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最高裁 / 民集登載247件
一 代理行為の相手方の悪意又は過失と民法第一〇九条の責任の有無 二 民法第一〇九条の表見代理行為の相手方に過失があるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和41年4月22日昭和39(オ)264民集 第20巻4号752頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 民法第一〇九条の代理権授与表示者が、代理行為の相手方の悪意または過失を主張・立証した場合には、同条所定の責任を免れることができる。 二 甲が代理権を乙に授与した旨表示し、乙が、甲の代理人として、丙と甲所有の不動産について根抵当権を設定する旨の契約を締結した場合において、乙が右不動産の権利証、甲の白紙委任状及び印鑑証…
参照法条民法109条
一 借地契約における増改築禁止の特約と解除権行使の許否 二 前項の特約がある場合において建物の増改築を理由とする解除権行使の効果が生じないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和41年4月21日昭和39(オ)1450民集 第20巻4号720頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 建物所有を目的とする土地の賃貸借中に、賃借人が賃貸人の承諾をえないで借地内の建物の増改築をするときは、賃貸人は催告を要しないで賃貸借を解除することができる旨の特約があるにかかわらず、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで増改築をした場合において、増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸人に著しい影響を及ぼさな…
参照法条民法540条,民法601条,借地法11条
売買の目的土地の大部分が都市計画街路の境域内に存するために売買の目的物に隠れた瑕疵があるとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和41年4月14日昭和40(オ)690民集 第20巻4号649頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨買主が原判示規模の居宅(原判決理由参照)の敷地として使用する目的を表示して買い受けた土地の約八割の部分が都市計画街路の境域内に存するため、たとえ買主が右居宅を建築しても、早晩、都市計画事業の実施により、その全部または一部を撤去しなければならない場合において、右計画街路の公示が、売買契約成立の一〇数年以前に、告示の形式で…
参照法条民法570条
信用組合に対し第三者振出の約束手形を裏書交付し割引金を受領した取引が消費貨借と認められた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和41年3月15日昭和38(オ)971民集 第20巻3号417頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨信用組合に対し第三者振出の約束手形を裏書交付し割引金を受領した場合であつても、割引のつど当該手形金額の金員を貸し付けたものとする特約があり、組合は、振出人の資力を十分に調査し手形の実質上の価値を見定めて割引料を定めることはせず、むしろ割引依頼者の資力に重きをおき、これを信用して一率に一定の割引歩合で割引に応じており、割…
参照法条民法第1編第4章第1節総則,民法587条
建物の売買契約解除後の不法占有と民法第二九五条第二項
最高裁判所第一小法廷昭和41年3月3日昭和39(オ)654民集 第20巻3号386頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物の売買契約によりその引渡を受けた買主が、右売買契約の合意解除後売主所有の右建物を権原のないことを知りながら不法に占有中、右建物につき必要費、有益費を支出したとしても、買主は、民法第二九五条第二項の類推適用により、当該費用の償還請求権に基づく右建物の留置権を主張できない。
参照法条民法295条2項
内縁関係成立の日から二〇〇日後婚姻成立の日から二〇〇日以内に生まれた子は民法第七七二条所定の嫡出の推定を受けるか
最高裁判所第三小法廷昭和41年2月15日昭和39(オ)109民集 第20巻2号202頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨婚姻成立の日から二〇〇日以内に生まれた子は、婚姻に先行する内縁関係の成立の日から二〇〇日後に生まれたものであつても、民法第七七二条所定の嫡出の推定は受けない。
参照法条民法772条
一 中小企業等協同組合は総会または総代会の決議をもつて理事を解任できるか 二 中小企業等協同組合の理事の罷免と民法第六五一条の準用の有無
最高裁判所第二小法廷昭和41年1月28日昭和38(オ)940民集 第20巻1号145頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 中小企業等協同組合が、中小企業等協同組合法第四一条所定の改選手続によることなく、総会または総代会の決議をもつて理事を解任することは、許されない。 二 中小企業等協同組合の理事の罷免については、民法第六五一条は準用されない。
参照法条中小企業等協同組合法35条,中小企業等協同組合法41条,中小企業等協同組合法42条,中小企業等協同組合法55条,商法254条,民法651条
民法第五五七条第一項にいう履行の着手と履行期の約定
最高裁判所第二小法廷昭和41年1月21日昭和39(オ)694民集 第20巻1号65頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨履行期の約定がある場合であつても、当事者が債務の履行期前には履行に着手しない旨合意している等格別の事情のないかぎり、右履行期前に民法第五五七条第一項にいう履行に着手することができないものではない。
参照法条民法557条1項
一 同一所有者に属する土地およびその地上の建物のうち建物のみが任意譲渡された場合と建物敷地の使用関係 二 前項の場合に設定された敷地使用権が使用借権と解された事例
最高裁判所第一小法廷昭和41年1月20日昭和39(オ)489民集 第20巻1号22頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 同一所有者に属する土地およびその地上の建物のうち建物のみが任意譲渡された場合には、当該建物の敷地に対する使用権の設定を特に留保するとか、譲渡の目的が建物収去のためである等特段の事情がないかぎり、右敷地の使用権を設定する合意があつたものと解するのが相当である。 二 甲と乙とが甲所有地上に存する各所有建物について交換を…
参照法条民法第1編第4章第2節,民法593条
一 登記の欠缺を主張するにつきいわゆる背信的悪意者とはいえないとされた事例。 二 不動産の賃借人が賃貸人から該不動産を譲り受けた後に第三者がこれを二重に譲り受けて先に所有権移転登記をした場合と民法第五二〇条の規定の適用関係。 三 民法第七〇…
最高裁判所第三小法廷昭和40年12月21日昭和37(オ)904民集 第19巻9号2221頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 甲が地主丙から賃借中の土地上に所有する家屋を乙に贈与し、右事実を前提として、甲もみずから責任を持つ旨口添をして乙丙間に該土地の賃貸借契約が締結され、爾来その関係が九年余にわたつて継続してきた等判示のような事実があつたとしても、丙が右家屋を甲から買い受けてその旨の移転登記を経由するまでの経緯について判示の事情があると…
参照法条民法177条,民法520条,民法601条,民法705条
不法な契約によつて生じた債権のためにされた抵当権設定登記の抹消請求と民法第七〇八条の適用の有無。
最高裁判所第二小法廷昭和40年12月17日昭和40(オ)362民集 第19巻9号2178頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賭博行為によつて生じた金銭債権のためにされた抵当権設定登記の抹消を請求するについては、民法第七〇八条は適用されないものと解するのが相当である。
参照法条民法708条
賃料増額の請求がなされた場合と従前の額による賃料提供の適否。
最高裁判所第二小法廷昭和40年12月10日昭和38(オ)1365民集 第19巻9号2117頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃料増額の請求がなされた場合には、従前の賃料額と適正増額賃料額との差が僅少である等信義則上従前の賃料額の提供をもつて債務の本旨に従つた履行の提供とみられるような特別の事情があるときのほか、債務者は、従前の賃料額をもつて相当であると考えたとしても、従前の賃料額を提供しただけでは、履行遅滞の責を免れない。
参照法条借家法7条,民法492条,民法541条
私力の行使が許されないとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和40年12月7日昭和38(オ)1236民集 第19巻9号2101頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨使用貸借の終了した敷地上に建築された原判示仮店舗の周囲に、右敷地所有者(終了前の敷地使用貸主)が仮店舗所有者(終了前の敷地使用借主)の承諾を得ないで、板囲を設置した場合であつても、右仮店舗所有者が右板囲を実力をもつて撤去することは、同人が原判示の経緯で原判示旧店舗に復帰してすでに飲食営業を再開している等原判示の事実関係…
参照法条民法709条,民法200条1項
債務者は債権者の受領遅滞を理由として契約を解除できるか。
最高裁判所第二小法廷昭和40年12月3日昭和40(オ)208民集 第19巻9号2090頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債務者が債権者の受領遅滞を理由として契約を解除することは、特段の事由のないかぎり、許されない。
参照法条民法413条,民法541条
供託無効確認の訴の適否。
最高裁判所第一小法廷昭和40年11月25日昭和39(オ)327民集 第19巻8号2040頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨単に供託が無効であることの確認を求める訴は、許されない。
参照法条民法494条,民訴法225条
債権が重複して差し押えられた場合において第三債務者が無効な転付命令を取得した債権者に対し善意無過失で弁済したときと民法第四八一条第一項の規定の適用の有無。
最高裁判所第二小法廷昭和40年11月19日昭和39(オ)129民集 第19巻8号1986頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲が、乙に対する債権に基づいて、乙の丙に対する債権を差し押えて取立命令を得た後に、乙に対する他の債権者丁が、同一債権を重ねて差し押えて無効な転付命令を得た場合には、たとい丙が善意無過失で丁に弁済しても、甲は、民法第四八一条第一項の規定に基づき、丙に対して重ねて弁済を請求することができる。
参照法条民法481条1項,民法478条
特定物の売買後売主が物件の所有権を取得したときと買主への所有権移転の時期・方法。
最高裁判所第二小法廷昭和40年11月19日昭和40(オ)614民集 第19巻7号2003頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売主が第三者所有の特定物を売り渡した後右物件の所有権を取得した場合には、買主への所有権移転の時期・方法について特段の約定がないかぎり、右物件の所有権は、なんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する。
参照法条民法176条,民法555条,民法560条
一 寄託物について仮処分がされた場合と民法第六六〇条の適用。 二 受寄者の寄託者に対する通知義務の範囲。
最高裁判所第三小法廷昭和40年10月19日昭和38(オ)1119民集 第19巻7号1876頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 受寄者は、寄託物について仮処分がされた場合でも、民法第六六〇条により通知義務を負うものと解すべきである。 二 受寄者は、寄託物につき仮処分がされたときは、寄託者に対し、その旨を通知すれば足り、その後の経過(点検、保管換え)まで遂一報告する義務はないと解するのが相当である。
参照法条民法660条
質権が設定された定期預金権が書き替えられた場合において質権が当該新定期預金債権に及ぶとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和40年10月7日昭和39(オ)1437民集 第19巻7号1705頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨銀行のため質権の目的とされていた右銀行に対する定期預金債権につきいわゆる書替が行われた場合には、右書替にあたり、預金名義が預金者の仮名であつたのを預金者の氏名に改め、既経過分の利息を右銀行において任意に支払うなど判示の事情があつても、質権は当該新定期預金債権に及ぶと解することができる。
参照法条民法363条
将来発生する金銭債務を基礎とする準消費貸借。
最高裁判所第一小法廷昭和40年10月7日昭和40(オ)200民集 第19巻7号1723頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨将来金員を貸与する旨の契約が締結された場合には、その契約が履行される以前でも、その金員をもつて準消費貸借の目的とすることを約することができ、その後右金員が貸与されたとき、右準消費貸借契約は、当然に、効力を生ずる。
参照法条民法588条,民訴法186条
動物の占有者が保管者を選任して動物の保管をさせた場合における民法第七一八条の責任。
最高裁判所第二小法廷昭和40年9月24日昭和39(オ)1336民集 第19巻6号1668頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨動物の占有者は、自己に代つて動物を保管する者を選任してこれに保管をさせた場合において、「動物ノ種類及ビ性質ニ従ヒ相当ノ注意ヲ以テ」その保管者を選任・監督したときは、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を免れるものと解するのが相当である。
参照法条民法718条
一 株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないでした対外的な個々的取引行為の効力。 二 中小企業等協同組合が代表理事に対し委任できる業務執行の意思決定の権限の範囲。
最高裁判所第三小法廷昭和40年9月22日昭和36(オ)1378民集 第19巻6号1656頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 株式会社の代表取締役が、取締役会の決議を経てすることを要する対外的な個々取引行為を、右決議を経ないでした場合でも、右取引行為は、相手方において右決議を経ていないことを知りまたは知ることができたときでないかぎり、有効である。 二 中小企業等協同組合は、法令がとくに理事会の決議事項であると定めたものを除いて、理事会に属…
参照法条商法260条,商法261条,商法78条1項,民法93条,中小企業等協同組合法33条,中小企業等協同組合法36条の2,中小企業等協同組合法42条
主債務者の有する引換給付の抗弁権と連帯保証人による引換給付の抗弁の主張の可否。
最高裁判所第三小法廷昭和40年9月21日昭和39(オ)372民集 第19巻6号1542頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨主債務者が債務者の金員支払請求に対し右金員の支払確保のために振り出された手形の返還との引換給付の抗弁権を有する場合には、連帯保証人は、右債権者の金員支払請求に対し、自己あてに手形を交付すべき旨の引換給付の抗弁を主張することができる。
参照法条民法448条,民法458条,民法533条,手形法2篇
建物の一部の賃借人が他の部分を不法に占拠して賃借部分と併用している行為が著しい不信行為であるとして無催告の賃貸借契約の解除が許容された事例。
最高裁判所第二小法廷昭和40年8月2日昭和39(オ)822民集 第19巻6号1368頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸人の所有建物の一部の賃借人が、他の部分について賃貸人から賃貸の交渉を受けたにかかわらず、これに対する諾否を明らかにしないまま、五ケ月あまりの間、当該部分を不法に占拠して賃借部分と併用している等原判示の事情(原判決理由参照)がある場合には、賃借人の右行為は賃貸借契約の継続を著しく困難ならしめる不信行為に該当し、賃貸人…
参照法条民法616条,民法594条1項,民法541条
一 自動車の修理料債権が民法第一七三条第二号所定の居職人の仕事に関する債権にあたらないとされた事例。 二 留置物の第三取得者は民法第二九八条第三項により留置権の消滅を請求できるか。
最高裁判所第一小法廷昭和40年7月15日昭和39(オ)748民集 第19巻5号1275頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 修理工場を設けて自動車の修理業を営む会社が自動車の修理によつて得た修理料債権は、民法第一七三条第二号所定の居職人の仕事に関する債権にあたらない。 二 留置物の第三取得者も、民法第二九八条第三項により留置権の消滅を請求できる。
参照法条民法173条,民法298条
債権仮差押と差押とが競合する場合当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済と民法第四八一条の適用の有無。
最高裁判所第二小法廷昭和40年7月9日昭和37(オ)909民集 第19巻5号1178頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権仮差押と差押とが競合する場合、当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済については、民法第四八一条は適用されず、右弁済は仮差押債権者その他配当に与かるべき者全員に対してもその効力を有するものと解すべきである。
参照法条民法481条,民訴法602条,民訴法621条,民訴法750条3項
隣接土地上に存在する居宅の庭として使用することを目的とする土地賃借権が「建物保護ニ関スル法律」第一条所定の対抗力を有しないとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和40年6月29日昭和38(オ)372民集 第19巻4号1027頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲所定の土地(甲土地)を無償で借り受け、同土地上に居宅を所有する者が、乙の所有の隣接土地(乙土地)を右居宅の庭として使用するため賃借したにすぎず、しかも、甲土地の使用権は乙土地の賃借権の存否にかかわらず存続すべきものである等判示の事情のもとにおいては、たとい当該賃借人が甲乙両土地を一括して右居宅利用の便益に供しており、…
参照法条建物保護ニ関スル法律1条,民法605条
無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和40年6月18日昭和39(オ)1267民集 第19巻4号986頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
参照法条民法113条,民法117条,民法896条
いわゆる「分け地」が入会地の性格を失わないとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和40年5月20日昭和38(オ)1029民集 第19巻4号822頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨入会地の一部がいわゆる「分け地」として部落民個人に分配されたが、部落民は、採草については「分け地」の区分なく、入会地のどこにでも自由に立ち入ることができるし、部落外に転出することにより「分け地」はもとより入会地についての一切の権利を喪失する慣習であり、該権利の売買譲渡その他の処分行為がされた事例がないときは、「分け地」…
参照法条民法263条
一 土地貸借人が該地上の建物に設定した抵当権の効力は当該土地の賃借権に及ぶか。 二 地上建物に抵当権を設定した土地賃借人は抵当建物の競落人に対し地主に代位して当該土地の明渡を請求できるか。
最高裁判所第三小法廷昭和40年5月4日昭和39(オ)1033民集 第19巻4号811頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 土地賃借人が該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。 二 前項の場合には、賃借人は、賃貸人において右賃借権の移転を承諾しないと…
参照法条民法370条,民法87条2項,民法423条,民法612条
証券取引法第四九条に違反して委託証拠金なしに信用取引がなされた場合における証券業者と委託者との間の契約の効力。
最高裁判所第一小法廷昭和40年4月22日昭和39(オ)816民集 第19巻3号703頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨証券取引法第四九条に違反して委託証拠金なしに信用取引により株式が売買されても、右違反は、証券業者と委託者との間の契約の効力に影響を及ぼすものではない。
参照法条民法91条,民法642条,商法552条,証券取引法49条
弁済期到来前にした抵当権の実行と競落人の所有権の取得。
最高裁判所第二小法廷昭和40年4月16日昭和39(オ)1230民集 第19巻3号658頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当権者が債権の履行期の到来前に抵当権を実行した場合であつても、競落許可決定により競落代金が支払われて競売手続が完了した以上、競落人は有効に競落不動産の所有権を取得する。
参照法条民法396条1項,民訴法686条,競売法2条1項,競売法32条
一 口頭弁論終結前に相殺適状にある場合において右弁論終結後の相殺による債務消滅は請求異議の原因になるか。 二 弁護士法第二五条第一号または第二号に違反しないとされた事例。 三 弁護士法第二五条第三号の「受任している事件」の意義。 四 債権譲…
最高裁判所第二小法廷昭和40年4月2日昭和38(オ)1066民集 第19巻3号539頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 債務名義たる判決の基礎となる口頭弁論の終結前に相殺適状にあつたとしても、右弁論終結後になされた相殺の意思表示により債務が消滅した場合には、右債務の消滅は、請求異議の原因となりうる。 二 甲の代理人として乙に対する調停の申立をなし、その調停によつて乙の甲に対する贈与契約を成立させた弁護士が、後に乙の訴訟代理人となつて…
参照法条民訴法545条,弁護士法25条1号,弁護士法25条2号,弁護士法25条3号,民法468条,民法505条
詐害行為取消の反訴が認容されるべき場合には本訴である第三者異議訴訟は排斥を免れないとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和40年3月26日昭和34(オ)99民集 第19巻2号508頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨所有権を異議理由とする第三者異議訴訟の繋属中に、右所有権の取得原因たる契約が詐害行為に該当することを理由として右契約の取消を求める反訴が提起され、右本訴および反訴が同一の裁判所において審理された結果、詐害行為取消権が存すると判断され、前記の所有権取得が否定されるべきことが裁判所に明らかな場合においては、本訴である第三者…
参照法条民法424条,民訴法549条,民訴法239条,民訴法227条
不動産の贈与契約に基づく所有権移転登記と贈与の履行の終了。
最高裁判所第二小法廷昭和40年3月26日昭和39(オ)370民集 第19巻2号526頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産の贈与契約にもとづいて該不動産の所有権移転登記がなされたときは、その引渡の有無をとわず、民法第五五〇条にいう履行が終つたものと解すべきである。
参照法条民法550条
法定額をこえる選挙費用の立替と不法原因給付の成否。
最高裁判所第一小法廷昭和40年3月25日昭和39(オ)1198民集 第19巻2号497頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨選挙費用の法定額をこえて支出される関係にあることを知りながら候補者のために選挙費用の一部を立て替えた場合でも、右立替は不法原因給付にあたらないと解するのが相当である。
参照法条民法708条
所有権に基づく土地明渡請求が権利の濫用であるとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和40年3月9日昭和35(オ)563民集 第19巻2号233頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨国が所有者から賃借して占領軍に提供し、空軍基地地域の一部として使用させていた土地を、占領状態終結とともに、契約期間の満了によつて賃借権を失つた後も、引き続き、駐留軍に提供して使用させている場合において、国の駐留軍に対する右提供が条約上の義務履行としてなされているものであり、かつ、右土地が現にガソリンの地下貯蔵設備の用地…
参照法条民法1条,民法206条
占有の訴に対して本権に基づく反訴を提起することの許否。
最高裁判所第一小法廷昭和40年3月4日昭和38(オ)654民集 第19巻2号197頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨占有の訴に対しては、本権に基づく反訴を提起することができる。
参照法条民法202条2項,民訴法239条
ストライキを理由とする賃金の削減ができる固定給と認めた判断に審理不尽の違法があるとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和40年2月5日昭和37(オ)1452民集 第19巻1号52頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨月掛生命保険外務職員のストライキを理由として、当該職員に支給すべき給与のうちから特定項目の給料を削減したことの適否を判断するにあたり、かかる削減を行なうことのできる特段の事情があるかどうか、それがないとすれば、右給料が拘束された勤務時間に応じて支払われる賃金としての性格を有するかどうかを審究することなく、単に、勤務時間…
参照法条労働基準法24条,民法624条,民訴法395条1項6号
手形を所持しない手形権利者の裁判上の請求と時効中断の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和39年11月24日昭和37(オ)522民集 第18巻9号1952頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形権利者が手形を所持しないでなした裁判上の請求によつても、時効中断の効力がある。
参照法条民法147条1号,手形法38条1項,手形法39条1項
いわゆる法定条件と民法第一二八条の類推適用。
最高裁判所第二小法廷昭和39年10月30日昭和36(オ)723民集 第18巻8号1837頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨いわゆる法定条件についても、民法第一二八条が類推適用される。
参照法条民法128条
免許を受けるべきであるにかかわらずこれを受けていない自動車運送事業の経営により得べかりし営業利益の喪失を理由とする損害賠償請求を認容した事例。
最高裁判所第一小法廷昭和39年10月29日昭和37(オ)1300民集 第18巻8号1823頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自動車の売主が債務の履行を遅滞したため、買主が右自動車を運送事業の用に供し、運送賃を取得することができなかつた場合には、その買主が当該運送事業の免許を受けるべきであるにかかわらずこれを受けていないときでも、債務不履行により得べかりし営業利益喪失の損害をこうむつたものとして、売主に対しその賠償を請求することができる。
参照法条民法415条,民法416条,民法708条,道路運送法4条1項
受働債権につき取立命令がなされた場合と相殺の意思表示の相手方。
最高裁判所第三小法廷昭和39年10月27日昭和37(オ)212民集 第18巻8号1801頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権の差押債権者が差押債権の取立命令をえた場合に、第三債務者は、差押前に債務者に対し取得した反対債権をもつて差し押えられた債権と相殺するには、右取立命令をえた差押債権者に対しても相殺の意思表示をすることができる。
参照法条民法511条,民訴法600条
受領の催告をしなくても弁済のための現実の提供があるとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和39年10月23日昭和37(オ)806民集 第18巻8号1773頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債務者が賃料を持参して債権者の代理人である弁護士の事務所に赴いたが、当該弁護士が不在のため、現金の呈示ができない場合には、特段の事情のないかぎり、右弁護士の事務員に対しその受領の催告をしなくても、弁済のための現実の提供があつたものと解すべきである。
参照法条民法493条
買収農地の売渡を受けた者が当該農地の所有権を時効取得したときと被買収者が右農地の買収処分の無効確認を求める訴の利益の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和39年10月20日昭和37(オ)1403民集 第18巻8号1740頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自作農創設特別措置法により買収農地の売渡を受けた者が当該農地の所有権を時効取得したときは、右農地の被買収者は、その買収処分の無効確認を求める訴の利益を有しない。
参照法条自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法16条,民法162条,民訴法225条
一 法人に非ざる社団の成立要件。 二 法人に非ざる社団の資産の帰属。
最高裁判所第一小法廷昭和39年10月15日昭和35(オ)1029民集 第18巻8号1671頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。 二 法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属す…
参照法条民法33条,民訴法46条
民法第七七〇条第一項第二号にいう悪意の遺棄に当らないとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和39年9月17日昭和38(オ)719民集 第18巻7号1461頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨妻が婚姻関係の破綻について主たる責任を負い、夫からの扶助を受けないようになつたのもみずからの原因によるなど原判決認定の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、夫が妻と同居を拒み、これを扶助しないといても、民法第七七〇条第一項第二号にいう悪意の遺棄に当らないというべきである。
参照法条民法770条1項2号,民法752条
いわゆる署名代理の方法により振り出された約束手形を本人みずから振り出したものと信じた場合における民法第一一〇条の類推適用の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和39年9月15日昭和37(オ)232民集 第18巻7号1435頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理人が代理権の範囲を越えいわゆる署名代理の方法により振り出した約束手形について、受取人においてこれを本人みずから振り出した手形であると信じ、かつ、そのように信ずるにつき正当の理由があつたときは、本人は、民法第一一〇条の類推適用により、振出人としての責に任ずると解するのが相当である。
参照法条民法110条,手形法8条
養子縁組の追認と民法第一一六条但書の類推適用の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和39年9月8日昭和39(オ)189民集 第18巻7号1423頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨養子縁組の追認には、民法第一一六条但書の規定は類推適用されないものと解するのが相当である。
参照法条民法116条,民法797条,旧民法843条
民法第八一四条第一項第三号の離縁原因にあたらない事例。
最高裁判所第三小法廷昭和39年8月4日昭和37(オ)392民集 第18巻7号1309頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨有責者たる養親が無責者たる養子に対し、その意思に反して、民法第八一四条第一項第三号により離縁を求めることはできない。
参照法条民法814条1項3号
不動産売買仲介の依頼が合意解除された場合における不動産取引仲介業者の報酬請求権。
最高裁判所第一小法廷昭和39年7月16日昭和36(オ)1232民集 第18巻6号1160頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産取引仲介業者に対する不動産売買仲介の依頼が合意解除された後、当事者間の直接取引により右不動産を目的とする売買契約が成立した場合においても、右業者の仲介と当該売買契約成立との間に因果関係がなく、右解除も故意に右業者を除外する目的でなされたものでなく、かつ、右依頼に関して報酬金の特約もなかつたときに、右業者が報酬金を…
参照法条商法512条,商法550条1項,商法546条,宅地建物取引業法17条,民法648条3項,民法641条
金銭貸与の方法として手形を交付した場合と消費貸借の成立する金額。
最高裁判所第三小法廷昭和39年7月7日昭和38(オ)806民集 第18巻6号1049頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金銭の消費貸借にあたり、貸主が借主に対し金銭交付の方法として約束手形を振り出した場合において、右約束手形が満期に全額支払われたときは、たとえ借主が右約束手形を他で割り引き、手形金額にみたない金員を入手したのにとどまつても、右手形金額相当額について消費貸借が成立する。
参照法条民法587条
一 家屋賃貸借における賃料の取立債務の約定と新所有者たる賃貸人による承継の有無。 二 催告金額以下の金額では賃貸人において受領しないことが明確であることを理由として催告が効力を生じないとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和39年6月26日昭和38(オ)1071民集 第18巻5号968頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 家屋賃貸借における賃料の取立債務の約定は、賃借人と前賃貸人との間の特殊事情に基づいて成立したものであつても、新所有者たる賃貸人に承継される。 二 賃貸人が適正賃料である月三、九八九円を一、〇一一円しかこれない賃料月五、〇〇〇円の割合による賃料債務の支払を催告した場合であつても、賃貸人が右催告金額以下の金員ではこれを…
参照法条民法600条,民法614条,民法541条,借家法1条
期間の定めのない建物賃貸借と民法第三九五条。
最高裁判所第二小法廷昭和39年6月19日昭和36(オ)28民集 第18巻5号795頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨期間の定めのない建物賃貸借は、民法第三九五条の短期賃貸借に該当すると解するのが相当である。
参照法条民法395条,民法602条,借家法1条
一 二筆の土地を一括して賃借した場合に一筆の土地についての用方違反によつて二筆の土地全部の賃貸借契約を解除できるとされた事例。 二 堅固建物への改築が消防署の命によつた場合でも借地の用方違反の違法性は阻却されないとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和39年6月19日昭和38(オ)48民集 第18巻5号806頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 道路を隔てて存在する甲乙二筆の土地の賃借人が甲地上にその用方違反となるべき石油貯蔵庫を建築した場合において、右二筆の土地が一括して賃貸借の目的となつていて、賃借人としては右二筆の土地を石油類販売業のため総合的に利用しようとして右貯蔵庫を建築した等原審判示の事情(原判決理由参照)のもとでは、賃貸人は右用方違反を事由と…
参照法条民法616条,民法549条1項
動産の強制競売における競落人の善意無過失が認められた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和39年5月29日昭和38(オ)204民集 第18巻4号715頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨動産の強制競売において代金が執行吏に交付されてその集計点検中に、競売物件につき所有権を主張する第三者が現われたが、執行吏がこれを取り上げず、そのまま代金の授受を終り、競落物件の引渡しがなされた等判示の事情がある場合には、競落人がたとえ右主張のあつた事実を知つていても、民法第一八六条第一項の善意の推定を覆えすには足りず、…
参照法条民法186条1項,民法192条,民訴法577条2項
家屋の贈与につき履行が終つたものとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和39年5月26日昭和38(オ)31民集 第18巻4号667頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨病気のため入院中の内縁の夫が、同棲に使用していたその所有家屋を妻に贈与するに際して、自己の実印を該家屋を買受けたときの契約書とともに妻に交付する等判示事実関係のもとにおいては、簡易の引渡による該家屋の占有移転があつたものとみるべきであるから、これにより、右贈与の履行が終つたものと解すべきである。
参照法条民法550条,民法182条2項
不動産の処分に関する白紙委任状等の転得者がその書類を濫用した場合と民法第一〇九条の適用の有無。
最高裁判所第二小法廷昭和39年5月23日昭和38(オ)789民集 第18巻4号621頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債務者甲が債権者乙との間に甲所有の不動産について抵当権設定契約を締結し、甲が乙に対し右抵当権設定登記手続のため白紙委任状等の書類を交付して右登記手続を委任した場合でも、とくになんびとが右書類を行使しても差し支えない趣旨でこれを交付したものでないかぎり、乙がさらに右書類を丙に交付し、丙が右書類を濫用して甲代理人名義で丁と…
参照法条民法109条
民法第四七四条第二項にいう「利害ノ関係」を有する者の意義。
最高裁判所第三小法廷昭和39年4月21日昭和37(オ)158民集 第18巻4号566頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第四七四条第二項にいう「利害ノ関係」を有する者とは、弁済をするについて法律上の利害関係を有する第三者をいうものと解すべきである。
参照法条民法474条
一 控訴審で請求併合の態様が変更されたため認容の請求に変更を生じた場合と第一審判決取消の要否。 二 損害賠償額の予定の特約を記載して振り出された約束手形における右特約の効力。
最高裁判所第三小法廷昭和39年4月7日昭和37(オ)1148民集 第18巻4号520頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 第一審では甲乙両請求が選択的に併合されたため甲請求のみが認容されたが、控訴審では乙請求を第一次的請求、甲請求を予備的請求とすることに併合の態様が変更されたため乙請求のみを認容する場合には、甲請求を認容した第一審判決は、当然に失効するものと解すべきであるから、これを取り消すことを要しない。 二 損害賠償額の予定の特約…
参照法条民訴法227条,民訴法232条,民訴法386条,手形法75条,民法420条
相続権を侵害された者の相続人が右侵害者に対して有する相続回復請求権の消滅時効の起算点。
最高裁判所第一小法廷昭和39年2月27日昭和37(オ)1258民集 第18巻2号383頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲の相続権を乙が侵害している場合、甲の相続人丙の乙に対する相続回復請求権の消滅時効の期間二〇年の起算点は、丙の相続開始の時ではなく、甲の相続開始の時と解すべきである。
参照法条民法884条,旧民法966条,旧民法993条
共有物を目的とする貸借契約の解除と民法第五四四第一項の適用の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和39年2月25日昭和36(オ)397民集 第18巻2号329頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共有物を目的とする貸借契約の解除は、共有者によつてされる場合は、民法第二五二条本文にいう「共有物ノ管理ニ関スル事項」に該当すると解すべきであり、右解除については、民法第五四四条第一項の規定は適用されない。
参照法条民法544条1項,民法252条
一 借地法第一〇条に基づく建物買取請求権行使によつて成立する売買と民法第五七七条適用の有無 二 買取請求権行使の対象たる建物に抵当権が設定されている場合と当該建物の時価 三 滌除権の取得と所有権所得登記の要否
最高裁判所第三小法廷昭和39年2月4日昭和36(オ)1299民集 第18巻2号233頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 借地法第一〇条に基づく建物買取請求権行使によつて成立する売買についても民法第五七七条の適用がある。 二 借地法第一〇条に基づく買取請求の対象たる建物の時価は、建物に抵当権の設定があつても減額されるべきではない。 三 抵当不動産の買主が売主に対する関係で滌除権の取得を主張するためには、右不動産の所有権取得登記を経るこ…
参照法条民法378条,民法577条,民法177条,借地法10条
建物を目的とする代物弁済予約の効力が及ぶ範囲を判断するにつき審理不尽理由不備の違法があるとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和39年1月30日昭和35(オ)856民集 第18巻1号196頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物を目的とする代物弁済予約の効力が、右予約後右建物に加えられた築造部分に及ぶかどうかを判断するにつき、建物の物理的構造のみに依拠し、取引または利用の対象として観察した建物の状況を勘案しなかつたのは、審理不尽理由不備の違法がある。
参照法条民法482条,民法370条,民訴法395条6号
民法第七一〇条は法人の名誉権侵害による無形の損害に適用があるか。
最高裁判所第一小法廷昭和39年1月28日昭和34(オ)901民集 第18巻1号136頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨法人の名誉権が侵害され、無形の損害が生じた場合でも、右損害の金銭評価が可能であるかぎり、民法第七一〇条の適用がある。
参照法条民法710条,民法723条
不法行為により身体の障害を受けた者の父母が自己の権利として慰藉料請求権を有するとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和39年1月24日昭和38(オ)373民集 第18巻1号121頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一二歳の娘が不法行為により身体の傷害を受け、右受傷の部位程度、治癒後の創痕などが原判示(原判決理由参照)のごとくであるところから、同女が世間なみの幸福な結婚生活にはいることができるかどうかを危惧するなど人の親として相当の精神的苦痛を味つている場合においては、右父母は、民法第七〇九条第七一〇条に基づいて自己の権利として加…
参照法条民法709条,民法710条,民法711条
一 停止条件の成就を故意に妨げたとして報酬請求権が認められた事例 二 停止条件の成就を故意に妨げた場合と不法行為の成立
最高裁判所第一小法廷昭和39年1月23日昭和36(オ)1307民集 第18巻1号99頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 山林売却斡旋依頼とともに判示内容の停止条件付報酬契約がなされた場合において、委任者が受任者を介せず右山林を他に売却したときは、受任者は条件が成就したものとみなして、約定報酬の請求ができる。 二 停止条件の成就を故意に妨げた場合には、期待権侵害による不法行為が成立する。
参照法条民法130条,民法656条,民法648条,民法128条,民法709条
商法第一四一条と民法第四二四条の関係。
最高裁判所第一小法廷昭和39年1月23日昭和36(オ)884民集 第18巻1号87頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨商法第一四一条の適用または準用ある会社についての詐害設立取消には、民法第四二四条を適用する余地はない。
参照法条商法141条,有限会社法75条1項,民法424条
一 村民の村道使用関係の性質 二 村民の村道使用権に対する侵害の継続と妨害排除請求権の成否
最高裁判所第一小法廷昭和39年1月16日昭和35(オ)676民集 第18巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 村民各自は、村道に対し、他の村民の有する利益ないし自由を侵害しない程度において、自己の生活上必須の行動を自由に行いうべき使用の自由権を有する。 二 村民の右村道使用の自由権に対して継続的な妨害がなされた場合には、当該村民は、右妨害の排除を請求することができる。
参照法条地方自治法(昭和38年6月8日法律99号による改正前のもの)10条,民法709条,民法710条,民法198条
賃借権の持分の譲渡が民法第六一二条の解除事由にならないとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和39年1月16日昭和37(オ)322民集 第18巻1号11頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物所有のための土地賃借人たる母がその所有する建物をその親権に服する子との共有名義とし、これにともない敷地の賃借権の持分を譲渡した場合には、賃借地の利用および賃料支払等の実質関係に前後変りがなければ、右賃借権の持分の譲渡は、これについて賃貸人の承諾がなくても、民法第六一二条による解除の事由とはならない。
参照法条民法612条,民法264条
売主およびその相続人の共有不動産が売買の目的とされた場合当該相続人は当該売買契約における売主の義務の履行を拒みうるか。
最高裁判所第二小法廷昭和38年12月27日昭和37(オ)810民集 第17巻12号1854頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売主およびその相続人たるべき者の共有不動産が売買の目的とされた場合において、売主が死亡し、相続人が限定承認をしなかつたときは、相続人は当該売買契約成立当時右不動産に持分を有していたからといつて、その持分についても、右売買契約における売主の義務の履行を拒みえない。
参照法条民法563条,民法560条,民法920条
一 銀行業者が不当利得した金銭を利用して得た運用利益と民法第一八九条第一項の適用の有無 二 銀行業者が不当利得した金銭によつて得た法定利率による利息相当額以内の運用利益につき返還義務があるとされた事例 三 不当利得された財産に受益者の行為が…
最高裁判所第三小法廷昭和38年12月24日昭和35(オ)674民集 第17巻12号1720頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 銀行業者が不当利得した金銭を利用して得た運用利益については、民法第一八九条第一項の類推適用により同人に右利益の収取権が認められる余地はない。 二 第一項の運用利益が商事法定利率による利息相当額(臨時金利調整法所定の一箇年契約の定期預金の利率の制限内)であり損失者が商人であるときは、社会観念上、受益者の行為の介入がな…
参照法条民法189条1項,民法703条
協議離婚を有効と認めた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和38年11月28日昭和37(オ)203民集 第17巻11号1469頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない。
参照法条民法763条,民法764条,民法739条
賃貸家屋の修繕義務の不履行を理由に賃料支払を拒絶できないとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和38年11月28日昭和37(オ)347民集 第17巻11号1477頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸家屋の破損、腐蝕の状況が居住に著しい支障を生ずるほどでなく、また、賃料が地代家賃統制令の統制に服している等原判決判示の事情のもとにおいては(原判決理由参照)、賃借人は賃貸人の賃貸家屋修繕義務の不履行を理由に賃料全部の支払を拒むことができない。
参照法条民法606条1項,民法533条
自作農創設特別措置法上の住所と認めても違法でないとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和38年11月19日昭和38(オ)641民集 第17巻11号1408頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲町に本籍を有し、風呂屋兼農業を営んでいる父とともに暮らしていた者が、父から農地の贈与を受けて分家し右農地の所在する乙町に本籍を定め、転居の届出もなし、同所において、供出米を納入し、生活必需品の配給を受け、また公租公課等を負担していた事実があつても、分家後も依然本家で風呂屋の手伝いをして生活し、右農地も本家において管理…
参照法条自作農創設特別措置法3条1項1号,民法21条
土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地に越境建築したことが借地自体の用方違反になるとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和38年11月14日昭和36(オ)361民集 第17巻11号1346頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物所有を目的とする土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地にまで越境して建物を建築した場合、右越境建築が当該隣地における賃貸人の店舗経営上以上な支障をきたすなど判示のような事実関係のもとでは、右越境建築により、借地自体の用方違反があるということができる。
参照法条民法541条,民法616条,民法594条1項
一 運送品滅失毀損の場合の運送取扱人ないし運送人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権と不法行為に基づく損害賠償請求権の競合 二 前項の不法行為に基づく損害賠償請求権の成立が認められるためには運送取扱人ないし運送人の故意または重過失を必要…
最高裁判所第三小法廷昭和38年11月5日昭和35(オ)1456民集 第17巻11号1510頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 運送品の取扱上通常予想される事態ではなく、契約本来の目的範囲を著しく逸脱する態様において、運送品の滅失、毀損が生じた場合には、運送取扱人ないし運送人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権と不法行為に基づく損害賠償請求権との競合が認められる。 二 前項の不法行為に基づく損害賠償請求権の成立が認められるためには、運送…
参照法条商法560条,商法577条,商法566条,民法709条,民法715条
建物の賃借部分の改築により借家人のため区分所有権が成立したとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和38年10月29日昭和35(オ)1419民集 第17巻9号1236頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨二階建木造建物の階下の一部を賃借した者が、判示事情のものに賃貸人の承諾をえて賃借部分をとりこわしその跡に自己の負担で店舗を作つた場合には、右店舗の一部に原家屋の二階が重なつており、既存の二本の通し柱および天井の梁を利用していても、他に特段の事情のないかぎり右店舗部分は従前の賃借人の区分所有権に帰すものと解すべきである。
参照法条民法242条但書,建物の区分所有権に関する法律1条
登記簿上の現所有者名義人が前所有名義人から不動産所有権を取得したと主張する場合現所有名義人は登記の推定力を援用しうるか。
最高裁判所第三小法廷昭和38年10月15日昭和35(オ)198民集 第17巻11号1497頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨登記簿上の現所有者名義人は、前所有名義人から不動産所有権を取得したと主張する場合には、前所有名義人に対し、登記の推定力を援用し得ない。
参照法条民法188条
借家人の無断増築が著しい不信行為であるとして無催告の賃貸借契約解除が有効とされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和38年9月27日昭和37(オ)588民集 第17巻8号1069頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土蔵造り瓦葺二階建家屋(建坪六坪)の賃借人が賃貸人所有の右敷地またはこれに隣接する同人所有地上に木造瓦葺二階建居宅一棟(建坪約六坪)を無断で建増ししたような場合においては、賃貸人は著しい不信行為のなれたことを理由として催告なしに賃貸借契約を解除することができる。
参照法条民法541条,民法543条,民法616条,民法594条1項
不足の弁済供託金を債権の一部弁済として受領する旨あらかじめ留保して還付を受けた場合の効力。
最高裁判所第一小法廷昭和38年9月19日昭和35(オ)724民集 第17巻8号981頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権全額に対する弁済として債務者のなした供託金額が債権額に足りない場合において、債権者が債務者に対して右供託金を債権の一部に充当する旨通知し、かつ、供託所に対して右留保の意思を明らかにして還付を受けたときは、右供託金は債権の一部の弁済に充当されたものと解すべきである。
参照法条民法494条
民法第六〇二条の期間をこえる土地賃貸借の抵当権者及び競落人に対する効力。
最高裁判所第三小法廷昭和38年9月17日昭和36(オ)759民集 第17巻8号955頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第六〇二条所定の期間をこえる土地賃貸借は、その登記が抵当権設定登記後になされたものである以上、同条所定期間内においても、抵当権者及び競落人に対抗できない。
参照法条民法395条,民法602条
幼児引渡の請求を認容する判決と憲法第一三条。
最高裁判所第三小法廷昭和38年9月17日昭和36(オ)835民集 第17巻8号968頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第一三条となんら関係がない。
参照法条民法820条,憲法13条
代表取締役の権限濫用の行為と民法第九三条。
最高裁判所第一小法廷昭和38年9月5日昭和35(オ)1388民集 第17巻8号909頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨株式会社の代表取締役が自己の利益のため会社の代表者名義でなした法律行為は、相手方が右代表取締役の真意を知り、または、知りうべきものであつたときは、その効力を生じない。
参照法条民法93条,商法261条
違約手附金倍戻の請求と契約解除の要否。
最高裁判所第一小法廷昭和38年9月5日昭和37(オ)880民集 第17巻8号832頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨違約手附金の約定が契約関係を清算する趣旨のものである場合は、右違約手形附金を交付した者が相手方の違約を理由として手附金倍戻を請求するためには、あらかじめ契約解除の手続を経ることを要しない。
参照法条民法420条,民法541条,民法557条
民法第三九五条の短期賃貸借と競売開始後の法定更新。
最高裁判所第三小法廷昭和38年8月27日昭和37(オ)222民集 第17巻6号871頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第三九五条により抵当権者に対抗しうる土地建物の短期賃貸借の期間が抵当権実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は借地法第六条、借家法第二条による法定更新をもつて抵当権者に対抗できない。
参照法条民法395条,民法602条,借地法6条,借家法2条
民法第九四条第二項にいう善意の有無を定める基準となる時期。
最高裁判所第二小法廷昭和38年6月7日昭和35(オ)15民集 第17巻5号728頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物件取得の法律関係につき、予約権利指が民法第九四条第二項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである。
参照法条民法94条,民法556条
民法第二九八条第三項の法意。
最高裁判所第二小法廷昭和38年5月31日昭和33(オ)527民集 第17巻4号570頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨留置権者が民法第二九八条第一項および第二項の規定に違反したときは、当該留置場の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、またこれによつて損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができるものと解するのが相当である。
参照法条民法298条
民法上の組合の業務執行者の代理権限の制度と第三者に対する対抗力。
最高裁判所第二小法廷昭和38年5月31日昭和35(オ)1461民集 第17巻4号600頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法上の組合において組合規約等で業務執行者の代理権限を制限しても、その制限は善意無過失の第三者に対抗できないものと解するのが相当である。
参照法条民法670条
他誌を誹謗する学界誌の記事につき名誉毀損の成立を否定した事例。
最高裁判所第三小法廷昭和38年4月16日昭和34(オ)1019民集 第17巻3号476頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲学界誌において掲載の承諾を得ている外国人学者の講演内容を、乙学界誌が、本人の承諾を得ずに原判示のような不明朗な手段で、通訳から講演訳文原稿を入手した上、甲誌に先がけて掲載発表する等原判決認定のような経緯があるときは、甲誌編集者らが乙誌を非難するのに「盗載」「犯罪的不徳行為」等の言辞を用いたとしても、乙誌の名誉信用を害…
参照法条民法709条,民法723条
抵当権の順位の譲渡の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和38年3月1日昭和35(オ)82民集 第17巻2号269頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲が、乙に対する債権確保のため、乙所有の不動産につき順位一番の抵当権設定登記をうけ、その後停止条件付代物弁済契約による所有権移転請求権保全の仮登記をうけ、さらにその後丙が乙に対する債権担保のため右不動産につき順位二番の抵当権設定登記をうけた場合に、甲が丙に対し順位一番の抵当権の順位を譲渡してその旨の附記登記を経由したと…
参照法条民法375条,民法376条
裁判上の和解につき錯誤の主張が許されないとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和38年2月12日昭和35(オ)625民集 第17巻1号171頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨訴訟物たる債権の存否につき被告が答弁しないまま成立した裁判上の和解において、原告が右債権を有することを被告が認めるについての錯誤の主張は、民法第六九六条により許されないものと解するのを相当とする。
参照法条民法696条,民訴法136条
強制執行によつて物の占有を解かれた者と占有回収の訴の許否。
最高裁判所第二小法廷昭和38年1月25日昭和35(オ)134民集 第17巻1号41頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨強制執行によつて物の占有を解かれた場合には、右執行行為が著しく違法性を帯び、外観上も私人の私力行使と同視しできるようなときを除いて、占有回収の訴によつてその物の返還を請求することは許されない。
参照法条民法200条
訴の変更と時効中断の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和38年1月18日昭和34(オ)1099民集 第17巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨係争地域が自己の所有に属することの主張は前後変わることなく、ただ単に請求を境界確定から所有権確認に変更したにすぎない場合は、境界確定の訴提起によつて生じた時効中断の効力には、影響がない。
参照法条民法149条,民訴法232条,民訴法235条
譲渡担保契約に伴う代物弁済の約定部分を無効と解すべき場合でも譲渡担保契約全体が無効となるとは限らないとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和38年1月18日昭和36(オ)1162民集 第17巻1号25頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨譲渡担保契約において、期限に債務の弁済がないときは担保物件を債務の代物弁済に供する旨の約定を含む場合、被担保債権額に比し担保物件の価額が著しく高額であつて、債務者の経済的困窮に乗じて右の約定をなしたものとして右約定部分を公序良俗に反し無効と解すべきときでも、必ずしも譲渡担保契約全部が無効となるとは限らない。
参照法条民法90条,民法92条,民法555条
民法上の組合の訴訟当事者能力。
最高裁判所第三小法廷昭和37年12月18日昭和34(オ)130民集 第16巻12号2422頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代表者の定めがある民法上の組合は、訴訟当事者能力を有する。
参照法条民訴法46条,民法667条
電気工作物に瑕疵があるとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和37年11月8日昭和33(オ)510民集 第16巻11号2216頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨三五〇〇ボルト以下の高圧架空送電線のゴム被覆が破損していたため感電事故が生じた場合、行政上の取締規定からは右電線にゴム被覆を用いることが必要でなく、また、終戦後の国内物資の欠乏からその電力会社管下の破損したゴム被覆高圧送電線を全部完全なものに取り替えることは極めて困難な状況にあつても、事故現場の電線の修補することが絶対…
参照法条民法717条
一筆の土地全部を同時に分筆譲渡した場合に生ずる袋地と民法第二一三条第二項の適用。
最高裁判所第三小法廷昭和37年10月30日昭和35(オ)1325民集 第16巻10号2182頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地の所有者が一筆の土地全部を同時に分筆譲渡し、よつて袋地を生じた場合において、袋地の右譲渡人は、民法第二一三条第二項の趣旨に徴し、右分筆前一筆であつた残余の土地についてのみ囲繞地通行権を有するに過ぎないと解すべきである。
参照法条民法213条,民法210条
詐害行為取消債権者は受益者より引渡を受けた価格賠償金を他の債権者に分配する義務を負うか。
最高裁判所第三小法廷昭和37年10月9日昭和34(オ)1084民集 第16巻10号2070頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨詐害行為取消の判決に基づき取消債権者が受益者より自己に価格賠償金の引渡を受けた場合、取消債権者は、右価格賠償金を他の債権者に分配する義務を負うものではない。
参照法条民法424条,民法425条
民法第八二六条の利益相反行為と行為の動機。
最高裁判所第三小法廷昭和37年10月2日昭和34(オ)1128民集 第16巻10号2059頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であつても、民法第八二六条にいう「利益が相反する行為」にあたる。
参照法条民法826条
代位弁済と根抵当権の移転。
最高裁判所第三小法廷昭和37年9月18日昭和34(オ)618民集 第16巻9号1970頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨根抵当権者の有する被担保債権が確定債権となつた場合に、弁在をなすにつき正当の利益を有する者がその債務を完済したときは、右弁済者は法定代位により右債権および普通の抵当権となつた右根抵当権を取得するものと解するのが相当である。
参照法条民法第2編第10章,民法500条
一 通行人の死亡による損害が国道管理の瑕疵のため生じたものと認められた事例 二 不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の時期
最高裁判所第三小法廷昭和37年9月4日昭和34(オ)117民集 第16巻9号1834頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 原動機付自転車に乗つた通行人が夜間国道上を通行中、暗渠新設工事のため同国道上に横たえられた枕木に激突、転倒し、死亡した場合において右枕木の位置およびその付近の夜間照明等について原判決認定のような事情(原判決理由参照)があるときは、右通行人が多少酒気を帯びており、右工事が同国道の管理者の許可を受けない等違法のものであ…
参照法条国家賠償法2条,国家賠償法3条,道路法32条,道路法施行令15条5号,民法412条
大韓民国人について昭和三一年当時生じた遺産相続の相続人
最高裁判所第二小法廷昭和37年8月10日昭和34(オ)1194民集 第16巻8号1712頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨大韓民国においては、昭和三一年当時には、家族である未婚者の死亡した場合、その遺産は、家に在るが、父のいないときは、母がこれを相続すべき慣習上の相続権を有し、また家族の一員である配遇者のある男子の死亡した場合、その遺産は、被相続人の妻および男女を問わずすべての直系卑属がこれを共同相続する慣習上の相続権を有していたものと認…
参照法条民法887条,民法889条,民法890条,法例25条
他人の権利の処分と追認
最高裁判所第二小法廷昭和37年8月10日昭和34(オ)504民集 第16巻8号1700頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲が、乙の権利を自己の権利であるとして処分した場合に、乙がこれを追認したときは、右処分は、民法第一一六条の類推適用により、処分のときに遡つて、乙についてその効力を生ずると解すべきである。
参照法条民法116条
一 賃貸人の債務不履行による土地賃貸借解除と損害賠償の範囲 二 転貸禁止の特約の有無は借地権の評価に影響するか
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月20日昭和34(オ)113民集 第16巻8号1583頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 賃貸人の債務不履行による土地賃貸借解除に基づき賃借人の賃貸人に対して請求する借地権喪失による損害賠償の範囲は、右解除当時における当該借地権の価格によるべきである。 二 土地賃貸借解除に基づく賃借人の賃貸人に対して請求する損害賠償額算定の基準としての借地権の評価につき、転貸禁止の特約の有無は影響しない。
参照法条民法543条,民法545条3項
免責的債務引受と抵当権の消滅。
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月20日昭和34(オ)335民集 第16巻8号1605頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨免責的債務引受が行なわれたときは、右債務につき第三者により設定された抵当権は、設定者の同意がない限り、消滅する。
参照法条民法464条,民法369条
一 いわゆる連合国財産返還命令による財産権の喪失につき直接憲法第二九条第三項の規程を根拠として国に対し補償を求めることの当否 二 宗教法人令第一一条の不動産処分にあたるとされた事例 三 宗教法人令による法人が宗教法人法による法人に組織変更し…
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月20日昭和36(オ)186民集 第16巻8号1632頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 昭和二一年勅令第二九四号「連合国財産の返還に関する件」第二条に基く大蔵大臣の命令によつて生じた財産権の喪失につき、直接憲法第二九条第三項の規程を根拠として国に対し補償を求めることはできない。 二 建物所有を目的とし、民法第六〇二条所定の存在期間をこえる土地の賃借契約は、宗教法人令第一一条にいう不動産の処分にあたる。…
参照法条連合国財産の返還等の件(昭和21年勅令294号)2条,憲法29条3項,宗教法人11条,宗教法人法23条,宗教法人法24条,宗教法人法附則5項,宗教法人法18項,民法602条
使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することの可否およびその限度。
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月20日昭和36(オ)190民集 第16巻8号1656頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することはできるが、その限度は、平均賃金の四割の範囲内にとどめるべきである。
参照法条民法536条2項,労働基準法26条,労働基準法24条1項
連合国軍関係事務系統使用人給与規程並びに同技能工系統使用人給与規程の各休業手当に関する各項の法意。
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月20日昭和36(オ)522民集 第16巻8号1684頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨連合国軍関係事務系統使用人給与規程並びに同技能工系統使用人給与規程の各休業手当に関する各条は、休業期間中における駐留軍労務者の最低限度の生活を保障するために特に設けられた規定であつて、軍の都合による休業が民法第五三六条第二項にいう「債務者ノ責ニ帰スヘキ事由」に基づく履行不能に該当し、労務者が政府に全額賃金の支払を請求し…
参照法条連合国軍関係事務系統使用人給与規程(昭和22年5月27日絡設労合408号)6のへ,連合国軍関係技能工系統使用人給与規程(昭和23年4月10日特調庶発446号)26,民法536条2項
民法上の組合の清算人に対する組合員の任意的訴訟信託の適否。
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月13日昭和34(オ)577民集 第16巻8号1516頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法上の組合の清算人は、組合員の選定当事者として当事者適格を持ちうるが、組合員からいわゆる任意的訴訟信託を受け、自己の名で訴訟を担当することは許されない。
参照法条民訴法46条,民訴法47条,民法688条1項,民法78条
弁済供託の供託金取戻請求権に対する転付命令の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月13日昭和36(オ)340民集 第16巻8号1556頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨弁済供託の供託金取戻請求権が転付命令により供託者の他の債権者に転付されただけでは、被供託者の供託金還付請求権に消長をきたすものではなく、したがつて供託の効力が失われるものではない。
参照法条民法496条,民訴法601条
農業協同組合連合会は民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたるか。
最高裁判所第二小法廷昭和37年7月6日昭和34(オ)612民集 第16巻7号1469頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農業協同組合連合会は、民法第一七三条第一号にいう生産者および卸売商人にあたらない。
参照法条農業協同組合法5条,農業協同組合法10条,民法173条,商法4条,商法501条,商法502条
将来出現することが予期された者を民法第五三七条の第三者とすることができるか。
最高裁判所第三小法廷昭和37年6月26日昭和33(オ)31民集 第16巻7号1397頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨第三者のためにする契約は、たとい契約の同時に存在していなくても将来出現するであろうと予期された者をもつて第三者とした場合でも、有効に成立する。
参照法条民法537条
伐木所有権を対抗できない事例。
最高裁判所第二小法廷昭和37年6月22日昭和31(オ)782民集 第16巻7号1374頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨立木法の適用を受けない立木の買受人が明認方法を施さないうちに、伐採等により右立木が伐木となつた場合、右買受人は、右伐木に自己を表示するための刻印を施したとしても、立木当時既に公示方法の欠缺を主張する正当な利益を有していた第三者に対しては、右伐木所有権を対抗できないものと解すべきである。
参照法条民法177条,民法178条
強制執行を免れるためにした財産の仮装譲渡が不法原因給付にあたらないとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和37年6月12日昭和33(オ)183民集 第16巻7号1305頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨遺産相続人が、被相続人の債権者からの強制執行を免れるために、相続財産である不動産につき売買を仮装して、第三者に対する所有権移転登記を経由した場合であつても、右登記が当該第三者の主導的提唱に基づきなされたものであり、当時右不動産につき強制執行を受けるべき差し迫つた具体的危険が認め難いなど、判示事実関係のもとでは、右仮装譲…
参照法条民法708条本文,刑法96条ノ2
民法第九六九条第四号但書にいう「遺言者が署名することができない場合」にあたるとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和37年6月8日昭和36(オ)827民集 第16巻7号1293頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨遺言者が、遺言当時胃癌のため入院中で手術に堪えられないほどに病勢が進んでおり、公証人に対する本件遺言口述のため約一五分間も病床に半身を起していた後でもあつたから、公証人が遺言者の疲労や病勢の悪化を考慮してその自署を押し止めたため、公証人の言に反対してまで自署することを期待することができなかつた等原審認定(原判決理由参照…
参照法条民法969条4号但書
一 家事調停による農地の所有権移転と知事の許可の要否 二 相続人らからの相続放棄者に対する家事調停による農地贈与と農地法第三条第一項但書第七号
最高裁判所第三小法廷昭和37年5月29日昭和33(オ)967民集 第16巻5号1204頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 家事調停による農地の所有権移転については、知事の許可を要する。 二 遺産分割の家事調停において、相続人らから利害関係人たる相続放棄者に対して農地を贈与する旨の調停条項が成立したとしても、右条項による権利移転は、農地法第三条第一項但書第七号所定の遺産分割による場合に当らない。
参照法条農地法3条1項但書5号,農地法3条1項但書7号,民法919条1項
共同事業達成のため関係官庁に対する運動費として当事者の一方が相手方に交付した金員の返還を約する当事者間の合意が有効とされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和37年5月25日昭和35(オ)1215民集 第16巻5号1195頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨当事者間の共同事業を達成するために、市復興区画調整委員会等に対する運動費として、当事者の一方が相手方に対し、合計金三〇万円を交付した場合、右が不法原因給付に当るとしても、後にその返還を約する当事者間の合意は、民法第七〇八条の禁ずるところではない。
参照法条民法90条,民法708条
相続人は民法第一八七条第一項の承継人にあたるか
最高裁判所第二小法廷昭和37年5月18日昭和33(オ)116民集 第16巻5号1073頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第一八七条第一項は相続による承継にも適用がある。
参照法条民法187条
母と非嫡出子間の親子関係と認知
最高裁判所第二小法廷昭和37年4月27日昭和35(オ)1189民集 第16巻7号1247頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨母と非嫡出子間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する。
参照法条民法779条
一 民法第七一七条にいわゆる「土地ノ工作物」に該当するとされた事例 二 労働者災害補償保険法による遺族補償費として受給者の財産的損害額をこえる金額が支給された場合と受給者以外の遺族の財産的損害賠償請求権の有無 三 労働者災害補償保険法による…
最高裁判所第一小法廷昭和37年4月26日昭和35(オ)381民集 第16巻4号975頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 炭坑の坑口附近に設置された捲上機の一部をなし、炭車を坑口に捲き上げるために使用される原判ワイヤロープ(原判決引用の第一審判決理由参照)は、民法第七一条にいわゆる「土地ノ工作物」に該当する。 二 労働者災害補償保険法に基づき妻に支給された遺族補償費の額が、妻の使用者に対して有する不法行為による財産的損害賠償請求権の額…
参照法条民法717条,民法711条,労働者災害補償保険法12条1項4号,労働者災害補償保険法12条1項5号,労働基準法79条,労働基準法80条,労働基準法84条2項
民法第九七条ノ二第三項但書の過失の主張立証責任
最高裁判所第一小法廷昭和37年4月26日昭和36(オ)1174民集 第16巻4号992頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第九七条ノ二第三項但書の主張立証責任は、公示による意思表示到達の無効を主張する者にある。
参照法条民法97条ノ21項3項,民訴法第2編第3章1節(257条の前)
民法第五五〇条の書面に当るとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和37年4月26日昭和36(オ)1228民集 第16巻4号1002頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨県知事に対する農地所有権移転許可申請書に、譲渡人、譲渡人と表示して各記名捺印がなされ、「権利を移転しようとする事由の詳細」の項に本件農地を贈与することにした旨、「権利を移転しようとする契約の内容」の項に無償贈与とする旨の各記載がある以上、該申請書は民法第五五〇条の書面に当る。
参照法条民法550条
一 経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第四条による株券の没収は株主催に及ぶか 二 右株券が押収に係るものである場合の没収の効力の発生時期 三 右株券没収の言渡を受けた者が没収の効力発生後国に対する名義書換までの間に交付を受けた利益配当金及び無償…
最高裁判所第二小法廷昭和37年4月20日昭和32(オ)628民集 第16巻4号860頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第四条により株券が没収されたときは、没収の効力は右株券に表彰される株主催に及ぶものと解すべきである。 二 右の株券が押収されている場合には、検察官の命令による執行をまたず、没収の判決の確定と同時に没収の効力(没収の言渡を受けた者と国との間における国庫帰属の効力)を生ずる。 三 右の株券…
参照法条経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律4条,商法290条2項,株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律3条,株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律5条,民法703条,刑訴法490条
本人が無権代理人を相続した場合における無権代理人行為の効力
最高裁判所第二小法廷昭和37年4月20日昭和35(オ)3民集 第16巻4号955頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。
参照法条民法113条,民法117条
認知請求権は放棄することができるか
最高裁判所第三小法廷昭和37年4月10日昭和35(オ)1208民集 第16巻4号693頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨子の父に対する認知請求権は放棄することができないものと解するのが相当である。
参照法条民法787条
石油タンクが旧地方税法第八八条にいう不動産に該当しないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和37年3月29日昭和33(オ)188民集 第16巻3号643頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨地上に置かれるものとして設計、製作された鋼製丸型の石油タンクであつても、土地に砂を盛つてその上に置かれているに過ぎないものは、その自重、荷重によつて若干沈下しているとしても、旧地方税法第八八条にいう不動産に該当しないと認むべきである。
参照法条旧地方税法(昭和23年法律第110号)88条,福岡県税賦課徴収条例58条,福岡県税賦課徴収条例59条,民法86条
賃料延滞による賃貸借の解除と転借人に対する催告の要否
最高裁判所第一小法廷昭和37年3月29日昭和33(オ)963民集 第16巻3号662頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。
参照法条民法541条,民法612条,民法613条
権限踰越の署名代理による手形振出と民法第一一〇条の適用
最高裁判所第三小法廷昭和37年3月27日昭和36(オ)282民集 第16巻3号632頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理権限を踰越し署名代理の方法によつて約束手形が振出された場合にも、民法第一一〇条の適用がある。
参照法条手形法8条,手形法77条2項,民法110条
既存通路が東京都建築安全条例第三条所定の幅員に欠ける場合と民法第二一〇条の囲繞地通行権の成否
最高裁判所第一小法廷昭和37年3月15日昭和34(オ)1132民集 第16巻3号556頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地が路地状部分で公路に通じており、既存建物所有により右土地の利用をするのになんらの支障がない場合、その路地状部分が東京都建築安全条例第三条所定の幅員に欠けるとの理由で増築につき建築基準適合の確認がして貰えないというだけでは、民法第二一〇条の囲繞地通行権は成立しない。
参照法条民法210条,建築基準法6条,建築基準法43条,東京都建築安全条例3条
石油製品配給規則違反の給付と不法原因給付の成否
最高裁判所第一小法廷昭和37年3月8日昭和32(オ)651民集 第16巻3号500頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨石油製品配給規則第一条、第一一条、第一二条に違反し配給割当公文書と引換でなしにされた揮発油の譲渡といえども、必ずしも民法第七〇八条にいわゆる不法原因給付に当るとはいえない。
参照法条民法708条,石油製品配給規則(昭和24年総理庁令、大蔵省令、法務庁令、文部省令、厚生省令、農林省令、商工省令、運輸省令、逓信省令、労働省令、建設省令1号)1条,石油製品配給規則(昭和24年総理庁令、大蔵省令、法務庁令、文部省令、厚生省令、…
「鬼ごつこ」中の傷害行為に違法性がないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和37年2月27日昭和35(オ)114民集 第16巻2号407頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨小学校二年生の児童甲が「鬼ごつこ」中に一年生の児童乙に背負われて逃げようとし、判示の事情のもとに過つて乙児童を転倒させ、よつて右上腕骨骨折の負傷を与えた場合、右傷害行為は、違法性がない。
参照法条民法709条,民法712条,民法714条
一 親権者の債務の担保のため未成年者の不動産に抵当権を設定するについての特別代理人選任の審判と被担保債務額の表示の要否 二 親権者の債務の担保のため未成年者の不動産に抵当権を設定するについて選任された特別代理人の根抵当権設定についての権限の…
最高裁判所第三小法廷昭和37年2月6日昭和35(オ)1046民集 第16巻2号223頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 未成年者の親権者の債務担保のため未成年者所有の不動産に抵当権を設定するについて、家庭裁判所のなす特別代理人選任の審判は、被担保債権額が表示されていない場合でも有効である。 二 未成年者の親権者の債務担保のため未成年者所有の不動産に抵当権を設定するについて、家庭裁判所によつて選任された未成年者の特別代理人は、根抵当権…
参照法条民法826条,民法369条,家事審判法9条1項甲類10号
畜犬の飼主に保管上の過失を認めた事例
最高裁判所第一小法廷昭和37年2月1日昭和34(オ)1049民集 第16巻2号143頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨畜犬の占有機関がその操作制御方法を十分会得していなかつたにもかかわらず、公道上を、二頭一諸に運動させ、畜犬が被害者に跳びついた際その力に負けて制御できなかつたなど原判示のような事情(原判決引用の第一審判決理由参照)があるときは、飼主に畜犬保管上の過失がある。
参照法条民法718条1項
一 弁護士報酬額算定の基準 二 着手金、成功報酬金の額が相当と認められた事例
最高裁判所第一小法廷昭和37年2月1日昭和36(オ)5民集 第16巻2号157頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 弁護士の訴訟委任事務処理に対する報酬の額につき依頼者との間に別段の定めがなかつた場合には、事件の難易、訴額および労力の程度ばかりでなく、依頼者との平生からの関係、所属弁護士会の報酬規則等その他諸般の状況をも審査し、当事者の意思を推定し、以て相当報酬額を算定すべきである。 二 原判決認定の事実関係(原判決理由参照)の…
参照法条民法648条,民法649条,弁護士法33条2項8号
農業用動産抵当物件の任意売却の特約の効力
最高裁判所第一小法廷昭和37年1月18日昭和35(オ)645民集 第16巻1号36頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農場動産信用法に基づく農業用動産抵当権につき、法定の抵当権実行の方法によらずに抵当物件を任意売却してその取得金を債務の弁済に充当しうる旨の特約は、有効である。
参照法条農業動産信用法12条2項,農業動産信用法17条,農業用動産抵当権実行令1条,民法349条,民法369条1項
和解契約の無効の主張と民法第六九六条。
最高裁判所第一小法廷昭和36年12月27日昭和28(オ)1228民集 第15巻12号3092頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨本家と分家との間に議定書と題する書面により成立した利益配分に関する契約の効力について争があり、右議定書による契約上の権利の無効を確認することを含む和解契約が成立した場合において、議定書上の権利が和解前に消滅していたということでこれを確認する趣意で和解をしたところ、当時右権利は消滅していなかつたことが判明したという理由で…
参照法条民法696条
賃借人の相続人が数名ある場合と解除の意思表示。
最高裁判所第二小法廷昭和36年12月22日昭和34(オ)378民集 第15巻12号2893頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃借人が死亡し、相続人として妻および子がある場合は、特段の事情の認められないかぎり、子のみに対する賃貸借解除の意思表示を有効ということはできない。
参照法条民法544条
不特定物の売買における目的物受領後の不完全履行による契約解除の可否。
最高裁判所第二小法廷昭和36年12月15日昭和32(オ)1222民集 第15巻11号2852頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不特定物の売買において給付されたものに瑕疵のあることが受領後に発見された場合、買主がいわゆる瑕疵担保責任を問うなど、瑕疵の存在を認識した上で右給付を履行として容認したと認められる事情が存しない限り、買主は、取替ないし追完の方法による完全履行の請求権を有し、また、その不完全な給付が売主の責に帰すべき事由に基づくときは、債…
参照法条民法415条,民法541条,民法570条
書面によらない贈与を認める判決が確定した後の民法第五五〇条による右贈与の取消の可否。
最高裁判所第三小法廷昭和36年12月12日昭和35(オ)1017民集 第15巻11号2778頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した後は、既判力の効果として民法第五五〇条による取消権を行使して右贈与による権利の存否を争うことは許されない。
参照法条民法550条,民訴法199条,民訴法545条2項
事務管理者が本人の名でした法律行為の効果。
最高裁判所第一小法廷昭和36年11月30日昭和36(オ)342民集 第15巻10号2629頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨事務管理者が本人の名でした法律行為の効果は、当然には本人に及ぶものではない。
参照法条民法697条,民法702条2項
訴状の送達による契約解除の意思表示の到達を認めた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和36年11月9日昭和35(オ)741民集 第15巻10号2444頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨解除権者が訴を提起し、契約解除による効果の実行を求めた場合には、当該訴状が相手方に送達された時に当該契約解除の意思表示があつたものと解すべきである。
参照法条民法540条,民法97条
訴訟復代理権は訴訟代理人の死亡によつて消滅するか。
最高裁判所第一小法廷昭和36年11月9日昭和36(オ)374民集 第15巻10号2451頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨訴訟代理人は、その選任者である訴訟代理人の死亡によつて、当然に、その代理権を失なうものではない。
参照法条民訴法85条,民法653条
商号変更に関する株主総会の決議前に、新商号のもとに振り出された約束手形につき会社が振出人としての責を負うとされた事例。
最高裁判所第三小法廷昭和36年10月10日昭和32(オ)783民集 第15巻9号2281頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨登記簿上A商号B目的代表取締役甲名義の株式会社が株主総会の決議なしに実際上C商号D目的代表取締役乙名義のもとに三ケ月余にわたつて取引活動をして来た場合、乙がC商号を使用し、その代表者として振り出した約束手形については、その後商号および目的の変更、乙の取締役選任の各決議がなされ、かつ乙が代表取締役に選任され、右につき各登…
参照法条手形法8条,手形法78条,商法12条,民法113条
工場財団に属する動産と民法第一九二条。
最高裁判所第二小法廷昭和36年9月15日昭和33(オ)1073民集 第15巻8号2172頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨工場財団に属する動産についても民法第一九二条の適用がある。
参照法条民法192条,工場抵当法5条,工場抵当法14条
賃借建物の無断増築が契約解除原因に当らないとされた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和36年7月21日昭和33(オ)719民集 第15巻7号1939頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨借地上の建物の賃借人が空地に建物を無断で増築した場合でも、増築部分が賃借建物の構造を変更しないでこれに附属せしめられた一日で撤去できる程度の仮建築であり、しかも賃借建物は賃借人が自己の費用で適宜改造して使用すべく家主において修理しない約定で借受けた等の経緯であるときは、賃借人の右増築行為は、建物の賃貸借契約を解除しうる…
参照法条民法541条,民法616条,民法594条1項
賃貸人が賃貸物件を使用させない期間の賃料支払義務。
最高裁判所第二小法廷昭和36年7月21日昭和34(オ)848民集 第15巻7号1952頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸人が賃借人に対し賃貸物件を使用させない期間は、賃借人は賃料支払義務を負わない。
参照法条民法601条,民法536条1項
手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。
最高裁判所第一小法廷昭和36年7月20日昭和34(オ)471民集 第15巻7号1892頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の呈示を伴わない催告には、手形債権の時効を中断する効力がない。
参照法条民法147条1号,民法153条,手形法38条1項,手形法39条1項
一、附帯控訴状の提出及び送達に関し、責問権の喪失が認められた事例。 二、請負契約の目的物の瑕疵修補に代る損害賠償請求と損害額算定の基準時
最高裁判所第二小法廷昭和36年7月7日昭和33(オ)1046民集 第15巻7号1800頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、控訴審最終口頭弁論期日に附帯控訴状が未だ提出送達されていなかつたとしても、附帯訴代理人がこれに基き附帯控訴の趣旨を陳述したのに対し、附帯控訴人の代理人において何ら異議を止めることなく、附帯控訴棄却の判決を求める旨申立て、そのまま弁論終結に至つたときは、民訴第141条により、附帯控訴人は右附帯控訴状の提出送達がなかつ…
参照法条民法634条
貨幣価値の下落と割増金付割引勧業債券の券面額による支払
最高裁判所第三小法廷昭和36年6月20日昭和33(オ)546民集 第15巻6号1602頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨昭和九年一〇月発行の割増金割引勧業債券について、債券発行売出銀行は、別段の特約のない限り、償還時に貨幣価値が下落していても、償還当時の貨幣で券面額を弁済することにより免責される。
参照法条民法1条2項,民法402条
一 執行吏保管の仮処分執行と占有侵奪。 二 執行吏が仮処分による保管物件の換価金を執行債権者の還付申請により誤つて執行債権者に交付した場合と占有侵奪。
最高裁判所第三小法廷昭和36年6月6日昭和32(オ)346民集 第15巻6号1501頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 債務者の占有を解き執行吏の保管に付する旨の仮処分執行として、執行吏が目的物件を所持するに至つても、執行債務者が目的物件に対する占有を侵奪されたことにはならない。 二 執行吏が仮処分による保管物件の換価金を執行債権者の還付申請により誤つて執行債権者に交付した場合、執行債務者が換価金に対する占有を侵奪されたことにはなら…
参照法条民法200条1項,民訴法758条2項
買主が買戻の特約を登記した不動産を第三者に転売した場合における買戻権を行使すべき相手方。
最高裁判所第三小法廷昭和36年5月30日昭和32(オ)469民集 第15巻5号1459頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨買主が買戻の特約を登記した不動産を第三者に転売しその登記を経由した場合は、最初の売主は転得者に対し買戻権を行使すべきである。
参照法条民法581条1項
錯誤による調停無効の主張と民法第六九六条。
最高裁判所第二小法廷昭和36年5月26日昭和32(オ)191民集 第15巻5号1336頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨借地権の期間満了による建物収去土地明渡の調停において期限後における借地権の消滅が合意せられた以上、借地法第六条の法定更新による期限後の借地権存続につき錯誤があつたことを理由として右調停の効力を争うことは、民法第六九六条により許されない。
参照法条民法696条
一 農地の売買契約において「知事の許可を得ることを条件とする」ことの意義 二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げた場合と民法第一三〇条の類推適用の有無
最高裁判所第二小法廷昭和36年5月26日昭和32(オ)923民集 第15巻5号1404頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。 二 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、買主は条件を成就したものとみなすことはできない。
参照法条民法127条,民法130条,農地法3条
証券業者の外務員につき労働基準法第二〇条の適用がないとされた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和36年5月25日昭和33(オ)1023民集 第15巻5号1322頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨証券業者と外務員間の契約により、外務員は右業者の顧客から株式その他の有価証券の売買又はその委託の媒介、取次又はその代理の注文を受けた場合これを業者に通じて売買その他の有価証券取引を成立させるいわゆる外務行為に従事すべき義務を負担し、業者はこれに対する報酬として出来高に応じ賃金を支払うと共に外務員のした有価証券の売買委託…
参照法条労働基準法20条,証券取引法56条,民法627条,民法651条
催告書の到達を認めた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和36年4月20日昭和33(オ)315民集 第15巻4号774頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨会社に対する催告書が使者によつて持参された時、たまたま会社事務室に代表取締役の娘が居合せ、代表取締役の机の上の印を使用して使者の持参した送達簿に捺印の上、右催告書を右机の抽斗に入れておいたという場合には、同人に右催告書を受領する権限がなく、また同人が社員に右の旨を告げなかつたとしても、催告書の到達があつたものと解すべき…
参照法条民法97条
時効にかかつた譲受債権を自働債権として相殺することの許否。
最高裁判所第二小法廷昭和36年4月14日昭和34(オ)678民集 第15巻4号765頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨消滅時効にかかつた他人の債権を譲り受け、これを自働債権として相殺することは許されない。
参照法条民法506条,民法508条
一民法第八一四条第一項第三号の法意。 二縁組を継続し難い重大な事由があると認められた事例。 三民訴法第三五条第六号にいわゆる「不服ヲ申立テラレタル前審の裁判」の意義。
最高裁判所第二小法廷昭和36年4月7日昭和34(オ)59民集 第15巻4号706頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」は、当事者双方又は一方の有責事由に限られない。 二原審認定に係る事実関係(原判決理由参照)の下においては、民法第八一四条第一項第三号にいわゆる「縁組を継続し難い重大な事由」があると認めるのを相当とする。 三 民訴法第三五条第六号にいわゆる「不服ヲ申立テ…
参照法条民法814条1項3号,民訴法35条6号
民法第二一三条の規定は土地の賃借人に準用されるか。
最高裁判所第二小法廷昭和36年3月24日昭和31(オ)917民集 第15巻3号542頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第二一三条の規定は、農地を賃借してその引渡を受けた者と土地の所有者との間にこれを準用すべきである。
参照法条民法213条,民法267条
無効な取得登記を有するにすぎない建物の二重譲受人と被保険利益。
最高裁判所第一小法廷昭和36年3月16日昭和32(オ)782民集 第15巻3号512頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物が二重に譲渡され、一方の譲受人が登記を経由し、他方の譲受人は、無効な登記にもとづく登記を有するにすぎないときは、右建物所有者として、その建物を目的とする火災保険契約を締結するについて、被保険利益を有しない。
参照法条商法630条,民法177条,民法176条
農地の買収処分の効果は地上の樹木に及ぶか。
最高裁判所第三小法廷昭和36年3月14日昭和30(オ)617民集 第15巻3号396頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自作農創設特別措置法(昭和二二年法律第二四一号による改正前のもの)の規定により、農地が買収されたときは、その地上に生立する樹木は、特に買収処分の対象から除外されていないかぎり、原則として、地盤とともに国の所有に属する。
参照法条民法86条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正以前のもの)3条
土地所有権に基づく収去明渡の確定判決の執行債務者が右土地所有権の共同相続持分の一部を取得した場合の執行の許否。
最高裁判所第一小法廷昭和36年3月2日昭和35(オ)201民集 第15巻3号337頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲の乙に対する土地所有権に基づく建物収去、土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結後、甲の死亡により土地所有権が丙丁らに共同相続された場合、乙が丙からその土地共有持分を取得したとしても、丙以外の共同相続人らは、民法第四二九条の法意に従い、乙に対して右判決を執行し得る。
参照法条民法899条,民法429条,民訴法201条,民訴法545条
賃借人のある建物について買取請求権が行使された場合における建物収去土地明渡を求める相手方の請求。
最高裁判所第三小法廷昭和36年2月28日昭和33(オ)989民集 第15巻2号324頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地賃貸人からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法第一〇条により買取請求権を行使した場合に、その建物に賃借人があるときは、右収去明渡の請求には、建物の指図による占有移転を求める趣旨を包合するものと解すべきである。
参照法条借地法10条,民法184条,民訴法186条
一 死者の活動年令期の算定。 二 労働基準法第七九条の補償と民法第四二二条。 三 民法第七一五条の使用者責任の認められる事例。
最高裁判所第三小法廷昭和36年1月24日昭和31(オ)364民集 第15巻1号35頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 死者の活動年令期は、死者の経歴、年令、職業、健康状態その他の具体的事情を考慮して算定することができ、必ずしも統計による生命表の有限平均余命の数値に拘束されない。 二 労働者の死亡について第三者が不法行為に基づく損害賠償責任を負担する場合には、労働基準法第七九条に基づく補償義務を履行した使用者は、民法第四二二条の類推…
参照法条民法185条,民法709条,民法422条,民法715条,労働基準法79条
一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任 二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任
最高裁判所第一小法廷昭和35年12月27日昭和30(オ)286民集 第14巻14号3234頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。 二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が…
参照法条民法110条,民法112条,手形法8条,手形法14条
債権者のする破産宣告の申立と時効中断事由。
最高裁判所第一小法廷昭和35年12月27日昭和35(オ)655民集 第14巻14号3253頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権者のする破産宣告の申立は、債権の消滅時効の中断事由たる裁判上の請求にあたる。
参照法条民法147条1号,民法149条
一 訴訟上の相殺の主張の撤回と受働債権につきなされた債務承認の効力 二 相殺の主張をする訴訟代理人と受働債権につき債務の承認をする権限の有無
最高裁判所第二小法廷昭和35年12月23日昭和33(オ)494民集 第14巻14号3166頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 訴訟上相殺の主張をするにあたり、受働債権につき時効中断事由たる債務の承認がなされたものと認められる場合、その後相殺の主張が撤回されても承認による時効中断の効力は失われない。 二 訴訟上相殺の主張をする訴訟代理人は、特別の授権がなくても、受働債権につき債務の承認をする権限があるものと解すべきである。
参照法条民法147条3号,民訴法199条2項,民訴法81条
一 供託金額の不足が弁済提供および供託の効力に影響を及ぼさない事例 二 売渡担保の目的物返還義務不履行による損害額算定の時期
最高裁判所第一小法廷昭和35年12月15日昭和33(オ)483民集 第14巻14号3060頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 消費貸借上の債務弁済のため提供供託された元利合計金一五万三一四〇円が、正当な元利合計額に金一、三〇〇余円不足するとしても、この一事により弁済提供および供託の効果を否定することはできない。 二 債権者が弁済期到来前売渡担保の目的物である山林の立木を伐採したため、弁済により右山林の所有権が債務者に復帰した場合立木の引渡…
参照法条民法492条,民法494条,民法415条
民法上の組合における多数代理の許否。
最高裁判所第二小法廷昭和35年12月9日昭和31(オ)859民集 第14巻13号2994頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法上の組合において組合契約その他により業務執行組合員が定められていない場合、組合員の過半数のものは、共同して右組合を代理する権限を有するものと解すべきである。
参照法条民法667条,民法670条
内縁関係の解消と内縁の妻の所有土地に対する夫の占有権原。
最高裁判所第一小法廷昭和35年11月10日昭和34(オ)74民集 第14巻13号2813頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨内縁の夫が妻の所有地上に共同生活維持のための住居および物置を所有して右土地を無償で占有している場合、その占有権原は、特段の事情のないかぎり、内縁関係の解消とともに消滅するものと解するのが相当である。
参照法条民法597条,民法752条
一 民法第五四一条の催告と付遅滞の要否 二 受領遅滞にある者のする催告の要件。
最高裁判所第一小法廷昭和35年10月27日昭和31(オ)686民集 第14巻12号2733頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 契約解除の前提としての催告が有効であるためには、少くとも催告と同時に相手方が遅滞に付されることを要する。 二 双務契約上の債務の受領遅滞にある者が契約解除の前提としての催告をするためには、受領遅滞を解消させた上でこれをしなければならない。
参照法条民法541条,民法413条
「東京地方裁判所厚生部」のした取引と同裁判所の責任。
最高裁判所第二小法廷昭和35年10月21日昭和31(オ)835民集 第14巻12号2661頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一般に官庁の部局をあらわす文字である「部」と名付けられ、裁判所庁舎の一部を使用し、現職の職員が事務を執つていた「東京地方裁判所厚生部」は、東京地方裁判所の一部局としての表示力を有するものと認めるべきであり、東京地方裁判所当局が同部の事業の継続処理を認めた以上、これにより同裁判所は、「厚生部」のする取引が自己の取引なるか…
参照法条民法109条,商法23条
条件成就と認むべき事例。
最高裁判所第三小法廷昭和35年10月4日昭和33(オ)341民集 第14巻12号2395頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地および温泉使用権を陸軍傷病兵療養所のための敷地および鉱泉として陸軍省に寄附するにあたり、陸軍において将来右用途を廃止したときは無償で返還を受ける旨の特約があつた場合、終戦後陸軍省の廃止にともない、右土地等が大蔵省および厚生省に順次移管され、陸軍省廃止以来国立病院のため使用されているときは、前記特約にいう陸軍の用途廃…
参照法条民法127条
統制法規に違反してなされた給付と不法原因給付の成否。
最高裁判所第二小法廷昭和35年9月16日昭和31(オ)1074民集 第14巻11号2209頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨統制法規に違反した売買契約に基く給付が、民法第七〇八条にいう不法原因によるものかどうかは、その行為の実質が当時の国民生活並びに国民感情に照らし反道徳的な醜悪な行為としてひんしゆくすべき程度の反社会性を有するかどうかによつて決するのが相当である。
参照法条民法708条,臨時物資需給調整法(昭和21年法律32号)1条1項,指定配給物資配給手続規程(昭和22年内閣訓令3号)1条,農産品配給規則(昭和22年農林省75号)1条1号,農産品配給規則(昭和22年農林省75号)2条,農産品配給規則(昭和2…
自己の信用を利用させる意味で約束手形の共同振出人となつた事実と連帯保証債務負担の意思の推認。
最高裁判所第二小法廷昭和35年9月9日昭和32(オ)1084民集 第14巻11号2114頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金員を借り受けるにつき自己の信用を利用させる意味で他人と共同して約束手形を振出した事実があるからといつて、その他人に対し、右金員借受につき連帯保証債務を負担すべきことを諾約し、その意思を自己に代つて表示する権限を与えたものと推認しなければならないものではない。
参照法条手形法75条,民法454条
一 民法第一六二条第二項の無過失の事例 二 相続財産の管理人選任前取得時効期間が満了した場合と民法第一六〇条
最高裁判所第二小法廷昭和35年9月2日昭和35(オ)348民集 第14巻11号2094頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 空襲により一家全滅した本家の再興のため、親族の協議により相続人に選ばれて本家の家業を継ぎ、相続財産に属する土地を占有している二二歳の女子につき、原審認定のような事実関係(原判決理由参照)があるときは、同人がその土地の所有権を取得したものと信ずるにつき過失はないものと解すべきである。 二 民法第一六〇条は、相続財産の…
参照法条民法162条2項,民法160条
一 沈没船所有権移転の対抗要件 二 沈没船の引渡があつたと認むべき事例
最高裁判所第一小法廷昭和35年9月1日昭和34(オ)986民集 第14巻11号1991頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 海底三五尋以上の海深にあつて引揚困難な沈没船の所有権移転を第三者に対抗するには、たとえ公称屯数二〇屯以上の場合でも、民法第一七八条にいう引渡があれば足りる。 二 原判示のような事情(原判決理由参照)のもとで、沈没船売買契約書、保険会社の損害品売渡証、関係漁場使用に関する漁業協同組合長名義の承諾書等関係書類授受があつ…
参照法条商法686条,商法687条,民法178条
取得時効の時効期間の起算点。
最高裁判所第一小法廷昭和35年7月27日昭和32(オ)344民集 第14巻10号1871頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
参照法条民法144条,民法162条
一 減殺請求後の転得者に対する減殺請求の許否 二 転得者に対する減殺請求権の消滅時効の起算点
最高裁判所第三小法廷昭和35年7月19日昭和33(オ)502民集 第14巻9号1779頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 受贈者に対し減殺請求をしたときは、その後に受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者に対してさらに減殺の請求をすることはできない。 二 受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者に対する減殺請求権の一年の消滅時効の期間は、遺留分権利者が相続の開始と贈与のあつたことを知つた時から起算すべきである。
参照法条民法1040条,民法1042条
農地賃貸借の法定更新と賃貸期間。
最高裁判所第二小法廷昭和35年7月8日昭和32(オ)791民集 第14巻9号1731頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農地の賃貸借が農地法第一九条により更新されたときは、以後期間の定めのない賃貸借として存続するものと解すべきである。
参照法条農地法19条,民法619条,民法617条
不特定物の売買における目的物所有権移転時期
最高裁判所第二小法廷昭和35年6月24日昭和31(オ)252民集 第14巻8号1528頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、目的物が特定した時に買主に所有権が移転するものと解すべきである。
参照法条民法176条,民法401条2項
一 時効利益の放棄の要件 二 債務者が時効完成の事実を知つていたものと推定された事例
最高裁判所第一小法廷昭和35年6月23日昭和33(オ)69民集 第14巻8号1498頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 時効利益の放棄があつたとするためには、債務者において時効完成の事実を知つていたことを要する。 二 債務者が弁済期後にした債務の内入弁済は、時効完成の事実を知つてこれをしたものと推定すべきである。
参照法条民法146条
賃貸人の地位と転借人の地位との混同と転貸借。
最高裁判所第一小法廷昭和35年6月23日昭和33(オ)890民集 第14巻8号1507頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であつても、転貸借は、当事者間にこれを消滅させる合意の成立しない限り、消滅しないものと解すべきである。
参照法条民法601条,民法613条
敷地不法占有と家屋収去請求の相手方。
最高裁判所第二小法廷昭和35年6月17日昭和31(オ)119民集 第14巻8号1396頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨仮処分申請に基き、裁判所の嘱託により家屋所有権保存登記がなされている場合であつても、仮処分前に家屋を未登記のまま第三者に譲渡しその敷地を占拠していない右保存登記名義人に対し、敷地所有者から敷地不法占有を理由として家屋収去請求をすることは許されない。
参照法条民法176条,民法177条
国が当事者となり、売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合における契約の成立時期。
最高裁判所第三小法廷昭和35年5月24日昭和28(オ)515民集 第14巻7号1154頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨国が当事者となり売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合に、落札者があつたときは、国および落札者は、互に相手方に対し契約を結ぶ義務を負うにいたるが、この段階では予約が成立するにとどまり、本契約は、契約書の作成によりはじめて成立すると解すべきである。
参照法条民法555条,民法521条,民法526条,会計法29条,予算決算及び会計令68条,予算決算及び会計令83条
民法第七〇五条の適用がないと認められた事例。
最高裁判所第二小法廷昭和35年5月6日昭和30(オ)847民集 第14巻7号1127頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、債務不履行による責を問われることあるべきをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず約定賃料の支払をしたときは、民法第七〇五条の適用はないと解すべきである。
参照法条民法705条,地代家賃統制令3条
一 買戻特約の登記をしなかつた場合における不動産買戻権譲渡の方法 二 買戻特約の登記をしなかつた場合における不動産買戻権譲渡の対抗要件
最高裁判所第三小法廷昭和35年4月26日昭和33(オ)186民集 第14巻6号1071頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 買戻の特約を登記しなかつた場合、不動産買戻権は売主の地位と共にのみ譲渡することができる。 二 買戻の特約を登記しなかつた場合における不動産買戻権の譲渡を買主に対抗するには、これに対する通知またはその承諾を必要とし且つこれをもつて足りる。
参照法条民法579条,民法581条1項,民法129条,民法467条1項
朽廃時期の迫つた賃貸家屋に対する大修繕の必要と借家法第一条ノ二にいわゆる正当事由。
最高裁判所第三小法廷昭和35年4月26日昭和33(オ)728民集 第14巻6号1091頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸家屋の朽廃の時期が迫つた場合、これを大修繕するために賃貸借を終了させる必要があり、その必要が賃借人の利益と比べてこれにまさるときは、解約申入につき借家第法一条ノ二にいわゆる正当の事由があると解すべきである。
参照法条借家法1条ノ2,民法606条
地代家賃統制令の統制額を超える賃料の支払と非債弁済。
最高裁判所第一小法廷昭和35年4月14日昭和32(オ)394民集 第14巻5号849頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨地代家賃統制令の統制額を超える賃料を、自己に支払義務のないことを知りながら支払つた賃借人は、その返還を請求することができない。
参照法条地代家賃統制令3条,民法705条
間借人の毎月一、〇〇〇円の支払いを賃料でなく謝礼であるとし、使用貸借の成立を認めた事例
最高裁判所第三小法廷昭和35年4月12日昭和33(オ)485民集 第14巻5号817頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一畳あたり月一、〇〇〇円で貸しうる六畳七畳二室を借り受け使用(ただし七畳の方は家主と共用)する間借人が毎月室代名義で一、〇〇〇円ずつを家主に支払つていても、間借人が家主の妻の伯父という関係にあるときは、右金員は室使用の対価というよりは右関係に基づく謝礼とみるのが相当で、右使用契約は賃貸借でなく使用貸借である。
参照法条民法593条,民法601条
他人の使用人として家屋に居住するにすぎない者に対する家屋明渡ならびに賃料相当の損害金の請求の当否。
最高裁判所第一小法廷昭和35年4月7日昭和32(オ)1041民集 第14巻5号751頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨他人の使用人として家屋に居住するにすぎない者に対しては、特段の事情のないかぎり、その不法占有を理由として家屋の明渡ならびに賃料相当の損害金の支払を請求することはできない。
参照法条民法180条
一 荷渡依頼書による依頼の撤回 二 特定物の売買において当然には所有権が移転しないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和35年3月22日昭和32(オ)448民集 第14巻4号501頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 寄託者から受寄者である倉庫業者に対し荷渡先を指定した上これに受寄物たる商品を引渡すことを依頼するいわゆる荷渡依頼書が、荷渡先の第三者に交付された後であつても、右第三者がこれを受寄者に呈示する以前寄託者において受寄者に対する通知により依頼を撤回することを妨げない。 二 倉庫に寄託中のハンカチーフ売買契約において、代金…
参照法条商法597条,民法176条
公職選挙法第九条第二項の住所の意義
最高裁判所第三小法廷昭和35年3月22日昭和35(オ)84民集 第14巻4号551頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨公職選挙法第九条第二項の住所とは、その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものと解すべく、私生活面の住所、事業活動面の住所、政治活動面の住所等を分離して判断すべきものではない。
参照法条公職選挙法9条2項,民法21条
一 幼児の引渡を求める訴訟においてその幼児が自由意思に基いて相手方の許に居住しているとはいえない事例 二 幼児引渡の請求を認容する判決と憲法第二二条の居住移転の自由
最高裁判所第三小法廷昭和35年3月15日昭和32(オ)1166民集 第14巻3号430頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 幼児の引渡を求める訴訟において、その幼児が三歳に満たない頃からひき続き相手方のもとで養育されているというだけでは、右幼児は自由意思に基いて同所に居住しているとはいえない。 二 いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第二二条所定の居住移転の…
参照法条民法820条,憲法22条
地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽された立木の所有権と対抗要件。
最高裁判所第三小法廷昭和35年3月1日昭和32(オ)325民集 第14巻3号307頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を、第三者に対抗するには、公示方法を必要とする。
参照法条民法177条,民法242条但書
他人の不動産を占有する正権原の立証責任。
最高裁判所第三小法廷昭和35年3月1日昭和33(オ)683民集 第14巻3号327頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨他人の不動産を占有する正権原があるとの主張については、その主張をする者に立証責任があると解すべきである。
参照法条民法188条
一 親権者の一方に利益相反関係のある場合における代理の方法 二 民法八二六条第一項の利益相反行為の事例
最高裁判所第一小法廷昭和35年2月25日昭和33(オ)968民集 第14巻2号279頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 親権者たる父母の一方に民法第八二六条第一項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。 二 甲が乙の親権者として、自己の事業上の債務のため乙所有の不動産を 代物弁済として他に譲渡する行為は、乙が甲の事業により生活上の利 益を受けており、そ…
参照法条民法826条1項,民法818条3項
占有改定による占有の取得と民法第一九二条の適用の有無。
最高裁判所第一小法廷昭和35年2月11日昭和32(オ)1092民集 第14巻2号168頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、民法第一九二条の適用はない。
参照法条民法192条
賃借土地の使用に事実上の支障がある場合と賃料支払義務。
最高裁判所第二小法廷昭和34年12月4日昭和31(オ)393民集 第13巻12号1588頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物所有の目的で賃借した土地の地上建物が戦災により滅失した後、右土地は特別都市計画法による区画整理区域に指定されたが、換地予定地の指定が遅れ、その間原審認定のような事情があつて(原判決理由参照)、事実上これを家屋所有の目的で使用することに支障を来したとしても、賃借人の使用収益が全面的に不能であつたものとは認められないと…
参照法条民法536条,民法611条
民法第二五四条の適用が認められた事例。
最高裁判所第一小法廷昭和34年11月26日昭和32(オ)729民集 第13巻12号1550頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地の共有持分の一部を譲り受けた者が、他の共有者と、共有者間の内部において、その土地の一部を分割し、その部分を右譲受人の単独所有として独占的に使用しうること及び後に分筆登記が可能となつたときは直ちにその登記をなすことを約した場合は、その後同土地につき共有持分を譲り受けた者に対して右契約上の債権を行うことができる。
参照法条民法254条
売渡担保に供した不動産の返還義務不履行による損害賠償債権をもつてその不動産を留置し得るか。
最高裁判所第一小法廷昭和34年9月3日昭和32(オ)532民集 第13巻11号1357頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産を売渡担保に供した者は、担保権者が約に反して担保不動産を他に譲渡したことにより担保権者に対して取得した担保物返還義務不履行による損害賠償債権をもつて、右譲受人からの転々譲渡により右不動産の所有権を取得した者の明渡請求に対し、留置権を主張することは許されない。
参照法条民法295条
仮処分の執行として執行吏の保管する有体動産に対しなされた指図による占有移転の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和34年8月28日昭和30(オ)712民集 第13巻10号1311頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨有体動産に対する占有権は、仮処分の執行として執行吏がこれを保管することによつて失われるものではないから、その動産の指図による占有移転は、仮処分債権者に対抗できないにとどまりその他のものに対する関係においては有効である。
参照法条民訴法566条,民法184条
差押中の有体動産の占有改定の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和34年8月28日昭和32(オ)1140民集 第13巻10号1336頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨有体動産に対する占有権は、差押によつて失われるものではないからその動産の占有改定による引渡は、差押の存続する間、差押債権者に対抗できないにとどまるものと解すべきである。
参照法条民訴法566条,民法183条
協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力。
最高裁判所第二小法廷昭和34年8月7日昭和32(オ)508民集 第13巻10号1251頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。
参照法条民法763条,民法764条,民法742条,民法802条
一、 村長の借入金受領と消費貸借の成否 二、 村長の借入金受領行為と民法第一一〇条の類推適用 三、 民法第一一〇条所定の代理権ありと信ずべき正当の理由があつたとの判断が違法とされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和34年7月14日昭和30(オ)873民集 第13巻7号960頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、 現金出納の権限のない村長が村の名において他人より金員を借り入れ、これを自ら受領したにとどまる場合は、右金員の借入が村議会の決議に基づいても、その他人と村との間には右金員の消費貸借は成立しない。 二、 右の場合、村につき民法第一一〇条所定の「代理人カ其権限外ノ行為ヲ為シタル場合」に該当するものとして、同条の類推適用…
参照法条地方自治法149条,地方自治法170条,民法587条,民法110条
登記簿上の所有名義人と特有財産。
最高裁判所第三小法廷昭和34年7月14日昭和32(オ)636民集 第13巻7号1023頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨夫婦間の合意で、夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、右の土地を妻の特有財産と解すべきではない。
参照法条民法762条1項
婚姻無効確認の訴を提起し得べき第三者。
最高裁判所第二小法廷昭和34年7月3日昭和32(オ)764民集 第13巻7号905頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨当事者の意思に基く届出を欠いた婚姻については、第三者もその利益があるかぎり無効確認の訴を提起し得べく、右第三者が当該婚姻届出書類を偽造した本人であるからといつてこれを別異に解すべきではない。
参照法条民法742条,旧民法(昭和22年法律222号による改正前のもの)78条,人事訴訟手続法2条2項
保証人の求償権を担保する根抵当権の民法第四六〇条第二号の場合における効力。
最高裁判所第一小法廷昭和34年6月25日昭和32(オ)420民集 第13巻6号810頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨主たる債務者の委託を受けた保証人が将来免責行為をしたときに取得すべき求償権を担保する為に、主債務の額を極度額とする根抵当権が設定されていた場合、その保証人は、主債務の弁済期の到来後は、まだ免責行為をしてなくても、先順位抵当権による競売手続において極度額まで配当要求をなし得る。
参照法条民法369条1項,民法460条2号本文,民法461条2項
連帯債務の相続。
最高裁判所第二小法廷昭和34年6月19日昭和32(オ)477民集 第13巻6号757頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである。
参照法条民法427条,民法432条,民法898条,民法899条
賃貸借の無権代理人が賃貸した土地を取得した場合の効力。
最高裁判所第一小法廷昭和34年6月18日昭和32(オ)1008民集 第13巻6号737頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨無権代理人甲が乙の所有地を丙に賃貸した後、乙からその土地の譲渡を受けて所有権を取得したときは、丙との賃貸借は、甲についてその効力を生ずるものと解すべきである。
参照法条民法113条,民法117条
共同債権者の一人に弁済受領の権限を認めない特約がある場合にその者になされた弁済の効力。
最高裁判所第一小法廷昭和34年6月11日昭和33(オ)945民集 第13巻6号704頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共同債権者甲乙と債務者丙との間に、甲に弁済受領の権限を認めない旨の特約をしている場合でも、丙が甲に対してなした弁済は、当該債権の弁済としてその効力を有する。
参照法条民法479条
法律上の保護に値しない契約と判定された事例。
最高裁判所第一小法廷昭和34年2月26日昭和30(オ)611民集 第13巻2号394頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨弁護士の提起した訴訟が控訴審に係属中、訴訟外の和解により控訴の取下をなすこととなつたが、同弁護士はかねて裁判所が判決をなす際に当事者の主張を作り上げる弊があることを不満としこれを是正するためとして、被告訴訟代理人たる弁護士との間で、一審判決に記載された権利濫用の抗弁を右被告代理人が主張したか否かにつき同人において記録を…
参照法条民法399条
債権の一部についてのみ判決を求める旨明示した訴の提起と消滅時効中断の範囲。
最高裁判所第二小法廷昭和34年2月20日昭和31(オ)388民集 第13巻2号209頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨明示して訴の提起があつた場合、訴提起による消滅時効中断の効力は、その一部の範囲においてのみ生じ残部におよばない。
参照法条民法147条,民訴法235条
財産分与の額および方法を定める時期。
最高裁判所第一小法廷昭和34年2月19日昭和32(オ)333民集 第13巻2号174頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨裁判上の離婚の場合においては、訴訟の最終口頭弁論当時における当事者双方の財産状態を考慮して、財産分与の額および方法を定めるべきである。
参照法条民法771条,民法768条
売買契約締結の代理人と契約取消の意思表示を受ける権限の有無
最高裁判所第二小法廷昭和34年2月13日昭和31(オ)144民集 第13巻2号105頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売買契約締結の代理権を授与された者は、特段の事情がないかぎり、相手方から、旧民法第八八七条に基く当該売買契約取消の意思表示を受ける権限をも有するものと解するのが相当である。
参照法条民法99条
改造途中の工作物を賃借人が建物として完成させた場合の附合の成否
最高裁判所第一小法廷昭和34年2月5日昭和31(オ)407民集 第13巻1号51頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨二階建アパートの階下の一画の区分所有権者が、これを賃貸の目的で改造するために取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、右工作物を、賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人において約旨に従い建物として完成させた場合には、賃借人の工事により附加された物の附合により、右建物は工作物所有者の所有に帰したもの…
参照法条民法242条,民法86条1項
占有回収の訴の成否。
最高裁判所第一小法廷昭和34年1月8日昭和33(オ)449民集 第13巻1号17頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨転借人を占有代理人として間接占有を有する債借人が占有を奪われたとするには、占有代理人の所持が意思に反して第三者によつて失わしめられた場合でなければならない。
参照法条民法200条
不足の弁済供託金を無留保で受領した場合の効力。
最高裁判所第一小法廷昭和33年12月18日昭和33(オ)119民集 第12巻16号3323頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金額に争のある債権につき、全額に対する弁済を供託原因として供託した金額が、債権者の主張する額に足らない場合であつても、債権者が供託書の交付を受けてその供託金を受領したときは、受領の際別段の留保の意思表示をなした等特別の事情のない限り、その債権の金額に対する弁済供託の効力を認めたものと解するのが相当である。
参照法条民法494条,民法496条
設立登記未了の会社の代表取締役として契約を締結した者の責任。
最高裁判所第二小法廷昭和33年10月24日昭和32(オ)483民集 第12巻14号3228頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨株式会社の設立を計画発起した者が、未だ設立登記をしないうちに、右会社の代表取締役として、第三者との間に、会社設立に関する行為に属しない契約を締結した場合、その者は、右第三者に対し、民法第一一七条の類推適用によつて責に任ずべきである。
参照法条民法117条,商法57条
不法行為により身体を害された被害者の母の慰藉料請求が認容された事例。
最高裁判所第三小法廷昭和33年8月5日昭和31(オ)215民集 第12巻12号1901頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不法行為により身体を害された者の母は、そのために被害者が生命を害されたときにも比肩すべき精神上の苦痛を受けた場合、自己の権利として慰藉料を請求しうるものと解するのが相当である。
参照法条民法709条,民法710条,民法711条
明認方法を施す以前立木が伐採された場合における伐木所有権の対抗力。
最高裁判所第三小法廷昭和33年7月29日昭和32(オ)42民集 第12巻12号1879頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨立木法の適用を受けない立木の買受人においてこれに明認方法を施さないうちに右立木が伐採された場合、右買受人は当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠缺を主張し得べき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもつてこれに対抗し得ないものと解すべきである。
参照法条民法177条,民法178条
一 人訴第四条の趣旨。 二 離婚訴訟と民訴第五六条適用の有無。 三 民法第七七〇条第一項第四号と同条第二項の法意。
最高裁判所第二小法廷昭和33年7月25日昭和28(オ)1389民集 第12巻12号1823頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 人訴第四条は、後見監督人または後見人が禁治産者の法定代理人としてその離婚訴訟を遂行することを認めたものではなく、その職務上の地位に基き禁治産者のため当事者として右訴訟を遂行しうることを認めた規定と解すべきである。 二 離婚訴訟については、民訴第五六条の適用がない。 三 民法第七七〇条第一項第四号と同条第二項は、単に…
参照法条人事訴訟手続法4条,民訴法56条,民法770条
一 組合財産共有の性質。 二 組合員の一人のなす登記抹消請求の許否。
最高裁判所第三小法廷昭和33年7月22日昭和31(オ)103民集 第12巻12号1805頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 組合財産についても、民法第六六七条以下において特別の規定のなされていない限り、民法第二四九条以下の共有の規定が適用される。 二 組合員の一人は、単独で、組合財産である不動産につき登記簿上の所有名義者たる者に対して登記の抹消を求めることができる。
参照法条民法第668条,民法第249条,民法252条,民法177条
強迫による意思表示と選択の自由。
最高裁判所第三小法廷昭和33年7月1日昭和31(オ)1100民集 第12巻11号1601頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨強迫による意思表示が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失つたことを要するものではない。
参照法条民法96条
特定物の売買と所有権移転の時期
最高裁判所第二小法廷昭和33年6月20日昭和31(オ)1084民集 第12巻10号1585頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売主の所有に属する特定物を目的とする売買においては、特にその所有権の移転が将来なされるべき約旨に出たものでないかぎり、買主に対し直ちに所有権移転の効力を生ずるものと解するを相当とする
参照法条民法176条
一 和解が要素の錯誤によつて無効とされた事例 二 契約の要素に錯誤があつた場合と民法第五七〇条の適用の有無
最高裁判所第一小法廷昭和33年6月14日昭和32(オ)1171民集 第12巻9号1492頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 仮差押の目的となつているジヤムが一定の品質を有することを前提として和解契約をなしたところ、右ジヤムが原判示の如き(原判決理由参照)粗悪品であつたときは、右和解は要素に錯誤があるものとして無効であると解すべきである 二 契約の要素に錯誤があつて無効であるときは、民法第五七〇条の瑕疵担保の規定の適用は排除される
参照法条民法696条,民法95条,民法570条
消費貸借における利息の発生時期
最高裁判所第二小法廷昭和33年6月6日昭和30(オ)911民集 第12巻9号1373頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨消費貸借における借主は、特約のない限り、契約成立の日から約定利息を支払うべき義務がある
参照法条民法404条,民法140条
一 家屋収去土地明渡の請求は家屋買取請求権の行使があつた場合に家屋の引渡を求める申立を含むか 二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合と判決主文
最高裁判所第二小法廷昭和33年6月6日昭和30(オ)993民集 第12巻9号1384頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 家屋収去土地明渡請求に対し家屋買取請求権の行使があつた場合、右明渡請求は家屋の引渡を求める申立を包含する趣旨と解すべきである 二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容するときは、引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきである
参照法条民訴法186条,民法295条
甲を代理して締結された売買契約について乙のなした追認が有効と認められた事例
最高裁判所第一小法廷昭和33年6月5日昭和30(オ)327民集 第12巻9号1296頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨家督相続開始の当時、被相続人の長男甲はすでに戦死しており、法律上、被相続人の長女乙が相続人であるにかかわらず、同人らの母は右戦死の事実を知らず、被相続人の所有に属していた係争不動産を甲において相続したものと考え、甲の代理人としてこれを第三者に売り渡す契約を締結した場合において、後日、真の家督相続人である乙が右売買契約を…
参照法条民法113条,民法116条
一 知事の許可を停止条件とする農地売買の効力 二 民法第五五七条にいわゆる「契約の履行に著手」したものと認められた事例
最高裁判所第一小法廷昭和33年6月5日昭和30(オ)995民集 第12巻9号1359頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 知事の許可を停止条件として締結された農地の売買契約は、無効ではない 二 土地の買主が約定の履行期後、売主に対し、しばしばその履行を求め、かつ売主において右土地の所有権移転登記手続をすれば、何時でも支払えるよう残代金の準備をしていたときは、民法第五五七条にいわゆる「契約の履行に著手」したものと認めるのが相当である
参照法条農地法3条1項本文,農地法3条4項,農地調整法4条1項,農地調整法4条5項,民法90条,民法557条
合資会社の社員の決議と社員に対する予めの通知の要否
最高裁判所第三小法廷昭和33年5月20日昭和31(オ)983民集 第12巻7号1086頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨合資会社の社員の決議については、予め社員に対し、相当期間を定めて決議事項を通知することは、法律上必要ではない
参照法条商法68条,商法86条1項,商法147条,商法232条1項,商法232条2項,民法62条
一 内縁不当破棄と不法行為の成否 二 内縁に民法第七六〇条の規定は準用されるか
最高裁判所第二小法廷昭和33年4月11日昭和32(オ)21民集 第12巻5号789頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し不法行為を理由として損害の賠償を求めることができる 二 民法第七六〇条の規定は、内縁に準用されるものと解すべきである
参照法条民法709条,民法760条
民法第一七八条の第三者にあたらない一事例
最高裁判所第二小法廷昭和33年3月14日昭和31(オ)1056民集 第12巻3号570頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲所有の動産が乙の占有にある間に乙の債権者丙によつて仮差押がなされたとしても、丙は、甲から所有権を譲り受けた丁に対し、引渡の欠缺を主張する正当の利益を有しない。
参照法条民法178条
一 債務不履行その他背信行為による賃貸借の解除と借家法第五条の適用の有無 二 物の引渡を求める訴訟において留置権の抗弁を認容する場合と判決主文
最高裁判所第一小法廷昭和33年3月13日昭和31(オ)966民集 第12巻3号524頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 借家法第五条は、賃貸借が賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため解除された場合には、その適用がないものと解すべきである。 二 物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。
参照法条借家法5条,民法295条
通行地役権時効取得における「継続」の要件
最高裁判所第二小法廷昭和33年2月14日昭和31(オ)311民集 第12巻2号268頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第二八三条にいう「継続」の要件をみたすには、承役地たるべき土地の上に通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地所有者によつてなされたことを要する。
参照法条民法283条
すでに解散した組合における組合員の死亡と民法第六七九条第一号の適用の有無
最高裁判所第一小法廷昭和33年2月13日昭和28(オ)66民集 第12巻2号211頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法第六七九条第一号の規程は、すでに解散した組合における組合員の死亡の場合に適用されない。
参照法条民法679条1号
宅地の附帯買収処分の効果は宅地上の樹木にも及ぶか
最高裁判所第一小法廷昭和33年2月13日昭和29(オ)565民集 第12巻2号227頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自作農創設特別措置法第一五条の規定により宅地を附帯買収する場合において、その宅地上に生立する樹木が、買収対価の算定上宅地自体の買収対価とは別に考慮を払うことを必要とする程度の価額を有するものであるときは、右宅地の買収処分の効果は、右樹木には及ばないと解するのが相当である。
参照法条民法86条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正法律)15条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正法律)6条2項,自作農創設特別措置法施行令11条,昭和22年5月4日農林省告示71号「宅地等の対価算定基準…
留置物の使用が物の保存に必要な範囲を超えた場合の必要費、有益費の支出とその償還請求権に基く留置権発生の有無
最高裁判所第二小法廷昭和33年1月17日昭和30(オ)452民集 第12巻1号55頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨留置権者が留置物について必要費、有益費を支出しその償還請求権を有するときは、物の保存に必要な範囲を超えた使用に基く場合であつたとしても、その償還請求権につき留置権の発生を妨げない。
参照法条民法295条,民法298条,民法299条
占有改定による占有の取得と民法第一九二条の不適用
最高裁判所第二小法廷昭和32年12月27日昭和30(オ)225民集 第11巻14号2485頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨占有改定により占有を取得したに止まるときは、民法第一九二条の適用はない。
参照法条民法192条
一 いわゆる無記名定期預金債権の性質 二 無記名定期預金の債権者の判定 三 無記名定期預金の債権者でない者が単に届出印鑑を使用してなした相殺の効力
最高裁判所第一小法廷昭和32年12月19日昭和29(オ)485民集 第11巻13号2278頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 いわゆる無記名定期預金債権は無記名債権でなく氏名債権に属する。 二 甲が乙に金員を交付して甲のため無記名定期預金の預入れを依頼し、よつて乙がその金員を無記名定期預金として預入れた場合、乙において右金員を横領し自己の預金としたものでない以上、その預入れにあたり、乙が、届出印鑑として乙の氏を刻した印鑑を使用し、相手方の…
参照法条民法666条,民法86条3項,民法467条1項,民法505条
民法第五六六条第二項の類推適用を妨ぐべき買主の悪意の程度
最高裁判所第一小法廷昭和32年12月12日昭和31(オ)899民集 第11巻13号2131頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売買の目的たる土地につき罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条により対抗力を有する賃借権が存する場合、買主において右対抗力発生の要件たる事実関係を知つていた以上、たとえ対抗力あることを知らなくても、民法第五六六条第二項を類推適用するにつき準用すべき同条第一項の「知ラザリシトキ」にあたらない。
参照法条民法566条,罹災都市借地借家臨時処理法10条
電信送金契約の性質
最高裁判所第二小法廷昭和32年12月6日昭和30(オ)58民集 第11巻13号2078頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨送金依頼人の委託に基く委託銀行と受託銀行との間の電信送金契約が、第三者のためにする契約であつてこれにより第三者たる送金受取人に直接受託銀行に対する権利を取得させる趣旨のものであるかどうかは、単に電信送金制度の目的からのみこれを決すべきではなく、右両行間に結ばれている電信送金に関する基本契約である電信為替取引契約の内容お…
参照法条民法537条
認知の訴において父子関係の存在が証明されたと認むべき一事例
最高裁判所第三小法廷昭和32年12月3日昭和29(オ)91民集 第11巻13号2009頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨認知の訴において、(イ)甲(原告)の母は、受胎可能の期間中乙(被告)と継続的に情交を結んだ事実があり(ロ)右期間中甲の母が乙以外の男と情交関係のあつた事情は認められず(ハ)乙は甲出生の頃甲の母を妻に迎えたい旨申入れた事実があり(ニ)血液型からすれば乙が甲の父であり得べきときは、他に別段の事情のないかぎり、乙は甲の父であ…
参照法条民法787条,民訴法185条,人事訴訟手続法29条ノ2
従前の代理人が代理権の消滅後従前の代理権の範囲に属しない行為をした場合と本人の責任
最高裁判所第二小法廷昭和32年11月29日昭和30(オ)299民集 第11巻12号1994頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理権の消滅後従前の代理人がなお代理人と称して従前の代理権の範囲に属しない行為をなした場合に、右代理権の消滅につき善意無過失の相手方が自称代理人の行為につきその権限があると信ずべき正当の理由を有するときは、当該の代理人と相手方との間になした行為につき、本人をしてその責に任ぜしめるのを相当とする。
参照法条民法110条,民法112条
地代家賃統制令違反の権利金の支払が非債弁済と認められた一事例
最高裁判所第二小法廷昭和32年11月15日昭和30(オ)468民集 第11巻12号1962頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨権利金の受領が地代家賃統制令により禁止されている場合において、借主が貸主に対し権利金の支払を約し、法律上その支払義務のないことを知りながらこれを支払つたときは、他に特段の事由のないかぎり、民法第七〇五条により、借主は右権利金の返還を請求することはできない。
参照法条地代家賃統制令12条の2,民法705条
権利能力のない労働組合に対する脱退組合員の財産分割請求権。
最高裁判所第一小法廷昭和32年11月14日昭和27(オ)96民集 第11巻12号1943頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨権利能力のない労働組合よりの脱退組合員は、その脱退が、組合分裂に基く場合であつても、当然には右組合に対し財産分割請求権を有しない。
参照法条労働組合法12条,民法72条
民法上の組合に類似するものとしてその財産に対し持分を肯定したことが違法とされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和32年10月31日昭和30(オ)729民集 第11巻10号1796頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨鰮網漁業を営むD網が「当初網を設立する際特定の社内が金銭、或は漁業に必要な設備、資材を出資したか否かに関係なく、設立後においては漁業経営に必要な施設及び資材は社内全員の権利(持分は平等)に属するものとされており、また、特定の者が社内となる場合には、他の社内全員の承認あれば足り、金銭その他の財産を出資することを要せず、ま…
参照法条民法667条,民法668条
最高裁 / 刑集登載3件
一 刑法上の直系尊属にあたらないとされた事例 二 刑法上の直系尊属としての養親の解釈について、民法上の追認に関する法理を容れる余地の有無
最高裁判所第三小法廷昭和38年12月24日昭和36(あ)2486刑集 第17巻12号2537頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 戸籍上、被告人の養子縁組につき、その代諾権者とされている者が真実の親権者でないときは、右縁組は、適法な届出を欠くものとして、人事訴訟による確定または戸籍の訂正をまたず、無効であり、しかも、被告人が犯行前において右無効原因を認識して右縁組を追認したと認めることができないときは、被告人と事実上の養親との生活事実の如何に…
参照法条刑法200条,民法797条,民法802条,民法113条,民法807条,民法119条
賍物罪の成立と民法第一九二条。
最高裁判所第二小法廷昭和34年2月9日昭和31(あ)3533刑集 第13巻1号76頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨賍物に対する罪は、被害者が民法の規程によりその物の回復を請求する権利を失わない以上、その物につき成立し得る。
参照法条刑法256条,民法192条,民法193条
設立中の株式会社の財産について横領罪の成立する一事例
最高裁判所第一小法廷昭和32年12月19日昭和28(あ)5403刑集 第11巻13号3316頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨株式会社設立のため出資された資金によつて建設された建物が、会社設立前でも出資者の組合財産であると認められる場合は、その組合の事業を委されている者がこれを自己名義に保存登記をした上、自己の債務の弁済に供するため他に譲渡した場合は横領罪を構成する。
参照法条刑法252条,民法667条,民法668条,商法535条,商法536条
該当する裁判例がありません。