この条文が出てくる場面
原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 法律行為の当事者は、法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示することができる。
- その場合、法令の規定ではなく当事者が表示した意思に従う。
- 対象となるのは法令中の規定のうち公の秩序に関しないものに限られる。
- 公の秩序に関する規定と異なる意思表示については本条の対象外である。
第91条の要件
原文解釈横スクロールできます| 区分 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 対象規定 | 法令中の公の秩序に関しない規定 | 当事者の異なる意思表示があればその意思に従う |
| 主体 | 法律行為の当事者 | 当該規定と異なる意思を表示することができる |
| 要件 | 当事者が異なる意思を表示したこと | その意思に従う |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定民法損害賠償請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和50(オ)1190
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年11月25日 棄却
- 登載
- 民集 第30巻10号960頁
- 参照法条
- 民法91条,民法519条,商法569条,商法577条,商法581条,商法629条,商法662条
- 判示事項
- 「運送人は保険に付された危険によつて生じた貨物の滅失等については損害賠償の責めに任じない」旨の港湾運送約款の解釈
裁判要旨港湾運送契約の締結に際し、荷送人が、貨物を海上保険に付したうえ、運送人との間で港湾運送約款に基づき「運送人は、保険に付された危険によつて生じた貨物の滅失等については、損害賠償の責めに任じない。」旨の合意をした場合でも、特段の事情のない限り、被保険者である荷送人は、保険金額の範囲内の損害につき、貨物滅失に基づく運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄したものではないと解すべきである。
民法売買代金、同反訴請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和48(オ)558
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年2月25日 破棄差戻
- 登載
- 民集 第29巻2号168頁
- 参照法条
- 民法91条,民法506条1項,民法566条,民法570条
- 判示事項
- 買主が売主に対し民法五七〇条に基づく損害賠償の請求をするとともに該請求権を自働債権とする相殺の意思表示をしたものと解された事例
裁判要旨単価を六五円とする穀用かますの売買契約において引き渡された一二万八一〇〇枚につき、買主が売主にあてて、右かますに欠陥があることを具体的に指摘したうえ、穀用かますとしての商品価値が認められず、一枚当り二〇円、数量一二万八一〇〇枚、この代金二五六万二〇〇〇円としての減価採用で精算させていただく等判示のような記載のある書面を送付したときは、特別の事情がないかぎり、買主は、売主に対し、受領物の瑕疵に基づく損害賠償の請求をするとともに、該請求権を自働債権とし売買代金債権を受働債権とする相殺の意思表示をしたものと解すべきである。
民法退職金請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和44(オ)1073
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年1月19日 棄却
- 登載
- 民集 第27巻1号27頁
- 参照法条
- 労働基準法11条,労働基準法24条1項,民法91条,民法519条
- 判示事項
- 一、賃金にあたる退職金債権放棄の効力 二、賃金にあたる退職金債権の放棄が労働者の自由な意思に基づくものとして有効とされた事例
裁判要旨一、賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である。
二、甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。
二、甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。
実務注記
原文解釈- 対象規定の限定を確認する本条が適用されるのは「法令中の公の秩序に関しない規定」に限られる。公の秩序に関する規定であるかどうかの当てはめは条文自体からは判断できない。
- 当事者の意思表示の有無を確認する本条の効果は「その意思に従う」ことであり、適用の前提として当事者が法令中の規定と異なる意思を「表示したとき」であることが必要である。
- 意思表示がない場合の扱いに留意する条文は当事者が異なる意思を表示した場合の効果のみを定めており、表示がない場合にどうなるかは条文上明記されていない。
条文原文
原文ママ民法 第91条(任意規定と異なる意思表示)
(任意規定と異なる意思表示)
第九十一条法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 民法 第91条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。