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法律行為/代理

代理の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

代理は、代理人が本人のために行った意思表示の効力を本人に帰属させる仕組みで、民法99条から118条は代理行為の要件や瑕疵の判断基準、代理人の権限の範囲、復代理、代理権の濫用や自己契約・双方代理、表見代理、無権代理の処理までを定めています。実務担当者は、誰にどこまでの代理権があるか、その権限や代理権自体が消滅していないか、そして無権代理だった場合に相手方・本人がとれる手段を確認する場面でこの一連の条文を参照します。

代理
場面条文効果
顕名して代理行為99条本人に直接効力
顕名しない代理行為100条自己のためとみなす
瑕疵の有無の判断101条代理人を基準に判断
制限行為能力者が代理人102条行為能力の制限で取消不可
権限の定めなし103条保存・利用改良行為のみ
任意代理の復代理人選任104条許諾かやむを得ぬ事由が必要
法定代理の復代理人選任105条自己の責任で選任できる
代理権の濫用107条相手方悪意・有過失で無権代理
自己契約・双方代理108条原則無権代理とみなす
授与表示の表見代理109条範囲内は原則本人が責任
権限外の表見代理110条正当理由あれば本人が責任
代理権の消滅事由111条本人・代理人の死亡等
消滅後の表見代理112条善意無過失の第三者に責任
無権代理の契約113条追認なければ本人に無効
相手方の催告権114条期間内確答なければ拒絶
相手方の取消権115条追認前なら取消せる
追認の効果116条契約時に遡って効力
無権代理人の責任117条履行または損害賠償
単独行為の無権代理118条相手方同意等の場合のみ
  • 自己契約・双方代理でも、債務の履行や本人があらかじめ許諾した行為は無権代理とみなされない(108条1項ただし書)
  • 代理人と本人の利益が相反する行為も、本人があらかじめ許諾していれば無権代理とみなされない(108条2項ただし書)
  • 代理権授与の表示や代理権消滅後の行為が範囲外だった場合、第三者に正当な理由があるときに限り本人が責任を負う(109条2項・112条2項)
  • 委任による代理権は、本人・代理人の死亡等のほか委任の終了によっても消滅する(111条2項)
  • 無権代理人は、相手方が悪意・有過失だったときや自身が制限行為能力者だったときは履行・損害賠償の責任を負わない(117条2項)
  • 特定の行為を委託された代理人が知っていた事情は、本人が知らなかったと主張できない。本人が過失で知らなかった事情も同様(101条3項)
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代理

代理について、条文は何を定めているか。

第99条代理行為の要件及び効果顕名した意思表示は本人に直接効力2項判例 13件
  • 本人のためにすることを示してした意思表示は本人に直接効力が生じる
  • 相手方が代理人にした意思表示にも同じ扱いが準用される
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第100条本人のためにすることを示さない意思表示顕名しなければ自己のためとみなす1項判例 5件
  • 本人のためと示さない意思表示は代理人自身の行為とみなされる
  • 相手方が代理人の意図を知っていた・知り得たときは本人に効力が生じる
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第101条代理行為の瑕疵意思表示の瑕疵は代理人基準で判断3項判例 2件
  • 錯誤・詐欺・強迫等の有無は代理人について判断する
  • 相手方が代理人にした意思表示も代理人の認識等で判断する
  • 委託行為で代理人が知らない事情、本人は知っていたと主張できない
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第102条代理人の行為能力制限行為能力者も代理人になれる1項判例なし
  • 制限行為能力者が代理人としてした行為は行為能力の制限で取消せない
  • 他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は取消せる
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第103条権限の定めのない代理人の権限権限の定めがない代理人の権限範囲1項・2号判例 3件
  • 保存行為のみできる
  • 物・権利の性質を変えない範囲での利用・改良行為もできる
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第104条任意代理人による復代理人の選任任意代理人が復代理人を選ぶ条件1項判例 2件
  • 本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときに限り選任できる
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第105条法定代理人による復代理人の選任法定代理人は復代理人を自由に選任可1項判例なし
  • 自己の責任で復代理人を選任できる
  • やむを得ない事由で選任した場合は選任・監督についての責任のみ
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第106条復代理人の権限等復代理人は本人を直接代表する2項判例なし
  • 復代理人はその権限内の行為について本人を代表する
  • 本人・第三者に対して代理人と同一の権利義務を持つ
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第107条代理権の濫用自分の利益を図る代理は無権代理扱い1項判例 3件
  • 代理人が自己・第三者の利益を図る目的で権限内の行為をした場合
  • 相手方がその目的を知り、または知り得たときは無権代理とみなす
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第108条自己契約及び双方代理等自己契約・双方代理・利益相反は原則無効2項判例 9件
  • 相手方の代理人や双方の代理人としてした行為は無権代理とみなす
  • 債務の履行や本人があらかじめ許諾した行為は例外
  • 代理人と本人の利益相反行為も原則無権代理、本人の事前許諾は例外
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第109条代理権授与の表示による表見代理等代理権を与えたと表示した場合の責任2項判例 15件
  • 他人に代理権を与えた旨を表示した者はその範囲内の行為に責任を負う
  • 第三者が無権代理と知り、または過失で知らなかったときは責任を負わない
  • 表示の範囲外の行為は第三者に正当な理由があるときのみ責任を負う
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第110条権限外の行為の表見代理権限外の行為でも正当理由があれば責任1項判例 33件
  • 代理人の権限外の行為でも、第三者に正当な理由があれば本人が責任を負う
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第111条代理権の消滅事由代理権が消滅する場合2項・2号判例 4件
  • 本人の死亡で消滅する
  • 代理人の死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判で消滅する
  • 委任による代理権は委任の終了でも消滅する
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第112条代理権消滅後の表見代理等代理権消滅後も表見代理が成立しうる2項判例 13件
  • 消滅の事実を知らなかった第三者には消滅後の行為でも責任を負う
  • 第三者が過失で知らなかったときは責任を負わない
  • 消滅前の代理権の範囲外の行為は正当な理由があるときのみ責任を負う
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第113条無権代理無権代理契約は本人の追認が必要2項判例 20件
  • 代理権のない者がした契約は本人が追認しなければ本人に効力を生じない
  • 追認・拒絶は相手方にしなければ対抗できない(相手方が知った時を除く)
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第114条無権代理の相手方の催告権相手方は本人に追認の催告ができる1項判例なし
  • 相当の期間を定めて追認するかどうかの確答を求める催告ができる
  • 期間内に確答がなければ追認を拒絶したものとみなす
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第115条無権代理の相手方の取消権相手方は追認前なら契約を取り消せる1項判例 1件
  • 本人が追認をしない間は相手方が契約を取り消せる
  • 契約時に無権代理と相手方が知っていたときは取り消せない
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第116条無権代理行為の追認追認は契約時に遡って効力を生じる1項判例 10件
  • 別段の意思表示がなければ契約の時にさかのぼって効力が生じる
  • 第三者の権利を害することはできない
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第117条無権代理人の責任無権代理人は履行か賠償の責任を負う2項・3号判例 16件
  • 代理権を証明できず本人の追認も得られないとき、相手方の選択で履行か損害賠償の責任
  • 相手方が無権代理を知っていた・過失で知らなかったときは責任を負わない
  • 代理人として契約した者が制限行為能力者だったときも責任を負わない
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第118条単独行為の無権代理単独行為の無権代理は準用が限定的1項判例なし
  • 相手方が無権代理に同意した、または代理権を争わなかったときに限り113条〈無権代理〉から117条〈無権代理人の責任〉を準用
  • 相手方の同意を得て単独行為をしたときも同様に準用される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第99条民法

所有者から財産の管理・処分を受任した者が自己の名においてした財産処分の効力

裁判要旨所有者から財産の管理・処分を受任した者がみずからの名においてした財産処分の効力は所有者に及ぶ。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年12月16日 昭和50(オ)559
登載
集民 第119号315頁
参照法条
民法99条,民法100条,民法560条
論点2第99条民法

顧客が外務員を通じて商品取引業者に商品先物取引の委託をした場合において外務員に顧客の代理権がないとされた事例

裁判要旨顧客が、自己の氏名を秘匿し他人名義を使用して商品取引業者に商品先物取引の委託をした場合において、右委託が大部分外務員を通じてのみ行われた場合であつても、当該外務員が右他人名義を利用して手張り行為を行い、顧客も警戒して委託証拠金を妻名義にし、かつ、清算時における損金が同証拠金額の範囲内にとどまるよう制限したなど原判示の事実関係のもとでは、右取引委託につき外務員が顧客の代理人として行為したものとは認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月3日 昭和48(オ)553
登載
集民 第116号179頁
参照法条
商品取引所法94条,民法99条
論点3第99条民法

代理受領を承認した債務者が当該債務を本人に支払つた場合に不法行為の成立が認められた事例

裁判要旨甲の乙に対する手形金債権を担保する目的で、乙が丙に対する請負代金債権の代理受領を甲に委任し、丙が甲に対し右代理受領を承認しながら、請負代金を乙に支払つたため、甲が手形金債権の満足を受けられなくなつた場合において、丙が右承認の際担保の事実を知つていたなど原判示の事情(原判決理由参照)があるときは、丙は、甲に対し過失による不法行為責任を負う。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年3月4日 昭和41(オ)611
登載
民集 第23巻3号561頁
参照法条
民法99条,民法709条
論点4第99条民法

一、商法第五〇四条本文の法意
二、商法第五〇四条但書にいう「履行ノ請求」に伴う法律関係

裁判要旨一、商法第五〇四条本文は、本人のための商行為の代理については、代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効力を生ずるものとして、いわゆる顕名主義に対する例外を認めたものである。
二、相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかつたときは、商法第五〇四条但書によつて、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、相手方が、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人粗手方間の法律関係を主張することができない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和43年4月24日 昭和41(オ)10
登載
民集 第22巻4号1043頁
参照法条
商法504条,民法99条1項,民法100条
論点5第99条民法

一定の販売代理権を与えられた個人経営の店舗の使用人が店主所有の商品を自己の小遣銭を得る目的で店舗外で第三者に売り渡した場合につき店主の買主に対する所有権に基づく返還請求権の成立を否定した判断に審理不尽ないし理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨個人経営の時計店の責任者として店舗内における修理販売に従事するほか商品を携帯して外交販売をする権限を与えられた使用人が、自己の小遣銭を得る目的で同一人に対し多数回にわたり店主所有の時計類一四四点を店舗外で時価に比し不当に廉価に売り渡した場合に、店主たる原告が、被告たる買主が質商であること、右買受けに際しては買主は使用人がほしいままに商品を持ち出して売却するものであることを知つていたこと等(判決理由参照)を主張しているのに、右は該使用人が自己の業務上占有する商品を不当に廉価に販売したにすぎないとして、売渡行為が代理行為としてなされたか否か、代理権の範囲に属するか否か等について審理することなく、ただちに店主の買主に対する使用人の窃取行為を理由とする所有権に基づく返還請求を排斥したことは審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年1月18日 昭和41(オ)1416
登載
集民 第90号1頁
参照法条
民法99条,民訴法394条
論点6第99条民法

代理人の権限濫用の行為と民法第九三条

裁判要旨代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであつた場合にかぎり、民法第九三条〈心〉但書の規定を類推適用して、本人はその行為についての責に任じないと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年4月20日 昭和39(オ)1025
登載
民集 第21巻3号697頁
参照法条
民法93条,民法99条
論点7第99条民法

不動産の処分を委ねられた者が自己の名で譲渡した場合本人に効力が及ぶか

裁判要旨不動産の処分を委ねられた者が、代理の形式によらず自己の名で該不動産を第三者に譲渡した場合でも、所有権は本人から該第三者に移転する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月1日 昭和41(オ)60
登載
集民 第85号481頁
参照法条
民法99条
論点8第99条民法

還付請求権の代理関係が供託書に表示されていない場合の弁済供託の効力

裁判要旨共同売主たる甲乙に対する代金金額の供託が供託物還付請求権者甲のみの表示をもつてなされ、乙との関係が供託書上に何ら表示されていないとしても、乙が右売買取引に関する一切の代理権を甲に与えている以上、該供託は右代金債務全部に対する弁済供託としての効力を有するものと解して妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年10月21日 昭和40(オ)1304
登載
集民 第84号679頁
参照法条
民法99条,民法479条,供託法9条
論点9第99条民法

代理人の名を示さず本人の名においてなした行為は代理行為として有効か

裁判要旨代理人が自己の名を示さず本人の名においてなした行為も代理行為として有効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年10月18日 昭和40(オ)49
登載
集民 第84号583頁
参照法条
民法99条
論点10第99条民法

他人名義の手形署名を行なう場合の法律関係。

裁判要旨手形の署名自体は、事実行為であつて意思表示ではないから、これにつき代理はありえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月10日 昭和40(オ)749
登載
集民 第81号405頁
参照法条
手形法8条,民法99条
論点11第99条民法

代理権授与の代理権の存在を肯定した事例。

裁判要旨父が子に代り子所有建物について一切の管理処分をなす権限を有していた場合に、父が第三者に対し子の代理名義で右建物を他に担保に供する代理権を授与する権限をも与えられていたものと認めることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月24日 昭和37(オ)1443
登載
集民 第73号389頁
参照法条
民法99条
論点12第99条民法

代理人が「本人ノ為メニスルコト」を表示して意思表示をしたと認められた事例。

裁判要旨代理人が本人のためにする意思をもつて買受契約を締結する当時は、本人のためにすることを明示しなかつたが、後に代金を支払うときには、買主が本人であることを明らかにする等判示のような事情があるときは、「本人ノ為メニスルコト」を表示して契約をしたものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年10月27日 昭和38(オ)295
登載
集民 第75号1021頁
参照法条
民法99条,民法100条
論点13第99条民法

売買契約締結の代理人と契約取消の意思表示を受ける権限の有無

裁判要旨売買契約締結の代理権を授与された者は、特段の事情がないかぎり、相手方から、旧民法第八八七条に基く当該売買契約取消の意思表示を受ける権限をも有するものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年2月13日 昭和31(オ)144
登載
民集 第13巻2号105頁
参照法条
民法99条
論点14第100条民法

本人のためにすることを示さないでした代理人による弁済供託と民法一〇〇条〈本人のためにすることを示さない意思表示〉但書の適用

裁判要旨供託者が、債務者の代理人としてする意思で、本人のためにすることを表示することなく、債権者を被供託者として弁済供託をした場合、被供託者において本人のためにされたものであることを知り又は知りうべきであつたときは、右弁済供託は債務者より債権者に対するものとしての効力を有する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年11月20日 昭和46(オ)279
登載
集民 第116号489頁
参照法条
民法100条,民法494条,民法495条
論点15第100条民法

民法第一〇〇条〈本人のためにすることを示さない意思表示〉但書、商法第五〇四条の主張責任。

裁判要旨民法第一〇〇条〈本人のためにすることを示さない意思表示〉但書、商法第五〇四条の適用を主張する当事者は、その要件事実につき主張責任がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月5日 昭和39(オ)274
登載
集民 第78号45頁
参照法条
民訴法186条,民法100条但書,商法504条
論点16第101条民法

即時取得と法人の善意・無過失

裁判要旨法人における民法一九二条の善意・無過失は、その法人の代表者について決するが、代理人が取引行為をしたときは、その代理人について決すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年11月21日 昭和45(オ)84
登載
民集 第26巻9号1657頁
参照法条
民法101条,民法192条
論点17第101条民法

不当利得と法人の悪意。

裁判要旨法人の使用人(A支所長事務取扱)が法人の目的の範囲外の取引をしたことに基き、法人に不当利得ありとされる場合において、右利得につき右使用人の悪意を以て法人の悪意とすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年5月13日 昭和26(オ)298
登載
民集 第9巻6号679頁
参照法条
民法704条,民法43条,民法53条,民法101条
論点18第103条民法

一、上告審と無権代理人の訴訟行為の追認
二、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人の上訴権限

裁判要旨一、権限のある代理人は、上告審において、上告審および控訴審における無権代理人の訴訟行為を追認することができる。
二、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、民法二八条〈管理人の権限〉所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対し控訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審判決に対し上告を提起する権限を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年9月1日 昭和46(オ)474
登載
民集 第26巻7号1289頁
参照法条
民訴法50条,民訴法54条,民訴法87条,民訴法395条2項,民法28条,民法103条
論点19第103条民法

家事審判規則一〇六条一項の相続財産管理人の応訴権限

裁判要旨家庭裁判所が家事審判規則一〇六条一項により選任する相続財産管理人は、相続財産に関して提起された訴につき、相続人の法定代理人として、家庭裁判所の許可なくして応訴することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年7月6日 昭和46(オ)773
登載
民集 第26巻6号1133頁
参照法条
民法28条,民法103条,民法907条2項,家事審判規則106条1項
論点20第103条民法

一 戦災による損害回避の目的をもつてする家屋及物件の売却換価は保存行為にあたるか
二 民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の代理権ありと信ずべき正当の理由に当らない一事例

裁判要旨一 戦災による滅失を見越し、害屋及物件を売却することは、たとえ罹災による損害を回避し経済的価値保存の目的に出でた場合であつても財産自体の性質上の滅損を防止する場合と異り、保存行為にはあたらない。
二 夫が応召不在中、妻が無断で夫を代理し夫所有の家屋及物件の売買契約を締結した場合、たとえ当時妻が夫の印章を保管しこれを使用していた事実があつたとしても、買主において夫が応召不在中であることを知つていたときは、買主は、右売買契約の締結につき妻に夫を代理する権限ありと信ずべき正当の理由があるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年12月28日 昭和24(オ)348
登載
民集 第7巻13号1683頁
参照法条
民法103条,民法110条
論点21第104条民法

復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡した場合と復代理人の本人に対する受領物引渡義務

裁判要旨本人代理人間で委任契約が締結され、代理人復代理人間で復委任契約が締結された場合において、復代理人が委任事務を処理するにあたり受領した物を代理人に引き渡したときは、特別の事情がない限り、復代理人の本人に対する受領物引渡義務は消滅する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年4月9日 昭和49(オ)1026
登載
民集 第30巻3号208頁
参照法条
民法104条,民法107条2項,民法646条1項
論点22第104条民法

一 代理人の代理人について表見代理が成立すると認められた事例
二 基本たる行為に関係のない行為と民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の表見代理の成立

裁判要旨一 復代理人を選任しえない場合に、原審が復代理人が適法に選任されたと判断したことは違法であるが、原判示事実関係(原判決理由参照)に照らせば、代理人が復代理人としてではなく自己の代理人を選任したものと解する余地があり、右代理人の代理人について代理人のため、また、代理人について本人のため、順次民法第一一〇条の表見代理が成立し、したがつて、本人は代理人の代理人の行為について責を負うものと解すべきである。
二 民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の規定は、代理人の基本たる行為がその代理権のある事項と関係があると否とにかかわらず適用があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年6月28日 昭和39(オ)76
登載
集民 第83号951頁
参照法条
民法104条,民法110条
論点23第107条民法

受寄者の復受寄者に対する出荷停止の指図がその間の定めによれば無効である場合に復受寄者のした出荷と寄託者に対する債務不履行の成否

裁判要旨受寄者が復受寄者に対してした電話による出荷停止の指図がその間の寄託契約に適用される復受寄者の倉庫寄託約款の定めによれば方式違背として無効である場合には、復受寄者が右指図に反してした出荷は、寄託者に対する関係においても債務不履行とはならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月18日 昭和58(オ)1199
登載
集民 第147号557頁
参照法条
民法107条2項,民法658条2項
論点24第107条民法

問屋が受託事務を再委託した場合と民法第一〇七条第二項の準用の有無

裁判要旨物品販売の委託を受けた問屋が他の問屋にこれを再委託した場合、再委託を受けた問屋と委託者本人との間に民法第一〇七条第二項を準用すべきでない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年10月12日 昭和27(オ)915
登載
民集 第10巻10号1260頁
参照法条
商法552条2項,民法107条2項
論点25第108条民法

当事者の訴訟代理人である弁護士が行政事件訴訟法四五条、二三条によつて参加した行政庁の訴訟代理人を兼ねる場合と民法一〇八条、弁護士法二五条

裁判要旨当事者の訴訟代理人である弁護士が行政事件訴訟法四五条、二三条によつて参加した行政庁の訴訟代理人を兼ねたとしても、民法一〇八条〈自己契約及び双方代理等〉、弁護士法二五条に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年5月28日 昭和53(行ツ)124
登載
集民 第127号11頁
参照法条
行政事件訴訟法23条,行政事件訴訟法45条,民法108条,弁護士法25条
論点26第108条民法

一、双方代理により振り出された約束手形と振出完成の時期
二、民法一〇八条〈自己契約及び双方代理等〉に違反して振り出された約束手形の第三取得者に対する本人の手形上の責任

裁判要旨一、約束手形の振出人の代理人と受取人の代表者とが同一人であつて、手形の振出につき双方代理行為が成立するときは、振出行為の完成を留保すべき特段の事情のないかぎり、振出人の代理人として法定の形式に従つて手形の作成をおえた時に振出行為が完成し、その後は受取人の代表者の資格において手形を所持するにいたるものと解すべきである。
二、民法一〇八条〈自己契約及び双方代理等〉に違反して約束手形が振り出された場合において、右手形が第三者に裏書譲渡されたときは、右第三者に対しては、本人は、その手形が双方代理行為によつて振り出されたものであることについて第三者が悪意であつたことを主張・立証しないかぎり、振出人としての責任を免れない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年4月4日 昭和43(オ)813
登載
民集 第26巻3号373頁
参照法条
民法108条,手形法75条,手形法8条
論点27第108条民法

連帯保証債務に関する公正証書作成につき債権者が連帯保証人の白紙委任状に基づきその代理人を選任してなされた場合に公正証書が有効とされた事例

裁判要旨連帯保証債務に関する公正証書の作成につき、債権者が連帯保証人の白紙委任状に基づきその代理人を選任してなされた場合であつても、右公正証書記載の執行約款をも含めて契約条項が既に当事者間において予めとりきめられ右代理人は単に右条項を公正証書に作成するためのみの代理人であり、新たな契約条項を決定するものでないときは、右代理人の選任は民法一〇八条に違反せず、公正証書は有効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年3月24日 昭和44(オ)1160
登載
集民 第98号455頁
参照法条
民法108条,民訴法545条
論点28第108条民法

執行認諾約款付公正証書の作成が民法第一〇八条本文に違反しないとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月7日 昭和43(オ)21
登載
集民 第91号241頁
参照法条
民法108条,民訴法559条
論点29第108条民法

登記申請の双方代理と弁護士法第二五条第一号

裁判要旨弁護士が登記申請の双方代理をしても、その弁護士の行為は、特段の事由のないかぎり、弁護士法第二五条第一号に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年3月8日 昭和42(オ)901
登載
民集 第22巻3号540頁
参照法条
弁護士法25条1号,民法108条
論点30第108条民法

公正証書の作成が民法第一〇八条本文の法意に反しないとされた事例。

裁判要旨執行受諾条項を含めて当事者間の合意をもつてすでに決定された内容どおりの契約を締結してその旨の公正証書を作成する場合には、一人が当事者双方を代理しても、民法第一〇八条〈自己契約及び双方代理等〉の法意に反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年9月7日 昭和37(オ)204
登載
集民 第62号413頁
参照法条
民法108条
論点31第108条民法

双方代理と本人の同意。

裁判要旨契約当事者の一方の代理人が同時に相手方のため代理行為をなした場合であつても、予め相手方の同意があるときは、右代理行為は有効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年10月23日 昭和35(オ)884
登載
集民 第62号937頁
参照法条
民法108条
論点32第108条民法

公正証書にいわゆる執行約款を附することを認諾する行為と民法第一〇八条〈自己契約及び双方代理等〉の不適用

裁判要旨債務者が公正証書に債務不履行の場合はただちに強制執行を受けても異議がない旨の、いわゆる執行約款を附することを認諾する行為は、訴訟行為であつて、これに対しては、当然には民法第一〇八条の適用はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年6月1日 昭和24(オ)159
登載
民集 第5巻7号367頁
参照法条
民法108条
論点33第108条民法

1 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結と民法108条〈自己契約及び双方代理等〉の類推適用
2 普通地方公共団体の議会が長による民法108条に違反する契約締結行為を追認した場合における当該行為の法律効果の帰属
3 市の事業である博覧会の開催運営等を行った財団法人と市との間でされた博覧会の施設等の売買契約の締結につき市長等に裁量権の逸脱,濫用があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨1 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結には,民法108条〈自己契約及び双方代理等〉が類推適用される。
2 普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表するとともに相手方を代理し又は代表して契約を締結した場合において,議会が長による上記行為を追認したときは,民法116条〈無権代理行為の追認〉の類推適用により,当該普通地方公共団体に法律効果が帰属する。
3 市の事業である博覧会の準備及び開催運営を行うことを唯一の目的として設立された財団法人が上記事務を行ったが,博覧会の入場料収入等だけではその開催運営経費を賄いきれないことから,市がその収支の赤字を回避する目的で当該法人との間で博覧会の施設及び物品を買い受ける旨の契約を締結したことにつき,市が当該法人に博覧会の具体的な準備及び開催運営を行うことをゆだねたものとして両者間に実質的にみて準委任的な関係が存したものと解する余地があり,市に上記赤字を補てんする法的義務があると解する余地も否定することができないという事情の下においては,博覧会の準備及び開催運営に関する両者の関係の実質,当該法人が行った博覧会の準備及び開催運営の内容並びにこれに関して支出された費用の内訳を確定することなく,市長及びその代決者に裁量権の逸脱,濫用があるとした原審の判断には,違法がある。
(1につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年7月13日 平成12(行ヒ)96
登載
民集 第58巻5号1368頁
参照法条
地方自治法(平成11年法律第87号による改正前のもの)96条,地方自治法147条,地方自治法149条,地方自治法(平成14年法律第152号による改正前のもの)234条,民法108条,民法113条1項,民法116条,民法650条,民法656条
論点34第109条民法

一 民法一一七条二項〈無権代理人の責任〉にいう「過失」と重大な過失

二 無権代理人が民法一一七条一項所定の責任を免れる事由として表見代理の成立を主張することの許否

裁判要旨一 民法一一七条二項〈無権代理人の責任〉にいう「過失」は、重大な過失に限定されるものではない。

二 無権代理人は、民法一一七条一項所定の責任を免れる事由として、表見代理の成立を主張することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和62年7月7日 昭和60(オ)289
登載
民集 第41巻5号1133頁
参照法条
民法109条,民法110条,民法113条,民法117条1項,民法117条2項
論点35第109条民法

団体の名目的な代表者となることを団体の事業を専行処理している他人に許諾した場合におしてその他人が団体名義で第三者とした取引と民法の表見代理に関する規定及び商法二三条の規定の類推適用の有無

裁判要旨権利能力なき社団又は財団としての実態をも有しない団体の名目的な代表者となることを、その団体の事業を専行処理している甲に対して許諾したにすぎない乙は、甲が右団体名義で第一者とした取引につき、その取引の実質は乙と右第三者との取引に等しいものであることが甲と右第三者との間において了解されていたというような特段の事情のない限り、民法の表見代理に関する規定及び商法二三条の規定の類推適用によつて右取引についての責任を負うものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年3月28日 昭和50(オ)428
登載
集民 第123号297頁
参照法条
民法109条,民法110条,民法112条,商法23条
論点36第109条民法

不動産の処分に関する白紙委任状等の転得者がその書類を濫用した場合と民法一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の適用の有無

裁判要旨債務者甲が債権者乙との間に甲所有の不動産について抵当権設定契約を締結し、甲が乙に対し右抵当権設定登記手続のため白紙委任状等の書類を交付して右登記手続を委任した場合でも、とくになんびとが右書類を行使しても差し支えない趣旨でこれを交付したものでないかぎり、乙がさらに右書類を丙に交付し、丙が右書類を濫用して甲代理人名義で丁との間に右不動産について抵当権設定契約を締結したときは、甲は、民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉にいわゆる「第三者ニ対シ他人ニ代理権ヲ与ヘタル旨ヲ表示シタル者」にあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月14日 昭和50(オ)715
登載
集民 第116号481頁
参照法条
民法109条
論点37第109条民法

公正証書の作成嘱託と表見代理

裁判要旨公正証書の作成嘱託については、表見代理の法理の適用はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年2月27日 昭和47(オ)557
登載
集民 第108号241頁
参照法条
民法109条,民法110条,民法112条
論点38第109条民法

白紙委任状および売渡証書などが濫用された場合に民法一〇九条、一一〇条の適用があるとされた事例

裁判要旨甲が、その所有の不動産を乙に売り渡し、乙の代理人丙を介して白紙委任状、名宛人白地の売渡証書など登記関係書類を交付したところ、右不動産の所有権を取得した乙から、これを丁所有の不動産と交換することを委任されて右各書類の交付を受けた丙が、これを濫用し、甲の代理人名義で丁との間で交換契約を締結したときは、丁において丙に代理権があると信じたことに正当の理由があるかぎり、甲は、丁に対し民法一〇九条、一一〇条によつて右契約につき責に任ずべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年7月28日 昭和44(オ)174
登載
民集 第24巻7号1203頁
参照法条
民法109条,民法110条
論点39第109条民法

一、会社の訴訟上の代表者の確定と民法一〇九条、商法二六二条の適用の有無
二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合の措置

裁判要旨一、民法一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉、商法二六二条は、会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。
二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合には、原告に対し訴状の補正を命じさせるため、事件を第一審裁判所に差し戻すべきであり、ただちに訴を不適法として却下すべきではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 昭和45(オ)112
登載
民集 第24巻13号2072頁
参照法条
民訴法58条,民訴法45条,民訴法388条,民訴法389条,民法109条,商法262条
論点40第109条民法

公正証書に記載される執行受諾の意思表示と民法一〇九条、一一〇条の適用の有無

裁判要旨公正証書に記載される執行受諾の意思表示については、民法一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉、一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉は適用または準用されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年10月31日 昭和44(オ)756
登載
集民 第97号159頁
参照法条
民法109条,民法110条
論点41第109条民法

強制執行受諾条項づきの公正証書作成嘱託と民法第一〇九条の適用の有無

裁判要旨強制執行受諾条項づきの公正証書作成嘱託については、民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の適用はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年7月13日 昭和41(オ)1432
登載
集民 第88号23頁
参照法条
民法109条,民訴法599条3号
論点42第109条民法

白紙委任状および印鑑証明書などが交付された場合に民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の適用が認められた事例

裁判要旨甲が、乙の消費貸借債務を保証するため、丙またはその委任する第三者に右保証契約締結の代理権を与える目的で、自己の白紙委任状および印鑑証明書などを丙に交付した場合において、乙が丙から右白紙委任状などの交付を受けてこれを利用し、みずから甲の代理人として貸主と連帯保証契約を締結したときは、甲は民法第一〇九条にいう「第三者ニ対シテ他人ニ代理権ヲ与ヘタル旨ヲ表示シタル者」にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月10日 昭和42(オ)264
登載
民集 第21巻9号2417頁
参照法条
民法109条
論点43第109条民法

民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の表見代理の成立が認められた事例

裁判要旨甲会社営業部責任者が松本市内において店舗を賃借し、乙をこれに常駐させ、長野県下の工事注文の獲得に尽力させており、乙は、右店舗の入口に「甲会社Dセンター」と表示し、右名称を刻したゴム印を同所に備えつけ、自己の氏名に右センター所長の肩書を付し、かつ甲会社の本店等の所在電話番号を付した名刺を作成使用していたものであり、右店舗の表示については甲会社もこれを許容し、甲会社営業部第二課長も乙が甲会社のための木材購入にあたり、右名刺を使用することを認容していた等、判示の事情があるときは、甲会社は乙に対し資材受注の代理権を付与したものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年5月17日 昭和40(オ)1266
登載
集民 第83号531頁
参照法条
民法109条
論点44第109条民法

一 代理行為の相手方の悪意又は過失と民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の責任の有無
二 民法第一〇九条の表見代理行為の相手方に過失があるとされた事例

裁判要旨一 民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の代理権授与表示者が、代理行為の相手方の悪意または過失を主張・立証した場合には、同条所定の責任を免れることができる。
二 甲が代理権を乙に授与した旨表示し、乙が、甲の代理人として、丙と甲所有の不動産について根抵当権を設定する旨の契約を締結した場合において、乙が右不動産の権利証、甲の白紙委任状及び印鑑証明書等を所持していたとしても、右契約は乙が代表取締役である丁会社の丙に対する債務を担保する目的で締結されたものであり、丙は右不動産を評価する目的で甲方を訪れたことがあるのに、乙の権限について確めなかつた等判示のような事情があるときは、丙が乙に右契約締結の代理権があると信じたことには過失があるというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月22日 昭和39(オ)264
登載
民集 第20巻4号752頁
参照法条
民法109条
論点45第109条民法

不動産の処分に関する白紙委任状等の転得者がその書類を濫用した場合と民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の適用の有無。

裁判要旨債務者甲が債権者乙との間に甲所有の不動産について抵当権設定契約を締結し、甲が乙に対し右抵当権設定登記手続のため白紙委任状等の書類を交付して右登記手続を委任した場合でも、とくになんびとが右書類を行使しても差し支えない趣旨でこれを交付したものでないかぎり、乙がさらに右書類を丙に交付し、丙が右書類を濫用して甲代理人名義で丁との間に右不動産について抵当権設定契約を締結したときは、甲は、民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉にいわゆる「第三者ニ対シ他人ニ代理権ヲ与ヘタル旨ヲ表示シタル者」にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年5月23日 昭和38(オ)789
登載
民集 第18巻4号621頁
参照法条
民法109条
論点46第109条民法

民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の表見代理の成立と第三者の重過失の要否

裁判要旨民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉の表見代理の成立につき、第三者が重大な過失なくして代理権ありと信じたことを要する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年4月26日 昭和34(オ)872
登載
集民 第60号401頁
参照法条
民法109条
論点47第109条民法

「東京地方裁判所厚生部」のした取引と同裁判所の責任。

裁判要旨一般に官庁の部局をあらわす文字である「部」と名付けられ、裁判所庁舎の一部を使用し、現職の職員が事務を執つていた「東京地方裁判所厚生部」は、東京地方裁判所の一部局としての表示力を有するものと認めるべきであり、東京地方裁判所当局が同部の事業の継続処理を認めた以上、これにより同裁判所は、「厚生部」のする取引が自己の取引なるかのごとく見える外形を作り出したものというべく、善意無過失の相手方に対し、「厚生部」のした取引につき自ら責に任ずべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和35年10月21日 昭和31(オ)835
登載
民集 第14巻12号2661頁
参照法条
民法109条,商法23条
論点48第109条民法

無権限の署名代理による手形振出と民法第一〇九条の適用の有無

裁判要旨甲が乙から手形振出の代理権を与えられたものと誤信し、その権限がないのに乙の記名印および認印を使用して、乙名義の手形を振り出した場合には、右手形は無権代理行為として振り出されたものであつて、民法第一〇九条〈代理権授与の表示による表見代理等〉は、この場合にも適用があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年2月7日 昭和30(オ)71
登載
民集 第11巻2号227頁
参照法条
手形法7条,手形法8条,民法109条
論点49第110条民法

一 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条にいう「善意」の意義
二 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条の「善意」の主張・立証責任
三 漁業協同組合の理事の行為と民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用

裁判要旨一 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条にいう「善意」とは、理事の代表権に制限を加える定款の規定又は総会の決議の存在を知らないことをいうと解すべきである。
二 水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条の「善意」の主張・立証責任は第三者にあるものと解すべきである。
三 第三者が水産業協同組合法四五条の準用する民法五四条にいう善意であるとはいえない場合であつても、第三者において、漁業協同組合の理事が当該具体的行為につき同組合を代表する権限を有するものと信じ、かつ、このように信じるにつき正当の理由があるときは、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉を類推適用し、同組合は右行為につき責任を負うものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年11月29日 昭和57(オ)1392
登載
民集 第39巻7号頁
参照法条
水産業協同組合法45条,民法53条,民法54条,民法110条
論点50第110条民法

民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいう「正当ノ理由」がないとされた事例

裁判要旨他人所有の不動産について、その地人を代理して同不動産を譲渡担保に供し、自ら金員を借用した者が、右契約締結に際し、同不動産を担保として他から金融を受け入れることに関する契約書、同不動産の登記済権利証、所有者の白紙委任状、印鑑証明書等を所持しているなどの事情があつたとしても、相手方において、貸付金の半額以上が自称代理人自身の用途に充てられるものであることを知つており、他方前記契約書には同不動産を担保とする資金の借入を必要とする者はもつぱら不動産所有者自身である旨が記載されていたなど判示の事情のもとにおいては、相手方が自称代理人の代理権の有無について直接所有者に問い合わせるなどの調査をしないで、その代理人に右契約を締結する権限があると信じたのは、特段の事情のない限り、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいう「正当ノ理由」があるものとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年5月25日 昭和51(オ)51
登載
集民 第124号31頁
参照法条
民法110条
論点51第110条民法

手形行為の表見代理における第三者

裁判要旨民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉に第三者とあるのは代理人と法律行為をした直接の相手方をいうものと解すべきであり、権限のない者の振り出した約束手形につき、本人が民法一一〇条に基づき振出人とし,ての責任を負うべきときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れえないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月9日 昭和52(オ)487
登載
集民 第122号313頁
参照法条
民法110条,手形法8条
論点52第110条民法

民法上の組合所有の不動産を理事名義に登記することを承諾した組合員が組合から右不動産を譲り受けたのちも理事名義のままにしておいた場合とその後理事の意思に基づいて経由された所有権移転登記どおり名義人が所有者であると信じた第三者に対する責任

裁判要旨民法上の組合が不動産を取得するにあたり理事名義に所有権移転登記を経由することを承諾した組合員甲が、組合から右不動産を譲り受けたのちも理事所有名義のままにしておいた場合において、さらに理事の意思に基づいて第三者乙に対する所有権移転登記が経由されたときは、甲は、乙の所有権取得の無効をもつて善意無過失の第三者丙に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年12月8日 昭和51(オ)858
登載
集民 第122号303頁
参照法条
民法94条2項,民法110条
論点53第110条民法

電気器具の販売会社が継続的商取引上の債権担保のため保証人本人の実印の押してある本人名義の契約書と本人の印鑑証明書とを持参した代理人との間で連帯根保証契約を締結した場合に民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の正当理由があるとはいえないとされた事例

裁判要旨電気器具の販売会社が取引先に対する債権担保のため保証人の代理人との間で保証契約を締結した場合において、右保証は継続的商取引から生ずる一切の債務についての保証期間及び保証限度額の定めがない連帯根保証であり、右代理人は主債務者である取引先の代表取締役であるほか、相手方の要求にもかかわらず実父に連帯保証人となつてもらえなかつたなど判示の事情があつたときは、右代理人が本人の実印の押してある本人名義の契約書と本人の印鑑証明書とを持参したとしても、それだけでは、相手方において右保証契約の締結が本人の意思に基づくものであると信ずるにつき民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいう正当な理由があるということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年6月25日 昭和50(オ)978
登載
民集 第30巻6号665頁
参照法条
民法110条
論点54第110条民法

代物弁済として不動産を譲渡した場合における民法一一〇条の正当の理由

裁判要旨債務者が代理人として本人の所有不動産を自己の債務の弁済に代え債権者に譲渡した場合において、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいわゆる第三者としての債権者が債務者に代理権があると信ずべき正当の理由の存否は、債務者がその所有権移転登記手続をした時又は右登記に必要な書類を債権者に交付してその義務の履行を終了した時に存在する諸般の事情を考慮して判断すべきものである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月24日 昭和50(オ)170
登載
集民 第115号99頁
参照法条
民法110条,民法482条
論点55第110条民法

弁護士たる市長でありかつては本人たる株式会社の設立発起人であつた代理人のした越権代理につき表見代理が否定された事例

裁判要旨弁護士たる市長でありかつては本人たる株式会社の設立発起人であつた代理人が土地買入に際し権限を越えて特約を締結したとしても、右特約が売買契約において通常予想されない異質異例の条項であり、かつ、右代理人に仲介考的色彩がある等判示の事情のもとにおいては、相手方が代理人に右特約締結権限があると信ずべき正当の理由があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年7月16日 昭和48(オ)359
登載
集民 第112号195頁
参照法条
民法110条
論点56第110条民法

金融機関の支店長代理と支店内において債務の弁済の充当について合意をした者と民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉

裁判要旨金融機関の支店長代理と支店内において債務の弁済の充当について合意をした者には、特別の事情のないかぎり、支店長代理に右合意をする権限があると信ずべき正当の理由がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年10月24日 昭和47(オ)431
登載
民集 第28巻7号1512頁
参照法条
民法110条
論点57第110条民法

民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいう「正当ノ理由」がないとされた事例

裁判要旨自称代理人が、金融業者から金融を受け、その債務を担保するため本人所有の農地につき抵当権設定契約及び条件付売買契約を締結するにあたり、本人の実印の押捺された金銭消費貸借並びに抵当権設定証書、農地法三条一項による許可申請書、登記のための委任状及び本人の印鑑証明書を提出したけれども、目的農地の登記済権利証を提出せず、貸主は本人の遠縁にあたり直接本人に対し代理権限の有無を確めえたと推測される場合に、貸主がこれを怠り、自称代理人に右契約を締結する権限があると信じたとしても、そのように信じたことに過失がなかつたとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年12月24日 昭和46(オ)88
登載
集民 第110号817頁
参照法条
民法110条
論点58第110条民法

仮装の仮登記をする意思で甲の署名押印した書類を乙がほしいままに用いてした所有権移転登記と甲の第三者に対する責任

裁判要旨甲が、乙と相通じ、仮装の所有権移転請求権保全の仮登記手続をする意思で、乙の提示した所有権移転登記手続に必要な書類に、これを仮登記手続に必要な書類と誤解して署名押印したところ、乙がほしいままに右書類を用いて所有権移転登記手続をしたときは、甲は、乙の所有権取得の無効をもつて善意・無過失の第三者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年11月28日 昭和46(オ)803
登載
民集 第26巻9号1716頁
参照法条
民法94条2項,民法110条
論点59第110条民法

登記申請の権限と民法一一〇条の表見代理における基本代理権

裁判要旨本人から登記申請を委任されてこれに必要な権限を与えられた者が右権限をこえて第三者と取引行為をした場合において、その登記申請が本人の私法上の契約による義務の履行のためになされるものであるときは、その権限を基本代理権として、右第三者との問の行為につき民法一一〇条を適用し、表見代理の成立を認めることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年6月3日 昭和45(オ)305
登載
民集 第25巻4号455頁
参照法条
民法110条
論点60第110条民法

民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉および一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉による表見代理につき相手方に過失がないとされた事例

裁判要旨債権者甲信用金庫、債務者乙間の元本六〇万円の準消費貸借契約に関し、丙が丁の代理人として右債務につき連帯保証をした場合において、丁がかつて丙に他の契約の補正に関連して実印を交付し代理権を与えたことがあつたにすぎず、右連帯保証につき代理権を与えたことがなかつたとしても、甲は右連帯保証がされる約一年二か月前に丁の連帯保証のもとに借主を乙名義として丙に四〇万円を貸与した際、直接丁に保証の意思を確かめたことがあり、かつ、その際、契約書に押捺された丁の印影が右準消費貸借の連帯保証における丁の印影と同一である等判示の事情があつたときは、甲が後の連帯保証に際し直接丁に保証の意思を確かめなかつたとしても、特段の事情がないかぎり、甲が丙に代理権ありと信ずるにつき正当の理由があり、かつ、過失はないものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年4月20日 昭和45(オ)707
登載
集民 第102号513頁
参照法条
民法110条,民法112条
論点61第110条民法

基本代理権が詐欺によつて授与された場合と表見代理の成否

裁判要旨基本代理権が代理人の詐欺によつて授与された場合においても、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の表見代理は、これによつてその成立を妨げられない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年3月16日 昭和45(オ)272
登載
集民 第102号249頁
参照法条
民法110条
論点62第110条民法

一、民法七六一条〈日常の家事に関する債務の連帯責任〉と表見代理
二、妻の日常家事代理権の範囲内に属するとは認められない事例

裁判要旨一、昭和四三年(オ)第九七一号同四四年一二月一八日第一小法廷判決(民集の二三巻三号二四七六頁)と同旨。
二、原審確定の事実関係のもとでは、妻が夫を代理して本件手形貸付取引契約(注、妻の知人が上告人信用金庫から貸付をうける取引契約である)の連帯保証をなす権限が、妻の日常家事代理権の範囲内に属するとは認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年2月27日 昭和44(オ)1274
登載
集民 第98号327頁
参照法条
民法716条,民法110条
論点63第110条民法

無権代理行為が追認されたのちに無権代理人が新たに無権代理行為をした場合と民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の類推適用

裁判要旨無権代理人甲が乙の代理人と称して丙と締結した抵当権設定契約を乙が追認したのち、甲が乙の代理人と称して丁と抵当権設定契約を締結した場合において、丁が甲に乙を代理して右抵当権設定契約をする権限があると信ずべき正当の事由を有するときは、乙は、民法一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉および一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の類推適用により、甲のした抵当権設定契約につき責に任じなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 昭和42(オ)1391
登載
民集 第24巻13号2230頁
参照法条
民法110条,民法112条
論点64第110条民法

一、民法七六一条〈日常の家事に関する債務の連帯責任〉と夫婦相互の代理権
二、民法七六一条と表見代理

裁判要旨一、民法七六一条〈日常の家事に関する債務の連帯責任〉は、夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解すべきである。
二、夫婦の一方が民法七六一条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に同法一一〇条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年12月18日 昭和43(オ)971
登載
民集 第23巻12号2476頁
参照法条
民法761条,民法110条
論点65第110条民法

手形偽造に民法第一一〇条の類推適用があるとされた事例

裁判要旨無権限者が機関方式により手形を振り出し本人名義の手形を偽造した場合であつても、右の手形振出が本人から付与された代理権の範囲をこえてなされたものであり、かつ、手形受取人において右無権限者が本人名義で手形を振り出す権限ありと信ずるにつき正当の理由がある等原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、本人は、民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用により、右の手形について振出人としての責に任ずる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和41(オ)1204
登載
民集 第22巻13号3382頁
参照法条
手形法8条,手形法77条2項,民法110条
論点66第110条民法

いわゆる署名代理の方法により振り出された約束手形を本人みずから振り出したものと信じた場合における民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用の有無。

裁判要旨代理人が代理権の範囲を越えいわゆる署名代理の方法により振り出した約束手形について、受取人においてこれを本人みずから振り出した手形であると信じ、かつ、そのように信ずるにつき正当の理由があつたときは、本人は、民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用により、振出人としての責に任ずると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年9月15日 昭和37(オ)232
登載
民集 第18巻7号1435頁
参照法条
民法110条,手形法8条
論点67第110条民法

超権代理人による手形の振出と民法第一一〇条の第三者。

裁判要旨約束手形が代理人によりその権限を超越して振り出された場合に、民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉により、本人の手形の責任が生ずるためには、手形受取人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべき正当の理由を有するときに限るのであって、右受取人にかかる事由のないときは、たとい、その後の手形所持人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべき正当の理由を有していたとしても、同条を適用して右所持人に対する手形上の責任を振出人本人に負担させることはできないと解すべきである(大正一三年(オ)第六〇一号同一四年三月一二日大審院判決、民集四巻一二〇頁、昭和三二年(オ)第六二〇号同三六年一二月一二日第三小法廷判決・民集一五巻一一号二七五六頁参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和37(オ)1311
登載
集民 第74号285頁
参照法条
手形法8条,民法110条
論点68第110条民法

一 手形の振出と民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいう第三者。
二 約束手形の所持人が該手形を満期に支払場所で所持していれば呈示があったとみられるか。

裁判要旨一 手形の振出について民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉を適用する場合において、受取人が振出代理人の機関として振出人の氏名を記載したとしても、当該手形の受取人を同条にいう「第三者」と解するにさまたげない。
二 約束手形の所持人が該手形の満期にこれを支払場所で所持していた場合には、振出人が出頭しないときでも、適法な提示があったものとみるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年6月25日 昭和37(オ)412
登載
集民 第74号195頁
参照法条
民法110条,手形法38条
論点69第110条民法

権限踰越の署名代理による手形振出と民法第一一〇条の適用

裁判要旨代理権限を踰越し署名代理の方法によつて約束手形が振出された場合にも、民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の適用がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年3月27日 昭和36(オ)282
登載
民集 第16巻3号632頁
参照法条
手形法8条,手形法77条2項,民法110条
論点70第110条民法

一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任
二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任

裁判要旨一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。
二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が民法第一一〇条及び第一一二条に基き振出人としての責任を負うときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月27日 昭和30(オ)286
登載
民集 第14巻14号3234頁
参照法条
民法110条,民法112条,手形法8条,手形法14条
論点71第110条民法

一、 村長の借入金受領と消費貸借の成否
二、 村長の借入金受領行為と民法第一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用
三、 民法第一一〇条所定の代理権ありと信ずべき正当の理由があつたとの判断が違法とされた事例

裁判要旨一、 現金出納の権限のない村長が村の名において他人より金員を借り入れ、これを自ら受領したにとどまる場合は、右金員の借入が村議会の決議に基づいても、その他人と村との間には右金員の消費貸借は成立しない。
二、 右の場合、村につき民法第一一〇条所定の「代理人カ其権限外ノ行為ヲ為シタル場合」に該当するものとして、同条の類推適用によりその責任を認めるのが相当である。
三、 一の場合村長がたんに村上席書記を帯同のうえ、貸主に前記決議書抄本を呈示した事実のみから、ただちに貸主が村長に借入金受領の権限があると信ずべき正当の理由があつたと断ずるのは違法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年7月14日 昭和30(オ)873
登載
民集 第13巻7号960頁
参照法条
地方自治法149条,地方自治法170条,民法587条,民法110条
論点72第110条民法

従前の代理人が代理権の消滅後従前の代理権の範囲に属しない行為をした場合と本人の責任

裁判要旨代理権の消滅後従前の代理人がなお代理人と称して従前の代理権の範囲に属しない行為をなした場合に、右代理権の消滅につき善意無過失の相手方が自称代理人の行為につきその権限があると信ずべき正当の理由を有するときは、当該の代理人と相手方との間になした行為につき、本人をしてその責に任ぜしめるのを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年11月29日 昭和30(オ)299
登載
民集 第11巻12号1994頁
参照法条
民法110条,民法112条
論点73第110条民法

地目変更等のためと偽って不動産の所有者から交付を受けた登記済証,白紙委任状,印鑑登録証明書等を利用して当該不動産につき不実の所有権移転登記がされた場合において不動産の所有者が善意無過失の第三者に対して当該不動産の所有権が移転していないことを対抗することができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨不動産の売買等を業とする会社が,地目変更等のためと偽って不動産の所有者から交付を受けた登記済証,白紙委任状,印鑑登録証明書等を利用して,当該不動産につき同社への不実の所有権移転登記を了したが,当該所有者が,虚偽の権利の帰属を示すような外観の作出につき何ら積極的な関与をしておらず,上記の不実の登記の存在を知りながら放置していたとみることもできないなど判示の事情の下においては,民法94条2項〈虚偽表示〉,110条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用により当該所有者が善意無過失の第三者に対して同社に当該不動産の所有権が移転していないことを対抗することができないとした原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年6月13日 平成14(受)1008
登載
集民 第210号143頁
参照法条
民法94条2項,民法110条
論点74第110条民法

不動産競売手続における建物の買受人が民法九四条二項、一一〇条の法意により建物所有権を取得してもその敷地の賃借権を取得しないとされた事例

裁判要旨土地賃借人甲が右土地上に乙名義で建築確認申請をして建物を建築し、乙名義での家屋補充課税台帳への登録を事後的に承認していたところ、乙が甲に無断で建物につき所有権保存登記を経由した上、右登記を過失なく信頼した丙との間で抵当権設定契約を締結した場合において、右抵当権に基づく不動産競売手続により建物を買い受けた丁は、民法九四条二項〈虚偽表示〉、一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の法意により建物の所有権を取得しても、右土地の賃借権について右法意により保護されるなどの事情がないときは、右土地の賃借権を取得しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成12年12月19日 平成11(受)1197
登載
集民 第200号257頁
参照法条
民法87条2項,民法94条2項,民法110条,民法370条,民事執行法79条
論点75第111条民法

不動産の譲渡人の死亡後同人の代理人の名義でなされた登記とその抹消請求の許否

裁判要旨不動産の譲渡人から与えられた代理権に基き、譲渡人の死亡後同人の代理人名義の申請によつてなされた移転登記は、それが現在の真実な権利状態に符合するものである限り、対抗力を有し、譲渡人の相続人は譲受人に対し、その抹消を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年7月27日 昭和28(オ)111
登載
民集 第10巻8号1122頁
参照法条
民法111条,民法177条
論点76第111条民法

民法第一一一条第一項第一号〈代理権の消滅事由 本人の死亡〉と異なる同意の効力

裁判要旨本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条第一項第一号の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年6月1日 昭和29(オ)976
登載
民集 第10巻6号612頁
参照法条
民法111条1項1号
論点77第111条民法

不動産または電話加入権の譲渡人の死亡後同人またはその代理人の名義でなされた登記登録と相続人の抹消請求の許否

裁判要旨不動産の所有権移転登記または電話加入名義の変更登録が事実上の権利関係に合致するときは、たとえ右登記登録が譲渡人の死亡後同人またはその代理人名義の申請によりなされたものであつても、譲渡人の相続人は、譲受人に対しその抹消を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年12月17日 昭和27(オ)106
登載
民集 第8巻12号2182頁
参照法条
民法111条,民法653条,不動産登記法26条,旧電話規則(昭和12年逓信省令73号)7条
論点78第111条民法

一 戸籍法第八九条〈果実の帰属〉による戦死報告に基く戸籍簿の記載の証拠力
二 民法第一一一条第一項第一号〈代理権の消滅事由 本人の死亡〉の趣旨
三 民訴第五七条および同第八五条〈定義〉の趣旨

裁判要旨一 戸籍簿に戦死した旨記載されている者は、右記載が戸籍法第八九条の報告に基いて登載されたものと認められるときは、反証がない限り、戸籍簿に記載されている日に死亡したものと認むべきである。
二 本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条〈代理権の消滅事由〉の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。
三 民訴第五七条および同第八五条〈定義〉は、法定代理人又は訴訟代理人の訴訟行為の効果が実質上死亡者の相続人に帰属することを容認するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年4月23日 昭和24(オ)112
登載
民集 第7巻4号396頁
参照法条
戸籍法89条,民法111条1項1号,民訴法57条1項,民訴法85条
論点79第112条民法

株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失を登記したときと民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉

裁判要旨株式会社が代表取締役の退任及び代表権の喪失につき登記したときは、その後その者が会社の代表者として第三者とした取引については、民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の適用はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月22日 昭和48(オ)142
登載
民集 第28巻2号368頁
参照法条
民法112条,商法12条
論点80第112条民法

民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには相手方が代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するか

裁判要旨民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには、相手方が、代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するものではなく、かような事実は、同条所定の相手方の善意無過失に関する認定のための一資料となるにとどまるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年5月25日 昭和47(オ)808
登載
集民 第109号251頁
参照法条
民法112条
論点81第112条民法

民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには相手方がかつて当該代理人と取引をしたことがあることを要するか

裁判要旨民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理が成立するためには、相手方が、代理権の消滅する前に代理人と取引をしたことがあることを要するものではなく、かような事実は、同条所定の相手方の善意無過失に関する認定のための一資料となるにとどまるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年7月25日 昭和42(オ)209
登載
集民 第96号407頁
参照法条
民法112条
論点82第112条民法

民法第一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の表見代理の主張に対し商法第二六二条の表見代表取締役の規定を適用して判断することの可否。

裁判要旨当事者が民法第一一二条の表見代理による約束手形金の支払請求を主張している場合であっても、商法第二六二条の要件事実が主張されている以上、同条の表見代表取締役の行為による会社に対する責任に基づいて、請求を認容することに違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月12日 昭和38(オ)306
登載
集民 第74号57頁
参照法条
民法112条,商法262条,民訴法186条
論点83第112条民法

代理権消滅に関する相手方代理人の悪意と民法第一一二条の適用。

裁判要旨代理権消滅の事実を相手方の代理人が知つていた場合には、民法第一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉による表見代理は成立しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年7月25日 昭和35(オ)347
登載
集民 第67号111頁
参照法条
民法112条
論点84第112条民法

社会福祉法人の理事の退任についての登記と民法一一二条の適用

裁判要旨社会福祉法人の理事の退任につき登記がされた場合には、その後その者が右法人の代表者として第三者とした取引については、客観的な障害のため第三者が登記簿を閲覧することが不可能ないし著しく困難であるような特段の事情がない限り、民法一一二条〈代理権消滅後の表見代理等〉の規定は適用されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年4月19日 平成3(オ)1233
登載
民集 第48巻3号922頁
参照法条
民法112条,社会福祉事業法27条
論点85第112条民法

無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力

裁判要旨無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年1月21日 昭和63(オ)1733
登載
民集 第47巻1号265頁
参照法条
民法112条,民法117条,民法896条,民法898条
論点86第113条民法

無権代理人を本人とともに相続した者が更に本人を相続した場合における無権代理行為の効力

裁判要旨無権代理人を本人とともに相続した者がその後更に本人を相続した場合においては、本人が自ら法律行為をしたと同様の法律上の地位ないし効果を生ずるものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月1日 昭和58(オ)1362
登載
集民 第153号465頁
参照法条
民法113条,民法117条,民法896条
論点87第113条民法

無権代理行為の追認と民法一二五条の類推適用

裁判要旨無権代理行為の追認には、取り消しうべき行為についての法定追認を定めた民法一二五条は類推適用されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年12月14日 昭和54(オ)778
登載
集民 第128号215頁
参照法条
民法113条,民法125条
論点88第113条民法

民法一一七条〈無権代理人の責任〉と無権代理人を相続した本人の責任

裁判要旨無権代理人を相続した本人は、無権代理人が民法一一七条により相手方に債務を負担していたときには、無権代理行為について追認を拒絶できる地位にあつたことを理由として、右債務を免れることができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年7月3日 昭和46(オ)138
登載
民集 第27巻7号751頁
参照法条
民法113条,民法117条,民法896条
論点89第113条民法

未成年者の無権代理人が後見人となつた場合においてさきになされた無権代理行為の効果が未成年者に及ぶとされた事例

裁判要旨甲が未成年者乙の後見人に就職する以前に後見人と称して売買契約をした場合において、甲は右就職前から乙のため事実上後見人の立場でその財産の管理にあたつており、これに対しては何びとからも異議がなく、右売買をなすについて甲乙間に利益相反の関係がないときは、右売買契約は、甲が後見人に就職するとともに、乙に対して効力を生ずるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年2月18日 昭和45(オ)1081
登載
民集 第26巻1号46頁
参照法条
民法113条,民法859条
論点90第113条民法

無権代理人に対する追認の効力

裁判要旨無権代理人に対する無権代理行為の追認は、その事実を相手方が知らなかつたときは、これをもつて相手方に対抗することはできないが、相手方において追認のあつた事実を主張することは何ら妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年12月22日 昭和47(オ)86
登載
集民 第107号451頁
参照法条
民法113条2項
論点91第113条民法

無権代理人が無権代理行為の目的物の共有持分を取得した場合における右行為の効力

裁判要旨無権代理人が、無権代理による契約後にその目的物の共有持分を譲り受けた場合においても、契約の相手方が民法一一七条にいう履行を選択した事実がないときは、右持分に対する部分につき、右契約が有効となるものではない(最高裁昭和三八年(オ)第一〇四一号同四一年四月二六日第三小法廷判決、民集二〇巻四号八二六頁参照)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 昭和45(オ)587
登載
集民 第101号733頁
参照法条
民法113条,民法117条
論点92第113条民法

無権代理人が無償代理行為の目的物を取得した場合における法律関係

裁判要旨甲が乙の無権代理人として乙所有の不動産を丙に売り渡す契約を締結した後乙から右不動産の譲渡をうけてその所有権を取得するにいたつた場合において、丙が民法第一一七条にいう履行を選択したときは、前記売買契約は、甲と丙との間に成立したと同様の効果を生ずる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月26日 昭和38(オ)1041
登載
民集 第20巻4号826頁
参照法条
民法113条,民法117条
論点93第113条民法

本人が無権代理人を相続した場合における無権代理行為の過失ある相手方に対する効力

裁判要旨本人が無権代理人を相続した場合において、被相続人の無権代理行為の相手方に過失があるときは、該行為は右相続により有効となるものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年3月31日 昭和40(オ)1002
登載
集民 第82号801頁
参照法条
民法113条,民法117条
論点94第113条民法

無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力。

裁判要旨無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年6月18日 昭和39(オ)1267
登載
民集 第19巻4号986頁
参照法条
民法113条,民法117条,民法896条
論点95第113条民法

一 刑法上の直系尊属にあたらないとされた事例
二 刑法上の直系尊属としての養親の解釈について、民法上の追認に関する法理を容れる余地の有無

裁判要旨一 戸籍上、被告人の養子縁組につき、その代諾権者とされている者が真実の親権者でないときは、右縁組は、適法な届出を欠くものとして、人事訴訟による確定または戸籍の訂正をまたず、無効であり、しかも、被告人が犯行前において右無効原因を認識して右縁組を追認したと認めることができないときは、被告人と事実上の養親との生活事実の如何にかかわりなく、本人たる被告人の無権代理行為の追認があつたと認める余地もないから、右事実上の養親は、刑法上、被告人の直系尊属にあたらないものと解すべきである。
二 一五歳未満の子の養子縁組に関する代諾者の法定代理権の欠缺は一種の無権代理と解し、満一五歳に達した養子は、法定代理人でない者が自己のため代諾した養子縁組を有効に御委任することができ、しかもこの追認は黙示で足り、その意思表示は満一五歳に達した養子から生存養親に対してなすべく、適法に追認がなされたときは縁組はこれにより当初から有効となるものと解するのが相当である(昭和二四年(オ)第二二九号同二七年一〇月三日第二小法廷判決、民集六巻九号七五三頁参照)。このことは、刑法上、直系尊属としての養親にあたるかどうかの解釈についても、少くとも犯罪行為以前における本人の追認に関する限りは、あてはまると考えられる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年12月24日 昭和36(あ)2486
登載
刑集 第17巻12号2537頁
参照法条
刑法200条,民法797条,民法802条,民法113条,民法807条,民法119条
論点96第113条民法

本人が無権代理人を相続した場合における無権代理人行為の効力

裁判要旨本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人の無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年4月20日 昭和35(オ)3
登載
民集 第16巻4号955頁
参照法条
民法113条,民法117条
論点97第113条民法

商号変更に関する株主総会の決議前に、新商号のもとに振り出された約束手形につき会社が振出人としての責を負うとされた事例。

裁判要旨登記簿上A商号B目的代表取締役甲名義の株式会社が株主総会の決議なしに実際上C商号D目的代表取締役乙名義のもとに三ケ月余にわたつて取引活動をして来た場合、乙がC商号を使用し、その代表者として振り出した約束手形については、その後商号および目的の変更、乙の取締役選任の各決議がなされ、かつ乙が代表取締役に選任され、右につき各登記を経た上、乙の振出を会社が追認したときは、会社が振出人としての責を負うものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和36年10月10日 昭和32(オ)783
登載
民集 第15巻9号2281頁
参照法条
手形法8条,手形法78条,商法12条,民法113条
論点98第113条民法

賃貸借の無権代理人が賃貸した土地を取得した場合の効力。

裁判要旨無権代理人甲が乙の所有地を丙に賃貸した後、乙からその土地の譲渡を受けて所有権を取得したときは、丙との賃貸借は、甲についてその効力を生ずるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年6月18日 昭和32(オ)1008
登載
民集 第13巻6号737頁
参照法条
民法113条,民法117条
論点99第113条民法

甲を代理して締結された売買契約について乙のなした追認が有効と認められた事例

裁判要旨家督相続開始の当時、被相続人の長男甲はすでに戦死しており、法律上、被相続人の長女乙が相続人であるにかかわらず、同人らの母は右戦死の事実を知らず、被相続人の所有に属していた係争不動産を甲において相続したものと考え、甲の代理人としてこれを第三者に売り渡す契約を締結した場合において、後日、真の家督相続人である乙が右売買契約を追認したときは、民法第一一三条〈無権代理〉、第一一六条〈無権代理行為の追認〉の類推適用によつて、右契約は、その締結の日に遡つて、乙のため効力を生ずるものと解するを相当とする
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月5日 昭和30(オ)327
登載
民集 第12巻9号1296頁
参照法条
民法113条,民法116条
論点100第113条民法

禁治産者の後見人がその就職前に無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かを判断するにつき考慮すべき要素

裁判要旨禁治産者の後見人が、その就職前に禁治産者の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かは、(1)契約の締結に至るまでの無権代理人と相手方との交渉経緯及び無権代理人が契約の締結前に相手方との間でした法律行為の内容と性質(2)契約を追認することによって禁治産者が被る経済的不利益と追認を拒絶することによって相手方が被る経済的不利益、(3)契約の締結から後見人が就職するまでの間に契約の履行等をめぐってされた交渉経緯(4)無権代理人と後見人との人的関係及び後見人がその就職前に契約の締結に関与した行為の程度、(5)本人の意思能力について相手方が認識し又は認識し得た事実など諸般の事情を勘案し、契約の追認を拒絶することが取引関係に立つ当事者間の信頼を裏切り、正義の観念に反するような例外的な場合に当たるか否かを判断して、決しなければならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年9月13日 平成4(オ)1694
登載
民集 第48巻6号1263頁
参照法条
民法1条2項,民法113条,民法859条
論点101第113条民法

無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力

裁判要旨無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。

(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年1月21日 平成4(オ)87
登載
集民 第167号331頁
参照法条
民法113条,民法117条,民法896条,民法898条
論点102第113条民法

後見人に就職した二名の者が未成年者を代理して締結した売買契約の効力を否定することが許されないとされた事例

裁判要旨未成年者甲の後見人に就職した乙及び丙が甲を代理して売買契約を締結した場合において、乙及び丙は甲の実親であり、甲の養父の死亡により戸籍上甲の後見人に就職した旨記載され、ともに正当な後見人となったものと考えて、甲の財産を管理してきたもので、右売買に右両名が後見人として関与したことにより、甲の利益が損なわれたわけではなく、甲も、成人に達した後において、右両名が甲の財産を管理してきたことを事実上承認していたなど判示の事情があるときは、乙及び丙が後見人として代理行為をしたことを理由として甲が右売買契約の効力を否定することは、信義則上許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年3月22日 昭和63(オ)924
登載
集民 第162号227頁
参照法条
民法1条2項,民法113条,民法843条
論点103第113条民法

本人が無権代理行為の追認を拒絶した後に無権代理人が本人を相続した場合における無権代理行為の効力

裁判要旨本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年7月17日 平成6(オ)1379
登載
民集 第52巻5号1296頁
参照法条
民法113条,民法117条,民法896条
論点104第115条民法

親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為の効力

裁判要旨親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為は民法一三二条〈不法条件〉所定の無権代理行為にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年4月20日 昭和45(オ)1150
登載
集民 第102号519頁
参照法条
民法115条
論点105第116条民法

届出意思の欠缺による婚姻の無効とその追認の効力

裁判要旨事実上の夫婦の一方が他方の意思に基づかないで婚姻届を作成提出した場合において、当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、かつ、のちに他方の配偶者が届出の事実を知つてこれを追認したときは、右婚姻は追認によりその届出の当初に遡つて有効となると解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月25日 昭和45(オ)238
登載
民集 第26巻6号1263頁
参照法条
民法742条1号,民法116条
論点106第116条民法

偽造文書によつて登記がされた場合において登記原因たる法律行為を追認した本人からするその抹消登記手続の請求の許否

裁判要旨無権代理人の偽造文書による申請に基づいて登記がされた場合においても、本人が右登記の原因たる法律行為を追認したことによりその登記の記載が実体的法律関係に符合するにいたつたときには、本人は、右登記の無効を主張してその抹消登記手続を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年10月27日 昭和40(オ)583
登載
民集 第21巻8号2136頁
参照法条
不動産登記法25条,不動産登記法35条,民法116条,民法177条
論点107第116条民法

無権代理人に対する無権代理行為の追認に条件を付することが違法でないとされた事例

裁判要旨無権代理人に対する無権代理行為の追認についても、無権代理人に対して特に不利益を与えない場合には、条件を付することが許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月26日 昭和39(オ)916
登載
集民 第83号415頁
参照法条
民法116条
論点108第116条民法

他人の権利の処分と追認

裁判要旨甲が乙の権利を自己の権利であるとして処分した場合に、乙がこれを追認したときは、右処分は、民法第一一六条〈無権代理行為の追認〉の類推適用により、処分のときに遡つて、乙についてその効力を生ずると解すべきである(最判昭和三七年八月一〇日第二小法廷判決民集一六巻八号一七〇〇頁参照)。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年7月15日 昭和40(オ)132
登載
集民 第79号849頁
参照法条
民法116条,民法560条
論点109第116条民法

養子縁組の追認と民法第一一六条但書の類推適用の有無。

裁判要旨養子縁組の追認には、民法第一一六条〈無権代理行為の追認〉但書の規定は類推適用されないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年9月8日 昭和39(オ)189
登載
民集 第18巻7号1423頁
参照法条
民法116条,民法797条,旧民法843条
論点110第116条民法

他人の権利の処分と追認

裁判要旨甲が、乙の権利を自己の権利であるとして処分した場合に、乙がこれを追認したときは、右処分は、民法第一一六条〈無権代理行為の追認〉の類推適用により、処分のときに遡つて、乙についてその効力を生ずると解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月10日 昭和34(オ)504
登載
民集 第16巻8号1700頁
参照法条
民法116条
論点111第116条民法

譲渡禁止の特約のある指名債権の譲渡後にされた債務者の譲渡についての承諾と債権譲渡の第三者に対する効力

裁判要旨譲渡禁止の特約のある指名債権について、譲受人が特約の存在を知り、又は重大な過失により特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合でも、その後、債務者が債権の譲渡について承諾を与えたときは、債権譲渡は譲渡の時にさかのぼって有効となるが、民法一一六条〈無権代理行為の追認〉の法意に照らし、第三者の権利を害することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年6月5日 平成5(オ)1164
登載
民集 第51巻5号2053頁
参照法条
民法116条,民法466条
論点112第116条民法

無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合における当該物の所有者の追認の効果

裁判要旨無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合に,当該物の所有者が,自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても,その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求権を取得すると解することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年10月18日 平成22(受)722
登載
民集 第65巻7号2899頁
参照法条
民法116条,民法560条
論点113第117条民法

債権譲渡の通知に審理不尽の違法が存するとされた事例

裁判要旨原審認定の事実関係のもとにおいては、甲四号証(債権譲渡通知書)の記載のみならず、右通知のなされるにいたつた経緯、とくに右通知を必要とするにいたつた基礎となる請求権の発生その他の法律関係の発生の経過等についても審理探究し、その他の証拠資料をも綜合して判定すべきであるのに、右の点について審理判断することなく、本訴請求権の譲渡通知はなされていないと認定したのは、違法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年7月21日 昭和39(オ)287
登載
集民 第84号137頁
参照法条
民法117条,民法467条,民法555条
論点114第117条民法

無権代理人から代理行為の相手方に対し代理権の不存在を主張することが信義則上許されないとされた事例

裁判要旨他人の代理人と称して、金銭消費貸借契約を締結するとともに、みずからその他人のため連帯保証契約を締結した者が、債権者の提起した右連帯保証債務の履行を求める訴訟において、代理権の不存在を主張して連帯保証債務の成立を否定することは、特別の事情のないかぎり、信義則上許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年11月18日 昭和39(オ)347
登載
民集 第20巻9号1845頁
参照法条
民法1条,民法117条,民法448条
論点115第117条民法

一 書面の提出のない訴の変更と責問権の喪失
二 実在しない会社の代表者として契約を締結した者の責任

裁判要旨一 書面の提出によらない訴の変更の申立に対して、被告からなんら異議を述べないまま弁論が終結されたときは、書面の提出によらなかつた瑕疵は、責問権の放棄または喪失によつて治癒されたもの解すべきである。
二 実在しない会社の代表者として第三者との間に契約を締結した者は、右第三者に対し、民法第一一七条〈無権代理人の責任〉の類推適用によつて責に任ずべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年7月2日 昭和40(オ)4
登載
集民 第79号671頁
参照法条
民訴法232条,民法117条,商法261条
論点116第117条民法

設立登記未了の会社の代表取締役として契約を締結した者の責任。

裁判要旨株式会社の設立を計画発起した者が、未だ設立登記をしないうちに、右会社の代表取締役として、第三者との間に、会社設立に関する行為に属しない契約を締結した場合、その者は、右第三者に対し、民法第一一七条〈無権代理人の責任〉の類推適用によつて責に任ずべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年10月24日 昭和32(オ)483
登載
民集 第12巻14号3228頁
参照法条
民法117条,商法57条
原

条文原文

原文ママ

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民法 第99条(代理行為の要件及び効果) 詳細ページ
(代理行為の要件及び効果)
第九十九条代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
民法 第100条(本人のためにすることを示さない意思表示) 詳細ページ
(本人のためにすることを示さない意思表示)
第百条代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。
民法 第101条(代理行為の瑕疵) 詳細ページ
(代理行為の瑕疵)
第百一条代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
3特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
民法 第102条(代理人の行為能力) 詳細ページ
(代理人の行為能力)
第百二条制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
民法 第103条(権限の定めのない代理人の権限) 詳細ページ
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一保存行為
二代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
民法 第104条(任意代理人による復代理人の選任) 詳細ページ
(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
民法 第105条(法定代理人による復代理人の選任) 詳細ページ
(法定代理人による復代理人の選任)
第百五条法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
民法 第106条(復代理人の権限等) 詳細ページ
(復代理人の権限等)
第百六条復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
民法 第107条(代理権の濫用) 詳細ページ
(代理権の濫用)
第百七条代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
民法 第108条(自己契約及び双方代理等) 詳細ページ
(自己契約及び双方代理等)
第百八条同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
民法 第109条(代理権授与の表示による表見代理等) 詳細ページ
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
民法 第110条(権限外の行為の表見代理) 詳細ページ
(権限外の行為の表見代理)
第百十条前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
民法 第111条(代理権の消滅事由) 詳細ページ
(代理権の消滅事由)
第百十一条代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一本人の死亡
二代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
民法 第112条(代理権消滅後の表見代理等) 詳細ページ
(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
民法 第113条(無権代理) 詳細ページ
(無権代理)
第百十三条代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
民法 第114条(無権代理の相手方の催告権) 詳細ページ
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
民法 第115条(無権代理の相手方の取消権) 詳細ページ
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
民法 第116条(無権代理行為の追認) 詳細ページ
(無権代理行為の追認)
第百十六条追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
民法 第117条(無権代理人の責任) 詳細ページ
(無権代理人の責任)
第百十七条他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。
民法 第118条(単独行為の無権代理) 詳細ページ
(単独行為の無権代理)
第百十八条単独行為については、その行為の時において、相手方が、代理人と称する者が代理権を有しないで行為をすることに同意し、又はその代理権を争わなかったときに限り、第百十三条から前条までの規定を準用する。代理権を有しない者に対しその同意を得て単独行為をしたときも、同様とする。
出

一次情報

原文ママ

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