概要
原文解釈- 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、原則としてその効力を妨げられない。
- ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は無効となる。
- この無効は、善意の第三者に対抗することができない。
民法93条の要件整理
原文解釈横スクロールできます| 区分 | 意思表示の効力 | 要件 |
|---|---|---|
| 原則(第1項本文) | 効力を妨げられない(有効) | 表意者がその真意ではないことを知ってした意思表示であること |
| 例外(第1項ただし書) | 無効 | 相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたとき |
| 例外の制限(第2項) | 善意の第三者に対抗することができない | 前項ただし書の規定による意思表示の無効であること/第三者が善意であること |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定民法約束手形金請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和42(オ)602
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年4月3日 棄却
- 登載
- 民集 第23巻4号737頁
- 参照法条
- 手形法77条1項1号,手形法17条,民法43条,民法93条,農業協同組合法10条
- 判示事項
- 一、代理人が権限を濫用して振り出した約束手形と第三取得者に対する本人の手形抗弁 二、手形行為は農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれるか
裁判要旨一、代理人が自己または第三者の利益をはかるため、代理権限を濫用して約束手形を振り出した場合において、権限濫用の事実を知りまたは知りうべかりし状態で右手形の交付を受けた受取人が、これを他に裏書譲渡したときは、本人は、手形法一七条但書の規定により、第三取得者が受取人の右知情について悪意であることを立証した場合にかぎり、右第三取得者に対する手形上の責任を免れることができると解するのが相当である。
二、手形行為は、農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれる。
二、手形行為は、農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれる。
民法約束手形金請求
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 昭和42(オ)694
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和44年11月14日 破棄差戻
- 登載
- 民集 第23巻11号2023頁
- 参照法条
- 民法93条但書,民法94条2項,手形法77条3項,手形法32条
- 判示事項
- 代理人が権限を濫用して約束手形の振出人のためにした手形上の保証と手形受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えた国に対する保証人の責任
裁判要旨代理人が、自己の利益をはかるため、代理権限を濫用して、約束手形の振出人のために、本人名義で手形上の保証をした場合において、代理人から手形の交付を受けた手形受取人が権限濫用の事実を知りうべきであったときは、受取人に対する国税滞納処分として右手形を差し押えて占有するに至つた国において、差押当時受取人の知情の点につき善意であつたことを主張立証しないかぎり、本人である保証人は、国に対し、手形上の保証による責任を負わない。
実務注記
原文解釈- 原則は有効であることの確認表意者が真意ではないと知ってした意思表示でも、原則としてその効力は妨げられない(第1項本文)。
- 相手方の主観要件は二通り無効となるのは、相手方が「知り」又は「知ることができたとき」のいずれかに該当する場合であり、条文はこの二つの態様を並列で規定している(第1項ただし書)。
- 無効の対象は第1項ただし書の場合に限定第2項が対抗を制限しているのは「前項ただし書の規定による意思表示の無効」であり、条文上その範囲に限定されている。
- 善意の第三者には対抗不可第1項ただし書による無効は、善意の第三者に対抗することができない(第2項)。
条文原文
原文ママ民法 第93条(心裡留保)
(心裡留保)
第九十三条意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 民法 第93条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。