民事訴訟法 / テーマ別まとめ

証拠/証人尋問

証人尋問の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民事訴訟法190条から206条は、証人尋問に関する基本ルールをまとめています。誰が証人義務を負うか、出頭しない場合の過料・罰金・勾引といった強制手段、証言や宣誓を拒める場合の要件、尋問の順序や、受命裁判官による尋問・付添い・遮へい・映像通話・書面提出といった特別な尋問方法までを扱います。

証人尋問
場面内容根拠条文
出頭しない(過料)訴訟費用負担+10万円以下の過料192条
出頭しない(罰則)10万円以下の罰金又は拘留193条
出頭しない(勾引)勾引を命じられる194条
証言拒絶(名誉等)証言を拒める196条
証言拒絶(秘密等)証言を拒める197条
宣誓拒絶著しい利害関係で拒める201条4項
尋問方法の特則付添い・遮へい・映像通話等203条の2~205条
  • 190条:証人義務は「特別の定めがある場合」を除くのが原則(除外の内容は本条文にはない)。
  • 191条:監督官庁は議員はその院、内閣総理大臣等は内閣。承認は公共の利益等を害するおそれがなければ拒めない。
  • 197条2項:黙秘義務を免除された場合は197条1項の証言拒絶はできない。
  • 199条・202条3項・203条の2第3項・203条の3第3項:関連する決定には当事者が即時抗告または異議を述べられる。
  • 200条・201条5項:証言拒絶・宣誓拒絶を理由なしとする裁判確定後になお拒む場合は192条・193条を準用。
  • 201条3項:196条に該当する証人が拒絶権を行使しない場合は宣誓させないことができる。
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証人尋問

証人尋問について、条文は何を定めているか。

第190条証人義務誰でも証人にできるのが原則1項判例 19件
  • 特別の定めがある場合を除き誰でも証人として尋問できる
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第191条公務員の尋問公務員の職務上秘密の尋問には承認が要る2項判例 27件
  • 監督官庁(議員はその院、大臣は内閣)の承認が必要
  • 公共の利益を害する等のおそれがなければ拒めない
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第192条不出頭に対する過料等正当理由なく不出頭なら過料等2項判例 3件
  • 訴訟費用負担+10万円以下の過料が科される
  • この決定には即時抗告ができる
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第193条不出頭に対する罰金等不出頭には罰金・拘留の罰則も2項判例 5件
  • 10万円以下の罰金又は拘留に処される
  • 情状により罰金と拘留を併科できる
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第194条勾引出頭しない証人は勾引できる2項判例 10件
  • 正当理由なく出頭しない証人の勾引を命じられる
  • 刑事訴訟法の勾引の規定が準用される
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第195条受命裁判官等による証人尋問現地での尋問を裁判官に任せられる場合1項・4号判例 7件
  • 出頭義務がない・正当理由で出頭できないとき
  • 出頭に不相当な費用や時間がかかるとき
  • 現場での尋問が必要なとき、または当事者に異議がないとき
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第196条証言拒絶権刑事訴追等のおそれがあれば証言拒める1項・2号判例 6件
  • 証人本人が訴追・有罪判決を受けるおそれがある事項
  • 配偶者や近親者などが同様のおそれがある事項も対象
  • 本人や近親者の名誉を害する事項も拒絶できる
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第197条秘密や職業上の理由でも証言拒める2項・3号判例 7件
  • 191条1項〈公務員の尋問〉の監督官庁の承認がない場合
  • 医師・弁護士等が職務上知った秘密の事項
  • 技術や職業の秘密に関する事項
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第198条証言拒絶の理由の疎明証言拒絶には理由の疎明が必要1項判例 14件
  • 証言を拒む理由を疎明しなければならない
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第199条証言拒絶についての裁判証言拒絶の可否は裁判所が決定2項判例 28件
  • 191条1項〈公務員の尋問〉の場合を除き受訴裁判所が当事者を審尋して決定
  • この決定には当事者・証人とも即時抗告ができる
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第200条証言拒絶に対する制裁拒絶が不当と確定後もなお拒むと制裁1項判例 5件
  • 証言拒絶が理由なしと確定した後になお拒むと192条〈不出頭に対する過料等〉・193条〈不出頭に対する罰金等〉を準用
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第201条宣誓証人には原則宣誓させる5項判例 17件
  • 特別の定めがある場合を除き宣誓をさせなければならない
  • 16歳未満や宣誓の趣旨を理解できない者には宣誓させない
  • 自己や近親者に著しい利害がある事項は宣誓を拒める
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第202条尋問の順序証人尋問は申出当事者から順に3項判例 8件
  • 尋問申出をした当事者→他の当事者→裁判長の順
  • 裁判長は当事者の意見を聴き順序を変更できる
  • 順序変更に異議があれば裁判所が決定で裁判
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第203条書類等に基づく陳述の禁止書類を見ながらの証言は原則禁止1項判例 20件
  • 証人は書類等に基づいて陳述できないのが原則
  • 裁判長の許可があれば書類等を見て陳述できる
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第203_2条付添い不安が強い証人には付添人をつけられる3項判例なし
  • 年齢や心身の状態等から著しい不安・緊張が見込まれる場合
  • 尋問や陳述を妨げず不当な影響を与えない者に限る
  • 付添いへの異議には裁判所が決定で裁判
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第203_3条遮へいの措置本人や傍聴人が見えないようにする措置3項判例なし
  • 本人等の面前で精神の平穏を著しく害されるおそれがある場合
  • 傍聴人との間でも相互に状態が分からないようにできる
  • この処置への異議には裁判所が決定で裁判
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第204条映像等の送受信による通話の方法による尋問映像と音声を使った遠隔での尋問1項・3号判例 2件
  • 住所・年齢・心身の状態等で出頭が困難な場合
  • 圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがある場合
  • 当事者に異議がない場合
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第205条尋問に代わる書面の提出尋問に代えて書面提出でも可3項判例 2件
  • 当事者に異議がなく相当なら書面提出に代えられる
  • 書面の代わりに電磁的記録の提出も認められる
  • 裁判所は書面等の記載事項を当事者に提示する
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第206条受命裁判官等の権限受命・受託裁判官が裁判所の職務を行う1項判例 1件
  • 証人尋問時は裁判所・裁判長の職務をその裁判官が行う
  • 202条3項〈尋問の順序〉の異議についての裁判だけは受訴裁判所が行う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第190条民事訴訟法

一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法二六六条一項二七六条に基づく地上権消滅請求

裁判要旨一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。

二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であるため地上権者が言語上の提供をするまでもなく地代債務の不履行の責を免れるという事情がある場合には、土地所有者は、みずから受領拒絶の態度を改め、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにしたのち相当期間を経過したか、又は相当期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者が右期間を徒過した等、自己の受領遅滞又はこれに準ずる事態を解消させる措置を講じたのちでなければ、民法二六六条一項、二七六条に基づく地上権消滅請求の意思表示をすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年3月20日 昭和53(オ)400
登載
民集 第35巻2号219頁
参照法条
民訴法190条2項,民訴法207条,民法266条1項,民法276条
論点2第190条民事訴訟法

判決言渡期日の遅延と上告理由

裁判要旨判決が口頭弁論終結の日から約五年有余を徒過したのちに言い渡されたという違法は、上告適法の理由とはならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月24日 昭和50(オ)262
登載
集民 第115号107頁
参照法条
民訴法190条,民訴法394条,民訴法395条
論点3第190条民事訴訟法

当事者双方不出頭の場合に本人尋問の採用を取消す決定の告知方法

裁判要旨適法な呼出を受けながら当事者双方が口頭弁論期日に出頭しない場合に、本人尋問の採用を取消す決定が言渡されたときは、右決定の告知は、当事者双方に対してその効力を生ずる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年11月30日 昭和47(オ)1103
登載
集民 第110号621頁
参照法条
民訴法190条2項,民訴法207条
論点4第190条民事訴訟法

適法に告知された判決言渡期日に当事者双方が不出頭の場合の延期期日の指定と呼出の要否

裁判要旨適法に告知された判決言渡期日に当事者双方が不出頭の場合において、同期日に判決の言渡を延期し、さらに言渡期日を指定したときは新期日の呼出状を当事者に送達することなく、右新期日に判決を言渡しても違法ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年3月21日 昭和46(オ)947
登載
集民 第105号315頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点5第190条民事訴訟法

口頭弁論期日に出頭しなかつた当事者に対する判決言渡期日の告知

裁判要旨当事者の一方が適式な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合において、裁判所が、当事者の一方の不出頭のまま口頭弁論を経て審理を終結し、判決言渡期日を指定して告知したときは、その告知は、右期日に在廷していなかつた当事者に対しても、その効力を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年5月22日 昭和42(オ)1017
登載
集民 第99号201頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点6第190条民事訴訟法

当事者双方不出頭の場合に延期された判決言渡期日の告知

裁判要旨適式な判決言渡期日の指定告知を受けながら当事者が右期日に出頭しない場合に、言渡が延期されて次回期日が指定告知されたときは、その新期日につき告知の効力を生ずるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年9月6日 昭和41(オ)31
登載
集民 第84号331頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条
論点7第190条民事訴訟法

口頭弁論期日に出頭しなかつた当事者に対する判決言渡期日の告知

裁判要旨(昭和二三年(オ)第一九号昭和二三年五月一八日第三小法廷判決(判例集第二巻五号一一五頁)を参照する判決例)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年7月16日 昭和39(オ)1099
登載
集民 第79号889頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点8第190条民事訴訟法

当事者不出頭の弁論期日に言渡期日が指令告知された場合の効力。

裁判要旨当事者双方に対し適法な期日の呼出または告知がされて開かれた弁論期日に、当事者の一方が不出頭のまま弁論が終結され、判決言渡期日の指定告知があったときは、その告知は右期日に出廷していなかった当事者に対しても効力を生じる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年7月21日 昭和38(オ)877
登載
集民 第74号691頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点9第190条民事訴訟法

判決言渡期日の告知。

裁判要旨当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長において判決言渡期日を指定してこれを出頭当事者に告知したときは、その告知は、在廷しない当事者に対しても効力を有する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年4月16日 昭和37(オ)469
登載
集民 第73号87頁
参照法条
民訴法190条2項,民訴法207条
論点10第190条民事訴訟法

不出頭の当事者に対する判決言渡期日の告知。

裁判要旨当事者双方に対し適法な期日の呼出又は告知がなされて開かれた口頭弁論期日において、当事者の一方の不出頭のまま弁論が終結され、判決言渡期日の指定告知がなされたときは、その告知は不出頭の当事者に対してもその効力を生ずるものである(昭和二三年(オ)第一九号同年五月一八日第三小法廷判決・民集二巻五号一一五頁、昭和二二年(オ)第四号同二三年九月三〇日第一小法廷判決・民集二巻一〇号三六〇頁)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年12月8日 昭和38(オ)1170
登載
集民 第76号393頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点11第190条民事訴訟法

民訴法第一九〇条第一項〈証人義務〉の法意。

裁判要旨民訴法第一九〇条第一項〈証人義務〉は訓示規定である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年4月25日 昭和36(オ)1300
登載
集民 第65号729頁
参照法条
民訴法190条1項
論点12第190条民事訴訟法

一 弁論再開をしなかつたことは証拠申出の不当制限になるか
二 当事者一方の欠席と判決言渡期日の告知の効力
三 判決言渡期日変更の告知と不出頭当事者に対する効力

裁判要旨一 弁論の再開を命ずると否とは裁判所の専権事項であつて、裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新な証拠の提出ができなかつたとしても、それは証拠申出を不当に制限したものとはならない。
二 当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長において判決言渡期日を指定してこれを当事者に告知したときは、その告知は在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
三 当事者の一方が判決言渡期日を適法に告知されながら右期日に出頭しない場合に、言渡期日が変更され次回期日が指定告知されたときは、その告知は在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年4月16日 昭和37(オ)528
登載
集民 第65号519頁
参照法条
民訴法133条,民訴法137条,民訴法207条,民訴法190条2項
論点13第190条民事訴訟法

適法な呼出にかかわらず当事者一方が出頭しなかつた口頭弁論期日において弁論が終結され判決云渡期日が指定告知されたが該云渡期日には当事者双方不出頭のまま云渡が延期され次回期日が指定された場合において前示一方当事者に対する告知の効力。

裁判要旨右の場合において、告知の効力はある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月1日 昭和38(オ)542
登載
集民 第68号119頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点14第190条民事訴訟法

当事者双方不出頭の場合に延期された判決言渡期日の告知と呼出状の送達の要否

裁判要旨適法な呼出を受けながら当事者双方が判決言渡期日に出頭しない場合に、言渡が延期され、次回期日が指定告知されたときは、その新期日につき告知の効力を生じ、呼出状の送達をする必要がないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月30日 昭和36(オ)995
登載
集民 第59号747頁
参照法条
民訴法154条,民訴法190条2項,民訴法204条,民訴法207条
論点15第190条民事訴訟法

判決言渡期日の遅延と上告理由。

裁判要旨判決が口頭弁論終結の日から約四年を徒過した後に言い渡されたという違法は、上告適法の理由とはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年11月22日 昭和36(オ)1289
登載
集民 第63号313頁
参照法条
民訴法190条,民訴法394条
論点16第190条民事訴訟法

当事者双方不出頭の場合に延期された判決言渡期日の告知

裁判要旨適法な呼出を受けながら当事者双方が判決言渡期日に出頭しない場合に、言渡が延期され次回の期日が指定告知されたときは、その新期日につき告知の効力を生ずる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年2月26日 昭和30(オ)912
登載
民集 第11巻2号364頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点17第190条民事訴訟法

一 民訴第三八一条〈過料〉の意義。
二 判決言渡期日の告知。

裁判要旨一 民訴第三八一条〈過料〉は、すでに第一審裁判所の終局判決がなされた以上、仮に不当に管轄を認めたとしても、専属管轄に関しない限りは、訴訟経済の見地から、控訴審においては、もはや第一審の裁判所の管轄については争うことを許さない趣旨を定めた規定である。
二 当事者雙方に対し適法な期日の呼出又は告知がなされて開かれた口頭弁論期日において、当事者の一方の不出頭のまゝ弁論が終結され、判決言渡期日の指定告知がなされたときは、その告知は、右の期日に出延していなかつた当事者に対しても、その効力を生ずる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和23年9月30日 昭和22(オ)4
登載
民集 第2巻10号360頁
参照法条
民訴法381条,民訴法207条,民訴法190条2項
論点18第190条民事訴訟法

口頭弁論期日に出頭しなかつた当事者に対する判決言渡期日の告知。

裁判要旨当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長において判決言渡期日を指定してこれを当事者に告知したときは、その告知は、在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和23年5月18日 昭和23(オ)19
登載
民集 第2巻5号115頁
参照法条
民訴法207条,民訴法190条2項
論点19第190条民事訴訟法

一 弁論の再開申請の不採用と弁論の不当制限。
二 判決言渡期間の通知。

裁判要旨一 裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新たな証拠及び抗弁の提出ができなかつたとしても、それは、証拠及び抗弁を不当に制限したことにはならない。
二 口頭弁論期日の呼出状で判決言渡の期日を通知することは適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和23年4月17日 昭和23(オ)7
登載
民集 第2巻4号104頁
参照法条
民訴法133条,民訴法137条,民訴法144条,民訴法154条,民訴法190条
論点20第191条民事訴訟法

代位弁済者の債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付請求を認容する場合と判決主文における求償権の表示

裁判要旨代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年2月20日 昭和58(オ)881
登載
民集 第40巻1号43頁
参照法条
民法501条,民訴法191条
論点21第191条民事訴訟法

更正登記手続を命ずる判決主文

裁判要旨被告の単独所有名義を原告らと被告との共有名義に更正すべき旨の登記手続を命ずる判決主文においては、更正後の登記事項として、原告らの共有持分だけでなく、被告に帰属する共有持分をも明らかにすべきである。

(意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和56年9月29日 昭和56(オ)27
登載
集民 第133号497頁
参照法条
不動産登記法56条,不動産登記法66条,民訴法191条1項,民訴法224条1項
論点22第191条民事訴訟法

判決の理由に心証形成の過程を判示することの要否

裁判要旨判決の理由には、事実認定の資料として採用した証拠の標目を摘示し、これに反する証拠を措信し難いとして排斥する旨を説示すれば足り、心証形成の過程を判示する必要はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年11月13日 昭和56(オ)715
登載
集民 第134号227頁
参照法条
民訴法185条,民訴法191条1項
論点23第191条民事訴訟法

判決の事実摘示として証拠関係の記載を全く欠いた場合について判決に影響を及ぼす違法がないとされた事例

裁判要旨判決の事実摘示として証拠関係の記載を全く欠いた場合でも、判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背とはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年12月20日 昭和54(オ)858
登載
集民 第128号253頁
参照法条
民訴法191条
論点24第191条民事訴訟法

判決の事実摘示として証拠関係の記載を欠いた場合に判決に影響を及ぼす違法がないとされた事例

裁判要旨判決の事実摘示として証拠関係の記載を欠いたとしても、判決に影響を及ぼすべき違法があるとは認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年7月17日 昭和52(オ)298
登載
集民 第124号333頁
参照法条
民訴法191条
論点25第191条民事訴訟法

判決における事実欄の証拠摘示に記録中の証拠目録を引用したにすぎない場合について判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背がないとされた事例

裁判要旨省略(昭和五二年(オ)第二〇号事件判決参照)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年10月25日 昭和51(オ)1323
登載
集民 第122号135頁
参照法条
民訴法191条
論点26第191条民事訴訟法

判決における事実欄の証拠摘示に記録中の証拠目録を引用したにすぎない場合について判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背がないとされた事例

裁判要旨判決の証拠に関する事実摘示として記録中の証拠目録を引用したにすぎない場合は、証拠関係を摘示したことにはならないが、記録及び原判決理由説示に徴し、右摘示を欠いたことは、判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背とはならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年10月25日 昭和52(オ)20
登載
集民 第122号119頁
参照法条
民訴法191条
論点27第191条民事訴訟法

転補後に署名捺印された単独判決と判決手続の適法性

裁判要旨一人の裁判官により審理されていた事件の判決原本の署名捺印が当該裁判官転補後に行なわれたときは、その判決手続は違法となる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月26日 昭和47(オ)1089
登載
集民 第109号225頁
参照法条
裁判所法47条,民訴法191条3項,民訴法387条
論点28第191条民事訴訟法

判決正本と裁判官および裁判所書記官の捺印

裁判要旨当事者に送達される判決正本には、裁判官の捺印および民訴法一九二条による裁判所書記官の捺印を要しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年10月18日 昭和48(オ)111
登載
集民 第110号317頁
参照法条
民訴法151条4項,民訴法191条,民訴法192条,民訴法193条
論点29第191条民事訴訟法

判決理由中において証人の証言の採否が明らかにされていない違法が判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背に当らないとされた事例

裁判要旨反証として取調べがなされた証人の証言が争点の判断に影響を及ぼさないものである場合には、判決の理由中において右証言の採否が明らかにされていなくても、右の瑕疵は、判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背に当らない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年12月21日 昭和45(オ)607
登載
集民 第104号749頁
参照法条
民訴法191条,民訴法394条
論点30第191条民事訴訟法

一、一筆の土地の一部の明渡を命ずる判決における主文不明確の事例
二、共同訴訟人間における証拠共通の原則
三、不動産の二重譲渡において双方の買主がそれぞれ売主に対して処分禁止の仮処分を執行した後第一次仮処分債権者が本案の勝訴判決に基づいて所有権移転登記を経由した場合と第二次仮処分債権者に対する所有権の対抗

裁判要旨一、一筆の土地の一部の明渡を命ずる判決において、土地の表示として土地の所在地番のほか「一、山林三反四畝歩のうち東部の宅地一三九坪」との記載があるにとどまり、記録中にも明渡を命ずる土地の範囲がいかなる部分かを特定する手掛りが存在しないときは、右土地の範囲を明確にしたものとはいえず、主文不明確の違法がある。
二、共同訴訟人の一人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。
三、不動産が二重に譲渡された後、双方の買主がそれぞれ売主を債務者とする処分禁止の仮処分を執行した場合において、第一次仮処分債権者たる買主が本案たる所有権移転登記請求訴訟に勝訴し、その確定判決に基づき売主から所有権移転登記を経由したときは、右買主は、第二次仮処分債権者たる買主に対し自己の所有権取得を対抗することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年1月23日 昭和43(オ)282
登載
集民 第98号43頁
参照法条
民訴法62条,民訴法185条,民訴法191条,民訴法755条,民訴法758条,民法177条
論点31第191条民事訴訟法

数通の手形金のうち一部の支払を求める訴において認容金額に対応する手形の特定を欠く違法があるとされた事例

裁判要旨金額一六万ないし三四万円の手形一五通 その合計金額三、七二二、五三二円のうち、一部を減額した残額二、三七二、四三二円の支払請求をそのまま認容した原判決は、認容額に対応する手形の特定を欠くため、請求の特定を欠き、違法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月30日 昭和45(オ)30
登載
集民 第101号291頁
参照法条
民訴法191条,民訴法199条
論点32第191条民事訴訟法

仮処分の目的物の引渡請求訴訟係属中目的物が換価されその売得金が供託された場合と請求認容判決の主文

裁判要旨仮処分の目的物の引渡請求訴訟係属中に、目的物が執行裁判所によつて換価され、売得金が供託された場合において、その請求を認容する判決の主文は、目的物の引渡を命ずるものであつても、売得金の引渡を命ずるものであつてもよい。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年5月29日 昭和43(オ)369
登載
民集 第23巻6号1034頁
参照法条
民訴法191条,民訴法750条,民訴法756条
論点33第191条民事訴訟法

特定の土地の引渡を求める訴訟の判決に添付された目的土地の特定のための実測図に基点が脱落している場合と主文の特定の有無

裁判要旨特定土地の引渡を求める訴訟の判決に添付された目的土地の実測図に基点が脱落していても、それが土地の範囲、所在について当事者間に争いのない被告提出の準備書面添付の測量図に基づいて作成されたもので、右測量図によれば基点の所在が明らかで、判決添付図面を作成する際、基点の記載を脱落したにすぎないときは、更正決定をすれば足り、主文不特定の違法はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年12月18日 昭和44(オ)940
登載
集民 第97号823頁
参照法条
民訴法191条,民訴法194条
論点34第191条民事訴訟法

法人の代表者の代表権が消滅しその通知がない場合の判決の表示

裁判要旨訴訟当事者である法人の代表者の代表権が消滅した場合において、旧代表者から委任を受けた訴訟代理人があるときは、右代表権消滅の事実が相手方に通知されていなくても、判決に新代表者を表示することは許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年4月16日 昭和42(オ)1348
登載
民集 第22巻4号929頁
参照法条
民訴法58条,民訴法57条1項,民訴法85条,民訴法191条1項
論点35第191条民事訴訟法

一 数個の証拠を綜合して事実を認定する場合にどの証拠によりどの事実を認定したかを明示するを要するか
二 離縁の反訴に付帯してする損害賠償請求の反訴が控訴審において提起される場合と相手方の同意の要否

裁判要旨一 数個の証拠を綜合して事実を認定する場合、どの証拠によりどの事実を認定したか、その個々の内容にいたるまでいちいち判示する必要はなく、記録を照合してこれを明らかにしうれば足りる。
二 離縁の反訴に付帯してする損害賠償請求の反訴は、控訴審において提起される場合においても、相手方の同意を要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月23日 昭和41(オ)972
登載
集民 第85号869頁
参照法条
民訴法191条,民訴法395条6号,民訴法382条,人事訴訟手続法7条,人事訴訟手続法8条
論点36第191条民事訴訟法

控訴審判決主文における第一審判決引用の可否。

裁判要旨控訴審判決主文において物件を表示するにつき、第一審判決に掲げる物件の表示を引用することは差し支えない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月26日 昭和37(オ)254
登載
民集 第18巻4号654頁
参照法条
民訴法391条,民訴法191条1項
論点37第191条民事訴訟法

一 裁判の一部脱漏と上告理由
二 判決に法律の解釈適用の論拠を説示することの要否

裁判要旨一 請求の一部につき裁判の脱漏があつても、これをもつて上告適法の理由となし得ない。
二 判決には法律の解釈適用の論拠を説示する必要はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年6月19日 昭和36(オ)500
登載
集民 第61号267頁
参照法条
民訴法195条,民訴法394条,民訴法191条
論点38第191条民事訴訟法

一 家屋所有者の家屋保存のための工事と家屋使用者の工事妨害
二 判決主文の表現が不明確でないとされた事例

裁判要旨一 家屋所有者が、その家屋保存のため必要とする限度において修繕改築等の工事をする場合、右家屋を使用する者は、賃借権の有無にかかわらず右工事を妨害してはならない。
二 「被告等は原告等の右家屋の修繕及び模様替工事をなすに必要な期間中必要部分を占有使用することを妨害してはならない。」との判決主文は、判決理由と対照して内容不明確ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月20日 昭和34(オ)191
登載
集民 第58号745頁
参照法条
民法206条,民法606条,民訴法191条1項
論点39第191条民事訴訟法

一 相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響
二 法律解釈の根拠を判示することの要否

裁判要旨一 建物賃貸借契約が賃料不払に因つて解除された後、賃借人の相殺の意思表示によつて賃料債務が遡つて消滅しても、契約解除の効力に影響はないものと解すべきである。
二 法律解釈の根拠・理由を判決に示さなくても、理由不備の違法があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年11月22日 昭和35(オ)1322
登載
集民 第63号307頁
参照法条
民法506条2項,民法541条,民訴法395条1項6号,民訴法191条1項3号
論点40第191条民事訴訟法

一 裁判所法第一〇条第一号最高裁判所裁判事務処理規則第九条第三項によつて最高裁判所大法廷が同条第二項にあたる点のみについて審理裁判した場合の判決主文
二 土地区画整理施行規程に基き土地台帳地積によつてした換地予定地指定処分と憲法第二九条

裁判要旨一 裁判所法第一〇条第一号最高裁判所裁判事務処理規則第九条第三頃によつて最高裁判所大法廷が同条第二項にあたる論旨の一部のみについて審理し、論旨は理由がないとするときの判決主文は「本上告論旨は理由がない」とすべきである。
二 土地区画整理施行規程で従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨を規定し右地積によつて換地予定地の指定をしても憲法第二九条に違反しない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和32年12月25日 昭和29(オ)752
登載
民集 第11巻14号2423頁
参照法条
裁判所法10条,最高裁判所裁判事務処理規則9条,民訴法191条,都市計画法12条2項(昭和29年5月法律120号による改正前),耕地整理法30条,耕地整理法31条,都市計画法施行令17条(昭和30年3月政令47号による削除前),鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程3条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程5条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程14条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程15条,憲法29条
論点41第191条民事訴訟法

判決原本に言渡前他へ転補された裁判官の署名捺印がある場合と民訴第一九一条第三項〈公務員の尋問〉

裁判要旨最終口頭弁論に関与した裁判官が、判決言渡期日前他へ転補された場合において、判決原本に同裁判官の署名捺印があるときは、右原本は反証がない限り、右裁判官が転補の辞令を受領した日までに作成されたものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年12月1日 昭和24(オ)154
登載
民集 第4巻12号651頁
参照法条
民訴法191条3項,民訴法387条
論点42第191条民事訴訟法

遺留分権利者からの不動産の持分移転登記手続請求訴訟において受遺者が裁判所が定めた価額による価額弁償の意思表示をした場合における判決主文

裁判要旨減殺請求をした遺留分権利者が遺贈の目的である不動産の持分移転登記手続を求める訴訟において、受遺者が、事実審口頭弁論終結前に、裁判所が定めた価額により民法一〇四一条の規定による価額の弁償をする旨の意思表示をした場合には、裁判所は、右訴訟の事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上、受遺者が右の額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の請求を認容すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年7月17日 平成5(オ)342
登載
集民 第183号995頁
参照法条
民法1041条1項,民事執行法173条,民訴法191条1項
論点43第191条民事訴訟法

事実認定の根拠として判決に引用する文書が真正に成立したこと及びその理由を判決書に記載することの要否

裁判要旨事実認定の根拠として判決に引用する文書が真正に成立したこと及びその理由は、判決書の必要的記載事項ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年5月30日 平成8(オ)1846
登載
集民 第183号423頁
参照法条
民訴法191条1項,民訴法325条,民訴法395条1項6号
論点44第191条民事訴訟法

遺留分権利者からの不動産の持分移転登記手続請求訴訟において受遺者が裁判所が定めた価額による価額弁償の意思表示をした場合における判決主文

裁判要旨減殺請求をした遺留分権利者が遺贈の目的である不動産の持分移転登記手続を求める訴訟において、受遺者が、事実審口頭弁論終結前に、裁判所が定めた価額により民法一〇四一条の規定による価額の弁償をする旨の意思表示をした場合には、裁判所は、右訴訟の事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上、受遺者が右の額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の請求を認容すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成6(オ)1746
登載
民集 第51巻2号448頁
参照法条
民法1041条1項,民事執行法173条,民訴法191条1項
論点45第191条民事訴訟法

給付訴訟において不執行の合意が認定された場合の判決主文

裁判要旨給付訴訟において、給付請求権について不執行の合意がある旨の主張がされ、その事実が認められる場合には、裁判所は、右請求権について強制執行をすることができないことを判決主文において明らかにすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年11月11日 平成2(オ)170
登載
民集 第47巻9号5255頁
参照法条
民訴法186条,民訴法191条1項
論点46第191条民事訴訟法

1 県が漁業協同組合との間で漁業補償交渉をする際の手持ち資料として作成した補償額算定調書中の文書提出命令申立人に係る補償見積額が記載された部分が民訴法220条4号ロ所定の文書に該当するとされた事例
2 民訴法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉に該当する文書と同条3号に基づく提出義務

裁判要旨1 県が,漁業協同組合との間でその所属組合員全員が被る漁業損失の総額を対象とする漁業補償交渉をする際の手持ち資料として作成した補償額算定調書中,その総額を積算する過程で算出した文書提出命令申立人に係る補償見積額が記載された部分は,県が各組合員に対する補償額の決定,配分を同組合の自主的な判断にゆだねることを前提とし,そのために上記総額を算出する課程の個別の補償見積額は上記の交渉の際にも明らかにしなかったこと,上記部分が開示されることにより,上記前提が崩れ,同組合による補償額の決定,配分に著しい支障を生じるおそれがあり,今後,県が同様の漁業補償交渉を円滑に進める際の著しい支障ともなり得ることなど判示の事情の下においては,民訴法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉所定の文書に該当する。
2 公務員の職務上の秘密に関する文書であって,その提出により公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものについては,民訴法220条3号に基づく提出義務を認めることはできない。
(1につき,補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年2月20日 平成15(許)48
登載
集民 第213号541頁
参照法条
民訴法191条,民訴法197条1項1号,民訴法220条3号,民訴法220条4号ロ
論点47第192条民事訴訟法

事実摘示欄に証拠関係についての記載を欠く判決と上告理由

裁判要旨判決の事実摘示欄に証拠関係についての記載を欠いても、上告理由とはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年11月24日 昭和51(オ)918
登載
集民 第122号247頁
参照法条
民訴法192条,民訴法394条
論点48第192条民事訴訟法

民訴法第一九二条〈不出頭に対する過料等〉の規定の性質

裁判要旨民訴法第一九二条〈不出頭に対する過料等〉の規定は訓示規定である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年3月27日 昭和34(オ)549
登載
集民 第59号613頁
参照法条
民訴法192条
論点49第193条民事訴訟法

一審判決の送達の不適法と上告理由

裁判要旨一審判決の送達が不適法であつても、控訴審において異議なく訴訟を遂行してきた以上、適法な上告理由とならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年11月10日 昭和40(オ)656
登載
集民 第85号57頁
参照法条
民訴法193条
論点50第193条民事訴訟法

一 過大催告の効力を否定すべきでない場合
二 判決正本に裁判官の記名がない場合と責問権抛棄

裁判要旨一 正当な賃料額の提供があつても債権者においてこれを受領しないことが明らかであつたとの特別の事情が認められない以上、過大催告の効力を否定すべきでない。
二 送達された第一審判決正本に裁判官の記名がなくても、これを異議なく受領して控訴を提起している以上、責問権を抛棄したものと認められる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年10月4日 昭和35(オ)6
登載
集民 第62号679頁
参照法条
民法541条,民訴法193条,民訴法141条
論点51第193条民事訴訟法

不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき口頭弁論を経ずに訴えを却下するか又は却下判決に対する控訴を棄却する場合における被告に対する訴状、控訴状又は判決正本の送達の要否

裁判要旨不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき、口頭弁論を経ずに、訴えを却下するか、又は却下判決に対する控訴を棄却する場合には、訴状において被告とされている者に対し訴状、控訴状又は判決正本を送達することを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年5月28日 平成7(行ツ)67
登載
集民 第179号95頁
参照法条
民訴法193条,民訴法202条,民訴法229条,民訴法371条,民訴法384条
論点52第193条民事訴訟法

判決原本と一致しない正本の送達をもって判決正本の送達ということができるとされた事例

裁判要旨判決正本に裁判官の氏名の記載が欠けていても、その送達をもって判決正本の送達ということができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年4月2日 平成2(オ)1869
登載
集民 第162号285頁
参照法条
民訴法151条4項,民訴法193条
論点53第194条民事訴訟法

判決書の記載を明白な誤記と認めることが許されない場合

裁判要旨判決書自体又は記録に照らし、判決書の記載が単なる表現上の誤りであることが明らかでなく、判決裁判所の意図した記載も一義的に明確でないときは、これを明白な誤記と認めることは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年6月16日 昭和53(あ)22
登載
刑集 第32巻4号645頁
参照法条
刑訴法335条1項,民訴法194条1項
論点54第194条民事訴訟法

民訴法第一九四条第一項〈勾引〉を準用して判示の誤謬の更正が許されると認められた事例

裁判要旨認定した売買契約成立の日時についての判示の誤謬が記録上明白なものであるときは、右誤謬が当事者の申立の誤りおよび提出された証拠内容の誤りに基づくものであつても、民訴法第一九四条第一項〈勾引〉を準用して誤謬の更正をすることが許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年9月12日 昭和42(オ)672
登載
集民 第92号239頁
参照法条
民訴法194条1項
論点55第194条民事訴訟法

判決の目的物件の表示に誤りがある場合において民訴法第一九四条が準用された事例

裁判要旨原告が明渡を求める目的物件の表示を誤つて申し立てたため、裁判所が判決において目的物件の表示を誤つた場合において、右目的物件がもともと同一であることが記録上明らかであるときは、民訴法第一九四条〈勾引〉を準用して、判決の更正をすることができると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年2月23日 昭和42(オ)1012
登載
民集 第22巻2号296頁
参照法条
民訴法194条
論点56第194条民事訴訟法

訴訟代理人があるため訴訟手続が中断しない場合と当事者の表示

裁判要旨当事者が死亡したが、訴訟代理人があるため、訴訟手続を中断しないまま口頭弁論を終結した場合には、相続人が何人であるか明らかであるかぎり、判決には当事者として新当事者を表示するを相当とし、旧当事者を表示しているときは、民訴法第一九四条〈勾引〉によつて更正することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年8月25日 昭和41(オ)369
登載
集民 第88号293頁
参照法条
民訴法213条,民訴法194条
論点57第194条民事訴訟法

調停調書の更正決定が許されないとされた事例

裁判要旨「甲から丁に建物所有権を移転する」旨の調停調書の条項を、「甲は乙に仮登記の本登記をなし、乙は丙を経て丁に建物所有権を移転する。そして登記は中間省略により乙から丁にする。」旨の条項に更正することは、権利移転の経緯および態様において、旧条項の実質的内容を変更するものであつて、許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年7月21日 昭和39(オ)156
登載
民集 第21巻6号1615頁
参照法条
民訴法194条
論点58第194条民事訴訟法

判決の更正決定が許されるとされた事例

裁判要旨当事者の提出した書証、援用した証言ならびに本人尋問の結果の記載を逸脱したことが記載上明らかに認められる場合には、民訴法第一九四条〈勾引〉にいう「明白ナル誤謬アルトキ」として更正決定することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月24日 昭和42(オ)813
登載
集民 第89号257頁
参照法条
民訴法194条
論点59第194条民事訴訟法

控訴審判決の主文で第一審判決の明白な誤謬を更正することの適否

裁判要旨第一審判決主文に民訴法第一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月12日 昭和37(オ)396
登載
集民 第80号691頁
参照法条
民訴法194条
論点60第194条民事訴訟法

一審で確定した判決の更正の申立と民訴法第一九四条第一項の「裁判所」

裁判要旨一審において確定した判決の更正の申立に関しては、その判決原本と記録とが、関連事件が上告審に係属したため上告裁判所にあつたとしても、右上告裁判所は民訴法第一九四条第一項にいう「裁判所」にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和35年12月9日 昭和35(マ)40
登載
民集 第14巻14号3268頁
参照法条
民訴法194条1項
論点61第194条民事訴訟法

控訴審判決で第一審判決の明白な誤謬を更正することの適否

裁判要旨第一審判決主文に民訴第一九四条〈勾引〉にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり右判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年7月2日 昭和31(オ)869
登載
民集 第11巻7号1186頁
参照法条
民訴法194条
論点62第195条民事訴訟法

離婚判決における親権者指定の脱漏と上告理由の当否

裁判要旨離婚判決に親権者指定の脱漏があつた場合には、当該判決をした裁判所が追加判決をすれば足り、右脱漏は、上告適法の理由にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年11月13日 昭和56(オ)572
登載
集民 第134号221頁
参照法条
民訴法195条1項,人事訴訟手続法15条3項,人事訴訟手続法15条5項,民法819条2項
論点63第195条民事訴訟法

特定の請求に関し原審が裁判を脱漏しているとしてその請求に関する上告を却下した事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年11月24日 昭和43(オ)945
登載
集民 第101号493頁
参照法条
民訴法195条
論点64第195条民事訴訟法

原判決に裁判の脱漏がある場合に、原審にさらに職権をもつて追加判決をすべき旨付加判示して、上告を棄却した事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年6月5日 昭和43(オ)397
登載
集民 第95号481頁
参照法条
民訴法195条
論点65第195条民事訴訟法

一、民訴法第七一条〈訴訟費用額の確定手続〉の参加のある訴訟と本案判決
二、右訴訟の本案につき一部判決がされた違法と職権調査事項

裁判要旨一、民訴法第七一条〈訴訟費用額の確定手続〉の参加に基づく、参加人、原告、被告間の訴訟について本案判決をするときは、右三当事者を判決の名宛人とする一個の終局判決のみが許され、右当事者の一部に関する判決をすることも、また、残余のものに関する追加判決をすることも、許されない。
二、右に違背してされた一部判決の違法は職権調査事項にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年4月12日 昭和41(オ)288
登載
民集 第22巻4号877頁
参照法条
民訴法71条,民訴法62条,民訴法183条,民訴法195条,民訴法405条
論点66第195条民事訴訟法

一 控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法
二 訴の変更について旧訴が取下の要件を具備しない場合の措置

裁判要旨一 控訴審において訴の変更により新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第一審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではない。
二 訴の変更において旧訴を撤回する旨の意思表示がなされても、旧訴につき民訴第二三六条〈相手方の指定ができない場合の取扱い〉の定める取下の要件を具備しない場合は、裁判所は、旧訴についても判決をすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年12月20日 昭和25(オ)128
登載
民集 第10巻12号1573頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条,民訴法236条,民訴法195条1項
論点67第195条民事訴訟法

請求の一部につき裁判を脱漏した一場合

裁判要旨民訴八一条二項二号〈他の法令による担保への準用〉の特別の委任を受けていなかつた原告の訴訟代理人が請求の一部を取り下げても、右取下の部分はなおその裁判所に係属しているものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年7月5日 昭和28(オ)1247
登載
民集 第9巻9号1012頁
参照法条
民訴法81条2項2号,民訴法195条
論点68第196条民事訴訟法

一 賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料と所得の計算
二 賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員と所得の計算

裁判要旨一 賃料増額請求が争われた場合における増額分の賃料は、原則として、その債権の存在を認める裁判が確定した日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべきである。
二 賃料増額請求にかかる増額分の賃料の支払を命じた仮執行宣言付判決に基づき支払を受けた金員は、その受領の日の属する年分の所得の計算上収入金額に算入されるべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年2月24日 昭和50(行ツ)123
登載
民集 第32巻1号43頁
参照法条
旧所得税法(昭和22年法律第27号)10条,借地法(昭和41年法律第93号による改正前のもの)12条,借家法(昭和41年法律第93号による改正前のもの)7条,民訴法196条,民訴法198条
論点69第196条民事訴訟法

一、仮執行宣言の申立が却下された場合と不服申立の方法
二、右不服申立に対する裁判

裁判要旨一、第一審において仮執行宣言の申立が却下された場合には、附帯控訴により不服の申立をなすことを妨げない。
二、右附帯控訴にもかかわらず、控訴裁判所において仮執行の宣言が相当でないと判断するときは、その旨を判決の理由中において説示すれば足り、判決の主文において附帯控訴を棄却する旨を宣言する要はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年3月11日 昭和44(オ)540
登載
集民 第102号245頁
参照法条
民訴法196条,民訴法372条
論点70第196条民事訴訟法

仮執行免脱のための担保の性質

裁判要旨仮執行宣言付判決による仮執行の免脱のために供された担保は、その判決の確定に至るまで、勝訴原告が仮執行をすることができなかつたことによつて被ることのあるべき損害のみを担保し、本案の請求までも担保するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年6月21日 昭和42(行ツ)13
登載
民集 第22巻6号1329頁
参照法条
民訴法196条,民訴法198条2項
論点71第196条民事訴訟法

控訴審の終局判決においてなされた仮執行に関する裁判の違法と上告理由

裁判要旨控訴審の終局判決においてなされた仮執行に関する裁判の違法を主張することは、適法な上告理由に当らない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月23日 昭和39(オ)1301
登載
集民 第83号899頁
参照法条
民訴法376条1項,民訴法196条
論点72第196条民事訴訟法

将来の給付の訴について仮執行宣言を付しうるか。

裁判要旨将来の給付の訴についても、仮執行宣言を付することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年1月24日 昭和38(オ)6
登載
集民 第71号313頁
参照法条
民訴法196条,民訴法227条
論点73第196条民事訴訟法

一 控訴審における訴の一部取下と主文に表示することの要否
二 控訴費用負担、仮執行宣言の担保の額の判定権限の性質

裁判要旨一 控訴審において訴の一部取下が適法になされ、かつ、控訴を棄却する場合には、当該取下部分につき主文で原判の一部取消を言い渡さなくても違法はない。
二 訴訟費用負担、仮執行宣言の担保判定は、裁判所の自由裁量による。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月8日 昭和35(オ)825
登載
集民 第61号97頁
参照法条
民訴法89条,民訴法90条,民訴法91条,民訴法92条,民訴法93条,民訴法186条,民訴法196条,民訴法237条
論点74第197条民事訴訟法

1 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客から守秘義務を負うことを前提に提供された非公開の当該顧客の財務情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例
2 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析,評価等に関する情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例
3 事実審である抗告審が民訴法223条6項に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定を法律審である許可抗告審において争うことの許否

裁判要旨1 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客から守秘義務を負うことを前提に提供された非公開の当該顧客の財務情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,次の(1),(2)の事情の下では,上記文書は,当該金融機関の職業の秘密が記載された文書とはいえず,民訴法220条4号ハ〈文書提出義務 ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書〉所定の文書に該当しない。
(1) 当該金融機関は,上記情報につき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有しない。
(2) 当該顧客は,上記民事訴訟の受訴裁判所から上記情報の開示を求められたときは,次のア,イなどの理由により,民訴法220条4号ハ,ニ等に基づきこれを拒絶することができない。
ア 当該顧客は,民事再生手続開始決定を受けており,それ以前の信用状態に関する上記情報が開示されても,その受ける不利益は軽微なものと考えられる。
イ 上記文書は,少なくとも金融機関に提出することを想定して作成されたものであり,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていないものとはいえない。
2 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客の財務情報等を基礎として行った財務状況,事業状況についての分析,評価の過程及びその結果並びにそれを踏まえた今後の業績見通し,融資方針等に関する情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,次の(1),(2)などの判示の事情の下では,上記情報は,当該金融機関の職業の秘密には当たるが,保護に値する秘密には当たらないというべきであり,上記文書は,民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
(1) 当該顧客は,民事再生手続開始決定を受けており,それ以前の財務状況等に関する上記情報が開示されても,その受ける不利益は小さく,当該金融機関の業務に対する影響も軽微なものと考えられる。
(2) 上記文書は,上記民事訴訟の争点を立証する書証として証拠価値が高く,これに代わる中立的・客観的な証拠の存在はうかがわれない。
3 事実審である抗告審が民訴法223条6項に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定は,それが一件記録に照らして明らかに不合理であるといえるような特段の事情がない限り,法律審である許可抗告審において争うことができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年11月25日 平成20(許)18
登載
民集 第62巻10号2507頁
参照法条
(1,2につき)民訴法197条1項3号,民訴法220条4号ハ (3につき)民訴法223条6項,民訴法337条
論点75第197条民事訴訟法

1 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に,同情報は,民訴法197条1項3号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉にいう職業の秘密として保護されるか
2 金融機関と顧客との取引履歴が記載された明細表が,民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないとして,同法220条4号ハ〈文書提出義務 ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書〉所定の文書に該当しないとされた事例

裁判要旨1 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には,同情報は,金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有するときは別として,民訴法197条1項3号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉にいう職業の秘密として保護されない。
2 A,Bを当事者とする民事訴訟の手続の中で,Aが金融機関Cを相手方としてBとCとの間の取引履歴が記載された明細表を対象文書とする文書提出命令を申し立てた場合において,Bが上記明細表を所持しているとすれば民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず提出義務が認められること,Cがその取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえないことなど判示の事情の下では,上記明細表は,同法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえず,同法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
(1,2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年12月11日 平成19(許)23
登載
民集 第61巻9号3364頁
参照法条
(1,2につき)民訴法197条1項3号 (2につき)民訴法220条4号ハ
論点76第197条民事訴訟法

1 民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかを判断する基準
2 民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができる場合

裁判要旨1 民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかは,当該報道の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該取材の態様,将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容,程度等と,当該民事事件の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該民事事件において当該証言を必要とする程度,代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきである。
2 民事事件において証人となった報道関係者は,当該報道が公共の利益に関するものであって,その取材の手段,方法が一般の刑罰法令に触れるとか,取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく,しかも,当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため,当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く,そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には,民訴法197条1項3号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉に基づき,原則として,当該取材源に係る証言を拒絶することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成18年10月3日 平成18(許)19
登載
民集 第60巻8号2647頁
参照法条
(1,2につき)民訴法197条1項3号,憲法21条
論点77第197条民事訴訟法

1 保険管理人によって設置された弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会が作成した調査報告書が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例
2 民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉所定の「黙秘すべきもの」の意義
3 保険管理人によって設置された弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会が作成した調査報告書が民訴法220条4号ハ所定の「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」に当たらないとされた事例

裁判要旨1 破たんした保険会社につき選任された保険管理人が,金融監督庁長官から,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項,242条3項に基づき,当該保険会社の破たんについての旧役員等の経営責任を明らかにするために弁護士,公認会計士等の第三者を委員とする調査委員会を設置して調査を行うことを命じられたため,上記命令の実行として弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会を設置し,当該調査委員会から上記調査の結果が記載された調査報告書の提出を受けたという事実関係の下では,当該調査報告書は,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。
2 民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉所定の「黙秘すべきもの」とは,一般に知られていない事実のうち,弁護士等に事務を行うこと等を依頼した本人が,これを秘匿することについて,単に主観的利益だけではなく,客観的にみて保護に値するような利益を有するものをいう。
3 破たんした保険会社につき選任された保険管理人が,金融監督庁長官から,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項,242条3項に基づき,当該保険会社の破たんについての旧役員等の経営責任を明らかにするために弁護士,公認会計士等の第三者を委員とする調査委員会を設置して調査を行うことを命じられたため,上記命令の実行として弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会を設置し,当該調査委員会から上記調査の結果が記載された調査報告書の提出を受けたという事実関係の下では,当該調査報告書は,民訴法220条4号ハ所定の「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」に当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年11月26日 平成16(許)14
登載
民集 第58巻8号2393頁
参照法条
民訴法197条1項2号,民訴法220条4号ニ,民訴法220条4号ハ,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)242条3項,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項
論点78第197条民事訴訟法

一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対し不服の申立てをすることの許否
二 民訴法一九七条一項三号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉所定の「技術又は職業の秘密」の意義

裁判要旨一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
二 民訴法一九七条一項三号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいう。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年3月10日 平成11(許)20
登載
民集 第54巻3号1073頁
参照法条
民訴法197条1項3号,民訴法220条4号ロ,民訴法221条,民訴法223条4項
論点79第197条民事訴訟法

1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者と民訴法197条1項2号の類推適用
2 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名,住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書を検証の目的として提示する義務を負うか

裁判要旨1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者は,民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉の類推適用により,職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができる。
2 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名,住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書について,当該通信の内容にかかわらず,検証の目的として提示する義務を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和3年3月18日 令和2(許)10
登載
民集 第75巻3号822頁
参照法条
(1,2につき) 民訴法197条1項2号,電気通信事業法4条 (2につき) 民訴法223条1項,民訴法232条1項,民訴法234条
論点80第198条民事訴訟法

一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合と仮処分債務者の仮払金返還請求権
二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟と仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合には、本案訴訟が未確定であり、又は従業員としての地位保全の仮処分が同時に発せられていたときであつても、仮処分債務者は、特段の事情がない限り、仮処分債権者に対し仮払金の返還請求権を取得し、その返還義務の範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきである。
二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟において、仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出することは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月15日 昭和58(オ)1406
登載
民集 第42巻3号170頁
参照法条
民法505条,民法703条,民法704条,民訴法198条2項,民訴法199条2項,民訴法231条,民訴法756条ノ2,民訴法760条
論点81第198条民事訴訟法

上訴審が本案判決の一部を変更する場合と民訴法一九八条二項の申立に対する裁判

裁判要旨上訴審が本案判決の一部を変更する場合においては、民訴法一九八条二項〈証言拒絶の理由の疎明〉の申立のうち変更しない部分に対応する申立部分を棄却する旨の裁判をすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年12月17日 昭和61(オ)1534
登載
集民 第152号281頁
参照法条
民訴法198条2項
論点82第198条民事訴訟法

上告裁判所に対する被上告人からの民訴法一九八条二項の規定による裁判を求める申立の許否

裁判要旨第一審において仮執行宣言付給付判決を受けた被告が控訴審において右判決を変更する判決を得たが民訴法一九八条二項の規定による裁判を求める申立をしていなかつたときは、原告が上告したとしても、被上告人たる被告から上告裁判所に対して右申立をすることは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年1月24日 昭和54(オ)698
登載
民集 第34巻1号102頁
参照法条
民訴法198条2項
論点83第198条民事訴訟法

一 民訴法一九八条〈証言拒絶の理由の疎明〉二一の損害賠償義務と民法五〇九にいう「不法行為ニ因リテ生シタ」債務
二 民訴法一九八条二項の原状回復及び損害賠償が別訴で請求された場合にその債務者が前訴請求債権と請求の基礎を同じくする債権をもつてする相殺

裁判要旨一 民訴法一九八条二項〈証言拒絶の理由の疎明〉の損害賠償義務は、民法五〇九条にいう「不法行為ニ因リテ生シタ」債務にあたらない。
二 民訴法一九八条二項の原状回復及び損害賠償が別訴で請求された場合には、その債務者は、前訴の請求債権と請求の基礎を同じくする債権であつても、これを自働債権とする相殺をもつて債権者に対抗することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年12月21日 昭和53(オ)436
登載
民集 第32巻9号1749頁
参照法条
民訴法198条2項,民法505条,民法509条
論点84第198条民事訴訟法

民訴法一九八条二項〈証言拒絶の理由の疎明〉にいう仮執行により被告の受けた損害の意義

裁判要旨民訴法一九八条二項〈証言拒絶の理由の疎明〉にいう仮執行により被告の受けた損害とは、仮執行と相当因果関係にある財産上及び精神上のすべての損害をいう。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年3月15日 昭和51(オ)952
登載
民集 第31巻2号289頁
参照法条
民訴法198条2項
論点85第198条民事訴訟法

上訴審が本案判決を変更しない場合と民訴法一九八条二項の申立に対する裁判の要否

裁判要旨上訴審は、本案判決を変更しない場合においては、民訴法一九八条二項〈証言拒絶の理由の疎明〉の申立に対する裁判をする必要がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年11月25日 昭和51(オ)19
登載
民集 第30巻10号999頁
参照法条
民訴法198条2項
論点86第198条民事訴訟法

仮執行宣言付判決に対して上訴を提起したのちにされた弁済と民訴法一九八条二項

裁判要旨被告が、仮執行宣言付判決に対して上訴を提起したのちに、同判決によつて履行を命じられた債務につきその弁済としてした給付は、それが全くの任意弁済であると認められる特別の事情のないかぎり、民訴法一九八条二項〈証言拒絶の理由の疎明〉にいう「仮執行ノ宣言二基キ被告カ給付シタルモノ」にあたると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年6月15日 昭和44(オ)993
登載
民集 第26巻5号1000頁
参照法条
民訴法198条2項
論点87第198条民事訴訟法

一、特許の無効審決と上告理由
二、上告審において民訴法第一九八条二項に基づき給付金の返還および損害の賠償を命じた事例

裁判要旨一、二審判決の基礎となつた専用実施権の前提である特許権につき無効審決が確定したときは、これを上告理由とすることができる。
二、省略(判文参照)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年4月20日 昭和43(オ)104
登載
集民 第102号491頁
参照法条
民訴法420条1項8号,民訴法198条2項,特許法77条,特許法102条,特許法125条
論点88第198条民事訴訟法

上告審において民訴法一九八条二項の損害賠償を命じた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年11月6日 昭和41(オ)1236
登載
集民 第101号407頁
参照法条
民訴法198条2項
論点89第198条民事訴訟法

第一審判決の仮執行宣言にもとづいて強制執行がなされた場合と控訴審の本案判決。

裁判要旨仮執行宣言付の第一審判決に対して控訴があつたときは、その執行によつて弁済を受けた事実を考慮することなく、請求の当否を判断すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年2月9日 昭和35(オ)629
登載
民集 第15巻2号209頁
参照法条
民訴法497条,民訴法198条
論点90第198条民事訴訟法

民訴第一九八条第二項〈証言拒絶の理由の疎明〉の損害賠償を別訴により請求することの適否

裁判要旨民訴第一九八条第二項〈証言拒絶の理由の疎明〉の損害賠償は別訴で請求することを妨げない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年3月9日 昭和26(オ)462
登載
民集 第8巻3号637頁
参照法条
民訴法198条2項
論点91第198条民事訴訟法

一 請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期
二 仮執行宣言に基づく給付金に商事法定利率による金員を付加してその支払を求める民訴法一九八条二項の申立てが認容された事例

裁判要旨一 請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負う。
二 (省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年7月15日 平成5(オ)2187
登載
民集 第51巻6号2581頁
参照法条
民法412条,民法506条2項,民法533条,民法634条2項,民訴法198条2項,商法514条
論点92第199条民事訴訟法

一 賭博の用に供されることを知つてする金銭の消費貸借契約と公序良俗違反
二 相殺の抗弁を容れて原告の請求を棄却した第一審判決に対し原告のみが控訴した場合と不利益変更禁止の原則

裁判要旨一 賭博の用に供されることを知つてする金銭の消費貸借契約は、公序良俗に違反し無効である。
二 原告の訴求債権の存在を認めながら被告の相殺の抗弁を容れ原告の請求を棄却した第一審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかつた場合において、控訴審が、被告の相殺の抗弁について判断するまでもなく、訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すべきときは、不利益変更禁止の原則に従い、第一審判決を維持して、原告の控訴を棄却するにとどめなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年9月4日 昭和60(オ)1563
登載
集民 第148号417頁
参照法条
民法90条,民訴法199条2項,民訴法384条,民訴法385条,民訴法386条
論点93第199条民事訴訟法

将来の賃料相当損害金の請求を認容する判決が確定した場合においてその後公租公課の増大等により認容額が不相当となつたときと損害金の追加請求

裁判要旨従前の土地の所有者は、仮換地の不法占拠者に対し、将来の賃料相当損害金の請求を認容する確定判決を得た場合においても、その事実審口頭弁論終結後に、公租公課の増大、土地の価格の昂騰により、又は比隣の土地の賃料に比較して、認容額が不相当となつたときは、新訴により、認容額と適正賃料額との差額に相当する損害金の支払を求めることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年7月17日 昭和56(オ)756
登載
民集 第40巻5号941頁
参照法条
民訴法199条,民訴法226条,民法709条
論点94第199条民事訴訟法

一 入会団体の構成員たる地位に基づき該団体が特定年度に共同財産の売却により獲得した収益金の配当請求を認容した確定判決と該団体の構成員たる地位の存否についての既判力の有無
二 原告(反訴被告)らが入会団体たる被告(反訴原告)の構成員たる地位に基づき特定年度にその共同財産の売却により獲得した収益金の配当を求める本訴請求において被告が反訴請求として右共同財産につき共有の性質を有する入会権を有し原告らが被告の構成員でないことの確認を求めたとしても原告らと被告間の紛争が専ら原告らが被告の構成員としてその共同財産の使用収益につき一定の権利を主張しうる地位を有するかどうかにあるなど本件紛争の事情に徴すれば被告の右反訴請求は専ら原告らが被告の構成員でないことの確認を求めるにありこれと併せて併列的な別個独立の請求として被告の共同財産につき入会権を有することの確認をも求める趣旨のものではないとされた事例

裁判要旨一 入会団体の構成員たる地位に基づき該団体が特定年度においてその共同財産の売却により獲得した収益金の配当請求を認容した確定判決は、その理由中において、構成員の地位の存否を確認している場合であつても、その構成員たる地位の存否についての既判力を有しない。
二 (省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年4月21日 昭和52(オ)689
登載
集民 第138号627頁
参照法条
民訴法199条
論点95第199条民事訴訟法

白地手形による手形金請求を棄却する判決の確定後に白地部分を補充して手形上の権利の存在を主張することの許否

裁判要旨白地手形の所持人は、手形金請求の前訴において、事実審口頭弁論終結前に白地補充権を行使しえたのにこれを行使しないため手形要件を欠くとして請求棄却の判決を受け、これが確定したときは、特段の事情のない限り、その後に白地部分を補充しても、後訴において手形上の権利の存在を主張することは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年3月30日 昭和54(オ)110
登載
民集 第36巻3号501頁
参照法条
手形法10条,手形法77条2項,民訴法199条1項,民訴法545条2項(昭和54年法律第4号による改正前のもの),民事執行法35条2項
論点96第199条民事訴訟法

一 所有権に基づく登記請求を認容した確定判決と所有権の存否についての既判力の有無
二 所有権に基づく登記請求を認容した確定判決と所有権の存否についての既判力に類似する効力(いわゆる争点効)の有無

裁判要旨一 所有権に基づく登記請求を認容した確定判決は、その理由において所有権の存否を確認している場合であつても、所有権の存否についての既判力を有しない。
二 所有権に基づく登記請求を認容した確定判決は、その理由において所有権の存否を確認している場合であつても、所有権の存否についての既判力に類似する効力(いわゆる争点効)を有するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年7月3日 昭和53(オ)1061
登載
集民 第133号241頁
参照法条
民訴法199条
論点97第199条民事訴訟法

売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定したのち後訴において詐欺を理由に右売買を取り消して所有権の存否を争うことの許否

裁判要旨売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定したのちは、後訴において詐欺を理由に右売買を取り消して所有権の存否を争うことは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年10月23日 昭和55(オ)589
登載
民集 第34巻5号747頁
参照法条
民法96条,民法121条,民訴法199条
論点98第199条民事訴訟法

不真正連帯債務者中の一人と債権者との間の訴訟において相殺を認めた確定判決の他の債務者に対する効力

裁判要旨不真正連帯債務者中の一人と債権者との間で右債務者の反対債権をもつてする相殺を認める判決が確定しても、右判決の効力は他の債務者に及ぶものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年3月23日 昭和51(オ)348
登載
集民 第123号273頁
参照法条
民訴法199条2項,民訴法201条
論点99第199条民事訴訟法

公正証書に対する再度の請求異議の訴において異議事由の主張がさきの請求異議の訴に対する確定判決の既判力に抵触し許されないとされた事例

裁判要旨貸主と借主の連帯保証人との間の金銭消費貸借公正証書中、将来発生する分を含めた遅延損害金債権の部分について、連帯保証及び公正証書作成嘱託の委任の各事実の不存在、予備的に遅延損害金債権の放棄を異議の事由とする請求異議の訴に対し請求棄却の確定判決があるときには、のちの請求異議の訴において、利息制限法の定めを根拠に遅延損害金債権のうち一定の率を超える部分の無効を異議の事由として主張することは、確定判決の既判力に抵触し、許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年7月21日 昭和49(オ)349
登載
集民 第121号207頁
参照法条
民訴法199条1項,民訴法545条,民訴法562条3項
論点100第199条民事訴訟法

保証人敗訴の判決確定後に主債務者勝訴の判決が確定した場合と保証人敗訴の確定判決に対する請求異議

裁判要旨債権者から保証人に対する保証債務履行請求訴訟における保証人敗訴の判決が確定した後に債権者から主債務者に対する主債務履行請求訴訟における主債務者勝訴の判決が確定しても、主債務者勝訴の判決が保証債務履行請求訴訟の事実審口頭弁論終結の時までに生じた事由に基づいてされているときは、保証人は、右の主債務者勝訴の確定判決を保証人敗訴の確定判決に対する請求異議の事由にすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和51年10月21日 昭和49(オ)937
登載
民集 第30巻9号903頁
参照法条
民訴法199条1項,民訴法201条1項,民訴法545条,民法448条
論点101第199条民事訴訟法

相続財産の限度での支払を命ずる判決が確定した場合における判決の効力

裁判要旨被相続人に対する債権につき、債権者と相続人との間の前訴において、相続人の限定承認が認められ、相続財産の限度での支払を命ずる判決が確定しているときは、債権者は相続人に対し、後訴によつて、右判決の基礎となる事実審の口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実を主張して右債権につき無留保の判決を求めることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年4月26日 昭和46(オ)411
登載
民集 第28巻3号503頁
参照法条
民法921条,民法922条,民訴法199条1項,民訴法545条2項
論点102第199条民事訴訟法

換地処分取消請求棄却の確定判決の既判力と右換地処分の違法を理由とする国家賠償請求

裁判要旨換地処分の違法を理由とする国家賠償請求訴訟において原告の主張する違法と、当該原告がすでに請求棄却の確定判決を受けた右換地処分取消請求訴訟で主張した違法とが、その内容において異なるものでないときは、右確定判決の既判力は、右国家賠償の請求に及ぶ。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年3月27日 昭和47(オ)642
登載
集民 第108号529頁
参照法条
民訴法199条,行政事件訴訟法3条,国家賠償法1条
論点103第199条民事訴訟法

判決の理由中の判断に包含されるに過ぎない法律関係について既判力ないし既判力類似の効力が認められないとされた事例

裁判要旨係争地の通行権を主張する甲に対処するため乙が通行禁止の仮処分申請を余儀なくされたことによつて被つた損害の賠償を求めた前訴の確定判決が、その理由中の判断において甲の通行権の存在を認めて乙の請求を棄却したのち、甲が右仮処分によつて被つた損害の賠償を求めた後訴の判決が、甲が通行権を有するとは認められないから仮処分が違法なものとはいえないとして、甲の請求を棄却しても、後訴の判決が前訴の確定判決の既判力に抵触するとはいえず、たとえ、前訴において当事者が右通行権の存否を争点として、主張・立証を尽くし、裁判所がこの点について実質的審理を遂げていたとしても、理由中の判断に包含されるにとどまる右通行権の存否に関し、前訴の確定判決に既判力ないし既判力類似の効力を認めることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年10月4日 昭和47(オ)1293
登載
集民 第110号159頁
参照法条
民訴法199条1項
論点104第199条民事訴訟法

訴訟の終了を宣言した判決の既判力の範囲

裁判要旨訴訟上の和解が成立したことによつて訴訟が終了したことを宣言した判決は、訴訟が終了したことを確定する訴訟判決であつて、訴訟上の和解が有効であるとの点について既判力を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年1月21日 昭和45(オ)771
登載
集民 第105号13頁
参照法条
民訴法199条1項,民訴法203条
論点105第199条民事訴訟法

所有権に基づく登記請求を認容した確定判決と所有権の存否についての既判力およびこれに類似する効力の有無

裁判要旨所有権に基づく登記請求を認容した確定判決は、その理由において所有権の存否を確認している場合であつても、所有権の存否について既判力およびこれに類似する効力(いわゆる争点効)を有するものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年6月24日 昭和43(オ)1210
登載
集民 第95号613頁
参照法条
民訴法199条
論点106第199条民事訴訟法

母の受傷を理由とする子の慰藉料請求について調停が成立した後母が死亡した場合とその死亡を理由とする子の慰藉料請求権

裁判要旨母の身体侵害を理由とする子の慰藉料請求と右身体侵害に基づく母の生命侵害を理由とする子の慰藉料請求とは、同一性がなく、前者に関する調停が成立した後母が死亡した場合には、特別の事情のないかぎり、その調停が後者をも含むと解することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年4月11日 昭和39(オ)538
登載
民集 第22巻4号862頁
参照法条
民法709条,民法710条,民法711条,民事調停法19条,民訴法203条,民訴法199条1項
論点107第199条民事訴訟法

一 行政処分の取消を求める訴が判決の既判力によつて不適法とされた事例。
一 高等海難審判庁の裁決に対する執行停止の要否。

裁判要旨一 さきに農地賃貸借契約解除許可処分が農地法第二〇条第二項一号に違反することを請求の原因とし、農林大臣宛の訴願が三箇月を経過しても裁決されないと主張して訴願の裁決を経ることなく、知事を相手どり、右処分の取消を求める訴を提起して敗訴の確定判決を受けた者が、右訴の口頭弁論終結後にいたり前記訴願について棄却の裁決がなされたところから、さらに、右と全く同一の請求原因事実に基づき、同一の被告に対して提起した右農地賃貸借契約解除許可処分自体の取消を求める訴は、前訴の確定判決の既判力により不適法であるというべきである。
二 高等海難審判庁の裁決は、確定の後執行されるものであるから、その執行停止の必要は存しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年10月16日 昭和39(行ツ)5
登載
集民 第75号871頁
参照法条
民訴法199条1項,民訴法201条1項,行政事件訴訟特例法2条,海難審判法57条,行政事件訴訟法25条
論点108第199条民事訴訟法

書面によらない贈与を認める判決が確定した後の民法第五五〇条による右贈与の取消の可否。

裁判要旨書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した後は、既判力の効果として民法第五五〇条による取消権を行使して右贈与による権利の存否を争うことは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和36年12月12日 昭和35(オ)1017
登載
民集 第15巻11号2778頁
参照法条
民法550条,民訴法199条,民訴法545条2項
論点109第199条民事訴訟法

一 訴訟上の相殺の主張の撤回と受働債権につきなされた債務承認の効力
二 相殺の主張をする訴訟代理人と受働債権につき債務の承認をする権限の有無

裁判要旨一 訴訟上相殺の主張をするにあたり、受働債権につき時効中断事由たる債務の承認がなされたものと認められる場合、その後相殺の主張が撤回されても承認による時効中断の効力は失われない。
二 訴訟上相殺の主張をする訴訟代理人は、特別の授権がなくても、受働債権につき債務の承認をする権限があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和35年12月23日 昭和33(オ)494
登載
民集 第14巻14号3166頁
参照法条
民法147条3号,民訴法199条2項,民訴法81条
論点110第199条民事訴訟法

一 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による借地権設定に関する裁判の合憲性
二 裁判上の和解と既判力
三 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による裁判と既判力

裁判要旨一 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による借地権設定に関する裁判は憲法第三二条、第八二条に違反しない。
二 裁判上の和解は確定判決と同一の効力を有し既判力を有するものと解すべきである。
三 罹災都市借地借家臨時処理法第一五条による裁判については、それが実質的理由によつて賃借権設定申立を却下する裁判であつても、その既判力を否定すべきではない。
(少数意見がある)
裁判
最高裁判所大法廷 昭和33年3月5日 昭和24(オ)182
登載
民集 第12巻3号381頁
参照法条
罹災都市借地借家臨時処理法15条,罹災都市借地借家臨時処理法18条,罹災都市借地借家臨時処理法25条,非訟事件手続法,憲法32条,憲法82条,民訴法203条,民訴法199条
論点111第199条民事訴訟法

一 連帯債務として主張しなかつた債務の履行を求める前訴の判決確定後の後訴において連帯債務である旨主張することの許否
二 ある金額を訴訟物の全部として訴求し勝訴の確定判決をえた場合における残額請求の許否

裁判要旨一 債権者が数人の債務者に対して金銭債務の履行を訴求するにあたり、これを連帯債務と主張しなかつたため分割債務として確定判決をえたときは、その後別訴において右債権を連帯債務である旨主張することは、前訴判決の既判力に牴触し、許されないものと解すべきである。

二 ある金額の支払を訴訟物の全部として訴求し勝訴の確定判決をえた後、別訴において、右請求をその訴訟物の一部である旨主張しその残額を訴求することは、許されないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年6月7日 昭和28(オ)878
登載
民集 第11巻6号948頁
参照法条
民訴法199条,民法427条,民法432条
論点112第199条民事訴訟法

一 本権の訴における敗訴者は不法行為についても起訴の時から悪意の占有者とみなされるか
二 後訴における主張が前訴の既判力に牴触しない一事例
三 不法行為による物の滅失毀損と損害賠償額算定の基準時期

裁判要旨一 係争物件を自己の所有と信じ占有していた者が、本権の訴において敗訴したからとて、右敗訴者は、当然には、不法行為の関係についてまで、起訴の時から悪意の占有者とみなされるものではない。
二 甲が乙を相手として船舶の所有権確認、同引渡請求の訴(前訴)につき勝訴の確定判決を得た上、さらに乙を相手として、右船舶の滅失毀損による不法行為を理由とし損害賠償請求の訴(後訴)を提起した場合、たとえ前訴において、乙が右船舶を現に占有している事実を認めていたとしても、後訴において、乙が、右船舶は前訴の口頭弁論終結前乙において売却処分し、その頃右船舶が滅失毀損したと主張することは、なんら前訴の既判力に牴触しない。
三 不法行為による物の滅失毀損に対する損害賠償の金額は、特段の事由のないかぎり、滅失毀損当時の交換価格により定むべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年1月31日 昭和28(オ)849
登載
民集 第11巻1号170頁
参照法条
民法189条,民法709条,民訴法199条1項,民訴法709条
論点113第199条民事訴訟法

調停成立当時その調書に記載されない(家屋明渡に関する)合意が成立したことを理由とする家屋明渡請求の許否

裁判要旨借地借家調停調書に単に家屋を「昭和二三年九月一〇日まで賃貸する」と記載されただけであつても、右調停期日に当事者間において、右家屋を右約定の日かぎり明け渡す旨の合意が成立した以上、賃貸人はこれを理由として家屋明渡の請求をすることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和24(オ)299
登載
民集 第6巻12号1271頁
参照法条
民訴法203条,民訴法199条,民法604条
論点114第199条民事訴訟法

共同相続人の一部の間において土地所有権確認請求を棄却する判決が確定した場合に敗訴原告が右土地につき遺産確認の訴えを提起することの可否

裁判要旨共同相続人甲、乙、丙のうち甲と乙との間において、ある土地につき甲の所有権確認請求を棄却する旨の判決が確定し、右確定判決の既判力により、甲が乙に対して相続による右土地の共有持分の取得を主張し得なくなった場合であっても、甲は右土地につき遺産確認の訴えを提起することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年3月14日 平成5(オ)920
登載
集民 第182号537頁
参照法条
民訴法45条,民訴法199条,民訴法225条,民法898条
論点115第199条民事訴訟法

所有権確認請求訴訟で敗訴した原告が後訴において共有持分の取得を主張することが前訴の確定判決の既判力に抵触して許されないとされた事例

裁判要旨丙の共同相続人である甲乙間の土地の所有権確認請求訴訟において、甲の請求を棄却する旨の判決が確定した場合には、甲、乙がそれぞれ右土地の所有権を単独で取得したと主張して争っており、甲が事実審口頭弁論終結前に生じていた丙の死亡による相続の事実を主張しなかったこと、右判決が双方の主張を排斥して右土地が丙の所有である旨判断したこと、右判決の確定後に乙が右土地の所有権を主張したために甲が後訴を提起するに至ったことなどの事情があるとしても、甲が後訴において相続による右土地の共有持分の取得を主張することは、前訴の確定判決の既判力に抵触して許されない。

(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年3月14日 平成5(オ)921
登載
集民 第182号553頁
参照法条
民訴法199条,民法898条
論点116第199条民事訴訟法

一 金銭債権の一部請求と相殺
二 金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断の既判力

裁判要旨一 特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺の抗弁が理由がある場合には、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、請求額が残存額の範囲内であるときは請求の全額を、残存額を超えるときは残存額の限度でこれを認容すべきである。
二 特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断は、右金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既報力を生じない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年11月22日 平成2(オ)1146
登載
民集 第48巻7号1355頁
参照法条
民法505条,民訴法186条,民訴法199条2項
論点117第199条民事訴訟法

別訴において訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として、相殺の抗弁を主張することは、許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年12月17日 昭和62(オ)1385
登載
民集 第45巻9号1435頁
参照法条
民法505条,民訴法199条2項,民訴法231条
論点118第200条民事訴訟法

一 民訴法二〇〇条四号〈証言拒絶に対する制裁〉所定の「相互ノ保証アルコト」の意義
二 民訴法二〇〇条三号の規定と外国裁判所の判決の成立についての公序良俗違反

裁判要旨一 民訴法二〇〇条四号〈証言拒絶に対する制裁〉所定の「相互ノ保証アルコト」とは、当該判決をした外国裁判所の属する国において、右判決と同種類の我が国の裁判所の判決が同条各号所定の条件と重要な点で異ならない条件のもとに効力を有するものとされていることをいうものと解すべきである。
二 民訴法二〇〇条三号の規定は、外国裁判所の判決の内容のほかその成立も我が国の公序良俗に反しないことを要するとしたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年6月7日 昭和57(オ)826
登載
民集 第37巻5号611頁
参照法条
民事執行法24条,民訴法200条3号,民訴法200条4号
論点119第200条民事訴訟法

一、国際的裁判の合意の方式
二、外国の裁判所を専属管轄裁判所与る国際的専属的裁判管轄の合意
三、船荷証券に基づく国際的専属的裁判管轄の合意が公序違反として無効とはいえないとされた事例

裁判要旨一、国際的裁判管轄の合意は、両当事者の署名のある書面によつてされることを要せず、特定国の裁判所を管轄裁判所として明示的に指定する当事者の一方が作成した書面に基づいて締結されれば足りる。
二、ある訴訟事件についてわが国の裁判権を排除し特定の外国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は、当該事件がわが国の裁判権に専属的に服するものではなく、かつ指定された外国の裁判所がその外国法上当該事件につき管轄権を有する場合には、原則として有効であり、その外国法上右合意が有効とされること又は当該外国裁判所の判決につき相互の保証のあることを要しない。
三、国際海上物品運送契約に基づく荷主の運送人に対する損害賠償請求訴訟につき、国際的海運業者である被告の本店のあるオランダ国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は、たとえそれが被告の発行した船荷証券上の管轄約款に基づくものであり、また、右合意に従うとき荷主の負うこととなる費用及び手数が増大するとしても、それだけでは公序違反として無効とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和45(オ)297
登載
民集 第29巻10号1554頁
参照法条
民法1条,民法90条,民法521条,民訴法25条,民訴法200条4号,民訴法515条,1924年8月25日にブラツセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約3条8項,国際海上物運送法15条1項
論点120第200条民事訴訟法

外国裁判所の判決に記載がない利息を付加して執行判決をすることができる場合

裁判要旨外国裁判所の判決に記載がない利息であっても、当該外国の法制上、判決によって支払を命じられた金員に付随して発生し、執行することができるとされている場合には、これを付加して執行判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年7月11日 平成5(オ)1761
登載
民集 第51巻6号2530頁
参照法条
民訴法200条,民事執行法22条6号,民事執行法24条
論点121第200条民事訴訟法

いわゆる懲罰的損害賠償を命じた外国裁判所の判決について執行判決をすることの可否

裁判要旨外国裁判所の判決のうち、補償的損害賠償等に加えて、見せしめと制裁のために懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分については、執行判決をすることができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年7月11日 平成5(オ)1762
登載
民集 第51巻6号2573頁
参照法条
民訴法200条3号,民事執行法22条6号,民事執行法24条,民法709条
論点122第200条民事訴訟法

日本に居住する日本人のドイツに居住するドイツ人に対する離婚請求訴訟につき日本の国際裁判管轄が肯定された事例

裁判要旨日本に居住する日本国籍の夫がドイツに居住するドイツ国籍の妻に対する離婚請求訴訟を日本の裁判所に提起した場合において、妻が先にドイツの裁判所に提起した離婚請求訴訟につき妻の請求を認容する旨の判決が確定し、同国では右両名の婚姻は既に終了したとされているが、日本では、右判決は民訴法二〇〇条二号の要件を欠くため効力がなく、婚姻はいまだ終了しておらず、夫がドイツの裁判所に離婚請求訴訟を提起しても婚姻の終了を理由に訴えが不適法とされる可能性が高いときは、夫の提起した離婚請求訴訟につき日本の国際裁判管轄を肯定すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年6月24日 平成5(オ)764
登載
民集 第50巻7号1451頁
参照法条
民訴法第1編第1章裁判所,民訴法200条
論点123第201条民事訴訟法

所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟において勝訴の確定判決を得た原告が被告の口頭弁論終結後の承継人に対し真正な登記名義の回復のための所有権移転登記手続を求める訴と訴の利益

裁判要旨所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟において勝訴の確定判決を得た原告が被告の口頭弁論終結後の承継人に対し真正な登記名義の回復のための所有権移転登記手続を求める訴は、右確定判決の存在によつて訴の利益を欠くものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和54年1月30日 昭和53(オ)528
登載
集民 第126号43頁
参照法条
民訴法201条,民訴法第2編第1章訴,民訴法519条
論点124第201条民事訴訟法

土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に建物の所有権を取得した者がその終結前に経由した所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合と口頭弁論終結後の承継人

裁判要旨土地所有権に基づき建物収去土地明渡を命ずる確定判決の基礎となつた事実審口頭弁論の終結後に債務者から建物の所有権を取得した者は、その終結前に経由していた所有権移転仮登記に基づく本登記を経由した場合であつても、仮登記の時にさかのぼつて被告適格を承継するものではなく、口頭弁論終結後の承継人にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月23日 昭和50(オ)203
登載
集民 第122号581頁
参照法条
民法176条,民法177条,不動産登記法7条2項,民訴法201条1項
論点125第201条民事訴訟法

仮処分異議訴訟における仮処分却下の確定判決と当該仮処分が不法行為であるとして提起された損害賠償訴訟に対する拘束力

裁判要旨仮処分に対する異議訴訟において、当該仮処分を保全の必要性がないとして取り消し、その仮処分申請を却下する旨の判決が言い渡され、これが確定した場合、この確定判決は、右仮処分が不法行為を構成するとして仮処分債務者によつて提起された仮処分債権者に対する損害賠償訴訟の係属する裁判所を法律上拘束するものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年4月25日 昭和48(オ)382
登載
集民 第114号605頁
参照法条
民法709条,民訴法201条
論点126第201条民事訴訟法

一、敷地不法占有と家屋収去請求の相手方
二、土地所有権に基づく家屋収去土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結前に家屋を譲り受けた第三者に対する右確定判決の効力

裁判要旨一、地上家屋が第三者に譲渡されたにもかかわらず、所有権移転登記がされないで登記簿上譲渡人所有名義のままになつている場合であつても、敷地所有者から右譲渡人に対し、敷地不法占有を理由として家屋収去請求をすることは許されない。
二、敷地所有者の土地所有権に基づく家屋収去土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結前に、被告から地上家屋を譲り受けた第三者は、その所有権移転登記が口頭弁論終話後にされた場合においても、右確定料決につき、民訴法二〇一条〈宣誓〉所定の口頭弁論終結後の承継人にはあたらない。
(一、二につき反対意見がある)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年10月24日 昭和47(オ)590
登載
集民 第113号47頁
参照法条
民法176条,民法177条,民訴法201条,民訴法545条
論点127第201条民事訴訟法

通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決と口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者

裁判要旨通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決は、口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者に対してその効力を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年6月21日 昭和47(オ)198
登載
民集 第27巻6号712頁
参照法条
民法94条2項,民訴法201条1項,民訴法497条ノ2第1項
論点128第201条民事訴訟法

一、債権者代位訴訟に債権者が当事参加して第三債務者に対し提起した同一の重複訴訟
二、債権者代位訴訟に債務者が当事者参加して第三債務者に対し提起した同一の訴についての債務者の訴訟追行権

裁判要旨一、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条〈訴訟費用額の確定手続〉により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起することは、重複起訴の禁止にはふれない。
二、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起した場合において、甲に代位原因がないときは、乙は丙に対する訴につき訴訟追行権を失わない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年4月24日 昭和47(オ)908
登載
民集 第27巻3号596頁
参照法条
民訴法45条,民訴法71条,民訴法201条2項,民訴法231条,民法423条1項
論点129第201条民事訴訟法

判決確定後の特定承継人と再審原告

裁判要旨判決確定後に目的たる土地を右判決の当事者から買い受けた者は、右判決に対する再審の訴において再審原告となることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年6月3日 昭和42(ヤ)20
登載
集民 第103号87頁
参照法条
民訴法201条
論点130第201条民事訴訟法

第三者に対する債務名義を騙取した場合と同人に対する債務名義の効力の有無

裁判要旨甲が乙と通謀のうえ、第三者丙に対する金銭債権に関する債務名義を騙取しようと企て、丙の住所を真実に反して乙方丙として、丙に対する支払命令および仮執行宣言の申立等の訴訟行為をし、裁判所が右申立に応じてした裁判の正本等の訴訟書類を乙において丙本人のように装つて受領し、その裁判を確定させた場合においては、当該債務名義の効力は、丙に対して及ばない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年2月27日 昭和39(オ)1371
登載
民集 第22巻2号316頁
参照法条
民訴法201条,民訴法443条
論点131第201条民事訴訟法

法定地上権の地代確定訴訟の判決が確定した場合右訴訟の係属中に右法定地上権を譲り受けていた者の支払うべき地代額

裁判要旨法定地上権の地代確定訴訟の係属中、右法定地上権が譲渡され、その後右訴訟の判決が確定した場合においては、その譲受人は、右判決によつて譲渡人と地主との間で確定された右譲受当時の地代を、譲受の時に遡つて支払うべき義務を負うものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年2月23日 昭和42(オ)1075
登載
集民 第90号405頁
参照法条
民法388条,民訴法201条1項
論点132第201条民事訴訟法

一 移転登記請求訴訟の被告から二重譲渡を受けた者は民訴法第二〇一条の承継人にあたるか
二 仮執行宣言付判決に基づく登記の効力

裁判要旨一 不動産買受人甲が売渡人乙に対し所有権移転登記手続履践の請求訴訟を起こし、甲勝訴の判決が確定した場合において、乙から同一不動産の二重譲渡を受けた丙が、右訴の事実審の口頭弁論終結後にその所有権移転登記を経たとしても、丙は、前示確定判決について、民訴法第二〇一条第一項〈宣誓〉の承継人にあたらない。
二 登記義務者の登記申請意思の陳述を求める請求を認容する判決に誤つて仮執行宣言が付せられ、右仮執行宣言付判決に基づいて登記がなされた場合でも、右判決が確定した後は、右登記を有効と解して妨げない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月2日 昭和38(オ)1319
登載
集民 第83号675頁
参照法条
民訴法201条,民法177条,不動産登記法25条
論点133第201条民事訴訟法

主債務者に対する確定判決の保証人に対する効力

裁判要旨主債務者に対する債務存在の確定判決の効力は、当事者を異にするその債務の保証人には及ばない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年4月12日 昭和35(オ)1113
登載
集民 第60号167頁
参照法条
民訴法201条
論点134第201条民事訴訟法

土地所有権に基づく収去明渡の確定判決の執行債務者が右土地所有権の共同相続持分の一部を取得した場合の執行の許否。

裁判要旨甲の乙に対する土地所有権に基づく建物収去、土地明渡の確定判決の事実審口頭弁論終結後、甲の死亡により土地所有権が丙丁らに共同相続された場合、乙が丙からその土地共有持分を取得したとしても、丙以外の共同相続人らは、民法第四二九条の法意に従い、乙に対して右判決を執行し得る。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年3月2日 昭和35(オ)201
登載
民集 第15巻3号337頁
参照法条
民法899条,民法429条,民訴法201条,民訴法545条
論点135第201条民事訴訟法

判決の反射的効力を認めたことが違法とされた一事例

裁判要旨土地の適法な転借人およびその者からその所有の地上建物を賃借する者等は、賃借人の土地明渡義務が判決により確定されている場合においても、これがために当然賃貸人の土地明渡の請求を拒みえないものと解すべきではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年7月20日 昭和29(オ)110
登載
民集 第10巻8号965頁
参照法条
民訴法201条,民法612条
論点136第201条民事訴訟法

一 裁判上の和解により建物を収去してその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者と民訴第二〇一条第一項〈宣誓〉にいわゆる承継人
二 民訴第五一九条第一項にいゆる債務者の一般承継人の解釈

裁判要旨一 裁判上の和解により建物を収去しその敷地を明け渡すべき義務のある者から建物を借り受けその敷地を占有する者は、民訴第二〇一条第一項〈宣誓〉にいわゆる承継人にあたる。
二 民訴第五一九条第一項にいわゆる債務者の一般承継人には、判決の効力の及ぶ債務者の特定承継人をも含む趣旨に解釈すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年4月13日 昭和24(オ)126
登載
民集 第5巻5号242頁
参照法条
民訴法201条1項,民訴法203条,民訴法519条1項
論点137第202条民事訴訟法

訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否

裁判要旨訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年10月1日 昭和62(オ)457
登載
集民 第152号1頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
論点138第202条民事訴訟法

口頭弁論を経ないで控訴を棄却する判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否

裁判要旨訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを必要としない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年10月19日 昭和57(オ)541
登載
集民 第137号391頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
論点139第202条民事訴訟法

一 憲法の無効確認を求める訴の適否
二 最高裁判所に直接提起された憲法の無効確認を求める訴を下級裁判所に移送することなく却下した事例

裁判要旨一 憲法の無効確認を求める訴は、不適法である。
二 最高裁判所に直接提起された憲法の無効確認を求める訴は、下級裁判所に移送するまでもなく、却下を免れない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年5月6日 昭和53(マ)96
登載
集民 第129号633頁
参照法条
民訴法30条,民訴法202条,憲法76条
論点140第202条民事訴訟法

一 印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する救済を行政事件訴訟によつて求めることの許否
二 控訴審において民訴法第二〇二条によつた原判決を相当として口頭弁論を経ることなく控訴を棄却することの許否

裁判要旨一 上告状についての印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する不服は、民訴法所定の手続によるべく、審級の定めから上訴による不服申立のみちがない場合においても、行政事件訴訟をもつてその救済を求めることは許されない。

二 訴を不適法でその欠缺を補正しがたいものと認め民訴法第二〇二条により口頭弁論を経ないで却下した第一審判決に対し、控訴のあつた場合において、右原審の判断を相当とするときは、控訴審においても、口頭弁論を経ないで控訴を棄却することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月15日 昭和38(オ)969
登載
集民 第83号191頁
参照法条
民訴法397条,民訴法370条,民訴法228条,民訴法378条,民訴法202条,行訴法3条
論点141第202条民事訴訟法

団体等規正令並びに解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基く法務総裁の処分の効力を争う訴の提起があつたときの裁判

裁判要旨団体等規正令並びに解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基く法務総裁の処分の効力を争う訴の提起を受けたときは、裁判長は直ちに、命令をもつて訴状を却下すべく、右命令に対する抗告事件においては、抗告裁判所の裁判長は、直ちに、命令をもつて抗告状を却下すべきである。また、右と異る下級審の裁判に対し上訴が提起されたときは、上訴裁判所は、直ちに、原判決を取り消し、訴状を却下すべきものである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和25年7月5日 昭和25(オ)147
登載
民集 第4巻7号264頁
参照法条
民訴法228条,民訴法202条,団体等規正令,解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令(昭和23年政令238号)
論点142第202条民事訴訟法

一 国籍取得の原因に関する過去の事実の確認を求める訴の適否
二 アメリカ合衆国の国籍に関する確認訴訟の管轄

裁判要旨一 被上告人等の有する日本の国籍が出生によるものであつて国籍の回復によるものでないというが如き過去の事実の確認を求める訴は許されない。
二 被上告人がアメリカ合衆国の国籍を有することの確認を求める訴は、アメリカ合衆国の裁判権に専属するものであつて、わが国の裁判権に属しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和24年12月20日 昭和24(オ)24
登載
民集 第3巻12号507頁
参照法条
裁判所法3条,民訴法225条,民訴法202条,国籍法20条ノ2,国籍法26条
論点143第202条民事訴訟法

一 公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法三二条所定の同意を拒否する行為と抗告訴訟の対象
二 主位的請求を認容した原判決を破棄して右請求に係る訴えを却下すべきものとした場合において不適法でその欠缺を補正することができない予備的請求に係る訴えを上告審が却下することの可否

裁判要旨一 公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法三二条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たらない。
二 主位的請求を認容した原判決を破棄して右請求に係る訴えを却下すべきものとした場合において、予備的請求に係る訴えが不適法でその欠缺を補正することができないときは、上告審は、右訴えを却下することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成7年3月23日 平成6(行ツ)19
登載
民集 第49巻3号1006頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,都市計画法30条2項,都市計画法32条,民訴法202条,民訴法408条
論点144第203条民事訴訟法

賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは建物賃貸借契約は当然解除となる旨の訴訟上の和解条項に基づく契約の当然解除が認められないとされた事例

裁判要旨訴訟上の和解によつて、建物の賃借人が賃料の支払を一か月分でも怠つたときは賃貸借契約は当然解除となる旨の定めがされた場合においても、賃料の延滞が一か月分であり、賃借人は、和解成立後賃貸人から賃料の受領を拒絶されるまで、約二年間右一か月分を除いては毎月の賃料を期日に支払つており、右延滞もなんらかの手違いによるものであつて賃借人がその当時これに気づいていなかつたなど判示の事情があり、賃貸借当事者間の信頼関係が賃貸借契約の当然解除を相当とする程度にまで破壊されたといえないときは、右和解条項に基づき賃貸借契約が当然に解除されたものとは認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年12月17日 昭和51(オ)633
登載
民集 第30巻11号1036頁
参照法条
民法第3編第2章第7節第3款,民法541条,民法695条,民訴法203条
論点145第203条民事訴訟法

一、裁判上の和解において定められた債権債務が同時履行の関係にあるとされた事例
二、弁済のための銀行振出小切手の持参と現実の提供

裁判要旨一、裁判上の和解において甲が一定期日に乙に対し金員の支払をなすべき旨定められていても、他方、乙は甲から右金員の支払を受けると同時に甲に対し登記手続をすべき旨定められているときは、特別の事情の存しないかぎり、右両債務は同時履行の関係にある。
二、債務者が弁済のため銀行振出小切手を債権者方に持参してその受領を催告すれば、これを債権者の面前に提出しなくても、現実に弁済の提供をしたものとみるのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年12月11日 昭和47(オ)1174
登載
集民 第110号653頁
参照法条
民法493条,民法533条,民訴法203条
論点146第203条民事訴訟法

和解調書に記載されなかつた債権債務と裁判上の和解の解釈

裁判要旨裁判上の和解の内容および効力については、原則として和解調書に記載されたところからこれを判断すべきであり、和解調書に記載されなかつた債権債務を和解条項中の債務と関連させて、その効力を論ずることは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年12月10日 昭和46(オ)47
登載
集民 第104号607頁
参照法条
民訴法203条
論点147第203条民事訴訟法

訴訟上の和解の解釈

裁判要旨訴訟の係属中に訴訟代理人たる弁護士も関与して成立した訴訟上の和解においては、その文言自体相互に矛盾し、または文言自体によつてその意味を了解しがたいなど、和解条項それ自体にかしを含むような特別の事情のないかぎり、和解調書に記載された文言と異なる意味に和解の趣旨を解すべきではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月10日 昭和43(オ)1246
登載
民集 第23巻8号1450頁
参照法条
民法695条,民訴法203条,民訴法
論点148第203条民事訴訟法

訴の変更と旧訴に対する判断

裁判要旨第一審において訴の変更による新訴の提起がされた場合において、新訴のみにつき判決がされたときは、旧訴は取り下げられたか、請求の放棄がされたか、またはなお第一審に係属するかのいずれかであり、旧訴につき第二審が判断を加えないのは相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年4月26日 昭和42(オ)1134
登載
集民 第90号1127頁
参照法条
民訴法232条,民訴法236条,民訴法203条
論点149第203条民事訴訟法

訴訟上の和解に訴訟物たる権利関係以外の権利関係を包含させることは違法か

裁判要旨訴訟上の和解に、当該訴訟の訴訟物たる権利関係以外の権利関係を包含させても違法ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年3月29日 昭和42(オ)1372
登載
集民 第90号851頁
参照法条
民訴法203条
論点150第203条民事訴訟法

裁判上の和解により成立した土地賃貸借と借地法第一一条

裁判要旨裁判上の和解により成立した土地賃貸借についても、土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸期間等諸般の事情から、賃貸借当事者間に短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる場合には、右賃貸借は、借地法第九条にいう一時使用の賃貸借に該当し、同法第一一条の適用を受けないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年3月28日 昭和42(オ)666
登載
民集 第22巻3号691頁
参照法条
借地法11条,借地法9条,民訴法203条
論点151第203条民事訴訟法

訴訟上の和解の内容たる私法上の契約の解除と和解による訴訟終了の効果

裁判要旨訴訟上の和解の内容たる私法上の契約が債務不履行のために解除されても、右和解による訴訟終了の効果に影響を及ぼさない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月15日 昭和41(オ)630
登載
民集 第22巻2号184頁
参照法条
民訴法203条,民法545条,民法695条
論点152第203条民事訴訟法

裁判上の和解の無効。

裁判要旨裁判上の和解は、確定判決と異り、一面私法上の契約たる性質をも有し、私法上の無効原因があるときは、初めから無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年1月25日 昭和36(オ)53
登載
集民 第64号217頁
参照法条
民訴法203条
論点153第203条民事訴訟法

一 裁判上の和解に基づく抹消登記が滞納処分の差押の効力に抵触し、国の代位によつて回復登記ができるとされた事例
二 債権者代位権行使後に債務者としても訴を提起できるか

裁判要旨一 裁判上の和解が滞納処分の差押に抵触する場合、右和解調書正本に基づいてなされた所有権取得登記の抹消登記に対し、国は所有権を代位行使して右回復登記を求める権利を有する。
二 債権者が債権者代位の訴を提起した代位権を行使した後は、債務者は代位の目的となつた権利について訴を提起できない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和35(オ)706
登載
集民 第58号645頁
参照法条
国税徴収法(昭和34年改正前)10条,民訴法203条,民法423条,不動産登記法67条
論点154第203条民事訴訟法

一 控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法
二 訴の変更と旧訴

裁判要旨一 控訴審において訴の変更による新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第一審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではない。

二 訴の変更による新訴の提起があつても、旧訴につき適法な訴の取下または請求の放棄がない限り旧訴の係属は消滅しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年2月28日 昭和29(オ)444
登載
民集 第11巻2号374頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条,民訴法236条,民訴法203条
論点155第203条民事訴訟法

和解調書の解釈

裁判要旨裁判上の和解の有効無効は、調書の文言のみに拘泥せず、一般法律行為の解釈の基準に従つてこれを判定すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年3月30日 昭和29(オ)62
登載
民集 第10巻3号242頁
参照法条
民法第1編第4章第1節(90条の前),民法第1編第4章第1節695条,民訴法203条
論点156第203条民事訴訟法

一 相続放棄無効確認の訴の適否
二 相続放棄無効確認の請求に対する請求どおりの判決を求める旨の陳述と請求の認諾

裁判要旨一 相続の放棄が無効であることの確認を求める訴は、不適法である。
二 相続の放棄が無効であることの確認を求める請求に対し、被告が、口頭弁論において、原告の請求どおりの判決を求める旨陳述しても、請求の認諾の効力を生ずるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年9月30日 昭和27(オ)743
登載
民集 第9巻10号1491頁
参照法条
民訴法225条,民訴法203条
論点157第203条民事訴訟法

請求が証書真否確認の訴の対象たる資格を欠く訴における請求の認諾の効力

裁判要旨請求が証書真否確認の訴の対象たる資格を欠く不適法な訴においてした請求の認諾は、訴訟法上の効力を生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年10月15日 昭和26(オ)74
登載
民集 第7巻10号1083頁
参照法条
民訴法203条,民訴法225条
論点158第203条民事訴訟法

離婚請求訴訟における請求の放棄の許否

裁判要旨離婚請求訴訟において請求を放棄することは許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成6年2月10日 平成5(オ)589
登載
民集 第48巻2号388頁
参照法条
民訴法203条,人事訴訟手続法10条
論点159第204条民事訴訟法

物上保証人に対する抵当権の実行による競売開始決定が債務者に告知された場合と被担保債権の消滅時効の中断

裁判要旨物上保証人に対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者に告知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年11月21日 昭和47(オ)723
登載
民集 第29巻10号1537頁
参照法条
民法147条,民法148条,民法155条,民訴法204条,競売法25条,競売法27条
論点160第205条民事訴訟法

補正命令の正本の瑕疵の治癒

裁判要旨控訴状の補正命令の正本に瑕疵があつたとしても、その送達を受けた控訴人が、補正命令に従つて印紙を増貼し、裁判所が控訴を適法なものとして、その本案につき審理判決したときは、右瑕疵は治癒されたものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年7月14日 昭和50(オ)334
登載
集民 第115号409頁
参照法条
民訴法205条,民訴法228条
論点161第205条民事訴訟法

受命裁判官による和解の勧告とその取消

裁判要旨受訴裁判所の決定により受命裁判官が和解を勧告し、それが打切られた形跡のないまま裁判所が合議の上弁論を終結したときは、その時に裁判所が右決定を取り消したものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年9月25日 昭和26(オ)718
登載
民集 第7巻9号1005頁
参照法条
民訴法136条,民訴法205条
論点162第206条民事訴訟法

一、上級裁判所の裁判所書記官が執行文付与の権限を失う時期
二、裁判所書記官の執行文付与権限の喪失と執行文付与拒絶処分に対する異議申立の適否

裁判要旨一、上級裁判所の裁判所書記官は、同裁判所において訴訟が完結し、その訴訟記録を他の裁判所に送付する手続を完了した時に、執行文付与の権限を失う。
二、執行文付与拒絶処分に対する異議申立は、その拒絶処分をした裁判所の裁判所書記官が執行文付与の権限を失つた後においては、申立の利益を欠き、不適法として却下を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年7月4日 昭和41(マ)104
登載
民集 第23巻8号1366頁
参照法条
民訴法516条2項,民訴法396条,民訴法392条,民訴法206条
原

条文原文

原文ママ

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民事訴訟法 第190条(証人義務) 詳細ページ
(証人義務)
第百九十条裁判所は、特別の定めがある場合を除き、何人でも証人として尋問することができる。
民事訴訟法 第191条(公務員の尋問) 詳細ページ
(公務員の尋問)
第百九十一条公務員又は公務員であった者を証人として職務上の秘密について尋問する場合には、裁判所は、当該監督官庁(衆議院若しくは参議院の議員又はその職にあった者についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職にあった者については内閣)の承認を得なければならない。
2前項の承認は、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。
民事訴訟法 第192条(不出頭に対する過料等) 詳細ページ
(不出頭に対する過料等)
第百九十二条証人が正当な理由なく出頭しないときは、裁判所は、決定で、これによって生じた訴訟費用の負担を命じ、かつ、十万円以下の過料に処する。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第193条(不出頭に対する罰金等) 詳細ページ
(不出頭に対する罰金等)
第百九十三条証人が正当な理由なく出頭しないときは、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
2前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。
民事訴訟法 第194条(勾引) 詳細ページ
(勾引)
第百九十四条裁判所は、正当な理由なく出頭しない証人の勾引を命ずることができる。
2刑事訴訟法中勾引に関する規定は、前項の勾引について準用する。
民事訴訟法 第195条(受命裁判官等による証人尋問) 詳細ページ
(受命裁判官等による証人尋問)
第百九十五条裁判所は、次に掲げる場合に限り、受命裁判官又は受託裁判官に裁判所外で証人の尋問をさせることができる。
一証人が受訴裁判所に出頭する義務がないとき、又は正当な理由により出頭することができないとき。
二証人が受訴裁判所に出頭するについて不相当な費用又は時間を要するとき。
三現場において証人を尋問することが事実を発見するために必要であるとき。
四当事者に異議がないとき。
民事訴訟法 第196条(証言拒絶権) 詳細ページ
(証言拒絶権)
第百九十六条証言が証人又は証人と次に掲げる関係を有する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するときは、証人は、証言を拒むことができる。証言がこれらの者の名誉を害すべき事項に関するときも、同様とする。
一配偶者、四親等内の血族若しくは三親等内の姻族の関係にあり、又はあったこと。
二後見人と被後見人の関係にあること。
民事訴訟法 第197条 詳細ページ
第百九十七条次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
二医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
三技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
2前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。
民事訴訟法 第198条(証言拒絶の理由の疎明) 詳細ページ
(証言拒絶の理由の疎明)
第百九十八条証言拒絶の理由は、疎明しなければならない。
民事訴訟法 第199条(証言拒絶についての裁判) 詳細ページ
(証言拒絶についての裁判)
第百九十九条第百九十七条第一項第一号の場合を除き、証言拒絶の当否については、受訴裁判所が、当事者を審尋して、決定で、裁判をする。
2前項の裁判に対しては、当事者及び証人は、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第200条(証言拒絶に対する制裁) 詳細ページ
(証言拒絶に対する制裁)
第二百条第百九十二条及び第百九十三条の規定は、証言拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に証人が正当な理由なく証言を拒む場合について準用する。
民事訴訟法 第201条(宣誓) 詳細ページ
(宣誓)
第二百一条証人には、特別の定めがある場合を除き、宣誓をさせなければならない。
2十六歳未満の者又は宣誓の趣旨を理解することができない者を証人として尋問する場合には、宣誓をさせることができない。
3第百九十六条の規定に該当する証人で証言拒絶の権利を行使しないものを尋問する場合には、宣誓をさせないことができる。
4証人は、自己又は自己と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者に著しい利害関係のある事項について尋問を受けるときは、宣誓を拒むことができる。
5第百九十八条及び第百九十九条の規定は証人が宣誓を拒む場合について、第百九十二条及び第百九十三条の規定は宣誓拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に証人が正当な理由なく宣誓を拒む場合について準用する。
民事訴訟法 第202条(尋問の順序) 詳細ページ
(尋問の順序)
第二百二条証人の尋問は、その尋問の申出をした当事者、他の当事者、裁判長の順序でする。
2裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
3当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
民事訴訟法 第203条(書類等に基づく陳述の禁止) 詳細ページ
(書類等に基づく陳述の禁止)
第二百三条証人は、書類その他の物に基づいて陳述することができない。ただし、裁判長の許可を受けたときは、この限りでない。
民事訴訟法 第203_2条(付添い) 詳細ページ
(付添い)
第二百三条の二裁判長は、証人の年齢又は心身の状態その他の事情を考慮し、証人が尋問を受ける場合に著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判長若しくは当事者の尋問若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の陳述中、証人に付き添わせることができる。
2前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の陳述中、裁判長若しくは当事者の尋問若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。
3当事者が、第一項の規定による裁判長の処置に対し、異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
民事訴訟法 第203_3条(遮へいの措置) 詳細ページ
(遮へいの措置)
第二百三条の三裁判長は、事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係(証人がこれらの者が行った犯罪により害を被った者であることを含む。次条第二号において同じ。)その他の事情により、証人が当事者本人又はその法定代理人の面前(同条に規定する方法による場合を含む。)において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その当事者本人又は法定代理人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
2裁判長は、事案の性質、証人が犯罪により害を被った者であること、証人の年齢、心身の状態又は名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
3前条第三項の規定は、前二項の規定による裁判長の処置について準用する。
民事訴訟法 第204条(映像等の送受信による通話の方法による尋問) 詳細ページ
(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
第二百四条裁判所は、次に掲げる場合であって、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる。
一証人の住所、年齢又は心身の状態その他の事情により、証人が受訴裁判所に出頭することが困難であると認める場合
二事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合
三当事者に異議がない場合
民事訴訟法 第205条(尋問に代わる書面の提出) 詳細ページ
(尋問に代わる書面の提出)
第二百五条裁判所は、当事者に異議がない場合であって、相当と認めるときは、証人の尋問に代え、書面の提出をさせることができる。
2証人は、前項の規定による書面の提出に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録し、又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出することができる。この場合において、当該証人は、同項の書面を提出したものとみなす。
3裁判所は、当事者に対し、第一項の書面に記載された事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項の提示をしなければならない。
民事訴訟法 第206条(受命裁判官等の権限) 詳細ページ
(受命裁判官等の権限)
第二百六条受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第二百二条第三項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
出

一次情報

原文ママ

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