二〇年の起算点は、丙の相続開始の時ではなく、甲の相続開始の時と解すべきである。
参照法条民法884条

無権代理人に対する無権代理行為の追認に条件を付することが違法でないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和41年4月26日昭和39(オ)916集民 第83号415頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨無権代理人に対する無権代理行為の追認についても、無権代理人に対して特に不利益を与えない場合には、条件を付することが許される。
参照法条民法116条

新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決の合憲性

最高裁判所第一小法廷昭和41年4月21日昭和39(テ)35集民 第83号269頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあつては、憲法第一九条に違反しないことは当裁判所の大法廷の判決(昭和二八年(オ)第一二四一号同三一年七月四日大法廷判決、民集一〇巻七号七八五頁参照)の示すところであり、右のごとき判決が憲法第二一条第一項…
参照法条民法723条,憲法19条,憲法21条1項

使用者の一方的通告による解雇に原因する社宅使用貸借の終了と明渡義務の発生時期

最高裁判所第三小法廷昭和41年4月19日昭和40(オ)209集民 第83号239頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨社宅の使用貸借の終了が使用者の一方的通告による解雇に起因する場合であつても、当事者間に明渡猶予の合意が成立するなど特別の事情のないかぎり、被用者は、使用貸借の終了したことを認識した時から明渡義務を負うべきものと解すべきである。
参照法条民法597条,民法412条

債権の準占有者に対する弁済と弁済者の善意無過失

最高裁判所第三小法廷昭和41年4月12日昭和40(オ)1229集民 第83号123頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債権の準占有者に対する弁済が有効とされるためには、弁済者が善意かつ無過失であることを要する。
参照法条民法478条

一 処分の権限を有しない者のした期間の定めのない建物賃貸借と民法第六〇二条 二 いわゆる短期賃貸借と借家法第一条第一項の適用の有無

最高裁判所第三小法廷昭和41年4月5日昭和38(オ)174集民 第83号27頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 処分の権限を有しない者のした期間の定めのない建物賃貸借は、民法第六〇二条の期間を超えない、いわゆる短期賃貸借に該当すると解するのが相当である。 二 建物についてなされたいわゆる短期賃貸借において建物が競落されて他に所有権が帰属した場合、賃貸借は終了する旨の約定があるときには、該約定は借家法第一条第一項に反する賃借人…
参照法条民法602条,借家法1条,借家法6条

本人が無権代理人を相続した場合における無権代理行為の過失ある相手方に対する効力

最高裁判所第一小法廷昭和41年3月31日昭和40(オ)1002集民 第82号801頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本人が無権代理人を相続した場合において、被相続人の無権代理行為の相手方に過失があるときは、該行為は右相続により有効となるものではない。
参照法条民法113条,民法117条

賃借人のした延滞賃料の弁済提供・供託金額の不足が債務の本旨に従わないものでないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和41年3月29日昭和39(オ)1318集民 第82号785頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃料債務について履行遅滞にある賃借人が、賃貸人から賃貸借を解除される前に右延滞賃料額金一、六二〇円を弁済のため提供し、供託した場合において、右金額が正当な債務額より遅延損害金たる金一二円七〇銭ないし一四円が不足するとしても、右弁済提供および供託が、ただちに、債務の本旨に従わないものであるとはいえない。
参照法条民法493条,民法494条

一 内縁関係を破綻させた第三者の不法行為の成否 二 内縁に民法第七六〇条の規定は類推適用されるか

最高裁判所第三小法廷昭和41年2月22日昭和39(オ)714集民 第82号453頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 内縁関係に不当な干渉をしてこれを破綻するにいたらしめた者は、不法行為に基づく損害賠償の責任を負う。 二 民法第七六〇条の規定は、内縁に類推適用されるものと解すべきである。
参照法条民法709条,民法760条

小切手による弁済提供が債務の本旨に従うものといえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和41年2月4日昭和40(オ)1074集民 第82号317頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が確定した事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、本件小切手の提供は、売買代金支払のための債務の本旨に従つた弁済の提供と認められない。
参照法条民法493条

任意に支払われた法定の制限超過の利息損害金は残存元本に充当されるか

最高裁判所第一小法廷昭和41年2月3日昭和39(オ)1201集民 第82号309頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨残存元本に充当されるものと解すべきである(昭和三九年一一月一八日大法廷判決に従つて、昭和三七年六月一三日大法廷判決によつた原判決を破棄した事案)。 (反対意見がある。)
参照法条利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条

形式上の主債務者に対する連帯保証人の求償権が否定された事例

最高裁判所第二小法廷昭和41年1月28日昭和40(オ)986集民 第82号197頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が、実質上の借主乙、その連帯保証人丙のために名義を貸して形式上の借主となつた等判示の事情のもとにおいて、丙は、甲に対し、民法第四六〇条第二号所定の求償権を有しない。
参照法条民法460条2号

譲渡担保契約において目的物の所有権が債務者に復帰する時期を債務完済の時と異なる時期と約定することの可否

最高裁判所第二小法廷昭和41年1月14日昭和40(オ)211集民 第82号25頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨譲渡担保契約において目的の所有権が債務者に復帰する時期を債務完済の時と異なる時期と約定することは差し支えない。
参照法条民法176条,民法482条

相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響の有無

最高裁判所第二小法廷昭和41年1月14日昭和40(オ)611集民 第82号41頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃貸借契約が賃料不払のため適法に解除された以上、たとえその後賃借人の相殺の意思表示により右賃料債務が遡つて消滅しても、解除の効力に影響はない。
参照法条民法506条,民法541条

解約手附の授受された売買契約の履行に着手した当事者からの解除の許否

最高裁判所第三小法廷昭和40年12月21日昭和37(オ)1041集民 第81号683頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 解約手附の授受された売買契約において、当事者の一方は、自ら履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、民法第五五七条第一項に定める解除権を行使することができるものと解するのを相当とする。 二 (反対意見がある)。
参照法条民法557条1項

債権担保の機能を営む代物弁済の予約において一部弁済があつた場合と予約完結権の行使

最高裁判所第二小法廷昭和40年12月17日昭和39(オ)254集民 第81号589頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債権担保の機能を営む代物弁済の予約において、一部弁済があつた場合でも、反対の特約もしくは権利の濫用と認められるような特段の事情がないかぎり、予約完結権の行使を妨げない。
参照法条民法482条,民法556条

受任者が受任事務の処理について利益を有する委任契約とやむをえない事由による解除の成否

最高裁判所第二小法廷昭和40年12月17日昭和39(オ)98集民 第81号561頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨受任者が受任事務の処理について利益を有する委任契約であつても、やむをえない事由があるときは、委任者は契約を解除することができる。
参照法条民法651条

立木法の適用を受けない立木と取引の対象の可否−右の場合における特定の方法はどうか

最高裁判所第一小法廷昭和40年12月16日昭和39(オ)953集民 第81号469頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨立木法の適用を受けない立木でも、右立木のみを土地から分離して独立して取引の対象とすることができる。右の場合において、一定の地番の上に生育の立木という以上、その立木の範囲は確定していると解するのが相当である。
参照法条民法176条,民法178条,立木ニ関スル法律2条

一 特定物の売買における所有権移転時期 二 履行の著手があつたと認められた事例

最高裁判所第三小法廷昭和40年12月14日昭和39(オ)597集民 第81号427頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 特定物の売買契約にあつて、所有権は契約と同時に移転せず、代金完済と同時に移転すると解しなければならないことはない。 二 建物の買主が終始明渡の要求をなし残代金は即時でも支払いうる状態にあつたこと、および右明渡請求の訴が提起されていたことから、買主においてすでに履行の著手があつたと認めたのは相当である。
参照法条民法176条,民法557条

無記名定期預金債権者の判定の事例

最高裁判所第二小法廷昭和40年12月10日昭和39(オ)288集民 第81号381頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が乙に案内されて銀行に赴き、係員に対し、預金の金員および自己の印鑑(第三者名義)を提出して、無記名定期預金をする旨の申出をなし、係員から該銀行発行の無記名定期預金証書の交付を受け、右印鑑とともに保管していた等原判示事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、たとい乙において右銀行係員に対し、右預金を暗に自己の預金であ…
参照法条民法666条

他人名義の手形署名を行なう場合の法律関係。

最高裁判所第二小法廷昭和40年12月10日昭和40(オ)749集民 第81号405頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の署名自体は、事実行為であつて意思表示ではないから、これにつき代理はありえない。
参照法条手形法8条,民法99条

外貨をもつて代金額を表示した売買契約に民法第四〇三条の適用がないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和40年11月30日昭和37(オ)1231集民 第81号187頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨売買契約において代金額がドルをもつて表示されていても、単なる日本国内売買であり一ドルを三六〇円と換算して支払うべき約定であつたと認められる合倍には、民法第四〇三条を適用すべきでない。
参照法条民法403条

借家人の無断増改築が著しい不信行為であるとして無催告の賃貸借契約解除を有効とした事例

最高裁判所第三小法廷昭和40年11月16日昭和39(オ)1035集民 第81号57頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨二階建家屋の賃借人が、無断で賃借家屋の階下の店舗部分の柱一本を切除して一畳半の床部分を落間とし、賃借家屋の廂の下からトタン葺の下屋をさげて約三畳の間を増築する等判示の増改築をした場合には、賃貸人は著しい不信行為のなされたことを理由として催告なしに賃貸借契約を解除することができる。
参照法条民法541条,民法616条,民法594条

不法行為以外の原因により生じた債権に対し不法行為を原因とする債権をもつて相殺することの許否。

最高裁判所第二小法廷昭和40年11月5日昭和40(オ)364集民 第81号37頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第五〇九条、不法行為以外の原因により生じた債務を負担する者が不法行為による損害賠償債権として相殺することを禁じる趣旨ではないと解すべきである。
参照法条民法509条

売買契約が民法第七六一条にいわゆる「日常の家事」にあたらないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和40年10月15日昭和40(オ)128集民 第80号817頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審が本件売買契約に関し確定した諸般の事情のもとでは、同契約が民法第七六一条にいわゆる「日常の家事」に属するものとはいえない旨の原審の判断は正当である。
参照法条民法761条

時効による債務の消滅と不当利得の成否

最高裁判所第三小法廷昭和40年10月12日昭和38(オ)222集民 第80号705頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人が、手形上の債務を時効によつて免かれた場合には、手形上の権利者に対し不当利得償還義務を負わない。
参照法条民法703条,手形法77条1項8号,手形法70条

無記名定期預金の債権者の判定

最高裁判所第三小法廷昭和40年10月12日昭和38(オ)600集民 第80号719頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決確定の事実関係のもとにおいては(原判決理由参照)、被上告人(控訴人)を債権無記名定期預金の債権者であると解すべきである。
参照法条民法666条

山林売買の仲介人を代理人と認める慣習の有無

最高裁判所第二小法廷昭和40年10月8日昭和39(オ)1068集民 第80号677頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨およそ山林売買取引における仲介人は、それが売主の依頼に基づくものであるかぎり、売主の代理人と認められる慣習があると主張するが、右慣習のあることを認めるべき資料は存しない。
参照法条民法92条

債務者が任意に従つた利息制限法所定の制限をこえる損害金は当然に残存元本に充当されるか

最高裁判所第三小法廷昭和40年10月5日昭和39(オ)1118集民 第80号581頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債権者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法第四九一条により、残存元本に充当されるものと解すべきである。
参照法条利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条

民法第二四二条但書の適用がないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和40年9月21日昭和38(オ)861集民 第80号415頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨建物所有者の承諾を得て建物に増築した場合でも、増築部分が、構造、用法及び取引の観点から社会的経済的に考察して、独立の建物と同一視できない場合は、民法第二四二条但書の適用はなく増築部分の所有権は附合により建物所有者に帰属する。
参照法条民法242条

民法第七一五条の使用者責任と被用者自身の責任との関係

最高裁判所第三小法廷昭和40年9月14日昭和39(オ)1430集民 第80号335頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第七一五条の使用者の損害賠償義務と加害者(被用者)本人の損害賠償義務とはいわゆる不真正連帯債務の関係にあるにすぎないから、加害者本人と被害者間の示談契約によつては、使用者は事故による損害賠償義務を免れるものではないと解するのが相当である。
参照法条民法715条,民法437条

賃借家屋修繕義務の不履行を理由に賃料支払を拒絶できないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和40年9月10日昭和39(オ)1000集民 第80号251頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃貸家屋の僅かな一部が破損したが、その余の部分に著しい支障もなく居住の目的を達することができ、また、賃料が地代家賃統制例の統制に服している等原判決判示の事情のもとにおいては、賃借人は賃貸人の賃貸家屋修繕義務の不履行を理由に賃料全部の支払を拒むことはできない。
参照法条民法606条1項,民法533条

民法第五五〇条第一項第五号の法意

最高裁判所第二小法廷昭和40年9月10日昭和40(オ)54集民 第80号267頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨婚姻関係の破綻を生ぜしめた原因が夫婦の双方にあり、その主たる原因がいずれにあるとも断定しえない場合、換言すれば、離婚請求をなしえないほど主たる有責原因が原告に一方的に存するものとは認められないときは、民法第七七〇条第一項第五号の婚姻を継続し難い重大な事由による離婚請求は認容できる。
参照法条民法550条1項5号

民法第五四五条第二項の利息債務の発生と同法第五四六条第五三三条の同時履行の抗弁権の関係

最高裁判所第二小法廷昭和40年9月10日昭和40(オ)60集民 第80号271頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第五四五条第二項の利息債務は、実質は不当利得返還の法理より生ずるもので、同法第五四六条第五三三条所定の同時履行の抗弁権にかかわりなく発生し、ただその債務の履行が右抗弁権の作用をこうむるにすぎないと解すべきである。
参照法条民法545条,民法546条,民法533条,民法415条,民法419条,民法703条

生命を害された者の兄に固有の慰藉料請求権が認められた事例

最高裁判所第二小法廷昭和40年7月30日昭和38(オ)1447集民 第79号981頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弟が他人から生命を害された場合において、兄が自分に子がないところから将来は右弟に家業を継がせようと考えていたこと、現に右弟は兄の同居の家族としてその有力な働き手であつたことからみれば、右弟の不慮の死によつて受けた兄の精神的苦痛は相当大きいものということができるから、右兄に固有の慰藉料請求権が認められる(論旨は、この点を…
参照法条民法711条

建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物から退去を求める訴訟において右占有者が建物敷地に独立の占有権原を有するとの主張は抗弁となりえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和40年7月23日昭和39(オ)1308集民 第79号951頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
参照法条民法206条,民訴法137条

受働債権につき国税滞納処分として差押がなされた場合と相殺の意思表示の相手方

最高裁判所第三小法廷昭和40年7月20日昭和37(オ)743集民 第79号893頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨国が国税滞納処分として債権を差し押さえ、その取立権を取得した場合において、第三債務者が債務者に対する反対債権をもつて被差押債権と相殺するには、債務者に対しても相殺の意思表示をすることができる。
参照法条民法511条,旧国税徴収法(昭和34年法律147号による改正前のもの)23条の1

仮差押中の債権につき別の債権者が差押をした場合当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済と民法第四八一条の適用の有無。

最高裁判所第三小法廷昭和40年7月20日昭和38(オ)555集民 第79号905頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨仮差押中の債権につき別の債権者が差押をした場合、当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済については、民法第四八一条は適用されず、右弁済は仮差押債権者その他配当に与かるべき者全員に対してもその効力を有するものと解すべきである。
参照法条民法481条,民訴法602条,民訴法621条,民訴法750条3項

離婚無効確認の訴について確認の利益があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和40年7月16日昭和38(オ)88集民 第79号859頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原被告間に昭和二九年一二月一日離婚判決が言い渡され、同年同月二三日右判決が確定している事実があるからといつて、右確定前である同年一一月九日両者間になされた協議離婚につき、原告不知の間に被告において離婚届を偽造してなしたものであることを理由に、原告がその無効確認を求めて訴を提起することに、法律上の利益がないとはいえない。
参照法条民訴法225条,民法763条,人事訴訟手続法1条

他人の権利の処分と追認

最高裁判所第一小法廷昭和40年7月15日昭和40(オ)132集民 第79号849頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が乙の権利を自己の権利であるとして処分した場合に、乙がこれを追認したときは、右処分は、民法第一一六条の類推適用により、処分のときに遡つて、乙についてその効力を生ずると解すべきである(最判昭和三七年八月一〇日第二小法廷判決民集一六巻八号一七〇〇頁参照)。
参照法条民法116条,民法560条

民法第六〇六条は賃料額統制法令の施行のもとで適用があるか

最高裁判所第三小法廷昭和40年7月6日昭和38(オ)1354集民 第79号677頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第六〇六条は、賃料額統制法令の施行のもとでも、判示のような特段の事情がないかぎり、適用がある。
参照法条民法606条

農地の売買契約では知事の許可を停止条件と付することを要するか

最高裁判所第三小法廷昭和40年7月6日昭和39(オ)614集民 第79号691頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨農地の売買契約を締結する場合には、知事の許可を停止条件とする旨の付款を要するものではなく、右のような条件を付していないからといつて、直ちにその売買契約が無効なものと確定するわけのものではない。
参照法条農地法3条,民法127条

一 書面の提出のない訴の変更と責問権の喪失 二 実在しない会社の代表者として契約を締結した者の責任

最高裁判所第二小法廷昭和40年7月2日昭和40(オ)4集民 第79号671頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 書面の提出によらない訴の変更の申立に対して、被告からなんら異議を述べないまま弁論が終結されたときは、書面の提出によらなかつた瑕疵は、責問権の放棄または喪失によつて治癒されたもの解すべきである。 二 実在しない会社の代表者として第三者との間に契約を締結した者は、右第三者に対し、民法第一一七条の類推適用によつて責に任ず…
参照法条民訴法232条,民法117条,商法261条

土地の転貸借について黙示の承諾があつたものと認められた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年6月29日昭和38(オ)476集民 第79号539頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地の賃貸人が、賃借人において賃借土地の一部を転貸している事実を知りながら、三年余にわたる賃貸人であつた期間中、なんらの異議を述べないで賃借人から賃料を取り立てていたときは、右転貸について黙示の承諾をしたものと認めるのが相当である。
参照法条民法第1編第4章第1節,民法621条1項

一 準消費貸借契約と利息制限法 二 制限超過部分の充当の順序。

最高裁判所第一小法廷昭和40年6月24日昭和39(オ)1347集民 第79号503頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 準消費貸借契約にも利息制限法の適用がある。 二 制限を超過して任意に支払われた利息部分は、先ず弁済期までの全制限利息に充当さるべく、残余ある場合初めて元本に充当される。
参照法条民法588条,民法489条,利息制限法1条1項

建物収去土地明渡を求める訴状の送達により原被告間の土地賃貸借契約解除の意思表示がなされたと解しうるか。

最高裁判所第二小法廷昭和40年6月18日昭和40(オ)9集民 第79号455頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原告所有地上に被告が権限なく建物を存置してこれを占有していることを理由として建物収去土地明渡を求める訴状が被告に送達されたときは、特別の事情がないかぎり、原被告間にもし当該土地賃貸借契約が存在するならば、これを解約する旨の意思表示がなされたものと解することができる。
参照法条民法617条

融通手形の振出と消費貸借の成立。

最高裁判所第一小法廷昭和40年6月17日昭和38(オ)331集民 第79号401頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨なんら現実の商取引がなく、受取人をして他から金融を得させる目的でいわゆる融通手形が振り出された場合において、振出人と受取人との間で、受取人が事実上その支払の責に任じ振出人がその責に任じないことを約したときは、右融通手形の授受のみによつては、当事者間に消費貸借が成立したものとはいえない。
参照法条民法587条

家屋の明渡について現実の提供をしたものとは認めがたいとした事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年6月1日昭和37(オ)101集民 第79号265頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件家屋の主たる倉庫を空け、電話機を取り外して出入口を閉鎖して施錠し、その鍵および右電話機を家主の代理人に交付した事実があつても右倉庫の附属建物であるその管理室ともいうべき建物に居住占拠の状態が残つている以上、いまだ本件家屋の明渡について、現実の提供をしたものとは認めがたいと解するのが相当である。
参照法条民法415条,民法483条

相続放棄の申述と民法第九五条の適用の有無。

最高裁判所第一小法廷昭和40年5月27日昭和36(オ)201集民 第79号201頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨相続放棄の申述についても、民法第九五条の適用がある。
参照法条民法95条,民法938条

請負契約に基づき建築された建物所有権が右建物の引渡された時に注文者に移転するとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年5月25日昭和39(オ)1209集民 第79号175頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨建築材料の一切を請負人において支給し請負代金の前渡もなされていない請負契約においては、特別の意思表示のないかぎり、右契約に基づき建築された建物の所有権は、右建物が請負人から注文者に引渡された時に注文者に移転するものと認めるのが相当である。
参照法条民法632条

自動車の割賦売買契約における違約金の特約が民法第九〇条により無効といえないとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和40年5月21日昭和38(オ)1347集民 第79号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨自動車の割賦売買契約で、割賦金遅滞のときは契約を解除され、買主は自動車を返還する外、売買代金相当額の違約金を支払うものとする特約がされていても、該特約を一概に民法第九〇条により無効とすることはできない。
参照法条民法420条,民法90条,割賦販売法6条

養親子関係の実質的な破壊と「縁組を継続し難い重大な事由」。

最高裁判所第二小法廷昭和40年5月21日昭和39(オ)984集民 第79号143頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨養親子間における実質的な親子関係が客観的に破壊されている場合には、右破壊の原因が全面的にまたは主として離縁を求める者の側にある等、その者からの離縁請求が著しく正義に反するような特段の事情がないかぎり、民法第八一四条第一項第三号所定の「縁組を継続し難い重大な事由」があるといつてさまたげない。
参照法条民法814条1項

三重県、和歌山県、奈良県一帯において材木取引業者間の債務決済につき行なわれている「売り権」と呼ばれる慣行による契約の性質。

最高裁判所第二小法廷昭和40年4月30日昭和38(オ)1074集民 第78号805頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨三重県、和歌山県、奈良県一帯において材木取引業者間の債務決済につき行なわれている通称「売り権」と呼ばれる慣行に従う契約は、いわゆる流質型の、強い効力を有する譲渡担保に該当せず、処分清算型の、弱い効力を有する譲渡担保と解すべきである。
参照法条民法第2編第10章,民法92条

一 店舗について共同占有の成立を認めた事例。 二 訴額の算定の違法と訴訟行為の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和40年4月20日昭和38(オ)246集民 第78号649頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 判示の事情のもとでは、本件店舗については、真実の経営者と、経営者名義人の両名による共同占有が成立するものと認めるのが相当である。 二 かりに訴額の算定について違法であつても、これを看過してなされた訴訟行為の効力は無効とはいえない。
参照法条民法180条,民訴印紙法11条,民訴法22条,民訴法223条

承諾のない転貸をした転貸人の転借人に対する損害賠償責任。

最高裁判所第三小法廷昭和40年3月23日昭和39(オ)86集民 第78号395頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃貸人の承諾のない転貸をした転貸人は、転借人に対し将来賃貸人の承諾を得ることを約諾し、またはこれを得ることの確実であることを保証した等特段の事由がない限り、右承諾のない事実を知つて転貸借契約をした転借人に対し損害賠償請求を負わない。
参照法条民法561条,民法612条

家屋の賃借人と家屋敷地の占有。

最高裁判所第三小法廷昭和40年3月16日昭和39(オ)708集民 第78号317頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨家屋を賃借居住する者は、家屋敷地を占有する。
参照法条民法180条,民法206条

賃貸家屋の無断改造工事が賃貸借の目的物保管義務に違反しないとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和40年3月11日昭和39(オ)1310集民 第78号267頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃借人が賃借家屋の無断改造工事をした場合でも、それが容易に復元できる簡易なものであり、もしくは浸水を防止するため必要であつた等、原判示の事情(原判決理由参照)がある場合には賃貸借の目的物保管義務に違反しないものと解すべきである。
参照法条民法400条,民法594条

不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期。

最高裁判所第一小法廷昭和40年3月11日昭和39(オ)919集民 第78号259頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨不動産を目的とする代物弁済の予約完結の意思表示がなされたときは、これにより、該不動産の所有権移転の効果が生ずるものと解すべきである。
参照法条民法482条,民法176条

民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条の主張責任。

最高裁判所第二小法廷昭和40年3月5日昭和39(オ)274集民 第78号45頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条の適用を主張する当事者は、その要件事実につき主張責任がある。
参照法条民訴法186条,民法100条但書,商法504条

所有権妨害排除請求権に基づき仮登記の抹消請求を肯定した事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年2月23日昭和38(オ)281集民 第77号499頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨建物を買受け所有権移転請求権保全の仮登記を得た甲が右建物を乙に譲渡した場合、乙から甲に対し所有権妨害排除請求権に基づき、右仮登記の抹消登記手続を請求できる。
参照法条民法206条,不動産登記法2条

預金契約の当事者の認定。

最高裁判所第三小法廷昭和40年2月23日昭和38(オ)681集民 第77号525頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決の認定した事実関係(大阪高裁昭和三八年三月一八日判決、金融法務事情三六二号二九頁所収)のもとでは、本件預金契約は、上告人と被上告人との間に成立したものと認めるのが相当である。
参照法条民法666条

暴行強迫による為替手形引受行為の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和40年2月23日昭和39(オ)351集民 第77号557頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨為替手形の引受が他人の暴行強迫により意思決定の自由を奪われた者によりなされた場合は、その引受は無効である。
参照法条民法96条

担保の喪失と保証人の免責。

最高裁判所第二小法廷昭和40年2月19日昭和39(オ)350集民 第77号489頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨保証人が事前に関与して自ら工作し、債権者をして主たる債務者の担保を喪失せしめたときは、右保証人は、民法第五〇四条による免責を主張できない。
参照法条民法504条

債務者が任意に支払つた利息制限法超過の利息損害金は当然に残存元本に充当されるか。

最高裁判所第三小法廷昭和40年2月9日昭和35(オ)1370集民 第77号327頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、当然に残存元本に充当されるものと解すべきである。 二 (意見がある)。
参照法条利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条

民法第四七四条第二項の解釈。

最高裁判所第一小法廷昭和40年2月4日昭和38(オ)544集民 第77号235頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁済をするにつき利害関係のある第三者は、債務者の意思に反しても弁済をすることができる。
参照法条民法474条2項

貸金の遅延損害金の約定が公序良俗に反しないとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月26日昭和38(オ)63集民 第77号137頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨貸金の遅延損害金を日歩一〇〇円につき三〇銭と約定したからといつて、直ちに右約定が公序良俗に反するとはいえない。
参照法条民法90条,民法420条

約束手形振出の意思表示が所持人の強迫によることを理由として同人に対し右意思表示の取消がなされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月26日昭和39(オ)163集民 第77号145頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨(添付、原審判決理由参照)
参照法条民法96条,手形法17条

土地の共有持分権を第三者へ譲渡する場合には他の共有者の同意を要するか。

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月19日昭和37(オ)875集民 第77号27頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。
参照法条民法251条

家屋の一部の転借人が賃貸人から右家屋の所有権を取得した場合における賃借人との法律関係。

最高裁判所第三小法廷昭和39年12月15日昭和38(オ)917集民 第76号519頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨家屋賃借人が賃借家屋の一部を賃貸人の承諾を得て他に転貸した場合において、転借人がその後賃貸人から右家屋の譲渡を受けてその所有権を取得したときは、転借人において賃貸人の地位を承継し、爾後は自ら賃借人に対して右家屋全部の使用収益をなさしめる義務を負うことになるのであり、転借人において当該転借部分の使用収益をなしうるのは、賃…
参照法条民法612条,民法613条,借家法1条

銀行の自己宛小切手が窃取された場合に呈示期間経過後取得した右小切手の所持人に対する支払が無効とされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年12月4日昭和36(オ)796集民 第76号373頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨銀行の自己宛小切手が窃取された場合、呈示期間経過後取得した右小切手の所持人に対する小切手金支払は、たとい該所持人を小切手金債権の準占有者とみなしてなされたとしても、同銀行が右事情を知悉しているかぎり無効である。
参照法条民法467条,民法478条,小切手法21条,小切手法32条2項,小切手法35条

民法第三九五条により競落物件の賃貸人たる地位を承継した競落人が敷金に関する法律関係を承継しなかつたことの立証責任。

最高裁判所第三小法廷昭和39年11月17日昭和38(オ)826集民 第76号157頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第三九五条により競落物件の賃貸人たる地位を承継した競落人が敷金に関する法律関係を当然に承継しなかつたことの立証責任は、競落人の側において負担する。
参照法条民法395条,民法619条2項

代理人が「本人ノ為メニスルコト」を表示して意思表示をしたと認められた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年10月27日昭和38(オ)295集民 第75号1021頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨代理人が本人のためにする意思をもつて買受契約を締結する当時は、本人のためにすることを明示しなかつたが、後に代金を支払うときには、買主が本人であることを明らかにする等判示のような事情があるときは、「本人ノ為メニスルコト」を表示して契約をしたものと解するのが相当である。
参照法条民法99条,民法100条

家賃領収書交付債務の不履行と家賃支払債務の履行の拒絶の可否。

最高裁判所第一小法廷昭和39年10月8日昭和38(オ)679集民 第75号635頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨家賃の支払いとその受取証書の交付とは同時履行の関係にあると解すべきであるが、借家人が受取証書の交付を受けないで異議なく家賃の支払いをした場合には、さきに支払つた家賃について受取証書の交付のないことを理由として、その後の家賃の支払いを拒絶することはできない。
参照法条民法486条,民法533条

売買契約に基づく当事者双方の債務の履行が完了しない間に売主が実力を行使して売渡物件を取り戻した場合と引渡債務の履行の効果。

最高裁判所第三小法廷昭和39年9月29日昭和37(オ)239集民 第75号561頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨売買契約に基づく当事者双方の債務の履行が完了しない間に、売主が実力を行使して売渡物件を取り戻した場合には、特段の事情の認められないかぎり、引渡債務の履行の効果は消滅し、右債務は未だ履行されない状態に復したものと解するのを相当とする。
参照法条民法493条

小切手の提供が賃料債務の本旨に従つた履行の提供にあたるとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年9月25日昭和39(オ)205集民 第75号513頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃借人が賃貸人のため賃料を受領する権限のある者に対して、賃料額と同額の額面金額の小切手を持参提供し、もし現金を必要とするなら今日は日曜日であるから明日小切手を現金化して持参するからと申し入れ、これが受領され、かつ、小切手による賃料の支払は従前も行われたことがあるような場合には、賃料債務の本旨に従つた履行の提供がなされた…
参照法条民法493条

民法第六三五条但書にいう「土地ノ工作物」の意義等。

最高裁判所第一小法廷昭和39年9月24日昭和37(オ)108集民 第75号409頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第六三五条但書にいう「土地ノ工作物」とは、社会観念上、土地に付着し、継続的に使用されるものと認められる工作物をいうのであつて、工場内に据え付ける機械は、基礎工事によつて土地に固著させられないかぎり、右法条にいう「土地ノ工作物」にあたらないと解すべきである。
参照法条民法635条

経営委託の形式による店舗の使用関係が転貸借契約と認められた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年9月24日昭和38(オ)638集民 第75号445頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨店舗建物の賃借人が、経営委託契約の形式のもとに店舗の一部を使用させ、該使用者は、自己の計算において、鳥禽類の仕入販売を行い、収益如何にかかわらず、前記賃借人に対し月額六〇〇〇円を下らない金員を支払うことを約した場合は、転貸借契約が成立したものと認めるのが相当である。
参照法条民法612条,民法643条

連帯債務を負担する旨の暗黙の合意があつたと認められた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年9月22日昭和38(オ)1380集民 第75号401頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨会社の資金とする目的で、同会社の専務取締役と使用人が共同して借金した場合には、右両名は連帯債務を負担する暗黙の合意があつたと認めるのが相当である。
参照法条民法432条

真宗大谷派の末寺が解散した場合の財産の帰属について事実たる慣習が認められた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年9月18日昭和37(オ)225集民 第75号265頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨真宗大谷派の末寺であつて寺院規則を有しない寺が解散する場合には、総代の同意を得て、住職の承継者と目すべきものに残余財産を帰属せしめるという事実たる慣習が存在する。
参照法条民法92条,宗教法人令14条,宗教法人法50条

民法第二四二条但書の法意。

最高裁判所第三小法廷昭和39年9月8日昭和38(オ)489集民 第75号181頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第二四二条但書は、附合した物が不動産の一部と認められて全然独立の存在を失う場合には、適用の余地がないものと解すべきである。
参照法条民法242条

取得時効の基礎たる平穏な占有の意義。

最高裁判所第二小法廷昭和39年9月4日昭和38(オ)495集民 第75号159頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲と乙とが同一地域を重複して管理している場合には、甲の占有は平穏な占有とはいえない。
参照法条民法192条

手形金債務の承認による消滅時効の中断。

最高裁判所第二小法廷昭和39年8月24日昭和37(オ)683集民 第75号93頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形金債務の消滅時効が承認により中断せられるためには、該手形の呈示を伴う手形金の請求がなければならないものではない。
参照法条手形法38条,民法147条3号

民法第三九五条の短期賃貸借と競売開始後の法定更新。

最高裁判所第二小法廷昭和39年7月29日昭和38(オ)1166集民 第74号813頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第三九五条により抵当権者に対抗しうる土地、建物の短期賃貸借の期間が抵当権実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は、借地法第六条、借家法第二条による法定更新をもって抵当権者に対抗できない。
参照法条民法395条,民法602条,借地法6条,借家法2条

法律上一筆の土地と認められないとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年7月16日昭和37(オ)1013集民 第74号603頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地台帳付属地図に「a番の内」と表示された部分が存在する場合に、該表示か判示のような事情(本判決理由参照)によってなされたものであり、かつ、該部分が土地台帳に一筆として登録された事実が認められないときは、これを法律上一筆の土地とみることはできない。
参照法条民法86条1項,旧土地台帳規則(明治32年勅令39号)1条,旧土地台帳規則(明治32年勅令39号)2条,旧地租法16条

損害賠償の予定たる性質を有する違約手附の約定と認められた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年7月16日昭和38(オ)1300集民 第74号619頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判示(原判決参照)事実関係のもとにおける売買契約に付随する手附に関する特約は、損害賠償の予定たる性質を有する違約手附の約定と解すべきである。
参照法条民法420条,民法557条

約束手形を譲渡すべく提供しても金銭債務の本旨に従った弁済提供とはならないとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年7月16日昭和38(オ)1396集民 第74号651頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審確定の事実関係のもとでは、約束手形を延滞賃料の支払として譲渡すべく提供したことが、金銭債務の履行として債務の本旨に従った弁済の提供があったものとは解せられない。
参照法条民法493条

一 被参加人が補助参加人のなした控訴の申立を遅滞なく取り消した場合の控訴の申立の効力。 二 補助参加人のなした控訴の申立が権利の濫用と認められた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年7月2日昭和37(オ)156集民 第74号395頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 一審における補助参加人が控訴の申立をなした後、被参加人が遅滞なくこれを取り消した場合には、右控訴の申立は効力を生じない。 二 補助参加人は被参加人を勝訴させることによって自己の利益を確保するため、被参加人を補助する目的をもって訴訟に関与するものであるから、一審における補助参加人が控訴を申し立てると同時に被参加人およ…
参照法条民訴法360条1項,民訴法69条2項,民法1条

超権代理人による手形の振出と民法第一一〇条の第三者。

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月26日昭和37(オ)1311集民 第74号285頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形が代理人によりその権限を超越して振り出された場合に、民法第一一〇条により、本人の手形の責任が生ずるためには、手形受取人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべき正当の理由を有するときに限るのであって、右受取人にかかる事由のないときは、たとい、その後の手形所持人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべ…
参照法条手形法8条,民法110条

家屋賃借人において修繕義務を負う特約がある場合の大修繕。

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月26日昭和38(オ)191集民 第74号297頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨家屋賃借人において修繕義務を負う特約がある場合でも大修繕は特別の事情のない限り賃借人において負担する義務がないと、一般的にいうことはできない。
参照法条民法606条

一 手形の振出と民法第一一〇条にいう第三者。 二 約束手形の所持人が該手形を満期に支払場所で所持していれば呈示があったとみられるか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年6月25日昭和37(オ)412集民 第74号195頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 手形の振出について民法第一一〇条を適用する場合において、受取人が振出代理人の機関として振出人の氏名を記載したとしても、当該手形の受取人を同条にいう「第三者」と解するにさまたげない。 二 約束手形の所持人が該手形の満期にこれを支払場所で所持していた場合には、振出人が出頭しないときでも、適法な提示があったものとみるべき…
参照法条民法110条,手形法38条

離婚の訴における親権者指定申立の要否。

最高裁判所第三小法廷昭和39年6月23日昭和38(オ)1412集民 第74号167頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判上の離婚の場合には、親権者指定の申立がなくても、離婚の判決をする裁判所が、職権をもって、父母の一方を親権者と指定することを要すると解すべきである。
参照法条民法819条2項

委任者の死亡によって委任契約が終了しないと解された事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年6月16日昭和38(オ)1418集民 第74号95頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨判示事実関係のもとにおいては、委任契約は委任者の死亡によって当然には終了しない。
参照法条民法653条

民法第一一二条の表見代理の主張に対し商法第二六二条の表見代表取締役の規定を適用して判断することの可否。

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月12日昭和38(オ)306集民 第74号57頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨当事者が民法第一一二条の表見代理による約束手形金の支払請求を主張している場合であっても、商法第二六二条の要件事実が主張されている以上、同条の表見代表取締役の行為による会社に対する責任に基づいて、請求を認容することに違法はない。
参照法条民法112条,商法262条,民訴法186条

民法第五五六条第二項の催告の意義。

最高裁判所第三小法廷昭和39年6月9日昭和37(オ)636集民 第74号35頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第五五六条第二項の催告とは、予約者が相手方に対して相当期間を定め、その期間内に売買の予約完結権を行使するや否やの確答を求める意思通知である。
参照法条民法556条2項

賃借人に著しい不信行為があるとして無催告の土地賃貸借契約解除が有効とされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年6月4日昭和37(オ)601集民 第74号11頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地賃借人が賃貸人の申し入れた地代値上の交渉をことさらに回避し、かつ、地下室の建設を禁ずる旨の約定があったのにこれを無視して地下室建設工事に着手し、賃貸人において工事中止もしくは原状回復の催告をしたとしても賃借人がこれに応じたとは到底認め得ないような事情(原判決理由参照)があるときは、賃貸人は、賃借人に著しい不信行為が…
参照法条民法400条,民法541条,民法543条

土地明渡の請求権行使により袋地が生じても権利濫用とならない。

最高裁判所第三小法廷昭和39年5月26日昭和38(オ)490集民 第73号657頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地明渡により袋地を生ずることになつても、囲繞地通行権が民法上考えられているのであるから、右土地明渡請求権行使をもつて、権利濫用とはいえない。
参照法条民法1条,民法210条,民法211条

建物の同一性。

最高裁判所第三小法廷昭和39年5月12日昭和38(オ)121集民 第73号509頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨浴場、居宅、物置、便所および廊下を以て構成される建物のうち、ボイラー室全部と居宅の北半分程をとりこわしその跡へ新たな材料を使用して土台から新たに築き直して従来の浴場並びに居宅とは棟の方向を異にする一棟を建てて浴場とする等の改造をした場合であつても、その後完成された建物と従前の建物とを比較して原判示のような事実(一審判決…
参照法条民法86条

黙示の保証契約が成立したとの認定が経験則に反しないとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年5月1日昭和38(オ)978集民 第73号443頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨妻が夫に内緒で借金し、支払に窮して夫に打ち明けたが、債務が高額なため処理できず、その後同人ら方で債権者らが出席してその対策が講ぜられ、その際右夫が当初各債権者に挨拶したのみで、その後は全く沈黙しており、同人の伯父が各債権者に対し同人(夫)が払えるようになつたら支払うようにすると述べたときにも、とくに発言しないでただ頭を…
参照法条民法464条,民訴法185条

代理権授与の代理権の存在を肯定した事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月24日昭和37(オ)1443集民 第73号389頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨父が子に代り子所有建物について一切の管理処分をなす権限を有していた場合に、父が第三者に対し子の代理名義で右建物を他に担保に供する代理権を授与する権限をも与えられていたものと認めることができる。
参照法条民法99条

使用貸借において使用および収益をなすに足りる期間を経過したものと認められた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年4月23日昭和38(オ)786集民 第73号383頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判示認定の事実関係のもとにおいては、本件建物の使用収益の目的を達するに十分の期間を経過したものと認めるのが相当である。
参照法条民法597条2項

親権者の一方がその子と利益相反し他の親権者が利益相反関係にない場合と民法第八二六条の適用。

最高裁判所第三小法廷昭和39年4月21日昭和37(オ)1339集民 第73号287頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第八二六条は、親権者の一方がその子と利益相反し他の親権者が利益相反関係にない場合にも適用がある(同旨、昭和三七年(オ)第一三四〇号同三九年四月二一日第三小法廷判決、裁判集(民)第七三号二九九頁)。
参照法条民法826条

伐倒木の混合が生じたとするにつき審理不尽があるとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月17日昭和36(オ)1216集民 第73号179頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨山林の立木伐倒による損害賠償請求について、右伐倒木に混合が生じたとするには、如何なる割合で主従の区別があるのか、またはその区別をすることができない場合であるかを明らかにしなければ審理不尽となる。
参照法条民法243条,民法244条,民法245条,民訴法395条6号

融資契約に定められた限度をこえて貸付が行われたのち一部弁済があつた場合と保証人の責任。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月17日昭和38(オ)671集民 第73号239頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨融資契約で定められた貸付限度をこえる金額の貸付が行われ、のち一部弁済があつた場合は、該弁済が融資契約による限度内の元金に充当されたのか、それをこえる元金に充当されたのかを確定しないかぎり、融資契約についての保証人の責任の範囲を判定しえないと解すべきである。
参照法条民法448条,民法490条

賃貸借の成立が否定された事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月17日昭和38(オ)91集民 第73号229頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨地主が売却代金六万円を土地使用人との共同事業に出資するとともに土地の使用を認め、共同事業による利益分配金を受領することを約していた場合において、数年後に右合意の内容を明確にするための覚書の案について「賃貸」などの表現を訂正して「使用」などの用語を用いてはじめて覚書に捺印したような判示の事情のあるときには、地主において判…
参照法条民法601条,民法614条

親権者の一名を除外してなされた未成年者所有地に対する農地法による利用権設定裁定の効力。

最高裁判所第一小法廷昭和39年4月16日昭和38(オ)2集民 第73号91頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨未成年者の所有地について農地法による利用権を設定するにあたり、父たる親権者のみを相手方として手続を行ない裁定し、母たる親権者を除外した違法があつたとしても、原審確定の事実関係のもとにおいては、その裁定の取消の事由とするに足りない。
参照法条農地法26条,農地法27条,農地法28条,農地法29条,農地法30条,民法818条

賃貸人が賃貸借契約解除後その効力を争う賃借人が賃料として供託した金員を受領した場合の効果。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月10日昭和36(オ)323集民 第73号71頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃貸人が賃貸借契約解除の意思表示をなした後に、右解除の効力を争う賃借人が右解除の日以降の賃料として供託した金員を受領した場合であつても、右受領により賃貸借の解除の効果を消滅せしめ、もしくはそのときに新たな賃貸借契約を締結したものと認めるべき特別の事情でもあれば格別、却つて右供託金受領の前後を通じて賃貸借契約が解除された…
参照法条民法494条,民法540条

裏書の抹消による手形の譲渡が期限後になされた場合と指名債権譲渡の対抗要件を具備することの要否。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月10日昭和38(オ)929集民 第73号83頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裏書の抹消による手形の譲渡が期限後になされた場合に、指名債権譲渡の対抗要件を具備することは必要でない。
参照法条手形法14条,手形法20条1項,民法467条

免責的債務引受により当然従前の根抵当権は消滅するか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年3月19日昭和37(オ)523集民 第72号551頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨免責的債務引受がなされたからといつて、当然に従前の根抵当権の消滅をきたすものではない。
参照法条民法第3編第1章総則(債務引受),民法375条

隠れた瑕疵の修理義務の履行と代金支払につき同時履行の抗弁が成り立たないとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年3月19日昭和38(オ)1048集民 第72号585頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨引き渡したボートの隠れた瑕疵を調査するため売主買主立会のうえ試運転をする旨の協定がなされていたところ、買主が一方的に右試運転を取り止め、代金全額支払を約諾するに至つた以上、買主は、売主の隠れた瑕疵に対する修理義務不履行を理由に、代金支払につき同時履行を主張できない。
参照法条民法570条,民法571条

一 賃貸借終了による賃貸家屋の明渡請求と家屋所有の要否 二 旅館共同経営にもとづく経営の参加と無断転賃の成否

最高裁判所第三小法廷昭和39年3月10日昭和38(オ)1050集民 第72号441頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 賃貸借終了による賃貸家屋の明渡請求においては、賃貸人は、解除の時に家屋所有者であることを要しない。 二 家屋賃借人が第三者との旅館共同経営契約にもとづいて当該第三者に右営業上独立の占有させているなど原判決認定の事情のもとにおいては、民法第六一二条の解除の原因となる。
参照法条民法617条,民法612条

一 訴状の送達の時に代物弁済の予約完結権の行使があつたものと認められた事例 二 被担保債務の一部の内入弁済と代物弁済の予約完結権

最高裁判所第一小法廷昭和39年2月20日昭和36(オ)708集民 第72号215頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 訴状において停止条件附代物弁済契約の条件成就による所有権取得の効果の主張のみが記載されている場合においても、原告がその後の弁論において、代物弁済の予約の主張を追加してその予約の完結権行使が訴状の送達をもつてされた旨主張したときには、その訴状送達の時に右予約完結権の行使があつたものと認めることができる。 二 貸金担保…
参照法条民法482条(556条),民訴法229条1項

時効消滅後の債権による相殺と相殺を主張しうる債権額確定の時点。

最高裁判所第一小法廷昭和39年2月20日昭和37(オ)1005集民 第72号223頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨時効消滅後の債権による相殺は、相殺適状にあつた時点の債権額の限度でなしうるものであつて、相殺の意思表示の時点における債権額につき対当額で相殺されると解すべきではない。
参照法条民法508条,民法145条

不動産の附合の成立を肯定した判断が違法であるとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年2月18日昭和37(オ)879集民 第72号209頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨不動産の附合の成否に触れる証拠としては、従前建物所有者の「その後増改築した費用は私が出したものです」「増築部分は約一〇坪ぐらいです」という供述しかない証拠関係のもとで、増築部分が従前建物の従として附合したと判断することは、民法第二四二条の解釈適用を誤つたか、理由不備の違法がある。
参照法条民法242条,民訴法395条6号

土地賃借権の存否につき争いのある場合において地代の弁済としての供託金および地代として支払われた現金を土地所有者が受領したときの効果。

最高裁判所第二小法廷昭和39年2月14日昭和36(オ)215集民 第72号171頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地賃借権の存否につき争いのある場合において、土地所有者が地代の弁済としての供託金および地代として支払われた現金を受領した事実があつても、かつて土地の賃貸借がなされた事実なく地上建物も土地所有者の承諾を得ずに建築されたものであり、右供託金および現金の受領も、両者間の紛争の仲裁に入つた第三者からこれを受領しないと物事に角…
参照法条民法494条

詐欺による意思表示の取消が権利濫用にあたらないとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年2月7日昭和37(オ)1412集民 第72号99頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨当該土地が既に公立中学校の敷地として使用されているからといつて、その土地を目的とする契約の意思表示を詐欺により取り消すことは、権利の濫用といわねばならないことはない。
参照法条民法1条,民法96条

立木法の適用を受けない立木の買受人が明認方法を施さないうちに伐採した場合における伐木所有権の対抗力。

最高裁判所第一小法廷昭和39年2月6日昭和37(オ)745集民 第72号71頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨立木法の適用を受けない立木の買受人がこれに明認方法を施さないうちにこれを伐採した場合、右買受人は、当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠点を主張しうべき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもつて対抗できない。
参照法条民法177条,民法178条

組合財産全部の処分には総組合員の合意を要するか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年1月28日昭和37(オ)762集民 第71号409頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨組合財産に属する一切の権利義務を譲渡する旨の契約をするには、総組合員の合意を必要とする。
参照法条民法251条,民法668条,民法676条

過大催告の効力。

最高裁判所第一小法廷昭和39年1月28日昭和38(オ)265集民 第71号419頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨催告の額が多額に失しても、債権者において客観的に正しい賃料額を受領しない意思が明瞭でない場合においては、債権者は、債務者の履行の提供がないかぎり、契約を解除することができる。
参照法条民法541条,民法413条

買主違約の場合と手附没収の意思表示の要否。

最高裁判所第二小法廷昭和39年1月24日昭和36(オ)1417集民 第71号279頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨買主の違約があつても、売主が手附没収の意思表示をするまでは、売買契約は終了しないから、その後において売主の債務がその責に帰すべき事由によつて、履行不能となつた場合には、買主は手附倍戻しの請求ができる。
参照法条民法557条

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

最高裁判所第二小法廷昭和39年1月24日昭和37(オ)1429集民 第71号309頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
参照法条民法147条,民法153条,手形法38条1項

金銭の占有と所有。

最高裁判所第二小法廷昭和39年1月24日昭和38(オ)146集民 第71号331頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨金銭の直接占有者は、特段の事情のないかぎり、その占有を正当づける権利を有するか否かにかかわりなく、金銭の所有者とみるべきである。
参照法条民法188条,民法192条

共有土地の賃貸行為と民法第二五二条。

最高裁判所第一小法廷昭和39年1月23日昭和38(オ)734集民 第71号275頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨共有土地を賃貸する行為は、民法第二五二条にいう「共有物ノ管理ニ関スル事項」にあたる。
参照法条民法252条

旧民法第九三〇条第一項による取消の意思表示を法律行為の相手方の包括承継人に対してなした場合の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和39年1月21日昭和36(オ)35集民 第71号121頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨旧民法第九三〇条第一項の取消の相手方は最初の法律行為の相手方及びその包括承継人であると解するのを相当とするから、包括承継人に対する取消の意思表示は有効である。
参照法条旧民法930条

事務管理者の行為は本人に効力を及ぼすか。

最高裁判所第一小法廷昭和38年12月26日昭和36(オ)1248集民 第70号599頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨事務管理者の行為は、本人の追認がない以上、本人についてその効力を生じない。
参照法条民法697条

一 金員貸渡の日時につき主張と認定との間に同一性が害されず当事者の主張もない事項について判断したとはいえないとされた事例 二 遅延損害金の支払を命じた点に審理不尽理由不備があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和38年12月26日昭和38(オ)206集民 第70号625頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原告が昭和二四年九月一一日から同二五年一〇年二〇日にわたる二五口の金員消費貸借契約の成立を原因として、その貸金請求を併せてする訴訟において、右のうち一口の貸渡日時が昭和二五年九月一〇日と主張されているのに対し、被告が他の二四口の貸渡日時自体については争わず右一口の貸渡日は昭和二三年中であると主張して消滅時効を援用し…
参照法条民訴法186条,民訴法395条1項6号,民法591条,民法412条

何時でも返還する特約のある農地賃貸借と民法第六一七条第二項の適用。

最高裁判所第三小法廷昭和38年12月24日昭和37(オ)820集民 第70号495頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨何時でも貸主の請求に応じ賃貸農地の返還をするなどの定めで農地を耕作させるに至つた場合でも、当時施行の農地調整法第九条第四項により右約定は存しないものとみなされるから、解約申入に民法第六一七条第二項の適用がある。
参照法条民法617条2項,農地調整法9条4項

他の相続人の相続分を排することを主たる目的とする養子縁組の効力。

最高裁判所第二小法廷昭和38年12月20日昭和37(オ)1235集民 第70号425頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨他の相続人の相続分を排することを主たる目的としなされた養子縁組であつても、親子としての精神的つながりをつくる意思が認められるかぎり無効ではない。
参照法条民法802条

商人間の不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金の法定利率。

最高裁判所第一小法廷昭和38年12月19日昭和37(オ)708集民 第70号389頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨商人間の不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金の法定利率は、年五分の割合であつて、商法第五一四条を類推適用すべきではない。
参照法条民法404条,民法709条,商法514条

利息を遅延損害金と判示してその支払を命じた判決と理由そごの有無。

最高裁判所第二小法廷昭和38年11月29日昭和38(オ)526集民 第69号439頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨期限の定めのない金銭消費貸借契約に基づく返還請求を認容した判決が、民法第五九一条所定の催告をしたことの主張立証がないのに、一定の日以降遅延損害金の付加支払を命じた場合においても、単に法律用語の誤りと解され、同日以降同利率による利息と訴状送達以後の遅延損害金の支払を命じた趣旨と解するのを相当とするから、理由そごとはいえな…
参照法条民法591条,民訴法395条1項6号

後見監督人選任審判の効力発生時点。

最高裁判所第一小法廷昭和38年11月28日昭和36(オ)764集民 第69号417頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨後見監督人を選任する審判は、告知により効力を生じ、就職の届出により効力を生ずるものではない。
参照法条民法849条,家事審判法9条1項甲類14号,家事審判法13条

第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したことの主張立証責任。

最高裁判所第二小法廷昭和38年11月15日昭和37(オ)272集民 第69号215頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したかどうかの主張立証の責任は、その表示ありとして第三者弁済の無効を主張する者の側にある。
参照法条民法474条1項,民訴法第3章第1節

一 原告代理人と被告代理人を取り違えた調書の記載が明白な誤記と認められ判決に影響がないとされた事例。 二 不当な告訴によつて不法行為が成立するとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和38年11月12日昭和37(オ)965集民 第69号181頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨松一本を盗伐した者が杉四七石、松二五石の盗伐の告訴を所有者から受けた場合には、実質と右告訴の内容とを異にし、これにより取調を受ける被告訴者の苦痛の程度もまた相違するから、右不当な内容の告訴により受ける精神的損害につき不法行為が成立しうる。
参照法条民訴法394条,民訴法143条,民法709条

市有地の賃借権を市条例所定の市長の承認なしに譲渡する契約の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和38年10月22日昭和37(オ)98集民 第68号467頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨市有地の賃借権を譲渡するには、市条例所定の市長の承認を要するとしても、当事者がその承認を予期して右譲渡契約を締結することは違法でなく、その対価を取得しても、不法原因給付とはならない。
参照法条民法612条,民法708条,昭和24.4.1大阪市条例19号「大阪市財産及び営造物条例」12条

手形取引約定に基づく手形貸付額が与信限度額を超過した場合と保証人の責任。

最高裁判所第三小法廷昭和38年10月15日昭和35(オ)1106集民 第68号355頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨取引元本極度額の定めのある手形取引約定について根保証をしている場合には、手形貸付額が右極度額を超えるに至つても、右極度額の範囲内で保証の責を負うものと解すべきである。
参照法条民法447条

後見監督人が被後見人を代理した場合と民法第八六六条による取消権の成否。

最高裁判所第一小法廷昭和38年10月10日昭和35(オ)1086集民 第68号317頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被後見人の財産等を後見人が譲り受ける行為につき、後見監督人が被後見人を代理した場合または親族会の同意があつた場合でも、被後見人は、民法第八六六条による取消権を失わない。
参照法条民法866条

G聯合会に「公司創立登記」を了した股・有限公司は日本国内法上法人格を有するか。

最高裁判所第三小法廷昭和38年10月8日昭和35(オ)809集民 第68号259頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨商法上の会社設立登記を経由しないかぎり、右公司に独立の法人格は認められない。
参照法条民法36条,商法482条

手形の裏書交付と原因債務についての保証契約の成否。

最高裁判所第三小法廷昭和38年10月8日昭和37(オ)1032集民 第68号293頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。
参照法条手形法11条,民法446条

建物敷地の使用貸借と使用目的の黙示の約定。

最高裁判所第三小法廷昭和38年9月17日昭和34(オ)578集民 第67号567頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨親が子の建築居住する建物の敷地として宅地を貸与する使用貸借関係にあつては、特段の反対事情の認められない限り、少くとも黙示的に使用の目的を右建物所有のためと定めたものと認定するのが経験法則に合する。
参照法条民法597条

同時履行の抗弁についての釈明義務。

最高裁判所第二小法廷昭和38年9月13日昭和35(オ)1323集民 第67号541頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨同時履行の抗弁の提出がないかぎり、裁判所は、進んで引換給付の判決をすべきものではなく、また、同時履行の抗弁の提出を促すべく釈明する義務を負うものではない(昭和二七年一一月二七日第一小法廷判決、民集六巻一〇号一〇六二頁参照)。
参照法条民法533条,民訴法127条

「追認ヲ為スコトヲ得ル時」の意義。

最高裁判所第二小法廷昭和38年9月6日昭和37(オ)1183集民 第67号531頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第一二六条にいう「追認ヲ為スコトヲ得ル時」とは、取消の原因たる情況の止んだ時、すなわち未成年者にあつてはこれが成年に達した時をいい、未成年者であつた者が自己の行為を了知したことは、取消権の消滅時効が進行を始めるについての要件ではない。
参照法条民法126条,民法124条1項

継続的保証契約と保証人の解約告知権。

最高裁判所第二小法廷昭和38年9月6日昭和37(オ)1260集民 第67号537頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨与信契約および継続的保証契約において極度額、責任限度額および期間の定めがない場合には、保証人は、取引慣行ならびに信義則に照らして相当と認められる期間が経過した後は、保証契約の解約告知権を取得するものと解すべきである。
参照法条民法446条,民法540条

一口の消費貸借成立の主張に対し数回にわたる金員授受の事実を認定判示した事例。

最高裁判所第一小法廷昭和38年9月5日昭和35(オ)260集民 第67号447頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨昭和二八年一月一五日の前後に現金四五万円を一口の消費貸借として貸し付けた趣旨の主張に対し、現金に金員の授受がなされた回数としては七、八回にわたるけれどもその授受された金員を一括して右合計金四五万円について同日頃一口の消費貸借がなされた旨認定判示している以上、当事者の主張に基づかない事実を認定判示した違法はない。
参照法条民法587条

書面によらない負担付贈与契約の一方の履行と取消。

最高裁判所第三小法廷昭和38年9月3日昭和36(オ)601集民 第67号399頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨書面によらない負担付贈与契約に基づき当事者の一方が債務を履行したときは、書面によらない贈与であることを理由にこれを取消すことはできない。
参照法条民法550条,民法553条

一 弁論再開の不許と証拠提出の不当制限 二 国家賠償と賠償責任の負担者

最高裁判所第二小法廷昭和38年8月30日昭和37(オ)328集民 第67号361頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新たな証拠の提出ができなかつたとしても、証拠提出を不当に制限したことにはならない(昭和二三年(オ)第七号、同年四月一七日第二小法廷判決、民集二巻四号一〇四頁参照)。 二 公務員の職務執行に基づく損害については、国家または公共団体がその責任を負い、当該公務員は被害者…
参照法条民訴法133条,民訴法137条,国家賠償法1条,民法709条

破産管財人は民法第一七七条および信託法第三条の第三者にあたるか。

最高裁判所第三小法廷昭和38年7月30日昭和36(オ)153集民 第67号175頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨破産者と信託契約をした者に対する関係で、破産管財人は、民法第一七七条および信託法第三条の第三者にあたる。
参照法条破産法157条,破産法162条,破産法185条,民法177条,信託法3条

代理権消滅に関する相手方代理人の悪意と民法第一一二条の適用。

最高裁判所第一小法廷昭和38年7月25日昭和35(オ)347集民 第67号111頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨代理権消滅の事実を相手方の代理人が知つていた場合には、民法第一一二条による表見代理は成立しない。
参照法条民法112条

横領金による有益費の支出と事務管理費用償還請求権の成否。

最高裁判所第一小法廷昭和38年7月25日昭和36(オ)925集民 第67号127頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨事務管理者は、有益費の支出を他人から横領した金銭をもつてなした場合でも、本人に対する償還請求権を取得できる。
参照法条民法702条1項

後見人としての占有と民法第一八六条第一項の所有の意思。

最高裁判所第三小法廷昭和38年7月9日昭和36(オ)680集民 第67号35頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨後見人が被後見人の所有土地を同人のために占有していたにすぎない場合には、後見人が自ら所有の意思を以て占有したものとはいえない。
参照法条民法186条1項

民法第一八八条の推定が覆えされたとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和38年7月4日昭和37(オ)803集民 第67号7頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨不動産所有権の帰属を争う甲乙のうち該不動産を占有する甲が民法第一八八条により一応所有権者と推定される場合においても、該不動産は、乙の先代が他からこれを買い受けて所有権保存登記を了し、次いで乙が家督相続により右所有権を承継した事実が証明されたときは、(他に、乙の先代または乙が所有権を喪失した事由がない限り)前記推定は覆え…
参照法条民法188条

飼犬保管上の注意義務。

最高裁判所第一小法廷昭和38年6月27日昭和37(オ)1287集民 第66号751頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨咬癖のある飼犬を戸外に連れ出すに当つては、危害防止のため鎖でつないでその一端を堅持し、常に注意をそらさず、いつでもこれに十分な支配制御を加える万全の姿勢をとつていなければならない。
参照法条民法718条

小切手の割引取得者は民法第九六条第三項の第三者に該当するか。

最高裁判所第三小法廷昭和38年6月18日昭和37(オ)1404集民 第66号547頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨小切手を割引により取得した者は、小切手振出の原因関係たる売買契約の取消につき、民法第九六条第三項の第三者に該当しない。
参照法条民法96条

一 民法第一九二条の占有取得の相手方 二 荷渡依頼書の交付によつて貨物の所有権は移転するか

最高裁判所第三小法廷昭和38年5月21日昭和36(オ)505集民 第66号61頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 売渡人以外の者から買受物件の占有移転を受けた場合には、その者が売渡人の占有代理人であるようなときでなければ、買受人は右物件を善意取得できない。 二 荷渡依頼書の交付によつて、これに記載された物件の所有権が被交付者に移転するものとは解せられない。
参照法条民法192条,商法519条

債権者集会に訴訟当事者能力が認められた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和38年4月2日昭和34(オ)1114集民 第65号357頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債権者集会が民法上の組合と認められ、かつ、代表者の定めがなされている限り、これに訴訟当事者能力を認めて妨げない。
参照法条民訴法46条,民法667条

民法第五四二条にいう定期行為にあたらないとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和38年3月28日昭和37(オ)1110集民 第65号307頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨米国に移住のため在日財産処分の必要に迫られた者が渡米の日とにらみ合せて売買代金支払および登記手続履行の日時を定めて建物の売買契約をした場合でも、右期日までに代金支払がなされなければ相当の不便を感じることが推測されるだけで売買の目的を達しえない事情までは認められない以上、これを定期行為とみることはできない。
参照法条民法524条

委任の報酬額の判定に審理不尽理由不備があるとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和38年3月22日昭和37(オ)290集民 第65号235頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨委任事務処理の報酬支払の特約があつたことを認定した以上、当事者主張の報酬額の特約の事実が認定できなくても、当事者の意思を忖度し諸般の事情を勘案して相当な報酬額を認定すべきであつて、これを確定しない原審判決には審理不尽、理由不備の違法がある。
参照法条民法648条1項,民訴法395条1項6号

農地の遡及買収基準時における被買収者の住所の認定が是認された事例。

最高裁判所第二小法廷昭和38年3月15日昭和36(オ)947集民 第65号153頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被買収者が農地所在の村で農地委員の選挙権を行使した等の事実があつても、右買収基準時に教師として他村に転任しその学校住宅に家族とともに居住していたという事実関係のもとにおいては、その住所が当該農地の所在地にあつたと認めなければならないものではない。
参照法条民法21条,自作農創設特別措置法3条1項1号

根抵当権設定後になされた賃貸期間を少くとも一〇年とする建物賃貸借の対抗力。

最高裁判所第一小法廷昭和38年3月14日昭和37(オ)958集民 第65号139頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨建物に対し根抵当権が設定かつ登記された後になされ賃貸期間を少くとも一〇年とする当該建物の賃貸借は、右建物の競落人に対抗できない。
参照法条民法395条,民法602条

準消費貸借の目的たる約束手形金債務を特定するについて手形要件全部の判示を必要とするか。

最高裁判所第二小法廷昭和38年3月1日昭和35(オ)1024集民 第65号41頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨準消費貸借の目的たる約束手形金債務を特定するために、必ずしも手形要件のすべてを判示する要はない。
参照法条民法588条,手形法75条

山林の所有権取得時効の基礎要件たる占有。

最高裁判所第一小法廷昭和38年2月21日昭和37(オ)970集民 第64号515頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨山林の所有権取得時効の基礎要件たる占有は、時効援用者の単独占有でなければならない。
参照法条民法162条,民法164条

民法第二九五条第一項の「他人ノ物」の意義。

最高裁判所第三小法廷昭和38年2月19日昭和34(オ)1227集民 第64号473頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第二九五条第一項の「他人ノ物」とは、債権者以外の者の所有する物でなければならないが、債務者以外の者の所有に属する物であつてもよい。
参照法条民法295条1項

工事の未完成部分が軽微である場合に信義則上請負代金の支払を拒みえないとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和38年2月12日昭和37(オ)408集民 第64号425頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨工事の請負契約において、引渡した目的物に未完成部分があつても、その部分が未払代金に比し極めて軽微であるときには、信義則上代金支払期日の未到来を主張することは許されないと解すべきである。
参照法条民法633条

民法第一九三条の期間徒過のため盗品の回復請求ができなくなれば被害者はその所有権を失うか。

最高裁判所第三小法廷昭和38年2月5日昭和35(オ)334集民 第64号383頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨盗難の時より二年を経過したときは、被害者は占有者に対し盗品の回復を請求することが不可能となつて、被害者はその所有権を喪失する。
参照法条民法193条

一 訴提起による時効中断の効力発生の時期 二 上告審において職権調査の結果原審と異る事実認定のもとに適法な訴状送達があつたと判断した事例

最高裁判所第二小法廷昭和38年2月1日昭和36(オ)855集民 第64号361頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨訴提起による時効中断の効力発生の時期は、訴状受理の時であつて、訴状送達の時ではない。
参照法条民法147条,民訴法235条,民訴法223条

会社の代表者が自己の利を図る目的で会社の名においてした行為の会社に及ぼす効力。

最高裁判所第一小法廷昭和38年1月31日昭和36(オ)798集民 第64号281頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨会社の代表者がその権限を濫用し会社の損害において自己の利を図る目的で会社の名においてした行為は、相手方において右権限濫用の事実を知つていたという事実関係のもとでは、商法第二六五条の適用を問題とするまでもなく、その効力を会社に及ぼさない。
参照法条民法53条,商法265条

一 改造後の建物が建物全体として比較して見て改善前と同一性を失わないとされた事例 二 建物賃借人が所有者の承諾を得て増改築工事をした場合における増改築部分の所有権の帰属

最高裁判所第二小法廷昭和38年1月25日昭和35(オ)1211集民 第64号201頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 旧建物が本屋と物置の二棟であつたのを、物置を取り除き、その後を利用し旧本屋と合せて、店舗兼居宅一棟を増改築した場合、総坪数が増加し新材を用いるとしても、大部分において原形を残している等全体としての比較において新旧建物の同一性は失われていないと判断することができる。 二 建物賃借人が賃貸人(建物所有者)の承諾を得て建…
参照法条民法86条,民法242条

準消費貸借と更改。

最高裁判所第三小法廷昭和38年1月22日昭和36(オ)857集民 第64号107頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨貸金を目的とする準消費貸借契約がなされた場合に、利息弁済期の変更、新保証人、新担保の設定があつたからといつて直ちにこれを更改であるといわねばならない理はない。
参照法条民法513条,民法588条

一 立木の二重売買と債務不履行の成立時期 二 売主の債務不履行のときは内入金の倍額を買主に支払い、買主の債務不履行のときは内入金を放棄するとの約定と賠償額の予定 三 予定賠償額の請求と契約解除の要否

最高裁判所第二小法廷昭和37年12月26日昭和37(オ)11集民 第63号1099頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 売買の目的物である立木を売主が買主以外の者に売却して伐採搬出されたときは、そのときに買主に対する債務不履行が成立する。 二 売主が債務不履行のときは内入金の倍額を買主に支払い、買主の債務不履行のときは内入金を放棄するとの約定は、債務不履行の場合に当事者間の契約関係を清算しようとするための損害賠償を予定したものと解す…
参照法条民法415条,民法557条,民法420条,民法541条

一 民訴法第七一条にいう「訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコト」を主張してなされた参加の申立が参加理由を欠くとされた事例 二 甲が乙名義の建築確認通知書の「建築主の住所氏名欄」の記載を乙の諒解を得たのみで自己名義に訂正し、これに基づき家…

最高裁判所第三小法廷昭和37年12月25日昭和35(オ)839集民 第63号989頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が乙名義の建築確認通知書の「建築主の住所氏名欄」の記載を、乙の諒解を得たのみで甲名義に訂正し、家屋台帳に自ら所有者として登録し、右台帳に基づき所有権保存登記を経由した場合においても、実体上甲が所有権を有するときは、該登記は無効とはいえない。
参照法条民訴法71条,不動産登記法(昭和35年法律14号による改正前),民法177条

一 停止条件付代物弁材契約が公序良俗に違反しないとされた事例 二 同一審級における裁判官の過半数の更迭と民訴法第一八七条第三項後段の適用の有無

最高裁判所第二小法廷昭和37年12月21日昭和37(オ)616集民 第63号831頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨適用なし。
参照法条民法90条,民法482条,民訴法187条

利息制限法をこえる利息を目的とする準消費貸借契約の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和37年12月4日昭和35(オ)1179集民 第63号421頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨利息制限法の制限をこえる利息を目的として準消費貸借をした場合、該契約は制限をこえる部分について無効である。
参照法条民法588条

一 相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響 二 法律解釈の根拠を判示することの要否

最高裁判所第一小法廷昭和37年11月22日昭和35(オ)1322集民 第63号307頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 建物賃貸借契約が賃料不払に因つて解除された後、賃借人の相殺の意思表示によつて賃料債務が遡つて消滅しても、契約解除の効力に影響はないものと解すべきである。 二 法律解釈の根拠・理由を判決に示さなくても、理由不備の違法があるとはいえない。
参照法条民法506条2項,民法541条,民訴法395条1項6号,民訴法191条1項3号

一 条例で特別職に対する退職金の給付はその都度議会への議決で定めるとしている場合の右退職金の性質 二 退職金の給与を議会の議決で定めた後に右の議決を取り消すことの可否

最高裁判所第二小法廷昭和37年11月16日昭和36(オ)873集民 第63号247頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 条例で特別職に対する退職金の給付は、その都度議会の決議で定めることにしてあつても、右退職金の給与は公法上の給与であつて、民法上の贈与ではない。 二 退職金の給与を議会の議決で定めた後、右の給与について予算上の措置が講じられていなかつたからといつて、さきの議決を取り消すことはゆるされない。
参照法条地方自治法205条,地方自治法239条の4第1項,民法549条

入会部落団体の構成員たる地位の取得原因。

最高裁判所第二小法廷昭和37年11月2日昭和35(オ)1244集民 第63号23頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨いかなる者が、部落民として、入会権を有する部落団体の構成員となるかは、もつぱら、部落の慣習によつて定まる。
参照法条民法263条,民法294条

利息制限法第二条により元本の支払に充当されたものとみなされた金員相当額を再度支払つた場合とその返還請求権の有無。

最高裁判所第一小法廷昭和37年11月1日昭和35(オ)115集民 第63号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨利息制限法第二条により元本の支払に充当されたものとみなされた金員相当額を再度支払つた場合は、借主が同条の趣旨を知つていたものでない限り、その返還を請求する権利が生ずる。
参照法条利息制限法2条,民法705条

債権者債務者間の弁済充当の合意と連帯保証人の免責との関係。

最高裁判所第一小法廷昭和37年11月1日昭和36(オ)1357集民 第62号13頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債権者と債務者間との間に数口の債務がある場合に債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは両者間の契約により定めうるところであり、これにより弁済充当のなされなかつた債務の連帯保証人が免責を受けないことになつてもやむを得ない。
参照法条民法488条,民法489条

双方代理と本人の同意。

最高裁判所第三小法廷昭和37年10月23日昭和35(オ)884集民 第62号937頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨契約当事者の一方の代理人が同時に相手方のため代理行為をなした場合であつても、予め相手方の同意があるときは、右代理行為は有効である。
参照法条民法108条

占有改定の方法による質物の引渡と質権の成否。

最高裁判所第二小法廷昭和37年10月12日昭和35(オ)1174集民 第62号867頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨右の場合には、民法第三四五条の法意に徴し、質権は有効に成立しない。
参照法条民法342条,民法345条

抵当権設定登記の抹消登記手続請求を認容した判断に審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和37年10月5日昭和35(オ)234集民 第62号709頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲乙丙三棟の建物を所有する債務者が、未登記の甲建物の所有権保存登記をなすべく司法書士に委任したところ、甲建物を主たる建物、乙丙建物を付属建物と表示する登記がなされ、次いで、債権者の手により甲乙丙建物を目的物とする抵当権設定登記が経由されたのに対し、抵当権設定契約の不存在を理由として右抵当権設定登記の抹消登記手続を請求す…
参照法条民法177条,民法87条2項,民訴法395条6号

一 過大催告の効力を否定すべきでない場合 二 判決正本に裁判官の記名がない場合と責問権抛棄

最高裁判所第一小法廷昭和37年10月4日昭和35(オ)6集民 第62号679頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 正当な賃料額の提供があつても債権者においてこれを受領しないことが明らかであつたとの特別の事情が認められない以上、過大催告の効力を否定すべきでない。 二 送達された第一審判決正本に裁判官の記名がなくても、これを異議なく受領して控訴を提起している以上、責問権を抛棄したものと認められる。
参照法条民法541条,民訴法193条,民訴法141条

公正証書の作成が民法第一〇八条本文の法意に反しないとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和37年9月7日昭和37(オ)204集民 第62号413頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨執行受諾条項を含めて当事者間の合意をもつてすでに決定された内容どおりの契約を締結してその旨の公正証書を作成する場合には、一人が当事者双方を代理しても、民法第一〇八条の法意に反しない。
参照法条民法108条

相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響の有無

最高裁判所第三小法廷昭和37年8月14日昭和34(オ)1191集民 第62号161頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃貸借契約が、賃料不払のため適法に解除された以上、たとえその後賃借人が費用償還請求権を自動債権とする相殺の意思表示により、右賃料債務が遡つて消滅しても、解除の効力に影響はない。
参照法条民法506条,民法541条

一 民法第一六二条の取得時効完成の基礎となる占有と認められないとされた事例 二 地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽された立木の所有権の対抗要件の要否

最高裁判所第二小法廷昭和37年8月3日昭和35(オ)900集民 第62号21頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。
参照法条民法162条,民法177条,民法242条

民法第八一四条第一項三号の法意

最高裁判所第二小法廷昭和37年8月3日昭和37(オ)171集民 第62号59頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第八一四条第一項三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」は、その有責事由が当事者のいずれか一方にあることを要するものではない。
参照法条民法814条1項3号

使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することの可否およびその限度。

最高裁判所第二小法廷昭和37年7月20日昭和36(オ)189集民 第61号737頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することはできるが、その限度は、平均賃金の四割の範囲内にとどめるべきである。
参照法条民法536条2項,労働基準法24条1項,労働基準法26条

債務不履行による損害賠償につき債権者に過失があつた場合の賠償額算定方法。

最高裁判所第三小法廷昭和37年7月3日昭和36(オ)1246集民 第61号459頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債務不履行による損害賠償につき、債権者に過失があるとしてこれを斟酌して損害賠償額を算定する場合、必ずしも損害額を折半して算定しなければならないものではない。
参照法条民法418条

相続人が相続開始後相続放棄前に相続債権の取立をしてこれを収受領得した場合と単純承認の成否。

最高裁判所第一小法廷昭和37年6月21日昭和36(オ)1029集民 第61号305頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨相続人が相続開始後、相続放棄前に相続債権の取立をして、これを収受領得した場合には、民法第九二一条第一号にいわゆる相続財産の一部を処分した場合に該当し、相続の単純承認をしたものとみなされる。
参照法条民法921条1号

受任者の金銭消費の責任の成否につき審理不尽の違法があるとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和37年6月1日昭和34(オ)910集民 第61号13頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨小切手の取立委任を受け、所定期日に取立金を委任者に引渡す旨特約した金融機関が、委任者の了解の下に取立金を普通預金としたときでも、判示の事情がある場合には、民法第六四七条による損害賠償の責任が成立する場合があるから右委託事務処理についての特約の存否について顧慮しないことには審理不尽の違法がある。
参照法条民訴法395条1項6号,民法647条

民法第二四一条にいう埋蔵物の意義

最高裁判所第二小法廷昭和37年6月1日昭和36(オ)1281集民 第61号21頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第二四一条の埋蔵物とは、土地その他の中に外部からは容易に目撃できないような状態に置かれ、しかも現在何人の所有であるか判りにくい物をいう。
参照法条民法241条

賃借地盤上に権原に基いて植栽した立木の所有権と第三者に対する対抗

最高裁判所第三小法廷昭和37年5月29日昭和34(オ)221集民 第60号919頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨賃借地盤上に権原に基いて植栽した立木の所有権の留保を、地盤たる土地の二重賃借人に対抗するために、公示方法を要するかどうかは、二重賃借人の賃貸借契約上の使用収益権の態容に関する特段の事情に従つて決せられるべきものと解される。
参照法条民法242条,民法177条

訴訟復代理権は訴訟代理人の死亡によつて消滅するか

最高裁判所第三小法廷昭和37年5月29日昭和36(オ)341集民 第60号947頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨訴訟代理人がその権限に基づいて復代理人を選任したときは、本代理人の死亡した場合でも、これによつて復代理人の訴訟代理権は当然には消滅しない。
参照法条民訴法85条,民法653条

認知の判決の第三者に対する効力

最高裁判所第三小法廷昭和37年5月8日昭和36(オ)1109集民 第60号583頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨認知の確定判決がある場合には、第三者は民法第七八六条により反対の事実を主張して認知無効の訴を提起することはできない。
参照法条人事訴訟法32条1項,人事訴訟法18条1項,民法786条

一 米国海軍政府布告の効力につき当事者の立証がなく職権調査によつても明らかでない場合の裁判方法 二 家屋明渡の催告書に契約解除の意思表示を含むと認めるのが相当とされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和37年5月1日昭和31(オ)915集民 第60号475頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 米国海軍軍政府布告の効力につき、当事者の立証がなく、職権調査によつても明らかではない場合には、同布告の適用によつて利益を受けるべき当事者の不利益において裁判するほかない。 二 家屋明渡の催告書中に契約解除の文言を使用していなくても、判示のごとき事実関係のもとでは、契約解除の意思表示を含むと認めるのが社会観念上相当で…
参照法条民訴法第3章第1節,民法540条

民法第一〇九条の表見代理の成立と第三者の重過失の要否

最高裁判所第一小法廷昭和37年4月26日昭和34(オ)872集民 第60号401頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法第一〇九条の表見代理の成立につき、第三者が重大な過失なくして代理権ありと信じたことを要する。
参照法条民法109条

抵当権の効力の及ぶ範囲について審理不尽理由不備があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和37年4月26日昭和35(オ)1420集民 第60号429頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨二個の建物が全体として一個の経済上の用途に供せられるように造られ、附加一体の物と認められる場合には、坪数や屋根の形式の相違のみで抵当権の効力の及ぶ範囲を判断すべきでなく、更に特段の事情の存しない限り、右二個の建物を別個独立の物として抵当権の効力が一方にのみ及ぶと判断するのは審理不尽、理由不備といわねばならない。
参照法条民法370条,民訴法395条1項6号

所有者から占有権限を伝来取得したと主張する占有者は所有者の包括承継人に対し民法第一八八条の権利推定を援用しうるか

最高裁判所第二小法廷昭和37年4月20日昭和35(オ)998集民 第60号377頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所有者から物の占有権限を伝来取得したと主張する占有者は、前主たる所有者に対して民法第一八八条の権利推定を援用しえないと同様に、右所有者の包括承継人に対しても、これを援用できない。
参照法条民法188条

共同相続人の一人に対する賃借解約の効力

最高裁判所第一小法廷昭和37年4月19日昭和36(オ)1056集民 第60号219頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨土地賃借権が共同相続された場合、その共同相続人の一人に対してなされた賃貸借解約の意思表示は、その効力がない。
参照法条民法544条1項

債権者に対する供託受領証書の交付は弁済供託の有効要件か

最高裁判所第二小法廷昭和37年3月30日昭和34(オ)1018集民 第59号721頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債権者に対し供託受領証書を交付することは、弁済供託の有効要件ではない。
参照法条民法494条

手形振出に動機の錯誤がある場合と手形振出行為の効力

最高裁判所第二小法廷昭和37年3月23日昭和36(オ)1349集民 第59号603頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形振出の動機に重大な錯誤があり、それが一般には要素の錯誤とみられるとしても、手形振出行為自体の効力を左右するものではない。
参照法条民法95条,手形法1条

不動産の後順位抵当権者が債務者のために先順位抵当権者に対してなした弁済に法定代位が認められないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和37年3月15日昭和33(オ)94集民 第59号185頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨債務者が債権者のために不動産につき根抵当権を設定するとともに、担保として商品を提供している等判示のような事情がある場合に、第三者が債権者と右商品を債務者のために返還する約定のもとに債務者のために債権者に対し被担保債権を弁済したときは、特段の事情がない限り右抵当権は消滅するものと解すべきであつて、右第三者が右不動産に対す…
参照法条民法500条,民法501条

債権担保のための建物の売買予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされた後の金員の授受と右仮登記の効力

最高裁判所第三小法廷昭和37年3月13日昭和35(オ)94集民 第59号143頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨金銭消費貸借に基づく債権担保の目的のために、債務者所有の建物につき、売買予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記がなされた後に金銭が授受されたとしても右仮登記は有効である。
参照法条民法556条,民法587条,不動産登記法2条

一 民法第一八九条第二項の「本権の訴」の意義 二 建物の占有者の居住による利得と民法第一八九条

最高裁判所第三小法廷昭和37年2月27日昭和33(オ)454集民 第58号977頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 民法第一八九条第二項の「本権の訴」とは、占有者から所有名義人に対して提起した所有権取得登記抹消登記請求の訴ないし所有権確認の訴をも含むと解すべきである。 二 建物の占有者の住居による利得は民法第一八九条第一項にいう果実に当る。
参照法条民法88条,民法189条,民法189条2項