民事訴訟法 / テーマ別まとめ

第一審の訴訟手続/訴え

訴えの条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

このページは、第一審における訴えの提起方法や訴状の記載事項、訴状審査・却下の手続、訴えの変更・反訴・中間確認の訴えなど、訴えに関するルールを整理しています。訴状の不備や手数料・呼出費用の未納があった場合の督促から却下に至るまでの流れも扱います。

訴え
類型要件・ポイント
証書真否確認の訴え書面の成立の真否を確定するため提起可
将来の給付の訴えあらかじめ請求の必要がある場合のみ
訴えの変更請求の基礎に変更がない範囲で可能
反訴本訴と関連する請求に限り提起可
中間確認の訴え争いのある法律関係の確認を請求拡張
選定者に係る請求の追加選定当事者の制度に基づき追加可能
  • 訴状審査での不備補正命令に従わないと却下、その命令には即時抗告ができる(137条)
  • 手数料未納の督促処分への異議申立ては告知日から1週間の不変期間内、異議には執行停止効あり(137条の2)
  • 送達不能・送達費用未納の場合も137条の手続を準用する(138条2項)
  • 呼出費用予納がない場合の却下は被告に異議がないときに限る(141条)
  • 係属中の事件について当事者は更に訴えを提起できない(142条)
  • 訴え提起や請求拡張の書面提出時点で時効の完成猶予の効力が生じる(147条)
1

訴え

訴えについて、条文は何を定めているか。

第134条訴え提起の方式訴状提出時に当事者と請求内容を記載2項・2号判例 19件
  • 訴えは訴状を裁判所に提出して行う
  • 訴状には当事者・法定代理人を記載する
  • 訴状には請求の趣旨と原因を記載する
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第134_2条証書真否確認の訴え書面の真否だけを確認する訴えも可能1項判例なし
  • 確認の訴えは法律関係を証する書面の成立の真否確定にも使える
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第135条将来の給付の訴え将来分の請求は必要性がある場合のみ可1項判例 3件
  • あらかじめ請求する必要がある場合に限り提起できる
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第136条請求の併合複数請求は同種の訴訟手続なら一つの訴えでOK1項判例 5件
  • 数個の請求は同種の訴訟手続による場合に限り併合できる
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第137条裁判長の訴状審査権訴状に不備があれば補正を命じ、従わなければ却下3項判例 8件
  • 当事者・請求の記載に不備があれば裁判長が補正期間を定める
  • 期間内に補正しないと裁判長の命令で訴状却下
  • 却下命令には即時抗告ができる
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第137_2条訴えの提起の手数料の納付がない場合の訴状却下手数料を払わないと督促され、最後は却下も9項判例なし
  • 書記官が期間を定め手数料納付を命じる処分をする
  • 異議申立ては告知日から1週間の不変期間内、執行停止効あり
  • 命じられた額を納付しないと裁判長が命令で訴状却下
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第138条訴状の送達訴状は被告に送達、送達できないと137条〈裁判長の訴状審査権〉を準用2項判例 5件
  • 訴状は被告に送達しなければならない
  • 送達不能や送達費用未納の場合は137条〈裁判長の訴状審査権〉の手続を準用
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第139条口頭弁論期日の指定訴え提起後は裁判長が期日を指定し当事者を呼出す1項判例 9件
  • 訴え提起があれば裁判長が口頭弁論期日を指定し呼出す
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第140条口頭弁論を経ない訴えの却下補正不能な不適法な訴えは弁論なしで却下可1項判例 9件
  • 不適法で不備を補正できない訴えは口頭弁論を経ず判決で却下できる
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第141条呼出費用の予納がない場合の訴えの却下呼出費用を予納しないと被告の異議なしで却下可2項判例 9件
  • 呼出費用の予納命令に従わない場合、被告に異議がなければ決定で却下
  • この却下決定には即時抗告ができる
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第142条重複する訴えの提起の禁止同じ事件は二重に訴えを起こせない1項判例 11件
  • 裁判所に係属中の事件について当事者は更に訴え提起できない
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第143条訴えの変更請求内容は弁論終結まで基礎を変えずに変更可4項判例 14件
  • 請求の基礎に変更がなければ口頭弁論終結まで請求・原因を変更できる
  • 著しく訴訟遅滞させる変更は認められない
  • 変更は書面で行い相手方に送達、不当なら変更不許可決定
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第144条選定者に係る請求の追加選定当事者制度で選定者のため請求を追加できる3項判例 7件
  • 原告となるべき者の選定があれば口頭弁論終結までその選定者のため請求追加可
  • 被告となるべき者の選定があれば原告が選定者に係る請求を追加できる
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第145条中間確認の訴え審理中の争点である法律関係の確認を求められる4項判例なし
  • 訴訟進行中に争いとなっている法律関係の確認判決を請求拡張で求められる
  • 他の裁判所の専属管轄に属する確認請求は原則できない
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第146条反訴被告は関連請求なら口頭弁論終結まで反訴できる4項・2号判例 6件
  • 本訴の請求・防御方法と関連する請求に限り反訴を提起できる
  • 他の裁判所の専属管轄に属するときや著しい遅滞となるときは不可
  • 反訴には訴えに関する規定が適用される
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第147条裁判上の請求による時効の完成猶予等訴え提起時に時効の完成猶予の効力が生じる1項判例 19件
  • 訴え提起時に時効の完成猶予・期間遵守に必要な裁判上の請求ありとみなす
  • 請求変更等の書面提出時も同様に扱われる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第134条民事訴訟法

養親の相続財産全部の包括受遺者が提起する養子縁組の無効の訴えと訴えの利益の有無

裁判要旨養子縁組の無効の訴えを提起する者は,養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに当該訴えにつき法律上の利益を有するとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成31年3月5日 平成30(受)1197
登載
集民 第261号75頁
参照法条
民法802条,民法964条,民訴法134条,人事訴訟法2条3号
論点2第134条民事訴訟法

弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えの適否

裁判要旨弁護士法23条の2第2項に基づく照会をした弁護士会が,その相手方に対し,当該照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成30年12月21日 平成29(受)1793
登載
民集 第72巻6号1368頁
参照法条
弁護士法23条の2,民訴法134条
論点3第134条民事訴訟法

借地借家法32条1項の規定に基づく賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の確定判決の既判力

裁判要旨借地借家法32条1項の規定に基づく賃料増減請求により増減された賃料額の確認を求める訴訟の確定判決の既判力は,原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り,前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成26年9月25日 平成25(受)1649
登載
民集 第68巻7号661頁
参照法条
借地借家法32条1項,民訴法114条1項,民訴法134条
論点4第134条民事訴訟法

共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者と遺産確認の訴えの当事者適格

裁判要旨共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年2月14日 平成23(受)603
登載
民集 第68巻2号113頁
参照法条
民訴法第1編第3章 当事者,民訴法40条,民訴法134条,民法898条,民法905条
論点5第134条民事訴訟法

当事者が土地賃借権そのものを有することの確認を求め,地代額の確認まで求めたとはいえないにもかかわらず,判決の主文で地代額を確認することの適否

裁判要旨当事者が土地賃借権そのものを有することの確認を求め,地代額の
確認まで求めたとはいえないにもかかわらず,地代額の確認をも求
めているものとして主文で地代額を確認した判決には,当事者が申し立てていない事項について判決をした違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成24年1月31日 平成21(受)1766
登載
集民 第239号659頁
参照法条
民訴法134条,民訴法246条,民法601条
論点6第134条民事訴訟法

土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき,確認の利益を欠くとされた事例

裁判要旨表題部所有者の登記も所有権の登記もない土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えは,次の(1)〜(3)の事情の下では,確認の利益を欠く。
(1) 国は,当該土地が国の所有に属していないことを自認している。
(2) 国は,上記の者が主張する取得時効の起算点よりも前に当該土地の所有権を失った。
(3) 上記の者において,当該土地につき自己を表題部所有者とする登記の申請をした上で保存登記の申請をする手続を尽くしたにもかかわらず所有名義を取得することができなかったなどの事情もうかがわれない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年6月3日 平成22(受)285
登載
集民 第237号9頁
参照法条
民訴法134条,民法239条2項
論点7第134条民事訴訟法

定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えの確認の利益

裁判要旨共同相続人間において定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えには,上記債権の帰属に争いがある限り,確認の利益がある。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成22年10月8日 平成21(受)565
登載
民集 第64巻7号1719頁
参照法条
民訴法134条,民法264条,民法427条,民法898条,民法899条,民法907条,郵便貯金法7条1項3号
論点8第134条民事訴訟法

遺留分減殺請求を受けた受遺者が,民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが,目的物の現物返還請求も価額弁償請求も受けていない場合において,受遺者の提起した弁償すべき額の確定を求める訴えに確認の利益があるか

裁判要旨遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者が,民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが,遺留分権利者から目的物の現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合において,弁償すべき額につき当事者間に争いがあり,受遺者が判決によってこれが確定されたときは速やかに支払う意思がある旨を表明して,弁償すべき額の確定を求める訴えを提起したときは,受遺者においておよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り,上記訴えには確認の利益がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年12月18日 平成21(受)35
登載
民集 第63巻10号2900頁
参照法条
民法1041条1項,民訴法134条
論点9第134条民事訴訟法

1 学校法人がその設置,運営する大学に勤務する教授に対し同教授の地元新聞紙上における発言等を理由としてした戒告処分が無効とされた事例
2 学校法人がその設置,運営する大学に勤務する教授に対し教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求めた要請が業務命令に当たるとして,その無効確認を求める訴えが適法とされた事例
3 学校法人がその設置,運営する大学に勤務する教授に対し業務命令として教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求めた要請が無効とされた事例

裁判要旨1 学校法人が,その設置,運営する大学に勤務する教授に対し,同教授の地元新聞紙上における発言等を理由として戒告処分をした場合において,上記発言が新聞紙上に掲載されても上記学校法人の社会的評価の低下毀損を生じさせるとは認め難いなど判示の事情の下では,上記戒告処分は懲戒権を濫用するものとして無効である。
2 学校法人が,その設置,運営する大学に勤務する教授に対し,教授会の決議を受けて,教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求める要請をした場合において,上記学校法人の規程上,業務命令権の行使が教授会等の機関に専権的に委任されているとは認められないなど判示の事情の下では,上記要請は上記学校法人が使用者としての立場から上記教授に発した業務命令に当たり,その無効確認を求める訴えは適法である。
3 学校法人が,その設置,運営する大学に勤務する教授に対し,業務命令として,教授会への出席その他の教育諸活動をやめるよう求める要請をした場合において,それが制裁的意図に基づく差別的取扱いとみられてもやむを得ない行為であるなど判示の事情の下では,上記要請は,業務上の必要性を欠き,社会通念上著しく合理性を欠くものであって,業務命令権を濫用するものとして無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成19年7月13日 平成18(受)347
登載
集民 第225号117頁
参照法条
(1につき)労働基準法89条 (2,3につき)民法623条,労働基準法第2章 労働契約 (2につき)民訴法134条
論点10第134条民事訴訟法

1 宗教法人の責任役員及び代表役員を選定する檀信徒総会決議の不存在確認の訴えにつき確認の利益があるとされた事例
2 責任役員又は責任役員代務者と称して宗教法人の運営にかかわってきた檀信徒が責任役員及び代表役員を選定するための檀信徒総会を招集することが許されるとされた事例

裁判要旨1 宗教法人Yの檀信徒であるXが提起した丙をYの責任役員及び代表役員に選定する檀信徒総会決議の不存在確認の訴えは,Yの規則により檀信徒総会に責任役員及び代表役員を選定する権限が与えられていること,XとYとの間には丙がYの責任役員及び代表役員であることについて上記決議に対する疑義から派生した争いがあることなど判示の事情の下では,確認の利益が認められる。
2 代表役員及び責任役員を欠き,檀信徒総会においてこれを選定しなければならない状態にあった宗教法人Yにおいて,ただ1人責任役員として檀信徒総会を招集することのできた丁が責任役員としての事務を執行することを期待できない状態にあったこと,檀信徒である戊,Dが責任役員又は責任役員代務者と称してYの運営にかかわってきたことなど判示の事情の下では,戊及びDは,丁が責任役員としての権利義務を行使しないことを表明していなくても,責任役員及び代表役員を選定するための檀信徒総会を招集することが許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年11月8日 平成16(受)1939
登載
集民 第218号263頁
参照法条
(1,2につき)宗教法人法18条 (1につき)民訴法134条,宗教法人法12条 (2につき)宗教法人法19条,宗教法人法20条
論点11第134条民事訴訟法

共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えと固有必要的共同訴訟

裁判要旨共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年7月6日 平成15(受)1153
登載
民集 第58巻5号1319頁
参照法条
民訴法40条,民訴法134条,民法891条,民法898条
論点12第134条民事訴訟法

社団たる医療法人の社員の入社承認,理事選任及び診療所の開設に係る定款変更の各社員総会決議不存在確認の訴えにつきいずれも確認の利益があるとされた事例

裁判要旨社団たる医療法人の社員甲が提起した社員乙の入社承認,理事選任及び診療所の開設に係る定款変更の各社員総会決議不存在確認の訴えは,甲が,甲の議決権の割合を低下させる乙の入社を否定し,当該医療法人の常務を処理する権限を有する理事の選任を否定し,決議に基づき開設された診療所の運営の適法性を争っているなど判示の事情の下においては,確認の利益がないとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年12月24日 平成14(受)1244
登載
集民 第215号1081頁
参照法条
民訴法134条,医療法44条2項3号,医療法44条2項6号,医療法44条2項7号,医療法50条,医療法68条,民法63条
論点13第134条民事訴訟法

民法九〇三条一項により算定されるいわゆる具体的相続分の価額又は割合の確認を求める訴えの適否

裁判要旨民法九〇三条一項により算定されるいわゆる具体的相続分の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合の確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年2月24日 平成11(受)110
登載
民集 第54巻2号523頁
参照法条
民法903条1項,民訴法134条
論点14第134条民事訴訟法

心神喪失の常況にある遺言者の生存中に推定相続人が提起した遺贈を内容とする遺言の無効確認の訴えの適否

裁判要旨遺言者の生存中に推定相続人が提起した遺贈を内容とする遺言の無効確認の訴えは、遺言者が心神喪失の常況にあって、遺言者による当該遺言の取消し又は変更の可能性が事実上ないとしても、不適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成11年6月11日 平成7(オ)1631
登載
集民 第193号369頁
参照法条
民訴法134条,民法964条,民法985条,民法1022条
論点15第134条民事訴訟法

取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合における先の決議の存否確認の利益

裁判要旨取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に、同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合には、後の決議がいわゆる全員出席総会において行われたなどの特段の事情のない限り、先の決議についても存否の確認の利益が認められる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年3月25日 平成10(オ)1183
登載
民集 第53巻3号580頁
参照法条
商法252条,民訴法134条
論点16第134条民事訴訟法

建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対し敷金返還請求権の存在確認を求める訴えにつき確認の利益があるとされた事例

裁判要旨建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対し敷金返還請求権の存在確認を求める訴えは、その内容が右賃貸借契約終了後建物の明渡しがされた時においてそれまでに生じた敷金の被担保債権を控除しなお残額があることを条件とする権利の確認を求めるものであり、賃貸人が賃借人の敷金交付の事実を争って敷金返還義務を負わないと主張しているときは、確認の利益がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年1月21日 平成7(オ)1445
登載
民集 第53巻1号1頁
参照法条
民訴法134条,民法619条2項
論点17第134条民事訴訟法

夫婦間における婚姻費用の分担の内容を定める合意の無効確認を求める訴えの適否

裁判要旨夫婦間における婚姻費用の分担の内容を定める合意の無効確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和7年9月4日 令和6(受)239
登載
民集 第79巻6号2637頁
参照法条
民法760条、民訴法134条の2、家事事件手続法39条、家事事件手続法別表第2の2の項
論点18第134条民事訴訟法

親子関係不存在確認の訴えについて確認の利益があるとされた事例

裁判要旨Xは、次の⑴、⑵など判示の事情の下においては、亡A及び亡Bと亡Cとの間の各親子関係の不存在確認の訴えにつき法律上の利益を有する。
⑴ Xは、亡A及び亡Bの孫であり、亡Cの戸籍上の甥である。
⑵ 亡A及び亡Bの子である亡Dの戸籍上の法定相続人はX及び亡Cの子らであり、亡Dの相続において、上記各親子関係の存否によりXの法定相続分に差異が生ずることになる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和4年6月24日 令和3(受)1463
登載
集民 第268号315頁
参照法条
民訴法134条、人事訴訟法2条2号
論点19第134条民事訴訟法

特許権の通常実施権者が,特許権者を被告として,特許権者の第三者に対する特許権侵害を理由とする損害賠償請求権が存在しないことの確認を求める訴えにつき,確認の利益を欠くとされた事例

裁判要旨特許権者であったYがXに対し特許権について通常実施権を許諾し,AがXから販売された機械装置を使用して製品を製造等した場合において,YのAに対する特許権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の行使によりAが損害を被ったときに,XがAに対し事前の合意に基づきその損害を補償し,その補償額についてYに対し上記の許諾に係る契約の債務不履行に基づく損害賠償請求をすることがあるとしても,Xが,Yを被告として,YのAに対する上記不法行為に基づく損害賠償請求権が存在しないことの確認を求める訴えは,確認の利益を欠く。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和2年9月7日 平成31(受)619
登載
民集 第74巻6号1599頁
参照法条
民訴法134条
論点20第135条民事訴訟法

将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しない
ものとされた事例

裁判要旨飛行場において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民らが精神
的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち
事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,将来の給付の訴えを提起す
ることのできる請求権としての適格を有しない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年12月8日 平成27(受)2309
登載
集民 第254号35頁
参照法条
民訴法135条
論点21第135条民事訴訟法

将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例

裁判要旨共有者の1人が共有物を第三者に賃貸して得る収益につき,その持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち,事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,その性質上,将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成24年12月21日 平成23(受)1626
登載
集民 第242号117頁
参照法条
民訴法135条
論点22第135条民事訴訟法

将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有
しないものとされた事例

裁判要旨飛行場において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,判決言渡日までの分についても,将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年5月29日 平成18(受)882
登載
集民 第224号391頁
参照法条
民訴法135条
論点23第136条民事訴訟法

裁判上の和解につき錯誤の主張が許されないとされた事例。

裁判要旨訴訟物たる債権の存否につき被告が答弁しないまま成立した裁判上の和解において、原告が右債権を有することを被告が認めるについての錯誤の主張は、民法第六九六条により許されないものと解するのを相当とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年2月12日 昭和35(オ)625
登載
民集 第17巻1号171頁
参照法条
民法696条,民訴法136条
論点24第136条民事訴訟法

受命裁判官による和解の勧告とその取消

裁判要旨受訴裁判所の決定により受命裁判官が和解を勧告し、それが打切られた形跡のないまま裁判所が合議の上弁論を終結したときは、その時に裁判所が右決定を取り消したものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年9月25日 昭和26(オ)718
登載
民集 第7巻9号1005頁
参照法条
民訴法136条,民訴法205条
論点25第136条民事訴訟法

1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,過払金が発生している時点で新たな借入れをしたときにおける利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項にいう「元本」の額
2 民訴法260条2項〈仮執行の宣言の失効及び原状回復等〉の裁判を求める申立ての相手方が破産手続開始の決定を受けた場合における同申立てに係る請求権の破産債権該当性
3 本案請求と民訴法260条2項の申立てに係る請求とが併合されている場合における本案請求に係る部分についてのみの受継又は続行命令の許否
4 訴訟当事者の一方が破産手続開始の決定を受け,破産債権である当該訴訟に係る請求権につき破産債権としての届出がないのに破産管財人に対して違法にされた続行命令の瑕疵が治癒されるとされた事例

裁判要旨1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,過払金が発生している時点で新たな借入れをしたときには,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項にいう「元本」の額は,新たな借入金に上記過払金を充当した後の額をいう。
2 民訴法260条2項〈仮執行の宣言の失効及び原状回復等〉の裁判を求める申立ての相手方が破産手続開始の決定を受けた場合における同申立てに係る請求権は,破産債権である。
3 本案請求と民訴法260条2項の裁判を求める申立てに係る請求とが併合されている訴訟手続の全部が中断した場合,同申立てについての適法な受継がされないまま,本案請求に係る部分についてのみ,当事者が受継の申立てをし,又は受訴裁判所が続行命令をすることは許されない。
4 訴訟当事者の一方が破産手続開始の決定を受け,破産債権である当該訴訟に係る請求権につき破産債権としての届出がないのに破産管財人に対して訴訟手続の続行命令が違法にされた瑕疵がある場合であっても,当該破産手続が既に終結し,かつ,破産管財人が当事者として関与した訴訟手続が全部勝訴判決の送達を受けたことなどにとどまるという事実関係の下においては,当該瑕疵は治癒される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成25年7月18日 平成23(受)1948
登載
集民 第244号55頁
参照法条
(1につき)利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項 (2,3につき)民訴法260条2項 (2につき)破産法2条5項 (3,4につき)民訴法129条 (3につき)民訴法124条,民訴法136条 (4につき)破産法100条1項,破産法111条1項,破産法220条
論点26第136条民事訴訟法

第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合における当該建物の明渡請求と併合されている他の請求の当否等についての控訴審の判断

裁判要旨第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合には,控訴審は,当該建物の明渡請求と併合されている賃料相当損害金等の支払請求の当否や同請求に対する抗弁において主張されている敷金返還請求権の存否についても,当該明渡しの事実を考慮することなく,判断すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成24年4月6日 平成22(受)754
登載
民集 第66巻6号2535頁
参照法条
民訴法136条,民訴法259条,民訴法260条,民事執行法22条2号
論点27第136条民事訴訟法

1 不法行為に基づく損害賠償請求訴訟につき民訴法の不法行為地の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するために証明すべき事項
2 ある管轄原因により我が国の裁判所の国際裁判管轄が肯定される請求の当事者間における他の請求につき民訴法の併合請求の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するための要件

裁判要旨1 我が国に住所等を有しない被告に対し提起された不法行為に基づく損害賠償請求訴訟につき,民訴法の不法行為地の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するためには,原則として,被告が我が国においてした行為により原告の法益について損害が生じたとの客観的事実関係が証明されれば足りる。
2 ある管轄原因により我が国の裁判所の国際裁判管轄が肯定される請求の当事者間における他の請求につき,民訴法の併合請求の裁判籍の規定に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するためには,両請求間に密接な関係が認められることを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成13年6月8日 平成12(オ)929
登載
民集 第55巻4号727頁
参照法条
民法709条,民訴法5条9号,民訴法7条本文,民訴法136条,民訴法247条,民訴法第1編第2章裁判所
論点28第137条民事訴訟法

不動産の売主が売買契約の効力を争い仮定的に取得時効を援用した場合ただちに取得時効を認めることの可否

裁判要旨不動産の売主が売買契約の効力の発生を争うとともに仮定的にその取得時効を援用した場合に、売買契約の効力につき判断することなく、売主のため取得時効の完成を認めることを妨げない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年11月25日 昭和42(オ)1055
登載
集民 第104号445頁
参照法条
民法162条,民訴法137条
論点29第137条民事訴訟法

訴状をもつてする賃貸借解約申入れをした旨の事実主張の撤回と右解約申入れの効果

裁判要旨訴状をもつて賃貸借契約の解約申入れをした事実および右解約申入れによる賃貸借契約終了の効果の発生を主張し、その後において右主張を撤回したからといつて、右解約申入れがされた事実までが消滅するものではなく、さらにその後において再度右主張をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月22日 昭和41(オ)431
登載
集民 第89号567頁
参照法条
民訴法137条,借家法1条ノ2
論点30第137条民事訴訟法

建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物から退去を求める訴訟において右占有者が建物敷地に独立の占有権原を有するとの主張は抗弁となりえないとされた事例

裁判要旨本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年7月23日 昭和39(オ)1308
登載
集民 第79号951頁
参照法条
民法206条,民訴法137条
論点31第137条民事訴訟法

一 弁論再開の不許と証拠提出の不当制限
二 国家賠償と賠償責任の負担者

裁判要旨一 裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新たな証拠の提出ができなかつたとしても、証拠提出を不当に制限したことにはならない(昭和二三年(オ)第七号、同年四月一七日第二小法廷判決、民集二巻四号一〇四頁参照)。
二 公務員の職務執行に基づく損害については、国家または公共団体がその責任を負い、当該公務員は被害者に対し、その責任を負担しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年8月30日 昭和37(オ)328
登載
集民 第67号361頁
参照法条
民訴法133条,民訴法137条,国家賠償法1条,民法709条
論点32第137条民事訴訟法

弁論再開申請の不採用は証拠提出の不当制限になるか。

裁判要旨弁論の再開を命ずると否とは裁判所の専権事項であつて、裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新な証拠の提出ができなかつたとしても、証拠提出を不当に制限したことにはならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年5月10日 昭和36(オ)565
登載
集民 第66号17頁
参照法条
民訴法133条,民訴法137条
論点33第137条民事訴訟法

一 弁論再開をしなかつたことは証拠申出の不当制限になるか
二 当事者一方の欠席と判決言渡期日の告知の効力
三 判決言渡期日変更の告知と不出頭当事者に対する効力

裁判要旨一 弁論の再開を命ずると否とは裁判所の専権事項であつて、裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新な証拠の提出ができなかつたとしても、それは証拠申出を不当に制限したものとはならない。
二 当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長において判決言渡期日を指定してこれを当事者に告知したときは、その告知は在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
三 当事者の一方が判決言渡期日を適法に告知されながら右期日に出頭しない場合に、言渡期日が変更され次回期日が指定告知されたときは、その告知は在廷しない当事者に対してもその効力を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年4月16日 昭和37(オ)528
登載
集民 第65号519頁
参照法条
民訴法133条,民訴法137条,民訴法207条,民訴法190条2項
論点34第137条民事訴訟法

一 弁論の再開申請の不採用と弁論の不当制限。
二 判決言渡期間の通知。

裁判要旨一 裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新たな証拠及び抗弁の提出ができなかつたとしても、それは、証拠及び抗弁を不当に制限したことにはならない。
二 口頭弁論期日の呼出状で判決言渡の期日を通知することは適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和23年4月17日 昭和23(オ)7
登載
民集 第2巻4号104頁
参照法条
民訴法133条,民訴法137条,民訴法144条,民訴法154条,民訴法190条
論点35第137条民事訴訟法

抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正命令を受けた者が,当該命令において定められた期間の経過後にこれを納付した場合の抗告状の効力

裁判要旨抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正命令を受けた者が,当該命令において定められた期間内にこれを納付しなかった場合においても,その不納付を理由とする抗告状却下命令が確定する前にこれを納付すれば,その不納付の瑕疵は補正され,抗告状は当初に遡って有効となる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年12月17日 平成27(行フ)1
登載
集民 第251号121頁
参照法条
民訴法137条,民訴法288条,民訴法331条
論点36第138条民事訴訟法

控訴審における民訴法一三八条の適用の有無

裁判要旨民訴法一三八条〈訴状の送達〉は控訴審にも適用がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年1月30日 昭和44(オ)885
登載
集民 第98号193頁
参照法条
民訴法138条
論点37第138条民事訴訟法

口頭弁論終結後その再開申立とともになされた答弁書および証拠の申出書の提出と印紙の納付義務

裁判要旨当事者が、口頭弁論終結後その再開申立とともに、それぞれ所定の印紙を貼用した答弁書および証拠の申出書を提出し、それが裁判所の行為を求める申立であると解されるときは、印紙の納付義務がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年10月21日 昭和41(オ)681
登載
集民 第97号55頁
参照法条
民訴法138条,民訴法258条,民事訴訟用印紙法6条ノ3第3号,民事訴訟用印紙法10条
論点38第138条民事訴訟法

訴訟代理委任状の未提出と民訴法第一三八条の適用。

裁判要旨訴訟代理の委任はなされたが、まだ代理委任状が裁判所に提出されていなかつた場合、当事者本人に対する適式な期日の呼出にかかわらず当該当事者が不出頭のときに、裁判所が民訴法第一三八条によつて相手方に弁論を命じたからといつて、何ら違法はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年10月15日 昭和37(オ)1241
登載
集民 第68号425頁
参照法条
民訴法138条
論点39第138条民事訴訟法

控訴審における民訴法第一三八条の適用の有無。

裁判要旨民訴法第一三八条〈訴状の送達〉は(被控訴人不出頭の場合にも)控訴審において適用がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年10月5日 昭和36(オ)949
登載
集民 第62号715頁
参照法条
民訴法138条
論点40第138条民事訴訟法

一 民訴第一五二条第四項〈口頭弁論の併合等〉にいわゆる口頭弁論における最初の期日
二 民訴第一五二条第四項にいわゆる顕著な事由に当らない一事例
三 民訴第一三八条〈訴状の送達〉は控訴審に適用があるか
四 民訴第一三八条にいわゆる最初になすべき口頭弁論期日

裁判要旨一 民訴第一五二条第四項〈口頭弁論の併合等〉にいわゆる口頭弁論における最初の期日とは、最初に指定された口頭弁論期日を指すものと解すべきである。
二 「当日代理人において都合悪く出頭できざるにつき」という期日変更申請の事由は、民訴第一五二条第四項にいわゆる顕著な事由に当るものとは認められない。

三 民訴第一三八条〈訴状の送達〉は、控訴審にも適用がある。

四 民訴第一三八条が控訴審にも適用がある場合、同条にいわゆる最初の口頭弁論期日とは、控訴審において最初の口頭弁論が行われた期日をいう。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和25年10月31日 昭和25(オ)193
登載
民集 第4巻10号516頁
参照法条
民訴法152条4項,民訴法152条4項。,民訴法138条
論点41第139条民事訴訟法

攻撃防禦方法の提出が遅れたことに故意または重大な過失がないとしてその提出を許容した原審の措置を適法とした事例

裁判要旨建物買取請求権およびその代金との引換給付を求める者の抗弁を第一審の最終口頭弁論期日および原審の第一回口頭弁論期日にいたつてはじめて提出した場合においても、当時賃貸人たる原告と訴外甲との間に別訴で係争土地の所有権の帰属が争われており、右抗弁を提出した被告らが甲から本件土地を賃借した旨主張して争つていた事情があるときは、被告らが右時機に右抗弁を提出したことに故意または重大な過失があるとはいえず、その提出を許容した原審の措置に違法があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年7月20日 昭和42(オ)912
登載
集民 第103号427頁
参照法条
民訴法139条
論点42第139条民事訴訟法

職権調査事項と民訴法第一三九条〈口頭弁論期日の指定〉

裁判要旨職権調査事項に関する当事者の主張については、民訴法第一三九条〈口頭弁論期日の指定〉の適用がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年9月14日 昭和42(行ツ)11
登載
民集 第21巻7号1807頁
参照法条
民訴法139条
論点43第139条民事訴訟法

民訴法第一三九条第一項〈口頭弁論期日の指定〉の重過失により時機に後れて提出された抗弁を認められた事例。

裁判要旨原判決の引用する一審判決判示(別紙抄録部分)の如き事情があるときは、上告人主張の相殺の抗弁は民訴法第一三九条第一項の重大なる過失により時機に後れて提出されたものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年4月23日 昭和37(オ)69
登載
集民 第73号375頁
参照法条
民訴法139条
論点44第139条民事訴訟法

証拠調が一部施行された主張を時機に後れて提出されたものとして却下することの可否。

裁判要旨その主張を立証する目的で申請された証拠調が一部施行された後でも、当事者の主張を時機に後れて提出されたものとして却下できないわけではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年3月15日 昭和37(オ)917
登載
民集 第17巻2号360頁
参照法条
民訴法139条
論点45第139条民事訴訟法

一 控訴審において請求の一部が減縮された場合における控訴判決の主文
二 時機に後れた防禦方法として抗弁が却下された事例

裁判要旨控訴審において請求の一部が減縮された場合に、残余部分について第一審判決を変更する理由のないときには、控訴棄却の主文をもつて判決すべきである(昭和二四年一一月八日第三小法廷判決、民集三巻一一号四九五頁等参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月13日 昭和36(オ)978
登載
集民 第70号249頁
参照法条
民訴法232条,民訴法384条,民訴法139条
論点46第139条民事訴訟法

一 時機に遅れた防禦方法の却下が正当とされた事例
二 第一、二審における自己の側の訴訟代理権欠缺の論旨に対し記録を検するも右訴訟委任の手続はすべて適式に行われていることが認められその欠缺を疑うべき点は見当らないとして所論が排斥された事例

裁判要旨所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、第一審以来原告の土地所有を認めこれを原告が既に訴外者に売却したと主張して来た被告が控訴審(同六回弁論期日)になつてはじめて原告の右所有を争い、原告先代から被告自身が所有権を取得したと主張することは、右訴訟の経過に鑑み故意かしからずとするも重大な過失によつて時機に遅れた防禦方法を提出するものと認めざるを得ないし、それが訴訟の完結を遅延せしむべきものであることは明白であるとして、控訴裁判所が右主張を却下したことは正当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月29日 昭和36(オ)1301
登載
集民 第61号435頁
参照法条
民訴法139条1項
論点47第139条民事訴訟法

一 抗弁の提出が時機に遅れた防禦方法ではないとされた事例
二 釈明義務に懈怠はないとされた事例

裁判要旨一 約束手形金請求訴訟において、原告が当初第一審で手形の受取人がDこと甲と主張したが、第二審で右主張を撤回し新たに受取人はDこと乙と主張した場合には、被告が右新主張を認めるとともに、裏書の連続を欠くから適法の所持人とみなすことができないとの抗弁を提出したとしても、右抗弁は時機に遅れて提出されたものとはいえない。
二 右訴訟において、手形に受取人として表示されているDが甲の商号であり、右手形を裏書した者が甲の使用人であつて、手形の記載上受取人と裏書人とが同一性を欠くことが明白である場合に、乙が甲の代理人として裏書したものであることについてなんら主張、立証の形跡がないときには、乙が甲の代理人として裏書したものかどうかを釈明する必要はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年3月27日 昭和34(オ)782
登載
集民 第59号621頁
参照法条
民訴法139条,民訴法127条
論点48第139条民事訴訟法

一 控訴審において初めて提出した攻撃防禦の方法と民訴第一三九条〈口頭弁論期日の指定〉の適用
二 借地法第一〇条による建物買取請求権行使の効果

裁判要旨一 控訴審において初めて提出した攻撃防禦の方法が、民訴第一三九条〈口頭弁論期日の指定〉にいわゆる時機に後れたるや否やは、第一審以来の訴訟手続の経過を通観してこれを判断すべく、時機に後れた攻撃防禦の方法であつても、当事者に故意または重大な過失が存し、かつ訴訟の完結を遅延せしめたる場合でなければ、同条によりこれを却下し得ないものと解すべきである。
二 借地法第一〇条による建物買取請求権の行使があるときは、これと同時に目的家屋の所有権は、当然土地賃貸人に移転するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年4月5日 昭和28(オ)759
登載
民集 第9巻4号439頁
参照法条
民訴法139条,借地法10条
論点49第139条民事訴訟法

一 昭和二七年法律第三〇七号公職選挙法改正法附則第二項の合憲性
二 書損を抹消して候補者氏名を記載した投票の効力
三 唯一の証拠方法と民訴第一三九条〈口頭弁論期日の指定〉の適用

裁判要旨一 昭和二七年法律第三〇七号公職選挙法改正法附則第二項が右改正によつて新たに設けられた第二〇九条の二を現に裁判所に係属している事件に適用すべきものとしたのは憲法第三一条に違反しない。
二 書損を抹消して候補者氏名を記載した投票は無効ではない。
三 唯一の証拠方法であつても時機に後れて提出された場合はこれを却下しても違法でない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和30年4月27日 昭和28(オ)720
登載
民集 第9巻5号582頁
参照法条
公職選挙法209条の2,公職選挙法68条1項本文5号,昭和27年法律307号(公職選挙法の一部を改正する法律)附則2項,民訴法139条,民訴法259条
論点50第140条民事訴訟法

控訴審における新たな相殺の主張と民訴法一四〇条の適用

裁判要旨控訴審における新たな相殺の主張は、その主張事実について民訴法一四〇条の適用がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年11月11日 昭和44(オ)847
登載
集民 第97号223頁
参照法条
民訴法140条
論点51第140条民事訴訟法

錯誤または詐欺による取消の主張について擬制自白の成立が認められなかつた事例

裁判要旨立木の売主甲より買主乙に対する売渡代金の請求訴訟において、甲勝訴の第一審判決後の控訴審で、乙が買受の意思表示に要素の錯誤があるか、または右意思表示が詐欺によるものとして取り消された旨の主張をしたのに対し、甲が弁論期日に欠席してその認否をしなかつたとしても、甲が右訴訟を維持している等の事実があるときは、甲は乙の右主張を争つているものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年3月28日 昭和42(オ)1357
登載
民集 第22巻3号707頁
参照法条
民訴法140条3項
論点52第140条民事訴訟法

一審判決に不服である旨の記載のある控訴状の記載と請求原因の事実についての認否の有無。

裁判要旨ただ単に一審判決の主文に対し不服である旨の控訴状の記載のみでは、請求原因たる事実についての認否を明らかにしているとはいえず、擬制自白が成立しうる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年2月21日 昭和38(オ)585
登載
集民 第72号235頁
参照法条
民訴法140条,民訴法367条
論点53第140条民事訴訟法

控訴人が被控訴人の主張を明らかに争わないで自白したものとみなされた事例

裁判要旨「控訴理由は追て提出する」と書いただけの控訴状を提出したまま、五回に及ぶ適式の呼出を受けながら、いずれも弁論期日に出頭しなかつた控訴人は、被控訴人提出の準備書面の記載内容を明らかに争わず自白したものとみなされる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月20日 昭和36(オ)956
登載
集民 第58号775頁
参照法条
民訴法140条1項,民訴法140条3項
論点54第140条民事訴訟法

控訴審における新たな主張と民訴法第一四〇条の適用

裁判要旨控訴審における新たな主張事実についても民訴第一四〇条第三項〈口頭弁論を経ない訴えの却下〉の適用がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年12月17日 昭和30(オ)782
登載
民集 第11巻13号2195頁
参照法条
民訴法140条
論点55第140条民事訴訟法

1 原告として確定されるべき者が訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが昭和47年9月29日の日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された国家としての中国であるとされた事例
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅が公知の事実である場合における代表権の消滅の効力発生時期
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に我が国政府が当該外国国家の政府として上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したために上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合における訴訟手続の中断
4 上告審が職権探知事項に当たる中断事由の存在を確認して原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨1 (1)本件訴訟は昭和42年9月6日に提起されたが,その訴状には,原告の表示として「中華民国」と,原告代表者の表示として「中華民国駐日本国特命全権大使」とそれぞれ記載されていたこと,(2)原告の訴訟代理人に訴訟代理権を授与したのは,中華民国駐日本国特命全権大使であったこと,(3)「中華民国」は,国家としての中国(中国国家)の国名として用いられてきたものであること,(4)我が国政府は,中国国家の政府として中華民国政府を承認し,昭和27年4月28日,同政府との間で,「日本国と中華民国との間の平和条約」を締結しており,訴訟提起当時,中国国家の我が国における代表権は,中華民国駐日本国特命全権大使が有していたこと,(5)中華民国政府は,訴訟提起当時,自らが中国国家の唯一の政府であると主張していたこと,(6)我が国政府が,昭和47年9月29日,「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明)において,中国国家の政府として,中華民国政府に代えて中華人民共和国政府を承認したことに伴って,中国国家の国名が「中華民国」から「中華人民共和国」に変更されたことなど判示の事実関係の下では,原告として確定されるべき者は,訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが,日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された中国国家というべきである。
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅は,それが公知の事実である場合には,相手方に通知されなくても直ちにその効力を生ずる。
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に,我が国政府が,当該外国国家の政府として,上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したため,上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合には,上記外交使節から訴訟代理権の授与を受けた訴訟代理人がいるとしても,上記代表権の消滅の時点で,訴訟手続は中断する。
4 上告審は,職権探知事項に当たる中断事由が存在することを確認して原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年3月27日 昭和62(オ)685
登載
民集 第61巻2号711頁
参照法条
(1につき)民訴法第1編第3章 当事者,民訴法133条2項1号 (2,3につき)民訴法37条 (2につき)民訴法36条1項 (3,4につき)民訴法124条1項3号 (3につき)民訴法58条1項4号,民訴法124条2項,外交関係に関するウィーン条約3条1(a) (4につき)民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条,旧民訴法395条1項4号
論点56第140条民事訴訟法

判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由に上告裁判所が原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨上告裁判所は,判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年1月16日 平成18(オ)1598
登載
集民 第223号1頁
参照法条
民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法312条2項1号,民訴法313条,民訴法319条
論点57第140条民事訴訟法

上告審が判決で訴訟の終了を宣言する前提として原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨上告審は,判決で訴訟の終了を宣言する前提として原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年9月4日 平成17(オ)1451
登載
集民 第221号1頁
参照法条
民訴法87条,民訴法124条1項,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条
論点58第140条民事訴訟法

1 地方税法585条1項にいう「土地又はその取得」の意義
2 上告審が不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する前提として原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨1 地方税法585条1項にいう「土地又はその取得」とは,経過的事実に則してとらえた土地の所有又はその所有権取得の事実をいい,所有権取得の原因となった法律行為が取消し,解除等により覆されたかどうかにかかわらない。
2 上告審は,不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する前提として原判決を破棄する場合には,口頭弁論を経ないでその旨の判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年12月17日 平成13(行ツ)205
登載
集民 第208号581頁
参照法条
地方税法585条1項,民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条
論点59第141条民事訴訟法

民訴法二七九条〈司法委員〉と責問権の放棄

裁判要旨裁判所が受命裁判官をして尋問させた証人及び本人について民訴法二七九条各号該当の事由がなかつたとしても、当事者が右証拠調につき遅滞なく異議を述べなかつたときは、責問権を放棄したものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年1月17日 昭和49(オ)8
登載
集民 第114号1頁
参照法条
民訴法141条,民訴法265条1項,民訴法279条,民訴法342条
論点60第141条民事訴訟法

書面の提出または送達のない訴の変更と責問権の喪失。

裁判要旨訴の変更についての書面の提出または送達の欠缺は、責問権の喪失によつて治癒される(昭和二七年(オ)第二八号同三一年六月一九日第三小法廷判決、民集一〇巻六号六六五頁)。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年11月19日 昭和39(オ)276
登載
集民 第76号199頁
参照法条
民訴法232条,民訴法141条
論点61第141条民事訴訟法

相手方訴訟当事者に対する本人尋問事項書不送達につき責問権の喪失が認められた事例

裁判要旨相手方訴訟当事者が出席する口頭弁論期日において、他方当事者側から本人尋問の申請がなされ、裁判所が次回口頭弁論期日に取調べる旨告知したにもかかわらず、相手方が右尋問期日に止むことを得ざる事由なくして出頭しなかつた場合には、相手方に本人尋問事項書の送達がなされなかつたとしても、右不送達に対する責問権の行使は認められない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月23日 昭和36(オ)765
登載
集民 第59号583頁
参照法条
民訴法141条,民訴規則31条
論点62第141条民事訴訟法

一 口頭弁論期日呼出手続の違法について責問権を喪失したと認められた事例
二 口頭弁論期日呼出手続の違法と新期日の指定の要否

裁判要旨一 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達がなされなかつたが、同代理人が同期日前に裁判所に出頭して受任事件記録を閲覧した際、同期日の指定を知つたが期日には出頭しなかつたときには、同代理人は同期日に出頭して同期日呼出手続の違法について異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法についての責問権を喪失したものというべきである。
二 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達はなされなかつたが、死亡した前代理人の遺族から同人に対する弁論期日の呼出状の交付を受け、かつ裁判所の過誤によつて同姓の相手方代理人に対する同期日の呼出状を受領したことによつて同期の日時を知りながら同期日に出頭しなかつたときは、同代理人は同期日に出頭して異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法についての責問権を喪失したものというべきである。

三 当事者に対する口頭弁論期日呼出の手続に違法な点があつても、裁判所は、必ずしも、新期日を指定し、当事者を呼び出す必要があるわけのものでもない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月16日 昭和34(オ)229
登載
集民 第59号373頁
参照法条
民訴法141条,民訴法152条,民訴法154条,民訴法160条
論点63第141条民事訴訟法

一 過大催告の効力を否定すべきでない場合
二 判決正本に裁判官の記名がない場合と責問権抛棄

裁判要旨一 正当な賃料額の提供があつても債権者においてこれを受領しないことが明らかであつたとの特別の事情が認められない以上、過大催告の効力を否定すべきでない。
二 送達された第一審判決正本に裁判官の記名がなくても、これを異議なく受領して控訴を提起している以上、責問権を抛棄したものと認められる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年10月4日 昭和35(オ)6
登載
集民 第62号679頁
参照法条
民法541条,民訴法193条,民訴法141条
論点64第141条民事訴訟法

一 一審において取り寄せ法廷に顕出された証拠書類であつてすでに還付ずみのものを控訴審において改めて取り寄せ法廷に顕出することなく証拠として採用することの適否。
二 行政事件訴訟特例法第九条但書に反する違法と責問権の放棄による治癒。

裁判要旨一 一審において取り寄せ法廷に顕出された証拠書類は、すでに還付ずみのものであつても、控訴審において当事者が一審の口頭弁論の結果を陳述することにより控訴審に顕出されたこととなるから、控訴審において改めて取り寄せ法廷に顕出することなくこれを証拠として採用することができる。
二 行政事件訴訟特例法第九条による職権証拠調の結果につき当事者の意見を聴かなかつたという違法は、責問権の放棄により治癒される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年4月9日 昭和33(オ)653
登載
民集 第13巻4号504頁
参照法条
民訴法377条,民訴法141条,行政事件訴訟特例法9条
論点65第141条民事訴訟法

一 産米供出個人割当額決定の方法につき法令上具体的の定めがない場合と右決定に当る村長の裁量権の限界
二 証人として尋問すべき者を職権により当事者として尋問した違法と責問権放棄の許否

裁判要旨一 産米供出個人割当額決定の方法につき法令上具体的の定めがない場合でも、右決定に当る村長は、この点につき一部落内の特定の生産者を何等いわれがなく他の生産者と区別して取り扱う裁量権を有するものではないが、判示の事実関係(判決理由参照)の下では、一部落内の特定の生産者をこの点につき他の生産者と区別して取り扱つたとしても、これをもつて、違法の裁量権の行使ということはできない。
二 職権による証人尋問の許される行政事件訴訟においては、証人として尋問すべき者を職権により当事者として尋問したという違法は、被尋問者が尋問を拒まず、当事者が異議を述べなかつた以上、責問権の放棄により治ゆされたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年6月24日 昭和28(オ)1015
登載
民集 第9巻7号930頁
参照法条
行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟特例法9条,食糧管理法3条,食糧管理法施行規則1条,食糧管理法施行規則3条,昭和23年農林省令115号附則2項,民訴法141条,民訴法336条
論点66第141条民事訴訟法

一 同一審級における同一証人の再尋問と宣誓の要否
二 宣誓を欠く証人尋問手続の違法と責問権
三 民事上告審判特例法の違憲を上告理由とすることの適否

裁判要旨一 同一審級において同一証人を再び尋問する場合においても、尋問事項を異にするときは、宣誓をなさしめることを要する。
二 宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失う。
三 最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律が違憲であることを上告理由とすることは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年2月11日 昭和26(オ)878
登載
民集 第8巻2号429頁
参照法条
民訴法285条,民訴法141条,民訴法394条
論点67第141条民事訴訟法

一 責問権喪失の事例
二 証拠申出の放棄と認められる事例
三 裁判所法第二六条第二項第一号の決定を変更する決定の適否
四 裁判所法第二六条第二項第一号の決定及びその変更決定の方式
五 合議体の審理が単独裁判官の審理に移行した場合と口頭弁論更新の要否
六 労務の提供と賃貸借契約の成否

裁判要旨一 甲証人尋問のため指定された期日に、別に期日外に申請されていた乙証人がたまたま在廷していたために、甲証人尋問に引き続いてその取調をした場合においても、当事者がその尋問について異議を述べなかつたときは、その証拠申請について特に意見を述べる機会が与えられていなくても、乙証人の証言を証拠とすることは差支えない。
二 本人尋問を申し出た当事者が、その尋問未済のまま口頭弁論終結に際して「他に主張立証はない」と述べたときは、その申出を放棄したものと認むべきである。
三 地方裁判所は、合議体で、裁判所法第二六条第二項一号の決定を変更して、一人の裁判官で事件を取り扱わしめる旨の決定をすることができる。
四 裁判所法第二六条第二項第一項の決定及びその変更決定は、口頭弁論調書若しくは合議体の裁判官全員の署名押印又は少くとも押印をもつて、記録上明白にして置くべきである。
五 合議体の審理が単独裁判官の審理に移行した場合において、その合議体の構成員が単独裁判官として引き続き審理をするときは、口頭弁論の更新を要しない。
六 家屋使用の対価としてその家屋の留守管理をする旨の契約は、賃貸借契約とはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年3月29日 昭和24(オ)63
登載
民集 第5巻5号177頁
参照法条
民訴法141条,民訴法258条,民訴法144条,民訴法207条,民訴法187条2項,裁判所法26条2項1号,民法601条
論点68第142条民事訴訟法

一 口頭弁論調書の成立時期

二 口頭弁論調書の更正

裁判要旨一 口頭弁論調書は、作成権限を有する裁判所書記官がこれを作成して署名(又は記名)捺印し、裁判長が認証のため捺印することによつて完成し、外部的には、完成された調書が当事者及び利害関係人の閲覧請求に応じうる状態に置かれた時、通常は当該事件記録に編綴されて裁判所書記官の保管のもとに置かれた時に成立する。

二 口頭弁論調書の記載内容に誤りがあるときは、当該調書を作成した裁判所書記官において、その認証者である裁判長の認証ないし承認のもとに、その誤りの内容に応じ適宜の方法でこれを更正することができるが、調書が外部的に成立した後においては、原調書とは別に更正調書を作成するか又は原調書の欄外に更正の個所・内容を明記して署名(又は記名)捺印する等、更正の趣旨及びその内容を明らかにするための措置を講ずることを要する。

(一、二につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和62年7月17日 昭和60(オ)726
登載
集民 第151号559頁
参照法条
民訴法142条,民訴法143条,民訴法144条,民訴法146条,民訴法147条,民訴法151条
論点69第142条民事訴訟法

上告理由で指摘された後に口頭弁論調書の作成が許されないとされた事例

裁判要旨高等裁判所の判決言渡が三人の裁判官による合議体によつてされなかつた旨の違法が上告理由で指摘されたのちにおいては、判決言渡が右の合議体によつてされた旨を記載する口頭弁論調書(更正調書)を作成することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月2日 昭和47(オ)257
登載
集民 第107号91頁
参照法条
裁判所法18条,民訴法142条,民訴法147条
論点70第142条民事訴訟法

上告理由で指摘された後に口頭弁論調書の作成が許されないとされた事例

裁判要旨当該口頭弁論期日の開かれた事跡が記録上見当らないことが上告理由で指摘された等判示事実関係のもとにおいては、その後、右期日の開かれた旨を記載する口頭弁論調書を作成することは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年5月23日 昭和39(オ)924
登載
民集 第21巻4号916頁
参照法条
民訴法142条,民訴法147条
論点71第142条民事訴訟法

一 適法に弁論の更新がなされたものと認めえない事例。
二 弁論の更新手続をしないでなされた判決の違法。

裁判要旨一 従前の口頭弁論の結果を陳述した旨の記載が、調書の完成後、立会書記官以外の者によつてなされたときは、適法に弁論の更新が行われたものと認めるをえない。
二 裁判官の更迭があつたのにかからず、適法に弁論の更新手続をしないで、更迭後の裁判官によつてなされた判決は、民訴第三九五条第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年11月4日 昭和31(オ)691
登載
民集 第12巻15号3247頁
参照法条
民訴法142条,民訴法147条,民訴法187条,民訴法395条
論点72第142条民事訴訟法

口頭弁論調書の謄本交付申請と交付すべき書類の範囲

裁判要旨口頭弁論調書の謄本交付申請がされた場合には、その申請の趣旨が基本調書部分若しくは証拠関係調書部分のみ又は基本調書と証拠関係調書の一部のみ(抄本)の交付を求めるにあると解されるときを除き、基本調書だけでなくこれと一体をなす証拠関係調書を合わせた口頭弁論調書全部の謄本を交付すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年2月7日 昭和63(オ)1375
登載
集民 第156号215頁
参照法条
民訴法142条,民訴法143条,民訴法144条,民訴法151条3項,民訴法151条4項,民訴規則9条
論点73第142条民事訴訟法

一 調書に判決言渡期日の記載がないときと判決言渡の証明
二 上告理由書で調書の瑕疵が指摘された後に作成された更正調書の証明力

裁判要旨一 判決言渡期日の調書に言渡年月日時刻の記載がないときは、判決が適法に言い渡されたことを証明することができない。
二 判決言渡期日の調書に言渡年月日時刻の記載がないことを上告理由書で指摘された後に右年月日時刻を記載して作成された更正調書によっては、判決が適法に言い渡されたことを証明することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年10月15日 平成1(オ)375
登載
集民 第163号355頁
参照法条
民訴法142条,民訴法143条1項,民訴法147条,民訴法387条,民訴法396条
論点74第142条民事訴訟法

本訴請求債権が時効消滅したと判断されることを条件とする,反訴における当該債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として,反訴において,当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年12月14日 平成25(オ)918
登載
民集 第69巻8号2295頁
参照法条
民法505条,民法508条,民訴法114条2項,民訴法142条,民訴法146条
論点75第142条民事訴訟法

1 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告を提起した後にされた他の共同訴訟人による上告の適否
2 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後にされた他の共同訴訟人による上告受理の申立ての適否

裁判要旨1 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告を提起した後に他の共同訴訟人が提起した上告は,二重上告として不適法である。
2 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後に他の共同訴訟人がした上告受理の申立ては,二重上告受理の申立てとして不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年2月17日 平成21(オ)1022
登載
集民 第236号67頁
参照法条
(1,2につき)民訴法40条1項,民訴法142条,民訴法297条,民訴法313条,人事訴訟法2条3号 (2につき)民訴法318条5項
論点76第142条民事訴訟法

反訴請求債権を自働債権とし本訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨本訴及び反訴が係属中に,反訴原告が,反訴請求債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは,異なる意思表示をしない限り,反訴を,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして,許される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年4月14日 平成16(受)519
登載
民集 第60巻4号1497頁
参照法条
民法505条,民訴法114条2項,民訴法142条,民訴法143条,民訴法146条
論点77第142条民事訴訟法

別訴において一部請求をしている債権の残部を自働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において、当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り、許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年6月30日 平成6(オ)698
登載
民集 第52巻4号1225頁
参照法条
民法505条,民訴法114条,民訴法142条
論点78第142条民事訴訟法

請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴の係属中における,上記本訴請求債権を自働債権とし上記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし,他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に,本訴原告が,反訴において,上記本訴請求債権を自働債権とし,上記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは許される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和2年9月11日 平成30(受)2064
登載
民集 第74巻6号1693頁
参照法条
民法505条1項,民訴法114条2項,民訴法142条,民訴法146条
論点79第143条民事訴訟法

裁判長の氏名の記載を欠く口頭弁論調書の効力

裁判要旨判決言渡に関与した裁判長の氏名の記載を欠く口頭弁論調書は、その調書の裁判長認印欄に認印があつても無効である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年9月11日 昭和54(オ)1184
登載
民集 第34巻5号737頁
参照法条
民訴法143条1項2号,民訴法147条
論点80第143条民事訴訟法

確定判決の弁論手続が民訴法一四三条に違反する場合と判決の絶対無効

裁判要旨確定判決の弁論手続に民訴法一四三条違反の違法があることを理由として、他の訴訟において、当該判決の無効を主張することは、許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年2月14日 昭和48(オ)552
登載
集民 第111号163頁
参照法条
民訴法143条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法394条,民訴法395条,民訴法420条
論点81第143条民事訴訟法

立会書記官の氏名の記載を欠く口頭弁論調書の効力

裁判要旨立会書記官の氏名の記載を欠く口頭弁論調書は無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年9月27日 昭和42(オ)418
登載
集民 第92号435頁
参照法条
民訴法143条2号,民訴法147条
論点82第143条民事訴訟法

代理人のみが出頭した調停期日において、本人および代理人の出頭を記載した調停調書の効力

裁判要旨代理人のみが出頭した調停期日において、調停調書に本人および代理人の出頭を記載しても、調停の効力に影響がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年4月20日 昭和41(オ)1185
登載
集民 第87号219頁
参照法条
民事調停法16条,民訴法143条4号
論点83第143条民事訴訟法

当事者尋問のため出頭した当事者本人の出頭を口頭弁論調書に記載することの要否

裁判要旨当事者尋問のため出頭した当事者本人の出頭を口頭弁論調書に記載することは必要でない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年1月12日 昭和40(オ)1160
登載
集民 第86号23頁
参照法条
民訴法143条
論点84第143条民事訴訟法

一 原告代理人と被告代理人を取り違えた調書の記載が明白な誤記と認められ判決に影響がないとされた事例。

二 不当な告訴によつて不法行為が成立するとされた事例。

裁判要旨松一本を盗伐した者が杉四七石、松二五石の盗伐の告訴を所有者から受けた場合には、実質と右告訴の内容とを異にし、これにより取調を受ける被告訴者の苦痛の程度もまた相違するから、右不当な内容の告訴により受ける精神的損害につき不法行為が成立しうる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年11月12日 昭和37(オ)965
登載
集民 第69号181頁
参照法条
民訴法394条,民訴法143条,民法709条
論点85第143条民事訴訟法

裁判官の署名捺印を欠く証人尋問調書の効力。

裁判要旨検証現場で取調べた証人の尋問調書が検証調書と一体をなし、検証調書に裁判官の署名捺印があるときは、証人尋問調書に裁判官の署名捺印を欠く瑕疵があつても、同調書の無効をきたすものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月7日 昭和32(オ)835
登載
民集 第13巻10号1262頁
参照法条
民訴法143条,民訴法144条,民訴法147条
論点86第143条民事訴訟法

訴訟代理人の出頭不出頭に関する口頭弁論調書の記載の効力

裁判要旨口頭弁論期日の調書に「控訴代理人何某出頭」と記載してある以上、同人が右期日に出頭したものと認める外はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年2月20日 昭和25(オ)65
登載
民集 第5巻3号78頁
参照法条
民訴法143条,民訴法147条
論点87第143条民事訴訟法

一 削除又は挿入の部分に裁判所書記の捺印を欠いた調書の効力
二 法の不知と毀棄罪の成立

裁判要旨一 調書中削除又は挿入の部分に裁判所書記の捺印を欠いても、これがために右調書の無効を来たすものではない。
二 耕作権があるから法律上許されるものと信じていたとしても、いやしくも他人の植えつけた稲苗であることを認識しながらこれを抜き取つた行為は、毀棄の罪に該当する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年5月26日 昭和24(オ)54
登載
民集 第4巻5号191頁
参照法条
民訴法143条,刑法38条,刑法261条
論点88第143条民事訴訟法

仮差押命令により保全される債権の範囲

裁判要旨仮差押命令は,当該命令に表示された被保全債権と異なる債権についても,これが上記被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば,その実現を保全する効力を有する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成24年2月23日 平成23(受)268
登載
民集 第66巻3号1163頁
参照法条
民事保全法20条,民訴法143条1項
論点89第144条民事訴訟法

取得時効の成否の判断にあたり占有開始の起算日の調書の記載により右日時について当事者間に争いがないとした原判決の判断を違法といえないとした事例

裁判要旨取得時効の成否の判断にあたり、占有開始の起算日についてその弁論が、判示のように口頭弁論調書に記載されている以上、右日時をもつて占有を開始した事は当事者間に争いがない旨判示しても、原判決には違法があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月20日 昭和40(オ)246
登載
集民 第85号763頁
参照法条
民法162条,民訴法144条,民訴法147条,民訴法257条
論点90第144条民事訴訟法

口頭弁論調書における証人訊問の事実の記載

裁判要旨「口頭弁論調書」と題する書面に続いて編綴され、これと契印により連絡している証人調の顛末を録取した「調書」と題する書面は、口頭弁論調書の一部をなすものであるから、前者に証人某の出頭した旨が記載され、且つ、後者に裁判長が右証人を訊問した旨及びその陳述内容が記載されていれば、たとえ前者に右証人の訊問がなされた旨の記載がなくても、当該口頭弁論期日に右証人の訊問がなされた事実は、口頭弁論調書上明らかにされているものと見るべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和24年4月12日 昭和23(オ)115
登載
民集 第3巻4号104頁
参照法条
民訴法144条,民訴法147条
論点91第146条民事訴訟法

準備書面の陳述の有無と調書の記載

裁判要旨口頭弁論調書に準備書面が陳述された旨の記載がなく、かつ、その記載のないことにつき当事者から異議の述べられた形跡のない場合においては、特段の事情のないかぎり、右準備書面は口頭弁論期日に陳述されなかつたものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年2月6日 昭和44(オ)1053
登載
民集 第24巻2号81頁
参照法条
民訴法146条,民訴法147条
論点92第146条民事訴訟法

一 判決言渡の方式遵守を記載した口頭弁論調書の効力
二 直前に施行された別件の証人尋問の調書を書証として提出することは可能か

裁判要旨一 判決言渡調書に判決がその原本に基き言い渡された旨記載されている以上、右言渡が判決原本に基かずしてなされたとの主張は、民訴第一四七条〈裁判上の請求による時効の完成猶予等〉により認められない。
二 別件の証人尋問の終了直後に引き続き開始された本件の口頭弁論において、右証人尋問の調書を書証として提出することは、不可能とはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年2月22日 昭和24(オ)224
登載
民集 第5巻3号102頁
参照法条
民訴法147条,民訴法189条1項,民訴法146条,民訴法322条
論点93第147条民事訴訟法

訴訟代理人の口頭弁論期日の出頭の有無は口頭弁論の方式に関する事項か。

裁判要旨訴訟代理人が口頭弁論期日に出頭したかどうかは、口頭弁論の方式に関する事項であつて、民訴法第一四七条〈裁判上の請求による時効の完成猶予等〉本文により調書によつてのみ証することができるものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年3月25日 昭和39(オ)240
登載
集民 第78号415頁
参照法条
民訴法147条
論点94第147条民事訴訟法

証人尋問中の当事者本人に対する退任命令の有無と口頭弁論調書の証明力

裁判要旨口頭弁論の方式に関する事項は、調書の記載のみによつて証明できるから、証人尋問中、当事者本人の退廷を命じたことの違法をいう所論は、右調書にその旨の記載がない以上採用できない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年2月2日 昭和35(オ)119
登載
集民 第58号501頁
参照法条
民訴法147条,民訴法298条
論点95第147条民事訴訟法

原審口頭弁論調書の記載に反する事実を以て上告理由とすることができるか

裁判要旨特段の反証のないかぎり原審口頭弁論調書の記載に反する事実を以て上告理由とすることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年1月30日 昭和34(オ)770
登載
集民 第58号373頁
参照法条
民訴法147条
論点96第147条民事訴訟法

判決言渡の方式を民訴法第一四七条にいう「口頭弁論の方式」

裁判要旨判決言渡の方式は民訴法第一四七条にいわゆる「口頭弁論の方式」に該当する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年12月21日 昭和35(オ)572
登載
集民 第63号795頁
参照法条
民訴法147条
論点97第147条民事訴訟法

1 いわゆる明示的一部請求の訴えに係る訴訟において,債権の一部消滅の抗弁に理由があると判断されたため判決において上記債権の総額の認定がされた場合における,残部についての消滅時効の中断
2 いわゆる明示的一部請求の訴えの提起と残部についての裁判上の催告としての消滅時効の中断
3 消滅時効期間の経過後,その経過前にした催告から6箇月以内にした催告と消滅時効の中断

裁判要旨1 数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示した訴えに係る訴訟において,債権の一部が消滅している旨の抗弁に理由があると判断されたため,判決において上記債権の総額の認定がされたとしても,当該訴えの提起は,残部について,裁判上の請求に準ずるものとして消滅時効の中断の効力を生ずるものではない。
2 数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合,債権者が将来にわたって残部をおよそ請求しない旨の意思を明らかにしているなど,残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情のない限り,当該訴えの提起は,残部について,裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生じ,債権者は,当該訴えに係る訴訟の終了後6箇月以内に民法153条所定の措置を講ずることにより,残部について消滅時効を確定的に中断することができる。
3 消滅時効期間が経過した後,その経過前にした催告から6箇月以内に再び催告をしても,第1の催告から6箇月以内に民法153条所定の措置を講じなかった以上は,第1の催告から6箇月を経過することにより,消滅時効が完成し,この理は,第2の催告が数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起されたことによる裁判上の催告であっても異ならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成25年6月6日 平成24(受)349
登載
民集 第67巻5号1208頁
参照法条
(1〜3につき)民法147条1号 (1につき)民法149条,民訴法147条 (2,3につき)民法153条
論点98第147条民事訴訟法

不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の係属によって不当利得返還請求権の消滅時効が中断するとされた事例

裁判要旨金員の着服を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において、右着服金員相当額の不当利得返還請求がその時効期間経過後に追加された場合、両請求が、基本的な請求原因事実を同じくする請求であり、着服金相当額の返還を請求する点において経済的に同一の給付を目的とする関係にあるなど判示の事情の下においては、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の係属中は、不当利得返還請求権につき催告が継続し、不当利得返還請求の追加により、その消滅時効は、確定的に中断されたものというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年12月17日 平成6(オ)857
登載
集民 第190号889頁
参照法条
民法147条1号,民法153条,民訴法147条
原

条文原文

原文ママ

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民事訴訟法 第134条(訴え提起の方式) 詳細ページ
(訴え提起の方式)
第百三十四条訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
2訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一当事者及び法定代理人
二請求の趣旨及び原因
民事訴訟法 第134_2条(証書真否確認の訴え) 詳細ページ
(証書真否確認の訴え)
第百三十四条の二確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができる。
民事訴訟法 第135条(将来の給付の訴え) 詳細ページ
(将来の給付の訴え)
第百三十五条将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。
民事訴訟法 第136条(請求の併合) 詳細ページ
(請求の併合)
第百三十六条数個の請求は、同種の訴訟手続による場合に限り、一の訴えですることができる。
民事訴訟法 第137条(裁判長の訴状審査権) 詳細ページ
(裁判長の訴状審査権)
第百三十七条訴状が第百三十四条第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。
2前項の場合において、原告が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない。
3前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第137_2条(訴えの提起の手数料の納付がない場合の訴状却下) 詳細ページ
(訴えの提起の手数料の納付がない場合の訴状却下)
第百三十七条の二民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い訴えの提起の手数料を納付しない場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に当該手数料を納付すべきことを命ずる処分をしなければならない。
2前項の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3第一項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
5裁判所は、第三項の異議の申立てがあった場合において、第一項の処分において納付を命じた額を超える額の訴えの提起の手数料を納付すべきと認めるときは、相当の期間を定め、その期間内に当該額を納付すべきことを命じなければならない。
6第一項又は前項の場合において、原告が納付を命じられた手数料を納付しないときは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない。
7前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。ただし、即時抗告をした者が、その者において相当と認める訴訟の目的の価額に応じて算出される民事訴訟費用等に関する法律の規定による訴えの提起の手数料を納付しないときは、この限りでない。
8前項ただし書の場合には、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
9前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
民事訴訟法 第138条(訴状の送達) 詳細ページ
(訴状の送達)
第百三十八条訴状は、被告に送達しなければならない。
2第百三十七条の規定は、訴状の送達をすることができない場合(訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
民事訴訟法 第139条(口頭弁論期日の指定) 詳細ページ
(口頭弁論期日の指定)
第百三十九条訴えの提起があったときは、裁判長は、口頭弁論の期日を指定し、当事者を呼び出さなければならない。
民事訴訟法 第140条(口頭弁論を経ない訴えの却下) 詳細ページ
(口頭弁論を経ない訴えの却下)
第百四十条訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。
民事訴訟法 第141条(呼出費用の予納がない場合の訴えの却下) 詳細ページ
(呼出費用の予納がない場合の訴えの却下)
第百四十一条裁判所は、民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い当事者に対する期日の呼出しに必要な費用の予納を相当の期間を定めて原告に命じた場合において、その予納がないときは、被告に異議がない場合に限り、決定で、訴えを却下することができる。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第142条(重複する訴えの提起の禁止) 詳細ページ
(重複する訴えの提起の禁止)
第百四十二条裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。
民事訴訟法 第143条(訴えの変更) 詳細ページ
(訴えの変更)
第百四十三条原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない。
2請求の変更は、書面でしなければならない。
3前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
4裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。
民事訴訟法 第144条(選定者に係る請求の追加) 詳細ページ
(選定者に係る請求の追加)
第百四十四条第三十条第三項の規定による原告となるべき者の選定があった場合には、その者は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者のために請求の追加をすることができる。
2第三十条第三項の規定による被告となるべき者の選定があった場合には、原告は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者に係る請求の追加をすることができる。
3前条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定は、前二項の請求の追加について準用する。
民事訴訟法 第145条(中間確認の訴え) 詳細ページ
(中間確認の訴え)
第百四十五条裁判が訴訟の進行中に争いとなっている法律関係の成立又は不成立に係るときは、当事者は、請求を拡張して、その法律関係の確認の判決を求めることができる。ただし、その確認の請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するときは、この限りでない。
2前項の訴訟が係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、前項の確認の請求が同条第一項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項ただし書の規定は、適用しない。
3日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により第一項の確認の請求について管轄権を有しないときは、当事者は、同項の確認の判決を求めることができない。
4第百四十三条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定による請求の拡張について準用する。
民事訴訟法 第146条(反訴) 詳細ページ
(反訴)
第百四十六条被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。
二反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
2本訴の係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第一号の規定は、適用しない。
3日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について管轄権を有しないときは、この限りでない。
4反訴については、訴えに関する規定による。
民事訴訟法 第147条(裁判上の請求による時効の完成猶予等) 詳細ページ
(裁判上の請求による時効の完成猶予等)
第百四十七条訴えが提起されたとき、又は第百四十三条第二項(第百四十四条第三項及び第百四十五条第四項において準用する場合を含む。)の書面が裁判所に提出されたときは、その時に時効の完成猶予又は法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求があったものとする。
出

一次情報

原文ママ

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