論点1第461条刑事訴訟法
略式手続による科刑限度をこえて罰金を科した略式命令に対する非常上告とその裁判
裁判要旨略式手続による科刑限度をこえて罰金を科した略式命令に対して非常上告があつたときは、刑訴法
四五八条二号〈非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。 訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。〉により、原裁判所が略式命令により科刑限度をこえる罰金を科した手続を破棄すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月23日 昭和52(さ)1
- 登載
- 刑集 第32巻1号77頁
- 参照法条
- 刑訴法458条,刑訴法459条,刑訴法461条,刑訴法463条1項,罰金等臨時措置法7条3項
論点2第461条刑事訴訟法
一 起訴状(略式命令請求書)との間に記載内容上軽微とはいえない差異がある略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合における審理の対象
二 訴因罰条の追加を明確な形でなさしめなかつた訴訟手続上の瑕疵が治癒されたものと認められた事例
裁判要旨一 訴因について起訴状(略式命令請求書)と略式命令との各記載内容に軽微とはいえない差異(判文参照)があり、被告人には略式命令の謄本だけが送達されたまま、右略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合、その公判における審理の対象(訴因)は、起訴状と略式命令との各記載内容が一致した部分にかぎられるものと解すべきである。
二 本件のように実質において訴因、罰条の追加と同視できる手続がなされている場合(判文参照)、その訴因、罰条の追加を明確な形でなさしめなかつたという点において、第一審判決に訴訟手続上の瑕疵があつたとしても、控訴趣意中になんら右瑕疵の指摘がなされていないときには、右瑕疵は既に治癒されたものと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月24日 昭和42(あ)1798
- 登載
- 刑集 第21巻9号1258頁
- 参照法条
- 刑訴法256条,刑訴法271条,刑訴法461条,刑訴法463条,刑訴法312条
論点3第461条刑事訴訟法
一 略式命令をした裁判官と除斥原因
二 共同被疑者に対し刑訴法第二二七条による証人尋問の請求が許されるか
裁判要旨一 略式命令をした裁判官が、同命令に対して正式裁判の請求があつた場合に、その事件を別件と併合した上、刑訴
第三三二条〈簡易裁判所は、地方裁判所において審判するのを相当と認めるときは、決定で管轄地方裁判所にこれを移送しなければならない。〉により地方裁判所に移送しても、除斥さるべき職務の執行をしたものといえない
二 共同被疑者に対しても、他の共同被疑者の被疑事件につき、刑訴
第二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉による証人尋問の請求が許される
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和36年2月23日 昭和35(あ)1695
- 登載
- 刑集 第15巻2号396頁
- 参照法条
- 刑訴法20条7号,刑訴法461条,刑訴法313条1項,刑訴法332条,刑訴法227条,刑訴法223条
論点4第461条刑事訴訟法
一 法人をたばこ専売法第七七条第七一条第一号第六六条第一項により処罰する場合と同法第七五条の没収、追徴
二 刑訴法第三三九号第一項第四号にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」にあたらない事例
三 略式命令の請求による起訴の効力発生の時期
裁判要旨一 法人とたばこ専売法第七七条、第七一条、第六六条第一項により処罰する場合には、所定の罰金のほか同法第七五条の没収、追徴の言渡ができる
二 法人の清算人が清算結了前に検察官から解散前の違反行為につき略式手続によることに異議がないかどうかを確められ、異議がない旨申述し、清算結了後、その登記前に略式命令の請求がなされている場合は、刑訴
第三三九条第一項第四号〈左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。〉にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」にあたらない
三 略式命令の請求による起訴の効力は、その請求が裁判所に対してなされた時に発生し、略式命令の謄本が被告人に送達された時に生ずるのではないと解するのが相当である
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年5月24日 昭和32(あ)2199
- 登載
- 刑集 第12巻8号1611頁
- 参照法条
- たばこ専売法77条,たばこ専売法71条1号,たばこ専売法66条1項,たばこ専売法75条,刑法8条,刑法9条,刑法20条,憲法31条,刑訴法339条1項4号,刑訴法256条,刑訴法461条,刑訴法462条,刑訴規則290条
論点5第461条刑事訴訟法
刑訴法461条〈簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科すること…〉以下の略式手続の規定違憲の主張が原判決の結論に影響のない事項に関するものであるとして不適法とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成27年10月16日 平成27(あ)1105
- 登載
- 集刑 第318号1頁
- 参照法条
- 憲法31条,憲法32条,憲法37条,憲法38条3項,憲法82条,刑訴法405条,刑訴法461条以下
論点6第461条刑事訴訟法
科刑意見どおりに発付された略式命令につき検察官がした正式裁判の請求が適法とされた事例
裁判要旨検察官の科刑意見どおりに略式命令が発付された場合であっても,その後累犯前科を含む多数の同種前科の存在が判明するに至ったなど判示の事情の下では,検察官がした正式裁判の請求は適法である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成16年2月16日 平成13(あ)456
- 登載
- 刑集 第58巻2号124頁
- 参照法条
- 刑訴法461条,刑訴法465条1項
論点7第462条刑事訴訟法
略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することの当否。
裁判要旨略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することは相当ではないが、このために弁護人の弁護権が妨げられたと認めるべき証跡が全くない場合は所論訴訟法違反の主張は採用しがたい。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月27日 昭和38(あ)842
- 登載
- 集刑 第151号541頁
- 参照法条
- 刑訴法256条,刑訴法405条,刑訴法411条,刑訴法462条,刑訴規則289条,刑訴規則293条
論点8第463条刑事訴訟法
刑事訴訟規則第二九〇条第一項は訓示規定か。
裁判要旨刑事訴訟規則第二九〇条第一項は、訓示規定である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和39(あ)321
- 登載
- 刑集 第18巻5号230頁
- 参照法条
- 刑訴規則290条1項,刑訴法463条の2第1項
論点9第463条刑事訴訟法
正式裁判の請求の起訴状謄本送達の要否
裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないものと解するを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年12月2日 昭和29(あ)2180
- 登載
- 刑集 第8巻12号2061頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法464条,刑訴法465条,刑訴規則290条,刑訴規則292条(刑訴法463条3項),刑訴規則292条(刑訴法463条4項),刑訴規則292条(刑訴法463条の2)
論点10第463条刑事訴訟法
憲法第三七条第一項に違反しない事例
裁判要旨ただ一人の裁判官が配属せられ且つその裁判官が簡易裁判所裁判官と地裁支部裁判官とを兼任している場合、裁判官が簡易裁判所に略式命令の請求があつた事件につき、これを略式命令不相当として通常公判手続に移し、二回の公判審理とこれに伴う証拠調をした上、地方裁判所において審判するのが相当だとしてさらに地方裁判所支部に移送し、自ら審理判決をしたとしても、その一事をもつて憲法第三七条第一項にいわゆる公平な裁判所の裁判でないということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年2月19日 昭和26(あ)4205
- 登載
- 刑集 第7巻2号293頁
- 参照法条
- 刑訴法463条,刑訴法332条,刑訴法20条,裁判所法33条3項,憲法37条1項
論点11第463条刑事訴訟法
起訴状に検察官の署名(記名)押印が欠けていることを看過して発せられた略式命令に対する非常上告
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年7月5日 平成19(さ)1
- 登載
- 集刑 第292号47頁
- 参照法条
- 刑訴法338条4号,刑訴法458条1号,刑訴法463条1項,刑訴規則58条1項,刑訴規則60条の2第2項
論点12第463条刑事訴訟法
家庭裁判所から検察官への送致決定を経ることなくされた起訴に基づき発付された略式命令に対する非常上告
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年12月13日 平成19(さ)3
- 登載
- 集刑 第292号703頁
- 参照法条
- 刑訴法338条4号,刑訴法458条1号,刑訴法463条1項,少年法20条1項
論点13第464条刑事訴訟法
略式命令原本とその主文において相違する謄本の送達と裁判の告知の効力。
裁判要旨記録によれば、宗像簡易裁判所は被告人を略式命令にし、その謄本と称する書面を被告人に送達したが、右書面には略式命令主文に誤記があつたため、さらに略式命令謄本を被告人に送達したことを認めることができるが、略式命令の謄本と称する書面がその主要部分である主文に誤記があるため、その原本と相違する場合は、謄本としての効力を欠如すると解すべきであるから、このような書面の送達をもつて略式命令の謄本の送達をしたということはできない。してみれば本件は、適式な略式命令謄本を送達した第二回目の送達のときに、はじめて被告人にその送達があり、略式命令の告知があつたというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年1月23日 昭和38(あ)2458
- 登載
- 集刑 第150号233頁
- 参照法条
- 刑訴法464条,刑訴規則34条
論点14第465条刑事訴訟法
正式裁判請求につき、弁護人選任届の追完が認められなかつた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月17日 昭和46(あ)1985
- 登載
- 集刑 第183号265頁
- 参照法条
- 刑訴法385条,刑訴法465条,刑訴規則18条
論点15第465条刑事訴訟法
被告人の支配人からの正式裁判請求の適否
裁判要旨略式手続における代理人または弁護人に該当せず、被告人の法定代理人または保佐人にも該当しない被告人の支配人からの正式裁判請求は不適法である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年1月17日 昭和42(し)71
- 登載
- 刑集 第22巻1号1頁
- 参照法条
- 刑訴法353条,刑訴法355条,刑訴法465条,刑訴法467条,刑訴法468条1項,商法38条1項
論点16第465条刑事訴訟法
略式命令謄本の送達前になされた正式裁判請求の適否。
裁判要旨略式命令謄本送達前になされた不適法な正式裁判請求も、右請求当時、同文の謄本が既に検察官および他の共同被告人に対しては送達されており、かつ、請求を受けた裁判所がこれを不適法として棄却する前に、請求人に対する送達が完了したときには、その瑕疵が治癒されると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和40年9月29日 昭和39(し)77
- 登載
- 刑集 第19巻6号749頁
- 参照法条
- 刑訴法465条1項,刑訴法468条1項,刑訴規則34条本文
論点17第465条刑事訴訟法
刑訴法第四六五条第一項〈略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。〉同規則第三四条〈前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。〉の解釈と刑訴法第四〇五条に規程する事由の存否。
裁判要旨所論は、違憲をいうけれども、略式命令が被告人に告知されたというには、その謄本が適法に送達されたというだけでは足りず、被告人が現実に略式命令を知ることを要するものとなし、原決定が略式命令謄本の適法な送達があつたときは、これにより略式命令の告知がなされたものというべきであると解したことを非難するものであつて、刑訴法
第四六五条第一項〈略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。〉同規則
第三四条〈前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。〉を解釈を争う訴訟法違反の主張に帰し、原決定に刑訴法第四〇五条に規程する事由があることを主張するものとは認められない。かつ原決定の右解釈は正当であつて当裁判所はこれを支持する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年11月8日 昭和38(し)44
- 登載
- 集刑 第149号61頁
- 参照法条
- 刑訴法465条1項,刑訴法405条,刑訴法54条,刑訴規則34条,憲法32条,憲法37条1項,民訴法171条1項
論点18第465条刑事訴訟法
正式裁判と刑訴法第四〇二条の適用の有無。
裁判要旨略式命令に対し正式裁判の請求が適法になされたときは、通常の規定に従い審判がなされなければならないのであつて、その場合においては、略式命令に拘束されないことは刑訴
第四六八条第二項〈正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。こ…〉、第三項の明定するところである。即ち事実認定においても法令の適用及び刑の量定においても略式命令に拘束されることはないわけであるから、略式命令に関しては、不利益変更禁止の規定の適用はないものと解すべきである(昭和九年(れ)第一三六二号、同年一〇月一七日大審院判決、集一三巻二二号一七四〇頁参照)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年7月28日 昭和36(あ)1063
- 登載
- 集刑 第138号893頁
- 参照法条
- 刑訴法402条,刑訴法465条,刑訴法468条2項,刑訴法468条3項
論点19第465条刑事訴訟法
正式裁判の請求があつた場合の起訴状謄本送達の要否
裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二九年(あ)二一八〇号同年一二月二日第一小法廷決定、集八巻一二号二〇六一頁)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和31年5月25日 昭和31(あ)53
- 登載
- 集刑 第113号587頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法465条,刑訴規則290条
論点20第466条刑事訴訟法
旧法事件(再審申立)に関する特別抗告が棄却された事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年9月28日 昭和57(し)63
- 登載
- 集刑 第228号643頁
- 参照法条
- 旧刑訴法466条1項,刑訴施行法2条
論点21第466条刑事訴訟法
有罪の言渡しを受けた者の養子である申立人の死亡を理由とする旧刑訴法による再審請求事件の手続終了宣言に対する特別抗告が棄却された事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成26年1月27日 平成25(し)726
- 登載
- 集刑 第313号3頁
- 参照法条
- 刑訴法施行法2条,刑訴応急措置法18条,旧刑訴法466条1項,旧刑訴法492条
論点22第468条刑事訴訟法
正式裁判の量刑と刑訴第四〇二条〈被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。〉
裁判要旨略式命令に対する正式裁判に関しては刑訴
第四〇二条〈被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。〉は適用されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年7月5日 昭和30(あ)3699
- 登載
- 刑集 第10巻7号1020頁
- 参照法条
- 刑訴法468条2号,刑訴法468条3号,刑訴法469号,刑訴法402条