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判例・論点索引

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最高裁 / 裁判集登載250件

被告人の捜査官に対する黙秘権行使自体を量刑上不利益に考慮したものではないとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和40年3月18日昭和39(あ)2026集刑 第155号99頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は憲法第三八条第一項違反をいうのであるが第一審裁判所は捜査官に対する被告人の黙秘権行使の際の愚弄的の態度をもつて量刑上非難すべき情状として斟酌したにとどまり、原判決も右第一審判決の判示を是認したものであつて、所論のごとく黙秘したこと自体を量刑上不利益に考慮したものでないことは判文上明らかであり、従つて違憲の主張は前…
参照法条憲法38条1項,刑訴法198条2項

一 会社と同時に破産宣告を受けた合名会社の社員の破産と商法第八五条第四号。 二 醸造元および銘柄を明記した酒瓶用胴張紙は刑法第一五九条第一項にいわゆる事実証明に関する文書にあたるか。

最高裁判所第二小法廷昭和40年3月12日昭和38(あ)1580集刑 第155号17頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 合名会社の社員が会社と同時に破産宣告を受けたときは、右社員の破産は、商法第八五条第四号所定の退社原因にあたらない。 二 醸造元および銘柄を明記した酒瓶用胴張紙は刑法第一五九条第一項にいわゆる「事実証明に関する文書」にあたる。
参照法条商法85条4号,刑訴法27条,刑法159条1項

刑訴法第三八八条の合憲性

最高裁判所第一小法廷昭和40年2月25日昭和39(あ)2110集刑 第154号859頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない旨を規定する刑訴法第三八八条は立法政策の問題であつて、憲法第三一条に違反するものでないことは、昭和当二三年七月一九日大法廷判決(刑集二巻八号九二二頁)、昭和二五年二月一日大法廷判決(刑集四巻二号八八頁)および昭和三一年七月一八日大法廷判決(…
参照法条刑訴法388条,憲法31条

簡易裁判所のした裁判の執行の異議申立却下決定に対する特別抗告申立の適否。

最高裁判所第三小法廷昭和40年2月9日昭和39(し)68集刑 第154号699頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨簡易裁判所がした、裁判の執行の異議申立を却下する決定に対し、特別抗告の申立があつても、右決定に対しては刑訴法第五〇四条により即時抗告をすることができるのであるから、直接最高裁判所に対しなされた右特別抗告は、刑訴法第四三三条第一項の要件を具えない不適法なものである。
参照法条刑訴法502条,刑訴法504条,刑訴法433条1項

刑訴法第三三二条の適用範囲。

最高裁判所第一小法廷昭和40年1月28日昭和39(あ)1437集刑 第154号545頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴法第三三二条は、当該事件について、地裁が事物管轄をもつ場合にのみ適用あるものと解するのが相当である。
参照法条刑訴法332条,裁判所法33条2項,裁判所法33条3項

最高裁判所のした保釈却下決定に対する異議申立が棄却された事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月26日昭和40(す)6集刑 第154号525頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件について、最高裁判所がした保釈却下決定に対し異議の申立があつたが、最高裁判所のした保釈却下決定に対し異議申立を許す規定はないから、申立は不適法であつて棄却すべきものである。
参照法条刑訴法351条,刑訴法428条

最高裁判所において公訴棄却決定がなされた事例。―第二審判決言渡前の被告人の死亡―

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月19日昭和39(あ)1707集刑 第154号43頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件につき、福岡高裁が言渡した判決に対し、原審弁護人及び検察官から上告の申立があつたところ、検察官の上告趣意書添付の死亡診断書及び戸籍謄本並びに右弁護人の答弁書の各記載によれば、被告人は、右判決言渡の日の前日に死亡したものであることが明白であるから、刑訴法第四一四条、第四〇四条、第四〇三条第一項、第三三九条第一項第四号…
参照法条刑訴法414条,刑訴法404条,刑訴法403条1項,刑訴法339条1項4号

理由齟齬ないし理由不備の違法があつて刑事訴訟法第四一一条第一号に当るとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年11月13日昭和36(あ)2298集刑 第153号45頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨「期末原料在庫高を正当とすれば、当該年度における生産量と原料の消費量とが計算上非常にくいちがうことにならざるを得ないのであつて、この点よりするも第一審判決認定の期末原料在庫高は誤りである」との主張に対し、「生産量と消費量とにそのようなくいちがいの存することは記録上否定し得ないけれども、記録にあらわれた被告会社の事業内容…
参照法条刑訴法411条1号,刑訴法378条4号,法人税法9条1号

一 控訴棄却の判決と刑訴法第三三五条の準用の有無。 二 刑訴法第二九三条、刑訴規則第二一一条の規定は控訴審に準用があるか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年11月5日昭和39(あ)1237集刑 第153号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 控訴棄却の判決をした場合には、刑訴法第四〇四条の「この法律に特定の定のある場合」に属し、刑訴法第三三五条の準用はない(昭和二五年(あ)三一七七号同二六年五月一〇日第一小法廷決定、刑集五巻六号一〇二一頁参照)。 二 控訴審は事後審であるから、刑訴法第二九三条、刑訴規則第二一一条の規定は控訴審に準用されない(昭和二五年…
参照法条刑訴法335条,刑訴法396条,刑訴法404条,刑訴法293条,刑訴法390条,刑訴法388条,刑訴規則211条,刑訴規則250条

現行犯人としての逮捕が適法であると認められた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年10月27日昭和37(あ)2558集刑 第152号1131頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 本件逮捕が適法である旨の原判断の結論は正当である。 二 (原審判断の要旨)被告人は現行犯人として逮捕されたものではなく、任意同行したものであると主張するが、浅草警察署勤務の甲乙外二名の警察官は警察庁本部からのaのクラブ「A」で若い者が乱暴しているから急行せよとの指令により右クラブに行き、入口で経営者より被告人がグラ…
参照法条刑訴法212条,刑法95条1項,刑法208条

警察法第六一条第一項の解釈。

最高裁判所第二小法廷昭和39年10月23日昭和37(オ)68集民 第75号955頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨司法警察職員がその管轄区域内で関税法第一一二条の賍物罪の捜査を進めた結果、その本犯についても捜査をする必要が生じたときは、当該司法警察職員は、警察法第六一条第一項の適用上、管轄区域外でも、その本犯の捜査をすることができる。
参照法条警察法61条1項,刑訴法9条2項

一 会社の代表者でない者の作成提出にかかり本来無効な上告趣意書がいわゆる瑕疵の治癒により有効と認められた事例。 二 現行刑事訴訟法の施行と国税犯則取締法第一五条の効力。

最高裁判所第二小法廷昭和39年10月16日昭和38(あ)2860集刑 第152号1029頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 上告趣意書作成日附当時にはすでに死亡していた合資会社の代表社員名義で提出された上告趣意書につき、その提出当時においてはこれを適式、有効と認めるだけの余地がなかつた場合でも、当該会社の有限責任社員であつた者が右趣意書の作成、提出に関与したものと認められ、かつ、その者が無限責任社員となり会社代表資格を取得するのに至つた…
参照法条刑訴法27条1項,刑訴法29条1項,刑訴法254条,商法151条,商法156条,商法162条1項,商法147,商法76条,商法85条3号,刑訴規則266条,刑訴規則238条,国税犯則取締法15条,国税犯則取締法14条

上告棄却の決定をした最高裁判所に対し刑訴法第五〇二条の申立は許されるか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年10月15日昭和39(す)337集刑 第152号1027頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨最高裁判所の言渡した上告棄却の決定に対し、裁判の執行に関する異議の申立があつたが、刑訴法第五〇二条の申立は、執行すべき刑の言渡をした裁判所に対し為されるべきものであつて、上告を棄却した最高裁判所は右刑訴法にいう刑の言渡をした裁判所とはいえないから、これに対し執行に関する異議の申立をすることは許されない。
参照法条刑訴法502条

一罪に対し数罪の主張と上告の利益。

最高裁判所第三小法廷昭和39年10月13日昭和37(あ)2570集刑 第152号1007頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第二審判決が一罪と認定した事実を数罪であると主張するのは、被告人に不利益な主張である。
参照法条刑訴法405条,刑法54条,刑法45条

抗告申立の利益の有無。―裁判官忌避申立却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する抗告―

最高裁判所第三小法廷昭和39年9月29日昭和39(し)52集刑 第152号987頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判官忌避申立却下の裁判は、当該裁判官が審理を継続している限りにおいては、これを取り消す実益があるけれども、審理を終結し、判決宣告を終つた後においては、右実益が失われるものと解するのが相当である。
参照法条刑訴法21条,刑訴法22条,刑訴法24条,刑訴法429条,刑訴法434条,刑訴法426条1項

控訴審において主張判断のなかつた実体法規に関する違憲の主張が上告理由として不適法とされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年9月22日昭和38(あ)884集刑 第152号883頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨自衛隊員である被告人に対する収賄被告事件の控訴審において、主張判断のなかつた「防衛庁設置法および自衛隊法が憲法第九条に違反して無効であるから、被告人は公務員ではないのにかかわらず、これを公務員として処罰した第一審判決を是認した原判決は違憲である」との主張は、適法な上告理由に当らない。
参照法条刑訴法405条,憲法9条,刑法7条

控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張であるとして適法な上告理由にあたらないとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年8月28日昭和38(あ)2078集刑 第152号679頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、原判決は、令状なくして違憲違法の押収手続により押収された物件を証拠として、その支持する第一審判決判示事実を有罪と認定しているから、原判決は憲法第三五条に違反する旨主張するが、かかる論旨は、原審で主張も判断もなかつた訴訟手続に関する主張であるから適法な上告理由に当らない(昭和三五年(あ)第一七二一号、同三六年七月…
参照法条刑訴法405条,刑訴法218条,刑訴法219条,憲法35条

第二審における訴因変更手続の要否。

最高裁判所第二小法廷昭和39年8月24日昭和38(あ)386集刑 第152号545頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨殺人罪として起訴された事案について、第一審判決が殺人予備と重過失致死で処断し、第二審がこれを破棄自判するに当り、訴因変更手続を経ることなく殺人罪として処断したとしても、第一審において訴因変更手続がとられた形跡が存しないときは、第二審は本来の訴因そのものにつき審判をしたに止まり、訴因変更手続要否の問題が生ずる余地は存しな…
参照法条刑訴法312条,刑訴法404条,刑訴規則209条,刑法199条,刑法201条,刑法211条後段

収税官吏が供述拒否権を告知しないで質問することは憲法第三八条に違反するか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年8月20日昭和37(あ)1495集刑 第152号499頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨収税官吏が犯罪嫌疑者に対し質問するに当つて、供述拒否権のあることをあらかじめ告知しなかつたからといつて、その質問手続が憲法第三八条に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一〇一号同三三年七月一四日大法廷判決、刑集二巻八号八四六頁・昭和二三年(れ)第一〇一〇号同二四年二月九日大法廷判決、刑集三巻二号一…
参照法条刑訴法198条2項,刑訴法311条,憲法38条,旧地方税法(昭和29年法律95号による改正前のもの)79条

収賄と詐欺の両訴因につき、事実の同一性が認められた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和39年8月20日昭和39(あ)125集刑 第152号537頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 本件収賄と詐欺の両訴因については、事実の同一性を有するものと認められる。 二 (収賄の訴因)被告人は、Aが神戸市土地区画整理事業の対象となつた同市a区bc丁目d番地の八所在同人所有の土地約四十一坪につき、神戸市に対し右所有地を換地用地として買収方を希望しており、同人により右買収価格の査定につき寛大有利な取扱いを受け…
参照法条刑訴法256条,刑訴法312条,刑法246条1項,刑法197条1項

刑訴法第四一一条第一号にあたるとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年8月4日昭和37(あ)2678集刑 第152号423頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録によれば、第一審において、被告人に対する起訴罪名甲乙丙の各罪の事実につき有罪を認め、甲乙の罪につき懲役刑を丙の罪につき罰金刑を言渡したところ、検察官から右甲乙の各罪に関する部分を限つて控訴の申立がなされ、被告人からは右判決に対して控訴の申立がなされないまま、その申立期間を経過したことが認められるにもかかわらず、第二…
参照法条刑訴法411条1号,刑訴法357条

控訴費用の裁判に対する不服申立。

最高裁判所第一小法廷昭和39年7月16日昭和39(あ)101集刑 第152号273頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上訴審において訴訟費用の裁判を是正すべき場合は、単に本案の裁判に対し上訴の申立があつただけでは足りず、その上訴が適法でありかつ理由があり、本案についても下級審の判決が取消される場合にかぎるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであり―昭和三〇年(あ)第二九五五号同三一年一二月一三日第一小法廷判決参照―所論控訴…
参照法条刑訴法181条,刑訴法185条

第二審判決と不利益変更の禁止。

最高裁判所第三小法廷昭和39年7月14日昭和39(あ)61集刑 第152号247頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、原判決は刑訴法第四〇二条の定める不利益変更禁止の原則に違反するとして、判例違反を主張するが、本件強盗殺人の法定刑のうち、第一審は無期懲役刑を選択、処断したものであるのに対し原審は死刑を選択し、第一審の認めなかつた被告人の犯行当時における心神耗弱の事実を認め、法定減軽の上無期懲役刑を宣告したものであることは各判文…
参照法条刑訴法402条,刑法10条,刑法39条,刑法68条

間接国税以外の国税に関する犯則事件について告発は公訴提起の訴訟条件か。

最高裁判所第二小法廷昭和39年7月9日昭和38(あ)297集刑 第152号143頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件所得税法違反被告事件の如き間接国税以外の国税に関する犯則事件については、収税官吏の告発をもつて公訴提起の訴訟事件と解することはできないことは既に当裁判所の判例とするところであり、今なおこれを変更すべきものとは認められない(昭和二八年(あ)第一六号同年九月二四日第一小法廷判決、刑集七巻九号一八二五頁参照)。
参照法条国税犯則取締法12条ノ2,刑訴法239条

同一拘留に対する上告審における拘留理由開示請求の許否。

最高裁判所第一小法廷昭和39年7月2日昭和39(す)215集刑 第152号93頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨拘留理由開示の請求は、同一拘留については、拘留の開始せられた当該裁判者において一回にかぎり許されるものと解すべきところ(昭和二九年(す)第三〇三号同年八月五日第一小法廷決定、刑集八巻八号一二三七頁・昭和二九年(す)第三一六号同年九月七日第三小法廷決定、刑集八巻九号一四五九頁参照。)、本件記録によれば被告人に対する拘留は…
参照法条刑訴法82条,刑訴法97条

一 所得の申告と憲法第三八条第一項にいう「自己に不利益な供述」。 二 所得税逋脱額の算定に関する第一審判決の違法が、判決に影響を及ぼすこと明らかである場合にあたらないとされ、また、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められないと…

最高裁判所第三小法廷昭和39年6月30日昭和36(あ)1638集刑 第151号547頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 申告納税制度の下における所得の申告の如く、憲法の規定する納税義務を前提とし、その税額を決定するために所得の申告を求めるが如きは、憲法第三八条第一項にいう「自己に不利益な供述」に当らない(昭和二七年(あ)第八三八号同三二年二月二〇日大法廷判決、刑集一一巻二号八〇二頁参照)。 二 原判決が、被告人と共謀して所得税を逋脱…
参照法条所得税法(昭和28年法律91号による改正前のもの)26条1項,所得税法(昭和28年法律91号による改正前のもの)69条1項,憲法38条1項,刑訴法397条,刑訴法411条

略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することの当否。

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月27日昭和38(あ)842集刑 第151号541頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することは相当ではないが、このために弁護人の弁護権が妨げられたと認めるべき証跡が全くない場合は所論訴訟法違反の主張は採用しがたい。
参照法条刑訴法256条,刑訴法405条,刑訴法411条,刑訴法462条,刑訴規則289条,刑訴規則293条

権利行使と恐喝罪成否に関する大審判例の変更の有無。

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月26日昭和39(あ)258集刑 第151号517頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨判例違反を主張する所論引用の大正一二年(れ)第一八〇五号同一三年三月五日大審院決定は、当裁判所の判例により変更されたものである(昭和二六年(れ)第七七号同年六月一日第二小法廷判決、刑集五巻七号一二二二頁・昭和二七年(あ)第六五九六号同三〇年一〇月一四日第二小法廷判決、刑集九巻一一号二一七三頁・昭和三一年(あ)第四六九号…
参照法条刑訴法405条,刑法249条

弁護人選任届の弁護人の表示が記名である場合の弁護人選任届は違法か。

最高裁判所第一小法廷昭和39年6月18日昭和38(あ)3176集刑 第151号471頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審における弁護人選任届の弁護人の表示が記名であつても、右弁護人が異議なく公判に立会して弁論し、被告人にも異議なかつたことが記録上明らかな場合は、右弁護人選任届は違法ではない(昭和二六年(あ)第二六八号同二八年二月一九日第一小法廷決定、刑集七巻二号二四二頁参照)。
参照法条刑訴規則18条,刑訴法30条

刑訴法第四〇〇条但書に違反しないとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和39年6月2日昭和37(あ)389集刑 第151号315頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審が被告人の所為を詐欺の幇助として認定したのに対し、控訴審が被告人質問によつて事実の取調を行なつたうえ、同一の事実関係を前提として、これを詐欺の共同正犯に問擬した措置は、刑訴法第四〇〇条但書の許さないところではない。
参照法条刑訴法400条,刑法246条,刑法60条,刑法62条

上訴審における訴訟費用の是正。

最高裁判所第三小法廷昭和39年6月2日昭和38(あ)2135集刑 第151号323頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上訴審において訴訟費用の裁判を是正すべき場合は、単に本案の裁判に対し上訴の申立があつただけでは足らず、その上訴が適法かつ理由があり、本案についても下級審の判決が取り消される場合に限るものと解すべきである(昭和三〇年(あ)第二九五五号同三一年一二月一三日第一小法廷判決、刑集一〇巻一二号一六三三頁参照)。
参照法条刑訴法185条

被告人に対し不利益な主張であつて適法な上告理由にあたらないとされた事例。―一罪に対する併合罪の主張―

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月1日昭和37(あ)3013集刑 第151号303頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、原判決は被告人の昭和三四年六月下旬頃から同三五年五月初旬頃までの管理売春の所為につき、これを一罪として一個の刑を科しているけれども、被告人には昭和三四年九月一九日宣告同年一〇月七日確定の道路交通取締法違反による罰金三、〇〇〇円及び昭和三五年一月二八日宣告同年二月一七日確定の同法違反による罰金四、〇〇〇円の二個の…
参照法条刑法45条4後段,刑訴法351条,刑訴法402条,刑訴法411条

控訴審において訴因の変更が許されるか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年5月7日昭和38(あ)2812集刑 第151号199頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審が事実の取調をして、破棄自判するような場合には、検察官の請求により、公訴事実の同一性を害しない限度において、訴因の変更を許すべきものであることは、当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第五一五号同年九月三〇日第一小法廷決定、刑集八巻一五六五頁)とするところである。
参照法条刑訴法404条,刑訴法312条,刑訴法400条,刑訴法393条

各個の包括一罪をなす詐欺罪の訴因特定方法。

最高裁判所第一小法廷昭和39年4月23日昭和38(あ)2437集刑 第151号71頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件公訴事実は同一被害者に対し、一定期間反覆継続して行われた単一意思の発現と認めらるる同種の詐欺行為を包括して、一個の詐欺罪とし、八名の被害者につき各個の訴因毎に、被害者、詐欺の行われた日時(始期と終期)、場所及び被害物件の総計その価格の総額等を明示しているのであるから、詐欺罪の訴因の特定について欠くることなく、右一罪…
参照法条刑法246条1項,刑法45条,刑訴法256条

公訴事実の同一性を認められた事例。―詐欺の本位的訴因と賍物牙保の予備的訴因―

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月22日昭和37(あ)2463集刑 第151号67頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 本件記訴状記載の詐欺の事実と予備的訴因追加請求書掲記の賍物牙保の事実との間に公訴事実の同一性を認めた原判断を相当と認める。 二 (原判断の要旨)詐欺の本意的訴因と賍物牙保の予備的訴因の両者が構成要件、罪名を異にし、前者は甲を被害者とする金員騙取の行為であるのに対し後者は乙会社が遺失物に対して有する追及回復の権利を侵…
参照法条刑法246条,刑法256条2項,刑訴法312条,刑訴法256条

控訴審が被告人から意思の疏通を欠くとして弁護人改任の上申があつたのでさきに選任した被告人のための国選弁護人を解任し即日(控訴趣意書提出最終日経過後)新たに国選弁護人を選任し、同弁護人が異義なく弁論した場合における裁判所の措置と憲法第三七条第…

最高裁判所第一小法廷昭和39年4月9日昭和38(あ)2460集刑 第151号11頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人の上告趣意は控訴審の訴訟手続には、被告人が弁護を受ける権利を剥奪または制限した違法があるとして、憲法第三七条第三項違反を主張するが、記録によると、控訴審は昭和三八年六月一九日被告人のための国選弁護人として甲を選任し、同弁護人は同年七月一七日行控訴趣意書を提出している。その後にいたつて、被告人から意思の疏通を欠くと…
参照法条憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴規則236条,刑訴規則238条

第一審の無罪判決を維持した第二審判決に対する被告人の上訴権。

最高裁判所第三小法廷昭和39年3月31日昭和39(あ)42集刑 第150号937頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人等は控訴判決に対し上告申立をしたが、被告人は第一審の無罪判決を維持した第二審判決に対し上訴権を有しないこと当裁判所の判例(昭和三七年(あ)第一七五一号、昭和三七年九月一八日第三小法廷決定)とするところである。
参照法条刑訴法351条,刑訴法336条

控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対する最終日通知の要否。

最高裁判所第一小法廷昭和39年3月12日昭和39(し)13集刑 第150号791頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
参照法条刑訴規則236条1項,刑訴法376条

起訴後の参考人の検察官に対する供述調書の証拠能力。

最高裁判所第三小法廷昭和39年3月10日昭和36(あ)2540集刑 第150号749頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨参考人の検察官に対する供述調書が単に起訴後の作成に係る数をもつてその証拠能力を否定すべきいわれは存しない。
参照法条刑訴法223条,刑訴法321条

控訴審において控訴を棄却する場合と少年第五二条の適用の基準時期。

最高裁判所第二小法廷昭和39年3月9日昭和38(あ)2840集刑 第150号739頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨少年法第五二条にいわゆる少年とは事実審裁判所の判決時における少年を指すものであるところ、刑訴法による控訴審は事後審であるから、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法第五二条を適用するか否かを決すべきであつて、控訴審の判決時に少年であるか否かを問うべきでないと解するのを相当と…
参照法条少年法2条1項,少年法52条,刑訴法396条

訴訟記録の閲覧拒否と刑訴法第五三条第一項の解釈、適用の適否。

最高裁判所第一小法廷昭和39年2月5日昭和39(し)1集刑 第150号411頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 訴訟記録の閲覧、謄写に関する法条の解釈、適用について原決定の示す判断は相当である。 二 (原決定の判断の要旨)刑訴法第五三条第一項の被告事件の終結後とは、被告事件の確定後の趣旨に解すべきであつて、申立人の被告事件は第一審の裁判宣告後申立人から控訴があり、未確定なので、右第五三条の場合に該当しない。従つて申立人が右第…
参照法条刑訴法53条1項,刑訴法53条3項,刑訴法40条,刑訴法49条

略式命令原本とその主文において相違する謄本の送達と裁判の告知の効力。

最高裁判所第二小法廷昭和39年1月23日昭和38(あ)2458集刑 第150号233頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録によれば、宗像簡易裁判所は被告人を略式命令にし、その謄本と称する書面を被告人に送達したが、右書面には略式命令主文に誤記があつたため、さらに略式命令謄本を被告人に送達したことを認めることができるが、略式命令の謄本と称する書面がその主要部分である主文に誤記があるため、その原本と相違する場合は、謄本としての効力を欠如する…
参照法条刑訴法464条,刑訴規則34条

弁論再開決定と裁判官の更迭。

最高裁判所第二小法廷昭和38年12月25日昭和37(あ)2747集刑 第149号529頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁論再開申立に対する決定は、弁論終結前の事実審理に関与した裁判官でなければできないものではない。
参照法条刑訴法313条

弁論再開請求に対し何等の決定をしないで判決を宣告した手続の瑕疵と判決への影響。

最高裁判所第二小法廷昭和38年12月25日昭和38(あ)1661集刑 第149号621頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審において、弁護人から弁償に関し、理由を具し書証を添付して弁論再開の請求があつたにかかわらず、原審としては今更証拠の取調のため弁論を再開する必要はないものと認め、何等の決定もせず再開を許さないまま判決を宣告したものであると解される場合には、原審の右措置は正当であつて、原審が再開を許さないで判決するについては、判決宣告…
参照法条刑訴法313条,刑訴規則214条

刑訴法第二二七条による証人尋問請求において、刑訴規則第一六〇条第一項第七号の違反は証人尋問請求手続ないし証人尋問調書の効力を失わしめるか。

最高裁判所第一小法廷昭和38年12月12日昭和38(あ)1202集刑 第149号291頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人は刑訴規則第一六〇条第一項第七号は法律要件であるからこれを欠く証人申請書はその手続が違法だから却下さるべきであり、違法なる申請によつて開始された証人尋問もまた違法だからその調書は証拠能力を欠くと主張するが、刑訴法第二二八条第二項の弁護人の立会が裁判官の裁量によるものであり、また記録によれば所論証人尋問調書の証拠調…
参照法条刑訴法227条,刑訴法228条2項,刑訴規則160条1項7号,刑訴規則162条

刑訴法第四六五条第一項同規則第三四条の解釈と刑訴法第四〇五条に規程する事由の存否。

最高裁判所第二小法廷昭和38年11月8日昭和38(し)44集刑 第149号61頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、違憲をいうけれども、略式命令が被告人に告知されたというには、その謄本が適法に送達されたというだけでは足りず、被告人が現実に略式命令を知ることを要するものとなし、原決定が略式命令謄本の適法な送達があつたときは、これにより略式命令の告知がなされたものというべきであると解したことを非難するものであつて、刑訴法第四六五…
参照法条刑訴法465条1項,刑訴法405条,刑訴法54条,刑訴規則34条,憲法32条,憲法37条1項,民訴法171条1項

記録上の住居にあててなされた上告趣意書最終提出日の通知が無効とされ、意義申立が容れられた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和38年9月10日昭和38(す)203集刑 第148号65頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨当裁判所は被告人の上告申立にかかる昭和三八年(あ)第八三九号道路交通法違反等被告事件について、上告趣意書最終提出日を指定し、その通知書を、郵便により、記録上被告人の住居と認められる京都市a区b町(新町名c町)d番地あてに送達したとおろ、送達報告書によると、被告人の雇人である甲が前記場所において右通知書を受領したことによ…
参照法条刑訴法54条,刑訴法414条,刑訴法376条,刑訴法386条1項1号,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項,刑訴法422条,刑訴法428条2項,刑訴法426条2項,刑訴規則62条,刑訴規則63条,刑訴規則266条,刑訴規則236条

公訴事実の同一性ありと解された事例。―勾留状の被疑事実(窃盗)と起訴状の公訴事実(賍物故買)―

最高裁判所第一小法廷昭和38年7月25日昭和36(あ)2837集刑 第147号863頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論勾留状の被疑事実(窃盗)と所論起訴状の公訴事実(賍物故買)との間には、公訴事実の同一性ありと解するのが相当である。注、所論の (勾留状の被疑事実)被疑者は昭和三五年八月一六日午前一一時頃より同日午後四時〇分頃迄の間東京都品川区abの)c番地通信員A方において同人所有に係る現金六千円及びトランジスターラジオ(時価金八…
参照法条刑法235条,刑法256条2項,刑訴法64条,刑訴法256条,刑訴法312条

原判決が、いわゆる「ひき逃げ」事件に関し、既になされた高等裁判所の判例および原判決後になされた右判例と同趣旨の最高裁判所の判例と相反する判断をしている場合と破棄理由。

最高裁判所第二小法廷昭和38年7月19日昭和37(あ)1918集刑 第147号851頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨車両等の運転者等が、交通事故を起しながらいわゆる「ひき逃げ」をした場合には、道路交通法第七二条第一項前段の救護等の義務違反の罪と同項後段の報告義務違反の罪とが成立し、両者は併合罪の関係に立つものと解すべきことは、当裁判所大法廷判決(昭和三七年(あ)第五〇二号、同三八年四月一七日宣告)の示すところである。してみると、これ…
参照法条道路交通法72条,道路交通法117条,道路交通法119条10号,刑法211条前段,刑法45条,刑訴法405条3号,刑訴法410条1項

証拠関係カードの記載録と被告人等の検事に対する各供述調書がいずれも刑訴法第三二二条第一項及び同第三二一条第一項第二号の書面として当該被告人に対する関係においてのみならず、他の共同被告人等に対する関係においても、その取調請求がなされ、その趣旨…

最高裁判所第二小法廷昭和38年7月12日昭和36(あ)1697集刑 第147号759頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審第二回公判調書の記載によれば、「証拠調、別紙証拠関係カード記載のとおり」となつており、同調書添附の証拠関係カードによれば、被告人等及び第一審相被告人等の検事に対する所論供述調書は、検察官から一括して取調請求がなされたものであるところ、右カードの「同意不同意の別」欄に「全部同意」、「結果」欄に「決定、取調済」と記載…
参照法条刑訴法298条1項,刑訴法322条1項,刑訴法321条1項2号,刑訴法52条,刑訴規則189条,刑訴規則44条

贈賄罪の事実認定につき訴因変更の手続を要しないとされた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和38年7月12日昭和36(あ)1881集刑 第147号791頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人が販売した不正な収入印紙および取引高税印紙を貼付使用の登記申請書を審査校合し右不正印紙類を黙認の上登記手続を完了して貰つたことの報酬として金員を供与した旨の訴因に対し、被告人が販売した不正な収入印紙および取引高税印紙を貼付使用の登記申請書を受理し、該印紙類の正不正を審査確認するに当り、厳重な審査をなすことなく、右…
参照法条刑法198条,刑法197条ノ3,刑訴法312条,刑訴法256条3項,印紙犯罪処罰法2条1項前段

公判期日外の証人尋問において被告人に退席を命じたところ、被告人は証人尋問立会権を放棄して任意退席した場合と憲法第三七条第二項。

最高裁判所第二小法廷昭和38年7月10日昭和38(あ)856集刑 第147号715頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、被告人は所論証人甲外七名の証人尋問につき全然尋問する機会を与えられなかつたのであるから、かかる尋問の機会を与えない証人の尋問調書を証拠として有罪の認定をした第一審判決及びこれをそのまま支持した原判決は、憲法第三七条第二項に違反するものであるというにある。しかし、記録によると、第一審裁判所はその第一回公判期日にお…
参照法条刑訴法157条,刑訴法158条,刑訴法159条,刑訴法281条,刑訴法281条の2,刑訴法303条,憲法37条2項

刑訴法第二〇条第七号にいう前審の裁判に関与したときにあたらない事例。

最高裁判所第三小法廷昭和38年6月25日昭和37(あ)1578集刑 第147号495頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審において第一審判決を破棄差戻する旨の判決の審理判決に関与した裁判官が、その事件の再度の控訴審の審理判決に関与しても、刑訴法第二〇条第七号の除斥事由に当らないことは当裁判所の判例(昭和二七年(あ)第五九号同二八年五月七日第一小法廷決定、刑集七巻五号九四六頁昭和三六年(あ)第一七五六号同年一〇月三一日第三小法廷決定、…
参照法条刑訴法20条7号

公判期日における国選弁護人の選任と憲法第三七条第三項。

最高裁判所第一小法廷昭和38年5月30日昭和37(あ)2433集刑 第147号413頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、公判期日において突然選任せられた国選弁護人はその職責を十分に尽すことができないので、かような弁護人の選任は憲法(第三七条第三項)の精神に反する旨を主張する。そして記録によると、昭和三七年九月一八日の原審第二回公判期日において、それまで被告人のために弁護活動をしてきた国選弁護人甲が欠席したため、原審裁判長は同日弁…
参照法条刑訴法289条,刑訴法290条,憲法37条3項

刑訴法第一八一条第一項は憲法第三七条第二項に違反するか。

最高裁判所第二小法廷昭和38年4月26日昭和37(あ)2986集刑 第147号99頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴法第一八一条第一項は憲法第三七条第二項に違反しない。このことは当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第三一六号同年一二月二七日大法廷判決、刑集二巻一四号一九三四頁・昭和三四年(あ)第一五二〇号同三五年一月一九日第三小法廷判決、刑集一四巻一号一八頁)の趣旨に照らして明らかである。
参照法条刑訴法181条1項,憲法37条2項

少年法第二〇条による送致決定と除斥の原因。

最高裁判所第二小法廷昭和38年4月12日昭和37(あ)3074集刑 第147号39頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨少年法第二〇条による検察官送致の決定をした裁判官が後にその刑事事件の審判に関与しても裁判官除斥の原因とならない(当裁判所昭和二七年(あ)第五四七四号同二九年二月二六日第二小法廷決定、刑集八巻二号一九八頁参照)。
参照法条少年法20条,刑訴法20条6号,刑訴法20条7号

従犯の主張と刑訴法第三三五条第二項。

最高裁判所第三小法廷昭和38年2月26日昭和35(あ)2264集刑 第146号431頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨従犯の主張は刑訴法第三三五条第二項の主張にあたらない。
参照法条刑法63条,刑訴法335条2項

刑訴規則第二一三条の二の合憲性。

最高裁判所第三小法廷昭和38年2月19日昭和35(あ)512集刑 第146号157頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判手続の更新手続を規定した刑訴規則第二一三条の二は憲法第三一条、第三七条第二項に違反しない。
参照法条憲法31条,憲法37条1項,憲法37条2項,刑訴規則213条,刑訴規則213条の2,刑訴法315条,刑訴法315条の2

刑訴法第二五五条第一項前段の法意。

最高裁判所第一小法廷昭和38年1月17日昭和36(あ)1536集刑 第146号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨諭旨は、原判決の刑訴二五五条第一項の解釈を非難するけれども、同項前段の「犯人が国外にいる場合」は、同項後段の「犯人が逃げ隠れている」場合と異なり、公訴時効の進行停止につき、起訴状の謄本の送達もしくは略式命令の告知ができなかつたことを前提要件とするものでないことは該規定の明文上疑いを容れないところであり、また、犯人が国外…
参照法条刑訴法255条1項

刑訴法第四四五条にいう「事実の取調」と憲法第三七条第二項。

最高裁判所第三小法廷昭和37年12月25日昭和37(し)29集刑 第145号685頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨憲法三七条二項は、刑事被告人に対し、受訴裁判所の訴訟手続において、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる旨を規定したものであること当裁判所の判例(昭和二四年(つ)第九三号同二五年三月六日大法廷決定刑集四巻三号三〇九頁、昭和二五年(あ)第七九七号同二七年六月一八日大法廷判決刑集六巻六号八〇一頁)である。しから…
参照法条刑訴法445条,刑訴規則33条,憲法37条2項

刑訴法第三九〇条但書の出頭命令と裁判所の裁量。

最高裁判所第二小法廷昭和37年12月14日昭和34(あ)1279集刑 第145号541頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審においては、被告人は、原則として公判期日に出頭することを要せず(刑訴三九〇条本分)、公判期日に対する被告人の召喚は、召喚とはいつても、その性質は、右期日を被告人に通知し自ら欲すれば出頭する機会与える意味をもつに過ぎず(昭和二四年新(れ)第五一九号、同二七年一月二日第一小法廷判決、刑集六巻一二号一四〇一頁)、ただ、…
参照法条刑訴法390条,刑訴法273条2項

理由にくいちがいがないとされた事例。 ――広義における殺意を認定した第一審判決を控訴審が少くとも殺害の未必的故意があつたと認定して事実誤認の主張を排斥した事例。

最高裁判所第三小法廷昭和37年11月20日昭和37(あ)1661集刑 第145号143頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決は広義における殺意を判示したに止まるのであるから、原判決が事実誤認の論旨につき少くとも殺害の未必的故意のあつたことを認定して事実誤認がない旨判示しても、理由齟齬の生じないことは明らかである。
参照法条刑訴法414条,刑訴法378条4号,刑法199条

刑訴法第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」の意義。

最高裁判所第二小法廷昭和37年11月20日昭和37(し)30集刑 第145号151頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴五〇一条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは確定裁判の主文の趣旨について疑がある場合をいう。
参照法条刑訴法501条

一 密輸時計の判示程度 二 右時計の追徴額の算定

最高裁判所第一小法廷昭和37年11月15日昭和37(あ)1443集刑 第145号73頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 弁護人の所論各点に関する原審の判断は正当として首肯できる。 二 (原判決の要旨)時計の如くその銘柄、型式、石数、側等による種別の多数に上る品物にあつては、それらによつて他から完全に区別し得る程度に表示するのは甚だ困難であつて、判決にこれを表示するに当つては、要するに被告人が同一物につき再度起訴される虞れがなく、又そ…
参照法条関税法110条,関税法118条,刑訴法335条1項,刑訴法378条3号

記録の謄写を上告審が許さなかつたことを不服とする上告理由の適否。

最高裁判所第二小法廷昭和37年11月8日昭和35(あ)1203集刑 第145号41頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、違憲をいうが、当庁で記録の謄写が許されなかつたことに対し不服を申立てるに過ぎず、原判決に対する攻撃とは認められないから上告適法の理由に当らない。 註、上告論旨は、被告人(弁護人なし)は上告趣意書を作成するため記録の謄写を求めたが許されなかつた。公判調書の閲覧だけでは上告趣意書の作成は不可能である。弁護人には謄写…
参照法条刑訴法40条,刑訴法49条,刑訴法405条

迅速を欠いた裁判と破棄の理由。

最高裁判所第二小法廷昭和37年10月26日昭和37(あ)1066集刑 第144号811頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件被告事件につき、第一審の有罪判決が言い渡され、被告人から控訴の申立をなし、第一審の大分地裁日田支部から原審の福岡高等裁判所え一件記録が送付せられる迄二年五ケ月以上を経過していること、その遅延した理由が第一審担当事務官の過失によるものであることは所論のとおりであるが右の如き事情で裁判の迅速を欠いたとしても、これにより…
参照法条憲法37条1項,刑訴法410条

一、刑訴法第三六二条所定の申立人の代人に該当するとされた事例 二、いわゆる判決通知と上訴権回復事由 三、刑訴規則第二二二条と控訴審への準用の有無

最高裁判所第三小法廷昭和37年10月9日昭和37(し)34集刑 第144号771頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一、原決定において、申立人が上告申立の手続を依頼したAは、刑訴三六二条所定の申立人の代人に該当するとしたのは相当である(後記註参照)。 二、刑訴規則第二二二条所定の判決結果の通知がなされなかつたという一事をもつては、上訴権回復請求の理由とならないことは当裁判所の判例(昭和二九年(し)第三号昭和二九年九月二一日第三小法廷…
参照法条刑訴法362条,刑訴法284条,刑訴法285条,刑訴規則222条,刑訴規則250条

一、刑訴法第九条の法意 二、事物および土地管轄を同じくする数個の事件に対する弁論の併合分離と第一審裁判所の裁量権

最高裁判所第三小法廷昭和37年10月2日昭和34(あ)639集刑 第144号687頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一、刑訴法第九条は、事物ないし土地管轄を異にする数個の事件につき、審判の併合等をなしうる場合を示したものである。 二、刑訴法第九条の関係はないが事物および土地管轄を同じくする数個の事件に対する検察官の併合起訴を相当として弁論併合の上審理を進めるか、弁論を分離するかは、原則として第一審裁判所の裁量事項である。
参照法条刑訴法3条,刑訴法4条,刑訴法5条,刑訴法6条,刑訴法7条,刑訴法8条,刑訴法9条,刑訴法313条

無罪の判決の被告人の上訴。

最高裁判所第三小法廷昭和37年9月18日昭和37(あ)1751集刑 第144号651頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人は、無罪の判決については、その理由の如何を問わずこれに対し上訴権を有しない。
参照法条刑訴法351条

告訴権の抛棄。

最高裁判所第三小法廷昭和37年6月26日昭和37(あ)399集刑 第143号205頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨強姦未遂の被害者の法定代理人は告訴権の抛棄をすることはできず、従つて右被害者の検察官に対する告訴は有効であるとする原判示は相当である。
参照法条刑法177条,刑法179条,刑法180条,刑訴法230条,刑訴法231条,刑訴法237条

親告罪の告訴と起訴状記載の要否。

最高裁判所第二小法廷昭和37年6月15日昭和37(あ)613集刑 第143号159頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨親告罪の告訴は、訴訟条件であつて、公訴事実に属しないから、被害者から告訴のあつたことを起訴状に記載する必要はない。
参照法条刑訴法256条2項,刑訴法230条,刑法177条,刑法180条

訴因、罰条の変更手続を要しないとされた事例―職業安定法第六三条第一項と同法第六四条第一号第三二条第一項本文刑法第六〇条

最高裁判所第三小法廷昭和37年6月5日昭和36(あ)102集刑 第143号15頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 被告人は甲女と同棲中同女を働かせてその周旋料を取得しようと企て肩書住居において同女に対し短刀を示しながら「逃げたら只ではおかんぞ」と申し向けて同女を脅迫し昭和三四年二月二八日頃料理店AことBに対し、同女を同人方女給として雇入方斡旋し、もつて脅迫による職業紹介を行つたものであるとの職業安定法六三条一項該当の公訴事実と…
参照法条刑訴法256条,刑訴法312条,職業安定法63条1項,職業安定法64条1号,職業安定法32条,刑法60条

上告棄却の決定に対する電報による異議申立の適否

最高裁判所第三小法廷昭和37年5月29日昭和37(す)149集刑 第142号845頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告棄却の決定に対する異議の申立は、書面でこれをしなければならないとされているのであつて、訴訟手続の明確を期する趣旨から見れば、電報はここにいう書面に該当しないものと解するのを相当とする。従つて電報による本件申立は法令上の方式に違反したものであるから不適法である。
参照法条刑訴法414条,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項,刑訴法423条1項

一 賄賂供与申込罪の成立と相手方の賄賂たることの認識の要否 二 証拠により認定した事実を他の事実の証拠とすることの適否 三 刑訴法第四一一条第二号に該当し、刑の執行を猶予するのが相当であるとした事例

最高裁判所第二小法廷昭和37年4月13日昭和34(れ)2集刑 第141号789頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 賄賂供与申込罪の成立には、相手方に賄賂たることを認識し得べき事情の下に金銭その他の利益の収受を促す意思表示をなせば足りるのであつて、相手方において実際上その意思表示を又はその利益が賄賂たる性質を具有することを認識すると否とは、同罪の成立に影響を及ぼすものではない。 二 証拠によつて認定した或る事実を他の事実の証拠と…
参照法条刑法198条,刑法25条1項,経済関係罰則の整備に官する法律5条,旧刑訴法336条,旧刑訴法360条1項,刑訴法317条,刑訴法335条1項,刑訴法411条2号

一 刑訴法三〇五条にいう「証拠書類」は当該事件について作成されたものに限るか 二 他の民事事件における鑑定人の作成した鑑定書は刑訴法第三二一条第四項にいう「鑑定の経過及び結果を記載した書面」に含まれるか

最高裁判所第三小法廷昭和37年4月10日昭和33(あ)2038集刑 第141号729頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 刑訴三〇五条にいう証拠書類は必ずしも当該事件について作成されたものに限らないことは、すでに当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和二五年(あ)第二九六二号同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三六頁、同二九年(あ)第一四〇一号同年一一月一一日第一小法廷決定、刑集八巻一一号一八三四頁)。 二 他の民事事件…
参照法条刑訴法305条,刑訴法321条4項,民訴法308条

物品税法第二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効

最高裁判所第三小法廷昭和37年3月6日昭和33(あ)559集刑 第141号411頁
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裁判要旨物品税法第二二条にいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する公訴時効は、刑訴第二五〇条第五号により時効期間はその法人に対する法定刑たる罰金刑につき定められた三年であり、その起算点は同法第二五三条第一項により右物品税法第一八条第一項の違反行為が終つた時と解するのを正当とする。
参照法条物品税法22条,物品税法18条1項(昭和28年法律41号による改正前のもの),刑訴法250条5号,刑訴法253条1項

第二審裁判所が事実の取調をした場合と最終陳述の規定(刑訴法第二九三条規則第二一一条)の準用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和37年2月22日昭和35(あ)1499集刑 第141号273頁
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裁判要旨被告人の最終陳述は第一審手続の規定であり、第二審裁判所が事実の取調をした場合には刑訴三九三条四項の弁論はできるが、最終陳述の規定(刑訴二九三条規則二一一条)の準用はないものと解すべきであるから、原審が被告人に最終陳述の機会を与えなかつたからといつて、これを違法ということはできない。
参照法条刑訴法293条,刑訴法393条,刑訴規則211条

電報による上告の申立。

最高裁判所第一小法廷昭和36年12月20日昭和36(あ)2829集刑 第140号687頁
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裁判要旨電報による上告の申立は法令上の方式に違反したものである(昭和二五年(あ)第二八三〇号同年一二月五日当裁判所第三小法廷決定、刑集四巻一二号二四八九頁)。
参照法条刑訴法414条,刑訴法374条

判例違反が判決に影響を及ぼさない事例―刑法第一九条第一項各号の適用の誤り。

最高裁判所第三小法廷昭和36年12月19日昭和36(あ)2043集刑 第140号493頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、刑法一九条一項三号、二項により押収にかかる「A印」と刻してある丸型印鑑一個を被告人らから没収するとしていること所論のとおりであつて、論旨引用の大審院昭和七年(れ)第六七五号同年七月二〇日判決の趣旨に相反するわけであるが、原判決が刑法一九条を適用して所論の印章を没収している以上、同条一項各号の適用に誤があつても…
参照法条刑訴法401条1項,刑訴法405条3号,刑法19条1項2号,刑法19条1項3号

旧刑訴法第四〇三条にいう「原判決ノ刑ヨリ重キ刑ヲ言渡スコトヲ得ス」の趣旨。

最高裁判所第三小法廷昭和36年12月19日昭和36(れ)3集刑 第140号481頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨旧刑訴四〇三条にいわゆる「原判決ノ刑ヨリ重キ刑ヲ言渡スコトヲ得ス」というのは、第一審判決の主文における刑よりも重い刑の言渡をなすことを禁ずる趣旨であつて、本件において、被告人の所論騙取材木の数量につき原判決の認定したところが第一審判決の認定したところよりも減少していたからといつて、その科刑が同一である以上、右刑訴の法条…
参照法条旧刑訴法403条,刑訴法402条

判決言渡期日として適法な呼出を受けた私選弁護人が右期日に出頭しない場合に、裁判所が国選弁護人を選任し弁論を再開して事実の取調をなし、判決を言い渡すことの適否。

最高裁判所第二小法廷昭和36年12月15日昭和36(あ)2207集刑 第140号475頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨私選弁護人が判決言渡期日として適法な呼出を受けながら右期日に出頭しない場合に、裁判所が国選弁護人を選任し、弁論を再開して事実の取調べをした上、判決言渡をしたとしても、右手続に違法があるとはいえない。
参照法条刑訴法289条,刑訴法313条1項,刑訴法37条5号,刑訴規則216条1項

刑訴法第四一一条にあたらない事例―心神耗弱の主張に対する判断遺脱。

最高裁判所第一小法廷昭和36年11月30日昭和36(あ)1761集刑 第140号301頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人の上告趣意第一点につき記録を調べて見ると原審弁護人は控訴趣意第一点において被告人のAに対する所為は心神耗弱に出たものであることを主張したにかかわらず原判決がこれに対し何等判断を示さなかつたことは違法たるを免れない。しかし、被害者Aに対する供述調書によれば、かかる主張事実を認められないから、右の違法は、原判決を破棄…
参照法条刑訴法411条1号,刑訴法335条2項,刑法39条2項

特別抗告申立書が直接最高裁判所に差し出された場合と特別抗告提起期間。

最高裁判所第二小法廷昭和36年11月29日昭和36(し)49集刑 第140号299頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨申立人に対する広島高裁松江支部昭和三六年(う)第三七号窃盗、封印破棄、傷害被告事件について、昭和三六年九月二一日広島高等裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対する異議申立の棄却決定に対し、特別抗告の申立があつたが、本件記録によれば、原決定の謄本が申立人に送達されたのは昭和三六年九月二四日であるから、申立人が特別抗告をす…
参照法条刑訴法423条1項,刑訴法433条2項,刑訴法434条

訴因変更手続を要しない事例―業務上横領と単純横領。

最高裁判所第二小法廷昭和36年11月10日昭和33(あ)1581集刑 第140号77頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件の如く、業務上横領罪の訴因を肯定した第一審判決の認定に対し、被告人が控訴審において判示金員に対する被告人の占有は業務に基くものでないから業務上横領罪が成立しない旨抗争している場合において控訴審が右の主張を理由があるとして単純横領罪と認定するには訴因変更の手続を経ることを要しないものと解する。
参照法条刑訴法312条,刑法252条,刑法253条

刑訴法第二〇条第七号にいう前審の裁判に関与したときにあたらない事例。

最高裁判所第三小法廷昭和36年10月31日昭和36(あ)1756集刑 第139号807頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨差戻前の控訴審において第一審判決を破棄差戻する旨の判決に関与した裁判官が、その事件の再度の控訴審の審判に関与しても除斥されない。
参照法条刑訴法20条7号

心神喪失の状態にあつたものとすることはできないとした事例−智能年令との関係。

最高裁判所第三小法廷昭和36年10月31日昭和36(あ)1867集刑 第139号813頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人の智能年令が、本件犯行当時九歳ないし一一歳相当であつたとしても、そのため直ちに被告人が心神喪失の状態にあつたものとすることはできない旨の原判示は、相当である。
参照法条刑法39条,刑訴法318条

裁判官忌避申立却下の裁判を取り消す実益がない場合と特別抗告の適否。

最高裁判所第三小法廷昭和36年10月31日昭和36(し)44集刑 第139号817頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判官忌避の申立を却下した裁判の取消請求は、原裁判を取り消しても実益がないようになつたときは、これを許すべきものでないと解すべく、本件取消請求は既にその申立の利益を失つたものと認められるから、本件特別抗告は、右請求棄却決定の当否について裁判をする実益がなく、結局その理由がないことに帰する。
参照法条刑訴法21条,刑訴法24条,刑訴法429条,刑訴法433条

刑訴法第四〇二条に違反しない事例。

最高裁判所第三小法廷昭和36年10月24日昭和36(あ)1395集刑 第139号725頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨関税法違反被告事件において、第一審が被告人から韓国海苔七、六〇〇枚を没収し、金二、〇四二、四二三円を追徴するとしたのに対して、被告人より控訴があつた場合、控訴審が第一審判決を破棄し、被告人から韓国海苔七、六〇〇枚および一、七〇〇枚と一、二〇七枚を没収し、金一、一九八、一六二円を追徴すると変更して言渡をしても、不利益変更…
参照法条刑訴法402条

刑訴法第八条第二項による審判併合請求を却下した事例。

最高裁判所第三小法廷昭和36年8月10日昭和36(す)302集刑 第139号15頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 右被告人に対する仙台地方裁判所に係属中の公務執行妨害被告事件と熊本地方裁判所に係属中の公務執行妨害、建造物侵入被告事件との審判併合請求について各裁判所の決定が一致しなかつたので、被告人及び弁護人から右事件をいずれかの裁判所に併合せられたい旨の請求があつたが、事件の内容、関係人の住居その他諸般の事情に鑑み右各被告事件…
参照法条刑訴法8条2項

公判準備期日における弁護人の不出頭と刑訴法第二八九条。

最高裁判所第三小法廷昭和36年8月1日昭和32(あ)3036集刑 第139号7頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人の上告趣意第一点は、第一審第四回公判期日に弁護人不出頭なるに拘らず、これを公判期日に切り替えてA外二名の証人調を実施したのは、刑訴二八九条に違反し、延ては憲法三七条三項にも違反するものであり、原審が右違法な手続を是正すべき機会である同証人らの尋問請求を却下したのも同様で違法である、というに帰する。記録によると第一…
参照法条刑訴法289条,刑訴規則52条の2,刑訴規則194条,刑訴規則194条の2,刑訴規則194条の3,刑訴規則194条の7,憲法37条3項

控訴審が第一審判決の量刑不当を理由として破棄自判する場合と前科事実の摘示。

最高裁判所第三小法廷昭和36年7月28日昭和36(あ)1018集刑 第138号887頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、第一審判決の量刑不当を主張した弁護人の控訴趣意を理由ありと認めて破棄自判したものであるから、第一審判決が適法な証拠により認定した罪となるべき事実及び前科事実はこれをそのまま引用した上、これに法令の適用をなして刑の量定をしたものと解すべきである(昭和二七年(あ)第六三一六号同二九年四月一三日第三小法廷判決、集八…
参照法条刑訴法381条,刑訴法397条,刑訴法400条,刑法56条,刑法57条

正式裁判と刑訴法第四〇二条の適用の有無。

最高裁判所第三小法廷昭和36年7月28日昭和36(あ)1063集刑 第138号893頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨略式命令に対し正式裁判の請求が適法になされたときは、通常の規定に従い審判がなされなければならないのであつて、その場合においては、略式命令に拘束されないことは刑訴第四六八条第二項、第三項の明定するところである。即ち事実認定においても法令の適用及び刑の量定においても略式命令に拘束されることはないわけであるから、略式命令に関…
参照法条刑訴法402条,刑訴法465条,刑訴法468条2項,刑訴法468条3項

控訴審が事実の取調をなし自判する場合と刑訴第二九三条、刑訴規則第二一一の準用の有無。

最高裁判所第二小法廷昭和36年7月5日昭和33(あ)1883集刑 第138号623頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審が刑訴第三九三条第一項又は第二項の規定による事実の取調をした上同第四〇〇条但書により直ちに判決をする場合には、弁護人は右事実取調の結果に基いて弁論することができるに止まり(同第三九三条第四項)、同第四〇四条により同第二九三条を準用して被告人及び弁護人をして意見を陳述させ、また刑訴規則第二五〇条により同第二一一条を…
参照法条刑訴法293条,刑訴法393条4項,刑訴法400条但書,刑訴法404条,刑訴規則211条,刑訴規則250条

裁判所のした傍聴警察官に対する退廷命令に対する検察官の異議申立棄却決定を取り消す実益がない場合と特別抗告の適否。

最高裁判所第二小法廷昭和36年6月22日昭和36(し)11集刑 第138号547頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人A外一〇名に対する公務執行妨害等被告事件の第一審第八回公判調書の抄本によれば、傍聴人一八、九名中所論B、C両名の退廷に関する経緯は所論のとおりであることが認められるけれども、同裁判所は、同公判期日において、所論証人Dの取調を終了し、証人Eを次回公判期日に取り調べる旨の決定をした上、同日の公判を閉廷した事実が認めら…
参照法条刑訴法309条2項,刑訴法309条3項,刑訴法433条,刑訴規則202条,刑訴規則205条2項,刑訴規則205条の5

型の適用に関する裁判所の裁量権。―刑法第二四六条第一項の法定刑

最高裁判所第二小法廷昭和36年6月16日昭和36(あ)588集刑 第138号455頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑法二四六条一項は、「人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス」る旨を規定し、詐欺の犯罪構成要件の定め方に明確を欠くところはない。そして右のように刑の適用に関し裁判所の裁量権を広く認めているのは、形式的標準によつて量刑を拘束することを不当とする立法政策によるものであつて、量刑については、犯人の性行、経歴、環…
参照法条刑法246条1項,刑訴法333条

一 背任罪(農業共同組合法違反)の成立する事例。 二 訴因変更の手続を要しない事例。―業務上横領と背任

最高裁判所第一小法廷昭和36年4月27日昭和34(あ)2130集刑 第137号633頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原審の確定した事実関係の下においては、本件行為が岐阜県販売農業協同組合連合会の事業の範囲外の行為であつて、農業協同組合法に違反するものであるとした原審の判断は正当である。 二 (原判決の要旨)被告人A等が販連の資金をその事業の範囲外において融資(貸付)することは、販連定款及び農業協同組合法により固く禁止されており、…
参照法条農業協同組合法1条,農業協同組合法10条,刑法247条,刑法253条,刑訴法312条

刑法第六三条の適用と同六八条適用の遺脱。

最高裁判所第二小法廷昭和36年2月24日昭和33(あ)1156集刑 第137号329頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審で支持した第一審判は本件幇助罪に適条として刑法六三条を適用している。それは当然に同六八条の規定の適用せられたことを示しているものということができる。
参照法条刑訴法335条1項,刑法62条,刑法68条

刑訴法第二二七条、第二二八条の証人尋問に立会う検察官の証人尋問権。

最高裁判所第二小法廷昭和36年2月24日昭和33(あ)440集刑 第137号243頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴二二七条、二二八条の証人尋問に立会う検察官には同一五七条三項の準用により証人尋問権があると解される。
参照法条刑訴法227条,刑訴法228条,刑訴法157条3項

控訴趣意書提出期限後になした国選弁護人選任の適否。

最高裁判所第二小法廷昭和35年12月12日昭和35(あ)1984集刑 第136号409頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人は原審で刑訴規則一七八条による通知書に対し、弁護人を私選する旨回答し置きながら選任を懈怠し、控訴趣意書の提出最終日を経過して国選弁護人の選任を求めたものであること記録上明白であるから、違憲の問題を生じない(昭和二八年(あ)第一七〇七号、同三〇年七月二九日第二小法廷判決、昭和二五年(あ)第二一後三号、同二八年四月一…
参照法条刑訴規則178条,刑訴法289条,憲法37条3項

勾留更新決定の執行と謄本の送達。

最高裁判所第三小法廷昭和35年10月4日昭和35(し)29集刑 第135号517頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨勾留更新決定の執行は、その謄本の送達を要件としない。
参照法条刑訴法70条,刑訴法73条,刑訴法60条2項

六歳の児童の証言を証拠に採用した事例

最高裁判所第一小法廷昭和35年9月15日昭和35(あ)759集刑 第135号329頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 弁護人の上告趣意は、事実誤認の主張を出でないものであつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また同四一一条を適用すべきものとは認められない。 二 (原判決の要旨)第一審判決は、Aの証言を説示の如き理由の下に排斥しているけれども、成程同人は当時僅か年歯六歳であつて智能程度も低く、又本件自故は瞬間的の出来事であるからその…
参照法条刑訴法143条,刑訴法318条

上訴権回復請求の事由にあたらない事例。

最高裁判所第一小法廷昭和35年9月14日昭和35(す)198集刑 第135号327頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴三六二条にいわゆる「責に帰することができない事由」とは、上訴不能の事由が上訴権者またはその代人の故意または過失にもとずかないことをいうものであり(昭和三一年七月四日第一小法廷決定、刑集一〇巻七号一〇一五頁参照)、所論の如く、当裁判所の裁判宣告期日の通知及び裁判宣告の行われた当時被告人が欧米諸国に旅行中であつたがため…
参照法条刑訴法362条

判例にいわゆる「真実の高度の蓋然性」があるとされた事例。

最高裁判所第一小法廷昭和35年9月8日昭和35(あ)821集刑 第135号231頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨昭和三四年二月二四日午後八時三〇分から午後一〇時三〇分頃までの間に自転車一台が一関市a所在A病院玄関脇自転車置場において窃取されたこと、被告人は翌二五日午後三時四〇分頃および同日午後八時過頃自転車に乗つていたが、右午後八時過頃被告人が乗つていたものは右の被害品であること、右自転車は同月二六日同市b所在のB病院玄関口に置…
参照法条刑訴法317条,刑訴法318条,刑訴法405条2号,刑法235条

控訴審が第一審判決の法令の適用に誤りありとして破棄自判した場合と第一審判決の証拠の援用。

最高裁判所第二小法廷昭和35年9月2日昭和35(あ)1079集刑 第135号227頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審が第一審判決の法令の適用に誤りありとしてこれを破棄自判するにあたり、第一審判決の認定した事実に法令を適用したのみでその証拠を引用せずまたはその証拠の標目を掲げていないとしても、控訴審は第一審判決挙示の同一の証拠を援用した趣旨と解するのを相当とする。
参照法条刑訴法400条但書,刑訴法335条1項,刑訴法380条

訴因変更を許した事例。―「被告人は偽造公文書を行使した」との訴因と「被告人は他人と共謀の上右と同一の公文書を偽造した」との訴因。

最高裁判所第三小法廷昭和35年7月19日昭和31(あ)4296集刑 第134号633頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件は、被告人が偽造公文書を行使したとの訴因を、被告人が他人と共謀の上右と同一の公文書を偽造したとの訴因に変更した場合であり被告人自ら同一の公文書に対する公信力を害したとの点において、両者その基本的事実を同一にし、しかも刑法一五八条も、偽造公文書行使の罪を犯した者は、公文書偽造の罪を犯した者と同一の刑に処する旨規定して…
参照法条刑訴法312条,刑法155条,刑法158条,刑法60条

英文で記載した証明書および右日本語の翻訳文の証拠調が適法に行われたとした事例。

最高裁判所第三小法廷昭和35年7月19日昭和32(あ)1831集刑 第134号649頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論証拠調請求書五中番号2及び3には、証拠の標目としてA軍曹の証明書各一通となつており、その翻訳書を掲げられていないこと所論のとおりであるが、それらの証明書は、一枚の書面の上段が英文の証明書、下段が日本語の翻訳文となつていること記録上明らかであるから、証拠の標目として右軍曹の証明書とあるのは、右日本語の翻訳文も含む趣旨…
参照法条裁判所法74条,刑訴法177条,刑訴法305条,刑訴法317条,刑訴法298条,刑訴規則188条の2第2項

判例違反(法令の適用の誤り)が判決に影響しない事例。

最高裁判所第二小法廷昭和35年6月24日昭和32(あ)609集刑 第134号359頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は第一審判決をその科刑重きにすぎるとして破棄自判し、被告人の犯罪事実である第一審判決判示第一の各所為及び第三の所為につき、いずれも刑法第二五三条(第三の所為については更に同第六〇条をも適用)の業務上横領罪の規定を適用しているが、右第三の所為(註。業務上横領に加功した非業務者の加功行為)につき刑法二五三条を適用した…
参照法条刑訴法405条3号,刑訴法410条,刑法253条,刑法252条1項,刑法60条,刑法65条2項

一 適法な上告理由にあたらない事例 二 包括一罪と認められる事例

最高裁判所第一小法廷昭和35年6月16日昭和35(あ)265集刑 第134号87頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 包括一罪として法令を適用したのに対し、右は併合罪であるとして判例違反を主張することは、自己に不利益な主張であつて適法な上告理由にあたらない。 二 被害者の子女を真実一流歌手として世に出しうる社会的地位背景なくその見込もないのに、その旨欺罔して金員を騙取しようと企て、種々術策を弄してその旨誤信させ、因つて右運動費等の…
参照法条刑法45条,刑法246条1項,刑訴法402条,刑訴法405条2号

公判調書の記載の正確性に対する異議申立を棄却した高等裁判所の決定は刑訴法第四三三条にいう「この法律により、不服を申し立てることができない決定」に当るか。

最高裁判所第二小法廷昭和35年6月1日昭和35(し)16集刑 第134号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨申立人の本件公判調書の記載の正確性に対する異議申立を棄却した原決定は、高裁である原審が抗告審としてなした決定ではなく、刑訴四二八条一項にいう「高等裁判所の決定」であること明白であるから、これに対しては、不服申立として、その高等裁判所に異議の申立をすることができることは同条二項の規定するところである。従つて、原決定は刑訴…
参照法条刑訴法428条,刑訴法433条,刑訴法50条1項

刑訴法第四九五条に定める未決勾留日数の通算とその宣告。

最高裁判所第三小法廷昭和35年4月5日昭和34(あ)2374集刑 第133号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴第四九五条に定める未決勾留日数を本刑に通算することは、判決において宣告すべきものではない。
参照法条刑法21条,刑訴法495条

包括一罪の起訴と認められる事例。

最高裁判所第一小法廷昭和35年3月31日昭和34(あ)2136集刑 第132号799頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原判事は正当として是認できる。 二 (註 原判決の要旨)本件起訴状には「被告人A、同B、同Cは順次共謀の上、昭和三三年一月中旬頃福岡市a通り喫茶店「D」に於て、Eに対し、被告人Aが職務上知つた同月一四日Eに対する福岡県風紀取締条例違反被疑事件につき、捜索差押許可状の請求があり、同月一六日同許可状が発布された事実を通…
参照法条国家公務員法100条1項,国家公務員法109条12号,刑訴法378条3号

一 器物毀棄罪を構成する事例 二 右の場合乙の告訴は適法か

最高裁判所第三小法廷昭和35年3月22日昭和32(あ)276集刑 第132号613頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 登記簿上被告人の所有名義なるも、その承諾を得て甲が耕作し、後甲老齢のため長男乙が事実上耕作してきた水田につき、その所有権の帰属、耕作権の有無に関して係争中、被告人がほしいままに、乙が植付け所有する稲苗を抜き取り土中に埋めるなどする所為は、器物毀棄罪を構成する。 二 右の場合乙は器物毀棄罪の被害者にあたり、乙のした告…
参照法条刑法261条,刑法264条,刑訴法230条

電報による上告棄却決定に対する意義申立の適否。

最高裁判所第一小法廷昭和35年1月25日昭和35(す)22集刑 第132号83頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告棄却決定に対する意義の申立をするには、三日以内に申立書を差し出さなければならないところ、起訴手続の明確を帰する趣旨から見れば、電報はここにいう申立書に該当しないものと解するのが相当である。
参照法条刑訴法414条,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項,刑訴法422条,刑訴法423条1項

公判調書に黙否権の告知の記載がない場合と右告知の有無。

最高裁判所第三小法廷昭和34年11月24日昭和34(あ)885集刑 第131号803頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人に対する黙否権の告知は、刑訴規則四四条によれば公判調書の必要的記載事項ではないのであるから、所論第一審第一回公判調書に右告知の記載がないからといつて、直ちにその手続が行われなかつたものということはできない。
参照法条刑訴法48条,刑訴法291条,刑訴規則44条,刑訴規則197条

刑訴法第三九三条第二項の合憲性。

最高裁判所第二小法廷昭和34年8月27日昭和34(し)39集刑 第131号347頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴第三九三条第二項が、控訴審における第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状に関する事実取調の必要の有無を裁判所の裁量に委ねたことは、憲法に違反しない。
参照法条刑訴法393条2項,憲法98条1項

弁護人の出頭と必要的弁護事件の裁判言渡期日における開廷の要件

最高裁判所第一小法廷昭和34年7月16日昭和34(あ)633集刑 第130号591頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴法二八九条はいわゆる必要的弁護事件を審理する場合には弁護人がなければ開廷することができない旨を規定する法意であつて、弁護人の出頭を当該事件についての裁判言渡期日における開廷の要件として規定するものではないからこの点に関する原審の訴訟手続には何等法令に違背するところはない。
参照法条刑訴法289条,憲法27条3項

一 覚せい剤取締法違反(不法譲受)罪の実行の着手があつたと認められる事例 二 訴因変更手続を必要としない事例

最高裁判所第二小法廷昭和34年7月3日昭和31(あ)4036集刑 第130号439頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 甲、乙間に覚せい剤売買に関する合意が成立し、甲が乙の面前において、情を知らない丙に合札を渡し、荷物預り所に預けてある覚せい剤の受取方を委託し、丙がこれを承諾し、甲または乙に交付するつもりで右覚せい剤を受け取つたときは、乙はその覚せい剤譲受の実行に着手したものと認めることができる。 二 「被告人は法定の除外事由がない…
参照法条覚せい剤取締法17条3項,覚せい剤取締法41条1項4号,覚せい剤取締法41条3項,刑法43条,刑訴法312条

公判手続を更新した公判調書の記載と証拠調手続。

最高裁判所第三小法廷昭和34年6月30日昭和31(あ)1793集刑 第130号335頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判調書に「公判手続を更新した」との記載があるときは、裁判所は刑訴規則第二一三条の二所定の証拠調手続を履践したものと認むべきである。
参照法条刑訴法315条,刑訴法52条,刑訴規則213条の2,刑訴規則44条1項32号

被告人は公判調書以外の公判記録を閲覧する権利を有しないか。

最高裁判所第三小法廷昭和34年6月30日昭和34(あ)259集刑 第130号369頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人本人には、公判調書以外の公判記録を閲覧する権利はない。
参照法条刑訴法40条,刑訴法49条,刑訴規則50条

上告棄却の決定が未だ確定しないうちになされた再審請求の適否。

最高裁判所第三小法廷昭和34年6月30日昭和34(き)7集刑 第130号401頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告棄却の決定に対してなされた本件再審の請求は、同決定が未だ確定しないうちになされたものであるから不適法といわなければならない。
参照法条刑訴法436条1項

裁判所が裁判所外で証人を尋問する場合と刑訴法二八九条適用の有無。

最高裁判所第三小法廷昭和34年6月9日昭和34(あ)278集刑 第130号153頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は要するに本件の如き必要弁護事件においては、裁判所が裁判所外で証人を尋問する場合にも刑訴二八九条の適用があるものと前提して、原審が裁判所外において所論各証人を弁護人なくして尋問したのは違法である旨主張するけれども、同条は必要的弁護事件が公判廷で審理される場合においては弁護人の出頭が公判開廷の要件であることを定めたも…
参照法条刑訴法289条,刑訴法158条

一 刑訴法第四一一条第三号にあたる事例 二 ―威力業務妨害に関する事実誤認―

最高裁判所第二小法廷昭和34年5月22日昭和31(あ)2842集刑 第129号897頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨家屋(住宅と店舗)の貸主である被告人甲、その息子である被告人乙、その娘婿である被告人丙の三名が、約束の明渡期限経過後現場に臨み、店舗の無断使用者(商事会社)の代理人とみられる者に明渡を求めたところ、同人において、初めは会社の代表者の不在を理由に明渡の猶予を請うていたが、それまでの折衝の経緯にかんがみ事態やむをえないもの…
参照法条刑訴法411条3号,刑法233条,刑法234条

常習賭博の判示方法。

最高裁判所第二小法廷昭和34年5月22日昭和33(あ)2496集刑 第129号941頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨常習として賭博をした事実を認定判示するには、常習として賭博をなした旨を説示すれば定り、いかなる事実によつて賭博の常習を認めたかを摘示する必要はない。
参照法条刑法186条1項,刑訴法335条1項,刑訴法378条4号

放火の手段、方法の一部に属する事実を被告人の自白だけで認定することの可否。

最高裁判所第一小法廷昭和34年3月12日昭和33(あ)1547集刑 第129号343頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論放火の手段、方法の一部に属する事実のごときは被告人の自白だけでこれを認定しても差支えない。
参照法条刑法108条,刑訴法319条2項

一 有価証券変造罪の成立する事例 二 刑訴法第四一一条第一号にあたらない事例 ―有価証券の偽造と変造

最高裁判所第一小法廷昭和34年2月12日昭和33(あ)1176集刑 第129号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 行使の目的をもつて有効に成立している他人振出名義の小切手の金額欄の数字をインキ消で抹消した上、ほしいままに同欄に別の金額をあらたにペンで記入したときは、有価証券の偽造罪ではなく、その変造罪が成立する。 二 有価証券の変造にあたるものと解すべき場合に、第一審判決がこれを有価証券の偽造にあたると判示したとしても、判決を…
参照法条刑法162条1項,刑訴法380条,刑訴法411条1号

「貧困のため弁護人を選任しえない」旨の回答は国選弁護人選任の請求となるか。

最高裁判所第三小法廷昭和34年1月30日昭和33(あ)1858集刑 第129号11頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審において、裁判所より被告人に対し、弁護人を選任するや否やと照会していること明らかであり、仮に被告人よりこれに対し、貧困のため弁護人を選任しえない旨回答したことが所論の如くであつたとしても、これを以つては未だ、積極的に弁護人選任を請求したものとはなしえない。
参照法条憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法272条,刑訴規則28条

刑訴規則第一七八条が控訴審に準用される場合の処置。

最高裁判所第三小法廷昭和34年1月20日昭和33(し)90集刑 第129号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人のない事件の処理に関する刑訴規則一七八条の運用については、控訴裁判所から包括的な依頼があつたものとして第一審裁判所において被告人に確かめ、その結果を訴訟記録の送付と同時に控訴審に通知するのを適当とする。
参照法条刑訴規則178条,刑訴規則250条,刑訴法289条,刑訴法36条

第一審判決の主文と理由との間にくいちがいがあるものとして同判決全部を破棄し有罪の判決をした場合量刑不当の控訴趣意に対する判断の要否。

最高裁判所第一小法廷昭和33年12月25日昭和33(あ)1494集刑 第128号857頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審は、所論控訴趣意第一点を理由ありと認め、第一審判決の主文と理由との間にくいちがいがあるものとして、同判決全部を破棄し改めて有罪の判決をしたものであり、この場合においては、被告人に対する量刑の点についても、原審独自の判断により相当とする量刑をなすべきものであるから、量刑不当の所論控訴趣意に対しては特にその判断を示す必…
参照法条刑訴法392条,刑訴法397条,刑訴法400条但書

再審請求棄却決定に対する即時抗告を棄却した高等裁判所の決定に対する異議申立の適否。

最高裁判所第一小法廷昭和33年11月20日昭和33(し)73集刑 第128号631頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨佐賀地裁伊万里支部が本件再審請求はその法令上の方式に違反するという理由で刑訴四四六条により再審請求を棄却する旨の決定をしたこと、これに対して申立人から即時抗告の申立があつたが原審である福岡高裁は右即時抗告を理由なしとしてこれを棄却する旨の決定をしたこと明らかである。従つて原決定は刑訴四二七条にいう抗告裁判所の決定であつ…
参照法条刑訴法427条,刑訴法428条,刑訴法446条

控訴趣意書に証人尋問請求の旨の記載があつた場合、これに基く弁論は、証人尋問の請求となるか。

最高裁判所第三小法廷昭和33年10月14日昭和31(あ)1063集刑 第128号281頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審第二回公判調書によれば、弁護人は控訴趣意書記載のとおり弁論し、これに対し検察官は論旨は理由がないとの意見を述べ、裁判長は結審した旨の記載があること、右控訴趣意書には所論のような証人申請の記載があり、これを陳述したことにより、右証人申請がなされたものと認むべきことは、所論のとおりである。しかし右証人申請には刑訴三九三…
参照法条刑訴法298条,刑訴法389条,刑訴法393条1項但書,刑訴規則190条

刑訴法第四一一条第一号にあたる事例。

最高裁判所第二小法廷昭和33年10月10日昭和31(あ)2419集刑 第128号265頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人の司法警察職員、検察官に対する各供述書(自白)と証人の供述の証明力を争うために刑訴第三二八条にもとずき提出された被告人以外の者の司法警察職員に対する供述調書とで犯罪事実を認定した判決は、刑訴第四一一条第一号により破棄を免れない。
参照法条刑訴法411条1号,刑訴法328条,刑訴法319条2項

公判期日変更申請却下の決定並びに刑訴法第二八五条第二項による公判期日不出頭許可の決定は刑訴法第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当るか。

最高裁判所第一小法廷昭和33年10月9日昭和33(し)72集刑 第128号211頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判期日変更申請却下の決定並びに刑訴法二八五条二項による公判期日不出頭許可の決定は、いずれも訴訟手続に関し判決前にした決定であつて、かかる決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らないと解するを相当とする。それ故、本件特別抗告は不適法たるを免れない。
参照法条刑訴法276条,刑訴法285条,刑訴法433条,刑訴規則179条の4

一 公判調書の記載が明白な誤記と認められる事例。 二 明白な誤記と公判調書の証明力。

最高裁判所第二小法廷昭和33年9月30日昭和31(あ)1977集刑 第127号349頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原審第二回公判調書は証人Aに対する尋問及び被告人Bに対する質問につき、「C弁護人」と記載すべきを「D弁護人」と、又証人Eに対する尋問につき「D弁護人」と記載すべきを「C弁護人」と各誤記したものと認められる。けだし被告人両名は共謀関係のない各別の収賄であつて、弁護人は各別に選任されたのであるから自己の担当しない被告人…
参照法条刑訴法52条

公判調書は公判期日当日付で作成することを要するか―作成日をその日付とすることは違法か。

最高裁判所第三小法廷昭和33年9月16日昭和33(あ)1143集刑 第127号213頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判文書は所論のように、必ずしも公判期日当日付をもつて作成することを要するものではなく、その作成日をその日付として記載してもなんら違法ではない。
参照法条刑訴法48条,刑訴規則44条

一 証拠の標目の表示程度。 二 外来語である「ドル」は日本語か。

最高裁判所第三小法廷昭和33年9月16日昭和33(あ)1229集刑 第127号219頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 所論六月四日付の書類は、記録によれば、原判示の照会とこれに対する回答との両者を含む書類の謄本であつて、その謄本作成名義人は憲兵中佐Aであり、その内容たる回答書の作成名義人はBであること明白であるから、右書類を表示するのに一審第五回公判調書は、右回答書の作成名義人によつて記載したのに対し、一審判決は右謄本作成名義人に…
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法177条,刑訴規則44条,裁判所法74条

判例違反の主張がその前提を欠く事例。−期待可能性理論の適用は判例違反である旨の主張−

最高裁判所第二小法廷昭和33年9月12日昭和28(あ)3548集刑 第127号137頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論引用の各判例は、いずれもその挙示の証拠により、犯罪事実を認定するに当り、情状の斟酌、法令の解釈その他に関し必要な説示、判断を示したに止まり、判文中期待可能性の文字を使用したとしても、いまだ期待可能性の理論を肯定又は否定する判断を示したものとは認められない。されば所論判例違反の主張はその前提を欠くものであつて採るを得…
参照法条刑法35条,刑法37条,刑訴法405条3号

高等裁判所が抗告審としてした決定と刑訴法第四二八条第二項第三項適用の有無。

最高裁判所第一小法廷昭和33年8月28日昭和33(し)57集刑 第127号53頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては刑訴法第四二七条によつて再抗告ができないのであるから、同四二八条二項三項は適用の余地がない。
参照法条刑訴法427条,刑訴法428条2項,刑訴法428条3項

刑訴法第三三五条第二項の主張に対する判断が示されたものとは認められない事例。

最高裁判所第三小法廷昭和33年7月29日昭和31(あ)1660集刑 第126号1153頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件行為当時の情況上被告人に他の行為を期待することができない旨の主張があつた場合に、単に暴力行為等処罰に関する法律違反、暴行の有罪事実を認定することは、間接的にも期待可能性なるものの存否につき判断を示したものとは認められない。
参照法条刑訴法335条2項,刑訴法410条1項,刑訴法405条

一 優生保護法第一四条第一項第四号による人工妊娠中絶と堕胎罪の成否。 二 最高裁判所、大審院または高等裁判所の判例がない場合、地方裁判所の判例を援用して判例の違反を主張することができるか。

最高裁判所第二小法廷昭和33年7月11日昭和30(あ)522集刑 第126号809頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 優生保護法(昭和二七年法律第一四一号により改正されたもの)にいう指定医師が同法第一四条第一項四号に該当する者に対し、同条第一項本文の規定に従つて人工妊娠中絶を行つた場合には、刑法第二一四条、第二一二条の堕胎罪は成立しない。 二 最高裁判所、大審院または高等裁判所の判例がない場合、地方裁判所の判例を援用して判例の違反…
参照法条優生保護法(昭和27年法律14号により改正されたもの)14条1項4号,刑法214条,刑法212条,刑法35条,刑訴法405条2項,刑訴法405条3項

勾留中の被告人が原審の公判期日外の証人尋問に立ち合わなかつた場合と憲法第三七条第二項。

最高裁判所第三小法廷昭和33年7月1日昭和33(あ)417集刑 第126号623頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨勾留中の被告人が出頭している原審公判廷で、被告人が一審においてはその供述調書を証拠とすることに同意していた証人五名を、検証の現場附近で尋問する旨の決定がされたのに、被告人および弁護人から立会の要求もなく、またその証人尋問には弁護人が立ち会い、それら証人尋問調書の証拠調にあたつても異議がなかつたときは、右証人尋問に際し被…
参照法条憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法326条

第一審判決に対し検査官が控訴を申し立てた場合の控訴趣意書の作成提出者。

最高裁判所第三小法廷昭和33年7月1日昭和33(あ)424集刑 第126号633頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決に対し、検察官が控訴を申し立てた場合、その検察官が控訴趣意書を作成し、控訴裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを同裁判所に提出することは訴訟法に違反しない。
参照法条刑訴法351条1項,刑訴法372条,刑訴法376条1項,刑訴規則236条1項

判決に理由を附しなかつたことにならない事例

最高裁判所第三小法廷昭和33年6月24日昭和31(あ)1703集刑 第126号531頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が量刑不当の控訴趣意は後記自判の際示されるとしたのは、「懲役六月に処し」といつて一審判決と同じ判決をしたことによつて右控訴趣意の理由のないことが示されるとの趣旨であつて、何ら理由を附しなかつたことにならない
参照法条刑訴法44条

起訴状に記載のない犯行の動機を認定することの当否

最高裁判所第三小法廷昭和33年6月17日昭和33(あ)454集刑 第126号379頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が本件各起訴状に記載されていない犯行の動機をも認定していること所論のとおりであるが、これをもつて原判決が審判の請求を受けない事実を審判した違法があるということはできない
参照法条刑訴法256条,刑訴法335条1項,刑訴法387条3号

一 刑訴法第二二七条による裁判官の証人尋問と除斥原因 二 刑訴法第二二七条により証人尋問をした裁判官による裁判と公平な裁判所の裁判

最高裁判所第三小法廷昭和33年6月3日昭和30(あ)3706集刑 第126号11頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論共犯Aに対する第一回公判期日前の証人尋問調書は、本件第一審裁判所の裁判官が刑訴二二七条の規定による検察官の請求に基き自ら証人尋問をなした上作成されたものであること所論のとおりであるところ、同条による証人尋問をした裁判官は当該被告事件の審判から除斥されるものではないことは当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第一三九六号、…
参照法条刑訴法227条,刑訴法20条,憲法37条1項

掏摸現行犯逮捕手続において警察官等職務執行法第五条に違反しないと認められる場合

最高裁判所第三小法廷昭和33年5月20日昭和33(あ)113集刑 第125号437頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件現行犯逮捕手続書によれば、所論司法警察員は挙動不審の被告人を看視中被告人が被害者のポケツトから品物を抜き取つたのを現認したので逮捕したというのであつて、抜き取りを現認する直前までは被告人が何らかの現行を行なおうとする様子を認めたという場合でないから、右警察員の措置は所論警察官等職務執行法五条に反するところもなく、本…
参照法条警察官等職務執行法5条,刑法235条,刑訴法212条,刑訴法213条

刑訴法第二二六条又は同条第二二七条による裁判官の証人尋問と除斥原因

最高裁判所第二小法廷昭和33年5月2日昭和30(あ)16集刑 第125号145頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴二二六条又は同二二七条による証人尋問をした裁判官は当該被告事件の審判から除斥されるものでないことも当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第一三九六号同三〇年三月二五日第二小法廷判決、集九巻三号五一九頁)の趣旨に徴して明らかである
参照法条刑訴法226条,刑訴法227条,刑訴法20条

一 証拠物の押収手続に弁護人に立会の機会を与えなかつた違法とその証拠能力 二 死刑およびその執行方法としての絞首刑の憲法第三六条にいう「残虐な刑罰」

最高裁判所第一小法廷昭和33年4月17日昭和31(あ)442集刑 第124号253頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 所論摘示の証拠物の押収手続に所論のような弁護人に立会の機会を与えなかつた違法があつたとしても、第一審公判廷において証拠調する際被告人および弁護人等より何等異議の申立があることなく、適法に証拠調が施行されたものであること記録上明白であるから、第一審裁判所がこれを罪証に供したとしても違法ということはできない 二 所論は…
参照法条刑訴法113条2項,刑訴法306条,刑訴法309条,刑法9条,刑法11条1項,憲法36条,監獄法71条,監獄法72条

刑訴法第四一一条第一号にあたる一事例。−制限住居の不備による送達の不完全から被告不出頭のまま審理判決した場合−

最高裁判所第一小法廷昭和33年3月27日昭和30(れ)13集刑 第123号829頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨職権をもつて調査すると、本件についての上訴権回復を申立事件に対する東京高裁の決定並びに同事件および本件の一件記録によれば、被告人は、昭和二三年七月二〇日静岡地裁において保釈決定を受けた際その住居を静岡市abに制限されたが、被告人並びにその代人の責に帰すべからざる事由によつて被告人はその制限住居を知らず且つ被告人は該制限…
参照法条旧刑訴法330条,旧刑訴法404条,刑訴施行法2条,刑訴施行法3条の2,刑訴法411条1号

刑訴法第四四条第一項にいう「裁判の理由」の意義

最高裁判所第二小法廷昭和33年3月14日昭和32(あ)2429集刑 第123号679頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴四四条一項にいう「裁判の理由」とは、主文のよつて生ずる理由を指すのであつて証拠上の理由のごときはこれに含まれないと解すべきであるから、有罪判決においては、所論のように、何故にある証拠を採用し他の証拠を排斥したかの理由、あるいは採用した証拠により如何なる理由を犯罪事実を認定したかの判別について必ずしも一々これを判示す…
参照法条刑訴法44条1項

再犯につき刑法第五九条を適用した違法と刑訴法第四一一条

最高裁判所第二小法廷昭和33年3月5日昭和30(あ)2419集刑 第123号505頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件犯罪が(イ)の前科とは累犯の関係にあるが(ロ)の前科の仮出獄中の犯行である場合に、原判決が刑法第五九条を適用した違法であつても、刑訴第四一一条を適用すべき場合にあたらない。
参照法条刑法56条1項,刑法57条,刑法59条,刑訴法411条1号

証拠調決定がなされたものと認められる一事例

最高裁判所第三小法廷昭和33年3月4日昭和27(あ)4166集刑 第123号471頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判調書の記載によれば、検察官が副検事に対する甲の供述調書外八点の証拠調の請求をしたところ弁護人は右請求に異議なく且つ証拠とすることに同意すると述べたので、裁判官は右検察官の請求を採用し提出された前記各書面を朗続したことが明らかであるときは、証拠決定記載がなくても、裁判所は前記書書面の証拠調をなす旨の決定をなし、これに…
参照法条刑訴法298条,刑訴規則190条,刑訴規則44条1項31号

一 公判調書の記載の正確性について異議申立があつた場合と刑訴法第五二条の適用の有無 二 公判手続の更新があつたものと認むべき一事例

最高裁判所第二小法廷昭和33年2月28日昭和30(あ)2430集刑 第123号463頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 第三回公判期日の公判調書における、公判手続を更新した旨の記載に関し、公判調書の記載の正確性について適法な異議申立があつたのに、裁判所が、刑訴第五一条第一項、刑訴規則第四八条に定めた手続を行わなかつた場合には、右公判調書に、公判手続を更新した旨の記載があるからといつて、刑訴第五二条を適用して、直ちに右公判手続の更新が…
参照法条刑訴法51条1項,刑訴法52条,刑訴法309条,刑訴法315条,刑訴規則48条,刑訴規則213条の2

立会の機会が与えられたのに被告人が立ち合わないで証人尋問がなされた場合の該手続の適否―その証人尋問調書の証拠能力

最高裁判所第二小法廷昭和33年2月12日昭和32(あ)902集刑 第123号273頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨立会の機会が与えられたのに被告人が立ち合わないで証人尋問がなされたからといつてその尋問手続を違法とする理由はなく、又その証人尋問調書が証拠能力を有しないいわれもない(刑訴三二一条二項参照)。
参照法条憲法37条,刑訴法157条,刑訴法321条

被告人に対する上告趣意書最終提出日の告知の不適法と、上告趣意書が期限内に提出なしとして上告を棄却した決定への影響

最高裁判所第三小法廷昭和33年2月4日昭和33(す)34集刑 第123号163頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人が、保証金未納のためなお拘置所に勾留中であるのに、被告人に対する上告趣意書最終提出日の告知が肩書住居宛に郵送によつてなされたときは右告知は不適法であるから、被告人から上告趣意書が期限内に提出なしとして上告を棄却した決定はこれを取消すべきものである。
参照法条刑訴法54条,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項(414条),刑訴法426条2項,刑訴規則236条(266条),刑訴規則252条,民訴法168条

公判期日召喚状の罪名の誤記と判決への影響。

最高裁判所第三小法廷昭和32年12月24日昭和30(あ)3626集刑 第122号827頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審の被告人に対する昭和三〇年一〇月四日の公判期日召喚状の送達報告書に「公職選挙法違反被告事件」と記載されていることは、所論のとおりであるが、該召喚状は罪名を異にしているだけであるばかりでなく、被告人は右召喚状の送達を受け、公判期日に出頭する機会を与えられていたこと記録上明らかであるから、右のような手続の瑕疵は、判決に…
参照法条刑訴法273条,刑訴法62条,刑訴法63条

付審判請求棄却決定に対する抗告棄却決定と憲法第八二条にいう「裁判の対審」

最高裁判所第一小法廷昭和32年12月23日昭和32(し)57集刑 第122号807頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は憲法八二条違反をいうけれども、本件における決定(付審判請求棄却決定に対する抗告を棄却する決定)の如きは同条にいわゆる「裁判の対審」に当らないことは当裁判所の判例(昭和二三年(つ)第二五号、同年一一月八日大法廷決定、集二巻一二号一四九八頁参照)の趣旨に徴し明らかであるから右違憲の主張はその前提を欠くものである。
参照法条憲法82条,刑訴法262条,刑訴法266条,刑訴法419条,刑訴法426条,刑訴法433条

控訴趣旨の一部に対しても判断があつたものと認められる場合

最高裁判所第三小法廷昭和32年11月26日昭和30(あ)2009集刑 第122号351頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、弁護人らの量刑不当を主張する論旨は理由があるとして、この点で第一審判決を破棄し自ら判決をなすに当り、同判決挙示の証拠により同判決摘示事実と同一の罪となるべき事実を認定しているのであるから、所論第一審判決判示第六の事実についても誤認はない旨の判断を示した趣旨に解され、所論のような判断遺脱はない。
参照法条刑訴法392条1項,刑訴法400条但書,刑訴法335条1項

控訴趣意に対する再審事由の有無についての判断がなされているものと認められる場合

最高裁判所第二小法廷昭和32年11月15日昭和30(あ)1738集刑 第122号241頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決に所論再審事由の有無について直接的な判断が示されていないことは論旨指摘のとおりであるが、原審は自ら証人その他の証拠の取調をした上で、第一審判決に事実誤認はないと判断しているのであるから、再審事由の存在を否定する判断がなされているものと認むべきである。
参照法条刑訴法392条,刑訴法396条,刑訴法384条,刑訴法383条

犯罪の軽重を判示しないことが違法でない一事例

最高裁判所第三小法廷昭和32年11月5日昭和32(あ)1903集刑 第122号43頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨法定刑が同一である三四個の併合罪につき法定の加重をする場合において、刑法第四七条、第一〇条の適用を示しているときは、いずれの罪の犯情が最も重いかを判文に明示しなくても違法ではない。
参照法条刑法45条,刑法47条,刑法10条,刑訴法335条1項

いわゆる想像的競合犯中の一部を無罪と認める場合その判断を判決理由に示すことの要否

最高裁判所第三小法廷昭和32年9月24日昭和32(あ)1083集刑 第120号507頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨いわゆる想像的競合犯中の一部を無罪と認める場合には、判決の主文においてその言渡をなすべきではないけれども、理由中でその判断を示すことは必要である。
参照法条刑法54条,刑訴法44条,刑訴法335条,刑訴法336条

上告棄却決定に対する異議申立の棄却決定の確定の時期

最高裁判所第二小法廷昭和32年9月20日昭和32(し)40集刑 第120号501頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告棄却決定に対する異議申立の棄却決定は、その謄本を申立人在監の大阪拘置所長が受領したことによつて確定したものと解すべきことは刑訴および刑訴規則の諸規定に徴し明らかである。
参照法条刑訴法54条,刑訴法426条,刑訴規則34条,民訴法168条

公判期日外の証人尋問に際し、あらかじめ被告人に尋問事項を告知しなかつた瑕疵と上訴理由

最高裁判所第三小法廷昭和32年9月10日昭和32(あ)1331集刑 第120号325頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判期日外の証人尋問の際の尋問事項は、裁判所が職権で証人を尋問する場合には裁判所が両当事者にこれを知らせるべく(刑訴規則一〇九条)又、一方の当事者の申請による証人を尋問する場合には、その申請をした当事者がその相手方にこれを知らせるべきもの(同一〇八条)であるから、本件において、前記各証人の公判期日外における尋問につき各…
参照法条刑訴法281条,刑訴法158条,刑訴法309条,刑訴規則108条,刑訴規則109条

他の共犯者に対する公判審理により被告事件の内容を予め知つていた裁判官の裁判と憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」

最高裁判所第三小法廷昭和32年7月30日昭和32(あ)1146集刑 第119号1139頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨共同被告人として起訴された共犯者らと被告人との弁論が分離された結果、判決裁判所の裁判官が右共犯者らの公判審理により被告人に対する公判審理の開始前に被告事件の内容に関し予め知識を有していたからといつて、その裁判官のした審理判決が憲法三七条一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」でないということはできないことは当裁判所の判例(…
参照法条憲法37条1項,刑訴法20条,刑訴法21条,刑訴法256条6項

控訴申立があつたものと認められない一事例。−控訴申立期間内に弁護人選任届のみ提出された場合−

最高裁判所第三小法廷昭和32年7月30日昭和32(し)29集刑 第119号1157頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審の有罪判決に対し被告人弁護人から適式の控訴申立書の提出がなく、ただ控訴申立期間内に控訴審における弁護人選任届が裁判所に提出されただけでは、控訴申立があつたものということができない。
参照法条刑訴法372条,刑訴法373条,刑訴法374条

控訴審における証拠決定と控訴法第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」

最高裁判所第三小法廷昭和32年7月30日昭和32(し)32集刑 第119号1163頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審において検察官から証拠調の請求のあつた書面につき控訴審がなした証拠採用決定の如き訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
参照法条刑訴法420条1項,刑訴法433条1項,刑訴法309条1項,刑訴法309条3項

訴因変更の許可と旧訴因についての公訴の取消

最高裁判所第三小法廷昭和32年7月23日昭和30(あ)2539集刑 第119号1059頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨訴因変更の許可があつたときは、旧訴因につき公訴の取消がなされたものと解することはできない。
参照法条刑訴法312条1項,刑訴法257条

捜索差押手続が違憲であるとの主張が前提を欠く一事例

最高裁判所第三小法廷昭和32年7月16日昭和30(あ)1442集刑 第119号783頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨は、本件証第一号の差押手続が違憲であり、かかる違憲の差押手続により押収された物を証拠として犯罪事実を認定した原判決は、憲法三五条二項違反であると主張する。なるほど、所論許可状中の指摘の部分が所論のとおり訂正されていることは記録五二五丁の許可状に徴し明白であるけれども、右訂正個所には判事の印判が押捺してあり、かつ、上…
参照法条憲法35条2項,刑訴法218条,刑訴法219条,刑訴規則59条

憲法違反の主張に対し判断を示したものと認められる一事例

最高裁判所第一小法廷昭和32年6月27日昭和31(あ)3799集刑 第119号675頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨死刑が違憲である旨の主張があつた場合に、原判決が選択刑として規定している刑法第二四〇条後段を適用挙示して被告人を死刑に処した第一審判決の量刑につき、これを不当とする事由を発見することができない旨を判示したときは、死刑は憲法に適合するとの判断を示したものと解することができる。
参照法条憲法81条,刑訴法392条1項

弁護人に対する控訴趣意書提出最終日指定通知のなされなかつた違法とその治ゆ

最高裁判所第三小法廷昭和32年6月25日昭和30(あ)1532集刑 第119号581頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論のとおり、弁護人牟田真に対する控訴趣意書提出最終日指定通知の効力が認められず、従つて弁護人田原昇に対し右通知がなされていない違法があるとしても、本件記録によれば、被告人両名に対しては右通知が適法になされており、その弁護人田原昇において、右指定の提出期日最終日に控訴趣意書を提出しておるのみならず、原審第一回公判期日に…
参照法条刑訴法376条,刑訴法389条,刑訴規則236条

刑訴法第四四条第一項にいう「裁判の理由」の意義

最高裁判所第三小法廷昭和32年6月18日昭和30(あ)2181集刑 第119号505頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴四四条一項にいう「裁判の理由」とは、主文のよつて生ずる理由を指すのであつて、証拠上の理由のごときはこれに含まれないと解すべきであるから、有罪判決において、所論のように、何故にある証拠を採用し他の証拠を排斥したかの理由、あるいは採用した証拠の証明力の判断について必しも一々これを判示することを要するものではない。
参照法条刑訴法44条1項,刑訴法335条

一 憲法違反の主張と認められない一事例 二 刑訴法第二七三条第二項の合憲性

最高裁判所第二小法廷昭和32年5月31日昭和32(あ)178集刑 第119号293頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 刑訴第二七三条第二項の規定は、憲法第三二条に違反するというだけであつて、何ら原判決に対する不服の理由を示していない主張は、適法な上告理由と認められない。 二 刑訴二七三条二項は違憲でない。
参照法条刑訴法273条2項,刑訴法405条,刑訴法273条2項,憲法32条

一 訴因、罰条の追加、変更をさせないで審判することが違法と解せられる事例 二 背任の成立しない事例 三 期待可能性についての無用の判示と判例違反

最高裁判所第三小法廷昭和32年4月30日昭和30(あ)737集刑 第118号1111頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 第一審が業務上横領罪の訴因、罰条について判決した事件について、控訴審が背任の点についても既に十分な証拠調がされているというだけの理由で、未だ任務に背いたか否かの点について十分な防禦を尽していると認められないのにかかわらず、背任について訴因罰条の追加、変更なしに審判することは違法である。 二 A公団BA局長が先に従業…
参照法条刑訴法256条,刑訴法312条,刑法253条,刑法247条

控訴趣意書提出の遅延がやむを得ない事情に基くものと認められない場合、該書面に基き弁論がなされたとき、これに対する判断を与えなかつたのは違法か

最高裁判所第二小法廷昭和32年4月23日昭和31(あ)4635集刑 第118号957頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論被告人本人の上申書と題する控訴趣意書は、記録によれば、昭和三一年二月二五日原審において受理されているところ、原審が指定した控訴趣意書提出最終日は昭和三〇年一一月二一日であつて、その後原審弁護人側から数回にわたりその延期申請があつたため、その都度延期され、結局昭和三一年一月一五日まで延期が認められたけれども、その延期…
参照法条刑訴法376条,刑訴法389条,刑訴法392条,刑訴規則236条,刑訴規則238条

再審請求が不適法として棄却された事例

最高裁判所第三小法廷昭和32年4月23日昭和32(き)2集刑 第118号1005頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 請求人は、被告人Aに対する強盗殺人被告事件(当庁昭和三一年(あ)第二九四八号)について昭和三二年一月二二日当裁判所第三小法廷において言い渡した有罪の確定判決に対し法定代理人として再審の請求をなしたものであるが、本件記録編綴の香川県三豊郡a村長Bの認証にかかる請求人に対する戸籍謄本によると、請求人は被告人の父であるけ…
参照法条刑訴法439条,刑訴法446条

麻薬所持の現行犯逮捕の要件

最高裁判所第二小法廷昭和32年4月3日昭和29(あ)3556集刑 第118号705頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨法廷の除外事由が認められないで麻薬を所持していることを現認して、現行犯人として逮捕したものである以上、もとよりその逮捕は適法であつて、その麻薬所持を現認するに至つた事情のいかんは何ら影響がない。
参照法条刑訴法213条,麻薬取締法12条

簡易裁判所が裁判所法第三三条第三項の制限を超えて懲役刑を言渡した判決の違法と非常上告

最高裁判所第三小法廷昭和32年3月26日昭和32(さ)1集刑 第118号419頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判所法三三条一項によれば簡易裁判所は窃盗及び傷害の罪について裁判権を有するが、同条二項によつて但書の場合を除いて禁錮以上の刑を科することができないことになつており、傷害罪につき懲役刑を選択し窃盗罪と併合加重をして懲役刑を言渡すことはできないことが明らかである。簡易裁判所がそのような処断を相当であると認めれば同条三項、…
参照法条裁判所法33条,刑訴法332条,刑訴法454条,刑訴法458条1号

刑訴法第三二二条第一項本文前段の供述調書が証拠能力を有するための条件

最高裁判所第二小法廷昭和32年3月26日昭和29(あ)4146集刑 第118号391頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論被告人の検察官に対する供述調書は刑訴三二二条の書面として検察官が取調を請求し、第一審裁判所も同書面として証拠決定をなし取り調べたものであることは所論のとおりであるが、右供述調書は被告人の署名拇印があり、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであること(同条一項本文前段参照)記録上明白であるから、かかる…
参照法条刑訴法322条

病気の被告人の防禦権制限の有無

最高裁判所第二小法廷昭和32年3月13日昭和31(あ)4292集刑 第118号341頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審が被告人質問のため数回被告人を召喚したにもかかわらず被告人において病気のためこれに応じなかつたところから被告人質問はこれをしない旨決定して結審したからといつて原審裁判官がその良心に反して裁判をしたということはできない。
参照法条刑訴法278条,刑訴規則183条

弁護権の不法制限とならない一事例

最高裁判所第三小法廷昭和32年3月5日昭和30(あ)570集刑 第118号39頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人は既に昭和二九年一二月一四日附で、同三〇年一月一八日の福岡高裁の公判期日の通知を受けておりながら、同三〇年一月一三日に至つて始めて、同月一八日の他の公判に出頭することを理由として期日変更の申立をしたに止まり、刑訴規則一七九条の四所定の申請をしていない。それ故これを却下されても何等憲法の問題を生じない。
参照法条刑訴法276条1項,刑訴規則179条の4

期待可能性がないことを理由とする上告の適否

最高裁判所第三小法廷昭和32年2月19日昭和29(あ)2311集刑 第117号1079頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人が判示の所為に出でないことを期待するのは不可能であつたと解すべきであるという主張は単なる法令違反の主張に過ぎず、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
参照法条刑法38条,刑訴法305条

簡易裁判所が裁判所法第三三条第三項の制限を超えて懲役刑を言渡した判決の違法と非常上告

最高裁判所第三小法廷昭和32年1月29日昭和31(さ)3集刑 第117号501頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審(簡易裁判所)が、本件の窃盗と鉄砲刀剣類等所持取締令違反とを刑法四五条の併合罪と認めた以上、前者につき懲役三年以下を言い渡し、後者につき罰金刑を選択して言い渡すべきものとするならば格別、しからずして、後者につき懲役刑を選択し、重い前者の法定懲役刑に併合罪の加重をした刑期範囲内において被告人に対し一個の懲役刑を言い渡…
参照法条裁判所法33条,刑訴法332条,刑訴法458条1号

一 公文書偽造罪の判示として正当と認められる一事例 二 偽造外食券の形式外観 三 心神耗弱の主張に対する判断の遺脱は絶対的控訴理由となるか 四 右判断遺脱は訴訟手続の法令違反として常に判決に影響するか

最高裁判所第一小法廷昭和31年12月27日昭和28(あ)2055集刑 第116号555頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原判決が「第一院判決挙示の証拠によると、同判示の偽造公文書は、いずれも、当該公文書の信用を害する危険がある程度の形式外観を具えていることが認められる」旨の判示並びに『第一審判決の判示各偽造外食券に「当該地方食糧配給公団名及び交付配給所名のなつ印」の要求されるのは、整理上交付配給所を明らかにするためで、これを欠くから…
参照法条刑法155条,刑法39条2項,刑訴法44条,刑訴法335条1項,刑訴法335条2項,刑訴法378条4号,刑訴法379条

控訴審の破棄自判の判決が心神喪失もしくは心神耗弱の主張に対し判断を遺脱した違法と刑訴第四一一条第一号

最高裁判所第三小法廷昭和31年12月25日昭和29(あ)1796集刑 第116号347頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審の破棄自判の判決が、心神喪失もしくは心神耗弱の主張に対し判断を示さなかつた場合は、刑訴第四〇四条、第三三五条第二項に違反するけれども、同第四一一条第一号によりこの法令違反が判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる場合に破棄せられるにとどまる。
参照法条刑訴法335条2項,刑訴法411条1号,刑法39条

除斥の理由が認められない一事例と憲法第三七条第一項

最高裁判所第二小法廷昭和31年12月21日昭和29(あ)4169集刑 第116号247頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審裁判官が所論仮処分決定をなした裁判官であるということは、同裁判官を被告人に対する本被告事件審判の職務の執行から除斥するものでないことは、刑訴二〇条各号の規定により明らかであると共に、右の一事を以て同裁判官が不公平な裁判をする虞があつたとも断定することはできない。
参照法条刑訴法20条,憲法37条1項

被疑者を午前三時頃警察署に任意出頭せしめた処置と、被疑者の司法警察員に対する供述調書(自白)の証拠能力

最高裁判所第三小法廷昭和31年12月11日昭和28(あ)5265集刑 第116号69頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被疑者を午前三時頃に出頭せしめる必要もないのに、警察署に任意出頭せしめた場合でも、その日の午後六時三〇分頃適法な手続によつて逮捕され、次いで適法に勾留された後において被疑者が司法警察員に対してなした供述(自白)の任意性が認められ、また被告人(被疑者)および弁護人共にその供述調書を証拠とすることに同意している等特段の事情…
参照法条刑訴法198条,刑訴法199条,刑訴法201条,刑訴法207条,刑訴法210条,刑訴法322条,刑訴法326条

一 控訴趣旨に対する判断遺脱の違法と上告理由 二 覚せい剤取締法第四一条第二項の法意

最高裁判所第三小法廷昭和31年10月9日昭和31(あ)1515集刑 第115号49頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 所論は憲法三一条違反をいうけれども、その実質は原判決が覚せい剤取締法四一条二項の解釈の誤りの控訴趣旨に対する判断を遺脱したという単なる刑訴法違反の主張であり、かような判断遺脱の主張は刑訴法四〇五条の上告理由にあたらないこと当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(あ)第三一三〇号同二七年一月一〇日第一小法廷判決…
参照法条刑訴法405条1項,刑訴法392条1項,憲法31条,覚せい剤取締法41条1項,覚せい剤取締法41条2項

刑訴法第三八一条第四一一条第二号にいう「刑の量定」の意義

最高裁判所第一小法廷昭和31年9月27日昭和31(あ)890集刑 第114号803頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴三八一条、四一一条二号の規定にいわゆる「刑の量定」とは、広義であつて、刑法にいわゆる「刑」の量定のほか、罰金の換刑処分、未決勾留日数の算入、刑の執行猶予等の附随処分をも含む概念であるから、選挙権、被選挙権に関する公職選挙法二五二条三項所定の裁判所の裁量に関する上訴理由は、前記刑訴の規定にいわゆる「刑の量定」の非難に…
参照法条刑訴法381条,刑訴法411条2号

保釈請求却下決定の理由として「被告人が逃亡する疑なしとは認められない」との認定に対する違憲(第三四条違反)の主張

最高裁判所第二小法廷昭和31年9月26日昭和31(し)39集刑 第114号797頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は違憲をいうが、実質は原審が適法に認定した本件被告人に逃亡する疑なしとは認められないとする事実認定を争うに帰し、前提において採用できない。
参照法条刑訴法60条,刑訴法89条,刑訴法344条,憲法34条

上告審において証拠能力を争うことが許されない一事例

最高裁判所第三小法廷昭和31年9月25日昭和29(あ)2685集刑 第114号733頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審において証拠とすることに同意した証拠尋問調書の証拠能力を、上告審に至つて争うことは許されない。
参照法条刑訴法317条,刑訴法321条1項1号,刑訴法326条

公訴時効完成により刑訴法第四一一条により免訴を言渡した一事例

最高裁判所第二小法廷昭和31年9月14日昭和31(れ)8集刑 第114号695頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨贈賄の事実については、原判決の言渡後、本件を当裁判所が受理した昭和三一年六月二二日までに既に三年以上経過し、しかも、その間公訴時効の中断の事実のないことは記録上明らかであるので、右の罪に対する公訴の時効が完成したものであるから、共に被告人に免訴の言渡をすべきであつて、この点において原判決は破棄を免れない。よつて、刑訴施…
参照法条刑法198条,刑訴法411条5号,旧刑訴法281条5号,旧刑訴法363条4号

適法な証拠調を経たことが認められる証拠書類が記録に編綴されていない場合と犯罪事実の認定

最高裁判所第一小法廷昭和31年9月13日昭和30(あ)2949集刑 第114号635頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨犯罪事実を認定するには適法な証拠調を経た証拠によることを要するが、記録によれば、第一審第二回公判期日において所論証拠書類が適法に証拠調べを施行された旨の記載があるから、その適法な証拠調がなされたことは明らかである。該証拠書類が記録に編綴されているかどうかは、犯罪事実の認定を左右するものではない。所論は、証拠書類が記録に…
参照法条刑訴法310条,刑訴法335条,刑訴法317条,刑訴法52条,刑訴規則44条

上告趣意書に押捺した指印の瑕疵が裁判後判明した場合と裁判の訂正

最高裁判所第三小法廷昭和31年9月11日昭和31(す)326集刑 第114号629頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨拘置所に在所中の被告人の上告趣意書が拘置所長から裁判所に提出され、裁判所はこれに基き裁判をした場合、その書面の被告人名下その他訂正個所に捺された指印が被告人以外の者の手により擅になされたものであることが裁判後に判明しても、右書面の作成、署名が被告人によつてなされ、被告人自らこれを拘置所長に提出したものであることに疑の余…
参照法条刑訴法428条,刑訴法415条,刑訴規則61条1項

一 被告人と弁護人との起訴前の接見交通に関する不当な制限措置と上告理由 二 右制限措置と被告人の捜査官に対する供述の任意性

最高裁判所第二小法廷昭和31年8月3日昭和31(あ)727集刑 第114号471頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 被告人とその弁護人との起訴前の接見交通に関し不当な制限措置が採られたとしても、これに対する救済は別に刑訴四三〇条、四三一条の規定に従い準抗告の方法によるべきものであつて、かかる制限措置自体に対する違憲の主張が刑訴四〇五条の上告理由とならないことは当裁判所の判例の趣旨に徴して明らかである。(昭和二三年(れ)第六五号同…
参照法条刑訴法39条,刑訴法319条,刑訴法430条,刑訴法431条,憲法38条

公益事業失効後同令違反の所為は免訴すべきか

最高裁判所第二小法廷昭和31年7月27日昭和29(あ)1776集刑 第114号391頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公益事業令が昭和二七年一〇月二四日かぎり失効し、その後においては刑の廃止があつたものとして同令違反の所為を免訴すべきであること既に当裁判所大法廷の判例(集八巻一一号一七九一頁参照)とするところである。
参照法条刑法6条,刑訴法337条2号,公益事業令(昭和25年政令343号)

刑訴法第四九五条第二項第二号に定める未決勾留日数の通算とその宣告

最高裁判所第一小法廷昭和31年7月26日昭和31(あ)1155集刑 第114号285頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審は被告人の控訴を理由ありとして第一審判決を破棄しているのであるから所論原審における未決勾留日数は刑訴四九五条二項二号により法律上当然本刑に通算されるのであり、原判決がこの点につき特段の裁判をしなかつたのはむしろ当然である。
参照法条刑法21条,刑訴法495条2項2号

科し得べき罰金刑の多額を超えて罰金刑を言渡した判決の違法と非常上告

最高裁判所第三小法廷昭和31年7月17日昭和31(さ)2集刑 第114号267頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨函館地方裁判所は、昭和二九年一二月六日被告人に対する建造物侵入被告事件につき、被告人が昭和二九年五月二四日函館市所在函館公共職業安定所内事務室に侵入した犯罪事実を認定し、これに対し刑法一三〇条、罰金等臨時措置法二条、三条を適用し、所定刑中罰金刑を選択し、被告人を罰金五千円に処する旨の判決を言い渡し、右判決は所論のとおり…
参照法条刑法130条,刑訴法454条,刑訴法458条1号,罰金等臨時措置法2条,罰金等臨時措置法3条

簡易裁判所が裁判所法第三三条第三項の制限を超えて懲役刑を言渡した判決の違法と非常上告

最高裁判所第二小法廷昭和31年7月13日昭和31(さ)1集刑 第114号189頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審釧路簡易裁判所は昭和二八年五月六日、被告人Aに対する窃盗傷害被告事件につき二個の窃盗の事実並びに二個の傷害の事実を認定して、これに対しそれぞれ相当法条適用の上傷害罪について刑法二〇四条所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪を併合罪として法定の加重をした刑期範囲内において同被告人を懲役一年六月に処し、五年間右刑の執行を猶…
参照法条裁判所法33条,刑訴法332条,刑訴法454条,刑訴法458条1号

誤つて累犯加重をした違法が判決に影響を及ぼさないとした事例

最高裁判所第一小法廷昭和31年7月12日昭和30(あ)3899集刑 第114号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審の是認した第一審判決が、刑法五六条一項、五七条の適用を誤つて累犯加重をした違法のあることは所論のとおりである。しかし、被告人は本件犯行の外、三個の犯罪を犯し(内二件は本件と同様窃盗である。)ていることは記録上明らかであり、しかも本件犯行は、他の犯罪につき昭和三〇年一月一二日仮釈放せられた後数日にして同年一月二一日行…
参照法条刑法235条,刑法56条1項,刑法57条,刑訴法411条

間接国税犯則事件における一個の犯罪事実の一部に対する告発の効力

最高裁判所第二小法廷昭和31年7月7日昭和29(あ)608集刑 第114号103頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨第一点所論の反則事実については、口頭告発前に同一関係と認められる事実につき告発がなされていることが記録上認められ、また第二・三点所論の各反則事実については、口頭告発前に各犯罪の各一部につき告発がなされていることが記録上明らかであつて、かかる告発は罪の全部について効力を生ずるものと解すべきこと、昭和二八年(あ)第二二…
参照法条国税犯則取締法17条1項,刑訴法239条

使途を定められて寄託された金銭と横領罪

最高裁判所第三小法廷昭和31年7月3日昭和29(あ)2267集刑 第114号37頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨使途を限定されて寄託された金銭は、受託者において委託の本旨に違つた処分をしたときは横領罪を構成する。
参照法条刑訴法252条

一 適法な控訴理由として前提を欠く一事例 二 供述調書謄本の証拠能力

最高裁判所第一小法廷昭和31年6月28日昭和30(あ)2427集刑 第113号929頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 第一審においては、弁護人は所論供述調書の内容が信用できないことを理由として、証拠とすることに異議を申立てたのであり、右異議は、原本の存在を争つたり、謄本なるが故に証拠能力がないと主張したものでないことが認められる。従つて、被告人が本件につき控訴審において申立てた控訴趣意第一点において「而も右は謄本であつて、弁護人に…
参照法条刑訴法379条,刑訴法322条,刑訴法323条

控訴審における国選弁護人選任等の手続において被告人の防禦権を侵害した事実なしとされた一事例

最高裁判所第一小法廷昭和31年6月21日昭和31(あ)339集刑 第113号845頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原裁判所は控訴趣意書提出期間内たる昭和三〇年九月一二日(控訴趣意書提出最終日は同月二六日)弁護士甲を被告人の弁護人に選任し、同弁護人は右最終期日までに趣意書を提出することを引受けたが被告人と談合の結果同月二三日趣意書を提出しないで辞任し、同日原裁判所は弁護士乙を弁護人に選任し同弁護人は右最終期日までに趣意書を提出するこ…
参照法条刑訴法289条,刑訴法389条

刑法第四二条第一項の刑の減軽と刑訴法第三三五条第二項にいう法律上刑の減免の理由となる事実

最高裁判所第一小法廷昭和31年6月21日昭和31(あ)93集刑 第113号829頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑法四二条一項の刑の減軽は、裁判所の裁量に属する事項であつて、刑訴三三五条二項に所謂法律上刑上刑の減免の理由となる事実には当らない。
参照法条刑法42条1項,刑訴法335条2項

控訴趣意書の撤回

最高裁判所第三小法廷昭和31年6月19日昭和29(あ)2898集刑 第113号791頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人が自己名義の控訴趣意書に基き弁論し「被告人名義の控訴趣意書は陳述しない」と述べた場合に、控訴審裁判所が、被告人名義の控訴趣意に対して判断をしなかつたことは違法ではない。
参照法条刑訴法376条1項,刑訴法389条,刑訴法392条1項

告発書の性質

最高裁判所第一小法廷昭和31年6月14日昭和30(あ)3753集刑 第113号769頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論告発書の証拠調については第一審において所論のごとく弁護人が不同意を唱えた形跡が認められないばかりでなく、同告発書は、本件についての訴訟要件としての告発があつた事実を証明する資料であつて、本件事実認定の証拠として提出されたものでないこと記録上明白であるから、仮りに被告人、弁護人から不同意の申立があつたとしても、記録に…
参照法条刑訴法239条,刑訴法241条,刑訴法326条

業務上横領罪の共犯ではあるが身分なき被告人に対し刑法第二五三条を適用したる違法と判決への影響

最高裁判所第三小法廷昭和31年6月5日昭和29(あ)2903集刑 第113号719頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨業務上の占有者たる身分なき被告人が他人の業務上横領罪に共同正犯として加功した事実を認めながら刑法二五三条を適用処断したのは性質上判決に影響を及ぼすことの明らかな法律適用の誤りがあるものというべきこと論をまたない。
参照法条刑法65条,刑法252条,刑法253条,刑訴法380条

正式裁判の請求があつた場合の起訴状謄本送達の要否

最高裁判所第二小法廷昭和31年5月25日昭和31(あ)53集刑 第113号587頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二九年(あ)二一八〇号同年一二月二日第一小法廷決定、集八巻一二号二〇六一頁)
参照法条刑訴法271条,刑訴法465条,刑訴規則290条

刑訴法第三六二条に該当しない一事例

最高裁判所第三小法廷昭和31年5月1日昭和31(し)19集刑 第113号437頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原決定が「所論主張のような事由により錯誤に陥り正式裁判の申立をしなかつたとしても、単に検察官の一片の言辞を軽信し失格問題は起らないものと解し略式命令の当選に及ぼす効果について何等の調査もしなかつたのは明かに過失たるを免れないから、かような事由は刑訴三六二条に該当しないものといわねばならない」とした判断は正当であり、従つ…
参照法条刑訴法362条

控訴棄却の判決と再保釈の効力

最高裁判所第一小法廷昭和31年4月19日昭和31(し)13集刑 第113号381頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原審の決定要旨 控訴審において控訴棄却の判決の宣告があり、禁錮以上の刑に処する旨の第一審判決が維持せられた場合においては第一審判決宣告後のいわゆる再保釈はその効力を失うものと解すべきである。 二 当審の決定 論旨は違憲をいうが、その実質は結局刑訴三四三条の解釈、適用に関する原審の見解(右法条に対する原審の解釈、適用…
参照法条刑訴法343条,刑訴法404条

自白の任意性の調査方法

最高裁判所第三小法廷昭和31年4月17日昭和27(れ)88集刑 第113号81頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判廷外における被告人の自白の任意性調査の方法は裁判所の適宜な方法で足りる。(昭和二六年(あ)一六五七号、同二八年二月一二日第一小法廷判決、判例集七巻二号二〇四頁)
参照法条刑訴法322条,刑訴法325条

弁護権の不法制限とならない事例

最高裁判所第三小法廷昭和31年4月17日昭和29(あ)2224集刑 第113号365頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審において公判期日を指定告知した後、弁護人から他の裁判所の公判があるため差支があるとの理由により二回にわたつて公判期日の変更申請があり、控訴審は第一回はこれを許したけれども第二回はこれを却下したのであるが、右申請はいずれも刑訴規則第一七九条の四所定の変更事由の疏明資料の添付なく且つ変更事由の継続期間も明らかにしてい…
参照法条刑訴法276条1項,刑訴規則179条の4

上告棄却決定告知後、その確定前に被告人が死亡したことを理由とする右決定に対する不服申立

最高裁判所第三小法廷昭和31年4月17日昭和31(す)148集刑 第113号369頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人が昭和三一年三月六日死亡したことは医師A作成の死体検案書及び東京都新宿区長B認証の戸籍謄本によつて明らかであるが、被告人が死亡したのは前記上告棄却の決定告知後のことであること、これまた一件記録上明瞭である。則ち右上告棄却の決定が告知せられた当時においては未だ被告人は死亡せず存命中であつたのであるから本件公訴を棄却…
参照法条刑訴法426条1項,刑訴法339条1項4号,刑訴法417条

刑訴第四一一条第一号にあたる事例―審理不尽、理由不備の違法

最高裁判所第三小法廷昭和31年4月10日昭和29(あ)597集刑 第113号5頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨農業協同組合参事として組合員に対する金員の貸付けにつき包括的権限を有している者が組合員に対して制度上認められている仮払金名義により金員を貸出す行為が業務上横領の罪を構成するとする理由として、仮払金の制度、定款の規定等を審理することなく、単に「農業協同組合法並びに組合の定款の定めるところに準拠することなく、且つ正規の貸出…
参照法条刑法253条,刑訴法411条1号,刑訴法413条本文,農業協同組合法42条

一 公判調書の証明力と明白な誤記 二 記載の正確性に関する異議と誤記 三 誤記と認めることが許される事例 四 誤記と認めることが許されない事例

最高裁判所第三小法廷昭和31年3月27日昭和30(あ)3212集刑 第112号833頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 刑訴第五二条は公判期日における訴訟手続に関する或る記載を訴訟記録等の資料によつて明白な誤記と認めることを許さない趣旨ではない。 二 公判調書の記載の正確性に関する異議申立の有無にかかわらず公判調書の記載を誤記と認めることは許される。 三 公判調書に「証人の証言の証明力を争うため刑訴第三二一条の証拠として」とある記載…
参照法条刑訴法52条

刑落第四三五条六号にもとずく再審の請求と証人の取調

最高裁判所第三小法廷昭和31年3月27日昭和31(し)11集刑 第112号841頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴四三五条六号にもとずく再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、再審の請求が理由があるかどうかを判断するためには、必ずその証人の取調をしなければならないものではないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二八年(し)第一二号同年一一月二四日第三小法廷決定、集七巻一一号二二…
参照法条刑訴法435条6号,刑訴法445条,刑訴法43条3項

不法に弁護権を制限したことにならない一事例

最高裁判所第一小法廷昭和31年3月22日昭和30(あ)757集刑 第112号721頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録に徴すれば、原審裁判所は公訴趣意書提出最終日より後、第1回公判期日の二四日前に弁護人を選任したものであるが、これより先に被告人から詳細な事実誤認、未決勾留日数の本刑通算要求の主張を記載した公訴趣意書が提出されており、右弁護人は被告人と共に原審第一回公判期日に出席して被告人提出の公訴趣意書中の事実誤認の主張のみについ…
参照法条刑訴法389条,刑訴法376条

原判決が証拠として採用していない供述調書の証拠能力についてした判断の違法を主張する上告の適否

最高裁判所第一小法廷昭和31年2月16日昭和30(あ)2113集刑 第112号395頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が証拠として採用していない検察官作成の第三者に対する供述調書の証拠能力についてした判断が違法であるという主張は、原判決の違法にかかわりないものであるから上告理由として不適法である。
参照法条刑訴法321条1項,刑訴法328条,刑訴法405条

一 被告人の本籍、住居、生年月日の訂正申立と刑訴第四一五条第一項 二 判決書に「公判期日に出席した検察官の官氏名の記載」を欠き無効であるとしてその訂正を求むる申立と刑訴第四一五条第一項

最高裁判所第三小法廷昭和31年2月14日昭和31(み)7集刑 第112号359頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件訂正申立趣意第一点は、判決書に表示された被告人の本籍並びに住居の地番及び生年月日の訂正を求めるものであり、同第二点は判決書に「公判期日に出席した検察官の官氏名の記載」(刑訴規則五六条二項)がないから無効であるとしてその訂正を求めるというのであつて、いずれも判決の内容に誤のあることを理由とするものでなく、刑訴四一五条…
参照法条刑訴法415条1項

適法な告訴があつたものと認められる事例

最高裁判所第二小法廷昭和31年1月27日昭和28(あ)4840集刑 第112号139頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨A所有の田圃にBが植付け所有した稲苗を土中に埋没させて毀棄した事件において、告訴状がA名義でなされていても、他の証拠によつて、右告訴が苗の被害者Bの委任によるものであることがうかがわれ、またB自身も検察官に対し告訴の意思を表示している場合は、適法な告訴があるものと認めるべきである。
参照法条刑訴法230条,刑訴法338条4号

主訴因を詐欺罪、予備的訴因を物価統制令違反罪(不当高価販売)とした起訴事実を詐欺罪として判断した判決は同一性質の所為を物価統制令違反罪(不当高価販売)として処断した判例に反するか

最高裁判所第三小法廷昭和30年12月26日昭和29(あ)9集刑 第111号865頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨主訴因を詐欺罪、予備的訴因を物価統制令違反罪(不当高価販売)とした起訴事実を詐欺罪とした処断した原判決は、同一性質の事件につき訴因を不当高価販売罪として起訴され、判決においても物価統制令違反罪(不当高価販売)の成立を認めた高裁判例に違反するということはできない。
参照法条刑法246条,物価統制令9条ノ2,刑訴法405条3号,刑訴法256条3項

一 被告人甲の私選弁護人を相被告人乙の国選弁護人に選任することと公正な弁護権の行使 ―被告人間の利害相反しない事例― 二 裁判所が被告人の私選弁護人を共犯関係に立つ相被告人の国選弁護人に選任する措置の適否 三 被告人と相被告人が利害相反する…

最高裁判所第三小法廷昭和30年12月20日昭和29(あ)121集刑 第111号555頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 本件起訴状に記載するような共犯関係においては、これをもつて直ちに当然両被告人は利害相反するということはできないから、第一審裁判書が公判進行の必要上当面の急に応じ同一弁護人を選任したこと自体をもつて、直ちに公正な弁護権の行使を妨げる違法な処置ということはできない。 二 被告人は第一審相被告人と共謀の上詐欺を行つたとい…
参照法条憲法37条3項,刑訴法30条,刑訴法289条,刑訴法405条,刑訴法38条,刑訴規則29条2項,弁護士法25条

検察官の過誤による違法な刑の執行指揮と上告理由の適否

最高裁判所第二小法廷昭和30年10月31日昭和26(あ)117集刑 第55号981頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨もし未確定の右第一審判決の刑の執行として被告人が所論のように昭和二五年四月二八日から昭和二六年五月二六日までの間刑務所に収監され服役させられたとすれば右判の執行指揮が違法不当のものであることは論をまたない。しかし所論によれば右は検察官の過誤に基くものであつて、原判決は何等の法令違反もなく又原判決は、この点に関し憲法適法…
参照法条刑訴法471条,刑訴法405条

証拠調請求却下決定と刑訴法第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」

最高裁判所第二小法廷昭和30年10月29日昭和30(し)45集刑 第109号875頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件証拠請求却下の決定のように訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らない(昭和二九年(し)第三七号、同年一〇月八日第三小法廷決定、集第八巻一〇号一五八八頁)。
参照法条刑訴法420条1項,刑訴法433条1項,刑訴法298条,刑訴規則190条

公判調書に起訴状朗読及び刑訴法第二九一条第二項の手続の記載がない場合とその推認

最高裁判所第二小法廷昭和30年8月26日昭和28(あ)5212集刑 第108号235頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件公判調書は昭和二七年二月一日改正施行された刑訴規則四四条の規定に従い作成されたものであるから、同条の必要的記載事項以外の事項はその記載が省略されているのである。従つて起訴状の朗読及び刑訴二九一条二項の手続が行われた旨公判調書に記載がないのは両手続が適法に履践されたと推認すべきであり、ことに右両手続の行われなかつたこ…
参照法条刑訴法52条,刑訴規則44条

刑訴第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」の意義

最高裁判所第一小法廷昭和30年8月18日昭和30(す)238集刑 第108号187頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、裁判の主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合のことで、被告人の上告を棄却した本件はかような疑義なきこと明瞭であるのみでなく、刑訴法にいう刑の言渡をした裁判所ともいえないから、右いずれの点からも本件申立は不適法で棄却すべきものである。
参照法条刑訴法501条

共同被告人とその弁護人が同じ公判期日に在廷し、各弁護人それぞれ分担を定めて書証に対する同意不同意の意見を陳述した場合の効果

最高裁判所第三小法廷昭和30年8月2日昭和29(あ)1929集刑 第108号17頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨共同被告人とその弁護人が同じ公判期日に在廷して数名の弁護人が書証を証拠とすることに同意不同意の意見を表示するに当り、弁護人が各分担を定めて意見を陳述し、そして他の弁護人はそれ以上同意不同意の意見を陳述しなかつた以上は(弁護人がそれ以上意見を陳述することを妨げられないで証拠調を終了した限り)各弁護人協議の上、自己の代理す…
参照法条刑訴法326条

必要的弁護事件において弁護人選任の請求なき場合に控訴趣意書の提出最終日を経過して国選弁護人を選任することは違憲か

最高裁判所第二小法廷昭和30年7月29日昭和28(あ)1707集刑 第107号1133頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨必要的弁護人事件であつても、弁護人選任の請求がない限り、裁判所が控訴趣意書の提出最終日を経過して国選弁護人を選任しても、右手続は違憲でない。
参照法条憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法289条,刑訴法411条1号,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条

刑訴第一八一条第一項但書により被告人に訴訟費用を負担させない場合判決主文にその旨の判示の要否

最高裁判所第二小法廷昭和30年7月29日昭和30(あ)1411集刑 第107号1207頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判所が刑の言渡をした場合において、刑訴一八一条一項但書により被告人に訴訟費用を負担させないときは、その旨を主文に判示する必要はない。
参照法条刑訴法181条1項但書,刑訴法335条1項

上告棄却の決定に対する再審請求の適否

最高裁判所第三小法廷昭和30年7月26日昭和30(き)5集刑 第107号1121頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告を棄却した確定決定に対しては、刑訴法上再審の請求は許されていないのであるから、本件再審の請求は不適法として棄却すべきものである。
参照法条刑訴法436条1項,刑訴法446条

公判調書に起訴状朗読等の記載のない場合その手続が行われなかつたとみるべきか

最高裁判所第二小法廷昭和30年7月22日昭和28(あ)2829集刑 第107号959頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論の起訴状朗読等は昭和二七年二月一日以降公判調書の必要的記載事項でなくなつたのであるから所論の第一審における公判調書にその記載のない一事をもつて直ちにその手続が行われなかつたことにはならない。
参照法条刑訴法48条,刑訴規則44条

検察官が論告において法律の適用につき単に「相当法条を適用の上」と意見を陳述することの適否

最高裁判所第二小法廷昭和30年7月22日昭和28(あ)3534集刑 第107号981頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨検察官が証拠調終了後「本件公訴事実はその証明十分と思料するので、相当法条を適用の上、被告人に対し懲役五年を相当とする」との意見を陳述した以上検察官の法律の適用についての意見としては何等欠くるところはないと解すべきである。
参照法条刑訴法293条1項

証人尋問の期日を弁護人に通知しなかつた瑕疵とその治癒

最高裁判所第二小法廷昭和30年7月22日昭和28(あ)3648集刑 第107号999頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審において所論証人尋問の期日を弁護人に通知しなかつた瑕疵があつたとしても、右尋問の調書は後に公判において証拠調が為され右期日に立会つた被告人からも弁護人からも何ら異議の申出のなかつたことは記録上明らかであるから右の疵疵はこれによつて治癒せられたとみとめるべきである。
参照法条刑訴法157条2項,刑訴法159条1項

被告人が負担すべき訴訟費用がないのに之を被告人に負担させた場合と空文

最高裁判所第三小法廷昭和30年7月19日昭和28(あ)3973集刑 第107号571頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨は原判決が憲法二九条に違反すると主張する。なるほど原審は、「当番の国選弁護人に支給した訴訟費用は被告人の負担とする」との判決をしているけれども、記録上国選弁護人に報酬等を支給した形跡は認められず、被告人に負担させるべき費用は存在しない。従つて判決中右の部分は空文に帰したと同様である。それ故、被告人が現実に訴訟費用を…
参照法条刑訴法181条,憲法29条

刑訴法第四一五条、第四一六条による判決の訂正をした事例 ―負担さすべき控訴費用がないのに之を負担させた判決の訂正―

最高裁判所第二小法廷昭和30年7月15日昭和30(み)24集刑 第107号439頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨当裁判所が被告人に対する被告事件について昭和三〇年七月一日言渡した判決の主文中第三項(被告人の訴訟費用負担)及び理由中「、一八一条」を各削除する。
参照法条刑訴法181条,刑訴法415条,刑訴法416条,刑訴規則270条

控訴審と公開裁判

最高裁判所第三小法廷昭和30年7月5日昭和29(あ)3043集刑 第107号147頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審は刑訴法に従つて公開の公判廷において弁護人の控訴趣意の陳述、弁論を聞いた上判決しているのであつて、公開の公判を開かないわけではなく、また原判決は執行猶予の期間を変更したのみで、犯罪事実の認定、刑の量定そのものは第一審判決と同様に判示しているのであるから、原審が刑訴法第四〇〇条但書によつて破棄自判したことが憲法第三七…
参照法条憲法37条,刑訴法43条,刑訴法389条,刑訴法400条但書

上告棄却の判決に対する刑訴第四三六条第一項、第四三五条第一、二号の事由による再審請求の要件

最高裁判所第一小法廷昭和30年6月30日昭和30(き)3集刑 第106号935頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告棄却の判決に対し、刑訴第四三六条第一項、第四三五条第一、二号の事由による再審の請求が許されるためには、上告審が自ら事実の取調を行つて集取した証拠または上告棄却判決が判断の資料として特に掲げた証拠について右第四三五条第一、二号に定める事由が存在しなければならない。
参照法条刑訴法436条,刑訴法435条1号,刑訴法435条2号

必要的共犯の関係にある贈収賄被告人等に同一弁護人による弁護をさせることと利害対立の有無

最高裁判所第三小法廷昭和30年6月7日昭和28(あ)3276集刑 第106号43頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決の判示は「被告人A、同Bと被告人Cとは、形式的に相対立的立場にあり、一見利害相反する如くであるが原審において右三名とも、各金二万円授受の事実を認めてその趣旨を否認し、被告人Cはたんにお歳暮として渡し、被告人A等もお歳暮に貰つたと全く同じ弁解をなし、主任弁護人も亦被告人Cは被告人A等のいずれからも、その職務に関して…
参照法条刑訴法30条,刑訴法31条,刑訴規則29条2項

私選弁護人不出頭の場合、国選弁護人が私選弁護人提出の控訴趣意書にもとずいて弁論したことは私選弁護人の弁護権の不法制限となるか

最高裁判所第二小法廷昭和30年5月31日昭和28(あ)2272集刑 第105号1063頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録に依れば、原審は公判期日を定めると共に、被告には召喚状を送達し弁護人島秀一には期日の通知をしているのであつて、右公判期日に弁護士大井亨を被告人の国選弁護人に選任した上公判を開廷し、同弁護人が島弁護人提出の控訴趣意書にもとづいて弁論したのは、被告人、島弁護人のいずれからも右公判期日に出頭し得ない理由を具申して期日の変…
参照法条刑訴法289条,刑訴法389条,刑訴法391条

必要的弁護事件において弁護権を不法に制限したことにならない一事例

最高裁判所第三小法廷昭和30年5月24日昭和29(あ)3904集刑 第105号955頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審は昭和二九年八月二七日、公訴趣意書提出の最終日を同年九月二九日と指定し、その指定通知書と共に、弁護人を選任するか否かの照会書を被告人等三名に送達し、なお当時被告人Aには弁護士古屋東が弁護人として選任届出がされていたので同弁護人にも右指定通知書を送達したところ、被告人Bは、同年八月二八日右弁護士古屋東を弁護人に選任の…
参照法条刑訴法289条,刑訴法389条,刑訴法391条,刑訴規則236条1項

電報による異議の申立―上告棄却決定に対する

最高裁判所第三小法廷昭和30年5月24日昭和30(す)134集刑 第105号1007頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴第四一四条、第三八六条第二項、第三八五条第二項、第四二二条、第四二三条第一項によれば、上告棄却の決定に対する異議の申立は、右決定のあつた日から三日以内に書面でこれをしなればならないとされているのであつて、訴訟手続の明確を期する趣旨から見れば、電報はこゝにいう書面に該当しないものと解するのを相当とする。従つて電報によ…
参照法条刑訴法414条,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項,刑訴法422条,刑訴法423条1項

第一審が公訴事実よりも供与額を少なく認定した場合、その差額につき特に判決の理由において説明することを要するか

最高裁判所第二小法廷昭和30年5月20日昭和29(あ)3891集刑 第105号753頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審が、被告人Aが昭和二七年九月二五日頃その自宅でBに一二、〇〇〇円を供与したとの公訴事実(第三の9)について、判示第三の8の如くBに対する五、〇〇〇円だけの供与の事実を認定したのは正当である。而してこのような場合に、公訴事実の一二、〇〇〇円と右認定の五、〇〇〇円との差額七、〇〇〇円を認めなかつた理由を特に説明する必…
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法44条1項,刑訴法378条4号

改正前の法令を適用した誤が判決に影響を及ぼさない一事例

最高裁判所第三小法廷昭和30年5月17日昭和28(あ)3198集刑 第105号475頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決は、被告会社につき同判決別表一一の犯罪に対し、昭和二四年一二月二七日法律第二八六号による改正前の物品税法第一八条第一項を適用し、同被告を罰金六十一万五千七百円に処しているが、前記犯罪の行為は昭和二五年一月九日であるから、これに対しては右法律第二八六号附則一項により前記改正後の物品税法第一八条を適用すべきもので…
参照法条物品税法(昭和24年法律第286号による改正前)18条,物品税法(昭和24年法律第286号による改正後)18条,刑訴法379条,刑訴法411条

一 刑訴第三三五条第二項の主張に当らない一事例。―所持の麻薬がもはや薬効のないものと信じていた旨の主張― 二 控訴趣意書提出最終日指定の通知は控訴の申立をした弁護人にもしなければならないか。 三 控訴趣意書提出最終日に近く選任届を提出した援…

最高裁判所第二小法廷昭和30年5月11日昭和28(あ)3703集刑 第105号197頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 被告人は所持の麻薬がもはや薬効のないものと信じていた旨の主張は、単に麻薬所持の犯意を否認するものに過ぎないものであつて、刑訴第三三五条第二項の主張に当らない。 二 原審において戸田弁護人に対し控訴趣意書提出最終日指定の通知をしなかつたのは、被告人に対して右通知をなした当時、同弁護人については未だ控訴審における弁護人…
参照法条刑訴法335条2項,刑訴法355条,刑訴規則236条

第一審判決の引用しない証拠と控訴審における判断資料

最高裁判所第三小法廷昭和30年5月10日昭和29(あ)4188集刑 第105号177頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審が第一審判決の事実認定の当否を判断する資料は、第一審判決が引用した証拠に限るべきではなく、記録にあらわれ、適法に証拠調を経た全証拠によるべきである。
参照法条刑訴法382条,刑訴法396条

刑訴第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」の意義

最高裁判所第一小法廷昭和30年4月27日昭和29(す)528集刑 第104号861頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合のことである。 (昭和二五年(す)第二〇一号同年一二月二二日第二小法廷決定刑集四巻一三号二八八〇頁参照)
参照法条刑訴法501条

別件による勾留を通じて前後三〇日間勾留をうけた場合と刑訴第二〇八条

最高裁判所第二小法廷昭和30年4月22日昭和28(あ)4614集刑 第104号729頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人は甲被疑事実について、昭和二七年一〇月二八日逮捕状によつて逮捕され、同月三一日勾留状によつて勾留の執行を受けたが、同年一一月九日に至り勾留期間が同月一九日まで適法に延長されたものであつて、被告人は同年一一月一九日一旦釈放されたが、右逮捕状に記載されている被疑事実とは全く別個の乙被疑事実について再び逮捕勾留されたも…
参照法条刑訴法208条

証拠の標目中に掲げられた証言中の伝聞証言を除いても判示事実を認めることができる場合と違法の有無

最高裁判所第三小法廷昭和30年4月19日昭和28(あ)3345集刑 第104号637頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録によると、所論指摘の証人の供述調書中に所論のような伝聞証言が認められるが、この伝聞証言を除いても判示事実を認めるに十分であるから当裁判所の判例(昭和二七年(あ)第五六九四号第二九年二月一八日第一小法廷判決集八巻二号一四五頁)の趣旨に徴し、違法とはいえない。
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法320条,刑訴法324条2項

被告人および検察官が上訴し双方共棄却された場合の訴訟費用の負担

最高裁判所第三小法廷昭和30年4月12日昭和27(あ)5774集刑 第104号423頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴第一八一条第三項の規定は検察官のみが上訴した場合の規定であり、原審が被告人に刑訴第一八一条第一項により訴訟費用の負担を命じたとしても本件においては、被告人の控訴により生じた国選弁護人に関する費用の負担を命じたにすぎないのであるから所論違憲の主張は前提において採用できない。
参照法条刑訴法181条1項,刑訴法181条3項

最高裁判所で押収物の売却決定をした事例 ―裁判所では押収していないが、第一審判決で没収の言渡のあつた船舶の部分品―

最高裁判所第三小法廷昭和30年4月12日昭和29(す)300集刑 第104号529頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 昭和二九年(す)第三〇〇号 決定 Aこと 被告人B右に対する関税法違反被告事件につき大阪税関長の差押保管にかかる漁船C丸(第一審判決において没収言渡)は、同税関長がDに命じて保管中昭和二八年九月の台風の際船体が流失し、偶々予め取外し陸上げしてあつたその機関及び附属具のみ残存するに至つたものであることが認められるので…
参照法条刑訴法122条

刑訴第四一一条一号にあたる一事例 ―詐欺の犯意の認定の審理不尽、理由不備の違法―

最高裁判所第三小法廷昭和30年4月5日昭和27(あ)4768集刑 第104号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人が欺罔手段を弄し、選挙管理委員会をして、選挙権者に、特別投票用紙および特別投票者証明書を郵送させたという事案において、右選挙権者がその特別投票用紙等を受け取る権利のある者であるか否か、或いは被告人が右選挙権者にその権利ありと信じていたか否かを審理しないで、たんに手段に欺罔行為があつたという一事(被告人が選挙管理委…
参照法条刑訴法411条1号,刑法246条1項,地方自治法(昭和25年4月法律101号による改正前)34条1項3号,同施行令(昭和25年5月政令113号による改正前)36条1項,同施行令(昭和25年5月政令113号による改正前)37条1項3号,公職選…