刑法
第二五条第二項〈刑の全部の執行猶予〉によれば、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあつても、その執行を猶予された者が、一年以下の懲役又は禁錮の言渡を受け情状特に憫諒すべきものであるときは再び執行を猶予することができるのであるが、一年を超える懲役又は禁錮の言渡を受けたときは、その執行を猶予することはできないのである。しかるに原判決は前示の如き執行猶予中の前科があることを認め且つ被告人を懲役一年六月に処しながら刑法二五条二項を適用し右懲役刑の執行を猶予する旨の判決を言渡したことは、明らかに右刑法の条項に違反したものであつて、本件非常上告はその理由がある。そして原判決は被告人のため不利益でないから刑訴四五八条一号本文の規定に従い、その違反した部分のみを破棄すべきものとする。