刑事訴訟法 / テーマ別まとめ

総則/被告人の召喚、勾引及び勾留

被告人の召喚、勾引及び勾留の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

被告人の召喚、勾引及び勾留は、被告人を裁判所などに出頭させ、または身柄を拘束するための手続を定めています。召喚は書面で出頭を求める緩やかな方法であるのに対し、勾引・勾留は一定の要件を満たす場合に身柄を直接拘束する強い措置です。この項目では、それぞれの要件、必要な令状の記載事項、執行方法や期間を整理しています。

被告人の召喚、勾引及び勾留
区分要件必要書面期間・効力
召喚相当な猶予期間を置いて呼出し召喚状正当理由なく不出頭で勾引状
勾引住居不定、または召喚に不応勾引状引致後24時間以内に釈放
勾留有罪の疑い+住居不定・罪証隠滅・逃亡のおそれ勾留状起訴日から2箇月、以後1箇月ごと更新
  • 勾留期間の更新は原則1回限り(第89条1号・3号・4号・6号の場合を除く)
  • 勾留するには被告事件を告げ陳述を聴く必要がある(逃亡した場合を除く)
  • 罰金30万円以下等の軽い事件は住居不定の場合に限り勾留できる
  • 嘱託により勾引状を発した場合、24時間以内に人違いでないか取り調べる
  • 勾引状・勾留状の執行は検察官の指揮で検察事務官等が行う
  • 勾引したときは公訴事実の要旨と弁護人選任権を告知する
1

被告人の召喚、勾引及び勾留

被告人の召喚、勾引及び勾留について、条文は何を定めているか。

第57条召喚は猶予期間を置いて行う1項判例 1件
  • 裁判所規則で定める相当の猶予期間を置いて被告人を召喚する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第58条住居不定や不出頭なら勾引できる1項・2号判例 3件
  • 住居が定まっていないとき勾引できる
  • 正当な理由なく召喚に応じない、またはそのおそれがあるとき勾引できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第59条勾引後24時間で釈放が原則1項判例なし
  • 引致から24時間以内に釈放しなければならない
  • 24時間以内に勾留状が出れば釈放しなくてよい
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第60条住居不定・罪証隠滅・逃亡で勾留3項・3号判例 44件
  • 罪を犯したと疑う相当な理由に加え、住居不定・罪証隠滅または逃亡のおそれが必要
  • 勾留期間は起訴日から2箇月、以後1箇月ごとに更新(原則1回限り)
  • 罰金30万円以下等の軽い事件は住居不定の場合に限り勾留できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第61条勾留前に本人の言い分を聴く1項判例 7件
  • 勾留するには被告事件を告げ、陳述を聴く必要がある
  • 被告人が逃亡した場合はこの手続を経なくてよい
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第62条召喚・勾引・勾留は令状が必要1項判例 5件
  • 召喚状・勾引状・勾留状のいずれかを発して行う
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第63条召喚状に書くべき事項1項判例 4件
  • 氏名・住居、罪名、出頭日時・場所を記載する
  • 正当理由なく不出頭なら勾引状が出る旨も記載する
  • 裁判長または受命裁判官が記名押印する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第64条勾引状・勾留状に書くべき事項3項判例 17件
  • 氏名・住居、罪名、公訴事実の要旨、引致場所等を記載する
  • 有効期間経過後は執行できず令状は返還する旨を記載する
  • 氏名不明なら人相・体格等で、住居不明なら住居記載は不要
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第65条召喚状は送達、代わりの方法もある3項判例 2件
  • 召喚状は送達して効力を生じる
  • 出頭する旨の書面提出や口頭の次回出頭命令も送達と同じ効力を持つ
  • 近くの刑事施設にいれば施設職員への通知で足りる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第66条遠方の勾引は他の裁判官に嘱託できる5項判例 2件
  • 被告人の現在地の裁判官に勾引を嘱託できる
  • 受託裁判官は他の裁判官に転嘱・嘱託移送できる
  • 嘱託を受けた裁判官が勾引状を発する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第67条嘱託先での人違い確認と送致3項判例 2件
  • 引致から24時間以内に人違いでないか取り調べる
  • 人違いでなければ指定裁判所へ送致し到着期間を定める
  • 24時間の起算は指定裁判所への到着時からとなる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第68条出頭・同行命令に応じなければ勾引1項判例 2件
  • 必要なら指定場所への出頭・同行を命じられる
  • 正当理由なく応じなければその場所へ勾引できる
  • 24時間の起算はその場所への引致時からとなる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第69条急ぐ場合は裁判長単独でも処分可1項判例 3件
  • 急速を要する場合、召喚・勾引・勾留等の処分を裁判長が単独でできる
  • 合議体の構成員に行わせることもできる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第70条令状執行は検察官の指揮で行う2項判例 1件
  • 検察事務官または司法警察職員が執行する
  • 急ぐ場合は裁判長等が執行を指揮できる
  • 刑事施設内の被告人への勾留状は施設職員が執行する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第71条管轄区域外でも令状執行できる1項判例 8件
  • 必要なら管轄区域外で勾引状・勾留状を執行できる
  • その地の検察事務官・司法警察職員に執行を求めることもできる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第72条現在地不明なら検事長に捜査を嘱託2項判例なし
  • 現在地不明なら検事長に捜査・令状執行を嘱託できる
  • 嘱託を受けた検事長は管内検察官に手続をさせる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第73条令状執行は令状を示して引致3項判例 4件
  • 勾引状は速やかに直接、指定裁判所等に引致する
  • 勾留状は速やかに直接、指定刑事施設に引致する
  • 令状不所持で急ぐ場合は事実の要旨等を告げて執行できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第74条護送中は最寄り施設に仮留置可1項判例 2件
  • 護送に必要なら最寄りの刑事施設に仮に留置できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第75条引致後は刑事施設に留置できる1項判例 2件
  • 勾引状執行後、必要なら刑事施設に留置できる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第76条勾引時は事実の要旨と弁護人選任権を告知4項判例 2件
  • 勾引したら直ちに公訴事実の要旨と弁護人選任権を告げる
  • 弁護人がいれば公訴事実の要旨のみでよい
  • 貧困等で自ら選任できない場合は選任請求できる旨も告げる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第57条刑事訴訟法

召喚、勾引に関し不服をいう特別抗告が利益を欠くとして不適法とされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年12月7日 昭和53(し)99
登載
集刑 第213号957頁
参照法条
刑訴法57条,刑訴法58条
論点2第58条刑事訴訟法

一 間接国税犯則者処分法第二条により裁判官の発した臨検捜索許可状および差押許可状と憲法第三五条にいわゆる「令状」
二 間接国税に関する犯則事件を調査するため数名の収税官吏が共同してした質問および共同して作成した顛末書の適否

裁判要旨一 裁判官が間接国税犯則者処分法(昭和二二年法律第二九号による改正法律)第二条により発した臨検捜索許可状、および差押許可状は、憲法第三五条にいわゆる「令状」にあたる。
二 収税官吏が間接国税犯則者処分法(昭和二二年法律第二九号による改正法律)第一条第一項により質問し、同法第一〇条により顛末書を作成するにあたり、数名の収税官吏が共同して質問し、共同して顛末書を作成しても、必ずしも違法無効ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年7月11日 昭和24(れ)2590
登載
刑集 第6巻7号890頁
参照法条
間接国税犯則者処分法(昭和22年法律29号による改正法律)2条,間接国税犯則者処分法(昭和22年法律29号による改正法律)1条1項,間接国税犯則者処分法(昭和22年法律29号による改正法律)10条,憲法35条,旧刑訴法56条,旧刑訴法58条
論点3第58条刑事訴訟法

一 旧刑訴法第一三九条但書の司法警察吏の立会と該立会人の署名捺印なき調書の効力
二 刑訴応急措置法に基く逮捕状により逮捕された被疑者に対する司法警察官の訊問調書の証拠能力

裁判要旨一 旧刑訴法第一三九条但書は司法警察官訊問を為す場合においては司法警察吏をして立会わしむべしと規定しているのであるが、立会人が調書に署名捺印すべき規定はないのであるから立会人の署名捺印がないからといつてその調書は同条の規定に違反して無効であると解することはできない。
二 刑訴応急措置法に基く逮捕状の執行による被疑者逮捕の場合には同法第八条第四号の規定により同条第三号掲記の旧刑訴第一二七条〈第百十一条、第百十二条、第百十四条及び第百十八条の規定は、前条の規定により検察事務官又は司法警察職員がする捜索についてこ…〉及び第一二九条〈検証については、身体の検査、死体の解剖、墳墓の発掘、物の破壊その他必要な処分をすることができる。〉所定の手続を準用し逮捕された被疑者を受け取つた司法警察官はその被疑者を訊問することができることは当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第七七六号同二六年三月二八日大法廷判決)とするところであるから所論訊問調書は適法で証拠能力を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年7月6日 昭和24(れ)2600
登載
集刑 第49号327頁
参照法条
旧刑訴法56条,旧刑訴法58条,旧刑訴法71条,旧刑訴法139条但書,刑訴応急措置法8条
論点4第60条刑事訴訟法

起訴前の勾留の裁判に対する準抗告と起訴後におけるその利益

裁判要旨起訴前の勾留の裁判に対する準抗告申立の利益は、起訴後は失われる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和59年11月20日 昭和59(し)115
登載
刑集 第38巻11号2984頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法207条,刑訴法429条1項2号,刑訴法433条
論点5第60条刑事訴訟法

本件の勾留及び接見等禁止の裁判は自白を強要するためにとられた措置で憲法三八条一項に違反するという論旨を、実質事実誤認、単なる法令違反の主張として処理した事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年7月5日 昭和53(し)54
登載
集刑 第211号623頁
参照法条
憲法38条1項,刑訴法60条,刑訴法81条,刑訴法433条
論点6第60条刑事訴訟法

一 勾留期間延長の裁判が従前の勾留期間経過後に準抗告審で取り消された場合と検察官が身柄釈放の手続をとるべき時期
二 違法に身柄を拘束されていたことが勾留の裁判の効力に影響を及ぼさないとされた事例

裁判要旨一 勾留期間延長の裁判が従前の勾留期間経過後に準抗告審で取り消され、その決定が検察官に告知されたときは、検察官は直ちに身柄釈放の手続をとらなければならない。
二 勾留期間延長の裁判が準抗告審で取り消されたのにもかかわらず、検察官において釈放の手続をとることなく身柄を拘束していた違法は、判示の事実関係のもとにおいては、それが刑訴法六一条の手続をする段階まで継続していたとしても、裁判官が勾留の手続じたいとしては適法な手続を経たうえ、裁判所の審判のために必要であるとしてした勾留の裁判の効力に影響を及ぼさない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年10月31日 昭和53(し)79
登載
刑集 第32巻7号1847頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法61条,刑訴法208条
論点7第60条刑事訴訟法

甲事実について逮捕勾留中の被疑者を乙事実について取調べることが違法ではないとされた事例

裁判要旨甲事実について逮捕・勾留の理由と必要があり、甲事実と乙事実とが社会的事実として一連の密接な関連がある場合(判文参照)、甲事実について逮捕・勾留中の被疑者を、同事実について取調べるとともに、これに付随して乙事実について取調べても、違法とはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年8月9日 昭和49(あ)2470
登載
刑集 第31巻5号821頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法198条1項,刑訴法198条2項,刑訴法199条
論点8第60条刑事訴訟法

いわゆる逮捕中求令状起訴により勾留がなされた場合に逮捕手続の当否は起訴後の勾留の効力に影響を及ぼさないとされた事例

裁判要旨いわゆる逮捕中求令状起訴により勾留がなされた場合において、これに先だつ逮捕手続の当否は起訴後の勾留の効力に何ら影響を及ぼさない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年7月24日 昭和48(し)49
登載
集刑 第189号733頁
参照法条
刑訴法60条1項
論点9第60条刑事訴訟法

事件の同一性を欠くとされた事例

裁判要旨被告人が、昭和四三年三月二八日にaにおいて賭博をしたとの勾留状記載の事実と、同日同所においてAらがした賭博開張図利を、賭具を貸与して幇助したとの起訴状記載の事実とは、併合罪の関係にあるものであるから、事件の同一性を欠くものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年7月10日 昭和45(あ)576
登載
集刑 第177号171頁
参照法条
刑法45条,刑法185条,刑法186条2項,刑訴法60条,刑訴法256条,刑訴法280条,刑訴法312条
論点10第60条刑事訴訟法

勾留請求却下後における被疑者の身柄拘束の有無および適否と準抗告審の裁判の効力

裁判要旨勾留請求却下の裁判に対する検察官の準抗告に対し、準抗告裁判所が、単に、被疑者につき刑訴法六〇条所定の要件の存否を判断して右裁判を取消し、かつ勾留の裁判をしたものであるときは、勾留請求却下後における被疑者の身柄拘束の有無および適否は、ただちに原決定および勾留の裁判の効力に影響を及ぼすものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年2月17日 昭和43(し)53
登載
集刑 第170号329頁
参照法条
憲法31条,憲法33条,刑訴法60条,刑訴法207条,刑訴法429条
論点11第60条刑事訴訟法

勾留の効力に影響がないとされた事例

裁判要旨甲被疑事実による勾留を利用して乙被疑事実につき取り調べた後、いつたん釈放し直ちに乙被疑事実により逮捕勾留した場合において、乙事実について公訴が提起され、その後も勾留理由があるときは、起訴前の段階における右のような勾留およびその勾留中の捜査官の取調べの当否は、起訴後における勾留の効力に影響を及ぼさない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年8月31日 昭和42(し)26
登載
刑集 第21巻7号890頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法87条
論点12第60条刑事訴訟法

検察官の過失に基づく違法な勾留継続による精神的苦痛に対して国家賠償法第一条の責任があるとされた事例

裁判要旨鑑定の結果血液型の不一致が明らかになつたため、被疑者が犯人であることが極めて疑わしいものとなつた等原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとでは、勾留を継続すべき相当な理由は消滅したものといわなければならず、その後の釈放遅延による被疑者の精神的苦痛に対して、国は担当検察官の過失による国家賠償法第一条に基づく責任を負わなければならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年10月21日 昭和40(オ)76
登載
集民 第84号639頁
参照法条
刑訴法207条,刑訴法208条1項,刑訴法60条,国家賠償法1条
論点13第60条刑事訴訟法

一 上訴提起後における原裁判所の勾留の権限
二 受訴裁判所が勾留する場合における勾留質問の要否

裁判要旨一 原裁判所は上訴提起後であつても、訴訟記録がまだ上訴裁判所に到達しない間は、被告人を勾留することができる
二 勾留をする裁判所が、すでに被告事件の審理の際、被告事件に関する陳述を聞いている場合には、改めて刑訴法第六一条のいわゆる勾留質問をしなければならないものではない
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年10月19日 昭和40(し)79
登載
刑集 第20巻8号864頁
参照法条
(一につき)刑訴法60条,(一につき)刑訴法97条,刑訴規則92条,(二につき)刑訴法61条
論点14第60条刑事訴訟法

勾留更新決定の執行と謄本の送達。

裁判要旨勾留更新決定の執行は、その謄本の送達を要件としない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年10月4日 昭和35(し)29
登載
集刑 第135号517頁
参照法条
刑訴法70条,刑訴法73条,刑訴法60条2項
論点15第60条刑事訴訟法

勾留状の失効とその勾留の効力を争う抗告の利益

裁判要旨勾留せられた被疑者が留置の必要事由消滅により釈放された以上、同人に対する勾留状の効力を争うことは利益がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年5月21日 昭和32(し)23
登載
刑集 第11巻5号1521頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法61条,刑訴法207条,刑訴法426条2項,刑訴法429条1項2号,刑訴法433条
論点16第60条刑事訴訟法

保釈請求却下決定の理由として「被告人が逃亡する疑なしとは認められない」との認定に対する違憲(第三四条〈前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。〉違反)の主張

裁判要旨所論は違憲をいうが、実質は原審が適法に認定した本件被告人に逃亡する疑なしとは認められないとする事実認定を争うに帰し、前提において採用できない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年9月26日 昭和31(し)39
登載
集刑 第114号797頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法89条,刑訴法344条,憲法34条
論点17第60条刑事訴訟法

勾留状の失効とその勾留の効力を争う抗告の利益

裁判要旨勾留せられた被疑者が留置の必要事由消滅により処分留保のまま釈放された以上同人に対する勾留状の効力を争うことは利益がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和30年7月14日 昭和30(し)24
登載
刑集 第9巻9号1872頁
参照法条
刑訴法207条,刑訴法208条,刑訴法60条,刑訴法429条,刑訴法433条
論点18第60条刑事訴訟法

一 公判調書紛失の場合とその公判期日における訴訟手続の適法性の証明
二 紛失した公判調書における裁判長裁判所書記の署名捺印の存否とその公判期日における訴訟手続の適否

裁判要旨一 公判調書がすべて紛失して存在しない場合には、上告裁判所は自ら旧刑訴第四三五条〈再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができ…〉によつて事実の取調をした上で、公判期日における訴訟手続が適法に行われたか否かを認定することができる。
二 公判調書紛失のため、公判調書以外の資料により公判期日における訴訟手続がすべて適法に行われたことが認められた場合には、その紛失した公判調書に裁判長、裁判所書記の署名捺印が存したか否かは問うところではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和29年4月28日 昭和27(れ)30
登載
刑集 第8巻4号584頁
参照法条
旧刑訴法60条,旧刑訴法63条,旧刑訴法64条,旧刑訴法435条
論点19第60条刑事訴訟法

一 第一審における執行猶予の判決後控訴審が新たに勾留状を発することの適否
二 第一審における執行猶予の判決後控訴審が新たに勾留状を発した場合における保釈請求の許否

裁判要旨一 第一審が勾留中の被告人に対し懲役刑の執行猶予の判決を言渡したため勾留状が効力を失つた後においても刑訴第六〇条第一項〈裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することがで…〉各号の事由が新たに生じたときは控訴審において新たに勾留状を発することができる。
二 右の場合控訴審において新たに勾留状を発したときの保釈の許否については、刑事訴訟法総則の規定が適用され、第一審が禁錮以上の判決をしたことを請求却下の理由とすることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年10月26日 昭和29(あ)2248
登載
集刑 第99号507頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法89条,刑訴法344条,刑訴法345条
論点20第60条刑事訴訟法

懲役一年の言渡を受け勾留中の被告人に対してなした控訴裁判所の第二回の勾留更新決定の可否

裁判要旨前審判決により禁錮以上の刑の宣告を受けた勾留中の被告人に対しては、刑訴六〇条一項一号〈裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することがで… 被告人が定まつた住居を有しないとき。〉乃至三号に当る事由が存続し同三四三条〈拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告があつたときは、保釈又は勾留の執行停止は、その効力を失う。〉の趣旨に従い勾留を継続する必要があると認められる限り勾留期間を更新することができるものと解するを相当とする。されば原決定が、被告人は当該事件の第一審裁判所で懲役一年の言渡を受けて勾留中のものであり、なお被告人には刑訴六〇条一項三号の事由が存続するものと認め、控訴裁判所のなした第二回の勾留期間更新決を違法でないと判示して異議申立を棄却したことは、もとより適法というべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年7月31日 昭和28(し)30
登載
集刑 第85号697頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法60条2項,刑訴法343条,刑訴法344条
論点21第60条刑事訴訟法

一 公判調書の末尾に裁判所書記官補の官名の記載並びにその署名捺印の存することと公判期日に立会した裁判所書記
二 公判調書の末尾に裁判所書記官補の官名の記載並びにその署名捺印することと旧刑訴第六〇条第二項第二号〈裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することがで…〉

裁判要旨一 公判調書の末尾に裁判所書記官補A某の官名の記載並びにその署名捺印がある外、他にその公判期日に立会した裁判所書記の官氏名の記載がない場合には、右A書記官補が裁判所書記として同公判期日に立会したものと認めることができる。
二 公判調書の末尾に裁判所書記官補A某の官名の記載並びにその署名捺印がある場合には、たとえその公判期日に立会した裁判所書記の官氏名につき特別の記載がなくても、その公判調書は旧刑訴第六〇条第二項第二号〈裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することがで…〉の要件も欠くものとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年2月14日 昭和26(れ)1786
登載
刑集 第6巻2号237頁
参照法条
旧刑訴法60条2項2号,旧刑訴法63条,旧刑訴法329条
論点22第60条刑事訴訟法

一 公判調書における証拠調をした書類の表示方と「各聴取書」との表示の意義
二 甘藷澱粉の恐喝罪と之を運搬した食糧管理法違反罪との関係

裁判要旨一 しかし本件記録中には、聴取書として原本たる多くの聴取書の外に、所論指摘の聴取書謄本同抄本が編綴されており、謄本又は抄本の原本たる聴取書は編綴されていない。そして、原審第二回公判調書には、ただ単に「各聴取書」とのみ記載され、「各聴取書原本」と記載されていないのであるから、右「各聴取書」の中には前示各聴取書の謄本及び抄本も含まれていると解するのを相当とする。
二 甘藷澱粉の恐喝はその性質上通常必ずしも甘藷澱粉を食糧管理法の条項に違反して運搬する手段としてなされるものということはできない上、甘藷澱粉の恐喝とそれを食糧管理法に違反して不法に運搬する罪とは、犯罪構成要件も異り、被害法益も異つているから、原判決が本件恐喝罪と食糧管理法違反の罪とを併合罪として処断したことは正当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年9月25日 昭和26(れ)1431
登載
集刑 第53号345頁
参照法条
旧刑訴法343条1項3号,旧刑訴法60条,刑法45条,刑法249条,食糧管理法9条
論点23第60条刑事訴訟法

従犯であるとの主張と旧刑訴法第三六〇条第二項

裁判要旨共同正犯としての公訴事実に対し従犯であると主張することは、単なる事実の否認の一種であつて、旧刑訴法第三六〇条第二項に定める主張に当らないことは、当裁判所の判例として示すところである(昭和二四年(れ)第一四三五号、同二六年三月一五日第一小法廷判決、昭和二四年(れ)第二四四五号、同二五年二月二八日第三小法廷判決)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年9月14日 昭和26(れ)350
登載
集刑 第52号459頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法62条,旧刑訴法360条2項
論点24第60条刑事訴訟法

一 犯罪事実の同一性の認められる一場合
二 起訴状記載の罪名と勾留状記載の罪名とが異なる場合と勾留の効力
三 人身保護規則第四条但書の趣旨

裁判要旨一 「被疑者は、昭和二六年一月一〇日午後六時頃甲某を乙駅車庫詰所へ連れ込み、近くにあつた丸鉄棒で後頭部を殴打し暴行を加え、極度に畏怖せしめた上同人の冬オーバーを喝取した」との勾留状記載の被疑事実と「被告人は、昭和二六年一月一〇日午後五時過頃乙駅車庫詰所において甲某に対し右手拳又はストーブ用鉄棒(約一尺五寸位)等により交々頭部、背部等を殴打し、引き続き同人を八〇米位離れた被告人自宅入口まで引きずり込み、右手拳で数回殴打し、台所にあつた庖丁を取り上げ、その背部で同人の頭部を一回殴打した上告人自宅前小川に突き落す等暴行を加えた」との起訴状記載の公訴事実とは同一性を失わない。
二 刑訴法第二〇八条第一項所定の一〇日の期間内に公訴の提起があつた場合、たとえ起訴状記載の罪名と勾留状記載の罪名とが異なつていても、両者に記載した犯罪事実に同一性がある以上、勾留の効力は、公訴提起の日から刑訴第六〇条第二項〈裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することがで…〉所定の期間中存続する。
三 人身保護規則第四条但書は、たとえ拘束が同条本文に該当する不法なものであつても、他に救済の目的を達するに適当な方法があるときは、右但書後段の要件を具備しない限り人身保護の請求ができないことを定めたものであつて、単に右但書の要件を具備するだけで人身保護の請求をなし得ることを認めた趣旨ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年7月6日 昭和26(オ)190
登載
民集 第5巻8号474頁
参照法条
刑訴法256条,刑訴法208条,刑訴法60条2項,人身保護規則4条
論点25第60条刑事訴訟法

旧刑訴法第三四九条所定の手続きを履践した旨記載のない公判調書と判決の破棄

裁判要旨原審第四回公判調書をみるに、原審裁判長は事実並びに証拠調を終了する旨を告げた後、直に判決宣告期日を指定告知して閉廷したと記載されており、旧刑訴法第三四九条所定の手続を履践した旨の記載が欠けている(記録四一一丁裏)。従つて、原審では被告人と弁護人のいづれにも最終に陳述する機会を与えなかつたものと認めざるを得ないから(旧刑訴法第六〇条第二項第一二号、第六四条〈勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその…〉参照)、この点に関する論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年7月24日 昭和26(れ)880
登載
集刑 第50号1053頁
参照法条
旧刑訴法349条,旧刑訴法60条2項12号,旧刑訴法64条
論点26第60条刑事訴訟法

証拠調に関する公判調書の記載の解釈

裁判要旨原審第一回公判調書によれば「裁判長は本件証拠として各原審公判調書各訊問調書各聴取書各領置書各顛末書被告人の履歴書その他関係書類一切の要旨を告げ」証拠調をした旨の記載のあることは所論指摘のとおりである。そして右の内の「その他関係書類一切」という部分の記載は、証拠能力ある「各原審公判調書各訊問調書各聴取書」の内に引用されている逮捕状強制処分請求書及び公判請求書等を指す趣旨の記載であることはこれを了解するに十分であつて、所論のように、証拠関係の有無に拘わらず「一件記録中の一切の書類」につき証拠調手続としての各要旨を告げた趣旨の記載とは、到底解することはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年5月4日 昭和25(れ)1905
登載
集刑 第45号125頁
参照法条
旧刑訴法60条,旧刑訴法64条,旧刑訴法340条
論点27第60条刑事訴訟法

一 刑訴規則第五九条に違反する勾留更新決定書中の更新日の不明瞭な記載と右決定の効力
二 勾留期間満了の日の算出方法
三 被告人が保釈出所をした場合の勾留残存期間の算出方法
四 勾留の残存期間満了の日の算出方法

裁判要旨一 所論勾留更新決定書中の更新日の記載が不明瞭であることは所論のとおりであつて、右は「八」の文字と「七」の文字とを重複記載していることは右記載自体から窺われるのであるが、これを二八日と判読するべきか或はこれを二七日と判読すべきかはかかる文字の記載だけから断定することは困難であつて、かかる記載が刑訴規則第五九条に違反するものであることはいうまでもない。しかし本件勾留更新は九月二八日から行わるべきものであることは前説示のとおりであるから、右勾留更新決定書中の更新日は二八日と記載されたものであると解するのを相当とする。従つて、更新日の記載が前示のように明瞭でないからといつて、右更新決定を無効であるとすることはできない。
二 記録を調査するに本件勾留の起算日は昭和二四年四月二二日(公訴の提起があつた日)であるからそのまま勾留されていれば六月二一日が勾留期間満了の日にあたるのであるが被告人は四月二八日まで勾留され同日保釈決定により釈放されたので四月二九日から勾留期間を暦に従つて算出すれば、五月二八日で一ケ月となり、五月の残存日の三日と六月の残存日の二一日を加算して残存期間は一ケ月二四日となるのである。しかるに被告人は八月四日に再び収監されたのであるから八月四日から右残存期間一ケ月二四日を暦に従つて算出すれば九月二七日が右残存期間の満了日にあたることは計算上明白である。

(抗告人は原審で前示残存期間を日数に換算して五四日と計算し残存期間の満了日を九月二六日であると主張するが前記のように暦に従つて計算すべきであるからその主張は理由がない)従つて、本件勾留の更新は九月二八日から行われるべきものであるから原決定の勾留期間の計算は正当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年4月27日 昭和25(し)11
登載
刑集 第5巻5号957頁
参照法条
刑訴規則59条,刑訴法60条2項,刑訴法55条2項,民法143条2項
論点28第60条刑事訴訟法

一 従犯の地位にあつた旨の主張と法律上刑の減免の原由たる事実上の主張
二 被告人に対する最終陳述の機会の附与と「別にありません」を「別にあります」とした調書記載の誤記の認定
三 公判調書における弁護人の姓の誤記たることの認定

裁判要旨一 論旨は原審認定の被告人の犯行について被告人は原審に於て従記の地位にあつたことを主張しているのであるからこれは旧刑事訴訟第三六〇条第二項〈第三百五十三条又は第三百五十四条に規定する者は、書面による被告人の同意を得て、上訴の放棄又は取下をすることができる。〉に所謂法律上刑の減免の原由たる事実上の主張に当るにも拘らず原判決は何らこれに対する判断を示していないのは判断遺脱の違法があると主張するが、所論の様な陳述があつたとしてもこれをて刑の減免の原由たる事実の主張があつたのとは認められない。
二 原審裁判長は被告人に意見及び最後い述べたいことはないかと問を発していることは所論の通りであるから被告人に対し最終陳述の機会を与えたものと言わなければならない。もしも、裁判長の発した右問に対し被告人が別に陳述する必要があつたなら其機会を与えられたのであるから陳述すべき筈であるに何も陳述した形跡はなく又裁判長が被告人の発言を禁じた形跡もない等に右「別にあります」の調書記載は「別にありません」の誤記と認むるを相当とする。調書の粗雑な点は誠に遺憾であるが何れも誤記と認められる。
三 被告人Aの弁護人選任届其他本件記録を調べて見ると山下弁護人が原審における被告人Aの弁護人であり同人の為め弁論したことは明らかであつて岡田弁護人が被告人Aの弁護人であるとは認められないから所論岡田弁護人とあるは山下弁護人の誤記と認めるを相当とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和25年10月31日 昭和25(れ)1224
登載
集刑 第19号1065頁
参照法条
刑法62条,旧刑訴法360条2項,旧刑訴法60条,旧刑訴法74条,旧刑訴法349条3項,旧刑訴法40条17号,旧刑訴法64条
論点29第60条刑事訴訟法

一 公判廷における自白と憲法第三八條第三項刑訴應急措置法第一〇條第三項にいわゆる「本人の自白」
二 刑訴施行法第二條の合憲性
三 被告人の身体拘束の事実の有無と公判調書の記載

裁判要旨一 しかしその判決をした當該裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法第三八條第三項並びに刑訴應急措置法第一〇條第三項にいわゆる「本人の自白」にあたらないことは當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第一六八號、同年七月二九日大法廷判決)從つて論旨は採用することができない。
二 しかし新刑訴法を如何なる事件に適用するかは經過法の立法に際して諸般の事情を勘案して決せらるべき問題で法律に一任されてをるものである、從つて刑訴施行法第二條が新法施行前に公訴の提起があつた事件に付ては新法施行後もなお舊法及應急措置法による旨を規定し新法を適用しないことにしたのは何等憲法に違反するものではなく、又所論の如き理由からこれを憲法違反と解せなければならないものでもない。
三 公判調書に被告人が身体の拘束を受けなかつたという記載がないからといつて、それだけで直ちに、被告人が公判廷において身体の拘束を受けたということはできない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和24年5月18日 昭和23(れ)1577
登載
刑集 第3巻6号847頁
参照法条
憲法38條3項,刑訴應急措置法10條3項,旧刑訴法64条,旧刑訴法60条2項,刑訴施行法2條
論点30第60条刑事訴訟法

一 公判の公開と公判調書の記載
二 公開禁止の決定の効力
三 裁判官が「合議の上」裁判の公開を禁止した旨の公判調書の記載と憲法第八二條
四 強盗行爲に對し必死に反抗中の被害者から腕時計を奪取した行爲と強盗罪の成立

裁判要旨一 判決宣告期日の公判調書に、公開を禁じた旨の記載がない限り、判決の宣告は、公開法廷で行われたものと認めることができる。
二 審理が風俗を害する虞があるとして、裁判所が公判の公開を禁じた場合には、その公開禁止の効力は、結審後の判決宣告期日の公判には及ばないものと解すべきである。
三 裁判が公開の法廷において公正な裁判所によつてなさるべきことは所論のごとく憲法の明定するところである。ただ公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある場合には、裁判官の全員一致で對審を公開しないで行うことができることは、憲法第八二條第二項の定めているところである。そして、本件記録を調査すると(イ)所論のように「裁判長は合議の上爾後の審理は風俗を害する虞あるにより公開を禁止する旨を告げ非公開とした」との記載が昭和二二年九月三〇日の公判調書に明記されている。かくとごとく裁判所が非公開で審理をした場合には「裁判官の全員一致で」公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決定した旨を明確な表現で調書に記載しておくことが大切である。そこで本件調書に「合議の上」風俗を害する虞あるにより公開を禁止した旨を告げ非公開としたとの記載は嚴格にいえば稍不正確の嫌があるがしかしなお裁判所法にいわゆる評議を經て裁判官全員の意見が合致して非公開を決定したものと認め得るのである強いて所論のように評議の結果多數決をもつて公開を禁止したものと解すべき根據は全記録の何處にも見當らない。
四 判決宣告期日の公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り判決の宣告は、公開法廷で行われたものを認むべきである。
五 論旨は被害者が強姦行爲に對し力一杯反抗した證據と被害者が畏怖し抗拒不能となつているのに乘じて右手の腕時計をもぎ取つて強取した犯罪事實との間は重要な齟齬があるというのであるが、本件被害者は「ぐずぐずしておれば強姦され私の一生は臺無にされると思い私は力一杯の元氣を出して反抗しました處相手は私に馬乘りになつた儘左手にはめていた腕時計をもぎ取り」し旨を供述しているのであつて、婦人が強姦に對し本能的に強く反抗したからといつて前記状態において畏怖を感じ腕時計の強奪に對し抗拒不能であつたと原審が認定したことは常識上むしろ當然であつて毫も所論のような齟齬を存在しない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和23年6月23日 昭和22(れ)219
登載
刑集 第2巻7号680頁
参照法条
刑訴法60条2項4号,刑訴法64条,刑訴法410条7号,憲法82条,刑訴法60条2項4号,刑訴法64条,刑法177条,刑法236条
論点31第60条刑事訴訟法

一 犯意繼續の點が犯行の性質態樣等から自ら推知せられる場合と證據理由説示の要否
二 參考として裁判所に提出された書類につき公判調書に記載の要否

裁判要旨一 數個の行爲が繼續の意思に出でたものであることが、證據にょつて認められた犯罪行爲の性質、態樣等から自ら推知される場合には、犯意繼續の點について、特に之を證據にょつて認めた理由を説明する必要がないものと解すべきである。
二 所論被害辨償に關する受領書は、證據書類として裁判所に提出せらるる場合と、證據方法としてでなく參考として裁判所に提出せらるる場合とがある。右前段の場合は證據書類の領置押收として所論の如く刑事訴訟法第六〇條第九號第一〇號等に則り、その旨公判調書に記載せらるべきものであること勿論であるが、右後段の場合には公判調書に何等の記載をも必要としないものと云わねばならぬ。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和23年11月5日 昭和23(れ)396
登載
刑集 第2巻12号1477頁
参照法条
刑法55条,刑訴法360条1項,刑訴法60条9号,刑訴法60条10号
論点32第60条刑事訴訟法

裁判長判事として公判に列席した事実の認定

裁判要旨公判調書に某判事が裁判長判事として列席したと記載してあり、且つ、右調書の末尾に右判事が裁判長判事として署名捺印している場合には、公判調害が虚偽又は偽造であると認むべき事情か存在しない限り、右某判事が裁判長判事として公判に列席したものと認むべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和23年11月4日 昭和23(れ)755
登載
刑集 第2巻12号1459頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法410条4号,刑訴法63条1項,刑訴法64条
論点33第60条刑事訴訟法

勾留期間更新の裁判と刑訴規則六条にいう「訴訟手続」

裁判要旨勾留期間更新の裁判は刑訴規則六条にいう「訴訟手続」には含まれない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年9月16日 平成9(し)160
登載
刑集 第51巻8号567頁
参照法条
刑訴規則6条,刑訴法60条
論点34第60条刑事訴訟法

一 勾留に関する処分を行う裁判官が職権で移監命令を発することの可否
二 移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ての許否

裁判要旨一 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができる。
二 裁判官に移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ては許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成7年4月12日 平成7(し)40
登載
刑集 第49巻4号609頁
参照法条
刑訴法60条,刑訴法64条1項,刑訴法87条,刑訴法429条,刑訴規則80条
論点35第60条刑事訴訟法

勾留期間更新決定による勾留の期間の満了と右決定に関する抗告申立ての利益の消長

裁判要旨勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年7月8日 平成6(し)88
登載
刑集 第48巻5号47頁
参照法条
刑訴法60条2項,刑訴法426条1項,刑訴法433条
論点36第60条刑事訴訟法

勾留の裁判に関する準抗告決定(原裁判取消し,勾留請求却下)に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成30年10月31日 平成30(し)585
登載
集刑 第324号1頁
参照法条
大麻取締法24条1項,大麻取締法24条2項,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律8条2項,刑訴法60条1項,刑訴法411条,刑訴法426条1項,刑訴法434条
論点37第60条刑事訴訟法

業務上横領被疑事件において勾留請求を却下した原々裁判を取り消して勾留を認めた原決定に刑訴法60条1項の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成27年10月22日 平成27(し)597
登載
集刑 第318号11頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法411条1号,刑訴法426条,刑訴法434条
論点38第60条刑事訴訟法

迷惑行為防止条例違反被疑事件において勾留請求を却下した原々裁判を取り消して勾留を認めた原決定に刑訴法60条1項,426条〈抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。〉の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成26年11月17日 平成26(し)578
登載
集刑 第315号183頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法411条1号,刑訴法426条,刑訴法434条
論点39第60条刑事訴訟法

裁判所が職権により被告人の勾留場所を変更する旨の移送決定をした事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成24年10月25日 平成24(あ)1515
登載
集刑 第308号475頁
参照法条
刑訴規則80条,刑訴法60条
論点40第60条刑事訴訟法

第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合と控訴審における勾留

裁判要旨第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合であっても,控訴審裁判所は,第1審裁判所の判決の内容,取り分け無罪とした理由及び関係証拠を検討した結果,なお罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,かつ,刑訴法345条の趣旨及び控訴審が事後審査審であることを考慮しても,勾留の理由及び必要性が認められるときは,その審理の段階を問わず,被告人を勾留することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年10月5日 平成23(し)376
登載
刑集 第65巻7号977頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法345条
論点41第60条刑事訴訟法

第1審裁判所で犯罪の証明がないとして無罪判決を受けた被告人を控訴裁判所が勾留する場合と刑訴法60条1項にいう「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無の判断

裁判要旨第1審裁判所で犯罪の証明がないとして無罪判決を受けた被告人を控訴裁判所が勾留する場合,刑訴法60条1項にいう「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無の判断は,無罪判決の存在を十分に踏まえて慎重になされなければならず,嫌疑の程度としては,第1審段階におけるものよりも強いものが要求される。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年12月13日 平成19(し)369
登載
刑集 第61巻9号843頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法345条
論点42第60条刑事訴訟法

1 被疑者の勾留請求の資料とされた告訴状及び被害者の供述調書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとされた事例
2 被疑者の勾留請求の資料とされた告訴状及び被害者の供述調書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして文書提出命令が申し立てられた場合に,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した上記各文書の所持者である国の判断が,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとされた事例

裁判要旨1 検察官が被疑者の勾留請求に当たって刑訴規則148条1項3号所定の資料として裁判官に提供した告訴状及び被害者の供述調書は,いずれも,上記各文書を所持する国と上記請求により勾留された者との間において,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当する。
2 強姦の被疑事実に基づき勾留された被疑者が,勾留請求の違法を主張して国家賠償を求める本案訴訟において,検察官が刑訴規則148条1項3号所定の資料として裁判官に提供した告訴状及び被害者の供述調書について,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由として文書提出命令を申し立てた場合,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した上記各文書の所持者である国の判断は,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものというべきである。
(1) 勾留の裁判が準抗告審において取り消されており,検察官が被疑者には罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると判断するに際し最も基本的な資料となった上記各文書には,取調べの必要性がある。
(2) 被害者は,被疑事実が不法行為を構成するとして,被疑者に対する損害賠償請求訴訟を提起しており,その審理に必要な範囲でプライバシーが明らかにされることを容認していたということができ,また,国は,本案訴訟において,被害者の供述内容として被害の態様が極めて詳細かつ具体的に記載された検察官の陳述書を既に書証として提出しており,上記各文書が開示されることによって,被害者の名誉,プライバシーの侵害の弊害が生ずるおそれがあるとは認められない。
(3) 被疑事件については不起訴処分がされており,また,上記陳述書の内容はほぼ上記供述調書の記載に従ったもののようにうかがわれ,上記各文書が開示されることによって,捜査や公判に不当な影響が及ぶおそれがあるとは認められない。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成19年12月12日 平成19(許)22
登載
民集 第61巻9号3400頁
参照法条
(1,2につき)民訴法220条3号,4号ホ,刑訴法60条,刑訴法205条,刑訴法207条,刑訴規則148条1項3号 (2につき)刑訴法47条
論点43第60条刑事訴訟法

1 法定刑の軽微な事件について身柄拘束の不必要な長期化を避けるための配慮が十分であったとはいえないとされた事例
2 罰金刑に未決勾留日数を算入しなかったことが量刑判断を誤ったものであるが,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められないとされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成14年6月5日 平成13(あ)898
登載
集刑 第281号517頁
参照法条
刑法21条,刑訴法60条1項,刑訴法60条2項,刑訴法411条2号
論点44第60条刑事訴訟法

第一審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の判決を言い渡した場合と控訴審における勾留

裁判要旨第一審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の判決を言い渡した場合であっても、控訴審裁判所は、記録等の調査により、右無罪判決の理由の検討を経た上でもなお罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があると認めるときは、勾留の理由があり、かつ、控訴審における適正、迅速な審理のためにも勾留の必要性があると認める限り、その審理の段階を問わず、被告人を勾留することができる。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年6月27日 平成12(し)94
登載
刑集 第54巻5号461頁
参照法条
刑訴法60条1項,刑訴法345条
論点45第60条刑事訴訟法

第一審で無罪判決の言渡しを受けた外国人である被告人について控訴審が判決前に勾留したことは憲法14条1項に違反するという主張が前提を欠くとされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成11年10月13日 平成11(し)159
登載
集刑 第276号245頁
参照法条
憲法14条1項,刑訴法60条1項,刑訴法345条
論点46第60条刑事訴訟法

勾留中求令状起訴について勾留状が発せられなかったのに、検察官が先行勾留に係る被疑事実と公訴事実に同一性が認められたと理解して釈放指揮を行わなかった違法が、その後に裁判官がした勾留の効力に影響を及ぼさないとされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 令和8年4月1日 令和8(し)235
登載
―
参照法条
刑訴法60条1項、刑訴法208条1項
論点47第60条刑事訴訟法

贈賄被疑事件において勾留請求を却下した原々裁判を取り消して勾留を認めた原決定に刑訴法60条1項、426条〈抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。〉の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 令和7年11月27日 令和7(し)1043
登載
―
参照法条
刑訴法60条1項、刑訴法411条1号、刑訴法426条、刑訴法434条
論点48第61条刑事訴訟法

一 違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された逮捕状による逮捕中の被疑者に対する勾留質問調書の証拠能力
二 違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された勾留状による勾留中の被疑者に対する消防職員の質問調書の証拠能力
三 消防署長等が当該消防署等に所属する消防職員に質問調査を行わせることと消防法三二条一項
四 消防署長等が放火又は失火の罪で逮捕された被疑者に対し検察官送致後に質問調査を行うことと消防法三五条の二第一項

裁判要旨一 逮捕中の被疑者に対する勾留質問調書は、その逮捕が違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された逮捕状によるものであつても、他に特段の事情のない限り、証拠能力を否定されるものではない。
二 勾留中の被疑者に対する消防職員の消防法三二条一項による質問調書はその勾留が違法な別件逮捕中の自白を資料として発付された勾留状によるものであつても、他に特段の事情のない限り、証拠能力を否定されるものではない。
三 消防法三二条一項は、消防署長等が当該消防署等に所属する消防職員をして質問調査を行わせることを禁じた趣旨ではない。
四 消防法三五条の二第一項は、消防署長等が、放火又は失火の罪で警察官に逮捕された被疑者に対し、事件が検察官に送致された後に、検察官等の許諾を得て同法三二条一項による質問調査を行うことを禁じた趣旨ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和58年7月12日 昭和55(あ)790
登載
刑集 第37巻6号791頁
参照法条
刑訴法61条,刑訴法199条,刑訴法207条,刑訴法319条1項,刑訴法322条1項,消防法31条,消防法32条1項,消防法35条1項,消防法35条の2
論点49第61条刑事訴訟法

裁判所の庁舎外における勾留質問と憲法三二条

裁判要旨裁判官が裁判所の庁舎外で勾留質問を行なつても、憲法三二条に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年7月25日 昭和44(し)44
登載
刑集 第23巻8号1077頁
参照法条
憲法32条,刑訴法61条,刑訴法207条
論点50第61条刑事訴訟法

被疑者を勾留する際の陳述調書は第一回公判期日後裁判官から裁判所に送付すべき書類に含まれるか

裁判要旨被疑者を勾留する際に被疑事件を告げこれに関する陳述をきいた調書は、第一回の公判期日が開かれたとき裁判官から裁判所に送付すべき書類のうちに含まれない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年5月11日 昭和27(あ)6602
登載
刑集 第8巻5号670頁
参照法条
刑訴法207条1項,刑訴法61条,刑訴規則39条,刑訴規則150条,刑訴規則167条1項,刑訴規則167条3項
論点51第61条刑事訴訟法

勾留に際し陳述を聴いた調書が記録にないことは勾留を不適法たらしめるか

裁判要旨新刑訴においては、逮捕状、勾留状等法律又は規則によつて提出を要する書類を除いて、証拠上必要と認めて当事者が提出した書類の外記録に編綴されないのであるから、勾留に際して陳述を聴いた書面も編綴されていないのがむしろ普通である。されば、この書面が記録に見当らないことを理由とする憲法第三四条違反の主張は、その前提を欠き採用の限りでない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月18日 昭和25(あ)2068
登載
集刑 第70号721頁
参照法条
憲法34条,刑訴法62条,刑訴法61条,刑訴法199条,刑訴規則167条3項
論点52第62条刑事訴訟法

公判期日召喚状の罪名の誤記と判決への影響。

裁判要旨原審の被告人に対する昭和三〇年一〇月四日の公判期日召喚状の送達報告書に「公職選挙法違反被告事件」と記載されていることは、所論のとおりであるが、該召喚状は罪名を異にしているだけであるばかりでなく、被告人は右召喚状の送達を受け、公判期日に出頭する機会を与えられていたこと記録上明らかであるから、右のような手続の瑕疵は、判決に何ら影響を及ぼさないものと認むべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年12月24日 昭和30(あ)3626
登載
集刑 第122号827頁
参照法条
刑訴法273条,刑訴法62条,刑訴法63条
論点53第62条刑事訴訟法

所在不明による証人召喚状の不送達と証拠調施行の不能

裁判要旨証人が第一審において、所在不明のため、その召喚状不送達となつたときは、証拠調の施行が不能となつたものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年5月21日 昭和27(あ)6033
登載
集刑 第95号499頁
参照法条
刑訴法62条,刑訴法65条,刑訴法54条,刑訴法304条,刑訴法297条,刑訴規則190条
論点54第62条刑事訴訟法

一 勾留中の被疑者が勾留状に記載されていない犯罪事実について供述した場合の供述の効力
二 刑法第一九七条にいう「職務」の意義
三 法令と証拠調手続
四 共犯者たる共同被告人の公判廷における供述の証拠能力

裁判要旨一 背任および臨時物資需給調整法違反が被疑事実によつて勾留された間に被疑者が収賄事実について検察官に対して供述した場合、その一事をもつて直ちに右供述を無効と解すべきではない。
二 刑法第一九七条にいう「職務」には、公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき一切の執務を指称するものである。
三 富山県庁達第五二号「土木工事直営施行規程」もまた法令の一種であつて、これを証拠説明の中に雑えて挙示する場合においても別に証拠調手続をすることを要しない。
四 共犯者たる共同被告人の公判廷における供述であるからといつて、証拠能力を欠くものとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和28年10月27日 昭和26(あ)3999
登載
刑集 第7巻10号1971頁
参照法条
刑法197条,刑訴法62条,刑訴法64条,刑訴法318条,刑訴法305条,刑訴法317条,刑訴法311条3項
論点55第64条刑事訴訟法

公訴事実の同一性ありと解された事例。―勾留状の被疑事実(窃盗)と起訴状の公訴事実(賍物故買)―

裁判要旨所論勾留状の被疑事実(窃盗)と所論起訴状の公訴事実(賍物故買)との間には、公訴事実の同一性ありと解するのが相当である。注、所論の

(勾留状の被疑事実)被疑者は昭和三五年八月一六日午前一一時頃より同日午後四時〇分頃迄の間東京都品川区abの)c番地通信員A方において同人所有に係る現金六千円及びトランジスターラジオ(時価金八千円相当)一台並びに振袖(鶴とささ梅模様)一点外衣類四一点時価合計金二七万壱千円相当を窃取したものである。

(起訴状の公訴事実)第一、被告人Bは昭和三五年八月一六日頃東京都品川区ae丁目c番地A方において同人所有のトランジスターラジオ一台及び女物袷着物四〇点(時価合計約二六万五千円相当)を窃取し。第二、被告人Cは昭和三五年八月一九日頃東京都墨田区d町g丁目f番地h荘内D方においてBより同人が前記第一記載の通り窃取した来た前記トランジスターラジオ一台及び女物袷着物等四〇点をそれが賍品である事を知り乍ら代金約三万円で買取り以つて賍物を故買したものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年7月25日 昭和36(あ)2837
登載
集刑 第147号863頁
参照法条
刑法235条,刑法256条2項,刑訴法64条,刑訴法256条,刑訴法312条
論点56第64条刑事訴訟法

訴訟記録の紛失と上告理由の判断

裁判要旨訴訟記録が紛失し上告理由の有無について証明の方法がなく、その他に原審の訴訟手続が適法になされたことを確証するに足る証拠もないときは上告理由があるものといわねばならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年1月24日 昭和30(れ)5
登載
刑集 第10巻1号82頁
参照法条
旧刑訴法410条,旧刑訴法64条,刑訴法411条,刑訴法410条
論点57第64条刑事訴訟法

起訴状記載の罪名と勾留状記載の罪名とが異なる場合と勾留の効力

裁判要旨勾留状記載の罪名と起訴状記載の罪名とが異つていても、両者に記載されている犯罪事実に同一性があると認められる以上、勾留は違法でない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年12月14日 昭和28(あ)4001
登載
刑集 第8巻13号2142頁
参照法条
刑訴法64条,刑訴法256条,憲法34条
論点58第64条刑事訴訟法

刑訴第五二条〈公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明することができる。〉の法意

裁判要旨刑訴五二条〈公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明することができる。〉は、公判調書に記載あるもののみについて反証を許さない趣旨であつて、調書に記載なきものについては、ただそれだけで手続がなされなかつたということは出来ない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年3月25日 昭和25(あ)2060
登載
刑集 第6巻3号507頁
参照法条
刑訴法52条,旧刑訴法64条
論点59第64条刑事訴訟法

被告事件の解示に対する被告人の陳述部分が空欄であることと旧刑訴法第一三四条の手続の履践

裁判要旨原判決が所論一審第一回公判調書中被告人の供述として判示同旨の記載を採証したこと及び右公判調書中に所論空欄部分があることは所論のとおりである。しかし所論被告事件解示に対する被告人の陳述部分が空欄であることは、被告事件の解示に対し被告人が何等記載すべき陳述をしなかつたものと解し得られるのであつて、所定手続の記載として違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年7月13日 昭和26(れ)843
登載
集刑 第49号1123頁
参照法条
旧刑訴法64条,旧刑訴法134条,旧刑訴法345条
論点60第64条刑事訴訟法

被告人に最終陳述の機会を与えたが格別なる陳述をしなかつたと見られる一事例

裁判要旨原審第二回公判調書の末段(記録一三四丁裏)によれば、「裁判長は、被告人に対し意見及び最終の陳述はないかと問うたところ」との記載あり、次に「被告人は」と記載され、その以下及び次の行が空白となつていることは所論指摘のとおりである。しかし乍ら、本件には旧刑訴六四条〈勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその…〉の適用ある事件であるから、右各記載に照せば、裁判長は被告人に最終陳述の機会を与えたところ、被告人は何も格別なる陳述をしなかつたものと認むるを相当と解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年12月7日 昭和26(れ)1295
登載
集刑 第58号227頁
参照法条
旧刑訴法64条
論点61第64条刑事訴訟法

刑訴法第六四条にいわゆる勾留状の「有効期間」の意義

裁判要旨弁護人石川忠義の所論勾留状に記載した、有効期間とは、その勾留状の執行に着手するのは右期間内に限るとする趣旨で勾留状に基き被疑者を留置し得る期間(勾留の期間)を記載したものでないことは刑訴第六四状の明文に徴し明らかである(昭和二五年(あ)第二六一号同年六月二九日第一小法廷決定参照)そして、本件において検察官は右勾留の請求をした昭和二四年九月一七日から十日以内である同月二六日に公訴の提起をしているので本件被告人に対する勾留には何等違法はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和25年12月26日 昭和25(あ)918
登載
刑集 第4巻12号2651頁
参照法条
刑訴法64条
論点62第64条刑事訴訟法

公判廷に弁護人が出頭し弁論をしたかどうかの手続と公判調書の記載

裁判要旨公判調書に、弁護人が公判期日に公判廷に出張し、被告人のため弁論した旨記載されているときは、これに反する主張をすることを許さない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和24年2月8日 昭和23(れ)1461
登載
刑集 第3巻2号95頁
参照法条
旧刑訴法64条
論点63第65条刑事訴訟法

刑訴法第六五条第三項の通知による召喚手続

裁判要旨刑訴第六五条第三項〈召喚状は、これを送達する。〉の被告人に対する通知による召喚手続については、裁判所が各場合につき相当と認めるところに従い、在監人召喚簿、電話その他適宜の方法により前もつて通知をすれば足りる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年8月30日 昭和32(あ)1389
登載
刑集 第11巻8号2128頁
参照法条
刑訴法65条,刑訴法54条,刑訴規則298条,民訴法168条
論点64第66条刑事訴訟法

一 昭和二一年一〇月一日商工省令第四一号にいう「繊維製品配給消費統制規則はこれを臨時物資需給調整法に基いて発したものとす」との意議
二 判決書作成の遅延を理由とする上告の適否
三 判決宣言の年月日を記載した判決書の効力

裁判要旨一 昭和二一年九月三〇日を以て国家総動員法、物資統制令が失効するに当り、同年一〇月一日法律三二号臨時物資需給調整法により、商工大臣は産業の回復及び振興に関し経済安定本部総裁の定める基本的な政策及び計画の実施を確保するために同総裁の定める方策に基いて繊維製品の割当又は配給等に関し必要な命令をなすことを得るに至つたのである。従つて当時商工大臣は右臨時物資需給調整法に基ずいて前示昭和一七年一月二〇日商工省令第四号繊維製品配給消費統制規則と同一内容の規則を制定する権限を有していたこと勿論であるから、同大臣がかかる措置に出ることに替えて既存の右統制規則を引用して昭和二一年一〇月一日商工省令第四一号を以て該規則は臨時物資需給調整法に基ずいて発したものとする旨規定したからとてその立法技術としての巧拙の問題はあるとしても、右規則が臨時物資需給調整法に基ずいて発せられたものとしてその効力を持続することを否むべきいわれは存在しない。
二 原判決は昭和二四年一〇月一七日言渡されたものであり、右判決書末尾にはその作成年月日として同日附の記載があるに拘わらず、その原本が書記課に領収されたのは同二六年三月八日である旨、その欄外に明記せられている。仮りに所論の如く判決書の作成がその言渡後原本領収の頃まで遅延されていたものであるとしても、それは判決成立後の事由に過ぎないものであり、司法行政上の問題となることは格別、原判決の内容そのものの違法とは何等のかかわりもないのであるからこれを上告理由となすことはできない。
三 判決書にはその作成の年月日を記載すべきであり(旧刑訴七一条〈検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しく…〉参照)判決宣告の日を記載すべきでないことは所論のとおりである。しかし、仮りに原審が判決書の作成を前示原本領収当時まで遅延しながらこの日附をさかのぼらせて判決宣告の日を記載したものとしても、それは単に旧刑訴七一条に違反したというだけのことでありこの違法は原判決の内容そのものには何等影響するところはない。しかもかかる事態は前記刑訴の法条を誤解することに起因して生ずることもあり得るのであるから、必ずしもこれを原審の公文書偽造と目することはできない。のみならずたとえ原審が故意にその作成日につき虚偽の記載をなしたとしても、それはその記載部分の無効を来すだけのことであり原判決全部の無効を誘致するものということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年10月18日 昭和26(れ)1055
登載
刑集 第5巻11号2274頁
参照法条
繊維製品配給消費統制規則(昭和17年10月20日商工省令4号)2条,臨時物資需給調整法1条,昭和21年10月1日商工省令41号,旧刑訴法66条,旧刑訴法67条,旧刑訴法408条,旧刑訴法409条,旧刑訴法71条
論点65第66条刑事訴訟法

一 判決書作成の時期―判決宣告後四〇日を経て作成された判決書と右判決の正否
二 判決書と裁判官の署名押印

裁判要旨一 原審の昭和二四年一一月五日附公判調書によれば、裁判長は、判決の宣告をする旨を告げ、判決主文を朗読し、同時に理由の要旨を告げたことが明らかであるから、原判決の主文は、言渡の際に文書に記載せられていたものということができる。もとより判決は、その宣告するところと判決書に記載するところと異るようなことがないように、判決宣告の際に判決書の作成せられていることが望ましいことであり、殊に本件のように判決宣告後四〇日を経て判決書が作成せられるようなことは、妥当とはいえないが、それだからといつて直に右判決を違法であるということはできない。そしてこの見解は、大審院の判例とするところであるが(大正二三年(れ)一二三一号同年一一月二日判決)。当裁判所も右とその見解を一にするものである。
二 旧刑訴法第六八条は、合議制の裁判所の裁判官の中で裁判長が署名押印できないときと又は他の裁判官が署名押印できないときという通常に起り得る場合を規定したものであつて、即ち裁判長と一人の陪席裁判官とがともに署名押印できないような稀有の場合には、すべからく本件を類推適用して判決書に陪席の一裁判官が裁判長と陪席裁判官が署名押印できない事由を附記して署名押印することができるものと解するのを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年11月17日 昭和25(れ)456
登載
刑集 第4巻11号2328頁
参照法条
旧刑訴法66条,旧刑訴法51条2項,旧刑訴法68条
論点66第67条刑事訴訟法

一 判決書に契印すべき裁判官
二 喧嘩闘争のための加害行為と過剩防衛

裁判要旨一 原判決には判事全員の契印の契印がないから判決書に刑事の契印を欠いた違法があるというのであるが、判決書は刑事これを作成し(旧刑訴六七条〈前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調…〉)裁判をした判事署名捺印すべきもの(同六八条〈裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じない…〉)であるから合議裁判所における裁判書には合議に関与した判事全員においてこれに署名捺印すべきは当然であるが旧刑訴第七一条二項〈検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しく…〉によれば書類には作成者が毎葉契印すべきことを規定するのみで合議裁判所における裁判書にはその裁判官全員の契印を要求していないのであるから、裁判をなした判事の一名がこれを作成し、契印すれば同条の要件を欠いたものということを得ない。(大正一三年(れ)第一一六七号同年九月六日大審院判決参照)要旨は理由がない。
二 原判決の確定した事実によれば被告人は当時酩酊のため乱暴していた判示AことBから絡まれて何らの理由なく頭部及び頬を殴打されその場は一旦別れたがやがて再び同人と顔を合わせたところ、更らに同人のため股部を足蹴にされたので、憤激の余りその顔面を殴打したところ、Bがなおもその懐中に手を差し入れ立ち向う態度を示したので、これは刃物で危害を加えようとするものと速断し機先を制して所携の西洋剃刀で同人の顔面を斬りつけたというものであるから、被告人の判示所為は喧嘩闘争のための加害行為に他ならぬものであつて、原判決が説示する如く過剩防衛とならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年2月20日 昭和25(れ)1248
登載
刑集 第5巻3号410頁
参照法条
旧刑訴法67条,旧刑訴法71条,刑法36条
論点67第68条刑事訴訟法

一 判決書における裁判官の表示を「判事」としたことの正否
二 舊刑訴法第六八條の法意と裁判官の官名記載の要否
三 刑訴應急措置法第一三條第二項と憲法第三二條
四 旧刑訴法第六八条の法意と裁判官の官名記載の要否

裁判要旨一 原判決書には裁判官の表示並に署名捺印が存し該裁判官が公判に關與した裁判官であること原審公判調書により明白であるから原判決には裁判をした裁判官の署名捺印を缺く違法はなく、その慣例に基く裁判官の表示「判事」としたのは正當であつて原判決には所論の缺點は毫も存しない。
二 舊刑訴第六八條(刑訴規則第五五條參照)には「裁判書ニハ裁判ヲ爲シタル判事(裁判官)署名捺印(押印)スベシ云々」とのみあつて、裁判書に特に裁判官の官名をも記載すべきことを要求してはいないのである。されば裁判書に裁判官又は裁判長なる官職名をも記載するのは全く便宜に基く慣行たるに過ぎないものである。
三 裁判の審級制度について上告審を純然たる法律審すなわち法令違反を理由とするときに限り上告を爲すことを得るものとするか又は法令違反の外に量刑不當乃至事實誤認の上告理由をも認めて事實審理をも行うものとするかは立法を以て適當に決定すべき事項であつて憲法の命令又は禁止するところでないから刑訴應急措置法第一三條第二項の規定が憲法第三二條に違反するものでないことは當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第五六號同二三年二月六日大法廷判決参照)
四 旧刑訴法第六八条(刑訴規則第五五条参照)には「裁判書ニハ裁判ヲ為シタル判事(裁判官)署名捺印(押印)スベシ言々」とのみあつて、裁判書に特に裁判官の官名をも記載すべきことを要求してはいないのである。されば判決書に裁判官又は裁判長なる官職名をも記載するのは全く便宜に基く慣行たるに過ぎないものである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和24年3月23日 昭和23(れ)1221
登載
刑集 第3巻3号369頁
参照法条
舊刑訴法68條,旧刑訴法68条,裁判所法5条2項,刑訴應急措置法13條2項,憲法32條
論点68第69条刑事訴訟法

判決書に弁護人の氏名の記載を欠くことと憲法第三四条

裁判要旨又半径書に弁護人の氏名を記さなければならないということは憲法の何処にも規定してないので、論旨第六点の如きは全く徒に違憲に名を藉るものに過ぎない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年11月27日 昭和26(れ)1810
登載
集刑 第57号493頁
参照法条
旧刑訴法69条,憲法34条
論点69第69条刑事訴訟法

一 判決に被告たる会社を表示する方法と被告会社名の変更
二 会社代表者と誤記された会社代理人の供述の証拠能力

裁判要旨判決に表示すべき被告会社については会社の名称、事務所及びその代表者の氏名を掲げるのが相当であるが、会社の名称に変更があつて判決に会社の旧名称を掲げたからといつてこれを以つて違法ということはできないし、代表者の氏名は必ずしもこれを判決に表示することを要するものではない。原判決にAを被告会社の代表者と表示したのは代理人の誤記であること記録上明白であり、代理人の供述は被告人本人の供述としてではなく代理人の供述としてこれを証拠とすることができるのである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年10月23日 昭和26(れ)998
登載
集刑 第55号75頁
参照法条
旧刑訴法69条,旧刑訴法331条
論点70第69条刑事訴訟法

一 被告人の住居の認定と證據調
二 被告人の住居の誤認と上告理由

裁判要旨一 判決書に記載すべき被告人の住居は、被告人を特定する事項たるに止り、もとより罪となるべき事實ではないからこれを認めるのに、證據調その他特別の審理を要するものではなく、記録その他について適宜これが取調を爲すを以て足るものといわねばならぬ。
二 假りに原審が被告人の住居に對する判斷につき誤りがあつたとしても前段説示のごとく判決に影響を及ぼす事柄でないから所論は上告適法の理由とならないものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和23年11月25日 昭和23(れ)834
登載
刑集 第2巻12号1647頁
参照法条
刑訴法69条1項,刑訴法360条1項,刑訴法411条
論点71第71条刑事訴訟法

聴取書に作成者の捺印を欠いても真正に成立した書類と認められる場合とその書類の証拠能力

裁判要旨一 所論聴取書の作成者である司法警察官警部代理巡査部長Aの名下に捺印のないことは所論のとおりである。二 しかし、同書類にはBの署名拇印並に右Aの署名が存し各葉の間にAの印で契印が施され、神戸市生田警察署印が押されており、さらに立会人巡査Cの署名押印があり、真正に成立した書類と認め得られるから、捺印を欠くの一事をもつて、所論のように証拠能力のない書類と断じ去ることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年3月15日 昭和25(れ)798
登載
集刑 第41号787頁
参照法条
旧刑訴法71条,旧刑訴法337条
論点72第71条刑事訴訟法

刑事の契印を欠く判決書の適否と共同上告人に対する破棄理由の共通

裁判要旨原判決を調べて見るに、その第二葉目と第三葉目との間に所論の契印を欠いていることは明である。旧刑訴法によると、判決書に判示の契印が欠けているときは常に上告の理由があつて判決に影響を及ぼすべき法令違背あるものと、されているのであるから、論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。そして、原判決は被告人Aに対する強盗、住所侵入、銃砲等所持禁止令違反被告事件についてばかりであく同一事件の共同被告人であるBに対しても言渡されたものであるから、前記破棄の理由は共同被告人たるBにも共通のものといわなければならない。従つて原判決は右Bの為にも破棄を免れないのである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年2月2日 昭和25(れ)1768
登載
刑集 第5巻3号395頁
参照法条
旧刑訴法71条2項,旧刑訴法410条21号,旧刑訴法451条
論点73第71条刑事訴訟法

聴取書の作成日附の誤記とその聴取書の証拠能力

裁判要旨所論被告人に対する検察事務官の第一回聴取書の日附が昭和二三年三月二八日であり、同第二回聴取書の日附が同月二七日となつていることは所論指摘のとおりである。しかし本件起訴が同月二七日であること等の点から考えて、右第一回聴取書の日附も同月二七日の誤記と認められるのであるが、それはさておくも、右第一、二回の聴取書は右日附頃適法に作成されたものであり、原審において右両聴取書が証拠調された際も被告人も弁護人も所論の点につき何等の異議も述べていないのであつて、右日附が右の如く逆になつていることの一事によつては、右各聴取書が証拠能力のないものと論結し得ない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年12月21日 昭和26(れ)1351
登載
集刑 第58号637頁
参照法条
旧刑訴法71条,旧刑訴法337条
論点74第71条刑事訴訟法

公判請求書に引用されている司法警察官意見書と犯罪一覧表との間に契印を欠くことと公訴事実の確定

裁判要旨論旨のように公判請求書とそこに引用されている司法警察官意見書との間、又は司法警察官意見書とそこに引用されている犯罪一覧表との間に常に契印を必要とするものではない。以上のように審判の範囲は明確なのであるから公訴棄却をすべきものであるという論旨は採用できない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年10月2日 昭和26(れ)1563
登載
集刑 第54号103頁
参照法条
旧刑訴法71条2項,旧刑訴法291条
論点75第71条刑事訴訟法

一 犯人が被告人であることの證據が自白のみである場合の正否
二 犯罪の動機等を被告人の自白及び取調警察官の供述によつて認定することの可否
三 自白の強要を認定し得ない一事例
四 自白の強要を認定し得ない事例
五 證人が自己の證言を補充するために差し出した書面と證人尋問調書との關係
六 犯行の動機の一部を證據によらずして認定した違法と上告理由

裁判要旨一 原審は被告人の自白のみならず多くの證據を綜合して判示事實を認定したのであつて、自白と原審舉示の他の證據とを綜合すれば原審認定の犯行事實を認定することが出來る。かかる場合犯人が被告人であることの證據が自白のみであつても違憲違法ではない。
二 殺人の動機及殺人に到るまでの被告人の心理的推移過程は、被告人の公判廷外の自白と被告人を取り調べた警察官の供述によつて認定しても違法ではない。
三 被告人の取調にあたつた司法警察官の作成した「殺人事件取調状況について」と題する記録編綴の書面中に、數日來犯行を否認していた被告人に對して」只今から捜査會議を始めるが取調にあたつている者は殆んど犯人は君だと信じている」とか唾液鑑定の結果によつては「否認しても無駄である」とか「自供が送れる程被告人に不利である」と繰り返し説得し眞相を追及した旨の記載があることだけで被告人の自白が強要によつたものと認定することはできない。
四 被告人が第一、二審公判廷で、警察での自白は取調官からアゝではないかコウではないかと問い詰められ強激な堪えられぬ苦痛を受けたので、取調官の云わるまゝ答えて了つたものでそれは皆事實に反すると供述したことだけで、直ちに自白が強要によつたものと斷定することはできない。
五 證人尋問調書に當該證人が自己の證言を補充するため書面を差し出し裁判長がこれを同調書の末尾に添付すると告げた旨の記載があり、且つ同調書と該書面との間に同調書作成者の契印が押してあるときは、右書面は同尋問調書の一部をなすものと認められる。
六 證據によらずして事実を認定した違法があつても、その事實が犯罪の動機として極めて輕微且つ間接の遠因に過ぎないため判決に影響を及ぼすべきものとは到底官考えられない場合には上告の理由とならない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和24年11月2日 昭和23(れ)1382
登載
刑集 第3巻11号1691頁
参照法条
憲法38条3項,憲法38条1項,旧刑訴法337条,旧刑訴法56条,旧刑訴法71条2項,旧刑訴法336条,旧刑訴法409条
論点76第73条刑事訴訟法

一 刑訴法第二〇一条第二項の準用する同法第七三条第三項にいわゆる「急速を要するとき」にあたる一事例
二 逮捕状を所持しない司法巡査が被疑者を逮捕しようとするに当り被疑者を奪還するためになした暴行と公務執行妨害罪の成立

裁判要旨一 某会社に勃発した労働争議に関し、発生した建造物損壊被疑事件の被疑者に対し逮捕状が発せられたので、某警部補指揮の下に甲、乙両巡査を含む司法巡査五名が右会社工場内外付近各所において、右被疑者が工場を出てくるのを待つて、右逮捕状を執行すべく待機中、自転車で工場から出て来た被疑者を甲、乙両巡査が発見したが、逮捕状の所持者と連絡してこれを同人に示す時間的余裕がなかつたので、逮捕状が発せられている旨を告げて逮捕しようとした当時の情況は、刑訴法第二〇一条第二項の準用する同法第七三条にいわゆる「急速を要するとき」にあたる。
二 右の如き情況の下において、折柄被疑者の求めに応じて工場から馳せつけた被告人等が被疑者奪還のため、甲、乙両巡査に対し暴行を加えた以上、被告人等の右所為は公務執行妨害罪を構成する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年3月9日 昭和26(あ)4557
登載
刑集 第10巻3号303頁
参照法条
刑訴法201条2項,刑訴法73条3項(昭和28年法律172号による改正前のもの),刑法95条1項,憲法33条
論点77第73条刑事訴訟法

宛名の記載がなく異つた筆跡による訂正加入のある弁護人選任届の効力

裁判要旨裁判所に提出された弁護人選任届に、宛名の記載がなく、且つその日附の部分に、他の部分と異なる筆跡による訂正加入がなされてあつても、無効のものとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年8月9日 昭和26(れ)1046
登載
刑集 第5巻9号1758頁
参照法条
旧刑訴法42条,旧刑訴法73条
論点78第73条刑事訴訟法

1 逮捕当日に採取された被疑者の尿に関する鑑定書の証拠能力が逮捕手続に重大な違法があるとして否定された事例
2 捜索差押許可状の発付に当たり疎明資料とされた被疑者の尿に関する鑑定書が違法収集証拠として証拠能力を否定される場合において同許可状に基づく捜索により発見押収された覚せい剤等の証拠能力が肯定された事例

裁判要旨1 被疑者の逮捕手続には,逮捕状の呈示がなく,逮捕状の緊急執行もされていない違法があり,これを糊塗するため,警察官が逮捕状に虚偽事項を記入し,公判廷において事実と反する証言をするなどの経緯全体に表れた警察官の態度(判文参照)を総合的に考慮すれば,本件逮捕手続の違法の程度は,令状主義の精神を没却するような重大なものであり,本件逮捕の当日に採取された被疑者の尿に関する鑑定書の証拠能力は否定される。
2 捜索差押許可状の発付に当たり疎明資料とされた被疑者の尿に関する鑑定書が違法収集証拠として証拠能力を否定される場合であっても,同許可状に基づく捜索により発見され,差し押さえられた覚せい剤及びこれに関する鑑定書は,その覚せい剤が司法審査を経て発付された令状に基づいて押収されたものであり,同許可状の執行が別件の捜索差押許可状の執行と併せて行われたものであることなど判示の事情の下では,証拠能力を否定されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年2月14日 平成13(あ)1678
登載
刑集 第57巻2号121頁
参照法条
刑訴法1条,刑訴法73条3項,刑訴法201条,刑訴法218条1項,刑訴法221条,刑訴法317条
論点79第74条刑事訴訟法

弁護人が被告人の氏名を代書してした弁護人選任届の効力

裁判要旨弁護人が被告人の氏名を代書して為した弁護人選任届は法令に違反する瑕疵あるものであるが、右弁護人が異議なく公判に立会い弁論をなし被告人からも何等の異議がなかつたときは右弁護届を無効と断ずることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年6月8日 昭和26(れ)130
登載
刑集 第5巻7号1257頁
参照法条
旧刑訴法42条,旧刑訴法74条
論点80第75条刑事訴訟法

被疑者の逮捕引致後における留置場所変更の適否。

裁判要旨逮捕状の執行によつて引致された被疑者を留置の必要ある場合に、他の警察署の代用監獄に押送拘置することは違法な措置ではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年4月9日 昭和38(あ)2476
登載
刑集 第18巻4号127頁
参照法条
刑訴法200条,刑訴法209条,刑訴法75条,監獄法1条3項
論点81第75条刑事訴訟法

郵便に付する送達と書類到達の要否

裁判要旨そして被告人は第一審において保釈決定を受け、その制限住居を別府市ab番地と指定されていたのであり、その住居が、被告人提出にかかる昭和二六年二月二三日付住居変更届に基ずき原審において同年三月六日東京都武蔵野市cd番地と変更せられるまでは、前記別府市ab番地に居住していたものと認められる。しかるに被告人において、原審に対し、その所在地に住居又は事務所を有する物を送達受取人に選任しその者と連署した書面を以てこれが届出をなした証跡は存在しないのであるから、原審においては、旧刑訴七六条〈被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により…〉により被告人に対する書類の送達は郵便に付してなすことを得た筈である。尤も右公判期日の召喚状は、いずれも「受取人不明」との事由の下に原審に返戻されたものの如くであり、被告人が右公判期日に出頭しなかつたこともその召喚状が被告人に到達しなかつたためであると認められないわけではない。しかし郵便に付する送達は「書類ヲ郵便ニ付シタル時ヲ以テ之ヲ為シタルモノト看做ス」と定めた旧刑訴七六条二項の規定は、予めその書類が到達しないような場合おも考慮し、かかる場合においてもなお送達の効力を認めんとするものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年10月18日 昭和26(れ)616
登載
刑集 第5巻11号2259頁
参照法条
旧刑訴法75条,旧刑訴法76条
論点82第76条刑事訴訟法

公判期の召喚状の不送達と刑訴第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉

裁判要旨原審における附郵便送達が事実上到達しなかつたとしても右不送達の原因は、被告人の住居の申出の不完全なことに基因するものと認められるばかりでなく、被告人は、同年三月六日午前九時の判決言渡期日を同年二月二三日適式に通知され且つ右言渡期日に被告人自身が原審公判廷に出頭したにかかわらず、前記再度の公判期日の通知が不送達であつたことを申し出ることなく且つ弁論再開等の申立をもしなかつたことも記録上明白である。されば、当裁判所は、結局刑訴四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉を適用して原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認めることができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年2月4日 昭和26(れ)619
登載
集刑 第92号59頁
参照法条
旧刑訴法76条,旧刑訴法410条8号,新刑訴法411条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑事訴訟法 第57条 詳細ページ
第五十七条裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。
刑事訴訟法 第58条 詳細ページ
第五十八条裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。
一被告人が定まつた住居を有しないとき。
二被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。
刑事訴訟法 第59条 詳細ページ
第五十九条勾引した被告人は、裁判所に引致した時から二十四時間以内にこれを釈放しなければならない。但し、その時間内に勾留状が発せられたときは、この限りでない。
刑事訴訟法 第60条 詳細ページ
第六十条裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一被告人が定まつた住居を有しないとき。
二被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
2勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
3三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。
刑事訴訟法 第61条 詳細ページ
第六十一条被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。
刑事訴訟法 第62条 詳細ページ
第六十二条被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。
刑事訴訟法 第63条 詳細ページ
第六十三条召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
刑事訴訟法 第64条 詳細ページ
第六十四条勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
2被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。
3被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。
刑事訴訟法 第65条 詳細ページ
第六十五条召喚状は、これを送達する。
2被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。
3裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員(刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。
刑事訴訟法 第66条 詳細ページ
第六十六条裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。
2受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
3受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
4嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。
5第六十四条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。
刑事訴訟法 第67条 詳細ページ
第六十七条前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。
2被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。
3前項の場合には、第五十九条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。
刑事訴訟法 第68条 詳細ページ
第六十八条裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。この場合には、第五十九条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。
刑事訴訟法 第69条 詳細ページ
第六十九条裁判長は、急速を要する場合には、第五十七条乃至第六十二条、第六十五条、第六十六条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
刑事訴訟法 第70条 詳細ページ
第七十条勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮することができる。
2刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、刑事施設職員がこれを執行する。
刑事訴訟法 第71条 詳細ページ
第七十一条検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。
刑事訴訟法 第72条 詳細ページ
第七十二条被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。
2嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。
刑事訴訟法 第73条 詳細ページ
第七十三条勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第六十六条第四項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。
2勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。
3勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。
刑事訴訟法 第74条 詳細ページ
第七十四条勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。
刑事訴訟法 第75条 詳細ページ
第七十五条勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを刑事施設に留置することができる。
刑事訴訟法 第76条 詳細ページ
第七十六条被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
2前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、弁護士、弁護士法人(弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。以下同じ。)又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。
3第一項の告知及び前項の教示は、合議体の構成員又は裁判所書記官にこれをさせることができる。
4第六十六条第四項の規定により勾引状を発した場合には、第一項の告知及び第二項の教示は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。ただし、裁判所書記官にその告知及び教示をさせることができる。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。