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物権変動

民法の出題範囲にある論点です。条文と判例から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

物権変動は、物権の得喪や変更を誰に対して主張できるか(対抗要件)を定めるルールが中心となる分野です。民法は不動産・動産の物権だけでなく、債権譲渡、質権、抵当権の処分、夫婦財産契約、相続による権利承継など、場面ごとに異なる対抗要件(登記・引渡し・通知や承諾など)を定めています。本ページでは、各条文が定める対抗要件の内容と、それを対抗できる相手方を整理します。

物権変動
対象対抗要件対抗の相手方
不動産の物権変動登記第三者
動産物権の譲渡引渡し第三者
債権譲渡(債務者に対して)通知または承諾債務者
債権譲渡(債務者以外の第三者)確定日付ある証書債務者以外の第三者
動産質権質物の継続占有第三者
債権を目的とする質権通知または承諾第三債務者・第三者
抵当権の処分通知または承諾主債務者・保証人等
夫婦財産契約婚姻届出までに登記夫婦の承継人・第三者
財産管理者の変更・共有財産分割登記夫婦の承継人・第三者
共同相続(法定相続分超過分)登記・登録等第三者
財産分離(不動産)登記第三者
委任の終了通知または相手方の了知委任の相手方
  • 467条2項:債務者以外の第三者に対抗するには確定日付ある証書による通知・承諾が必要
  • 899条の2:法定相続分を超える部分についてのみ対抗要件が必要(超えない部分は不要)
  • 899条の2第2項:債権について遺言・遺産分割の内容を明示した通知は共同相続人全員による通知とみなされる場合がある
  • 377条2項:通知・承諾後に処分の利益を受ける者の承諾なく弁済しても、その受益者に対抗できない
  • 560条は対抗要件そのものでなく、売主が買主に対抗要件を備えさせる義務を定める規定
  • 36条は法人・外国法人が法令の定めにより登記をするものとする規定
1

物権変動

物権変動について、条文は何を定めているか。

第759条財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件財産管理者の変更・分割は登記が対抗要件1項判例 1件
  • 夫婦財産契約に基づき管理者を変更したり共有財産を分割したら登記が必要
  • 登記がないと夫婦の承継人や第三者に対抗できない
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第899_2条共同相続における権利の承継の対抗要件法定相続分超の承継は対抗要件が必要2項判例なし
  • 遺産分割か遺言かを問わず、法定相続分を超える部分は登記等が必要
  • 超えない部分は登記等なしで第三者に対抗できる
  • 債権の場合、遺言等の内容を明示した通知で共同相続人全員の通知とみなされることがある
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第177条不動産に関する物権の変動の対抗要件不動産の物権変動は登記が対抗要件1項判例 69件
  • 不動産に関する物権の得喪・変更は登記をしなければ第三者に対抗できない
  • 登記は不動産登記法など登記に関する法律の定めに従って行う
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第560条権利移転の対抗要件に係る売主の義務売主は買主に対抗要件を備えさせる義務がある1項判例 16件
  • 売主は登記・登録など権利移転の対抗要件を買主に備えさせる義務を負う
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第945条不動産についての財産分離の対抗要件財産分離は不動産では登記が対抗要件1項判例なし
  • 財産分離を不動産について第三者に対抗するには登記が必要
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第178条動産に関する物権の譲渡の対抗要件動産物権の譲渡は引渡しが対抗要件1項判例 9件
  • 動産に関する物権の譲渡は引渡しがなければ第三者に対抗できない
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第364条債権を目的とする質権の対抗要件債権を目的とする質権は通知等が対抗要件1項判例 3件
  • 現に発生していない債権を目的とする質権設定も含まれる
  • 467条〈債権の譲渡の対抗要件〉に従い第三債務者への通知または第三債務者の承諾が必要
  • 通知・承諾がないと第三債務者その他の第三者に対抗できない
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第377条抵当権の処分の対抗要件抵当権の処分は主債務者への通知等が対抗要件2項判例なし
  • 467条〈債権の譲渡の対抗要件〉に従い主債務者へ通知するか、主債務者が承諾する必要がある
  • 備えないと主債務者・保証人・抵当権設定者等に対抗できない
  • 通知・承諾後、処分の利益を受ける者の承諾のない弁済は対抗できない
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第756条夫婦財産契約の対抗要件夫婦財産契約は婚姻届出までの登記が対抗要件1項判例なし
  • 法定財産制と異なる契約をしたら婚姻の届出までに登記が必要
  • 登記がないと夫婦の承継人・第三者に対抗できない
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第467条債権の譲渡の対抗要件債権譲渡は通知・承諾が対抗要件2項判例 30件
  • 譲渡人の債務者への通知か、債務者の承諾が必要
  • 債務者以外の第三者に対抗するには確定日付ある証書が必要
  • 発生していない債権の譲渡も対象になる
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第655条委任の終了の対抗要件委任の終了は通知等が対抗要件1項判例 1件
  • 終了事由を相手方に通知するか、相手方が知っていた場合でないと対抗できない
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第352条動産質の対抗要件動産質は継続占有が対抗要件1項判例なし
  • 動産質権者は質物を継続して占有しないと第三者に対抗できない
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第36条登記法人は法令に従い登記をする1項判例 1件
  • 法人・外国法人は法令の定めるところにより登記をするものとされる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第759条民法

婚姻の届書が受理された当時本人が意識を失つていた場合と婚姻の届出の効力

裁判要旨将来婚姻することを約して性的交渉を続けてきた者が、婚姻意思を有し、かつその意志に基づいて婚姻の届書を作成したときは、かりに届出の受理された当時意識を失つていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届出の受理により婚姻は有効に成立するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年4月21日 昭和45(オ)104
登載
集民 第99号137頁
参照法条
民法759条
論点2第177条民法

一 隣接する二筆の土地上にまたがつて存在し登記上の所在地番及び構造が実際と相違する建物の敷地のうち一筆の土地について法定地上権が成立した場合と建物保護に関する法律一条〈基本原則〉による対抗力
二 建物の競売により法定地上権を取得した者が敷地譲受人による所有権移転登記の経由後に建物の所有権保存登記を経由した場合と敷地転得者に対する地上権の対抗

裁判要旨一 隣接する甲乙両土地上にまたがつて存在する建物の敷地のうち甲土地について法定地上権が成立し、建物の登記上、所在地番として一筆の土地の地番が表示され、その所在地番及び構造が実際と相違していても、右地番が大部分の敷地である乙土地の地番と多少相違するにとどまり、登記の表示全体において右建物の同一性を認識できる程度の軽微な相違でたやすく更正登記が可能である場合には、右地上権は、建物保護に関する法律一条〈基本原則〉による対抗力を有する。
二 建物の競売により法定地上権を取得した者は、その対抗要件を具備しない間に敷地の譲受人が所有権移転登記を経由しても、その後更に敷地の所有権を取得した者が所有権移転登記を経由するまでの間に建物につき所有権保存登記を経由した場合には、右敷地転得者に対して地上権の取得を対抗することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年1月26日 昭和61(オ)956
登載
集民 第153号323頁
参照法条
建物保護に関する法律1条,民法177条,民法388条
論点3第177条民法

譲渡担保権者から譲渡担保権消滅後に目的不動産を譲り受けた者と民法一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉の第三者

裁判要旨不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者甲から譲渡担保権者乙への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に乙から目的不動産を譲り受けた丙は、民法一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉にいう第三者に当たる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年11月12日 昭和59(オ)691
登載
集民 第152号177頁
参照法条
民法177条,民法369条(譲渡担保)
論点4第177条民法

他人名義で根抵当権設定登記を有する債権者が抵当不動産の譲渡後に開始された不動産競売事件において配当を受けることの可否

裁判要旨債権者甲が債務者乙から根抵当権の設定を受けた場合であつても、右の根抵当権につき他人名義で登記を有するにすぎないときは、甲は、乙が丙に対し当該不動産を譲渡し所有権移転登記を了したのちに第三者が当該不動産につき申し立てた不動産競売事件において、右の根抵当権を主張して配当を受けることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年12月20日 昭和58(オ)1044
登載
集民 第143号467頁
参照法条
民法177条,競売法33条2項,民事執行法87条,民事執行法188条
論点5第177条民法

不動産の売買の遡及的合意解除がされた場合と右不動産について仮登記を経由した者の保護

裁判要旨不動産の売買の遡及的合意解除がされた場合、買主から右不動産を取得したが対抗要件としての登記を経由していない者は、たとえ仮登記を経由したとしても、民法五四五条一項〈解除の効果〉但書にいう「第三者」として保護されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年7月5日 昭和57(オ)452
登載
集民 第139号259頁
参照法条
民法177条,民法545条1項但書
論点6第177条民法

土地及びその地上建物の所有者が土地につき所有権移転登記を経由しないまま建物に抵当権を設定した場合と法定地上権の成否

裁判要旨土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したときは、土地の所有権移転登記を経由していなくても、法定地上権の成立を妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年9月29日 昭和53(オ)533
登載
民集 第32巻6号1210頁
参照法条
民法177条,民法388条
論点7第177条民法

一 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における物上保証人と後順位低当権者との優劣
二 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における後順位抵当権者の優先弁済権と登記又は差押の要否

裁判要旨一 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権から優先して弁済を受けることができる。
二 債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権からの優先弁済権を主張するについて登記又は差押を必要としない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年7月4日 昭和50(オ)196
登載
民集 第32巻5号785頁
参照法条
民法177条,民法304条1項,民法351条,民法372条,民法392条2項
論点8第177条民法

土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に建物の所有権を取得した者がその終結前に経由した所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合と口頭弁論終結後の承継人

裁判要旨土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた事実審口頭弁論の終結後に債務者から建物の所有権を取得した者は、その終結前に経由していた所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合であつても、仮登記の時にさかのぼつて被告適格を承継するものではなく、口頭弁論終結後の承継人にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月23日 昭和50(オ)203
登載
集民 第122号581頁
参照法条
民法176条,民法177条,不動産登記法7条2項,民訴法201条1項
論点9第177条民法

所有権移転登記請求権と消滅時効

裁判要旨不動産の譲渡による所有権移転登記請求権は、右譲渡によつて生じた所有権移転の事実が存する限り独立して消滅時効にかからない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年11月5日 昭和51(オ)727
登載
集民 第119号181頁
参照法条
民法167条,民法177条
論点10第177条民法

土地及びその地上の未登記建物の所有者が建物の所有権移転登記を経由しないまま土地につき抵当権を設定した場合と法定地上権の成否

裁判要旨土地及びその地上の未登記建物の所有者が建物の取得原因である譲受につき所有権移転登記を経由しないまま土地に対し抵当権を設定した場合においても、法定地上権の成立を妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年7月11日 昭和49(オ)1052
登載
集民 第115号339頁
参照法条
民法177条,民法388条
論点11第177条民法

仮登記担保権者から清算未了のまま目的不動産の譲渡を受けた第三者が債務者の意思に基づかないで所有権移転登記を経由した場合と債務者の右登記抹消手続請求権

裁判要旨仮登記担保権者が目的不動産を自己の所有に帰属させるとの意思表示をしただけで清算をしないで仮登記のまま目的不動産を第三者に譲渡し、第三者が本登記を経た場合において、本登記が債務者の意思に基づかずにされたときは、債務者は第三者に対して右本登記の抹消手続を請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和49(オ)1087
登載
集民 第116号675頁
参照法条
民法177条,民法369条,民法482条
論点12第177条民法

賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件

裁判要旨賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年3月19日 昭和47(オ)1121
登載
民集 第28巻2号325頁
参照法条
民法177条,民法605条,建物保護に関する法律1条
論点13第177条民法

一、敷地不法占有と家屋収去請求の相手方
二、土地所有権に基づく家屋収去土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結前に家屋を譲り受けた第三者に対する右確定判決の効力

裁判要旨一、地上家屋が第三者に譲渡されたにもかかわらず、所有権移転登記がされないで登記簿上譲渡人所有名義のままになつている場合であつても、敷地所有者から右譲渡人に対し、敷地不法占有を理由として家屋収去請求をすることは許されない。
二、敷地所有者の土地所有権に基づく家屋収去土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結前に、被告から地上家屋を譲り受けた第三者は、その所有権移転登記が口頭弁論終話後にされた場合においても、右確定料決につき、民訴法二〇一条所定の口頭弁論終結後の承継人にはあたらない。
(一、二につき反対意見がある)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年10月24日 昭和47(オ)590
登載
集民 第113号47頁
参照法条
民法176条,民法177条,民訴法201条,民訴法545条
論点14第177条民法

土地およびその地上建物の所有者が建物の所有権移転登記を経由しないまま土地につき抵当権を設定した場合と法定地上権の成否

裁判要旨土地およびその地上建物の所有者が建物の取得原因である譲受につき所有権移転登記を経由しないまま土地に対し抵当権を設定した場合であつても、法定地上権の成立を妨げない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年9月18日 昭和45(オ)989
登載
民集 第27巻8号1066頁
参照法条
民法177条,民法388条
論点15第177条民法

一、入会部落の総有に属する土地を買い受けた同部落の構成員と民法一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉の第三者
二、一筆の土地の一部の所有権時効取得と対抗要件

裁判要旨一、入会部落の総有に属する土地の譲渡を受けた同部落の構成員は、右譲渡前にこれを時効取得した者に対する関係において、民法一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉にいう第三者にあたる。
二、一筆の土地の一部を時効取得した場合でも、右土地部分の所有権取得につき登記がないときは、時効完成後旧所有者からこれを買い受けた第三者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月5日 昭和47(オ)1188
登載
民集 第27巻9号1110頁
参照法条
民法162条,民法177条,民法263条
論点16第177条民法

一、生前相続による不動産所有権の取得と同一不動産の遺贈を受けた遺産相続人に対する対抗
二、夫婦間の土地利用関係が地上権の設定とは認められないとされた事例

裁判要旨一、旧民法(明治三一年法律第九号)施行当時において生前相続により不動産所有権を承継した家督相続人は、その登記を経なければ所有権取得をもつて第三者に対抗することができず、被相続人から同一不動産の遺贈を受けた者は、同時に被相続人の遺産相続人である場合でも、右第三者にあたる。
二、夫がその所有の土地を無償で使用することを妻に対して許諾し、妻がその地上に建築した建物に、夫婦で同居しているなど判示の事情がある場合でも、他に特段の事情がないときは、右土地の利用関係をもつて、建物所有を目的とする地上権が設定されたものと認めることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月18日 昭和46(オ)922
登載
集民 第106号475頁
参照法条
民法177条,民法265条,民法593条
論点17第177条民法

一、権利能力なき社団の資産たる不動産についての登記方法
二、権利能力なき社団の資産たる不動産につき登記簿上所有名義人となつていた代表者が交替した場合における新代表者の旧代表者に対する登記請求権

裁判要旨一、権利能力なき社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の受託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団を権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書を付した代表者個人名義の登記をすることは、許されないものと解すべきである。
二、権利能力なき社団の資産たる不動産につき、登記簿上所有名義人となつた代表者がその地位を失い、これに代わる新代表者が選任されたときは、新代表者は、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求めることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年6月2日 昭和45(オ)232
登載
民集 第26巻5号957頁
参照法条
民法43条,民法177条,民訴法46条,民訴法208条1項,民訴法211条,民訴法212条,民訴法384条,不動産登記法26条,不動産登記法36条,不動産登記法110条の3
論点18第177条民法

不動産の賃借人が賃貸人から当該不動産を譲り受けたのち第三者が右賃貸人からこれを譲り受けてさきに所有権移転登記を経由した場合と民法五二〇条〈債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りで…〉の規定の適用関係

裁判要旨不動産の賃借人が賃貸人から当該不動産を譲り受けながらその旨の所有権移転登記を経由していない間に、第三者が右賃貸人から右不動産を譲り受けてその旨の所有権移転登記を経由したため、前の譲受人である賃借人において右不動産の所有権取得を後の譲受人である第三者に対抗することができなくなつた場合には、いつたん混同によつて消滅した右賃借人の賃借権は、第三者が所有権を取得すると同時に、同人に対する関係では消滅しなかつたことになるものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年4月20日 昭和44(オ)211
登載
集民 第105号585頁
参照法条
民法177条,民法520条,民法601条
論点19第177条民法

袋地の未登記所有者と囲繞地通行権の主張

裁判要旨袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年4月14日 昭和46(オ)630
登載
民集 第26巻3号483頁
参照法条
民法210条,民法177条
論点20第177条民法

一、民法二五八条一項〈裁判による共有物の分割〉にいう「共有者ノ協議調ハサルトキ」の意義

二、共有物分割訴訟と持分譲受の登記

三、民法二五八条二項にいう「現物ヲ以テ分割ヲ為スコト能ハサルトキ」の意義

裁判要旨一、民法二五八条一項〈裁判による共有物の分割〉にいう「共有者ノ協議調ハサルトキ」とは、共有者の一部に共有物分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をすることができない場合を含むものであつて、現実に協議をしたうえで不調に終わつた場合に限られるものではない。

二、不動産の共有物分割訴訟においては、共有者間に持分の譲渡があつても、その登記が存しないため、譲受人が持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができないときは、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきである。

三、民法二五八条二項にいう「現物ヲ以テ分割ヲ為スコト能ハサルトキ」とは、現物分割が物理的に不可能な場合のみを指称するのではなく、社会通念土適正な現物分割が著るしく困難な場合をも包含するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年6月18日 昭和46(オ)160
登載
民集 第25巻4号550頁
参照法条
民法258条1項,民法258条2項,民法177条
論点21第177条民法

遺産分割と登記

裁判要旨相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年1月26日 昭和45(オ)398
登載
民集 第25巻1号90頁
参照法条
民法177条,民法909条
論点22第177条民法

契約を解除した当事者が第三者の登記の欠缺を主張することが信義則上許されないとされた事例

裁判要旨甲所有の丁土地と乙所有の戊土地とを交換する契約が甲乙間になされ、乙が丁土地をさらに丙に譲渡して未だその登記を経ない間に、乙に対する国税の滞納処分として戊土地が差押公売されたため、甲が履行不能を理由に右交換契約を解除した場合において、甲が、交換契約に基づき戊土地を自ら使用しており、他方右契約当時においても丁土地が乙から丙に譲渡されるものであることを了承し、丙の買受後にはその権利移転を認め、丙の地上の建物の建築許可申請手続に協力し、乙、丙との間に、丁土地につき甲から丙に中間省略により直接所有権移転登記をすることを合意しながら、乙、丙の再三の請求にかかわらず自己の都合で右登記手続を遷延して約四年を経過するうち、右滞納処分がなされるに至つたなど、判示の事実関係があるときは、甲が丙の丁土地の所有権取得につき登記の欠缺を主張することは信義則上許されず、甲の交換契約解除にかかわらず丙の権利は否定されないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年3月26日 昭和43(オ)717
登載
集民 第98号505頁
参照法条
民法545条1項,民法177条,民法1条2項
論点23第177条民法

民法一八五条〈占有の性質の変更〉にいう「新権原」の発生と占有者がこれを所有者に対抗するための登記の要否

裁判要旨民法一八五条〈占有の性質の変更〉にいう「新権原」の発生を主張するについて、占有者は、その取得につき登記その他の対抗要件を必要としない。
(参考)
一審、札幌地裁昭和三五年(行)第七号、同年(ワ)第三〇八号  昭和四〇年九月二四日判決(訟務月報一二巻二号二六七頁)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年2月17日 昭和42(行ツ)79
登載
集民 第98号217頁
参照法条
民法185条,民法177条
論点24第177条民法

一、一筆の土地の一部の明渡を命ずる判決における主文不明確の事例
二、共同訴訟人間における証拠共通の原則
三、不動産の二重譲渡において双方の買主がそれぞれ売主に対して処分禁止の仮処分を執行した後第一次仮処分債権者が本案の勝訴判決に基づいて所有権移転登記を経由した場合と第二次仮処分債権者に対する所有権の対抗

裁判要旨一、一筆の土地の一部の明渡を命ずる判決において、土地の表示として土地の所在地番のほか「一、山林三反四畝歩のうち東部の宅地一三九坪」との記載があるにとどまり、記録中にも明渡を命ずる土地の範囲がいかなる部分かを特定する手掛りが存在しないときは、右土地の範囲を明確にしたものとはいえず、主文不明確の違法がある。
二、共同訴訟人の一人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。
三、不動産が二重に譲渡された後、双方の買主がそれぞれ売主を債務者とする処分禁止の仮処分を執行した場合において、第一次仮処分債権者たる買主が本案たる所有権移転登記請求訴訟に勝訴し、その確定判決に基づき売主から所有権移転登記を経由したときは、右買主は、第二次仮処分債権者たる買主に対し自己の所有権取得を対抗することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年1月23日 昭和43(オ)282
登載
集民 第98号43頁
参照法条
民訴法62条,民訴法185条,民訴法191条,民訴法755条,民訴法758条,民法177条
論点25第177条民法

一、不法の原因により未登記建物を贈与した贈与した場合その引渡は民法七〇八条〈不法原因給付〉にいう給付にあたるか
二、所有権に基づく返還請求と民法七〇八条
三、建物の所有者のした贈与に基づく履行行為が不法原因給付にあたる場合における右建物の所有権の帰すう
四、建物の贈与が不法原因給付であつてその所有権が受贈者に帰属した場合における受贈者に対する登記手続請求の許否

裁判要旨一、不法の原因により未登記建物を贈与した場合、その引渡は、民法七〇八条〈不法原因給付〉にいう給付にあたる。
二、建物の贈与に基づく引渡が不法原因給付にあたる場合に、贈与者は、目的物の所有権が自己にあることを理由として、右建物の返還を請求することはできない。
三、建物の所有者のした贈与に基づく履行行為が不法原因給付にあたる場合には、贈与者において給付した物の返還を請求できないことの反射的効果として、右建物の所有権は、受贈者に帰属するに至ると解するのが相当である。
四、未登記建物の贈与が不法原因給付であつてその所有権が受贈者に帰属した場合において、贈与者が右建物につき所有権保存登記を経由したときは、受贈者が贈与者に対し建物の所有権に基づいて右所有権保存登記の抹消登記手続を請求することは、不動産物権に関する法制の建前からいつて許されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和45年10月21日 昭和41(オ)436
登載
民集 第24巻11号1560頁
参照法条
民法708条,民法206条,民法177条
論点26第177条民法

宅地上の従物と抵当権の効力

裁判要旨宅地に対する抵当権の効力は、特段の事情のないかぎり、抵当権設定当時右宅地の従物であつた石燈籠および庭石にも及び、抵当権の設定登記による対抗力は、右従物についても生ずる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年3月28日 昭和43(オ)1250
登載
民集 第23巻3号699頁
参照法条
民法87条,民法177条,民法370条
論点27第177条民法

共有持分権の放棄と登記方法

裁判要旨共有登記のなされている不動産につき、共有者の一人が持分権を放棄した場合には、他の共有者は、放棄にかかる持分権の移転登記手続を求めるべきであつて、放棄者の持分権取得登記の抹消登記手続を求めることは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年3月27日 昭和43(オ)602
登載
民集 第23巻3号619頁
参照法条
民法177条,民法255条,不動産登記法1条
論点28第177条民法

一、遺贈の承認放棄に関する規定の死因贈与への準用の有無
二、権利移転の過程において実体と異なるが現在の実体的権利関係に合致しているため登記の抹消請求が許されないとされた事例

裁判要旨一、遺贈の承認および放棄に関する規定は死因贈与に準用されない。
二、甲の所有していた不動産について、その相続人でない乙に相続を原因とする所有権移転登記がされ、乙から丙に贈与を原因とする所有権移転登記がされているが、実体上は甲から丙に右不動産が死因贈与され、現在丙がその所有者である場合には、甲の相続人が乙および丙に対し右各登記の抹消を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年6月6日 昭和42(オ)560
登載
集民 第91号219頁
参照法条
民法986条,民法554条,民法177条
論点29第177条民法

債権者代位権行使の場合の対抗問題

裁判要旨甲が乙に対する債権者として、乙の丙に対する所有権に基づく土地明渡請求権を代位行使する場合にあつては、当該土地の所有権の帰属につき甲丙間に対抗問題を生ずることはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年5月26日 昭和40(オ)1270
登載
集民 第87号839頁
参照法条
民法177条,民法423条
論点30第177条民法

相続放棄と登記

裁判要旨相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼつて相続開始がなかつたと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきであつて、相続の放棄をした相続人の債権者が、相続の放棄後に、相続財産たる未登記の不動産について、右相続人も共同相続したものとして、代位による所有権保存登記をしたうえ、持分に対する仮差押登記を経由しても、その仮差押登記は無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年1月20日 昭和41(オ)457
登載
民集 第21巻1号16頁
参照法条
民法939条1項(昭和37年法律40号による改正前のもの),民法939条,民法177条,民法909条
論点31第177条民法

債権者が根抵当権の極度額をこえる債権を有する場合において抵当物件の第三取得者が右極度額を弁済したときと根抵当権設定登記の抹消登記請求権の有無

裁判要旨債権者が根抵当権の極度額をこえる債権を有する場合において、抵当物件の第三取得者は、右極度額の限度で弁済したにすぎないときは、その根抵当権設定登記の抹消登記請求権を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月8日 昭和42(オ)80
登載
民集 第21巻10号2561頁
参照法条
民法177条,民法374条,民法378条
論点32第177条民法

偽造文書によつて登記がされた場合において登記原因たる法律行為を追認した本人からするその抹消登記手続の請求の許否

裁判要旨無権代理人の偽造文書による申請に基づいて登記がされた場合においても、本人が右登記の原因たる法律行為を追認したことによりその登記の記載が実体的法律関係に符合するにいたつたときには、本人は、右登記の無効を主張してその抹消登記手続を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年10月27日 昭和40(オ)583
登載
民集 第21巻8号2136頁
参照法条
不動産登記法25条,不動産登記法35条,民法116条,民法177条
論点33第177条民法

一 移転登記請求訴訟の被告から二重譲渡を受けた者は民訴法第二〇一条の承継人にあたるか
二 仮執行宣言付判決に基づく登記の効力

裁判要旨一 不動産買受人甲が売渡人乙に対し所有権移転登記手続履践の請求訴訟を起こし、甲勝訴の判決が確定した場合において、乙から同一不動産の二重譲渡を受けた丙が、右訴の事実審の口頭弁論終結後にその所有権移転登記を経たとしても、丙は、前示確定判決について、民訴法第二〇一条第一項の承継人にあたらない。
二 登記義務者の登記申請意思の陳述を求める請求を認容する判決に誤つて仮執行宣言が付せられ、右仮執行宣言付判決に基づいて登記がなされた場合でも、右判決が確定した後は、右登記を有効と解して妨げない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月2日 昭和38(オ)1319
登載
集民 第83号675頁
参照法条
民訴法201条,民法177条,不動産登記法25条
論点34第177条民法

地盤上に植栽された立木の所有権取得と対抗要件

裁判要旨地盤上に植栽された立木の所有権を取得した者は、明認方法等の対抗要件を備えないかぎり、右地盤(土地)を地上の右立木とともに買いうけ右土地についてその所有権移転登記を経由した第三者に対し、前記立木所有権取得を対抗することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年10月21日 昭和40(オ)654
登載
集民 第84号661頁
参照法条
民法177条,民法242条
論点35第177条民法

一 登記の欠缺を主張するにつきいわゆる背信的悪意者とはいえないとされた事例。
二 不動産の賃借人が賃貸人から該不動産を譲り受けた後に第三者がこれを二重に譲り受けて先に所有権移転登記をした場合と民法第五二〇条の規定の適用関係。
三 民法第七〇五条〈債務の不存在を知ってした弁済〉の適用がないとされた事例。

裁判要旨一 甲が地主丙から賃借中の土地上に所有する家屋を乙に贈与し、右事実を前提として、甲もみずから責任を持つ旨口添をして乙丙間に該土地の賃貸借契約が締結され、爾来その関係が九年余にわたつて継続してきた等判示のような事実があつたとしても、丙が右家屋を甲から買い受けてその旨の移転登記を経由するまでの経緯について判示の事情があるときは、丙は右家屋について乙の所有権取得登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者にあたらないような背信的悪意者とはいえない。
二 不動産の賃借人が賃貸人から該不動産を譲り受けてその旨の所有権移転登記をしないうちに、第三者が右不動産を二重に譲り受けてその旨の所有権移転登記をしたため、前の譲受人である賃借人において右不動産の取得を後の譲受人である第三者に対抗できなくなつたような場合には、いつたん混同によつて消滅した右賃借権は、右第三者の所有権取得によつて、同人に対する関係では消滅しなかつたことになると解するのが相当である。
三 居住家屋の賃料の支払義務のない者が、該家屋の所有者から賃料支払の催告を受けたため、これを支払うべき筋合はないが賃料不払等とこじつけて家屋明渡訴訟を提起された場合の防禦方法として支払う旨とくに留保の表示をしたうえ、請求額を支払つた等判示事実関係のように、債務の不存在を知つて弁済したことも無理からぬような客観的事情がある場合には、民法第七〇五条〈債務の不存在を知ってした弁済〉の適用はないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年12月21日 昭和37(オ)904
登載
民集 第19巻9号2221頁
参照法条
民法177条,民法520条,民法601条,民法705条
論点36第177条民法

立木法の適用を受けない立木の買受人が明認方法を施さないうちに伐採した場合における伐木所有権の対抗力。

裁判要旨立木法の適用を受けない立木の買受人がこれに明認方法を施さないうちにこれを伐採した場合、右買受人は、当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠点を主張しうべき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもつて対抗できない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月6日 昭和37(オ)745
登載
集民 第72号71頁
参照法条
民法177条,民法178条
論点37第177条民法

一 借地法第一〇条〈後見開始の審判の取消し〉に基づく建物買取請求権行使によつて成立する売買と民法第五七七条適用の有無
二 買取請求権行使の対象たる建物に抵当権が設定されている場合と当該建物の時価
三 滌除権の取得と所有権所得登記の要否

裁判要旨一 借地法第一〇条〈後見開始の審判の取消し〉に基づく建物買取請求権行使によつて成立する売買についても民法第五七七条〈抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶〉の適用がある。
二 借地法第一〇条に基づく買取請求の対象たる建物の時価は、建物に抵当権の設定があつても減額されるべきではない。
三 抵当不動産の買主が売主に対する関係で滌除権の取得を主張するためには、右不動産の所有権取得登記を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年2月4日 昭和36(オ)1299
登載
民集 第18巻2号233頁
参照法条
民法378条,民法577条,民法177条,借地法10条
論点38第177条民法

破産管財人は民法第一七七条および信託法第三条の第三者にあたるか。

裁判要旨破産者と信託契約をした者に対する関係で、破産管財人は、民法第一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉および信託法第三条の第三者にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年7月30日 昭和36(オ)153
登載
集民 第67号175頁
参照法条
破産法157条,破産法162条,破産法185条,民法177条,信託法3条
論点39第177条民法

一 民法第一六二条〈所有権の取得時効〉の取得時効完成の基礎となる占有と認められないとされた事例
二 地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽された立木の所有権の対抗要件の要否

裁判要旨山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月3日 昭和35(オ)900
登載
集民 第62号21頁
参照法条
民法162条,民法177条,民法242条
論点40第177条民法

伐木所有権を対抗できない事例。

裁判要旨立木法の適用を受けない立木の買受人が明認方法を施さないうちに、伐採等により右立木が伐木となつた場合、右買受人は、右伐木に自己を表示するための刻印を施したとしても、立木当時既に公示方法の欠缺を主張する正当な利益を有していた第三者に対しては、右伐木所有権を対抗できないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月22日 昭和31(オ)782
登載
民集 第16巻7号1374頁
参照法条
民法177条,民法178条
論点41第177条民法

賃借地盤上に権原に基いて植栽した立木の所有権と第三者に対する対抗

裁判要旨賃借地盤上に権原に基いて植栽した立木の所有権の留保を、地盤たる土地の二重賃借人に対抗するために、公示方法を要するかどうかは、二重賃借人の賃貸借契約上の使用収益権の態容に関する特段の事情に従つて決せられるべきものと解される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年5月29日 昭和34(オ)221
登載
集民 第60号919頁
参照法条
民法242条,民法177条
論点42第177条民法

一 民訴法第七一条にいう「訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコト」を主張してなされた参加の申立が参加理由を欠くとされた事例
二 甲が乙名義の建築確認通知書の「建築主の住所氏名欄」の記載を乙の諒解を得たのみで自己名義に訂正し、これに基づき家屋の登録および所有権保存登記を経た場合における該登記の効力

裁判要旨甲が乙名義の建築確認通知書の「建築主の住所氏名欄」の記載を、乙の諒解を得たのみで甲名義に訂正し、家屋台帳に自ら所有者として登録し、右台帳に基づき所有権保存登記を経由した場合においても、実体上甲が所有権を有するときは、該登記は無効とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年12月25日 昭和35(オ)839
登載
集民 第63号989頁
参照法条
民訴法71条,不動産登記法(昭和35年法律14号による改正前),民法177条
論点43第177条民法

抵当権設定登記の抹消登記手続請求を認容した判断に審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例。

裁判要旨甲乙丙三棟の建物を所有する債務者が、未登記の甲建物の所有権保存登記をなすべく司法書士に委任したところ、甲建物を主たる建物、乙丙建物を付属建物と表示する登記がなされ、次いで、債権者の手により甲乙丙建物を目的物とする抵当権設定登記が経由されたのに対し、抵当権設定契約の不存在を理由として右抵当権設定登記の抹消登記手続を請求する場合、右請求を認容するにつき、債権者と債務者が甲建物に対する抵当権設定を合意した事実を認定しながら、乙丙建物が甲建物の従物であるかのごとく窺われる証拠ならびに民法八七条二項〈主物及び従物〉の適用につき顧慮した形跡がないときは、審理不尽、理由不備の違法があり、また、判示の趣旨が甲建物のみに対する抵当権の設定を合意し、乙丙建物は除外したというにあるとすれば、債務者において、前期請求に代え、乙丙建物を前期抵当権設定登記の目的物から取り除くことを目的とする別個の登記請求をするかどうかの点を審理することなく、前記請求をそのまま全面的に認容したことは、審理不尽、理由そごの違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年10月5日 昭和35(オ)234
登載
集民 第62号709頁
参照法条
民法177条,民法87条2項,民訴法395条6号
論点44第177条民法

無効な取得登記を有するにすぎない建物の二重譲受人と被保険利益。

裁判要旨建物が二重に譲渡され、一方の譲受人が登記を経由し、他方の譲受人は、無効な登記にもとづく登記を有するにすぎないときは、右建物所有者として、その建物を目的とする火災保険契約を締結するについて、被保険利益を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年3月16日 昭和32(オ)782
登載
民集 第15巻3号512頁
参照法条
商法630条,民法177条,民法176条
論点45第177条民法

敷地不法占有と家屋収去請求の相手方。

裁判要旨仮処分申請に基き、裁判所の嘱託により家屋所有権保存登記がなされている場合であつても、仮処分前に家屋を未登記のまま第三者に譲渡しその敷地を占拠していない右保存登記名義人に対し、敷地所有者から敷地不法占有を理由として家屋収去請求をすることは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和35年6月17日 昭和31(オ)119
登載
民集 第14巻8号1396頁
参照法条
民法176条,民法177条
論点46第177条民法

地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽された立木の所有権と対抗要件。

裁判要旨地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を、第三者に対抗するには、公示方法を必要とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年3月1日 昭和32(オ)325
登載
民集 第14巻3号307頁
参照法条
民法177条,民法242条但書
論点47第177条民法

明認方法を施す以前立木が伐採された場合における伐木所有権の対抗力。

裁判要旨立木法の適用を受けない立木の買受人においてこれに明認方法を施さないうちに右立木が伐採された場合、右買受人は当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠缺を主張し得べき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもつてこれに対抗し得ないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年7月29日 昭和32(オ)42
登載
民集 第12巻12号1879頁
参照法条
民法177条,民法178条
論点48第177条民法

一 組合財産共有の性質。
二 組合員の一人のなす登記抹消請求の許否。

裁判要旨一 組合財産についても、民法第六六七条〈組合契約〉以下において特別の規定のなされていない限り、民法第二四九条〈共有物の使用〉以下の共有の規定が適用される。
二 組合員の一人は、単独で、組合財産である不動産につき登記簿上の所有名義者たる者に対して登記の抹消を求めることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年7月22日 昭和31(オ)103
登載
民集 第12巻12号1805頁
参照法条
民法第668条,民法第249条,民法252条,民法177条
論点49第177条民法

不動産の譲渡人の死亡後同人の代理人の名義でなされた登記とその抹消請求の許否

裁判要旨不動産の譲渡人から与えられた代理権に基き、譲渡人の死亡後同人の代理人名義の申請によつてなされた移転登記は、それが現在の真実な権利状態に符合するものである限り、対抗力を有し、譲渡人の相続人は譲受人に対し、その抹消を請求することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年7月27日 昭和28(オ)111
登載
民集 第10巻8号1122頁
参照法条
民法111条,民法177条
論点50第177条民法

限定承認前の仮登記にもとずくその後の本登記の効力

裁判要旨乙所有の土地につき、甲のため所有権移転登記請求権保全の仮登記がなされた後、乙死亡し、その相続人丙が限定承認をした場合に、その後甲において所有権取得登記をなした時は、甲はその所有権の取得を以つて、乙の相続債権者に対抗することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年6月28日 昭和30(オ)54
登載
民集 第10巻6号754頁
参照法条
民法922条,民法927条,民法177条,不動産登記法7条
論点51第177条民法

一 国税滞納処分による差押と民法第一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉
二 登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有しない第三者の範囲
三 国税滞納処分による不動産差し押えの場合における国の登記欠缺の主張が正当の利益がないとはいえないとされた一事例

裁判要旨一 国税滞納処分による差押については、民法第一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉の適用があるものと解すべきである。
二 登記の欠缺を主張する第三者がこれを主張するにつき正当の利益を有しない場合とは、当該第三者に、不動産登記法第四条第五条により登記の欠缺を主張することの許されない事由がある場合、その他これに類するような、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事由がある場合に限るものと解すべきである。
三 国が国税滞納者に対する滞納処分として登記簿上滞納者名義の不動産を差し押えた場合において、差押の約三年六箇月前に右不動産の譲受人から移転登記の未経由にかかわらず該不動産がその所有に属する旨の財産申告を受け、これを前提として財産税を徴収した事実があつても、それだけでは、国は、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者にあたらないとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年4月24日 昭和29(オ)79
登載
民集 第10巻4号417頁
参照法条
民法177条,国税徴収法10条
論点52第177条民法

一 「分筆の上」登記を命ずる判決と「申立テザル事項」
二 一筆の土地の一部の売買

裁判要旨一 一筆の土地全部の所有権移転登記手続を求める請求において、その土地の一部につき「分筆の上」所有権移転登記手続をなすべき旨の判決をしても、「申立テザル事項ニ付判決ヲ為シ」たことにはならない。
二 一筆の土地の一部といえども、売買の目的とすることをうべく、その部分が具体的に特定しているかぎりは、右部分につき分筆手続未了前においても、買主はその部分につき所有権を取得することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年6月24日 昭和28(オ)847
登載
民集 第9巻7号919頁
参照法条
民訴185条,民法176条,民法177条,民法206条,不動産登記法79条,不動産登記法46条ノ2
論点53第177条民法

物上保証人甲所有の不動産と物上保証人乙所有の不動産を共同抵当の目的として抵当権が設定され甲所有の不動産が先に競売された場合における甲所有不動産の後順位抵当権者の地位

裁判要旨物上保証人甲所有の不動産と物上保証人乙所有の不動産を共同抵当の目的として抵当権が設定された場合において、甲所有の不動産が先に競売されて先順位抵当権者が弁済を受けたときは、甲所有不動産の後順位抵当権者は、甲が乙に対する求償権の範囲内において代位取得する乙所有不動産の先順位抵当権から優先して弁済を受けることができ、右優先弁済権を主張するについては登記を要しない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年11月24日 昭和63(オ)1539
登載
集民 第158号225頁
参照法条
民法177条,民法304条1項,民法372条,民法392条2項,民法501条3号,民法501条4号
論点54第177条民法

留置権者が留置物の使用等の承諾を受けた後に留置物の所有権を取得した者による留置物の使用等を理由とする留置権の消滅請求の可否

裁判要旨留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、右につき対抗要件を具備するよりも前に留置権者が留置物の使用又は賃貸についての承諾を受けていたときは、新所有者は、留置権者に対し、右使用等を理由に留置権の消滅請求をすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年7月3日 平成6(オ)1279
登載
民集 第51巻6号2500頁
参照法条
民法177条,民法298条
論点55第177条民法

背信的悪意者からの転得者と民法一七七条の第三者

裁判要旨所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年10月29日 平成5(オ)956
登載
民集 第50巻9号2506頁
参照法条
民法177条
論点56第177条民法

一棟の建物のうち構造上及び利用上の独立性のある建物部分に賃借権が設定されたにもかかわらず建物全部について賃借権設定登記がされている場合に右登記の抹消登記手続請求を認容すべき範囲

裁判要旨一棟の建物のうち構造上及び利用上の独立性のある建物部分に賃借権が設定されたにもかかわらず、建物全部について賃借権設定登記がされている場合、右登記の抹消登記手続請求は、右建物部分を除く残余の部分に関する限度において認容すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成7年1月19日 平成4(オ)2188
登載
集民 第174号1頁
参照法条
民法177条,建物の区分所有等に関する法律1条,不動産登記法94条ノ2,不動産登記法96条ノ2
論点57第177条民法

工場抵当法三条の抵当物件目録の記載と対抗要件

裁判要旨工場抵当法三条に規定する物件につき抵当権の効力を第三者に対抗するには、右物件が同条の目録に記載されていることを要する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成6年7月14日 平成3(オ)1762
登載
民集 第48巻5号1126頁
参照法条
工場抵当法3条,工場抵当法35条,民法177条
論点58第177条民法

甲所有地上の建物所有者乙がこれを丙に譲渡した後もなお登記名義を保有する場合における建物収去・土地明渡義務者

裁判要旨甲所有地上の建物を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記を経由した乙は、たとい右建物を丙に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、甲に対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年2月8日 平成4(オ)602
登載
民集 第48巻2号373頁
参照法条
民法177条,民法200条,民法206条
論点59第177条民法

法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人から法定相続分に応じた共有持分権を譲り受けた者が取得する持分の割合

裁判要旨遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人が、遺産を構成する特定不動産に法定相続分に応じた共同相続登記がされたことを利用し、右登記に係る自己の共有持分権を第三者に譲渡し、第三者が右持分の移転登記を受けたとしても、右第三者は右共同相続人の指定相続分に応じた持分を取得するにとどまる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成5年7月19日 平成1(オ)714
登載
集民 第169号243頁
参照法条
民法177条,民法898条,民法902条
論点60第177条民法

通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張することができる場合

裁判要旨通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において,最先順位の抵当権の設定時に,既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置,形状,構造等の物理的状況から客観的に明らかであり,かつ,上記抵当権の抵当権者がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは,通行地役権者は,特段の事情がない限り,登記がなくとも,買受人に対し,当該通行地役権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成25年2月26日 平成23(受)1644
登載
民集 第67巻2号297頁
参照法条
民事執行法59条2項,民事執行法188条,民法177条,民法280条
論点61第177条民法

不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における,再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長

裁判要旨不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を授用したときは,上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り,上記占有者が,上記不動産を時効取得する結果,上記抵当権は消滅する。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成24年3月16日 平成22(受)336
登載
民集 第66巻5号2321頁
参照法条
民法162条,民法177条,民法397条
論点62第177条民法

不動産の所有権が,元の所有者から中間者に,次いで中間者から現在の所有者に,順次移転したにもかかわらず,登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において,現在の所有者が元の所有者に対し,元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは許されるか

裁判要旨不動産の所有権が,元の所有者から中間者に,次いで中間者から現在の所有者に,順次移転したにもかかわらず,登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において,現在の所有者が元の所有者に対し,元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成22年12月16日 平成21(受)1097
登載
民集 第64巻8号2050頁
参照法条
民法177条
論点63第177条民法

不動産の取得時効完成後に当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した者が背信的悪意者に当たる場合

裁判要旨甲が時効取得した不動産について,その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合において,乙が,当該不動産の譲渡を受けた時に,甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成18年1月17日 平成17(受)144
登載
民集 第60巻1号27頁
参照法条
民法162条,民法177条
論点64第177条民法

取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者が当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するためその設定登記時を起算点とする再度の取得時効を援用することの可否

裁判要旨取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者は,当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するため,その設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成を主張し,援用をすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年10月31日 平成12(受)1589
登載
集民 第211号313頁
参照法条
民法144条,民法145条,民法162条,民法177条,民法397条
論点65第177条民法

「相続させる」趣旨の遺言による不動産の取得と登記

裁判要旨「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については,登記なくして第三者に対抗することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成14年6月10日 平成11(受)271
登載
集民 第206号445頁
参照法条
民法177条,民法908条,民法985条
論点66第177条民法

一 被相続人の生存中に相続人に対し売買を原因としてされた所有権移転登記につき被相続人の死亡後に相続を原因とするものに更正することの可否
二 被相続人の生存中にその所有不動産につき共同相続人の一人に対し所有権移転登記がされた上で第三者のために抵当権設定登記がされた場合において被相続人の死亡後に他の相続人がした真正な登記名義の回復を原因とする持分移転登記手続請求及び抵当権設定登記についての更正登記手続請求が認められた事例

裁判要旨一 被相続人の生存中に相続人に対し売買を原因としてされた所有権移転登記について、被相続人の死亡後に、相続を原因とするものに更正することはできない。
二 被相続人の生存中にその所有する不動産につき共同相続人の一人である甲に対し仮空の売買を原因として所有権転移登記がされ、甲が第三者乙のために抵当権設定登記をした場合には、被相続人の死亡後、他の相続人は、甲に対しては真正な登記名義の回復を原因とする持分の移転登記手続を、乙に対しては甲の持分についての抵当権設定登記に改める更正登記手続を請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成11年3月9日 平成9(オ)953
登載
集民 第192号65頁
参照法条
民法177条,民法882条,民法896条,民法898条,不動産登記法63条,不動産登記法66条
論点67第177条民法

債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における両者の優劣の判断基準

裁判要旨債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年3月26日 平成6(オ)1408
登載
民集 第52巻2号483頁
参照法条
民法177条,民法304条,民法372条,民事執行法145条
論点68第177条民法

限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否

裁判要旨不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年2月13日 平成8(オ)2168
登載
民集 第52巻1号38頁
参照法条
民法1条2項,民法177条,民法554条,民法922条,民法931条
論点69第177条民法

設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき場合

裁判要旨通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年2月13日 平成9(オ)966
登載
民集 第52巻1号65頁
参照法条
民法177条,民法280条
論点70第177条民法

通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合に地役権者が譲受人に対して地役権設定登記手続を請求することの可否

裁判要旨通行地役権の承役地の譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない場合には、地役権者は、譲受人に対し、同権利に基づいて地役権設定登記手続を請求することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年12月18日 平成8(オ)2343
登載
民集 第52巻9号1975頁
参照法条
民法177条,民法280条
論点71第560条民法

競売手続中の他人の不動産の売主が履行期に所有権移転登記手続等の義務を履行しなかつたとしても履行遅滞の責任がないとされた事例

裁判要旨競売手続中の他人の不動産の売主が履行期に所有権移転登記手続等の義務を履行しなかつたとしても、それが競落許可決定に対し即時抗告の申立がされたことによるなど原判示のような事情がある場合においては、売主の責に帰することのできない事由によるものとして履行遅滞の責任を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年7月1日 昭和57(オ)328
登載
集民 第136号217頁
参照法条
民法415条,民法541条,民法560条
論点72第560条民法

他人の農地の売買における買主が売主に対して有する農地法三条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定の所有権移転許可の申請協力請求権の消滅時効の起算点

裁判要旨他人の農地の売買における買主が売主に対して有する農地法三条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定の所有権移転許可の申請協力請求権の消滅時効は、売主が当該農地の所有権を取得した時から進行する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和55年2月29日 昭和54(オ)528
登載
民集 第34巻2号197頁
参照法条
民法166条1項,民法560条,農地法3条
論点73第560条民法

所有者から財産の管理・処分を受任した者が自己の名においてした財産処分の効力

裁判要旨所有者から財産の管理・処分を受任した者がみずからの名においてした財産処分の効力は所有者に及ぶ。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年12月16日 昭和50(オ)559
登載
集民 第119号315頁
参照法条
民法99条,民法100条,民法560条
論点74第560条民法

売主が他人の権利を自己のものと装つて売却した場合における契約の効力

裁判要旨売主が他人の権利を自己のものと装つて売却した場合でも他人の権利を目的とする売買として契約は有効に成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年12月25日 昭和49(オ)314
登載
集民 第116号863頁
参照法条
民法560条
論点75第560条民法

他人の権利の売主をその権利者が相続した場合と売主としての履行義務

裁判要旨他人の権利の売主をその権利者が相続し売主としての履行義務を承継した場合でも、権利者は、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右履行義務を拒否することができる。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和49年9月4日 昭和44(オ)23
登載
民集 第28巻6号1169頁
参照法条
民法560条,民法896条
論点76第560条民法

一、自作農創設特別措置法に基づき国が買収した土地を目的として締結された売買契約と他人の権利の売買

二、他人の財産権を目的とする贈与の効力

裁判要旨一、自作農創設特別措置法に基づいて国が買収し、所有権を取得した土地を目的とし、右土地の被買収者が第三者との間で売買契約を締結することは、民法五六〇条〈権利移転の対抗要件に係る売主の義務〉にいう「他人ノ権利ヲ以テ売買ノ目的ト為シタルトキ」にあたる。

二、他人の財産権をもつて贈与の目的としたときは、贈与義務者はみずからその財産権を取得して受贈者に移転する義務を負うもので、贈与契約として有効に成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年1月31日 昭和43(オ)821
登載
集民 第94号167頁
参照法条
民法549条,民法560条,自作農創設特別措置法12条
論点77第560条民法

他人の有する債権を譲渡する契約をしてその譲渡通知をした者がその後同債権を取得した場合における右譲渡および通知の効力

裁判要旨他人の有する債権を譲渡する契約をし、その債権の債務者に対して確定日附のある譲渡通知をした者が、その後同債権を取得した場合には、なんらの意思表示を要しないで、当然に同債権は譲受人に移転し、右譲受人は、同債権の譲受をもつて、その後右譲渡人から同債権の譲渡を受けた第三者に対抗することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年8月2日 昭和42(オ)250
登載
民集 第22巻8号1558頁
参照法条
民法466条,民法467条,民法560条
論点78第560条民法

共有者の一人が共有物を自己の単独所有に属するものとして売却した場合の法律関係

裁判要旨共有者の一人が、権限なく、共有物を自己の単独所有に属するものとして他に売り渡した場合でも、売買契約は有効に成立し、自己の持分をこえる部分については、他人の権利の売買としての法律関係を生ずるとともに、自己の持分の範囲内においては、約旨に従つた履行義務を負う。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年4月4日 昭和42(オ)30
登載
集民 第90号887頁
参照法条
民法251条,民法560条
論点79第560条民法

他人の権利の処分と追認

裁判要旨甲が乙の権利を自己の権利であるとして処分した場合に、乙がこれを追認したときは、右処分は、民法第一一六条〈無権代理行為の追認〉の類推適用により、処分のときに遡つて、乙についてその効力を生ずると解すべきである(最判昭和三七年八月一〇日第二小法廷判決民集一六巻八号一七〇〇頁参照)。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年7月15日 昭和40(オ)132
登載
集民 第79号849頁
参照法条
民法116条,民法560条
論点80第560条民法

特定物の売買後売主が物件の所有権を取得したときと買主への所有権移転の時期・方法。

裁判要旨売主が第三者所有の特定物を売り渡した後右物件の所有権を取得した場合には、買主への所有権移転の時期・方法について特段の約定がないかぎり、右物件の所有権は、なんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年11月19日 昭和40(オ)614
登載
民集 第19巻7号2003頁
参照法条
民法176条,民法555条,民法560条
論点81第560条民法

売主およびその相続人の共有不動産が売買の目的とされた場合当該相続人は当該売買契約における売主の義務の履行を拒みうるか。

裁判要旨売主およびその相続人たるべき者の共有不動産が売買の目的とされた場合において、売主が死亡し、相続人が限定承認をしなかつたときは、相続人は当該売買契約成立当時右不動産に持分を有していたからといつて、その持分についても、右売買契約における売主の義務の履行を拒みえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月27日 昭和37(オ)810
登載
民集 第17巻12号1854頁
参照法条
民法563条,民法560条,民法920条
論点82第560条民法

民法第五六一条〈他人の権利の売買における売主の義務〉にいわゆる移転不能の場合にあたるものと認むべき一事例

裁判要旨原審認定の事実関係(原判定参照)は、民法第五六一条〈他人の権利の売買における売主の義務〉にいう「売主カ其売却シタル権利ヲ取得シテ之ヲ買主ニ移転スルコト能ハサルトキ」にあたるものと解して妨げない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年5月31日 昭和28(オ)1442
登載
民集 第9巻6号844頁
参照法条
民法560条,民法561条
論点83第560条民法

一 調停において他人の所有に属する土地の譲渡を約した場合と調停の効力
二 再度の調停申立に基きさきに一旦成立した調停の内容と異なる「調停に代わる裁判」をした場合と右裁判の効力
三 和解において係争物に関係なき物の給付を約するのは和解の本質に反するか

裁判要旨一 調停において、当事者の一方が相手方に譲渡することを約した特定の土地が、当時他人の所有であつたからとて、単にそれだけでは、右調停は履行不能により無効であるということはできない。
二 一旦、調停の成立した法律関係につきその後再度の調停申立がなされ裁判所が戦時民事特別法第一九条〈審判相互の関係〉、金銭債務臨時調停法第七条による調停に代わる裁判をなし、さきの調停の内容を変更した場合、たとえ右裁判の内容が不当であつたとしても、これに対しては即時抗告をもつて争うのは格別、かかる手続によらないで右裁判を当然無効であるということはできない。
三 当事者が、和解において譲歩の方法として係争物に関係なき物の給付を約することは、和解の本質に反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月8日 昭和25(オ)29
登載
民集 第6巻2号63頁
参照法条
民法559条,民法560条,民法561条,民法562条,民法695条,戦時民事特別法(昭和17年法律63号)19条,金銭債務臨時調停法(昭和7年法律26号)7条,金銭債務臨時調停法(昭和7年法律26号)9条
論点84第560条民法

一 原始的不能と他人の物の売買の成立
二 他人の物の売買の履行不能と契約の解除権

裁判要旨一 他人の物の売買にあつては、その目的物の所有者が、売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従つて、売主において、これを取得し買主に移転することができないような場合であつても、なお、その売買契約は、有効に成立する。
二 他人の物の売買において、売主が、その売却した権利を取得してこれを買主に移転することができないときは、その履行の不能が、原始的であると後発的であるとを問わず、また、売主の責に帰すべき事由によるものと否とを問わず、買主は、ただそれだけの事由に基ずき契約の解除をすることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和25年10月26日 昭和24(オ)306
登載
民集 第4巻10号497頁
参照法条
民法560条,民法561条
論点85第560条民法

無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合における当該物の所有者の追認の効果

裁判要旨無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合に,当該物の所有者が,自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても,その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求権を取得すると解することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年10月18日 平成22(受)722
登載
民集 第65巻7号2899頁
参照法条
民法116条,民法560条
論点86第560条民法

土地の売買契約の買主が売主に対し債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することの可否

裁判要旨土地の売買契約の買主は,当該売買契約において売主が負う土地の引渡しや所有権移転登記手続をすべき債務の履行を求めるための訴訟の提起・追行又は保全命令若しくは強制執行の申立てに関する事務を弁護士に委任した場合であっても,売主に対し,これらの事務に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年1月22日 令和1(受)861
登載
集民 第265号95頁
参照法条
民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)415条,民法416条1項,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)416条2項,民法555条,民法560条
論点87第178条民法

一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力

二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴え

三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例

裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物に及ぶ。

二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができる。

三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和62年11月10日 昭和57(オ)1408
登載
民集 第41巻8号1559頁
参照法条
民法85条,民法178条,民法181条,民法183条,民法333条,民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,競売法3条
論点88第178条民法

立木法の適用を受けない立木と取引の対象の可否−右の場合における特定の方法はどうか

裁判要旨立木法の適用を受けない立木でも、右立木のみを土地から分離して独立して取引の対象とすることができる。右の場合において、一定の地番の上に生育の立木という以上、その立木の範囲は確定していると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年12月16日 昭和39(オ)953
登載
集民 第81号469頁
参照法条
民法176条,民法178条,立木ニ関スル法律2条
論点89第178条民法

一 沈没船所有権移転の対抗要件
二 沈没船の引渡があつたと認むべき事例

裁判要旨一 海底三五尋以上の海深にあつて引揚困難な沈没船の所有権移転を第三者に対抗するには、たとえ公称屯数二〇屯以上の場合でも、民法第一七八条〈動産に関する物権の譲渡の対抗要件〉にいう引渡があれば足りる。
二 原判示のような事情(原判決理由参照)のもとで、沈没船売買契約書、保険会社の損害品売渡証、関係漁場使用に関する漁業協同組合長名義の承諾書等関係書類授受があつたときは、当該沈没船につき民法第一七八条にいう引渡があつたものと認むるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年9月1日 昭和34(オ)986
登載
民集 第14巻11号1991頁
参照法条
商法686条,商法687条,民法178条
論点90第178条民法

民法第一七八条〈動産に関する物権の譲渡の対抗要件〉の第三者にあたらない一事例

裁判要旨甲所有の動産が乙の占有にある間に乙の債権者丙によつて仮差押がなされたとしても、丙は、甲から所有権を譲り受けた丁に対し、引渡の欠缺を主張する正当の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年3月14日 昭和31(オ)1056
登載
民集 第12巻3号570頁
参照法条
民法178条
論点91第178条民法

動産の売渡担保契約と債務者の所有権取得の対抗力の有無

裁判要旨債務者が動産を売渡担保に供し引きつづきこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に、占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権取得をもつて第三者に対抗することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和30年6月2日 昭和28(オ)952
登載
民集 第9巻7号855頁
参照法条
民法178条,民法181条,民法183条
論点92第178条民法

寄託動産の保管者と民法第一七八条

裁判要旨動産の寄託をうけ一時これを保管しているにすぎない者は民法第一七八条の第三者に該当しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月31日 昭和27(オ)1197
登載
民集 第8巻8号1567頁
参照法条
民法178条,民法662条
論点93第364条民法

指名債権に対する質権設定を第三者に対抗しうる要件としての第三債務者に対する通知又はその承諾と質権者特定の要否

裁判要旨指名債権に対する質権設定を第三者に対抗しうる要件としての第三債務者に対する通知又はその承諾は、具体的に特定された者に対する質権設定についてされることを要する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年6月30日 昭和56(オ)304
登載
民集 第37巻5号835頁
参照法条
民法364条1項,民法467条
論点94第364条民法

一 債権質の準拠法
二 債権質の対抗要件である通知・承諾と法例八条〈成年被後見人及び成年後見人〉の適用

裁判要旨一 債権質に適用すべき準拠法は、その目的である債権の準拠法によるべきである。
二 指名債権を目的とする債権質の対抗要件である通知・承諾は、債権質の効力に関する要件であつて、法例八条〈成年被後見人及び成年後見人〉にいう法律行為の方式にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年4月20日 昭和50(オ)347
登載
民集 第32巻3号616頁
参照法条
民法362条,民法364条1項,民法467条,法例7条,法例8条,法例10条1項
論点95第364条民法

敷金返還請求権を目的とする質権設定についての第三債務者の異議をとどめない承諾に要素の錯誤があるとされた事例

裁判要旨敷金返還請求権を目的として質権が設定され、第三債務者がこれを承諾した場合において、第三債務者としては敷金から控除される金額の割合を定めた特約の存在について異議をとどめて承諾をするつもりであったのに、その使者がこれと異なった表示をしたため、錯誤により異議をとどめない承諾がされる結果となったものであり、右特約が返還の対象となる敷金の額と密接なかかわりを有する約定であったなど判示の事実関係の下においては、第三債務者の右の錯誤は、承諾をするに至った動機における錯誤ではなく、承諾の内容自体に関する錯誤であって、要素の錯誤に当たるというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年6月18日 平成4(オ)874
登載
集民 第179号331頁
参照法条
民法95条,民法364条,民法467条,民法468条
論点96第467条民法

一 上告審における被告の破産と破産債権確定訴訟への訴えの変更
二 指名債権が二重に譲渡された場合に対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済と民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用
三 二重に譲渡された指名債権の債務者が対抗要件を後れて具備した譲受人に対してした弁済について過失がないというための要件

裁判要旨一 給付訴訟の上告審係属中に被告が破産宣告を受け破産管財人が訴訟手続を受継した場合には、原告は、上告審において、右給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更することができる。
二 指名債権が二重に譲渡された場合に、民法四六七条二項〈債権の譲渡の対抗要件〉所定の対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済についても、同法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用がある。
三 二重に譲渡された指名債権の債務者が民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信じてした弁済について過失がないというためには、対抗要件を先に具備した譲受人の債権譲受又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月11日 昭和57(オ)272
登載
民集 第40巻3号558頁
参照法条
民訴法232条,破産法244条1項,破産法246条1項,民法467条,民法478条
論点97第467条民法

一 指名債権譲渡の対抗要件と譲渡人の破産
二 民法施行法五条四号〈未成年者の法律行為〉にいう「確定日附アル証書中ニ私署証書ヲ引用シタルトキ」の意義

裁判要旨一 指名債権の譲渡を受けた者は、破産宣告前に右譲渡について民法四六七条二項所定の対抗要件を具備しない限り、右債権の譲受をもつて破産管財人に対抗しえない。
二 民法施行法五条四号〈未成年者の法律行為〉にいう「確定日附アル証書中ニ私署証書ヲ引用シタルトキ」とは、確定日付ある証書それ自体に当該私署証書の存在とその同一性が明確に認識しうる程度にその作成者、作成日、内容等の全部又は一部が記載されていることをいうと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年3月22日 昭和57(オ)973
登載
集民 第138号303頁
参照法条
民法467条2項,破産法6条1項,破産法71条,民法施行法5条4号
論点98第467条民法

債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣の基準

裁判要旨債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時と債権差押命令が第三債務者たる右債務者に送達された日時の先後によつて決すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年10月4日 昭和56(オ)1230
登載
集民 第140号1頁
参照法条
民法467条,民訴法598条(昭和54年法律第4号による改正前のもの)
論点99第467条民法

民法四六七条一項〈債権の譲渡の対抗要件〉にいう「債務者ニ対抗スルコトヲ得ス」の意義

裁判要旨民法四六七条一項〈債権の譲渡の対抗要件〉所定の通知又は承諾は、債権の譲受人が債務者に対して債権を行使するための積極的な要件ではなく、債務者において通知又は承諾の欠けていることを主張して、譲受人による債権の行使を阻止することができるにすぎないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和56年10月13日 昭和56(オ)483
登載
集民 第134号97頁
参照法条
民法467条1項
論点100第467条民法

指名債権が二重に譲渡され確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達した場合における譲受人の一人からする弁済請求

裁判要旨指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、債務者に対しそれぞれの譲受債権全額の弁済を請求することができ、譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、弁済の責を免れることができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年1月11日 昭和53(オ)1199
登載
民集 第34巻1号42頁
参照法条
民法467条
論点101第467条民法

同一債権が重複して譲渡され同一確定日付による複数の債権譲渡通知が同時に債務者に到達した場合と後順位譲受人に対する対抗力

裁判要旨同一債権が重複して譲渡された場合において、確定日付が同一日付である複数の債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、後順位の譲受人に対する関係においては先順位の各譲受人が等しく債権者たる地位を有効に取得したものとして対抗することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年7月18日 昭和53(オ)383
登載
集民 第124号447頁
参照法条
民法467条
論点102第467条民法

譲渡禁止の特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知つて譲り受けたのち債務者がその譲渡につき承諾を与えた場合と承諾後債権の差押・転付命令を得た第三者に対する右債権譲渡の効力

裁判要旨譲渡禁止の特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知つて譲り受けた場合でも、債務者がその譲渡につき承諾を与えたときは、債権譲渡は譲渡の時にさかのぼつて有効となり、譲渡に際し債権者から債務者に対して確定日付のある譲渡通知がされている限り、債務者は、右承諾後に債権の差押・転付命令を得た第三者に対しても債権譲渡の効力を対抗することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年3月17日 昭和48(オ)823
登載
民集 第31巻2号308頁
参照法条
民法119条,民法466条,民法467条
論点103第467条民法

指名債権の特定遺贈と債務者に対する対抗要件

裁判要旨指名債権が特定遺贈された場合、遺贈義務者の債務者に対する通知又は債務者の承諾がなければ、受遺者は、遺贈による債権の取得を債務者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年4月26日 昭和48(オ)1226
登載
民集 第28巻3号540頁
参照法条
民法467条1項,民法964条,民法985条1項
論点104第467条民法

裏書によらない手形債権の譲渡の性質

裁判要旨約束手形の受取人甲が、乙からその手形の割引を受け、裏書をしないでこれを乙に交付したときは、甲は、指名債権譲渡の方法によつて乙に右手形債権を譲渡したものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年2月28日 昭和47(オ)1233
登載
民集 第28巻1号121頁
参照法条
手形法11条,民法467条
論点105第467条民法

破産管財人が破産者宛の破産債権譲渡の通知書の配達を受けて開披した場合と右譲渡の対抗力

裁判要旨破産債権である指名債権の譲渡を破産管財人に対抗するには、譲渡人がこれを破産管財人に通知し、又は破産管財人がこれを承諾することを要し、破産者宛の通知が破産管財人に配達され、破産管財人がこれを開披したとしても、破産管財人に対する通知があつたとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年11月21日 昭和45(オ)1133
登載
民集 第28巻8号1654頁
参照法条
民法467条1項,破産法190条1項,破産法190条2項
論点106第467条民法

手形金債務の支払につき手形外の保証契約が締結されている場合と裏書によつて手形債権を取得した者の保証人に対する履行請求

裁判要旨約束手形の振出人のため手形金債務の支払につき受取人との間で手形外の保証契約が締結されている場合には、裏書によつて手形債権を取得した者は、これとともに保証債権を取得し、かつ、その取得につき対抗要件を具備することなく、保証人に対し保証債務の履行を求めることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年4月21日 昭和44(オ)188
登載
民集 第24巻4号283頁
参照法条
民法446条,民法467条,手形法14条,手形法32条
論点107第467条民法

債権譲渡の通知に審理不尽の違法が存するとされた事例

裁判要旨原審認定の事実関係のもとにおいては、甲四号証(債権譲渡通知書)の記載のみならず、右通知のなされるにいたつた経緯、とくに右通知を必要とするにいたつた基礎となる請求権の発生その他の法律関係の発生の経過等についても審理探究し、その他の証拠資料をも綜合して判定すべきであるのに、右の点について審理判断することなく、本訴請求権の譲渡通知はなされていないと認定したのは、違法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年7月21日 昭和39(オ)287
登載
集民 第84号137頁
参照法条
民法117条,民法467条,民法555条
論点108第467条民法

裏書の抹消による手形の譲渡が期限後になされた場合と指名債権譲渡の対抗要件を具備することの要否。

裁判要旨裏書の抹消による手形の譲渡が期限後になされた場合に、指名債権譲渡の対抗要件を具備することは必要でない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月10日 昭和38(オ)929
登載
集民 第73号83頁
参照法条
手形法14条,手形法20条1項,民法467条
論点109第467条民法

銀行の自己宛小切手が窃取された場合に呈示期間経過後取得した右小切手の所持人に対する支払が無効とされた事例。

裁判要旨銀行の自己宛小切手が窃取された場合、呈示期間経過後取得した右小切手の所持人に対する小切手金支払は、たとい該所持人を小切手金債権の準占有者とみなしてなされたとしても、同銀行が右事情を知悉しているかぎり無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年12月4日 昭和36(オ)796
登載
集民 第76号373頁
参照法条
民法467条,民法478条,小切手法21条,小切手法32条2項,小切手法35条
論点110第467条民法

一 買戻特約の登記をしなかつた場合における不動産買戻権譲渡の方法
二 買戻特約の登記をしなかつた場合における不動産買戻権譲渡の対抗要件

裁判要旨一 買戻の特約を登記しなかつた場合、不動産買戻権は売主の地位と共にのみ譲渡することができる。
二 買戻の特約を登記しなかつた場合における不動産買戻権の譲渡を買主に対抗するには、これに対する通知またはその承諾を必要とし且つこれをもつて足りる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年4月26日 昭和33(オ)186
登載
民集 第14巻6号1071頁
参照法条
民法579条,民法581条1項,民法129条,民法467条1項
論点111第467条民法

一 いわゆる無記名定期預金債権の性質
二 無記名定期預金の債権者の判定
三 無記名定期預金の債権者でない者が単に届出印鑑を使用してなした相殺の効力

裁判要旨一 いわゆる無記名定期預金債権は無記名債権でなく氏名債権に属する。
二 甲が乙に金員を交付して甲のため無記名定期預金の預入れを依頼し、よつて乙がその金員を無記名定期預金として預入れた場合、乙において右金員を横領し自己の預金としたものでない以上、その預入れにあたり、乙が、届出印鑑として乙の氏を刻した印鑑を使用し、相手方の銀行が、かねて乙を知つており、届出印鑑を判読して預金者を乙と考え、預金元帳にも乙を預金者と記載した事実があつたとしても、右無記名定期預金の債権者は乙でなく、甲と認めるのが相当である。
三 右無記名定期預金において、相手方の銀行は、無記名定期預金証書と届出印鑑を呈示した者に支払をすることにより免責される旨の特約がなされている場合、届出印鑑のみを提出した乙との間に、右無記名定期預金と乙の銀行に対する債務と相殺する旨の合意をしても、右銀行はこれによつて、甲に対する無記名定期預金払戻債務につき、免責を得るものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年12月19日 昭和29(オ)485
登載
民集 第11巻13号2278頁
参照法条
民法666条,民法86条3項,民法467条1項,民法505条
論点112第467条民法

預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡を第三者に対抗するための要件

裁判要旨預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡をゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗するには、指名債権の譲渡の場合に準じて、譲渡人が確定日付のある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し、又はゴルフ場経営会社が確定日付のある証書によりこれを承諾することを要し、かつ、そのことをもって足りる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年7月12日 平成7(オ)2080
登載
民集 第50巻7号1918頁
参照法条
民法467条,民法第3編第2章契約
論点113第467条民法

一 同一の債権について差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合における差押債権者と債権譲受人との間の優劣
二 同一の債権について差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合と当該債権に係る供託金の還付請求権の帰属

裁判要旨一 同一の債権について、差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明である場合、差押債権者と債権譲受人とは、互いに自己が優先的地位にある債権者であると主張することができない。
二 同一の債権について、差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明であるため、第三債務者が債権額に相当する金員を供託した場合において、被差押債権額と譲受債権額との合計額が右供託金額を超過するときは、差押債権者と債権譲受人は、被差押債権額と譲受債権額に応じて供託金額を案分した額の供託金還付請求権をそれぞれ分割取得する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年3月30日 昭和63(オ)1526
登載
民集 第47巻4号3334頁
参照法条
民法467条,国税徴収法62条,国税徴収法67条
論点114第467条民法

国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され第三者に対する対抗要件が具備されていた場合における国税徴収法24条6項〈仮住所〉の適用

裁判要旨国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年2月15日 平成16(行ヒ)310
登載
民集 第61巻1号243頁
参照法条
国税徴収法24条,民法369条(譲渡担保),民法467条2項
論点115第467条民法

動産売買の先取特権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

裁判要旨動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年2月22日 平成16(受)1271
登載
民集 第59巻2号314頁
参照法条
民法304条,民法322条,民法467条
論点116第467条民法

譲渡債権の発生年月日として始期のみが記録されている債権譲渡登記をもって始期当日以外の日に発生した債権の譲渡を第三者に対抗することの可否

裁判要旨債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律2条1項〈解釈の基準〉に規定する債権譲渡登記に譲渡債権の発生年月日の始期(平成10年法務省告示第295号3(5)の項番24)は記録されているがその終期(同項番25)が記録されていない場合には,当該債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても,他に当該債権譲渡登記中に始期当日以外の日に発生した債権も譲渡の目的である旨の記録がない限り,債権譲受人は,当該債権譲渡登記をもって,始期当日以外の日に発生した債権の譲受けを債務者以外の第三者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成14年10月10日 平成14(受)240
登載
民集 第56巻8号1742頁
参照法条
債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律2条1項,債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律5条1項,債権譲渡登記規則(平成10年法務省令第39号)6条1項,平成10年法務省告示第295号3(1),平成10年法務省告示第295号3(5),民法467条
論点117第467条民法

指名債権譲渡の予約についての確定日付のある証書による債務者に対する通知又は債務者の承諾をもって予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することの可否

裁判要旨指名債権譲渡の予約についてされた確定日付のある証書による債務者に対する通知又は債務者の承諾をもって,当該予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成13年11月27日 平成10(オ)331
登載
民集 第55巻6号1090頁
参照法条
民法467条2項,民法556条1項
論点118第467条民法

金銭債務の担保として既発生債権及び将来債権を一括して譲渡するいわゆる集合債権譲渡担保契約における債権譲渡の第三者に対する対抗要件

裁判要旨甲が乙に対する金銭債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対して担保権実行として取立ての通知をするまでは甲に譲渡債権の取立てを許諾し,甲が取り立てた金銭について乙への引渡しを要しないとの内容のいわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約において,同契約に係る債権の譲渡を第三者に対抗するには,指名債権譲渡の対抗要件の方法によることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年11月22日 平成12(受)194
登載
民集 第55巻6号1056頁
参照法条
民法369条(譲渡担保),民法467条2項
論点119第467条民法

債権譲渡の通知に対する詐害行為取消権行使の可否

裁判要旨債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年6月12日 平成8(オ)1307
登載
民集 第52巻4号1121頁
参照法条
民法424条,民法467条
論点120第467条民法

抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

裁判要旨抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年2月10日 平成8(オ)673
登載
集民 第187号47頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法467条
論点121第467条民法

抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

裁判要旨抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成10年1月30日 平成9(オ)419
登載
民集 第52巻1号1頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法467条
論点122第655条民法

請負人が材料全部を提供して建築した建物が完成と同時に注文者の所有に帰したものと認められた事例

裁判要旨請負人が、材料全部を提供して、注文者の所有する土地に建物を建築した場合において、請負契約が分譲を目的とする建物六棟につき一括してされたものであり、請負人は、その内三棟については注文者ないしこれから分譲を受けた入居者らに異議なくその引渡を了し、注文者から、請負代金の全額につきその支払のための手形を受領し、その際、六棟全部についての建築確認通知書を注文者に交付したなど、判示の事実関係があるときは、右確認通知書交付にあたり、六棟の建物につき完成と同時に注文者に所有権を帰属させる旨の合意がなされ、いまだ引渡しのされていない建物も完成と同時に注文者の所有に帰したものと認めることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年3月5日 昭和45(オ)1117
登載
集民 第102号219頁
参照法条
民法176条,民法655条
論点123第36条民法

G聯合会に「公司創立登記」を了した股・有限公司は日本国内法上法人格を有するか。

裁判要旨商法上の会社設立登記を経由しないかぎり、右公司に独立の法人格は認められない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月8日 昭和35(オ)809
登載
集民 第68号259頁
参照法条
民法36条,商法482条
原

条文原文

原文ママ

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民法 第759条(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件) 詳細ページ
(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
第七百五十九条前条の規定又は第七百五十五条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
民法 第899_2条(共同相続における権利の承継の対抗要件) 詳細ページ
(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第八百九十九条の二相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
民法 第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件) 詳細ページ
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
民法 第560条(権利移転の対抗要件に係る売主の義務) 詳細ページ
(権利移転の対抗要件に係る売主の義務)
第五百六十条売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
民法 第945条(不動産についての財産分離の対抗要件) 詳細ページ
(不動産についての財産分離の対抗要件)
第九百四十五条財産分離は、不動産については、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
民法 第178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件) 詳細ページ
(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
民法 第364条(債権を目的とする質権の対抗要件) 詳細ページ
(債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
民法 第377条(抵当権の処分の対抗要件) 詳細ページ
(抵当権の処分の対抗要件)
第三百七十七条前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。
民法 第756条(夫婦財産契約の対抗要件) 詳細ページ
(夫婦財産契約の対抗要件)
第七百五十六条夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
民法 第467条(債権の譲渡の対抗要件) 詳細ページ
(債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
民法 第655条(委任の終了の対抗要件) 詳細ページ
(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
民法 第352条(動産質の対抗要件) 詳細ページ
(動産質の対抗要件)
第三百五十二条動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
民法 第36条(登記) 詳細ページ
(登記)
第三十六条法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。
出

一次情報

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