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最高裁 / 刑集登載246件
猫の死がいを被害者の事務机引き出し内に入れておき同人に発見させるなどした行為が刑法二三四条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合に当たるとされた事例
最高裁判所第二小法廷平成4年11月27日平成4(あ)267刑集 第46巻8号623頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被害者の事務机引き出し内に赤く染めた猫の死がいを入れておくなどして、被害者にこれを発見させ、畏怖させるに足りる状態においた一連の行為(判文参照)は、刑法二三四条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合に当たる。
参照法条刑法234条,軽犯罪法1条31号
一 共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否の判断方法 二 殺人の共同正犯者中の一人に過剰防衛が成立する場合に他の一人について過剰防衛が成立しないとされた事例
最高裁判所第二小法廷平成4年6月5日平成2(あ)788刑集 第46巻4号245頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 共同正犯が成立する場合における過剰防衛の成否は、共同正犯者の各人につきそれぞれの要件を満たすかどうかによって判断すべきである。 二 被告人と共謀の上被害者を殺害した甲について過剰防衛が成立する場合であっても、被害者の攻撃を予期し、その機会を利用して甲に反撃を加えさせようとして侵害に臨んだ被告人については、侵害の急迫…
参照法条刑法36条,刑法60条,刑法199条
デパートの火災事故につきこれを経営する会社の取締役人事部長並びに売場課長及び営繕課員に業務上過失致死傷罪が成立しないとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成3年11月14日昭和63(あ)1064刑集 第45巻8号221頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨営業中のデパート内の二階から三階への階段の上がり口付近で火災が発生し、三階店内に延焼して各階に燃え広がり、防火管理体制が不備であったため、店内の多数の者が死傷した火災事故について、(一)デパートを経営する会社の取締役人事部長には、防火管理につき包括的な権限と履行義務を有していた代表取締役が適正な防火管理業務を遂行する能…
参照法条刑法211条
一 テレホンカードと刑法一六二条、一六三条一項にいう「有価証券」 二 テレホンカードの磁気情報部分に記録された通話可能度数を権限なく改ざくする行為と刑法一六二条一項、一六三条一項にいう「変造」 三 変造されたテレホンカードをカード式公衆電話…
最高裁判所第三小法廷平成3年4月5日平成2(あ)791刑集 第45巻4号171頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 テレホンカードは、刑法一六二条、一六三条一項にいう「有価証券」に当たる。 二 テレホンカードの磁気情報部分に記録された通話可能度数を権限なく改ざんする行為は、刑法一六二条一項、一六三条一項にいう「変造」に当たる。 三 変造されたテレホンカードをカード式公衆電話機に挿入して使用する行為は、刑法一六二条、一六三条一項に…
参照法条刑法162条,刑法163条1項
新株の払込みを仮装のものとして公正証書原本不実記載罪の成立が認められた事例
最高裁判所第三小法廷平成3年2月28日昭和62(あ)1283刑集 第45巻2号77頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨増資の際、株式の払込みは、当初から真実の払込みとして会社資金を確保させる意図はなく、会社と名目的な引受人との合意に基づき、引受人が会社自身又は他から一時借り入れた金員をもって単に払込みの外形を整えた後、会社において直ちに右払込金を払い戻して、借入金の返済等に充て、あるいは払込金を会社名義の定期預金とした上これに質権を設…
参照法条刑法157条1項
デパートビルの火災事故においてデパートの管理課長並びにビル内のキャバレーの支配人及び代表取締役に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成2年11月29日昭和62(あ)1480刑集 第44巻8号871頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨閉店後工事が行われていたデパートビルの三階から火災が発生し、多量の煙が七階で営業中のキャバレーの店内に流入したため、多数の死傷者が生じた火災事故において、デパートの管理課長には、防火管理者として、三階の防火区画シャッター等を可能な範囲で閉鎖し、保安係員等を工事に立ち会わせ、出火に際して直ちにキャバレー側に火災発生を連絡…
参照法条刑法211条
第三者の暴行が介在した場合でも当初の暴行と死亡との間の因果関係が認められるとされた事例
最高裁判所第三小法廷平成2年11月20日昭和63(あ)1124刑集 第44巻8号837頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には、その後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても、被告人の暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。
参照法条刑法第1編第7章,刑法205条1項
ホテルの火災事故においてホテル経営者に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成2年11月16日昭和62(あ)519刑集 第44巻8号744頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨ホテルで火災が発生し、火煙の流入拡大を防止する防火戸・防火区画が設置されていなかったため火煙が短時間に建物内に充満し、従業員による避難誘導が全くなかったことと相まって、相当数の宿泊客等が死傷した火災事故において、ホテルの経営管理業務を統括掌理する最高の権限を有し、ホテルの建物に対する防火防災の管理業務を遂行すべき立場に…
参照法条刑法211条
救急医療を要請しなかつた不作為と被害者の死の結果との間に因果関係が認められた事例
最高裁判所第三小法廷平成元年12月15日平成1(あ)551刑集 第43巻13号879頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人らによつて注射された覚せい剤により被害者の女性が錯乱状態に陥つた時点において、直ちに被告人が救急医療を要請していれば、同女の救命が合理的な疑いを超える程度に確実であつたと認められる本件事案の下では、このような措置をとらなかつた被告人の不作為と同女の死亡との間には因果関係がある。
参照法条刑法第1編第7章,刑法218条1項,刑法219条
刑法三六条一項にいう「巳ムコトヲ得サルニ出テタル行為」に当たるとされた事例
最高裁判所第二小法廷平成元年11月13日昭和61(あ)782刑集 第43巻10号823頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨年齢も若く体力にも優れた相手方が、「お前、殴られたいのか。」と言って手拳を前に突き出し、足を蹴り上げる動作をしながら目前に迫ってきたなど判示のような状況の下において、危害を免れるため、菜切包丁を手に取ったうえ腰のあたりに構えて脅迫した本件行為は、いまだ防衛手段として相当性の範囲を超えたものとはいえない。
参照法条刑法36条,暴力行為等処罰に関する法律1条
公衆浴場法八条一号の無許可営業罪における無許可営業の故意が認められないとされた事例
最高裁判所第三小法廷平成元年7月18日昭和60(あ)1591刑集 第43巻7号752頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨会社代表者が、実父の公衆浴場営業を会社において引き継いで営業中、県係官の教示により、当初の営業許可申請者を実父から会社に変更する旨の公衆浴場業営業許可申請事項変更届を県知事宛に提出し、受理された旨の連絡を県議を通じて受けたため、会社に対する営業許可があつたと認識して営業を続けていたときは、公衆浴場法八条一号の無許可営業…
参照法条刑法38条1項,公衆浴場法2条1項,公衆浴場法8条1号,公衆浴場法11条
複数の建物が廻廊等により接続されていた神宮社殿が一個の現住建造物に当たるとされた事例
最高裁判所第三小法廷平成元年7月14日昭和63(あ)664刑集 第43巻7号641頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨本殿、拝殿、社務所等の建物が廻廊等により接続され、夜間も神職等が社務所等で宿直していた本件平安神宮社殿は、全体として一個の現住建造物に当たる。
参照法条刑法108条
自動車金融により所有権を取得した貸主による自動車の引揚行為と窃盗罪の成否
最高裁判所第三小法廷平成元年7月7日昭和59(あ)1168刑集 第43巻7号607頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨買戻約款付自動車売買契約により自動車金融をしていた貸主が、借主の買戻権喪失により自動車の所有権を取得した後、借主の事実上の支配内にある自動車を承諾なしに引き揚げた行為は、刑法二四二条にいう他人の占有に属する物を窃取したものとして窃盗罪を構成する。
参照法条刑法235条,刑法242条
共犯関係が解消していないとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成元年6月26日昭和63(あ)948刑集 第43巻6号567頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲が、乙と共謀のうえ、こもごも丙に暴行を加えたのち、現場から立ち去るに際し、乙において丙に対しなお暴行を加えるおそれが消滅していなかつたのに、格別これを防止する措置を講じなかつたときは、甲乙間の当初の共犯関係は、右の立ち去つた時点で解消したものということはできない。
参照法条刑法60条,刑法205条1項
共犯者の供述に信用性を認めた原判決が破棄された事例
最高裁判所第一小法廷平成元年6月22日昭和57(あ)223刑集 第43巻6号427頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人、死体遺棄の公訴事実に関し、被告人と犯行とを結びつける唯一の直接証拠である共犯者の供述の信用性について幾多の疑問点があるのに、それらを解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
参照法条刑法190条,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
逮捕勾留中の犯人の身代りを出頭させる行為と犯人隠避教唆罪の成否
最高裁判所第一小法廷平成元年5月1日昭和63(あ)247刑集 第43巻5号405頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨犯人が逮捕勾留された後であつても、他の者を教唆して身代り犯人として警察署に出頭させ、自己が犯人である旨の虚偽の陳述をさせた行為は、犯人隠避教唆罪を構成する。
参照法条刑法61条1項,刑法103条
運転者が認識していない後部荷台の同乗者を被害者とする業務上過失致死罪が成立するとされた事例
最高裁判所第二小法廷平成元年3月14日昭和61(あ)193刑集 第43巻3号262頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨貨物自動車の運転者が制限最高速度の二倍を超える高速度で走行中、ハンドル操作を誤り自車を信号柱に激突させて後部荷台の同乗者を死亡させた場合には、たとえ運転者において同乗の事実を認識していなかつたとしても、業務上過失致死罪が成立する。
参照法条刑法211条
警察官の電話盗聴行為が公務員職権濫用罪を構成しないとされた事例
最高裁判所第三小法廷平成元年3月14日昭和63(し)76刑集 第43巻3号283頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨警察官が職務として行つたものであつても、終始何人に対しても警察官でないことを装つてした本件電話盗聴行為は、職権を濫用して行つたものとはいえず、公務員職権濫用罪を構成しない。
参照法条刑法193条
休憩宣言後の県議会委員長に対する暴行が公務執行妨害罪を構成するとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成元年3月10日昭和61(あ)848刑集 第43巻3号188頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨県議会委員長が委員会の休憩を宣言して退出しようとした場合であつても、なお審議に関して生じた紛議に対処するなどの職務に従事していたと認められる本件においては、その際委員長に対して加えられた暴行は公務執行妨害罪を構成する。
参照法条刑法95条1項
公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たるとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成元年3月9日昭和59(あ)1036刑集 第43巻3号95頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨罵声を浴びせながら一方的に抗議する過程において、丸めた紙を相手方の顔面付近に突きつけてその先端をあごに触れさせ、相手方の座つているいすを揺さぶつた行為及び相手方がいすから立ち上がるのを阻止するためその手首を握つた行為は、いずれも公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たる。
参照法条刑法95条1項
官公署の不動産登記の嘱託と刑法一五七条一項にいう「申立」
最高裁判所第三小法廷平成元年2月17日昭和63(あ)756刑集 第43巻2号81頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨不動産登記法三〇条、三一条に基づく官公署の登記の嘱託も、刑法一五七条一項にいう「申立」に当たる。
参照法条刑法157条1項,不動産登記法30条,不動産登記法31条
図利加害の意欲ないし積極的認容と特別背任罪における図利加害目的
最高裁判所第二小法廷昭和63年11月21日昭和60(あ)714刑集 第42巻9号1251頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨特別背任罪における図利加害目的の存在を肯認するには、図利加害の意欲ないし積極的認容までを要するものではない。
参照法条商法486条1項(昭和56年法律74号による改正前のもの),刑法247条
一 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条一項にいう「工場又は事業場における事業活動に伴つて人の健康を害する物質を排出し」の意義 二 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条の罪が成立しないとされた事例 三 工場において原料の液体…
最高裁判所第一小法廷昭和63年10月27日昭和59(あ)238刑集 第42巻8号1109頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条一項にいう「工場又は事業場における事業活動に伴つて人の健康を害する物質を排出し」とは、工場又は事業場における事業活動の一環として行われる廃棄物その他の物質の排出の過程で、人の健康を害する物質を工場又は事業場の外に何人にも管理されない状態において出すことをいい、事業活動の一…
参照法条刑法211条,人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条
自動車運転者に注意義務を課す根拠となる具体的事実が訴因変更手続を経て撤回された場合につき右事実を認定することに違法はないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和63年10月24日昭和62(あ)1051刑集 第42巻8号1079頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自動車運転者に速度調節義務を課す根拠となる路面の滑りやすい原因と程度に関する具体的事実として、石灰の粉塵の路面への堆積凝固という事実が、公訴事実中に記載され、その後訴因変更手続を経て撤回されたとしても、被告人の防禦権が侵害されたとは認められない本件においては、右事実を認定することに違法はない。
参照法条刑法211条,刑訴法256条,刑訴法312条
被害者側の落度が介在した場合につき因果関係が認められた事例
最高裁判所第一小法廷昭和63年5月11日昭和61(あ)960刑集 第42巻5号807頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨医師の資格のない柔道整復師が風邪の症状を訴える患者に対して誤つた治療法を繰り返し指示し、これに忠実に従つた患者が病状を悪化させて死亡するに至つた場合には、患者側に医師の診察治療を受けることなく右指示に従つた落度があつたとしても、右指示と患者の死亡との間には因果関係がある。
参照法条刑法第1編第7章,刑法211条
一 迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例 二 胎児に病変を発生させ出生後死亡させた場合における業務上過失致死罪の成否 三 刑訴法二五三条一項にいう「犯罪行為」の意義 四 被害者が受傷後期間を…
最高裁判所第三小法廷昭和63年2月29日昭和57(あ)1555刑集 第42巻2号314頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。 二 業務上の過失により、胎児に病変を発生させ、これに起因して出…
参照法条憲法37条1項,刑法211条前段(昭和43年法律61号による改正前のもの),刑法54条1項,刑訴法250条,刑訴法253条1項
一 審判の請求を受けない事件について判決した場合に当たらないとされた事例 二 被告人らの自白のとおりに有罪とした原判決の事実認定に不合理な点があるとして破棄された事例
最高裁判所第二小法廷昭和63年1月29日昭和59(あ)1551刑集 第42巻1号38頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 甲、乙に対する起訴状の罪名及び罰条は殺人のみであつても、逮捕監禁の事実が殺人の実行行為の一部を組成するものとして公訴事実中に記載されていると認められるときは(判文参照)、たとえ右逮捕監禁の事実が殺人とは併合罪関係に立つものと解すべきであつたとしても、裁判所が甲につき殺人の実行行為の一部として右逮捕監禁の事実を認定し…
参照法条刑法45条,刑法199条,刑法220条1項,刑訴法256条2項,刑訴法256条4項,刑訴法317条,刑訴法378条3号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
堕胎により出生させた未熟児を放置した医師につき保護者遺棄致死罪が成立するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和63年1月19日昭和59(あ)588刑集 第42巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨妊婦の依頼を受け、妊娠第二六週に入つた胎児の堕胎を行つた産婦人科医師が、右堕胎により出生した未熟児に適切な医療を受けさせれば生育する可能性のあることを認識し、かつ、そのための措置をとることが迅速容易にできたにもかかわらず、同児を自己の医院内に放置して約五四時間後に死亡するに至らせたときは、業務上堕胎罪に併せて保護者遺棄…
参照法条刑法45条,刑法214条,刑法218条1項,刑法219条
有効な差押の標示として刑法96条の罪の客体になるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和62年9月30日昭和62(あ)341刑集 第41巻6号297頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨執行官により立てられ、その後何者かにより包装紙で覆われその上からビニールひもが掛けられていて、そのままでは記載内容を知ることができない公示札であつても、容易にこれらを除去して記載内容を明らかにすることができる状態にあるときは、有効な差押の標示として刑法九六条の罪の客体になる。
参照法条刑法96条
百円紙幣を模造する行為につき違法性の意識の欠如に相当の理由があるとはいえないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和62年7月16日昭和60(あ)457刑集 第41巻5号237頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲、乙がそれぞれ百円紙幣に紛らわしい外観を有する飲食店のサービス券を作成した行為につき、甲において、事前に警察署を訪れて警察官に相談した際、通貨模造についての罰則の存在を知らされるとともに、紙幣と紛らわしい外観を有するサービス券とならないよう具体的な助言を受けたのに、右助言を重大視せず、処罰されることはないと楽観してサ…
参照法条刑法38条3項,通過及証券模造取締法1条
ゴルフ場内のいわゆるロストボールが窃盗罪の客体になるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和62年4月10日昭和61(あ)1514刑集 第41巻3号221頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨ゴルフアーが誤つてゴルフ場内の人工池に打ち込み放置したいわゆるロストボールも、ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定しているときは、ゴルフ場側の所有及び占有に係るものとして窃盗罪の客体になる。
参照法条刑法235条,民法239条
傷害致死につき誤想過剰防衛であるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和62年3月26日昭和59(あ)1699刑集 第41巻2号182頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨空手三段の在日外国人が、酩酊した甲女とこれをなだめていた乙男とが揉み合ううち甲女が尻もちをついたのを目撃して、甲女が乙男から暴行を受けているものと誤解し、甲女を助けるべく両者の間に割つて入つたところ、乙男が防衛のため両こぶしを胸に前辺りに上げたのを自分に殴りかかつてくるものと誤信し、自己及び甲女の身体を防衛しようと考え…
参照法条刑法36条,刑法38条,刑法205条1項
一 刑法第二二五条の二にいう「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者」の意義 二 刑法第二二五条の二にいう「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者」に当たるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和62年3月24日昭和61(あ)688刑集 第41巻2号173頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二二五条の二にいう「近親其他被拐取者ノ安否ヲ憂慮スル者」には、単なる同情から被拐取者の安否を気づかうにすぎないとみられる第三者は含まれないが、近親のほか、被拐取者の安否を親身になつて憂慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係にある者も含まれる。 二 A銀行の代表取締役社長が拐取された場合における同銀行幹部ら…
参照法条刑法225条ノ2,(第一審判決は、刑事裁判月報第一七巻第九号八九二頁以下に登載)
県議会委員会の条例案採決等の事務と威力業務妨害罪にいう[業務]
最高裁判所第一小法廷昭和62年3月12日昭和59(あ)627刑集 第41巻2号140頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨県議会委員会の条例案採決等の事務は、威力業務妨害罪にいう[業務]に当たる。
参照法条刑法234条
常習累犯窃盗の罪と別の機会に窃盗目的で犯された軽犯罪法一条三号(侵入具携帯)の罪との罪数関係
最高裁判所第二小法廷昭和62年2月23日昭和61(あ)1177刑集 第41巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨常習累犯窃盗の罪と軽犯罪法一条三号(侵入具携帯)の罪とが機会を異にして犯された場合には、たとえ侵入具携帯が常習性の発現と認められる窃盗を目的とするものであつたとしても、両罪は併合罪の関係にある。
参照法条盗犯等の防止及び処分に関する法律3条,軽犯罪法1条3号,刑法45条
いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪ではなく窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪になるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和61年11月18日昭和60(あ)1198刑集 第40巻7号523頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲と乙が、当初は丙を殺害してその所持する覚せい剤を強取することを計画したが、その後計画を変更し、共謀の上、まず甲において、覚せい剤取引の斡旋にかこつけて丙をホテルの一室に呼び出し、別室に買主が待機しているかのように装つて、覚せい剤の売買の話をまとめるためには現物を買主に見せる必要がある旨申し向けて丙から覚せい剤を受け取…
参照法条刑法45条,刑法235条,刑法236条,刑法238条,刑法240条,刑法243条,刑法246条1項
遊技機を設置して行う常習賭博罪の罪となるべき事実の摘示の程度
最高裁判所第三小法廷昭和61年10月28日昭和60(あ)1263刑集 第40巻6号509頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨多数の賭博遊技機を設置した遊技場の経営者が、不特定多数の遊技客との賭博を反覆継続した事案につき、右遊技場の営業継続期間の全般にわたつて行われた各賭博行為を一個の常習賭博罪と認定する場合には、右遊技場の所在地、営業継続期間、遊技機の種類・台数、賭博の態様を摘示したうえ、「右期間中、常習として、甲ほか不特定多数の賭客を相手…
参照法条刑法186条1項,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項
刑法二六〇条の「他人ノ」建造物に当たるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和61年7月18日昭和58(あ)1072刑集 第40巻5号438頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人所有の建物につき根抵当権の設定を受けた甲が抵当権実行の結果自らこれを競落して、同人に対する所有権移転登記が経由された後、執行官が右建物につき不動産引渡命令の執行をしようとした際、被告人が同建物の損壊に及んだ等の判示の事実関係の下では、たとえ被告人が右根抵当権設定の意思表示は甲の側の詐欺によるものとしてこれを取り消…
参照法条刑法260条
選挙運動者に対する金銭供与の共謀者間における供与資金の交付約束が供与の実行直後に履行された場合の供与の罪と交付の罪との関係
最高裁判所第一小法廷昭和61年7月17日昭和61(あ)160刑集 第40巻5号397頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨選挙運動者に対する金銭供与の共謀者間において供与の実行前にあらかじめされていた供与資金交付の約束が供与の実行直後に履行された場合にも、交付の罪は供与の罪に吸収される。
参照法条公職選挙法221条1項1号,公職選挙法221条1項5号,刑法45条
市長の再選後に担当すべき職務に関し受託収賄罪が成立するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和61年6月27日昭和59(あ)1087刑集 第40巻4号369頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨市の発注する工事に関し入札参加者の氏名及び入札の執行を管理する職務権限をもつ市長が、任期満了の前に、再選された場合に具体的にその職務を執行することが予定されていた市庁舎の建設工事の入札等につき請託を受けて賄賂を収受したときは、受託収賄罪が成立する。
参照法条刑法197条1項(昭和55年法律30号による改正前のもの)
公文書の内容に改ざんを加えたうえそのコピーを作成した場合の擬律
最高裁判所第二小法廷昭和61年6月27日昭和59(あ)555刑集 第40巻4号340頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨行使の目的をもつて、ほしいままに、営林署長の記名押印がある売買契約書の売買代金欄等の記載に改ざんを施すなどしたうえ、これを複写機械で複写する方法により、あたかも真正な右売買契約書を原形どおり正確に複写したかのような形式、外観を備えるコピーを作成した所為は、その改ざんが原本自体にされたのであれば未だ文書の変造の範ちゆうに…
参照法条刑法155条1項,刑法155条2項
マジツクホンと称する電気機器を電話回線に取り付けた行為につき違法性が否定されないとした事例
最高裁判所第一小法廷昭和61年6月24日昭和58(あ)555刑集 第40巻4号292頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨マジツクホンと称する電気機器を加入電話の回線に取り付けた行為は、たとえ同機器を取り付けた者がただ一回通話を試みただけでこれを取り外した等の事情があつたとしても、違法性が否定されるものではない。
参照法条刑法35条,刑法233条,有線電気通信法21条(昭和59年法律87号による改正前のもの)
一 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合の罪責 二 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合における没収の適条
最高裁判所第一小法廷昭和61年6月9日昭和61(あ)172刑集 第40巻4号269頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合には、麻薬取締法六六条一項、二八条一項の麻薬所持罪が成立する。 二 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合における覚せい剤の没収は、覚せい剤取締法四一条の六によるべき…
参照法条刑法19条1項1号,刑法38条2項,麻薬取締法28条1項,麻薬取締法66条1項,麻薬取締法68条,覚せい剤取締法14条1項,覚せい剤取締法41条の2第1項1号,覚せい剤取締法41条の6
同一の日時場所において多数の選挙人に対し饗応接待をした場合の罪数
最高裁判所第二小法廷昭和61年4月1日昭和60(あ)1573刑集 第40巻3号197頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自己の当選を得る目的をもつて同一の日時場所において多数の選挙人に対し饗応接待をした行為は、包括して一個の饗応接待罪を構成する。
参照法条公職選挙法221条1項1号,刑法45条,刑法54条1項前段
一 有線電気通信法二条一項にいう「符号」に当たるとされた事例 二 マジツクホンと称する電気機器を電話回線に取り付けた行為と有線電気通信妨害罪及び偽計業務妨害罪の成否並びにその罪数関係
最高裁判所第一小法廷昭和61年2月3日昭和58(あ)612刑集 第40巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 日本電信電話公社の電話回線を通じ、発信側電話の度数計器を作動させるため、受信側から送出される応答信号は、有線電気通信法二条一項にいう「符号」に当たる。 二 マジツクホンと称する電気機器を電話回線に取り付け、応答信号の送出を妨げるとともに、発信側電話の度数計器の作動を不能にした行為は、有線電気通信妨害罪(昭和五九年法…
参照法条有線電気通信法2条1項,有線電気通信法21条(昭和59年法律87号による改正前のもの),刑法54条1項前段,刑法233条
刑法二六条三号による刑の執行猶予の取消請求権が失われないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和60年11月29日昭和60(し)106刑集 第39巻7号532頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨執行猶予の言渡しがあつた事件において、被告人が、捜査官に対しことさら知人である甲女の氏名を詐称し、かねて熟知していた同女の身上及び前科をも正確詳細に供述するなどして、あたかも甲女であるかのように巧みに装つたため、捜査官が全く不審を抱かず、指紋の同一性の確認をしなかつたことにより、当該判決の確定前に被告人自身の前科を覚知…
参照法条刑法26条3号
一 刑法一一七条の二の業務の意義 二 人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務と刑法二一一条の業務 三 易燃物の管理責任者につき業務上失火罪及び業務上過失致死罪が成立するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和60年10月21日昭和58(あ)829刑集 第39巻6号362頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法一一七条の二にいう業務とは、職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位をいう。 二 刑法二一一条にいう業務には、人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる。 三 ウレタンフオームの加工販売業を営む会社の工場部門の責任者として、易燃物であるウレタンフオームを管理するうえで当然に伴う火災…
参照法条刑法116条1項,刑法117条ノ2,刑法211条
殺人につき防衛の意思を欠くとはいえないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和60年9月12日昭和59(あ)1256刑集 第39巻6号275頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、自己の経営するスナツク店内において、相手方から一方的にかなり激しい暴行を加えられているうち、憎悪と怒りから調理場にあつた文化包丁を持ち出し、「表に出てこい」などと言いながら出入口へ向かつたところ、相手方から物を投げられ、「逃げる気か」と言つて肩を掴まれるなどしたため、更に暴行を加えられることをおそれ、振り向き…
参照法条刑法36条
裁判官が刑事被告人を裁判所外に呼び出した行為が公務員職権濫用罪に当たるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和60年7月16日昭和58(あ)1309刑集 第39巻5号245頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判官が、私的な交際を求める意図で、自己の担当する窃盗被告事件の女性被告人を、夜間、電話で、被害弁償のことで会いたいなどと言つて喫茶店に呼び出し、同店内に同席させた本件行為(判文参照)は、裁判官としての職権を濫用し義務なきことを行わせた行為に当たる。
参照法条刑法193条
市議会議員の会派内における議長候補者選出行為が市議会議員の職務に密接な関係のある行為に当たるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和60年6月11日昭和58(あ)194刑集 第39巻5号219頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨市議会議員が、現職議員によつて構成される会派内において、市議会議長選挙に関し、所属議員の投票を拘束する趣旨で、投票すべき候補者を選出する行為は、市議会議員の職務に密接な関係のある行為として収賄罪にいわゆる職務行為に当たる。
参照法条刑法197条
大型貨物自動車の運転者につき自車を避譲して走行中の自転車の追抜きを差し控えるべき注意義務があるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和60年4月30日昭和59(あ)220刑集 第39巻3号186頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨狭隘な道路を進行する大型貨物自動車の運転者としては、前方を走行中の自転車が自車の警笛に応じて道路端に避譲して走行した場合であつても、その自転車はブロツク塀に接する安全走行に適しない有蓋側溝上を走行しており、運転者が老齢であつたなどの本件状況(判文参照)の下においては、自転車転倒の危険を予測して追抜きを差し控えるべき業務…
参照法条刑法211条
背任罪にいわゆる任務違背の行為に当たるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和60年4月3日昭和57(あ)671刑集 第39巻3号131頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨信用組合の専務理事である被告人が、自ら所管する貸付事務について、貸付金の回収が危ぶまれる状態にあることを熟知しながら、無担保あるいは不十分な担保で貸付を実行する手続をとつた本件行為は、それが決裁権を有する理事長の決定・指示によるものであり、被告人がその貸付について理事長に対し反対意見を具申したという事情があつたとしても…
参照法条刑法247条
刑法一一〇条一項の罪と公共の危険発生の認識の要否
最高裁判所第一小法廷昭和60年3月28日昭和58(あ)937刑集 第39巻2号75頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法一一〇条一項の罪の成立には、公共の危険発生の認識は必要でない。
参照法条刑法110条1項
刑法四二条一項の自首が成立するとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和60年2月8日昭和58(あ)1777刑集 第39巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨運転を誤つて自動車を海中に転落させ同乗者を負傷させる事故を起こした者が、警察官の取調べに対し、いつたんは、同乗者がいなかつたと嘘をいい、業務上過失傷害罪の嫌疑が自己に及ぶことを妨げたという事情があつたとしても、その後、右罪が官に発覚する前に、これを自ら進んで警察官に申告したときは、自首が成立する。
参照法条刑法42条1項
一 現場写真の証拠能力 二 複数の集団による暴行脅迫と騒擾罪における共同意思 三 騒擾罪にいわゆる「一地方」における公共の平和静謐に対する侵害の有無の判断基準
最高裁判所第二小法廷昭和59年12月21日昭和57(あ)1504刑集 第38巻12号3071頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 犯行の状況等を撮影したいわゆる現場写真は、非供述証拠に属し、当該写真自体又は他の証拠により事件との関連性を認めうる限り証拠能力を具備する。 二 同一地域内において、構成を異にする複数の集団により時間、場所を異にしてそれぞれ暴行脅迫が行われた場合であつても、先行の集団による暴行脅迫に触発、刺激され、右暴行脅迫の事実を…
参照法条刑訴法320条1項,刑訴法321条3項,刑法106条
一 鉄道営業法三五条及び刑法一三〇条後段を適用しても憲法二一条一項に違反しないとされた事例 二 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」の意義 三 刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」の意義 四 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」及び刑法一三〇条…
最高裁判所第三小法廷昭和59年12月18日昭和59(あ)206刑集 第38巻12号3026頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 駅係員の許諾を受けないで駅構内において乗降客らに対しビラ多数を配布して演説等を繰り返したうえ、駅管理者からの退去要求を無視して約二〇分間にわたり駅構内に滞留した被告人らの所為につき、鉄道営業法三五条及び刑法一三〇条後段の各規定を適用してこれを処罰しても憲法二一条一項に違反しない。 二 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地…
参照法条鉄道営業法35条,刑法130条,憲法21条1項
余罪につき未決勾留日数の裁定算入及び法定通算により現実には刑の執行の余地のない実刑判決が確定した場合と刑法二六条二号
最高裁判所第三小法廷昭和59年12月18日昭和59(し)117刑集 第38巻12号3051頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑の執行猶予の判決確定後に、同判決確定前に犯した他の罪につき禁錮以上の実刑に処する判決が確定したときは、右実刑判決が、未決勾留日数の裁定算入及び法定通算により、現実に刑の執行をなしうる余地がないものであつても、刑法二六条二号に該当する。
参照法条刑法26条2号
傷害致死罪における暴行と死亡との間に因果関係があるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和59年7月6日昭和58(あ)1537刑集 第38巻8号2793頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被害者の死因となつたくも膜下出血が、被告人らの暴行に耐えかねた被害者が逃走しようとして池に落ち込み露出した岩石に頭部を打ちつけたため生じたものであるとしても、被告人らの暴行と被害者の右受傷に基づく死亡との間に因果関係を認めるのが相当である。
参照法条刑法205条
精神分裂病者と責任能力
最高裁判所第三小法廷昭和59年7月3日昭和58(あ)1761刑集 第38巻8号2783頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が犯行当時精神分裂病に罹患していたからといつて、そのことだけで直ちに被告人が心神喪失の状態にあつたとされるものではなく、その責任能力の有無・程度は、被告人の犯行当時の病状、犯行前の生活状態、犯行の動機・態様等を総合して判定すべきである。
参照法条刑法39条
大学設置審議会委員の職務に密接な関係のある行為にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和59年5月30日昭和57(あ)246刑集 第38巻7号2682頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨大学設置審議会及びその歯学専門委員会の委員である被告人が、歯科大学設置の認可申請をしていた関係者らに対し、教員予定者の適否を右委員会の審査基準に従つて予め判定してやり、あるいは同委員会の中間的審査結果をその正式通知前に知らせた行為は、右審議会及び委員会の委員としての職務に密接な関係のある行為として収賄罪にいわゆる職務行…
参照法条刑法197条
国鉄電気機関士の出区点検行為と刑法九五条一項にいう公務員の職務
最高裁判所第一小法廷昭和59年5月8日昭和57(あ)1805刑集 第38巻7号2621頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨国鉄の電気機関士による電気機関車出区点検の行為は、刑法九五条一項にいう公務員の職務にあたる。
参照法条刑法95条1項
一 有線電気通信法二条一項にいう「符号」にあたるとされた事例 二 有線電気通信法二一条違反及び偽計業務妨害の両罪が成立するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和59年4月27日昭和58(あ)1707刑集 第38巻6号2584頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 A公社の架設する電話回線において、発信側電話機に対する課金装置を作動させるため受信側から発信側に送出される応答信号は、有線電気通信法二条一項にいう「符号」にあたる。 二 A公社の架設する電話回線において、発信側電話機に対する課金装置を作動させるため受信側から発信側に送出される応答信号の送出を阻害する機能を有するマジ…
参照法条有線電気通信法2条1項,有線電気通信法21条,刑法233条
殺人教唆等の公訴事実につき被教唆者の供述の信用性を肯定しアリバイの成立を否定した原審の判断が支持し難いとして破棄された事例
最高裁判所第三小法廷昭和59年4月24日昭和56(あ)897刑集 第38巻6号2196頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人教唆等の公訴事実についての唯一の直接証拠である被教唆者の検察官に対する供述調書の証拠価値に疑問を容れる余地がないとはいえず、被告人のアリバイの成否について幾多の疑問が残されているのに(判文参照)、被告人を有罪とした原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
参照法条刑法61条1項,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
一 設けられた障害物が通路を部分的に遮断するにすぎない場合と刑法一二四条一項にいう陸路の「壅塞」 二 往来妨害罪が成立するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和59年4月12日昭和57(あ)893刑集 第38巻6号2107頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 設けられた障害物が通路を部分的に遮断するにすぎない場合であつても、該通路の効用を阻害して往来の危険を生じさせるものであるときは、刑法一二四条一項にいう陸路を「壅塞」したことにあたる。 二 幅員五・九メートルの県道上の側端から中央部分にかけて車体の長さ約四・二六メートルの普通乗用自動車をやや斜め横向きに置き、車両の内…
参照法条刑法124条1項
弁護士の業務用鞄の奪取隠匿行為が刑法二三四条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合にあたるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和59年3月23日昭和57(あ)987刑集 第38巻5号2030頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨弁護士からその業務にとつて重要な書類が在中する鞄を奪取して隠匿する行為は、刑法二三四条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合にあたる。
参照法条刑法234条,軽犯罪法1条31号
謀議の内容において被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていた場合といわゆる共謀共同正犯者としての殺人の故意の成立
最高裁判所第三小法廷昭和59年3月6日昭和58(あ)531刑集 第38巻5号1961頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨謀議の内容において被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせており、犯意自体が未必的なものであつたとしても、実行行為の意思が確定的であつたときは、いわゆる共謀共同正犯者としての殺人の故意の成立に欠けるところはない。
参照法条刑法38条1項,刑法60条,刑法199条
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)八五条三号の規定と憲法一四条一項、三一条、三二条 二 独禁法八五条三号の規定と憲法七七条一項 三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承を得させることとする行政指導…
最高裁判所第二小法廷昭和59年2月24日昭和55(あ)2153刑集 第38巻4号1287頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた同法八五条三号の規定は、憲法一四条一項、三一条、三二条に違反しない。 二 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権を東京高等裁判所に専属させた同法八五条三号の規定は、憲法七七条一項に違反しない。 三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承…
参照法条私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)1条,独禁法2条6項,独禁法8条1項,独禁法33条,独禁法85条3号,独禁法89条1項(昭和52年法律第63号による改正前のもの),独禁法95条1項(昭和52年法律第63…
被告人を指称するものとして相当広範囲に定着していた名称を用いて再入国許可申請書を作成行使した所為が私文書偽造同行使罪にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和59年2月17日昭和58(あ)257刑集 第38巻3号336頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨本邦に密入国し外国人の新規登録申請をしていないにもかかわらず、甲名義で発行された外国人登録証明書を他から取得し、その名義で登録事項確認申請を繰り返すことにより、自らが外国人登録証明書の甲その人であるかのように装つて本邦に在留を続けていた被告人が、甲名義を用いて再入国許可申請書を作成、行使した所為は、被告人において甲とい…
参照法条刑法159条1項,刑法161条1項
歩行中の集団を停止させた警察官の行為が犯人検挙のための捜査活動として適法な職務執行にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和59年2月13日昭和55(あ)1104刑集 第38巻3号295頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨集団の一員が、警備中の警察官に暴行を加えてその職務の執行を妨害するとともに傷害を負わせ、右集団にまぎれ込んだ場合において、右犯人を探索して検挙するため、歩行中の右集団を六、七分間にわたり停止させた本件警察官の行為は、当時、犯罪発生後間がなく、かつ、被害警察官が犯人の人相特徴を明確に記憶しているなど犯人検挙の可能性がきわ…
参照法条刑法95条1項,刑訴法197条1項,警察官職務執行法2条1項
刑法三六条にいう「急迫不正ノ侵害」にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和59年1月30日昭和57(あ)648刑集 第38巻1号185頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨相手方から一方的に暴行を受けた被告人が、帰寮後も憤まん収まらず、いつたんは木刀を手にして相手方と対峙し同人を難詰したものの、同僚の説得に従い、話合いをするため木刀を投げ捨てその場を離れたにもかかわらず、予期に反して相手方がいきなり右木刀を拾い上げ攻撃してきた本件事実関係のもとにおいては(判文参照)、右攻撃は刑法三六条に…
参照法条刑法36条
一 大麻取締法四条、二四条二号の輸入罪の成立時期 二 大麻取締法四条、二四条二号の輸入罪と関税法一一一条の無許可輸入罪との罪数関係
最高裁判所第一小法廷昭和58年12月21日昭和58(あ)1235刑集 第37巻10号1878頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 税関空港、保税地域等外国貨物に対する税関の実力的管理支配が及んでいる地域に外国から航空機又は船舶により大麻を持ち込む場合、大麻取締法四条、二四条一項の輸入罪は、大麻を税関空港に着陸した航空機から取りおろし、あるいは船舶から保税地域に陸揚げすることによつて成立する。 二 税関空港、保税地域等外国貨物に対する税関の実力…
参照法条大麻取締法4条,大麻取締法24条2号,刑法45条,刑法54条1項,関税法111条
控訴審における謀議の認定手続に不意打ちの違法があるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和58年12月13日昭和55(あ)1284刑集 第37巻10号1581頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨三月一二日から一四日までの謀議への関与を理由にハイジヤツクの共謀共同正犯として起訴された被告人につき、一三日及び一四日の謀議とりわけ一三日夜の第一次謀議への関与を重視してその刑責を肯定した第一審判決に対し、被告人のみが控訴を申し立てた事案において、右第一次謀議への関与の有無がハイジヤツクに関する謀議の成否の判断上とりわ…
参照法条刑法60条,刑訴法294条,刑訴法308条,刑訴法317条,刑訴法404条
一 道路運送車両法に規定する電子情報処理組織による自動車登録フアイルと刑法一五七条一項にいう「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本」 二 道路運送車両法に規定する電子情報処理組織による自動車登録フアイルの「使用の本拠の位置」等についての虚偽の記…
最高裁判所第一小法廷昭和58年11月24日昭和57(あ)709刑集 第37巻9号1538頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 道路運送車両法に規定する電子情報処理組織による自動車登録フアイルは、刑法一五七条一項にいう「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本」にあたる。 二 道路運送車両法に規定する電子情報処理組織による自動車登録フアイルの「使用の本拠の位置」又は「使用者の住所」についての虚偽の記載は、刑法一五七条一項にいう「不実ノ記載」にあたる…
参照法条刑法157条1項,道路運送車両法6条,道路運送車両法7条,道路運送車両法9条,道路運送車両法58条,道路運送車両法72条1項,道路運送車両法施行規則35条の3第4号,自動車登録令7条」
迎撃形態の兇器準備集合罪における共同加害目的
最高裁判所第三小法廷昭和58年11月22日昭和56(あ)950刑集 第37巻9号1507頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪において共同加害目的があるというためには、行為者が、相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性を認識している必要はなく、相手方からの襲撃のありうることを予想し、襲撃があつた際にはこれを迎撃して相手方の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える意思を有していれば足りる。
参照法条刑法208条ノ2
法人を被害者とする侮辱罪の成否
最高裁判所第一小法廷昭和58年11月1日昭和58(あ)960刑集 第37巻9号1341頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨侮辱罪は、法人を被害者とする場合においても成立する。
参照法条刑法231条
刑法一七五条と憲法一三条、二一条、三一条
最高裁判所第一小法廷昭和58年10月27日昭和57(あ)859刑集 第37巻8号1294頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法一七五条は、憲法一三条、二一条、三一条に違反しない。
参照法条刑法175条,憲法13条,憲法21条,憲法31条
一 刑法一条二項にいう「日本船舶」にあたるとされた事例 二 公海上における船舶覆没行為につき刑法一条二項により同法一二六条二項の規定の適用があるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和58年10月26日昭和58(あ)498刑集 第37巻8号1228頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 本件覆没行為の当時船舶法一条三号の要件を備えていたものと認められる本件船舶は、刑法一条二項にいう「日本船舶」にあたる。 二 公海上で、日本船舶の乗組員が同船舶の船底弁を引き抜き海水を船内に浸入させて人の現在する船舶を覆没させた行為については、刑法一条二項により同法一二六条二項の規定の適用がある。
参照法条刑法1条,刑法126条,船舶法1条
一 覚せい剤取締法一三条、四一条の輸入罪の既遂時期 二 覚せい剤取締法一三条、四一条の輸入罪と関税法一一一条の無許可輸入罪との罪数関係
最高裁判所第一小法廷昭和58年9月29日昭和57(あ)1153刑集 第37巻7号1110頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 保税地域、税関空港等外国貨物に対する税関の実力的管理支配が及んでいる地域に、外国から船舶又は航空機により覚せい剤を持ち込む場合、覚せい罪取締法一三条、四一条の輸入罪は、覚せい剤を船舶から保税地域に陸揚げし、あるいは税関空港に着陸した航空機から覚せい剤を取りおろすことによつて既遂に達する。 二 保税地域、税関空港等外…
参照法条刑法45条,刑法54条1項,覚せい剤取締法13条,覚せい剤取締法41条,関税法111条
みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が被拐取者を監禁しみのしろ金を要求した場合の罪数関係
最高裁判所第三小法廷昭和58年9月27日昭和57(あ)1012刑集 第37巻7号1078頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が、更に被拐取者を監禁し、その間にみのしろ金を要求した場合には、みのしろ金目的拐取罪とみのしろ金要求罪とは牽連犯の関係に、以上の各罪と監禁罪とは併合罪の関係にある。
参照法条刑法45条,刑法54条1項後段,刑法225条ノ2,刑法220条1項
是非弁別能力を有する刑事未成年者を利用して窃盗を行つた者につき窃盗の間接正犯が成立するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和58年9月21日昭和58(あ)537刑集 第37巻7号1070頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている一二歳の養女を利用して窃盗を行つたと認められる判示の事実関係のもとにおいては、たとえ同女が是非善悪の判断能力を有する者であつたとしても、右利用者につき窃盗の間接正犯が成立する。
参照法条刑法41条,刑法60条,刑法61条,刑法235条
訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務がないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和58年9月6日昭和55(あ)629刑集 第37巻7号930頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第一審において被告人らが無罪とされた公訴事実が警察官一名に対する傷害致死を含む重大な罪にかかるものであり、また、同事実に関する現場共謀の訴因を事前共謀の訴因に変更することにより同事実につき被告人らに対し共謀共同正犯としての罪責を問いうる余地がある場合であつても、検察官が、約八年半に及ぶ第一審の審理の全課程を通じ一貫して…
参照法条刑訴法312条,刑訴規則208条,刑法60条,刑法205条1項
一 死刑選択の許される基準 二 無期懲役を言い渡した控訴審判決が検察官の上告により量刑不当として破棄された事例
最高裁判所第二小法廷昭和58年7月8日昭和56(あ)1505刑集 第37巻6号609頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であつて、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと…
参照法条刑法9条,刑法199条,刑法240条,刑訴法411条2号
一 兇器準備集合罪の保護法益 二 迎撃形態の兇器準備集合罪と相手方からの襲撃の客観的蓋然性の要否
最高裁判所第一小法廷昭和58年6月23日昭和55(あ)1608刑集 第37巻5号555頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 兇器準備集合罪は、個人の生命、身体又は財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平穏をも同様に保護法益とするものである。 二 兇器準備集合罪はいわゆる抽象的危険反であつて、いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪が成立するためには、必ずしも相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性が客観的状況として存在することは必要でなく、兇器準備集…
参照法条刑法208条ノ2
一 刑法二四七条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」の意義 二 信用保証協会職員の保証業務行為が背任罪に該当するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和58年5月24日昭和56(あ)411刑集 第37巻4号437頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二四七条にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」とは、経済的見地において本人の財産状態を評価し、被告人の行為によつて本人の財産の価値が減少したとき又は増加すべかりし価値が増加しなかつたときをいう。 二 信用保証協会の業務の性質上、その行う債務保証が、常態においても同協会に損害を生じさせる場合が少なくないとして…
参照法条刑法247条,信用保証協会法1条,信用保証協会法20条
威力入札妨害罪が成立するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和58年5月9日昭和57(あ)542刑集 第37巻4号401頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨地方公共団体が行う指名競争入札に関し、他の指名業者に対し自社を落札者とすることの談合を持ちかけ、これに応じなかつた会社の代表取締役に脅迫を加えて右談合に応ずるよう要求したときは、威力入札妨害罪が成立する。
参照法条刑法96条ノ3
殺人未遂罪の罪となるべき事実中の犯罪行為の判示として不十分とはいえないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和58年5月6日昭和57(あ)1807刑集 第37巻4号375頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「未必の殺意をもつて、被害者の身体を、有形力を行使して、被告人方屋上の高さ約〇・八メートルの転落防護壁の手摺り越しに約七・三メートル下方のコンクリート舗装の路上に落下させて路面に激突させた」旨判示し、被害者を屋上から落下させた手段・方法を右以上に具体的に摘示していない場合でも、右判示は、殺人未遂罪の罪となるべき事実中の…
参照法条刑法199条,刑法203条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法378条4号
一 刑法一三〇条前段にいう「侵入」の意義 二 建造物の管理権者が立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合と建造物侵入罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和58年4月8日昭和55(あ)906刑集 第37巻3号215頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法一三〇条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう。 二 建造物の管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であつても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと…
参照法条刑法130条前段
公文書を電子複写機で複写したものに改ざんを施しこれを更に複写したものが有印公文書偽造罪の客体にあたるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和58年2月25日昭和57(あ)459刑集 第37巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判所書記官の認証がある裁判所の固定資産処分許可書謄本を電子複写機で複写したものにつき、許可事項欄の土地名、売却不動産表示欄の不動産、売却代金欄の金額等の各記載に改ざんを施し、これを更に電子複写機で複写することにより作成され、あたかも真正な右許可書謄本を原形どおり正確に複写したかのような形式、外観を有する本件コピーは、…
参照法条刑法155条1項
営利略取罪とみのしろ金要求罪の罪数関係
最高裁判所第二小法廷昭和57年11月29日昭和57(あ)270刑集 第36巻11号988頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨営利の目的で人を略取した者がみのしろ金要求罪を犯した場合には、右両罪は、併合罪の関係にある。
参照法条刑法45条,刑法225条,刑法225条の2第2項
給油作業の過誤による火災発生の予見可能性があつたとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和57年11月8日昭和55(あ)2171刑集 第36巻11号879頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨路上の車からA重油を店舗内に給油するに際し、店舗外壁に設けられた給油口を開弁せずにコンプレツサーを作動させたため、給油口に連結したビニールホースが裂け、二リツトル程度のA重油が霧状となつて飛散し、たまたま店舗内で燃焼中の暖房用ストーブに降りかかつて引火し、店舗等が火炎により焼燬したという本件事実関係(原判文参照)のもと…
参照法条刑法116条,刑法117条の2
違法な取調のもとで作成中の供述録取書と刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
最高裁判所第一小法廷昭和57年6月24日昭和54(あ)1647刑集 第36巻5号646頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨違法な取調のもとに作成されつつあつた供述録取書であつても、既に文書としての意味、内容を備えるに至つているものであるときは、刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
参照法条刑法258条,刑訴法198条,刑訴法223条
使用者側が団体交渉の申入れに応じない場合と刑法三六条一項にいう「急迫不正ノ侵害」
最高裁判所第二小法廷昭和57年5月26日昭和56(あ)1131刑集 第36巻5号609頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨使用者側が団体交渉の申入れに応じないという単なる不作為が存するにすぎない場合には、いまだ刑法三六条一項にいう「急迫不正ノ侵害」があるとはいえない。
参照法条刑法36条1項,労働組合法1条
船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律三六条、五条一項と過失犯
最高裁判所第三小法廷昭和57年4月2日昭和54(あ)1756刑集 第36巻4号503頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律三六条、五条一項は過失犯をも処罰する趣旨である。
参照法条船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和45年法律136号により廃止)5条1項,船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和45年法律136号により廃止)36条,海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律 附則8条,刑法38条1項
住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪との罪数関係 住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪との罪数関係(反対意見がある)
最高裁判所第三小法廷昭和57年3月16日昭和55(あ)487刑集 第36巻3号260頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他人の住居の庭先に侵入してその住居内をひそかにのぞき見た場合における住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪とは、牽連犯の関係にある。
参照法条刑法45条,刑法54条1項,刑法130条,軽犯罪法1条23号
刑法五六条一項にいう「其執行ヲ終リ・・・・タル日ヨリ五年内」の意義
最高裁判所第一小法廷昭和57年3月11日昭和56(あ)430刑集 第36巻3号253頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法五六条一項にいう「其執行ヲ終リ・・・・タル日ヨリ五年内」とは、受刑の最終日の翌日から起算して五年以内をいう。
参照法条刑法24条,刑法56条1項
一 幇助罪の個数 二 幇助罪が数個成立する場合と刑法五四条一項にいう一個の行為
最高裁判所第一小法廷昭和57年2月17日昭和55(あ)515刑集 第36巻2号206頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 幇助罪の個数は、正犯の罪のそれに従つて決定される。 二 幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法五四条一項にいう一個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。
参照法条刑法54条1項,刑法62条1項,覚せい剤取締法41条1項1号
一 刑法一九三条にいう職権の濫用の意義 二 裁判官が職務上の参考に資するための調査行為であるかのように仮装して刑務所長らに対し身分帳簿の閲覧等を求めた場合と公務員職権濫用罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和57年1月28日昭和55(あ)461刑集 第36巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法一九三条にいう「職権の濫用」とは、公務員が、その一般的職務権限に属する事項につき、職権の行使に仮託して実質的、具体的に違法、不当な行為をすることを指称するが、右一般的職務権限は、必ずしも法律上の強制力を伴うものであることを要せず、それが濫用された場合、職権行使の相手方をして事実上義務なきことを行わせ又は行うべき…
参照法条刑法193条,監獄法4条2項
被告人の自白及びこれを裏付けるべき重要な客観的証拠等の証拠価値に疑問があるとして原判決が破棄された事例
最高裁判所第一小法廷昭和57年1月28日昭和55(あ)677刑集 第36巻1号67頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人を犯行と結びつけるための唯一の直接証拠である被告人の捜査段階における自白及びこれを裏付けるべき重要な客観的証拠等について、その証拠価値をめぐる幾多の疑問があるのに(判文参照)、これらの疑問点を解明することなく被告人を有罪と認めた原判決は、刑訴法四一一条一号、三号により破棄を免れない。
参照法条刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
他人の氏名が限られた範囲で被告人を指称するものとして通用していた場合において右氏名を用いて交通切符中の供述書を作成した所為と私文書偽造罪の成否
最高裁判所第三小法廷昭和56年12月22日昭和56(あ)1302刑集 第35巻9号953頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨遁刑中であることが発覚するのを恐れて義弟と同一の氏名を使用して生活していた被告人が、右氏名を使用して交通切符中の供述書を作成した場合は、その氏名がたまたまある限られた範囲において被告人を指称するものとして通用していたとしても、私文書偽造罪が成立する。
参照法条刑法159条1項
現実の殺害行為を一定の事態の発生にかからせていた場合と殺人の故意の成立
最高裁判所第一小法廷昭和56年12月21日昭和56(あ)1004刑集 第35巻9号911頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨謀議された計画の内容においては被害者の殺害を一定の事態の発生にかからせていたとしても、そのような殺害計画を遂行しようとする意思が確定的であつたときは、殺人の故意の成立に欠けるところはない。
参照法条刑法38条1項,刑法60条,刑法199条
一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判 二 刑法二六条三号による刑の執行猶予の取消ができないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和56年11月25日昭和56(し)113刑集 第35巻8号884頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原原決定を対象とすべきである。 二 高裁で言い渡された執行猶予の判決に対する上告申立期間の満了までに五日を残して、被告人の控訴取下により別件につき地裁で言い渡された懲役刑(実刑)の判決の確定したことが地方検察…
参照法条刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条,刑訴法349条,憲法39条
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判
最高裁判所第一小法廷昭和56年10月2日昭和56(し)113刑集 第35巻7号683頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原決定を対象とすべきである。
参照法条刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条
一個の公然わいせつ行為を幇助したとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和56年7月17日昭和56(さ)3刑集 第35巻5号563頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨舞台上で演じられた男女二組のシヨーに照明をあてて公然わいせつの犯行を容易ならしめた所為は、一個の公然わいせつ行為を幇助したものである。
参照法条刑法62条1項,刑法174条
原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例 (反対意見がある)
最高裁判所第一小法廷昭和56年7月16日昭和56(あ)654刑集 第35巻5号557頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決の違法が、現実に存在しない未決勾留日数を裁量により本刑に算入した点のみにある場合においては、原判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項
交通切符又は交通反則切符中の供述書を事前の承諾を得て他人名義で作成した場合と私文書偽造罪の成否
最高裁判所第一小法廷昭和56年4月16日昭和55(あ)1351刑集 第35巻3号107頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨交通切符又は交通反則切符中の供述書を他人の名義で作成した場合は、名義人の事前の承諾があつても、私文書偽造罪が成立する。
参照法条刑法159条1項
一 私人の私生活上の行状と刑法二三〇条の二項一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」 二 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるとされた事例 三 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断…
最高裁判所第一小法廷昭和56年4月16日昭和55(あ)273刑集 第35巻3号84頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 私人の私生活上の行状であつても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによつては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合がある。 二 多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体の教義ないしあり方を…
参照法条刑法230条ノ2第1項
交通反則切符中の供述書をあらかじめ承諾を得て他人名義で作成した場合と私文書偽造罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和56年4月8日昭和54(あ)1613刑集 第35巻3号57頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨交通反則切符中の供述書を他人の名義で作成した場合は、あらかじめその他人の承諾を得ていたとしても、私文書偽造罪が成立する。
参照法条刑法159条1項
網生けすから逃げ出した鯉について遺失物横領罪が成立するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和56年2月20日昭和54(あ)2285刑集 第35巻1号15頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨養殖業者の網生けすから広大な湖沼に逃げ出した鯉であつても、他人が飼養していたものであることを知りながらほしいままに領得すれば(判文参照)、遺失物横領罪が成立する。
参照法条刑法254条
一 常習累犯窃盗の罪と窃盗の着手に至らない窃盗目的の住居侵入の罪との罪数関係 二 不起訴となつた住居侵入の罪についての未決勾留日数を右と一罪の関係にある常習累犯窃盗の罪の本刑に算入することの可否
最高裁判所第三小法廷昭和55年12月23日昭和55(あ)35刑集 第34巻7号767頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 窃盗を目的とする住居侵入の罪は、窃盗の着手にまで至らなかつた場合にも、盗犯等の防止及び処分に関する法律三条の常習累犯窃盗の罪と一罪の関係にある。 二 不起訴となつた住居侵入の罪についての未決勾留日数は、右と一罪の関係にある常習累犯窃盗の罪の本刑に算入することができる。
参照法条刑法21条,刑法130条,盗犯等の防止及び処分に関する法律3条
一 ゴルフクラブ入会保証金預託証書がいわゆるゴルフクラブ会員権を表章する有価証券とはいえないとされた事例 二 いわゆるゴルフクラブ会員権を賄賂として収受した場合における没収・追徴
最高裁判所第一小法廷昭和55年12月22日昭和52(あ)1732刑集 第34巻7号747頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 証書上からはいわゆるゴルフクラブ会員権の内容が明らかでないうえ、指図文句の記載もなく、会員権の譲渡にゴルフクラブの承認が必要とされている等の本件ゴルフクラブ入会保証金預託証書(判文参照)は、ゴルフクラブ会員権を表章する有価証券とはいえない。 二 いわゆるゴルフクラブ会員権を賄賂として収受した場合には、会員権それ自体…
参照法条刑法197条ノ5
未確定第一審判決におけるわいせつ性についての判断内容の捜査機関に対する拘束力
最高裁判所第一小法廷昭和55年12月17日昭和55(し)9刑集 第34巻7号721頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨ある出版物が刑法一七五条にいうわいせつ文書図画にあたらないとした未確定第一審判決における判断内容は、法律上当然に捜査機関を拘束するものではない。
参照法条刑法175条,刑訴法218条
刑法一二六条二項にいう艦船の「破壊」にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和55年12月9日昭和54(あ)1416刑集 第34巻7号513頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨人の現在する漁船(二六七総トン、鋼質船)の船底部約三分の一を厳寒の千島列島ウルツプ島海岸の砂利原に乗り上げさせて坐礁させたうえ、同船機関室内の海水取入れパイプのバルブを開放して同室内に約一九・四トンの海水を取り入れ、自力離礁を不可能ならしめて、同船の航行能力を失わせた等の事実関係のもとにおいては、船体自体に破損が生じて…
参照法条刑法126条2項
一 被害者の承諾と傷害罪の成否 二 被害者の承諾が傷害行為の違法性を阻却しないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和55年11月13日昭和55(し)91刑集 第34巻6号396頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきである。 二 過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的で、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の…
参照法条刑法35条,刑法204条,刑法211条
窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思があるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和55年10月30日昭和55(あ)1081刑集 第34巻5号357頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他人所有の普通乗用自動車を、数時間にわたつて完全に自己の支配下に置く意図のもとに、駐車場から所有者に無断で乗り出し、その後約四時間余りの間乗り廻していたなどの事情があるときは、たとえ、使用後に元の場所に戻しておくつもりであつたとしても、右自動車に対する不正領得の意思があつたということができる。
参照法条刑法235条
刑法九五条一項にいう公務員の職務にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和55年10月27日昭和55(あ)417刑集 第34巻5号322頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨郵政省庁舎管理規程に基づく郵便局長の命令により郵政事務官がした本件警備行為は、刑法九五条一項にいう公務員の職務にあたる。
参照法条刑法95条1項
一 街頭に掲示された政党の演説会告知用ポスターに表示された政党幹部の肖像写真や氏名の部分などに「殺人者」などと刷られたシールを貼りつけた所為が暴力行為等処罰に関する法律一条(刑法二六一条)の罪にあたるとされた事例 二 公職選挙法一二九条、一…
最高裁判所第三小法廷昭和55年2月29日昭和54(あ)809刑集 第34巻2号56頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被告人らが共同して街頭に掲示された政党の演説会告知用ポスターに表示された政党幹部の肖像写真や氏名の部分などに「殺人者」などと刷られたシールを貼りつけた所為(原判文参照)は、右ポスターの効用を滅却したものとして暴力行為等処罰に関する法律一条(刑法二六一条)の罪にあたる。 二 ポスターの掲示が公職選挙法一二九条、一四三…
参照法条暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法261条,公職選挙法129条,公職選挙法143条1項
一 刑法二六条の三の規定の合憲性 二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消を同法二六条、二六条の二による刑の執行猶予言渡の取消と同時に行うことの許否 三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に乙執行猶予の言渡を同…
最高裁判所第二小法廷昭和55年2月25日昭和54(し)135刑集 第34巻2号44頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二六条の三の規定は、憲法一一条、一三条、三一条に違反しない。 二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消は、同法
二六条〈定款の作成〉、二六条の二による刑の執行猶予言渡取消決定の確定をまたず、これと同時に行うことも許される。 三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に、乙執行猶予の言渡を同法二六条の三…
参照法条刑法26条,刑法26条の2,刑法26条の3,刑法27条,憲法11条,憲法13条,憲法31条,刑訴法424条,刑訴法434条
一 甲事件の裁判確定によりその本刑たる自由刑の執行に替えられるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入することの適否 二 原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例
最高裁判所第三小法廷昭和55年1月11日昭和54(あ)1145刑集 第34巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 甲事件の裁判確定によりその本刑たる自由刑の執行に替えられるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入しても、ただちにこれを違法なものとはいえないが、右裁判は、後に甲事件の裁判が確定したことによつて、結局、違法なものとなる。 二 原判決の違法が、後に他事件の裁判確定によつてその本刑たる自由刑の執行に替えられた…
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法411条1号,刑訴法495条
一 拘禁場又は械具の損壊による加重逃走罪における実行の着手 二 拘禁場又は械具の損壊による加重逃走罪につき実行の着手があつたとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和54年12月25日昭和54(あ)965刑集 第33巻7号1105頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 拘禁場又は械具の損壊による加重逃走罪については、逃走の手段としての損壊が開始されたときには、逃走行為自体に着手した事実がなくとも、実行の着手がある。 二 未決の囚人が、逃走の目的をもつて、拘禁場である木造舎房の房壁に設置された換気孔の周辺のモルタル部分を削り取り損壊したが、脱出可能な穴を開けることができず、逃走の目…
参照法条刑法43条,刑法98条
一 公職選挙法二三五条の二第二号にいう選挙に関する「報道又は評論」の意義 二 公職選挙法二三五条の二第二号違反の行為と違法性の阻却 三 公職選挙法一四八条三項一号イの「新聞紙にあつては毎月三回以上」の部分と憲法二一条、一四条
最高裁判所第一小法廷昭和54年12月20日昭和53(あ)846刑集 第33巻7号1074頁
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裁判要旨一 公職選挙法二三五条の二第二号にいう選挙に関する「報道又は評論」とは、当該選挙に関する一切の報道・評論を指すのではなく、特定の候補者の得票について有利又は不利に働くおそれがある報道・評論をいう。 二 公職選挙法二三五条の二第二号の構成要件に形式的に該当する場合であつても、もしその新聞紙・雑誌が真に公正な報道・評論を掲…
参照法条公職選挙法148条3項,公職選挙法235条の2第2号,刑法35条,憲法14条,憲法21条
一 失業対策事業等に就労する日雇労働者と団体交渉権 二 団体交渉ないし団体行動権の正当な行使にあたらないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和54年12月19日昭和52(あ)2090刑集 第33巻7号966頁
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裁判要旨一 失業対策事業等に就労する日雇労働者は、その使用者である事業主体に対する関係で団体交渉権を有する。 二 多数の勢威を背景に実力を行使して団体交渉を迫り、要求を受けながら県庁庁舎から退去しなかつた被告人らの本件所為(原判文参照)は、その手段・方法において社会通念の許容する団体交渉ないし団体行動権の正当な行使にあたらない…
参照法条憲法28条,刑法35条,刑法130条後段,労働組合法1条,労働組合法7条2号
刑法二三八条の準強盗を目的とする場合と同法二三七条にいう「強盗ノ目的」
最高裁判所第二小法廷昭和54年11月19日昭和53(あ)643刑集 第33巻7号710頁
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裁判要旨刑法二三七条にいう「強盗ノ目的」には同法二三八条の準強盗を目的とする場合を含む。
参照法条刑法237条,刑法238条
サウナ風呂の開発・製作の担当者がその構造につき耐火性を検討・確保しなかつた場合と業務上失火罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和54年11月19日昭和53(あ)989刑集 第33巻7号728頁
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裁判要旨木製ベンチ部分の下部に電熱炉を据えつける方式の組立式サウナ風呂を開発・製作した者が、その構造につき耐火性を検討・確保しなかつたため、右サウナ風呂を継続使用した浴場内において、右木製ベンチを長期間にわたる電熱炉の加熱により漸次炭化させて火災を発生させた場合には、業務上失火罪が成立する。
参照法条刑法116条1項,刑法117条ノ2
常習賭博罪の常習性が認められるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和54年10月26日昭和52(あ)2297刑集 第33巻6号665頁
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裁判要旨長期間営業を継続する意思のもとに、多額の資本を投下して多数の賭博遊技機を設置した遊技場の営業を開始し、警察による摘発を受けて廃業するまでの三日間、来場した多数の遊技客と賭博をしたなど原判示の事情のもとにおいては、右遊技場の営業者に常習賭博罪の常習性を認めることができる。
参照法条刑法186条1項
昭和三六年度全国高等学校抽出学力調査の実施と教育基本法一〇条
最高裁判所第三小法廷昭和54年10月9日昭和51(あ)1140刑集 第33巻6号503頁
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裁判要旨昭和三六年度全国高等学校抽出学力調査の実施は、教育に対する不当な支配として教育基本法一〇条に違反するものではない。
参照法条教育基本法10条,刑法95条1項
第一審判決言渡の日の勾留が控訴審における裁定算入の対象となるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和54年7月13日昭和54(あ)227刑集 第33巻5号405頁
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裁判要旨保釈中の被告人が第一審判決の言渡により保釈が失効し即時収監され、即日控訴の申立及び保釈請求をし、その日のうちに保釈釈放された場合には、右判決言渡の日の勾留は、控訴審における裁定算入の対象となる。
参照法条刑法21条,刑訴法358条,刑訴法495条1項
一 刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」の意義 二 刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」に解放したとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和54年6月26日昭和53(あ)1407刑集 第33巻4号364頁
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裁判要旨一 刑法二二八条の二にいう「安全ナル場所」とは、被拐取者がその近親者及び警察当局などによつて安全に救出されると認められる場所をいい、その場合の安全とは、被拐取者が救出されるまでの間に具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味し、漠然とした抽象的な危険や単なる不安感ないし危惧感を伴うというだけでは、ただちに…
参照法条刑法228条ノ2
公文書の電子コピーの作成が有印公文書偽造罪にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和54年5月30日昭和53(あ)719刑集 第33巻4号324頁
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裁判要旨行使の目的をもつて、ほしいままに、京都府A工営所長の記名押印のある同所長作成名義の土石採取許可証原本の出願日、許可年月日、採取場所、採取期間等の各欄の記載に改ざんを施したうえ、これを電子複写機で複写する方法により、あたかも真正な右許可証原本を原形どおり正確に複写したかのような形式、外観を備える電子コピーを作成した所為は…
参照法条刑法155条1項
原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例
最高裁判所第一小法廷昭和54年4月19日昭和53(あ)2328刑集 第33巻3号261頁
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裁判要旨原判決の違法が、罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行と競合する未決勾留日数の一部を裁量により本刑に算入した点にのみある場合においては、原判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項
暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が殺人罪を犯した場合における他の共犯者の罪責
最高裁判所第一小法廷昭和54年4月13日昭和52(あ)2113刑集 第33巻3号179頁
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裁判要旨暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が殺人罪を犯した場合、殺意のなかつた他の共犯者については、傷害致死罪の共同正犯が成立する。
参照法条刑法38条2項,刑法60条,刑法199条,刑法205条1項
刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過した場合と右執行猶予取消の効果
最高裁判所第一小法廷昭和54年3月29日昭和54(し)29刑集 第33巻2号165頁
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裁判要旨刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過したことは、すでに発生している執行猶予取消の効果に影響しない。
参照法条刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条
刑法二六条一号にいう「禁錮以上ノ刑ニ処セラレ」の意義
最高裁判所第一小法廷昭和54年3月27日昭和54(し)27刑集 第33巻2号155頁
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裁判要旨刑法二六条一号にいう「禁錮以上ノ刑ニ処セラレ」とは、禁錮以上の刑の言渡をした判決が確定したことをいう。
参照法条刑法26条1号
一 営利の目的で麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責 二 税関長の許可を受けないで麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責
最高裁判所第一小法廷昭和54年3月27日昭和52(あ)836刑集 第33巻2号140頁
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裁判要旨一 営利の目的で、麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合には、麻薬取締法六四条二項、一項、一二条一項の麻薬輸入罪が成立する。 二 税関長の許可を受けないで、麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合には、関税法一一一条一項の無許可輸入罪が成立する。
参照法条刑法38条1項,刑法38条2項,麻薬取締法12条1項,麻薬取締法64条1項,麻薬取締法64条2項,覚せい剤取締法13条,覚せい剤取締法41条1項1号,覚せい剤取締法41条2項,関税法109条1項,関税法111条1項,関税定率法21条1項
一 刑法二三条の法意 二 検察官の懲役刑の執行指揮に関する訂正措置が刑訴法五〇二条にいう「不当な処分」とはいえないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和54年3月26日昭和54(し)25刑集 第33巻2号121頁
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裁判要旨一 刑法二三条は、自由刑に処する裁判を受けた者が当該事件に関して拘禁されている場合にその裁判確定の日から刑期を起算する趣旨の規定であつて、当該事件に関して拘禁されていない場合には、たまたま他事件に関し拘禁されていても同条一項の適用はない。 二 懲役刑の裁判確定当時他事件につき勾留され当該事件に関しては拘禁されていなかつ…
参照法条刑法23条,刑訴法502条
刑法二五条の二第三項の法意
最高裁判所第三小法廷昭和54年1月12日昭和53(あ)991刑集 第33巻1号70頁
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裁判要旨刑法二五条の二第三項は、保護観察の仮解除決定告知前に罪を犯した者については、たとえ裁判時に右の保護観察が仮解除されていたとしても、同法
二五条二項〈株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。〉但書の適用の排除を認めるものではない。
参照法条刑法25条2項,刑法25条ノ2第3項
国鉄の気動運転士に対する暴行が公務執行妨害罪を構成するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和54年1月10日昭和53(あ)549刑集 第33巻1号1頁
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裁判要旨国鉄の気動車運転士が急行列車の運転室内で中継駅の運転士と業務の引継・交替を行い、運転当直助役の許に赴いて終業点呼を受けるため駅ホームを歩行していた際、右運転士に対して加えられた本件暴行は、公務執行妨害罪を構成する。
参照法条刑法95条1項
一 刑法二六条の二第三号による刑の執行猶予取消の要件 二 刑の執行猶予を取り消すことができないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和53年11月22日昭和53(し)87刑集 第32巻8号2140頁
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裁判要旨一 刑法二六条の二第三号にいう「執行ヲ猶予セラレタルコト発覚シタルトキ」とは、検察官において新たに執行猶予を言渡した裁判に対し上訴してこれを是正するみちがとざされたのちに同条同号所定の執行猶予の前科の存在する事実を覚知したことをいい、検察官が右事実をすでに覚知しながら上訴申立をすることなく執行猶予の裁判を確定させたとき…
参照法条刑法26条の2第3号,刑訴法349条
一 威力業務妨害罪によつて保護されるべき業務にあたるとされた事例 二 バス会社のストライキに際し組合側の争議手段として行われたいわゆる車両確保行為が威力業務妨害罪又は建造物侵入罪の違法性に欠けるところがないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和53年11月15日昭和52(あ)583刑集 第32巻8号1855頁
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裁判要旨一 バス会社がストライキに参加しない従業員によつて操業を継続するために必要とした本件車両の分散及び保全看守は、それが操業を阻止する手段として組合側の計画していた車両の確保に対する対抗措置として行われたものであつても、威力業務妨害罪によつて保護されるべき業務にあたる。 二 バス会社のストライキに際し、多数人による暴力を伴…
参照法条刑法35条,刑法130条,刑法234条,労働関係調整法7条,労働組合法1条
職務質問及び交通の危険防止のため自動車の窓から手を差し入れエンジンキーを回転してスイツチを切り運転を制止した警察官の行為が適法とされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和53年9月22日昭和52(あ)1846刑集 第32巻6号1774頁
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裁判要旨交通違反取締中の警察官が、信号無視の自動車を現認しこれを停車させた際、下車した運転者が酒臭をさせており、酒気帯び運転の疑いが生じたため、酒気の検知をする旨告げたところ、同人が、警察官が提示を受けて持つていた運転免許証を奪い取り、自動車に乗り込んで発進させようとしたなど判示の事実関係のもとでは、警察官が自動車の窓から手を…
参照法条刑法95条1項,警察官職務執行法2条1項,道路交通法67条3項
一 騒擾罪の成立に必要な共同意思の要件 二 騒擾罪の成立に必要な共同意思が認められるとされた事例 三 騒擾の率先助勢の成立要件 四 騒擾の率先助勢が成立するとされた事例 五 憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていな…
最高裁判所第二小法廷昭和53年9月4日昭和50(あ)787刑集 第32巻6号1077頁
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裁判要旨一 騒擾罪の成立に必要な共同意思が存するといいうるためには、騒擾行為に加担する意思において確定的であることを要するが、多数の合同力による暴行脅迫の事態の発生については、常に必ずしも確定的な認識をまで要するものではなく、その予見をもつて足りる。 二 デモ隊員中の多数の者が抱いていた警官隊との衝突の予想が、漠然とした抽象的…
参照法条刑法106条,憲法37条1項,刑訴1条
強盗殺人未遂罪といわゆる打撃の錯誤
最高裁判所第三小法廷昭和53年7月28日昭和52(あ)623刑集 第32巻5号1068頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨犯人が強盗の手段として人を殺害する意思のもとに銃弾を発射して殺害行為に出た結果、犯人の意図した者に対して右側胸部貫通銃創を負わせたほか、犯人の予期しなかつた者に対しても腹部貫通銃創を負わせたときは、後者に対する関係でも強盗未遂罪が成立する。
参照法条刑法38条1項,刑法240条,刑法243条
一 検察官が被告人の利益のために控訴をした事件と刑訴法四〇二条にいう「被告人のため控訴をした事件」 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条一項違反の罪が反覆累行された場合の罪数
最高裁判所第三小法廷昭和53年7月7日昭和52(あ)1271刑集 第32巻5号1011頁
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裁判要旨一 検察官が控訴をした事件は、たとえその申立理由が被告人に利益なものである場合であつても、刑訴法四〇二条にいう「被告人のため控訴をした事件」にあたらない。 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条一項違反の罪が反復累行された場合には、特段の事情のない限り、個々の契約又は受領ごとに一罪が成立する。
参照法条刑訴法402条,出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律5条1項,刑法45条
公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた威力業務妨害行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和53年6月29日昭和47(あ)758刑集 第32巻4号759頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた本件威力業務妨害行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
参照法条公共企業体等労働関係法17条1項,刑法35条,刑法233条,刑法234条
無許可の集団示威運動の指導者につき相当の理由に基づく違法性の錯誤があつたとして昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例五条の罪の成立を否定した原判決に事実の誤認があるとされた事例―いわゆる羽田空港ロビーデモ第二…
最高裁判所第一小法廷昭和53年6月29日昭和51(あ)1163刑集 第32巻4号967頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨A内国際線出発ロビーにおける参加者約三〇〇名による無許可の集団示威運動を指導した被告人について違法性の錯誤を認めた原判決は、被告人が終始みずからの意思と行動で右集団を指導、煽動していたなど判示の事情のもとにおいては、事実を誤認したものであり、破棄を免れない。
参照法条昭和25年東京都条例1条,昭和25年東京都条例5条,刑法38条3項,刑訴法411条3号
一 刑法九五条一項にいう職務の範囲 二 刑法九五条一項における職務の執行中であるか否かの判断に際しその性質上ある程度継続した一連の職務として把握するのが相当であるとされた事例 三 刑法九五条一項における職務の執行が終了したものではないとされ…
最高裁判所第一小法廷昭和53年6月29日昭和51(あ)310刑集 第32巻4号816頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法九五条一項にいう職務には、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる。 二 刑法九五条一項における職務の執行中であるか否かの判断に際しては、日本電信電話公社の電報局長の、局の事務全般を掌理し部下職員を指揮監督する職務及び同電報局次長の、局長を助け局務を整理する職務は、その性質上、その内容及び執行の過…
参照法条刑法38条1項,刑法95条1項,日本電信電話公社法18条,日本電信電話公社法35条
一 国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密の意義 二 国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密の判定 三 外交交渉の概要が記載された電信文案が国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密にあたるとされた事例 四 …
最高裁判所第一小法廷昭和53年5月31日昭和51(あ)1581刑集 第32巻3号457頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいい、その判定は、司法判断に服する。 二 昭和四六年五月二八日に愛知外務大臣とマイヤー駐日米国大使との間でなされた、いわゆる沖縄返還協定に関する会談の概要が記載された本件一〇三四号電信文案は…
参照法条国公法100条1項,国公法109条12号,国公法111条,裁判所法3条1項,憲法73条2号,憲法73条3号,刑法35条
公務執行妨害罪における職務にあたるとされた事例―いわゆる徳島専売公社事件―
最高裁判所第一小法廷昭和53年5月22日昭和52(あ)939刑集 第32巻3号427頁
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裁判要旨日本専売公社徳島地方局社内取締規程に基づいて発せられた本件立入禁止命令及び退去命令の同公社職員による執行は、それが民間企業にみられるのと同じ労使間の紛争を処理するためにとられた措置であつても、公務執行妨害罪における職務にあたる。
参照法条刑法95条1項,日本専売公社法18条1項
被告人の責任能力について事実誤認の疑いがあるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和53年3月24日昭和50(あ)1159刑集 第32巻2号408頁
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裁判要旨被告人の精神分裂病の既往歴、犯行時の右疾病による欠陥状態(人格水準低下、感情鈍麻)の存在、犯行の動機についての妄想の関与及び犯行に際しての奇異な行動など(判文参照)の事情がうかがわれる本件においては、犯行が精神分裂病の寛解期にされたことのほか、犯行の動機の存在、犯行の計画性、犯行後の証拠隠滅工作を含む一連の行動を重視し…
参照法条刑法39条2項,刑訴法411条3号
枉法収賄と贈賄の各訴因の間に公訴事実の同一性が認められる事例
最高裁判所第一小法廷昭和53年3月6日昭和52(あ)1115刑集 第32巻2号218頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「被告人甲は、公務員乙と共謀のうえ、乙の職務上の不正行為に対する謝礼の趣旨で、丙から賄賂を収受した」という枉法収賄の訴因と、「被告人甲は、丙と共謀のうえ、右と同じ趣旨で、公務員乙に対して賄賂を供与した」という贈賄の訴因とは、収受したとされる賄賂と供与したとされる賄賂との間に事実上の共通性がある場合には、公訴事実の同一性…
参照法条刑訴法256条,刑訴法312条,刑法197条ノ3,刑法198条
公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた威力業務妨害及び不退去行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和53年3月3日昭和45(あ)2199刑集 第32巻2号97頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた本件威力業務妨害及び不退去行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
参照法条公共企業体等労働関係法17条1項,刑法35条,刑法130条,刑法233条,刑法234条
公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた威力業務妨害行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和53年3月3日昭和46(あ)1330刑集 第32巻2号159頁
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裁判要旨公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為として行われた本件威力業務妨害行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
参照法条公共企業体等労働関係法17条1項,刑法35条,刑法233条,刑法234条
一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え一部の者に傷害を負わせた場合の罪数 二 起訴状に記載されていない罰条の適用 三 起訴状に記載されていない罰条の適用が許されるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和53年2月16日昭和52(あ)1431刑集 第32巻1号47頁
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裁判要旨一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え、一部の者に傷害を負わせた場合には、傷害を受けた者の数だけの傷害罪と暴行を受けるにとどまつた者の数だけの暴力行為等処罰に関する法律一条の罪が成立し、以上は併合罪として処断すべきである。 二 裁判所は、訴因により公訴事実が十分に明確にされていて被告人の防禦に実質的な不利益が…
参照法条暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法45条,刑法204条,刑訴法256条,刑訴法312条
刑法三六条における侵害の急迫性
最高裁判所第一小法廷昭和52年7月21日昭和51(あ)671刑集 第31巻4号747頁
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裁判要旨刑法三六条における侵害の急迫性は、当然又はほとんど確実に侵害が予期されただけで失われるものではないが、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは失われることになる。
参照法条刑法36条
公務員の作成中の文書と刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
最高裁判所第一小法廷昭和52年7月14日昭和51(あ)1202刑集 第31巻4号713頁
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裁判要旨公務員が公務所の作用として職務権限に基づいて作成中の文書は、それが文書としての意味、内容を備えるに至つた以上、刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
参照法条刑法258条
他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留の裁定算入又は法定通算
最高裁判所第二小法廷昭和52年7月1日昭和52(あ)167刑集 第31巻4号681頁
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裁判要旨他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留を、さらに本件の本刑に裁定算入又は法定通算することは、違法である。
参照法条刑法21条,刑訴法495条
一、共同加害の目的が認められないとして兇器準備集合罪の成立を成否を否定した原判決に事実誤認の疑いがあるとされた事例 二、無許可集団示威運動と昭和二十五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例四条飯田橋
最高裁判所第二小法廷昭和52年5月6日昭和49(あ)1200刑集 第31巻3号544頁
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裁判要旨一 角材の柄付きプラカード等を所持して集団示威運動を行つていた学生集団の先頭部分の学生のうち、所携の右プラカード等を振り上げて警察官をめがけて殴りかかつている状況を相互に目撃し得る場所に近接して位置し、しかもみずから警察官に対し暴行に及んだ者あるいは暴行に及ぼうとしていた者についてまで、右行為は各自の個人的な意思発動に…
参照法条刑法95条1項,刑法208条ノ2第1項,刑訴法411条3号,集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和25年東京都条例44号)4条
偽造公文書行使罪が成立するとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和52年4月25日昭和51(あ)1689刑集 第31巻3号169頁
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裁判要旨偽造にかかる自動車運転免許証表示の有効期間が三ケ月余経過した時点であつても、警察官をして、真正に作成され、かつ、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していると認められる本件免許証の提示行為は、偽造公文書の行使にあたる。
参照法条刑法158条1項
森林窃盗罪と刑法二四二条
最高裁判所第一小法廷昭和52年3月25日昭和50(あ)2349刑集 第31巻2号96頁
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裁判要旨刑法二四二条は、森林法一九七条の森林窃盗罪に適用されない。
参照法条憲法31条,森林法(昭和49年法律39号による改正前のもの)197条,刑法235条,刑法242条
懲役刑の執行終了後に処せられた罰金刑の言渡が失効した場合と懲役刑の消滅
最高裁判所第一小法廷昭和52年3月25日昭和51(あ)2041刑集 第31巻2号120頁
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裁判要旨懲役刑の執行終了後一〇年を経過しない間に、罰金刑に処せられ、かつ、その言渡が失効した場合には、懲役刑の言渡は、その執行終了後一〇年を経過した時に効力を失う。
参照法条刑法34条ノ2第1項
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律二九条二項にいう交付する者にあたらないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和52年3月16日昭和51(あ)687刑集 第31巻2号80頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨県農林水産部林務課造林係員が造林事業補助金の交付につき単に補助的な事務を執つていたにすぎずその交付決定処分をするについてこれを左右する地位になかつた場合には、同人は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律二九条二項にいう交付する者にあたらない。
参照法条補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条,刑法60条,刑法65条1項
原判決中未決勾留日数算入の部分のみが破棄された事例
最高裁判所第一小法廷昭和51年11月18日昭和51(あ)761刑集 第30巻10号1902頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決の違法が、法律上当然に全部本刑に通算されるべき未決勾留日数の一部を裁量により本刑に算入した点にのみある場合においては、厚判決中、未決勾留日数算入の部分のみを破棄し、その余の部分に対する上告を棄却すべきである。
参照法条刑法21条,刑訴法357条,刑訴法410条1項,刑訴法495条
争議中の労働組合員が会社側管理職員の行つているテレビ生放送に騒音を混入せしめた威力業務妨害行為が刑法上の違法性及び責任に欠けるところはないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和51年5月6日昭和47(あ)1436刑集 第30巻4号519頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨争議中の労働組合員が、争議のため職場を離れた労働組合員に代つて会社側管理職員が予定の放送業務を行つているスタジオ出入口扉前に集まり、一斉に労働歌を高唱し、拍手し、シユプレヒコールを行う等してテレビ生放送に騒音を混入せしめた威力業務妨害行為(判文参照)は、動機・目的その他諸般の事情を考慮に入れても、法秩序全体の見地からみ…
参照法条刑法35条,刑法234条,労働組合法1条2項
補助公務員による手続違反の公文書作成につき公文書偽造罪の成立が否定された事例
最高裁判所第一小法廷昭和51年5月6日昭和50(あ)1621刑集 第30巻4号591頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨市長の代決者である課長を補助し、一定の手続に従つて印鑑証明書の作成にあたつていた補助公務員が、右手続の要求する申請書の提出と手数料の納付をせずに、自己の用に供するため印鑑証明書を作成した行為は、判示の事情のもとにおいては、作成権限に基づくものとして、公文書偽造罪を構成しない。
参照法条刑法155条1項
公文書の写真コピーの作成が公文書偽造罪にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和51年4月30日昭和50(あ)1924刑集 第30巻3号453頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨行使の目的を以って、虚偽の供託事実を記入した供託書用紙の下方に真正な供託金受領証から切り取った供託官の記名印及び公印押捺部分を接続させ、これを電子複写機で複写する方法により、あたかも、公務員である供託官が職務上作成した真正な供託金受領証を原本として、これを原形どおり正確に複写したかのような形式、外観を有する写真コピーを…
参照法条刑法155条1項
一 名誉毀損の摘示事実につき真実と誤信する相当の根拠がないとされた事例 二 弁護人が被告人の利益擁護のためにした行為と刑法上の違法性の阻却 三 弁護人が被告人の利益擁護のためにした名誉毀損行為につき正当な弁護活動として刑法上の違法性が阻却さ…
最高裁判所第一小法廷昭和51年3月23日昭和46(あ)758刑集 第30巻2号229頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 被告人以外の特定人が真犯人である旨の名誉毀損の摘示事実(判文参照)については、本件に現われた資料に照らすと、真実と誤信するのが相当であると認めうる程度の根拠は、存在しない。 二 弁護人が被告人の利益を擁護するためにした行為につき刑法上の違法性の阻却を認めるためには、それが弁護活動のために行われたものであるだけでは足…
参照法条刑法35条,刑法230条1項,刑法230条ノ2
一 預金等に係る不当契約の取締に関する法律二条、四条一号と金融機関に預金等をする者又は金融機関に預金等をすることについて媒介をする者と通じた特定の第三者の処罰 二 預金等に係る不当契約の取締に関する法律二条二項にいう「金融機関に預金等をする…
最高裁判所第一小法廷昭和51年3月18日昭和49(あ)1839刑集 第30巻2号212頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 預金等に係る不当契約の取締に関する法律二条、四条一号は、金融機関に預金等をする者又は金融機関に預金等をすることについて媒介をする者と通じた特定の第三者については、その物が自ら預金等をすることについて媒介をする場合を除き、預金者又は媒介者の共犯としても処罰しない趣旨である。 二 被告人が、金融機関の役員に対し自己への…
参照法条預金等に係る不当契約の取締に関する法律2条,預金等に係る不当契約の取締に関する法律4条1号,刑法60条,刑法61条,刑法62条
一 任意捜査において許容される有形力の行使の限度 二 任意捜査において許容される限度内の有形力の行使と認められた事例
最高裁判所第三小法廷昭和51年3月16日昭和50(あ)146刑集 第30巻2号187頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。 二 警察官が…
参照法条刑法95条1項,刑訴法197条1項
建造物侵入罪の客体となるいわゆる囲繞地にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和51年3月4日昭和49(あ)736刑集 第30巻2号79頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地(判文参照)は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するも…
参照法条刑法130条
工場誘致に関する事務を担当していた地方公共団体の職員に対する贈賄罪の成立が否定された事例
最高裁判所第一小法廷昭和51年2月19日昭和49(あ)2887刑集 第30巻1号47頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨工場誘致に関する事務を担当していた甲県及び乙市の職員が、乙市内に工場用地を買いたい旨申し込んだ者を、乙市において開発し工場誘致を図つていた工場団地に案内したが、希望にそう土地がなかつたことから、かねて被告人らから売却処分方を依頼されていた土地に案内しこれを買い入れるようあつせんした場合において、被告人が、右あつせん行為…
参照法条刑法197条1項,刑法198条1項
配偶者の直系尊属に対する傷害致死について定めた刑法二〇五条二項と憲法一四条
最高裁判所第二小法廷昭和51年2月6日昭和50(あ)1563刑集 第30巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨配偶者の直系尊属に対する傷害致死について定めた刑法二〇五条二項の規定は、憲法一四条に違反しない。
参照法条憲法14条,刑法205条
防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合と刑法三六条の防衛行為
最高裁判所第三小法廷昭和50年11月28日昭和49(あ)2786刑集 第29巻10号983頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨急迫不正の侵害に対し自己又は他人の権利を防衛するためにした行為であるかぎり、同時に侵害者に対する攻撃的な意思に出たものであつても、刑法三六条の防衛行為にあたる。
参照法条刑法36条
他組合員に対する逮捕行為が刑法上の違法性に欠けるところはないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和50年11月25日昭和48(あ)1231刑集 第29巻10号928頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨争議参加中の労働組合員が数名共同で、他組合員を、会社警備員による妨害の及ばないところで説得するため、その者を約三〇メートル引きずり、更に引つ張つたり押すなどして二〇〇メートル余を強いて連行した逮捕行為(判文参照)は、法秩序全体の見地からみるとき、原判示の動機目的、その他諸般の事情に照らしても、刑法上の違法性に欠けるとこ…
参照法条刑法35条,刑法220条1項,労働組合法1条2項
労働組合役員の他組合員に対する暴行、逮捕行為が法秩序全体の見地からみて到底許容されないものであるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和50年8月27日昭和46(あ)1095刑集 第29巻7号442頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲労働組合とこれから脱退した者を中心とする乙労働組合との間の紛争の過程で、甲組合の副組合長が、乙組合の言い分を記載したビラを甲組合の組合員に配付しようとした乙組合の書記長の左肩を掴んで後方に引きのかせ、胸部付近を突き、さらに手首を掴み腕を組むようにして引つ張つて甲組合事務所に連れ込む等した暴行行為、及び右副組合長と甲組…
参照法条刑法35条,刑法208条,刑法220条1項,刑訴法411条1号,労働組合法1条2項
通貨変造罪が成立するとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和50年6月13日昭和50(あ)277刑集 第29巻6号375頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、行使の目的をもつて真正な日本銀行券一、〇〇〇円券二枚を用い、これを表裏にはがし、切断し、糊付けする等原判示の方法(原判決参照)により、真正な日本銀行券一、〇〇〇円券を四つ折又は八つ折にしたものと思い誤らせる程度の外観、手ざわりを備えた六片の物件を作出したときは、通貨変造罪が成立する。
参照法条刑法148条1項
保管の途中で賍物であることを知り保管を継続する場合と賍物の寄蔵
最高裁判所第一小法廷昭和50年6月12日昭和49(あ)1161刑集 第29巻6号365頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨賍物であることを知らずに物品の保管を開始した後、賍物であることを知るに至つたのに、なおも本犯のためにその保管を継続するときは、賍物の寄蔵にあたる。
参照法条刑法256条2項
背任罪と預金等に係る不当契約の取締に関する法律五条一項一号の罪は法条競合か
最高裁判所第一小法廷昭和50年4月3日昭和45(あ)2415刑集 第29巻4号63頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法二四七条の背任の罪と預金等に係る不当契約の取締に関する法律五条一項一号の罪との間にいわゆる法条競合の関係はない。
参照法条刑法第1編第9章,刑法247条,預金等に係る不当契約の取締に関する法律5条1項1号,預金等に係る不当契約の取締に関する法律5条2項,預金等に係る不当契約の取締に関する法律3条
一、現行犯逮捕のため犯人を追跡した者の依頼により追跡を継続した行為を適法な現行犯逮捕の行為と認めた事例 二、現行犯逮捕のための実力行使と刑法三五条 三、現行犯逮捕のための実力行使に刑法三五条が適用された事例
最高裁判所第一小法廷昭和50年4月3日昭和48(あ)722刑集 第29巻4号132頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 あわびの密漁犯人を現行犯逮捕するため約三〇分間密漁船を追跡した者の依頼により約三時間にわたり同船の追跡を継続した行為(判文参照)は、適法な現行犯逮捕の行為と認めることができる。 二 現行犯逮捕をしようとする場合において、現行犯人から抵抗を受けたときは、逮捕をしようとする者は、警察官であると私人であるとを問わず、その…
参照法条刑法35条,刑訴法212条,刑訴法213条
自動車の運転者が傷害の故意に基づき車両の運転によって人を負傷さもて逃走した場合と道路交通法七二条一項前段の救護義務違反の成否
最高裁判所第一小法廷昭和50年4月3日昭和47(あ)1958刑集 第29巻4号111頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自動車の運転者が傷害の故意に基づき車両の運転によって人を負傷させその場から逃走した場合であっても、道路交通法七二条一項前段、一一七条の救護義務違反罪が成立する。
参照法条道路交通法72条1項,道路交通法117条,刑法204条
森林法一九七条にいう産物の意義
最高裁判所第一小法廷昭和50年3月20日昭和49(あ)1513刑集 第29巻3号53頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨森林法一九七条にいう産物とは、無機物たると有機物たるとを問わず、森林から産出する一切の物をいい、岩石もこれに含まれる。
参照法条森林法197条,森林法198条,刑法235条
いわゆるピケツテイングなどによつて旅客列車の発進を一時不能ならしめた所為につき威力業務妨害罪の成立が認められた事例
最高裁判所第三小法廷昭和49年7月16日昭和45(あ)2373刑集 第28巻5号216頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、A労働組合組合員約一五〇名と共謀し、多数乗客を乗せて駅に入構した旅客列車の前方斬条上に共にスクラムを組んでうずくまるなどし、また乗務員をその腕を抱えるなどして強いて下車させ、これによつて午後八時ころから同八時四四分ころまでの間右列車の発進を不能ならしめた所為は、その目的が原認定(原判文参照)のとおりであり、右…
参照法条刑法35条,刑法234条
甲事件の裁判確定によりその本刑に法定通算されるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入することの適否
最高裁判所第二小法廷昭和48年11月9日昭和48(あ)834刑集 第27巻10号1447頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲事件の裁判確定によりその本刑に法定通算されるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入しても、乙事件の裁判当時甲事件の裁判が未確定の状態であるときは、ただちにこれを違法なものとはいえないが、のちに甲事件の裁判が確定し法定通算されるべき未決勾留が、その本刑に通算されて刑の執行に替えられたときは、結局、違法なもの…
参照法条刑法21条,刑訴法495条
刑法二五条二項但書の法意
最高裁判所第三小法廷昭和48年10月23日昭和48(あ)1349刑集 第27巻9号1435頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法二五条二項但書により再度の執行猶予が許されないのは、同項本文の執行猶予が保護観察つきであつて、その保護観察の期間内に罪を犯した場合に限られる。
参照法条刑法25条2項
労働基準法所定の労働時間の制限を超える公務の執行と公務執行妨害罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和48年5月25日昭和44(あ)1629刑集 第27巻5号1115頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨法令により公務に従事する者とみなされる日本国鉄道職員であつて労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために、職務の執行が具体的権限を欠いて違法となり、その者に対する公務執行妨害罪の成立が妨げられる…
参照法条刑法7条,刑法95条1項,日本国有鉄道法34条1項,労働基準法32条1項
住民基本台帳法に基づく住民票の原本と刑法一五七条一項の「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本」
最高裁判所第一小法廷昭和48年3月15日昭和46(あ)2696刑集 第27巻2号115頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨住民基本台帳法に基づく住民票の原本は、刑法一五七条一項にいう「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本」にあたる。
参照法条住民基本台帳法6条,住民基本台帳法7条,刑法157条1項
一、賭博場開張図利罪と賭博者の集合の要否 二、いわゆる野球賭博の開催が賭博場開張図利罪を構成するとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和48年2月28日昭和46(あ)2714刑集 第27巻1号68頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 賭博場開張図利罪が成立するためには、必ずしも賭博者を一定の場所に集合させることを要しない。 二 一般多数人をしてプロ野球の勝敗に関する賭銭博奕(いわゆる「野球賭博」)を行なわせて利を図るため、ある場所に電話、帳面、プロ野球日程表等を備えつけ、同所において、電話により賭客の申込みを受け、あるいは同所外で受けた賭客の申…
参照法条刑法186条2項
一、併合罪の刑の加重をするにあたり刑法一四条を適用しなかつた違法と判決に及ぼす影響 二、公判調書中の「公判をした裁判所及び裁判官」欄ならびに「裁判所書記官」欄の各記載が単なる誤記と認められた事例
最高裁判所第二小法廷昭和48年2月16日昭和47(あ)1193刑集 第27巻1号46頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 第一審判決に、併合罪の刑の加重をするにあたり刑法一四条を適用しなかつた違法があつても、被告人に対するその宣告刑が正当な処断刑の範囲内にあり、かつ、被告人の犯罪事実の内容その他情状に徴し右宣告刑が重きに過ぎるものと認められないときは、右違法が判決に影響を及ぼすこと明らかであるとはいえない。 二 第一審第九回公判調書中…
参照法条刑法14条,刑訴法335条1項,刑訴法380条,刑訴法48条,刑訴法52条,刑訴規則44条
兇器準備集合の罪とその継続中における暴力行為等処罰に関する法律一条違反の罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和48年2月8日昭和47(あ)159刑集 第27巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、甲ほか一一名と共謀のうえ、乙らに危害を加える目的をもつて、某日午後一一時頃から翌日午前二時三〇分頃までの間、某市内の乙方およびその付近路上ならびに同市内の甲方において猟銃、日本刀、包丁等の兇器を準備し、またはその準備のあることを知つて集合したという兇器準備集合の罪と、右某日午後一一時頃乙方において乙に対し所携…
参照法条刑法45条,刑法54条1項,刑法208条2第1項,暴力行為等処罰に関する法律1条
不送達となつた特別送達を付郵便送達とすることにより執行猶予が取り消されたものとすることの可否
最高裁判所第三小法廷昭和47年12月26日昭和47(し)57刑集 第26巻10号759頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨特別送達の方法により、執行猶予取消決定についての即時抗告棄却決定の謄本を、被請求人に送達する手続をとつたところ、それが執行猶予期間内に送達されなかつた場合において、右特別送達を付郵便送達とすることにより、有効に執行猶予が取り消されたものとすることはできない。
参照法条刑法26条の2,刑訴法54条,刑訴規則63条,民訴法162条,民訴法172条
一 公訴事実の同一性があるとされた事例 二 金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例または小松市寄附金品取締条例にいう寄附募集にあたるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和47年7月25日昭和40(あ)2483刑集 第26巻6号366頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 「今度のお盆に戦没者の法要をするので、おろうそく代を上げて欲しい」等虚構の事実を申し向けて合計六〇〇円と合計七七〇円の各金銭を詐取したとの各事実と、金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例に基づく金沢市長の許可を受けず、または、小松市寄附金品取締条例に基づく小松市長に対する届出をしないで、それぞれ右各同額の寄附募集を…
参照法条刑訴法256条3項,刑訴法256条5項,刑訴法312条,刑法246条1項,金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例3条,金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例11条1号,小松市寄附金品取締条例2条2項,小松市寄附金品取締条例11条
国家公務員共済組合法三六条、一三条に定める国家公務員共済組合連合会に使用されその事務に従事する者にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和47年5月25日昭和45(あ)448刑集 第26巻4号272頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨国家公務員共済組合連合会理事長の正当な職員任命権に基づいて同連合会の「嘱託」を命ぜられ、同連合会施設の設計、工事に関する指名業者の選択、入札等の事務に従事する者は、国家公務員共済組合法三六条、一三条に定める国家公務員共済組合連合会に使用され、その職務に従事する者にあたると解すべきであり、「嘱託」の職名が職制に関する規定…
参照法条国家公務員共済組合法36条,国家公務員共済組合法13条,刑法7条1項,刑法197条1項
刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたらないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和47年3月14日昭和45(あ)1011刑集 第26巻2号187頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他人を殺傷する用具として利用する意図のもとに準備されたダンプカーであっても、他人を殺傷する用具として利用される外観を呈しておらず、社会通念に照らし、ただちに他人をして危険感をいだかせるに足りない場合には、刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたらない。
参照法条刑法208条ノ2
一 上告審判決の主文に控訴棄却の旨を表示することの可否 二 関税法一一一条一項所定の無許可輸出罪と同法一一三条の二所定の虚偽申告罪との罪数関係 三 関税法の無許可輸出罪の公訴事実中に税関吏に対し虚偽の申告をした旨の記載があるが同法の虚偽申告…
最高裁判所第一小法廷昭和47年3月9日昭和42(あ)582刑集 第26巻2号102頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 上告審が、第一審判決を破棄した控訴審判決を破棄して第一審判決を維持するのを相当と認めるときは、第一審判決と同一内容の主文を表示するかわりに、控訴を棄却する旨の主文を表示してもよい。 二 関税法一一一条一項所定の無許可輸出罪と同法一一三条の二所定の虚偽申告罪とは併合罪の関係にある。 三 関税法の無許可輸出罪の公訴事実…
参照法条刑訴法396条,刑訴法413条,刑訴法256条2項,刑訴法378条3号,刑訴法392条2項,刑訴法414条,関税法111条1項,関税法113条の2,刑法45条,刑法54条
村長が給与所得者に対し村民税の過少賦課徴収をしたことが背任行為にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和47年3月2日昭和44(あ)10刑集 第26巻2号67頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨村長が、給与所得を有する村民税納税義務者に対する所得割の賦課に際し、村条例の規定にしたがった課税総所得金額の算定をせず、村条例になんら規定がないのに、総収入金額から、それが一〇〇万円以下のものについてはその三九パーセントにあたる金額を、それが一〇〇万円をこえるものについては三九万円を、それぞれ控除し、それに相応する額の…
参照法条刑法247条,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)313条1項,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)313条2項,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)314条の2第1項,地方税法(昭和39年法律29…
株金の払込がいわゆる見せ金による仮装のものであるにかかわらず増資の登記をした場合と公正証書原本不実記載罪の成否
最高裁判所第三小法廷昭和47年1月18日昭和45(あ)2042刑集 第26巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨増資に際し、株金の払込がいわゆる見せ金によってされた仮装のものであるにかかわらず、その株式引受人による払込が完了して、増資をした旨の登記申請をし、商業登記簿の原本にその記載をさせたときは、昭和四一年法律第八三号による改正前の商法一八八条二項五号の「発行済株式ノ総数」に関し、公正証書原本不実記載罪が成立する。
参照法条刑法157条1項,商法188条(昭和41年法律83号による改正前のもの),商法67条
デイーゼル・エンジン自動車の運転者の失火と業務上失火罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和46年12月20日昭和45(あ)1809刑集 第25巻9号1086頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自動車に装置したデイーゼル・エンジンの排気管は、運転中著しく高温となり、これに可燃物が接触すると火災発生の危険があるのに、運転者が、排気管と接触するおそれのある状態で運転席の床にゴム板を装着し、また、運転中ゴム板の燻焦する臭気を感知したにもかかわらず、そのまま運転を継続したため、火災が発生した場合には、業務上失火罪が成…
参照法条刑法11条ノ2,刑法116条2項
刑法一九七条一項の罪と公職選挙法二〇〇条二項、二四九条の罪とが一所為数法の関係にあるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和46年12月2日昭和43(あ)1859刑集 第25巻9号1041頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨地方公共団体の議会の議員が、公職選挙法一九九条三項に規定する会社から、その職務に関し賄賂を収受する趣旨および同議会議員の選挙に関し寄附を受ける趣旨で、現金の供与を受けた場合には、刑法一九七条一項の罪および公職選挙法二〇〇条二項、二四九条の罪が成立し、両者は一所為数法の関係にある。
参照法条刑法197条1項,刑法54条1項,公職選挙法199条3項,公職選挙法200条2項,公職選挙法249条
一 刑法三六条にいう「急迫」の意義 二 刑法三六条の防衛行為と防衛の意思 刑法三六条の防衛行為と防衛の意思」
最高裁判所第三小法廷昭和46年11月16日昭和45(あ)2563刑集 第25巻8号996頁
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裁判要旨一 刑法三六条にいう「急迫」とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫つていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。 二 刑法三六条の防衛行為は、防衛の意思をもつてなされることが必要であるが、相手の加害行為に対し憤激また…
参照法条刑法36条
名誉毀損の摘示事実を真実と誤信したことにつき相当の理由がないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和46年10月22日昭和45(あ)2524刑集 第25巻7号838頁
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裁判要旨公然事実を摘示し人の名誉を毀損した者が、摘示事実を真実であると誤信したとしても、その誤信が、係属中の刑事事件の一方の当事者の主張ないし要求または抗議等で断片的な客観性のない資料に基づくものであるときは、右誤信は相当の理由があるものとはいえない。
参照法条刑法230条1項,刑法230条ノ2第1項,刑法230条ノ2第3項
無免許運転教唆罪と道路交通法七五条所定の運行管理義務違反の罪との罪数
最高裁判所第三小法廷昭和46年9月28日昭和45(あ)1282刑集 第25巻6号798頁
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裁判要旨道路交通法七五条所定の車両等の運行を直接管理する地位にある者が、当該業務に関し、車両等の運転者に帯し無免許運転を教唆し、よって被教唆者をして無免許運転をするに至らせた場合には、無免許運転教唆罪と道路交通法七五条所定の運行管理義務違反の罪とが成立し、両者は観念的競合の関係にある。
参照法条道路交通法64条,道路交通法75条1項1号,道路交通法118条1項1号,道路交通法119条1項12号(昭和45年法律86号による改正前のもの、同法律による改正後は118条1項3号の2),刑法54条1項,刑法61条1項
強姦と被害者の負傷との間に因果関係が認められた事例
最高裁判所第二小法廷昭和46年9月22日昭和46(あ)1051刑集 第25巻6号769頁
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裁判要旨被害者の傷害が、共犯者の一名によつて強姦された後、さらに他の共犯者らによって強姦されることの危険を感じた被害者が、詐言を用いてその場をのがれ、暗夜人里離れた地理不案内な田舎道を数百米逃走し救助を求めるに際し、転倒などして受けたものである場合には、右傷害は強姦によって生じたものというを妨げない。
参照法条刑法181条
自救行為の主張と刑訴法三三五条二項
最高裁判所第二小法廷昭和46年7月30日昭和45(あ)1358刑集 第25巻5号756頁
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裁判要旨自救行為の主張は、刑訴法三三五条二項の主張にあたる。
参照法条刑訴法335条2項,刑法35条
一 刑法一二六条一項にいう汽車または電車の「破壊」の意義 二 刑法一二六条一項にいう電車の「破壊」にあたるとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和46年4月22日昭和45(あ)1919刑集 第25巻3号530頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法一二六条一項にいう汽車または電車の「破壊」とは、汽車または電車の実質を害してその交通機関としての機能の全部または一部を失わせる程度の損壊をいう。 二 爆発物の爆発により、横須賀線電車五号車両の屋根、天井に張られた鉄板および合金板四枚、座席七個、網棚、窓ガラス四枚のほか、車体付属品八点が損壊され、爆発物の破片等が…
参照法条刑法126条1項
控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合と未決勾留日数の刑法二一条による本刑算入
最高裁判所第一小法廷昭和46年4月15日昭和45(あ)1776刑集 第25巻3号439頁
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裁判要旨控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合には、控訴申立後の未決勾留日数は、刑訴法四九五条二項二号により、判決が確定して本件の執行される際当然に全部本件に通算されるべきものであつて、刑法二一条により判決においてその全部または一部を本刑に算入する旨の言渡をすべきでない。
参照法条刑訴法495条,刑法21条
いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為について、暴力行為等処罰に関する法律一条(刑法二六一条)の罪が成立するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和46年3月23日昭和44(あ)1876刑集 第25巻2号239頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨多数の者とともに、会社当局に対する争議手段として、一頁大の新聞紙に、「犬と社長の通用口」「吸血ババA」「社長生かすも殺すもなまず舌三寸」「ナマズ釣つてもオカズナラヌ見れば見るほど胸が悪」等主として、会社社長らを誹謗する文言などを墨書したビラ約六一枚を、会社事務所の窓や扉のガラスに洗濯糊をもつて乱雑に貼りつけた行為は、原…
参照法条暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法261条,刑法35条,労働組合法1条2項
刑訴法四〇〇条但書に違反するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和45年12月22日昭和45(あ)913刑集 第24巻13号1872頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人の公訴事実について、第一審が殺意の存在を認めず、傷害致死の犯罪事実を認定したのに対し、控訴審が、みずから殺意の点に関する事実の取調をすることなく、実質上、第一審で取り調べた証拠のみに基づいて未必の殺意を認定し、殺人罪として処断することは、刑訴法四〇〇条但書の解釈上許されない。
参照法条刑法199条,刑法205条,刑訴法400条
一、公選投票賄賂罪の規定の公職選挙法施行後における効力 二、公選投票賄賂罪の規定の合憲性
最高裁判所第三小法廷昭和45年12月15日昭和44(あ)1125刑集 第24巻13号1738頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一、旧刑法二編四章九節二三四条のいわゆる公選投票賄賂罪の規定は、公職選挙法施行後においても、同法の適用または準用のない公選の投票に対する関係では、依然として刑罰法規としての効力をもつている。 二、旧刑法二編四章九節二三四条のいわゆる公選投票賄賂罪の規定は、憲法一五条四項に違反しない。
参照法条旧刑法234条,刑法施行法25条,憲法15条4項
一、長さ一メートル前後の角棒は刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたるか 二、刑法二〇八条の二にいう「集合」にあたる場合 三、刑法二〇八条の二にいう「集合」の状態の継続と兇器準備集合罪の継続
最高裁判所第一小法廷昭和45年12月3日昭和44(あ)1453刑集 第24巻13号1707頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一、長さ一メートル前後の角棒は、刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたる。 二、すでに一定の場所に集まつている二人以上の者が、その場で兇器を準備し、またはその準備のあることを知つたうえ、他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える目的を有するに至つた場合は、刑法二〇八条の二にいう「集合」にあたる。 三、刑法二〇八条…
参照法条刑法208条の2
法定刑が同一である数個の罪が一所為数法の関係にある場合における法令適用の判示方法
最高裁判所第一小法廷昭和45年11月26日昭和45(あ)687刑集 第24巻12号1699頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨法定刑が同一である数個の罪が一所為数法の関係にある場合には、法令適用の判示として、単に刑法五四条一項前段、一〇条を示しただけで、そのいずれの罪の刑が最も重いかを明示しないでも、必ずしも違法とはいえない。
参照法条刑法54条1項前段,刑法10条
刑法二七条による刑の言渡の失効と同法四五条後段の併合罪関係の成否
最高裁判所第三小法廷昭和45年9月29日昭和44(あ)1853刑集 第24巻10号1421頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法二七条によつて、執行猶予を言い渡した確定裁判による刑の言渡がその効力を失つても、そのことは同法四五条後段の併合罪関係の成否とは相関しない。
参照法条刑法27条,刑法45条
いわゆる代表名義の文書の名義人
最高裁判所第二小法廷昭和45年9月4日昭和44(あ)1421刑集 第24巻10号1319頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他人の代表者または代理人として文書を作成する権限のない者が、他人を代表もしくは代理すべき資格、または、普通人をして他人を代表もしくは代理するものと誤信させるに足りるような資格を表示して作成した文書の名義人は、代表もしくは代理された本人であると解するのが相当である。
参照法条刑法159条
被告人の自白に信用性真実性があると認めた原審の判断が支持し難いとして破棄された事例
最高裁判所第二小法廷昭和45年7月31日昭和43(あ)602刑集 第24巻8号597頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨記録にあらわれた証拠関係を検討すれば、犯行の外形的事実と被告人との結びつきについて、合理的な疑いを容れるに足りる幾多の問題点が存し(判文参照)、原審が、被告人の自白に信用性、真実性があるものと認め、これに基づいて犯行を被告人の所為であるとした判断が支持し難いときは、刑訴法四一一条一号、三号により、原判決は破棄を免れない…
参照法条刑法240条後段,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文
自動車により婦女を他所へ連行したうえ強姦した場合につき婦女を自動車内に引きずり込もうとした時点において強姦罪の実行の着手があるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和45年7月28日昭和45(あ)619刑集 第24巻7号585頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、外一名と共謀のうえ、夜間一人で道路を通行中の婦女を強姦しようと企て、共犯者とともに、必死に抵抗する同女を被告人運転のダンプカーの運転席に引きずり込み、発進して同所から約五、八〇〇メートル離れた場所に至り、運転席内でこもごも同女を強姦した本件事実関係(判文参照)のもとにおいては、被告人が同女をダンプカーの運転席…
参照法条刑法43条,刑法177条,刑法179条
一 国鉄連絡船の乗務船員でない国鉄労働組合員が航行中の同船内において勤務当直者でない乗務船員に対してオルグ活動をしようとして乗船した場合と船長の退去命令 二 国鉄労働争議における国鉄労働組合員の信号扱所侵入行為が正当性を欠き建造物侵入罪を構…
最高裁判所第一小法廷昭和45年7月16日昭和43(あ)1462刑集 第24巻7号475頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 国鉄連絡船の乗務船員でない国鉄労働組合員が同船に乗り込んだことが、同組合の団体行動として同船の航行中に勤務当直者でない乗務船員たる組合員らに対するオルグ活動をするためであるとしても、船長が退去を命令したときは、これに従うことを要し、これに従わないで船内に滞留することは、労働組合法一条二項にいう正当な行為とはいえず、…
参照法条刑法130条,船員法7条,公共企業体等労働関係法3条1項,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条2項,憲法28条
市電の出庫を阻止したピケツテイングが正当な行為とされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和45年6月23日昭和42(あ)1373刑集 第24巻6号311頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨札幌市役所関係労働組合連合会所属の被告人らが、他の約四〇名とともに、車庫内において市電の前に立ちふさがり、その出庫を阻止して業務を妨害した場合においても、その行為が、市当局の長期間にわたる不当な団体交渉の拒否等に対処し、団体交渉における労使の実質的対等を確保するため、やむなくなされた市電等への乗務拒否を主眼とする同盟罷…
参照法条刑法35条,刑法234条,労働組合法1条2項,地方公営企業労働関係法4条,地方公営企業労働関係法11条1項
一 商品市場における売買取引の委託について顧客から商品仲買人に委託証拠金の代用として有価証券を預託する行為の法律上の性質 二 転質と横領罪の成否 三 商品仲買人がいわゆる委託証拠金充用証券を担保に差し入れる行為が業務上横領罪にあたるとされた…
最高裁判所第二小法廷昭和45年3月27日昭和43(あ)2546刑集 第24巻3号76頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 商品市場における売買取引の委託について、顧客から商品仲買人に委託証拠金の代用として有価証券を預託する行為の法律上の性質は、根質権の設定であつて、消費寄託ではない。 二 質権者は、質権設定者の同意がなくても、その権利の範囲内において質物を転質となしうるが、新たに設定された質権が原質権の範囲を超越するときは、横領罪を構…
参照法条商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)97条,商品取引所法(昭和42年法律97号による改正前のもの)92条,民法362条,民法348条,刑法252条,刑法253条
業務上過失致死被告事件において被害者を事前に発見することが不可能であつたという主張と刑訴法三三五条二項
最高裁判所第二小法廷昭和45年2月13日昭和44(あ)1931刑集 第24巻2号17頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨業務上過失致死被告事件において、被害者の自転車が被告人の進路前方に停車中の大型貨物自動車の背後から突如飛び出して来たため、被告人にはこれを事前に発見することが不可能であつたという主張は、刑訴法三三五条二項にいう「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」の主張にあたらない。
参照法条刑訴法335条2項,刑法211条
専ら報復または侮辱虐待の目的をもつて婦女を脅迫し裸にして撮影する行為と強制わいせつ罪の成否
最高裁判所第一小法廷昭和45年1月29日昭和43(あ)95刑集 第24巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、婦女を脅迫し裸にして、その立つているところを撮影する行為であつても、これが専らその婦女に報復し、または、これを侮辱し、虐待する目的に出たときは、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつ…
参照法条刑法176条
一 暴力行為等処罰に関する法律一条の三所定の罪と累犯加重 二 ある前科の存在をもつて常習的暴行等の罪(暴力行為等処罰に関する法律一条の三)の要件たる常習性を認定する一資料としたうえその前科と右常習的暴行等の罪とが刑法上の累犯の関係にあること…
最高裁判所第二小法廷昭和44年9月26日昭和43(あ)1605刑集 第23巻9号1154頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 暴力行為等処罰に関する法律一条の三所定の罪についても刑法の累犯加重の規定の適用がある。 二 ある前科の存在をもつて常習的暴行等の罪(暴力行為等処罰に関する法律一条の三)の要件たる常習性を認定する一資料とした場合において、その前科と右常習的暴行等の罪とが刑法上の累犯の関係にあるときは、右常習的暴行等の罪につき累犯加重…
参照法条暴力行為等処罰に関する法律1条ノ3,憲法39条後段,刑法8条,刑法56条
一三才未満の者に対しその反抗を著しく困難にさせる程度の脅迫を用いてわいせつ行為をした場合の擬律
最高裁判所第三小法廷昭和44年7月25日昭和44(あ)649刑集 第23巻8号1068頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一三才未満の者に対し、その反抗を著しく困難にさせる程度の脅迫を用いてわいせつの行為をした場合には、刑法一七六条の前段と後段との区別なく右法条に該当する一罪が成立する。
参照法条刑法176条
正犯を間接に幇助したものとして従犯の成立が認められた事例
最高裁判所第一小法廷昭和44年7月17日昭和43(あ)1889刑集 第23巻8号1061頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が、甲またはその得意先の者において不特定の多数人に観覧せしめるであろうことを知りながら、猥せつ映画フイルムを甲に貸与し、甲からその得意先である乙に右フイルムが貸与され、乙においてこれを映写し十数名の者に観覧させて公然陳列するに至つた場合、被告人の所為については、正犯たる乙の犯行を間接に幇助したものとして、従犯が成…
参照法条刑法62条1項,刑法175条
盗犯等の防止及び処分に関する法律三条にいう三回以上の懲役刑と刑法五六条の要件の要否
最高裁判所第三小法廷昭和44年7月8日昭和43(あ)94刑集 第23巻8号1045頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨盗犯等の防止及び処分に関する法律三条にいう三回以上の懲役刑は、その相互間に刑法五六条所定の要件が存在することを必要としない。
参照法条盗犯等の防止及び処分に関する法律3条,刑法56条,刑法59条
一 盗犯等の防止及び処分に関する法律三条の趣旨 二 いわゆる常習累犯窃盗の罪と累犯加重
最高裁判所第一小法廷昭和44年6月5日昭和43(あ)2655刑集 第23巻7号935頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 盗犯等の防止及び処分に関する法律三条は、窃盗その他同法二条所定の罪を行なう習癖を有する者を、その習癖のない者より重く処罰するため、通常の窃盗その他の罪とは異なる新たな犯罪類型を定めたものである。 二 いわゆる常習累犯窃盗の罪についても、刑法の累犯加重の規定の適用がある。
参照法条盗犯等の防止及び処分に関する法律2条,盗犯等の防止及び処分に関する法律3条,刑法8条,刑法56条,刑法59条
一 刑法二五九条の「権利、義務ニ関スル他人ノ文書」には小切手も含まれるか 二 同条の罪が成立するためには文書を有形的に毀損することを要するか
最高裁判所第二小法廷昭和44年5月1日昭和43(あ)429刑集 第23巻6号907頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法二五九条の「権利、義務ニ関スル他人ノ文書」には、有価証券である小切手も含まれる。 二 同条にいわゆる文書を毀棄したというためには、必ずしもこれを有形的に毀損することを要せず、隠匿その他の方法によつて、その文書を利用することができない状態におくことをもつて足りる。
参照法条刑法259条
弁護士法第七二条違反の罪の教唆犯が成立しないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和43年12月24日昭和42(あ)1988刑集 第22巻13号1625頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨弁護士でない者に、自己の法律事件の示談解決を依頼し、これに報酬を与えもしくは与えることを約束しても、弁護士法第七二条違反の罪の教唆犯は成立しないものと解すべきである。
参照法条弁護士法72条,弁護士法77条,刑法61条1項
刑法第二四九条第二項の恐喝罪における被害者の処分行為
最高裁判所第二小法廷昭和43年12月11日昭和43(あ)1645刑集 第22巻13号1469頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨飲食代金の請求を受けた被告人が、その請求者らを脅迫してこれを畏怖させ、よつて請求を一時断念させた場合には、刑法第二四九条第二項の恐喝罪が成立する。
参照法条刑法249条2項
訴因の変更を促しまたはこれを命じないことが審理不尽になるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和43年11月26日昭和42(あ)1192刑集 第22巻12号1352頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨裁判所は、原則として、自らすすんで検察官に対し、訴因変更手続を促しまたはこれを命ずる義務はないが、本件のように、証拠上、起訴状に記載された殺人の訴因については無罪とするほかなくても、これを重過失致死という相当重大な罪の訴因に変更すれば有罪であることが明らかな場合には、例外的に、訴因変更を促しまたはこれを命ずる義務があり…
参照法条刑訴法312条,刑訴法397条1項,刑訴法379条,刑法199条,刑法211条
刑訴法第四一一条第一号にあたらないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和43年11月26日昭和43(あ)1640刑集 第22巻12号1387頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨原判決が、昭和四三年法律第六一号による改正後の刑法第四五条を適用して一個の懲役刑を科すべきであつたのに、右改正前の同条を適用して三個の懲役刑を科したのは、判決に影響を及ぼすべき法令違反であるが、本件事案のもとでは(判文参照)、原判決を破棄しなくても著しく正義に反するものとは認められない。
参照法条刑法45条,刑法45条(昭和43年法律61号による改正前のもの),刑法の一部を改正する法律(昭和43年法律61号)附則2項,刑訴法411条1号
刑訴法第四〇二条に反しないとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和43年11月14日昭和43(あ)921刑集 第22巻12号1343頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨第一審が被告人に対し禁錮一〇月の刑を言い渡したのを第二審が懲役八月に変更しても、第一審判決を被告人に不利益に変更したとはいえない。
参照法条刑訴法402条,刑法10条1項
累犯関係の有無の決定基準
最高裁判所第一小法廷昭和43年11月7日昭和42(あ)2479刑集 第22巻12号1335頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨累犯関係の有無は、前刑の執行を終りまたは執行の免除があつた日から五年の期間内に、犯罪の実行行為をしたか否かを基準にして決すべきものであつて、五年の期間内に、犯罪行為の着手があつたか否かのみを基準にして決すべきものではない。
参照法条刑法56条1項
公務員の地位利用と斡旋収賄罪
最高裁判所第二小法廷昭和43年10月15日昭和41(あ)1102刑集 第22巻10号901頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法第一九七条ノ四の斡旋収賄罪が成立するためには、その要件として、公務員が積極的にその地位を利用して斡旋することは必要でないが、少なくとも公務員としての立場で斡旋することを必要とし、単なる私人としての行為は右の罪を構成しないものと解するのが相当である。
参照法条刑法197条ノ4
いわゆる輸姦の幇助者に対する訴追と告訴の要否
最高裁判所第三小法廷昭和43年10月15日昭和42(あ)1930刑集 第22巻10号928頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨正犯につき刑法第一八〇条第二項の適用がある以上、その幇助者が現場に居合わせたか否かを問わず、これを訴追するについて告訴を要しない。
参照法条刑法180条,刑法177条
併合罪の一部についての非常上告と破棄の範囲
最高裁判所第三小法廷昭和43年10月15日昭和43(さ)2刑集 第22巻10号940頁
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裁判要旨各一個の窃盗および道路交通法違反(無免許運転)の併合罪につき、原判決が懲役刑および罰金刑を併科している場合において、道路交通法違反の罪についての非常上告に理由があるときは、原判決中罰金刑の部分のみを破棄すれば足りる。
参照法条刑法45条前段,刑法48条1項本文,刑訴法458条
傷害の手段として監禁し傷害を加えた場合と牽連犯の成否
最高裁判所第三小法廷昭和43年9月17日昭和42(あ)2551刑集 第22巻9号853頁
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裁判要旨傷害の手段として監禁し傷害を加えた場合でも、両者は牽連犯を構成しない。
参照法条刑法204条,刑法220条,刑法54条1項,刑法45条
姦淫の手段である暴行により傷害を負わせた場合と強姦致傷罪の成立
最高裁判所第三小法廷昭和43年9月17日昭和43(あ)932刑集 第22巻9号862頁
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裁判要旨婦女に対する姦淫行為自体によりその婦女に傷害を負わせた場合ばかりでなく、姦淫の手段である暴行によつて傷害を負わせた場合でも、刑法第一八一条の強姦致傷罪が成立する。
参照法条刑法181条
兇器準備集合の所為と暴力行為等処罰に関する法律第一条違反の所為とが併合罪の関係にあるとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和43年7月16日昭和42(あ)2277刑集 第22巻7号830頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人らが、共謀のうえ、甲らに危害を加える目的をもつて、猟銃、日本刀等の兇器を準備し、または準備のあることを知つて、某所に集合したという兇器準備集合の所為と、その集合の直後、集合場所付近において、甲の身体を手拳で殴打し、足蹴にするなどし、かつ、甲に対し「横着だぞ」等と怒号し、もつて数人共同し、多衆の威力を示して暴行、脅…
参照法条刑法45条,刑法54条1項,刑法208条ノ2,暴力行為等処罰に関する法律1条
住居不退去罪につき違法性を阻却すべき事由が認められないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和43年7月12日昭和42(あ)472刑集 第22巻7号659頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨秋田県県政共闘会議を組織する労働組合の代表者である被告人甲、乙らが、秋田県知事公舎第二応接室において、知事に対し、昭和三六年度県予算に関し折衝した際、折衝が行き詰りとなつたため、知事は同公舎第一応接室において予算案の査定事務にとりかかつたところ、右労働組合の組合員である被告人丙、丁を含む組合員数十名は、右の経過をきいて…
参照法条刑法35条,刑法130条,労働組合法1条2項
特定郵便局長が郵便切手類および印紙の売さばき人の名義を使用して郵便切手類等を売りさばきその手数料を取得した行為が詐欺罪および業務上横領罪にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和43年7月5日昭和41(あ)776刑集 第22巻7号588頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨特定郵便局長が、手数料を取得する目的で、郵便切手類および印紙の売さばき人の名義を借り受け、自己の計算のもとに郵便切手類等を売りさばき、それを、あたかも、名義人自身が売りさばいたように書類を作成して、指定郵便局に提出し、歳出金支払証票の交付を受けた行為は詐欺罪となり、また自己の保管する渡切経費の中から、手数料支払名下に、…
参照法条郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律(昭和29年法律14号による改正前のもの)5条,郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律(昭和29年法律14号による改正前のもの)7条,刑法246条1項,刑法253条
境界標を損壊しても境界が不明にならない場合と境界毀損罪の成否
最高裁判所第二小法廷昭和43年6月28日昭和42(あ)2891刑集 第22巻6号569頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨境界標を損壊しても、いまだ境界が不明にならない場合には、境界毀損罪は成立しないものと解すべきである。
参照法条刑法262条ノ2
漁業協同組合参事が上司の決裁を受けることなく組合長振出名義の融通手形を作成した行為につき有価証券偽造罪が成立するとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和43年6月25日昭和40(あ)2015刑集 第22巻6号490頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が水産業協同組合法により支配人に関する商法の規定が準用される漁業協同組合参事であつても、同組合内部の定めとしては、同組合が融通手形として振り出す組合長振出名義の約束手形の作成権限はすべて専務理事に属するものとされ、被告人は単なる起案者、補佐役として右手形作成に関与していたにすぎない場合において、同人が組合長または…
参照法条刑法162条1項,水産業協同組合法46条,商法38条1項,商法38条3項
深夜墓碑を押し倒した行為が刑法第一八八条第一項にいう公然の行為にあたるとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和43年6月5日昭和42(あ)3064刑集 第22巻6号427頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨県道につながる村道に近接し、他人の住家も遠からぬ位置に散在する場所にある共同墓地において、墓碑を押し倒した被告人らの行為は、たまたま、その行為が午前二時ごろに行なわれたもので、当時通行人などがなかつたとしても、刑法第一八八条第一項にいう公然の行為にあたる。
参照法条刑法188条1項
被告人に会計法規に違反する認識のあつたことをもつて直ちに国に損害を加える認識もあつたとして背任罪の成立を認めるのは相当でないとされた事例
最高裁判所第二小法廷昭和43年4月26日昭和41(あ)1568刑集 第22巻4号301頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨農林省仙台農地事務局八郎潟南部干拓建設事業所長であつた被告人が、不用物品の払下げにあたり、物品管理法(昭和四〇年法律第四一号による改正前のもの)および予算決算及び会計令(昭和三七年政令第三一四号による改正前のもの)の規定に違反し、あらかじめ不用決定等をすることなく、代金納入前に、所管の廃材を引き渡した事実があつたとして…
参照法条刑法247条,物品管理法(昭和40年法律41号による改正前のもの)28条,予算決算及び会計令(昭和37年政令314号による改正前のもの)73条
酒酔い運転につき刑法第三九条第二項の適用がないとされた事例
最高裁判所第三小法廷昭和43年2月27日昭和42(あ)1814刑集 第22巻2号67頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨酒酔い運転の行為当時に飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあつたとしても、飲酒の際酒酔い運転の意思が認められる場合には、刑法第三九条第二項を適用して刑の減軽をすべきではない。
参照法条刑法39条2項,道路交通法117条の2第1号,道路交通法118条1項2号(昭和39年法律91号による改正前のもの)
いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法第二六〇条の建造物損壊および同法第二六一条の器物損壊に該当するとされた事例
最高裁判所第一小法廷昭和43年1月18日昭和42(あ)1078刑集 第22巻1号32頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨会社の労働組合執行委員長等の地位にある被告人らが、多数の労働組合員と共謀のうえ、会社当局に対するいわゆる闘争手段として、四つ切大の新聞紙等に要求事項を記載したビラを、会社本社の二階事務室に至る階段の壁、同事務室の壁、社長室の扉の外側、同室内部の壁に約五〇枚、同事務室の窓ガラス、入口引戸、書棚、社長室の窓ガラス、衝立に約…
参照法条刑法260条,刑法261条
人の噂であるという表現を用いて名誉を毀損した場合と刑法第二三〇条ノ二にいわゆる事実の証明の対象
最高裁判所第一小法廷昭和43年1月18日昭和42(あ)361刑集 第22巻1号7頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「人の噂であるから真偽は別として」という表現を用いて公務員の名誉を毀損する事実を摘示した場合において、刑法第二三〇条ノ二所定の事実の証明の対象となるのは、風評そのものの存在ではなく、その風評の内容たる事実が真実であることと解すべきである。
参照法条刑法230条ノ2
土地所有者の氏名を冒用して起訴前の和解の申立をし内容虚偽の和解調書を作成させこれを用いて登記簿に不実の記載をさせた場合と詐欺罪の成否
最高裁判所第一小法廷昭和42年12月21日昭和42(あ)786刑集 第21巻10号1453頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨土地所有者の氏名を冒用して、簡易裁判所に起訴前の和解の申立をし、被告人に右土地の所有権移転登記手続をする旨の内容虚偽の和解調書を作成させたうえ、その正本を登記官吏に登記原因を証する書面として提出し、登記簿にその旨不実の記載をさせても、右土地に関する詐欺罪は成立しないものと解すべきである。
参照法条刑法246条1項,刑法157条1項
占有者を誤認してなされた仮処分の執行と封印破棄罪の成否
最高裁判所第三小法廷昭和42年12月19日昭和41(あ)1622刑集 第21巻10号1407頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨執行吏代理が、被告人の占有していた家屋を、仮処分決定の債務者の占有にかかるものと誤認して、執行吏の占有保管に移す旨の執行をし、その公示をした場合において、右執行吏代理には故意に被告人の権利を侵害する目的がなく、かつその執行が当然無効あるいは不存在と認められるようなものでないときは、被告人が、法律上の救済手続をとることな…
参照法条刑法96条
最高裁 / 民集登載4件
公立小学校における通知表の交付をめぐる混乱についての批判、論評を主題とするビラの配布行為が名誉侵害としての違法性を欠くとされた事例
最高裁判所第一小法廷平成元年12月21日昭和60(オ)1274民集 第43巻12号2252頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨公立小学校教師の氏名・住所・電話番号等を記載し、かつ、有害無能な教職員等の表現を用いた大量のビラを繁華街等で配布した場合において、右ビラの内容が、一般市民の間でも大きな関心事になつていた通知表の交付をめぐる混乱についての批判、論評を主題とする意見表明であつて、専ら公益を図る目的に出たものに当たらないとはいえず、その前提…
参照法条民法709条,民法723条,刑法230条ノ2第1項,刑法230条ノ2第3項
一 人格権又は条理を根拠とするいわゆる反論文掲載請求権の成否 二 新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例
最高裁判所第二小法廷昭和62年4月24日昭和55(オ)1188民集 第41巻3号490頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 新聞記事に取り上げられた者は、当該新聞紙を発行する者に対し、その記事の掲載により名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、人格権又は条理を根拠として、右記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修正かつ無料で掲載することを求めることはできない。 二 新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的…
参照法条憲法21条,民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条ノ2
刑法上の贈賄罪が町議会の議長選挙に関して犯された場合と公職選挙法一一条一項四号にいう「法律で定めるところにより行なわれる選挙投票及び国民審査に関する犯罪」
最高裁判所第一小法廷昭和54年12月13日昭和54(行ツ)88民集 第33巻7号743頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨刑法上の贈賄罪は、それが町議会の議長選挙に関して犯された場合であつても、公職選挙法一一条一項四号にいう「法律で定めるところにより行なわれる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪」にあたらない。
参照法条公職選挙法11条1項,刑法198条
一、民訴法四二〇条一項六号または七号に基づく再審の訴と同項但書 二、民訴法四二〇条二項後段の再審の要件が具備されたと認められた事例 三、牽連犯の公訴時効 四、民訴法四二〇条一項六号または七号に基づく再審の訴と同法四二四条四項
最高裁判所第三小法廷昭和47年5月30日昭和44(オ)210民集 第26巻4号826頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、民訴法四二〇条一項六号または七号を再審事由とする再審の訴が同条一項但書により許されないのは、再審原告が、再審の訴の対象となつた判決に対する上訴により、右再審事由のほか、同条二項の要件を主張したか、または右要件の存在を知りながらこれを主張しなかつた場合に限られる。 二、偽造された文書が判決の証拠となつた場合において、…
参照法条民訴法420条1項6号,民訴法420条1項7号,民訴法420条1項但書,民訴法420条2項,民訴法424条3項4項,刑法54条1項後段,刑訴法250条,刑訴法253条1項
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