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判例・論点索引

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最高裁 / 民集登載249件

商標権侵害の主張が権利の濫用に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成2年7月20日昭和60(オ)1576民集 第44巻5号876頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨漫画の主人公の観念、称呼を生じさせる登録商標の商標登録出願当時、既にその主人公の名称が漫画から想起される人物像と不可分一体のものとして世人に親しまれていた場合において、右主人公の名称の文字のみから成る標章が右漫画の著作権者の許諾に基づいて商品に付されているなど判示の事情の下においては、右登録商標の商標権者が右標章につき…
参照法条商標法25条,商標法37条,民法1条3項

売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記に後れる抵当権者と予約完結権の消滅時効の援用

最高裁判所第三小法廷平成2年6月5日昭和63(オ)357民集 第44巻4号599頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記の経由された不動産につき抵当権の設定を受け、その登記を経由した者は、予約完結権の消滅時効を援用することができる。
参照法条民法145条,民法369条,民法556条

土地を目的とする一番抵当権設定当時土地と地上建物の所有者が異なつていたが後順位抵当権設定当時同一人の所有に帰していた場合と法定地上権の成否

最高裁判所第二小法廷平成2年1月22日昭和62(オ)452民集 第44巻1号314頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地を目的とする一番抵当権設定当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかつた場合には、土地と建物が同一人の所有に帰した後に後順位抵当権が設定されたとしても、抵当権の実行により一番抵当権が消滅するときは、法定地上権は成立しない。
参照法条民法388条

公立小学校における通知表の交付をめぐる混乱についての批判、論評を主題とするビラの配布行為が名誉侵害としての違法性を欠くとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成元年12月21日昭和60(オ)1274民集 第43巻12号2252頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨公立小学校教師の氏名・住所・電話番号等を記載し、かつ、有害無能な教職員等の表現を用いた大量のビラを繁華街等で配布した場合において、右ビラの内容が、一般市民の間でも大きな関心事になつていた通知表の交付をめぐる混乱についての批判、論評を主題とする意見表明であつて、専ら公益を図る目的に出たものに当たらないとはいえず、その前提…
参照法条民法709条,民法723条,刑法230条ノ2第1項,刑法230条ノ2第3項

前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条項の一部が公序に反し無効とされた事例

最高裁判所第一小法廷平成元年12月14日昭和58(オ)1542民集 第43巻12号1895頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨すべての原因による不就労を基礎として算出した前年の稼働率が八〇パーセント以下の従業員を翌年度のベースアップを含む賃金引上げの対象者から除外する旨の労働協約条項は、そのうち労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は有効であるが、右各権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎とする部分…
参照法条民法90条,労働基準法39条,労働基準法65条,労働基準法66条,労働基準法67条,労働基準法68条,労働基準法76条,労働組合法第2章,労働組合法14条,労働組合法16条,憲法28条

ユニオン・ショップ協定の効力

最高裁判所第一小法廷平成元年12月14日昭和60(オ)386民集 第43巻12号2051頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。
参照法条憲法28条,民法90条,労働組合法2章,労働組合法3章

離婚請求を認容するに際し親権者の指定とは別に子の監護者の指定をしない場合と監護費用の支払命令

最高裁判所第二小法廷平成元年12月11日昭和63(オ)270民集 第43巻12号1763頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨裁判所は、離婚請求を認容するに際し、親権者の指定とは別に子の監護者の指定をしない場合であっても、申立により、監護費用の支払を命ずることができる。
参照法条人事訴訟手続法15条1項,民法766条1項,民法771条

一 独占禁止法二五条一項に定める違反行為によって損害を被ったことと民法上の不法行為に基づく損害賠償請求 二 消費者が独占禁止法三条にいう「不当な取引制限」に当たる価格協定による損害の賠償を民法上の不法行為に基づき請求する訴訟において価格協定…

最高裁判所第二小法廷平成元年12月8日昭和60(オ)933民集 第43巻11号1259頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 独占禁止法二五条一項に定める違反行為によって損害を被った者は、その行為が民法上の不法行為に該当する限り、同法の規定に基づき損害賠償の請求をすることができる。 二 消費者が事業者に対し、独占禁止法三条にいう「不当な取引制限」に当たる価格協定による損害の賠償を民法上の不法行為に基づき請求する訴訟において、価格協定の実施…
参照法条民法709条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律3条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条,私的独占の禁止及…

共有者の一人が相続人なくして死亡したときとその持分の帰すう

最高裁判所第二小法廷平成元年11月24日昭和63(行ツ)40民集 第43巻10号1220頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法九五八条の三に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、同法二五五条〈証券発行新株予約権の譲渡〉により他の共有者に帰属する。 (反対意見がある。)
参照法条民法255条,民法958条の3

検察官を被告とする認知の確定判決に対する再審の訴えと認知を求められた亡父の子の原告適格

最高裁判所第二小法廷平成元年11月10日昭和59(オ)1122民集 第43巻10号1085頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨検察官を被告とする認知の訴えにおいて認知を求められた亡父の子は、右訴えの確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有しない。
参照法条民法786条,民法787条,民訴法420条

抵当権の物上代位と抵当不動産について供託された賃料の還付請求権

最高裁判所第二小法廷平成元年10月27日昭和60(オ)1270民集 第43巻9号1070頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法三七二条、三〇四条の規定の趣旨に従い、賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができる。
参照法条民法304条,民法372条,民法494条

不動産強制競売手続において抵当権者がする債権の届出と時効の中断

最高裁判所第二小法廷平成元年10月13日平成1(オ)653民集 第43巻9号985頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しない。
参照法条民法147条,民法149条,民法152条,民事執行法50条

建築基準法六五条所定の建築物の建築と民法二三四条一項の適用の有無

最高裁判所第三小法廷平成元年9月19日昭和58(オ)1413民集 第43巻8号955頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建築基準法六五条所定の建築物の建築には、民法二三四条一項は適用されない。
参照法条建築基準法65条,民法234条1項

抵当権と併用して賃借権設定仮登記を経由した者の後順位短期賃借権者に対する明渡請求の可否

最高裁判所第二小法廷平成元年6月5日昭和61(オ)1454民集 第43巻6号355頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当権と併用して抵当不動産につき賃借権設定の予約をしその仮登記を経由した者が、予約完結権を行使して賃借権の本登記を経由しても、後順位の短期賃借権者に対し右不動産の明渡を求めることは、右短期賃貸借の解除請求とともにする場合であつてもできない。
参照法条民法395条,民法602条,民法605条

使用者の損害賠償債務の履行と労働者災害補償保険法に基づく保険給付請求権の代位取得

最高裁判所第一小法廷平成元年4月27日昭和59(オ)3民集 第43巻4号278頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨労働者の業務上の災害に関して損害賠償債務を履行した使用者は、賠償された損害に対応する労働者災害補償保険法に基づく保険給付請求権を代位取得しない。
参照法条民法422条,労働基準法84条2項,労働者災害補償保険法67条

一 自動車損害賠償保障法三条に基づく損害賠償債権及び債務が混同したときと同法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額支払請求権の帰すう 二 自動車損害賠償保障法三条に基づく損害賠償債権及び債務が混同したときと同法一五条に基づく保…

最高裁判所第一小法廷平成元年4月20日昭和60(オ)217民集 第43巻4号234頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 自動車損害賠償保障法三条による被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する損害賠償債務が同一人に帰したときは、同法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権は消滅する。 二 自動車損害賠償保障法三条による被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する損害賠償債務が…
参照法条自動車損害賠償保障法15条,自動車損害賠償保障法16条1項,民法520条

認知者の死亡後における認知無効の訴えの許否

最高裁判所第一小法廷平成元年4月6日昭和62(オ)1568民集 第43巻4号193頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨認知者が死亡した後でも、被認知者は、検察官を相手方として、認知無効の訴えを提起することができる。
参照法条民法786条,人事訴訟手続法2条3項,人事訴訟手続法32条3項

共同相続人間における遺産確認の訴えと固有必要的共同訴訟

最高裁判所第三小法廷平成元年3月28日昭和60(オ)727民集 第43巻3号167頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
参照法条民訴法62条,民訴法225条,民法898条

自筆遺言証書における押印と指印

最高裁判所第一小法廷平成元年2月16日昭和62(オ)1137民集 第43巻2号45頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自筆遺言証書における押印は、指印をもつて足りる。
参照法条民法968条1項

遺産分割協議と民法五四一条による解除の可否

最高裁判所第一小法廷平成元年2月9日昭和59(オ)717民集 第43巻2号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が右協議において負担した債務を履行しないときであつても、その債権を有する相続人は、民法五四一条によつて右協議を解除することができない。
参照法条民法541条,民法907条,民法909条

競売手続において抹消された所有権に関する仮登記の権利者かち仮登記の後に登記を経由した抵当権者に対する代価の不当利得返還請求の可否

最高裁判所第一小法廷昭和63年12月1日昭和61(オ)532民集 第42巻10号719頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨先に登記を経由した抵当権者に対抗することができないために競売手続において抹消された所有権に関する仮登記の権利者は、仮登記の後に登記を経由した抵当権者に対して、不当利得を理由として、その者が交付を受けた代価の返還を請求することはできない。
参照法条民法703条,競売法33条,民事執行法84条,民事執行法188条,不動産登記法105条1項,不動産登記法146条1項,仮登記担保契約に関する法律15条2項

被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否

最高裁判所第二小法廷昭和63年7月1日昭和60(オ)1145民集 第42巻6号451頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。
参照法条民法442条,民法715条,民法719条

第三者所有の不動産に設定された抵当権が不存在であるにもかかわらず右抵当権の実行により債権者に対してされた弁済金の交付と不当利得の成否

最高裁判所第二小法廷昭和63年7月1日昭和62(オ)1057民集 第42巻6号477頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権者が第三者所有の不動産の上に設定を受けた抵当権が不存在である.にもかかわらず、右抵当権の実行により第三者が不動産の所有権を喪失したときは、第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた右債権者に対し不当利得返還請求権を有する。
参照法条民法703条,民事執行法84条,民事執行法184条,民事執行法188条

一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合と仮処分債務者の仮払金返還請求権 二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟と仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁の許…

最高裁判所第三小法廷昭和63年3月15日昭和58(オ)1406民集 第42巻3号170頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合には、本案訴訟が未確定であり、又は従業員としての地位保全の仮処分が同時に発せられていたときであつても、仮処分債務者は、特段の事情がない限り、仮処分債権者に対し仮払金の返還請求権を取得し、その返還義務の範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきで…
参照法条民法505条,民法703条,民法704条,民訴法198条2項,民訴法199条2項,民訴法231条,民訴法756条ノ2,民訴法760条

第三者の提起する養子縁組無効の訴えと訴えの利益の有無

最高裁判所第三小法廷昭和63年3月1日昭和59(オ)236民集 第42巻3号157頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨第三者の提起する養子縁組無効の訴えは、養子縁組が無効であることによりその者が自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは、訴えの利益を欠く。
参照法条民法802条,民訴法225条,人事訴訟手続法2条2項,人事訴訟手続法18条1項,人事訴訟手続法24条,人事訴訟手続法26条

抵当権者に対抗することができない農地の賃貸借が抵当権者に損害を及ぼすときと民法三九五条但書の準用による賃貸借の解除請求

最高裁判所第三小法廷昭和63年2月16日昭和61(オ)857民集 第42巻2号93頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当権者に対抗することができない農地の賃貸借であつても、所轄農業委員会等により当該賃借人以外の者に競買適格証明書を交付しない取扱いがされているため競買申出人が右賃借人に限定され、その結果、抵当権者に損害を及ぼすときに限り、抵当権者は、民法三九五条但書の準用により右賃貸借の解除を請求することができる。
参照法条民法395条,農地法3条2項1号(昭和54年法律第5号による改正前のもの)

不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合と弁済充当の方法

最高裁判所第二小法廷昭和62年12月18日昭和62(オ)893民集 第41巻8号1592頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合には、弁済充当の指定に関する特約があつても、その配当金は、民法四八九条ないし四九一条の規定に従つて右数個の債権に充当される。
参照法条民法488条,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条,民事執行法188条

請負人の破産と破産法五九条の適用

最高裁判所第一小法廷昭和62年11月26日昭和59(オ)521民集 第41巻8号1585頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨請負人が破産宣告を受けた場合には、当該請負契約の目的である仕事が請負人以外の者において完成することのできない性質のものでない限り、右契約について破産法五九条が適用される。
参照法条破産法59条,民法632条

一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力 二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴…

最高裁判所第三小法廷昭和62年11月10日昭和57(オ)1408民集 第41巻8号1559頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対…
参照法条民法85条,民法178条,民法181条,民法183条,民法333条,民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,競売法3条

手形金請求の訴えの提起と原因債権の消滅時効の中断

最高裁判所第二小法廷昭和62年10月16日昭和60(オ)965民集 第41巻7号1497頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債務の支払のために手形の交付を受けた債権者が債務者に対して手形金請求の訴えを提起したときは、原因債権についても消滅時効中断の効力を生ずる。 (意見がある。)
参照法条民法147条1号,民法149条,民訴法235条

無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効の起算点

最高裁判所第一小法廷昭和62年10月8日昭和58(オ)457民集 第41巻7号1445頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づき当該土地の使用収益を開始した時から進行する。
参照法条民法166条1項,民法612条2項

運筆について他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言と民法九六八条一項にいう「自書」の要件

最高裁判所第一小法廷昭和62年10月8日昭和58(オ)733民集 第41巻7号1471頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨運筆について他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言が民法九六八条一項にいう「自書」の要件を充たすためには、遺言者が証書作成時に自書能力を有し、かつ、右補助が遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされていて単に筆記を容易にするための支えを借りたにとどまるなど添え手を…
参照法条民法968条1項

一 労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」と民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」 二 部分ストライキのため会社が命じた休業が労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものとはいえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和62年7月17日昭和57(オ)1189民集 第41巻5号1283頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」は、民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む。 二 定期航空運輸事業を営む会社に職業安定法四四条違反の疑いがあつたことから、労働組合がその改善を要求して部分ストライキを行つた場合であつても、同社がストライキに先…
参照法条労働基準法26条,民法536条2項

部分ストライキと民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」

最高裁判所第二小法廷昭和62年7月17日昭和57(オ)1190民集 第41巻5号1350頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨部分ストライキによつてストライキ不参加労働者の労働義務の履行が不能となつた場合は、使用者が不当労働行為の意思その他不当な目的をもつてことさらストライキを行わしめたなどの特別の事情がない限り、右ストライキは民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」に当たらない。
参照法条民法536条2項

労働者災害補償保険法による休業補償給付若しくは傷病補償年金又は厚生年金保険法(昭和六〇年法律第三四号による改正前のもの)による障害年金を被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除することの可否

最高裁判所第二小法廷昭和62年7月10日昭和58(オ)128民集 第41巻5号1202頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨労働者災害補償保険法による休業補償給付若しくは傷病補償年金又は厚生年金保険法(昭和六〇年法律第三四号による改正前のもの)による障害年金は、被害者の受けた財産的損害のうちの積極損害又は精神的損害から控除すべきでない。
参照法条労働基準法84条2項,労働者災害補償保険法12条の4,労働者災害補償保険法14条,労働者災害補償保険法18条,厚生年金保険法40条,厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条,民法709条,民法710条

一 民法一一七条二項にいう「過失」と重大な過失 二 無権代理人が民法一一七条一項所定の責任を免れる事由として表見代理の成立を主張することの許否

最高裁判所第三小法廷昭和62年7月7日昭和60(オ)289民集 第41巻5号1133頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 民法一一七条二項にいう「過失」は、重大な過失に限定されるものではない。 二 無権代理人は、民法一一七条一項所定の責任を免れる事由として、表見代理の成立を主張することはできない。
参照法条民法109条,民法110条,民法113条,民法117条1項,民法117条2項

一 人格権又は条理を根拠とするいわゆる反論文掲載請求権の成否 二 新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例

最高裁判所第二小法廷昭和62年4月24日昭和55(オ)1188民集 第41巻3号490頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 新聞記事に取り上げられた者は、当該新聞紙を発行する者に対し、その記事の掲載により名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、人格権又は条理を根拠として、右記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修正かつ無料で掲載することを求めることはできない。 二 新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的…
参照法条憲法21条,民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条ノ2

一 遺言執行者がある場合と遺贈の目的物についての受遺者の第三者に対する権利行使 二 民法一〇一三条に違反してされた相続人の処分行為の効力 三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前と民法一〇一三条にいう「遺言執行者がある場合」

最高裁判所第一小法廷昭和62年4月23日昭和61(オ)264民集 第41巻3号474頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 遺言者の所有に属する特定の不動産の受遺者は、遺言執行者があるときでも、所有権に基づき、右不動産についてされた無効な抵当権に基づく担保権実行としての競売手続の排除を求めることができる。 二 遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効である。 三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾す…
参照法条民法1012条,民法1013条,民事執行法38条,民事執行法194条

海と民法八六条一項にいう土地

最高裁判所第三小法廷昭和61年12月16日昭和55(行ツ)147民集 第40巻7号1236頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨海は、民法施行当時特定の者が排他的総括支配権を取得していたときを除いては、同法八六条一項にいう土地に当たらない。
参照法条民法85条,民法86条1項,不動産登記法1条

保証人・物上保証人の両資格を兼ねる者と弁済による代位の割合

最高裁判所第一小法廷昭和61年11月27日昭和57(オ)749民集 第40巻7号1205頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨保証人又は物上保証人とその両資格を兼ねる者との間の弁済による代位の割合は、両資格を兼ねる者も一人として、全員の頭数に応じた平等の割合であると解するのが相当である。
参照法条民法501条

不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和61年11月20日昭和61(オ)946民集 第40巻7号1167頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨妻子のある男性がいわば半同棲の関係にある女性に対し遺産の三分の一を包括遺贈した場合であつても、右遺贈が、妻との婚姻の実体をある程度失つた状態のもとで右の関係が約六年間継続したのちに、不倫な関係の維持継続を目的とせず、専ら同女の生活を保全するためにされたものであり、当該遺言において相続人である妻子も遺産の各三分の一を取得…
参照法条民法90条,民法964条

将来の賃料相当損害金の請求を認容する判決が確定した場合においてその後公租公課の増大等により認容額が不相当となつたときと損害金の追加請求

最高裁判所第一小法廷昭和61年7月17日昭和56(オ)756民集 第40巻5号941頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨従前の土地の所有者は、仮換地の不法占拠者に対し、将来の賃料相当損害金の請求を認容する確定判決を得た場合においても、その事実審口頭弁論終結後に、公租公課の増大、土地の価格の昂騰により、又は比隣の土地の賃料に比較して、認容額が不相当となつたときは、新訴により、認容額と適正賃料額との差額に相当する損害金の支払を求めることがで…
参照法条民訴法199条,民訴法226条,民法709条

一 上告審における被告の破産と破産債権確定訴訟への訴えの変更 二 指名債権が二重に譲渡された場合に対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済と民法四七八条の適用 三 二重に譲渡された指名債権の債務者が対抗要件を後れて具備した譲受人に対…

最高裁判所第二小法廷昭和61年4月11日昭和57(オ)272民集 第40巻3号558頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 給付訴訟の上告審係属中に被告が破産宣告を受け破産管財人が訴訟手続を受継した場合には、原告は、上告審において、右給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更することができる。 二 指名債権が二重に譲渡された場合に、民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済についても、同法四七八条〈清算人の就任〉の適用がある。 三…
参照法条民訴法232条,破産法244条1項,破産法246条1項,民法467条,民法478条

一、民法九二一条三号にいう相続財産と相続債務 二、限定承認に伴う清算手続の未了と民法九二九条違反の弁済による損害額の算定

最高裁判所第一小法廷昭和61年3月20日昭和57(オ)274民集 第40巻2号450頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、民法九二一条三号にいう相続財産には相続債務も含まれる。 二、民法九二九条に違反する弁済による損害額は、限定承認に伴う清算手続が未だ完了していない場合であつても、同法九二七条一項〈継続の登記〉所定の期間が満了したのちは、算定が不能であるとはいえない。
参照法条民法921条3号,民法927条1項,民法929条,民法934条

農地の売買に基づく県知事に対する所有権移転許可申請協力請求権の消滅時効期間の経過後に右農地が非農地化した場合における所有権の移転及び非農地化後にされた時効援用の効力の有無

最高裁判所第二小法廷昭和61年3月17日昭和59(オ)211民集 第40巻2号420頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農地の売買に基づく県知事に対する所有権移転許可申請協力請求権の消滅時効期間が経過してもその後に右農地が非農地化した場合には、買主に所有権が移転し、非農地化後にされた時効の援用は効力を生じない。
参照法条民法145条,民法167条1項,農地法3条1項

遺産確認の訴えの適法性

最高裁判所第一小法廷昭和61年3月13日昭和57(オ)184民集 第40巻2号389頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共同相続人間において特定の財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、適法である。
参照法条民訴法225条,民法898条

代位弁済者の債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付請求を認容する場合と判決主文における求償権の表示

最高裁判所第一小法廷昭和61年2月20日昭和58(オ)881民集 第40巻1号43頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。
参照法条民法501条,民訴法191条

一 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条にいう「善意」の意義 二 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条の「善意」の主張・立証責任 三 漁業協同組合の理事の行為と民法一一〇条の類推適用

最高裁判所第二小法廷昭和60年11月29日昭和57(オ)1392民集 第39巻7号頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条にいう「善意」とは、理事の代表権に制限を加える定款の規定又は総会の決議の存在を知らないことをいうと解すべきである。 二 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条の「善意」の主張・立証責任は第三者にあるものと解すべきである。 三 第三者が水産業協同組合法四五条の準用する民法…
参照法条水産業協同組合法45条,民法53条,民法54条,民法110条

贈与者の第三者あて内容証明郵便が民法五五〇条にいる書面に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和60年11月29日昭和57(オ)942民集 第39巻7号1719頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲から不動産を取得した乙がこれを丙に贈与した場合において、乙が、司法書士に依頼して、登記簿上の所有名義人である甲に対し、右不動産を丙に譲渡したので甲から直接丙に所有権移転登記をするよう求める旨の内容証明郵便を差し出したなど判示の事情があるときは、右内容証明郵便は、民法五五〇条にいう書面に当たる。
参照法条民法550条

仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者と当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効の援用

最高裁判所第三小法廷昭和60年11月26日昭和57(オ)578民集 第39巻7号1701頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者は、当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
参照法条民法145条,民法369条,民法482条

一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたのちの先取特権者による物上代位権の行使 二 優先権を有する債権者の得た転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の…

最高裁判所第二小法廷昭和60年7月19日昭和58(オ)1548民集 第39巻5号1326頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 先取特権者による物上代位権行使の目的となる債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、そののちに先取特権者が右債権に対し物上代位権を行使することを妨げない。 二 転付命令が第三債務者に送達される時までに転付命令に係る金銭債権について他の債権者が差押、仮差押の執行又は配当要求をした場合でも、転…
参照法条民法304条1項但書,民事執行法90条,民事執行法143条,民事執行法156条2項,民事執行法159条3項,民事執行法178条

一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣 二 …

最高裁判所第一小法廷昭和60年5月23日昭和56(オ)1175民集 第39巻4号940頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けたときは、乙不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した甲不動産に対する一番抵当権から甲不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受け…
参照法条民法304条,民法351条,民法372条,民法392条2項,民法500条,民法501条,民法502条1項

身元保証に関する法律五条に基づいて定められた賠償額を弁済した身元保証人から他の身元保証人に対してする求償請求を認容すべき限度

最高裁判所第一小法廷昭和60年5月23日昭和57(オ)1017民集 第39巻4号972頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨連帯保証の性質を有する身元保証をした甲乙二名のうち甲のみにつき身元保証に関する法律五条に基づいて賠償額が定められ、甲がこれを弁済したのち乙に求償請求をした場合には、裁判所は、同条により乙の賠償額を定め、これと甲の賠償額との合算額が主債務額を超えるときにおいてのみ、甲の弁済額のうち、主債務額をそれぞれの賠償額に応じて按分…
参照法条身元保証に関する法律5条,民法465条1項

いわゆる在籍出向中の労働者に対する復帰命令と当該労働者の同意の要否

最高裁判所第二小法廷昭和60年4月5日昭和56(オ)856民集 第39巻3号675頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨使用者が労働者に対し、雇用契約上の身分を保有させながら第三者の指揮監督の下に労務を提供させる形態のいわゆる在籍出向を命じている場合に、右出向関係を解消して復帰を命ずるためには、特段の事由のない限り、当該労働者の同意を得ることを必要としない。
参照法条民法625条1項

主たる債務者に対しいわゆる事前求償権を取得した保証人が主たる債務の弁済等により取得する求償権の消滅時効の起算点

最高裁判所第三小法廷昭和60年2月12日昭和59(オ)885民集 第39巻1号89頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨主たる債務者から委託を受けた保証人が、主たる債務者に対し、民法四五九条一項前段若しくは同法四六〇条の規定又は主たる債務者との合意に基づき、いわゆる事前求償権を取得した場合であつても、右保証人が弁済その他自己の出捐をもつて主たる債務を消滅させるべき行為をしたことにより同法四五九条一項後段の規定に基づいて取得する求償権の消…
参照法条民法166条1項,民法459条1項,民法460条

公営住宅の明渡請求と信頼関係の法理の適用

最高裁判所第一小法廷昭和59年12月13日昭和57(オ)1011民集 第38巻12号1411頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨公営住宅の入居者が公営住宅法二二条一項所定の明渡請求事由に該当する行為をした場合であつても、賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情があるときは、事業主体の長がした明渡請求は効力を生じない。
参照法条公営住宅法22条,民法541条,民法601条

離婚に伴う財産分与請求を認めない大韓民国の民法を適用することが法例三〇条にいう「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗」に反するとして許されない場合

最高裁判所第二小法廷昭和59年7月20日昭和57(オ)56民集 第38巻8号1051頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨大韓民国法を準拠法とする離婚に伴う財産分与及び慰藉料請求において、財産分与請求を認めない同国の民法のもとで有責配偶者が支払うべきものとされる慰藉料の額がわが国の離婚給付の社会通念に照らして著しく低額であると認められる場合には、右財産分与請求につき同法を適用することは、法例三〇条にいう「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗」に反するも…
参照法条法例30条,民法768条,民法771条,大韓民国民法806条1項,大韓民国民法806条2項,大韓民国民法843条

一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲 二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

最高裁判所第三小法廷昭和59年5月29日昭和55(オ)351民集 第38巻7号885頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使す…
参照法条民法442条2項,民法459条,民法501条

農地の取得時効につき無過失であつたとはいえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和59年5月25日昭和58(オ)1064民集 第38巻7号764頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農地の譲受人が、当該譲渡について必要な農地調整法(昭和二四年法律第二一五号による改正前のもの)四条一項所定の知事の許可を受けていないときは、特段の事情のない限り、右農地を占有するに当たつてこれを自己の所有と信じても、無過失であつたとはいえない。
参照法条民法162条2項,農地調整法(昭和24年法律215号による改正前のもの)4条1項,農地調整法(昭和24年法律215号による改正前のもの)4条3項,農地法3条1項,農地法3条4項

民法九一五条一項所定の熟慮期間について相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当であるとされる場合

最高裁判所第二小法廷昭和59年4月27日昭和57(オ)82民集 第38巻6号698頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨相続人において相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から三か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合には、民法九一五条一項所定の期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認…
参照法条民法915条1項,民法921条2号

動産執行による時効中断の効力発生時期

最高裁判所第三小法廷昭和59年4月24日昭和57(オ)727民集 第38巻6号687頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨動産執行による金銭債権の消滅時効中断の効力は、債権者が執行官に対しその執行の申立をした時に生ずる。
参照法条民法147条,民事執行法2条,民事執行法122条1項

更新料の支払義務の不履行を理由として土地賃貸借契約の解除が認められた事例

最高裁判所第二小法廷昭和59年4月20日昭和58(オ)1289民集 第38巻6号610頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨建物の所有を目的とする土地の賃借権の存続期間の満了にあたり賃借人が賃貸人に更新料の支払を約しながらこれを履行しなかつた場合において、右更新料が、将来の賃料の一部、借地法四条一項及び六条所定の更新についての異議権放棄の対価並びに賃借人の従前の債務不履行行為についての紛争の解決金としての性質を有する等判示のような事実関係が…
参照法条借地法4条1項,借地法6条,民法541条

宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事故につき会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和59年4月10日昭和58(オ)152民集 第38巻6号557頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨会社が、夜間においても、その社屋に高価な反物、毛皮等を多数開放的に陳列保管していながら、右社屋の夜間の出入口にのぞき窓やインターホンを設けていないため、宿直員においてくぐり戸を開けてみなければ来訪者が誰であるかを確かめることが困難であり、そのため来訪者が無理に押し入ることができる状態となり、これを利用して盗賊が侵入し宿…
参照法条民法415条,民法623条

金融機関が記名式定期預金の預金者と誤認した者に対する貸付債権をもつてした預金債権との相殺につき民法四七八条が類推適用されるために必要な注意義務を尽くしたか否かの判断の基準時

最高裁判所第一小法廷昭和59年2月23日昭和55(オ)260民集 第38巻3号445頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金融機関が、記名式定期預金につき真実の預金者甲と異なる乙を預金者と認定して乙に貸付をしたのち、貸付債権を自働債権とし預金債権を受働債権としてした相殺が民法四七八条の類推適用により甲に対して効力を生ずるためには、当該貸付時において、乙を預金者本人と認定するにつき金融機関として負担すべき相当の注意義務を尽くしたと認められれ…
参照法条民法478条,民法505条

債務者が破産宣告を受けた場合と先取特権者の物上代位権

最高裁判所第一小法廷昭和59年2月2日昭和56(オ)927民集 第38巻3号431頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨先取特権者は、債務者が破産宣告を受けた場合であつても、目的債権を差し押えて物上代位権を行使することができる。
参照法条民法304条1項但書,破産法92条

美術の著作物の原作品につきその無体物の面を利用する行為と所有権侵害の成否

最高裁判所第二小法廷昭和59年1月20日昭和58(オ)171民集 第38巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨美術の著作物の原作品の所有者でない者が、有体物としての原作品に対する所有者の排他的支配権能をおかすことなく原作品の無体物としての著作物の面を利用しても、原作品の所有権を侵害するものとはいえない。
参照法条民法206条,著作権法2条1項1号,著作権法45条1項

離婚に伴う財産分与と詐害行為の成否

最高裁判所第二小法廷昭和58年12月19日昭和57(オ)798民集 第37巻10号1532頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨離婚に伴う財産分与は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない。
参照法条民法424条,民法768条

抵当権が設定されている宅地についての土地区画整理法上の換地処分に伴う清算金債権に対し差押・転付命令を得た者と施行者に対する右清算金支払請求の可否

最高裁判所第一小法廷昭和58年12月8日昭和56(オ)283民集 第37巻10号1517頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当権が設定されている宅地についての土地区画整理法上の換地処分に伴う清算金債権に対し差押・転付命令を得た者は、抵当権者が物上代位のための差押をする前に右命令を得たとしても、抵当権者から供託しなくてもよい旨の申出がない限り、施行者に対し右清算金の支払を請求することができない。
参照法条民法304条,民法371条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)601条,民事執行法160条,土地区画整理法112条1項

一 否認権行使の相手方が否認された行為のあつたのちに総破産債権が不存在となつたことを主張して否認権行使の効果を否定することの可否 二 総破産債権につき詐害行行為取消権の消滅時効が完成した場合と破産法七二条一号所定の否認権の消長

最高裁判所第二小法廷昭和58年11月25日昭和55(オ)134民集 第37巻9号1430頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 否認権の行使を受けた相手方は、否認された行為のあつたのちに破産者に対する債権がすべて消滅し、総破産債権が現存していないことを主張して否認権行使の効果を否定することはできない。 二 破産法七二条一号所定の否認権は、総破産債権者につき詐害行為取消権の消滅時効が完成しても、消滅しない。
参照法条破産法72条1号,破産法85条,民法426条

隣接する甲乙両地の各所有者間の境界確定訴訟において甲地のうち右境界の一部に接続する部分につき乙地の所有者の時効取得が認められた場合と右境界部分の境界確定を求めることの許否

最高裁判所第三小法廷昭和58年10月18日昭和57(オ)97民集 第37巻8号1121頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨隣接する甲乙両地の各所有者間の境界確定訴訟において、甲地のうち右境界の一部に接続する部分につき乙地の所有者の時効取得が認められても、甲地の所有者は、右境界部分についても境界確定を求めることができる。
参照法条民法162条,民訴法2編1章訴

一 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権と行使上の一身専属性の喪失事由 二 名誉侵害を理由とする破産者の慰藉料請求権が破産終結決定後に行使上の一身専属性を失つた場合と破産法二八三条一項後段の適用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和58年10月6日昭和54(オ)719民集 第37巻8号1041頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権は、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意若しくはかかる支払を命ずる債務名義が成立したなどその具体的な金額が当事者間において客観的に確定したとき又は被害者が死亡したときは、行使上の一身専属性を失う。 二 名誉侵害を理由とする破産者の慰藉料請求権が破産終結決定後…
参照法条民法423条,民法710条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)570条1項,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)618条1項,破産法(昭和54年法律第5号による改正前のもの)6条3項,破産法(昭和54年法律第5号に…

不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務が履行遅滞となる時期

最高裁判所第三小法廷昭和58年9月6日昭和55(オ)1113民集 第37巻7号901頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務は、当該不法行為の時に履行遅滞となるものと解すべきである。
参照法条民法412条,民法709条,自動車損害賠償保障法3条

指名債権に対する質権設定を第三者に対抗しうる要件としての第三債務者に対する通知又はその承諾と質権者特定の要否

最高裁判所第一小法廷昭和58年6月30日昭和56(オ)304民集 第37巻5号835頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨指名債権に対する質権設定を第三者に対抗しうる要件としての第三債務者に対する通知又はその承諾は、具体的に特定された者に対する質権設定についてされることを要する。
参照法条民法364条1項,民法467条

労働者災害補償保険法による障害補償一時金及び休業補償給付を被災労働者の慰藉料から控除することの可否

最高裁判所第三小法廷昭和58年4月19日昭和55(オ)82民集 第37巻3号321頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨労働者災害補償保険法による障害補償一時金及び休業補償給付は、被災労働者の精神上の損害を填補するためのものではなく、これを同人の慰藉料から控除すべきではない。
参照法条労働基準法84条,労働者災害補償保険法14条,労働者災害補償保険法15条,民法709条,民法710条

一 当座勘定取引契約において取引印として届け出られていない実印を使用して偽造された手形小切手の支払いをした銀行に過失があるとされた事例 二 債権者の従業員のした行為が債務不履行の原因となつている場合と過失相殺

最高裁判所第一小法廷昭和58年4月7日昭和56(オ)57民集 第37巻3号219頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 銀行は、当座勘定取引契約において取引印として届け出られていない実印を用いて振り出された手形、小切手を支払うにあたつては、当該実印が右契約の締結及び取引印の届出に際し使用されていたとしても、取引先に対し支払委託の有無を確認すべき注意義務があり、これを尽くすことなく偽造手形、偽造小切手の支払をしたときは、過失の責を免れ…
参照法条民法415条,民法418条,民法644条

清算金の支払のないまま仮登記担保権者から目的不動産の所有権を取得した第三者の債務者に対する右不動産の明渡請求と債務者の留置権の抗弁

最高裁判所第一小法廷昭和58年3月31日昭和55(オ)211民集 第37巻2号152頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、右第三者からの右不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
参照法条民法295条,民法482条,仮登記担保契約に関する法律3条1項

民法一八六条一項の所有の意思の推定が覆される場合

最高裁判所第一小法廷昭和58年3月24日昭和57(オ)548民集 第37巻2号131頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法一八六条一項の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有してい…
参照法条民法162条,民法186条1項,民訴法185条

離婚の訴えの係属の消滅と右訴えに附帯してされた財産分与の申立の適否

最高裁判所第一小法廷昭和58年2月3日昭和57(オ)636民集 第37巻1号45頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨離婚の訴えに附帯してされた財産分与の申立については、右訴えの係属が失われたときは、当該訴訟手続内で審判することができず、これを不適法として却下すべきである。
参照法条民法768条,民法771条,人事訴訟手続法5条1項,家事審判法9条1項乙類5号

死因贈与の取消ができないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和58年1月24日昭和57(オ)194民集 第37巻1号21頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地の登記簿上の所有名義人である甲が、右土地を占有耕作する乙に対してその引渡を求めた訴訟の第一審で敗訴し、その第二審で成立した裁判上の和解において、乙から登記名義どおりの所有権の承認を受ける代わりに、乙及びその子孫に対して右土地を無償で耕作する権利を与え、しかも、右権利を失わせるような一切の処分をしないことを約定すると…
参照法条民法554条,民法1022条

民法四四三条一項の事前の通知を怠つた連帯債務者が同条二項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことの可否

最高裁判所第二小法廷昭和57年12月17日昭和56(オ)477民集 第36巻12号2399頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨連帯債務者の一人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち他の連帯債務者に対し民法四四三条一項の通知をすることを怠つた場合は、既に弁済その他により共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、同条二項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできない。
参照法条民法443条

一 訴訟行為と民法八二五条の適用の有無 二 父母が共同で親権を行う場合と民法八二六条一項の規定による特別代理人の選任申立権者 三 民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人が未成年者を代理してした行為が利益相反行為にあたるとされた…

最高裁判所第二小法廷昭和57年11月26日昭和54(オ)549民集 第36巻11号2296頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 訴訟行為には民法八二五条は適用されない。 二 民法八二六条一項の規定による特別代理人の選任申立は、父母が共同で親権を行う場合においても、その一方が単独ですることができる。 三 民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人が親権者のした未成年者所有不動産の担保提供行為を追認することは、その被担保債務について特…
参照法条民法825条,民法826条1項,民訴法49条

民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人と未成年者との利益が相反する行為と右特別代理人の権限行使の可否

最高裁判所第一小法廷昭和57年11月18日昭和56(オ)586民集 第36巻11号2274頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人と未成年者との利益が相反する行為については、右特別代理人は、選任の審判によつて付与された権限を行使することができない。
参照法条民法826条1項

一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時の意義 二 遺留分権利者が減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張しているときと減殺すべき贈与があつたことを知つたと推認される場合

最高裁判所第二小法廷昭和57年11月12日昭和54(オ)907民集 第36巻11号2193頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時をいう。 二 遺留分権利者が、減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張していても、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを認識していたときは、その無効を信じていたため遺留分減殺請求権を行使しなかつたこと…
参照法条民法1042条,民訴法185条

一 いわゆるファイナンス・リース契約においてリース業者が利用者の債務不履行を原因としてリース期間の途中でリース物件の返還を受けた場合と返還によつて取得した利益の清算の必要 二 いわゆるファイナンス・リース契約においてリース期間の途中でリース…

最高裁判所第三小法廷昭和57年10月19日昭和55(オ)1061民集 第36巻10号2130頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース業者がリース期間の途中でリース物件の返還を受けた場合には、その原因が利用者の債務不履行にあるときでも、リース業者は、特段の事情のない限り、右返還によつて取得した利益を清算する必要がある。 二 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース期間の途中でリース物件の返還…
参照法条民法601条

民法七二四条所定の三年の時効期間の計算と初日の不算入

最高裁判所第三小法廷昭和57年10月19日昭和56(オ)767民集 第36巻10号2163頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法七二四条所定の三年の時効期間の計算においては、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知つた時が午前零時でない限り、時効期間の初日を算入すべきではない。
参照法条民法138条,民法140条,民法724条

重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否

最高裁判所第三小法廷昭和57年9月28日昭和54(オ)226民集 第36巻8号1642頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。
参照法条民法732条,民法744条,民法749条

交通事故の被害者が加害者に対する損害賠償請求訴訟と併合して保険会社に対し加害者に代位して提起した自動車保険普通保険約款に基づく保険金請求訴訟の許否

最高裁判所第三小法廷昭和57年9月28日昭和55(オ)188民集 第36巻8号1652頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自動車保険普通保険約款に、加害者の保険会社に対する保険金請求権は、加害者と被害者との間で損害賠償額が確定したときに発生し、これを行使することができる旨の規定があつても、被害者が加害者に対する損害賠償請求と保険会社に対し加害者に代位してする保険金請求とを併合して訴求している場合には、右保険金請求訴訟は、将来の給付の訴えと…
参照法条民法423条,商法629条,民訴法226条

荷渡指図書に基づき倉庫業者の寄託者台張上の寄託者名義が変更され寄託の目的物の譲受人が指図による占有移転を受けた場合と民法一九二条の適用

最高裁判所第三小法廷昭和57年9月7日昭和55(オ)185民集 第36巻8号1527頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨寄託者が倉庫業者に対して発行した荷渡指図書に基づき倉庫業者が寄託者台帳上の寄託者名義を変更して右寄託の目的物の譲受人が指図による占有移転を受けた場合には、民法一九二条の適用がある。
参照法条民法184,民法192条,商法597条

闘犬の襲撃による幼児の死亡事故につき飼主に飼育場所を提供しかつ日常飼育に協力していた者が民法七〇九条の不法行為責任を負うとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和57年9月7日昭和55(オ)978民集 第36巻8号1572頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨闘犬の飼主が危険防止のための十全の措置をとらないため右闘犬の襲撃による人身事故等が続発していることを知りながら、飼主に対して飼育場所を提供し、かつ、日常飼育に協力するなど多大の便益を提供していた者が、飼主が不在のためみずから右闘犬の保管に当たつていながら、第三者が右闘犬を容易に連れ出せる程度の施錠装置しかない犬舎を路上…
参照法条民法709条,民法718条

約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲

最高裁判所第三小法廷昭和57年9月7日昭和56(オ)851民集 第36巻8号1607頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法四六五条一項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないとき…
参照法条民法427条,民法442条,民法465条1項,手形法17条,手形法30条1項,手形法47条1項,手形法47条3項,手形法49条,手形法77条1項1号,手形法77条1項4号,手形法77条3項

約束手形の裏書人が振出人の手形金支払義務の時効による消滅に伴い自己の所持人に対する償還義務も消滅したとしてその履行を免れようとすることが信義則に反し許されないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和57年7月15日昭和53(オ)728民集 第36巻6号1113頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の裏書人が、その所持人に対して、自己の償還義務について消滅時効の利益の放棄ないし債務の承認をしたうえ、専ら自己に対する信頼に基づいて右手形を取得した所持人本人及びその代理人である弁護士に対して、再三にわたり、しかも振出人の債務とは必ずしも関係なく自己固有の債務として手形金の支払義務があることを認めるような態度を…
参照法条手形法50条1項,手形法70条1項,手形法77条1項4号,手形法77条1項8号,民法1条2項

一 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求と右構成員の当事者適格 二 入会部落の構成員が有する使用収益権に基づく地上権設定仮登記抹消登記手続請求の可否

最高裁判所第一小法廷昭和57年7月1日昭和51(オ)424民集 第36巻6号891頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求については、右構成員各自に当事者適格がある。 二 入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができない。
参照法条民法263条,民訴法45条,民訴法62条

一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂と公有水面の地盤から独立した動産としての存在 二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂を埋立権とは別個に譲渡することの可否

最高裁判所第一小法廷昭和57年6月17日昭和54(オ)736民集 第36巻5号824頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、その投入によつて直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立工事の竣功認可の時に埋立権者の取得する埋立地に附合するものであつて、その時までは、独立した動産としての存在を失わない。 二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、動産としての独立性を…
参照法条民法86条2項,民法206条,民法242条,民法247条1項,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)16条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)24条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改…

負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合と民法一〇二二条、一〇二三条の規定の準用の有無

最高裁判所第二小法廷昭和57年4月30日昭和56(オ)487民集 第36巻4号763頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、右契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右契約の全部又は一部を取り消すことがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、民法一〇二…
参照法条民法553条,民法554条,民法1022条,民法1023条

一 株式会社に対し会社更生法三九条の規定により弁済禁止の保全処分が命じられたのちに契約上の会社の債務の弁済期が到来した場合とその履行遅滞を理由とする契約解除 二 買主たる株式会社に更生手続開始の申立の原因となるべき事実が生じたことを売買契約…

最高裁判所第三小法廷昭和57年3月30日昭和53(オ)319民集 第36巻3号484頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 株式会社に対し会社更生法三九条の規定により弁済禁止の保全処分が命じられたのちに、契約上の会社の債務の弁済期が到来しても、債権者は、会社の履行遅滞を理由として契約を解除することはできない。 二 買主たる株式会社に更生手続開始の申立の原因となるべき事実が生じたことを売買契約解除の事由とする旨の特約は、無効である。
参照法条民法540条1項,民法541条,会社更生法1条,会社更生法39条

民法七八七条但書所定の認知の訴えの出訴期間は父の死亡が客観的に明らかになつた時から起算すべきであるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和57年3月19日昭和55(オ)1072民集 第36巻3号432頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨父の死亡の日から三年一か月を経過したのちに右死亡の事実が子の法定代理人らに判明したが、子又はその法定代理人において父の死亡の日から三年以内に認知の訴えを提起しなかつたことがやむをえないものであり、また、右認知の訴えを提起したとしてもその目的を達することができなかつたことに帰すると認められる判示の事実関係のもとにおいては…
参照法条民法787条但書

遺留分減殺請求権の行使の効果として生じた目的物の返還請求権等と民法一〇四二条所定の消滅時効

最高裁判所第一小法廷昭和57年3月4日昭和53(オ)190民集 第36巻3号241頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨遺留分減殺請求権の行使の効果として生じた目的物の返還請求権等は、民法一〇四二条所定の消滅時効に服しない。
参照法条民法1042条

執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者の届出債権に対する債権調査期日における破産管財人又は他の債権者の異議と右破産債権届出の時効中断の効力

最高裁判所第二小法廷昭和57年1月29日昭和55(オ)666民集 第36巻1号105頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨執行力のある債務名義又は終局判決を有しない破産債権者の届出債権に対する債権調査期日における破産管財人又は他の債権者の異議は、右破産債権届出の時効中断の効力に影響を及ぼすものではない。
参照法条民法152条,破産法240条1項

譲渡担保を設定した債務者の目的不動産に対するいわゆる受戻権と民法一六七条二項の規定の適用の可否

最高裁判所第二小法廷昭和57年1月22日昭和55(オ)153民集 第36巻1号92頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨譲渡担保を設定した債務者による債務の弁済と右弁済に伴う目的不動産の返還請求権とを合体し、一個の形成権たる受戻権として、これに民法一六七条二項の規定を適用することはできない。
参照法条民法167条2項,民法369条(譲渡担保)

面積を表示して売買された土地が表示どおりの面積を有しない場合と売主の買主に対する履行利益の賠償義務の有無

最高裁判所第一小法廷昭和57年1月21日昭和54(オ)1244民集 第36巻1号71頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地の売買契約において、土地の面積が表示された場合でも、その表示が代金額決定の基礎としてされたにとどまり契約の目的を達成するうえで特段の意味を有するものでないときは、売主は、当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、その損害を賠償すべき責めを負わない。
参照法条民法563条3項,民法565条

自筆証書遺言における明らかな誤記の訂正について方式違背がある場合と遺言の効力

最高裁判所第二小法廷昭和56年12月18日昭和56(オ)360民集 第35巻9号1337頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自筆証書遺言における証書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正については、民法九六八条二項所定の方式の違背があつても、その違背は、遺言の効力に影響を及ぼさない。
参照法条民法968条2項

一 譲渡担保権者と第三者異議の訴え 二 譲渡担保権者が目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定した場合と第三者異議の訴え

最高裁判所第一小法廷昭和56年12月17日昭和53(オ)1463民集 第35巻9号1328頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、第三者異議の訴えによつて目的物件に対し譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができる。 二 譲渡担保権者は、目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定したのちにおいても、第三者異議の訴えによつて目的物件に対し原譲渡担保権設定者の一般債権者がした…
参照法条民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,民事執行法38条1項

終生扶養を受けることを前提として養子縁組をしたうえその所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者がその後養子に対する不信の念を深くして協議離縁をした場合と遺言の取消

最高裁判所第二小法廷昭和56年11月13日昭和56(オ)310民集 第35巻8号1251頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨終生扶養を受けることを前提として養子縁組をしたうえその所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者が、その後養子に対する不信の念を深くして協議離縁をし、法律上も事実上も扶養を受けないことにした場合には、右遺言は、その後にされた協議離縁と抵触するものとして、民法一〇二三条二項の規定により取り消されたものとみなすべ…
参照法条民法1023条

一 相続権確認訴訟の係属と右訴訟の当事者以外の者による相続申出についての民法九五八条の規定による公告期間の延長の有無 二 民法九五八条の規定による公告期間を徒過した相続人と特別縁故者に対する相続財産分与後の残余財産についての相続権の有無

最高裁判所第二小法廷昭和56年10月30日昭和52(オ)360民集 第35巻7号1243頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 民法九五八条の規定による公告期間内に相続申出をした者につき相続権確認訴訟が係属していても、右訴訟の当事者以外の者による相続申出について該訴訟の確定まで右公告期間が延長されるものではない。 二 民法九五八条の規定による公告期間を健過した相続人は、特別縁故者に対する相続財産分与後の残余財産についても相続権を有しない。
参照法条民法958条,民法958条の2,民法958条の3

一 遺言無効確認訴訟における確認の利益の判断にあたり原告の相続分が生前贈与等によりなくなるか否かを考慮することの可否 二 遺言無効確認訴訟が固有必要的共同訴訟にあたらないとされた事例 三 同一の証書に記載された二人の遺言の一方に方式違背があ…

最高裁判所第二小法廷昭和56年9月11日昭和54(オ)1208民集 第35巻6号1013頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 遺言無効確認訴訟における確認の利益の存否を判断するにあたつては、原則として、原告の相続分が被相続人から受けた生前贈与等によりなくなるか否かを考慮すべきものではない。 二 単に相続分及び遺産分割の方法を指定したにすぎない遺言の無効確認を求める訴は、固有必要的共同訴訟にあたらない。 三 同一の証書に二人の遺言が記載され…
参照法条民法902条,民法903条1項,民法903条2項,民法908条,民法968条1項,民法975条,民法985条,民訴法62条,民訴法225条

債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記と民法三九五条

最高裁判所第二小法廷昭和56年7月17日昭和54(オ)225民集 第35巻5号950頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記のある不動産につき設定された短期賃借権には、民法三九五条の規定は類推適用されない。
参照法条民法395条,民法482条

自働債権又は受働債権として数個の元本債権があるにもかかわらず当事者が相殺の順序の指定をしなかつた場合における相殺充当の方法

最高裁判所第一小法廷昭和56年7月2日昭和55(オ)396民集 第35巻5号881頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自働債権又は受働債権として複数の元本債権を含む数個の債権があり、当事者のいずれもが右元本債権につき相殺の順序の指定をしなかつた場合には、まず元本債権相互間で相殺に供しうる状態となつた時期の順に従つて相殺の順序を定めたうえ、その時期を同じくする元本債権相互間及び元本債権とこれについての利息、費用債権との間で民法四八九条、…
参照法条民法489条,民法491条,民法512条

継続した地代不払を一括して一個の解除原因とする賃貸借契約の解除権の消滅時効の起算点

最高裁判所第三小法廷昭和56年6月16日昭和53(オ)790民集 第35巻4号763頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨継続した地代不払を一括して一個の解除原因とする賃貸借契約の解除権の消滅時効は、最後の地代の支払期日が経過した時から進行する。
参照法条民法166条1項,民法541条

一 一区画の仮換地の一部でこれに対応する従前の土地部分の特定がないものを所有の意志をもつて占有した場合における従前の土地の共有持分の時効取得及びこれに伴い右占有に係る土地について取得する使用収益権能 二 甲土地に対する仮換地を乙土地に対する…

最高裁判所第一小法廷昭和56年6月4日昭和53(オ)204民集 第35巻4号735頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 一区画の仮換地の一部を所有の意思をもつて所要の期間継続して占有した者は、従前の土地につき右占有部分に対応する部分が特定されていないときは、時効により従前の土地に対する共有持分権を取得するとともに、当該占有部分につき、共有持分権者の一人が現に排他的な使用収益権能を取得している場合と同様の使用収益権能を取得する。 二 …
参照法条民法162条,民法249条,土地区画整理法99条

財団法人の設立を目的とする寄附行為と民法九四条一項の規定の類推適用

最高裁判所第三小法廷昭和56年4月28日昭和53(オ)823民集 第35巻3号696頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨寄附行為の一環としてされた財産出捐行為が、財団法人設立関係者の通謀に基づいてされた虚偽仮装のものであるときは、民法九四条一項の規定を類推適用して該寄附行為を無効とするのが相当である。
参照法条民法39条,民法94条1項

遺言書又はこれについてされた訂正が方式を欠き無効である場合に遺言者の意思を実現させる趣旨で方式を具備させ有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為と民法八九一条五号所定の相続欠格事由

最高裁判所第二小法廷昭和56年4月3日昭和55(オ)596民集 第35巻3号431頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨相続に関する被相続人の遺言書又はこれについてされている訂正が方式を欠き無効である場合に、相続人が右方式を具備させて有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為は、民法八九一条五号にいう遺言書の偽造又は変造にあたるが、それが遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたにすぎないものであるときは、右相…
参照法条民法891条5号

一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知 二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法二六六条…

最高裁判所第二小法廷昭和56年3月20日昭和53(オ)400民集 第35巻2号219頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。 二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない…
参照法条民訴法190条2項,民訴法207条,民法266条1項,民法276条

民法二〇〇条二項但書にいう「承継人カ侵奪ノ事実ヲ知リタルトキ」の意義

最高裁判所第一小法廷昭和56年3月19日昭和53(オ)274民集 第35巻2号171頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法二〇〇条二項但書にいう「承継人カ侵奪ノ事実ヲ知リタルトキ」とは、承継人がなんらかの形で占有の侵奪があつたことについて認識を有していた場合をいい、占有の侵奪を単なる可能性のある事実として認識していただけでは足りない。
参照法条民法200条2項

受任者の利益のためにも締結された委任契約において委任者が解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合と民法六五一条

最高裁判所第二小法廷昭和56年1月19日昭和54(オ)353民集 第35巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨受任者の利益のためにも締結された委任契約であつても、その契約において委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合は、委任者は、やむをえない事由がなくても、民法六五一条に則り右契約を解除することができる。
参照法条民法651条

一 安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務の履行遅滞となる時期 二 安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族と固有の慰藉料請求権の有無

最高裁判所第一小法廷昭和55年12月18日昭和51(オ)1089民集 第34巻7号888頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、債権者から履行の請求を受けた時に履行遅滞となる。 二 安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない。
参照法条民法412条,民法415条

公正証書遺言における盲人の証人適格

最高裁判所第一小法廷昭和55年12月4日昭和52(オ)558民集 第34巻7号835頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨盲人は、公正証書遺言に立ち会う証人としての適格を有する。 (反対意見がある。)
参照法条民法969条,民法974条

死亡退職金の受給権が相続財産に属さず受給権者である遺族固有の権利であるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和55年11月27日昭和54(オ)1298民集 第34巻6号815頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨死亡退職金の支給等を定めた特殊法人の規程に、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であつて、配偶者があるときは子は全く支給を受けないことなど、受給権者の範囲、順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは異なる定め方がされている場合には、右死亡退職金の受給権は、相続財産に属さず、受給権者であ…
参照法条労働基準法23条,民法896条

売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定したのち後訴において詐欺を理由に右売買を取り消して所有権の存否を争うことの許否

最高裁判所第一小法廷昭和55年10月23日昭和55(オ)589民集 第34巻5号747頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定したのちは、後訴において詐欺を理由に右売買を取り消して所有権の存否を争うことは許されない。
参照法条民法96条,民法121条,民訴法199条

一 原抵当権が虚偽仮装であることにつき善意で転抵当権の設定を受けその旨の登記を経由した者が民法三七六条所定の対抗要件を具備しない場合と同人の原抵当権設定者に対する原抵当権設定登記の抹消の承諾義務 二 民法九四条二項所定の第三者の善意の判定時…

最高裁判所第一小法廷昭和55年9月11日昭和53(オ)1213民集 第34巻5号683頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 甲と乙との通謀により甲から乙に対し抵当権を設定したものと仮装した抵当権設定登記が経由されたのち、乙が善意の丙に対し転抵当権を設定し、丙を権利者とする転抵当権設定登記が経由された場合において、丙は、いまだ民法三七六条所定の対抗要件を具備しないときであつても、原抵当権の設定の無効を理由とする原抵当権設定登記の抹消につい…
参照法条民法94条,民法376条1項,不動産登記法146条1項

協議・審判等による具体的内容形成前の財産分与請求権に基づく債権者代位権行使の許否

最高裁判所第二小法廷昭和55年7月11日昭和53(オ)321民集 第34巻4号628頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨離婚後協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成される前の財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することは許されない。
参照法条民法432条,民法768条

約束手形の所持人と裏書人との間において支払猶予の特約がされた場合と所持人の裏書人に対する手形上の請求権の消滅時効の起算点

最高裁判所第二小法廷昭和55年5月30日昭和54(オ)1104民集 第34巻3号521頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の所持人と裏書人との間において裏書人の手形上の債務につき支払猶予の特約がされた場合には、所持人の裏書人に対する手形上の請求権の消滅時効は、右猶予期間が満了した時から進行する。
参照法条手形法70条2項,手形法77条1項8号,民法166条1項

他人の農地の売買における買主が売主に対して有する農地法三条所定の所有権移転許可の申請協力請求権の消滅時効の起算点

最高裁判所第二小法廷昭和55年2月29日昭和54(オ)528民集 第34巻2号197頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨他人の農地の売買における買主が売主に対して有する農地法三条所定の所有権移転許可の申請協力請求権の消滅時効は、売主が当該農地の所有権を取得した時から進行する。
参照法条民法166条1項,民法560条,農地法3条

一 沖繩における血縁団体であるいわゆる門中が権利能力なき社団にあたるとされた事例 二 権利能力なき社団と仮理事の選任

最高裁判所第二小法廷昭和55年2月8日昭和50(オ)701民集 第34巻2号138頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 沖繩における血縁団体であるいわゆる門中が、家譜記録等によつて構成員の範囲を特定することができ、慣行により、有力家の当主を代表機関とし、かつ、毎年一定の時期に構成員の総意によつて選任される当番員を日常業務の執行機関として定め、また、祖先の一人によつて寄附された土地等の財産を門中財産として有し、これを管理利用して得た収…
参照法条民法33条,民法56条,民訴法46条

商行為である金銭消費貸借に関し利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権の消滅時効期間

最高裁判所第一小法廷昭和55年1月24日昭和53(オ)1129民集 第34巻1号61頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨商行為である金銭消費貸借に関し利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権の消滅時効期間は、一〇年と解すべきである。
参照法条民法167条,民法703条,商法522条,利息制限法1条,利息制限法4条

債権者の債権成立前にされた不動産物権の譲渡行為につき債権成立後に登記が経由された場合と詐害行為取消権の成否

最高裁判所第一小法廷昭和55年1月24日昭和54(オ)730民集 第34巻1号110頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産物権の譲渡行為が債権者の債権成立前にされた場合には、その登記が右債権成立後に経由されたときであつても、詐害行為取消権は成立しない。
参照法条民法424条

指名債権が二重に譲渡され確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達した場合における譲受人の一人からする弁済請求

最高裁判所第三小法廷昭和55年1月11日昭和53(オ)1199民集 第34巻1号42頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、債務者に対しそれぞれの譲受債権全額の弁済を請求することができ、譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、弁済の責を免れることができない。
参照法条民法467条

手形金額に錯誤のある裏書と悪意の取得者に対する償還義務の範囲

最高裁判所第一小法廷昭和54年9月6日昭和53(オ)1281民集 第33巻5号630頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の裏書人が、金額一五〇〇万円の手形を金額一五〇万円の手形と誤信し同金額の手形債務を負担する意思のもとに裏書をした場合に、悪意の取得者に対して錯誤を理由に償還義務の履行を拒むことができるのは、右手形金のうち一五〇万円を超える部分についてだけであつて、その全部についてではない。
参照法条民法95条,手形法12条2項,手形法17条,手形法77条1項

一 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人によつて相続権を侵害された他の共同相続人が右侵害排除を求める場合と相続回復請求権の規定の適用 二 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人によつて相続権を侵害された他の共同相続人の右侵害排除を求め…

最高裁判所第三小法廷昭和54年7月10日昭和50(オ)878民集 第33巻5号457頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人甲が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分について他の共同相続人乙の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分に属すると称してこれを占有管理し、乙の相続権を侵害しているため、乙が右侵害の排除を求める場合には、相続回復請求権の規定の適用があるが、甲においてその部分が…
参照法条旧民法966条,旧民法993条,民法884条

転付債権者・第三債務者間の債権債務の相殺適状は債務者・第三債務者間の債権債務の相殺適状より後に生じたが転付債権者の相殺の意思表示が第三債務者の相殺の意思表示より先にされた場合と相殺の優劣

最高裁判所第三小法廷昭和54年7月10日昭和53(オ)547民集 第33巻5号533頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨転付債権者に転付された債務者の第三債務者に対する甲債権と第三債務者の転付債権者に対する乙債権との相殺適状が甲債権と第三債務者の債務者に対する丙債権との相殺適状より後に生じた場合であつても、第三債務者が丙債権を自働債権とし甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をするより先に、転付債権者の甲債権を自働債権とし乙債権を受働債権…
参照法条民法505条1項,民法506条

特定物の遺贈につき履行がされた場合に民法一〇四一条の規定により受遺者が遺贈の目的の返還義務を免れるためにすべき価額弁償の意義

最高裁判所第三小法廷昭和54年7月10日昭和53(オ)907民集 第33巻5号562頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨特定物の遺贈につき履行がされた場合に、民法一〇四一条の規定により受遺者が遺贈の目的の返還義務を免れるためには、価額の弁償を現実に履行するか又はその履行の提供をしなければならず、価額の弁償をすべき旨の意思表示をしただけでは足りない。
参照法条民法1041条

自筆遺言証書の日付として「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書の効力

最高裁判所第一小法廷昭和54年5月31日昭和54(オ)83民集 第33巻4号445頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨自筆遺言証書の日付として「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書は、民法九六八条一項にいう日付の記載を欠くものとして無効である。
参照法条民法968条1項

一 手形の裏書が裏書人を告とする詐害行為取消一一訟において取り消された場合と右被裏書人から隠れた取立委任裏書を受けていた者の地位 二 約束手形の振出人を原告としその受取人による裏書の被裏書人を被告とする右裏書に対する詐害行為取消の訴と右被裏…

最高裁判所第二小法廷昭和54年4月6日昭和50(オ)999民集 第33巻3号329頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の振出人甲が原告となりその受取人乙から裏書を受けた丙を被告として提起した右裏書についての詐害行為取消の訴において、甲の請求が認容された場合には、甲は、丙から隠れた取立委任裏書を受けていた丁に対し、丁の善意・悪意を問わず、乙丙間の裏書が詐害行為として取り消された事実を援用して、丁の手形金請求を拒むことができる…
参照法条民法424条,手形法17条,手形法18条,民訴法227条

母の死亡による相続につき遺産の分割その他の処分後に共同相続人である子の存在が明らかになつた場合と民法七八四条但書、九一〇条の類推適用の可否

最高裁判所第二小法廷昭和54年3月23日昭和51(オ)553民集 第33巻2号294頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨母の死亡による相続について、共同相続人である子の存在が遺産の分割その他の処分後に明らかになつたとしても、民法七八四条但書、九一〇条を類推適用することはできない。
参照法条民法784条,民法910条

一 債権者代位訴訟の原告である債権者が被告である第三債務者の提出した抗弁に対し自己独自の事情に基づく再抗弁を提出することの可否 二 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し第一審被告のみが上告した場合と上告審における調査・判断…

最高裁判所第二小法廷昭和54年3月16日昭和51(オ)49民集 第33巻2号270頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、被告である第三債務者が提出した抗弁に対し、原告の提出することのできる再抗弁事由は債務者自身が主張することのできるものに限られ、原告独自の事情に基づく再抗弁を提出することはできない。 二 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し、…
参照法条民法423条,民訴法385条,民訴法396条,民訴法402条,民訴法405条

不法行為の加害者が被害者に対する自己の債権を執行債権として自己に対する被害者の損害賠償債権について受けた転付命令の効力

最高裁判所第一小法廷昭和54年3月8日昭和53(オ)970民集 第33巻2号187頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不法行為の加害者が被害者に対する自己の債権を執行債権として自己に対する被害者の損害賠償債権について受けた転付命令は、民法五〇九条の規定を潜脱するものとして無効である。
参照法条民法509条,民訴法601条

一 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の脱退組合員に対する払戻持分の計算のための組合財産の評価に当たり将来退職する組合役員・従業員に支払われるべき退職慰労金・退職金につき当期末現在で算出したその相当額を負債として計上することの可否 二 中…

最高裁判所第二小法廷昭和54年2月23日昭和50(オ)326民集 第33巻1号125頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の脱退組合員に対する払戻持分の計算のため組合財産を評価するにあたり、将来退職する組合役員・従業員に支払われるべき退職慰労金・退職金につき当期末現在の状態を基準として算出したその相当額を負債として計上することはできない。 二 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の理事会の全員の協議…
参照法条中小企業等協同組合法20条,中小企業等協同組合法38条の2第1項,中小企業等協同組合法42条,商法254条3項,商法254条の2,民法644条

一 構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的 二 構成部分の変動する集合動産の譲渡担保につき目的物の範囲が特定されているとはいえないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和54年2月15日昭和53(オ)925民集 第33巻1号51頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産であつても、その種類所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうる。 二 甲が、継続的倉庫寄託契約に基づき丙に寄託中の食用乾燥ネギフレーク四四トン余りのうち二八トンを乙に対する債務の譲渡担保とすること、乙はこれを売…
参照法条民法85条,民法369条

破産宣告後の不動産転借権の取得と破産法五四条一項

最高裁判所第一小法廷昭和54年1月25日昭和53(オ)662民集 第33巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨破産宣告当時破産者所有の不動産につき対抗力ある賃借権の負担が存する場合において、破産宣告後に右不動産が転貸されたとしても、特段の事情のない限り、転借人の転借権取得は破産法五四条一項所定の破産者の法律行為によらない権利の取得に該当しない。
参照法条民法612条,破産法54条1項

一 建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合と建物所有権の帰属 二 民法二四六条二項の規定に基づいて加工物の所有権の帰属を決定する場合において他人の動産の価格と比較すべき対…

最高裁判所第一小法廷昭和54年1月25日昭和53(オ)872民集 第33巻1号26頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、民法二四六条二項の規定に基づいて決定すべきである。 二 建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供し工事を施して仕上げた建物の所有権の帰属を民法二四六条二項の規定に…
参照法条民法243条,民法246条2項

土地賃借権の移転と敷金に関する敷金交付者の権利義務関係の承継の有無

最高裁判所第二小法廷昭和53年12月22日昭和52(オ)844民集 第32巻9号1768頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場・合であつても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。
参照法条民法612条,民法619条2項

一 民訴法一九八条二一の損害賠償義務と民法五〇九にいう「不法行為ニ因リテ生シタ」債務 二 民訴法一九八条二項の原状回復及び損害賠償が別訴で請求された場合にその債務者が前訴請求債権と請求の基礎を同じくする債権をもつてする相殺

最高裁判所第一小法廷昭和53年12月21日昭和53(オ)436民集 第32巻9号1749頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 民訴法一九八条二項の損害賠償義務は、民法五〇九条にいう「不法行為ニ因リテ生シタ」債務にあたらない。 二 民訴法一九八条二項の原状回復及び損害賠償が別訴で請求された場合には、その債務者は、前訴の請求債権と請求の基礎を同じくする債権であつても、これを自働債権とする相殺をもつて債権者に対抗することができる。
参照法条民訴法198条2項,民法505条,民法509条

土地賃借権の無断譲受人による土地の使用が賃借意思に基づくものではないとして賃借権の時効取得が否定された事例

最高裁判所第一小法廷昭和53年12月14日昭和53(オ)719民集 第32巻9号1658頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地賃借権の無断譲受人が、土地の引渡を受けながら賃貸人に賃料を支払つたことがなく、また、賃貸人に賃借権譲渡の承諾を求めたが拒絶され、かえつて譲渡人との賃貸借契約は既に解除ずみであるとして土地の明渡を求められ、その後にいたつて賃料の弁済供託を開始したなど、判示の事実関係のもとにおいては、譲受人が賃借意思に基づいて土地の使…
参照法条民法163条,民法601条,民法612条

民法五五〇条所定の書面にあたるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和53年11月30日昭和53(オ)831民集 第32巻8号1601頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲が乙を相手方として申し立てた財産処分禁止請求調停事件に丙が利害関係人として参加して調停が成立し、調停調書に「乙は、その所有地のうち約四五坪(別紙図面記載の丙所有部分)を除いた部分を処分しようとするときには、甲と約一〇日前に相談のうえでする」旨の条項が記載されたが、右調停調書において丙所有部分として約四五坪の土地が除外…
参照法条民法550条

主債務について債務免除を定めた更生計画の認可決定があつた場合と更生手続参加により中断していた保証債務の消滅時効の進行開始の時期

最高裁判所第二小法廷昭和53年11月20日昭和52(オ)611民集 第32巻8号1551頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨主債務について債務免除を定めた更生計画の認可決定があつた場合には、更生手続参加により中断していた保証債務の消滅時効は、右認可決定が確定した時から更に進行を開始する。
参照法条民法157条1項,会社更生法5条,会社更生法236条,会社更生法240条2項

離婚訴訟における財産分与と過去の婚姻費用分担の態様の斟酌

最高裁判所第三小法廷昭和53年11月14日昭和53(オ)706民集 第32巻8号1529頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨離婚訴訟において裁判所が財産分与を命ずるにあたつては、当事者の一方が婚姻継続中に過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる。
参照法条民法768条3項,民法771条,人事訴訟手続法15条

不動産の引渡請求権者が債務者による目的不動産の処分行為を詐害行為として取り消す場合と自己に対する所有権移転登記手続請求の可否

最高裁判所第一小法廷昭和53年10月5日昭和51(オ)1215民集 第32巻7号1332頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産の引渡請求権者は、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合に、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求することはできない。
参照法条民法424条,民法425条

土地及びその地上建物の所有者が土地につき所有権移転登記を経由しないまま建物に抵当権を設定した場合と法定地上権の成否

最高裁判所第二小法廷昭和53年9月29日昭和53(オ)533民集 第32巻6号1210頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したときは、土地の所有権移転登記を経由していなくても、法定地上権の成立を妨げない。
参照法条民法177条,民法388条

養子夫婦の一方が養親夫婦の一方より年長であることを理由に縁組を取り消す場合における取消の限度

最高裁判所第二小法廷昭和53年7月17日昭和52(オ)385民集 第32巻5号980頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨養子夫婦の一方が養親夫婦の一方より年長であることを理由に縁組全部の取消が請求された場合には、年長の養子と年少の養親との間の縁組だけを取り消せば足りる。
参照法条民法793条,民法795条本文,民法803条,民法805条

登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受けた司法書士が登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められた場合における登記権利者に対する委任契約上の義務

最高裁判所第一小法廷昭和53年7月10日昭和51(オ)102民集 第32巻5号868頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受け、右手続に必要な書類の交付を受けた司法書士は、手続の完了前に登記義務者から右書類の返還を求められても、登記権利者に対する関係では、同人の同意があるなど特段の事情のない限り、その返還を拒むべき委任契約上の義務がある。
参照法条民法644条,民法651条,司法書士法1条

有限会社の社員総会決議不存在確認を求める訴の提起が訴権の濫用にあたるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和53年7月10日昭和52(オ)1321民集 第32巻5号888頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨有限会社の経営の実権を握つていた者が、第三者に対し自己の社員持分全部を相当の代償を受けて譲渡し、会社の経営を事実上右第三者に委ね、その後相当期間を経過しており、しかも右譲渡の当時社員総会を開いて承認を受けることがきわめて容易であつたなど、判示の事実関係のもとにおいて、右譲渡人が右社員持分譲渡を承認する社員総会決議及びこ…
参照法条有限会社法19条2項,有限会社法41条,商法252条,民法1条3項,民訴法第2編第1章

一 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における物上保証人と後順位低当権者との優劣 二 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同…

最高裁判所第三小法廷昭和53年7月4日昭和50(オ)196民集 第32巻5号785頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権から優先して弁済…
参照法条民法177条,民法304条1項,民法351条,民法372条,民法392条2項

賃貸中の不動産に対する競売開始決定後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾と譲受人の競落人に対する地位

最高裁判所第一小法廷昭和53年6月29日昭和52(オ)1111民集 第32巻4号762頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸中の不動産に対する競売開始決定の差押の効力発生後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾は、特段の事情のない限り、右差押の効力によつて禁止される処分行為にあたらず、譲受人は、賃借権の取得をもつて競落人に対抗することができる。
参照法条民法612条,民訴法644条,競売法25条

民法三九五条の適用がある土地の短期賃貸借の期間満了と競落人に対する建物買取請求権

最高裁判所第一小法廷昭和53年6月15日昭和52(オ)1090民集 第32巻4号729頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法三九五条により抵当権者に対抗することができる土地の短期賃貸借の期間が抵当権実行による差押の効力を生じたのちに満了した場合には、賃借人は、競落人に対し借地法四条二項による地上建物等の買取請求をすることができない。
参照法条民法395条,借地法4条2項

一 債権質の準拠法 二 債権質の対抗要件である通知・承諾と法例八条の適用

最高裁判所第一小法廷昭和53年4月20日昭和50(オ)347民集 第32巻3号616頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 債権質に適用すべき準拠法は、その目的である債権の準拠法によるべきである。 二 指名債権を目的とする債権質の対抗要件である通知・承諾は、債権質の効力に関する要件であつて、法例八条にいう法律行為の方式にあたらない。
参照法条民法362条,民法364条1項,民法467条,法例7条,法例8条,法例10条1項

共有不動産の分割と地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」

最高裁判所第三小法廷昭和53年4月11日昭和51(行ツ)55民集 第32巻3号583頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共有不動産の分割により他の共有者の有していた持分を取得することは、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」にあたる。
参照法条地方税法73条の2第1項,民法256条

国が私人から承継取得した私法上の債権についての納入の告知と会計法三二条

最高裁判所第二小法廷昭和53年3月17日昭和52(オ)1211民集 第32巻2号240頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨国が私人から承継取得した私法上の債権についてされる納入の告知についても会計法三二条の適用がある。
参照法条会計法32条,民法153条

占有の承継が主張された場合と民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失の判定時点

最高裁判所第二小法廷昭和53年3月6日昭和52(オ)658民集 第32巻2号135頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産の占有主体に変更があつて承継された二個以上の占有が併せて主張された場合には、民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる。
参照法条民法162条2項,民法187条

共同相続人の一人である後見人が他の共同相続人である被後見人を代理してする相続の放棄が利益相反行為にあたらない場合

最高裁判所第二小法廷昭和53年2月24日昭和50(オ)354民集 第32巻1号98頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人みずからが相続の放棄をしたのちにされたか、又はこれと同時にされたときは、民法八六〇条によつて準用される同法八二六条にいう利益相反行為にあたらない。
参照法条民法826条,民法860条,民法938条

嫡出でない子につき父がした嫡出子出生届又は非嫡出子出生届と認知の効力

最高裁判所第二小法廷昭和53年2月24日昭和51(オ)361民集 第32巻1号110頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によつて受理されたときは、その各届は、認知届としての効力を有する。
参照法条民法781条,戸籍法52条

地方議会議員の報酬請求権の譲渡性

最高裁判所第一小法廷昭和53年2月23日昭和52(オ)884民集 第32巻1号11頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨地方議会の議員の報酬請求権は、条例に譲渡禁止の規定がない限り、譲渡することができる。
参照法条地方自治法203条,民法466条,民訴法618条1項5号

使用者の行う企業秩序違反事件の調査と労働者の協力義務

最高裁判所第三小法廷昭和52年12月13日昭和49(オ)687民集 第31巻7号1037頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨労働者は、使用者の行う他の労働者の企業秩序違反事件の調査について、これに協力することがその職責に照らし職務内容となつていると認められる場合でないか、又は調査対象である違反行為の性質・内容右違反行為見聞の機会と職務執行との関連性、より適切な調査方法の有無等諸般の事情から総合的に判断して、右調査に協力することが労務提供義務…
参照法条民法623条,労働基準法第2章

手形に保証の趣旨で裏書をした場合に原因債務についての民事保証を推認することの可否

最高裁判所第三小法廷昭和52年11月15日昭和51(オ)1187民集 第31巻6号900頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金銭を借用するにあたり、借主甲が、借受金の弁済確保のため甲の振り出す約束手形になんぴとか確実な保証人の裏書をもらつてくるよう貸主乙から要求されたため、丙に依頼して右手形に丙の裏書を受けたうえ、これを乙に手交して金銭の貸渡しを受けたという事実関係があるだけでは、右手形が金融を得るために用いられることを丙において認識してい…
参照法条民訴法185条,民法446条,手形法15条,手形法77条

一、共有に属する株式につき株主の権利を行使すべき者を指定する行為と民法八二六条にいう利益相反行為 二、商法三五〇条一項の株券提出期間経過前に株式を譲り受けたが名義書換を経ていない株主と同条三項の異議催告公告請求権

最高裁判所第三小法廷昭和52年11月8日昭和51(オ)419民集 第31巻6号847頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、株式が未成年の子とその親権者を含む数人の共有に属する場合において、親権者が未成年の子を代理して商法二〇三条二項にいう株主の権利を行使すべき者を指定する行為は、これを親権者自身と指定するときであつても、民法八二六条にいう利益相反行為にあたらない。 二、商法三五〇条一項の株券提出期間の経過前に株式を譲り受けた者は、名義…
参照法条民法826条,商法203条,商法350条,商法378条1項

労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付の確定と受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することの要否

最高裁判所第三小法廷昭和52年10月25日昭和50(オ)621民集 第31巻6号836頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づき政府が将来にわたり継続して保険金を給付することが確定していても、いまだ現実の給付がない以上、将来の給付額を受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から控除することを要しない。
参照法条民法709条,労働基準法84条2項,労働者災害補償保険法12条の4,厚生年金保険法40条

土地及びその地上の非堅固建物の所有者が土地につき抵当権を設定したのち地上建物を取り壊して堅固建物を建築した場合に堅固建物の所有を目的とする法定地上権が成立するとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和52年10月11日昭和52(オ)287民集 第31巻6号785頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地及びその地上の非堅固建物の所有者が土地につき抵当権を設定したのち地上建物を取り壊して堅固建物を建築した場合において、抵当権者が、抵当権設定当時、近い将来地上建物が取り壊され堅固建物が建築されることを予定して右土地の担保価値を算定したものであるときは、堅固建物の所有を目的とする法定地上権の成立を妨げない。
参照法条民法388条

預入行為者名義でされた記名式定期預金の預金者が出捐者であるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和52年8月9日昭和52(オ)343民集 第31巻4号742頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨記名式定期預金が預入行為者名義のものであり、その名義の使用が出捐者の意思に基づく場合であつても、出捐者が預入行為者に対し、自己の預金とするために金員を出捐して預入行為者の名義による記名式定期預金の預入手続を一任し、預入行為者が出捐者の使者又は代理人として預金契約を締結したものであり、かつ、預金証書及び届出印章は出捐者が…
参照法条民法666条

国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和二八年条約第一七号。同四二年条約第一一号による改正前のもの)二二条二項所定の運送人の責任限定と遅延損害金

最高裁判所第二小法廷昭和52年6月28日昭和51(オ)112民集 第31巻4号511頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨運送人が国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和二八年条約第一七号。同四二年条約第一一号による改正前のもの)二二条二項所定の限定責任の範囲で損害賠償義務を負う場合、これに対する遅延損害金については右規定による限定を受けない。
参照法条国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和28年条約第17号。同42年条約11号による改正前のもの)22条2項,国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(昭和28年条約第17号。同42年条約11号による改正前のもの)24…

一、いわゆる拘束された即時両建預金を取引条件とする信用組合の貸付が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律一九条に違反するとされた事例 二、いわゆる拘束された即時両建預金を取引条件とする信用協同組合の貸付が私的独占の禁止及び公正取引の確…

最高裁判所第二小法廷昭和52年6月20日昭和48(オ)1113民集 第31巻4号449頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、信用協同組合が、組合員に現実に借受を必要とする実質貸付額五五〇万円を貸し付けるにあたり、右貸付について十分な物的・人的担保があるのに、実質金利を高める等のため、取引条件として、組合員に、貸付額七五〇万円の本件貸付契約及び同四〇〇万円の別口貸付契約を締結させて実質貸付額を超過する六〇〇万円を貸し付け、その六〇〇万円を…
参照法条私的独占の禁止及び公正取引の確保関する法律2条7項5号,私的独占の禁止及び公正取引の確保関する法律9条,昭和28年公正取引委員会告示11号10,民法90条,利息制限法1条1項,利息制限法2条,利息制限法4条1項

大韓民国民法九〇九条を適用して親権者を父と指定することが法例三〇条により許されない場合

最高裁判所第一小法廷昭和52年3月31日昭和51(オ)1017民集 第31巻2号365頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨大韓民国国籍を有する父には扶養能力がなく、扶養能力を有する母が子を監護養育している場合に、離婚に伴う未成年の子の親権者を父に限定する大韓民国民法九〇九条を適用して親権者を父と指定することは、わが国の公序良俗に反し、法例三〇条により許されない。
参照法条法例30条,民法819条2項,大韓民国民法909条

いわゆる根仮登記担保権の極度額

最高裁判所第二小法廷昭和52年3月25日昭和48(オ)403民集 第31巻2号320頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一定の継続的取引から発生する不特定の債権を担保するためのいわゆる根仮登記担保権の極度額は、設定契約上、特段の定めがない場合には、目的不動産の適正な評価額をその額とした趣旨であると解すべきであり、このことは、特段の事情がない限り、根仮登記担保権が根抵当権と併用された場合でも異ならない。
参照法条民法398条ノ2,民法482条,不動産登記法2条

譲渡禁止の特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知つて譲り受けたのち債務者がその譲渡につき承諾を与えた場合と承諾後債権の差押・転付命令を得た第三者に対する右債権譲渡の効力

最高裁判所第一小法廷昭和52年3月17日昭和48(オ)823民集 第31巻2号308頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨譲渡禁止の特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知つて譲り受けた場合でも、債務者がその譲渡につき承諾を与えたときは、債権譲渡は譲渡の時にさかのぼつて有効となり、譲渡に際し債権者から債務者に対して確定日付のある譲渡通知がされている限り、債務者は、右承諾後に債権の差押・転付命令を得た第三者に対しても債権譲渡の効力を対抗す…
参照法条民法119条,民法466条,民法467条

一、土地の賃借人が地上に所有する建物の抵当権を設定しその登記を経たのち第三者が賃貸人の承諾を得て土地賃借権のみを譲り受けた場合と抵当権実行後の右土地賃借権の帰すう 二、土地の賃貸人が抵当権の実行による地上建物の競落人の土地賃借権取得を承諾し…

最高裁判所第二小法廷昭和52年3月11日昭和48(オ)118民集 第31巻2号171頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、土地の賃借人が地上に所有する建物に抵当権を設定しその登記を経たのちに賃貸人の承諾を得て賃借人から土地の賃借権のみを譲り受けた者は、抵当権の実行により競落人が建物の所有権とともに土地の賃借権を取得したときに競落人との関係において賃借権を失い、競落人が右賃借権の取得につき賃貸人の承諾を得たときに賃貸人との関係においても…
参照法条民法87条2項,民法370条,民法415条,民法601条,民法612条1項

農地の賃借人が所有者から右農地を買い受けたが未だ農地調整法四条所定の知事の許可又は農地委員会の承認を得るための手続がとられていない場合と新権原による自主占有の開始

最高裁判所第一小法廷昭和52年3月3日昭和51(オ)1060民集 第31巻2号157頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農地の賃借人が所有者から右農地を買い受けその代金を支払つたときは、農地調整法四条所定の都道府県知事の許可又は市町村農地委員会の承認を得るための手続がとられなかつたとしても、買主は、特段の事情のない限り、売買契約が締結されその代金が支払われた時に、民法一八五条にいう新権原により所有の意思をもつて右農地の占有を始めたものと…
参照法条民法162条,民法185条,農地調整法(昭和26年法律第89号による改正前のもの)4条

注文者の責に帰すべき事由により仕事の完成が不能となつた場合における請負人の報酬請求権と利得償還義務

最高裁判所第三小法廷昭和52年2月22日昭和51(オ)611民集 第31巻1号79頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨請負契約において仕事が完成しない間に注文者の責に帰すべき事由によりその完成が不能となつた場合には、請負人は、自己の残債務を免れるが、民法五三六条二項により、注文者に請負代金全額を請求することができ、ただ、自己の債務を免れたことにより得た利益を注文者に償還すべきである。
参照法条民法536条2項,民法632条

競売手続が完結した場合と抵当権と同時に設定された抵当権者自身を権利者とする賃借権の帰すう

最高裁判所第一小法廷昭和52年2月17日昭和51(オ)1028民集 第31巻1号67頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当不動産につき、抵当権者自身を権利者とする、賃借権又は抵当債務の不履行を停止条件とする条件付賃借権が設定され、その登記又は仮登記が抵当権設定登記と順位を前後して経由された場合において、競売申立までに対抗要件を具備した短期賃借権者が現われないまま、競落によつて第三者が当該不動産の所有権を取得したときには、特段の事情のな…
参照法条民法369条,民法395条,民法601条

売買代金を完済した農地の買主が農地法五条の許可申請手続に協力しない場合と売主の契約解除権

最高裁判所第一小法廷昭和51年12月20日昭和51(オ)982民集 第30巻11号1064頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農地の買主が農地法五条の許可申請手続に協力しない場合でも、売買代金が完済されているときは、特段の事情のない限り、売主は買主が右協力をしないことを理由に売買契約を解除することはできない。
参照法条民法541条,農地法5条

賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは建物賃貸借契約は当然解除となる旨の訴訟上の和解条項に基づく契約の当然解除が認められないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和51年12月17日昭和51(オ)633民集 第30巻11号1036頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨訴訟上の和解によつて、建物の賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは賃貸借契約は当然解除となる旨の定めがされた場合においても、賃料の延滞が一か月分であり、賃借人は、和解成立後賃貸人から賃料の受領を拒絶されるまで、約二年間右一か月分を除いては毎月の賃料を期日に支払つており、右延滞もなんらかの手違いによるものであつて賃…
参照法条民法第3編第2章第7節第3款,民法541条,民法695条,民訴法203条

所有者の無権代理人から農地を買い受けた小作人が新権原による自主占有を開始したものとされ右占有の始め過失がないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和51年12月2日昭和51(オ)117民集 第30巻11号1021頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲所有の農地を小作し、長期にわたり右農地の管理人のように振舞つていた乙に小作料を支払つていた丙が、甲の代理人と称する乙から右農地を買い受け、右買受につき農地法所定の許可を得て所有権移転登記手続を経由し、その代金を支払つた等判示の事情のもとにおいては、丙は、乙に甲を代理する権限がなかつたとしても、遅くとも右登記の時には民…
参照法条民法162条2項,民法185条

手形割引依頼人が仮差押の申請を受けたことを手形買戻請求権の取得及び弁済期到来の事由とする銀行取引約定書による合意の第三者に対する効力

最高裁判所第一小法廷昭和51年11月25日昭和46(オ)457民集 第30巻10号939頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形割引依頼人が仮差押の申請を受けたときは通知催告がなくても銀行に対し割引手形の買戻債務を負い直ちに弁済する旨の銀行取引約定書による合意に基づいて手形割引がされた場合に、割引依頼人の債権者が割引依頼人の銀行に対する債権につき仮差押をし差押・転付命令を得たときは、銀行は、特段の事情のない限り、右仮差押の申請があつた時に割…
参照法条民法511条,民訴法598条1項,民訴法601条,民訴法750条2項,手形法第1編第6章,手形法第1編第7章

「運送人は保険に付された危険によつて生じた貨物の滅失等については損害賠償の責めに任じない」旨の港湾運送約款の解釈

最高裁判所第一小法廷昭和51年11月25日昭和50(オ)1190民集 第30巻10号960頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨港湾運送契約の締結に際し、荷送人が、貨物を海上保険に付したうえ、運送人との間で港湾運送約款に基づき「運送人は、保険に付された危険によつて生じた貨物の滅失等については、損害賠償の責めに任じない。」旨の合意をした場合でも、特段の事情のない限り、被保険者である荷送人は、保険金額の範囲内の損害につき、貨物滅失に基づく運送人に対…
参照法条民法91条,民法519条,商法569条,商法577条,商法581条,商法629条,商法662条

保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定した場合と保証人敗訴の確定判決に対する請求異議

最高裁判所第一小法廷昭和51年10月21日昭和49(オ)937民集 第30巻9号903頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権者から保証人に対する保証債務履行請求訴訟における保証人敗訴の判決が確定した後に債権者から主債務者に対する主債務履行請求訴訟における主債務者勝訴の判決が確定しても、主債務者勝訴の判決が保証債務履行請求訴訟の事実審口頭弁論終結の時までに生じた事由に基づいてされているときは、保証人は、右の主債務者勝訴の確定判決を保証人敗…
参照法条民訴法199条1項,民訴法201条1項,民訴法545条,民法448条

仮換地につき売買契約が締結されたのち仮換地の指定の変更により右仮換地が従前地の一部についての仮換地となり右仮換地がそのまま換地となつた場合と買主の取得する土地

最高裁判所第二小法廷昭和51年8月30日昭和49(オ)868民集 第30巻7号737頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨山林「a」の仮換地「A」について右仮換地自体に着目して売買契約が締結されたのち、仮換地の指定の変更により、山林「a」の一部である山林「a’」につき仮換地「A」と同一性のある仮換地「A’」が、山林「a」の残部である山林「b」につき仮換地「B」が、各指定され、次いで右仮換地がそのまま換地「A”」、換地「B’」と定められた場…
参照法条民法555条,土地区画整理法99条,土地区画整理法104条

遺留分権利者が受贈者又は受遺者に対し民法一〇四一条一項の価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時

最高裁判所第二小法廷昭和51年8月30日昭和50(オ)920民集 第30巻7号768頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨遺留分権利者が受贈者又は受遺者に対し民法一〇四一条一項の価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時は、右訴訟の事実審口頭弁論終結の時である。
参照法条民法1041条1項

養親が提起した年長養子の禁止に違反する縁組取消請求訴訟と養親の死亡による訴訟承継の成否

最高裁判所第三小法廷昭和51年7月27日昭和50(オ)732民集 第30巻7号724頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨養親が養子を相手方として提起した年長養子の禁止に違反する縁組の取消請求訴訟は、養親の死亡により、当然終了する。
参照法条民法793条,民法805条,民訴法208条,人事訴訟手続法2条,人事訴訟手続法26条

遺言執行者がある場合に相続人が遺贈による登記の抹消登記手続を求める訴と受遺者の被告適格

最高裁判所第二小法廷昭和51年7月19日昭和51(オ)17民集 第30巻7号706頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨相続人が遺言の執行としてされた遺贈による所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴については、遺言執行者がある場合でも、受遺者を被告とすべきである。
参照法条民法1012条,民法1015条

電気器具の販売会社が継続的商取引上の債権担保のため保証人本人の実印の押してある本人名義の契約書と本人の印鑑証明書とを持参した代理人との間で連帯根保証契約を締結した場合に民法一一〇条の正当理由があるとはいえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和51年6月25日昭和50(オ)978民集 第30巻6号665頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨電気器具の販売会社が取引先に対する債権担保のため保証人の代理人との間で保証契約を締結した場合において、右保証は継続的商取引から生ずる一切の債務についての保証期間及び保証限度額の定めがない連帯根保証であり、右代理人は主債務者である取引先の代表取締役であるほか、相手方の要求にもかかわらず実父に連帯保証人となつてもらえなかつ…
参照法条民法110条

農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により失効した場合と被売渡人から右土地を買い受けた者の有益費償還請求権に基づく土地留置権の行使

最高裁判所第一小法廷昭和51年6月17日昭和50(オ)1148民集 第30巻6号616頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨農地買収・売渡処分が買収計画取消判決の確定により当初にさかのぼつて効力を失つた場合において、被売渡人から右土地を買い受けた者が土地につき有益費を支出していても、その支出をした当時、買主が被買収者から買収・売渡処分の無効を理由として所有権に基づく土地返還請求訴訟を提起されており、買主において買収・売渡処分が効力を失うかも…
参照法条民法295条

一、自働債権である手形債権の時効消滅前に債務者が反対債権である手形債権を取得していたとして相殺の許される場合 二、釈明権不行使の違法があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和51年6月17日昭和50(オ)847民集 第30巻6号592頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、甲と乙とが相互に約束手形を振り出し、甲が乙から振出を受けた手形を債権担保のため銀行に裏書譲渡し、その後右債権の消滅によつて甲が実質上手形上の権利を再取得したが、銀行から甲への戻裏書はおくれてされた場合において、甲が実質的に手形上の権利を再取得した時が乙の手形債権の時効消滅前であるときは、戻裏書の時が時効消滅後であつ…
参照法条民法508条,民訴法127条

消滅時効の援用が権利濫用にあたるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和51年5月25日昭和50(オ)1051民集 第30巻4号554頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨家督相続をした長男が、家庭裁判所における調停により、母に対しその老後の生活保障と妹らの扶養及び婚姻費用等に充てる目的で農地を贈与して引渡を終わり、母が、二十数年これを耕作し、妹らの扶養及び婚姻等の諸費用を負担したなど判示の事実関係のもとにおいて、母から農地法三条の許可申請に協力を求められた右長男がその許可申請協力請求権…
参照法条民法1条3項,民法145条

復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡した場合と復代理人の本人に対する受領物引渡義務

最高裁判所第二小法廷昭和51年4月9日昭和49(オ)1026民集 第30巻3号208頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨本人代理人間で委任契約が締結され、代理人復代理人間で復委任契約が締結された場合において、復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡したときは、特別の事情がない限り、復代理人の本人に対する受領物引渡義務は消滅する。
参照法条民法104条,民法107条2項,民法646条1項

相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合と受益額算定の方法

最高裁判所第一小法廷昭和51年3月18日昭和49(オ)1134民集 第30巻2号111頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもつて評価すべきである。
参照法条民法903条,民法904条,民法1029条,民法1044条

民法六三七条所定の期間の経過した請負契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を自働債権とし請負人の報酬請求権を受働債権としてする相殺と同法五〇八条

最高裁判所第一小法廷昭和51年3月4日昭和50(オ)485民集 第30巻2号48頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨注文者が民法六三七条所定の期間の経過した請負契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を自働債権とし請負人の報酬請求権を受働債権としてする相殺については、同法五〇八条の類推適用がある。
参照法条民法508条,民法634条2項,民法637条

売買契約が民法五六一条により解除された場合と目的物の引渡を受けていた買主の使用利益返還義務

最高裁判所第二小法廷昭和51年2月13日昭和49(オ)1152民集 第30巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨売買契約に基づき目的物の引渡を受けていた買主は、民法五六一条により右契約を解除した場合でも、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還しなければならない。
参照法条民法545条,民法561条

債権が譲渡される前から債権者に対して反対債権を有していた債務者が右反対債権を自働債権とし被譲渡債権を受働債権としてした相殺を有効と認めた事例

最高裁判所第一小法廷昭和50年12月8日昭和44(オ)655民集 第29巻11号1864頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債権が譲渡され、その債務者が、譲渡通知を受けたにとどまり、かつ、右通知を受ける前に譲渡人に対して反対債権を取得していた場合において、譲受人が譲渡人である会社の取締役である等判示の事実関係があるときには、右被譲渡債権及び反対債権の弁済期の前後を問わず、両者の弁済期が到来すれば、被譲渡債権の債務者は、譲受人に対し、右反対債…
参照法条民法468条2項

一、国際的裁判の合意の方式 二、外国の裁判所を専属管轄裁判所与る国際的専属的裁判管轄の合意 三、船荷証券に基づく国際的専属的裁判管轄の合意が公序違反として無効とはいえないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和50年11月28日昭和45(オ)297民集 第29巻10号1554頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、国際的裁判管轄の合意は、両当事者の署名のある書面によつてされることを要せず、特定国の裁判所を管轄裁判所として明示的に指定する当事者の一方が作成した書面に基づいて締結されれば足りる。 二、ある訴訟事件についてわが国の裁判権を排除し特定の外国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は、当該…
参照法条民法1条,民法90条,民法521条,民訴法25条,民訴法200条4号,民訴法515条,1924年8月25日にブラツセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約3条8項,国際海上物運送法15条1項

一、農買収計についての訴願棄却裁決が行政事件訴訟特例法に基づく取消訴訟により買収計画の違法を理由として取り消された場合と買収計画の効カ ニ、二重訴訟解消のため前訴が取り下げられた場合と前訴の提起による時効中断の効力

最高裁判所第三小法廷昭和50年11月28日昭和49(オ)197民集 第29巻10号1797頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、農地買収計画についての訴願を棄却した裁決が行政事件訴訟特例法に基づく裁決取消の訴訟において買収計画の違法を理由として取り消されたときは、右買収計画は効力を失うと解すべきである。 二、二重訴訟を解消するために前訴が取り下げられても、前訴の請求がそのまま後訴においても維持されている場合は、前訴の提起により生じた時効中断…
参照法条行政事件訴訟特例法12条,民法147条,民法149条,民訴法231条

物上保証人に対する抵当権の実行による競売開始決定が債務者に告知された場合と被担保債権の消滅時効の中断

最高裁判所第二小法廷昭和50年11月21日昭和47(オ)723民集 第29巻10号1537頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨物上保証人に対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者に告知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。
参照法条民法147条,民法148条,民法155条,民訴法204条,競売法25条,競売法27条

共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が共有関係解消のためにとるべき裁判手続

最高裁判所第二小法廷昭和50年11月7日昭和47(オ)121民集 第29巻10号1525頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である。
参照法条民法258条1項,民法907条2項

医師が化膿性髄膜炎の治療としてしたルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)の施術とその後の発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定したのが経験則に反するとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和50年10月24日昭和48(オ)517民集 第29巻9号1417頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨重篤な化膿性髄膜炎に罹患した三才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻癖、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後…
参照法条民法709条,国家賠償法1条1項,民訴法185条,民訴法394条

特別縁故者に分与されなかつた相続財産の国庫帰属の時期及び相続財産管理人の代理権消滅の時期

最高裁判所第二小法廷昭和50年10月24日昭和49(オ)527民集 第29巻9号1483頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨相続人不存在の場合において、特別縁故者に分与されなかつた相続財産は、相続財産管理人がこれを国庫に引き継いだ時に国庫に帰属し、相続財産全部の引継が完了するまでは、相続財産法人は消滅せず、相続財産管理人の代理権も引継未了の相続財産につき存続する。
参照法条民法956条1項,民法958条の3,民法959条

金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先

最高裁判所第一小法廷昭和50年9月25日昭和46(オ)1110民集 第29巻8号1287頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
参照法条民法468条,民法511条,民訴法601条,手形法39条,手形法50条,手形法77条

仮登記担保の目的不動産につき後順位権利者がある場合と被担保債権以外の債権を自働債権とする清算金支払債務との相殺の許否

最高裁判所第三小法廷昭和50年9月9日昭和45(オ)1156民集 第29巻8号1249頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨仮登記担保権者は、目的不動産につき後順位権利者があるときは、債務者に対する被担保債権以外の金銭債権をもつて自己の負担する清算金支払債務と相殺することができない。
参照法条民法369条,民法482条,民法505条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条

いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権をその譲渡担保権者から譲り受けた者が譲渡担保設定者に対して有するF理事会の譲渡承認手続請求権と右設定者の譲渡担保権者に対する清算金支払請求権との同時履行関係

最高裁判所第三小法廷昭和50年7月25日昭和49(オ)246民集 第29巻6号1147頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権を目的とする譲渡担保設定契約において、設定者が、あらかじめ、譲渡担保権者の換価処分によりゴルフ会員権を譲り受けた者のために、Fの規則上譲渡に必要とされているF理事会の承認を得るための手続に協力することを承諾している場合には、設定者は、譲受人に対し、同時履行の抗弁により、譲渡担保権者が清…
参照法条民法362条,民法369条,民法533条

所有権移転予約形式の仮登記担保関係における予約完結権の行使と目的不動産の所有権の移転

最高裁判所第一小法廷昭和50年7月17日昭和45(オ)310民集 第29巻6号1080頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨所有権移転予約形式の仮登記担保権を有する債権者が債務者の履行遅滞を理由として予約完結権を行使した場合でも、債権者において清算金を支払う必要があり債務者においてその支払があるまで目的不動産についての本登記手続義務の履行を拒みうるときは、目的不動産の所有権は、右予約完結権の行使により直ちに債権者に移転するものではない。
参照法条民法176条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条1項

旧債権発生後これを目的とする準消費貸借契約締結前にした債務者の詐害行為と債権者の取消権

最高裁判所第一小法廷昭和50年7月17日昭和49(オ)302民集 第29巻6号1119頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債務者による詐害行為当時債権者であつた者は、その後その債権を目的とする準消費貸借契約を締結した場合においても、右詐害行為を取り消すことができる。
参照法条民法424条,民法588条

一、外国為替及び外国貿易管理法並びに外国為替管理令に違反する保証契約の私法上の効力 二、外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権と日本の通貨による請求 三、外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権についての裁判上の請求と日本の通貨に…

最高裁判所第三小法廷昭和50年7月15日昭和48(オ)305民集 第29巻6号1029頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、外国為替及び外国貿易管理法三〇条三号、外国為替管理令一三条一項一号、二項に違反して締結された保証契約でも、私法上は有効である。 二、外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権については、債権者は債務者に対して外国の通貨又は日本の通貨のいずれによつてもこれを請求することができる。 三、外国の通貨をもつて債権額が指定…
参照法条外国為替及び外国貿易管理法30条3号,外国為替管理令13条1項1号,外国為替管理令13条2項,民法90条,民法403条

除名が無効な場合におけるユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力

最高裁判所第二小法廷昭和50年4月25日昭和43(オ)499民集 第29巻4号456頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨労働組合から除名された労働者に対し使用者がユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として行う解雇は、右除名が無効な場合には、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がないかぎり、無効である。
参照法条労働組合法第2章,労働組合法第3章,民法627条

一、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)の正当性 二、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)とその期間中における使用者の賃金支払義務

最高裁判所第三小法廷昭和50年4月25日昭和44(オ)1256民集 第29巻4号481頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)は、個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、経過組合側の争議行為の態様、それによつて使用者側の受ける打撃の程度等に関する具体的諸事情に照らし、衡平の見地から見て労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当と認められる場合には、使用者の正当な争議行為として是認される。 二…
参照法条労働組合法8条,労働関係調整法7条,民法536条2項,民法623条

賃借物につき第三者から明渡を求められた賃借人の賃料支払拒絶権

最高裁判所第二小法廷昭和50年4月25日昭和49(オ)161民集 第29巻4号556頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地又は建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡を請求することができる第三者からその明渡を求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができる。
参照法条民法559条,民法576条,民法601条

虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否

最高裁判所第三小法廷昭和50年4月8日昭和49(オ)861民集 第29巻4号401頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届をしても、右出生届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。
参照法条旧民法775条,旧民法847条,旧民法851条2号,民法739条,民法799条,民法802条2号

土地の売主の共同相続人がその相続した代金債権を保全するため買主に代位して他の共同相続人に対し所有権移転登記手続を請求することの許否

最高裁判所第一小法廷昭和50年3月6日昭和48(オ)369民集 第29巻3号203頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨買主に対する土地所有権移転登記手続義務を相続した共同相続人の一部の者が右義務の履行を拒絶しているため、買主が相続人全員による登記手続義務の履行の提供があるまで代金全額について弁済を拒絶する旨の同時履行の抗弁権を行使している場合には、他の相続人は、自己の相続した代金債権を保全するため、右買主が無資力でなくても、これに代位…
参照法条民法423条1項,民法533条

一、いわゆる仮登記担保者と仮登記に遅れて目的不動産を占有する第三者に対する右不動産の換価処分における損害賠償請求 二、目的不動産の換価処分前に被担保債権について弁済の提供を受けその受領を拒絶したいわゆる仮登記担保権者と仮登記に遅れて右不動産…

最高裁判所第三小法廷昭和50年2月25日昭和46(オ)653民集 第29巻2号112頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、いわゆる仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分前においては、自己が右不動産を使用収益することができる旨の約定がある等特段の事情のないかぎり、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対し、賃料相当の損害金の賠償を請求することができない。 二、いわゆる仮登記担保権者が、目的不動産の換価処分前に、被担保債権について…
参照法条民法369条,民法413条,民法482条,民法492条,民法556条,民法709条,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項

買主が売主に対し民法五七〇条に基づく損害賠償の請求をするとともに該請求権を自働債権とする相殺の意思表示をしたものと解された事例

最高裁判所第三小法廷昭和50年2月25日昭和48(オ)558民集 第29巻2号168頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨単価を六五円とする穀用かますの売買契約において引き渡された一二万八一〇〇枚につき、買主が売主にあてて、右かますに欠陥があることを具体的に指摘したうえ、穀用かますとしての商品価値が認められず、一枚当り二〇円、数量一二万八一〇〇枚、この代金二五六万二〇〇〇円としての減価採用で精算させていただく等判示のような記載のある書面を…
参照法条民法91条,民法506条1項,民法566条,民法570条

信用組合の内規に反し職員外の者が職員を通じてした職員定期預金の払戻に関する右職員の行為と民法七一五条の事業の執行

最高裁判所第一小法廷昭和50年1月30日昭和48(オ)270民集 第29巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨信用組合が職員に対して職員外の者に職員定期預金を利用させることを禁止しているのを知りながら職員外の者が右組合の営業部預金課員の勧誘により同人を通じて右定期預金をした場合でも、職員定期預金でなければ預金をしないことが明らかであつた等特段の事情のないかぎり、右預金契約は一般定期預金として有効に成立し、右預金の払戻に関する右…
参照法条民法666条,民法715条

遺言者の押印を欠ぐ自筆遺言証書が有効とされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和49年12月24日昭和48(オ)1074民集 第28巻10号2152頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨英文の自筆遺言証書に遺言者の署名が存するが押印を欠く場合において、同人が遺言書作成の約一年九か月前に日本に帰化した白系ロシア人であり、約四〇年間日本に居住していたが、主としてロシア語又は英語を使用し、日本語はかたことを話すにすぎず、交際相手は少数の日本人を除いてヨーロッパ人に限られ、日常の生活もまたヨーロッパの様式に従…
参照法条民法960条,民法967条,民法968条

朝鮮民事令(明治四五年制令第七号)の適用をうける朝鮮人が他人の子を養子とする意図でした虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否

最高裁判所第二小法廷昭和49年12月23日昭和43(オ)520民集 第28巻10号2098頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨朝鮮民事令(明治四五年制令第七号)の適用をうける朝鮮人が、他人の子を養子とする意図のもとに嫡出子として届け出ても、それによつて養子縁組が成立するとはいえない。
参照法条朝鮮民事令(明治45年制令第7号)11条2項,民法739条,民法799条,民法802条2号

準禁治産者が訴を提起するにつき保佐人の同意を得られない場合と消滅時効の進行

最高裁判所第二小法廷昭和49年12月20日昭和48(オ)647民集 第28巻10号2072頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨準禁治産者である権利者が保佐人の同意を得られないため訴を提起できない場合でも、その権利についての消滅時効の進行は妨げられない。
参照法条民法12条1項4号,民法166条1項

一、民法七一一条の類推適用により被害者の夫の妹に慰藉料請求権が認められた事例 二、不法行為による生命侵害があつた場合と民法七一一条所定以外の者の固有の慰藉料請求権

最高裁判所第三小法廷昭和49年12月17日昭和49(オ)212民集 第28巻10号2040頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、不法行為により死亡した被害者の夫の妹であつても、この者が、跛行顕著な身体障害者であるため、長年にわたり被害者と同居してその庇護のもとに生活を維持し、将来もその継続を期待しており、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた等判示の事実関係があるときには、民法七一一条の類推適用により加害者に対し慰藉料を請求しうる。 二…
参照法条民法711条

商法二六六条の三第一項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間

最高裁判所第三小法廷昭和49年12月17日昭和49(オ)768民集 第28巻10号2059頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨商法二六六条の三第一項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は一〇年と解すべきである。
参照法条民法167条1項,民法724条,商法266条の3第1項

交通事故による損害賠償債権を有する者が債権者代位権により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するための要件

最高裁判所第三小法廷昭和49年11月29日昭和47(オ)1279民集 第28巻8号1670頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨交通事故による損害賠償債権を有する者がその債権を保全するため民法四二三条一項本文により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するには、債務者の資力が債権を弁済するについて十分でないことを要する。
参照法条民法423条1項

破産管財人が破産者宛の破産債権譲渡の通知書の配達を受けて開披した場合と右譲渡の対抗力

最高裁判所第一小法廷昭和49年11月21日昭和45(オ)1133民集 第28巻8号1654頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨破産債権である指名債権の譲渡を破産管財人に対抗するには、譲渡人がこれを破産管財人に通知し、又は破産管財人がこれを承諾することを要し、破産者宛の通知が破産管財人に配達され、破産管財人がこれを開披したとしても、破産管財人に対する通知があつたとはいえない。
参照法条民法467条1項,破産法190条1項,破産法190条2項

債権仮差押命令送達前に第三債務者が債務支払のために振り出した小切手が右送達後に支払われた場合と民法四八一条一項

最高裁判所第一小法廷昭和49年10月24日昭和46(オ)521民集 第28巻7号1504頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨第三債務者が債権仮差押命令の送達を受ける前に債務者に対し債務支払のために小切手を振り出していた場合には、右送達後にその小切手が支払われたとしても、第三債務者は右債務の消滅を仮差押債権者に対抗することができる。
参照法条民法481条1項,民訴法598条,民訴法750条3項

金融機関の支店長代理と支店内において債務の弁済の充当について合意をした者と民法一一〇条

最高裁判所第一小法廷昭和49年10月24日昭和47(オ)431民集 第28巻7号1512頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金融機関の支店長代理と支店内において債務の弁済の充当について合意をした者には、特別の事情のないかぎり、支店長代理に右合意をする権限があると信ずべき正当の理由がある。
参照法条民法110条

労働組合の下部組織が事実上分裂した場合において離脱組合員の結成した新組合が右下部組織の財産につき権利を有しないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和49年9月30日昭和44(オ)155民集 第28巻6号1382頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨D労働組合の下部組織として同組合との間に判示のような関係に立つ独立の権利能力なき社団である地方本部において、所属組合員の約三分の二が組合の運動方針に反対して集団的に組合を離脱し新組合を結成したため、地方本部が事実上分裂したとみられる場合であつても、D労働組合そのものが統一的組織体としての機能を失わず、かつ、地方本部に残…
参照法条労働組合法12条,民法72条

民法九六条三項にいう第三者にあたる場合

最高裁判所第一小法廷昭和49年9月26日昭和45(オ)344民集 第28巻6号1213頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲を欺罔してその農地を買い受けた乙が、農地法五条の許可を条件とする所有権移転仮登記を得たうえ、右売買契約上の権利を善意の丙に譲渡して右仮登記移転の附記登記をした場合には、丙は民法九六条三項にいう第三者にあたる。
参照法条民法96条3項

一、海難における救援救助についての規定の統一に関する条約(大正三年条約第二号)に基づく海難救助料請求権と救援救助義務 二、曳船の所有者が被曳船の海難につき曳船契約上負担すべき救援救助義務 三、曳船契約履行中被曳船の海難に対し曳船の船長及び海…

最高裁判所第一小法廷昭和49年9月26日昭和47(オ)1236民集 第28巻6号1331頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、海難における救援救助についての規定の統一に関する条約(大正三年条約第二号)に基づく海難救助料請求権が発生するためには、海難に対する救援救助行為が義務なくしてされたものでなければならない。 二、曳船の所有者は、曳船契約履行中、被曳船が通常生ずるとはいえない事故により海難におちいつた場合においても、曳船に急迫な危険が存…
参照法条商法800条,海難における救援救助についての規定の統一に関する条約(大正3年条約第2号)2条1項,海難における救援救助についての規定の統一に関する条約(大正3年条約第2号)4条,民法1条2項

相続の放棄と詐害行為取消権

最高裁判所第二小法廷昭和49年9月20日昭和47(オ)1194民集 第28巻6号1202頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨相続の放棄は、民法四二四条の詐害行為取消権行使の対象とならない。
参照法条民法424条,民法939条

賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無

最高裁判所第一小法廷昭和49年9月2日昭和48(オ)30民集 第28巻6号1152頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない。
参照法条民法533条,民法619条2項

動産の割賦払約款付売買契約において代金完済に至るまで所有権を留保した売主又は右売主から目的物を買い受けた者と第三者異議の訴

最高裁判所第一小法廷昭和49年7月18日昭和49(オ)157民集 第28巻5号743頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代金完済に至るまで目的物の所有権を売主に留保し買主に対する所有権の移転は代金完済を停止条件とする旨の合意がされている動産の割賦払約款付売買契約において、代金完済に至るまでの間に買主の債権者が目的物に対し強制執行したときは、売主又は売主から目的物を買い受けた第三者は、所有権を主張し、第三者異議の訴によつて右執行を排除する…
参照法条民法555条,民訴法549条1項

同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間における相殺の許否

最高裁判所第三小法廷昭和49年6月28日昭和47(オ)36民集 第28巻5号666頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨双方の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、相殺は許されない。
参照法条民法509条,民法709条

賃料不払を理由とする不動産賃貸借の解除に催告を要しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和49年4月26日昭和45(オ)603民集 第28巻3号467頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨不動産の賃貸借において、賃借人が、約九年一〇か月の長期間賃料を支払わず、その間、当該不動産を自己の所有と主張して賃貸借関係の存在を否定し続けたなど原判示の事情(原判決理由参照)があるときは、賃貸人は、催告を要せず賃貸借を解除することができる。
参照法条民法540条,民法541条,民法601条,民法620条

相続財産の限度での支払を命ずる判決が確定した場合における判決の効力

最高裁判所第二小法廷昭和49年4月26日昭和46(オ)411民集 第28巻3号503頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨被相続人に対する債権につき、債権者と相続人との間の前訴において、相続人の限定承認が認められ、相続財産の限度での支払を命ずる判決が確定しているときは、債権者は相続人に対し、後訴によつて、右判決の基礎となる事実審の口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実を主張して右債権につき無留保の判決を求めることはできない。
参照法条民法921条,民法922条,民訴法199条1項,民訴法545条2項

指名債権の特定遺贈と債務者に対する対抗要件

最高裁判所第二小法廷昭和49年4月26日昭和48(オ)1226民集 第28巻3号540頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨指名債権が特定遺贈された場合、遺贈義務者の債務者に対する通知又は債務者の承諾がなければ、受遺者は、遺贈による債権の取得を債務者に対抗することができない。
参照法条民法467条1項,民法964条,民法985条1項

土地賃貸借の合意解除が地上建物の賃借人に対抗できるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和49年4月26日昭和48(オ)766民集 第28巻3号527頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地賃貸借が合意解除された当時、地上建物につき土地賃借人と合資会社との間に賃貸借が締結されていた場合においても、右会社は土地賃借人が従前同建物で経営していた事業を自己が代表者となつて会社組織にしたものにすぎず、かつ、右解除の際、土地賃借人が会社設立について言及しなかつたため土地賃貸人が右の事実を全く知らなかつたなど判示…
参照法条民法545条1項,民法601条

責任能力のある未成年者の不法行為と監督義務者の不法行為責任

最高裁判所第二小法廷昭和49年3月22日昭和47(オ)1067民集 第28巻2号347頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨未成年者が責任能力を有する場合であつても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法七〇九条に基づく不法行為が成立する。
参照法条民法709条,民法714条

株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失を登記したときと民法一一二条

最高裁判所第二小法廷昭和49年3月22日昭和48(オ)142民集 第28巻2号368頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失につき登記したときは、その後その者が会社の代表者として第三者とした取引については、民法一一二条の適用はない。
参照法条民法112条,商法12条

賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件

最高裁判所第三小法廷昭和49年3月19日昭和47(オ)1121民集 第28巻2号325頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。
参照法条民法177条,民法605条,建物保護に関する法律1条

一、海上物品運送契約において積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合と保険代位 二、商法七三八条の堪航能力担保義務の範囲 三、商法七三八条の堪航能力担保義務の性質

最高裁判所第二小法廷昭和49年3月15日昭和45(オ)470民集 第28巻2号222頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、海上物品運送契約において、積荷保険の被保険者である荷主が保険金の支払を受ける限度で運送人に対する損害賠償請求権をあらかじめ放棄した場合でも、商法七三九条により運送人の免責が許されない損害に関するかぎり、保険者は、保険代位により、荷主の運送人に対する損害賠償請求権を取得する。 二、商法七三八条により担保される堪航能力…
参照法条商法629条,商法662条,商法738条,商法739条,商法815条,商法816条,民法519条,国際海上物品運送法附則2項

裏書によらない手形債権の譲渡の性質

最高裁判所第一小法廷昭和49年2月28日昭和47(オ)1233民集 第28巻1号121頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の受取人甲が、乙からその手形の割引を受け、裏書をしないでこれを乙に交付したときは、甲は、指名債権譲渡の方法によつて乙に右手形債権を譲渡したものと解するのが相当である。
参照法条手形法11条,民法467条

抵当不動産の第三取得者と抵当権の被担保債権の消滅時効の援用

最高裁判所第二小法廷昭和48年12月14日昭和45(オ)719民集 第27巻11号1586頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨抵当不動産の譲渡を受けた第三者は、抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
参照法条民法145条,民法166条,民法369条

民事訴訟事件の依頼者と弁護士との間のいわゆるみなし成功報酬の特約がその効力を生じないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和48年11月30日昭和47(オ)342民集 第27巻10号1448頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨控訴審における民事訴訟事件につき、依頼者と弁護士との間で、依頼者が受任者に無断で和解、取下等をしたときには、委任事務処理の程度いかんにかかわらず成功とみなして成功報酬の全額を支払う旨のいわゆるみなし成功報酬の特約がされ、依頼者において受任者に無断で右事件の相手方と裁判外の和解をして控訴を取り下げた場合であつても、受任者…
参照法条民法643条,民法648条,弁護士法312条2項8号

破産者がした債務の弁済が否認され給付したものが破産財団に復帰した場合と連帯保証債務

最高裁判所第一小法廷昭和48年11月22日昭和48(オ)726民集 第27巻10号1435頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨破産者がした債務の弁済が破産管財人により否認され、その給付したものが破産財団に復帰したときは、さきにいつたん消滅した連帯保証債務は、当然復活する。
参照法条破産法72条,破産法77条1項,破産法79条,民法446条,民法458条

約束手形の裏書を受けた手形所持人が裏書の原因関係である法律行為が無効であるときに振出人に対してする手形金請求と権利濫用

最高裁判所第二小法廷昭和48年11月16日昭和47(オ)104民集 第27巻10号1391頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の裏書を受けた手形所持人が、裏書の原因関係である法律行為が無効であるにかかわらず、手形を所持していることを奇貨として振出人に対し手形金を請求することは、特段の事情のないかぎり、権利の濫用として許されない。
参照法条手形法77条,手形法17条,民法1条2項,民法1条3項

民法七七〇条一項一号の不貞な行為の意義

最高裁判所第一小法廷昭和48年11月15日昭和48(オ)318民集 第27巻10号1323頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法七七〇条一項一号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。
参照法条民法770条1項1号

商法五〇四条但書に基づき相手方が債権者として本人または代理人を選択しうる場合における本人の請求と代理人の債権についての消滅時効の中断

最高裁判所第三小法廷昭和48年10月30日昭和44(オ)1135民集 第27巻9号1258頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理人がした商行為による債権につき本人が提起した債権請求訴訟の係属中に、相手方が商法五〇四条但書に基づき債権者として代理人を選択したときは、本人の請求は、右訴訟が係属している間代理人の債権につき催告に準じた時効中断の効力を及ぼすものと解するのが相当である。
参照法条商法504条,商法522条,民法147条,民法148条,民法153条

一、借地法の適用のある賃貸借の賃貸人が賃借人の破産を理由としてする解約申入と正当事由の要否 二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合における賃料債権の性質

最高裁判所第三小法廷昭和48年10月30日昭和47(オ)718民集 第27巻9号1289頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、借地法の適用のある賃貸借の賃借人が破産しても、賃借土地上に建物を所有している場合は、賃貸人が民法六二一条に基づき解約申入をするためには、借地法四条一項但書、六条二項の正当事由が解約申入の時から民法六一七条所定の期間満了に至るまで存続することを要するものと解すべきである。 二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場…
参照法条民法621条,借地法4条1項,借地法6条2項,破産法47条7号

新会社が旧会社と法人格を異にするとの実体法上および訴訟法上の主張が信義則に反し許されないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和48年10月26日昭和45(オ)658民集 第27巻9号1240頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨株式会社の代表取締役が、会社が賃借している居室の明渡し、延滞賃料等の債務を免れるために、会社の商号を変更したうえ、旧商号と同一の商号を称し、その代表取締役、監査役、本店所在地、営業所、什器備品、従業員が旧会社のそれと同一で、営業目的も旧会社のそれとほとんど同一である新会社を設立したにもかかわらず、右商号変更および新会社…
参照法条民法1条2項,民法33条,商法52条,民訴法第1編第4章第1節

土地の賃貸借契約が賃借人の破産により解除されても信義則上転借権が消滅しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和48年10月12日昭和48(オ)68民集 第27巻9号1192頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨土地が適法に転貸され、転借人になんら非違もないのに、賃借人会社の代表者である賃貸入が、右転借権を消滅させるため、右会社の自己破産を申し立てて破産宣告をえ、これを理由に賃貸借契約を解除するようなことは、転借人に対し著しく信義則に反し、右解除により賃貸借契約が終了しても、転借権は消滅しない。
参照法条民法1条2項,民法612条,民法621条

権利能力のない社団の取引上の債務と社団構成員の責任

最高裁判所第三小法廷昭和48年10月9日昭和45(オ)1038民集 第27巻9号1129頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。
参照法条民法33条,民法427条,民法675条,民訴法46条

最高裁 / 刑集登載1件

ゴルフ場内のいわゆるロストボールが窃盗罪の客体になるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和62年4月10日昭和61(あ)1514刑集 第41巻3号221頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨ゴルフアーが誤つてゴルフ場内の人工池に打ち込み放置したいわゆるロストボールも、ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定しているときは、ゴルフ場側の所有及び占有に係るものとして窃盗罪の客体になる。
参照法条刑法235条,民法239条