民事訴訟法 / テーマ別まとめ

督促手続/総則

総則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

督促手続は、金銭その他の代替物や有価証券の一定数量の給付請求について、裁判所書記官が債務者の言い分を聞かずに支払督促を発し、期限内に異議が出なければ確定判決と同じ効力を持たせる簡易な手続です。総則では、支払督促を出せる要件や申立先、却下事由に始まり、仮執行宣言・督促異議の各期限、異議が出た場合の訴訟への移行までの流れが定められています。

総則
項目内容
対象となる請求金銭・代替物・有価証券の給付
申立先債務者の普通裁判籍地の簡裁書記官
債務者の審尋審尋せずに発する
却下処分への異議告知から1週間(不変期間)
送達できない場合の申出通知から2月(不変期間)
仮執行宣言前の督促異議送達から2週間以内に可能
仮執行宣言の申立て申立て可能時から30日以内
仮執行宣言後の督促異議送達から2週間(不変期間)経過で不可
支払督促の効力異議なし・却下確定で確定判決と同一効力
  • 手形・小切手の請求や事務所・営業所に関する請求は、通常の管轄地以外の簡裁書記官にも申立てできる場合がある(383条2項)
  • 支払督促の申立てには、その性質に反しない限り訴えに関する規定が準用される(384条)
  • 却下処分や督促異議却下決定への異議についての裁判には、不服を申し立てられない場合がある(385条4項)
  • 電子支払督促の記録事項・記録方法や仮執行宣言の記録方法は最高裁判所規則で定めるところによる
  • 督促異議が不適法な場合、簡裁は決定で却下し、この決定には即時抗告ができる(394条)
  • 適法な督促異議があると訴えの提起があったものとみなされ、督促手続の費用は訴訟費用の一部となる(395条)
1

総則

総則について、条文は何を定めているか。

第382条支払督促の要件対象は金銭等の給付請求のみ1項判例 7件
  • 対象は金銭・代替物・有価証券の給付を目的とする請求
  • 債権者の申立てにより裁判所書記官が支払督促を発する
  • 日本国内で公示送達によらず送達できる場合に限られる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第383条支払督促の申立て申立先は債務者の住所地の簡裁2項・2号判例 2件
  • 原則は債務者の普通裁判籍地を管轄する簡裁書記官
  • 事務所・営業所に関する請求はその所在地の簡裁書記官にも申立て可
  • 手形・小切手の請求はその支払地の簡裁書記官にも申立て可
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第384条訴えに関する規定の準用訴えに関する規定を準用1項判例 23件
  • 支払督促の申立てには、性質に反しない限り訴えの規定を準用する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第385条申立ての却下要件違反や理由なしなら却下4項判例 12件
  • 382条〈支払督促の要件〉・383条〈支払督促の申立て〉違反や請求に理由がないことが明らかなら却下
  • 却下は相当な方法で告知した時に効力を生じる
  • 却下処分への異議は告知から1週間以内、その裁判に不服申立て不可
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第386条支払督促の発付等審尋なしで発付、異議も可能2項判例 5件
  • 支払督促は債務者を審尋しないで発する
  • 債務者は発付した書記官所属の簡裁に督促異議を申立てできる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第387条電子支払督促の記録事項電子支払督促に記録する事項2項・3号判例 9件
  • 給付を命じる旨、請求の趣旨・原因、当事者・法定代理人を記録
  • 送達から2週間以内に異議なければ仮執行宣言する旨も併せて記録
  • 作成後は最高裁規則の定めによりファイルに記録する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第388条電子支払督促の送達送達時に効力発生、送達不能なら通知3項判例 12件
  • 電子支払督促は債務者に送達しなければならない
  • 支払督促の効力は債務者への送達時に生じる
  • 送達不能で通知から2月以内に新たな場所の申出がないと申立て取下げとみなす
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第389条支払督促の更正更正の規定を準用2項判例 4件
  • 74条1項〈費用額の確定処分の更正〉・2項の更正に関する規定を支払督促に準用する
  • 仮執行宣言後に適法な督促異議があれば、更正処分への異議は申立てできない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第390条仮執行の宣言前の督促異議仮執行宣言前の異議で効力失う1項判例なし
  • 仮執行宣言前に適法な督促異議があると、その限度で支払督促は効力を失う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第391条仮執行の宣言異議なければ仮執行宣言5項判例 4件
  • 送達から2週間以内に異議がなければ書記官が仮執行宣言をする
  • 宣言前に督促異議の申立てがあれば宣言はしない
  • この申立てを却下する処分への異議は告知から1週間以内、その裁判に即時抗告可能
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第392条期間の徒過による支払督促の失効30日以内に申立てないと失効1項判例 3件
  • 仮執行宣言の申立てができる時から30日以内に申立てないと支払督促は効力を失う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第393条仮執行の宣言後の督促異議2週間経過後は督促異議不可1項判例 19件
  • 仮執行宣言付き電子支払督促の送達から2週間の不変期間を過ぎると督促異議は申立てできない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第394条督促異議の却下不適法な督促異議は決定で却下2項判例 48件
  • 督促異議が不適法なら、地裁管轄の請求でも簡裁が決定で却下する
  • この却下決定には即時抗告ができる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第395条督促異議の申立てによる訴訟への移行適法な督促異議で訴訟に移行1項判例 58件
  • 適法な督促異議があると、支払督促申立て時に訴えの提起があったものとみなす
  • 移行先は督促を発した簡裁またはその所在地を管轄する地裁
  • 督促手続の費用は訴訟費用の一部となる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第396条支払督促の効力異議なし・却下確定で確定判決と同じ効力1項判例 24件
  • 仮執行宣言付き支払督促に督促異議がないとき、または異議却下決定が確定したときは確定判決と同一の効力を持つ
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第382条民事訴訟法

控訴審でされた当事者参加に対する参加被告の反訴提起と参加人の同意の要否

裁判要旨控訴審において当事者参加がなされた場合において、右参加の訴に対し参加被告が反訴を提起するには、参加人の同意を要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年10月14日 昭和50(オ)250
登載
集民 第122号37頁
参照法条
民訴法71条,民訴法382条
論点2第382条民事訴訟法

控訴審において係属中の反訴を追加的に変更する場合の要件

裁判要旨控訴審において係属中の反訴を追加的に変更するには、その請求の基礎が同一であり、かつ、これにより著しく訴訟手続を遅滞せしめなければ足り、相手方の同意を要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年6月27日 昭和49(オ)717
登載
集民 第115号119頁
参照法条
民訴法232条,民訴法239条,民訴法382条
論点3第382条民事訴訟法

第一審において反訴を提起していた当事者が控訴審においてその反訴を変更する場合の要件

裁判要旨第一審において反訴を提起していた当事者が、控訴審においてその反訴を変更する場合には、その請求の基礎が同一であれば足り、相手方の同意を要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年10月13日 昭和45(オ)362
登載
集民 第101号59頁
参照法条
民訴法232条,民訴法239条,民訴法382条
論点4第382条民事訴訟法

上告審における反訴の提記の許否

裁判要旨上告審において、反訴を提起することは、許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月1日 昭和43(オ)523
登載
集民 第93号11頁
参照法条
民訴法396条,民訴法382条,民訴法239条
論点5第382条民事訴訟法

控訴審において提出する反訴状の貼用印紙額

裁判要旨控訴審において提出する反訴状には、民事訴訟用印紙法第四条にあたるときのほかは、同法第五条の規定により、第一審において提出する場合に貼用すべき印紙額の一倍半の印紙を貼用すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月22日 昭和39(オ)1140
登載
民集 第20巻4号783頁
参照法条
民事訴訟用印紙法5条,民訴法382条
論点6第382条民事訴訟法

一 数個の証拠を綜合して事実を認定する場合にどの証拠によりどの事実を認定したかを明示するを要するか
二 離縁の反訴に付帯してする損害賠償請求の反訴が控訴審において提起される場合と相手方の同意の要否

裁判要旨一 数個の証拠を綜合して事実を認定する場合、どの証拠によりどの事実を認定したか、その個々の内容にいたるまでいちいち判示する必要はなく、記録を照合してこれを明らかにしうれば足りる。
二 離縁の反訴に付帯してする損害賠償請求の反訴は、控訴審において提起される場合においても、相手方の同意を要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月23日 昭和41(オ)972
登載
集民 第85号869頁
参照法条
民訴法191条,民訴法395条6号,民訴法382条,人事訴訟手続法7条,人事訴訟手続法8条
論点7第382条民事訴訟法

控訴審における反訴の提起について相手方の同意を要しないとされた事例。

裁判要旨原告の土地明渡請求に対し、被告が第一審において右土地について賃借権を有する旨主張し、同審が右賃借権の存在を肯認した場合に、控訴審において被告が更に反訴として右賃借権存在確認の訴を提起するには、相手方たる原告の同意を要しないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年2月21日 昭和34(オ)975
登載
民集 第17巻1号198頁
参照法条
民訴法382条,民訴法239条
論点8第383条民事訴訟法

民訴法第三八三条〈支払督促の申立て〉による判決とその言渡期日の告知

裁判要旨民訴第三八三条〈支払督促の申立て〉により口頭弁論を経ないで判決することができる場合は、あらかじめその言渡期日を告知する必要はない
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年5月16日 昭和31(オ)701
登載
民集 第12巻7号1034頁
参照法条
民訴法383条
論点9第383条民事訴訟法

一 口頭弁論を終た後控訴期間経過後の控訴として控訴却下の判決を言い渡すことの適否
二 口頭弁論を経て控訴期間経過後の控訴として控訴却下の判決を言い渡す場合と民訴第三八三条第二項〈支払督促の申立て〉の審尋手続の要否

裁判要旨一 数回の口頭弁論を経た後、控訴期間経過後の控訴として控訴却下の判決を言い渡しても違法でない。
二 口頭弁論を経て、控訴期間経過後の控訴として控訴却下の判決を言い渡す場合には、民訴第三八三条第二項〈支払督促の申立て〉の審尋手続を要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年7月6日 昭和24(オ)300
登載
民集 第5巻8号464頁
参照法条
民訴法383条,民訴法114条2項
論点10第384条民事訴訟法

訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否

裁判要旨訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年10月1日 昭和62(オ)457
登載
集民 第152号1頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
論点11第384条民事訴訟法

一 賭博の用に供されることを知つてする金銭の消費貸借契約と公序良俗違反
二 相殺の抗弁を容れて原告の請求を棄却した第一審判決に対し原告のみが控訴した場合と不利益変更禁止の原則

裁判要旨一 賭博の用に供されることを知つてする金銭の消費貸借契約は、公序良俗に違反し無効である。
二 原告の訴求債権の存在を認めながら被告の相殺の抗弁を容れ原告の請求を棄却した第一審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかつた場合において、控訴審が、被告の相殺の抗弁について判断するまでもなく、訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すべきときは、不利益変更禁止の原則に従い、第一審判決を維持して、原告の控訴を棄却するにとどめなければならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年9月4日 昭和60(オ)1563
登載
集民 第148号417頁
参照法条
民法90条,民訴法199条2項,民訴法384条,民訴法385条,民訴法386条
論点12第384条民事訴訟法

第一審における民訴法一八七条三項違背と控訴理由

裁判要旨第一審の訴訟手続に民訴法一八七条三項違背があつても、控訴審は当然に第一審判決を取り消さなければならないものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年11月24日 昭和57(オ)1005
登載
集民 第140号473頁
参照法条
民訴法187条3項,民訴法384条
論点13第384条民事訴訟法

口頭弁論を経ないで控訴を棄却する判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否

裁判要旨訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを必要としない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年10月19日 昭和57(オ)541
登載
集民 第137号391頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
論点14第384条民事訴訟法

一、権利能力なき社団の資産たる不動産についての登記方法
二、権利能力なき社団の資産たる不動産につき登記簿上所有名義人となつていた代表者が交替した場合における新代表者の旧代表者に対する登記請求権

裁判要旨一、権利能力なき社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の受託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団を権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書を付した代表者個人名義の登記をすることは、許されないものと解すべきである。
二、権利能力なき社団の資産たる不動産につき、登記簿上所有名義人となつた代表者がその地位を失い、これに代わる新代表者が選任されたときは、新代表者は、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求めることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年6月2日 昭和45(オ)232
登載
民集 第26巻5号957頁
参照法条
民法43条,民法177条,民訴法46条,民訴法208条1項,民訴法211条,民訴法212条,民訴法384条,不動産登記法26条,不動産登記法36条,不動産登記法110条の3
論点15第384条民事訴訟法

控訴審において請求が減縮された場合と判決主文

裁判要旨第一審において原告の請求が全部認容されたが、その控訴審において請求が減縮された場合において、原告の請求を相当とし、被告の控訴を理由がないと判断するときは、実質的に債務名義として有効に存続する部分を明確にするため、控訴判決の主文において、控訴を棄却したうえ、第一審判決を訂正し、減縮後の原告の請求自体につき認容する判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年12月4日 昭和45(オ)625
登載
集民 第101号639頁
参照法条
民訴法182条,民訴法186条,民訴法237条,民訴法384条
論点16第384条民事訴訟法

原告勝訴の第一審判決に対する控訴審で予備的請求が追加された場合において予備的請求を認容するときの主文の判示方法

裁判要旨原告勝訴の第一審判決に対する控訴審で予備的請求が追加された場合において、控訴審が予備的請求を認容するときは、予備的請求に対する結論が第一次請求に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではなく、第一審判決を取り消し、第一次請求を棄却したうえ、予備的請求を認容する旨の裁判をすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年3月7日 昭和42(オ)829
登載
民集 第22巻3号529頁
参照法条
民訴法227条,民訴法232条,民訴法384条
論点17第384条民事訴訟法

控訴審において請求の一部が減縮された場合における控訴判決の主文

裁判要旨控訴審において請求の一部が減縮された場合に、残余の部分につき第一審判決を変更する理由がないときは、控訴棄却の判決をすれば足りるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年8月1日 昭和42(オ)343
登載
集民 第88号217頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条
論点18第384条民事訴訟法

控訴棄却の申立なしにその判決をすることと民訴法第一八六条

裁判要旨控訴裁判所は、審理の結果、控訴申立の理由がないと認めるときは、当然これを棄却しなければならないのであつて、このことは被控訴人による控訴棄却の申立を欠いた場合においても同じである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年7月29日 昭和40(オ)304
登載
集民 第79号973頁
参照法条
民訴法186条,民訴法377条,民訴法384条
論点19第384条民事訴訟法

一 全部勝訴の原告は控訴審で請求の拡張をなしうるか
二 控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法

裁判要旨一 第一審において全部勝訴の原告は、控訴審において、付帯控訴の方式により請求の拡張をすることができる。
二 控訴審において訴の変更による新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第一審としての裁判をすべきであり、新訴に対する結論が旧訴に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではない(昭和三二年二月二八日第一小法廷判決、民集一一巻二号三七四頁参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年3月6日 昭和36(オ)1262
登載
集民 第72号385頁
参照法条
民訴法232条,民訴法378条,民訴法372条,民訴法384条
論点20第384条民事訴訟法

山林の境界確定訴訟の係属中山林の所有権を譲り受けた者が第二審において第一審被告を相手方として境界確定について当事者参加をしたときと第二審の判決主文。

裁判要旨山林の境界確定訴訟の係属中山林の所有権を譲り受けた者が第二審において第一審被告を相手方として第一審判決主文と同旨の境界確定を求める旨当事者参加をした場合においても、第二審は、右山林の境界線が第一審判決の結論と同一の結論に達しても、控訴棄却の判決をすべきではなく、新請求としてあらたな判決をすべきであつて、もし、第二審判決が控訴棄却の主文を記載したときは、上告審は第二審判決を破棄して、自判をすることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年12月17日 昭和36(オ)906
登載
集民 第76号547頁
参照法条
民訴法73条,民訴法384条,民訴法408条1号
論点21第384条民事訴訟法

控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法。

裁判要旨控訴審で訴の変更があつた新請求を認容すべき旨を判示しながら、主文で控訴棄却の判示をするのは、民訴法第三八四条〈訴えに関する規定の準用〉の解釈を誤り、理由そごとなる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年5月31日 昭和37(オ)253
登載
集民 第66号275頁
参照法条
民訴法232条,民訴法236条,民訴法384条
論点22第384条民事訴訟法

一 原告主張の金額の債務の負担を認める旨の口頭弁論調書の記載からその弁済期の主張についても自白があつたものと解された事例
二 本案の上訴理由がないときの訴訟費用の裁判に対する不服申立

裁判要旨本案の裁判に対する上訴とともに訴訟費用の裁判に対し不服が申し立てられた場合においても、本案の裁判に対する上訴の理由がないときは、訴訟費用の裁判に対する不服の申立は許されない。(昭和二九年一月二八日第一小法廷判決、民集八巻一号三〇八頁参照)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年2月26日 昭和35(オ)8
登載
集民 第64号619頁
参照法条
民訴法257条,民訴法361条,民訴法384条,民訴法396条,民訴法414条
論点23第384条民事訴訟法

第二審における訴の追加的変更と主文。

裁判要旨第二審で訴の追加的変更がなされ、右請求が失当と判断される場合には、たまたま第一審判決と主文の文言を同じくするときでも、単に控訴棄却の判決をすべきでなく、右訴訟について請求棄却の判決をすべきである。(しかし、右の場合、第二審判決の理由中に右新請求が失当である旨説示され、控訴棄却の主文が掲げられているときには、右新請求に対しても判決がなされたものと解すべきである。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月27日 昭和37(オ)1343
登載
集民 第70号689頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条
論点24第384条民事訴訟法

一 控訴審において請求の一部が減縮された場合における控訴判決の主文
二 時機に後れた防禦方法として抗弁が却下された事例

裁判要旨控訴審において請求の一部が減縮された場合に、残余部分について第一審判決を変更する理由のないときには、控訴棄却の主文をもつて判決すべきである(昭和二四年一一月八日第三小法廷判決、民集三巻一一号四九五頁等参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月13日 昭和36(オ)978
登載
集民 第70号249頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条,民訴法139条
論点25第384条民事訴訟法

上告濫用に対する制裁金納付を命じた事例。

裁判要旨第一、二審ともに欠席し、答弁書その他の準備書面の提出もなく、敗訴した当事者の上告理由書の論旨が判示のごとく理由のない事案について、上告濫用に対する制裁金一万円が科せられた。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年7月17日 昭和37(オ)245
登載
集民 第61号665頁
参照法条
民訴法396条,民訴法384条ノ2
論点26第384条民事訴訟法

控訴審において訴の一部取下がなされた場合に残余の請求につき控訴棄却の判決がなされたときの効果

裁判要旨控訴審において訴の一部につき同意ある取下がなされた場合に、残余の請求につき控訴棄却の判決がなされたときには、右残余の請求のみにつき第一審判決を維持したものと解すべきである。(昭和二四年一一月八日第三小法廷判決参照)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年1月26日 昭和34(オ)579
登載
集民 第58号351頁
参照法条
民訴法232条1項,民訴法384条1項
論点27第384条民事訴訟法

控訴棄却の申立なしにその判決をすることと民訴法第一八六条。

裁判要旨控訴の申立がある以上控訴裁判所はその当否について判断し応答すべきものであつて、控訴棄却の申立はなくても、控訴の理由がないと認められるときは、その旨の裁判をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年2月24日 昭和32(オ)961
登載
民集 第15巻2号301頁
参照法条
民訴法186条,民訴法377条,民訴法384条
論点28第384条民事訴訟法

一 訴を不適法として却下する判決に対する上訴において上訴審が原判決を是認する場合になすべき判決。
二 農地買収、売渡処分の無効を前提とする土地所有権確認並びに登記抹消請求訴訟における県知事の被告適格。
三 農地の譲渡後、所有権移転登記の未経由の間に、譲渡人をその所有者として買収、売渡処分がなされた場合において、右譲渡人が買収、売渡処分の無効確認を求める法律上の利益を有しないとされた事例。

裁判要旨一 訴を不適法として却下する判決に対する上訴において、上訴審が原判決を是認する場合には、上訴棄却の判決をなすべきものである。
二 農地買収、売渡処分の無効を前提とする土地所有権確認並びに登記抹消請求訴訟においては、県知事は被告適格を有しない。
三 農地の譲渡後、所有権移転登記の未経由の間に、譲渡人をその所有者として買収処分がなされた場合において、譲受人が売渡手続にいて売渡の相手方となりこれを原因として所有権移転登記を経由したときは、譲渡人と譲受人との間の任意譲渡を原因とする所有権移転登記は未経由であつても、右譲渡人は、もはや、買収、売渡処分の無効確認を求める法律上の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年6月16日 昭和32(オ)672
登載
民集 第13巻6号718頁
参照法条
民訴法384条,民訴法396条,民訴法225条,行政事件訴訟特例法3条
論点29第384条民事訴訟法

一 控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法
二 訴の変更と旧訴

裁判要旨一 控訴審において訴の変更による新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第一審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではない。

二 訴の変更による新訴の提起があつても、旧訴につき適法な訴の取下または請求の放棄がない限り旧訴の係属は消滅しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年2月28日 昭和29(オ)444
登載
民集 第11巻2号374頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条,民訴法236条,民訴法203条
論点30第384条民事訴訟法

一 控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法
二 訴の変更について旧訴が取下の要件を具備しない場合の措置

裁判要旨一 控訴審において訴の変更により新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第一審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではない。
二 訴の変更において旧訴を撤回する旨の意思表示がなされても、旧訴につき民訴第二三六条〈相手方の指定ができない場合の取扱い〉の定める取下の要件を具備しない場合は、裁判所は、旧訴についても判決をすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年12月20日 昭和25(オ)128
登載
民集 第10巻12号1573頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条,民訴法236条,民訴法195条1項
論点31第384条民事訴訟法

本案の裁判に対する上訴と共になされた訴訟費用の裁判に対する不服申立の適否

裁判要旨本案の裁判に対する上訴と共に訴訟費用の裁判に対し不服が申立てられた場合においても、本案の裁判に対する上訴が理由のないときは、訴訟費用の裁判に対する不服の申立は許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年1月28日 昭和27(オ)734
登載
民集 第8巻1号308頁
参照法条
民訴法361条,民訴法384条(396条),民訴法384条(414条)
論点32第384条民事訴訟法

不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき口頭弁論を経ずに訴えを却下するか又は却下判決に対する控訴を棄却する場合における被告に対する訴状、控訴状又は判決正本の送達の要否

裁判要旨不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき、口頭弁論を経ずに、訴えを却下するか、又は却下判決に対する控訴を棄却する場合には、訴状において被告とされている者に対し訴状、控訴状又は判決正本を送達することを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年5月28日 平成7(行ツ)67
登載
集民 第179号95頁
参照法条
民訴法193条,民訴法202条,民訴法229条,民訴法371条,民訴法384条
論点33第385条民事訴訟法

選択的に併合されている甲、乙両請求につき甲請求の一部を認容しその余の請求を棄却した第一審判決に対し被告が控訴し原告が控訴、附帯控訴しなかつた場合において控訴審が第一審判決の右認容部分を取り消すべきであるとするときと乙請求についての判断の要否

裁判要旨選択的に併合されている甲、乙両請求につき、甲請求の一部を認容しその余の請求を棄却した第一審判決に対し、被告が控訴し、原告が控訴、附帯控訴しなかつた場合において、控訴審は、第一審判決の右認容部分を取り消すべきであるとするときには、乙請求につき審理判断すべきであり、乙請求を全部理由がないと判断すべきときにのみ、原告の請求を全部棄却しうると解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年4月14日 昭和57(オ)1023
登載
集民 第138号567頁
参照法条
民訴法227条,民訴法385条,民訴法386条
論点34第385条民事訴訟法

主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し第一審被告のみが控訴した場合と控訴審の審判の対象

裁判要旨主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し、第一審被告のみが控訴し、第一審原告が控訴も附帯控訴もしない場合には、主位的請求に対する第一審の判断の当否は、控訴審の審判の対象とはならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年3月22日 昭和57(オ)1068
登載
集民 第138号315頁
参照法条
民訴法385条
論点35第385条民事訴訟法

一 債権者代位訴訟の原告である債権者が被告である第三債務者の提出した抗弁に対し自己独自の事情に基づく再抗弁を提出することの可否
二 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し第一審被告のみが上告した場合と上告審における調査・判断の範囲

裁判要旨一 債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、被告である第三債務者が提出した抗弁に対し、原告の提出することのできる再抗弁事由は債務者自身が主張することのできるものに限られ、原告独自の事情に基づく再抗弁を提出することはできない。
二 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した控訴審判決に対し、第一審被告のみが上告し、第一審原告は上告も附帯上告もしない場合には、主位的請求に対する原審の判断の適否は上告審の調査の対象とならず、第一審被告の上告に理由があるときは、上告審は、原判決中予備的請求に関する部分のみを破棄すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年3月16日 昭和51(オ)49
登載
民集 第33巻2号270頁
参照法条
民法423条,民訴法385条,民訴法396条,民訴法402条,民訴法405条
論点36第385条民事訴訟法

一、現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分の法的性質
二、不当労働行為に該当する現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項〈和解の試み等〉所定の処分の効力
三、現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分につき裁判による取消を求める方法
四、上告審が下級審の訴却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差戻すことなく上告を棄却した事例

裁判要旨一、現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項所定の処分は、抗告訴訟の対象となる行政処分である。
二、不当労働行為該当の瑕疵を有する現業国家公務員に対する国家公務員法八九条一項〈和解の試み等〉所定の処分は、違法ではあるが、右瑕疵が重大かつ明白でないかぎり、当然無効ではない。
三、国家公務員法八九条一項所定の処分を受けた現業国家公務員は、直ちに右処分に対する取消訴訟を提起することができるが、右訴訟において不当労働行為該当の瑕疵以外の瑕疵を争うについては、審査請求に対する人事院の裁決を経由することを要する。
四、(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年9月2日 昭和43(行ツ)44
登載
集民 第112号517頁
参照法条
行政事件訴訟法3条2項,国家公務員法89条1項,国家公務員法92条の2,公共企業体等労働関係法40条1項1号,公共企業体等労働関係法40条3項,労働組合法7条,民訴法385条,民訴法388条,民訴法396条
論点37第385条民事訴訟法

当事者参加訴訟の一審判決に対し一入が控訴した場合における他の二者間の請求と控訴審の審判

裁判要旨原告甲の被告乙に対する請求ならびに参加入丙の甲および乙に対する各請求が合一にのみ確定すべき当事者参加訴訟において、甲の乙に対する請求を棄却し、丙の甲および乙に対する請求をそれぞれ一部認容する旨の一審判決に対し、甲が、その敗訴部分の取消、甲の乙に対する請求認容および丙の甲に対する請求中一審認容部分の棄却を求めて控訴したにとどまり、乙が控訴または附帯控訴をしない場合であつても、控訴審は合一確定に必要な限度で、一審判決中丙の乙に対する請求を認容した部分を丙に不利に変更することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年7月20日 昭和44(オ)316
登載
民集 第27巻7号863頁
参照法条
民訴法62条,民訴法71条,民訴法186条,民訴法377条1項,民訴法385条
論点38第385条民事訴訟法

控訴審においてした請求の拡張を実質的には附帯控訴であるとして右拡張部分を認容しても不利益変更にならないとされた事例。

裁判要旨控訴審においてした請求の拡張が、その実質において附帯控訴と認めうるものであり、それに対して相手方が異議を述べず、その方式も民訴法第三七四条、第三六七条に反する点が認められない場合には、右拡張部分を認容しても、不利益変更の原則に違反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年1月28日 昭和36(オ)436
登載
集民 第71号401頁
参照法条
民訴法372条,民訴法374条,民訴法367条,民訴法385条
論点39第385条民事訴訟法

境界確定訴訟の控訴審と不利益変更禁止の原則。

裁判要旨境界確定訴訟の控訴裁判所は、第一審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第一審判決を変更して、正当と判断する線を境界と定めるべきのものであり、その結果が実際上控訴人にとり不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であつても、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月15日 昭和37(オ)938
登載
民集 第17巻9号1220頁
参照法条
民訴法385条
論点40第385条民事訴訟法

控訴審における判決理由の変更と民訴法第三八五条

裁判要旨売買代金の支払を求める訴において、被告がまず売買契約を否認し、予備的に代金支払ずみの主張をした場合において、第一審が被告の右第一次の主張を排斥し、予備的主張を採用して被告勝訴の判決をした場合、これに対する原告の控訴の申立に基づき、第二審が第一審で排斥された第一次の主張を採用して控訴棄却の判決をしても、原審が原告主張の債権の有無について審判したことには変りはないから、原審が原告の控訴しない事項について、第一審判決を変更したものということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年3月13日 昭和34(オ)23
登載
集民 第59号129頁
参照法条
民訴法377条,民訴法385条
論点41第385条民事訴訟法

一 売買代金支払のため振り出された小切手の呈示期間経過後に支払銀行に対してなされた小切手金の払込と弁済の効力
二 判決の基本たる口頭弁論に臨席しない裁判官の判決関与と不服申立なき部分の破棄

裁判要旨一 売買当事者間に特段の契約があるか又は特段の慣習が存在しないかぎり、売買代金支払のため振り出された小切手の呈示期間経過後に買主が自己の取引銀行(支払銀行)の口座に小切手資金の払込をしただけでは、代金支払の効果を発生しない。
二 判決の基本たる口頭弁論に臨席しない判事が関与した判決の一部につき上告のなされた場合、上告裁判所は、不服申立のない部分についても破棄すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年9月15日 昭和24(オ)33
登載
民集 第4巻9号395頁
参照法条
民法484条,民訴法187条1項,民訴法395条1項1号,民訴法396条,民訴法385条
論点42第385条民事訴訟法

一 数個の攻撃方法と請求の個数。
二 控訴審における判決理由の変更と民訴第三八五条〈申立ての却下〉。

裁判要旨一 所有権転移登記の抹消を請求する訴訟において破産管財人たる原告がその理由として、第一次に右登記の原因たる売買の虚偽仮装であることを主張し、第二次に予備的主張として、右売買につき破産法上の否認権を行使すると主張した場合においては、請求を理由あらしめる攻撃方法が二個あるだけで、請求としては、登記抹消の一個の請求があるだけである。
二 破産管財人たる原告が、その理由として、第一次に所有権転移登記の原因たる売買の虚偽仮装であることを主張し、第二次に予備的主張として右売買につき破産法上の否認権を行使すると主張する所有権転移登記の抹消を請求する訴訟において、第一審が原告の第一次の主張を排斥し、第二次の主張だけを採用して原告勝訴の判決をした場合、これに対する被告の控訴の申立に基き、第二審が、前記第一審で排斥された第一次の主張を採用して控訴棄却の判決をしても、民訴第三八五条〈申立ての却下〉に違反するものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和23年10月12日 昭和23(オ)22
登載
民集 第2巻11号365頁
参照法条
民訴法227条,民訴法385条
論点43第385条民事訴訟法

離婚訴訟における財産分与の裁判と不利益変更禁止の原則

裁判要旨離婚訴訟において、財産分与を命じた判決に対して控訴の申立てがされた場合、財産分与に関する裁判については、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成2年7月20日 平成2(オ)695
登載
民集 第44巻5号975頁
参照法条
民法768条,民訴法385条,人事訴訟手続法15条1項ないし3項
論点44第386条民事訴訟法

民訴法四四八条に基づいて口頭弁論が終結された場合に同法四四七条二項の書面を被告に送達することなく判決が言い渡されたときとその効果

裁判要旨手形訴訟が被告不出頭の期日に通常の手続に移行され、民訴法四四八条に基づき同法四四七条二項の書面を被告に事前に送達せずに口頭弁論が終結された場合において、右書面がその後も被告に送達されないまま判決が言い渡されても、そのことは控訴裁判所が右判決を取り消すべき理由とならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年5月1日 昭和52(オ)838
登載
集民 第124号13頁
参照法条
民訴法386条,民訴法447条2項,民訴法448条
論点45第386条民事訴訟法

控訴審においていわゆる訴の交換的変更がなされた場合と第一審判決取消の適否

裁判要旨控訴審において訴を変更し、旧訴を取り下げた場合、判決主文において、旧訴を棄却した第一審判決取消の宣言をすることは違法ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年8月2日 昭和40(オ)234
登載
集民 第80号41頁
参照法条
民訴法232条,民訴法386条
論点46第386条民事訴訟法

一 控訴審で請求併合の態様が変更されたため認容の請求に変更を生じた場合と第一審判決取消の要否。
二 損害賠償額の予定の特約を記載して振り出された約束手形における右特約の効力。

裁判要旨一 第一審では甲乙両請求が選択的に併合されたため甲請求のみが認容されたが、控訴審では乙請求を第一次的請求、甲請求を予備的請求とすることに併合の態様が変更されたため乙請求のみを認容する場合には、甲請求を認容した第一審判決は、当然に失効するものと解すべきであるから、これを取り消すことを要しない。
二 損害賠償額の予定の特約を記載して振り出された約束手形においては、右特約は、振出人と受取人との間において、民法上の効力を生ずるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年4月7日 昭和37(オ)1148
登載
民集 第18巻4号520頁
参照法条
民訴法227条,民訴法232条,民訴法386条,手形法75条,民法420条
論点47第387条民事訴訟法

言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡と民訴法三八七条にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」

裁判要旨言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡は、民訴法三八七条〈電子支払督促の記録事項〉にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月15日 昭和62(オ)1076
登載
集民 第153号561頁
参照法条
民訴法152条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法396条
論点48第387条民事訴訟法

判決言渡期日の告知及び呼出状の送達を欠いたままされた判決言渡しと上告理由

裁判要旨期日外で判決言渡期日を指定しながら、当事者に対する右期日の告知及び呼出状の送達を欠いたままされた判決の言渡しは、違法ではあるが、右違法は、判決に影響を及ぼさないかぎり上告理由にならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月24日 昭和50(オ)486
登載
集民 第116号375頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法394条,民訴法396条
論点49第387条民事訴訟法

確定判決の弁論手続が民訴法一四三条に違反する場合と判決の絶対無効

裁判要旨確定判決の弁論手続に民訴法一四三条違反の違法があることを理由として、他の訴訟において、当該判決の無効を主張することは、許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年2月14日 昭和48(オ)552
登載
集民 第111号163頁
参照法条
民訴法143条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法394条,民訴法395条,民訴法420条
論点50第387条民事訴訟法

下級裁判所の裁判事務分配の定めに違背してされた判決言渡手続の効力

裁判要旨裁判官が下級裁判所の裁判事務分配の定めの上ではその担当とされていない判決言渡手続を行つたとしても、そのことから直ちに右手続が裁判権がなくされ、あるいは訴訟法に違反して無効であるということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年11月29日 昭和49(オ)347
登載
集民 第113号339頁
参照法条
下級裁判所事務処理規則6条,民訴法387条
論点51第387条民事訴訟法

転補後に署名捺印された単独判決と判決手続の適法性

裁判要旨一人の裁判官により審理されていた事件の判決原本の署名捺印が当該裁判官転補後に行なわれたときは、その判決手続は違法となる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月26日 昭和47(オ)1089
登載
集民 第109号225頁
参照法条
裁判所法47条,民訴法191条3項,民訴法387条
論点52第387条民事訴訟法

言渡期日を当事者に告知することなく言渡した第一審判決を第二審において取消す場合と差戻の要否

裁判要旨言渡期日を当事者に告知することなく言渡した第一審判決を、第二審において、判決手続に違法があるとの理由で取消す場合は、第一審裁判所に差戻すことなく、自判することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年11月29日 昭和45(オ)189
登載
集民 第110号567頁
参照法条
民訴法387条,民訴法389条
論点53第387条民事訴訟法

民訴法第三八七条〈電子支払督促の記録事項〉の法意

裁判要旨民訴法第三八七条〈電子支払督促の記録事項〉は、判決の成立手続が違法な場合を規定しているのであつて、判決内容が弁論主義に違背している場合には適用されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年6月17日 昭和40(オ)481
登載
集民 第83号833頁
参照法条
民訴法387条
論点54第387条民事訴訟法

判決原本に言渡前他へ転補された裁判官の署名捺印がある場合と民訴第一九一条第三項〈公務員の尋問〉

裁判要旨最終口頭弁論に関与した裁判官が、判決言渡期日前他へ転補された場合において、判決原本に同裁判官の署名捺印があるときは、右原本は反証がない限り、右裁判官が転補の辞令を受領した日までに作成されたものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年12月1日 昭和24(オ)154
登載
民集 第4巻12号651頁
参照法条
民訴法191条3項,民訴法387条
論点55第387条民事訴訟法

一 調書に判決言渡期日の記載がないときと判決言渡の証明
二 上告理由書で調書の瑕疵が指摘された後に作成された更正調書の証明力

裁判要旨一 判決言渡期日の調書に言渡年月日時刻の記載がないときは、判決が適法に言い渡されたことを証明することができない。
二 判決言渡期日の調書に言渡年月日時刻の記載がないことを上告理由書で指摘された後に右年月日時刻を記載して作成された更正調書によっては、判決が適法に言い渡されたことを証明することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年10月15日 平成1(オ)375
登載
集民 第163号355頁
参照法条
民訴法142条,民訴法143条1項,民訴法147条,民訴法387条,民訴法396条
論点56第388条民事訴訟法

一 土地区画整理組合の設立認可と抗告訴訟の対象
二 土地区画整理組合の事業の施行地区内の宅地の所有者と当該組合設立認可処分の無効確認訴訟の原告適格
三 上告審が下級審の訴え却下の判断を違法であると認めたにもかかわらず事件を下級審に差し戻すことなく上告を棄却した事例
四 土地区画整理法九八条一項〈職権送達の原則等〉前段にいう「工事のため必要がある場合」にされる換地予定地的仮換地指定処分と換地計画の要否

裁判要旨一 土地区画整理組合の設立認可は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
二 土地区画整理組合の事業施行地区内の宅地の所有者は、右事業施行に伴う処分を受けるおそれのあるときは、同組合の設立認可処分の無効確認訴訟につき原告適格を有する。
三 甲が、乙を被告とする丙土地区画整理組合の設立認可処分の無効確認請求と同組合を被告とする仮換地指定処分の無効確認請求(第二次的にその取消請求)とを併合請求し、後者の処分の違法無効事由として丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由をも主張している訴訟において、前者の請求については一、二審判決とも訴えを不適法として却下すべきものとし、後者の請求については、一審が第一次請求を認容したのに対し、原審は第一次、第二次請求とも棄却すべきものとしたため、原判決に対し甲のみが上告したものであるところ、丙組合の設立の無効ないし設立認可処分の無効事由等の有無については、一審以来重要な争点として、当事者双方の主張、立証が十分に尽くされているなど判示のような事情がある場合に、上告審において、前者の訴えを却下すべきものとした原審の判断は違法であるが、後者の請求についてした原審の認定判断が是認でき、その確定した事実関係によれば前者の訴えによる請求は理由がないと判断したときは、右訴えについて、原判決を破棄し、一審判決を取り消したうえ、事件を一審裁判所に差し戻すことは必要でなく、その請求の当否について直ちに判断することが許される。
四 土地区画整理法九八条一項〈職権送達の原則等〉前段にいう「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」にされる仮換地指定処分は、換地予定地的なものであつても、換地計画に基づくことを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年12月17日 昭和57(行ツ)128
登載
民集 第39巻8号頁
参照法条
土地区画整理法3条2項,土地区画整理法14条,土地区画整理法21条1項,土地区画整理法21条4項,土地区画整理法25条1項,土地区画整理法98条1項前段,行政事件訴訟法3条2項,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法36条,民訴法388条,民訴法396条
論点57第388条民事訴訟法

訴えの利益を欠くという理由で請求を棄却した第一審判決を取り消す場合であつても控訴審が事件を第一審裁判所に差し戻すことなく自ら直接右請求の当否について判断したことに違法があるとするにはあたらないとされた事例

裁判要旨訴えの利益を欠くという理由で請求を棄却した第一審判決を取り消す場合であつても、第一審裁判所で実体的審理が尽くされ、かつ、争点を同じくする併合事件との関連で右請求についても実体判断が示されているとみられるときには、控訴審が事件を第一審裁判所に差し戻すことなく自ら直接右請求の当否について判断したとしても、違法とするにはあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月31日 昭和57(オ)1394
登載
集民 第138号449頁
参照法条
民訴法388条
論点58第388条民事訴訟法

一、会社の訴訟上の代表者の確定と民法一〇九条、商法二六二条の適用の有無
二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合の措置

裁判要旨一、民法一〇九条、商法二六二条は、会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。
二、控訴裁判所が被告会社代表者の代表権限の欠缺を看過してなされた第一審判決を取り消す場合には、原告に対し訴状の補正を命じさせるため、事件を第一審裁判所に差し戻すべきであり、ただちに訴を不適法として却下すべきではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 昭和45(オ)112
登載
民集 第24巻13号2072頁
参照法条
民訴法58条,民訴法45条,民訴法388条,民訴法389条,民法109条,商法262条
論点59第388条民事訴訟法

原判決に必要的差戻しの規定違背の違法があるにかかわらず事件を第一審裁判所でなく原審裁判所に差し戻した事例

裁判要旨農地の買収処分無効確認の訴と所有権移転登記抹消登記手続請求の訴との併合訴訟において、前者の訴につき、第一審が取得時効の完成を認めて訴を不適法として却下したのに対し、原審が時効の完成を否定し第一審判決を取り消して、請求を認容したのは、民訴法第三八八条〈電子支払督促の送達〉の必要的差戻しの規定に違背するものというべきであるが、後者の訴についての原審の判断にも、審理不尽、理由不備の違法があり、差戻しを受けた原審としては、従来の判例に従うかぎり、後者の訴の再審理の結果、前者の訴については、本案の判断をする必要がなく、第一審判決を支持すべき場合もありうるときは、上告審は、同条の規定にかかわらず、前者の訴に関する事件を第一審裁判所でなく原審裁判所に差し戻すのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年3月31日 昭和40(行ツ)111
登載
民集 第21巻2号516頁
参照法条
民訴法388条,民訴法407条
論点60第388条民事訴訟法

一 訴訟判決に対する上訴と民事訴訟用印紙法第五条〈財産権上の訴え等についての管轄〉
二 民事訴訟用印紙法第五条の合憲性

裁判要旨一 民事訴訟用印紙法第五条〈財産権上の訴え等についての管轄〉は、原裁判が実体判決であると訴訟判決であるとにかかわりなく、その上訴状について、適用があるものと解すべきである。
二 訴訟判決に対する上訴審において請求の当否に関する審判をしないからといつて、前項の民事訴訟用印紙法第五条の規定をもつて憲法に違反するものとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月19日 昭和39(オ)1137
登載
集民 第83号225頁
参照法条
民事訴訟用印紙法5条,民訴法388条,憲法81条
論点61第388条民事訴訟法

訴を不適法として却下した第一審判決が仮定的に本案について認定判断をも示している場合と民訴法第三八八条〈電子支払督促の送達〉の適用

裁判要旨第一審判決が確認の利益のないことをもつて訴を不適法として却下したが、仮定的に本案について認定判断をも判示している場合において、控訴審が確認の利益があり訴は適法であるけれども請求は理由がないと判断するときには、控訴審として、民訴法第三八八条〈電子支払督促の送達〉により事件を第一審に差し戻さなくてもよい。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和36(オ)629
登載
集民 第58号695頁
参照法条
民訴法388条
論点62第388条民事訴訟法

確認の利益を欠くという理由で訴を却下した判決は民訴第三八八条〈電子支払督促の送達〉にいう「訴ヲ不適法トシテ却下シタル」判決にあたるか。

裁判要旨確認の利益を欠くという理由で訴を却下した判決は、民訴第三八八条〈電子支払督促の送達〉にいう「訴ヲ不適法トシテ却下シタル」判決にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年12月25日 昭和35(オ)123
登載
民集 第16巻12号2465頁
参照法条
民訴法388条
論点63第388条民事訴訟法

一 控訴審における破棄差戻判決の拘束力
二 自作農創設特別措置法第四七条の二第一項にいう「処分のあつたことを知つた日」の意義
三 農地買収令書交付前に提起された農地買収処分取消訴訟の係属中に買収令書が交付された場合と右訴訟の適否

裁判要旨一 控訴審における破棄差戻判決に対し上訴が提起されず、右判決が確定したときは、破棄の理由となつた法律上、事実上の判断と異なる主張を上告理由とすることは許されない。
二 自作農創設特別措置法第四七条の二第一項にいう「処分のあつたことを知つた日」とは、処分が効力を発生したことを前提として右処分の存在を知つた日と解すべきである。
三 農地買収令書交付前に提起された農地買収処分取消訴訟の係属中に買収令書が交付されるに至つた場合には、爾後、右訴訟は違法となる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年9月2日 昭和28(オ)817
登載
民集 第9巻10号1197頁
参照法条
民訴法388条,民訴法407条,裁判所法4条,自作農創設特別措置法47条の2,自作農創設特別措置法9条,行政事件訴訟特例法5条,行政事件訴訟特例法1条
論点64第388条民事訴訟法

地方裁判所が高等裁判所の管轄に属する訴を管轄以外の理由で不適法として却下した判決とこれに対する控訴が高等裁判所に提起された場合における同裁判所の裁判

裁判要旨地方裁判所が高等裁判所の管轄に属する訴を異議、訴願を経ないとの理由で不適法として却下し、その判決に対して高等裁判所に控訴が提起された場合において、同裁判所は右判決を取り消し地方裁判所に差し戻さず直ちに同一の理由で訴を却下して差支えない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年2月20日 昭和25(オ)314
登載
民集 第5巻3号94頁
参照法条
地方自治法(昭和25年法律101号、同143号による改正前のもの)66条1項,地方自治法(昭和25年法律101号、同143号による改正前のもの)66条4項,民訴法388条
論点65第388条民事訴訟法

上告審が原審の訴え却下の判断を違法であるとしたにもかかわらず事件を原審に差し戻すことなく本案につき自判した事例

裁判要旨境界確定の訴えを不適法として却下した原判決が違法であるとして上告審がこれを破棄する場合において、当該境界の所在が重要な争点である所有権確認の訴えも一審以来併合して審理され、右境界の所在につき当事者双方の主張、立証が尽くされ、原審が右境界を原告主張線であると認定して所有権確認請求を認容したなど判示のような事情があるときは、上告審は、事件を原審に差し戻すことなく、右境界は原告主張線であるとして自判することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年3月30日 平成1(オ)239
登載
集民 第168号517頁
参照法条
民訴法388条,民訴法408条1号
論点66第388条民事訴訟法

訴え却下の判決に対する控訴審において訴えの変更が許されるとされた事例

裁判要旨養子に協議離縁の意思及び届出の意思がなかったことを理由とする養親子関係存在確認の訴えを不適法として却下した判決に対する控訴審の第一回口頭弁論期日において、第一審口頭弁論期日に訴えの変更をしない旨の陳述をしていた控訴人(原告)から予備的に離縁無効確認の訴えを追加する旨の訴え変更の申立てがされた場合に、第一審裁判所が協議離縁の意思及び届出の意思についての当事者双方の申請に係る証拠のすべてを取り調べて本件の事実関係についての審理を遂げており、相手方が右訴え変更の申立てについて異議を述べることをしなかったなどの事情が認められ、相手方の有する審級の利益を害することがなく、訴訟手続を遅滞させるおそれもないときには、右訴え変更の申立ては許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年12月2日 平成3(オ)1249
登載
集民 第170号693頁
参照法条
民訴法232条,民訴法378条,民訴法388条
論点67第389条民事訴訟法

一 執行文付与に対する異議の訴における事実審の口頭弁論終結時までに生じていた請求に関する異議事由を後訴である請求に関する異議の訴において主張することの許否
二 民訴法三八九条一項〈支払督促の更正〉による差戻しの基準

裁判要旨一 執行文付与に対する異議の訴における事実審の口頭弁論終結時までに生じていた請求に関する異議事由を後訴である請求に関する異議の訴において主張することは許される。
二 民訴法三八九条一項〈支払督促の更正〉により事件を第一審に差戻すか否かは、原則として、控訴裁判所の裁量に委ねられる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年12月9日 昭和52(オ)633
登載
集民 第131号205頁
参照法条
民訴法389条,民訴法545条,民訴法546条
論点68第389条民事訴訟法

上告理由として他事件についての上告理由書の記載を引用することの適否

裁判要旨上告理由は、上告理由書自体に記載すべきであつて、他事件についての上告理由書の記載を引用することは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年6月29日 昭和25(オ)38
登載
民集 第5巻7号396頁
参照法条
民訴法389条
論点69第391条民事訴訟法

一、控訴審判決の主文において物件を表示するにつき第一審判決に掲げる物件の表示を引用することの可否
二、賃借権存在確認の訴において、賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することの要否

裁判要旨一、控訴審判決の主文において物件を表示するにつき第一審判決に掲げる物件の表示を引用することは許される。
二、賃借権存在確認の訴において、原告が確定を求めていない賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することは必要でない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年9月11日 昭和44(オ)500
登載
集民 第96号539頁
参照法条
民訴法391条,民訴法186条,民法601条
論点70第391条民事訴訟法

控訴棄却の申立のないのにその旨を二審判決に記載した違法とその効果。

裁判要旨被控訴人が控訴棄却の申立をしていないのに、控訴審判決が控訴棄却の申立のある旨を記載するのは違法であるが、このような違法は二審判決に影響を及ぼすものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月5日 昭和39(オ)1162
登載
集民 第78号75頁
参照法条
民訴法362条,民訴法391条,民訴法394条
論点71第391条民事訴訟法

控訴審判決主文における第一審判決引用の可否。

裁判要旨控訴審判決主文において物件を表示するにつき、第一審判決に掲げる物件の表示を引用することは差し支えない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月26日 昭和37(オ)254
登載
民集 第18巻4号654頁
参照法条
民訴法391条,民訴法191条1項
論点72第391条民事訴訟法

民訴法第三九一条〈仮執行の宣言〉にいわゆる「引用」の趣旨

裁判要旨民訴第三九一条〈仮執行の宣言〉にいわゆる「第一審判決理由の引用」とは、原判決の記載そのままを引用することを要するの謂ではなく、これに附加し、訂正し、あるいは削除を施した上で引用することを妨げない趣旨である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月8日 昭和36(オ)1351
登載
集民 第59号89頁
参照法条
民訴法391条
論点73第392条民事訴訟法

一、上級裁判所の裁判所書記官が執行文付与の権限を失う時期
二、裁判所書記官の執行文付与権限の喪失と執行文付与拒絶処分に対する異議申立の適否

裁判要旨一、上級裁判所の裁判所書記官は、同裁判所において訴訟が完結し、その訴訟記録を他の裁判所に送付する手続を完了した時に、執行文付与の権限を失う。
二、執行文付与拒絶処分に対する異議申立は、その拒絶処分をした裁判所の裁判所書記官が執行文付与の権限を失つた後においては、申立の利益を欠き、不適法として却下を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年7月4日 昭和41(マ)104
登載
民集 第23巻8号1366頁
参照法条
民訴法516条2項,民訴法396条,民訴法392条,民訴法206条
論点74第392条民事訴訟法

上訴記録に判決原本を添付する要否

裁判要旨上告の提起あるときは、訴訟記録に判決正本を添付して上告審に送付すべきものであつて、判決原本の添付のないことは違法とならない。(昭和二五年一月二六日第一小法廷判決、民集四巻一号一一頁参照)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年7月29日 昭和40(オ)434
登載
集民 第79号977頁
参照法条
民訴法396条,民訴法392条
論点75第392条民事訴訟法

上訴記録に判決原本を添附することの要否

裁判要旨第一審判決の原本は訴訟記録に添附して控訴審に送付すべきものであるが、控訴審の判決原本は、上告の有無にかゝわらず常にその庁に保存し、上告の提起あるときは、訴訟記録に判決の正本を添附して上告審に送付し、訴訟記録は、訴訟完結後第二審裁判所を経由せずに、直接第一審裁判所に返還すべきものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和25年1月26日 昭和24(オ)74
登載
民集 第4巻1号11頁
参照法条
民訴法392条
論点76第393条民事訴訟法

離婚請求を認容した判決のうち親権者指定に関する部分のみについてされた上告の適法性

裁判要旨離婚請求を認容した判決のうち親権者指定に関する部分のみについてされた上告も適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和61年1月21日 昭和60(オ)1076
登載
集民 第147号1頁
参照法条
人事訴訟手続法15条,民訴法393条1項
論点77第393条民事訴訟法

控訴審において全部勝訴の判決を得た当事者と附帯上告の許否

裁判要旨控訴審において全部勝訴の判決を得た当事者は、第一審において自己の請求の一部を棄却され、控訴審において右敗訴部分に対する控訴も附帯控訴も提起しなかつた場合に右敗訴部分の、認容を求めるためにするときであつても、附帯上告を提起することは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年11月16日 昭和54(オ)578
登載
集民 第128号123頁
参照法条
民訴法372条,民訴法393条,民訴法396条
論点78第393条民事訴訟法

仮処分に関し地方裁判所が第二審としてなした決定に対する再抗告の許否

裁判要旨簡易裁判所の仮処分申請却下決定に対する抗告につき地方裁判所がした抗告棄却の決定に対しては、再抗告は許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年4月24日 昭和50(ク)71
登載
集民 第114号561頁
参照法条
民訴法393条3項,民訴法413条,民訴法414条,民訴法419条ノ2
論点79第393条民事訴訟法

控訴審の終局判決言渡後判決正本の送達前における訴訟当事者の死亡による訴訟手続の中断と受継決定のみの破棄を求める新当事者の上告の適否

裁判要旨控訴審の終局判決言渡後判決正本の送達前に訴訟当事者が死亡したため訴訟手続が中断した場合において、相手方当事者の受継の申立に基づき、新当事者に対し訴訟手続を受継すべきことを命ずる決定があつたときは、右受継決定に不服のある新当事者は、終局判決に対する上告をもつて適法に右受継決定のみの破棄を求めることができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年3月23日 昭和46(オ)748
登載
民集 第27巻2号365頁
参照法条
民訴法208条,民訴法218条,民訴法362条,民訴法393条
論点80第393条民事訴訟法

一、取消差戻の控訴審判決を得た控訴人と上告の利益の有無
二、議決権行使の代理資格を株主に制限した定款の定めと議決権行使許容の仮処分の効力
三、当事者一方の請求に対して訴却下または請求棄却の判決を求めるのみの独立当事者参加の申出の適否

裁判要旨一、第一審判決を取り消し、事件を第一審に差し戻す旨の控訴審判決があつた場合においては、控訴人は、取消の理由となつた右判決の判断の違法をいうときにかぎり、右判決に対して上告の利益を有する。
二、定款により株主総会における議決権行使の代理資格を株主に制限している株式会社において、株主名簿上の株主でない甲に乙名義株式の議決権行使を許容した仮処分がされても、右仮処分は、甲に乙以外の株主の議決権を代理行使する資格を与えるものではない。
三、独立当事者参加の申出は、参加人が当該訴訟において裁判を受けるべき請求を提出しなければならず、単に当事者一方の請求に対して訴却下または請求棄却の判決を求めるのみの参加の申出は許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年1月22日 昭和42(オ)867
登載
民集 第24巻1号1頁
参照法条
民訴法71条,民訴法393条,民訴法760条,裁判所法4条,商法239条
論点81第393条民事訴訟法

控訴審たる地方裁判所が訴の変更により追加提起された新請求につきした判決と不服申立の種類

裁判要旨事件が控訴審たる地方裁判所に係属中、訴の変更により新請求が追加提起された場合において、同裁判所が新訴に対してする判断は実質上初審としてするものではあるが、第二審としてした判断であり、したがつて、これに対し高等裁判所にする不服申立は上告であつて控訴ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年9月26日 昭和44(テ)23
登載
集民 第96号651頁
参照法条
民訴法360条,民訴法393条1項
論点82第393条民事訴訟法

地方裁判所がした判決に対する再審事件の終局判決について高等裁判所にする上訴の種類

裁判要旨地方裁判所が控訴審としてした判決に対する再審事件の終局判決に対して高等裁判所にする上訴は、上告と解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年7月21日 昭和42(オ)163
登載
民集 第21巻6号1663頁
参照法条
民訴法423条,民訴法393条1項
論点83第393条民事訴訟法

高等裁判所のした控訴却下判決が上告審としての裁判と解された事例

裁判要旨地方裁判所が控訴審としてした判決に対する再審事件の判決に対し高等裁判所に提起された控訴を不適法として却下した原判決は、その主文および理由を総合すると、上告審としての裁判と解されるから、これに対しては、民訴法第四〇九条ノ二の特別上告のみが許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月22日 昭和38(オ)315
登載
集民 第85号779頁
参照法条
民訴法393条1項,民訴法409条ノ2,民訴法1項,民訴法423条
論点84第393条民事訴訟法

当事者に有利な事項についての上告の利益。

裁判要旨当事者が真正に成立したものとして提出した書証の一部の成立を相手方が争つた場合、原審がその成立に争いがないものとして判断の資料に供しても、当該当事者がその違法を主張して上告する利益はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年11月24日 昭和38(オ)473
登載
集民 第76号261頁
参照法条
民訴法393条
論点85第393条民事訴訟法

上告の利益がないとされた事例。

裁判要旨被上告人に引換給付を命じた理由の不当を主張して原判決を非難することは、上告人にとつて利益がなく、上告理由となし難い。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年8月30日 昭和37(オ)1432
登載
集民 第67号369頁
参照法条
民訴法393条,民訴法394条
論点86第393条民事訴訟法

地方裁判所が控訴審としてなした判決に対する再審と右再審事件の判決に対する上訴。

裁判要旨地方裁判所が控訴審としてなした判決に対する再審事件について、同地方裁判所が言い渡す判決は控訴審たる資格でなすものであるから、右再審事件の終局判決に対する上訴としては、高等裁判所に対する上告のみが許される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月27日 昭和38(オ)400
登載
集民 第70号707頁
参照法条
民訴法423条,民訴法393条1項
論点87第393条民事訴訟法

当事者参加許否の裁判のないうちに被参加訴訟の本案判決がなされたことの違法は本来の当事者の上告理由になりうるか。

裁判要旨当事者参加許否の裁判のないうちに被参加訴訟の本案判決がなされたことの違法を主張して、本来の当事者が上告申立をしても、右違法の主張は、上告理由とならない(昭和三五年(オ)第二一三号同三七年五月二九日第三小法廷判決、民集一六巻五号一二三三頁参照)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月1日 昭和35(オ)775
登載
集民 第68号15頁
参照法条
民訴法71条,民訴法62条,民訴法393条
論点88第393条民事訴訟法

当事者参加不許の裁判未確定のうちになされた被参加訴訟の本案判決に対する上告申立の適否

裁判要旨原審が民訴第七一条〈訴訟費用額の確定手続〉の当事者参加を許さずとする裁判の確定を待たずに本来の対立当事者間の訴訟につき本案判決をなしたことを違法とする主張は、右本案判決における当事者の上告適法の理由とならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年5月29日 昭和35(オ)213
登載
民集 第16巻5号1233頁
参照法条
民訴法71条,民訴法62条,民訴法393条
論点89第393条民事訴訟法

勝訴の当事者と上告の利益

裁判要旨勝訴の当事者は上告の利益を欠き、上告は不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年4月12日 昭和35(オ)76
登載
集民 第60号153頁
参照法条
民訴法393条
論点90第393条民事訴訟法

民訴法第三九三条第三項〈仮執行の宣言後の督促異議〉等の合憲性

裁判要旨仮差押又は仮処分に関する判決に対し通常の上告を許さない旨定めた民訴法の規定は、憲法第三二条に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年11月17日 昭和35(テ)13
登載
民集 第15巻10号2502頁
参照法条
憲法32条,民訴法393条3項,民訴法409条ノ2第2項
論点91第393条民事訴訟法

民訴法第七四四条の異議ではなく同法第七四八条第五四九条の異議と認められた事例

裁判要旨第三者の提起した訴状に請求の趣旨として「仮差押命令に基く債務者名義の某預金債権の仮差押を許さない」と記載されている場合でも、請求の原因において、右預金債権はその名義にかかわらず自己に属する旨主張し、仮差押命令の当否を問題としていないことが看取できるときは、原告は、民訴第七四四条により仮差押命令の取消を求めているのではなく、同法第七四八条、第五四九条により仮差押の執行不許の宣言を求めているものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年9月12日 昭和30(オ)841
登載
民集 第11巻9号1494頁
参照法条
民訴法744条,民訴法748条,民訴法549条,民訴法393条3項
論点92第393条民事訴訟法

一 控訴審の取消差戻判決に対する上告の許否。

二 行政処分と認められない文書送達の一事例。

三 請求の変更と出訴期間。

裁判要旨一 第一審判決を取り消し差し戻した第二審判決に対しては、直ちに上告することができる。

二 農地買収計画に関する訴願裁決について訴願人が再審議陳情をなしこれに対し訴願裁決庁が「昭和二三年一一月二九日附兵庫県農委第四八六別裁定書について元訴願人Bより再審議陳情ありたるも、その理由認め難く前決定のとおり買収すべきものとするも、訴願人が昭和二二年原野として前所有者Dより収得せる所有権は農地調整法に違反せるものなるを以てその所有権移転登記を抹消し、前所有者より買収すべきものとする」と記載した文書を訴願人に送達した行為は行政処分とは認められない。

三 行政処分の取消又は変更を求める訴において、請求を変更し、あらたに行政処分の取消を求めることのできるのは、その行政処分についての出訴期間内でなければならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年10月16日 昭和25(オ)231
登載
民集 第5巻11号583頁
参照法条
民訴法393条,民訴法232条,民訴法235条,行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟特別法5条
論点93第393条民事訴訟法

高等裁判所が判決の形式でした補助参加の許否に関する裁判に対する上告と最高裁判所の審理の対象

裁判要旨高等裁判所が補助参加の許否に関する裁判を判決の形式で行った場合には、右判決に対する上告についての最高裁判所の審理の対象は、民訴法四一九条ノ二所定の抗告理由の有無の範囲に限られる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成7年2月23日 平成4(行ツ)119
登載
集民 第174号319頁
参照法条
民訴法66条,民訴法393条,民訴法419条ノ2,裁判所法7条2号
論点94第393条民事訴訟法

上告が上訴権の濫用に当たるとされた事例

裁判要旨特許出願の拒絶査定を是認する審決に対する取消訴訟において、その係属中に特許出願が取り下げられた場合には訴えの利益が失われるのに、特許出願人が、請求棄却の判決の言渡し後に自らこのような状態を現串させた上、訴えの却下を求めて上告することは、上訴権の濫用に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年4月19日 平成5(行ツ)180
登載
集民 第172号371頁
参照法条
民訴法393条,民訴法399条1項1号,民訴法399条ノ3,民法1条3項
論点95第394条民事訴訟法

一筆の土地全部が売買されたとの認定が経験則に反するとされた事例

裁判要旨一筆の土地が現地においてA部分とB部分とに明確に区分され、A部分は甲に、B部分は乙にそれぞれ賃貸されたのちにおいて、甲が売買の目的物を右一筆の土地と表示して契約を締結したとしても、B部分を含める旨の明示的な合意がされている等特段の事情のない限り、右一筆の土地全部が売買の対象とされたものと認めることは、経験則に反する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年2月27日 昭和59(オ)675
登載
集民 第147号161頁
参照法条
民法第1編第4章第1節,民法555条,民訴法394条
論点96第394条民事訴訟法

実用新案登録を無効にする審決の取消請求を棄却する旨の原判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に当該実用新案登録請求の範囲の記載の一部を訂正する審決がされた場合と上告理由

裁判要旨実用新案登録を無効にする審決の取消請求を棄却する旨の原判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に当該実用新案登録請求の範囲の記載の一部を訂正する審決がされた場合は、民訴法四二〇条一項八号の事由があり、上告理由とすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和60年5月28日 昭和58(行ツ)124
登載
集民 第145号73頁
参照法条
実用新案法37条,実用新案法39条,民訴法394条,民訴法395条,民訴法420条1項8号
論点97第394条民事訴訟法

交差点における衝突事故につき加害自動車と被害歩行者がともに青信号で交差点に入つたとの認定に経験則違反又は理由不備、理由齟齬の違法があるとされた事例

裁判要旨交差点において西進中の自動車と北上横断中の歩行者との衝突事故につき、被害者が青信号に従つて横断を開始したものと仮定して、加害車の走行状況を原審の説示する時速、反応時間、制動時間、制動距離等に則り衝突地点から逆算すると、加害車はその対面信号が青から黄に変わつた時には交差点より手前にいたことになるなど判示のような事情があるときは、加害車と被害者がともに青信号で交差点に入つたとの原審の認定には、経験則違反又は理由不備、理由齟齬の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月26日 昭和56(オ)880
登載
集民 第144号551頁
参照法条
民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条6号
論点98第394条民事訴訟法

書証を排斥した判断に審理不尽、採証法則違背、理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年3月13日 昭和55(オ)474
登載
集民 第141号295頁
参照法条
民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号
論点99第394条民事訴訟法

所得税法三〇条一項にいう退職所得にあたるかどうかの認定判断につき法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法があるとされた事例

裁判要旨従業員が満五五歳又は勤続満一〇年に達したときに定年となる旨の就業規則の定め及び退職金規程に基づき、勤続満一〇年に達したことを理由として退職金名義の金員の支給を受けた従業員の大部分が、その役職、給与、有給休暇の日数の算定等の労働条件に変化がないまま引き続き勤務しているなど判示のような事実関係があるときは、右就業規則の客観的な運用として従業員が勤続満一〇年に達したときは退職するのを原則的取扱いとしており、その後継続している勤務関係が単なる従前の勤務関係の延長ではなく新たな雇用契約に基づくものであるとの実質を有すること、又は右金員が定年延長若しくは退職年金制度の採用等の合理的な理由による退職金支給制度の実質的改変により精算の必要があつて支給されたものであること、若しくは継続している勤務関係がその性質内容、労働条件等において重大な変動を受け実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないこと等の特別の事実関係がないにもかかわらず、右金員を所得税法三〇条一項にいう退職所得にあたると認定判断することには、法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法がある。

(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年12月6日 昭和54(行ツ)35
登載
集民 第140号589頁
参照法条
所得税法30条1項,民訴法394条
論点100第394条民事訴訟法

土地の占有権原につき釈明権の不行使、審理不尽の違法があるとされた事例

裁判要旨土地所有権に基づく土地明渡請求事件において、被告が抗弁として右土地の買受けを主張するとともに、事情として右土地を買受けの時まで長期にわたり賃借していた旨陳述し、原告も賃貸の事実を認めていたなどの訴訟の経過があるにかかわらず、右の売買の無効を判断しただけで、右の陳述の趣旨を釈明せず、占有権原の存否について審理を尽くさないで明渡認容の判決をしたのは、釈明権不行使及び審理不尽の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年7月15日 昭和54(オ)1166
登載
集民 第130号237頁
参照法条
民訴法127条,民訴法394条
論点101第394条民事訴訟法

土地の売買契約が成立したか賃貸借が成立したかどうかの認定判断につき経験則ないし採証法則の適用の誤り又は審理不尽の違法があるとされた事例

裁判要旨土地の売買契約が成立したか賃貸借が成立したかどうかの認定判断にあたり、判示のような証拠関係のもとにおいては、契約締結の際授受された五万円が土地の時価に照らして売買代金額とみられるか、それとも賃貸借の敷金と賃料の合計額とみられるかについて考慮を払うことなく、土地の賃貸借が成立したと認定判断することは、経験則ないし採証法則の適用を誤つたか又は審理不尽の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年9月6日 昭和54(オ)29
登載
集民 第127号395頁
参照法条
民訴法394条
論点102第394条民事訴訟法

書面に記載された合意の内容と反する事実を認定することと経験則違反

裁判要旨首肯するに足る特段の事情を示すことなく、当事者問の合意の内容を記載した書面の文言に反する事実を認定した原審の事実認定には、経験則違反がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年3月23日 昭和51(オ)771
登載
集民 第126号295頁
参照法条
民訴法394条
論点103第394条民事訴訟法

買主の地位の譲渡につき売主が承諾を与えた旨の主張が予備的主張に対する関係だけでなく主位的主張に対する関係においてもされたものとして判断遺脱の違法があるとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月15日 昭和53(オ)315
登載
集民 第126号73頁
参照法条
民訴法394条
論点104第394条民事訴訟法

頭部に受けた打撲創の結果外傷性てんかんないし頭部外傷後遺症が生じたとは認められないとした認定につき経験則違背の違法があるとされた事例

裁判要旨頭部打撲創の受傷を契機として被害者に生じた症状につき、D病院、E病院、F病院の各専門医師が脳波検査、気脳写検査などを含む神経医学上の諸検査を経たうえ、頭部外傷後遺症ないし外傷性てんかんの診断を下しているなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情のない限り、被害者に右受傷の結果頭部外傷後遺症ないし外傷性てんかんが生じたことを否定するのは、経験則に反する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月9日 昭和52(オ)608
登載
集民 第123号7頁
参照法条
民法709条,民訴法185条,民訴法394条
論点105第394条民事訴訟法

上告理由として民訴法四二〇条一項六号所定の事由が主張され同条二項所定の要件が具備された場合と上告審のとるべき措置

裁判要旨上告理由として原判決につき民訴法四二〇条一項六号所定の事由の存することが主張された場合において、当該事実に関し同条二項所定の要件が具備されたときは、原判決につき判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違反があつたものとしてこれを破棄し、事件を原審に差し戻すのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年12月21日 昭和53(オ)265
登載
民集 第32巻9号1740頁
参照法条
民訴法394条,民訴法420条1項6号,民訴法420条2項
論点106第394条民事訴訟法

選挙管理委員会の委員長のした不在者投票事由の存否の認定の当否に関する裁判所の判断に審理不尽の違法があるとされる場合

裁判要旨裁判所が選挙管理委員会の委員長のした不在者投票事由の存否の認定の当否を判断するにあたつては、選挙人の提出した宣誓書等の書面の記載のほか、選挙人の不在者投票事由に関する口頭説明の内容をもあわせ考慮することを要し、口頭説明の内容が宣誓書等の書面の記載の程度を出ないものであるなど口頭説明の内容を考慮しないことを相当とするような特段の事情がないのに、宣誓書等の書面の記載のみによつて右の判断をした場合には、審理不尽の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年11月8日 昭和52(行ツ)70
登載
民集 第31巻6号871頁
参照法条
民訴法394条,公職選挙法49条,公職選挙法施行令52条,公職選挙法施行令53条1項
論点107第394条民事訴訟法

事実摘示欄に証拠関係についての記載を欠く判決と上告理由

裁判要旨判決の事実摘示欄に証拠関係についての記載を欠いても、上告理由とはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年11月24日 昭和51(オ)918
登載
集民 第122号247頁
参照法条
民訴法192条,民訴法394条
論点108第394条民事訴訟法

借地権の放棄に伴う補償に関する契約において補償額算定の基準時について意思表示の解釈を誤つたとされた事例

裁判要旨省略(判文参照)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年9月9日 昭和49(オ)1107
登載
集民 第116号9頁
参照法条
民訴法394条,民訴法395条1項6号
論点109第394条民事訴訟法

判決言渡期日の遅延と上告理由

裁判要旨判決が口頭弁論終結の日から約五年有余を徒過したのちに言い渡されたという違法は、上告適法の理由とはならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月24日 昭和50(オ)262
登載
集民 第115号107頁
参照法条
民訴法190条,民訴法394条,民訴法395条
論点110第394条民事訴訟法

医師が化膿性髄膜炎の治療としてしたルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)の施術とその後の発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定したのが経験則に反するとされた事例

裁判要旨重篤な化膿性髄膜炎に罹患した三才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻癖、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後一五分ないし二〇分を経て突然に生じたものであつて、右施術に際しては、もともと血管が脆弱で出血性傾向があり、かつ、泣き叫ぶ右幼児の身体を押えつけ、何度か穿刺をやりなおして右施術終了まで約三〇分を要し、また、脳の異常部位が左部にあつたと判断され、当時化膿性髄膜炎の再燃するような事情も認められなかつたなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情がないかぎり、右ルンバ一ルと右発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定するのは、経験則に反する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月24日 昭和48(オ)517
登載
民集 第29巻9号1417頁
参照法条
民法709条,国家賠償法1条1項,民訴法185条,民訴法394条
論点111第394条民事訴訟法

賃借権の無断譲渡が賃貸人に対する背信行為に当たらないとみることはできないとした判断に審理不尽があるとされた事例

裁判要旨ゴルフ場経営を目的とする株式会社が、ゴルフ場用地の一部として賃借していた土地の賃借権を、賃貸人に無断で他の株式会社に譲渡したときでも、当該賃貸人に賃貸借契約締結の当初から不誠実な態度があつたほか、譲受会社が元来賃借会社の子会社として当該ゴルフ場運営のために設立された会社であり、また、他の百余名の賃貸人らがすべて賃借権の譲渡に承諾を与えている等、判示の事情がある場合においては、右譲渡当時、譲受会社が賃借会社の子会社たる地位を失つていて、賃借会社とは別個独立に当該ゴルフ場を経営するに至つていたとしても、そのことから直ちに、右譲渡が賃貸人に対する背信行為に当たらないとみることはできないとは言えず、賃借地の使用収益の方法や賃料支払の確実性等に実質約影響があるかどうかなど判示の諸点についても審理を尽くすことを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月22日 昭和48(オ)657
登載
集民 第111号457頁
参照法条
民法612条,民訴法394条
論点112第394条民事訴訟法

一、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟における右裁決の事実認定の拘束カ
二、船舶衝突海難事件における船舶の衝突地点に関する認定につき沈没地点との関係において理由梱稀ないし理由不備の違法があるとされた事例
三、海難事件における船舶の針路の認定に採証法則違背があるとされた事例

裁判要旨一、高等海難審判庁の裁決の取消訴訟において、右裁決における事実の認定は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律八〇条、八一条、電波法九九条のような規定がない以上、事実審たる裁判所を拘束するものではない。
二、約一七ノツトの速力で航行中の甲船(総トン数九五四七トン)と約八・五ノツトの速力で航行中の乙船(総トン数二三八トン)とが衝突したという海難事件において、甲船の船首が乙船の右舷船尾から約四メートル前方に、前方からほぼ七五度の角度で衝突し、乙船は、船尾を圧壊され、衝突と同時に機関が停止し、自力で航行する能力を失つていたけれども、衝突直後なお行き足があり、甲船の船尾方向に急速に移動して行つたとしながら、特段の事情を判示することなく、乙船が、衝突地点からみて衝突時の船尾方向から約六度半右に振つた方向ないしそれよりもさらに左の方向に、直線距離で六八〇メートル以上離れた地点で沈没したとする認定には、乙船の沈没地点との関係において、両船の衝突地点に関する認定に理由齟齬ないし理由不備の違法がある。
三、船舶衝突海難事件において、一定時刻の測定船位を基点とし、用紙の時刻目盛とコースペンとが性格に装着されていないコースレコードにつき、一定の時差があるものと認定したうえで、その機械的記録を証拠として右測定船位から衝突地点までの船の針路を認定した場合に、右測定船位を基点とし、コースレコードに認定どおりの時差があるものとして認定されていない部分の航跡を求めると、同船が港外に出るためには防波堤を突破することになるという不合理な結果を生ずるときは、右針路の認定には、採証法則を誤つた違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年4月21日 昭和42(行ツ)38
登載
民集 第26巻3号567頁
参照法条
海難審判法4条,海難審判法53条,海難審判法56条,行政事件訴訟法7条,民訴法395条,民訴法394条
論点113第394条民事訴訟法

判決理由中において証人の証言の採否が明らかにされていない違法が判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背に当らないとされた事例

裁判要旨反証として取調べがなされた証人の証言が争点の判断に影響を及ぼさないものである場合には、判決の理由中において右証言の採否が明らかにされていなくても、右の瑕疵は、判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背に当らない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年12月21日 昭和45(オ)607
登載
集民 第104号749頁
参照法条
民訴法191条,民訴法394条
論点114第394条民事訴訟法

書証の成立の認定に審理不尽の違法があるとされた事例

裁判要旨契約の成立を主張する当事者がこれに関する重要な書証である相手方作成名義の文書を二審の最終口頭弁論期日にはじめて提出した場合において、判示のように、他の証拠との対比などからもその真否を疑うべき事情があるにかかわらず、裁判所が、成立を争う相手方に反証提出の機会を十分に与えることなく即日口頭弁論を終結し、その文書における自己の名下の印影のみを肯定し署名を否認する趣旨の相手方本人の供述を唯一の資料として右文書の成立の真正を認定し、これを右契約成立の認定の用に供したときは、二審判決には、右書証の成立に関し審理を尽くさなかつた違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月30日 昭和45(オ)282
登載
集民 第101号313頁
参照法条
民訴法185条,民訴法325条,民訴法394条
論点115第394条民事訴訟法

会社の代表取締役が不動産を買い受けた場合においてこれが右代表取締役個人のためにした売買契約であるとした事実認定に経験則違背の違法があるとされた事例

裁判要旨会社の代表取締役が他から不動産を買い受けた場合において、売主がその買主として信用のある個人を望み、各種会社、団体の役員をつとめ社会的信用のある右代表者個人をその最適任者と考え、売買契約においても右代表者個人の名義を使用したとしても、右会社が個人会社の実態を有し、その代金およびその後の維持費が会社の経理から支出され、右不動産が専ら会社の用に供せられていた等判示の事情があるときには、右売買契約を右代表者個人のためにされたものとすることは、経験則に反して許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年9月11日 昭和43(オ)280
登載
集民 第96号497頁
参照法条
商法504条,民訴法394条
論点116第394条民事訴訟法

再審の訴を却下した判決ののち偽証について有罪の判決が確定したことは右判決に対する上告の理由となるか

裁判要旨控訴裁判所の確定判決に対し、その証拠となつた証言が偽証であるとして、再審の訴が提起されたが、民訴法第四二〇条第二項の要件について主張および立証がないため、右訴を却下する判決がされた場合には、その後右偽証について有罪の判決が確定し、上告裁判所に駒いてその旨が主張されたとしても、右訴却下の判決に対する上告の理由として採用することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年8月29日 昭和42(オ)215
登載
民集 第22巻8号1740頁
参照法条
民訴法420条1項7号,民訴法420条2項,民訴法394条,民訴法395条,民訴法158条
論点117第394条民事訴訟法

加害自動車と同一方向に進行していた被害自転車の衝突において自転車に過失があるかどうかを判断するにつき審理不尽・理由不備・理由そごの違法があるとされた事例

裁判要旨加害自動車と同一方向に進行していた被害自転車とが衝突した場合において、自転車に過失があるかどうかを判断するにつき、自転車が道路上で方向を転ずるのを自動車の運転手が三・二メートル手前で発見したと認定しながら、判示事情のもとで自転車が自動車の直前においてUターンしたと認むべきではないと認定し、自転車には過失はないと判断したのは、審理不尽・理由不備・理由そごの違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年3月14日 昭和41(オ)54
登載
集民 第90号647頁
参照法条
民法709条,民法722条2項,自動車損害賠償保障法3条,民訴法394条,民訴法395条1項6号
論点118第394条民事訴訟法

一定の販売代理権を与えられた個人経営の店舗の使用人が店主所有の商品を自己の小遣銭を得る目的で店舗外で第三者に売り渡した場合につき店主の買主に対する所有権に基づく返還請求権の成立を否定した判断に審理不尽ないし理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨個人経営の時計店の責任者として店舗内における修理販売に従事するほか商品を携帯して外交販売をする権限を与えられた使用人が、自己の小遣銭を得る目的で同一人に対し多数回にわたり店主所有の時計類一四四点を店舗外で時価に比し不当に廉価に売り渡した場合に、店主たる原告が、被告たる買主が質商であること、右買受けに際しては買主は使用人がほしいままに商品を持ち出して売却するものであることを知つていたこと等(判決理由参照)を主張しているのに、右は該使用人が自己の業務上占有する商品を不当に廉価に販売したにすぎないとして、売渡行為が代理行為としてなされたか否か、代理権の範囲に属するか否か等について審理することなく、ただちに店主の買主に対する使用人の窃取行為を理由とする所有権に基づく返還請求を排斥したことは審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年1月18日 昭和41(オ)1416
登載
集民 第90号1頁
参照法条
民法99条,民訴法394条
論点119第394条民事訴訟法

農地の使用貸借ないし転借の成立時期の不分明と審理不尽

裁判要旨農地の使用貸借ないし転借にもとづく権利は、昭和二一年一一月二二日以降の分については、地方長官の許可または農業委員会の承認もしくは農地委員会の許可をえなければその効力を生じないから、その成立時期を明確にして、その効力を判定すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年9月26日 昭和39(オ)1020
登載
集民 第88号509頁
参照法条
農地法3条,民訴法394条
論点120第394条民事訴訟法

補助参加人に対する期日の呼出の欠缺を被参加人が主張しうるか

裁判要旨補助参加人に対する期日の呼出がなく訴訟手続が進められた場合でも、この違法は被参加人と相手方との間の判決に影響を及ぼすものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年12月21日 昭和42(オ)929
登載
集民 第89号541頁
参照法条
民訴法64条,民訴法154条,民訴法394条
論点121第394条民事訴訟法

通常共同訴訟人の一人が他の共同訴訟人に対する判決の瑕疵を上告理由として主張することの適否

裁判要旨通常共同訴訟人の一人が他の共同訴訟人に対する判決の瑕疵を主張することは上告適法の理由とならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年12月19日 昭和41(オ)94
登載
集民 第89号447頁
参照法条
民訴法394条,民訴法61条
論点122第394条民事訴訟法

一 間接事実の認定と当事者の主張の要否
二 強迫行為の認定のための具体性はいかなる程度で足りるか
三 時効援用の機会を与えなかつた原審の措置を違法でないとした事例

裁判要旨一 間接事実は、当事者の主張がなくても判断することができる。
二 強迫行為の判示については、具体的日時場所を判示することを要せず、強迫行為の態様を示し、かつ、これを特定しうれば足りる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年3月11日 昭和38(オ)1141
登載
集民 第82号669頁
参照法条
民訴法186条,民訴法96条,民訴法394条,民訴法127条
論点123第394条民事訴訟法

控訴審の係属中に死亡した訴訟代理人を控訴判決に表示した場合における外判決の効力

裁判要旨控訴審の係属中に死亡した訴訟代理人を控訴判決に表示したからといつて、右判決の効力が左右されるものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年7月20日 昭和39(オ)820
登載
集民 第79号913頁
参照法条
民訴法79条,民訴法394条
論点124第394条民事訴訟法

民訴法第四〇三条〈執行停止の裁判〉は憲法第三二条に違背するか。

裁判要旨民訴法第四〇三条〈執行停止の裁判〉は憲法第三二条に違背しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年1月22日 昭和39(テ)10
登載
集民 第77号125頁
参照法条
憲法32条,民訴法403条,民訴法394条
論点125第394条民事訴訟法

立証についての釈明権の不行使が違法とされた事例。

裁判要旨ある地域を所有することを前提とし、同地域上に生立する立木の不法伐採を理由とする損害賠償の請求の当否を判断するに当り、当該地域の一部のみが請求者の所有に属するとの心証を得た以上、さらにその一部に生立する立木で伐採されたものの数量、価格等について審理すべきことは当然であり、この際右の点について、従来の証拠のほかに、さらにあらたな証拠を必要とする場合には、これについて全く証拠方法のないことが明らかであるときを除き、裁判所は当該当事者にこれについての証拠方法の提出を促すことを要するものと解するのが相当であり、このような措置に出ることなく、漫然証拠がないとして請求を棄却することは、釈明権の行使を怠り、審理不尽の違法を犯すものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和37(オ)567
登載
民集 第18巻5号954頁
参照法条
民訴法127条,民訴法394条
論点126第394条民事訴訟法

継続的取引関係の終期における残代金の支払請求において、取引の開始日について争いがあるのに当事者間に争いがないと判示された場合は破棄事由となるか。

裁判要旨継続的取引関係の終期における残代金の支払請求においては取引の始期および終期の確定は、右取引関係を特定させる方法にすぎないから、取引の始期について争いがあるのに争いがないものと判示する違法であつても、ただちに判決に影響を及ぼす法令違反があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月27日 昭和38(オ)104
登載
集民 第72号329頁
参照法条
民訴法185条,民訴法257条,民訴法394条
論点127第394条民事訴訟法

一 原告代理人と被告代理人を取り違えた調書の記載が明白な誤記と認められ判決に影響がないとされた事例。

二 不当な告訴によつて不法行為が成立するとされた事例。

裁判要旨松一本を盗伐した者が杉四七石、松二五石の盗伐の告訴を所有者から受けた場合には、実質と右告訴の内容とを異にし、これにより取調を受ける被告訴者の苦痛の程度もまた相違するから、右不当な内容の告訴により受ける精神的損害につき不法行為が成立しうる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年11月12日 昭和37(オ)965
登載
集民 第69号181頁
参照法条
民訴法394条,民訴法143条,民法709条
論点128第394条民事訴訟法

証拠によらず事実を認定した違法があるとして破棄した一事例。

裁判要旨原判決記載の証拠によれば債務を免除した事実が認められるのに、債務の免除は認められず連帯の免除が認められると認定したのは、証拠によらずに事実を認定した違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年9月25日 昭和34(オ)1104
登載
集民 第62号587頁
参照法条
民訴法257条,民訴法394条
論点129第394条民事訴訟法

一 裁判の一部脱漏と上告理由
二 判決に法律の解釈適用の論拠を説示することの要否

裁判要旨一 請求の一部につき裁判の脱漏があつても、これをもつて上告適法の理由となし得ない。
二 判決には法律の解釈適用の論拠を説示する必要はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年6月19日 昭和36(オ)500
登載
集民 第61号267頁
参照法条
民訴法195条,民訴法394条,民訴法191条
論点130第394条民事訴訟法

判決言渡期日の遅延と上告理由。

裁判要旨判決が口頭弁論終結の日から約四年を徒過した後に言い渡されたという違法は、上告適法の理由とはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年11月22日 昭和36(オ)1289
登載
集民 第63号313頁
参照法条
民訴法190条,民訴法394条
論点131第394条民事訴訟法

相手方申出の証人を取り調べないことと審理不尽の論旨。

裁判要旨相手方申出の証人につき相手方から尋問放棄の申出があつた以上、これを取調べることなく弁論を終結しても審理不尽をいう余地はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年10月9日 昭和35(オ)1127
登載
集民 第62号743頁
参照法条
民訴法259条,民訴法394条
論点132第394条民事訴訟法

一 同一審級における同一証人の再尋問と宣誓の要否
二 宣誓を欠く証人尋問手続の違法と責問権
三 民事上告審判特例法の違憲を上告理由とすることの適否

裁判要旨一 同一審級において同一証人を再び尋問する場合においても、尋問事項を異にするときは、宣誓をなさしめることを要する。
二 宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失う。
三 最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律が違憲であることを上告理由とすることは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年2月11日 昭和26(オ)878
登載
民集 第8巻2号429頁
参照法条
民訴法285条,民訴法141条,民訴法394条
論点133第394条民事訴訟法

一 訴訟記録焼失の場合と上告理由の具体的主張の要否
二 民訴第三九四条〈督促異議の却下〉の合憲性

裁判要旨一 上告理由は、訴訟記録が焼失した場合でも、原判決の法令違背を具体的に主張することを要する。
二 民訴第三九四条〈督促異議の却下〉は、憲法第三二条に違反しない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和25年9月18日 昭和24(ク)25
登載
民集 第4巻9号423頁
参照法条
民訴法394条,民訴法398条,民訴法402条,憲法32条
論点134第394条民事訴訟法

一 漫画の登場人物のいわゆるキャラクターの著作物性
二 二次的著作物の著作権が生ずる部分
三 連載漫画において登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した後に当該登場人物について著作権を主張することの可否
四 著作権法二一条の複製権を時効取得する要件としての権利行使の態様とその立証責任
五 上告審における被上告人の新たな主張が民訴法四二〇条一項八号に照らし許されるものとされた事例

裁判要旨一 漫画において一定の名称、容貌、役割等の特徴を有するものとして反復して描かれている登場人物のいわゆるキャラクターは、著作物に当たらない。
二 二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作物部分のみについて生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じない。
三 連載漫画において、登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した場合には、後続の漫画の著作権の保護期間がいまだ満了していないとしても、当該登場人物について著作権を主張することはできない。
四 著作権法二一条の複製権を時効取得する要件としての継続的な行使があるというためには、著作物の全部又は一部につき外形的に著作権者と同様に複製権を独占的、排他的に行使する状態が継続されていることを要し、そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負う。
五 被上告人の平成五年法律第四七号による改正前の不正競争防止法(昭和九年法律第一四号)一条一項一号に基づく差止請求に対して、上告人が商標権の行使を理由として同法六条の抗弁を主張している場合において、事実審の口頭弁論終結後に当該商標権につき商標登録を無効とする審決が確定したときは、民訴法四二〇条一項八号に照らし、被上告人は上告審でこれを主張することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年7月17日 平成4(オ)1443
登載
民集 第51巻6号2714頁
参照法条
著作権法2条1項1号,著作権法2条1項11号,著作権法21条,著作権法53条1項,著作権法56条1項,民法163条,民訴法第2編第3章第1節総則,民訴法394条,民訴法420条1項8号,旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)1条1項1号,旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)6条,商標法46条1項1号
論点135第394条民事訴訟法

一 医療過誤訴訟において鑑定のみに依拠してされた顆粒球減少症の起因剤の認定に経験則違反の違法があるとされた事例
二 医療過誤訴訟において鑑定のみに依拠してされた顆粒球減少症の発症日の認定に経験則違反の違法があるとされた事例
三 顆粒球減少症の副作用を有する薬剤を長期間継続的に投与された患者に薬疹の可能性のある発疹を認めた場合における開業医の義務

裁判要旨一 顆粒球減少症の副作用を有する複数の薬剤の投与を原因として患者が同症にかかった場合において、鑑定は、右薬剤はいずれも起因剤と断定するには難点があり、発症時期に最も近接した時期に投与されたネオマイゾンが最も疑われるが確証がなく、複数の右薬剤の相互作用により同症が発症することはあり得るものの本件においては右相互作用による発症は医学的に具体的に証明されていないとするにとどまり、本件において右相互作用により同症が発症したという蓋然住を否定するものではなく、証拠として提出された医学文献には同症の病因論は未完成な部分が多く個々の症例において起因剤を決定することは困難なことが多い旨が記載されているなど判示の事実関係の下においては、右鑑定のみに依拠してネオマイゾンを唯一単独の起因剤と認定することには、経験則違反の違法がある。
二 顆粒球減少症の副作用を有する複数の薬剤の投与を原因として患者が同症にかかった場合において、鑑定は、四月一四日より前の患者の病歴に同症発症を確認し得る検査所見及び症候がないこと並びに同日以降の患者の症状の急激な進行から推測して、発症日を四月一三日から一四日朝とするが、これは患者の同症発症日をどこまでさかのぼり得るかについて科学的、医学的見地から確実に証明できることだけを述べたにすぎないものであり、他方、同症発症を確認し得る検査所見及び症候がないのは医師が同症特有の症状の有無に注意を払った問診及び診察をしなかった結果にすぎず、患者の症状の進行が急激であったと断ずるには疑いを生じさせる事情も存在するなど判示の事実関係の下においては、右鑑定のみに依拠して発症日は四月一三日から一四日朝と認定することには、経験則違反の違法がある。
三 開業医は、顆粒球減少症の副作用を有する多種の薬剤を長期間継続的に投与された患者について薬疹の可能性のある発疹を認めた場合においては、自院又は他の診療機関において患者が必要な検査、治療を速やかに受けることができるように相応の配慮をすべき義務がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成7(オ)1205
登載
民集 第51巻2号502頁
参照法条
民法415条,民法709条,民訴法185条,民訴法394条
論点136第394条民事訴訟法

一 雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺にかかったことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効の起算点
二 慰謝料額の認定に違法があるとされた事例

裁判要旨一 雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺にかかったことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、じん肺法所定の管理区分についての最終の行政上の決定を受けた時から進行する。
二 炭鉱労務に従事してじん肺にかかった者又はその相続人が、雇用者に対し、財産上の損害の賠償を別途請求する意思のない旨を訴訟上明らかにして慰謝料の支払を求めた場合に、じん肺が重篤な進行性の疾患であって、現在の医学では治療が不可能とされ、その症状も深刻であるなど判示の事情の下において、その慰謝料額を、じん肺法所定の管理区分に従い、死者を含む管理四該当者につき一二〇〇万円又は一〇〇〇万円、管理三該当者につき六〇〇万円、管理二該当者につき三〇〇万円とした原審の認定には、その額が低きに失し、著しく不相当なものとして、経験則又は条理に反する違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年2月22日 平成1(オ)1667
登載
民集 第48巻2号441頁
参照法条
じん肺法4条,じん肺法13条,民法166条1項,民法415条,民法710条,民訴法394条
論点137第394条民事訴訟法

行政指導を受けたことと建築確認の遅延との間に因果関係がないとした認定に経験則違反、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨一筆の土地に容積率の上限に近い建物を建築した上、右土地を分筆し、建物の存在しない方の土地をマンション建築用地として売り渡した者に対する買主の損害賠償請求訴訟において、買主が市から建築確認申請を保留するようにとの行政指導を受け、いったんマンションの建築を断念したが、後日、売主が容積率違反の状態を解消する措置を採ることを命ずる市長の命令に応じないことが明らかになり、買主も右行政指導に従う意思を放棄して建築確認申請をしたため、結局、申請どおりの建築確認がされたなど、判示の事実関係の下において、買主が行政指導を受けたことと建築確認の遅延との間に因果関係がないとした原審の認定には、経験則違反ひいては審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成5年4月23日 平成3(オ)1386
登載
集民 第169号37頁
参照法条
民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号,建築基準法52条
論点138第394条民事訴訟法

デモ行進の参加者がこれを規制する警察機動隊員の殴打行為により負傷したとの認定に経験則違反、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨約五〇〇名が参加するデモ行進に対し警察機動隊員が規制・解除を繰り返し、デモ隊と機動隊の間で押し合い等があったなど判示のような事情がある場合、右デモ行進にグループ間の連絡等の役割で参加した者が路上に転倒し約四〇針縫合する左上口唇裂傷等の傷害を負った事故につき、機動隊員がどの程度の厚さの手袋を着用していたか、規制の解除によるデモ隊の急な前進によって背後かち突き飛ばされて右参加者が転倒したことがなかったかどうかについて判断を加えることなく、右参加者の負傷が機動隊員の一回の手拳による殴打行為に起因したものとした原審の認定には、経験則違反ひいては審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年1月18日 昭和62(オ)774
登載
集民 第162号1頁
参照法条
国家賠償法1条1項,民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号
論点139第395条民事訴訟法

地代の増額請求に基づく相当賃料額の判断に証拠に基づかないで認定したか又は理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨地代の増額請求に基づく相当賃料額を判断するにあたり、どのような算定方法を採るかの説示もなく、借地法一二条一項所定の諸事情等につき具体的な事実の確定もせず、しかも判示の相当賃料額に直接符合するような証拠又は根拠が見当たらず、かえつて判示の相当賃料額に反し、あるいはこれにそわない趣旨の証拠が存在し、また、挙示の証拠のどの部分を採用し、どの部分を排斥して右の相当賃料額を算定するに至つたかを了知することができない場合には、証拠に基づかないで認定したか又は理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年1月24日 昭和57(オ)1202
登載
集民 第144号65頁
参照法条
借地法12条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点140第395条民事訴訟法

裁判上の和解成立を前提とする裁判外の和解が成立したかどうかの判断につき審理不尽理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨不動産の所有者から一定の金員の支払と引換えに仮登記等の抹消登記手続をする旨の裁判上の和解をした仮登記等の権利者が、右所有者との間において、右和解成立の前提として右所有者が右権利者に対し右登記抹消義務履行の条件とされている一定の金員を支払う旨の裁判外の和解が成立したかどうかの判断にあたり、単に右裁判上の和解に無効又は取消の原因となる瑕疵がなく、かつ、右裁判上の和解条項に右所有者の金員支払義務が明記されていないことのみ判断し、右裁判外の和解の成否について証拠に基づき明確な判断をしないときは、審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和58年9月16日 昭和57(オ)1132
登載
集民 第139号539頁
参照法条
民訴法395条1項6号
論点141第395条民事訴訟法

訴訟手続の中断中に審理及び判決がされた場合と上告理由

裁判要旨訴訟手続の中断中に審理及び判決がされた場合は、代理権欠缺の場合と同視することができ、民訴法三九五条一項四号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉の趣旨に則り上告の理由がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和58年5月27日 昭和57(オ)1088
登載
集民 第139号23頁
参照法条
民訴法395条1項4号
論点142第395条民事訴訟法

手形の不渡届に対する異議申立手続の不履行を理由とする損害賠償請求事件において損害額の認定に違法があるとされた事例

裁判要旨手形の振出人が、不渡届に対する異議申立手続を怠つた銀行の債務不履行により手形金の支払を余儀なくされたため手形金相当額の損害を被つたといえるためには、右振出人が手形所持人に対して手形金の支払義務を負つていなかつたことが必要であり、したがつて、右支払義務の存否について格別の判断を加えることなく、振出人が手形金の支払を余儀なくされたことから直ちにこれと同額の損害を被つたものと認定することは違法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年6月17日 昭和54(オ)1031
登載
集民 第136号89頁
参照法条
民法415条,民法416条1項,民訴法395条1項6号
論点143第395条民事訴訟法

ガードレールを設置しないことが道路の設置ないし管理の瑕疵にあたるとの判断に理由不備があるとされた事例

裁判要旨薄暮時ないし夜間における降雨時に道路とこれに沿う川との境の見分けがつきにくく、右道路を走行する自動車が運転を誤つて川に転落する危険のある場合でも、右危険に対する安全を確保するには視線誘導標識ないし夜間の照明設備を設置すれば足り、夜間の降雨時に右の見分けのついていた運転者が他の理由で急制動の措置を講じたため自動車が路面を滑行して川に転落した事故との関係においてガードレールの設置のないことを道路の設置ないし管理の瑕疵とするためには、別段の事情が存在することを必要とし、路面がかまぼこ型であつたなど原判示のような事実があるというだけで右の瑕疵があるとした原判決は理由不備である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年12月11日 昭和51(オ)764
登載
集民 第131号273頁
参照法条
国家賠償法2条,民訴法395条1項6号
論点144第395条民事訴訟法

控訴期間の不遵守が控訴代理人の責に帰すべからざる事由によるかどうかにつき職権調査を尽くさなかつたことが違法とされた事例

裁判要旨昭和五三年一二月一五日判決正本の送達を受けた第一審判決につき、控訴代理人が同年一二月二六日その控訴状を書留速達郵便物として長崎市内の郵便局に差し出したところ、同五四年一月一日に至つて福岡高等裁判所に配達されたとの事情のもとでは、右控訴状の配達の遅延は控訴代理人において予知することのできない程度のものであつた疑いがあり、民訴法一五九条一項〈自白の擬制〉所定の追完事由の存否について十分な職権調査を尽くすことなく、控訴期間を徒過した不適法な控訴であるとしてこれを却下することは違法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年10月28日 昭和54(オ)613
登載
集民 第131号37頁
参照法条
民訴法159条,民訴法366条,民訴法395条6号
論点145第395条民事訴訟法

借地法上の建物の取引価格が零であると認めて借地法一〇条の買取請求権を否定した認定判断が違法とされた事例

裁判要旨借地法一〇条の建物買取請求権の成否を判断するにあたり、鑑定書に、借地権がない場合の建物の相当売買価額は零である旨の記載部分があつても、その理由としては、建物を解体撤去するのが妥当で、古材は解体費用に満たないとの記載があるにとどまり、かえつて、借地権があるとした場合の相当売買価額は七〇二万八〇〇〇円であり、借地権の価格は二九二一万一〇〇〇円である旨の記載があるなど判示の事情があるときは、右鑑定書を唯一の証拠として、特段の理由を説示することなく、建物を取引上無価値であると認め、建物買取請求権を否定するのは、借地法一〇条の解釈を誤つた結果、採証法則に違背し、ひいて理由不備、理由齟齬の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年7月17日 昭和53(オ)55
登載
集民 第124号399頁
参照法条
借地法10条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点146第395条民事訴訟法

株式会社の代表取締役のした金銭借入れにつき会社が借主であるとした判断が違法とされた事例

裁判要旨株式会社の代表取締役甲が、新規事業のための調査等に必要な資金として乙から金銭を借り入れた場合において、乙が甲の私的な旧知であり、右新規事業の構想につき役員間に反対があることを知らされていること、右借入れについては、甲から代表取締役の肩書を表示した甲の名刺に右金銭借用の旨を記載した借用書の交付を受け、担保として甲個人の手形の振出し交付を受けただけで、会社の正規の借用書が作成されておらず、右借入金の出納も会社の経理部を経由していないこと等、右借入れが甲の個人的利益のために行われたもので、乙も当然これを知りえたと認める余地のある事実関係を認定しながら、その旨の会社の主張があるのにかかわらず、単に、甲と乙との間に本件借入れの当事者が甲個人であるとする別段の意思表示があつたと認めるに足りないとの理由を示しただけで、借主は会社であると判断したときは、審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年11月26日 昭和51(オ)689
登載
集民 第119号265頁
参照法条
民法93条,商法261条,民訴法395条1項6号
論点147第395条民事訴訟法

理由そご・理由不備があるとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年3月19日 昭和47(オ)820
登載
集民 第111号397頁
参照法条
民訴法395条1項6号
論点148第395条民事訴訟法

一、上告審と無権代理人の訴訟行為の追認
二、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人の上訴権限

裁判要旨一、権限のある代理人は、上告審において、上告審および控訴審における無権代理人の訴訟行為を追認することができる。
二、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、民法二八条所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対し控訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審判決に対し上告を提起する権限を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年9月1日 昭和46(オ)474
登載
民集 第26巻7号1289頁
参照法条
民訴法50条,民訴法54条,民訴法87条,民訴法395条2項,民法28条,民法103条
論点149第395条民事訴訟法

請負代金債権の消滅時効の起算日の認定判断に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨原判示の事実関係のもとにおいて、賃貸マーケット等の用に供する建物の建築工事請負契約に基づく残代金債権の弁済期はその建物にマーケットの賃借人が充員した時に到来し、右残代金債権の消滅時効はその時から進行を開始したとする原審の認定判断には、審理不尽・理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年4月20日 昭和46(オ)814
登載
集民 第105号613頁
参照法条
民法166条1項,民法170条2号,民法633条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点150第395条民事訴訟法

一、主たる債務の短期消滅時効期間が民法一七四条ノ二の規定により一〇年に延長された場合の保証人の債務の消滅時効期間
二、信用保証協会信用保証委託約款の解釈につき違法があるとされた事例

裁判要旨一、民法一七四条ノ二の規定によつて主たる債務者の債務の短期消滅時効期間が一〇年に延長されるときは、これに応じて保証人の債務の消滅時効期間も同じく一〇年に変ずるものと解すべきである。
二、(省略)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年7月23日 昭和45(オ)622
登載
集民 第103号457頁
参照法条
民法174条ノ2,民法457条,民法446条,民訴法395条
論点151第395条民事訴訟法

礼拝堂の建築所有を目的とする土地の使用貸借が相当の期間の経過により終了した旨の判断に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨省略(判文参照)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月16日 昭和44(オ)375
登載
集民 第101号77頁
参照法条
民法597条,民訴法395条1項6号
論点152第395条民事訴訟法

銀行による新規貸付契約が成立した旨の事実認定に経験則違背・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨原判示の事実関係のもとにおいて、銀行が、従来何らの取引関係もなかつた相手方に対し、金額四二万〇、六四〇円の不渡手形を返還するとともに、新規に金四二万円を貸し付ける旨の契約をしたと認定することは経験則に違背し、その判断には理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年5月2日 昭和42(オ)766
登載
集民 第95号275頁
参照法条
民法587条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点153第395条民事訴訟法

手形取得の経路についての事実認定に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨手形が甲(振出人)―乙―丙(所持人)の経路で丙によつて取得されたものでなく、甲−乙−丁の経路で丁が取得したが、丁は訴訟信託の目的で丙に譲渡したものであるから、丙に対しては支払義務がない旨の訴訟信託の抗弁を審理するに際し、丁は乙の債権者として右手形を取得する事情があるのに対し、丙にはそのような事情がなく、また丁と丙とは親戚関係にあつて判示のような密接な生活関係を有するほか、丙が手形を入手するについては振出人甲の信用状態等を調査したこともない等判示のような事実関係を確定し、他方該手形を譲り受けるに際し乙に交付したと丙の供述する割引金額は手形の額面金額をこえていることが証拠上窺われるのにかかわらず、特段の事情を示すことなく、右手形は甲―乙―丙の経路で丙が裏書譲渡を受けたものと認定することは、審理不尽・理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年9月19日 昭和42(オ)479
登載
集民 第92号305頁
参照法条
手形法17条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点154第395条民事訴訟法

一、運送保険の被保険者である荷送人が保険金の支払を受ける前に運送人に対する損害賠償請求権を放棄した場合と右運送保険の保険者の保険金支払義務
二、荷送人が運送人に対する損害賠償請求権を放棄した旨の判断に経験則違背・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨一、運送保険の被保険者である荷送人が、保険金の支払を受ける前に、商法第六六二条所定の保険者代位の対象となるべき運送人に対する損害賠償請求権を放棄した場合には、右運送保険の保険者は、右放棄にかかる損害賠償請求権の金額の限度において、保険金の支払義務を免れるものと解すべきである。
二、荷送人が、運送契約の締結の際に、運送人に対し、運送品の運送中の事故に関する運送保険契約を締結するよう申し出るとともに、右事故による損害は右保険契約に基づいて支払われる保険金のみをもつて填補することを約したと認められる場合でも、特段の事情のないかぎり、右事実関係だけから、荷送人が運送人に対し右事故による一切の損害の賠償請求権を放棄する旨の意思表示をしたものと解することは経験則に違背し、右判断には理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年7月11日 昭和41(オ)1385
登載
民集 第22巻7号1489頁
参照法条
商法629条,商法662条,民法519条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点155第395条民事訴訟法

重婚的内縁関係にある配偶者(夫)からの離婚の請求を認容した判断に審理不尽理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨甲男が乙女との婚姻継続中、丙女およびその死後丁女と事実上の婚姻関係に入つたことは、もとより不貞の評価を免れず、それ以前すでに乙女との間の婚姻関係が決定的に破綻していたとするのでないかぎり、これが現実に破綻するに至つた原因は、甲男のした右重婚的内縁にあるものと認めるのが相当で、原審が甲男の再度にわたる重婚的内縁を認めながら、これが乙女との間の婚姻関係に及ぼした影響の有無に触れることなく、甲男の本訴請求を認容したのは、審理不尽・理由不備の違法を免れない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年5月2日 昭和42(オ)210
登載
集民 第91号29頁
参照法条
民法770条1項5号,民訴法395条1項6号
論点156第395条民事訴訟法

第一審における口頭弁論の結果の陳述がないままされた判決の違法

裁判要旨第一審における口頭弁論の結果の陳述がないままされた第二審判決には、民訴法第三九五条第一項第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉所定の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年3月3日 昭和41(オ)1032
登載
集民 第86号439頁
参照法条
民訴法377条,民訴法395条
論点157第395条民事訴訟法

一 理由不備の違法があるとされた事例
二 株式会社の一人の清算人がした自己あてにした取引の効力

裁判要旨かりに株式会社の清算手続が清算人ひとりですることができるとしても、その清算人は、特段の事情のないかぎり清算会社と取引することができず、これに違反する取引は無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月15日 昭和42(オ)460
登載
集民 第89号427頁
参照法条
民訴法395条1項6号,商法430条2項,商法265条
論点158第395条民事訴訟法

前任の代表者名義でなされた手形行為を有効とした判決に審理不尽理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨前任の代表者名義を用いてなされた手形振出行為を有効とした判決において、当該手形署名が代表権限ないし代理権限ある何びとによつてなされたものかの認定判示が明確でないときには審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月15日 昭和40(オ)317
登載
集民 第85号659頁
参照法条
手形法8条,民訴法395条1項6号
論点159第395条民事訴訟法

裏書の連続を欠く手形の所持人について実質的権利関係があつたものとは認められないとした事例。

裁判要旨約束手形の最後の被裏書人と所持人との間に裏書の連続が欠く場合において、最後の被裏書人、その裏書人および手形所持人との間で、手形を右被裏書人から裏書人に受け戻したうえこれを同人から所持人に譲渡し右所持人の委任に基づいて裏書人が右手形金を取り立てる旨の合意が成立したなど判示の事実関係のもとでは、右手形の所持について、手形上の権利を行使しうる実質上権利関係があつたものと認めることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年4月1日 昭和39(オ)333
登載
集民 第78号469頁
参照法条
手形法16条1項,民訴法395条1項6号
論点160第395条民事訴訟法

ストライキを理由とする賃金の削減ができる固定給と認めた判断に審理不尽の違法があるとされた事例。

裁判要旨月掛生命保険外務職員のストライキを理由として、当該職員に支給すべき給与のうちから特定項目の給料を削減したことの適否を判断するにあたり、かかる削減を行なうことのできる特段の事情があるかどうか、それがないとすれば、右給料が拘束された勤務時間に応じて支払われる賃金としての性格を有するかどうかを審究することなく、単に、勤務時間拘束の制度が仕事の成果に応ずる能率給の実を挙げるために設けられたものではなく、また右給料が一定の資格にとどまる間その期間中における募集、集金の成果と関係なく支給されるということから、これをいわゆる固定給と認めてストライキによる削減を適法と判断したことは、審理不尽の違法をおかしたものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年2月5日 昭和37(オ)1452
登載
民集 第19巻1号52頁
参照法条
労働基準法24条,民法624条,民訴法395条1項6号
論点161第395条民事訴訟法

受訴裁判所が裁判所外で行なう証拠調の公開の要否

裁判要旨受訴裁判所が裁判所外で行なう証拠調は、これを公開する必要がないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月5日 昭和39(オ)998
登載
集民 第80号573頁
参照法条
民訴法265条,民訴法395条
論点162第395条民事訴訟法

控訴期間の不遵守が控訴代理人の責に帰すべからざる事由によるかどうかにつき審理不尽の違法があるとされた事例。

裁判要旨大阪市内の郵便局に書留速達郵便物として差し出した控訴状が、通じて四日を費して名古屋市内の裁判所に配達され、控訴代理人の予知できない事情に基づく郵便物延着の疑をさしはさみうるにかかわらず、この間の事情を審究せず、右郵便物配達の時にはすでに控訴期間が経過していたとの理由で、控訴を不適法として却下した判決には、審理不尽の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年9月15日 昭和37(オ)1019
登載
集民 第75号231頁
参照法条
民訴法366条,民訴法159条,民訴法395条6号
論点163第395条民事訴訟法

民訴法第三九五条第一項第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉に該当する違法があるとされた事例。

裁判要旨基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴法第三九五条第一項第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉に該当する違法があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年7月21日 昭和37(オ)832
登載
集民 第74号685頁
参照法条
民訴法187条1項,民訴法395条1項1号
論点164第395条民事訴訟法

伐倒木の混合が生じたとするにつき審理不尽があるとされた事例。

裁判要旨山林の立木伐倒による損害賠償請求について、右伐倒木に混合が生じたとするには、如何なる割合で主従の区別があるのか、またはその区別をすることができない場合であるかを明らかにしなければ審理不尽となる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和36(オ)1216
登載
集民 第73号179頁
参照法条
民法243条,民法244条,民法245条,民訴法395条6号
論点165第395条民事訴訟法

一 証人の取調べをなくしても審理不尽の違法があるとはいえないとされた事例。
二 民訴規則第四九条〈権利承継人の訴訟参加の場合における時効の完成猶予等〉に違反するとされた事例。

裁判要旨一 第一回口頭弁論期日において証人尋問が採用されたが、当事者が証拠申請書、証人尋問事項等を記載した書面の提出もせず、約三カ月後の第二回口頭弁論期日に右当事者が何ら理由を届け出ることなく出頭しなかつた場合には、裁判所は右証人を取調べることなく弁論を終結しても、審理不尽の違法があるとはいえない。
二 「その余の理由は控訴理由と同一につき援用する」との論旨は、具体的上告理由の記載がなく、民訴規則第四九条に違反し採るを得ない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月10日 昭和37(オ)493
登載
集民 第73号77頁
参照法条
民訴法259条,民訴法395条1項6号,民訴規則49条
論点166第395条民事訴訟法

不動産の附合の成立を肯定した判断が違法であるとされた事例。

裁判要旨不動産の附合の成否に触れる証拠としては、従前建物所有者の「その後増改築した費用は私が出したものです」「増築部分は約一〇坪ぐらいです」という供述しかない証拠関係のもとで、増築部分が従前建物の従として附合したと判断することは、民法第二四二条の解釈適用を誤つたか、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年2月18日 昭和37(オ)879
登載
集民 第72号209頁
参照法条
民法242条,民訴法395条6号
論点167第395条民事訴訟法

建物を目的とする代物弁済予約の効力が及ぶ範囲を判断するにつき審理不尽理由不備の違法があるとされた事例。

裁判要旨建物を目的とする代物弁済予約の効力が、右予約後右建物に加えられた築造部分に及ぶかどうかを判断するにつき、建物の物理的構造のみに依拠し、取引または利用の対象として観察した建物の状況を勘案しなかつたのは、審理不尽理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年1月30日 昭和35(オ)856
登載
民集 第18巻1号196頁
参照法条
民法482条,民法370条,民訴法395条6号
論点168第395条民事訴訟法

委任の報酬額の判定に審理不尽理由不備があるとされた事例。

裁判要旨委任事務処理の報酬支払の特約があつたことを認定した以上、当事者主張の報酬額の特約の事実が認定できなくても、当事者の意思を忖度し諸般の事情を勘案して相当な報酬額を認定すべきであつて、これを確定しない原審判決には審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年3月22日 昭和37(オ)290
登載
集民 第65号235頁
参照法条
民法648条1項,民訴法395条1項6号
論点169第395条民事訴訟法

一 金員貸渡の日時につき主張と認定との間に同一性が害されず当事者の主張もない事項について判断したとはいえないとされた事例
二 遅延損害金の支払を命じた点に審理不尽理由不備があるとされた事例

裁判要旨一 原告が昭和二四年九月一一日から同二五年一〇年二〇日にわたる二五口の金員消費貸借契約の成立を原因として、その貸金請求を併せてする訴訟において、右のうち一口の貸渡日時が昭和二五年九月一〇日と主張されているのに対し、被告が他の二四口の貸渡日時自体については争わず右一口の貸渡日は昭和二三年中であると主張して消滅時効を援用した場合、それが昭和二五年九月一〇日に貸し渡されたことは確認できないが、早くとも昭和二五年八、九月中に、遅くともその後の同年中に貸し渡されたことが認められるとして、時効期間満了の主張が排斥され、右一口の請求が認容されたとしても、当事者の主張と同一性を害する事実を認定して主張しない事項について判断したとはいえない。
二 期限の定めのない消費貸借において借主が履行遅滞に陥つた事実を確定することなく、漫然貸渡より後の年の一月一日以降遅延損害金の支払を命ずる判決には、審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年12月26日 昭和38(オ)206
登載
集民 第70号625頁
参照法条
民訴法186条,民訴法395条1項6号,民法591条,民法412条
論点170第395条民事訴訟法

利息を遅延損害金と判示してその支払を命じた判決と理由そごの有無。

裁判要旨期限の定めのない金銭消費貸借契約に基づく返還請求を認容した判決が、民法第五九一条所定の催告をしたことの主張立証がないのに、一定の日以降遅延損害金の付加支払を命じた場合においても、単に法律用語の誤りと解され、同日以降同利率による利息と訴状送達以後の遅延損害金の支払を命じた趣旨と解するのを相当とするから、理由そごとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年11月29日 昭和38(オ)526
登載
集民 第69号439頁
参照法条
民法591条,民訴法395条1項6号
論点171第395条民事訴訟法

受任者の金銭消費の責任の成否につき審理不尽の違法があるとされた事例。

裁判要旨小切手の取立委任を受け、所定期日に取立金を委任者に引渡す旨特約した金融機関が、委任者の了解の下に取立金を普通預金としたときでも、判示の事情がある場合には、民法第六四七条による損害賠償の責任が成立する場合があるから右委託事務処理についての特約の存否について顧慮しないことには審理不尽の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月1日 昭和34(オ)910
登載
集民 第61号13頁
参照法条
民訴法395条1項6号,民法647条
論点172第395条民事訴訟法

抵当権の効力の及ぶ範囲について審理不尽理由不備があるとされた事例

裁判要旨二個の建物が全体として一個の経済上の用途に供せられるように造られ、附加一体の物と認められる場合には、坪数や屋根の形式の相違のみで抵当権の効力の及ぶ範囲を判断すべきでなく、更に特段の事情の存しない限り、右二個の建物を別個独立の物として抵当権の効力が一方にのみ及ぶと判断するのは審理不尽、理由不備といわねばならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年4月26日 昭和35(オ)1420
登載
集民 第60号429頁
参照法条
民法370条,民訴法395条1項6号
論点173第395条民事訴訟法

裁判官忌避申立と判決成立の先後

裁判要旨指定された判決言渡期日の前日に裁判官忌避の申立があつたので、訴訟手続が停止され、忌避申立却下の裁判確定後に判決言渡がなされた事件において、右訴訟手続停止期間中に忌避を申し立てられた裁判官が他に転補されたからといつて、特別の事情の認められないかぎり、右判決は忌避申立前に評議ならびに原本の署名を了えていたものとを認められるから、適法な判決成立が不可能だとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和33(オ)259
登載
集民 第58号617頁
参照法条
民訴法395条1項1号,民訴法42条
論点174第395条民事訴訟法

一 相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響
二 法律解釈の根拠を判示することの要否

裁判要旨一 建物賃貸借契約が賃料不払に因つて解除された後、賃借人の相殺の意思表示によつて賃料債務が遡つて消滅しても、契約解除の効力に影響はないものと解すべきである。
二 法律解釈の根拠・理由を判決に示さなくても、理由不備の違法があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年11月22日 昭和35(オ)1322
登載
集民 第63号307頁
参照法条
民法506条2項,民法541条,民訴法395条1項6号,民訴法191条1項3号
論点175第395条民事訴訟法

抵当権設定登記の抹消登記手続請求を認容した判断に審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例。

裁判要旨甲乙丙三棟の建物を所有する債務者が、未登記の甲建物の所有権保存登記をなすべく司法書士に委任したところ、甲建物を主たる建物、乙丙建物を付属建物と表示する登記がなされ、次いで、債権者の手により甲乙丙建物を目的物とする抵当権設定登記が経由されたのに対し、抵当権設定契約の不存在を理由として右抵当権設定登記の抹消登記手続を請求する場合、右請求を認容するにつき、債権者と債務者が甲建物に対する抵当権設定を合意した事実を認定しながら、乙丙建物が甲建物の従物であるかのごとく窺われる証拠ならびに民法八七条二項〈口頭弁論の必要性〉の適用につき顧慮した形跡がないときは、審理不尽、理由不備の違法があり、また、判示の趣旨が甲建物のみに対する抵当権の設定を合意し、乙丙建物は除外したというにあるとすれば、債務者において、前期請求に代え、乙丙建物を前期抵当権設定登記の目的物から取り除くことを目的とする別個の登記請求をするかどうかの点を審理することなく、前記請求をそのまま全面的に認容したことは、審理不尽、理由そごの違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年10月5日 昭和35(オ)234
登載
集民 第62号709頁
参照法条
民法177条,民法87条2項,民訴法395条6号
論点176第395条民事訴訟法

一 適法に弁論の更新がなされたものと認めえない事例。
二 弁論の更新手続をしないでなされた判決の違法。

裁判要旨一 従前の口頭弁論の結果を陳述した旨の記載が、調書の完成後、立会書記官以外の者によつてなされたときは、適法に弁論の更新が行われたものと認めるをえない。
二 裁判官の更迭があつたのにかからず、適法に弁論の更新手続をしないで、更迭後の裁判官によつてなされた判決は、民訴第三九五条第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年11月4日 昭和31(オ)691
登載
民集 第12巻15号3247頁
参照法条
民訴法142条,民訴法147条,民訴法187条,民訴法395条
論点177第395条民事訴訟法

支払命令に対する異議申立後における専属管轄違背の主張の許否

裁判要旨支払命令を発した簡易裁判所に土地の管轄違があつた場合でも、異議の申立により通常訴訟となつた後には、民訴第四三一条によつて専属管轄違背を主張することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年1月24日 昭和29(オ)252
登載
民集 第11巻1号81頁
参照法条
民訴法431条,民訴法442条,民訴法381条,民訴法395条1項3号
論点178第395条民事訴訟法

民訴法第三九五条第一項第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉に該当する違法のある事例

裁判要旨基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴第三九五条第一項第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉に該当する違法があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年10月4日 昭和32(オ)212
登載
民集 第11巻10号1703頁
参照法条
民訴法187条1項,民訴法395条1項1号
論点179第395条民事訴訟法

調停関与と除斥原因

裁判要旨調停に関与した裁判官は、その後の訴訟事件の判決に関与することを妨げない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年3月29日 昭和28(オ)801
登載
民集 第9巻3号395頁
参照法条
民訴法35条6号,民訴法395条1項2号
論点180第395条民事訴訟法

除斥原因としての「前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」の意義

裁判要旨民訴第三五条第六号〈特別代理人〉にいわゆる「前審ノ裁判ニ関与シタルトキ」とは、前審の裁判の評決に加わつたときの意であつて、裁判官は、たとえ前審において口頭弁論を指揮し証拠調をした事実があつても、該事件の上訴審において職務の執行から除斥されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年6月26日 昭和26(オ)759
登載
民集 第7巻6号783頁
参照法条
民訴法35条,民訴法395条1項2号,刑訴法20条7号
論点181第395条民事訴訟法

一 憲法第三二条違反の主張とならない場合
二 憲法第二九条第一項違反の主張とならない場合。

裁判要旨一 上告理由のうち上告棄却の判決をなすのに好都合な点のみを採り上げ他の上告理由について裁判をしていない旨の主張は、原判決の判断遺脱又は理由不備を主張するに帰し憲法第三二条違反の主張とはならない。
二 裁判所が給付請求権の存在を認めないことがその財産権の侵害となるという主張は、憲法第二九条第一項違反の主張とはならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年6月2日 昭和23(テ)3
登載
民集 第4巻6号195頁
参照法条
憲法32条,憲法29条,民訴法395条
論点182第395条民事訴訟法

事実認定の根拠として判決に引用する文書が真正に成立したこと及びその理由を判決書に記載することの要否

裁判要旨事実認定の根拠として判決に引用する文書が真正に成立したこと及びその理由は、判決書の必要的記載事項ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年5月30日 平成8(オ)1846
登載
集民 第183号423頁
参照法条
民訴法191条1項,民訴法325条,民訴法395条1項6号
論点183第395条民事訴訟法

1 原告として確定されるべき者が訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが昭和47年9月29日の日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された国家としての中国であるとされた事例
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅が公知の事実である場合における代表権の消滅の効力発生時期
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に我が国政府が当該外国国家の政府として上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したために上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合における訴訟手続の中断
4 上告審が職権探知事項に当たる中断事由の存在を確認して原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨1 (1)本件訴訟は昭和42年9月6日に提起されたが,その訴状には,原告の表示として「中華民国」と,原告代表者の表示として「中華民国駐日本国特命全権大使」とそれぞれ記載されていたこと,(2)原告の訴訟代理人に訴訟代理権を授与したのは,中華民国駐日本国特命全権大使であったこと,(3)「中華民国」は,国家としての中国(中国国家)の国名として用いられてきたものであること,(4)我が国政府は,中国国家の政府として中華民国政府を承認し,昭和27年4月28日,同政府との間で,「日本国と中華民国との間の平和条約」を締結しており,訴訟提起当時,中国国家の我が国における代表権は,中華民国駐日本国特命全権大使が有していたこと,(5)中華民国政府は,訴訟提起当時,自らが中国国家の唯一の政府であると主張していたこと,(6)我が国政府が,昭和47年9月29日,「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明)において,中国国家の政府として,中華民国政府に代えて中華人民共和国政府を承認したことに伴って,中国国家の国名が「中華民国」から「中華人民共和国」に変更されたことなど判示の事実関係の下では,原告として確定されるべき者は,訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが,日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された中国国家というべきである。
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅は,それが公知の事実である場合には,相手方に通知されなくても直ちにその効力を生ずる。
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に,我が国政府が,当該外国国家の政府として,上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したため,上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合には,上記外交使節から訴訟代理権の授与を受けた訴訟代理人がいるとしても,上記代表権の消滅の時点で,訴訟手続は中断する。
4 上告審は,職権探知事項に当たる中断事由が存在することを確認して原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年3月27日 昭和62(オ)685
登載
民集 第61巻2号711頁
参照法条
(1につき)民訴法第1編第3章 当事者,民訴法133条2項1号 (2,3につき)民訴法37条 (2につき)民訴法36条1項 (3,4につき)民訴法124条1項3号 (3につき)民訴法58条1項4号,民訴法124条2項,外交関係に関するウィーン条約3条1(a) (4につき)民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条,旧民訴法395条1項4号
論点184第396条民事訴訟法

必要的共同訴訟と二重上告

裁判要旨必要的共同訴訟の共同訴訟人の一人が上告を提起したのちに他の共同訴訟人が提起した上告は、二重上告として不適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月12日 昭和59(オ)1476
登載
集民 第144号461頁
参照法条
民訴法62条1項,民訴法231条,民訴法378条,民訴法396条
論点185第396条民事訴訟法

申立の手数料を特別抗告状却下命令ののちに納付したことを理由として右命令に対し特別抗告の申立をすることの許否

裁判要旨申立の手数料等の納付を命ずる補正命令に従わなかつたことを理由として高等裁判所の裁判長がした特別抗告状却下の命令に対しては、右命令ののちに申立の手数料等を納付したことを理由として特別抗告の申立をすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年2月22日 昭和56(ク)385
登載
集民 第135号217頁
参照法条
民訴法228条,民訴法370条,民訴法396条,民訴法409条ノ2,民訴法409条ノ3,民訴法419条ノ2,民訴法419条ノ3
論点186第396条民事訴訟法

上告期間起算日について誤記のある送達報告書に依拠し十分な職権調査を尽くさないでされた高等裁判所の上告却下決定に対する不服申立方法

裁判要旨上告期間起算日について誤記のある送達報告書に依拠し十分な職権調査を尽くさないでされた高等裁判所の上告却下決定に対しては、上告期間内に上告の提起があつたことを理由として、民訴法四二九条、四二〇条一項九号の規定により、再審の申立をすることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年2月27日 昭和42(ク)270
登載
集民 第94号489頁
参照法条
民訴法396条,民訴法366条,民訴法429条,民訴法420条1項9号
論点187第396条民事訴訟法

一、企業主が生命または身体を侵害されたことにより生ずる財産上の損害額の算定基準
二、附帯上告が上告理由と同一の理由に基づく場合とその提起期間

裁判要旨一、企業主が生命または身体を侵害されたため企業に従事することができなくなつたことによつて生ずる財産上の損害額は、特段の事情のないかぎり、企業収益中に占める企業主の労務その他企業に対する個人的寄与に基づく収益部分の割合によつて算定すべきである。
二、附帯上告が上告理由と同一の理由に基づく場合において上告審で口頭弁論が開かれたときは、該附帯上告は右口頭弁論の終結時までに提起されなければならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年8月2日 昭和37(オ)611
登載
民集 第22巻8号1525頁
参照法条
民法709条,民法416条1項,民訴法396条,民訴法374条
論点188第396条民事訴訟法

上告審に移審していない部分を目的とする不適法な附帯上告とされた事例

裁判要旨甲から乙に対する第一請求と乙・丙に対する固有必要的共同訴訟たる第二請求とにつき原審で一個の判決があり、乙から第一請求に関する敗訴部分を目的として上告の申立があつた場合に、甲が第二請求の敗訴部分を目的として附帯上告を申し立てることは、許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年11月26日 昭和42(オ)591
登載
集民 第93号491頁
参照法条
民訴法396条,民訴法372条
論点189第396条民事訴訟法

補助参加人の上告申立期間

裁判要旨補助参加人の上告申立期間は、被参加人の上告申立期間に限られる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年12月9日 昭和40(オ)606
登載
集民 第81号355頁
参照法条
民訴法69条,民訴法396条,民訴法366条
論点190第396条民事訴訟法

附帯上告提起の期間。

裁判要旨附帯上告は、上告理由と別個の理由に基づくものであるときは、当該上告についての上告理由書の提出期限内に原裁判所に附帯上告状を提出してすることを要するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年7月30日 昭和37(オ)963
登載
民集 第17巻6号819頁
参照法条
民訴法396条,民訴法372条,民訴規則50条,民訴規則57条
論点191第396条民事訴訟法

補助参加人の上告提起後にされた被参加人の上告の適否

裁判要旨補助参加人が上告を提起した後に被参加人のした上告は、二重上告として不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年3月7日 昭和63(オ)1695
登載
集民 第156号295頁
参照法条
民訴法69条,民訴法231条,民訴法378条,民訴法396条
論点192第396条民事訴訟法

一 一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の逸失利益の算定方法
二 不法残留外国人の労災事故による逸失利益の算定に当たり我が国における就労可能期間を事故の約五箇月後まで勤めた会社を退社した日の翌日から三年間を超えて認めなかった原審の認定判断が不合理ではないとされた事例
三 損害賠償額を過少に算定した違法があるとしてされた上告の上告理由書提出期間経過後にこれを過大に算定した違法があるとしてされた附帯上告の適否

裁判要旨一 一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の事故による逸失利益を算定するに当たっては、予測される我が国での就労可能期間内は我が国での収入等を基礎とし、その後は想定される出国先での収入等を基礎とするのが合理的であり、我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的に及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である。
二 短期滞在の在留資格で我が国に入国し、在留期間経過後も不法に残留して就労していた外国人が、労災事故により後遺障害を残す負傷をし、事故後も国内に残留し事故の二〇日後から約五箇月後までの間は製本会社で就労するなどして収入を得ているが、最終的には退去強制の対象とならざるを得ず、特別に在留が合法化され退去強制を免れ得るなどの事情は認められないという判示の事実関係の下においては、右外国人の逸失利益の算定に当たり、我が国における就労可能期間を同人が事故後に勤めた右製本会社を退社した日の翌日から三年間を超えるものとは認められないとした原審の認定判断は、不合理とはいえない。
三 損害賠償額を過少に算定した違法があるとしてされた上告の上告理由書提出期間経過後に、これを過大に算定した違法があるとしてされた附帯上告は、不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年1月28日 平成5(オ)2132
登載
民集 第51巻1号78頁
参照法条
民法416条,民法709条,民訴法372条,民訴法396条,民訴規則58条,民訴規則57条
論点193第396条民事訴訟法

上告理由の一部の撤回と附帯上告の適否

裁判要旨上告理由書記載の上告理由の一部を撤回する旨の書面が裁判所に到達した後に、これと同旨の理由に基づいて提起された附帯上告は、その提起が上告理由書提出期限後であるときは、不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年6月18日 昭和61(オ)1304
登載
集民 第163号107頁
参照法条
民訴法372条,民訴法396条,民訴規則50条,民訴規則57条

関連する会計・監査の基準

原文整理本文は各団体のサイトで確認してください

これらの基準は著作権者が転載に許諾を求めているため、当サイトは基準名・番号・公表日とリンクのみを掲載しています(原文・要約は置いていません)。

原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民事訴訟法 第382条(支払督促の要件) 詳細ページ
(支払督促の要件)
第三百八十二条金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
民事訴訟法 第383条(支払督促の申立て) 詳細ページ
(支払督促の申立て)
第三百八十三条支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
2次の各号に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ当該各号に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
一事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの当該事務所又は営業所の所在地
二手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求手形又は小切手の支払地
民事訴訟法 第384条(訴えに関する規定の準用) 詳細ページ
(訴えに関する規定の準用)
第三百八十四条支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。
民事訴訟法 第385条(申立ての却下) 詳細ページ
(申立ての却下)
第三百八十五条支払督促の申立てが第三百八十二条若しくは第三百八十三条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
2前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
民事訴訟法 第386条(支払督促の発付等) 詳細ページ
(支払督促の発付等)
第三百八十六条支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
2債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
民事訴訟法 第387条(電子支払督促の記録事項) 詳細ページ
(電子支払督促の記録事項)
第三百八十七条裁判所書記官は、支払督促を発するときは、最高裁判所規則で定めるところにより、電子支払督促(次に掲げる事項を記録し、かつ、債務者がその送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を併せて記録した電磁的記録をいう。以下この章において同じ。)を作成しなければならない。
一第三百八十二条の給付を命ずる旨
二請求の趣旨及び原因
三当事者及び法定代理人
2裁判所書記官は、前項の規定により電子支払督促を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。
民事訴訟法 第388条(電子支払督促の送達) 詳細ページ
(電子支払督促の送達)
第三百八十八条電子支払督促(前条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。以下この章において同じ。)は、債務者に送達しなければならない。
2支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。
3債権者が申し出た場所に債務者の住所、居所、営業所若しくは事務所又は就業場所がないため、電子支払督促を送達することができないときは、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知しなければならない。この場合において、債権者が通知を受けた日から二月の不変期間内にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなす。
民事訴訟法 第389条(支払督促の更正) 詳細ページ
(支払督促の更正)
第三百八十九条第七十四条第一項及び第二項の規定は、支払督促について準用する。
2仮執行の宣言後に適法な督促異議の申立てがあったときは、前項において準用する第七十四条第一項の規定による更正の処分に対する異議の申立ては、することができない。
民事訴訟法 第390条(仮執行の宣言前の督促異議) 詳細ページ
(仮執行の宣言前の督促異議)
第三百九十条仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
民事訴訟法 第391条(仮執行の宣言) 詳細ページ
(仮執行の宣言)
第三百九十一条債務者が電子支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、電子支払督促に手続の費用額を併せて記録して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。
2仮執行の宣言は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子支払督促に記録し、これを当事者に送達しなければならない。ただし、債権者の同意があるときは、当該債権者に対しては、当該記録をした電子支払督促に記録された事項を出力することにより作成した書面を送付することをもって、送達に代えることができる。
3第三百八十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する。
4前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5第二百六十条及び第三百八十八条第二項の規定は、第一項の仮執行の宣言について準用する。
民事訴訟法 第392条(期間の徒過による支払督促の失効) 詳細ページ
(期間の徒過による支払督促の失効)
第三百九十二条債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。
民事訴訟法 第393条(仮執行の宣言後の督促異議) 詳細ページ
(仮執行の宣言後の督促異議)
第三百九十三条仮執行の宣言を付した電子支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。
民事訴訟法 第394条(督促異議の却下) 詳細ページ
(督促異議の却下)
第三百九十四条簡易裁判所は、督促異議を不適法であると認めるときは、督促異議に係る請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、決定で、その督促異議を却下しなければならない。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第395条(督促異議の申立てによる訴訟への移行) 詳細ページ
(督促異議の申立てによる訴訟への移行)
第三百九十五条適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、督促手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
民事訴訟法 第396条(支払督促の効力) 詳細ページ
(支払督促の効力)
第三百九十六条仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。