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最高裁 / 裁判集登載250件
刑訴第四一一条にあたらない一事例 ―既遂と未遂の認定の誤り―
最高裁判所第三小法廷昭和30年4月5日昭和27(あ)6238集刑 第104号21頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論の如く未遂罪であるとしても、只裁判所は減軽を為し得るだけでその他法定刑に変りはなく、その範囲において刑を量定し執行猶予迄言渡した原判決はこれを破棄しなければ著しく正義に反するものとは到底いえない。
参照法条刑法43条,刑法44条,刑訴法411条
刑法二四二条の罪の成立する事例
最高裁判所第二小法廷昭和30年3月23日昭和28(あ)3502集刑 第103号717頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が本件物件は司法警察職員の正当な領置手続の過程において、その命によりa駅長が看守していたもので、a駅長の占有は適法な占有であるとした判断は正当である。註。第一審の認定は他人の占有に係る自己の財物の窃取であり、この判例は右の認定を支持したものである。
参照法条刑訴法221条,刑法242条
一 供述調書中に引用された他の供述調書についても常に証拠調を要するか 二 旧刑訴法第三六〇条第二項の主張にあたらない事例
最高裁判所第三小法廷昭和30年3月22日昭和29(れ)9集刑 第103号599頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 論旨援用の当裁判所の判例は、証拠とされた副検事の聴取書に「司法警察官作成の意見書記載の犯罪事実を読み聞けたところ、相違なき旨を述べた」との記載があり、右の意見書を見なければ聴取書の内容がよくわからないにもかかわらず、この意見書の証拠調をしなかつた場合についてのものである。しかるに本件においては、所論昭和二三年三月二…
参照法条刑訴法305条,刑法249条,旧刑訴法360条2項
証拠調請求につき留保したまま決定をしないことの違法性
最高裁判所第三小法廷昭和30年3月15日昭和29(あ)2413集刑 第103号421頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨Aの裁判官に対する弁解録取書謄本についてはその証拠調が留保になつていることの所論のとおりであるが、前記第三回公判調書の記載と対照してみれば、検察官においてその証拠調請求を撤回したものと解するのが相当である。そうしてこれは第一審判決に証拠として採用されていないと認むべきこと、前記説明においておのずから明らかであるから、所…
参照法条刑訴法405条,刑訴法298条,刑訴規則190条
一 証拠決定に関する意見の聴取は公判調書の必要的記載事項か ―判例と相反する判断をしたことにならない一事例 二 検察官作成の供述調書が証拠能力の認められる事例
最高裁判所第三小法廷昭和30年3月1日昭和29(あ)3145集刑 第103号39頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 論旨前段は、第一審が所論Aの検察官に対する第三、四回供述調書を証拠調するにあたり、被告人に対し意見並に同意の有無を確かめた事跡がない、ということを前提として判例違反を主張する。しかし証拠調につき被告人の意見並に同意の有無を確かめることは、公判調書に記載することを必要とする事項ではないから、公判調書にその旨の記載がな…
参照法条刑訴法321条1項2号,刑訴法326条1項,刑訴法405条,刑訴規則44条,刑訴起訴190条2項
弁護人選任権の不法制限とならない一事例
最高裁判所第二小法廷昭和30年2月23日昭和28(し)56集刑 第102号907頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨憲法三七条三項前段所定の弁護人に依頼する権利は、被告人が自ら行使すべきもので、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければ足るものであること、同条項後段の規定は被告人が貧困その他の理由で弁護人を依頼できないときは国に対して弁護人の選任を請求できるものであり、国はこれに対して弁護人を附すれば足るも…
参照法条憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法272条,刑訴法289条,刑訴法376条,刑訴法386条1項1号,刑訴規則177条,刑訴規則178条(250条)
捜索令状が適法と認められる一事例
最高裁判所第三小法廷昭和30年2月22日昭和28(あ)1307集刑 第102号845頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨捜索令状の被疑者名甲が家主の乙と記載されてあつたとしても、それだけの理由で被疑者甲に対する適法な捜索令状でないとはいえない。
参照法条刑訴法219条,刑訴法218条
刑訴規則第四四条の合憲性
最高裁判所第一小法廷昭和30年2月17日昭和29(あ)1517集刑 第102号775頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第三点は違憲をいうが、刑訴四八条二項は公判調書に記載すべき重要事項範囲を最高裁判所規則に一任しているから、所論規則が起訴状朗読の記載を不要としたことは、刑訴法に反するところはなく、従つて違憲の主張は前提を欠き、採るを得ない。
参照法条刑訴法48条2項,刑訴規則44条,憲法31条,憲法77条
控訴の範囲は何によつて判断すべきか
最高裁判所第一小法廷昭和30年2月17日昭和29(あ)2230集刑 第102号813頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴が、裁判の一部に対して為されたものか、それとも全部に対して為されたものかは、控訴申立書(控訴趣意書でなく)によつて、判断されるべきことである。
参照法条刑訴法357条,刑訴法374条,刑訴法376条,憲法39条
同一勾留に対する勾留理由開示請求の許否
最高裁判所第二小法廷昭和30年2月9日昭和30(す)31集刑 第102号619頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨勾留理由開示の請求は、同一勾留については、勾留の開始せられた当該裁判所において一回に限り許されるものと解すべきである。本件記録によれば被告人に対する勾留は、第一審において開始せられたものが継続しているのであるから、当審において申立てられた本件勾留理由開示の請求は許されるものといわねばならない(昭和二九年(す)第三〇三号…
参照法条刑訴法82条,刑訴法86条,刑訴法97条
一 刑訴法第五〇一条にいわゆる「裁判の解釈について疑があるとき」の意議 二 最高裁判所のした上告棄却の裁判に対し刑訴法第五〇一条による申立をなし得るか
最高裁判所第三小法廷昭和30年1月18日昭和29(す)531集刑 第102号357頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 右に対する昭和二九年(あ)第三〇一四号覚せい剤取締法違反被告事件につて、昭和二九年一二月二一日当裁判所がした上告棄却の判決に対し右申立人から別紙のとおり解釈が求める申立があつたが、刑訴五〇一条にいわゆる「裁判の解釈について疑があるとき」とは判決主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合のことであつて、本件…
参照法条刑訴法501条
刑訴法第四一一条にたらない一事例 ―同意のないのにかかわらず伝聞供述をふくむ証人尋問調書の全般に亘つて罪証に供した場合―
最高裁判所第二小法廷昭和30年1月14日昭和28(あ)443集刑 第102号341頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は第一審第九回公判期日において所論Aの尋問調書の証拠調の施行について、被告人及び弁護人において異議を述べた形跡が窺われないから、右尋問調書中伝聞供述記載部分をも証拠とすることに同意したものと認めることができるとしているけれども、被告人は第一審公判において密入国事実を全面的に否認しているのであるから同公判調書の記載…
参照法条刑訴法324条,刑訴法335条1項,刑訴法411条,刑訴法326条
高血圧に苦んでいた被告人の取調官に対する供述の任意性の有無
最高裁判所第三小法廷昭和29年12月24日昭和29(あ)2029集刑 第101号907頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨は所論被告人の供述が、同人が高血圧に苦しんでいた時なされたものであり、また取調官の誘導尋問にもとずくものであつて、任意性なきこと若しくは任意性なき疑のあるものであるということを前提として、原判決の違憲及び違法を主張する。しかし所論供述が誘導尋問等によつてなされたものであるという事実、その他任意性を欠くものであるとの…
参照法条憲法38条2項,刑訴法319条1項,刑訴法322条1項
一 心神耗弱者に実刑を科する場合には必ず刑の執行を猶予しなければならないか 二 刑訴法第四〇二条に違反しない事例
最高裁判所第三小法廷昭和29年12月24日昭和29(あ)2962集刑 第101号951頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 所論第一点は憲法三六条、一一条、一三条を引用して原判決の憲法違反をいうけれども結局量刑の非難であつて上告適法の理由にならない。若し刑の執行により著るしく健康を害する事情にあれば刑訴四八二条一号により刑の執行を停止することができるのであつて、犯行時心神耗弱の状態にあつたからといつて必ず刑の執行を猶予しなければならない…
参照法条刑法39条2項,刑法25条,刑訴法482条1号,刑訴法402条
刑訴法第五〇二条という「言渡をした裁判所」
最高裁判所第二小法廷昭和29年12月24日昭和29(す)488集刑 第101号967頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は刑訴五〇二条により刑の言渡をした裁判所のすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは執行をすべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである。そして本件被告事件については昭和二八年一〇月一六日長野地裁上田支部において懲役一年(未決勾留日数中三〇日に刑期に算入)、同二九年…
参照法条刑訴法502条
高等裁判所のした確定裁判(控訴棄却決定)に対する異議申立棄却決定とこれに対する特別抗告の適否
最高裁判所第三小法廷昭和29年11月30日昭和29(し)61集刑 第100号789頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨抗告人は昭和二九年二月二七日山梨県東八代郡a村bの自宅において同月六日附で東京高裁第一刑事部のした控訴趣意書の所定期日内不提出を理由とする控訴棄却決定の送達を受けたが、これに対する刑訴三八六条二項に基く異議の申立書は同年三月一〇日附で同月一二日に東京高等裁判所に到達しているに過ぎない。右規定による異議の申立には即時抗告…
参照法条刑訴法422条,刑訴法386条,刑訴法385条2項
証人の供述中の伝聞にかかる部分は証拠とせず、その他の証拠を罪証の用に供したと認められる場合
最高裁判所第二小法廷昭和29年11月26日昭和29(あ)2381集刑 第100号605頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一点所論Aの供述中伝聞に関する部分は、第一審判決は、これを証拠としなかつたものとみとめるを相当とする。(昭和二七年(あ)五六九四号、同二九年二月一八日第一小法廷判決参照)
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法320条,刑訴法324条2項
一 騒擾罪の成立要件 二 訴訟費用の裁判に対する不服申立
最高裁判所第三小法廷昭和29年11月16日昭和28(あ)5577集刑 第100号411頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 騒擾罪は多衆が集合して暴行脅迫をすることによつて成立しその地方の静謐を害することを要件とするものではないから、騒擾罪にあたる事実を判示するには、多衆が集合して暴行または脅迫の行為をしたことを明らかにすれば足り、特にその行為が地方の静謐を害しまたは公共の平和を害するおそれのあることを判示する必要はなく、従つて仮りに同…
参照法条刑法106条,刑訴法335条,刑訴法378条4号,刑訴法181条,刑訴法185条
副検事が地方検察庁支部事務取扱検察官としてなした公訴提起の効力
最高裁判所第三小法廷昭和29年11月16日昭和29(あ)1614集刑 第100号511頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨副検事が地方検察庁支部事務取扱検察官として地裁支部に対してした公訴の提起の有効であることは、すでに当裁判所判決の示したとおりである(昭和二三年(れ)一六三号同二四年四月七日第一小法廷判決)。
参照法条刑訴法247条,検察庁法12条,検察庁法16条2項
訴因変更を要しない例 ―恐喝の起訴に対し脅迫と認定する場合―
最高裁判所第三小法廷昭和29年11月9日昭和28(あ)914集刑 第100号91頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨恐喝として起訴されたものを脅迫と認定しても、脅迫をしたという基本事実に変更がなく、かつ、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずるおそれのないものであるから訴因変更の手続を経る必要はない。
参照法条刑法249条,刑法222条,刑訴法312条
最高裁判所で押収物の売却決定をした事例 ― 裁判所では押収していないが第二審判決で沒収の言渡のあつた船舶 ―
最高裁判所第二小法廷昭和29年10月27日昭和29(す)361集刑 第99号539頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
参照法条刑訴法122条
被告人間の刑の軽重の差異と憲法第一四条
最高裁判所第三小法廷昭和29年10月26日昭和28(あ)4623集刑 第99号389頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨何年間刑の執行を猶予するか、又は何年間選挙権を停止するかということは、事実審たる裁判所が各犯人毎に法定の範囲内で自由に裁量するところに委ねられているものといわなければならない。懲役四月に処せられた他の被告人には一年間の執行猶予が言い渡されたにもかかわらず、懲役三月に処せられた本件被告人には二年間の執行猶予が言い渡され、…
参照法条憲法14条,刑訴法381条
判決書における契印の欠缺の刑訴第四一一条
最高裁判所第三小法廷昭和29年10月26日昭和29(あ)2137集刑 第99号495頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨判決書に契印がないということだけでは判決を破棄すべき法令違反に当らない(昭和二五年(あ)第一九七号同年六月一五日第一小法廷判決参照)。
参照法条刑訴法379条,刑訴法411条,刑訴規則58条2項
一 第一審における執行猶予の判決後控訴審が新たに勾留状を発することの適否 二 第一審における執行猶予の判決後控訴審が新たに勾留状を発した場合における保釈請求の許否
最高裁判所第三小法廷昭和29年10月26日昭和29(あ)2248集刑 第99号507頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 第一審が勾留中の被告人に対し懲役刑の執行猶予の判決を言渡したため勾留状が効力を失つた後においても刑訴第六〇条第一項各号の事由が新たに生じたときは控訴審において新たに勾留状を発することができる。 二 右の場合控訴審において新たに勾留状を発したときの保釈の許否については、刑事訴訟法総則の規定が適用され、第一審が禁錮以上…
参照法条刑訴法60条1項,刑訴法89条,刑訴法344条,刑訴法345条
押収には差押のほかに領置をも含むか
最高裁判所第三小法廷昭和29年10月26日昭和29(あ)2617集刑 第99号531頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論第一点前段は押収中には領置を含まないというが、押収中には強制処分としての差押の外任意処分たる領置も含まれるのであるから、所論は失当である。
参照法条刑訴法99条,刑訴法101条
刑訴第一二三条にいう差出人の意義
最高裁判所第二小法廷昭和29年10月20日昭和29(す)347集刑 第99号241頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨検察官が他から任意提出を受け領置した物件を証拠物として提出し、裁判所がこれを領置した場合には、その者は差出人として裁判所に右押収物の仮還付を求めることができる。
参照法条刑訴法123条,刑訴法221条,刑訴法310条,刑訴法99条
刑訴規則第四四条は控訴審に適用されるか
最高裁判所第三小法廷昭和29年10月19日昭和28(あ)1089集刑 第99号189頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴規則第四四条は、第一審における公判調書の記載要件であつて、控訴審における公判調書の記載要件ではない。
参照法条刑訴法48条2項,刑訴規則44条
国税監察官あての被告人の始末書の証拠能力。
最高裁判所第三小法廷昭和29年10月19日昭和28(あ)4692集刑 第99号195頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論被告人の国税監察官A、同Bあて始末書は、第一審公判において、被告人がこれを証拠とすることに同意しており、右始末書は被告人自身が作成したものであるから供述拒否権の告知があつた旨の記載がないのは当然である。
参照法条刑訴法322条,刑訴法326条
公判廷において尋問すべき旨の証人尋問決定を変更し、その裁判所の公判廷外で受命裁判官に尋問させる旨決定するについては訴訟関係人の意見を聴き、尋問事項を告知することを要するか
最高裁判所第二小法廷昭和29年10月13日昭和28(あ)1641集刑 第99号143頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審第一九回公判調書によれば、所論の前記証拠決定は第一審裁判所が同公判においてさきに為した所論証人を公判において取調ぶべき旨の証拠決定を変更したものと解せられるところ、同決定を為すについては、検査官が右証人の申請理由を述べ、その尋問を求めたのに対し、被告人両名及びその弁護人はこれに同意したことが右公判調書によつて明ら…
参照法条刑訴法163条,刑訴法297条
弁護人が被告人の氏名を代書してした弁護人選任届の効力
最高裁判所第二小法廷昭和29年10月6日昭和27(あ)5417集刑 第99号9頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨かりに所論弁護人選任届に所論のような瑕疵(註、被告人氏名の弁護人による代書)がありとしても、右弁護人は何らの異議なく原審公判に立ち会い弁論をしており、また、その際被告人も、これに関し何ら異議を述べなかつたことは、記録上明らかであるから、右の瑕疵はこれによつて治癒せられたと解すべきである。
参照法条刑訴法30条,刑訴規則18条,刑訴規則61条
高等裁判所のした保釈請求却下決定に対して最高裁判所に抗告をなし得るか
最高裁判所第二小法廷昭和29年10月1日昭和29(す)390集刑 第99号7頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨保釈の請求を却下する決定で高等裁判所がしたものに対しては、刑訴四二八条二項により、その高等裁判所に異議の申立をすることができるのである。従つて、原決定は同四三三条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらないから、これに対し同条所定の特別抗告を申し立てることはできない。
参照法条刑訴法88条,刑訴法428条2項,刑訴法433条
一 刑訴第一〇七条にいう「捜索すべき場所」の表示方法 二 たばこ専売法第六六第一項にいう「所持」の法意
最高裁判所第三小法廷昭和29年9月28日昭和28(あ)1502集刑 第98号853頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論の許可状に臨検すべき場所として「A経営の旅館及附属建物内」と併記されていて現にその地番に同人の居宅が存し同人経営の旅館は右の地番には存しない本件のごとき場合には右の居宅に対する臨検を違法とすべき理由はなく、また、たばこ専売法六六条一項に規定する「所持」を所論(註。処分のための所持ではなく単に預つていたに過ぎない単純…
参照法条刑訴法218条,刑訴法219条,たばこ専売法66条1項
第一審で懲役四月罰金一万円、第二審で懲役三月二年間刑の執行猶予及び罰金一万五千円を言渡した場合と不利益変更禁止の原則違反の有無
最高裁判所第三小法廷昭和29年9月21日昭和28(あ)1109集刑 第98号701頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨は、原判決が不利益変更禁止の規定に反するというのであるが、何が不利益であるかは必ずしも刑訴九、一〇条の刑の順序に従うとのみはいえないけれども、これを全体として観察し、懲役刑が減軽されてその刑の執行が猶予された場合には罰金刑が増額されていても刑訴四〇二条に反しないこと明らかである(昭和二六年(れ)一八二六号同年一一月…
参照法条刑法9条,刑法10条,刑訴法411条,刑訴法402条
刑法第二五条第二項を適用できない場合にこれを適用した判決の違法と非常上告
最高裁判所第二小法廷昭和29年9月17日昭和29(さ)3集刑 第98号667頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑法第二五条第二項によれば、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあつても、その執行を猶予された者が、一年以下の懲役又は禁錮の言渡を受け情状特に憫諒すべきものであるときは再び執行を猶予することができるのであるが、一年を超える懲役又は禁錮の言渡を受けたときは、その執行を猶予することはできないのである。しかるに原判決は前示の如…
参照法条刑法25条,刑法25条ノ2,刑訴法454条,刑訴法458条1号
最高裁判所のした上告棄却の裁判に対し刑訴五〇一条、同五〇二条による申立をなし得るか
最高裁判所第三小法廷昭和29年9月7日昭和29(す)341集刑 第98号505頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件の如く、被告人の上告を棄却した最高裁判所は、右刑訴法五〇一条及び同五〇二条にいう刑の言渡をした裁判所とはいえないから、これに対し、裁判の解釈についての疑義の申立も裁判の執行に関する異議の申立もすることは許されない。(昭和二五年(す)第二〇一号、同年一二月二二日第二小法廷決定、集四巻一三号二八八〇頁、昭和二六年(す)…
参照法条刑訴法501条,刑訴法502条
法令の適用にあたり誤つて余事を記載しても判決に影響しない一事例
最高裁判所第三小法廷昭和29年8月31日昭和28(あ)375集刑 第98号421頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決によれば、被告人A及び同Bの犯罪事実(註、贈賄の事実を指す)は、理由中第二の事実として摘示されているところであつて、それは旧自転車競技法一七条一項に該当するものである。従つて同判決法律適用の部分は、A及びBの所為を同条項に該当するものとして、それぞれ懲役六月及び懲役四月に処する旨判示した後段のみで事足り、前段…
参照法条自車競技法(改正前のもの)16条,自車競技法(改正前のもの)17条,刑訴法44条,刑訴法335条,刑訴法411条
刑訴法第二二七条による証人の供述調書を証拠とするにあたり、被告人の審問権を害しない措置がとられた場合と憲法第三七条―差戻前の公判期日では証拠とすることに同意ある場合―
最高裁判所第三小法廷昭和29年8月24日昭和28(あ)2450集刑 第98号349頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録についてみるに、原判示第三の事実認定の証拠として挙示されている証人A等に対する裁判官の各証人尋問調書によれば右各証人の尋問には検察官及び弁護人が立会つておる。右証人尋問は本件起訴後第一審第一回公判期日前に刑訴二二七条に基ずく請求によつてなされたものであるが、右各調書は差戻前の第一審第一回公判において、検察官から証拠…
参照法条憲法37条2項,刑訴法227条,刑訴法157条
当該事件につき高等裁判所がさきに為した破棄差戻の判決と刑訴法第四〇五条第三号の判例
最高裁判所第二小法廷昭和29年8月20日昭和27(あ)6189集刑 第98号101頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨引用の判決は裁判所法第四条の拘束力があるにとどまり、いまだ刑訴四〇五条三号にいわゆる判例には当らない。従つて所論は判例違反をいうけれども、その実質は単なる法令違反の主張に帰し同四〇五条の上告理由に当らない。(本件における破棄差戻判決は審理を尽していないという趣旨のものである)
参照法条刑訴法405条3号,裁判所法4条
憲法第三七条第一項に違反しない一事例 ―黙秘権告知前の若干の質問、弁護人申請証拠からの取調開始―
最高裁判所第二小法廷昭和29年8月20日昭和28(あ)536集刑 第98号131頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、第一審裁判所が被告人に対し、黙秘権を告げる前に、学校はどこまで行つたか等と尋問したこと、並びに証拠調に際し弁護人申請にかゝる証人からその取り調べを開始したことを捉え予断をもつて審理に当つたものであるから右は憲法三七条一項にいわゆる公平な裁判所の裁判とはいえないというのであるが、一審裁判所の右措置が何等違法でない…
参照法条憲法37条1項,刑訴法291条2項,刑訴法311条,刑訴規則199条
刑訴規則第二四七条により最高裁判所への移送が許可された一事例
最高裁判所第一小法廷昭和29年8月9日昭和29(め)1集刑 第98号11頁
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裁判要旨右に対するあん摩師、はり師、きゆう師及柔道整腹師法違反被告事件について昭和二八年九月八日大津簡易裁判所の言渡した判決に対する上訴事件を最高裁判所に移送することを許可する。
参照法条刑訴法406条,刑訴規則247条,刑訴規則248条
勾留が不当に長いか否かは劃一的に決せられるか
最高裁判所第一小法廷昭和29年8月5日昭和29(す)304集刑 第98号9頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨勾留取消請求事件において勾留による拘禁が不当に長くなつたか否かは当該事案にかんがみて決すべきである。
参照法条刑訴法91条
器物損壊罪における告訴権者 ―法廷の椅子の管理者―
最高裁判所第二小法廷昭和29年7月14日昭和29(あ)1287集刑 第97号365頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論告訴状名義者はいずれも本件器物の管理者であつて、告訴権を有するものであることは裁判所会計事務に関する規定上明らかである。
参照法条刑法261条,刑訴法230条,下級裁判所会計事務規程
証拠の標目中に刑訴三二八条による証拠かかかげられていても、その余の挙示の証拠で犯罪事実が認定され得る場合と刑訴四一一条
最高裁判所第二小法廷昭和29年7月7日昭和28(あ)624集刑 第97号189頁
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裁判要旨刑訴三二八条にいう証拠は被告人、証人その他の者の供述の証明力を攻撃する資料に止まり、同法
三二一条〈種類株主総会の権限〉乃至三二四条の規定で証拠能力が認められていないものであつて、犯罪事実を認定するための刑訴三三五条の証拠の標目として掲記すべきものではないから、第一審判決が所論Aの供述調書を証拠の標目中にかかげたのは失当たるを免れないこと所論…
参照法条刑訴法328条,刑訴法335条,刑訴法411条
前科調書の取調の時期
最高裁判所第三小法廷昭和29年7月6日昭和27(あ)6892集刑 第97号147頁
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裁判要旨証録を調べてみると所論の前科取調書は、検事が他の証拠書類とともに冒頭に取調の請求をしたものであるが、その取調は、他の証拠を取り調べた後になされことが認められるから、なんら違法はない。
参照法条刑訴法301条
控訴審における証人尋問期日に被告人が出頭できなかつた場合と憲法三七条二項
最高裁判所第三小法廷昭和29年7月6日昭和28(あ)15集刑 第97号153頁
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裁判要旨所論は、結論として原判決が証拠とした三名の証人の供述について被告人に審問の機会を与えなかつたこととなるから、憲法三七条二項に違反すると主張するのであるが、その前提として、右三名の証人を取り調べた原審第七回の公判期日の召喚状は、被告人に不送達となつたため、被告人は出廷することができなかつたことを理由とする。しかし記録によ…
参照法条憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴規則63条,刑訴規則67条1項
調書上、刑訴法第二〇三条所定の告知事項の記載のない場合と憲法第三四条
最高裁判所第三小法廷昭和29年7月6日昭和28(あ)72集刑 第97号157頁
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裁判要旨司法警察員が犯人を逮捕した時、犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を犯人に告げたことを必ず調書に記載すべき旨の法規は存在しないから、かかる記載が存しないからといつて被告人の逮捕をもつて憲法三四条に違反するものということはできないことは、当裁判所の判例(昭和二五年(あ)第一一六六号同年一一月三〇日第一小法廷決…
参照法条憲法34条,刑訴法203条
特別抗告理由にあたらない一事例 ―法延警察、訴訟指揮に関する裁判長の処分―
最高裁判所第二小法廷昭和29年6月30日昭和27(し)33集刑 第96号609頁
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裁判要旨本件特別抗告理由は、原決定の違憲を主張するけれども、その実質は申立人にかかる傷害被告事件の原審公判廷において、傍聴人が大声を発し審理不能となつたことを理由として傍聴人全員に退廷を命じた裁判官の起訴指揮は違法であると主張し、また、被告人が朝鮮人であるから充分の資料に基いて日本語を使用せしむべきか否かを判断すべきに拘らず、…
参照法条刑訴法294条,刑訴法433条,刑訴法175条,裁判所法71条,裁判所法74条
控訴審において控訴を棄却する場合には如何なる時期を標準として少年法第五二条の適用の適否を判断すべきか
最高裁判所第二小法廷昭和29年6月30日昭和28(あ)857集刑 第96号605頁
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裁判要旨上訴審において原判決を破棄し自判する場合においては、その自判する時を標準として少年法五二条を適用すべきや否やを決すべきであるが(昭和二六年(あ)第一二四一号同年八月一七日第二小法廷判決、集五巻九号参照)控訴審が控訴を理由ないものとして棄却する場合においては、第一審判決時を基準として被告人に少年法を適用するか否かを決すべ…
参照法条刑訴法396条,刑訴法380条,少年法52条
証人の供述中の伝聞部分を排除してその余を罪証の用に供したと認められる場合
最高裁判所第二小法廷昭和29年6月23日昭和29(あ)799集刑 第96号479頁
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裁判要旨所論証人Aの証言については、同証言中伝聞にわたる部分は、第一審裁判所において排除決定をしていること記録上明らかであるから、第一審判決は、右の部分を除いて同証言を採証したものと解するを相当する。
参照法条刑訴法320条,刑訴法335条1項,刑訴法309条,刑訴規則205条の6
一 供述調書の任意性とその調査の方法 二 犯罪の類似した犯人間の処罰の差異と憲法第一四条 三 多数の同種の違反者が起訴されず被告人らのみ起訴処罰された場合と憲法第一四条
最高裁判所第三小法廷昭和29年6月22日昭和28(あ)321集刑 第96号397頁
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裁判要旨一 事実審裁判所は適当と認める方法で供述調書の任意性を調査すれば足りるのであつて、本件についてもその調査に違法は認められないのであるから所論違憲の主張はその前提を欠くことにより理由がない。 二 犯情の類似した被告人間の処罰の差異が憲法一四情に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)四三五号同年一〇月六日…
参照法条刑訴法319条,刑訴法325条,憲法14条
判決に罰金等臨時措置法の適用を示すことの要否
最高裁判所第三小法廷昭和29年6月22日昭和28(あ)573集刑 第96号447頁
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裁判要旨本件は罰金臨時措置法施行後の犯罪であるから、刑訴三三五条所定の法令の適用を示す場合に同措置法を必ずしも常に示す必要はない(昭和二六年(あ)三九七六号、同二七年一〇月二日第一小法廷判定、判例集六巻九号一〇九七頁を参照)。
参照法条罰金等臨時措置法3条,刑訴法335条
一 共同被告人の検察官に対する供述調書を最初に取り調べることは違法か 二 刑訴三〇五条の定める証拠書類に対する証拠調の方式と刑訴規則二〇三条の二との関係
最高裁判所第二小法廷昭和29年6月19日昭和27(あ)4889集刑 第96号335頁
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裁判要旨一 共同被告人の検察官に対する供述調書は、他の被告人との関係においては刑訴三〇一条の「犯罪事実に関する他の証拠」にあたり、これを最初に取り調べても違法であるとはいえない。即ち同条は他のすべての証拠を取り調べられた後という意味ではなく、自白を補強し得る証拠が取り調べられた後であれば足りるのである(昭和二七年(あ)第五一一…
参照法条刑訴法301条,刑訴法305条,刑訴規則203条の2
裁判官の更迭があつても公判手続を更新する必要のない場合
最高裁判所第二小法廷昭和29年6月16日昭和29(あ)1034集刑 第96号253頁
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裁判要旨単に公判期日を変更する場合の如きその公判期日において事実の審理をする訳ではないからたとえ判事の更迭があつても公判手続を更新する必要はないと認めるのが相当である。
参照法条刑訴法315条,刑訴法276条
再審請求棄却決定に対する即時抗告を棄却した抗告裁判所の決定に対する特別抗告
最高裁判所第三小法廷昭和29年6月15日昭和29(し)20集刑 第96号237頁
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裁判要旨有罪を言渡した確定判決に対する再審の請求を棄却した地裁の決定に対する即時抗告について、高裁が右再審請求の事由とするところは不適法であるとして、右即時抗告を棄却した決定に対しては、右確定判決に憲法違反があることを理由として最高裁判所に特別抗告を申し立てることはできない。
参照法条刑訴法435条,刑訴法446条,刑訴法447条,刑訴法450条,刑訴法433条
弁護人の意見に反し嘱託してなされた証人尋問と反対尋問権
最高裁判所第二小法廷昭和29年6月2日昭和27(あ)6047集刑 第96号7頁
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裁判要旨証人を公判廷で尋問されたい旨の弁護人の意見に反して他の裁判所に嘱託して尋問したからといつて第一審裁判所が弁護人及び当時不拘束の被告人の反対尋問権を侵害したものとは認められず、被告人弁護人が任意にその嘱託尋問に立ち会わなかつたからといつて所論違憲の問題は起きない(昭和二六年(あ)二七六〇号同二七年二月八日第二小法廷判決)…
参照法条刑訴法158条,刑訴法157条,憲法37条2項
古物台帳が改竄されている状況を採証に供する場合に、その状況に関する鑑定が必要か
最高裁判所第三小法廷昭和29年5月25日昭和28(あ)36集刑 第95号525頁
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裁判要旨原判示の様に第一審は古物台帳が改竄されて居る状況を賍物性の知情に関する一つの証拠として居るのであつて、右状況は所論鑑定(改竄された部分の指印が誰のものかという点について)の如何によつて変わるものではないから、鑑定を却下したことは右採証には何等影響のないことで審理不尽の違法は存しない。
参照法条刑訴法165条,刑訴法318条
訴訟費用負担の裁判の執行処分に関する異議申立が理由のない一場合
最高裁判所第三小法廷昭和29年5月25日昭和29(す)145集刑 第95号587頁
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裁判要旨申立人主張のような事由(訴訟費用負担の執行免除の申立を刑務官吏によつて妨げられた旨の主張)は、前記訴訟費用の負担を命ずる裁判について検察官のした執行に関する処分を不当とすべき根拠にはならないから、本件申立は理由がないものとして棄却すべきである。
参照法条刑訴法181条,刑訴法500条,刑訴法502条
綜合認定した証拠の一部に違法なものがあつても判決に影響を及ぼさない一事例
最高裁判所第二小法廷昭和29年5月21日昭和27(あ)4620集刑 第95号493頁
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裁判要旨第一審判決認定の事実は、所論検察官の被告人に対する供述調書(刑訴三二八条の証拠として取調の請求があり、取調のあつたもの)を除いてもその他の同判決挙示の各証拠により認定することができるのであるから、仮りに所論のごとき違法ありとしても原判決に影響を及ぼさないものである。
参照法条刑訴法321条1項3号,刑訴法328条,刑訴法411条
所在不明による証人召喚状の不送達と証拠調施行の不能
最高裁判所第二小法廷昭和29年5月21日昭和27(あ)6033集刑 第95号499頁
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裁判要旨証人が第一審において、所在不明のため、その召喚状不送達となつたときは、証拠調の施行が不能となつたものである。
参照法条刑訴法62条,刑訴法65条,刑訴法54条,刑訴法304条,刑訴法297条,刑訴規則190条
刑訴四一一条にあたらない事例 −控訴審における弁護人の不出頭−
最高裁判所第二小法廷昭和29年5月21日昭和29(あ)448集刑 第95号519頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人から公判期日延期の申請があつても、その申請の理由につき何等疏明もしない本件においては、原裁判所は、これを許さなければならないものではない。原裁判所は右申請を許さず当初指定した公判期日にその公判を開いたものであつて、その法廷において右申請を許さない旨の決定を宣したからといつてその決定を被告人並びに弁護人に通知する必…
参照法条刑訴法276条,刑訴法391条,刑訴法411条,刑訴規則179条の4,刑訴規則179条の5
控訴提起期間の末日が「文化の日」にあたる場合に不成立として棄却した違法は法四〇六条の上告受理申立の理由となるか
最高裁判所第二小法廷昭和29年5月14日昭和29(あ)1101集刑 第95号403頁
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裁判要旨記録を調査するに、原判決の違法であるとはまことに所論のとおりであるから、刑訴四一一条四一三条により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。註。本件は原審が控訴申立期間の最終日が国民の祝日に関する法律により一般の休日と指定された文化の日に当るとを看過して控訴棄却の判決をしたと見られるのであるがこれを右法律の解釈を誤…
参照法条刑訴法373条,刑訴法395条,刑訴法55条3項,刑訴法406条,国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)2条,刑訴規則257条
刑訴三二一条一項二号後段の書面の取調の請求はその供述者に対する証人尋問中になされなければ憲法三七条二項に違反するか
最高裁判所第三小法廷昭和29年5月11日昭和27(あ)6704集刑 第95号273頁
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裁判要旨第一審第一二回公判期日において、右Aの検察官に対する供述調書の証拠調が行われた後、箕山弁護人からこれに対し異議の申立があつたが、裁判官は右異議申立は却下する旨を告げたうえ、反証の取調の請求その他の方法によつて証拠の証明力を争うことができる旨を告げているにかかわらず、被告人側からA証人の再尋問請求はなされた形跡もないので…
参照法条憲法37条2項,刑訴法308条,刑訴法309条,刑訴法321条1項2号
詐欺罪について起訴事実と認定事実とが単に欺罔方法の一部につき差異あるに過ぎない場合と訴因変更の要否
最高裁判所第一小法廷昭和29年4月22日昭和28(あ)2982集刑 第94号587頁
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裁判要旨所論公訴事実と原審認定の事実とはその基本的事実関係において相違するところなく、単に欺罔方法の一部に差異あるに過ぎないのであるから、たとえ原審が訴因変更の手続を経ることなく、判示事実を認定したからとて、これによつて、実質的に被告人に不当な不意打を加えその防禦権の行使を妨げたものと認めることはできないのであつて原判決には所…
参照法条刑法246条,刑訴法256条,刑訴法312条
選挙違反罪において交付又は供与された金員の趣旨につき差異ある場合と訴因変更の要否
最高裁判所第一小法廷昭和29年4月22日昭和28(あ)4213集刑 第94号625頁
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裁判要旨所論原審認定の事実は、犯罪の日時、場所、金員の交付又は供与を受けたとする相手方及びその金額等の点において本件公訴事実と何等の差異もなく、ただ交付又は供与されたとする金員の趣旨について差異あるに止まり、両者間に基礎たる事実の同一性ありと認め得るばかりでなく、その罰条の点においても共に公職選挙法二二一条一項に該当し、単に五…
参照法条公職選挙法221条1項1号,公職選挙法221条1項5号,刑訴法312条,刑訴法256条,刑訴法338条4号
原判決の判断の通りとすれば第一審判決を破棄自判しなければならない場合に控訴を棄却した誤りがあつても結局同一の刑に処するときは、刑訴第四一一条に当らない
最高裁判所第一小法廷昭和29年4月15日昭和28(あ)5689集刑 第94号523頁
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裁判要旨第一審判決は、被告人の本件行為を過剰防衛行為であると認定して法律上の減軽をした上更らに酌量減軽をして被告人を懲役四年に処しているのに、原判決は証拠に基き過剰防衛行為に該当しないことも明らかであるとして被告人の控訴趣意を排斥して控訴を棄却したものであるから、原判決は第一審判決を事実誤認又は判決に影響ある法令違反ありとして…
参照法条刑法36条2項,刑訴法335条2項,刑訴法380条,刑訴法396条,刑訴法402条,刑訴法411条
背任罪成立の一事例 ―大審院令と相反する判断をしたことにあたらない場合―
最高裁判所第三小法廷昭和29年3月30日昭和27(あ)5855集刑 第93号1007頁
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裁判要旨論旨援用の判例(大審院大正三年十〇月一六日刑録二〇輯一八六七頁)は、「本人に損害を加えたる場合においても」「若しその目的にして本人の利益を図るに在りとすれば」背任罪は成立しないというのである。しかるに原判決は、被告人の「所論保障はその主要な目的が直接本人たるA銀行のためでなくして(A銀行の利益をも無視したものではないと…
参照法条刑法247条,刑訴法405条3号,刑訴法408条
甲の私選弁護人が共同被告人乙の国選弁護人を兼ねることと弁護権不当制限の有無
最高裁判所第三小法廷昭和29年3月16日昭和27(あ)5346集刑 第93号451頁
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裁判要旨−被告人間の利害が相反しない事例− 記録によれば、第一審において被告人Aの私選弁護人大曲実形は、同時に共同被告人Bの国選弁護人に選任されたけれども、Bに対する公訴事実は密出国の事実であり被告人Aに対する公訴事実は密出国にあたり登録証明書を返還しなかつた事実及び密輸出を幇助した事実であつて両名間に共犯関係のないことはもち…
参照法条憲法37条3項,刑訴法30条,刑訴法289条,刑訴規則29条2項
第一審判決が証人の供述中の異議申立のあつた伝聞部分のみを排除し、その余を罪証の用に供したと認められる場合
最高裁判所第三小法廷昭和29年3月16日昭和27(あ)5410集刑 第93号469頁
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裁判要旨証人Aの供述につき所論のように弁護人の異議申立により排除決定があつたのは、Bからの伝聞事項に関する部分のみであること原判決の説示するとおりである。そして第一審判決が証拠に引用したのは、前記証人の直接見分した事実に関する供述部分であると原審は認めたのであつて、その判断に誤りはない。
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法320条,刑訴法324条2項,刑訴法309条,刑訴規則205条の6
一 劇場責任者と公然猥褻幇助罪の成立 二 公然猥褻被告事件において証人が演技を観覧した際の感想を述べることは自己の実験した事実に含まれるか
最高裁判所第三小法廷昭和29年3月2日昭和27(あ)5293集刑 第93号59頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 劇場責任者が、その劇場で公演されているストリツプ、シヨウを目撃し、その演技の内容が猥褻であると知りながら、劇場を引き続き使用されるときは、公然猥褻幇助罪が成立する。 二 公然猥褻被告事件において、証人が演技を観覧した際の感想を述べることは、自己の実験した事実の供述に当然包含される。
参照法条刑法174条,刑法62条,刑訴法156条
違憲を主張する上告がその前提を欠く事例
最高裁判所第二小法廷昭和29年2月26日昭和28(あ)4149集刑 第92号815頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨弁護人富田喜作の上告趣意第一点は原判決の憲法三八条三項違反を主張する。しかし、原判決は第一審判決を破棄し自判しているけれども、自から被告人に対する犯罪事実を認定しているものではなく、単に第一審判決の確定した犯罪事実に対し法律を適用したにすぎないから、原判決には所論の如き違法の存する余地はないわけである。従つて論旨は理由…
参照法条刑訴法405条,刑訴法408条
罰則施行前から施行後まで引き続きかつ新旧両法に跨つてなされた麻薬所持に対する適用
最高裁判所第一小法廷昭和29年2月25日昭和27(あ)309集刑 第92号709頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨麻薬所得の罪において、一個の所持が罰則施行前より罰則施行後まで引き続きなされかつ新旧両法に跨つてなされたとしても、その一個の所持全体に対して新法を適用して処置すべきものであつて、罰則施行前の部分を分割して無罪の言渡しをなしまたは旧法の部分を分割してこれに対し旧法および刑法第六条をも適用すべきものではない。
参照法条麻薬取締規則42条,麻薬取締規則56条1項1号,旧麻薬取締法3条1項,旧麻薬取締法57条1項,旧麻薬取締法74条,刑訴法335条,刑法6条
一 所得税脱税犯の成立時期と大赦令適用の有無 二 所得税法違反罪における脱税額の判示方
最高裁判所第三小法廷昭和29年2月23日昭和27(あ)5270集刑 第92号643頁
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裁判要旨一 所論違憲の主張について、その理由とする第一審判決の判示第二の事実に大赦令に当るべき所得税に関するものを包含していてるかどうかを記録によつて調べてみると、大阪国税局告発書脱税額計算書には、過月分給与当月支給額とあつて、昭和二五年四月以降の分について当月とは、四月以降の月を指すこと文理上明らかであるのみならず、給与の支…
参照法条大赦令(昭和27年政令第117号)1条12号,所得税法69条,刑訴法335条
上告棄却の決定に対する再審請求の適否
最高裁判所第二小法廷昭和29年2月19日昭和28(き)31集刑 第92号601頁
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裁判要旨上告を棄却した確定決定に対しては、刑訴法上再審の請求は許されていないのであるから、本件再審請求は不適法として棄却すべきものである。
参照法条刑訴法436条1項,刑訴法446条
公判期の召喚状の不送達と刑訴第四一一条
最高裁判所第一小法廷昭和29年2月4日昭和26(れ)619集刑 第92号59頁
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裁判要旨原審における附郵便送達が事実上到達しなかつたとしても右不送達の原因は、被告人の住居の申出の不完全なことに基因するものと認められるばかりでなく、被告人は、同年三月六日午前九時の判決言渡期日を同年二月二三日適式に通知され且つ右言渡期日に被告人自身が原審公判廷に出頭したにかかわらず、前記再度の公判期日の通知が不送達であつたこ…
参照法条旧刑訴法76条,旧刑訴法410条8号,新刑訴法411条
適法な緊急逮捕により拘禁された被告人の供述調書の証拠能力
最高裁判所第一小法廷昭和29年1月28日昭和26(あ)1050集刑 第91号955頁
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裁判要旨仮りに、被告人の拘禁が不法であつても、その一事でその後における供述調書が強制、拷問又は脅迫による証拠能力のないものといえないことは、当裁判所屡次の判例とするところである。しかのみならず、本件逮捕状は、刑訴二一〇条所定の逮捕状であることが記録上明白であるから、本件逮捕による拘禁は不法とはいえない。
参照法条刑訴法210条,刑訴法319条,刑訴法322条1項,憲法33条,憲法38条1項,憲法38条2項
麻薬の譲受行為とその所持とが併合罪となる一事例
最高裁判所第一小法廷昭和29年1月14日昭和26(あ)2207集刑 第91号219頁
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裁判要旨麻薬の譲受とその譲受けた麻薬の所持が、仮りに、所論のごとく、法律上牽連一罪であるとしても、本件では譲受行為が二回あり、且つ譲受行為が千葉市であり、その譲受けた麻薬が東京都内に運搬され、しかも、譲受けた被告人以外の他の被告人も参加して同都内において所持されたものであるから、譲受行為とは別に独立した所持行為があつたものとも…
参照法条麻薬取締法3条,刑法45条,刑訴法411条
公判調書における判決宣告期日の誤記と判決への影響の有無
最高裁判所第一小法廷昭和29年1月14日昭和26(あ)4393集刑 第91号349頁
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裁判要旨第一審第三回公判調書の記載によれば、第一審判決の宣告期日は、昭和二四年八月三日と指定されており、同第四回公判調書によれば、右八月三日に同判決の宣告が為された旨記載されているが、三輪、豊田両弁護人の上告趣旨第一点、三、挙示の各書面中の年月日の記載によれば、右各公判調書の八月三日の記載は、九月五日の誤記であつて、本件第一審…
参照法条憲法31条,刑訴法379条,刑訴法52条,刑訴法48条,刑訴法411条,刑訴規則44条2号,刑訴規則44条30号
高等裁判所のした控訴棄却の決定に対する、期間経過後の異議申立の適否 ―上訴権回復規定の準用―
最高裁判所第一小法廷昭和28年12月26日昭和27(し)69集刑 第90号693頁
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裁判要旨原決定が本件異議の申立を棄却したことには、何ら訴訟法違反の点はないから、所論はその前提を欠き採用することができない。(なお、記録によると本件異議の申立は法定の申立期間後に提出されたものであり、これと同時に異議権回復の請求がなされたとは認められないから(刑訴三六三条二項参照)、原決定が控訴趣意書提出の遅延事由につき「やむ…
参照法条刑訴法385条,刑訴法428条,刑訴法426条,刑訴法422条
宣告刑を、判決書と告知された判決との間に、有罪として認定された犯罪事実の個数が合致するか否かの判断の資料に供することができるか
最高裁判所第二小法廷昭和28年12月25日昭和26(あ)2313集刑 第90号399頁
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裁判要旨第一審裁判所の判決書において有罪として認定摘示された犯罪事実の個数と宣告された判決において有罪として告知された犯罪事実の個数とが合致するかどうか、即ち判決書には全部有罪となつているが、宣告の際には一部分を無罪として告知したかどうかを上訴審において判断する場合、争なき宣告刑をその判断の資料の一つに供することは妨げない。
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法336条,刑訴法333条1項,刑訴法379条,刑訴法381条,刑訴規則34条,刑訴規則35条
証拠調に異議の申立をしなかつたことと証拠とすることの同意
最高裁判所第二小法廷昭和28年12月25日昭和27(あ)4841集刑 第90号515頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人及びその弁護人は、第一審において右犯罪事実を全部認めているのであり、検察官の右書面に対する証拠調については異議のない旨述べており、右証拠調の実施後においても、被告人も弁護人も何らの異議の申立をしていないのであるから、本件においては、被告人は右各書面を証拠とすることに同意したものと認めるのを相当とする。
参照法条刑訴法323条1号,刑訴法321条1項1号,刑訴法326条
法廷秩序維持のためにした裁判長の退去命令と裁判公開の原則
最高裁判所第二小法廷昭和28年12月25日昭和28(し)76集刑 第90号641頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨後段は、憲法の保障する公開裁判の原則に反すると主張するけれども、所論裁判長の命令は、要するに法廷における被告人、傍聴人に対して拍手等法廷秩序の妨害となるがごとき所為をなさざるよう予め注意を喚起するの趣旨に出でたもので、もとより当然の事理に属するところであつて、被告人らが右の命令に反する所為をしないかぎり、その在廷を…
参照法条刑訴法288条2項,憲法37条1項
刑訴規則第二五四条と跳躍上告の適否
最高裁判所第一小法廷昭和28年12月24日昭和25(あ)630集刑 第90号211頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件はいわゆる跳躍上告事件であるが、検察官でない者が、地方裁判所のした第一審判決に対して控訴審を飛び越え最高裁判所に上告をするには、その第一審の判決において法律等が憲法に違反するものとした判断が不当であることを理由とするときに限り許されるものであつて、本件のごとくかかる判断を含まない第一審判決の違憲を理由として跳躍上告…
参照法条刑訴法406条,刑訴規則254条1項
刑訴一七条一項各号に当らない事例
最高裁判所第二小法廷昭和28年12月19日昭和28(し)2集刑 第90号61頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判所の所管公文書毀棄の犯罪事実が当該裁判所に起訴審理されたからといつて、その一事をもつて直ちに刑訴一七条一項各号の事由があるものということはできない。
参照法条刑訴法17条,刑訴法433条
第一審における証人喚問手続に関する違法があつても判決に影響を及ぼさない事例
最高裁判所第一小法廷昭和28年12月17日昭和25(あ)334集刑 第89号489頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審の裁判官が職権を以て所論証人を喚問する旨の決定をするについて検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなかつたことは所論のとおりであるが、検察官及び被告人又は弁護人はこれに対し何等異議の申立をした形跡はなく、却つて、右証人尋問の際、検察官及び弁護人は自ら進んで右証人の尋問をもしていることが認められるのであるから、前記…
参照法条刑訴法298条2項,刑訴法299条2項,刑訴法379条,刑訴規則190条2項後段
刑訴法第三二一条第一項の「被告人以外の者」及び同第二二三条第一項の「被疑者以外の者」の意義
最高裁判所第二小法廷昭和28年12月16日昭和28(あ)4054集刑 第89号459頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論の各供述書は、たとえ本件の事実に直接関係のある者であつても、本件被告人に対する関係で、刑訴三二一条一項の「被告人以外の者」又は同二二三条一項の「被疑者以外の者」にあたることは明らかである。
参照法条刑訴法321条1項,刑訴法223条1項
弁護士は資格のある弁護人か
最高裁判所第三小法廷昭和28年12月15日昭和27(あ)5113集刑 第89号317頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨国選弁護人は、裁判所がその所在地に在る弁護士の中から、特に明らかに不適当な事情のない限り、何人かを選任すれば足りるのであつて各選任毎にその弁護人の実質的な能力責任感の強弱等を調査する責務を負担するものとは解されない。
参照法条憲法37条3項,刑訴法272条,刑訴法36条,刑訴規則177条
刑訴第三九三条による事実取調の方法。
最高裁判所第二小法廷昭和28年12月11日昭和27(あ)5265集刑 第89号209頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴裁判所が公判廷に出頭した被告人に対し必要と認めて事件に関連する事項を質問することは、刑訴三九三条一項の事実の取調として許されることは論旨も認めるとおりであるが、右事実の取調として被告人に質問するにあたり、所論のように訴訟関係人の意見を聞き、決定を以つて右質問を開始することを宣言しなければならないという法則は何処にも…
参照法条刑訴法393条,刑訴法311条
第二回目の酒税法違反についての証拠物件の存在と第一回、第二回違反の自白の補強証拠
最高裁判所第三小法廷昭和28年12月8日昭和27(あ)3601集刑 第89号151頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人は昭和二六年六月初旬以来米麹二斗五升白米三斗位の蒸米に約水一石位を加えこれを醗酵させて約一石四斗位の醪を作り、うち七斗を蒸溜して酒精分二十三度位の焼酎約一斗九升五合位を製造して他に販売し、残り七斗の醪は同月中旬頃蒸溜して酒精分二十三度位の焼酎約一斗九升五合位を製造して所持しておるところを押えられたと供述している。…
参照法条酒税法16条,酒税法60条,酒税法3条,酒税法12条,憲法38条3項,刑訴法317条,刑訴法319条2項
旧刑訴第四八五条第六号にあたらない再審請求の一事例
最高裁判所第一小法廷昭和28年12月3日昭和25(き)2集刑 第89号95頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨しかし本件被告事件の記録に徴すれば、請求人申出の証人の中A並びに当時捜査を担当していた府中町警察署勤務警部補Bは、控訴審たる東京高等裁判所において証人として尋問されているのであり、不在証明を立証しようとするCについては、同人と被告人Dとの交渉関係につき司法警察官作成の聴取書が存し公判廷においてその証明調がなされているも…
参照法条旧刑訴法485条6号
捜索差押調書に対する証拠調の方式
最高裁判所第二小法廷昭和28年11月30日昭和27(あ)3578集刑 第88号1145頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨捜索差押調書は捜索差押許可状と共に提出しなければ証拠能力を欠くということはない。
参照法条刑訴法218条,刑訴法305条
証人尋問期日通知書の送達の不適法と憲法第三七条第二項(証人尋問期日通知書の送達に関する違背とその治癒)
最高裁判所第一小法廷昭和28年11月19日昭和28(あ)2072集刑 第88号581頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨証人尋問期日通知書の送達が不適法であつたため弁護人が出頭できなかつた違法があつたとしても、原審第二回公判期日に所論の各証人尋問調書は朗読されており、これに対し弁護人から何らの請求も異議の申立もなされておらず、却つて弁護人において尋問調書を弁論に援用しているのであるから、右違法は判決に影響を及ぼすものとは認められないので…
参照法条憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法393条,刑訴法411条1号
被告人、弁護人が書面を証拠とすることに同意した場合と任意性調査の要否
最高裁判所第三小法廷昭和28年11月17日昭和27(あ)4255集刑 第88号511頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人及び弁護人が前記書面を証拠とすることに同意したことは、すなわちその供述が任意になされたことを認めたのであり従つてその証拠能力を認めた趣旨であるから、一旦同意した後さらにまた任意性を争うのは前後矛盾する行為であつて、後にかかる主張をしても結局採用することができない。
参照法条刑訴法325条,刑訴法326条
「旧刑事訴訟法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則」第六条によつて事実の摘示証拠の説明を記載した判決の趣旨
最高裁判所第二小法廷昭和28年11月13日昭和26(れ)2321集刑 第88号347頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨「旧刑事訴訟法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則」第六条により、判決の事実の摘示証拠の説明として、「罪となるべき事実は原審判決に記載してある通りであつて、右は控訴申立人において不服のないところである」と記載した控訴審判決は、右規則第五条に則つて、被告人に不服のない限度において、第一審判決の認定した事実…
参照法条旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則5条,旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則6条,旧刑訴法360条1項,新刑訴法335条1項
訴因罰条の変更を要しない一事例 ―刑法一〇八条の放火未遂を一一〇条一項の放火の既遂と認定する場合―
最高裁判所第三小法廷昭和28年11月10日昭和27(あ)4808集刑 第88号259頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裁判所が刑法一〇八条の放火の未遂の起訴に対し、同法一一〇条一項の放火の既遂を認定するについては、訴因罰条の変更手続を経る必要がないものと解するのが相当である。
参照法条刑法108条,刑法112条,刑法110条,刑訴法312条,刑訴規則209条
上告棄却の決定に対する再審請求の許否。
最高裁判所第三小法廷昭和28年11月10日昭和28(き)14集刑 第88号285頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴法は、上告を棄却した確定判決に対しては、その判決の証拠が偽造、若しくは虚偽であること又は、その判決又は証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官に涜職行為があつたこと等が確定判決で証明されたときに限り、再審を許すけれども、上告が不敵法であるか又は明らかに上告理由に当らない場合になす、上告棄却の決定に対してはこれを許…
参照法条刑訴法436条1項
綜合認定した証拠の一部に違法なものがあつても判決に影響を及ぼさない一事例 ―検察官が刑訴三二八条により提出した供述調書に対し、取調の同意はあつたが証拠とすることの同意があると認められない場合―
最高裁判所第二小法廷昭和28年10月19日昭和27(あ)2904集刑 第87号531頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審第三回公判調書には、「検察官は……刑事訴訟法第三二八条により、四、Aの麻薬取締官作成第一回供述調書一の各取調べを請求した」と明記されているから、そのあとに、「被告人及弁護人は、右各書面の取調べに異議なく之を証拠とするに同意する…旨述べた」とあるのは、Aの供述調書についてはこれを事実認定の証拠とすることに同意(刑三…
参照法条刑訴法321条1項3号,刑訴法328条,刑訴法326条,刑訴法335条,刑訴法411条
刑訴四一一条に当る一事例。第一審で確定した部分につき控訴審が更に審判したとき
最高裁判所第一小法廷昭和28年10月15日昭和27(あ)3989集刑 第87号377頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審が控訴審として既に第一審判決の確定によつて完結した銃砲等所持禁止令違反事件についてまで審判をなしたのは違法であり、刑訴四一一条一号に基きこの部分を破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならない。(そして、右銃砲等所持禁止令違反の点については、前示の如く第一審判決の確定により事件は完結し、その判決の効力が…
参照法条憲法39条後段,刑訴法411条,刑訴法357条
伝聞供述の内の訂正された部分は証拠としなかつたものと見るべきか
最高裁判所第三小法廷昭和28年10月6日昭和27(あ)2930集刑 第87号171頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論証人Aの伝聞にかかる供述部分は、同証人が反対尋問に対する供述で訂正したのであるから、第一審判決が証拠の標目として同証人の供述を挙示した場合においても右訂正された部分は証拠としなかつたものと見るべきである。されば右伝聞供述を証拠としたことを前提とする判例違反の論旨は問題とならない。
参照法条刑訴法321条1項3号,刑訴法324条
認定事実に関係なき事項について無用の説示をした判決の適否
最高裁判所第一小法廷昭和28年10月1日昭和27(あ)6219集刑 第87号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論A及びBの共犯関係についての原判決の説示は所論の事実ありと仮定して無用の説明をなしたに過ぎないものであるからこの点を捉えて云為する論旨(註、共犯関係については何らの証拠がないから憲法一一条に違反するとする事を指す)は原判決を破棄する理由となすに足りない。
参照法条憲法11条,刑訴法411条,刑訴法396条,刑訴規則246条
緊急逮捕と逮捕状発付の時期
最高裁判所第二小法廷昭和28年9月30日昭和27(あ)3354集刑 第86号1207頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人の逮捕は、刑訴二一〇条によるいわゆる緊急逮捕であつたことが認められるから、逮捕状の発付が逮捕の後であることは当然である。
参照法条刑訴法210条
綜合認定した証拠の一部に刑訴三二八条に基き提出した証拠があつても判決に影響を及ぼさない一事例
最高裁判所第二小法廷昭和28年9月30日昭和27(あ)3684集刑 第86号1219頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論供述調書は刑訴三二八条に基き提出されたもので、本件事実認定の資料となし得ないものであること所論のとおりであるが、第一審判決挙示の証拠中右調書を除いてもその余の証拠だけで、十分に同判決摘示の事実を認定し得るから、右の違法は未だ原判決を破棄するに足る事由となし得ない。
参照法条刑訴法328条,刑訴法317条
重症の結核患者に実刑を科することと憲法第三六条
最高裁判所第三小法廷昭和28年9月22日昭和28(あ)1703集刑 第86号913頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨仮りに被告人に所論のような病状(重症の肺結核)があつても、それは刑の執行の面において考慮せらるべき事項であるから、原判決が被告人に実刑を科したからといつて、憲法三六条に違反するとはいえない。
参照法条憲法36条,刑訴法482条
検察官のした押収物還付処分に対する変更請求事件の決定に対する特別抗告の適法の理由なき事例
最高裁判所第二小法廷昭和28年9月16日昭和28(し)11集刑 第86号677頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨検察官のした押収物還付処分は還付すべき相手方を誤認したとしてその変更を求める請求を、単に理由なきものと認めて棄却したに過ぎない下級裁判所の決定に対しては、たとえ該決定の違憲を云為しても特別抗告適法の理由とはならない。
参照法条刑訴法430条1項,刑訴法432条,刑訴法426条,刑訴法427条,刑訴法433条
懲役一年の言渡を受け勾留中の被告人に対してなした控訴裁判所の第二回の勾留更新決定の可否
最高裁判所第二小法廷昭和28年7月31日昭和28(し)30集刑 第85号697頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨前審判決により禁錮以上の刑の宣告を受けた勾留中の被告人に対しては、刑訴六〇条一項一号乃至三号に当る事由が存続し同三四三条の趣旨に従い勾留を継続する必要があると認められる限り勾留期間を更新することができるものと解するを相当とする。されば原決定が、被告人は当該事件の第一審裁判所で懲役一年の言渡を受けて勾留中のものであり、な…
参照法条刑訴法60条1項,刑訴法60条2項,刑訴法343条,刑訴法344条
供述調書の任意性の調査方法。
最高裁判所第一小法廷昭和28年7月23日昭和27(あ)5553集刑 第85号303頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨供述調書の任意性は、裁判所が適当と認める方法で調査すれば足りるものである。
参照法条刑訴法325条
第二審において、第一審判決を破棄自判するに当り、自ら証拠説明をしている場合と、第一審認定の摘示事実の引用
最高裁判所第三小法廷昭和28年7月22日昭和27(あ)1088集刑 第85号177頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、第一審判決中被告人に関する部分を破棄した上、新たに証拠説明をやり直しているから、自ら事実認定をして第一審判決の摘示事実を引用した趣旨と解される。従つて原判決には所論のように理由を附しないという違法はない。
参照法条刑訴法380条,刑訴法397条,刑訴法335条
綜合認定した証拠の一部に刑訴三二八条により提出したに過ぎない証拠があつても、判決に影響を及ぼさない一事例
最高裁判所第三小法廷昭和28年7月22日昭和27(あ)1183集刑 第85号187頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決の採用した証拠が刑訴三二八条の証拠として検察官により提出されたことは認められるが、原審は事実の取調として所論の二証人を含む計一三名の証人と被告人本人を各尋問した上これらの証拠に基いて第一審判決を維持したのであるから、なんら違法を認めることはできない。
参照法条刑訴法328条,刑訴法393条,刑訴法317条
被疑者の弁解録取書の作成にあたり、いわゆる黙祕権の告知が必要か。−刑訴法二〇三条に基く弁解録取書と同法一九八条に基く取調調書との関係
最高裁判所第三小法廷昭和28年7月14日昭和27(あ)772集刑 第84号799頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴二〇三条に基く司法警察員の被疑者に対する弁解録取書は、専ら被疑者を留置する必要あるか否かを調査するための弁解を録取する書面であつて、同一九八条の被疑者の取調調書ではないから、刑訴法上その弁解の機会を与えるには犯罪事実の要旨を告げれば充分であつて、同一九八条二項に従いあらかじめ被疑者に供述を拒むことができる旨を告げる…
参照法条刑訴法203条,刑訴法198条
控訴趣意書を援用すると記載した上告趣意書の適否
最高裁判所第三小法廷昭和28年7月14日昭和27(あ)782集刑 第84号509頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨は、本件記録添附の控訴趣意書を援用するというのであるが、上告趣意書自体にその趣意内容を示さず記録中の他の書面を援用するに過ぎないものは適法な上告趣意といえない(昭和二五年(あ)一二二〇号同年一〇月一二日当裁判所第一小法廷決定参照)。
参照法条刑訴法407条,刑訴規則240条
刑の執行猶予取消請求事件において弁護人選任等の告知をする必要があるか
最高裁判所第二小法廷昭和28年7月13日昭和28(し)5集刑 第84号477頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑の執行猶予取消請求事件において、所論のような弁護人選任等の告知をする必要のないことは原決定の説示するとおりであるばかりでなく、公判手続においてすら、右の告知をしなかつたからといつて、憲法三七条三項に違反するものでないことは当裁判所の判例とするところである。(昭和二五年(あ)第二一五号昭和二八年四月一日大法廷判決参照)…
参照法条憲法37条3項前段,刑訴法272条,刑訴規則178条
不起訴釈放した後、起訴することと一事不再理の原則
最高裁判所第一小法廷昭和28年7月2日昭和27(あ)4500集刑 第84号23頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一旦不起訴釈放した後、起訴したとしても遡及処罰又は一事不再理の違反であるといえないこと多言を要しない。
参照法条憲法39条,刑訴法248条
税務署員が被告人等の暴行脅迫により捜索差押許可状を呈示できなかつた場合と公務執行妨害罪の成立
最高裁判所第二小法廷昭和28年6月19日昭和27(あ)37集刑 第83号319頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨税務署員において捜索差押許可状をその処分を受ける者に対し呈示することが法の要請するところであるとしても、本件の如く相手方においてこれが呈示を要求した事実の認められないのは勿論、これを呈示することが事実上不可能であつたと認められる場合においては、たとい税務署員が許可状を呈示しなかつたとしても、唯だその一事により、その調査…
参照法条刑訴法110条,国税犯則取締法2条,刑法95条
刑訴第四一一条にあたらない一事例−収税官吏が臨検捜索にあたり被告人の暴行により令状を示すことができなかつた場合
最高裁判所第二小法廷昭和28年6月12日昭和26(あ)3865集刑 第82号641頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨収税官吏が令状を被告人に示さなかつたことは論旨主張のとおりであるが、右は収税官吏が臨検捜索をなさんとしたとき被告人が不在であつたので警察吏員立会のもとにこれを開始したが、その執行の途中で被告人が帰宅するや、これを見た被告人は痛く憤慨して収税官吏に暴行を加えたので令状を被告人に示すことができなかつたためであるときは、令状…
参照法条刑訴法110条,刑訴法411条,国税犯則取締法2条,国税犯則取締法6条,刑法95条
刑訴法第四一一条にあたらない一事例―併合罪の一につき誤つて累犯加重をしたとき―
最高裁判所第二小法廷昭和28年6月12日昭和27(あ)278集刑 第82号735頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨窃盗の犯罪事実の一につき累犯にあたらない場合に累犯加重をした違法があつても、他の犯罪事実につき適法に累犯加重がなされ、その事実を最も重しと認めて併合罪加重をした所定刑期範囲内で処断された趣旨が明であるときは、未だ右違法は刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
参照法条刑訴法411条,刑法56条,刑法57条,刑法45条
被告人側が証拠とすることには同意するが内容には異議があると述べた告訴状の証拠力
最高裁判所第二小法廷昭和28年5月29日昭和26(あ)2992集刑 第81号597頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨告訴状につき弁護人及び被告人がこれを証拠とすることに同意するが告訴状の内容については異議があると述べたときは結局告訴状の証拠能力は認めるが証明力は争うという趣旨であると認められる。
参照法条刑訴法230条,刑訴法318条
数名の被告人にかかる各別異の事件が併合されている場合における検察官の冒頭陳述の方式(程度)。
最高裁判所第三小法廷昭和28年5月12日昭和26(あ)3770集刑 第80号331頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨検察官の冒頭陳述は、数名の被告人にかかる各別異の事件が併合されている場合においても、いかなる証拠によつていかなる事実を明らかにするのかを明示しなければならないものではない。
参照法条刑訴法296条
公判期日外における証人尋問に被告人及び弁護人が立ち会わなかつたことと憲法第三七条第二項
最高裁判所第二小法廷昭和28年5月1日昭和26(あ)4426集刑 第80号35頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審が被告人及び弁護人に対して公判期日外の証人尋問に立会の機会を与え(両名とも不出頭)、その証人尋問調書の証拠調に当つて異議を述べる機会を与え被告人の審問権を実質的に害しない措置を講じたことは明かであるから、被告人が右証人尋問に立会せしめられなかつたことをもつて刑訴一五九条二項乃至憲法三七条二項に違反するということで…
参照法条憲法37条2項,刑訴法158条,刑訴法159条,刑訴法309条
警察職員による被疑者の取調と黙祕権または供述拒否権の告知の要否
最高裁判所第二小法廷昭和28年5月1日昭和26(あ)4531集刑 第80号49頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨警察職員が被疑者を取り調べるにあたつて、あらかじめいわゆる黙祕権または供述拒否権のあることを告知しなかつたからといつて、憲法三八条一項に違反するものでないこと及び右告知のなかつた一事を以つて右取調に基く被疑者の供述が任意性を欠くものと速断することのできないことは当裁判所の判例の趣旨に徴し極めて明かである。(昭和二三年(…
参照法条憲法38条1項,刑訴法189条
第一審裁判所が懲役刑につき誤つてその執行を猶予したが控訴中に執行を猶予しうる状態が生じた場合と控訴裁判所の量刑
最高裁判所第二小法廷昭和28年4月30日昭和26(あ)3266集刑 第79号633頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審裁判所が禁錮以上の刑に処せられてその執行を終つた日から七年を経過しない者に対し、誤つて懲役刑に執行猶予を付したが、控訴中に七年を経過した場合、控訴裁判所が第一審判決を破棄した上、更めて実刑を科することは違法ではない。
参照法条刑法25条,刑訴法380条,刑訴法397条,刑訴法400条
検察庁における被告人の供述が畏迫強制に基くものとは認められない一事例
最高裁判所第一小法廷昭和28年4月23日昭和26(あ)5243集刑 第79号213頁
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裁判要旨被告人が検察庁に身柄を送致されるに際し、警察署で事実をはつきりいえば保釈して貰えるというような事を言い聞かされたとしてもこの一事だけで検察庁における被告人の供述が畏迫強制によるものであると断ずることを得ない。
参照法条刑訴法319条,刑訴法322条,刑訴法198条,憲法38条
刑訴二二七条により証人訊問した裁判官による裁判と公平な裁判所の裁判
最高裁判所第一小法廷昭和28年4月16日昭和27(あ)1327集刑 第78号685頁
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裁判要旨刑訴二二七条により証人尋問をした裁判官は事件の審判から除斥されるものでもなく、所論裁判官は本件訴訟手続において忌避の申立を受けた事実もないのであり、且つ所論証人尋問調書を証拠とすることには被告弁護人も同意しているのであるから、公平な裁判所でないとの所論は採るを得ない。
参照法条刑訴法227条,刑訴法20条,刑訴法21条,憲法37条1項
法令の適用の誤りがあつても刑訴法第四一一条に当らない一事例
最高裁判所第三小法廷昭和28年4月14日昭和26(あ)4004集刑 第78号445頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決の認定した六つの犯罪事実中第一乃至第四の所為は罰金等臨時措置法施行期日前の行為であるから、新旧両法の定める罰金刑を比照した上、軽い旧法を適用すべきであるにかかわらず、第一審判決が重い新法を適用して処断したのは違法たるを免れない。しかし前記六つの犯罪の中前の四つにつき旧法を適用するとしても、後の二つについては新…
参照法条罰金等臨時措置法2条,罰金等臨時措置法3条,刑法48条2項,刑訴法411条
共犯関係にある者の一方(共同審理を受けていない)を他方のための証人として尋問することと憲法第三八条第一項
最高裁判所第三小法廷昭和28年4月7日昭和28(し)23集刑 第78号203頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨「何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。」のであるから(刑訴一四六条)、被告人と共犯関係があるものとして起訴されている者が証人となつても、自身の公訴事実について不利益な証言を強要されることにはならない。
参照法条刑訴法146条,憲法38条1項
一の事実についての自白の補強証拠によつて他の事実についてなされた自白を補強することができるか
最高裁判所第二小法廷昭和28年4月3日昭和26(あ)3183集刑 第78号119頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審判決が被告人の自白の補強証拠とした試験検定又は鑑定の目的となつた残存の合成清酒及びAが飲用し又は譲り受けた合成清酒が、仮りに所論のように第一審判決摘示の第一の(四)の事実によつて製造されたものであつたとしても、これら各証拠が右と同一方法によつて合成清酒を製造したという同第一の(一)乃至(三)の事実の補強証拠になり…
参照法条刑訴法318条,刑訴法319条2項,刑訴法165条
控訴趣意書提出最終日の指定、変更、公判期日の指定には裁判書の作成を必要とするか
最高裁判所第三小法廷昭和28年3月31日昭和27(あ)4526集刑 第77号669頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴趣意書提出最終日の指定、その変更及び公判期日の指定は、刑訴規則五五条二項の裁判書とはいえないから、所論の書類に裁判官の署名若しくは記名がないからといつて、かゝる指定を無効とすべきいわれはない。
参照法条刑訴規則55条,刑訴規則236条,刑訴法273条
一 捜索差押許可状の違法は差押調書の証拠能力に影響するか 二 同一書記官が第一、二審の審理に立ち会つたことと憲法第三七条
最高裁判所第一小法廷昭和28年3月26日昭和26(あ)1694集刑 第77号245頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 仮りに捜索差押許可状に差し押えるべき物の特定を欠く違法があつたとしてもその一事によつて、所論差押調書そのものが無効となるものとはいえないし、また右調書を証拠に供することについては、被告人並びに弁護人が同意しているのみならず、原判決判示第一の事実は、右調書の記載を除外した他の証拠によつてもこれを認定し得るのであるから…
参照法条憲法33条,憲法37条1項,刑訴法99条,刑訴法102条,刑訴法106条,刑訴法282条,刑訴法26条,刑訴法20条
有罪判決を受けて服役中の共犯者の供述の証拠能力
最高裁判所第一小法廷昭和28年3月26日昭和26(あ)2856集刑 第77号327頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録によれば同人(註、共犯者たる証人を指す)は既に有罪の判決を受けて事件が確定し、服役中の第三者であつて、右供述(註、第一審公判廷における供述及び検察官に対する供述)は、その服役中のものにかかり、従つて、その供述は証言であつて、自白とはいえないことは明らかである。
参照法条刑訴法317条,刑訴法143条,刑訴法321条1項2号,憲法38条
非常上告につき原判決を破棄して更に判決をした一事例。(執行猶予中の前科刑に対し累犯加重をした場合)
最高裁判所第二小法廷昭和28年3月20日昭和28(さ)2集刑 第76号663頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決において当時被告人の判示前科の刑が執行猶予中であることを認定しながら、刑法五六条、五七条を適用して累犯加重をした上被告人を懲役一年に処する旨の言渡をなしたことは、右各法条の適用を誤つた違法があり、本件非常上告は理由があるのみならず、原判決は被告人のため不利益であること明らかであるから、刑訴四五八条一号により原判決…
参照法条刑法25条,刑法56条,刑法57条,刑訴法411条
公判調書に予め不動文字を印刷した用紙を利用することと憲法第三七条
最高裁判所第三小法廷昭和28年3月17日昭和26(あ)3090集刑 第76号273頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審における所論公判調書中検事の意見陳述の記載につき印刷文字を用いていることは所論のとおりであるが、右は検事が同旨の意見陳述をしたればこそ、かかる印刷文字の記載のある用紙を利用して、公判調書の作成を簡略にした趣旨であることは一見して明瞭であつて、到底所論の如く、原裁判所が控訴趣意の理由なきことを予断して公判に臨んだもの…
参照法条憲法37条,刑訴法48条,刑訴法389条
旧刑訴事件について高等裁判所がした再審請求棄却決定に対する異議申立の適否
最高裁判所第三小法廷昭和28年3月10日昭和28(す)68集刑 第75号729頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨旧刑訴事件について高等裁判所のした再審の請求棄却決定に対しては同裁判所に異議の申立をすることは許されない。
参照法条刑訴法428条,旧刑訴法505条,刑訴施行法2条
準起訴手続における審判請求棄却の決定に対し特別抗告が許されるか
最高裁判所第三小法廷昭和28年3月3日昭和28(し)3集刑 第75号103頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨準起訴手続審判請求棄却の決定に対しては、刑訴四三三条の事由がある限り抗告の手続を経ないで特別抗告することができる。
参照法条刑訴法262条,刑訴法266条,刑訴法419条,刑訴法420条,刑訴法433条
判決に罰金等臨時措置法第二条第一項の如き総則的規定を引用することの要否
最高裁判所第一小法廷昭和28年2月26日昭和26(あ)3495集刑 第74号447頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨法令の適用についても罰金等臨時措置法二条一項の如き総則的規定の如きは一々引用するを要しないものである。
参照法条罰金等臨時措置法2条,罰金等臨時措置法3条,刑訴法335条
従犯減軽をした罰金刑が法律上の減軽をした処断刑の範囲を超えた場合と判決の破棄
最高裁判所第一小法廷昭和28年2月26日昭和27(れ)76集刑 第74号403頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件行為時における昭和一九年法律第四号経済関係罰則の整備に関する法律五条所定の罰金刑は五千円以下であり、従犯減軽をした罰金刑は二千五百円以下であるのに、原判決は被告人に対して法律上の減軽をした処断刑の範囲を超える罰金刑を科したものであるから、刑訴施行法三条の二により適用される刑訴四一一条一号に該当する法令の違反があると…
参照法条経済関係罰則の整備に関する法律5条,刑法63条,刑法68条,新刑訴法411条1号
麻薬の認定には自白のほかに鑑定等を必要とするか
最高裁判所第三小法廷昭和28年2月24日昭和26(あ)1391集刑 第74号253頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論の物件が麻薬たる塩酸モルヒネであつたかどうかの事実については自白だけで足り鑑定等の方法によつてこれを認定する必要はない。
参照法条刑訴法318条,刑訴法319条2項,刑訴法165条
決定訂正申立棄却の決定に対する再審請求の可否
最高裁判所第二小法廷昭和28年2月23日昭和28(き)2集刑 第74号201頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨決定訂正申立棄却の決定に対する再審請求は不適法である。
参照法条旧刑訴法504条
控訴趣意書に事実誤認の記載があつても、これを撤回したものと認められる場合における判断の要否
最高裁判所第三小法廷昭和28年2月17日昭和27(あ)1073集刑 第73号555頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審弁護人提出の控訴趣意書に事実誤認の記載があつても、同弁護人が原審公判廷において事実誤認は論じないと述べているときはこの点について判断を与える必要はない。
参照法条刑訴法382条,刑訴法389条,刑訴法392条,刑訴規則246条
公判調書に検察官の冒頭陳述の記載を欠いた場合と冒頭陳述の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和28年2月10日昭和26(あ)2025集刑 第73号151頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨検察官の冒頭陳述は刑訴規則四四条によれば公判調書の記載要件ではないから、公判調書に記載が無いからと云つて直に検察官の冒頭陳述を欠くとはいえない。
参照法条刑訴法52条,刑訴法48条,刑訴法296条,刑訴規則44条
公判調書に被告人の権利保護のための告知事項の記載を欠いた場合と右告知の有無
最高裁判所第三小法廷昭和28年2月10日昭和27(あ)5150集刑 第73号223頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑事訴訟規則四四条によれば、所論の諸事項(註。被告人保護のため黙秘権等を告知すること等を指す)は、公判調書に記載することを要しないものである。それ故にそれ等の記載がなかつたからとて違法があつたものということはできない。
参照法条刑訴法48条,刑訴法52条,刑訴法291条,刑訴規則44条(昭和26年最裁規15号による改正後のもの)
控訴審において控訴を棄却する場合には如何なる時期を標準として少年法第五二条の適用の適否を判断すべきか
最高裁判所第三小法廷昭和28年1月27日昭和26(あ)3115集刑 第72号517頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨新刑訴法による控訴審は事後審であつて、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解するを相当とする。されば第一審判決当時に成人であつた被告人に対し定期刑を科した第一審判決を是認した原判決が、被告人に対して不定期刑を科さなかつたことは正当である。
参照法条刑訴法396条,刑訴法380条,少年法2条,少年法52条,少年法68条
一 旧刑訴第四一〇条第八号および第一六号にあたらない事例 二 憲法第三七条第一項にいわゆる公平な裁判所の裁判の意義
最高裁判所第一小法廷昭和28年1月17日昭和26(れ)2143集刑 第72号207頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 旧刑訴法事件における控訴審の第二八回公判期日(昭和二六年六月一八日)になつて、被告人よりその二日前の日附になる医師の診断書を添え公判延期願が提出されたが、その診断書によつては必らずしも出廷不可能な疾病とは認められず、また現に被告人がその公判期日に出頭していて、右公判延期申請が却下されるや自ら裁判長忌避の申立を為し、…
参照法条旧刑訴法410条8号,旧刑訴法410条16号,旧刑訴法404条,旧刑訴法330条,旧刑訴法407条,旧刑訴法352条,刑訴規則183条,刑訴規則施行規則3条1号,憲法37条1項
裁判所外における証人尋問手続に違法がある判決と憲法第三七条第二項及び刑訴法第四一一条。
最高裁判所第二小法廷昭和27年12月26日昭和25(あ)3370集刑 第71号871頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨証人を検証現場において尋問するに際し刑事訴訟法一五八条二項、刑事訴訟規則一〇八条一項所定の尋問事項の告知をした形跡が記録上認められない違法があるが、右証拠調の決定は、当事者の意見を聴いて公判延でなされた上、右各証人の尋問においてはいづれも被告人並びに被告人の弁護人が立会い何等異議を述べず殊に弁護人は右各証人に対し尋問し…
参照法条憲法37条2項,刑訴法158条2項,刑訴法411条,刑訴規則108条1項
判決に理由不備の違法がある一事例
最高裁判所第一小法廷昭和27年12月25日昭和23(れ)1738集刑 第71号431頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一定の時に被害者に脳出血による何らかの身体的症状の生じたことを前提として被害者の受傷と死亡との時間的間隔を判定した場合に、右身体的症状を生じたことを認定するための証拠が明らかにその証拠の趣旨と矛盾し、かつ他にこれを認定するにたる証拠のない判決には理由不備の違法がある。
参照法条旧刑訴法360条1項,旧刑訴法410条19号,刑法195条,刑法205条
包括一罪として起訴され併合罪または連続犯として起訴されたものと認められない一事例
最高裁判所第一小法廷昭和27年12月25日昭和24(れ)2991集刑 第71号525頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨公判請求書に公訴事実として引用された司法警察官の意見書に犯罪事実として単に被告人が実在しない架空人員をもつて一定の期間、一定の主要食糧を不正に受配した旨の記載があるだけで、犯罪の回数の記載もなければ犯意係属とも記載されておらず、また右公判請求書若しくは意見書には犯罪明細表の添附がないばかりでなく記録添附の始末書、聴取書…
参照法条旧刑訴法288条,旧刑訴法290条,旧刑訴法291条,刑法45条,改正前の刑法55条
実収高を越えた米麦の供出割当に対する供出不能の主張と旧刑訴法第三六〇条第二項
最高裁判所第一小法廷昭和27年12月25日昭和26(れ)640集刑 第71号655頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨米麦の供出割当数量が実収高以上であつた場合には、実収高を越える部分については、供出違反罪は成立しないのであるから、被告人の右の如き主張は、明かに旧刑訴三六〇条二項にいわゆる、法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張にあたる。
参照法条食糧管理法3条,旧刑訴法360条2項
証人尋問の決定を施行したものと認められる一事例
最高裁判所第二小法廷昭和27年12月19日昭和25(あ)3452集刑 第71号91頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審第六回公判において、本件と、第五回公判において被告人不出頭のため分離した相被告人Aに対する事件とを併合の上裁判官が同第五回公判調書中の前記証人の供述記載部分を被告人に読聞けたのに対し、弁護人は同証人の供述内容に基ずいて被告人に対し質問を行つているのであるから、同証人の尋問請求者たる弁護人としては該証人に対する取調…
参照法条刑訴法304条,刑訴規則190条,刑訴規則203条
控訴審が第一審の量刑を判断するに当つて被告人の自供を引用したに過ぎない場合と憲法第三八条第三項
最高裁判所第二小法廷昭和27年12月19日昭和26(あ)108集刑 第71号109頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審は、第一審判決が適法に認定判示する本件犯罪事実に触れることなく単に犯情を考察するに当り、被告人の自供を引用したに過ぎないものであるから、被告人の自白のみによつて有罪として処断したものというを得ない。
参照法条憲法38条3項,刑訴法381条,刑訴法396条
強姦致傷罪の事実を認定した原判決に対して為された、単純強姦罪の事実を前提とする弁護人の主張に対する判断の要否
最高裁判所第一小法廷昭和27年12月18日昭和24(れ)1410集刑 第70号619頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、弁護人は原審において「本件は単純強姦罪と認むべきであつて、被害者の告訴が取下げられた以上免訴すべきものである」旨公訴権消滅免訴の原由たる主張をしたから、原審はこれに対する判断を示すべきであつたにかかわらずこれを示さなかつた違法があると言うのである。しかしながら、右弁護人の主張は単純強姦罪の事実を前提とするもので…
参照法条旧刑訴法360条2項,旧刑訴法410条19号,刑法177条,刑法180条,刑法181条
勾留に際し陳述を聴いた調書が記録にないことは勾留を不適法たらしめるか
最高裁判所第一小法廷昭和27年12月18日昭和25(あ)2068集刑 第70号721頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨新刑訴においては、逮捕状、勾留状等法律又は規則によつて提出を要する書類を除いて、証拠上必要と認めて当事者が提出した書類の外記録に編綴されないのであるから、勾留に際して陳述を聴いた書面も編綴されていないのがむしろ普通である。されば、この書面が記録に見当らないことを理由とする憲法第三四条違反の主張は、その前提を欠き採用の限…
参照法条憲法34条,刑訴法62条,刑訴法61条,刑訴法199条,刑訴規則167条3項
単に被告人の供述の一部を措信しない理由の説示の根拠としたに過ぎない聴取書に対する適法な証拠調手続を欠くことと証拠手続上の違法の有無
最高裁判所第一小法廷昭和27年12月11日昭和24(れ)2493集刑 第70号417頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論聴取書は、原判決が、犯罪事実認定の証拠に供したものではなく、単に被告人の供述の一部を措信しない理由の説示の根拠にしたに過ぎないものであるから、仮りに所論聴取書について適法な証拠調手続を履践していないとしても、原判決には証拠手続上の違法があるとはいえない。
参照法条旧刑訴法340条,旧刑訴法336条,旧刑訴法410条13号
酒精度の証明と鑑定の要否
最高裁判所第三小法廷昭和27年12月9日昭和26(あ)3449集刑 第70号297頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨酒精度の証明は必しも鑑定によることを要しない。
参照法条酒税法2条,刑訴法165条
証拠調の請求に際し、検察官がその他の証拠と一括して前科調書や素行調書を提出することは、裁判所に対し被告人につき不利益な予断を抱かしめることになるか
最高裁判所第二小法廷昭和27年12月8日昭和25(あ)2850集刑 第70号195頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨検察官が冒頭陳述の後本件犯罪に関する被害届等と共に、所論前科調書及び素行調書の取調を請求したのに対し、被告人及び弁護人は証拠調に異議がなく、右書類を証拠とすることに同意した為め、順次証拠調が実施せられ、右前科調書及び素行調書は、前記被害届等の本件犯罪に関する証拠書類が取り調べられた後にその取調がなされている場合には、第…
参照法条刑訴法296条,刑訴法298条,刑訴法301条,刑訴規則193条
控訴審における判決宣告期日の指定及びその通知に関する手続上の瑕疵が判決に影響を及ぼさない一事例
最高裁判所第一小法廷昭和27年11月13日昭和26(あ)2675集刑 第69号269頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨判決宣告期日が如何にして指定されたか、またその期日の通知が弁護人及び被告人等になされたものであるか否かを記録上窺い知る由もないときは原審の訴訟手続が適法になされたものといい得ないが、前示裁判宣告期日には弁護人三名が出廷していること明らかでその公判手続の公正に行われたことは認め得るのであるから、右手続上の瑕疵は原判決に影…
参照法条刑訴法273条,刑訴法411条
控訴審の弁護人として選任された弁護士は、控訴申立に関しては刑訴法第三六二条にいわゆる被告人の代人か
最高裁判所第二小法廷昭和27年10月31日昭和27(し)2集刑 第68号849頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨控訴審の弁護人として選任された弁護士は控訴申立に関しては刑訴三六二条にいわゆる被告人の代人と解すべきものである。
参照法条刑訴法362条
刑訴規則第二一六条、第二二二条と控訴審への準用の有無
最高裁判所第二小法廷昭和27年10月31日昭和27(し)43集刑 第68号855頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴規則第二一六条、第二二二条の規定は第一審における刑訴第二八四条、第二八五条第一、二項にあたる事件に関するものであつて、控訴審には準用のない規定である。
参照法条刑訴法284条,刑訴法285条,刑訴法390条,刑訴規則216条,刑訴規則222条
刑訴規則第一七九条第三項と刑訴法第二七五条との関係
最高裁判所第二小法廷昭和27年10月25日昭和26(あ)4493集刑 第68号675頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨刑訴規則一七九条三項は刑訴法二七五条の授権の範囲内と解すべきである。
参照法条刑訴規則179条3項,刑訴法275条
家庭の都合で上告した旨を記載した上告趣意書は適法か
最高裁判所第一小法廷昭和27年10月16日昭和27(あ)2190集刑 第68号351頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨何等上告の趣意を記載していない上告趣意書(家庭の都合で上告した旨記載)は、適法な上告趣意書とは認めることができないから判断を与える必要がない。
参照法条刑訴法407条,刑訴規則240条,刑訴規則266条
刑訴法第三七七条に定める保証書の添附がない場合と裁判の不公開を理由とする上告の適否
最高裁判所第一小法廷昭和27年10月9日昭和27(あ)2820集刑 第68号143頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審第一、二回公判が公開されなかつたことを上告理由とするときは、上告趣意書にその事由あることの充分な証明をすることができる旨の保証書が添附されなければならない。
参照法条刑訴法377条,刑訴法414条
入場税法第一六条第一項の逋脱犯既遂の判示方
最高裁判所第二小法廷昭和27年10月3日昭和24(れ)1982集刑 第68号21頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 入場税法(昭和一五年法律第四四号)第一六条第一項の逋脱犯の事実摘示として「昭和二二年一〇月一四日から同月二六日迄の間甲府税務署の検察済証印を受けない入場券を発売しその売上高を正規の帳簿に記入せず且つ入場税課税標準申告書に不正の記載をなして甲府税務署長に提出して入場税金二万五千二百円を逋脱し」と判示してあつても、不正…
参照法条入場税法(昭和15年法律44号)6条の2,入場税法(昭和15年法律44号)6条の3,入場税法(昭和15年法律44号)16,入場税法施行規則6条,旧地方税法(昭和23年法律110号)151条,旧刑訴法360条1項
被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたといえない事例−第一審における請求の効力が第二審に及ばないと解した場合
最高裁判所第一小法廷昭和27年9月11日昭和27(あ)1940集刑 第67号21頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審における被告人の国選弁護人選任方の請求の効力が第二審に対しても及ぶものと解しなかつたからといつて、被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたとはいえない。
参照法条刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条
第一審裁判官が補強証拠の取調に先立ち被告人の自白調書の取調をしても違法とならない例
最高裁判所第三小法廷昭和27年9月9日昭和26(あ)120集刑 第67号11頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一審裁判官が補強証拠の取調べに先立ち所論の被告人の自白調書並びに上申書(自白を内容とする)の取調べをしていても、被告人は裁判官の質問に対し公訴事実を認めて争わず右各書証を証拠とすることに同意し、かつその証拠調に異議はないと、述べているのであるから必ずしも違法とすることはできない。
参照法条刑訴法301条
一 麻薬中毒患者であるか否かの認定と鑑定の要否 二 麻薬施用の罪及び記録不作成の罪の罪数
最高裁判所第一小法廷昭和27年8月21日昭和25(あ)2445集刑 第67号103頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 麻薬中毒患者であるか否かの認定には所論のように特別の知識経験のある者の鑑定等を必要とするものではない。 二 第一審判決竝びに原判決が麻薬施用の罪及び記録不作成の罪について、その施用の都度又は記録不作成毎に別個独立の各罪が成立し包括一罪でない旨判示したのは正当である。
参照法条麻薬取締法39条,麻薬取締法42条1項,刑訴法165条,刑法45条
被告人の弁護人選任権を妨げたものといゝ得ない例−被告人の意思を確かめず国選した場合
最高裁判所第一小法廷昭和27年8月21日昭和27(あ)1250集刑 第67号145頁
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裁判要旨第一審裁判所が被告人の私選弁護人選任の意思を確かめずして、被告人のため国選弁護人を選任したものであるとしても、必ずしもこれによつて被告人が自らその弁護人を選任することを妨げたものといい得ないこと勿論である。
参照法条憲法37条3項,刑訴法30条,刑訴法289条
控訴趣意書提出期間経過後に弁護人が国選された場合と憲法第三七条第三項
最高裁判所第三小法廷昭和27年8月5日昭和27(あ)1938集刑 第67号59頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件につき原審訴訟記録をみれば、裁判所から被告人に弁護人を選任するかどうかの問合せをした旨の記載なく、控訴趣意書提出の最終日たる昭和二六年一二月七日を経過して公判期日の二日前たる昭和二七年二月九日に至り始めて弁護人が国選されていること所論のとおりであるが、弁護人は公判期日に出頭して被告人提出の控訴趣意書に基いて弁論し、…
参照法条憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法289条,刑訴法391条
証言が伝聞証拠であるか否かに関する決定と特別抗告の許否
最高裁判所第三小法廷昭和27年7月29日昭和27(し)39集刑 第66号525頁
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裁判要旨証言が伝聞証言であるか否かは、もつぱら訴訟法上の問題であつて憲法上の問題ではない。訴訟手続に関し判決前にした決定でもつぱら訴訟法上の問題にとどまり憲法上の問題に触れないものに対しては、特別抗告を許さないとすることは当裁判所の判例とするところである(昭和二四年新(つ)第三号、同年同月同日同法廷決定)。
参照法条刑訴法443条,刑訴法320条
除斥事由ある裁判官が審理に関与しても後に適法に審理が更新された場合には右の違法は判決に影響するか
最高裁判所第二小法廷昭和27年7月25日昭和26(れ)2315集刑 第66号407頁
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裁判要旨本件の差戻後の控訴審第一、二回公判に除斥事由ある裁判官が関与しても第三回公判期日において両裁判官を除き適法なる構成の裁判所が審理を更新し、新たなる審理を遂げた上、これに基いて判決をした場合には右の違法は該判決に何等影響を及ぼさなかつたものというべきである。
参照法条旧刑訴法354条,旧刑訴法448条ノ2第2項
一 第一審における証人尋問手続に関する違法のみでは判決に影響を及ぼさない一事例 二 全く日本語を解しないでもない(或る程度日本語を解する)被告人に対し、第一回公判に通訳を付せず、第二回公判にそれを付したことと刑訴法第一七五条
最高裁判所第三小法廷昭和27年7月22日昭和25(あ)2767集刑 第66号307頁
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裁判要旨一 訴訟手続に法令の違反があることを控訴の理由とする場合には、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを要するのであるが(刑訴三七九条参照)、仮りに所論のように第一審の証人尋問手続に違反があつたとしても、ただそれだけでは右の違法は判決に影響を及ぼすこと明らかな場合とは到底云うことができない。 二 被告人が全く…
参照法条刑訴法379条,刑訴法411条,刑訴法175条
刑訴法第四一一条に該当しない一事例(起訴状謄本の送達が適式でなくても被告人が異議を述べていないとき)
最高裁判所第三小法廷昭和27年7月15日昭和25(あ)2628集刑 第66号225頁
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裁判要旨かりに、起訴状謄本の送達が適式でなかつたとしても、本件においては、被告人が異議を述べていないのであつてかかる場合には刑訴四二条の問題とならない。
参照法条刑訴法271条,刑訴法309条,刑訴法411条
除斥又は忌避の理由の認められない一事例
最高裁判所第三小法廷昭和27年7月15日昭和26(あ)175集刑 第66号253頁
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裁判要旨宇治山田簡易裁判所裁判官Aが逮捕状並びに勾留状を発しながら本件第一審の審理判決をしたことは所論のとおりであるが、そのために同裁判官が職務から除斥されることがないことは勿論忌避の理由があるものとも認められない。
参照法条刑訴法20条,刑訴法21条,刑訴法280条,刑訴規則187条
方式違背の告発書の効力
最高裁判所第三小法廷昭和27年7月15日昭和26(あ)254集刑 第66号257頁
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裁判要旨告発書に契印を欠き、かつ名宛の検察庁名を訂正しながら、その箇所に作成者の認印がなく、挿入、削除の字数の記載もない場合でも、ただちに無効とすべきものではない。
参照法条刑訴規則58条,刑訴規則59条,刑訴法241条,刑訴法338条,国税犯則取締法13条
控訴審における公判期日に、私選弁護人が出頭しない場合、国選弁護人を選任して弁論させることと訴訟手続に関する法令違反の有無。
最高裁判所第三小法廷昭和27年7月8日昭和25(あ)3117集刑 第66号81頁
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裁判要旨原審が弁護人古明池為重の第一回公判期日の変更申請はこれを許容したが、第二回公判期日の変更申請はこれを許容しなかつたこと及び同弁護人が右公判期日に立ち会わなかつたとしても、右期日に新たに選任された国選弁護人によつて被告人自身が選任した古明池弁護人提出の控訴趣意書に基ずく弁論がなされたこと、その控訴趣意書の内容も特に新たな…
参照法条刑訴法30条,刑訴法289条,刑訴法379条,刑訴法388条,刑訴法391条
公判調書に起訴状朗読の記載を欠いた場合と起訴状朗読の有無
最高裁判所第三小法廷昭和27年6月17日昭和27(あ)1243集刑 第65号223頁
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裁判要旨公判調書中に同公判に出席した検察官が起訴状を朗読したことの記載を欠くという一事をもつて起訴状の朗読がなかつたものとは言えない。
参照法条刑訴法52条,刑訴法291条1項,刑訴規則44条5号(昭和26年規則32号による改正前のもの)
公判手続の重要部分に関与しない判事が判決に関与した場合と原判決の破棄
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月27日昭和26(れ)2333集刑 第64号705頁
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裁判要旨原審判事小林登一が原審公判に関与する以前において既に検察官の起訴状の朗読その他冐頭手続、証拠書類及び証拠物の取調、証人Aの尋問等が行われ、同判事は公判手続の更新のなされないままにその証人Bの尋問及び当事者の弁論に関与したにすぎないのであつて、かくの如く公判手続の重要部分に関与しない判事が判決に関与することは口頭弁論主義…
参照法条旧刑訴法354条,旧刑訴法345条,刑訴法411条1号
被告人の証人審問権と、証人を裁判所外で尋問する場合に監獄に拘禁されている被告人を立ち会わせることの要否
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月27日昭和27(あ)480集刑 第64号743頁
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裁判要旨論旨第七点は証拠調の際に被告人を出頭させなかつたことを憲法違反と主張しているので、記録を調べてみると、原審は第一回公判で本件につき事実の取調をする旨を宣し、昭和二六年一〇月二七日裁判所外において証拠調をしたのであるが、所論のとおり被告人はこれに立会していない。しかし、当時、松江刑務所に在監中であつた被告人に対し予め一〇…
参照法条憲法37条2項,刑訴法158条
権利行使の方法が違法と認められ恐喝罪又は脅迫罪の成立を免れない一事例
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月20日昭和26(れ)2482集刑 第64号575頁
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裁判要旨他人に対し権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であつて、且つその方法が社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を越えないかぎり、なんら違法の問題を生じないけれども、右の範囲又は程度を逸脱するときは違法となり恐喝罪又は脅迫罪の成立することがあると解するのを相当とする。そして被告人の採つた債…
参照法条刑法249条,刑法222条,刑訴法411条
控訴審の公判期日に被告人に召喚状を発しながらその不出頭のまま結審した場合と憲法37条1項
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月13日昭和25(あ)2147集刑 第64号395頁
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裁判要旨原審が被告人に対し第一回公判期日の召喚状を発していることは所論のとおりであるが、右は刑訴三九〇条但書の規定にもとずいて被告人の出頭がその権利保護のため重要であると認めて出頭を命じたものでないことは記録に徴し明らかである。そして、被告人は控訴審において召喚に応じ公判期日に出頭する義務はないのであり、本件被告人は適法な公判…
参照法条憲法37条1項,刑訴法390条
控訴審において被告人に陳述の機会を与える要否
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月13日昭和25(あ)2476集刑 第64号401頁
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裁判要旨控訴審においてはその性格上刑訴二九三条の準用がないことは当裁判所昭和二五年(あ)第六二号同二五年四月二〇日及び同二五年(あ)第一四一五号同年一〇月一二日の各第一小法廷の判決の趣旨とするところである。
参照法条刑訴法293条,刑訴法388条,刑訴法404条
刑訴三一五条の更新を要しない例――第一審第二回公判で裁判官がかわつても第一回公判の手続が被告人不出頭のため開始されなかつた場合
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月6日昭和25(あ)3144集刑 第64号181頁
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裁判要旨本件第一審第一回公判の裁判官は、高橋正男であり、同第二回公判の裁判官は山本寛であつたことは所論のとおりである。しかし、第一回公判は被告人不出頭のため公判手続がなされなかつたのである、しかして刑訴三一五条の開廷後とは、公判手続即ち事件審理の手続開始後という意味に解すべきであることは、同条の規定が口頭弁論主義に基く要請であ…
参照法条刑訴法315条
一 国選弁護人の選任が控訴趣意書最終提出日経過後であつても弁護権の制限とならない事例 二 控訴審において上申書等として提出された書面につき判断することの要否―弁護人が控訴趣意として陳述していない場合
最高裁判所第三小法廷昭和27年5月6日昭和26(あ)5038集刑 第64号225頁
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裁判要旨一 原審における国選弁護人の選任が控訴趣意書最終提出日経過後であつたとしても、弁護人は控訴趣意書補充書を提出し、原審公判延に出頭の上異議なく被告人の控訴趣意書及び右補充書に基いて弁論をしているのであり、原判決もこの補充書に対し判断を加えているのである、従つて、原審が弁護権の行使を制限したことを前提とする論旨は、既にその…
参照法条憲法37条3項,刑訴法376条,刑訴法289条,刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴法388条,刑訴法389条,刑訴法392条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条
証拠調前に被告人に対し公訴事実につき尋問しても釈明権行使の範囲を逸脱したことにならない例
最高裁判所第三小法廷昭和27年4月22日昭和25(あ)2869集刑 第63号389頁
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裁判要旨記録について調べてみると、第一審公判において、裁判官、検察官及び弁護人と被告人との間に、所論の如き問答がなされ、検察官による質問に対しては、異議の申立があり、これが却下され検察官が質問を継続した経緯を認めることができる。しかし右の如き問答や経緯を検討してみても、その質問内容が所論のように、釈明権行使の範囲を遥かに逸脱し…
参照法条刑訴法291条,刑訴法311条
適法な証拠調を経ない被害届を事実認定の一証拠に供した違法と判決に影響を及ぼさない例
最高裁判所第二小法廷昭和27年4月18日昭和26(れ)2066集刑 第63号355頁
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裁判要旨原審公判においてA提出の被害届につき適法に証拠調がなされていないことは所論のとおりである。しかるに原判決は右被害届を建造物損壊の事実認定の一証拠に供したのであるから、論旨引用の昭和二四年(れ)二一〇〇号、二五年一月一九日第一小法廷判決に徴するも違法の譏を免れないのである。しかし原審は建造物損壊の事実についてA提出の被害…
参照法条旧刑訴法236条,刑訴法405条
勾留処分の違法とその勾留中に行われた被告人に対する検事聴取書の効力
最高裁判所第一小法廷昭和27年4月17日昭和23(れ)572集刑 第63号299頁
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裁判要旨仮りに勾留が違法であるとしても、その一事だけで直ちにその勾留中に行われた検事の被告人に対する聴取書を目して強制又は拷問による供述書であるということができないことも論を待たない。
参照法条旧刑訴法91条,刑訴応急措置法10条2項,憲法38条2項
被告人らは「不良の徒として同町民より恐れられ」ていたとの証人の供述が伝聞証言にならない事例
最高裁判所第三小法廷昭和27年4月8日昭和26(あ)4311集刑 第63号103頁
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裁判要旨論旨は、原判決が、被告人らは「不良の徒として同町民より恐れられ」ていたと判示している点を捉え、かかる伝聞証言に基いて事実認定をしたことは、判決に影響を及ぼすべき法令違反があるというのであるが、記録について、原判決の挙げている各証人の供述を委しく調べて見ると、むしろ被害者としてそれぞれの体験を述べているのであつて、具体的…
参照法条刑訴法320条,刑訴法324条2項
恐喝罪の起訴状記載につき刑訴法第二五六条第六項に違反しない例
最高裁判所第三小法廷昭和27年4月8日昭和26(あ)5087集刑 第63号115頁
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裁判要旨「被告人は賭博恐喝等の前科数犯あり、その乾分数名と無為徒食し常に粗暴なる言動ある為世人の嫌忌畏怖して居るに乗じ恐喝せんことを企て」なる起訴状の記載は、恐喝罪の構成要件たる事実であるから、これを起訴状に記載したことは違法ではない(昭和二六年(あ)第二一四四号同年一二月一八日当裁判所決定、昭和二五年(あ)第一〇八九号同二七…
参照法条刑法249条,刑訴法256条6項
上告趣意に別件についての上告論旨を引用することの可否
最高裁判所第二小法廷昭和27年3月28日昭和26(れ)2228集刑 第62号995頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨別件についての原審相被告人Aの弁護人の上告論旨引用は許されない。
参照法条旧刑訴法425条
法定合議事件を一人の裁判官が審判した場合と訴訟手続の法令違反
最高裁判所第二小法廷昭和27年3月14日昭和26(れ)587集刑 第62号455頁
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裁判要旨法令合議事件を一人の裁判官が審判した場合は、単なる訴訟手続の法令違反であつて、事物管轄の規定に違反したものとして取り扱うべきでない。
参照法条裁判所法26条,旧刑訴法450条
検察官が在監者をいわゆる在延証人として尋問した場合と証言の証拠能力
最高裁判所第三小法廷昭和27年3月11日昭和25(あ)3305集刑 第62号343頁
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裁判要旨所論の証人Aがたとえ当時本件に関連する窃盗被告事件のため未決勾留中で上田拘置所に在監していたのを検察官の命令で第一審公判延に出頭させ、検察官からいわゆる在延証人として尋問したものであつてもその故を以つて同証人が検察官に畏怖迎合して供述したものとは速断できないのであつて、所論は結局事実審の専権に属する証拠の証明力に関する…
参照法条刑訴法143条,刑訴法318条
正当な権利を有する者がその権利を実行するにあたり詐欺恐喝の手段を用いた場合に関する判例と債権回収の目的でした強盗行為
最高裁判所第二小法廷昭和27年3月7日昭和26(れ)1800集刑 第62号295頁
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裁判要旨法律上、他人より財物の交付を受け又は財産上の利得を領得すべき正当の権利を有する者が、その権利を実行するにあたり、欺罔又は恐喝の手段を用いて義務の履行をなさしめて財産の交付を受け又は財産上の利益を領得するも、詐欺恐喝の罪を構成することなしとした大審院刑事総部連合の判決(大正二年(れ)第一二一一号同年一二月二三日宣告)は、…
参照法条刑法236条,刑法246条,刑法249条,刑訴法405条3号
弁護人の上告申立が被告人の明示した意思に反する例
最高裁判所第一小法廷昭和27年3月6日昭和26(あ)1643集刑 第62号155頁
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裁判要旨一件記録によれば、原審弁護人は刑訴三五五条に基き被告人のために原判決に対し、上告の申立をしたのであるが当裁判所からの弁護人選任についての照会に対し、被告人は書面を以つて当裁判所に対し原判決に服し、上告の意思なき旨を回答し且つ何故に事件が上告されたか従つて右弁護人の上告申立を全然知らないことが明認されるのである。されば、…
参照法条刑訴法41条,刑訴法355条,刑訴法356条
事実審が証人申請を却下した場合と実験則
最高裁判所第二小法廷昭和27年2月29日昭和26(れ)2027集刑 第61号721頁
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裁判要旨証拠調の限度を如何に定めるかは、事実審たる原審の自由裁量に任されているところであり、記録を調べても所論証人の喚問は必ずしも本件裁判に必要適切なものとは認められないから、原審が該証人の申請を却下したからといつて、何ら実験則に反するところはない。
参照法条旧刑訴法344条
第一審判決が起訴にかかる窃盗の事実を認定した事件につき控訴審が賍物牙保罪に問擬したことと被告人の防禦の機会
最高裁判所第二小法廷昭和27年2月29日昭和26(れ)2362集刑 第61号727頁
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裁判要旨第一審判決が起訴にかかる窃盗の事実を認定し、控訴審において、検察官が右認定の事実と同一の被告事件を陳述してその審判を求めたのに対し、控訴審が公訴事実の同一性の範囲内において賍物牙保の事実を認定して有罪の言渡をしても、控訴審が右賍物牙保の点について詳細に取調をしており、検察官は論告に際し附帯控訴をした上、本件を賍物牙保と…
参照法条旧刑訴法345条,旧刑訴法349条,旧刑訴法407条
共犯者を証人として宣誓せしめることの可否
最高裁判所第三小法廷昭和27年2月26日昭和26(あ)1547集刑 第61号597頁
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裁判要旨刑事訴訟法は、一四三条において何人でも証人としてこれを尋問することができる旨を規定し、一五四条において証人には宣誓させなければならないと定め、唯証人は自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞がある等一四六条、一四七条等に規定する事由がある場合に限りかかる証言を拒むことができることとなつているのである。従つて共犯者と…
参照法条刑訴法143条,刑訴法154条,憲法38条1項
一 旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則が適用される控訴審判決の証拠説示の方法 二 綿布生地の買受及び売渡行為が別罪として起訴されている場合に買受行為のみを有罪とする場合の判示方 三 事実の同一性ある例
最高裁判所第三小法廷昭和27年2月26日昭和26(れ)2396集刑 第61号607頁
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裁判要旨一 本件については、旧刑訴事件の上訴審における審判の特例に関する規則八条が適用されるから、控訴審判決が、証拠により罪となるべき事実を認めた理由を説明するには、証拠の標目を掲げれば足りるのである。(同規則の違法、無効でないことは、昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決、集四巻一〇号二一五一頁の趣旨に徴…
参照法条旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則8条,旧刑訴法360条1項,旧刑訴法410条18号
控訴審に係属中の被告事件記録に被告人の他の同種犯罪に関する記録が添付されたことの適否
最高裁判所第一小法廷昭和27年2月21日昭和25(あ)3162集刑 第61号421頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨窃盗(すり)未遂の公訴事実について第一審判決が犯罪の証明がないとして無罪の言渡をしたのに対し、検察官より公訴の申立があつた事件の控訴審において、事実誤認の控訴趣意の当否を調査するため証拠の取調をするに先立ち、被告人がさきに同種の犯罪(すり)の嫌疑により逮捕され取調を受けた捜査記録が、偶々本件記録に添附されていたからとい…
参照法条刑訴法256条,刑訴法296条
一 普通地方公共団体たる村の水害罹災者に対する救援物資及び義損金の受払、保管の事務の性格と村長に対する業務上横領罪の成立 二 横領罪にいわゆる「他人ノ物」の判示の程度
最高裁判所第一小法廷昭和27年2月21日昭和26(れ)1663集刑 第61号279頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 本件各救援物資及義損金の受払、保管の事務は普通地方公共団体であるa村水害罹災者を救護する事務の一部に外ならないので、地方自治法(昭和二三年法律第一七九号による改正前の法律)二条二項にいわゆる普通地方公共団体の公共事務に該当し、同法一四八条により同村長たる被告人Aの管理、執行すべき事務に属するものと解するを相当とする…
参照法条地方自治法(昭和23年法律179号による改正前のもの)2条2項,地方自治法(昭和23年法律179号による改正前のもの)148条,刑法253条,旧刑訴法360条1項
被告人の黙祕権と偽証教唆罪の成立
最高裁判所第一小法廷昭和27年2月14日昭和26(あ)262集刑 第60号851頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人自身に黙祕権があるからといつて、他人に虚偽の陳述をするよう教唆したときは偽証教唆の責を免れない。
参照法条刑訴法311条,刑法169条,刑法61条
刑法第三〇一条の趣旨に反しない場合
最高裁判所第三小法廷昭和27年2月12日昭和25(あ)1526集刑 第60号471頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人の自白調書が他の証拠資料と同時にその証拠調請求がなされていても、この証拠調が他の証拠資料の取調がなされた後になされている場合には、刑訴三〇一条の趣旨に反する手続とはいえない(昭和二五年(あ)第八六五号同二六年六月一日第二小法延決定判例集第五巻七号一二三二頁参照)。
参照法条刑訴法301条
県当局の諒解が物価統制令第七条の認可にならない場合にこの点につき審判しなかつたことの適否
最高裁判所第三小法廷昭和27年2月12日昭和26(れ)769集刑 第60号487頁
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裁判要旨物価統制令違反の取引について被告人が予め県当局の諒解を得ていたとしても、同令第七条に基く例外価格の認可があつたというのでもない場合は、統制価格を左右する効力のないこと勿論であるから、統制違反の罪責を免れしめる事由に当らない。従つて原審がこの点につき審判しなかつたことは当然であつて、違法ではない。
参照法条物価統制令7条,物価統制令3条,旧刑訴法407条,旧刑訴法345条,旧刑訴法360条2項
証人尋問につき被告人の審問権を実質的に害しない措置が講ぜられた場合と憲法三七条二項
最高裁判所第二小法廷昭和27年2月8日昭和26(あ)2760集刑 第60号265頁
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裁判要旨裁判所が弁護人に対しては証人尋問に立会の機会を与え、被告人の審問権を実質的に害しない措置を講じたのに拘わらず、弁護人は、みずからその権利を抛棄し、被告人もその後何等の異議をさしはさまず同証人の公判廷喚問の申請もしなかつたときは、被告人が右証人尋問に立会せしめられなかつたことを以て憲法三七条二項に違反するということはでき…
参照法条憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法158条,刑訴法159条
在監者に対する書類の送達とその書類が本人に交付されなかつた場合の送達の効力
最高裁判所第一小法廷昭和27年1月31日昭和26(し)92集刑 第59号503頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨旧刑訴八〇条民訴一六八条によれば、在監者に対する送達は監獄の長に之を為すべきものであるから、右通知書が刑務所長に適法に送達されたものである以上、それが同所長から本人に交付されなかつたからといつて送達の効力が左右さるべきものではない。
参照法条旧刑訴法80条,民訴法168条
弁護権不法制限の例
最高裁判所第一小法廷昭和27年1月31日昭和26(れ)2078集刑 第59号475頁
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裁判要旨被告人が弁護人を選任しその届出をなしたに拘わらず、原審がその後指定した公判期日を弁護人に通知せず、従つて弁護人不出頭のまま審理を終結し、判決宣告期日に有罪判決を言渡したときは弁護権の不法な制限であつて、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり、且つ原判決を破棄しなければ著しく正義に反する。
参照法条旧刑訴法410条11号,旧刑訴法320条2項,旧刑訴法320条3項,新刑訴法411条,刑訴施行法3条の2
必要的弁護の条件に関する新旧両刑訴法の差異と憲法の平等の原則
最高裁判所第一小法廷昭和27年1月31日昭和26(れ)2132集刑 第59号483頁
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裁判要旨必要的弁護の条件が新旧刑訴法の間に区別があり従つて旧件と新件との間に取扱に差等を生ずるが、それは憲法の平等原則に違反するものでない。
参照法条憲法14条,旧刑訴法334条,新刑訴法289条
刑訴第四一一条第四号にいわゆる「再審の請求をすることができる場合にあたる事由がある」との主張と上告趣意書提出の時期
最高裁判所第三小法廷昭和27年1月29日昭和27(み)3集刑 第59号455頁
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裁判要旨再審事由があるとさえ主張すれば上告趣意書提出期間後でも有効に上告趣意書が提出出来るなどという論旨は全く理由がない。
参照法条刑訴法411条4号,刑訴法414条,刑訴法372条,刑訴規則252条
量刑不当の控訴趣意を排斥する判示の程度
最高裁判所第一小法廷昭和27年1月24日昭和26(あ)125集刑 第59号413頁
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裁判要旨原判決が、「所論に鑑み記録によつて被告人の本件犯情、その他諸般の情状を考察して見たが原審の科刑は必ずしも重きに過ぐるとすることはできない」と説示しているときは、訴訟法が有罪を言渡す判決においても必ずしも量刑上の理由につき斟酌された情状を一々説示すべきことを要請していないことに徴しても(刑訴三三五条一項参照)、原判決に量…
参照法条刑訴法335条1項,刑訴法381条,刑訴法396条,刑訴規則246条
一 旧刑訴第四〇三条の不利益変更の禁止に違背した例 二 検察官と被告人の双方から上訴を申し立て、その一方のみが理由のある場合における主文の一事例
最高裁判所第三小法廷昭和27年1月22日昭和25(れ)1078集刑 第59号317頁
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裁判要旨一 第一審においては被告人Aに対し懲役一〇年に被告人Bに対し懲役五年に処する未決勾留日数中九〇日を各本刑に算入するとの判決を言渡したが原審においては右Aに対し懲役一〇年右Bに対し懲役五年の刑を言渡し何れも未決勾留日数を本刑に算入しなかつたことは原判決が第一審判決より重い刑を言渡したものといわなければならない。 二 主文…
参照法条旧刑訴法403条,旧刑訴法446条,旧刑訴法447条
刑訴第四一一条にあたらない一事例
最高裁判所第二小法廷昭和27年1月11日昭和26(し)41集刑 第59号237頁
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裁判要旨高等裁判所が、刑訴第三八六条第一項により控訴を棄却した決定に対してなされた上告申立を、異議申立と見ながら、同法
第四一四条〈指名委員会等への報告の省略〉、第三七五条を準用して自ら棄却したとしても、右申立が異議申立期間後になされたものであることが明らかなときは、右の瑕疵は同法第四一一条所定の事由にあたらない。
参照法条刑訴法414条,刑訴法375条,刑訴法386条1項,刑訴法386条2項,刑訴法411条,刑訴法405条
証拠調をしない証拠を綜合証拠とした違法と、証拠に基かないで事実を認定した違法とがある判決と、著しく正義に反する場合
最高裁判所第二小法廷昭和26年12月28日昭和26(れ)1125集刑 第58号1041頁
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裁判要旨原審は所論Aに対する大蔵事務官の質問調書の証拠調をしていないことを明らかである。そして右質問調書は本件罪証として有力なものと認められるのであり、かかる証拠を他の証拠と綜合して犯罪事実を認定したことは違法である。又原判決は、判示汽船の乗組員たる中華船員が連合国占領軍、その将兵又は連合国占領軍に附属し、若しくは随伴するもの…
参照法条刑訴法411条,旧刑訴法336条,旧刑訴法360条
横領罪と不当高価販売行為との想像的競合と公訴事実の同一性
最高裁判所第三小法廷昭和26年12月25日昭和26(れ)1504集刑 第58号751頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨右追公判請求書によれば検察官はA等において本件帆布を前記代金にて販売したときに横領行為が完成したものとして公訴を提起した趣旨と認められる。されば、横領罪を構成するものとして起訴された被告人A等の右販売行為が他面において物価統制令に違反するのであるから、刑法五四一条一項前段にいう一個の行為が他の罪名に触れる場合に当り、公…
参照法条物価統制令9条ノ2,刑法253条,刑法54条1項前段,旧刑訴法291条,旧刑訴法409条,旧刑訴法410条18号
聴取書の作成日附の誤記とその聴取書の証拠能力
最高裁判所第二小法廷昭和26年12月21日昭和26(れ)1351集刑 第58号637頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論被告人に対する検察事務官の第一回聴取書の日附が昭和二三年三月二八日であり、同第二回聴取書の日附が同月二七日となつていることは所論指摘のとおりである。しかし本件起訴が同月二七日であること等の点から考えて、右第一回聴取書の日附も同月二七日の誤記と認められるのであるが、それはさておくも、右第一、二回の聴取書は右日附頃適法…
参照法条旧刑訴法71条,旧刑訴法337条
刑法第四八条第二項の規定が解除される場合にれを適用した違法と刑訴法第四一一条
最高裁判所第三小法廷昭和26年12月18日昭和25(あ)629集刑 第58号361頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論酒税法第六〇条一項二項の規定を通用して被告人に罰金と懲役とを科するに当り罰金についても刑法第四八条二項を適用した原判決は所論酒税法第六六条の規定の解釈をあやまつて右刑法の規定を適用した違法あるものといわなければならぬ。しかしかかる酒税法の解釈に関する論旨は明らかに刑訴第四〇五条に定める上告理由たる事由にあたらないし…
参照法条昭和24年法律43号による改正前の酒税法60条,刑法48条2項,刑訴法405条,刑訴法411条
適法な証拠調を経ない証拠物を証拠とした判決の違法
最高裁判所第二小法廷昭和26年12月7日昭和26(れ)1263集刑 第58号219頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、被告人等は、原判示のごとく押収にかかる革帯(証第三号)樫棒(証第二号)及び繩(証第四号)を使用して、被害者に暴行を加えその結果、遂に死亡するに至らしめた事実を認定し、右認定の証拠として押収にかかる右革帯、樫棒及び繩の存在を判決に挙示しているにかかわらず、右物件については、原審公判において、適法に証拠調を施行し…
参照法条旧刑訴法336条,旧刑訴法341条
被告人に最終陳述の機会を与えたが格別なる陳述をしなかつたと見られる一事例
最高裁判所第二小法廷昭和26年12月7日昭和26(れ)1295集刑 第58号227頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審第二回公判調書の末段(記録一三四丁裏)によれば、「裁判長は、被告人に対し意見及び最終の陳述はないかと問うたところ」との記載あり、次に「被告人は」と記載され、その以下及び次の行が空白となつていることは所論指摘のとおりである。しかし乍ら、本件には旧刑訴六四条の適用ある事件であるから、右各記載に照せば、裁判長は被告人に最…
参照法条旧刑訴法64条
被告人の自白と補強証拠の供述との間に多少のくいちがいのある場合と犯罪事実の認定
最高裁判所第二小法廷昭和26年11月30日昭和26(れ)683集刑 第57号781頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が、判示第六の犯罪事実認定の証拠として、被告人の原審並に第一審公判における自白の外、Aに対する司法警察官の聴取書を掲げたのは、これを以て右被告人の自白を補強するためであつて、右聴取書におけるAの供述がその内容の全部に亘つて、右被告人の自白と符合するものではないとしても、少くとも、その外形的事実―例えば同人が自転車…
参照法条旧刑訴法336条,旧刑訴法337条,旧刑訴法360条1項,刑訴応急措置法10条3項,憲法383条3項
犯罪発生原因上に存する憫諒すべき客観的な情状と期待可能性の有無
最高裁判所第一小法廷昭和26年11月29日昭和26(れ)1655集刑 第57号701頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件は期待可能性を欠き責任を阻却し無罪である旨の所論は、原審でその主張がなく従つて原判決もその点について何等判断を与えていなのである。しかのみならず、所論摘示の事情(割当てられた原料は公定価格で買えず製品の公定価格は生産原価を割るので原料の出目で作つた製品を公定価格で売らなければ立ち行かない等)は、いわば貧困で止むなく…
参照法条旧刑訴法360条2項,刑法36条
上告趣意書に引用すべき判例を具体的に示したことにならない一事例
最高裁判所第三小法廷昭和26年11月27日昭和26(れ)1703集刑 第57号449頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論「大正一五年九月二五日の判例」というだけでは論旨に引用する判例を具体的に示したことにならない(刑訴規制第二五三条)。
参照法条刑訴法407条,刑訴規則253条
判決書に弁護人の氏名の記載を欠くことと憲法第三四条
最高裁判所第三小法廷昭和26年11月27日昭和26(れ)1810集刑 第57号493頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨又半径書に弁護人の氏名を記さなければならないということは憲法の何処にも規定してないので、論旨第六点の如きは全く徒に違憲に名を藉るものに過ぎない。
参照法条旧刑訴法69条,憲法34条
起訴事実たる森林窃盗の賍物収受を森林窃盗と認定することと公訴事実の同一件
最高裁判所第一小法廷昭和26年11月15日昭和26(れ)226集刑 第56号733頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨本件における起訴事実である森林窃盗の賍物収受と原判決の認定事実である森林窃盗とは、その基本的事実関係において同一性を失わないものと認められるか、論旨後段の不告不理の違反があるという主張も採ることを得ない。
参照法条森林法87条,森林法84条7号,旧刑訴法291条,旧刑訴法409条,旧刑訴法410条18号
胴元のために寺銭を徴収することと賄場開帳図利幇助剤の判示方
最高裁判所第三小法廷昭和26年11月6日昭和26(れ)1608集刑 第56号339頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判示によれば、被告人Aが昭和二二年六月二六日と翌二七日の両日に亘つてBのために寺銭を徴収して同人の賭博開帳図利の所為を幇助したことが明らかであるから、所論のように寺銭の額や徴収の方法を一々判示しなくても賄場開帳図利幇助の犯罪事実の摘示として十分である。
参照法条刑法186条2項,刑法62条,旧刑訴法360条1項
旧刑訴法第二四八条の司法警察官と巡査部長の聴取書作成資格
最高裁判所第三小法廷昭和26年10月30日昭和26(れ)1293集刑 第55号871頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、第一審判決と同一の証拠(被告人に対する第二回司法警察官の聴取書中判示同旨の供述記載)のほか、原審証人Aの供述をも証書に援用している。そして前記聴取書は司法警察官巡査部長B名義で作成されたものであるが(所論のようにCが作成したものではない)、警察法第三五条、四六条、同法附則一九条等によれば、巡査部長は、旧刑訴二…
参照法条警察法35条,警察法46条,警察法附則19条,旧刑訴法48条,旧刑訴法249条
一 判決に被告たる会社を表示する方法と被告会社名の変更 二 会社代表者と誤記された会社代理人の供述の証拠能力
最高裁判所第三小法廷昭和26年10月23日昭和26(れ)998集刑 第55号75頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨判決に表示すべき被告会社については会社の名称、事務所及びその代表者の氏名を掲げるのが相当であるが、会社の名称に変更があつて判決に会社の旧名称を掲げたからといつてこれを以つて違法ということはできないし、代表者の氏名は必ずしもこれを判決に表示することを要するものではない。原判決にAを被告会社の代表者と表示したのは代理人の誤…
参照法条旧刑訴法69条,旧刑訴法331条
具体的に違法又は違憲の事実あることの主張に当らない上告理由の適否
最高裁判所第一小法廷昭和26年10月18日昭和26(れ)1028集刑 第54号1083頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論は、本件と契約当事者、引渡数量、適用条文等を異にする全然別種の事件を引用して漫然原判決は法律上平等の取扱いを受ける原則を無視し且つ基本的人権を尊重せず罪のない被告人に対し重刑を科した憲法違反があると非難するに過ぎないもので毫も本件につき具体的な違法又は違憲の事実あることを主張するものでないから、適法な上告理由と認め…
参照法条刑訴法405条,刑訴法408条
検察官のみが上訴をした場合と弁護人の弁論について判断することの要否
最高裁判所第一小法廷昭和26年10月4日昭和26(あ)1891集刑 第54号219頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨第一は、検察官だけの控訴申立による控訴判決において控訴法上判断を示すべく要請されていない弁護人の弁論について原判決が判断等をしていないのを独自の見解で違法、違憲であると主張するに過ぎないのであるから、結局理由のない単なる訴訟法違反の主張に帰する。
参照法条刑訴法392条,刑訴法396条,刑訴法397条
民法改正前における分家同意書の偽造、行使罪の処罰可能と憲法第一一条
最高裁判所第一小法廷昭和26年10月4日昭和26(れ)1044集刑 第54号135頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原判決の確定したところによれば、被告人は昭和一九年六月末頃私文書である戸主Aの分家同意書を偽造、行使したというのである。そして、既に成立したかかる私文書偽造、行使罪を免訴とすべき憲法規定は存しないのであるから、所論は採用し難い。(弁護人沖田誠の上告趣意書) 二 本件は封建的旧民法の戸主権を極端に認容した非民主的思想…
参照法条刑法159条,旧刑訴法363条2号,旧刑訴法161条,憲法11条
公判請求書に引用されている司法警察官意見書と犯罪一覧表との間に契印を欠くことと公訴事実の確定
最高裁判所第三小法廷昭和26年10月2日昭和26(れ)1563集刑 第54号103頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨論旨のように公判請求書とそこに引用されている司法警察官意見書との間、又は司法警察官意見書とそこに引用されている犯罪一覧表との間に常に契印を必要とするものではない。以上のように審判の範囲は明確なのであるから公訴棄却をすべきものであるという論旨は採用できない。
参照法条旧刑訴法71条2項,旧刑訴法291条
一 傷害罪における傷害の意義と、中毒による全身倦怠、膝蓋健反射亢進 二 メチール入ドラム罐を売渡した行為により数人に対し夫々傷害致死、傷害の結果を生ぜしめた場合の罪数 三 証拠物を訊問した予審調書の採証と右証拠物の証拠調の要否
最高裁判所第三小法廷昭和26年9月25日昭和26(れ)1418集刑 第53号313頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 原判決がAに対する傷害として認定した中毒による全身倦怠、膝蓋健反射亢進は人の生活機能の障害を惹起したものであり、これ等は傷害罪にいわゆる傷害に当る。 二 原判決のメチール入ドラム罐をBに売渡したため右メチールアルコールが被告人不知の間に順次被害者に飲用された判示犯罪行為の態様から見て、傷害致死、傷害の各所為は所論の…
参照法条刑法204条,刑法205条,刑法54条1項前段,旧刑訴法336条,旧刑訴法341条
一 公判調書における証拠調をした書類の表示方と「各聴取書」との表示の意義 二 甘藷澱粉の恐喝罪と之を運搬した食糧管理法違反罪との関係
最高裁判所第三小法廷昭和26年9月25日昭和26(れ)1431集刑 第53号345頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 しかし本件記録中には、聴取書として原本たる多くの聴取書の外に、所論指摘の聴取書謄本同抄本が編綴されており、謄本又は抄本の原本たる聴取書は編綴されていない。そして、原審第二回公判調書には、ただ単に「各聴取書」とのみ記載され、「各聴取書原本」と記載されていないのであるから、右「各聴取書」の中には前示各聴取書の謄本及び抄…
参照法条旧刑訴法343条1項3号,旧刑訴法60条,刑法45条,刑法249条,食糧管理法9条
刑法第四五条後段の併合罪と同第五〇条の適用を判示することの要否
最高裁判所第三小法廷昭和26年9月18日昭和26(れ)1231集刑 第53号61頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録に徴すれば、被告人には別罪につき所論指摘の裁判が確定して居り、原判決認定の各罪はその裁判確定前に犯されたものであること明らかであるが、原判決は右確定裁判のあることを明らかにしていないけれども、未だ裁判を経ない本件各罪について処断したのは、刑法第四五条後段第五〇条を実際上適用した結果に外ならず、また右各法条の適用は必…
参照法条刑法45条後段,刑法50条,旧刑訴法360条1項
常習賭博の事実を認めている被告人の「罰金にしてもらいたい」との最終陳述の意義
最高裁判所第三小法廷昭和26年9月18日昭和26(れ)727集刑 第53号31頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人は原審公判で第一審の判決摘示の犯罪事実(原判決と同様に常習賭博の事実を認定している)を読み聞けられたのに対し、「その通り相違ありません」と答えているのである。従つて、被告人の全供述を通読すると、最後に被告人が述べた「罰金刑をお願い致します」という供述は、懲役刑より軽い罰金刑の方を願う常人の単純な希望を述べたに過ぎ…
参照法条刑法186条1項,旧刑訴法349条
上告趣意書提出期間経過後、弁護人選任届を提出した場合の上告趣意書の効力
最高裁判所第二小法廷昭和26年9月14日昭和26(れ)1250集刑 第52号725頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨上告趣意書を差出すべき法廷期間を経過した後に差出された弁護人選任届によつては、その以前に差出された弁護人名義の上告趣意書を追完してその差出を有効とすることができないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一二九号、同年六月一二日第二小法廷判決、同年(れ)第四〇二号、同年七月六日第三小法廷決定)。
参照法条旧刑訴法423条
従犯であるとの主張と旧刑訴法第三六〇条第二項
最高裁判所第二小法廷昭和26年9月14日昭和26(れ)350集刑 第52号459頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨共同正犯としての公訴事実に対し従犯であると主張することは、単なる事実の否認の一種であつて、旧刑訴法第三六〇条第二項に定める主張に当らないことは、当裁判所の判例として示すところである(昭和二四年(れ)第一四三五号、同二六年三月一五日第一小法廷判決、昭和二四年(れ)第二四四五号、同二五年二月二八日第三小法廷判決)
参照法条刑訴法60条,刑訴法62条,旧刑訴法360条2項
記録取寄決定を施行する方法
最高裁判所第二小法廷昭和26年8月31日昭和26(れ)1073集刑 第51号1133頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審の本件公判調書によれば、原審が取り寄せた記録を法廷に顕出したことの記載のないことは所論のとおりであるが、一方本件原審公判の弁論において、吉田弁護人は、右取寄記録に記載された犯罪と本件犯行との関係について論及しており(八六一丁表)、また本件記録に取寄記録が添付されていることを綜合すると、原審は所論記録取寄の証拠決定の…
参照法条旧刑訴法140条2項
一 二回に収受した占領物資を所持する罪の罪数 二 被告人に不利益な主張と上告の適否 三 数回の取引に対して一括して統制額超過の謝礼を為した行為と罪数 四 違法の認識と犯意の成立 五 違法の認識を欠いていたという主張と旧刑訴法第三六〇条第二項
最高裁判所第三小法廷昭和26年8月28日昭和26(れ)485集刑 第51号1101頁
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裁判要旨一 原判決はその事実摘示(第一審判決の記載引用)において、被告人Aが二回に亘つて占領軍兵士某から占領軍物資を収受して不法に所持した旨を判示しているが、二個の占領軍物資不法収受罪乃至同所持罪を認定したのではなく、包括して一個の同所持罪を認めたものであることがその判文上からおのづからわかる。論旨は原判決が二個の犯罪を認めた…
参照法条旧刑訴法409条,旧刑訴法411条,旧刑訴法360条2項,刑法45条,刑法38条3項,物価統制令3条
一 事実認定を異にする判例を援用してした判例違反の主張の適否 二 判決書に裁判所の「部名」を表示することの要否
最高裁判所第一小法廷昭和26年8月9日昭和25(あ)2884集刑 第51号793頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 第一審判決は、被害者Aが、被告人は検事であるから代金は支払つてくれるものと誤信した結果、金約五百円に相当する酒食を被告人に提供した事実を認定し、原判決もこの事実認定を肯定しているのである。しかるに所論援用の当裁判所判例では、被害者は畏怖の結果として財物の交付をするに至つた場合なのであるから、本件とは事例を異にし、従…
参照法条刑訴法405条2号,刑訴法405条3号,刑訴法44条,刑法246条,刑法249条,刑訴規則55条,刑訴規則58条
一 弁護人選任の機会を与えたと認むべき事例 二 憲法第三四条前段及び同第三七条第三項前段所定の弁護人に依頼する権利と裁判所の告知義務
最高裁判所第三小法廷昭和26年8月9日昭和26(れ)372集刑 第51号467頁
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裁判要旨一 論旨中には、被告人は原審において弁護人に選任するため公判の続行を求めたが許されず、弁護人を選任する十分な機会もなく弁護人のないままで弁論を終結されたのは憲法に違反するとの主張があるが、記録によると、被告人は本件につき原審に控訴を申立てた後保釈によつて釈放されていたのであるからその機会に弁護人を選任することは十分にで…
参照法条旧刑訴法39条,旧刑訴法41条,憲法37条3項,憲法34条前段
一 犯意の成立と違法の認識 二 上告審において始めて期待可能性がないと主張した場合と上告理由の適否
最高裁判所第一小法廷昭和26年8月9日昭和26(れ)700集刑 第51号595頁
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裁判要旨一 被告人等の犯意は被告人等の買受けた本件物質の価格が公定価格を超えたものであることを被告人等において認識するによつて成立し、さらにその違法であることの認識を必要としないことは当裁判所昭和二四年(れ)第二〇〇六号第二六年一月三〇日第三小法廷判決(判例集五巻二号三七問頁)の趣旨に徴して明らかなところである。 二 原審にお…
参照法条刑法38条1項3項,旧刑訴法409条,旧刑訴法360条2項
弁護人の公判期日変更申請を許容せず国選弁護人の弁論をきいてした裁判と弁護権の制限の有無
最高裁判所第三小法廷昭和26年7月24日昭和25(あ)1590集刑 第50号933頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨記録によれば、原審裁判所が弁護人木原主計の第一回公判期日変更申請を許容しなかつたこと及び、同弁護人がその期日に公判に立会わないことは所論のとおりであるが、国選弁護人により被告人自身選定した右木原弁護人提出の控訴趣意書に基く弁論がなされたこと、その控訴趣意は簡単明白であり特に新たな事実証拠の取調を要する趣旨でもないこと及…
参照法条憲法37条3項,刑訴法276条
旧刑訴法第三四九条所定の手続きを履践した旨記載のない公判調書と判決の破棄
最高裁判所第三小法廷昭和26年7月24日昭和26(れ)880集刑 第50号1053頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審第四回公判調書をみるに、原審裁判長は事実並びに証拠調を終了する旨を告げた後、直に判決宣告期日を指定告知して閉廷したと記載されており、旧刑訴法第三四九条所定の手続を履践した旨の記載が欠けている(記録四一一丁裏)。従つて、原審では被告人と弁護人のいづれにも最終に陳述する機会を与えなかつたものと認めざるを得ないから(旧刑…
参照法条旧刑訴法349条,旧刑訴法60条2項12号,旧刑訴法64条
第一審よりも軽い主刑と重い附加刑を言渡した第二審判決と不利益変更禁止
最高裁判所第二小法廷昭和26年7月20日昭和25(れ)1959集刑 第50号615頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被告人のみから控訴した本件において第一審判決が懲役三月及び二年間右刑の執行を猶予する旨の言渡したのに対し、原判決がそれよりも軽い主刑即ち懲役二月、一年間執行猶予の言渡をしているのであるから、たとえ附加刑たる沒収に代るべき追懲につき原判決が第一審の言渡した額(百二拾円)よりも多い額(千五百円)と言渡したとしても、主文の全…
参照法条旧刑訴法403条
被告人に不利益な上告理由の例
最高裁判所第一小法廷昭和26年7月19日昭和26(れ)610集刑 第50号333頁
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裁判要旨原判決が所論被告人の犯行を一罪として処断していることは明白である。これを併合罪として取扱うべきもののごとく主張する所論は被告人のため不利益を主張することに帰し、上告適法の理由とならない。
参照法条旧刑訴法409条
被告人に対し弁護人選任に関する通知をしなかつたことの合憲性
最高裁判所第三小法廷昭和26年7月17日昭和26(あ)1087集刑 第50号83頁
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裁判要旨原審が被告人に対し弁護人の選任に関する通知をしなかつたからとて所論憲法の規定に違反しないことは大法廷判決(昭和二四年(れ)第二三八号同年一一月三〇日判決)の趣旨に徴し明らかであり、すでに当裁判所に同趣旨の判決がある。(昭和二五年(あ)第二四三一号同二六年五月一五日第三小法廷判決)。それゆえ、論旨は理由がない。
参照法条憲法34条,憲法37条,刑訴法272条
被告事件の解示に対する被告人の陳述部分が空欄であることと旧刑訴法第一三四条の手続の履践
最高裁判所第二小法廷昭和26年7月13日昭和26(れ)843集刑 第49号1123頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決が所論一審第一回公判調書中被告人の供述として判示同旨の記載を採証したこと及び右公判調書中に所論空欄部分があることは所論のとおりである。しかし所論被告事件解示に対する被告人の陳述部分が空欄であることは、被告事件の解示に対し被告人が何等記載すべき陳述をしなかつたものと解し得られるのであつて、所定手続の記載として違法は…
参照法条旧刑訴法64条,旧刑訴法134条,旧刑訴法345条
上告棄却の決定に対する訂正申立を実質的に判断して棄却した事例
最高裁判所第一小法廷昭和26年7月12日昭和26(す)200集刑 第49号1007頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨従つて本件訂正申立の理由は既に違憲を主張する前提である事実関係において事実と相違しその理由がないから刑訴法第四一七条第一項に則り主文のように決定する。
参照法条刑訴法417条1項
一 旧刑訴法第一三九条但書の司法警察吏の立会と該立会人の署名捺印なき調書の効力 二 刑訴応急措置法に基く逮捕状により逮捕された被疑者に対する司法警察官の訊問調書の証拠能力
最高裁判所第二小法廷昭和26年7月6日昭和24(れ)2600集刑 第49号327頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 旧刑訴法第一三九条但書は司法警察官訊問を為す場合においては司法警察吏をして立会わしむべしと規定しているのであるが、立会人が調書に署名捺印すべき規定はないのであるから立会人の署名捺印がないからといつてその調書は同条の規定に違反して無効であると解することはできない。 二 刑訴応急措置法に基く逮捕状の執行による被疑者逮捕…
参照法条旧刑訴法56条,旧刑訴法58条,旧刑訴法71条,旧刑訴法139条但書,刑訴応急措置法8条
捜索差押許可状の許可する範囲――公務執行妨害罪の対象たる公務執行の適法性
最高裁判所第二小法廷昭和26年7月6日昭和24新(れ)454集刑 第49号439頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 記録を調べても、右捜索行為が本件臨検捜索差押許可状の許容する範囲を逸脱し、公務執行妨害罪の対象となり得ないものであるとは解されない。 二 (上告趣意要旨) 三 ところが該臨検捜索差押許可状によれば捜索すべき場所自体又は物として「臨検すべき場所に在る土地建物」が指示されてあり差押えるべき物として「酒税法違反事件を証明…
参照法条刑法95条,刑訴法218条,刑訴法219条
控訴裁判所が刑訴第二七二条の告知をしなかつたため弁護人の国選がみられ控訴趣意書差出期間を経過した場合と憲法第三七条第三項
最高裁判所第三小法廷昭和26年7月3日昭和25(あ)1712集刑 第49号23頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審裁判所が控訴申立事件を受理するや直ちに被告人に弁護人の選任を請求することができる旨告知せず、又被告人も亦これが請求をしないで控訴趣意提出期間を経過しその後になつて始めて被告人は右請求をなし原裁判所が弁護人を選任したため、同弁護人は控訴趣意書を提出することができなくなつたからといつて、原裁判所は、被告人に対しその弁護…
参照法条憲法37条3項,刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴法規則177条
破棄差戻又は移送後の第一審の訴訟手続にする刑訴法第二五六条第六項、第二九一条、第二九二条、第二九八条及び第三〇一条の適用の有無と憲法違反の主張
最高裁判所第二小法廷昭和26年6月15日昭和26(あ)129集刑 第47号1123頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨破棄差戻又は移送後の第一審裁判所がその第一回公判期日前あらかじめ記録を調査し、且つ、公判廷において裁判官が証拠調をする前に被告人に対し、犯罪事実に関し可成り詳細に質問をし当事者の証拠調の請求を俟たないで記録中の各証拠書類及び証拠物を職権により証拠調をしたことが違法であるかどうかを争う主張は刑訴法第四〇五条第一項の憲法違…
参照法条刑訴法256条6項,刑訴法301条,刑訴法291条,刑訴規則217条,刑訴規則292条,裁判所法4条,裁判所法298条,憲法31条
最終陳述の機会は弁護人又は被告人のいずれか一方に与えれば足りる
最高裁判所第一小法廷昭和26年5月17日昭和26(れ)239集刑 第46号25頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨旧刑訴第三四九条三項には「被告人又ハ弁護人ニハ最終ニ陳述スル機会ヲ与フヘシ」と規定されているからいわゆる最終陳述は、検察官の対手人側である被告人又は弁護人のいずれか一方に与えるを以て足りるものといわなければならぬ。
参照法条旧刑訴法349条3項
証人が自ら実験した事実による推測事項の供述と採証の適否
最高裁判所第三小法廷昭和26年5月8日昭和26(れ)206集刑 第45号357頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決引用の第一審第四回公判調書中証人Aの証言の中「指示の被告人両名のうち背の高い方の人(B)は自分達の寝室に入つて来た人と背たけの具合が似ており」との部分は同証人が判示犯行当夜自ら実験した事実によつて推測した事項の陳述であるから原判決がこれを証拠としたことに何等違法はない。
参照法条旧刑訴法337条,旧刑訴法206条1項
証拠調に関する公判調書の記載の解釈
最高裁判所第二小法廷昭和26年5月4日昭和25(れ)1905集刑 第45号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原審第一回公判調書によれば「裁判長は本件証拠として各原審公判調書各訊問調書各聴取書各領置書各顛末書被告人の履歴書その他関係書類一切の要旨を告げ」証拠調をした旨の記載のあることは所論指摘のとおりである。そして右の内の「その他関係書類一切」という部分の記載は、証拠能力ある「各原審公判調書各訊問調書各聴取書」の内に引用されて…
参照法条旧刑訴法60条,旧刑訴法64条,旧刑訴法340条
鑑定書の死因に関する記載の証拠力
最高裁判所第二小法廷昭和26年5月4日昭和25(れ)1979集刑 第45号155頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨所論指摘の鑑定書の死因に関する記載は単なる空な想像を記載したものではなく、学識経験者がそれにより実験した事実に基ずき推測した事項を記載したもの(旧刑訴第二一九条、第二二八条第二〇六条参照)であることは右後の鑑定書の記載に照し極めて明瞭であるから、これを証拠に供した原 判決には何等所論のような違法はないのである。
参照法条旧刑訴法219条,旧刑訴法206条,旧刑訴法336条
権利実行の手段としての恐喝にあたらない事例
最高裁判所第二小法廷昭和26年4月27日昭和25(れ)1791集刑 第44号689頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨原判決は、その判示のごときAが原審相被告人Bに無断で同人の住所及び氏名を冐用し、禁制品である手巻タバコを小包郵便で他に発送したという不都合な所為につき、被告人が原審共同被告人Bと共謀し、右Aを恐喝して右の事情を内密に済ませるという名義の下にAから金員を喝取することを企て、判示のごとき恐喝行為をしたという事実を認定したも…
参照法条刑法249条1項,刑法60条,旧刑訴法409条
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