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判例・論点索引

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最高裁 / 刑集登載238件

現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向けるなどした刑法96条の3第1項該当行為があった時点が刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」とはならないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成18年12月13日平成17(あ)1153刑集 第60巻10号857頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向け,内容虚偽の契約書類を提出した行為は,刑法96条の3第1項の「公の競売又は入札の公正を害すべき行為」に当たるが,上記虚偽の事実の陳述等に基づく競売手続が進行する限り(判文参照),その行為の時点をもって,刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」とはならない。
参照法条刑法96条の3第1項,刑訴法253条1項

1 刑訴法321条1項にいう「署名」と刑訴規則61条 2 供述録取書の供述者の署名を代書した立会人が刑訴規則61条2項所定の代書事由を記載しなかった場合でも刑訴法321条1項にいう「署名」があるのと同視できるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成18年12月8日平成18(あ)1038刑集 第60巻10号837頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑訴法321条1項にいう「署名」には,刑訴規則61条の適用がある。 2 供述録取書の供述者の署名を代書した立会人が刑訴規則61条2項所定の代書事由を記載しなかった場合でも,同録取書が,末尾にその作成者による代書事由の記載があり,立会人が同記載を見た上で自己の署名押印をしたと認められるような態様のものであるとき(判文…
参照法条(1,2につき)刑訴法321条1項,刑訴規則61条

誤ってした併合罪関係にある事実についての訴因変更請求と公訴時効停止の効力

最高裁判所第三小法廷平成18年11月20日平成18(あ)590刑集 第60巻9号696頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨誤って併合罪関係にある事実を追加する内容の訴因変更請求をした場合,検察官が訴因変更請求書を裁判所に提出した時点から,その請求に係る事実について公訴時効の進行が停止する。
参照法条刑訴法254条1項,刑訴法312条1項

刑訴法328条により許容される証拠

最高裁判所第三小法廷平成18年11月7日平成17(あ)378刑集 第60巻9号561頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法328条により許容される証拠は,信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(刑訴法が定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られる。
参照法条刑訴法328条

刑訴法8条2項による審判の併合請求が認容された事例

最高裁判所第二小法廷平成18年10月26日平成18(す)612刑集 第60巻8号537頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人に対する甲地方裁判所に係属中の殺人等被告事件と乙地方裁判所に係属中の銃砲刀剣類所持等取締法違反等被告事件とは,事件の内容,関係人の所在その他本件における諸般の事情の下においては,甲地方裁判所に併合するのが相当である。
参照法条刑訴法8条

刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成18年法律第36号)による窃盗罪の法定刑の変更と刑訴法397条1項による第1審判決の破棄の要否

最高裁判所第三小法廷平成18年10月10日平成18(あ)1414刑集 第60巻8号523頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成18年法律第36号)により,選択刑として50万円以下の罰金刑が追加された窃盗罪の法定刑の変更は,当該窃盗罪の犯情,第1審判決が併せて認定した他の犯罪の有無及びその内容等に照らし,上記法改正との関係からは第1審判決の量刑を再検討する余地のないことが明らかである場合には,刑訴法3…
参照法条刑法6条,10条,235条,同法(平成18年法律第36号による改正前のもの)235条,刑訴法383条2号,397条1項

即時抗告の申立てを受理した裁判所が刑訴法375条を類推適用してその申立てを自ら棄却することの可否

最高裁判所第三小法廷平成18年4月24日平成18(し)82刑集 第60巻4号409頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨即時抗告の申立てを受理した裁判所は,刑訴法375条を類推適用してその申立てを自ら棄却することはできない。
参照法条刑訴法375条,刑訴法422条,刑訴法423条

1 第1審判決と控訴審判決の自判部分とがいずれも懲役刑と罰金刑とを刑法48条1項により併科している場合に控訴審判決の刑が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」に当たるかどうかを判断する方法 2 刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い…

最高裁判所第二小法廷平成18年2月27日平成17(あ)1680刑集 第60巻2号240頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 第1審判決と控訴審判決の自判部分とが,いずれも懲役刑と罰金刑とを刑法48条1項により併科している場合に,控訴審判決の刑が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」に当たるかどうかを判断するに当たっては,各判決の主文を全体として総合的に考慮すべきである。 2 第1審の「被告人を懲役1年6月及び罰金7000円に処する…
参照法条(1,2につき)刑訴法402条 (1につき)刑法48条1項

殺人,死体遺棄の公訴事実について被告人が第1審公判の終盤において従前の供述を翻し全面的に否認する供述をするようになったが弁護人が被告人の従前の供述を前提にした有罪を基調とする最終弁論をして裁判所がそのまま審理を終結した第1審の訴訟手続に法令…

最高裁判所第三小法廷平成17年11月29日平成16(あ)2172刑集 第59巻9号1847頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人,死体遺棄の公訴事実について,被告人が第1審公判の終盤において従前の供述を翻し全面的に否認する供述をするようになったが,弁護人が被告人の従前の供述を前提にした有罪を基調とする最終弁論をして,裁判所がそのまま審理を終結した第1審の訴訟手続には,上記弁論において弁護人が,証拠関係,審理経過を踏まえた上で被告人に最大限有…
参照法条刑訴法30条,刑訴法293条2項,刑訴法379条,刑訴規則211条,憲法37条3項

捜査機関が収集し保管している証拠を証拠保全手続の対象とすることの可否

最高裁判所第二小法廷平成17年11月25日平成17(し)380刑集 第59巻9号1831頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨捜査機関が収集し保管している証拠は,特段の事情が存しない限り,証拠保全手続の対象にならない。
参照法条刑訴法179条

公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て

最高裁判所第二小法廷平成17年10月24日平成17(し)406刑集 第59巻8号1442頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
参照法条刑訴法40条1項,刑訴法280条1項,3項,刑訴法309条2項,刑訴法429条1項2号,刑訴規則86条

「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」5条違反の罪の公訴事実が多数回にわたり多数人に譲り渡した旨の概括的記載を含んでいても訴因の特定として欠けるところはない…

最高裁判所第一小法廷平成17年10月12日平成17(あ)660刑集 第59巻8号1425頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨4回の覚せい剤譲渡の年月日,場所,相手,量,代金を記載した別表を添付した上,「被告人は,平成14年6月ころから平成16年3月4日までの間,営利の目的で,みだりに,別表記載のとおり覚せい剤を譲り渡すとともに,薬物犯罪を犯す意思をもって,多数回にわたり,大阪市内において,Aほか氏名不詳の多数人に対し,覚せい剤様の結晶を覚せ…
参照法条国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律5条,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法…

捜査官が被害者や被疑者に被害・犯行状況を再現させた結果を記録した実況見分調書等で実質上の要証事実が再現されたとおりの犯罪事実の存在であると解される書証の証拠能力

最高裁判所第二小法廷平成17年9月27日平成17(あ)684刑集 第59巻7号753頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨捜査官が被害者や被疑者に被害・犯行状況を再現させた結果を記録した実況見分調書等で,実質上の要証事実が再現されたとおりの犯罪事実の存在であると解される書証が刑訴法326条の同意を得ずに証拠能力を具備するためには,同法321条3項所定の要件が満たされるほか,再現者の供述録取部分については,再現者が被告人以外の者である場合に…
参照法条刑訴法321条1項2号,刑訴法321条1項3号,刑訴法321条3項,刑訴法322条1項,刑訴法326条

裁判官が公訴棄却の判決をし又はその判決に至る手続に関与したことと再起訴後の審理における刑訴法20条7号本文所定の除斥原因

最高裁判所第一小法廷平成17年8月30日平成16(あ)2716刑集 第59巻6号726頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判官が公訴棄却の判決をし,又はその判決に至る手続に関与したことは,その手続において再起訴後の第1審で採用された証拠又はそれと実質的に同一の証拠が取り調べられていても,再起訴後の審理において,刑訴法20条7号本文所定の除斥原因に当たらない。
参照法条刑訴法20条7号,刑訴法338条

少年法20条による検察官送致決定に対する特別抗告の許否

最高裁判所第二小法廷平成17年8月23日平成17(し)346刑集 第59巻6号720頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨少年法20条による検察官送致決定に対しては,特別抗告をすることはできない。
参照法条少年法20条,刑訴法433条

治療の目的で救急患者から尿を採取して薬物検査をした医師の通報を受けて警察官が押収した上記尿につきその入手過程に違法はないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成17年7月19日平成17(あ)202刑集 第59巻6号600頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨医師が,治療の目的で救急患者の尿を採取して薬物検査をしたところ,覚せい剤反応があったため,その旨警察官に通報し,これを受けて警察官が上記尿を押収したなどの事実関係の下では(判文参照),警察官が上記尿を入手した過程に違法はない。
参照法条刑法134条1項,刑訴法218条1項,刑訴法239条,刑訴法317条

電子複写機によって複写されたコピーであって作成名義人たる外国人である被告人の署名がない控訴申立書による控訴申立ての効力

最高裁判所第二小法廷平成17年7月4日平成17(し)125刑集 第59巻6号510頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨電子複写機によって複写されたコピーであって,作成名義人たる外国人である被告人の署名がない控訴申立書による控訴申立ては,同書面中に被告人の署名が複写されていたとしても,無効である。
参照法条刑訴法374条,刑訴規則60条,外国人の署名捺印及び無資力証明に関する法律1条1項

刑訴法157条の3,157条の4と憲法82条1項,37条1項,2項前段

最高裁判所第一小法廷平成17年4月14日平成16(あ)1618刑集 第59巻3号259頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法157条の3,157条の4は,憲法82条1項,37条1項,2項前段に違反しない。
参照法条憲法37条1項,憲法37条2項,憲法82条1項,刑訴法157条の3,刑訴法157条の4

被告人の配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹からの保釈請求を却下した裁判に対する同人らの不服申立ての許否

最高裁判所第三小法廷平成17年3月25日平成17(し)91刑集 第59巻2号49頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人の配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹は,自ら申し立てた保釈の請求を却下した裁判に対し,刑訴法352条にいう「決定を受けたもの」又は同法429条1項にいう「不服がある者」として抗告又は準抗告を申し立てることができる。
参照法条刑訴法88条1項,刑訴法352条,刑訴法429条1項

1 刑訴法349条の2第1項に基づく求意見に対する回答について成人である被請求人から委任を受けた母親のした刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告の適否 2 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告について被請求人から権限の委任を受…

最高裁判所第一小法廷平成17年3月18日平成16(し)316刑集 第59巻2号38頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対し,成人である被請求人の母親は,被請求人から刑訴法349条の2第1項に基づく求意見に対する回答について委任を受けていたとしても,即時抗告をする権限を有しない。 2 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対し,被請求人の母親は,被請求人から即時抗告に関する権限の委任を受けたとしても,被請求人を…
参照法条刑法26条,刑訴法349条,刑訴法349条の2,刑訴法355条

刑の執行猶予言渡しの取消請求事件について在監者のした特別抗告申立てと刑訴法366条1項の類推適用の有無

最高裁判所第二小法廷平成16年10月8日平成16(し)214刑集 第58巻7号641頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨在監者の上訴申立てに関する刑訴法366条1項は,刑の執行猶予言渡しの取消請求事件についての特別抗告申立てに類推適用される。
参照法条刑訴法349条,刑訴法349条の2,刑訴法366条1項,刑訴法433条

1 おとり捜査の許容性 2 大麻の有償譲渡を企図していると疑われる者を対象にして行われたおとり捜査が適法とされた事例

最高裁判所第一小法廷平成16年7月12日平成15(あ)1815刑集 第58巻5号333頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において,通常の捜査方法のみでは犯罪の摘発が困難である場合に,機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象にして行われるおとり捜査は,刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容される。 2 大麻の有償譲渡を企図していると疑われる者を対象にして行われた本件おとり捜査(判文参…
参照法条刑訴法197条1項

科刑意見どおりに発付された略式命令につき検察官がした正式裁判の請求が適法とされた事例

最高裁判所第二小法廷平成16年2月16日平成13(あ)456刑集 第58巻2号124頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨検察官の科刑意見どおりに略式命令が発付された場合であっても,その後累犯前科を含む多数の同種前科の存在が判明するに至ったなど判示の事情の下では,検察官がした正式裁判の請求は適法である。
参照法条刑訴法461条,刑訴法465条1項

被告人のみの控訴に基づく控訴審において裁判所が第1審判決の理由中で無罪とされた事実を第1審に差し戻すことが職権の発動の限界を超え許されないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成16年2月16日平成14(あ)876刑集 第58巻2号133頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第1審判決が,起訴された事実を理由中で無罪とした上,同事実に含まれるとして,同事実と併合罪の関係にある事実を認定して有罪の判決をし,それに対し被告人のみが控訴したなど判示の訴訟経過の下では,控訴審裁判所が,刑訴法378条3号前段,後段に違反する違法があるとして第1審判決を破棄するに当たり,第1審判決の理由中で無罪とされ…
参照法条刑訴法378条3号,刑訴法392条2項,刑訴法400条

大韓民国の裁判所に起訴された共犯者の公判廷における供述を記載した同国の公判調書と刑訴法321条1項3号にいう「特に信用すべき情況」

最高裁判所第一小法廷平成15年11月26日平成14(あ)409刑集 第57巻10号1057頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨大韓民国の裁判所に起訴された共犯者が,自らの意思で任意に供述できるよう手続的保障がされている同国の法令にのっとり,同国の裁判官,検察官及び弁護人が在廷する公開の法廷において,質問に対し陳述を拒否することができる旨告げられた上でした供述を記載した同国の公判調書は,刑訴法321条1項3号にいう「特に信用すべき情況」の下にさ…
参照法条刑訴法321条1項3号

前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪であるが実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成する場合と前訴の確定判決による一事不再理効の範囲

最高裁判所第三小法廷平成15年10月7日平成14(あ)743刑集 第57巻9号1002頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪である場合には,両者が実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成するとしても,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。
参照法条刑訴法337条1号,刑法235条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条

1 刑法47条の法意 2 刑訴法495条2項2号にいう「上訴審において原判決が破棄されたとき」の意義

最高裁判所第一小法廷平成15年7月10日平成15(あ)60刑集 第57巻7号903頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑法47条は,併合罪のうち2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは,同条が定めるところに従って併合罪を構成する各罪全体に対する統一刑を処断刑として形成し,その範囲内で各罪全体に対する刑を決することとした規定であって,併合罪の構成単位である各罪について個別的な量刑判断を行うことは,法律上予定されていない。…
参照法条刑法21条,刑法47条,刑訴法495条2項

1 捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求権の有無 2 押収物の還付請求却下処分に対する準抗告に理由がある場合に準抗告裁判所がすべき裁判

最高裁判所第一小法廷平成15年6月30日平成15(し)42刑集 第57巻6号893頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 捜査機関による押収処分を受けた者は,刑訴法222条1項において準用する123条1項にいう「留置の必要がない」場合に当たることを理由として,当該捜査機関に対して押収物の還付を請求することができる。 2 捜査機関による押収処分を受けた者から,還付請求を却下した処分の取消しと自己への還付を求めて刑訴法430条2項の準抗告…
参照法条刑訴法123条1項,刑訴法222条1項,刑訴法426条2項,刑訴法430条2項,刑訴法432条

1 警察官がホテル客室に赴き宿泊客に対し職務質問を行った際ドアが閉められるのを防止した措置が適法とされた事例 2 警察官がホテル客室において宿泊客を制圧しながら所持品検査を行って発見した覚せい剤について証拠能力が肯定された事例

最高裁判所第一小法廷平成15年5月26日平成11(あ)1164刑集 第57巻5号620頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 警察官がホテルの責任者から料金不払や薬物使用の疑いがある宿泊客を退去させてほしい旨の要請を受けて,客室に赴き職務質問を行った際,宿泊客が料金の支払について何ら納得し得る説明をせず,制服姿の警察官に気付くといったん開けたドアを急に閉めて押さえたなど判示の事情の下においては,警察官がドアを押し開けその敷居上辺りに足を踏…
参照法条警察官職務執行法2条1項,刑訴法1条,刑訴法317条

1 逮捕当日に採取された被疑者の尿に関する鑑定書の証拠能力が逮捕手続に重大な違法があるとして否定された事例 2 捜索差押許可状の発付に当たり疎明資料とされた被疑者の尿に関する鑑定書が違法収集証拠として証拠能力を否定される場合において同許可状…

最高裁判所第二小法廷平成15年2月14日平成13(あ)1678刑集 第57巻2号121頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 被疑者の逮捕手続には,逮捕状の呈示がなく,逮捕状の緊急執行もされていない違法があり,これを糊塗するため,警察官が逮捕状に虚偽事項を記入し,公判廷において事実と反する証言をするなどの経緯全体に表れた警察官の態度(判文参照)を総合的に考慮すれば,本件逮捕手続の違法の程度は,令状主義の精神を没却するような重大なものであり…
参照法条刑訴法1条,刑訴法73条3項,刑訴法201条,刑訴法218条1項,刑訴法221条,刑訴法317条

捜索差押許可状の呈示に先立ってホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置が適法とされた事例

最高裁判所第一小法廷平成14年10月4日平成14(あ)413刑集 第56巻8号507頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり,捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことなど判示の事情の下では,適法である。
参照法条刑訴法110条,刑訴法111条1項,刑訴法222条1項

暴行態様,傷害の内容,死因等の表示が概括的であっても傷害致死罪の訴因の特定に欠けるところはないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成14年7月18日平成13(あ)318刑集 第56巻6号307頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「被告人は,単独又は甲及び乙と共謀の上,平成9年9月30日午後8時30分ころ,福岡市a区所在のビジネス旅館Ab階c号室において,被害者に対し,その頭部等に手段不明の暴行を加え,頭蓋冠,頭蓋底骨折等の傷害を負わせ,よって,そのころ,同所において,頭蓋冠,頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。」と…
参照法条刑法205条,刑訴法256条3項

1 殺害の日時・場所・方法の判示が概括的で実行行為者の判示が択一的であっても殺人罪の罪となるべき事実の判示として不十分とはいえないとされた事例 2 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に訴因変更手続を経ることなく訴因と異…

最高裁判所第三小法廷平成13年4月11日平成11(あ)423刑集 第55巻3号127頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 殺害の日時・場所・方法の判示が概括的なものである上,実行行為者の判示が「A又は被告人あるいはその両名」という択一的なものであっても,その事件が被告人とAの2名の共謀による犯行であるときには,殺人罪の罪となるべき事実の判示として不十分とはいえない。 2 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に,それ…
参照法条刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)60条,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)199条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法312条1項,刑訴法312条2項

国際捜査共助の要請に基づきアメリカ合衆国において作成された供述書が刑訴法三二一条一項三号の書面に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成12年10月31日平成11(あ)400刑集 第54巻8号735頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨日本国からアメリカ合衆国に対する捜査共助の要請に基づき、同国に在住する者が、黙秘権の告知を受け、同国の捜査官及び日本の検察官の質問に対して任意に供述し、公証人の面前において、偽証罪の制裁の下で、記載された供述内容が真実であることを言明する旨を記載するなどして作成した供述書は、刑訴法三二一条一項三号にいう特に信用すべき情…
参照法条刑訴法321条1項3号

勾留の裁判に対する異議申立て棄却決定が確定した後に右異議申立てと同一の論拠に基づき勾留を違法として取り消すことの可否

最高裁判所第二小法廷平成12年9月27日平成12(し)170刑集 第54巻7号710頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨勾留の裁判に対する異議申立てが棄却され、右棄却決定がこれに対する特別抗告も棄却されて確定した場合においては、右異議申立てと同一の論拠に基づいて勾留を違法として取り消すことはできない。
参照法条刑訴法87条1項,刑訴法420条1項,刑訴法420条2項,刑訴法428条2項

いわゆるMCT118DNA型鑑定の証拠としての許容性

最高裁判所第二小法廷平成12年7月17日平成8(あ)831刑集 第54巻6号550頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨科学的原理が理論的正確性を有するいわゆるMCT118DNA型鑑定は、技術を習得した者により科学的に信頼される方法で実施された場合には証拠として用いることが許される。
参照法条刑訴法317条,刑訴法318条,刑訴法321条4項

相手方の同意を得ないで相手方との会話を録音したテープの証拠能力が認められた事例

最高裁判所第二小法廷平成12年7月12日平成11(あ)96刑集 第54巻6号513頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨詐欺の被害を受けたと考えた者が、相手方の説明内容に不審を抱き、後日の証拠とするため、相手方との会話を録音することは、たとえそれが相手方の同意を得ないで行われたものであっても、違法ではなく、その録音テープの証拠能力は否定されない。
参照法条刑訴法317条

住居不定の被告人に対する上告趣意書差出最終日通知書等の付郵便送達が有効とされた事例

最高裁判所第一小法廷平成12年6月27日平成11(あ)1298刑集 第54巻5号445頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨住居不定で身柄を拘束されていない被告人が、控訴審において住居とは認め難い場所を送達場所とし自己を送達受取人として届け出る旨の書面を提出し、上告を申し立てながら、住居又は事務所を届け出ず、送達受取人を選任して届け出ることもなく、上告審あての弁護人選任回答書にも住居として右場所を記載したなど判示の事実関係の下においては、右…
参照法条刑訴法54条,刑訴規則62条1項,刑訴規則63条1項

第一審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の判決を言い渡した場合と控訴審における勾留

最高裁判所第一小法廷平成12年6月27日平成12(し)94刑集 第54巻5号461頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第一審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の判決を言い渡した場合であっても、控訴審裁判所は、記録等の調査により、右無罪判決の理由の検討を経た上でもなお罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があると認めるときは、勾留の理由があり、かつ、控訴審における適正、迅速な審理のためにも勾留の必要性があると認める限り、その審…
参照法条刑訴法60条1項,刑訴法345条

平成一一年法律第一三八号による刑訴法二二二条の二の追加前において検証許可状により電話傍受を行うことの適否

最高裁判所第三小法廷平成11年12月16日平成9(あ)636刑集 第53巻9号1327頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨平成一一年法律第一三八号による刑訴法二二二条の二の追加前において、捜査機関が電話の通話内容を通話当事者の同意を得ずに傍受することは、重大な犯罪に係る被疑事件について、罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、他の方法によってはその罪に関する重要か…
参照法条憲法13条,憲法21条2項,憲法31条,憲法35条,刑訴法128条,刑訴法129条,刑訴法197条1項,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項,刑訴法218条5項,刑訴法219条1項,刑訴法222条1項,刑訴法222条の2

一 確定判決が科刑上一罪として処断した一部の罪について無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見した場合と刑訴法四三五条六号の再審事由 二 確定判決が詳しく認定判示した犯行の態様の一部に事実誤認のあることが明らかになった場合と刑訴法四三五条六号の…

最高裁判所第三小法廷平成10年10月27日平成7(し)49刑集 第52巻7号363頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 確定判決が科刑上一罪として処断した一部の罪について無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見した場合は、その罪が最も重い罪ではないときであっても、刑訴法四三五条六号の再審事由に該当する。 二 確定判決が詳しく認定判示した犯行の態様の一部に事実誤認のあることが判明した場合であっても、そのことにより罪となるべき事実の存在に合…
参照法条刑訴法435条6号,刑法54条1項

フロッピーディスク等につき内容を確認せずに差し押さえることが許されるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成10年5月1日平成10(し)45刑集 第52巻4号275頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかを捜索差押えの現場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるなどの事情の下では、内容を確認せずに右フロッピーディスク等を差し押さえることが許される。
参照法条刑訴法99条1項,刑訴法218条1項,刑訴法222条1項

重度の聴覚障害及び言語を習得しなかったことによる二次的精神遅滞により精神的能力及び意思疎通能力に重い障害を負っている被告人が刑訴法三一四条一項にいう「心神喪失の状態」にはなかったと認められた事例

最高裁判所第一小法廷平成10年3月12日平成8(あ)204刑集 第52巻2号17頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が重度の聴覚障害及び言語を習得しなかったことによる二次的精神遅滞により精神的能力及び意思疎通能力に重い障害を負っている場合であっても、手話通訳を介することにより、刑事手続において自己の置かれている立場をある程度正確に理解して、自己の利益を防御するために相当に的確な状況判断をすることができ、個々の訴訟手続においても…
参照法条刑訴法314条1項

一 保護処分決定が抗告審で取り消された場合において差戻しを受けた家庭裁判所が当該事件を少年法二〇条により検察官に送致することの可否 二 保護処分決定が抗告審で取り消された事件について家庭裁判所が少年法二〇条により検察官送致決定をした場合に同…

最高裁判所第一小法廷平成9年9月18日平成8(あ)838刑集 第51巻8号571頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 家庭裁判所のした保護処分決定に対する少年側からの抗告に基づき、右決定が取り消された場合には、差戻しを受けた家庭裁判所が当該事件を少年法二〇条により検察官に送致することは許されない。 二 保護処分決定が抗告審で取り消された事件について、家庭裁判所が少年法二〇条により検察官送致決定をした場合、同法四五条五号に従って行わ…
参照法条少年法1条,少年法20条,少年法32条,少年法45条5号,刑訴法338条4号,刑訴法402条

勾留期間更新の裁判と刑訴規則六条にいう「訴訟手続」

最高裁判所第二小法廷平成9年9月16日平成9(し)160刑集 第51巻8号567頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨勾留期間更新の裁判は刑訴規則六条にいう「訴訟手続」には含まれない。
参照法条刑訴規則6条,刑訴法60条

上告棄却決定に対する異議申立てと刑訴法四一五条三項の準用の有無

最高裁判所第三小法廷平成9年5月27日平成9(す)113刑集 第51巻5号433頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨上告棄却決定に対する異議申立てには、刑訴法四一五条三項の期間延長の申立てに関する規定の準用はない。
参照法条刑訴法385条2項,刑訴法386条2項,刑訴法414条,刑訴法415条

尊属傷害致死罪の成立を認めた控訴審判決言渡し後に施行された刑法の一部を改正する法律(平成七年法律第九一号)によって尊属傷害致死罪が廃止されたときと刑訴法四一一条五号にいう「刑の変更」

最高裁判所第一小法廷平成8年11月28日平成6(あ)1021刑集 第50巻10号827頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの)二〇五条二項の尊属傷害致死罪の成立を認めた控訴審判決言渡し後に施行された刑法の一部を改正する法律(平成七年法律第九一号)によって尊属傷害致死罪が廃止されたときは、刑訴法四一一条五号にいう「刑の変更」に当たる。
参照法条刑法(平成7年法律91号による改正前のもの)6条,刑法205条,刑法(平成7年法律91号による改正前のもの)205条2項,刑法の一部を改正する法律(平成7年法律91号)附則2条1項,刑訴法411条5号

今状に基づく捜索の現場で警察官が被告人に暴行を加えた違法があってもそれ以前に発見されていた覚せい剤の証拠能力は否定されないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成8年10月29日平成6(あ)611刑集 第50巻9号683頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨今状に基づく捜索の現場で警察官が被告人に暴行を加えた違法があっても、その暴行の時点は証拠物たる覚せい剤発見の後であり、被告人の発言に触発されて行われたものであって、証拠物の発見を目的とし捜索に利用するために行われたものとは認められないなど判示の事実関係の下においては、右証拠物を警察官の違法行為の結果収集された証拠として…
参照法条憲法31条,憲法35条,刑訴法1条,刑訴法218条1項,刑訴法317条

一 刑訴法二一二条二項にいう「罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるとき」に当たるとされた事例 二 逮捕した被疑者を最寄りの場所に連行した上でその身体又は所持品について行われた捜索及び差押えと刑訴法二二〇条一項二号にいう「逮捕の現場…

最高裁判所第三小法廷平成8年1月29日平成5(あ)518刑集 第50巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 いわゆる内ゲバ事件が発生したとの無線情報を受けて逃走犯人を警戒、検索中の警察官らが、犯行終了の約一時間ないし一時間四〇分後に、犯行場所からいずれも約四キロメートル離れた各地点で、それぞれ被疑者らを発見し、その挙動や着衣の汚れ等を見て職務質問のため停止するよう求めたところ、いずれの被疑者も逃げ出した上、腕に籠手(こて…
参照法条刑訴法212条2項,刑訴法220条1項2号

死刑判決の言渡しを受けた被告人の控訴取下げが無効とされた事例

最高裁判所第二小法廷平成7年6月28日平成6(し)173刑集 第49巻6号785頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨死刑判決の言渡しを受けた被告人が、その判決に不服があるのに、死刑判決の衝撃及び公判審理の重圧に伴う精神的苦痛によって精神障害を生じ、その影響下において、苦痛から逃れることを目的として控訴を取り下げたなどの判示の事実関係の下においては、被告人の控訴取下げは、自己の権利を守る能力を著しく制限されていたものであって、無効であ…
参照法条刑訴法359条,刑訴法411条1号

一 退去強制によって出国した者の検察官に対する供述調書の証拠能力 二 退去強制によって出国した者の検察官に対する供述調書について証拠能力が認められた事例

最高裁判所第三小法廷平成7年6月20日平成2(あ)72刑集 第49巻6号741頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 退去強制によって出国した者の検察官に対する供述調書については、検察官において供述者がいずれ国外に退去させられ公判準備又は公判期日に供述することができなくなることを認識しながら殊更そのような事態を利用しようとした場合や、裁判官又は裁判所がその供述者について証人尋問の決定をしているにもかかわらず強制送還が行われた場合な…
参照法条刑訴法1条,刑訴法320条1項,刑訴法321条1項2号,憲法37条2項

採尿手続に違法があっても尿の鑑定書の証拠能力は肯定できるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成7年5月30日平成6(あ)894刑集 第49巻5号703頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨警察官が職務質問に付随して行う所持品検査として被疑者の運転していた自動車内を承諾なく調べた行為及びこれに基づき発見された覚せい剤の所持を被疑事実とする現行犯逮捕手続に違法があり、引き続いて行われた採尿手続も違法性を帯びるが、警察官は、停止の求めを無視して自動車で逃走するなどの不審な挙動を示した被疑者について、覚せい剤の…
参照法条憲法35条,警察官職務執行法2条1項,刑訴法1条,刑訴法218条1項,刑訴法221条,刑訴法317条

一 勾留に関する処分を行う裁判官が職権で移監命令を発することの可否 二 移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ての許否

最高裁判所第三小法廷平成7年4月12日平成7(し)40刑集 第49巻4号609頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができる。 二 裁判官に移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ては許されない。
参照法条刑訴法60条,刑訴法64条1項,刑訴法87条,刑訴法429条,刑訴規則80条

一 映画著作物のいわゆる独占的ビデオ化権者と著作権法(平成四年法律第一〇六号による改正前のもの)一一九条一号違反の罪の告訴権 二 著作権法(昭和六三年法律第八七号による改正前のもの)一一三条一項二号と著作権法(平成四年法律第一〇六号による改…

最高裁判所第三小法廷平成7年4月4日平成6(あ)582刑集 第49巻4号563頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 映画著作物の著作権者から独占的にビデオグラムの形態により複製・頒布・上映することを許諾されたいわゆる独占的ビデオ化権者も、著作権者の許諾を得ない者が当該著作物をビデオ化して著作権を侵害した場合には、刑訴法二三〇条にいう「犯罪により害を被った者」として、告訴権を有する。 二 著作権法(昭和六三年法律第八七号による改正…
参照法条著作権法(昭和63年法律87号による改正前のもの)113条1項2号,著作権法(平成4年法律106号による改正前のもの)119条1号,刑訴法230条

いわゆる必要的弁護事件の公判期日について刑訴法二八九条一項の適用がないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成7年3月27日平成5(あ)946刑集 第49巻3号525頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨いわゆる必要的弁護事件において、裁判所が公判期日への弁護人出頭確保のための方策を尽くしたにもかかわらず、被告人において弁護人在廷の公判審理ができない事態を生じさせるなど判示の事実関係の下においては、当該公判期日については、刑訴法二八九条一項の適用がなく、弁護人の立会いのないまま公判審理を行うことができる。
参照法条刑訴法289条1項

一 刑訴法三一四条一項にいう「心神喪失の状態」の意義 二 耳が聞こえず言葉も話せないことなどから被告人の訴訟能力に疑いがある場合と刑訴法三一四条一項本文による公判手続の停止

最高裁判所第三小法廷平成7年2月28日平成3(あ)1048刑集 第49巻2号481頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴法三一四条一項にいう「心神喪失の状態」とは、被告人としての重要な利害を弁別し、それに従って相当な防御をすることのできる能力、すなわち訴訟能力を欠くという状態をいう。 二 耳が聞こえず言葉も話せないことなどから被告人の訴訟能力に疑いがある場合(判文参照)には、医師の意見を聴くなどして審理を尽くし、訴訟能力がないと…
参照法条刑訴法314条1項,刑訴法314条4項

一 いわゆる強制採尿令状により採尿場所まで連行することの適否 二 任意同行を求めるため被疑者を職務質問の現場に長時間違法に留め置いたとしてもその後の強制採尿手続により得られた尿の鑑定書の証拠能力は否定されないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成6年9月16日平成6(あ)187刑集 第48巻6号420頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、いわゆる強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができる。 二 覚せい剤使用の嫌疑のある被疑者に対し、自動車のエンジンキーを取り上げるなどして運転を阻止した上、任意同行を求めて約六時…
参照法条刑訴法99条,刑訴法102条,刑訴法218条,刑訴法219条,刑訴法222条,刑訴法317条,警察官職務執行法2条1項,警察官職務執行法2条2項,警察官職務執行法2条3項,道路交通法67条3項

甲の居住する場所に対する捜索差押許可状によって、そこに同居する乙がその場で携帯していたボストンバッグについて捜索することの適否

最高裁判所第一小法廷平成6年9月8日平成5(あ)852刑集 第48巻6号263頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲の居住する場所に対する捜索差押許可状により、そこに同居する乙がその場で携帯していたボストンバッグについても捜索することができる。
参照法条刑訴法102条,刑訴法218条,刑訴法219条

勾留期間更新決定による勾留の期間の満了と右決定に関する抗告申立ての利益の消長

最高裁判所第三小法廷平成6年7月8日平成6(し)88刑集 第48巻5号47頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
参照法条刑訴法60条2項,刑訴法426条1項,刑訴法433条

少年補導員が刑法一九五条一項にいう警察の職務を補助する者に当たらないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成6年3月29日平成4(し)120刑集 第48巻3号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨大阪府警察本部通達に基づいて警察署長から委嘱を受け、非行少年等の早期発見・補導等を行う少年補導員(判文参照)は、警察署長から私人としての協力を依頼され、警察官と連携しつつ少年の補導等を行うものであって、警察の職務を補助する職務権限を何ら有するものではなく、刑法一九五条一項にいう警察の職務を補助する者に当たらない。
参照法条刑法195条1項,刑訴法262条1項

被疑事件につき刑訴法三一条二項によりいわゆる特別弁護人を選任することの可否

最高裁判所第三小法廷平成5年10月19日平成5(し)79刑集 第47巻8号67頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法三一条二項によりいわゆる特別弁護人を選任することができるのは公訴が提起された後に限られる。
参照法条刑訴法31条

勾留理由開示の手続においてされる裁判官の行為に対する準抗告申立ての適否

最高裁判所第二小法廷平成5年7月19日平成5(し)64刑集 第47巻7号3頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨勾留理由開示の手続においてされる裁判官の行為は、刑訴法四二九条一項二号にいう勾留に関する裁判には当たらず、これに対する準抗告の申立ては、不適法である
参照法条刑訴法83条,刑訴法84条,刑訴法429条2号

上告審の手続と刑訴法三一四条一項の準用の有無

最高裁判所第二小法廷平成5年5月31日平成3(あ)519刑集 第47巻6号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公判手続の停止に関する刑訴法三一四項の規定は上告審の手続に準用される。
参照法条刑訴法314条1項,刑訴法404条,刑訴法414条

国選弁護人を付された被告人が判決宣告後上訴申立てのため公判調書の閲覧を請求することの可否

最高裁判所第二小法廷平成4年12月14日平成4(し)110刑集 第46巻9号675頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨国選弁護人を付されて審理を受けた被告人が判決宣告後に上訴申立てのため必要であるとして公判調書の閲覧を請求した場合は、刑訴法四九条にいう「弁護人がないとき」に当たらず、右閲覧請求は許されない。
参照法条刑訴法32条2項,刑訴法49条

差押処分が取り消されたため司法警察員が当該差押物を返還する行為に対する準抗告申立ての適否

最高裁判所第二小法廷平成4年10月13日平成4(し)64刑集 第46巻7号611頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨差押処分が違法として取り消されたため、司法警察員が当該差押物を返還する行為は、刑訴法四三〇条二項の押収物の還付に関する処分には当たらず、これに対する準抗告の申立ては、不適法である。
参照法条刑訴法123条1項,刑訴法222条1項,刑訴法430条1項,刑訴法430条2項

一 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律により一個の宣誓に基づき同一の証人尋問手続においてされた数個の虚偽の陳述と同法六条一項違反の罪の罪数 二 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律六条一項違反の罪として一罪を構成する数個の…

最高裁判所第三小法廷平成4年9月18日昭和61(あ)1297刑集 第46巻6号355頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律により一個の宣誓に基づき同一の証人尋問手続においてされた数個の虚偽の陳述は、同法六条一項違反の罪として、一罪を構成する。 二 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律八条(昭和六三年法律第八九号による改正前のもの)による告発が、同法六条一項違反の罪として一罪を構成する…
参照法条議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律6条1項,議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律8条(昭和63年法律89号による改正前のもの),刑訴法238条

錯乱状態に陥り任意の尿の提出が期待できない状況において実施された強制採尿手続に違法はないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成3年7月16日平成3(あ)305刑集 第45巻6号201頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨錯乱状態に陥り任意の尿の提出が期待できない状況にあった被告人に対する本件強制採尿手続は、犯罪の捜査上真にやむを得ない場合に実施されたものであり、違法ではない。
参照法条刑訴法99条1項,刑訴法102条1項,刑訴法218条1項,刑訴法222条1項

家庭裁判所の捜査機関に対し補充捜査を促し又は求める権限

最高裁判所第一小法廷平成2年10月24日平成1(し)121刑集 第44巻7号639頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨家庭裁判所は、事実調査のため、捜査機関に対し、補充捜査を促し、又は少年法一六条の規定に基づいて補充捜査を求めることができる。
参照法条少年法8条,少年法16条,刑訴法189条2項,刑訴法191条1項

報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押処分が憲法二一条に違反しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成2年7月9日平成2(し)74刑集 第44巻5号421頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨報道機関の取材ビデオテープが軽視できない悪質な被疑事件の全容を解明する上で重要な証拠価値を持ち、他方、右テープが被疑者らの協力によりその犯行場面等を撮影収録したものであり、右テープを編集したものが放映済みであって、被疑者らにおいてその放映を了承していたなど判示の事実関係の下においては、右テープに対する捜査機関の差押処分…
参照法条憲法21条,憲法35条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項

司法警察員が捜索差押の際にした写真撮影によって得られたネガ及び写真の廃棄又は引渡を求める準抗告が不適法とされた事例

最高裁判所第二小法廷平成2年6月27日平成2(し)9刑集 第44巻4号385頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨司法警察員が申立人方居室内で捜索差押をするに際し捜索差押許可状記載の「差し押えるべき物」に該当しない印鑑、ポケット・ティッシュペーパー等について写真を撮影した場合において、右の写真撮影は、「押収に関する処分」には当たらず、その撮影によって得られたネガ及び写真の廃棄又は申立人への引渡を求める準抗告は、不適法である。
参照法条刑訴法218条1項,刑訴法430条1項,刑訴法430条2項

刑訴法一二三条一項による押収物還付の還付先

最高裁判所第三小法廷平成2年4月20日昭和62(し)15刑集 第44巻3号283頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法一二三条一項による押収物の還付は、被押収者が還付請求権を放棄するなどして原状を回復する必要がない場合又は被押収者に還付することができない場合のほかは、被押収者に対してすべきである。
参照法条刑訴法123条1項,刑訴法222条1項

被疑者に対する長時間の取調べが任意捜査として許容される限度を逸脱したものとまではいえないとされた事例(反対意見がある)

最高裁判所第三小法廷平成元年7月4日昭和60(あ)826刑集 第43巻7号581頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨午後一一時過ぎに任意同行の上翌日午後九時二五分ころまで続けられた被疑者に対する取調べは、特段の事情のない限り、容易に是認できないが、取調べが本人の積極的な承諾を得て参考人からの事情聴取として開始されていること、一応の自白があつた後も取調べが続けられたのは重大事犯の枢要部分に関する供述に虚偽が含まれていると判断されたため…
参照法条刑訴法197条1項,刑訴法198条1項

共犯者の供述に信用性を認めた原判決が破棄された事例

最高裁判所第一小法廷平成元年6月22日昭和57(あ)223刑集 第43巻6号427頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人、死体遺棄の公訴事実に関し、被告人と犯行とを結びつける唯一の直接証拠である共犯者の供述の信用性について幾多の疑問点があるのに、それらを解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
参照法条刑法190条,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文

被告人の控訴により差し戻された事件の第二次第一審裁判所が第一次第一審で否定された本位的訴因につき判決したことに違法はないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成元年5月1日昭和60(あ)249刑集 第43巻5号323頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨本位的訴因の犯罪事実も予備的訴因の犯罪事実も同一の被害者に対する同一の交通事故に係るものであり、過失の態様についての証拠関係上本位的訴因と予備的訴因とが構成された場合において、予備的訴因に沿う事実を認定した第一審判決に対し被告人のみが控訴して破棄差戻しになつたとき、第二次第一審裁判所が本位的訴因について審理判決すること…
参照法条刑訴法312条,刑訴法392条2項,刑訴法400条

報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押処分が憲法二一条に違反しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成元年1月30日昭和63(し)116刑集 第43巻1号19頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の本件差押処分は、右テープが重大な被疑事件の解明にほとんど不可欠であり、報道機関による右テープの放映自体には支障をきたさないなどの具体的事情の下においては、憲法二一条に違反しない。
参照法条憲法21条,憲法35条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項

国選弁護人に支給すべき報酬額の決定に対する不服申立の可否

最高裁判所第三小法廷昭和63年11月29日昭和62(し)70刑集 第42巻9号1389頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨国選弁護人に支給すべき報酬額の決定に対しては刑訴法に準拠する不服申立をすることは許されず、このように解しても憲法三二条、三七条三項に違反しない。
参照法条憲法32条,憲法37条3項,刑訴法38条2項,刑訴法419条,刑訴法428条,刑事訴訟費用等に関する法律8条2項

免許停止処分の理由となつた交通事故が刑事裁判で無罪となつた場合において右処分歴に基づく非反則者に対する公訴の提起が適法であるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和63年10月28日昭和63(あ)103刑集 第42巻8号1239頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨免許停止処分の理由となつた軽傷交通事故につきその後の刑事裁判で傷害の事実の証明がないとして無罪となつた場合においても、右処分が無効となるものではなく、右処分歴に基づき反則者に当たらないとしてなされた速度違反事件の公訴の提起は、適法である。
参照法条道路交通法125条1項,道路交通法130条,道路交通法(昭和61年法律63号による改正前のもの)118条1項2号,道路交通法(昭和61年法律63号による改正前のもの)125条2項2号,道路交通法(昭和61年法律63号による改正前のもの)別表…

覚せい剤使用罪につき使用時間、場所、方法に差異のある訴因間において公訴事実の同一性が認められた事例

最高裁判所第三小法廷昭和63年10月25日昭和61(あ)916刑集 第42巻8号1100頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨覚せい剤使用罪の当初の訴因と変更後の訴因との間において、使用時間、場所、方法に多少の差異があるとしても、いずれも被告人の提出した尿中から検出された覚せい剤の使用行為に関するものであつて、事実上の共通性があり、両立しない関係にあると認められる場合には、右両訴因は、公訴事実の同一性を失わない。
参照法条刑訴法256条,刑訴法312条,覚せい剤取締法19条

自動車運転者に注意義務を課す根拠となる具体的事実が訴因変更手続を経て撤回された場合につき右事実を認定することに違法はないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和63年10月24日昭和62(あ)1051刑集 第42巻8号1079頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自動車運転者に速度調節義務を課す根拠となる路面の滑りやすい原因と程度に関する具体的事実として、石灰の粉塵の路面への堆積凝固という事実が、公訴事実中に記載され、その後訴因変更手続を経て撤回されたとしても、被告人の防禦権が侵害されたとは認められない本件においては、右事実を認定することに違法はない。
参照法条刑法211条,刑訴法256条,刑訴法312条

所持品検査及び採尿手続に違法があつてもこれにより得られた証拠の証拠能力は否定されないとした事例

最高裁判所第二小法廷昭和63年9月16日昭和62(あ)944刑集 第42巻7号1051頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨警察官が被告人をその意思に反して警察署に連行したうえ、その状況を直接利用して所持品検査及び採尿を行つた場合に、その手続に違法があつても、連行の際に被告人が落とした紙包みの中味が覚せい剤であると判断され、その時点で被告人を逮捕することが許された本件事情の下では(判文参照)、その違法の程度はいまだ重大であるとはいえず、右手…
参照法条憲法35条,警察官職務執行法2条1項ないし3項,刑訴法1条,刑訴法218条1項,刑訴法221条

所得秘匿工作をしたうえ逋脱の意思で会社臨時特別税確定申告書を税務署長に提出しなかつた場合における会社臨時特別税法二二条一項にいう「偽りその他不正の行為」とその判示方法

最高裁判所第三小法廷昭和63年9月2日昭和60(あ)1528刑集 第42巻7号975頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨所得秘匿工作をしたうえ逋脱の意思で会社臨時特別税確定申告書を税務署長に提出しなかつた場合、会社臨時特別税法二二条一項にいう「偽りその他不正の行為」に当たるのは、所得秘匿工作を伴う不申告の行為であり、また、その判示に当たつては、右の行為があつたことを摘示すれば足り、所得秘匿工作の具体的な日時、場所、方法などについては摘示…
参照法条会社臨時特別税法22条1項,会社臨時特別税法27条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項

判決宣告期日の直前に国選弁護人選任の請求がされた場合にその選任をしないまま判決の宣告をしたことが憲法三一条、三七条三項に違反しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和63年7月8日昭和62(あ)508刑集 第42巻6号841頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が判決宣告期日の二日前に私選弁護人全員を解任し、その翌日国選弁護人選任の請求をした場合において、被告人がその時期に私選弁護人を解任するのもやむを得ないとする事情がなく、裁判所が判決宣告期日に間に合うように国選弁護人を選任するのが困難であつたときは、裁判所が国選弁護人を選任しないまま判決の宣告をしても、憲法三一条、…
参照法条憲法31条,憲法37条3項,刑訴法36条

海軍軍法会議が言い渡した有罪の確定判決に対する再審請求の許否

最高裁判所第二小法廷昭和63年4月12日昭和61(す)44刑集 第42巻4号745頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨海軍軍法会議が言い渡した有罪の確定判決に対しては、旧刑訴法四八五条による再審の請求が許される。
参照法条旧刑訴法485条,陸軍軍法会議法、海軍軍法会議法及第1復員裁判所及第2復員裁判所令ヲ廃止スル勅令(昭和21年5月17日勅令278号・昭和22年5月17日政令52号による改正前のもの),ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関す…

赤色警光灯をつけずに最高速度を超過して追尾したことによつて得られた速度測定結果の証拠能力

最高裁判所第一小法廷昭和63年3月17日昭和61(あ)390刑集 第42巻3号403頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨パトカーが赤色警光灯をつけずに最高速度を超過して速度違反車両を追尾した場合においても、警察官に速度違反の罪の成立することがあるのは格別、追尾によつて得られた速度測定結果を内容とする証拠の証拠能力の否定に結びつくような性質の違法はない。
参照法条刑訴法1条,刑訴法197条1項,道路交通法22条1項,道路交通法41条2項,道路交通法施行令14条

一 迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例 二 胎児に病変を発生させ出生後死亡させた場合における業務上過失致死罪の成否 三 刑訴法二五三条一項にいう「犯罪行為」の意義 四 被害者が受傷後期間を…

最高裁判所第三小法廷昭和63年2月29日昭和57(あ)1555刑集 第42巻2号314頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。 二 業務上の過失により、胎児に病変を発生させ、これに起因して出…
参照法条憲法37条1項,刑法211条前段(昭和43年法律61号による改正前のもの),刑法54条1項,刑訴法250条,刑訴法253条1項

一 審判の請求を受けない事件について判決した場合に当たらないとされた事例 二 被告人らの自白のとおりに有罪とした原判決の事実認定に不合理な点があるとして破棄された事例

最高裁判所第二小法廷昭和63年1月29日昭和59(あ)1551刑集 第42巻1号38頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 甲、乙に対する起訴状の罪名及び罰条は殺人のみであつても、逮捕監禁の事実が殺人の実行行為の一部を組成するものとして公訴事実中に記載されていると認められるときは(判文参照)、たとえ右逮捕監禁の事実が殺人とは併合罪関係に立つものと解すべきであつたとしても、裁判所が甲につき殺人の実行行為の一部として右逮捕監禁の事実を認定し…
参照法条刑法45条,刑法199条,刑法220条1項,刑訴法256条2項,刑訴法256条4項,刑訴法317条,刑訴法378条3号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文

一 受交付金員が起訴外の供与に費消された場合と公職選挙法二二四条による追徴 二 受交付金員が選挙運動の正当費用に費消された場合と公職選挙法二二四条による追徴 三 上告審において原判決中没収追徴の部分のみが破棄された事例

最高裁判所第二小法廷昭和62年12月11日昭和59(あ)1005刑集 第41巻8号352頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 公職選挙法二二一条一項五号所定の受交付者が、その交付を受けた趣旨に従つて受交付金員の一部を他に供与したときは、その供与が起訴されていなくても、同法二二四条後段による受交付者からの追徴額の算定にあたり、右供与にかかる金額を控除すべきである。 二 公職選挙法二二一条一項五号所定の受交付者が、受交付金員の一部を後援会等の…
参照法条公職選挙法221条1項5号,公職選挙法224条,刑訴法357条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号

誤つて公訴事実の同一性のない訴因の追加及び立証がされた場合の事後措置

最高裁判所第一小法廷昭和62年12月3日昭和62(あ)114刑集 第41巻8号323頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨誤つて公訴事実の同一性のない訴因の追加を許可し、その訴因についての証拠を取り調べた第一審裁判所は、右誤りを是正するために訴因追加の許可及び証拠の採用を各取消決定をすることができる。
参照法条刑訴法294条,刑訴法298条,刑訴法312条

刑訴法三八二条の二にいう「やむを得ない事由」に当たらないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和62年10月30日昭和62(あ)406刑集 第41巻7号309頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨弁護人が控訴審で新たな証拠の取調べを請求するにあたり、その事情として、被告人が第一審では量刑上有利に参酌してもらつた方が得策であると考えて事実を認めていたところ懲役刑の実刑判決の言渡しを受けたため事実を争うに至つた旨主張したとしても、そのような事情は刑訴法三八二条の二にいう「やむを得ない事由」に当たらない。
参照法条刑訴法382条の2,刑訴法393条1項

警察犬による臭気選別の結果が有罪認定の用に供しうるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和62年3月3日昭和61(あ)714刑集 第41巻2号60頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨警察犬による本件臭気選別の結果は、右選別につき専門的な知識と経験を有する指導手が、臭気選別能力が優れ選別時においても右能力のよく保持されている警察犬を使用して実施したものであり、かつ、臭気の採取、保管の過程や選別の方法に不適切な点がないから、これを有罪認定の用に供することができる。
参照法条刑訴法317条,刑訴法318条,刑訴法321条3項

遊技機を設置して行う常習賭博罪の罪となるべき事実の摘示の程度

最高裁判所第三小法廷昭和61年10月28日昭和60(あ)1263刑集 第40巻6号509頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨多数の賭博遊技機を設置した遊技場の経営者が、不特定多数の遊技客との賭博を反覆継続した事案につき、右遊技場の営業継続期間の全般にわたつて行われた各賭博行為を一個の常習賭博罪と認定する場合には、右遊技場の所在地、営業継続期間、遊技機の種類・台数、賭博の態様を摘示したうえ、「右期間中、常習として、甲ほか不特定多数の賭客を相手…
参照法条刑法186条1項,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項

高等裁判所がした控訴取下による訴訟終了宣言の決定に対する不服申立の可否

最高裁判所第三小法廷昭和61年6月27日昭和61(し)44刑集 第40巻4号389頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨高等裁判所がした控訴取下による訴訟終了宣言の決定に対しては、これに不服のある者は、三日以内にその高等裁判所に異議の申立をすることができる。
参照法条刑訴法359条,刑訴法422条,刑訴法428条2項,刑訴法428条3項,刑訴法433条1項

尿の提出及び押収手続は違法性を帯びるが尿についての鑑定書の証拠能力は否定されないとした事例

最高裁判所第二小法廷昭和61年4月25日昭和60(あ)427刑集 第40巻3号215頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨覚せい剤使用事犯の捜査に当たり、警察官が被疑者宅寝室内に承諾なしに立ち入り、また明確な承諾のないまま同人を警察署に任意同行したうえ、退去の申し出にも応ぜず同署に留め置くなど、任意捜査の域を逸脱した一連の手続に引き続いて尿の提出、押収が行われた場合には、その採尿手続は違法性を帯びるものと評価せざるを得ないが、被疑者に対し…
参照法条憲法31条,憲法35条,刑訴法1条,刑訴法218条1項,刑訴法221条

一 刑訴法三二三条二号にいう「業務の通常の過程において作成された書面」に当たることの判断資料 二 刑訴法三二三条二号にいう「業務の通常の過程において作成された書面」に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和61年3月3日昭和58(あ)1458刑集 第40巻2号175頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴法三二三条二号にいう「業務の通常の過程において作成された書面」に当たるか否かを判断するについては、当該書面自体の形状、内容だけでなく、その作成者の証言等も資料とすることができる。 二 漁船団の取決めに基づき船団所属の各漁船の乗組員から定時に発せられる操業位置等についての無線通信を、船団所属の一漁船の通信業務担当…
参照法条刑訴法323条2号

租税逋脱犯における逋脱所得金額の認定に当たりいわゆる財産増減法を用いることの適否

最高裁判所第二小法廷昭和60年11月25日昭和57(あ)1563刑集 第39巻7号467頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨租税逋脱犯における逋脱所得金額を認定するに当たり、一定期間の期首と期末の財産状態を比較することを基本にしてその期間の利益すなわち所得の金額を算定するいわゆる財産増減法を用いることも許される。
参照法条法人税法22条,法人税法159条1項,刑訴法317条

裁定合議決定の取消決定に対する不服申立の許否

最高裁判所第三小法廷昭和60年2月8日昭和59(し)126刑集 第39巻1号15頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判所法二六条二項一号の決定を取り消す決定は、訴訟法に準拠する不服申立の対象とならない。
参照法条裁判所法26条2項1号,刑訴法419条,刑訴法420条1項,刑訴法433条1項

一 現場写真の証拠能力 二 複数の集団による暴行脅迫と騒擾罪における共同意思 三 騒擾罪にいわゆる「一地方」における公共の平和静謐に対する侵害の有無の判断基準

最高裁判所第二小法廷昭和59年12月21日昭和57(あ)1504刑集 第38巻12号3071頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 犯行の状況等を撮影したいわゆる現場写真は、非供述証拠に属し、当該写真自体又は他の証拠により事件との関連性を認めうる限り証拠能力を具備する。 二 同一地域内において、構成を異にする複数の集団により時間、場所を異にしてそれぞれ暴行脅迫が行われた場合であつても、先行の集団による暴行脅迫に触発、刺激され、右暴行脅迫の事実を…
参照法条刑訴法320条1項,刑訴法321条3項,刑法106条

短期一年以上の懲役刑のほか選択刑として罰金刑が法定されている罪と刑訴法八九条一号

最高裁判所第二小法廷昭和59年12月10日昭和59(し)122刑集 第38巻12号3021頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨短期一年以上の懲役刑のほか選択刑として罰金刑が法定されている罪に係る事件の被告人について、地方裁判所に公訴が提起されたときは、刑訴法八九条一号の適用がある。
参照法条職業安定法63条,刑訴法89条1号

起訴前の勾留の裁判に対する準抗告と起訴後におけるその利益

最高裁判所第一小法廷昭和59年11月20日昭和59(し)115刑集 第38巻11号2984頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨起訴前の勾留の裁判に対する準抗告申立の利益は、起訴後は失われる。
参照法条刑訴法60条,刑訴法207条,刑訴法429条1項2号,刑訴法433条

控訴審における新たな証拠の取調と刑訴法三九三条一項本文

最高裁判所第一小法廷昭和59年9月20日昭和58(あ)1436刑集 第38巻9号2810頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨控訴裁判所は、第一審判決以前に存在した事実に関する限り、第一審で取調ないし取調請求されていない新たな証拠につき、刑訴法三九三条一項但書の要件を欠く場合であつても、第一審判決の当否を判断するため必要と認めるときは、同項本文に基づき、裁量によつてその取調をすることができる。
参照法条刑訴法382条の2,刑訴法393条1項

殺人教唆等の公訴事実につき被教唆者の供述の信用性を肯定しアリバイの成立を否定した原審の判断が支持し難いとして破棄された事例

最高裁判所第三小法廷昭和59年4月24日昭和56(あ)897刑集 第38巻6号2196頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人教唆等の公訴事実についての唯一の直接証拠である被教唆者の検察官に対する供述調書の証拠価値に疑問を容れる余地がないとはいえず、被告人のアリバイの成否について幾多の疑問が残されているのに(判文参照)、被告人を有罪とした原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
参照法条刑法61条1項,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文

忌避申立簡易却下の裁判と不服申立の利益

最高裁判所第一小法廷昭和59年3月29日昭和59(し)29刑集 第38巻5号2095頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑の執行猶予の言渡取消請求事件につき忌避された裁判官が忌避の申立を簡易却下した場合において、同裁判官が、刑の執行猶予の言渡取消決定をし、これに対する即時抗告につき意見書等を抗告裁判所に送付したときは、右簡易却下の裁判に対する不服申立の利益は失われる。
参照法条刑訴法21条,刑訴法24条,刑訴法25条,刑訴法429条1項1号,刑訴法433条

一 被疑者を所轄警察署近辺のホテル等に宿泊させて取調べを続行したことが任意捜査の方法として違法とまではいえないとされた事例 二 伝聞証言につき異議の申立がなかつた場合の証拠能力

最高裁判所第二小法廷昭和59年2月29日昭和57(あ)301刑集 第38巻3号479頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被疑者につき帰宅できない特段の事情もないのに、同人を四夜にわたり所轄警察署近辺のホテル等に宿泊させるなどした上、連日、同警察署に出頭させ、午前中から夜間に至るまで長時間取調べをすることは、任意捜査の方法として必ずしも妥当とはいい難いが、同人が右のような宿泊を伴う取調べに任意に応じており、事案の性質上速やかに同人から…
参照法条刑訴法197条1項,刑訴法198条1項,刑訴法309条,刑訴法320条1項,刑訴法324条,刑訴法326条1項,刑訴規則205条,刑訴規則205条の2

一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)八五条三号の規定と憲法一四条一項、三一条、三二条 二 独禁法八五条三号の規定と憲法七七条一項 三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承を得させることとする行政指導…

最高裁判所第二小法廷昭和59年2月24日昭和55(あ)2153刑集 第38巻4号1287頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた同法八五条三号の規定は、憲法一四条一項、三一条、三二条に違反しない。 二 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権を東京高等裁判所に専属させた同法八五条三号の規定は、憲法七七条一項に違反しない。 三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承…
参照法条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)1条,独禁法2条6項,独禁法8条1項,独禁法33条,独禁法85条3号,独禁法89条1項(昭和52年法律第63号による改正前のもの),独禁法95条1項(昭和52年法律第63…

歩行中の集団を停止させた警察官の行為が犯人検挙のための捜査活動として適法な職務執行にあたるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和59年2月13日昭和55(あ)1104刑集 第38巻3号295頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨集団の一員が、警備中の警察官に暴行を加えてその職務の執行を妨害するとともに傷害を負わせ、右集団にまぎれ込んだ場合において、右犯人を探索して検挙するため、歩行中の右集団を六、七分間にわたり停止させた本件警察官の行為は、当時、犯罪発生後間がなく、かつ、被害警察官が犯人の人相特徴を明確に記憶しているなど犯人検挙の可能性がきわ…
参照法条刑法95条1項,刑訴法197条1項,警察官職務執行法2条1項

一 交付された金銭等が交付者との共謀の趣旨に従い受交付者から第三者に供与された疑いがある場合と交付罪による起訴の可否 二 交付された金銭等が交付者との共謀の趣旨に従い受交付者から第三者に供与された疑いがある場合において交付罪で起訴された者に…

最高裁判所第一小法廷昭和59年1月27日昭和58(あ)909刑集 第38巻1号136頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 甲が、選挙運動者たる乙に対し、公職選挙法二二一条一項一号所定の目的をもつて金銭等を交付したと認められるときは、たとえ、甲乙間で右金銭等を第三者に供与することの共謀があり乙が右共謀の趣旨に従いこれを第三者に供与した疑いがあつたとしても、検察官は、立証の難易等諸般の事情を考慮して、甲を交付罪のみで起訴することが許される…
参照法条公職選挙法221条1項1号,公職選挙法221条1項5号,刑訴法247条,刑訴法248条,刑訴法312条,刑訴法378条3号

訴訟法的事実につき自由な証明で足りるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和58年12月19日昭和57(あ)1144刑集 第37巻10号1753頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨電報電話局長に対し逆探知資料の送付嘱託を行うことの当否等を判断するため、右資料の存否という訴訟法的事実を認定するには、いわゆる自由な証明で足りる。
参照法条刑訴法317条,刑訴法320条,刑訴法323条3号

控訴審における謀議の認定手続に不意打ちの違法があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和58年12月13日昭和55(あ)1284刑集 第37巻10号1581頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨三月一二日から一四日までの謀議への関与を理由にハイジヤツクの共謀共同正犯として起訴された被告人につき、一三日及び一四日の謀議とりわけ一三日夜の第一次謀議への関与を重視してその刑責を肯定した第一審判決に対し、被告人のみが控訴を申し立てた事案において、右第一次謀議への関与の有無がハイジヤツクに関する謀議の成否の判断上とりわ…
参照法条刑法60条,刑訴法294条,刑訴法308条,刑訴法317条,刑訴法404条

併合罪の各一部につき第一審控訴審及び上告審において順次無罪の判決があつた場合と費用の補償請求

最高裁判所第一小法廷昭和58年11月7日昭和58(ひ)1刑集 第37巻9号1353頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨併合罪として起訴された事実上、甲事実につき第一審において、乙事実につき控訴審において、丙事実につき上告審において順次無罪の判決があり、上告審が丙事実の裁判に要した費用を補償する場合において、甲、乙各事実についての無罪判決の各確定後刑訴法一八八条の三第二項所定の期間が経過しているときは、右各事実の裁判に要した費用の補償を…
参照法条刑訴法188条の3第1項,刑訴法188条の3第2項

電子複写機によつて複写されたコピーによる上告趣意書が有効とされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和58年10月28日昭和58(あ)640刑集 第37巻8号1332頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨電子複写機によつて複写されたコピーであつて作成名義人の署名押印のない上告趣意書は、刑訴規定六〇条の規定に違背するが、作成名義人の署名押印も複写されており、これを封入した郵便の封筒には、作成名義人によるものと認められる氏名の記載があつて、権限のない者がほしいままに作成し提出したなどの特段の事情はうかがわれず、右作成名義人…
参照法条刑訴法376条,刑訴法407条,刑訴法414条,刑訴規則60条,刑訴規則240条,刑訴規則266条

土地管轄についての瑕疵が治癒されたと認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和58年10月13日昭和56(あ)1398刑集 第37巻8号1139頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法一九条により移送を受けた被告事件について、その当時土地管轄があることが明らかでなかつたとしても、その後管轄違の申立がされるまでの間に土地管轄が具備されるに至つた場合には(判文参照)、土地管轄についての右瑕疵は治癒される。
参照法条刑訴法2条,刑訴法6条,刑訴法9条,刑訴法19条,刑訴法329条,刑訴法331条,刑訴法378条1号,刑訴法398条,刑訴法399条,刑訴法412条

刑訴法一八八条の二第一項により費用の補償をすべき場合

最高裁判所第一小法廷昭和58年9月27日昭和58(し)39刑集 第37巻7号1092頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法一八八条の二第一項は、費用の補償をすべき場合を無罪の判決が確定したときに限り、公訴棄却の判決が確定したときを含まない趣旨である。
参照法条刑訴法188条の2第1項,刑訴法336条,刑訴法338条

訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務がないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和58年9月6日昭和55(あ)629刑集 第37巻7号930頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第一審において被告人らが無罪とされた公訴事実が警察官一名に対する傷害致死を含む重大な罪にかかるものであり、また、同事実に関する現場共謀の訴因を事前共謀の訴因に変更することにより同事実につき被告人らに対し共謀共同正犯としての罪責を問いうる余地がある場合であつても、検察官が、約八年半に及ぶ第一審の審理の全課程を通じ一貫して…
参照法条刑訴法312条,刑訴規則208条,刑法60条,刑法205条1項

一 違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された逮捕状による逮捕中の被疑者に対する勾留質問調書の証拠能力 二 違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された勾留状による勾留中の被疑者に対する消防職員の質問調書の証拠能力 三 消防署長等が当該消…

最高裁判所第三小法廷昭和58年7月12日昭和55(あ)790刑集 第37巻6号791頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 逮捕中の被疑者に対する勾留質問調書は、その逮捕が違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された逮捕状によるものであつても、他に特段の事情のない限り、証拠能力を否定されるものではない。 二 勾留中の被疑者に対する消防職員の消防法三二条一項による質問調書はその勾留が違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された勾留状による…
参照法条刑訴法61条,刑訴法199条,刑訴法207条,刑訴法319条1項,刑訴法322条1項,消防法31条,消防法32条1項,消防法35条1項,消防法35条の2

一 死刑選択の許される基準 二 無期懲役を言い渡した控訴審判決が検察官の上告により量刑不当として破棄された事例

最高裁判所第二小法廷昭和58年7月8日昭和56(あ)1505刑集 第37巻6号609頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であつて、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと…
参照法条刑法9条,刑法199条,刑法240条,刑訴法411条2号

すでに公判期日において証人として尋問された者を同一事項につき検察官が取り調べて作成した供述調書と刑訴法三二一条一項二号にいう「前の供述」

最高裁判所第二小法廷昭和58年6月30日昭和57(あ)1777刑集 第37巻5号592頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨すでに公判期日において証人として尋問された者を同一事項につき検察官が取り調べて作成した供述調書であつても、その後の公判準備若しくは公判期日において、その者が右供述調書の内容と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をした以上、刑訴法三二一条一項二号にいう「前の供述」の要件を欠くものではない。
参照法条刑訴法321条1項2号

破棄差戻しの原判決が憲法三七条一項の迅速裁判の保障条項に反しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和58年5月27日昭和57(あ)752刑集 第37巻4号474頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人の実行行為者が被告人であるのか、現場に同道していた甲であるのか等が争われた事案につき、第一審において約八年を費して詳細な事実審理を行つており、原審においても約二年を費して検察官申請の証人のすべてを取り調べる等していて、これを第一審に差し戻しても、実質的に意味のある新証拠の提出される蓋然性が必ずしも大きくないときは、…
参照法条刑訴法382条,刑訴法400条,憲法37条1項

殺人未遂罪の罪となるべき事実中の犯罪行為の判示として不十分とはいえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和58年5月6日昭和57(あ)1807刑集 第37巻4号375頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「未必の殺意をもつて、被害者の身体を、有形力を行使して、被告人方屋上の高さ約〇・八メートルの転落防護壁の手摺り越しに約七・三メートル下方のコンクリート舗装の路上に落下させて路面に激突させた」旨判示し、被害者を屋上から落下させた手段・方法を右以上に具体的に摘示していない場合でも、右判示は、殺人未遂罪の罪となるべき事実中の…
参照法条刑法199条,刑法203条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法378条4号

一 公判不提出の押収物について還付等の処分をすべき検察官 二 検察官の保管にかかる公判不提出の押収物に関する還付等の処分に対する準抗告の管轄裁判所

最高裁判所第三小法廷昭和58年4月28日昭和58(す)20刑集 第37巻3号369頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 公判不提出の押収物については、押収の基礎となつた被告事件がどの裁判に係属している場合であつても、特段の事情のない限り、現にその物の押収を継続している検察庁の検察官が還付等の処分をすべきである。 二 検察官の保管にかかる公判不提出の押収物に関する還付等の処分に対する刑訴法四三〇条一項所定の準抗告は、右押収の起訴となつ…
参照法条刑訴法123条,刑訴法124条,刑訴法222条1項,刑訴法430条1項,刑訴法431条

刑訴法四二三条二項により更正の決定をすべきであるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和57年12月14日昭和57(し)97刑集 第36巻12号1015頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨申立提起期間内にされた異議の申立を右期間経過後にされた不敵法なものとして誤つて棄却決定をした原裁判所は、同決定に対する特別抗告の申立があつたときは、刑訴法四二三条二項により右決定を更正して新たな決定をすべきである。
参照法条刑訴法423条2項,刑訴法428条3項,刑訴法434条

逮捕に関する裁判と刑訴法四二九条一項所定の準抗告 逮捕に関する裁判と刑訴法四二九条一項所定の準抗告

最高裁判所第一小法廷昭和57年8月27日昭和57(し)101刑集 第36巻6号726頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨逮捕に関する裁判は、刑訴法四二九条一項各号所定の準抗告の対象となる裁判に含まれない。
参照法条刑訴法199条,刑訴法429条1項

違法な取調のもとで作成中の供述録取書と刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」

最高裁判所第一小法廷昭和57年6月24日昭和54(あ)1647刑集 第36巻5号646頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨違法な取調のもとに作成されつつあつた供述録取書であつても、既に文書としての意味、内容を備えるに至つているものであるときは、刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
参照法条刑法258条,刑訴法198条,刑訴法223条

上告棄却決定に対する異議申立と上訴権回復に関する規定の準用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和57年4月7日昭和57(す)19刑集 第36巻4号556頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨上告棄却決定に対する異議申立については、上訴権回復に関する規定の準用がある。
参照法条刑訴法362条,刑訴法363条,刑訴法385条2項,刑訴法386条2項,刑訴法414条

被告人の自白及びこれを裏付けるべき重要な客観的証拠等の証拠価値に疑問があるとして原判決が破棄された事例

最高裁判所第一小法廷昭和57年1月28日昭和55(あ)677刑集 第36巻1号67頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人を犯行と結びつけるための唯一の直接証拠である被告人の捜査段階における自白及びこれを裏付けるべき重要な客観的証拠等について、その証拠価値をめぐる幾多の疑問があるのに(判文参照)、これらの疑問点を解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
参照法条刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文

一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判 二 刑法二六条三号による刑の執行猶予の取消ができないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和56年11月25日昭和56(し)113刑集 第35巻8号884頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原原決定を対象とすべきである。 二 高裁で言い渡された執行猶予の判決に対する上告申立期間の満了までに五日を残して、被告人の控訴取下により別件につき地裁で言い渡された懲役刑(実刑)の判決の確定したことが地方検察…
参照法条刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条,刑訴法349条,憲法39条

刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判

最高裁判所第一小法廷昭和56年10月2日昭和56(し)113刑集 第35巻7号683頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原決定を対象とすべきである。
参照法条刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条

刑訴法九六条三項による保釈保証金没取請求事件につき在監者が特別抗告を申し立てる場合と同法三六六条一項の準用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和56年9月22日昭和56(し)86刑集 第35巻6号675頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、同法九六条三項による保釈保証金没取請求事件につき在監者が特別抗告を申し立てる場合に準用される。
参照法条刑訴法96条3項,刑訴法366条1項,刑訴法433条

原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例 (反対意見がある)

最高裁判所第一小法廷昭和56年7月16日昭和56(あ)654刑集 第35巻5号557頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決の違法が、現実に存在しない未決勾留日数を裁量により本刑に算入した点のみにある場合においては、原判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項

一 訴因の特定が十分でない起訴状による公訴提起と公訴時効停止の効力 二 二個の事実のいずれに対する起訴であるのか一見まぎらわしく訴因の特定が十分でない起訴状による公訴提起が一方の事実に関する公訴時効停止の効力を有するとされた事例 三 再起訴…

最高裁判所第三小法廷昭和56年7月14日昭和55(あ)1499刑集 第35巻5号497頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 公訴事実の記載に不備があつて、実体審理を継続するのに十分な程度に訴因が特定していない起訴状による公訴提起であつても、それが特定の事実について検察官が訴追意思を表明したものと認められるときは、右事実と公訴事実を同一にする範囲において、公訴時効の進行を停止する効力を有する。 二 建物の所有名義を偽つて不実の登記をさせた…
参照法条刑訴法254条1項,刑訴法256条3項,刑訴法338条4号

被告人と対向的な共犯関係に立つ疑いのある者の一部が警察段階の捜査において不当に有利な取扱いを受けた場合と被告人自身に対する捜査手続の合憲性

最高裁判所第二小法廷昭和56年6月26日昭和55(あ)353刑集 第35巻4号426頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人自身に対する警察の捜査が刑訴法にのつとり適正に行われており、被告人が、その思想、信条、社会的身分又は門地などを理由に、一般の場合に比べ捜査上不当に不利益に取り扱われたものでないときは、かりに、当該被疑事実につき被告人と対向的な共犯関係に立つ疑いのある者の一部が、警察段階の捜査において不当に有利な取扱いを受け、事実…
参照法条憲法14条,刑訴法338条4号

覚せい剤使用罪における訴因の特定

最高裁判所第一小法廷昭和56年4月25日昭和55(あ)1593刑集 第35巻3号116頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨覚せい剤使用の日時を「昭和五四年九月二六日ころから同年一〇月三日までの間」、その場所を「広島県a郡b町内及びその周辺」、その使用量、使用方法を「若干量を自己の身体に注射又は服用して施用し」との程度に表示してある公訴事実の記載は、検察官において起訴当時の証拠に基づきできる限り特定したものである以上、覚せい剤使用罪の訴因の…
参照法条刑訴法256条3項,覚せい剤取締法19条

一 検察官の訴追裁量権の逸脱と公訴提起の効力 二 公訴の提訴を無効ならしめるような訴追裁量権の逸脱があるとはいえないとされた事例 三 刑訴法四一一条にあたらないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和55年12月17日昭和52(あ)1353刑集 第34巻7号672頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 検察官の訴追裁量権の逸脱が公訴の提起を無効ならしめる場合がありうるが、それはたとえば公訴の提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られる。 二 本件公訴提起が著しく不当であつたとする原審の認定判断(原判文参照)はただちに肯認することができず、まして、本件の事態が公訴提起の無効を結果するような極限的な場合に…
参照法条刑訴法1条,刑訴法248条,刑訴法411条1号,刑訴規則1条2項,検察庁法4条

未確定第一審判決におけるわいせつ性についての判断内容の捜査機関に対する拘束力

最高裁判所第一小法廷昭和55年12月17日昭和55(し)9刑集 第34巻7号721頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨ある出版物が刑法一七五条にいうわいせつ文書図画にあたらないとした未確定第一審判決における判断内容は、法律上当然に捜査機関を拘束するものではない。
参照法条刑法175条,刑訴法218条

一 刑訴法四〇二条における刑の軽重の比較と刑の執行猶予の言渡の有無 二 刑訴法四〇二条に違反しないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和55年12月4日昭和53(あ)1200刑集 第34巻7号499頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴法四〇二条における刑の軽重の比較にあたつては、刑の執行猶予の言渡の有無をも考慮すべきである。 二 第一審が被告人に対し懲役一年の刑を言い渡したのを、第二審が懲役一年六月、三年間執行猶予、保護観察付の刑に変更しても、刑訴法四〇二条に違反しない。
参照法条刑訴法402条

刑訴法一七九条に基づく押収の請求を却下する裁判と同法四二九条一項二号にいう「押収に関する裁判」

最高裁判所第二小法廷昭和55年11月18日昭和55(し)138刑集 第34巻6号421頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法一七九条に基づく押収の請求を却下する裁判は、同法四二九条一項二号にいう「押収に関する裁判」に含まれる。
参照法条刑訴法179条1項,刑訴法429条1項2号

一 捜査手続上の強制処分として被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて尿を採取することの可否 二 被疑者からの強制採尿に必要な令状の種類とその形式 三 強制採尿の過程に適切な条件を付した捜索差押令状によらなかつた不備があつても採尿検査の…

最高裁判所第一小法廷昭和55年10月23日昭和54(あ)429刑集 第34巻5号300頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて強制的に尿を採取することは、捜査手続上の強制処分として絶対に許されないものではなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を…
参照法条刑訴法99条,刑訴法102条,刑訴法218条,刑訴法219条,刑訴法222条,覚せい剤取締法19条,覚せい剤取締法41条の2第1項3号

刑訴法八条二項による審判の併合請求が認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和55年7月17日昭和55(す)111刑集 第34巻4号229頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人両名に対する甲地裁に係属中のみのしろ金目的拐取等被告事件と乙地方裁判所に係属中のみのしろ金目的拐取等被告事件とは、事件の内容、関係人の住居その他本件における諸般の事情のもとにおいては、乙地方裁判所に併合するのが相当である。
参照法条刑訴法8条

刑事補償請求事件についての即時抗告棄却決定謄本が請求人本人と代理人との双方に日を異にして送達された場合と特別抗告申立期間の起算日

最高裁判所第二小法廷昭和55年5月19日昭和55(し)33刑集 第34巻3号202頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑事補償請求事件についてされた即時抗告棄却決定の謄本が、請求人本人と即時抗告申立代理人との双方に日を異にして送達された場合における特別抗告申立の期間は、請求人本人に送達された日から進行する。
参照法条刑事補償法9条,刑事補償法14条,刑事補償法19条,刑事補償法23条,刑訴法358条,刑訴法433条

起訴状謄本の不送達と公訴時効停止の効力

最高裁判所第二小法廷昭和55年5月12日昭和54(あ)621刑集 第34巻3号185頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法二五四条一項の規定は、起訴状の謄本が法定の期間内に被告人に送達されなかつたため決定で公訴が棄却される場合にも適用があり、公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は、右公訴棄却決定の確定した時から再びその進行を始める。
参照法条刑訴法254条1項,刑訴法271条2項,刑訴法339条1項1号

道路交通法一一七条の二第一号の酒酔い運転の訴因に対し訴因変更手続を経ずに同法一一九条一項七号の二の酒気帯び運転を認定することが許される場合

最高裁判所第三小法廷昭和55年3月4日昭和54(あ)159刑集 第34巻3号89頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨道路交通法一一七条の二第一号の酒酔い運転の訴因に対し訴因変更手続を経ずに同法一一九条一項七号の二の酒気帯び運転を認定しても、運転当時の身体内のアルコール保有量につき被告人の防禦が尽されている場合には、違法ではない。
参照法条刑訴法312条,道路交通法117条の2第1号,道路交通法119条1項7号の2

一 刑法二六条の三の規定の合憲性 二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消を同法二六条、二六条の二による刑の執行猶予言渡の取消と同時に行うことの許否 三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に乙執行猶予の言渡を同…

最高裁判所第二小法廷昭和55年2月25日昭和54(し)135刑集 第34巻2号44頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二六条の三の規定は、憲法一一条、一三条、三一条に違反しない。 二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消は、同法二六条〈定款の作成〉、二六条の二による刑の執行猶予言渡取消決定の確定をまたず、これと同時に行うことも許される。 三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に、乙執行猶予の言渡を同法二六条の三…
参照法条刑法26条,刑法26条の2,刑法26条の3,刑法27条,憲法11条,憲法13条,憲法31条,刑訴法424条,刑訴法434条

一 甲事件の裁判確定によりその本刑たる自由刑の執行に替えられるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入することの適否 二 原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例

最高裁判所第三小法廷昭和55年1月11日昭和54(あ)1145刑集 第34巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 甲事件の裁判確定によりその本刑たる自由刑の執行に替えられるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入しても、ただちにこれを違法なものとはいえないが、右裁判は、後に甲事件の裁判が確定したことによつて、結局、違法なものとなる。 二 原判決の違法が、後に他事件の裁判確定によつてその本刑たる自由刑の執行に替えられた…
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法411条1号,刑訴法495条

刑訴法一八八条の二、一八八条の六により補償すべき費用の算定基準時

最高裁判所第三小法廷昭和54年12月14日昭和54(し)118刑集 第33巻7号917頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法一八八条の二、一八八条の六により補償すべき費用のうち、被告人又は弁護人であつた者に対する旅費、日当、宿泊料については、これらの者が公判準備及び公判期日に出頭した時点を、また、弁護人であつた者に対する報酬については、当該各審級の判決宣告の時点を、それぞれ基準として算定すべきである。
参照法条刑訴法188条の2,刑訴法188条の6

押収物が検察官の歳入編入処分により国の一般財産と混和し特定性を失つた場合と還付の可否

最高裁判所第一小法廷昭和54年12月12日昭和52(し)114刑集 第33巻7号839頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨押収物が検察官の歳入編入処分により国の一般財産と混和し特定性を失つたときは、当該押収物の還付は不能である。
参照法条刑訴法123条,刑訴法222条,刑訴法430条1項

租税逋脱犯における逋脱所得の金額の認定にあたりいわゆる推計の方法を用いることの可否

最高裁判所第二小法廷昭和54年11月8日昭和52(あ)1808刑集 第33巻7号695頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨租税逋脱犯における逋脱所得の金額の認定にあたつては、いわゆる推計の方法、すなわち、財産・負債の増減、収入・支出の状況、取扱量、事業の規模、対比に値する同業者の業績等を示す間接的な資料から所得金額を推認して認定する方法も、その方法が経験則に照らして合理的である限りにおいては、当然に許容されるべきものであり、要は、それによ…
参照法条所得税法156条,所得税法238条1項,刑訴法317条

即時抗告文はこれに代わる異議の申立について申立理由が示されない場合の処置

最高裁判所第三小法廷昭和54年11月6日昭和54(し)105刑集 第33巻7号685頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨即時抗告又はこれに代わる異議の申立について、申立書に申立理由の記載があるとは認められず、申立期間内に理由書の提出もないときは、手続がその規定に違反したものとして、申立を棄却すべきである。
参照法条刑訴法426条1項,刑訴法428条2項,刑訴法428条3項

第一審判決後被告人の妻によつて選任された弁護人と控訴申立権

最高裁判所第三小法廷昭和54年10月19日昭和54(し)71刑集 第33巻6号651頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第一審判決後被告人の妻によつて選任された弁護人は、被告人のために控訴申立をする権限がない。
参照法条刑訴法30条2項,刑訴法351条1項,刑訴法355条

刑訴法三二五条にいう任意性の調査の時期

最高裁判所第三小法廷昭和54年10月16日昭和53(あ)1861刑集 第33巻6号633頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法三二五条にいう任意性の調査は、必ずしも当該書面又は供述の証拠調の前にされなければならないわけのものではなく、裁判所が右書面又は供述の証拠調後にその証明力を評価するにあたつてしても差し支えない。
参照法条刑訴法325条

一 国選弁護人の解任がやむをえないとされた事例 二 被告人の国選弁護人選任請求を却下した裁判所の措置の当否と憲法三七条三項 三 国選弁護人の辞任の申出と解任の裁判の要否 四 国選弁護人の解任の裁判と事実の取調

最高裁判所第三小法廷昭和54年7月24日昭和51(あ)798刑集 第33巻5号416頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被告人が国選弁護人を通じて正当な防禦活動を行う意思がないことを自らの行動によつて表明したものと評価すべき判示の事情のもとにおいては、裁判所が国選弁護人の辞意を容れてこれを解任してもやむをえない。 二 被告人が国選弁護人を通じて正当な防禦活動を行う意思がないことを自らの行動によつて表明したため、裁判所が国選弁護人の辞…
参照法条憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法43条3項,刑訴規則1条2項

第一審判決言渡の日の勾留が控訴審における裁定算入の対象となるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和54年7月13日昭和54(あ)227刑集 第33巻5号405頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨保釈中の被告人が第一審判決の言渡により保釈が失効し即時収監され、即日控訴の申立及び保釈請求をし、その日のうちに保釈釈放された場合には、右判決言渡の日の勾留は、控訴審における裁定算入の対象となる。
参照法条刑法21条,刑訴法358条,刑訴法495条1項

訴訟費用執行免除申立権の回復請求の適否

最高裁判所第一小法廷昭和54年7月2日昭和54(す)113刑集 第33巻5号397頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨訴訟費用執行免除申立権の回復請求は不適法である。
参照法条刑訴法362条,刑訴法500条

在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合と刑訴法三六六条一項の準用の有無

最高裁判所第三小法廷昭和54年5月1日昭和51(し)130刑集 第33巻4号271頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、在監者が再審請求棄却決定に対し異議申立書を差し出す場合に準用される。
参照法条刑訴法366条1項,刑訴法428条,刑訴法444条,刑訴法450条

原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例

最高裁判所第一小法廷昭和54年4月19日昭和53(あ)2328刑集 第33巻3号261頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決の違法が、罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行と競合する未決勾留日数の一部を裁量により本刑に算入した点にのみある場合においては、原判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項

刑訴法四三〇条二項にいう「職務執行地」の意義

最高裁判所第一小法廷昭和54年4月3日昭和54(し)31刑集 第33巻3号175頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法四三〇条二項にいう「職務執行地」とは、不服のある処分の行われた地をいう。
参照法条刑訴法430条2項

刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過した場合と右執行猶予取消の効果

最高裁判所第一小法廷昭和54年3月29日昭和54(し)29刑集 第33巻2号165頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過したことは、すでに発生している執行猶予取消の効果に影響しない。
参照法条刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条

一 刑法二三条の法意 二 検察官の懲役刑の執行指揮に関する訂正措置が刑訴法五〇二条にいう「不当な処分」とはいえないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和54年3月26日昭和54(し)25刑集 第33巻2号121頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二三条は、自由刑に処する裁判を受けた者が当該事件に関して拘禁されている場合にその裁判確定の日から刑期を起算する趣旨の規定であつて、当該事件に関して拘禁されていない場合には、たまたま他事件に関し拘禁されていても同条一項の適用はない。 二 懲役刑の裁判確定当時他事件につき勾留され当該事件に関しては拘禁されていなかつ…
参照法条刑法23条,刑訴法502条

一 刑法二六条の二第三号による刑の執行猶予取消の要件 二 刑の執行猶予を取り消すことができないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和53年11月22日昭和53(し)87刑集 第32巻8号2140頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二六条の二第三号にいう「執行ヲ猶予セラレタルコト発覚シタルトキ」とは、検察官において新たに執行猶予を言渡した裁判に対し上訴してこれを是正するみちがとざされたのちに同条同号所定の執行猶予の前科の存在する事実を覚知したことをいい、検察官が右事実をすでに覚知しながら上訴申立をすることなく執行猶予の裁判を確定させたとき…
参照法条刑法26条の2第3号,刑訴法349条

公訴棄却の決定に対する被告人・弁護人の上訴権

最高裁判所第一小法廷昭和53年10月31日昭和53(し)57刑集 第32巻7号1793頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公訴棄却の決定に対しては、被告人・弁護人からその違法・不当を主張して上訴することはできない。
参照法条刑訴法339条,刑訴法351条,刑訴法355条,刑訴法426条1項,憲法32条

一 勾留期間延長の裁判が従前の勾留期間経過後に準抗告審で取り消された場合と検察官が身柄釈放の手続をとるべき時期 二 違法に身柄を拘束されていたことが勾留の裁判の効力に影響を及ぼさないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和53年10月31日昭和53(し)79刑集 第32巻7号1847頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 勾留期間延長の裁判が従前の勾留期間経過後に準抗告審で取り消され、その決定が検察官に告知されたときは、検察官は直ちに身柄釈放の手続をとらなければならない。 二 勾留期間延長の裁判が準抗告審で取り消されたのにもかかわらず、検察官において釈放の手続をとることなく身柄を拘束していた違法は、判示の事実関係のもとにおいては、そ…
参照法条刑訴法60条,刑訴法61条,刑訴法208条

一 職務質問に附随して行う所持品検査の許容限度 二 職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度を超えた行為と認められた事例 三 押収等の手続に違法のある証拠物とその証拠能力 四 押収手続に違法のある証拠物について証拠能力が認めら…

最高裁判所第一小法廷昭和53年9月7日昭和51(あ)865刑集 第32巻6号1672頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 職務質問に附随して行う所持品検査は所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによつて侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度…
参照法条憲法31条,憲法35条,警察官職務執行法2条1項,刑訴法1条,刑訴法218条1項

憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていないものとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和53年9月4日昭和50(あ)788刑集 第32巻6号1652頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一五〇名が起訴された騒擾被告事件について、少数の被告人のグループである分離組に属した本件被告人に対する審理が、第一審において約一七年三か月、控訴審において約五年を要し、しかも、第一審の審理途中において合計約一四年間の審理中断等があり、その間本件被告人及び検察官が審理継続を要望している事実があつても、右審理中断等に伴う審…
参照法条憲法37条1項,刑訴法1条

再審請求手続において要した費用と刑訴法一八八条の二による補償

最高裁判所第二小法廷昭和53年7月18日昭和53(し)58刑集 第32巻5号1055頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨再審請求手続において要した費用は、刑訴法一八八条の二による補償の対象とはならない。
参照法条刑訴法188条の2,刑訴法188条の6

一 検察官が被告人の利益のために控訴をした事件と刑訴法四〇二条にいう「被告人のため控訴をした事件」 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条一項違反の罪が反覆累行された場合の罪数

最高裁判所第三小法廷昭和53年7月7日昭和52(あ)1271刑集 第32巻5号1011頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 検察官が控訴をした事件は、たとえその申立理由が被告人に利益なものである場合であつても、刑訴法四〇二条にいう「被告人のため控訴をした事件」にあたらない。 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条一項違反の罪が反復累行された場合には、特段の事情のない限り、個々の契約又は受領ごとに一罪が成立する。
参照法条刑訴法402条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律5条1項,刑法45条

無許可の集団示威運動の指導者につき相当の理由に基づく違法性の錯誤があつたとして昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例五条の罪の成立を否定した原判決に事実の誤認があるとされた事例―いわゆる羽田空港ロビーデモ第二…

最高裁判所第一小法廷昭和53年6月29日昭和51(あ)1163刑集 第32巻4号967頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨A内国際線出発ロビーにおける参加者約三〇〇名による無許可の集団示威運動を指導した被告人について違法性の錯誤を認めた原判決は、被告人が終始みずからの意思と行動で右集団を指導、煽動していたなど判示の事情のもとにおいては、事実を誤認したものであり、破棄を免れない。
参照法条昭和25年東京都条例1条,昭和25年東京都条例5条,刑法38条3項,刑訴法411条3号

被告人が秩序維持のため退廷を命ぜられ刑訴法三四一条により審理を進める場合と同法三二六条二項の適用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和53年6月28日昭和50(あ)731刑集 第32巻4号724頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法三二六条二項は、被告人が秩序維持のため退廷を命ぜられ同法三四一条により審理を進める場合においても適用される。
参照法条刑訴法326条2項,刑訴法341条

判決書の記載を明白な誤記と認めることが許されない場合

最高裁判所第三小法廷昭和53年6月16日昭和53(あ)22刑集 第32巻4号645頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨判決書自体又は記録に照らし、判決書の記載が単なる表現上の誤りであることが明らかでなく、判決裁判所の意図した記載も一義的に明確でないときは、これを明白な誤記と認めることは許されない。
参照法条刑訴法335条1項,民訴法194条1項

被告人の責任能力について事実誤認の疑いがあるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和53年3月24日昭和50(あ)1159刑集 第32巻2号408頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人の精神分裂病の既往歴、犯行時の右疾病による欠陥状態(人格水準低下、感情鈍麻)の存在、犯行の動機についての妄想の関与及び犯行に際しての奇異な行動など(判文参照)の事情がうかがわれる本件においては、犯行が精神分裂病の寛解期にされたことのほか、犯行の動機の存在、犯行の計画性、犯行後の証拠隠滅工作を含む一連の行動を重視し…
参照法条刑法39条2項,刑訴法411条3号

枉法収賄と贈賄の各訴因の間に公訴事実の同一性が認められる事例

最高裁判所第一小法廷昭和53年3月6日昭和52(あ)1115刑集 第32巻2号218頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「被告人甲は、公務員乙と共謀のうえ、乙の職務上の不正行為に対する謝礼の趣旨で、丙から賄賂を収受した」という枉法収賄の訴因と、「被告人甲は、丙と共謀のうえ、右と同じ趣旨で、公務員乙に対して賄賂を供与した」という贈賄の訴因とは、収受したとされる賄賂と供与したとされる賄賂との間に事実上の共通性がある場合には、公訴事実の同一性…
参照法条刑訴法256条,刑訴法312条,刑法197条ノ3,刑法198条

控訴審の手続と刑訴法三一四条一項の準用の有無

最高裁判所第三小法廷昭和53年2月28日昭和52(あ)1373刑集 第32巻1号83頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公判手続の停止に関する刑訴法三一四条一項の規定は控訴審の手続に準用される。
参照法条刑訴法314条1項,刑訴法404条

略式手続による科刑限度をこえて罰金を科した略式命令に対する非常上告とその裁判

最高裁判所第一小法廷昭和53年2月23日昭和52(さ)1刑集 第32巻1号77頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨略式手続による科刑限度をこえて罰金を科した略式命令に対して非常上告があつたときは、刑訴法四五八条二号により、原裁判所が略式命令により科刑限度をこえる罰金を科した手続を破棄すべきである。
参照法条刑訴法458条,刑訴法459条,刑訴法461条,刑訴法463条1項,罰金等臨時措置法7条3項

一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え一部の者に傷害を負わせた場合の罪数 二 起訴状に記載されていない罰条の適用 三 起訴状に記載されていない罰条の適用が許されるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和53年2月16日昭和52(あ)1431刑集 第32巻1号47頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え、一部の者に傷害を負わせた場合には、傷害を受けた者の数だけの傷害罪と暴行を受けるにとどまつた者の数だけの暴力行為等処罰に関する法律一条の罪が成立し、以上は併合罪として処断すべきである。 二 裁判所は、訴因により公訴事実が十分に明確にされていて被告人の防禦に実質的な不利益が…
参照法条暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法45条,刑法204条,刑訴法256条,刑訴法312条

上告の審判と刑訴法三九三条二項、三九七条二項の準用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和52年12月22日昭和48(あ)526刑集 第31巻7号1147頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨上告の審判には、刑訴法三九三条二項、三九七条二項は準用されない。
参照法条刑訴法393条2項,刑訴法397条2項,刑訴法414条

控訴趣意書の記載が法律で定める方式に違反するとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和52年11月11日昭和52(し)127刑集 第31巻6号1019頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨控訴の趣意として、「一 原判決は明らかに判決に影響を及ぼす事実の誤認がある。二 原判決は量刑が不当である。追つて詳細は書面で述べる。」と記載したにすぎない控訴趣意書は、刑訴法三八二条、三八一条所定の事実の援用を欠き、法律で定める方式に違反する。
参照法条刑訴法381条,刑訴法382条,刑訴法386条1項2号

いわゆる付審判の決定に対する特別抗告申立の適否

最高裁判所第一小法廷昭和52年8月25日昭和52(し)105刑集 第31巻4号803頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨いわゆる付審判の決定に対する特別抗告の申立は、不適法である。
参照法条刑訴法266条2号,刑訴法433条

甲事実について逮捕勾留中の被疑者を乙事実について取調べることが違法ではないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和52年8月9日昭和49(あ)2470刑集 第31巻5号821頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲事実について逮捕・勾留の理由と必要があり、甲事実と乙事実とが社会的事実として一連の密接な関連がある場合(判文参照)、甲事実について逮捕・勾留中の被疑者を、同事実について取調べるとともに、これに付随して乙事実について取調べても、違法とはいえない。
参照法条刑訴法60条1項,刑訴法198条1項,刑訴法198条2項,刑訴法199条

他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留の裁定算入又は法定通算

最高裁判所第二小法廷昭和52年7月1日昭和52(あ)167刑集 第31巻4号681頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留を、さらに本件の本刑に裁定算入又は法定通算することは、違法である。
参照法条刑法21条,刑訴法495条

裁判所及び裁判官が被害者である場合と刑訴法一七条一項二号

最高裁判所第三小法廷昭和52年6月17日昭和52(す)131刑集 第31巻4号675頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判所及び裁判官が被害者であることは、その一事をもつて直ちに刑訴法一七条一項二号にいう「裁判の公平を維持することができない虞がある」場合にあたるとはいえない。
参照法条刑訴法17条1項2号,刑訴法17条2項

一、共同加害の目的が認められないとして兇器準備集合罪の成立を成否を否定した原判決に事実誤認の疑いがあるとされた事例 二、無許可集団示威運動と昭和二十五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例四条飯田橋

最高裁判所第二小法廷昭和52年5月6日昭和49(あ)1200刑集 第31巻3号544頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 角材の柄付きプラカード等を所持して集団示威運動を行つていた学生集団の先頭部分の学生のうち、所携の右プラカード等を振り上げて警察官をめがけて殴りかかつている状況を相互に目撃し得る場所に近接して位置し、しかもみずから警察官に対し暴行に及んだ者あるいは暴行に及ぼうとしていた者についてまで、右行為は各自の個人的な意思発動に…
参照法条刑法95条1項,刑法208条ノ2第1項,刑訴法411条3号,集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和25年東京都条例44号)4条

最高裁判所のした保釈保証金没取決定に対する異議申立権の有無

最高裁判所第二小法廷昭和52年4月4日昭和52(す)12刑集 第31巻3号163頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨最高裁判所のした保釈保証金没取決定に対しては刑訴法四二八条の準用により異議の申立をすることができる。
参照法条憲法29条,憲法31条,刑訴法96条,刑訴法428条

刑事手続における書類の送達と民訴法一七二条の準用 民訴法一七二条は刑事手続における書類の送達については準用されるか

最高裁判所第三小法廷昭和52年3月4日昭和52(し)6刑集 第31巻2号69頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨民訴法一七二条は刑事手続における書類の送達について準用される。
参照法条刑訴法54条,刑訴規則63条,民訴法171条,民訴法172条

原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例

最高裁判所第一小法廷昭和51年11月18日昭和51(あ)761刑集 第30巻10号1902頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決の違法が、法律上当然に全部本刑に通算されるべき未決勾留日数の一部を裁量により本刑に算入した点にのみある場合においては、厚判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項,刑訴法495条

一 判決の言直しの効力 二 量刑不当により破棄自判された事例

最高裁判所第一小法廷昭和51年11月4日昭和50(あ)2427刑集 第30巻10号1887頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 判決は、宣告のための公判期日が終了するまでの間は、判決書又はその原稿の朗読を誤つた場合にこれを訂正することも、いつたん宣告した判決の内容を変更してあらためてこれを宣告することも、違法ではなく、言直しがあつたときは、その内容どおりのものとして効力を生ずる。 二 一審裁判官が、いつたん保護観察付き刑の執行猶予の判決を言…
参照法条刑訴法342条,刑訴法411条2号,刑訴規則35条

共犯者二名以上の自白による被告人の有罪認定と憲法三八条三項

最高裁判所第一小法廷昭和51年10月28日昭和51(あ)765刑集 第30巻9号1859頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨共犯者二名以上の自白により被告人を有罪と認定しても憲法三八条三項に違反しない。
参照法条憲法38条3項,刑訴法319条2項

一 任意捜査において許容される有形力の行使の限度 二 任意捜査において許容される限度内の有形力の行使と認められた事例

最高裁判所第三小法廷昭和51年3月16日昭和50(あ)146刑集 第30巻2号187頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。 二 警察官が…
参照法条刑法95条1項,刑訴法197条1項

共犯者の供述と憲法三八条三項にいう「本人の自白」

最高裁判所第一小法廷昭和51年2月19日昭和49(あ)321刑集 第30巻1号25頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨共犯者の供述を憲法三八条三項にいう「本人の自白」と同一視し、又はこれに準ずるものとすべきではない。
参照法条憲法38条3項,刑訴法319条2項

法定の期間を経過した訴訟費用執行免除の申立であるとして却下したことが法令に違反するとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和51年2月19日昭和50(し)101刑集 第30巻1号72頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨本案事件の第一審裁判所に提出された控訴取下書及び訴訟費用執行免除申立書が、同裁判所の職員によつて、控訴取下書は本案事件の記録の存する控訴裁判所に、訴訟費用執行免除申立書は控訴事件が確定してから三〇日以内に第一審裁判所に、それぞれ提出するようにと記載された書面とともに、申立人に返送されたのち、申立人が、裁判所職員の右指示…
参照法条刑訴法500条,刑訴規則223条の2,刑訴規則295条の2,刑訴規則295条の3

労働組合役員の他組合員に対する暴行、逮捕行為が法秩序全体の見地からみて到底許容されないものであるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和50年8月27日昭和46(あ)1095刑集 第29巻7号442頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲労働組合とこれから脱退した者を中心とする乙労働組合との間の紛争の過程で、甲組合の副組合長が、乙組合の言い分を記載したビラを甲組合の組合員に配付しようとした乙組合の書記長の左肩を掴んで後方に引きのかせ、胸部付近を突き、さらに手首を掴み腕を組むようにして引つ張つて甲組合事務所に連れ込む等した暴行行為、及び右副組合長と甲組…
参照法条刑法35条,刑法208条,刑法220条1項,刑訴法411条1号,労働組合法1条2項

他人の氏名を冒用して交付を受けた略式命令が冒用者に効力を生じないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和50年5月30日昭和49(あ)2216刑集 第29巻5号360頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨いわゆる三者即日処理方式による略式手続において、甲が乙の氏名を冒用し、捜査機関に対し被疑者として行動し、かつ、裁判所で被告人として乙名義の略式命令の謄本の交付を受けて即日罰金を仮納付するなどの事実(原判文参照)があつたからといつて、右略式命令の効力が冒用者である甲に生じたものとすることはできない。
参照法条刑訴法249条,刑訴法256条2項,刑訴法337条1号,刑訴法第6編,刑訴規則56条

一、現行犯逮捕のため犯人を追跡した者の依頼により追跡を継続した行為を適法な現行犯逮捕の行為と認めた事例 二、現行犯逮捕のための実力行使と刑法三五条 三、現行犯逮捕のための実力行使に刑法三五条が適用された事例

最高裁判所第一小法廷昭和50年4月3日昭和48(あ)722刑集 第29巻4号132頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 あわびの密漁犯人を現行犯逮捕するため約三〇分間密漁船を追跡した者の依頼により約三時間にわたり同船の追跡を継続した行為(判文参照)は、適法な現行犯逮捕の行為と認めることができる。 二 現行犯逮捕をしようとする場合において、現行犯人から抵抗を受けたときは、逮捕をしようとする者は、警察官であると私人であるとを問わず、その…
参照法条刑法35条,刑訴法212条,刑訴法213条

刑訴規則九一条二項により前に納付された保証金があらたな保証金の一部として納付されたものとみなされる場合と刑訴法九六条三項

最高裁判所第三小法廷昭和50年3月28日昭和50(す)12刑集 第29巻3号59頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法三四三条の規定により保釈が効力を失った後、あらたに保釈の決定があり、刑訴規則九一条二項の規定により前に納付された保証金があらたな保証金の一部として納付されたものとみなされる場合であっても、残額が納付されないままに刑訴法九六条三項に定める事由が生じたときは、同条項により、前の保釈の保証金として、その全部または一部を…
参照法条刑訴法96条3項,刑訴法343条,刑訴規則91条

在監者による刑事補償請求事件の特別抗告申立と刑訴法三六六条一項の準用の有無

最高裁判所第二小法廷昭和49年7月18日昭和49(し)69刑集 第28巻5号257頁
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裁判要旨在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、刑事補償請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。
参照法条刑訴法366条1項,刑訴法433条,刑事補償法19条2項,刑事補償法23条

準起訴手続によつて審判に付された事件において刑訴法二六二条一項に掲げる罪以外の罪で処罰することの可否

最高裁判所第二小法廷昭和49年4月1日昭和47(あ)1481刑集 第28巻3号17頁
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裁判要旨準起訴裁判所が、相当な嫌疑のもとに刑訴法二六二条一項に掲げる罪が成立すると判断し公訴提起すべきものとして審判に付した以上、公判審理の結果それ以外の罪の成立が認められるにすぎないことになつたとしても、審判に付された事件と公訴事実の同一性が認められるかぎり、この罪で処罰することができる。
参照法条刑訴法262条1項,刑訴法265条,刑訴法338条4号

付審判請求事件の審理手続において検察官から裁判所に送付された一件記録の閲覧謄写を許可することが違法とされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和49年3月13日昭和48(し)42刑集 第28巻2号1頁
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裁判要旨本件付審判請求事件の審理手続において裁判所が定めた審理方式のうち、請求人代理人に対し検察官から裁判所に送付された一件記録の閲覧謄写を許可する部分は、本件事案(判文参照)のもとでは、裁判所に許された裁量の範囲を逸脱し違法である。
参照法条刑訴法47条,刑訴法196条,刑訴法262条,刑訴法265条,刑訴規則171条

甲事件の裁判確定によりその本刑に法定通算されるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入することの適否

最高裁判所第二小法廷昭和48年11月9日昭和48(あ)834刑集 第27巻10号1447頁
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裁判要旨甲事件の裁判確定によりその本刑に法定通算されるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入しても、乙事件の裁判当時甲事件の裁判が未確定の状態であるときは、ただちにこれを違法なものとはいえないが、のちに甲事件の裁判が確定し法定通算されるべき未決勾留が、その本刑に通算されて刑の執行に替えられたときは、結局、違法なもの…
参照法条刑法21条,刑訴法495条

一 審理の方法態度と裁判官忌避 二 裁判官の忌避申立につき簡易却下が相当であるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和48年10月8日昭和48(し)66刑集 第27巻9号1415頁
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裁判要旨一 訴訟手続内における審理の方法、態度などは、それ自体としては裁判官を忌避する理由となしえない。 二 公判期日前の打合せから第一回公判期日終了までの裁判長の訴訟指揮権、法廷警察権の行使の不当を理由とする忌避申立は、本件のような事情(判文参照)のもとにおいては、訴訟遅延のみを目的とするものとして、刑訴法二四条により却下す…
参照法条刑訴法21条1項,刑訴法24条

裁判官が任官前審理の対象となつている条例の立案過程において法務府法制意見第一局長として意見回答をしたことと刑訴法二一条一項の「不公平な裁判をする虞」

最高裁判所第一小法廷昭和48年9月20日昭和48(す)244刑集 第27巻8号1395頁
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裁判要旨裁判官が、任官前、審理の対象となつている条例の立案過程において、当該条例案の合憲性に関する立案当事者の意見照会に対し、当時の法務府法制意見第一局長として純然たる法律解釈に関する意見回答をしたからといつて、事件につき裁判の公正を妨げるおそれがある予断または偏見があるものとすることはできない。
参照法条刑訴法21条1項

憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じてないものとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和48年7月20日昭和47(あ)1801刑集 第27巻7号1322頁
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裁判要旨約九年余の審理中断が、主に、被告人会社代表者の病気を理由とする公判手続の停止に起因し、かつ、被告人側に審理の主導的役割が課せられているその反証段階において生じたものであり、裁判所が被告人会社代表者を誤認して右公判手続を停止していたとしても、被告人側が右公判手続の停止に際し異議を述べず、また、その代表者の変更通知をするな…
参照法条憲法37条1項,刑訴法314条2項

特別抗告についての上訴権回復請求を棄却する場合と特別抗告棄却の権能

最高裁判所第一小法廷昭和48年6月21日昭和48(し)22刑集 第27巻6号1197頁
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裁判要旨特別抗告についての上訴権回復請求を受理した裁判所は、これを棄却する場合には、刑訴法三七五条、四一四条を類推適用して、右請求と同時にされた特別抗告の申立を自ら棄却することができる。
参照法条刑訴法362条,刑訴法363条,刑訴法375条,刑訴法414条,刑訴法433条

一、学生集会と憲法二三条の関係 二、併合罪の関係にある二個の公訴事実についてされた原判決につき上告審が主文においてこれを破棄差し戻す旨を示しその理由中において右公訴事実の一部にのみ関係のある破棄理由を示すにとどまる判決を言い渡した場合におけ…

最高裁判所第一小法廷昭和48年3月22日昭和42(あ)47刑集 第27巻2号167頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一、大学の許可した学生集会であつても、真に学問的研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動にあたる行為をする場合には、大学の有する特別の自由と自治を享有するものではない。 二、併合罪の関係にある甲乙二個の公訴事実のうち甲についてはその一部の事実を認めながら正当行為とし、乙についてはその事実が認…
参照法条憲法23条,憲法39条,刑訴法337条1号,刑訴法386条1項1号,刑訴法413条,刑訴法414条

一、所得金額をことさら過少に記載した内容虚偽の所得税確定申告書を税務署長に提出する行為と所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六九条一項にいう「詐偽その他不正の行為」 二、刑訴法四〇二条に違反しないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和48年3月20日昭和46(あ)1901刑集 第27巻2号138頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 所得金額をことさら過少に記載した内容虚偽の所得税確定申告書を税務署長に提出する行為は、所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六九条一項にいう「詐偽その他不正の行為」にあたる。 二 第一審判決が、被告人を懲役六月および罰金二百万円に処し、罰金を完納しないときは一万円を一日に換算した期間労役場に留置し、裁…
参照法条所得税法(昭和40年法律33号による改正前のもの)69条1項,所得税法238条1項,刑訴法402条

一、併合罪の刑の加重をするにあたり刑法一四条を適用しなかつた違法と判決に及ぼす影響 二、公判調書中の「公判をした裁判所及び裁判官」欄ならびに「裁判所書記官」欄の各記載が単なる誤記と認められた事例

最高裁判所第二小法廷昭和48年2月16日昭和47(あ)1193刑集 第27巻1号46頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 第一審判決に、併合罪の刑の加重をするにあたり刑法一四条を適用しなかつた違法があつても、被告人に対するその宣告刑が正当な処断刑の範囲内にあり、かつ、被告人の犯罪事実の内容その他情状に徴し右宣告刑が重きに過ぎるものと認められないときは、右違法が判決に影響を及ぼすこと明らかであるとはいえない。 二 第一審第九回公判調書中…
参照法条刑法14条,刑訴法335条1項,刑訴法380条,刑訴法48条,刑訴法52条,刑訴規則44条

前科調書の記載洩れと刑訴法三八二条の二第一項という「やむを得ない事由」

最高裁判所第二小法廷昭和48年2月16日昭和47(あ)1333刑集 第27巻1号58頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、区検察庁検察事務官の取調に対し、無免許運転で懲役刑に処せられ刑の執行猶予の言渡を受けたことを秘匿し、前科は無免許や酒酔い運転で二回罰金刑に処せられただけである旨供述し、他方、区検察庁検察事務官が地方検察庁犯歴係に電話照会して作成した前科調書には道交法違反による罰金の前科二犯のみが記載され、これが一審公判廷で取…
参照法条刑訴法382条2第1項

不送達となつた特別送達を付郵便送達とすることにより執行猶予が取り消されたものとすることの可否

最高裁判所第三小法廷昭和47年12月26日昭和47(し)57刑集 第26巻10号759頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨特別送達の方法により、執行猶予取消決定についての即時抗告棄却決定の謄本を、被請求人に送達する手続をとつたところ、それが執行猶予期間内に送達されなかつた場合において、右特別送達を付郵便送達とすることにより、有効に執行猶予が取り消されたものとすることはできない。
参照法条刑法26条の2,刑訴法54条,刑訴規則63条,民訴法162条,民訴法172条

付審判請求事件の審理方式と忌避事由

最高裁判所第二小法廷昭和47年11月16日昭和47(し)51刑集 第26巻9号515頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨本件付審判請求事件の審理を担当する裁判所が示した審理方式(判文参照)は、裁量の許される範囲を逸脱している疑いを免れないけれども、そのことはただちに右裁判所を構成する裁判官らを忌避する事由とはなりえない。
参照法条刑訴法21条,刑訴法262条,刑訴法265条,刑訴規則173条

必要的弁護事件の控訴と刑訴法三八六条一項一号による決定棄却

最高裁判所第三小法廷昭和47年9月26日昭和47(し)43刑集 第26巻7号431頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨いわゆる必要的弁護事件につき被告人が控訴した場合において、刑訴規則二五〇条により控訴の審判に準用される同規則一七八条三項の規定に違背して被告人に弁護人がないままであるときは、所定の期間内に控訴趣意書を差し出さないことに基づき刑訴法三八六条一項一号により決定で右控訴を棄却することは許されない。
参照法条刑訴法289条1項,刑訴法386条1項1号,刑訴規則178条

一 被告人であるアメリカ合衆国軍人等に対する訴訟書類の送達方法 二 被告人であるアメリカ合衆国軍属に対する起訴状謄本の送達の瑕疵と公訴提起の効力

最高裁判所第二小法廷昭和47年7月28日昭和46(あ)1422刑集 第26巻6号397頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被告人であるアメリカ合衆国軍人等に対する訴訟書類の送達をするには、刑訴法五四条によつて準用される民訴法一六九条その他によるほか、日米合同委員会の合意事項たる「日米行政協定の実施上問題となる事項に関する件」八項Eによるべきである。 二 被告人であるアメリカ合衆国軍属に対する起訴状謄本の送達につき、送達すべき場所の表示…
参照法条刑訴法54条,刑訴法271条,刑訴法272条,刑訴法339条1項1号,刑訴規則176条,刑訴規則177条,民訴法169条,民訴法削除前の167条,日米行政協定の実施上問題となる事項に関する件8項E

一 公訴事実の同一性があるとされた事例 二 金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例または小松市寄附金品取締条例にいう寄附募集にあたるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和47年7月25日昭和40(あ)2483刑集 第26巻6号366頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 「今度のお盆に戦没者の法要をするので、おろうそく代を上げて欲しい」等虚構の事実を申し向けて合計六〇〇円と合計七七〇円の各金銭を詐取したとの各事実と、金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例に基づく金沢市長の許可を受けず、または、小松市寄附金品取締条例に基づく小松市長に対する届出をしないで、それぞれ右各同額の寄附募集を…
参照法条刑訴法256条3項,刑訴法256条5項,刑訴法312条,刑法246条1項,金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例3条,金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例11条1号,小松市寄附金品取締条例2条2項,小松市寄附金品取締条例11条

判決主文の言直しが有効とされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和47年6月15日昭和45(あ)2274刑集 第26巻5号341頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨判決の宣告にあたり、裁判長が主文の刑を懲役一年六月と朗読すべきところを誤つて懲役一年二月と朗読し、次いで理由の要旨を告げ上訴期間等の告知を行ない、席を立ちかけたところ、弁護人から質問があつたので、即座にその場で懲役一年六月と主文の刑を朗読し直した場合には、被告人に対する宣告刑は懲役一年六月としてその効力を生ずる。
参照法条刑訴法342条,刑訴規則35条

一 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合と第一回公判期日前における勾留理由の開示をなすべき裁判官 二 特別抗告審において原決定後の事由により原決定が取り消された事例

最高裁判所第三小法廷昭和47年4月28日昭和47(し)22刑集 第26巻3号249頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合には、第一回公判期日前における勾留理由の開示は、その地方裁判所の裁判官が行なうべきものである。 二 金沢地方裁判所裁判官がした本件勾留理由開示請求事件を金沢簡易裁判所に移送する旨の決定およびこれを是認した原決定(判文参照)は…
参照法条刑訴法82条,刑訴法280条,刑訴法433条,刑訴規則187条

一 公判調書の記載の正確性についての異議申立権の行使が妨げられた場合と刑訴法五二条の適用の有無 二 第一審公判調書の記載の正確性についての異議申立権行使の機会が与えられなかった違法が控訴審判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の違法にあた…

最高裁判所第三小法廷昭和47年3月14日昭和46(あ)1991刑集 第26巻2号195頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 公判調書の記載の正確性についての異議申立権の行使が妨げられている場合には、刑訴法五二条の証明力が排除される。 二 本件の具体的諸般の情況(判文参照)のもとでは、第一審公判調書の記載の正確性についての異議申立権行使の機会が与えられなかった違法は、控訴審判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の違法にあたらない。
参照法条刑訴法51条,刑訴法52条,刑訴法379条

一 上告審判決の主文に控訴棄却の旨を表示することの可否 二 関税法一一一条一項所定の無許可輸出罪と同法一一三条の二所定の虚偽申告罪との罪数関係 三 関税法の無許可輸出罪の公訴事実中に税関吏に対し虚偽の申告をした旨の記載があるが同法の虚偽申告…

最高裁判所第一小法廷昭和47年3月9日昭和42(あ)582刑集 第26巻2号102頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 上告審が、第一審判決を破棄した控訴審判決を破棄して第一審判決を維持するのを相当と認めるときは、第一審判決と同一内容の主文を表示するかわりに、控訴を棄却する旨の主文を表示してもよい。 二 関税法一一一条一項所定の無許可輸出罪と同法一一三条の二所定の虚偽申告罪とは併合罪の関係にある。 三 関税法の無許可輸出罪の公訴事実…
参照法条刑訴法396条,刑訴法413条,刑訴法256条2項,刑訴法378条3号,刑訴法392条2項,刑訴法414条,関税法111条1項,関税法113条の2,刑法45条,刑法54条

刑訴法四〇〇条但書に違反しないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和46年11月9日昭和45(あ)1768刑集 第25巻8号925頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨控訴審がなんら事実の取調をしないで第一審判決より重い刑を科しても、刑訴法四〇〇条但書に違反しない。
参照法条刑訴法400条但書

自救行為の主張と刑訴法三三五条二項

最高裁判所第二小法廷昭和46年7月30日昭和45(あ)1358刑集 第25巻5号756頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自救行為の主張は、刑訴法三三五条二項の主張にあたる。
参照法条刑訴法335条2項,刑法35条

裁判官のした勾留理由開示請求却下の裁判に対する不服申立

最高裁判所第一小法廷昭和46年6月14日昭和46(し)44刑集 第25巻4号565頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判官が勾留理由開示の請求を却下した裁判に不服がある者は、刑訴法四二九条一項二号により、その取消または変更を請求することができる。
参照法条刑訴法429条1項2号,刑訴法82条2項,刑訴法86条

違法に被告人に訴訟費用を負担させたとして原判決中被告人に訴訟費用の負担を命じた部分のみが破棄された事例

最高裁判所第三小法廷昭和46年4月27日昭和45(あ)1217刑集 第25巻3号534頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨相被告人に対する公訴事実のみに関する原審証人の尋問について生じた訴訟費用を、右の事実になんら関係のない被告人に負担させたときは、原判決中被告人に対し右訴訟費用の負担を命じた部分は、刑訴法四一一条一号により、破棄を免れない。
参照法条刑訴法181条,刑訴法185条,刑訴法411条1号

控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合と未決勾留日数の刑法二一条による本刑算入

最高裁判所第一小法廷昭和46年4月15日昭和45(あ)1776刑集 第25巻3号439頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合には、控訴申立後の未決勾留日数は、刑訴法四九五条二項二号により、判決が確定して本件の執行される際当然に全部本件に通算されるべきものであつて、刑法二一条により判決においてその全部または一部を本刑に算入する旨の言渡をすべきでない。
参照法条刑訴法495条,刑法21条

刑訴規則一二二条と証言拒否罪の成否

最高裁判所第三小法廷昭和46年3月23日昭和43(あ)821刑集 第25巻2号177頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴規則一二二条は、証人尋問の手続を円滑、迅速に進行させるための手続的な規定であるにすぎず、同条所定の事項の履践の有無は、刑訴法一六一条一項の証言拒否罪の成否に影響を及ぼさない。
参照法条刑訴法161条1項,刑訴規則122条

原判決をした小法廷を構成する裁判官の退官による定足数の不足と、その判決に対する訂正申立についての裁判をなすべき裁判所の構成

最高裁判所第二小法廷昭和46年2月3日昭和45(み)18刑集 第25巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決をした小法廷を構成する裁判官が退官したため、右小法廷判決に対する判決訂正の申立について裁判しようとする時において、その定足数を欠くときは、新たに任命された裁判官を加えた小法廷で右訂正申立についての裁判をなすべきである。
参照法条刑訴法415条,刑訴法416条,刑訴規則270条,最高裁判所裁判事務処理規則2条2項

一、刑法二六一条の毀棄罪の告訴権者 二、刑法二六一条の毀棄罪の告訴権者にあたるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和45年12月22日昭和44(あ)1590刑集 第24巻13号1862頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一、刑法二六一条の毀棄罪の告訴権者は、毀棄された物の所有者には限られない。 二、ブロツク塀、その築造されている土地およびその土地上の家屋の共有者の一人の妻で、右家屋に、米国に出かせぎに行つている夫のるすを守つて子供らと居住し、右塀によつて居住の平穏等を維持していた者は、右塀の損壊により害を被つた者として、告訴権を有する…
参照法条刊法261条,刊法264条,刑訴法230条

刑訴法四〇〇条但書に違反するとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和45年12月22日昭和45(あ)913刑集 第24巻13号1872頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人の公訴事実について、第一審が殺意の存在を認めず、傷害致死の犯罪事実を認定したのに対し、控訴審が、みずから殺意の点に関する事実の取調をすることなく、実質上、第一審で取り調べた証拠のみに基づいて未必の殺意を認定し、殺人罪として処断することは、刑訴法四〇〇条但書の解釈上許されない。
参照法条刑法199条,刑法205条,刑訴法400条

刑訴法二三五条一項にいう「犯人を知つた日」の意義

最高裁判所第二小法廷昭和45年12月17日昭和44(あ)2266刑集 第24巻13号1765頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑訴法二三五条一項にいう「犯人を知つた日」とは、犯罪行為終了後の日を指すものであり、告訴権者が犯罪の継続中に犯人を知つたとしても、その日を親告罪における告訴の起算日とすることはできない。
参照法条刑訴法235条1項

控訴趣意の撤回

最高裁判所第二小法廷昭和45年9月4日昭和44(あ)726刑集 第24巻10号1311頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人は、弁護人が被告人のために差し出した控訴趣意を撤回することができる。
参照法条刑訴法41条,刑訴法351条1項,刑訴法359条,刑訴法376条1項,刑訴規則236条1項

被告人の自白に信用性真実性があると認めた原審の判断が支持し難いとして破棄された事例

最高裁判所第二小法廷昭和45年7月31日昭和43(あ)602刑集 第24巻8号597頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨記録にあらわれた証拠関係を検討すれば、犯行の外形的事実と被告人との結びつきについて、合理的な疑いを容れるに足りる幾多の問題点が存し(判文参照)、原審が、被告人の自白に信用性、真実性があるものと認め、これに基づいて犯行を被告人の所為であるとした判断が支持し難いときは、刑訴法四一一条一号、三号により、原判決は破棄を免れない…
参照法条刑法240条後段,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文

一 破壊活動防止法三九条および四〇条は犯罪の構成要件が不明確か 二 公訴棄却を求める申立とこれに対する裁判の要否

最高裁判所第一小法廷昭和45年7月2日昭和42(あ)2220刑集 第24巻7号412頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 破壊活動防止法三九条および四〇条は、その所定の目的をもつて、刑法一九九条、一〇六条等の罪を実行するための具体的な準備をすることや、その実行のための具体的な協議をすることのような、社会的に危険な行為を処罰しようとするものであり、その犯罪構成要件が不明確なものとは認められない。 二 公訴棄却を求める申立は、職権の発動を…
参照法条破壊活動防止法39条,破壊活動防止法40条,憲法21条,憲法31条,刑訴法338条,刑訴法339条,刑訴規則33条

少年の被疑事件につき捜査等に日時を要したため家庭裁判所の審判を受ける機会が失われたときと捜査手続の違法

最高裁判所第二小法廷昭和45年5月29日昭和44(あ)2037刑集 第24巻5号223頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨犯行時の年令一九歳二か月の少年の業務上過失傷害被疑事件について、警察における捜査の終結が遅滞したため被疑者が成年に達して家庭裁判所の審判を受ける機会が失われたとしても、それが捜査に従事した司法巡査の勤務先警察署内における配置の変更、他事件の処理等の事情(判文参照)によるものであるときは、捜査官の措置にいまだ重大な職務違…
参照法条刑訴法246条,刑訴法338条4号,少年法41条,少年法42条

共犯者の自白と憲法三八条三項

最高裁判所第三小法廷昭和45年4月7日昭和44(あ)238刑集 第24巻4号126頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨共犯者の自白を、憲法三八条三項にいわゆる「本人の自白」と同一視し、またはこれに準ずるものとすることはできない。
参照法条憲法38条3項,刑訴法319条2項

業務上過失致死被告事件において被害者を事前に発見することが不可能であつたという主張と刑訴法三三五条二項

最高裁判所第二小法廷昭和45年2月13日昭和44(あ)1931刑集 第24巻2号17頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨業務上過失致死被告事件において、被害者の自転車が被告人の進路前方に停車中の大型貨物自動車の背後から突如飛び出して来たため、被告人にはこれを事前に発見することが不可能であつたという主張は、刑訴法三三五条二項にいう「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」の主張にあたらない。
参照法条刑訴法335条2項,刑法211条

控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人にあらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとした原決定の合憲性

最高裁判所第三小法廷昭和45年2月13日昭和45(し)5刑集 第24巻2号45頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人に、あらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとして、控訴棄却の決定に対する異議申立を棄却した原決定は、憲法三二条、一三条に違反しない。
参照法条憲法32条,憲法13条,刑訴法386条,刑訴法376条,刑訴規則236条

一 少年の被疑事件につき捜査等に日時を要したため家庭裁判所の審判を受ける機会が失われたときと捜査手続の違法 二 捜査手続の違法と公訴提起の効力

最高裁判所第二小法廷昭和44年12月5日昭和44(あ)858刑集 第23巻12号1583頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 犯時の年令一九年三月の少年の業務上過失傷害被疑事件につき、司法警察員の実況見分調書等に不備があり、その補正に七ケ月余の日時を要し、また、検察庁の事件受理手続が年末事務処理のため遅延をみる等、判文記載の事情のもとにおいては、そのために家庭裁判所の審判を受ける機会が失われたとしても、必ずしも捜査手続が違法となるものでは…
参照法条刑訴法246条,刑訴法248条,刑訴法338条4号,少年法41条,少年法42条

一 裁判所のした提出命令は刑訴法四二〇条二項にいう押収に関する決定にあたるか 二 いわゆる付審判請求事件についてなされた提出命令に対する不服申立の方法

最高裁判所第一小法廷昭和44年9月18日昭和44(し)59刑集 第23巻9号1146頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 裁判所のした提出命令は、刑訴法四二〇条二項にいう押収に関する決定にあたる。 二 いわゆる付審判請求事件についてなされた提出命令に対しては、刑訴法四一九条による抗告をすることができる。
参照法条刑訴法99条2項,刑訴法420条1項,刑訴法420条2項,刑訴法262条1項,刑訴法352条,刑訴法419条,刑訴法433条

一 いわゆる付審判請求事件における被疑者の忌避申立権の有無 二 特別抗告と原決定を取り消しても実益がないようになつたときの措置

最高裁判所第一小法廷昭和44年9月11日昭和44(し)53刑集 第23巻9号1100頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴法二六二条以下に規定するいわゆる付審判請求事件における被疑者は、同法二一条一項により、裁判官忌避の申立をすることができる。 二 忌避申立の対象とされた裁判官が、当該事件の審理を担当する裁判所の合議体の構成を離れたときは、特別抗告の論旨につき判断するまでもなく、同裁判官に対する忌避申立を却下した第一審決定およびこ…
参照法条刑訴法20条,刑訴法21条,刑訴法262条,刑訴法265条,刑訴法266条,刑訴法267条,刑訴法433条1項,刑訴規則13条

第一審判決後被告人の妻によつて選任された弁護人と控訴申立権

最高裁判所第一小法廷昭和44年9月4日昭和43(あ)2531刑集 第23巻9号1085頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第一審判決後被告人の妻によつて選任された弁護人には、被告人のため控訴申立をする権限がない。
参照法条刑訴法30条2項,刑訴法351条1項,刑訴法353条,刑訴法355条

裁判所の庁舎外における勾留質問と憲法三二条

最高裁判所第三小法廷昭和44年7月25日昭和44(し)44刑集 第23巻8号1077頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判官が裁判所の庁舎外で勾留質問を行なつても、憲法三二条に違反しない。
参照法条憲法32条,刑訴法61条,刑訴法207条

勾留状の発せられていない公訴事実を裁量保釈の審査の一資料とすることの可否

最高裁判所第三小法廷昭和44年7月14日昭和44(し)38刑集 第23巻8号1057頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が甲、乙、丙の三個の公訴事実について起訴され、そのうち甲事実のみについて勾留状が発せられている場合において、裁量保釈の許否を審査するにあたり、甲事実の事案の内容や性質、被告人の経歴、行状、性格等の事情を考察するための一資料として乙、丙各事実を考慮することはさしつかえない。
参照法条刑訴法90条

被告人の署名のない弁護人選任届によつてした弁護人選任の効力と憲法三七条三項

最高裁判所第一小法廷昭和44年6月11日昭和44(し)25刑集 第23巻7号941頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨氏名を記載することができない合理的な理由がないのに、被告人の署名のない弁護人選任届によつてした弁護人選任を無効と解釈しても、憲法三七条三項に違反しない。
参照法条憲法37条3項,刑訴法30条1項,刑訴規則1条2項,刑訴規則18条,刑訴規則60条

一 錯誤による上告取下の効力 二 上告取下の撤回の適否

最高裁判所第二小法廷昭和44年5月31日昭和44(あ)314刑集 第23巻6号931頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被告人のした上告取下に錯誤があつたとしても、その錯誤が被告人の責に帰することのできない事由に基づくものでないときは、右取下を無効ということはできない。 二 上告が取下によつて終了した以上、その取下の撤回は認められない。
参照法条刑訴法359条

検察官に対する供述調書についての証拠開示命令が違法であるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和44年4月25日昭和43(し)109刑集 第23巻4号275頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判所が、検察官申請証人の採用決定前に、同証人の反対尋問のため必要であるとの理由で、検察官に対し、その所持する当該証人の検察官に対する供述調書を弁護人に閲覧させることを命じた場合、特段の事情のないかぎり、その閲覧の時期を主尋問終了後反対尋問前と指定したとしても、その閲覧が被告人の防禦のため特に重要であるということはでき…
参照法条刑訴法294条,刑訴法299条1項,刑訴法300条,刑訴法321条1項2号

訴訟指揮権に基づく証拠開示命令

最高裁判所第二小法廷昭和44年4月25日昭和43(し)68刑集 第23巻4号248頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判所は、証拠調の段階に入つた後、弁護人から、具体的必要性を示して、一定の証拠を弁護人に閲覧させるよう検察官に命ぜられたい旨の申出がなされた場合、事案の性質、審理の状況、閲覧を求める証拠の種類および内容、閲覧の時期、程度および方法、その他諸般の事情を勘案し、その閲覧が被告人の防禦のため特に重要であり、かつこれにより罪証…
参照法条刑訴法294条,刑訴法299条1項,刑訴法300条

最高裁 / 民集登載12件

1 捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に当たるとされた事例 2 民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた捜索差押許可状の文書提出命令の申立てに対して刑訴法4…

最高裁判所第二小法廷平成17年7月22日平成17(許)4民集 第59巻6号1837頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨1 警察官が文書提出命令の申立人の住居等において行った捜索差押えに係る捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書は,いずれも,当該警察官が所属し,上記各文書を所持する地方公共団体と文書提出命令申立人との間において,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当する。 2 民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当…
参照法条民訴法220条3号,民訴法220条4号ホ,刑訴法47条,刑訴法110条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項,刑訴法219条,刑訴法222条1項,刑訴規則155条1項,憲法35条

1 弁護人から検察庁の庁舎内に居る被疑者との接見の申出を受けた検察官が同庁舎内に接見の場所が存在しないことを理由として接見の申出を拒否することができる場合 2 検察官が検察庁の庁舎内に接見の場所が存在しないことを理由として同庁舎内に居る被疑…

最高裁判所第三小法廷平成17年4月19日平成12(受)243民集 第59巻3号563頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨1 弁護人から検察庁の庁舎内に居る被疑者との接見の申出を受けた検察官は,同庁舎内に,その本来の用途,設備内容等からみて,検察官が,その部屋等を接見のためにも用い得ることを容易に想到することができ,また,その部屋等を接見のために用いても,被疑者の逃亡,罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの問題が生じないことを…
参照法条刑訴法39条,国家賠償法1条1項

1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否 2 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる…

最高裁判所第三小法廷平成16年5月25日平成15(許)40民集 第58巻5号1135頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等…
参照法条民訴法220条3号,民訴法220条4号ホ,刑訴法47条

一 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関が接見の日時等の指定に当たって採るべき措置 二 被疑者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接…

最高裁判所第三小法廷平成12年6月13日平成7(オ)105民集 第54巻5号1635頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関は、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能なときは、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、被疑者の引致後直ちに行う…
参照法条国家賠償法1条1項 刑訴法39条1項、刑訴法39条3項 憲法34条前段

殺人事件の被害者の両親が加害者とされる少年らの親権者に対して提起した損害賠償請求訴訟において捜査機関等に対する自白に依拠して少年らを殺人等の犯人であるとした認定に経験則違反の違法があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成12年2月7日平成7(オ)793民集 第54巻2号255頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨殺人事件の被害者の両親が加害者とされる少年らの親権者に対して提起した損害賠償請求訴訟において、殺人行為等に関する少年らの捜査機関等に対する自白が極めて詳細かつ具体的であり、その内容が各少年とも大筋において一致し、互いに補強し補完し合うものであっても、右自白には、いわゆる秘密の暴露がなく、一部に捜査官の誤導による可能性の…
参照法条民法709条,民訴法247条,刑訴法317条

司法警察員による被疑者の留置についての国家賠償法一条一項所定の違法性の判断基準

最高裁判所第二小法廷平成8年3月8日平成4(オ)77民集 第50巻3号408頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨司法警察員による被疑者の留置は、司法警察員が、留置時において、捜査により収集した証拠資料を総合勘案して刑訴法二〇三条一項所定の留置の必要性を判断する上において、合理的根拠が客観的に欠如していることが明らかであるにもかかわらず、あえて留置したと認め得るような事情がある場合に限り、国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受け…
参照法条国家賠償法1条1項,刑訴法203条1項

逮捕状の更新が繰り返されている時点における捜査機関又は令状発付裁判官の判断の違法を理由とする国家賠償請求の許否

最高裁判所第二小法廷平成5年1月25日平成1(オ)548民集 第47巻1号310頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨逮捕状の更新が繰り返されている時点で、逮捕状の請求、発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があったとする判断の違法を主張して、国家賠償を請求することは許されない。
参照法条国家賠償法1条1項,刑訴法199条

検察官が訴訟費用の裁判の執行のため発した徴収命令に対する請求異議の訴えの許否

最高裁判所第二小法廷平成4年7月17日平成3(オ)1925民集 第46巻5号538頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨検察官が訴訟費用の裁判の執行のため発した徴収命令に対し、請求異議の訴えによってその効力を争うことは許されない。
参照法条民事執行法35条1項,刑訴法490条,刑訴法502条,刑訴法504条

一 刑訴法三九条三項の規定にいう「捜査のため必要があるとき」に当たる場合 二 捜査機関の接見の日時等の指定の方法と裁量の範囲 三 検察官のした接見等の指定の措置が指定の方法等において著しく合理性を欠き違法なものとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成3年5月10日昭和58(オ)379民集 第45巻5号919頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 刑訴法三九条三項の規定にいう「捜査のため必要があるとき」には、捜査機関が弁護人から被疑者との接見の申出を受けた時に、間近い時に被疑者を取り調べたり、実況見分、検証等に立ち会わせたりするなどの確実な予定があつて、弁護人の必要とする接見を認めたのでは右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合が含まれる。 二…
参照法条国家賠償法1条1項,刑訴法39条1項3項,憲法34条前段

警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被つた場合において右追跡行為が国家賠償法一条一項の適用上違法であるというための要件

最高裁判所第一小法廷昭和61年2月27日昭和58(オ)767民集 第40巻1号124頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故により第三者が損害を被つた場合において、右追跡行為が国家賠償法一条一項の適用上違法であるというためには、追跡が現行犯逮捕、職務質問等の職務の目的を遂行するうえで不必要であるか、又は逃走車両の走行の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の…
参照法条国家賠償法1条1項,警察法2条,警察法65条,警察官職務執行法2条1項,刑訴法212条

一 弁護人から被疑者との接見の申出があつた場合に捜査機関のとるべき措置 二 弁護人の被疑者に対する接見の申出を拒んだ警察官の行為が国家賠償法一条一項にいう違法な行為にあたらないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和53年7月10日昭和49(オ)1088民集 第32巻5号820頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 捜査機関は、弁護人から被疑者との接見の申出があつたときは、原則として何時でも接見の機会を与えるべきであり、現に被疑者を取調中であるとか、実況見分、検証等に立ち会わせる必要があるなど捜査の中断による支障が顕著な場合には、弁護人と協議してできる限り速やかな接見のための日時等を指定し、被疑者が防禦のため弁護人と打ち合せる…
参照法条憲法34条前段,刑訴法39条1項,刑訴法39条3項,国家賠償法1条1項

一、民訴法四二〇条一項六号または七号に基づく再審の訴と同項但書 二、民訴法四二〇条二項後段の再審の要件が具備されたと認められた事例 三、牽連犯の公訴時効 四、民訴法四二〇条一項六号または七号に基づく再審の訴と同法四二四条四項

最高裁判所第三小法廷昭和47年5月30日昭和44(オ)210民集 第26巻4号826頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、民訴法四二〇条一項六号または七号を再審事由とする再審の訴が同条一項但書により許されないのは、再審原告が、再審の訴の対象となつた判決に対する上訴により、右再審事由のほか、同条二項の要件を主張したか、または右要件の存在を知りながらこれを主張しなかつた場合に限られる。 二、偽造された文書が判決の証拠となつた場合において、…
参照法条民訴法420条1項6号,民訴法420条1項7号,民訴法420条1項但書,民訴法420条2項,民訴法424条3項4項,刑法54条1項後段,刑訴法250条,刑訴法253条1項