法務会計研究所 / 論点から引く

判例・論点索引

見出しは裁判所が付けた判示事項、結論は裁判要旨をそのまま転記しています。 会社法・商法(旧商法を含む)を参照法条とするものに絞っています。 論点の言葉で絞り込めます(例:「全員出席」「代理人」「定足数」)。 文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

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最高裁大法廷 / 刑集登載68件

1 委託を受けて他人の不動産を占有する者がこれにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了していた場合においてその後これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了する行為と横領罪の成否 2 委託を受けて他人の不動産を…

最高裁判所大法廷平成15年4月23日平成13(あ)746刑集 第57巻4号467頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨1 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは,後行の所有権移転行為について横領罪の成立を肯定することができ,先行の抵当権設定行為が存在することは同罪の成立自体を妨げる事情にはならない。…
参照法条刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)第1編第7章 犯罪ノ不成立及ヒ刑ノ減免,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)252条,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)253条,刑訴法256条

一 いわゆる刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託証人尋問調書の証拠能力 二 内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることと賄賂罪における職務行為

最高裁判所大法廷平成7年2月22日昭和62(あ)1351刑集 第49巻2号1頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴法はいわゆる刑事免責の制度を採用しておらず、刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託証人尋問調書を事実認定の証拠とすることは許容されない。 二 内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることは、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示として、賄賂罪の職務行為に当た…
参照法条刑訴法1条,刑訴法146条,刑訴法226条,刑訴法248条,刑訴法317条,憲法38条1項,憲法66条,憲法68条,憲法72条,刑法(昭和55年法律30号による改正前のもの)197条1項,刑法(昭和55年法律30号による改正前のもの)198…

一、公共企業体等労働関係法一七条一項と憲法二八条 二、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と労働組合法一条二項の適用 三、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と刑事法上の処罰阻却 四、郵政職員の争議行為に参加を呼びかけた…

最高裁判所大法廷昭和52年5月4日昭和44(あ)2571刑集 第31巻3号182頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 公共企業体等労働関係法一七条一項は、憲法二八条に違反しない。 二 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為には、労働組合法一条二項の適用はない。 三 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為が犯罪構成要件に該当し、違法性があり、責任がある場合であつても、それが同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような…
参照法条憲法28条,刑法第1編第7章,刑法35条,刑法130条,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条,労働組合法3条,郵便法79条1項

一、地方公務員法三七条一項、六一条四号の合憲性 二、地方公務員法六一条四号の法意 三、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した行為につき道路交通法一二〇条一項九号、七六条四項二号の罪…

最高裁判所大法廷昭和51年5月21日昭和44(あ)1275刑集 第30巻5号1178頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一、地方公務員法三七条一項は憲法二八条に、地方公務員法六一条四号は憲法一八条、二八条に違反しない。 二、地方公務員法六一条四号は、地方公務員の争議行為に違法性の強いものと弱いものとを区別して前者のみが右法条にいう争議行為にあたるものとし、また、右争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる等の行為のうちいわゆる争議行…
参照法条憲法18条,憲法21条,憲法28条,地方公務員法37条1項,地方公務員法61条4号,道路交通法76条4項2号,道路交通法120条1項9号,刑法35条,刑訴法411条1号

一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項と昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の手続上の適法性 二、憲法と子どもに対する教育内容の決定権能の帰属 三、教育行政機関の法令に基づく教育の内容及び方法の規制と教育基本法一〇条 四、昭和…

最高裁判所大法廷昭和51年5月21日昭和43(あ)1614刑集 第30巻5号615頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項は、文部大臣に対し、昭和三六年度全国中学生一せい学力調査のような調査の実施を教育委員会に要求する権限を与えるものではないが、右規定を根拠とする文部大臣の右学力調査の実施の要求に応じて教育委員会がした実施行為は、そのために手続上違法となるものではない。 二、憲法上、親は…
参照法条地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律32条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律43条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項,刑法95条1項,憲法13条,憲法23条,憲法26条,…

一、勤労者の争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準 二、A労働組合員らの争議行為の際における信号所侵入行為が刑法上の違法性を欠くものでなくその刑事責任を問うことが憲法二八条に違反しない…

最高裁判所大法廷昭和48年4月25日昭和43(あ)837刑集 第27巻3号418頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が争議行為に際し行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定し…
参照法条刑法35条,刑法95条1項,刑法130条,憲法28条,憲法31条,鉄道営業法37条,鉄道営業法42条1項,日本国有鉄道法32条1項,日本国有鉄道法34条1項,旧鉄道公安職員基本規程(昭和24年11月18日総裁達466号)3条,旧鉄道公安職員…

刑法二〇〇条と憲法一四条一項

最高裁判所大法廷昭和48年4月4日昭和45(あ)1310刑集 第27巻3号265頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑法二〇〇条は、憲法一四条一項に違反する。
参照法条憲法14条1項,刑法199条,刑法200条

一 芸術的思想的価値のある文書と猥褻性 二 文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係 三 憲法二一条二三条と公共の福祉 四 法律判断で無罪を言い渡した第一審判決を事実の取調をすることなく破棄し控訴裁判所がみずから有罪の判決をすることと刑…

最高裁判所大法廷昭和44年10月15日昭和39(あ)305刑集 第23巻10号1239頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはさしつかえない。 二 文書の個々の章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならない。 三 憲法二一条の表現の自由や同法二三条の学問の自由は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉の制限の下に立つものである。 四 第…
参照法条刑法175条,憲法21条,憲法23条,刑訴法400条

事実を真実と誤信したことにつき相当の理由がある場合と名誉毀損罪の成否

最高裁判所大法廷昭和44年6月25日昭和41(あ)2472刑集 第23巻7号975頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑法二三〇条ノ二第一項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である。
参照法条刑法230条ノ2第1項

一 牽連犯を構成する二罪の中間に別罪の確定裁判が介在する場合と刑法五四条の適用 二 偽造運転免許証の携帯運転と偽造公文書行使罪の成否

最高裁判所大法廷昭和44年6月18日昭和43(あ)1651刑集 第23巻7号950頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 牽連犯を構成する手段となる犯罪と結果となる犯罪との中間に別罪の確定裁判が介在する場合においても、なお刑法五四条の適用がある。 二 自動車を運転する際に偽造にかかる運転免許証を携帯しているに止まる場合には、偽造公文書行使罪を構成しない。
参照法条刑法45条,刑法54条1項,刑法158条,刑法155条,道路交通法95条

没収に代えて追徴すべき賄賂の価額の算定基準時

最高裁判所大法廷昭和43年9月25日昭和41(あ)1257刑集 第22巻9号871頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨授受された賄賂が没収不能となりその価額を追徴すべき場合には、授受後においてその物の価額の増減があつたとしても、その物の授受当時の価額を追徴額とすべきである。
参照法条刑法197条ノ5,刑法19条ノ2

一 地方議会の議事進行に関連する議員の刑事犯罪と議会または議長の告訴告発 二 地方議会の議事進行に関する議長の措置が会議規則に違反していたとしても刑法第九五条第一項にいう公務員の職務の執行にあたるとされた事例

最高裁判所大法廷昭和42年5月24日昭和38(あ)1184刑集 第21巻4号505頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 地方議会の議事進行に関連する議員の刑事犯罪については、議会または議長の告訴告発を訴訟条件と解すべきではない。 二 地方議会の議長が議員から提出された質疑打切り、討論省略、全上程議案一括採決の動議に基づき全上程議案の一括採決を議場に諮ろうとした措置は、かりに会議規則に違反するものである等法令上の適法要件を完全には満た…
参照法条憲法51条,刑訴法230条,刑訴法239条,刑訴法338条4号,刑法95条1項,佐賀県議会会議規則(昭和32年3月14日佐賀県議会規則1号による改正前のもの)31条,佐賀県議会会議規則(昭和32年3月14日佐賀県議会規則1号による改正前のも…

一 国鉄の事業ないし業務は刑法第二三三条第二三四条にいう業務に含まれるか 二 国鉄の業務と民営鉄道の業務との間の法律上の保護の差異と憲法第一四条

最高裁判所大法廷昭和41年11月30日昭和36(あ)823刑集 第20巻9号1076頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 国定の行なう事業ないし業務は、刑法第二三三条、第二三四条にいう業務に含まれる。 二 国鉄の業務が、これに対する妨害に対し、業務妨害罪または公務執行妨害罪の保護を受け、民営鉄道の業務との間に、法律上の保護に差異があることは、憲法第一四条に違反しない。
参照法条刑法233条,刑法234条,刑法95条1項,憲法14条

一 公職選挙法第二一一条第一項第一号の供与等を共謀した者の間における金銭又は物品の授受と同条項第五号の交付又は受交付の罪の成否 二 右共謀にかかる供与等が行なわれた場合における供与等の罪と交付又は受交付の罪との関係 三 前記共謀にかかる供与…

最高裁判所大法廷昭和41年7月13日昭和40(あ)1541刑集 第20巻6号623頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 公職選挙法第二二一条第一項第一号の供与等いわゆる買収を目的とする金銭又は物品を交付し、又はその交付を受ける行為は、右買収を共謀した者相互の間で行なわれた場合でも、同条項第五号の交付又は受交付の罪を構成するのに妨げない 二 前項の場合において、共謀にかかる供与等が行なわれたときは、交付又は受交付の罪は、後の供与等の罪…
参照法条公職選挙法221条1項1号,公職選挙法221条1項5号,刑法60条,刑法45条,刑訴法400条,刑訴法312条

刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告提起期間の満了前に猶予期間が経過した場合と刑の執行。

最高裁判所大法廷昭和40年9月8日昭和40(し)21刑集 第19巻6号636頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、刑の言渡を受けた者に告知された後特別抗告提起期間の満了前に、猶予期間が経過した場合においても、右決定の執行停止がなされない限り、その告知により執行猶予取消の効果が発生し、刑の執行をなし得るものと解すべきである。
参照法条刑法27条,刑訴法434条,刑訴法424条

犯罪後の法律による刑の変更と事物管轄。

最高裁判所大法廷昭和39年2月26日昭和37(あ)1164刑集 第18巻2号48頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨犯罪後の法律により刑の変更があつた場合における事物管轄は、刑法第六条の規定により当該犯罪事実に適用すべき罰条の法定刑によつて定まる。
参照法条刑法6条,裁判所法24条,裁判所法33条,道路運送法(昭和35年法律141号による改正前のもの)101条1項,道路運送法(昭和35年法律141号による改正前のもの)130条3号,道路運送法(昭和35年法律141号による改正後のもの)101条…

関税法第一一八条にいわゆる犯人の意義。

最高裁判所大法廷昭和38年5月22日昭和34(あ)126刑集 第17巻4号457頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨関税法第一一八条にいわゆる犯人には、行為者のみならず、いわゆる両罰規定により処罰される法人または人をも包含するものと解するのを相当とする。
参照法条関税法118条1項,関税法118条2項,関税法117条,刑法8条,刑法9条,刑法20条

一 加持祈祷の結果人を死亡させた行為と憲法第二〇条第一項 二 捜査の必要上、宗教的行事の外形を再現した検証調書と証拠能力の有無

最高裁判所大法廷昭和38年5月15日昭和36(あ)485刑集 第17巻4号302頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 精神異常者の平癒を祈願するために宗教行為として加持祈祷行為がなされた場合でも、それが原判決の認定したような他人の生命、身体等に危害を及ぼす違法な有形力の行使に当るものであり、それにより被害者を死に致したものである以上、憲法第二〇条第一項の信教の自由の保障の限界を逸脱したものというほかなく、これを刑法第二〇五条に該当…
参照法条憲法20条1項,刑法205条,刑訴法218条,刑訴法220条,刑訴法318条,刑訴法321条3項

一 外国とみなされていた地域から貨物の無免許輸入等の罪と右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無 二 第三者所有物の没収の違憲と旧関税法第八三条第三項による追徴の適否

最高裁判所大法廷昭和37年12月12日昭和29(あ)566刑集 第16巻12号1672頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 北緯二九度以南、同二七度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時、免許を受けないで、同地域から貨物を輸入しまたはその貨物を故買、牙保した罪について、その後右地域が外国とみなされなくなつた場合は、犯罪後の法令により刑が廃止されるものと解すべきである。 二 旧関税(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第…
参照法条旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)76条,旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)76条の二,旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)104条,旧関税法(明治32年法律…

控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張を上告理由とすることの適否。

最高裁判所大法廷昭和36年7月19日昭和35(あ)1721刑集 第15巻7号1194頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨控訴審において主張判断のない訴訟手続に関する主張は、適法な上告理由とならない。
参照法条刑訴法405条,刑法180条

一 上告審で提出命令が出せるか 二 上告審における証拠物の取調方法 三 上告審で取り調べた証拠物はどの程度に判断の資料となし得るか。 四 共謀共同正犯における共謀または謀議は罪となるべき事実か。 五 事実誤認を疑うに足りる顕著な事由がある場…

最高裁判所大法廷昭和34年8月10日昭和29(あ)1671刑集 第13巻9号1419頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 本件における「諏訪メモ」の如き証拠物については上告審で所有者にその提出を命ずることができる。 二 上告審で右の証拠物を取り調べるにあたつては、公判にこれを顕出するをもつて足りる。 三 上告審は右の方法で取り調べた証拠物を原判決の事実認定の当否を判断する資料に供することができる。 四 共謀共同正犯における共謀または謀…
参照法条刑訴法99条2項,刑訴法303条,刑訴法305条,刑訴法306条,刑訴法307条,刑訴法317条,刑訴法404条,刑訴法409条,刑訴法414条,刑訴法335条1項,刑訴法411条3号,刑法60条

禁錮刑と憲法第二七条第一項。

最高裁判所大法廷昭和33年9月10日昭和31(あ)38刑集 第12巻13号2897頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨法律により犯罪者に対し自由刑の一種として禁錮刑を定めることは憲法第二七条第一項に牴触するものではない。
参照法条憲法27条1項,刑法13条,監獄法26条

労働争議における労働者側の威力行使の手段(いわゆるピケツト、ライン)と威力業務妨害罪の成立および憲法第二八条

最高裁判所大法廷昭和33年5月28日昭和27(あ)4798刑集 第12巻8号1694頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨労働争議に際し、使用者側の遂行しようとする業務行為を阻止するためにとられた労働者側の威力行使の手段(いわゆるピケツト、ライン)が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には、威力業務妨害罪が成立し、したがつて、これを処罰することは、憲法第二八条に違反しない
参照法条刑法234条,刑法233条,憲法28条,労働組合法1条2項

一 いわゆる共謀共同正犯の成立要件 二 実行行為に関与しない共謀者の刑責と憲法第三一条 三 「共謀」または「謀議」は、共謀共同正犯における「罪となるべき事実」であるか 四 共謀の判示方法 五 憲法第三八条第二項の法意 六 憲法第三八条第三項…

最高裁判所大法廷昭和33年5月28日昭和29(あ)1056刑集 第12巻8号1718頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて犯罪を実行した事実が存しなければならない 二 いわゆる共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しな…
参照法条刑法60条,憲法31条,憲法38条2項,憲法38条3項,刑訴法335条,刑訴法335条1項,刑訴法317条,刑訴法318条,刑訴法319条

一 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第八三条第三項の意義と憲法第一四条 二 密輸出入行為の用に供した船舶の換価処分と犯人の占有

最高裁判所大法廷昭和33年3月5日昭和26(あ)3100刑集 第12巻3号384頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第八三条第三項は、共に起訴された共犯者の一人または数人がその物の所有者であることが明らかである場合には、必ずしも、右共犯者全員のそれぞれに対し、各独立して物の原価全額の追徴を命じなければならぬものと解すべきではなく、その物の所有者たる被告人のみに対して追徴を命ずる…
参照法条旧関税法(明治32年法律61号―昭和29年法律61号による改定前のもの)83条1項,旧関税法(明治32年法律61号―昭和29年法律61号による改定前のもの)83条2項,旧関税法(明治32年法律61号―昭和29年法律61号による改定前のもの)…

累犯となる前科を認定する証拠書類と刑訴法第三〇五条による取調の要否

最高裁判所大法廷昭和33年2月26日昭和32(あ)1029刑集 第12巻2号316頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨累犯となる前科を認定する証拠書類は、刑訴法第三〇五条による取調をなすことを要するものと解すべきである。
参照法条刑訴法305条,刑訴法335条1項,刑訴法317条,刑法56条,刑法57条

刑法第二六条第三号による刑の執行猶予の取消の要件

最高裁判所大法廷昭和33年2月10日昭和31(し)32刑集 第12巻2号135頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑法第二六条第三号により刑の執行猶予を取消すには、検察官において、上訴の方法により、違法に言渡されたの執行猶予の判決を是正する途がとざされた場合すなわち、執行猶予の判定確定によつて進行を始めた猶予期間中に、「猶予ノ言渡前他ノ罪ニ付禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコト」が、検察官に発覚したときであることを要する。
参照法条刑法26条,憲法39条,刑訴法349条,刑訴法433条

一 公式令廃止後の法令公布の方法 二 昭和二三年七月三一日なした昭和二三年政令第二〇一号違反教唆罪の成否

最高裁判所大法廷昭和32年12月28日昭和30(れ)3刑集 第11巻14号3461頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 法令の公布は、国家が官報に代わる他の適当な方法をもつて行うものであることが明らかな場合でないかぎり、公式令廃止後も通常官報をもつてされるものと解するのが相当である。 二 昭和二三年政令第二〇一号は、昭和二三年七月三一日には公布されていなかつたのであるから、同日になした右政令違反教唆罪の成立する余地はない。
参照法条公式令(明治40年勅令6号)12条,憲法7条1号,昭和23年7月22日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令(昭和23年政令201号)2条,昭和23年7月22日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く臨時措置に関す…

一 法律「廃止前になしたる行為に関する罰則の適用については、なお、従前の令による」との規定の趣旨 二 同種の犯行について、その行為の時期により刑罰規定を異にすることと憲法第一四条 三 入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)第…

最高裁判所大法廷昭和32年11月27日昭和26(れ)1452刑集 第11巻12号3113頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 地方税法(昭和二三年法律第一一〇号)第一五一条第三項の「入場税法の廃止前になした行為に関する罰則の適用については、なお、従前の例による」との規定は、従前の行為に関する限り、旧入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)の刑罰規定については何等変更なきことを規定したものと解すべきである。 二 同種の犯行につ…
参照法条旧地方税法(昭和23年法律110号)151条3項,旧入場税法(昭和22年法律142号による改正前のもの)16条,旧入場税法(昭和22年法律142号による改正前のもの)17条ノ3,刑法6条,憲法14条,憲法39条

外国とみなされていた地域に対する貨物無免許輸出入の罪と右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和32年10月9日昭和25(あ)2778刑集 第11巻10号2497頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨北緯二九度以南、同二七度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時、免許を受けないで日本内地から同地域へ、若しくは同地域から日本内地へ貨物を密輸出し若しくは密輸入した罪については、その後右地域が外国とみなされなくなつた場合は、犯罪後の法令により刑が廃止されたものと解すべきである。
参照法条旧関税法(明治32年法律61号−昭和24年法律65号により改正されたもの)76条,旧関税法(明治32年法律61号−昭和24年法律65号により改正されたもの)104条,旧関税法(昭和26年法律271号により改正されたもの)104条,関税法10…

外国とみなされていた地域からの貨物無免許輸入の罪と、右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和32年10月9日昭和27(あ)2456刑集 第11巻10号2509頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨北緯三〇度以南の南西諸島(口之島を含む)が外国とみなされていた当時免許を受けないで貨物を同地域から日本内地に密輸入した罪については、その後右地域が外国とみなされなくなつた場合は、犯罪後の法令により刑が廃止されたものと解すべきである。
参照法条旧関税法(明治32年法律61号−昭和24年法律65号により改正のもの)104条,旧関税法(昭和25年法律117号により改正されたもの)76条,関税法104条、関税定率法12条及び噸税法8条の規定に基き附属島しよを定める等の省令(昭和24年大…

刑法第二〇〇条にいわゆる配偶者の直系尊属の意義

最高裁判所大法廷昭和32年2月20日昭和28(あ)1126刑集 第11巻2号824頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑法第二〇〇条にいわゆる配偶者の直系尊属とは、現に生存する配偶者の直系尊属を指すものと解するを相当とする。
参照法条刑法200条,憲法14条

団体行動権の行使と認められない一事例

最高裁判所大法廷昭和31年10月24日昭和28(あ)56刑集 第10巻10号1500頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨某会社がその従業員一三名に対し解雇通知および同会社への立入禁止の通告をしたのに対し、同会社労働組合側では右解雇通知の当否を調査し、不当なものについては法定の手続によつて救済を求むべく事後の対策を協議中にもかかわらず、右解雇および立入禁止の通告を受けた二名およびこれを関知した同会社従業員でもなく同会社労働組合員でもない一…
参照法条憲法28条,労働組合法1条2項,労働関係調整法6条,労働関係調整法7条,刑法35条

外国とみなされていた地域に対する貨物無免許輸出入の罪と右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和31年5月23日昭和28(あ)1611刑集 第10巻5号1頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 北緯二九度以南北緯二七度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時免許を受けないで日本内地から同地域へ、若くは同地域から日本内地へ貨物を密輸出し若くは密輸入した罪については、その後右地域が外国とみなされなくなつても、刑の廃止があつたものとはいえない。 二 (裁判官真野毅、同小谷勝重、同藤田八郎、同河村又介、同谷村唯一…
参照法条関税法(昭和29年法律61号による改正前)76条,関税法(昭和29年法律61号による改正前)104条,関税法104条関税定率法12条及び噸税法8条の規定に基き所属島しよを定める等の省令(昭和24年大蔵省令36号),関税法104条関税定率法1…

外国とみなされていた地域に対する貨物無免許輸出入の罪と右地域のわが国への復帰による刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和30年7月20日昭和28(あ)371刑集 第9巻9号1922頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨口の島を含む北緯三〇度以南、北緯二九度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時、免許を受けないで日本内地から同地域へ、若しくは同地域から日本内地へ貨物を密輸出し、若しくは密輸入した罪については、その後右地域がわが国に復帰し、外国とみなされなくなつても、刑の廃止があつたものとはいえない。
参照法条関税法(昭和25年法律117号による改正前)76条,関税法(昭和25年法律117号による改正前)104条,関税法104条関税定率法12条及び噸税法第8条の規定に基き附属島しよを定める等の省令(昭和24年大蔵省令36号)1条,関税法104条関…

一 刑訴第三七九条にいう「訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである」の意義 二 刑法第一二七条にいう「前条」には刑法第一二六条第三項を含むか 三 刑法第一二六条第三項にいう「人」には車外の人を含むか 四 刑…

最高裁判所大法廷昭和30年6月22日昭和26(あ)1688刑集 第9巻8号1189頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴第三七条の場合は、訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすべき可能性があるというだけでは、控訴理由とすることはできないのであつて、その法令違反がなかつたならば現になされている判決と異る判決がなされたであろうという蓋然性がある場合でなければ、同条の法令違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであるということはできない。…
参照法条刑訴法379条,刑訴法400条,刑訴法319条2項,刑訴法319条1項,刑訴法376条,刑法127条,刑法126条3項,憲法13条,憲法36条,憲法31条,憲法38条3項,憲法28条,憲法38条2項,公共企業体労働関係法2条,公共企業体労働…

一 連合国最高司令官の覚書による連合国人に対する裁判権停止期間中に犯された連合国人の犯罪を裁判権回復後に審判することと憲法第三九条 二 占領軍軍事裁判所の裁判と憲法第三九条 三 無期懲役刑と未決勾留日数の通算 四 無期懲役刑の言渡と刑法第五…

最高裁判所大法廷昭和30年6月1日昭和29(あ)215刑集 第9巻7号1103頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 わが国が連合国最高司令官の覚書により連合国人に対し裁判権を行うことを得なかつた期間内に連合国人によつて犯された犯罪に対し、わが国が裁判権を回復した後においてこれを審判することは、事後立法禁止に関する憲法第三九条の規定に違反するものではない。 二 すでに占領軍軍事裁判所の裁判を経た事実について、重ねてわが裁判所で処罰…
参照法条憲法31条,憲法39条,刑法21条,刑法12条1項,刑法5条

虚無人名義の約束手形の作成と有価証券偽造罪の成立

最高裁判所大法廷昭和30年5月25日昭和28(あ)2587刑集 第9巻6号1080頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨行使の目的を以て外形上一般人をして真正に成立したものと誤信せしめるに足りる程度に約束手形を偽造すれば、たとえ、その振出名義人が実在しない架空の者であつても、有価証券偽造罪は成立する。
参照法条刑法162条1項

一 甲事件について起訴勾留中の被告人を乙事件の被疑者として取り調べることの合憲性 二 甲事件につき起訴勾留された被告人を乙事件の被疑者として約三九日間連続約五〇回にわたり取り調べたことと憲法第三八条第一項にいう「不利益な供述の強要」 三 憲…

最高裁判所大法廷昭和30年4月6日昭和26(れ)2518刑集 第9巻4号663頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 検察官が、まず甲事件について起訴勾留の手続をとつた後、右勾留中の被告人を乙事件の被疑者として取り調べたとしても、検察官においてはじめから乙事件の取調に利用する目的または意図をもつて、ことさらに甲事件を起訴し、かつ不当に勾留を請求したものと認められない場合には、右取調をもつて直ちに自白を強制し、不利益な供述を強要した…
参照法条憲法38条1項,憲法38条2項,憲法36条,憲法37条2項,刑訴応急措置法10条1項,刑訴応急措置法10条2項,刑訴応急措置法11条2項,刑法11条1項,監獄法71条,監獄法72条,刑訴法294条,刑訴法295条,旧刑訴法205条1項,裁判…

一 農業団体法第六七条の合憲性 二 犯罪の個数の認定の誤による罰金合算額の相違が判決に影響することが明らかでない一事例

最高裁判所大法廷昭和30年3月16日昭和27(あ)697刑集 第9巻3号461頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 農業団体法第六七条は憲法に違反しない。 二 犯罪の個数の認定を誤つたため罰金の合算額が正当な合算額を超えている場合であつても、宣告刑が正当な合算額の範囲内であつて、しかも甚だ低いものである場合には、右の法令違反は、判決に影響することが明らかであるとはいえない。
参照法条憲法13条,憲法14条,農業団体法67条,刑訴法380条,刑法55条

一 昭和二二年四月一四日附連合国最高司令官の「日本人の海外旅行者に対する旅行証明書に関する覚書」に違反した不法出国の罪と刑の廃止 二 外国とみなされていた地域に対する貨物無免許輸出入の罪と右地域のわが国えの復帰による刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和30年2月23日昭和27(あ)434刑集 第9巻2号344頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 日本人が、昭和二二年四月一四日附連合国最高司令官の「日本人の海外旅行者に対する旅行証明書に対する覚書」に違反して、同司令官の承認を受けないで不法に本邦から出国したとの、昭和二五年政令第三二五号違反の罪については、昭和二六年一二月一日以降の廃止があつたものである。 二 南西諸島大島郡が外国とみなされていた当時、免許を…
参照法条刑法6条,刑訴法337条2号,昭和25年政令325号占領目的阻害行為処罰令,昭和22年4月14日附連合国最高司令官の「日本人の海外旅行者に対する旅行証明書に関する覚書」,昭和26年6月2日附連合国最高司令官の「旅券発行の権限に関する覚書」,…

昭和二二年四月一四日附連合国最高指令官の「日本人の海外旅行者に対する旅行証明書に関する覚書」に違反した不法出国の罪と刑の廃止

最高裁判所大法廷昭和29年12月1日昭和27(あ)1570刑集 第8巻12号1911頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨日本人が昭和二二年四月一四日附連合国最高指令官の「日本人の海外旅行者に対する旅行証明書に関する覚書」に違反して、同指令官の承認を受けないで不法に本邦から出国したとの昭和二五年政令三二五号違反の罪については、昭和二六年一二月一日以降刑の廃止があつたものである。
参照法条刑法6条,刑訴法337条2号,昭和25年政令325号占領目的阻害行為処罰令,昭和22年4月14日附連合国最高指令官の「日本人の海外旅行者に対する旅行証明書に関する覚書」,昭和26年6月2日附連合国最高指令官の「旅券発行の権限に関する覚書」,…

公益事業令失効後従前の電気事業法第三三条違反の所為は免訴すべきか

最高裁判所大法廷昭和29年11月10日昭和27(あ)1676刑集 第8巻11号1791頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨電気事業法第三三条違反の所為は、公益事業令が昭和二七年一〇号二四日かぎりで失効した後においては、刑の廃止があつたものとして免訴すべきである。
参照法条刑法6条,刑訴法411条5号,刑訴法337号2号,電気事業法(昭和6年法律61号)33条,公益事業令(昭和25年政令343号)1条,公益事業令(昭和25年政令343号)83条,公益事業令附則1項,公益事業令附則2項,公益事業令附則3項,ポツ…

一 上告申立をした原審弁護人がその資格で提出した上告趣意書の効力 二 上告趣意書提出期間後に上告審の弁護届を提出した原審弁護人が右期間内に提出した上告趣意書の効力 三 刑法第九五条と鉄道営業法第三八条との関係

最高裁判所大法廷昭和29年7月7日昭和24(れ)1028刑集 第8巻7号1052頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 自ら上告申立をした原審弁護人が上告趣意書提出期間内にその資格で上告趣意書を提出した場合でも、右上告趣意は審理の対象とさるべきものである。 二 上告趣意書提出期間内に、原審弁護人が、その資格で上告趣意書を提出した場合でも、裁判の時まで上告審の弁護届が追完されたときは、右上告趣意は拒否さるべきではなく、審理するを相当す…
参照法条旧刑訴法379条,旧刑訴法423条,旧刑訴法41条1項,旧刑訴法42条,刑法54条,刑法95条,鉄道営業法38条

一 予備罪と中止未遂の関係 二 第一審判決の不定期刑を第二審が定期刑にする場合と旧刑訴第四〇三条

最高裁判所大法廷昭和29年1月20日昭和24(れ)1881刑集 第8巻1号41頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 予備罪には中止未遂の観念を容れる余地がない。 二 第一審が旧少年法第八条に従い、懲役二年六月以上四年以下の不定期刑を言い渡した被告人が控訴の申立をした事件において、第二審がその判決時において既に成人となつていた被告人に対し、右不定期刑の中間位である三年三月より重い懲役四年の定期刑を言い渡したときは旧刑訴第四〇三条に…
参照法条刑法43条,刑法237条,刑法10条,旧刑訴法403条,旧少年法8条

強姦罪について告訴がない場合に同罪の手段たる共同暴行のみを処罰することができるか

最高裁判所大法廷昭和28年12月16日昭和27(さ)1刑集 第7巻12号2550頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨数人が婦女に対し共同して暴行を加え姦淫した事実が認められる場合に、強姦罪についての告訴が適法に取消されても同罪の手段たる共同暴行を暴力行為等処罰に関する法律第一条違反として処罰することは違法ではない。
参照法条暴力行為等処罰に関する法律1条,刑法177条,刑法180条,旧刑訴法258条,旧刑訴法267条,旧刑訴法364条6号,旧刑訴法516条

一 密入国の補強証拠の一事例 二 占領軍軍事裁判所の裁判と憲法第三九条

最高裁判所大法廷昭和28年7月22日昭和27(あ)6010刑集 第7巻7号1621頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 原判決が証拠とした所論「出入国管理庁審判調査第三課作成の検察官に対する解答書」(正確には、同課から千葉地検渋佐検事に対する回答電信の飜訳書)の内容が所論のとおり(被告人の外国人登録が見当らないとするもの)であることは相違ないが、これにより被告人が従来日本に居なかつたことが推認できるから被告人の第一審公判廷における詳…
参照法条外国人登録令3条,刑訴法319条2項,刑訴法317条,憲法31条,憲法38条3項,憲法39条,刑法5条

刑法第一七条と憲法第一四条第一項

最高裁判所大法廷昭和28年6月24日昭和25(あ)3269刑集 第7巻6号1366頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑法第一七条は憲法第一四条第一項に違反しない。
参照法条刑法177条,憲法14条1項

一 人を逮捕し、引き続き監禁した場合の擬律 二 監禁罪が成立するために要する脅迫の程度 三 監禁の動機目的と監禁罪の成否 四 同時に同一場所に数人を監禁した行為と罪数 五 憲法ならびに労働組合法施行前の労働組合の団体交渉と刑法第三五条 六 …

最高裁判所大法廷昭和28年6月17日昭和24(れ)1622刑集 第7巻6号1289頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 人を不法に逮捕し引き続き監禁した場合には、刑法第二二〇条第一項の一罪が成立する。 二 脅迫による監禁罪が成立するためには、その脅迫は被害者をして一定の場所から立ち去ることを得しめない程度のものでなければならない。 三 監禁罪は、暴行によると脅迫によるとを問わず、他人を一定の場所の外に出ることができなくした場合に成立…
参照法条刑法220条,刑法54条1項,刑法35条,労働組合法(昭和20年法律51号)1条,憲法28条,憲法32条,旧刑訴法360条1項

一 刑訴応急措置法第一八条による特別抗告にも刑訴第四〇五条第二号、第三号、第四一一条第一号の準用があるか 二 検察官から刑の執行猶予言渡の取消請求があつた場合の決定手続の方式

最高裁判所大法廷昭和28年6月10日昭和26(し)47刑集 第7巻6号1419頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 刑訴応急措置法第一八条による特別抗告には、刑訴第四〇五条第二号第三号および第四一一条第一号は準用されない。 二 本件に適用される旧刑訴三七四条二項の規定によれば、検察官から執行猶予の言渡の取消請求があつた場合には、裁判所は、被告人又はその代理人の意見を聴き決定を為すべきものであつて、決定を為すには国選弁護人を選任し…
参照法条刑訴応急措置法18条,刑訴法405条,刑訴法411条1号,刑法26条,旧刑訴法374条2項

一 公訴犯罪事実につき裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項を起訴状に記載することの違法性 二 詐欺の起訴状に詐欺の前科を記載することと裁判官の予断

最高裁判所大法廷昭和27年3月5日昭和25(あ)1089刑集 第6巻3号351頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 公訴犯罪事実について、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項は、起訴状に記載することは許されないのであつて、かかる事項を起訴状に記載したときは、これによつてすでに生じた違法性は、その性質上もはや治癒することができないものと解するを相当とする。 二 本件起訴状によれば、詐欺罪の公訴事実について、その冒頭に、「被告人…
参照法条刑訴法256条,刑法246条

一 賭博常習者と憲法第一四条にいわゆる社会的身分 二 四年前の賭博の前科を常習性認定の一資料とすることの可否

最高裁判所大法廷昭和26年8月1日昭和25(れ)1219刑集 第5巻9号1709頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法第一八六条の常習賭博罪が同第一八五条の単純賭博罪に比し、賭博常習者という身分によつて刑を加重していることは所論のとおりである。そして右加重の理由は賭博を反覆する習癖にあるのであつて、即ち常習者賭博は単純賭博に比しその反社会性が顕著で、犯情が重いとされるからである。そして、賭博常習者というのは、賭博を反覆する習癖…
参照法条憲法14条,刑法186条,刑法185条

自白の任意性についての判断と経験則違反

最高裁判所大法廷昭和26年8月1日昭和25(れ)622刑集 第5巻9号1684頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨本件記録中には、被告人の警察署における供述が強制若しくは拷問による自白であることを推認させるような幾多の証人の供述が存在するのである。殊に、直接、取調の衝に当つた警察官自身が被告人の取調は被告人に手錠をはめたままで行われたこと、午前二時頃まで取調べたこと、警察官が四人がかりで、被告人を取調べたこと、警察官の一人が被告人…
参照法条刑法186条,旧刑訴法336条,旧刑訴法326条,旧刑訴法409条,旧刑訴法337条,旧刑訴法411条,憲法38条1項,憲法38条2項,刑訴応急措置法10条1項,刑訴応急措置法10条2項

一 刑法第九八条、同法第一〇二条〈設立手続等の特則〉の合憲性 二 違憲審査権の限界(違憲の主張のない法令の違憲審査はできるか)

最高裁判所大法廷昭和26年7月11日昭和25(あ)1545刑集 第5巻8号1419頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 しかし憲法は理由があれば被疑者が拘禁され抑留されうることを認め且犯罪による処罰の場合には犯人に肉体的拘束が加えられることを是認している(憲法第三四条、三一条)。従つて所論未決若しくは既決の囚人が拘禁の苦痛を免れようとする衝動から逃走するのは、憲法が保障する自由を回復する行為ではない。なぜならば未決、既決の囚人がその…
参照法条刑法98条,刑法102条,憲法11条,憲法13条,憲法81条

一 納税者の有志で組織したA同盟員と共同して税務署長等に対し納税者に有利な処分を為すべきことを交渉する行為と憲法第二八条 二 被告人に訴訟費用の負担を命じるその額を明示しない判決と憲法第三一条第三二条

最高裁判所大法廷昭和26年5月16日昭和24(れ)139刑集 第5巻6号1157頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 税務署長の税務行政処分に不服な納税者等の有志をもつて組織されたA同盟の同盟員等と共同して右税務署の署長、直税課長、庶務課長等に対し、納税者に有利な処分を求むるため交渉することは、憲法第二八条により保障された団結権ないし団体交渉権にもとずくものとはいえない。 二 判決において訴訟費用は被告人等の連帯負担とする旨言い渡…
参照法条憲法28条,憲法31条,憲法32条,刑法95条,旧刑訴法237条,旧刑訴法245条

一 刑法の一部を改正する法律(昭和二二年法律第一二四号)附則第四項中刑法第五五条に関する規定の性質と右規定の趣旨 二 当該判決裁判所の公判廷における自白は憲法第三八条第三項にいわゆる自白にあたるか

最高裁判所大法廷昭和26年1月31日昭和25(れ)377刑集 第5巻1号143頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 原判決判示第一の事実は昭和二二年七月二八日頃第二乃至第六の事実は同二二年一月二六日頃以降の所為である。そしてその間、同二二年一一月一五日施行の刑法の一部を改正する法律(同年法律第一二四号)により、連続犯を定めた刑法第五五条は廃止せられた。そして、かかる法律の改正によつて刑法第六条の適用に関して裁判上起るべき法律解釈…
参照法条刑法の一部を改正する法律(昭和22年法律124号)附則4項,刑法55条(右法律による改正前のもの),憲法38条3項

一 被告人のみの申立てた上告事件において上告裁判所が罰金刑を言渡した第二審判決を破棄し懲役刑のみに該る罪に問擬し自判する場合の言渡刑 二 金融機関でない者が金融機関従業員を欺き封鎖支払を受けた場合の罪責

最高裁判所大法廷昭和26年1月17日昭和24(れ)875刑集 第5巻1号1頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 金融緊急措置令第一条第一項(第三条第二項)第一一条を適用し罰金刑を言渡した第二審判決に対し、被告人だけから上告申立のあつた事件において上告裁判所が右判決には事実の確定に影響を及ぼさない法令の違反があるとして、右判決を破棄し刑法第二四六条第一項を適用して更に判決をするときは、上告裁判所は旧刑訴法第四五二条により被告人…
参照法条金融緊急措置令1条1項,金融緊急措置令11条,金融緊急措置令3条,金融緊急措置令1条,旧刑訴法452条,刑法246条

一 酩酊すると暴行する習癖のある注意義務 二 殺人の公訴事実中には過失致死の事実も含まれるか

最高裁判所大法廷昭和26年1月17日昭和25(れ)548刑集 第5巻1号20頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 本件被告人の如く、多量に飲酒するときは病的酩酊に陥り、因つて心神喪失状態において他人に犯罪の害悪を及ぼす危険ある素質を有する者は、居常右心神喪失の原因となる飲酒を抑止又は制限する等前示危険の発生を未然に防止するよう注意する義務あるものといわねばならない。しからば、たとえ原判決認定のように、本件殺人の所為は被告人の心…
参照法条刑法199条,刑法210条,旧刑訴法291条,旧刑訴法410条18号

一 労働関係調整法第七条と正当争議行為 二 生産管理開始のときから占有していた物を後に領得した行為の擬律 三 労働組合法第一条第二項と刑法第三五―争議行為の正当性 四 生産管理において労働者の団体が工場、設備、資材等を接収してその占有下にお…

最高裁判所大法廷昭和25年11月15日昭和23(れ)1049刑集 第4巻11号2257頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 労働関係調整法第七条は、争議行為の定義を掲げただけであつて、争議行為の正当性は別個の観点から判断すべきものである。 二 被告人等が本件生産管理開始のときから判示鉄板を占有していたとしても、それは違法の占有であるから、後にこれを領得しても横領罪とはならず窃盗罪となる。 三 労働組合法第一条第二項は、労働組合の団体交渉…
参照法条労働関係調整法7条,刑法235条,刑法252条,刑法35条,労働組合法1条2項,労働組合法1条,憲法12条,憲法28条,憲法29条

尊属殺人の規定(刑法第二〇〇条)の合憲性(第一四条)

最高裁判所大法廷昭和25年10月25日昭和24(れ)2105刑集 第4巻10号2126頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨刑法第二〇〇条は、憲法第一四条に違反するものでないことは、当裁判所が昭和二五年あ第二九二号事件について、同年一〇月一一日言渡した大法廷判決の趣旨に徴して、明らかである。
参照法条憲法14条,刑法200条

一 家宅捜索について居住者の不任意の承諾と住居侵入罪 二 予審制度廃止以前に作成された予審訊問調書の証拠能力 三 目的の正否と公共の福祉 四 憲法第二八条にいわゆる団結権等の意義 五 権限を有しない者の隠匿物資摘発行為と違法性阻却の理由

最高裁判所大法廷昭和25年10月11日昭和24(れ)1601刑集 第4巻10号2012頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 A市長夫人Bが被告人C等に対して家宅捜索の承諾を与えたのは、赤旗を擁した多数の威力を背景とする同人等の言動に威圧されたためであつて、その真意から出たものでないことをCも知つていたことは、原判決挙示の各証拠就中Dに対する予審判事の証人訊問調書中同人の供述記載によつて十分に推認することができる。それ故に原判決には所論の…
参照法条刑法130条,刑法第1編第7章(犯罪ノ不成立及ビ刑ノ減免),刑法35条,旧刑訴法300条,刑訴応急措置法9条,憲法12条,憲法13条,憲法28条

一 刑法第二〇五条第二項の尊属傷害致死の規定は憲法第一四条に違反するか 二 憲法第一四条にいわゆる「法の下における平等」の意義と刑法における尊属殺人等の規定

最高裁判所大法廷昭和25年10月11日昭和25(あ)292刑集 第4巻10号2037頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 刑法第二〇五条第二項の規定は、新憲法実施後の今日においても、厳としてその効力を存続するものというべく、従つて本件において原審が被告人の尊属致死の所為を認定しながら、これに同法条の適用を拒定し、一般傷害致死に関する同法第二〇五条第一項を擬律処断したことは、憲法第一四条第一項の解釈を誤り、当然に適用すべき刑事法条を適用…
参照法条憲法14条,刑法205条2項,刑法200条

一 憲法第三八條第三項にいわゆる本人の自白と刑訴法第三一九條第二項の意義 二 強盗の豫備をなしたものがその實行に着手した場合と強盗豫備罪の成否 三 死刑及無期懲役刑の合憲性−死刑と無期懲役刑との本質的相異 四 被告人が殺意を以て兇器を携え乘…

最高裁判所大法廷昭和24年12月21日昭和23(れ)2063刑集 第3巻12号2048頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 憲法第三八條第項三に所謂本人の自白には判決裁判所の公判廷における自白を含まないと解すべきことは、當裁判所の判例において展々判示したところであり、今この判例を變更する必要を認めない。新刑訴法が第三一九條第二項において公判廷における自白であつてもそれが被告人に不利益な唯一の證據である場合にはこれによつて有罪とされない旨…
参照法条憲法38条3項,憲法36条,刑訴法319条2項,刑法237条,刑法236条,刑法9条,刑法11条,刑法12条,刑法240条,刑法243条,刑法54条,銃砲等所持禁止令1条

一 憲法第三八條第三項刑訴應急措置法第一〇條第三項の自白に補強證據を要するとする法意 二 犯罪事實の一部の證據が被告人の自白だけである場合と補強證據 三 賍物罪の成立に必要な賍物たることの認識の程度 四 罰金を完納できない者に對する勞役場留…

最高裁判所大法廷昭和24年10月5日昭和23(れ)1426刑集 第3巻10号1646頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 憲法第三八條第三項及び刑訴應急措置法第一〇條第三項において「自己に不利益な唯一の證據が本人の自白である場合には有罪とされ」ないと規定した法意は、現實には犯罪が行われていないのに、被告人の架空は自白によつて犯罪が行われた如く虚構されて有罪とされる危險を防止するために、被告人を有罪とするには、自白のほかに自白の眞實に合…
参照法条憲法38条3項,憲法11条,刑訴応急措置法10条3項,刑法256条,刑法38条2項,刑法18条1項4項,刑法18条,旧刑訴法565条

一 被害者の多數ある強盜の單純一罪を判示するに當り被害者の一人を明示しなかつたことの當否 二 共同正犯の判示要領 三 公判請求書が裁判所に受理せられた日附の記載が明らかでない場合における公訴提起の日の認定 四 勾留状の方式の違法と上告理由

最高裁判所大法廷昭和23年11月10日昭和23(れ)582刑集 第2巻12号1512頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 原判決は本件強盜を單純一罪として判示したのであるから被害者の一人であるAについて原判示のように説示して強盜罪の構成要件に當る具體的事實を明らかにした以上他の被害者の表示を明らかにしなくとも原判決には理由不備の違法はない。 二 被告人の分担した具体的な犯罪行為の判示がなくても、判示事実によつて、被告人が他の共犯者と共…
参照法条刑法236條,刑法60条,刑訴法360條1項,刑訴法257条1項,刑訴法457條,刑訴法411條

一 犯意繼續の點が犯行の性質態樣等から自ら推知せられる場合と證據理由説示の要否 二 參考として裁判所に提出された書類につき公判調書に記載の要否

最高裁判所大法廷昭和23年11月5日昭和23(れ)396刑集 第2巻12号1477頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 數個の行爲が繼續の意思に出でたものであることが、證據にょつて認められた犯罪行爲の性質、態樣等から自ら推知される場合には、犯意繼續の點について、特に之を證據にょつて認めた理由を説明する必要がないものと解すべきである。 二 所論被害辨償に關する受領書は、證據書類として裁判所に提出せらるる場合と、證據方法としてでなく參考…
参照法条刑法55条,刑訴法360条1項,刑訴法60条9号,刑訴法60条10号

一 憲法第三三條違反と上告理由 二 留置の際その理由及び辯護人を選任することを得る旨を告げられなかつた場合と上告理由 三 裁判官の令状なき押收搜索と上告理由 四 採證の用に供しない自白強制の主張と上告理由 五 採證の用に供しない被告人の訊問…

最高裁判所大法廷昭和23年11月5日昭和23(れ)61刑集 第2巻12号1473頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 假りに被告人が逮捕状なくして、警察に出頭せしめられたとしても、それは原判決が事實を認定するために採用した證據と關係なく、從つて原判決に影響を及ぼさないこと明白であるから、上告の理由となすことのできないものである。 二 假りに被告人が警察に留置せられるに當り、留置の理由及び辯護人を選任することが出來る旨を告げられなか…
参照法条憲法33条,憲法34条,憲法35条1項,憲法38条2項,憲法38条,刑訴法411条,刑訴法56条3項,刑訴法337条,刑訴法344条,刑訴法408条,刑訴応急措置法6条1項,刑訴応急措置法7条2項,刑訴応急措置法10条2項,刑訴応急措置法1…

一 公判の公開と公判調書の記載 二 公開禁止の決定の効力 三 裁判官が「合議の上」裁判の公開を禁止した旨の公判調書の記載と憲法第八二條 四 強盗行爲に對し必死に反抗中の被害者から腕時計を奪取した行爲と強盗罪の成立

最高裁判所大法廷昭和23年6月23日昭和22(れ)219刑集 第2巻7号680頁
位置づけ最高裁大法廷 / 刑集登載
裁判要旨一 判決宣告期日の公判調書に、公開を禁じた旨の記載がない限り、判決の宣告は、公開法廷で行われたものと認めることができる。 二 審理が風俗を害する虞があるとして、裁判所が公判の公開を禁じた場合には、その公開禁止の効力は、結審後の判決宣告期日の公判には及ばないものと解すべきである。 三 裁判が公開の法廷において公正な裁判所…
参照法条刑訴法60条2項4号,刑訴法64条,刑訴法410条7号,憲法82条,刑訴法60条2項4号,刑訴法64条,刑法177条,刑法236条

最高裁大法廷 / 民集登載1件

一 出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めと憲法二一条二項前段にいう検閲 二 名誉侵害と侵害行為の差止請求権 三 公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関する出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めの許否 四…

最高裁判所大法廷昭和61年6月11日昭和56(オ)609民集 第40巻4号872頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨一 雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法二一条二項前段にいう検閲に当たらない。 二 名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる。 三 人格権としての名…
参照法条憲法13条,憲法21条,民訴法757条2項,民訴法760条,民法1条ノ2,民法198条,民法199条,民法709条,民法710条,刑法230条ノ2

最高裁大法廷6件

刑法二〇〇条と憲法一四条一項

最高裁判所大法廷昭和48年4月4日昭和44(あ)916集刑 第187号21頁
位置づけ最高裁大法廷
裁判要旨刑法二〇〇条は、憲法一四条一項に違反する。
参照法条憲法14条1項,刑法199条,刑法200条,刑法203条

刑法二〇〇条と憲法一四条一項

最高裁判所大法廷昭和48年4月4日昭和45(あ)2580集刑 第187号155頁
位置づけ最高裁大法廷
裁判要旨刑法二〇〇条は、憲法一四条一項に違反する。
参照法条憲法14条1項,刑法199条,刑法200条

外国とみなされていた地域に対する関税法違反の罪と右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和31年7月18日昭和29(あ)1279集刑 第114号309頁
位置づけ最高裁大法廷
裁判要旨一 本件において、貨物の密輸出若しくは密輸入をなしたとされている徳之島は、北緯二九度以南、北緯二七度以北の南西諸島であり、また関税逋脱にかかる貨物の密輸入先は、同じく北緯二七度以北の南西諸島であると認められ、いずれも本件犯行当時においては、関税法の適用については外国とみなされていたのであるが、昭和二八年一二月二五日以降…
参照法条関税法(昭和29年法律61号による改正前)76条,関税法(昭和29年法律61号による改正前)75条,関税法(昭和29年法律61号による改正前)104条,関税法104条関税定率法12条及び噸税法8条の規定に基き所属島しよを定める等の省令(昭和…

外国とみなされていた地域に対する貨物無免許輸出入の罪と右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無

最高裁判所大法廷昭和31年7月4日昭和29(あ)1917集刑 第114号67頁
位置づけ最高裁大法廷
裁判要旨一 北緯二九度以南、北緯二七度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時、免許を受けないで日本内地から同地域へ、若くは同地域から日本内地へ貨物を密輸出し若くは密輸入した罪については、その後右地域がわが国に復帰し外国とみなされなくなつても刑の廃止があつたものと、いえないことは既に当裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭…
参照法条関税法(昭和29年法律61号による改正前)76条,関税法(昭和29年法律61号による改正前)104条,関税法104条関税定率法12条及び噸税法8条の規定に基き所属島しよを定める等の省令(昭和24年大蔵省令36号),関税法104条関税定率法1…

一 未決勾留日数を本刑に算入し得ない一事例 二 刑法第二一条にいわゆる未決勾留の範囲

最高裁判所大法廷昭和30年3月16日昭和24(れ)2513集刑 第103号445頁
位置づけ最高裁大法廷
裁判要旨一 勾留状記載の被疑事実が公判請求書記載の公判事実中に包含されていないとの理由で勾留を取り消した場合にはその未決勾留日数を本刑に算入することはできない。 二 刑法第二一条にいわゆる未決勾留は当該事件に関する判決確定前の勾留であればその勾留が適法であると不法であるとを問わない。
参照法条刑法21条,旧刑訴法255条,旧刑訴法291条,刑訴応急措置法8条5号,刑訴法256条,刑訴法204条

殺害された被害者の所持する財布を奪取した者の罪責

最高裁判所大法廷昭和26年4月18日昭和25(れ)1341集刑 第44号185頁
位置づけ最高裁大法廷
裁判要旨なお、被害者が殺害されたからとてその死亡によつて直ちに所論財布を何人も所持しなくなるというわけのものでない。そうして盗罪は他人の所持を奪うことによつて成立するのであるから原判決が判示第二の所為を、所論のように占有離脱物の横領とせずに、窃盗罪としたのは正当である。
参照法条刑法235条,刑法254条

最高裁 / 刑集登載169件

全体が包括一罪を構成する業務上横領の事案について月ごとの横領金額を明示した訴因に対し一部の月の横領金額につき訴因を上回る金額を認定するに当たり訴因変更手続を経なかったことに違法はないとされた事例

最高裁判所第三小法廷令和7年10月20日令和6(あ)1506刑集 第79巻7号321頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨全体が包括一罪を構成する長期間継続的に行われた業務上横領の事案について、月ごとの横領金額を明示した訴因に対し、第1審裁判所が、訴因を下回る合計横領金額を認定しつつ、横領の成立時期をより遅く認定した部分があることに伴い、一部の月の横領金額につき訴因に明示された金額を上回る金額を認定したという事情の下では、第1審裁判所が訴…
参照法条刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)253条、刑訴法312条1項、刑訴法312条2項

依頼を受けて現金自動預払機付近で待機し電子計算機使用詐欺の犯行により増加した預貯金を引き出すなどした者に電子計算機使用詐欺の共謀が認められた事例

最高裁判所第三小法廷令和7年7月11日令和6(あ)264刑集 第79巻5号199頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨還付金等を受け取ることができる旨誤信させられていた者に電話で指示して、振込送金の操作であると気付かせないまま、現金自動預払機で振込送金する操作を行わせ、被告人らの管理する預貯金口座の残高を増加させる電子計算機使用詐欺において、被告人が氏名不詳者らから依頼を受けて同口座のキャッシュカードを所持して現金自動預払機付近で待機…
参照法条刑法60条、刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)246条の2

18歳未満の者を現に監護する者の身分のない者が同身分のある者と共謀して当該18歳未満の者に対し性交等をした場合における監護者性交等罪(令和5年法律第66号による改正前の刑法179条2項)の共同正犯の成否

最高裁判所第一小法廷令和7年1月27日令和6(あ)753刑集 第79巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨18歳未満の者を現に監護する者(以下「監護者」という。)の身分のない者が、監護者と共謀して、監護者であることによる影響力があることに乗じて当該18歳未満の者に対し性交等をした場合、監護者の身分のない者には刑法65条1項の適用により監護者性交等罪(令和5年法律第66号による改正前の刑法179条2項)の共同正犯が成立する。
参照法条刑法65条1項、刑法(令和5年法律第66号による改正前のもの)179条2項

不正に入手した暗号資産NEMの秘密鍵で署名した上でNEMの移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為が刑法246条の2にいう「虚偽の情報」を与えたものとされた事例

最高裁判所第三小法廷令和6年7月16日令和4(あ)1460刑集 第78巻3号113頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨暗号資産NEMのネットワークに参加している者は、自らの管理するNEMアドレスに紐づけられている秘密鍵でNEMの取引に必要な情報(トランザクション情報)に署名しなければ、NEMの取引を行うことができないのであるから、秘密鍵で署名した上でトランザクション情報をNEMのネットワークに送信することは、正規に秘密鍵を保有する者に…
参照法条組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(令和4年法律第97号による改正前のもの)11条、刑法246条の2

1 刑法190条にいう「遺棄」の意義 2 死亡後間もないえい児の死体を隠匿した行為が刑法190条にいう「遺棄」に当たらないとされた事例

最高裁判所第二小法廷令和5年3月24日令和4(あ)196刑集 第77巻3号41頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑法190条にいう「遺棄」とは、習俗上の埋葬等とは認められない態様で死体等を放棄し又は隠匿する行為をいう。 2 被告人の居室で、出産し、死亡後間もないえい児の死体をタオルに包んで段ボール箱に入れ、同段ボール箱を棚の上に置くなどして、他者が死体を発見することが困難な状況を作出したという被告人の隠匿行為は、それが行われ…
参照法条(1、2につき)刑法190条

他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合における非占有者に対する公訴時効の期間

最高裁判所第一小法廷令和4年6月9日令和3(あ)821刑集 第76巻5号613頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合、非占有者に対する公訴時効の期間は、刑法252条1項の横領罪の法定刑である5年以下の懲役について定められた5年(刑訴法250条2項5号)である。 (補足意見がある。)
参照法条刑法65条、刑法252条1項、刑法253条、刑訴法250条、刑訴法337条4号

外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に、刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷令和4年5月20日令和2(あ)1135刑集 第76巻4号452頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、被告人の地位及び立場、被告人が同供与に関する相談を受けるに至った経緯及びこれに対する被告人の言動並びにその相談後に同供与が実行されたという経過等を総合考慮して、被告人が同供与を了承し、これを実行する意思決定に関与したとして共謀の成立を認めた第1審判…
参照法条刑法60条、不正競争防止法18条1項、不正競争防止法21条2項7号、刑訴法382条、刑訴法411条1号

農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときの横領罪の成否

最高裁判所第二小法廷令和4年4月18日令和2(あ)131刑集 第76巻4号191頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨農地の所有者たる譲渡人と譲受人との間で農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき、第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときは、当該第三者に刑法252条1項の横領罪が成立する。
参照法条刑法252条1項、農地法3条1項本文、農地法5条1項本文

いわゆるキャッシュカードすり替え型の窃盗罪につき実行の着手があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷令和4年2月14日令和2(あ)1087刑集 第76巻2号101頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被害者に電話をかけキャッシュカードを封筒に入れて保管することが必要でありこれから訪れる者が作業を行う旨信じさせ,被害者宅を訪れる被告人が封筒に割り印をするための印鑑を被害者に取りに行かせた隙にキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替えてキャッシュカードを窃取するという犯行計画に基づいて,すり替えの隙を生じさせる前提…
参照法条刑法43条,刑法243条,刑法235条

1 刑法168条の2第1項にいう「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否かの判断方法 2 ウェブサイトの閲覧者の同意を得ることなくその電子計算機を使用して仮想通貨のマイ…

最高裁判所第一小法廷令和4年1月20日令和2(あ)457刑集 第76巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑法168条の2第1項の反意図性(「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき」という要件)は,当該プログラムについて一般の使用者が認識すべき動作と実際の動作が異なる場合に肯定されるものと解するのが相当であり,一般の使用者が認識すべき動作の認定に当たっては,当該プログラムの動作の内容に加え…
参照法条(1,2につき)刑法168条の2第1項,刑法168条の3

前訴で住居侵入,窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において,後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときの前訴の確定判決による一事不再理効の範囲

最高裁判所第一小法廷令和3年6月28日令和2(あ)919刑集 第75巻7号909頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨前訴で住居侵入,窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において,後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する住居侵入,窃盗の各行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときは,前訴の訴因が常習性の発露として行われたか否かについて検討するまでもなく,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。
参照法条刑訴法337条1号,刑法235条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条

人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合において,当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪に該当するときに,刑法246条1項を適用することの可否

最高裁判所第三小法廷令和3年6月23日令和2(あ)1528刑集 第75巻7号641頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合,当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪に該当するとしても,裁判所は当該事実について刑法246条1項を適用することができる。
参照法条刑法246条1項,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項

1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否 2 警…

最高裁判所第二小法廷令和3年2月1日平成30(あ)1381刑集 第75巻2号123頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し,同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に,国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことは許される。 2 警察官が,(1)リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜…
参照法条(1~3につき)刑訴法99条2項,刑訴法218条2項 (1,2につき)サイバー犯罪に関する条約32条 (4につき)刑法60条,刑法174条,刑法175条1項前段

捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立しないとされた事例

最高裁判所第一小法廷令和2年12月7日令和1(あ)1843刑集 第74巻9号757頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が,自宅で,被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で,自宅の外から警察署に電話をかけ,自宅に遺体があり,そのそばにあるメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに,自宅の住所を告げ,その後,警察署において,司法警察員に対し,嘱託を受…
参照法条刑法42条1項

数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取り出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり,軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときの罰金刑の多…

最高裁判所第一小法廷令和2年10月1日平成30(あ)845刑集 第74巻7号721頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取り出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり,軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときは,罰金刑の多額は軽い罪のそれによるべきである。
参照法条刑法54条1項

1 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合と刑法207条 2 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行…

最高裁判所第二小法廷令和2年9月30日令和1(あ)1751刑集 第74巻6号669頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合,その傷害を生じさせた者を知ることができないときは,刑法207条の適用により後行者は当該傷害についての責任を免れない。 2 他の者が先行して被害者に暴行を加え,…
参照法条刑法207条

生命維持のためにインスリンの投与が必要な1型糖尿病にり患した幼年の被害者の治療をその両親から依頼された者が,両親に指示してインスリンの投与をさせず,被害者が死亡した場合について,母親を道具として利用するとともに不保護の故意のある父親と共謀し…

最高裁判所第二小法廷令和2年8月24日平成30(あ)728刑集 第74巻5号517頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨生命維持のためにインスリンの投与が必要な1型糖尿病にり患している幼年の被害者の治療をその両親から依頼された被告人が,インスリンを投与しなければ被害者が死亡する現実的な危険性があることを認識しながら,自身を信頼して指示に従っている母親に対し,インスリンは毒であるなどとして被害者にインスリンを投与しないよう執ようかつ強度の…
参照法条刑法60条,刑法199条

1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに…

最高裁判所第一小法廷令和2年7月16日平成29(あ)829刑集 第74巻4号343頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっては,電磁的記録が視覚情報であるときには,同記録を視覚化したもののみを見て…
参照法条憲法21条,憲法31条,刑法175条,刑法35条

詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて送付先のマンションに設置された宅配ボックスから取り出して受領するなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷令和元年9月27日平成30(あ)1224刑集 第73巻4号47頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨宅配便で現金を送付させてだまし取る特殊詐欺において,被告人が依頼を受け,他人の郵便受けの投入口から不在連絡票を取り出すという著しく不自然な方法を用いて,送付先のマンションに設置された宅配ボックスから荷物を取り出した上,これを回収役に引き渡すなどしていること,他に詐欺の可能性の認識を排除するような事情も見当たらないことな…
参照法条刑法60条,刑法246条1項

詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして自宅で受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成30年12月14日平成28(あ)1808刑集 第72巻6号737頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨宅配便で現金を送付させてだまし取る特殊詐欺において,被告人が自宅に配達される荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして受け取り,直ちに回収役に渡す仕事を複数回繰り返して多額の報酬を受領していること,被告人は荷物の中身が詐欺の被害品である可能性を認識しており,現金とは思わなかったなどと述べるのみで詐欺の可能性があるとの認識が…
参照法条刑法60条,刑法246条1項

指示を受けてマンションの空室に赴き詐欺の被害者が送付した荷物を名宛人になりすまして受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成30年12月11日平成29(あ)44刑集 第72巻6号672頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨マンションの空室に宅配便で現金を送付させてだまし取る特殊詐欺において,被告人が指示を受けてマンションの空室に赴き,そこに配達される荷物を名宛人になりすまして受け取り,回収役に渡すなどしていること,被告人は同様の受領行為を多数回繰り返して報酬等を受け取っており,犯罪行為に加担していると認識していたこと,詐欺の可能性がある…
参照法条刑法60条,刑法246条1項

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条5号の危険運転致死傷罪の共同正犯が成立するとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成30年10月23日平成29(あ)927刑集 第72巻5号471頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人とAが,それぞれ自動車を運転し,赤色信号を殊更に無視して交差点に進入し,被害者5名が乗車する自動車にA運転車両が衝突するなどしてうち4名を死亡させ,1名に重傷を負わせた交通事故について,被告人とAが,互いに,相手が同交差点において赤色信号を殊更に無視する意思であることを認識しながら,相手の運転行為にも触発され,速…
参照法条自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条5号,刑法60条

被告人が強姦及び強制わいせつの犯行の様子を隠し撮りした各デジタルビデオカセットが刑法19条1項2号にいう「犯罪行為の用に供した物」に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成30年6月26日平成29(あ)530刑集 第72巻2号209頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が強姦及び強制わいせつの犯行の様子を被害者に気付かれないように撮影し各デジタルビデオカセットに録画したのは,被害者にそれぞれその犯行の様子を撮影録画したことを知らせて,捜査機関に被告人の処罰を求めることを断念させ,刑事責任の追及を免れようとしたためであるという本件事実関係の下においては,当該各デジタルビデオカセッ…
参照法条刑法19条1項2号,刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条,刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)177条

いわゆるSTR型によるDNA型鑑定の信用性を否定した原判決が破棄された事例

最高裁判所第一小法廷平成30年5月10日平成29(あ)882刑集 第72巻2号141頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨犯行現場で採取された精液様の遺留物について実施されたいわゆるSTR型によるDNA型鑑定について,15座位のSTR型の検出状況を分析した結果等に基づいて,遺留物が1人分のDNAに由来し,被告人のDNA型と一致するとした鑑定の信用性を否定し,被告人を無罪とした原判決は,同鑑定が遺留物を1人分のDNAに由来するとした理由の重…
参照法条刑法130条前段,刑法174条,刑訴法411条3号

詐欺罪につき実行の着手があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成30年3月22日平成29(あ)322刑集 第72巻1号82頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨現金を被害者宅に移動させた上で,警察官を装った被告人に現金を交付させる計画の一環として述べられた嘘について,その嘘の内容が,現金を交付するか否かを被害者が判断する前提となるよう予定された事項に係る重要なものであり,被害者に現金の交付を求める行為に直接つながる嘘が含まれ,被害者にその嘘を真実と誤信させることが,被害者にお…
参照法条刑法43条,刑法246条,刑法250条

1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為の意義 2 子に対する保護責任者遺棄致死被告事件について,被告人の故意を認めず無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例…

最高裁判所第二小法廷平成30年3月19日平成28(あ)1549刑集 第72巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為は,老年者,幼年者,身体障害者又は病者につきその生存のために特定の保護行為を必要とする状況(要保護状況)が存在することを前提として,その者の生存に必要な保護行為として行うことが刑法上期待される特定の行為をしなかったことを意味する。 2 低栄養に基づく衰弱により死亡…
参照法条(1から3につき) 刑法218条,刑法219条 (2につき) 刑訴法382条,刑訴法411条1号 (3につき) 刑訴法312条,刑訴規則208条

現住建造物等放火罪に該当する行為により生じた人の死傷結果を量刑上考慮することの可否

最高裁判所第三小法廷平成29年12月19日平成28(あ)190刑集 第71巻10号606頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨現住建造物等放火罪に該当する行為により生じた人の死傷結果を,その法定刑の枠内で,量刑上考慮することは許される。
参照法条刑法108条

共犯者による欺罔行為後だまされたふり作戦開始を認識せずに共謀の上被害者から発送された荷物の受領行為に関与した者が詐欺未遂罪の共同正犯の責任を負うとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成29年12月11日平成29(あ)1079刑集 第71巻10号535頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨共犯者による欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに共犯者らと共謀の上,詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた被害者から発送された荷物の受領行為に関与したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず,被告人はその加功前の欺罔行為の点も含…
参照法条刑法60条,刑法250条,刑法246条1項

侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合における刑法36条の急迫性の判断方法

最高裁判所第二小法廷平成29年4月26日平成28(あ)307刑集 第71巻4号275頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨行為者が侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合,侵害の急迫性の要件については,対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況に照らして検討すべきであり,事案に応じ,行為者と相手方との従前の関係,予期された侵害の内容,侵害の予期の程度,侵害回避の容易性,侵害場所に出向く必要性,侵害場所にとどまる相当性,対抗行為の準備の状況…
参照法条刑法36条

1 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において刑訴規則34条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者 2 刑の執行猶予の言渡し取消し請求における被請求人が選任した弁護人に対する刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達の効…

最高裁判所第二小法廷平成29年1月16日平成29(し)8刑集 第71巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において,刑訴規則34条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者は,検察官及び被請求人である。 2 刑の執行猶予の言渡し取消し請求において,被請求人が選任した弁護人に対して刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本が送達されても,被請求人に対する送達が行われたものと同じ…
参照法条(1,2につき) 刑法26条の2第2号,刑法26条の3,刑訴法349条の2第1項,刑訴規則34条,刑訴規則62条1項

土地につき所有権移転登記等の申請をして当該登記等をさせた行為が電磁的公正証書原本不実記録罪に該当しないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成28年12月5日平成26(あ)1197刑集 第70巻8号749頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被告人が暴力団員との間で当該暴力団員に土地の所有権を取得させる旨の合意をし,被告人が代表者を務める会社名義で当該土地を売主から買い受けた場合において,当該土地につき売買契約を登記原因とする所有権移転登記等を当該会社名義で申請して当該登記等をさせた行為について,売買契約の締結に際し当該暴力団員のためにする旨の顕名が一切な…
参照法条刑法157条1項,刑法158条1項

刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定の新設と刑訴法411条5号にいう「刑の変更」

最高裁判所第一小法廷平成28年7月27日平成28(あ)456刑集 第70巻6号571頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定(刑法27条の2ないし27条の7)の新設は,刑訴法411条5号にいう「刑の変更」に当たらない。
参照法条刑法27条の2,刑法27条の3,刑法27条の4,刑法27条の5,刑法27条の6,刑法27条の7,刑訴法411条5号

花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警察署副署長に同署地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯は成立しないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成28年7月12日平成26(あ)747刑集 第70巻6号411頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,警備計画策定の第一次的責任者ないし現地警備本部の指揮官という立場にあった警察署地域官と,同署副署長ないし署警備本部の警備副本部長として同署署長を補佐する立場にあった被告人とでは,分担する役割や事故発生の防止…
参照法条刑法60条,刑法(平成13年法律第138号による改正前のもの)211条前段,刑訴法254条2項,刑訴法337条4号,刑訴法(平成16年法律第156号による改正前のもの)250条4号

他人の刑事事件について捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作するなどして供述調書を作成した行為が証拠偽造罪に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成28年3月31日平成26(あ)1857刑集 第70巻3号58頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし,それに基づき供述調書が作成された場合とは異なり,第三者の覚せい剤所持という架空の事実に関する令状請求のための証拠を作り出す意図で,捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作,具体化させ,それを供述調書の形式にした本件行為(判文参照)は,刑法104条の証拠偽造罪に当たる。
参照法条刑法104条

1 同時傷害の特例を定めた刑法207条の法意 2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案においていずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定された場合と刑法207条の適用の可否

最高裁判所第三小法廷平成28年3月24日平成27(あ)703刑集 第70巻3号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 同時傷害の特例を定めた刑法207条は,共犯関係にない二人以上が暴行を加えた事案において,検察官が,各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること及び各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと,すなわち同一の機会に行われたものであることの証明をした場合,各行為者において,…
参照法条(1,2につき)刑法207条

公訴時効を廃止するなどした「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)の経過措置を定めた同法附則3条2項と憲法39条,31条

最高裁判所第一小法廷平成27年12月3日平成26(あ)749刑集 第69巻8号815頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公訴時効を廃止するなどした「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)の経過措置として,同改正法律施行の際公訴時効が完成していない罪について改正後の刑訴法250条1項を適用する旨を定めた同改正法律附則3条2項は,憲法39条,31条に違反せず,それらの趣旨にも反しない。
参照法条憲法31条,憲法39条,刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成22年法律第26号)附則3条2項,刑法等の一部を改正する法律(平成16年法律第156号)附則3条2項,刑訴法(平成16年法律第156号による改正前のもの)250条,刑訴法2…

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)3条1項9号にいう「詐欺罪に当たる行為を実行するための組織」に当たるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成27年9月15日平成27(あ)177刑集 第69巻6号721頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨リゾート会員権の販売等を目的とする団体の実質オーナーである被告人を始めとする主要な構成員において,当該団体が実質的な破綻状態にあり,集めた預託金等を返還する能力がないことを認識したにもかかわらず,それ以降も,当該団体の役員及び従業員によって構成される組織による営業活動として,預託金等の名目で金銭を集める行為を継続したな…
参照法条組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)2条1項,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)3条1項9号,刑法246条

1 刑法175条1項後段にいう「頒布」の意義 2 顧客のダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存させる行為と刑法175条1項後段にいうわい…

最高裁判所第三小法廷平成26年11月25日平成25(あ)510刑集 第68巻9号1053頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑法175条1項後段にいう「頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいう。 2 不特定の者である顧客によるダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用した送信により,わいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録,保存さ…
参照法条(1,2につき)刑法175条1項後段

関税法111条3項,1項1号の無許可輸出罪につき実行の着手があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成26年11月7日平成25(あ)1333刑集 第68巻9号963頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨航空機に機内預託手荷物として積載するスーツケースに隠匿する方法でうなぎの稚魚を無許可で輸出しようとした行為について,入口にエックス線検査装置が設けられ,周囲から区画された国際線チェックインカウンターエリア内にある保安検査済みシールを貼付された手荷物は,そのまま機内預託手荷物として航空機に積載される扱いになっていたなどの…
参照法条刑法43条,関税法111条3項,関税法111条1項1号

傷害致死の事案につき,懲役10年の求刑を超えて懲役15年に処した第1審判決及びこれを是認した原判決が量刑不当として破棄された事例

最高裁判所第一小法廷平成26年7月24日平成25(あ)689刑集 第68巻6号925頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨親による幼児に対する傷害致死の事案において,これまでの量刑の傾向から踏み出し,公益の代表者である検察官の懲役10年の求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることにつき,具体的,説得的な根拠を示しているとはいい難い第1審判決及びその量刑を是認した原判決は,量刑不当により破棄を免れない。 (補足意見がある。)
参照法条刑法205条,刑訴法411条2号

約款で暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨定めている銀行の担当者に暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明,確約して口座開設等を申し込み通帳等の交付を受けた行為が,詐欺罪に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成26年4月7日平成24(あ)1595刑集 第68巻4号715頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明,確約して銀行の担当者に口座開設等を申し込み,通帳等の交付を受けた行為は,当該銀行において,政府指針を踏まえて暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨の約款を定め,申込者に対し暴力団員でないことを確認していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,刑法246条1項の詐欺罪…
参照法条刑法246条1項

暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為が,詐欺罪にいう人を欺く行為に当たらないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成26年3月28日平成25(あ)3刑集 第68巻3号582頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において,暴力団関係者であるビジター利用客が,暴力団関係者であることを申告せずに,一般の利用客と同様に,氏名等を偽りなく記入した受付表等を提出して施設利用を申し込む行為は,ゴルフ場の従業員から暴力団関係者でないことを確認されなかったなどの本件事実関係(判文参照)の下では,申込者が…
参照法条刑法246条2項,刑訴法411条3号

入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずに同人に関するゴルフ場の施設利用を申し込み,施設を利用させた行為が,刑法246条2項の詐欺罪に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成26年3月28日平成25(あ)725刑集 第68巻3号646頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨ゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずにそのゴルフ場の施設利用を申し込み,同人に施設を利用させた行為は,入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,刑法246条2項の詐欺罪に当たる。 (意見がある。)
参照法条刑法246条2項

1 同一被害者に対し一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実について,包括一罪とされた事例 2 包括一罪を構成する一連の暴行による傷害について,訴因の特定に欠けるところはないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成26年3月17日平成23(あ)1224刑集 第68巻3号368頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 同一被害者に対し約4か月間又は約1か月間という一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実については,その暴行が,被告人と被害者との一定の人間関係を背景として,共通の動機から繰り返し犯意を生じて行われたものであることなどの事情(判文参照)に鑑みると,全体を一体のものと評価し,包括して一罪と…
参照法条(1,2につき)刑法204条 (2につき)刑訴法256条3項

刑法208条の2第1項前段の危険運転致死傷罪の正犯者である職場の後輩がアルコールの影響により正常な運転が困難な状態であることを認識しながら,車両の発進を了解し,同乗して運転を黙認し続けた行為について,同罪の幇助罪が成立するとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成25年4月15日平成23(あ)2249刑集 第67巻4号437頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法208条の2第1項前段の危険運転致死傷罪の正犯者において,自動車を運転するに当たって,職場の先輩で同乗している被告人両名の意向を確認し,了解を得られたことが重要な契機となっている一方,被告人両名において,正犯者がアルコールの影響により正常な運転が困難な状態であることを認識しながら,同車発進に了解を与え,その運転を制…
参照法条刑法62条1項,刑法208条の2第1項前段

共謀加担後の暴行が共謀加担前に他の者が既に生じさせていた傷害を相当程度重篤化させた場合の傷害罪の共同正犯の成立範囲

最高裁判所第二小法廷平成24年11月6日平成24(あ)23刑集 第66巻11号1281頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨他の者が被害者に暴行を加えて傷害を負わせた後に,被告人が共謀加担した上,更に暴行を加えて被害者の傷害を相当程度重篤化させた場合,被告人は,被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前に既に生じていた傷害結果については,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴…
参照法条刑法60条,刑法204条

1 家庭裁判所から選任された成年後見人が成年被後見人所有の財物を横領した場合と刑法244条1項の準用の有無 2 家庭裁判所から選任された成年後見人が成年被後見人所有の財物を横領した場合に成年後見人と成年被後見人との間の親族関係を量刑上酌むべ…

最高裁判所第二小法廷平成24年10月9日平成24(あ)878刑集 第66巻10号981頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても,同条項は準用されない。 2 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法2…
参照法条(1,2につき)刑法244条1項,刑法253条,刑法255条

不法に被害者を監禁し,その結果,被害者に外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させた場合について,監禁致傷罪の成立が認められた事例

最高裁判所第二小法廷平成24年7月24日平成22(あ)2011刑集 第66巻8号709頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨不法に被害者を監禁し,その結果,被害者が,医学的な診断基準において求められている特徴的な精神症状が継続して発現していることなどから外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと認められる場合,同障害の惹起は刑法にいう傷害に当たり,監禁致傷罪が成立する。
参照法条刑法221条,刑法204条

1 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師がその過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為と秘密漏示罪の成否 2 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命…

最高裁判所第二小法廷平成24年2月13日平成22(あ)126刑集 第66巻4号405頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が,当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当する。 2 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含…
参照法条(1〜3につき)刑法134条1項,(3につき)刑法135条,刑訴法230条

睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成立が認められた事例

最高裁判所第三小法廷平成24年1月30日平成22(あ)340刑集 第66巻1号36頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨病院で勤務中ないし研究中であった者に対し,睡眠薬等を摂取させたことによって,約6時間又は約2時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為は,傷害罪を構成する。
参照法条刑法204条

適法用途にも著作権侵害用途にも利用できるファイル共有ソフトWinnyをインターネットを通じて不特定多数の者に公開,提供し,正犯者がこれを利用して著作物の公衆送信権を侵害することを幇助したとして,著作権法違反幇助に問われた事案につき,幇助犯の…

最高裁判所第三小法廷平成23年12月19日平成21(あ)1900刑集 第65巻9号1380頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨適法用途にも著作権侵害用途にも利用できるファイル共有ソフトWinnyをインターネットを通じて不特定多数の者に公開,提供し,正犯者がこれを利用して著作物の公衆送信権を侵害することを幇助したとして,著作権法違反幇助に問われた事案につき,被告人において,(1)現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながらWi…
参照法条刑法62条1項,著作権法(平成16年法律第92号による改正前のもの)23条1項,著作権法(平成16年法律第92号による改正前のもの)119条1号

卒業式の開式直前に保護者らに対して大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,卒業式の円滑な遂行を妨げた行為をもって刑法234条の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成23年7月7日平成20(あ)1132刑集 第65巻5号619頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨卒業式の開式直前に,式典会場である体育館において,主催者に無断で,保護者らに対して,国歌斉唱のときには着席してほしいなどと大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,その場を喧噪状態に陥れるなどして,卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為をもって,刑法234条の罪に問うことは,憲法21条1項に違…
参照法条憲法21条1項,刑法234条

労働基準法32条1項(週単位の時間外労働の規制)違反の罪と同条2項(1日単位の時間外労働の規制)違反の罪との罪数関係

最高裁判所第三小法廷平成22年12月20日平成22(あ)148刑集 第64巻8号1312頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨労働基準法32条1項(週単位の時間外労働の規制)違反の罪が成立する場合においても,その週内の1日単位の時間外労働の規制違反について同条2項違反の罪が成立し,両罪は併合罪の関係にある。
参照法条労働基準法32条1項,労働基準法32条2項,労働基準法119条1号,刑法45条前段

他の者を搭乗させる意図を秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求してその交付を受けた行為が,詐欺罪に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成22年7月29日平成20(あ)720刑集 第64巻5号829頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨外国行きの自己に対する搭乗券を他の者に渡してその者を搭乗させる意図であるのにこれを秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に対し乗客として自己の氏名が記載された航空券を呈示して搭乗券の交付を請求し,その交付を受けた行為は,搭乗券の交付を請求する者が航空券記載の乗客本人であることについて厳重な確認が行われていたなどの本件事…
参照法条刑法246条1項

殺人,現住建造物等放火の公訴事実について間接事実を総合して被告人を有罪とした第1審判決及びその事実認定を是認した原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成22年4月27日平成19(あ)80刑集 第64巻3号233頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨殺人,現住建造物等放火の公訴事実について,間接事実を総合して被告人が犯人であるとした第1審判決及びその事実認定を是認した原判決は,認定された間接事実中に被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは,少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれているとは認められないなど,間接事実に関する審…
参照法条刑法108条,刑法199条,刑訴法317条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号,刑訴法413条本文

1 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例 2 包括一罪を構成する街頭募金詐欺について,その罪となるべき事実の特定に欠けるところはないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成22年3月17日平成21(あ)178刑集 第64巻2号111頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 街頭募金の名の下に通行人から現金をだまし取ろうと企てた者が,約2か月間にわたり,事情を知らない多数の募金活動員を通行人の多い複数の場所に配置し,募金の趣旨を立看板で掲示させるとともに,募金箱を持たせて寄付を勧誘する発言を連呼させ,これに応じた通行人から現金をだまし取ったという本件街頭募金詐欺については,(1)不特定…
参照法条(1,2につき)刑法246条1項 (2につき)刑訴法335条1項

1 インターネットの個人利用者による名誉毀損と摘示事実を真実と誤信したことについての相当の理由 2 インターネットの個人利用者による名誉毀損行為につき,摘示事実を真実と誤信したことについて相当の理由がないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成22年3月15日平成21(あ)360刑集 第64巻2号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の表現手段を利用した場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではない…
参照法条(1,2につき) 刑法230条1項,刑法230条の2第1項

1 精神鑑定の意見の一部を採用した場合と責任能力の有無・程度の判断 2 責任能力の有無・程度について原判決の判断手法に誤りがないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成21年12月8日平成20(あ)1718刑集 第63巻11号2829頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 裁判所は,特定の精神鑑定の意見の一部を採用した場合においても,責任能力の有無・程度について,当該意見の他の部分に拘束されることなく,被告人の犯行当時の病状,犯行前の生活状態,犯行の動機・態様等を総合して判定することができる。 2 精神医学者の精神鑑定における意見のうち被告人が心神喪失の状態にあったとする部分を前提資…
参照法条(1,2につき)刑法39条

1 分譲マンションの各住戸にビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に立ち入った行為につき,刑法130条前段の罪が成立するとされた事例 2 分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共…

最高裁判所第二小法廷平成21年11月30日平成20(あ)13刑集 第63巻9号1765頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 分譲マンションの各住戸のドアポストにビラ等を投かんする目的で,同マンションの集合ポストと掲示板が設置された玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に立ち入った行為は,同マンションの構造及び管理状況,そのような目的での立入りを禁じたはり紙が玄関ホールの掲示板にちょう付されていた状況な…
参照法条(1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項

児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成21年10月21日平成19(あ)619刑集 第63巻8号1070頁
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裁判要旨被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては,児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にある。
参照法条児童福祉法34条1項6号,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,刑法54条1項前段,刑法45条前段,少年法(平成20年法律第71号による改正前のもの)37条

単独犯の訴因で起訴された被告人に共謀共同正犯者が存在するとしても,訴因どおりに犯罪事実を認定することが許されるか

最高裁判所第三小法廷平成21年7月21日平成21(あ)291刑集 第63巻6号762頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨検察官において共謀共同正犯者の存在に言及することなく,被告人が当該犯罪を行ったとの訴因で公訴を提起した場合において,被告人1人の行為により犯罪構成要件のすべてが満たされたと認められるときは,他に共謀共同正犯者が存在するとしても,裁判所は訴因どおりに犯罪事実を認定することが許される。
参照法条刑法60条,刑法235条

財産的権利等を防衛するためにした暴行が刑法36条1項にいう「やむを得ずにした行為」に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成21年7月16日平成20(あ)1870刑集 第63巻6号711頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨相手方らが立入禁止等と記載した看板を被告人方建物に取り付けようとすることによって被告人らの上記建物に対する共有持分権,賃借権等や業務,名誉に対する急迫不正の侵害に及んだのに対し,上記権利等を防衛するために被告人が相手方の胸部等を両手で突いた暴行は,相手方らが以前から継続的に被告人らの上記権利等を実力で侵害する行為を繰り…
参照法条刑法36条1項

刑法96条の2にいう「強制執行」と民事執行法1条所定の「担保権の実行としての競売」

最高裁判所第一小法廷平成21年7月14日平成19(あ)2355刑集 第63巻6号613頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法96条の2にいう「強制執行」には,民事執行法1条所定の「担保権の実行としての競売」が含まれる。
参照法条刑法96条の2,民事執行法1条

警察署の塀の上部に上がった行為について建造物侵入罪の成立が認められた事例

最高裁判所第一小法廷平成21年7月13日平成20(あ)835刑集 第63巻6号590頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨警察署庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し,みだりに立入りすることを禁止するために設置された高さ約2.4mの本件塀は,建造物侵入罪の客体に当たり,中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部に上がった行為は,建造物侵入罪を構成する。
参照法条刑法130条

1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数 2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に…

最高裁判所第二小法廷平成21年7月7日平成20(あ)1703刑集 第63巻6号507頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。 2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定…
参照法条(1,2につき)児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条5項 (1につき)刑法45条 (2につき)刑法54条1項,刑法175条

共犯者が住居に侵入した後強盗に着手する前に現場から離脱した場合において共謀関係の解消が否定された事例

最高裁判所第三小法廷平成21年6月30日平成19(あ)1580刑集 第63巻5号475頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀した被告人が,共犯者の一部が住居に侵入した後強盗に着手する前に,見張り役の共犯者において住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい,先に帰る」などと一方的に伝えただけで,被告人において格別それ以後の犯行を防止する措置を講ずることなく,待機していた現場から上記見…
参照法条刑法60条,刑法130条前段,刑法236条1項

1 パチスロ店内で,パチスロ機から不正な方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについて窃盗…

最高裁判所第一小法廷平成21年6月29日平成21(あ)328刑集 第63巻5号461頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 パチスロ店内で,パチスロ機に針金を差し込んで誤動作させるなどの方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについては,窃盗罪は成立しない。 2 パチスロ機の下皿内に窃取した…
参照法条(1,2につき)刑法235条 (1につき)刑法60条

1 上告審における事実誤認の主張に関する審査の方法 2 満員電車内における強制わいせつ被告事件について,被害者とされた者の供述の信用性を全面的に肯定した第1審判決及び原判決の認定が是認できないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成21年4月14日平成19(あ)1785刑集 第63巻4号331頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 上告審における事実誤認の主張に関する審査は,原判決の認定が論理則,経験則等に照らして不合理かどうかの観点から行うべきである。 2 被告人が満員電車内で女性Aに対して痴漢行為をしたとされる強制わいせつ被告事件について,被告人が一貫して犯行を否認しており,Aの供述以外にこれを基礎付ける証拠がなく,被告人にこの種の犯行を…
参照法条(1,2につき)刑訴法411条3号 (2につき)刑法176条前段,刑訴法317条

他人所有の建物を同人のために預かり保管していた者が,金銭的利益を得ようとして,同建物の電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了したことにつき,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立するとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成21年3月26日平成20(あ)2253刑集 第63巻3号291頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲会社から乙及び丙に順次譲渡されたものの,所有権移転登記が未了のため甲会社が登記簿上の所有名義人であった建物を,甲会社の実質的代表者として丙のために預かり保管していた被告人が,甲会社が名義人であることを奇貨とし,乙及び丙から原状回復にしゃ口して解決金を得ようと企て,上記建物に係る電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設…
参照法条刑法252条1項,刑法157条1項,刑法158条1項,不動産登記法106条

防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,退職後に私企業の非常勤顧問となり顧問料として金員の供与を受けたことについて,事後収賄罪が成立するとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成21年3月16日平成17(あ)246刑集 第63巻3号81頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,在職中に私企業の幹部から請託を受けて職務上不正な行為をし,その後間もなく防衛庁を退職して上記私企業の関連会社の非常勤の顧問となり顧問料として金員の供与を受けたなどの本件事実関係の下においては,顧問としての実態が全くなかったとはいえないとしても,供与を受けた金員は不正な行為と…
参照法条刑法197条の3第3項

急迫不正の侵害に対する反撃として複数の暴行を加えた場合において,単独で評価すれば防衛手段としての相当性が認められる当初の暴行のみから傷害が生じたとしても,1個の過剰防衛としての傷害罪が成立するとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成21年2月24日平成20(あ)2102刑集 第63巻2号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨急迫不正の侵害に対する反撃として複数の暴行を加えた場合において,単独で評価すれば防衛手段としての相当性が認められる当初の暴行のみから傷害が生じたとしても,同暴行とその後の防衛の程度を超えた暴行とが一連一体のものであり,同一の防衛の意思に基づく1個の行為と認めることができる本件事実関係の下では,全体的に考察して1個の過剰…
参照法条刑法36条

正当防衛に当たる暴行及びこれと時間的,場所的に連続して行われた暴行について,両暴行を全体的に考察して1個の過剰防衛の成立を認めることはできないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成20年6月25日平成20(あ)124刑集 第62巻6号1859頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨相手方の急迫不正の侵害に対し,正当防衛に当たる暴行(以下「第1暴行」という。)を加えて同人を転倒させた被告人が,これと時間的,場所的に連続して暴行(以下「第2暴行」という。)を加えた場合において,相手方が更なる侵害行為に出る可能性のないことを認識した上,防衛の意思ではなく,専ら攻撃の意思に基づき相当に激しい態様の第2暴…
参照法条刑法36条

妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行った行為が「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」2条2項の対象行為に該当するかどうかの判断方法

最高裁判所第三小法廷平成20年6月18日平成20(医へ)1刑集 第62巻6号1812頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行為を行った本件のような場合(判文参照),当該行為が「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」2条2項の対象行為に該当するかどうかの判断は,対象者が幻聴,妄想等により認識した内容に基づいて行うべきでなく,対象者の行為を当時の状…
参照法条心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律1条,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律2条2項5号,刑法238条

被告人が,自らの暴行により相手方の攻撃を招き,これに対する反撃としてした傷害行為について,正当防衛が否定された事例

最高裁判所第二小法廷平成20年5月20日平成18(あ)2618刑集 第62巻6号1786頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨相手方から攻撃された被告人がその反撃として傷害行為に及んだが,被告人は,相手方の攻撃に先立ち,相手方に対して暴行を加えているのであって,相手方の攻撃は,被告人の暴行に触発された,その直後における近接した場所での一連,一体の事態ということができ,被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものといえるから,相手方の攻撃が被告…
参照法条刑法36条

銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例

最高裁判所第一小法廷平成20年5月19日平成18(あ)2030刑集 第62巻6号1623頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,融資の前提となるスキーム(判文参照)を頭取らに提案してこれに沿った行動を取り,同融資の担保となる物件の担保価値を大幅に水増しした不動産鑑定書を作らせるなどして,同融資の実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者は,上記特別背任行為に…
参照法条商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)486条1項,刑法60条,刑法65条,刑法247条

1 責任能力判断の前提となる精神障害の有無及び程度並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度について,精神医学者の鑑定意見等が証拠となっている場合における,裁判所の判断の在り方 2 統合失調症による幻覚妄想の強い影響下で行われた行為…

最高裁判所第二小法廷平成20年4月25日平成18(あ)876刑集 第62巻5号1559頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 責任能力判断の前提となる生物学的要素である精神障害の有無及び程度並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度について,専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には,鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり,鑑定の前提条件に問題があったりするなど,これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでな…
参照法条(1,2につき)刑法39条

薬物犯罪の幇助犯から「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」11条1項,13条1項により没収・追徴できる薬物犯罪収益等の範囲

最高裁判所第三小法廷平成20年4月22日平成19(あ)1055刑集 第62巻5号1528頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨薬物犯罪の正犯がその犯罪行為により薬物犯罪収益等を得た場合,当該犯罪行為を幇助したことを理由に幇助犯から当該薬物犯罪収益等を「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」11条1項,13条1項により正犯と同様に没収・追徴することはできず,幇助犯…
参照法条国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律11条1項,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関…

1 管理者が管理する,公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が,刑法130条の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例 2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的…

最高裁判所第二小法廷平成20年4月11日平成17(あ)2652刑集 第62巻5号1217頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 管理者が管理する,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び同宿舎の各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示しているその敷地(判文参…
参照法条(1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項

参議院議員が,本会議における代表質問においてある施策の実現のため有利な取り計らいを求める質問をされたい旨の請託を受け,さらに,他の参議院議員を含む国会議員に対し国会審議の場において同旨の質疑等を行うよう勧誘説得されたい旨の請託を受けて金員を…

最高裁判所第三小法廷平成20年3月27日平成18(あ)348刑集 第62巻3号250頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨参議院議員が,ある施策の実現を目指す者から,参議院本会議において内閣総理大臣の演説に対して所属会派を代表して質疑するに当たり,その施策の実現のため有利な取り計らいを求める質問をされたい旨の請託を受け,さらに,他の参議院議員を含む国会議員に対し国会審議の場において同旨の質疑等を行うよう勧誘説得されたい旨の請託を受け,これ…
参照法条刑法197条1項

船舶から海上に投下し回収する方法により覚せい剤を輸入しようとした行為につき,覚せい剤取締法41条の輸入罪及び関税法(平成17年法律第22号による改正前のもの)109条1項,3項の禁制品輸入罪の実行の着手があったとはいえないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成20年3月4日平成19(あ)1659刑集 第62巻3号123頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨外国で覚せい剤を密輸船に積み込んだ上,海上に投下し,回収担当者において小型船舶で回収して本邦に陸揚げするという方法による覚せい剤輸入を計画し,本邦内海の湾内に至って覚せい剤を投下したが,悪天候等のため,回収できなかったなど判示の事実関係の下では,覚せい剤が陸揚げされる客観的危険性が発生しておらず,覚せい剤取締法41条の…
参照法条覚せい剤取締法13条,覚せい剤取締法41条,関税法(平成17年法律第22号による改正前のもの)109条1項,関税法(平成17年法律第22号による改正前のもの)109条3項,刑法43条

家庭裁判所から選任された未成年後見人が未成年被後見人所有の財物を横領した場合と刑法244条1項の準用の有無

最高裁判所第一小法廷平成20年2月18日平成19(あ)1230刑集 第62巻2号37頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨家庭裁判所から選任された未成年後見人が業務上占有する未成年被後見人所有の財物を横領した場合,未成年後見人と未成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても,その後見事務は公的性格を有するものであり,同条項は準用されない。
参照法条刑法244条1項,刑法253条,刑法255条

準強制わいせつ行為をした者が,わいせつな行為を行う意思を喪失した後に,逃走するため被害者に暴行を加えて傷害を負わせた場合について,強制わいせつ致傷罪が成立するとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成20年1月22日平成19(あ)1223刑集 第62巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨就寝中の被害者にわいせつな行為をした者が,覚せいした被害者から着衣をつかまれるなどされてわいせつな行為を行う意思を喪失した後に,その場から逃走するため,被害者を引きずるなどした暴行は、上記準強制わいせつ行為に随伴するものであり、これによって被害者に傷害を負わせた場合には,強制わいせつ致傷罪が成立する。
参照法条刑法181条1項,刑法178条1項

数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,その最も重い罪の刑は懲役刑のみであるがその他の罪に罰金刑の任意的併科の定めがあるときに,最も重い罪の懲役刑にその他の罪の罰金刑を併科することの可否

最高裁判所第一小法廷平成19年12月3日平成18(あ)2516刑集 第61巻9号821頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,その最も重い罪の刑は懲役刑のみであるがその他の罪に罰金刑の任意的併科の定めがあるときには,最も重い罪の懲役刑にその他の罪の罰金刑を併科することができる。
参照法条刑法54条1項

刑法105条の2にいう「威迫」の方法

最高裁判所第三小法廷平成19年11月13日平成19(あ)779刑集 第61巻8号743頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法105条の2にいう「威迫」には,不安,困惑の念を生じさせる文言を記載した文書を送付して相手にその内容を了知させる方法による場合が含まれる。
参照法条刑法105条の2

不正アクセス行為の禁止等に関する法律8条1号の罪と私電磁的記録不正作出罪との罪数関係

最高裁判所第二小法廷平成19年8月8日平成19(あ)720刑集 第61巻5号576頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨不正アクセス行為の禁止等に関する法律3条所定の不正アクセス行為を手段として私電磁的記録不正作出の行為が行われた場合であっても,同法8条1号の罪と私電磁的記録不正作出罪とは,牽連犯の関係にはない。
参照法条刑法45条,刑法54条1項,刑法161条の2第1項,不正アクセス行為の禁止等に関する法律3条1項,不正アクセス行為の禁止等に関する法律3条2項1号,不正アクセス行為の禁止等に関する法律8条1号

預金通帳等を第三者に譲渡する意図を秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項の詐欺罪に当たるか

最高裁判所第三小法廷平成19年7月17日平成18(あ)2319刑集 第61巻5号521頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨預金通帳等を第三者に譲渡する意図であるのに,これを秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み,預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項の詐欺罪に当たる。
参照法条刑法246条1項,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律16条の2第1項,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律16条の2第2項

公共工事の請負者が,地方公共団体から使途を限定して請負者名義の預金口座に振り込まれた前払金につき,上記使途に沿った支払と偽って,払出しに係る金員を領得したことが詐欺罪に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成19年7月10日平成19(あ)156刑集 第61巻5号405頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公共工事の請負者甲が,地方公共団体から使途を限定して甲名義の預金口座に振り込まれた前払金につき,上記使途に沿った下請業者乙に対する支払と偽って預金の払出しを請求し,その旨誤信した銀行係員をして,乙に無断で開設していた乙名義の預金口座に振込入金させた行為は,詐欺罪に当たる。
参照法条刑法246条1項

1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否 2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を…

最高裁判所第一小法廷平成19年7月2日平成18(あ)2664刑集 第61巻5号379頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立する。 2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣…
参照法条(1につき)刑法130条前段 (2につき)刑法233条

1 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器を身体に装着してパチスロ機で遊戯する行為の窃盗罪該当性 2 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器を身体に装着してパチスロ機で遊戯し取得したメダルについて窃盗罪が成立…

最高裁判所第二小法廷平成19年4月13日平成18(あ)1605刑集 第61巻3号340頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用する意図のもとにこれを身体に装着してパチスロ機で遊戯する行為は,同機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えないものであっても,窃盗罪の実行行為に当たる。 2 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用す…
参照法条(1,2につき)刑法235条

併合罪関係にある複数の罪のうちの1個の罪のみでは死刑又は無期刑が相当とされない場合にその罪について死刑又は無期刑を選択することの可否

最高裁判所第二小法廷平成19年3月22日平成18(あ)2455刑集 第61巻2号81頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨併合罪関係にある複数の罪のうちの1個の罪のみでは死刑又は無期刑が相当とされない場合であっても,死刑又は無期刑を選択する結果科されないこととなる刑に係る罪を,これをも含めて処罰する趣旨で考慮し,上記1個の罪について死刑又は無期刑を選択することができる。
参照法条刑法45条,刑法46条,刑訴法333条1項

1 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かの判断基準 2 住居の玄関ドアが建造物損壊罪の客体に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成19年3月20日平成18(あ)2197刑集 第61巻2号66頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは,当該物と建造物との接合の程度のほか,当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきである。 2 住居の玄関ドアとして,外壁と接続し,外界とのしゃ断,防犯,防風,防音等の重要な役割を果たしている物(判文参照)は,適切な工具を使用すれば損壊せず…
参照法条(1,2につき)刑法260条前段

現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向けるなどした刑法96条の3第1項該当行為があった時点が刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」とはならないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成18年12月13日平成17(あ)1153刑集 第60巻10号857頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向け,内容虚偽の契約書類を提出した行為は,刑法96条の3第1項の「公の競売又は入札の公正を害すべき行為」に当たるが,上記虚偽の事実の陳述等に基づく競売手続が進行する限り(判文参照),その行為の時点をもって,刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」とはならない。
参照法条刑法96条の3第1項,刑訴法253条1項

甲の刑事事件に関する具体的な証拠偽造を乙が考案して積極的に甲に提案していたという事情があっても甲が当該証拠偽造を乙に依頼した行為が証拠偽造教唆罪に当たるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成18年11月21日平成17(あ)302刑集 第60巻9号770頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲の刑事事件に関する具体的な証拠偽造を乙が考案して積極的に甲に提案していたという事情があっても,甲がこれを承諾して提案に係る工作の実行を依頼した行為は,これによって乙がその提案どおりに犯罪を遂行しようという意思を確定させたという判示の事実関係の下では,人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせたものとして,教唆に当たる。
参照法条刑法61条1項,刑法104条

刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成18年法律第36号)による窃盗罪の法定刑の変更と刑訴法397条1項による第1審判決の破棄の要否

最高裁判所第三小法廷平成18年10月10日平成18(あ)1414刑集 第60巻8号523頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成18年法律第36号)により,選択刑として50万円以下の罰金刑が追加された窃盗罪の法定刑の変更は,当該窃盗罪の犯情,第1審判決が併せて認定した他の犯罪の有無及びその内容等に照らし,上記法改正との関係からは第1審判決の量刑を再検討する余地のないことが明らかである場合には,刑訴法3…
参照法条刑法6条,10条,235条,同法(平成18年法律第36号による改正前のもの)235条,刑訴法383条2号,397条1項

刑法46条2項により刑を科さないとされた公訴事実に係る未決勾留日数の算入

最高裁判所第三小法廷平成18年8月31日平成17(あ)2113刑集 第60巻6号489頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨併合罪関係にある数罪を併合審理して刑を言い渡す場合,刑法46条2項により刑を科さないとされた公訴事実に係る未決勾留日数を非勾留事実に係る罪に対する無期懲役刑及び罰金刑にそれぞれ算入することができる。
参照法条刑法21条,刑法45条前段,刑法46条2項,刑法48条1項

併合罪関係にある数罪を併合審理して1個の主文による刑を言い渡す場合と刑法21条にいう「本刑」

最高裁判所第二小法廷平成18年8月30日平成17(あ)2535刑集 第60巻6号457頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨併合罪関係にある数罪を併合審理して1個の主文による刑を言い渡す場合,その刑が刑法21条にいう「本刑」に該当し,この理は,その刑が懲役刑と罰金刑を併科するものであるときでも異ならない。 (補足意見がある。)
参照法条刑法21条,刑法45条前段,刑法48条1項

刑法244条1項と内縁の配偶者

最高裁判所第二小法廷平成18年8月30日平成18(あ)334刑集 第60巻6号479頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法244条1項は,内縁の配偶者に適用又は類推適用されない。
参照法条刑法244条1項

児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7…

最高裁判所第三小法廷平成18年5月16日平成15(あ)1348刑集 第60巻5号413頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨児童の姿態に係る画像データを記憶,蔵置させて児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを製造し,これを所持する行為は,販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのためのものである場合には,コンパクトディスク作成の際に児童の目の部分にぼかしを入れるなどの加工を施す意思であっても,児童買春,児童ポルノに係る行為等の…
参照法条児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条1項,2項,刑法175条後段

道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した行為と同車に後方から走行してきた自動車が追突して生じた被害者の死亡との間に因果関係があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成18年3月27日平成17(あ)2091刑集 第60巻3号382頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した行為と,同車に後方から走行してきた自動車が追突して生じた被害者の死亡との間には,同人の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても,因果関係がある。
参照法条刑法第1編第7章 犯罪の不成立及び刑の減免,刑法221条

交差点手前で信号待ちをしていた先行車両の後方から赤色信号を殊更に無視し対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため自車を右方道路から左折進行してきた自動車に衝突させ同車運転者らを負傷させた行為が刑法…

最高裁判所第二小法廷平成18年3月14日平成17(あ)2035刑集 第60巻3号363頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨交差点手前で信号待ちをしていた先行車両の後方から,赤色信号を殊更に無視し,対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため,自車を右方道路から青色信号に従い左折して対向進行してきた普通貨物自動車に同交差点入口手前において衝突させ,同車運転者らを負傷させた行為は,刑法208条の2第2…
参照法条刑法208条の2第2項後段

1 第1審判決と控訴審判決の自判部分とがいずれも懲役刑と罰金刑とを刑法48条1項により併科している場合に控訴審判決の刑が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」に当たるかどうかを判断する方法 2 刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い…

最高裁判所第二小法廷平成18年2月27日平成17(あ)1680刑集 第60巻2号240頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 第1審判決と控訴審判決の自判部分とが,いずれも懲役刑と罰金刑とを刑法48条1項により併科している場合に,控訴審判決の刑が刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑」に当たるかどうかを判断するに当たっては,各判決の主文を全体として総合的に考慮すべきである。 2 第1審の「被告人を懲役1年6月及び罰金7000円に処する…
参照法条(1,2につき)刑訴法402条 (1につき)刑法48条1項

1 座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下となったが乗車定員の変更につき自動車検査証の記入を受けていない自動車と道路交通法上の大型自動車 2 座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下となった大型自動車を普通自動車免…

最高裁判所第三小法廷平成18年2月27日平成17(あ)1743刑集 第60巻2号253頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 乗車定員が11人以上である大型自動車の座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下となった場合においても,乗車定員の変更につき国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けていないときは,当該自動車はなお道路交通法上の大型自動車に当たる。 2 座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下となった大型自動…
参照法条(1,2につき)道路交通法3条,道路交通法施行規則2条,道路運送車両法67条1項 (2につき)刑法38条1項,3項,道路交通法64条,道路交通法117条の4

県立医科大学教授兼同大学附属病院診療科部長が医局に属する医師を他の病院へ派遣する行為につき賄賂罪における職務関連性が認められた事例

最高裁判所第二小法廷平成18年1月23日平成16(あ)272刑集 第60巻1号67頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨県立医科大学教授兼同大学附属病院診療科部長が,自己が長を務める医局に属する医師を医局と一定の関係を有する外部の病院へ派遣する行為(判文参照)は,これらの医師を教育指導するというその職務に密接な関係があり,賄賂罪における職務関連性が認められる。
参照法条刑法197条1項前段,刑法198条

公園内の公衆便所の外壁にラッカースプレーでペンキを吹き付け「反戦」等と大書した行為が刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成18年1月17日平成16(あ)2154刑集 第60巻1号29頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公園内の公衆便所の白色外壁に,ラッカースプレーで赤色及び黒色のペンキを吹き付け,「反戦」,「戦争反対」及び「スペクタクル社会」と大書し,その建物の外観ないし美観を著しく汚損し,原状回復に相当の困難を生じさせた行為は,刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たる。
参照法条刑法260条

新株の引受人が会社から第三者を通じて間接的に融資を受けた資金によってした新株の払込みが無効であるとして商業登記簿の原本である電磁的記録に増資の記録をさせた行為につき電磁的公正証書原本不実記録罪の成立が認められた事例

最高裁判所第一小法廷平成17年12月13日平成17(あ)204刑集 第59巻10号1938頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲社の増資の際,新株の引受人である乙社が,甲社から丙社,丙社から乙社へと順次融資により移動した甲社の資金により新株の払込みをし,上記融資により甲社が取得した丙社に対する債権が丙社との合意などから甲社の実質的な資産と評価することができないなど判示の事情の下においては,上記払込みは無効であり,甲社の商業登記簿の原本である電…
参照法条商法280条の7,刑法157条1項

母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成17年12月6日平成16(あ)2199刑集 第59巻10号1901頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は, 別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。(補足意見及び反対意見がある。)
参照法条刑法35条,刑法224条,民法818条,民法820条

定款に株式譲渡制限の定めのある非上場会社の一人株主がその全株式を同社の債務の担保のため譲渡担保に供するなどした後に同社の役員の解任及び選任等の株式会社変更登記申請を行い同社の商業登記簿の原本にその旨記載させた行為につき公正証書原本不実記載罪…

最高裁判所第二小法廷平成17年11月15日平成14(あ)1396刑集 第59巻9号1476頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨定款に株式譲渡制限の定めのある非上場会社の一人株主が,その全株式を同社の債務の担保のため譲渡担保に供した後に,同社の役員の解任及び選任等の株式会社変更登記申請を債権者の関与なく行い,同社の商業登記簿の原本にその旨記載させた行為は,上記譲渡担保の契約当事者の合理的な意思解釈として,株主共益権を債権者に帰属させる旨の合意が…
参照法条民法369条(譲渡担保),商法204条1項,商法241条1項,刑法157条1項

反目状態にあった男の運転する自動車に意図的に衝突されて自車が転覆したため同人とのけんか抗争等に備える目的で自車のダッシュボード内に入れておいた刃物を護身用にズボンのポケットに移し替えて自車からはい出した後に路上で携帯する行為について違法性が…

最高裁判所第三小法廷平成17年11月8日平成15(あ)163刑集 第59巻9号1449頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨反目状態にあった男とのけんか抗争等に備える目的で自車のダッシュボード内に入れておいた刃物を車外に持ち出した後に路上で携帯する行為は,同人運転の自動車に意図的に衝突されて自車が転覆し,車外にはい出す際に護身用にズボンのポケットに上記刃物を移し替えたという事情があることを考慮しても,その違法性が阻却される余地はない。
参照法条刑法35条,刑法36条1項,銃砲刀剣類所持等取締法22条,銃砲刀剣類所持等取締法32条4号

商社の代表取締役社長が行った巨額の融資につき特別背任罪における加害目的が認められた事例

最高裁判所第三小法廷平成17年10月7日平成14(あ)1431刑集 第59巻8号779頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨商社の代表取締役社長がその任務に違背して巨額の融資を行った場合において,融資実行の動機は同社の利益よりも自己らの利益を図ることにあり,同社に損害を加えることの認識,認容もあったなど判示の事実関係の下では,特別背任罪における図利目的はもとより加害目的をも認めることができる。
参照法条商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)486条1項,刑法247条

1 出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)5条2項所定の行為が反復累行された場合の罪数 2 貸金業の規制等に関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)47条2号,11条…

最高裁判所第一小法廷平成17年8月1日平成16(あ)2723刑集 第59巻6号676頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)5条2項所定の行為は,反復累行されても,特段の事情のない限り,個々の契約又は受領ごとに一罪が成立し,併合罪となる。 2 貸金業の規制等に関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)47条2号,11条1項に違反…
参照法条刑法45条,刑法54条1項,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)5条2項,貸金業の規制等に関する法律2条1項,貸金業の規制等に関する法律3条1項,貸金業の規制等に関する法律11条1…

治療の目的で救急患者から尿を採取して薬物検査をした医師の通報を受けて警察官が押収した上記尿につきその入手過程に違法はないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成17年7月19日平成17(あ)202刑集 第59巻6号600頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨医師が,治療の目的で救急患者の尿を採取して薬物検査をしたところ,覚せい剤反応があったため,その旨警察官に通報し,これを受けて警察官が上記尿を押収したなどの事実関係の下では(判文参照),警察官が上記尿を入手した過程に違法はない。
参照法条刑法134条1項,刑訴法218条1項,刑訴法239条,刑訴法317条

在留期間更新の申請をした後在留期間を経過した外国人が上記申請を不許可とする決定の通知が発出されたころ以降本邦に残留した行為につき不法残留罪が成立するとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成17年4月21日平成16(あ)1595刑集 第59巻3号376頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨在留期間更新の申請をした後在留期間を経過した外国人が上記申請を不許可とする決定の通知が発出されたころ以降本邦に残留した行為については,同人において,上記申請に当たり虚偽の申出をしたほか,審査のため入国管理局が求めた出頭要請等にも誠実に対応していないという本件事実関係(判文参照)の下では,上記通知の到達の有無や上記申請が…
参照法条出入国管理及び難民認定法21条,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前のもの)70条1項5号,刑法35条,刑法38条

恐喝の手段として監禁が行われた場合の罪数関係

最高裁判所第一小法廷平成17年4月14日平成16(あ)2077刑集 第59巻3号283頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨恐喝の手段として監禁が行われた場合であっても,両罪は,牽連犯の関係にはない。
参照法条刑法45条,刑法54条1項,刑法220条,刑法249条

自宅から隣家の被害者に向けて連日連夜ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け被害者に慢性頭痛症等を生じさせた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成17年3月29日平成16(あ)2145刑集 第59巻2号54頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自宅から隣家の被害者に向けて,精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら,連日連夜,ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして,被害者に精神的ストレスを与え,慢性頭痛症等を生じさせた行為(判文参照)は,傷害罪の実行行為に当たる。
参照法条刑法204条

1 刑訴法349条の2第1項に基づく求意見に対する回答について成人である被請求人から委任を受けた母親のした刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告の適否 2 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告について被請求人から権限の委任を受…

最高裁判所第一小法廷平成17年3月18日平成16(し)316刑集 第59巻2号38頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対し,成人である被請求人の母親は,被請求人から刑訴法349条の2第1項に基づく求意見に対する回答について委任を受けていたとしても,即時抗告をする権限を有しない。 2 刑の執行猶予言渡しの取消決定に対し,被請求人の母親は,被請求人から即時抗告に関する権限の委任を受けたとしても,被請求人を…
参照法条刑法26条,刑訴法349条,刑訴法349条の2,刑訴法355条

警視庁A警察署地域課に勤務する警察官が同庁B警察署刑事課で捜査中の事件に関して告発状を提出していた者から現金の供与を受けた行為につき収賄罪が成立するとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成17年3月11日平成15(あ)434刑集 第59巻2号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨警視庁A警察署地域課に勤務する警察官が,同庁B警察署刑事課で捜査中の事件に関して,告発状を提出していた者から,告発状の検討,助言,捜査情報の提供,捜査関係者への働き掛けなどの有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,現金の供与を受けたときは,同警察官が同事件の捜査に関与してい…
参照法条刑法197条1項,警察法64条

窃盗の犯人による事後の脅迫が窃盗の機会の継続中に行われたとはいえないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成16年12月10日平成16(あ)92刑集 第58巻9号1047頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨被害者方で財物を窃取した犯人が,だれからも発見,追跡されることなく,いったん同所から約1km離れた場所まで移動し,窃取の約30分後に再度窃盗をする目的で被害者方に戻った際に逮捕を免れるため家人を脅迫したなど判示の事実関係の下においては,その脅迫は,窃盗の機会の継続中に行われたものとはいえない。
参照法条刑法238条

1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人の氏名を冒書する行為と有印私文書偽造罪の成否 2 他人あての送達書類を廃棄するだけの意図で他人を装って受領する行為について詐欺罪における不法領得の意思が認められないとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成16年11月30日平成16(あ)761刑集 第58巻8号1005頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人である受送達者本人の氏名を冒書する行為は,同人名義の受領書を偽造したものとして,有印私文書偽造罪を構成する。 2 支払督促の債務者を装い郵便配達員を欺いて支払督促正本を受領することにより,送達が適式にされたものとして支払督促の効力を生じさせ,債務者から督促異議申立ての機会…
参照法条刑法159条1項,刑法161条1項,刑法246条1項,民訴法99条,民訴法109条,民訴法第7編督促手続,郵便法(平成14年法律第98号による改正前のもの)66条

高速道路上に自車及び他人が運転する自動車を停止させた過失行為と自車が走り去った後に上記自動車に後続車が追突した交通事故により生じた死傷との間に因果関係があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成16年10月19日平成15(あ)1346刑集 第58巻7号645頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲が,乙の運転態度に文句を言い謝罪させるため,夜明け前の暗い高速道路の第3通行帯上に自車及び乙が運転する自動車を停止させた過失行為は,自車が走り去ってから7,8分後まで乙がその場に乙車を停止させ続けたことなどの乙ら他人の行動等が介在して,乙車に後続車が追突する交通事故が発生した場合であっても,上記行動等が甲の上記過失行…
参照法条刑法第1編第7章 犯罪の不成立及び刑の減免,刑法211条1項

銀行の頭取が信用保証協会の役員と共謀して同協会に対する背任罪を犯したと認めるには合理的な疑いが残るとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成16年9月10日平成13(あ)347刑集 第58巻6号524頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨甲銀行の頭取乙が,丙信用保証協会の役員丁から,丙の基本財産の増強計画に基づき甲において負担金を拠出するよう依頼された際に,丁に対し,丙の甲に対する別件の保証債務につき免責を主張する丙の方針を見直して代位弁済に応ずるよう要請した結果,丁ら役員が丙の従前の方針を変更し,丙が代位弁済に応じた場合において,甲が上記負担金の拠出…
参照法条刑法60条,刑法65条,刑法247条

公園のベンチ上に置き忘れられたポシェットを領得した行為が窃盗罪に当たるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成16年8月25日平成16(あ)882刑集 第58巻6号515頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公園のベンチ上に置き忘れられたポシェットを領得した行為は,被害者がベンチから約27mしか離れていない場所まで歩いて行った時点で行われたことなど判示の事実関係の下では,窃盗罪に当たる。
参照法条刑法235条,刑法254条

1 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)8条の2の船籍簿と刑法157条1項にいう「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」 2 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政…

最高裁判所第二小法廷平成16年7月13日平成15(あ)1429刑集 第58巻5号476頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)8条の2の船籍簿は,刑法157条1項にいう「権利若しくは義務に関する公正証書の原本」に当たる。 2 小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)4条1項に基づく船籍票の内容虚偽の書…
参照法条刑法157条1項,小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)1条,小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(平成13年政令第383号による改正前のもの)2条,小型船舶の船籍及び総トン数の測…

1 被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合につき被害者を失神させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があるとされた事例 2 いわゆる早過ぎた結果の発生と殺人既遂の成否

最高裁判所第一小法廷平成16年3月22日平成15(あ)1625刑集 第58巻3号187頁
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裁判要旨1 クロロホルムを吸引させて失神させた被害者を自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合において,クロロホルムを吸引させて失神させる行為が自動車ごと海中に転落させる行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であり,失神させることに成功すれば,それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情が存しなかった…
参照法条刑法38条1項,刑法43条,刑法199条,刑法203条

被害者が暴行による傷害の治療中に医師の指示に従わなかったために治療の効果が上がらなかったとしても暴行と死亡との間に因果関係があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成16年2月17日平成15(あ)1716刑集 第58巻2号169頁
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裁判要旨暴行による傷害がそれ自体死亡の結果をもたらし得るものであった場合には,その治療中に被害者が医師の指示に従わず安静に努めなかったために治療の効果が上がらなかったという事情が介在したとしても,上記暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。
参照法条刑法第1編第7章 犯罪の不成立及び刑の減免,刑法205条

自殺させて保険金を取得する目的で被害者に命令して岸壁上から自動車ごと海中に転落させた行為が殺人未遂罪に当たるとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成16年1月20日平成14(あ)973刑集 第58巻1号1頁
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裁判要旨自動車の転落事故を装い被害者を自殺させて保険金を取得する目的で,極度に畏怖して服従していた被害者に対し,暴行,脅迫を交えつつ,岸壁上から車ごと海中に転落して自殺することを執ように要求し,被害者をして,命令に応じて車ごと海中に飛び込む以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせていたなど判示の事実関係の下においては…
参照法条刑法38条,刑法199条,刑法202条,刑法203条

司法書士に対し金銭消費貸借契約証書に基づく公正証書の作成の代理嘱託を依頼するに際して偽造の同契約証書を真正な文書として交付する行為と刑法161条1項にいう「行使」

最高裁判所第二小法廷平成15年12月18日平成15(あ)537刑集 第57巻11号1167頁
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裁判要旨司法書士に対し金銭消費貸借契約証書に基づく公正証書の作成の代理嘱託を依頼するに際して偽造の同契約証書を真正な文書として交付する行為は,刑法161条1項にいう「行使」に当たる。
参照法条刑法161条1項

自動車の保管場所の確保等に関する法律11条2項2号,17条2項2号の罪の主観的要件

最高裁判所第二小法廷平成15年11月21日平成15(あ)93刑集 第57巻10号1043頁
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裁判要旨自動車の保管場所の確保等に関する法律11条2項2号,17条2項2号の罪が成立するためには,行為者が,駐車開始時又はその後において,法定の制限時間を超えて駐車状態を続けることを,少なくとも未必的に認識することが必要である。
参照法条刑法38条1項,自動車の保管場所の確保等に関する法律11条2項2号,自動車の保管場所の確保等に関する法律17条2項2号

自動車内において覚せい剤を所持した罪と同車内にとび口を隠して携帯した罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成15年11月4日平成12(あ)1345刑集 第57巻10号1031頁
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裁判要旨自動車内において覚せい剤を所持した罪と同車内にとび口を隠して携帯した罪とは,覚せい剤がセカンドバッグに入れて持ち歩いていたものであり,とび口が同車内に積み置いていたものであることなど判示の事実関係の下においては,併合罪の関係にある。
参照法条刑法45条,刑法54条1項,覚せい剤取締法41条の2第1項,軽犯罪法1条2号

前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪であるが実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成する場合と前訴の確定判決による一事不再理効の範囲

最高裁判所第三小法廷平成15年10月7日平成14(あ)743刑集 第57巻9号1002頁
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裁判要旨前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪である場合には,両者が実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成するとしても,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。
参照法条刑訴法337条1号,刑法235条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条

正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体の名義で作成した行為が私文書偽造罪に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成15年10月6日平成14(あ)1164刑集 第57巻9号987頁
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裁判要旨正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体Aの名義で作成した行為は,上記文書が,一般人をして,その発給権限を有する団体であるAにより作成された正規の国際運転免許証であると信用させるに足りるものであるなど判示の事実関係の下では,団体Aから上記文書の作成を委託されていたとしても,私文書偽造罪に当たる。
参照法条刑法159条1項

暴行とその被害者が現場からの逃走途中に遭遇した交通事故による死亡との間に因果関係があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成15年7月16日平成15(あ)35刑集 第57巻7号950頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨暴行の被害者が現場からの逃走途中に高速道路に進入するという極めて危険な行動を採ったために交通事故に遭遇して死亡したとしても,その行動が,長時間激しくかつ執ような暴行を受け,極度の恐怖感を抱いて,必死に逃走を図る過程で,とっさに選択されたものであり,暴行から逃れる方法として,著しく不自然,不相当であったとはいえないなど判…
参照法条刑法第1編第7章 犯罪の不成立及び刑の減免,刑法205条

1 刑法47条の法意 2 刑訴法495条2項2号にいう「上訴審において原判決が破棄されたとき」の意義

最高裁判所第一小法廷平成15年7月10日平成15(あ)60刑集 第57巻7号903頁
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裁判要旨1 刑法47条は,併合罪のうち2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは,同条が定めるところに従って併合罪を構成する各罪全体に対する統一刑を処断刑として形成し,その範囲内で各罪全体に対する刑を決することとした規定であって,併合罪の構成単位である各罪について個別的な量刑判断を行うことは,法律上予定されていない。…
参照法条刑法21条,刑法47条,刑訴法495条2項

1 刑法110条1項にいう「公共の危険」の意義 2 市街地の駐車場において放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだことなどをもって刑法110条1項にいう「公共の危険」の発生が認められた事例

最高裁判所第三小法廷平成15年4月14日平成13(あ)1317刑集 第57巻4号445頁
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裁判要旨1 刑法110条1項にいう「公共の危険」は,同法108条〈異なる種類の株式〉及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険に限られるものではなく,不特定又は多数の人の生命,身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる。 2 市街地の駐車場において,放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだことなど判示の事実関…
参照法条刑法110条1項

1 「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」の意義 2 薬物犯…

最高裁判所第二小法廷平成15年4月11日平成13(あ)1683刑集 第57巻4号403頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは,薬物犯罪の構成要件に該当する行為自体によって犯人が取得した財産をいう。 2 薬物犯罪を遂行す…
参照法条国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成11年法律第136号による改正前のもの)2条3項,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図…

質権設定者が質入れした株券につき除権判決を得て失効させ質権者に損害を加えた場合と背任罪の成否

最高裁判所第三小法廷平成15年3月18日平成11(あ)941刑集 第57巻3号356頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨株式を目的とする質権の設定者が,質入れした株券について虚偽の申立てにより除権判決を得て株券を失効させ,質権者に損害を加えた場合には,背任罪が成立する。
参照法条刑法247条,商法207条,商法(平成14年法律第44号による改正前のもの)230条,公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律769条

日本人である妻と別居中の外国人が妻において監護養育していた子を母国に連れ去る目的で有形力を用いて連れ出した行為について国外移送略取罪が成立するとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成15年3月18日平成14(あ)805刑集 第57巻3号371頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨日本人である妻と別居中のオランダ国籍の者が,妻において監護養育していた2歳4か月の子をオランダに連れ去る目的で入院中の病院から有形力を用いて連れ出した判示の行為は,国外移送略取罪に該当し,その者が親権者の1人として子を自分の母国に連れ帰ろうとしたものであることを考慮しても,その違法性は阻却されない。
参照法条刑法35条,刑法226条1項

誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否

最高裁判所第二小法廷平成15年3月12日平成10(あ)488刑集 第57巻3号322頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。
参照法条刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)246条1項,民法666条

販売される商品の品質に対する社会的な信頼と刑法233条にいう「信用」

最高裁判所第三小法廷平成15年3月11日平成14(あ)1198刑集 第57巻3号293頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨販売される商品の品質に対する社会的な信頼は,刑法233条にいう「信用」に含まれる。
参照法条刑法233条

公務員が請託を受けて公正取引委員会の委員長に対し同委員会が調査中の審査事件を告発しないように働き掛けることとあっせん収賄罪の成否

最高裁判所第二小法廷平成15年1月14日平成13(あ)884刑集 第57巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨公務員が,請託を受けて,公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反の疑いで調査中の審査事件について,同委員会の委員長に対し,これを告発しないように働き掛けることは,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)197条ノ4にいう「職務上相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク」あっせんすることに当たる。
参照法条刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)197条ノ4,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)198条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律73条1項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律96条1項

1 東京都による動く歩道の設置に伴う環境整備工事が威力業務妨害罪にいう「業務」に当たるとされた事例 2 東京都による動く歩道の設置に伴う環境整備工事に威力業務妨害罪としての要保護性が肯定された事例

最高裁判所第一小法廷平成14年9月30日平成10(あ)1491刑集 第56巻7号395頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 東京都が都道である通路に動く歩道を設置するため,通路上に起居する路上生活者に対して自主的に退去するよう説得して退去させた後,通路上に残された段ボール小屋等を撤去することなどを内容とする環境整備工事は,自主的に退去しなかった路上生活者が警察官によって排除,連行された後,その意思に反して段ボール小屋を撤去した場合であっ…
参照法条刑法234条

暴行態様,傷害の内容,死因等の表示が概括的であっても傷害致死罪の訴因の特定に欠けるところはないとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成14年7月18日平成13(あ)318刑集 第56巻6号307頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨「被告人は,単独又は甲及び乙と共謀の上,平成9年9月30日午後8時30分ころ,福岡市a区所在のビジネス旅館Ab階c号室において,被害者に対し,その頭部等に手段不明の暴行を加え,頭蓋冠,頭蓋底骨折等の傷害を負わせ,よって,そのころ,同所において,頭蓋冠,頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。」と…
参照法条刑法205条,刑訴法256条3項

窃盗等の被害者を相手方として盗品等の有償の処分のあっせんをする場合と盗品等処分あっせん罪の成否

最高裁判所第一小法廷平成14年7月1日平成13(あ)1728刑集 第56巻6号265頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨窃盗等の被害者を相手方として盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は,刑法256条2項にいう盗品等の「有償の処分のあっせん」に当たる。
参照法条刑法256条2項

窃盗犯人による暴行が窃盗の機会の継続中に行われたものとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成14年2月14日平成12(あ)411刑集 第56巻2号86頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨窃盗犯人が他人の居宅で財物を窃取した後もその天井裏に潜み,犯行の約3時間後に駆け付けた警察官に対し逮捕を免れるため暴行を加えたなど判示の事実関係の下においては,その暴行は窃盗の機会の継続中に行われたものというべきである。
参照法条刑法238条,刑法240条

消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合の罪責

最高裁判所第三小法廷平成14年2月8日平成13(あ)1341刑集 第56巻2号71頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合には,同係員を欺いて同カードを交付させた点につき詐欺罪が成立し,同カードを利用して現金自動入出機から現金を引き出した点につき窃盗罪が成立する。
参照法条刑法235条,刑法246条1項

刑事未成年者に指示命令して強盗を実行させた者につき強盗の共同正犯が成立するとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成13年10月25日平成12(あ)1859刑集 第55巻6号519頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨A子が生活費欲しさから強盗を計画し,12歳10か月の長男Bに指示命令して強盗を実行させた場合においても,当時Bには是非弁別の能力があり,A子の指示命令はBの意思を抑圧するに足る程度のものではなく,Bは自らの意思によりその実行を決意した上,臨機応変に対処して強盗を完遂し,Bが奪ってきた金品をすべてA子が領得したなど判示の…
参照法条刑法41条,刑法60条,刑法61条,刑法236条1項

1 わいせつな画像データを記憶,蔵置させたいわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハードディスクと刑法175条のわいせつ物 2 刑法175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」の意義 3 いわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハー…

最高裁判所第三小法廷平成13年7月16日平成11(あ)1221刑集 第55巻5号317頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 わいせつな画像データを記憶,蔵置させたいわゆるパソコンネットのホストコンピュータのハードディスクは,刑法175条が定めるわいせつ物に当たる。 2 刑法175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」とは,その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいい,わいせつな内容を特段の行為を要することな…
参照法条刑法175条

1 殺害の日時・場所・方法の判示が概括的で実行行為者の判示が択一的であっても殺人罪の罪となるべき事実の判示として不十分とはいえないとされた事例 2 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に訴因変更手続を経ることなく訴因と異…

最高裁判所第三小法廷平成13年4月11日平成11(あ)423刑集 第55巻3号127頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨1 殺害の日時・場所・方法の判示が概括的なものである上,実行行為者の判示が「A又は被告人あるいはその両名」という択一的なものであっても,その事件が被告人とAの2名の共謀による犯行であるときには,殺人罪の罪となるべき事実の判示として不十分とはいえない。 2 殺人罪の共同正犯の訴因において実行行為者が明示された場合に,それ…
参照法条刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)60条,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)199条,刑訴法256条3項,刑訴法335条1項,刑訴法312条1項,刑訴法312条2項

捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立するとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成13年2月9日平成12(あ)1006刑集 第55巻1号76頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨けん銃を適合実包と共に携帯して所持し発射した者が,捜査機関に発覚する前に,これらの犯行に及んだことを捜査機関に申告した場合は,その際,使用したけん銃について虚偽の事実を述べるなどしたとしても,刑法42条1項の自首が成立する。
参照法条刑法42条1項

トンネル型水路内に周辺の河川からあふれ出た水が流れ込むのを防止する目的で設置された構造物の管理担当者に同水路内にいた請負人の作業員らを退避させる措置を採るべき注意義務があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成13年2月7日平成10(あ)677刑集 第55巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨県が発注したトンネル型水路部分を含む水路建設工事につき,トンネル内に周辺の河川からあふれ出た水が流れ込むのを防止する目的で構造物が設置され,当該構造物が周辺の河川からあふれ出た水の水圧で決壊することを予見することができたなど判示の事実関係の下においては,当該構造物の管理を担当する県職員は,決壊による危険を回避するため,…
参照法条刑法211条前段

鉄道トンネル内における電力ケーブルの接続工事を施工した業者につきトンネル内での火災発生の予見可能性が認められた事例

最高裁判所第二小法廷平成12年12月20日平成10(あ)579刑集 第54巻9号1095頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨鉄道トンネル内における電力ケーブル接続工事に際し、施工資格を有してその工事に当たった者が、ケーブルに特別高圧電流が流れる場合に発生する誘起電流を接地するための接地銅板を接続器に取り付けることを怠ったため、誘起電流が大地に流されずに、接続器本体の半導電層部に流れて炭化導電路を形成し、長期間にわたり同部分に集中して流れ続け…
参照法条刑法117条の2,刑法211条

公園予定地の一部に無権原で簡易建物を構築するなどした行為が不動産の侵奪に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成12年12月15日平成12(あ)451刑集 第54巻9号923頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨東京都の公園予定地の一部に、無権原で、角材を土台とし、要所に角材の柱を立て、多数の角材等からなる屋根部分を接合し、周囲をビニールシート等で覆うなど容易に倒壊しない骨組みを有する簡易建物を構築し、相当期間退去要求にも応じなかった行為(判文参照)は、不動産の侵奪に当たる。
参照法条刑法235条の2

虚偽の氏名等を記載した履歴書等を作成行使した行為が有印私文書偽造、同行使罪に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成11年12月20日平成9(あ)1227刑集 第53巻9号1495頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨虚偽の氏名等を記載した履歴書及び雇用契約書等を作成行使した行為は、たとえ自己の顔写真がはり付けられ、あるいは各文書から生ずる責任を免れようとする意思を有していなかったとしても、有印私文書偽造、同行使罪に当たる。
参照法条刑法159条1項,刑法161条1項

所有者による現実の支配管理が困難になった土地上に大量の廃棄物を堆積させた行為につき不動産侵奪罪が成立するとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成11年12月9日平成9(あ)1054刑集 第53巻9号1117頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨所有者による現実の支配管理が困難になった土地について、一定の利用権を有する者が、その利用権限を超えて地上に大量の廃棄物を堆積させ、容易に原状回復をすることができないようにしたときは、所有者の占有を排除し自己の支配下に移したものとして、不動産侵奪罪が成立する。
参照法条刑法235条の2

一 確定判決が科刑上一罪として処断した一部の罪について無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見した場合と刑訴法四三五条六号の再審事由 二 確定判決が詳しく認定判示した犯行の態様の一部に事実誤認のあることが明らかになった場合と刑訴法四三五条六号の…

最高裁判所第三小法廷平成10年10月27日平成7(し)49刑集 第52巻7号363頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 確定判決が科刑上一罪として処断した一部の罪について無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見した場合は、その罪が最も重い罪ではないときであっても、刑訴法四三五条六号の再審事由に該当する。 二 確定判決が詳しく認定判示した犯行の態様の一部に事実誤認のあることが判明した場合であっても、そのことにより罪となるべき事実の存在に合…
参照法条刑訴法435条6号,刑法54条1項

裁判所に対する虚偽の賃貸借契約書の提出と競売入札妨害罪の成否

最高裁判所第二小法廷平成10年7月14日平成10(あ)385刑集 第52巻5号343頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨不動産競売の開始決定がされた不動産について、その売却の公正な実施を阻止するため所有者との間で右決定より前に短期賃貸借契約が締結されていた旨の内容虚偽の賃貸借契約書を裁判所に提出したときは、偽計による競売入札妨害罪が成立する。
参照法条刑法96条の3

一 けん銃の譲渡しと譲受けの周旋の意義 二 けん銃の譲渡しと譲受けの周旋の罪とその譲渡し又は譲受けの罪の幇助罪との関係

最高裁判所第三小法廷平成10年2月13日平成9(あ)980刑集 第52巻1号1頁
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裁判要旨一 銃砲刀剣類所持等取締法三一条の一五にいうけん銃の譲渡しと譲受けの周旋とは、譲渡人と譲受人との間で譲渡し、譲受けが行われるよう仲介することをいい、譲渡人又は譲受人の一方からの依頼を受けて他方に働きかけ、その者が応じた場合も周旋に当たる。 二 銃砲刀剣類所持等取締法三一条の一五の周旋行為によってけん銃の譲渡が実現したと…
参照法条銃砲刀剣類所持等取締法3条の7,銃砲刀剣類所持等取締法3条の10,銃砲刀剣類所持等取締法31条の4第1項,銃砲刀剣類所持等取締法31条の15,刑法62条1項

一 申告納税に関する事務を担当していない従業者と所得税法二四四条一項にいう「使用人その他の従業者」 二 所得税法二四四条一項所定の従業者の身分のない者が従業者と共謀して所得税ほ脱の違反行為に加功した場合における所得税ほ脱の共同正犯の成否

最高裁判所第二小法廷平成9年7月9日平成8(あ)637刑集 第51巻6号453頁
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裁判要旨一 所得税法二四四条一項にいう「使用人その他の従業者」は、所得の計算や所得税確定申告書の作成などの申告納税に関する事務を担当する従業者に限定されない。 二 所得税法二四四条一項所定の従業者の身分のない者が従業者と共謀して所得税ほ脱の違反行為に加功した場合、その身分のない者には、刑法(平成七年法律第九一号による改正前のも…
参照法条所得税法238条1項,所得税法244条1項,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)65条1項

一 刑法三六条一項にいう「急迫不正の侵害」が終了していないとされた事例 二 過剰防衛に当たるとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成9年6月16日平成9(あ)152刑集 第51巻5号435頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 文化住宅の二階便所にいた被告人を鉄パイプで殴打した上逃げ出した後を追い掛けて殴り掛かろうとしていた相手方を、被告人が二階通路から外側の道路上に転落させる行為に及んだ当時、相手方において、勢い余って二階手すりの外側に上半身を前のめりに乗り出した姿勢となったものの、なおも鉄パイプを握り続けるなどその加害の意欲がおう盛か…
参照法条刑法36条

尊属傷害致死罪の成立を認めた控訴審判決言渡し後に施行された刑法の一部を改正する法律(平成七年法律第九一号)によって尊属傷害致死罪が廃止されたときと刑訴法四一一条五号にいう「刑の変更」

最高裁判所第一小法廷平成8年11月28日平成6(あ)1021刑集 第50巻10号827頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの)二〇五条二項の尊属傷害致死罪の成立を認めた控訴審判決言渡し後に施行された刑法の一部を改正する法律(平成七年法律第九一号)によって尊属傷害致死罪が廃止されたときは、刑訴法四一一条五号にいう「刑の変更」に当たる。
参照法条刑法(平成7年法律91号による改正前のもの)6条,刑法205条,刑法(平成7年法律91号による改正前のもの)205条2項,刑法の一部を改正する法律(平成7年法律91号)附則2条1項,刑訴法411条5号

正犯の実行行為が日本国内で行われた場合における日本国外で幇助行為をした者と刑法一条一項

最高裁判所第一小法廷平成6年12月9日平成5(あ)465刑集 第48巻8号576頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨日本国外で幇助行為をした者であっても、正犯が日本国内で実行行為をした場合には、刑法一条一項の「日本国内ニ於テ罪ヲ犯シタル者」に当たる。
参照法条刑法1条1項,刑法62条1項

複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び侵害終了後になおも一部の者が暴行を続けた場合において侵害終了後に暴行を加えていない者について正当防衛が成立するとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成6年12月6日平成2(あ)335刑集 第48巻8号509頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨急迫不正の侵害に対し、複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、侵害が終了した後に、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、侵害終了後に暴行を加えていない者については、侵害現在時における暴行について防衛行為としての相当性が認められ、侵害終了後の暴行について共謀が認められないという判示の事実関係の下においては、過剰防…
参照法条刑法36条

入学選抜試験の答案と刑法一五九条一項にいう事実証明に関する文書

最高裁判所第三小法廷平成6年11月29日平成5(あ)498刑集 第48巻7号453頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨入学選抜試験の答案は、刑法一五九条一項にいう事実証明に関する文書に当たる。
参照法条刑法159条1項

一 証券取引法(昭和六三年法律第七五号による改正前のもの)一二五条二項一号後段の意義 二 証券取引法(昭和六三年法律第七五号による改正前のもの)一二五条二項一号後段違反の罪及び同条三項違反の罪と刑法六五条一項にいう身分によって構成すべき犯罪

最高裁判所第三小法廷平成6年7月20日昭和63(あ)1102刑集 第48巻5号201頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨一 証券取引法(昭和六三年法律第七五号による改正前のもの)一二五条二項一号後段は、有価証券の相場を変動させるべき一連の売買取引等のすべてを違法とするものではなく、人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず、投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものであると誤認させて有価証券市場における有価証券の売買取…
参照法条証券取引法80条2項,証券取引法(昭和63年法律75号による改正前のもの)107条,証券取引法(昭和63年法律75号による改正前のもの)125条2項1号後段,証券取引法(昭和63年法律75号による改正前のもの)125条3項,証券取引法(昭和…

窃盗犯人が所有者以外の者の占有する財物を窃取した場合における刑法二四四条一項の適用と同項の親族関係

最高裁判所第二小法廷平成6年7月19日平成6(あ)234刑集 第48巻5号190頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨窃盗犯人が所有者以外の者の占有する財物を窃取した場合において、刑法二四四条一項が適用されるためには、同項所定の親族関係が、窃盗犯人と財物の占有者との間のみならず、所有者との間にも存することを要する。
参照法条刑法244条1項

盗犯等の防止及び処分に関する法律一条一項の正当防衛の成立要件

最高裁判所第二小法廷平成6年6月30日平成6(し)71刑集 第48巻4号21頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨盗犯等の防止及び処分に関する法律一条一項の正当防衛が成立するためには、当該行為が形式的に同条項の要件を満たすだけでなく、現在の危険を排除する手段として相当性を有するものであることが必要であり、ここにいう相当性とは刑法三六条一項における侵害に対する防衛手段としての相当性よりも緩やかなものを意味する。
参照法条盗犯等の防止及び処分に関する法律1条1項,刑法36条1項

少年補導員が刑法一九五条一項にいう警察の職務を補助する者に当たらないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成6年3月29日平成4(し)120刑集 第48巻3号1頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨大阪府警察本部通達に基づいて警察署長から委嘱を受け、非行少年等の早期発見・補導等を行う少年補導員(判文参照)は、警察署長から私人としての協力を依頼され、警察官と連携しつつ少年の補導等を行うものであって、警察の職務を補助する職務権限を何ら有するものではなく、刑法一九五条一項にいう警察の職務を補助する者に当たらない。
参照法条刑法195条1項,刑訴法262条1項

制限速度を超過した状態で継続して自動車を運転した場合の二地点における速度違反の行為が併合罪の関係にある別罪を構成するとされた事例

最高裁判所第二小法廷平成5年10月29日平成3(あ)602刑集 第47巻8号98頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨制限速度を超過した状態で継続して普通乗用自動車を運転し、二地点を進行した場合、右二地点間の距離が約一九・四キロメートルも離れており、その間道路状況等も変化している本件事案(判文参照)においては、右二地点における速度違反の行為は併合罪の関係にある別罪を構成する。
参照法条道路交通法4条1項,道路交通法22条1項,道路交通法118条1項2号,道路交通法施行令1条の2第1項,刑法45条

自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して「弁護士甲」の名義で文書を作成した所為が私文書偽造罪に当たるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成5年10月5日平成5(あ)135刑集 第47巻8号7頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して、「弁護士甲」の名義で弁護士の業務に関連した形式、内容の文書を作成した所為は、たとえ名義人として表示された者の氏名が自己の氏名と同一であったとしても、私文書偽造罪に当たる。
参照法条刑法159条1項

夜間潜水の講習指導中受講生ができ死した事故につき指導補助者及び受講生の不適切な行動が介在した場合でも指導者の行為と受講生の死亡との間に因果関係があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷平成4年12月17日平成4(あ)383刑集 第46巻9号683頁
位置づけ最高裁 / 刑集登載
裁判要旨海中における夜間潜水の講習指導中、指導者が不用意に受講生らのそばから離れて同人らを見失い、受講生が圧縮空気タンク内の空気を使い果たしてでき死するに至った事故について、右受講生は潜水経験に乏しく技術が未熟であり、指導補助者もその経験が極めて浅かったことなどの本件の事実関係(判文参照)の下においては、指導補助者及び受講生の…
参照法条刑法第1編第7章,刑法211条(平成3年法律31号による改正前のもの)

最高裁 / 民集登載6件

新聞社が通信社からの配信に基づき自己の発行する新聞に記事を掲載するに当たり当該記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由があるといえる場合

最高裁判所第一小法廷平成23年4月28日平成21(受)2057民集 第65巻3号1499頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨新聞社が,通信社からの配信に基づき,自己の発行する新聞に記事を掲載した場合において,少なくとも,当該通信社と当該新聞社とが,記事の取材,作成,配信及び掲載という一連の過程において,報道主体としての一体性を有すると評価することができるときは,当該通信社が当該配信記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由があるの…
参照法条民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項

名誉毀損の成否が問題となっている法的な見解の表明と意見ないし論評の表明

最高裁判所第一小法廷平成16年7月15日平成15(受)1793民集 第58巻5号1615頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨名誉毀損の成否が問題となっている法的な見解の表明は,判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても,事実を摘示するものとはいえず,意見ないし論評の表明に当たる。
参照法条民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項

1 テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについての判断基準 2 テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかについての判断基準 3 テレビジョン放送をされた報道番組によっ…

最高裁判所第一小法廷平成15年10月16日平成14(受)846民集 第57巻9号1075頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨1 テレビジョン放送をされた報道番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきである。 2 テレビジョン放送をされた報道番組によって摘示された事実がどのようなものであるかについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準とし,その番組の全体的な…
参照法条民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項

通信社から配信を受けた記事をそのまま掲載した新聞社にその内容を真実と信ずるについて相当の理由があるとはいえないとされた事例

最高裁判所第三小法廷平成14年1月29日平成7(オ)1421民集 第56巻1号185頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨新聞社が通信社から配信を受けて自己の発行する新聞紙にそのまま掲載した記事が私人の犯罪行為やスキャンダルないしこれに関連する事実を内容とするものである場合には,当該記事が取材のための人的物的体制が整備され,一般的にはその報道内容に一定の信頼性を有しているとされる通信社から配信された記事に基づくものであるとの一事をもって,…
参照法条民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項

名誉毀損の行為者が刑事第一審の判決を資料として事実を適示した場合と右事実を真実と信ずるについての相当の理由

最高裁判所第三小法廷平成11年10月26日平成9(オ)411民集 第53巻7号1313頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨名誉毀損の行為者において刑事第一審の判決を資料としてその認定事実と同一性のある事実を真実と信じて摘示した場合には、特段の事情がない限り、摘示した事実を真実と信ずるについて相当の理由がある。
参照法条民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項

一 特定の事実を基礎とする意見ないし論評の表明による名誉毀損において行為者が右事実を真実と信ずるにつき相当の理由がある場合の不法行為の成否 二 名誉毀損の成否が問題となっている新聞記事における事実の摘示と意見ないし論評の表明との区別 三 特…

最高裁判所第三小法廷平成9年9月9日平成6(オ)978民集 第51巻8号3804頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 特定の事実を基礎とする意見ないし論評の表明による名誉毀損について、その行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあって、表明に係る内容が人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない場合に、行為者において右意見等の前提としている事実の重要な部分を真実と信ずるにつき相当の理由が…
参照法条民法709条,民法710条,刑法230条の2第1項