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略式手続

略式手続の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

略式手続は、簡易裁判所が検察官の請求に基づき、正式な公判を開かずに書面審理だけで罰金・科料を言い渡す簡略な処分手続です。利用には被疑者があらかじめ手続の内容を理解し、異議がないことを書面で示すことが条件となり、命令を受けた側にも通常の裁判を求める道が残されています。

略式手続
項目内容数値・期限
科せる刑罰金・科料100万円以下
請求権者検察官―
管轄簡易裁判所―
事前手続被疑者の異議なしを確認書面で明示
請求方式起訴と同時に書面請求―
略式命令の記載事項罪となる事実・法令・刑正式裁判14日以内と明示
正式裁判の請求期限本人・検察官が請求可告知から14日以内
未告知の失効公訴提起がさかのぼり失効請求から4箇月以内
確定の効力確定判決と同一の効力期間経過・取下げ・棄却確定時
  • 略式命令では執行猶予・没収など付随処分も科すことができる(461条)
  • 検察官と被告人の間に合意(いわゆる司法取引)がある事件では、合意内容書面の提出が必要(462条の2)
  • 略式命令が不可・不相当な場合や手続違反があった場合は通常の審理に移行する(463条)
  • 正式裁判の請求・取下げには通常審理に関する規定が準用される(467条)
  • 正式裁判の審理では略式命令の内容に拘束されない(468条3項)
  • 正式裁判で判決が出ると、それまでの略式命令は効力を失う(469条)
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略式手続

略式手続について、条文は何を定めているか。

第461条簡裁が略式命令で罰金等を科せる1項判例 6件
  • 対象は簡易裁判所の管轄事件で、検察官の請求が必要
  • 科せるのは100万円以下の罰金・科料のみ
  • 執行猶予・没収など付随の処分も合わせて科せる
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第461_2条手続前に被疑者の同意確認が必要2項判例なし
  • 検察官は略式手続の内容と正式裁判を受けられる旨を説明する
  • その上で異議がないかを確かめる義務がある
  • 被疑者は異議がない旨を書面で明らかにする
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第462条起訴と同時に書面で請求する2項判例 2件
  • 略式命令の請求は公訴提起と同時に書面で行う
  • 被疑者の異議なし書面(461条の2〈検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い…〉)を添付する
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第462_2条合意があれば合意内容書面も提出2項判例なし
  • 被告人との合意(350条の2〈検察官は、特定犯罪に係る事件の被疑者又は被告人が特定犯罪に係る他人の刑事事件(以下単に「他人の刑事事件」という。)につい…〉)がある事件は請求と同時に合意内容書面を提出
  • 裁判前に合意から離脱する告知があれば遅滞なく書面を裁判所に提出
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第463条不可・不相当な事件は通常審理へ6項判例 7件
  • 略式命令が不可能・不相当と思われる場合は通常の審判に移行する
  • 461条の2〈検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い…〉の手続違反や書面添付違反があった場合も同様
  • 移行時は検察官に通知し、起訴状の謄本を提出させる
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第463_2条4箇月以内に告知なければ起訴失効3項判例なし
  • 請求から4箇月以内に略式命令が告知されないと公訴提起は遡って失効する
  • この場合、裁判所は決定で公訴を棄却しなければならない
  • 棄却の決定に対しては即時抗告ができる
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第464条略式命令に記載すべき事項1項判例 2件
  • 罪となるべき事実・適用法令・科す刑と付随処分を示す
  • 告知から14日以内に正式裁判を請求できる旨も示す
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第465条14日以内に正式裁判を請求できる2項判例 8件
  • 命令を受けた者・検察官は告知から14日以内に請求できる
  • 請求は略式命令をした裁判所に書面で行う
  • 裁判所は速やかに相手方へ請求があった旨を通知する
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第466条第一審判決まで請求を取り下げ可能1項判例 2件
  • 正式裁判の請求は第一審の判決が出るまで取り下げられる
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第467条通常審理に関する規定を準用1項判例 1件
  • 正式裁判の請求・取下げには353条〈被告人の法定代理人又は保佐人は、被告人のため上訴をすることができる。〉等の関連規定が準用される
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第468条適法な請求は通常審理、命令に拘束されず6項判例 4件
  • 方式違反や期限後の請求は決定で棄却され、即時抗告ができる
  • 適法な請求は通常の規定に従って審判する
  • この審判では略式命令の内容に拘束されない
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第469条正式裁判の判決で略式命令は失効2項判例なし
  • 正式裁判で判決をすると、それまでの略式命令は効力を失う
  • 失効に伴い関連する勾留状も効力を失う
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第470条期間経過・取下げで確定判決と同一効力1項判例なし
  • 正式裁判の請求期間の経過や取下げで確定判決と同一の効力を生じる
  • 請求を棄却する裁判が確定した場合も同様の効力を生じる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第461条刑事訴訟法

略式手続による科刑限度をこえて罰金を科した略式命令に対する非常上告とその裁判

裁判要旨略式手続による科刑限度をこえて罰金を科した略式命令に対して非常上告があつたときは、刑訴法四五八条二号〈非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。 訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。〉により、原裁判所が略式命令により科刑限度をこえる罰金を科した手続を破棄すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月23日 昭和52(さ)1
登載
刑集 第32巻1号77頁
参照法条
刑訴法458条,刑訴法459条,刑訴法461条,刑訴法463条1項,罰金等臨時措置法7条3項
論点2第461条刑事訴訟法

一 起訴状(略式命令請求書)との間に記載内容上軽微とはいえない差異がある略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合における審理の対象
二 訴因罰条の追加を明確な形でなさしめなかつた訴訟手続上の瑕疵が治癒されたものと認められた事例

裁判要旨一 訴因について起訴状(略式命令請求書)と略式命令との各記載内容に軽微とはいえない差異(判文参照)があり、被告人には略式命令の謄本だけが送達されたまま、右略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合、その公判における審理の対象(訴因)は、起訴状と略式命令との各記載内容が一致した部分にかぎられるものと解すべきである。
二 本件のように実質において訴因、罰条の追加と同視できる手続がなされている場合(判文参照)、その訴因、罰条の追加を明確な形でなさしめなかつたという点において、第一審判決に訴訟手続上の瑕疵があつたとしても、控訴趣意中になんら右瑕疵の指摘がなされていないときには、右瑕疵は既に治癒されたものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月24日 昭和42(あ)1798
登載
刑集 第21巻9号1258頁
参照法条
刑訴法256条,刑訴法271条,刑訴法461条,刑訴法463条,刑訴法312条
論点3第461条刑事訴訟法

一 略式命令をした裁判官と除斥原因
二 共同被疑者に対し刑訴法第二二七条による証人尋問の請求が許されるか

裁判要旨一 略式命令をした裁判官が、同命令に対して正式裁判の請求があつた場合に、その事件を別件と併合した上、刑訴第三三二条〈簡易裁判所は、地方裁判所において審判するのを相当と認めるときは、決定で管轄地方裁判所にこれを移送しなければならない。〉により地方裁判所に移送しても、除斥さるべき職務の執行をしたものといえない
二 共同被疑者に対しても、他の共同被疑者の被疑事件につき、刑訴第二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉による証人尋問の請求が許される
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年2月23日 昭和35(あ)1695
登載
刑集 第15巻2号396頁
参照法条
刑訴法20条7号,刑訴法461条,刑訴法313条1項,刑訴法332条,刑訴法227条,刑訴法223条
論点4第461条刑事訴訟法

一 法人をたばこ専売法第七七条第七一条第一号第六六条第一項により処罰する場合と同法第七五条の没収、追徴
二 刑訴法第三三九号第一項第四号にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」にあたらない事例
三 略式命令の請求による起訴の効力発生の時期

裁判要旨一 法人とたばこ専売法第七七条、第七一条、第六六条第一項により処罰する場合には、所定の罰金のほか同法第七五条の没収、追徴の言渡ができる
二 法人の清算人が清算結了前に検察官から解散前の違反行為につき略式手続によることに異議がないかどうかを確められ、異議がない旨申述し、清算結了後、その登記前に略式命令の請求がなされている場合は、刑訴第三三九条第一項第四号〈左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。〉にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」にあたらない
三 略式命令の請求による起訴の効力は、その請求が裁判所に対してなされた時に発生し、略式命令の謄本が被告人に送達された時に生ずるのではないと解するのが相当である
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年5月24日 昭和32(あ)2199
登載
刑集 第12巻8号1611頁
参照法条
たばこ専売法77条,たばこ専売法71条1号,たばこ専売法66条1項,たばこ専売法75条,刑法8条,刑法9条,刑法20条,憲法31条,刑訴法339条1項4号,刑訴法256条,刑訴法461条,刑訴法462条,刑訴規則290条
論点5第461条刑事訴訟法

刑訴法461条〈簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科すること…〉以下の略式手続の規定違憲の主張が原判決の結論に影響のない事項に関するものであるとして不適法とされた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年10月16日 平成27(あ)1105
登載
集刑 第318号1頁
参照法条
憲法31条,憲法32条,憲法37条,憲法38条3項,憲法82条,刑訴法405条,刑訴法461条以下
論点6第461条刑事訴訟法

科刑意見どおりに発付された略式命令につき検察官がした正式裁判の請求が適法とされた事例

裁判要旨検察官の科刑意見どおりに略式命令が発付された場合であっても,その後累犯前科を含む多数の同種前科の存在が判明するに至ったなど判示の事情の下では,検察官がした正式裁判の請求は適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年2月16日 平成13(あ)456
登載
刑集 第58巻2号124頁
参照法条
刑訴法461条,刑訴法465条1項
論点7第462条刑事訴訟法

略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することの当否。

裁判要旨略式命令請求書に司法警察職員作成の現認報告書の記載を引用することは相当ではないが、このために弁護人の弁護権が妨げられたと認めるべき証跡が全くない場合は所論訴訟法違反の主張は採用しがたい。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月27日 昭和38(あ)842
登載
集刑 第151号541頁
参照法条
刑訴法256条,刑訴法405条,刑訴法411条,刑訴法462条,刑訴規則289条,刑訴規則293条
論点8第463条刑事訴訟法

刑事訴訟規則第二九〇条第一項は訓示規定か。

裁判要旨刑事訴訟規則第二九〇条第一項は、訓示規定である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和39(あ)321
登載
刑集 第18巻5号230頁
参照法条
刑訴規則290条1項,刑訴法463条の2第1項
論点9第463条刑事訴訟法

正式裁判の請求の起訴状謄本送達の要否

裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないものと解するを相当とする。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年12月2日 昭和29(あ)2180
登載
刑集 第8巻12号2061頁
参照法条
刑訴法271条,刑訴法464条,刑訴法465条,刑訴規則290条,刑訴規則292条(刑訴法463条3項),刑訴規則292条(刑訴法463条4項),刑訴規則292条(刑訴法463条の2)
論点10第463条刑事訴訟法

憲法第三七条第一項に違反しない事例

裁判要旨ただ一人の裁判官が配属せられ且つその裁判官が簡易裁判所裁判官と地裁支部裁判官とを兼任している場合、裁判官が簡易裁判所に略式命令の請求があつた事件につき、これを略式命令不相当として通常公判手続に移し、二回の公判審理とこれに伴う証拠調をした上、地方裁判所において審判するのが相当だとしてさらに地方裁判所支部に移送し、自ら審理判決をしたとしても、その一事をもつて憲法第三七条第一項にいわゆる公平な裁判所の裁判でないということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年2月19日 昭和26(あ)4205
登載
刑集 第7巻2号293頁
参照法条
刑訴法463条,刑訴法332条,刑訴法20条,裁判所法33条3項,憲法37条1項
論点11第463条刑事訴訟法

起訴状に検察官の署名(記名)押印が欠けていることを看過して発せられた略式命令に対する非常上告

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年7月5日 平成19(さ)1
登載
集刑 第292号47頁
参照法条
刑訴法338条4号,刑訴法458条1号,刑訴法463条1項,刑訴規則58条1項,刑訴規則60条の2第2項
論点12第463条刑事訴訟法

家庭裁判所から検察官への送致決定を経ることなくされた起訴に基づき発付された略式命令に対する非常上告

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成19年12月13日 平成19(さ)3
登載
集刑 第292号703頁
参照法条
刑訴法338条4号,刑訴法458条1号,刑訴法463条1項,少年法20条1項
論点13第464条刑事訴訟法

略式命令原本とその主文において相違する謄本の送達と裁判の告知の効力。

裁判要旨記録によれば、宗像簡易裁判所は被告人を略式命令にし、その謄本と称する書面を被告人に送達したが、右書面には略式命令主文に誤記があつたため、さらに略式命令謄本を被告人に送達したことを認めることができるが、略式命令の謄本と称する書面がその主要部分である主文に誤記があるため、その原本と相違する場合は、謄本としての効力を欠如すると解すべきであるから、このような書面の送達をもつて略式命令の謄本の送達をしたということはできない。してみれば本件は、適式な略式命令謄本を送達した第二回目の送達のときに、はじめて被告人にその送達があり、略式命令の告知があつたというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年1月23日 昭和38(あ)2458
登載
集刑 第150号233頁
参照法条
刑訴法464条,刑訴規則34条
論点14第465条刑事訴訟法

正式裁判請求につき、弁護人選任届の追完が認められなかつた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月17日 昭和46(あ)1985
登載
集刑 第183号265頁
参照法条
刑訴法385条,刑訴法465条,刑訴規則18条
論点15第465条刑事訴訟法

被告人の支配人からの正式裁判請求の適否

裁判要旨略式手続における代理人または弁護人に該当せず、被告人の法定代理人または保佐人にも該当しない被告人の支配人からの正式裁判請求は不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年1月17日 昭和42(し)71
登載
刑集 第22巻1号1頁
参照法条
刑訴法353条,刑訴法355条,刑訴法465条,刑訴法467条,刑訴法468条1項,商法38条1項
論点16第465条刑事訴訟法

略式命令謄本の送達前になされた正式裁判請求の適否。

裁判要旨略式命令謄本送達前になされた不適法な正式裁判請求も、右請求当時、同文の謄本が既に検察官および他の共同被告人に対しては送達されており、かつ、請求を受けた裁判所がこれを不適法として棄却する前に、請求人に対する送達が完了したときには、その瑕疵が治癒されると解すべきである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和40年9月29日 昭和39(し)77
登載
刑集 第19巻6号749頁
参照法条
刑訴法465条1項,刑訴法468条1項,刑訴規則34条本文
論点17第465条刑事訴訟法

刑訴法第四六五条第一項〈略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。〉同規則第三四条〈前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。〉の解釈と刑訴法第四〇五条に規程する事由の存否。

裁判要旨所論は、違憲をいうけれども、略式命令が被告人に告知されたというには、その謄本が適法に送達されたというだけでは足りず、被告人が現実に略式命令を知ることを要するものとなし、原決定が略式命令謄本の適法な送達があつたときは、これにより略式命令の告知がなされたものというべきであると解したことを非難するものであつて、刑訴法第四六五条第一項〈略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。〉同規則第三四条〈前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。〉を解釈を争う訴訟法違反の主張に帰し、原決定に刑訴法第四〇五条に規程する事由があることを主張するものとは認められない。かつ原決定の右解釈は正当であつて当裁判所はこれを支持する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年11月8日 昭和38(し)44
登載
集刑 第149号61頁
参照法条
刑訴法465条1項,刑訴法405条,刑訴法54条,刑訴規則34条,憲法32条,憲法37条1項,民訴法171条1項
論点18第465条刑事訴訟法

正式裁判と刑訴法第四〇二条の適用の有無。

裁判要旨略式命令に対し正式裁判の請求が適法になされたときは、通常の規定に従い審判がなされなければならないのであつて、その場合においては、略式命令に拘束されないことは刑訴第四六八条第二項〈正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。こ…〉、第三項の明定するところである。即ち事実認定においても法令の適用及び刑の量定においても略式命令に拘束されることはないわけであるから、略式命令に関しては、不利益変更禁止の規定の適用はないものと解すべきである(昭和九年(れ)第一三六二号、同年一〇月一七日大審院判決、集一三巻二二号一七四〇頁参照)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和36年7月28日 昭和36(あ)1063
登載
集刑 第138号893頁
参照法条
刑訴法402条,刑訴法465条,刑訴法468条2項,刑訴法468条3項
論点19第465条刑事訴訟法

正式裁判の請求があつた場合の起訴状謄本送達の要否

裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二九年(あ)二一八〇号同年一二月二日第一小法廷決定、集八巻一二号二〇六一頁)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年5月25日 昭和31(あ)53
登載
集刑 第113号587頁
参照法条
刑訴法271条,刑訴法465条,刑訴規則290条
論点20第466条刑事訴訟法

旧法事件(再審申立)に関する特別抗告が棄却された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年9月28日 昭和57(し)63
登載
集刑 第228号643頁
参照法条
旧刑訴法466条1項,刑訴施行法2条
論点21第466条刑事訴訟法

有罪の言渡しを受けた者の養子である申立人の死亡を理由とする旧刑訴法による再審請求事件の手続終了宣言に対する特別抗告が棄却された事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年1月27日 平成25(し)726
登載
集刑 第313号3頁
参照法条
刑訴法施行法2条,刑訴応急措置法18条,旧刑訴法466条1項,旧刑訴法492条
論点22第468条刑事訴訟法

正式裁判の量刑と刑訴第四〇二条〈被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。〉

裁判要旨略式命令に対する正式裁判に関しては刑訴第四〇二条〈被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。〉は適用されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年7月5日 昭和30(あ)3699
登載
刑集 第10巻7号1020頁
参照法条
刑訴法468条2号,刑訴法468条3号,刑訴法469号,刑訴法402条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑事訴訟法 第461条 詳細ページ
第四百六十一条簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
刑事訴訟法 第461_2条 詳細ページ
第四百六十一条の二検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。
2被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
刑事訴訟法 第462条 詳細ページ
第四百六十二条略式命令の請求は、公訴の提起と同時に、書面でこれをしなければならない。
2前項の書面には、前条第二項の書面を添附しなければならない。
刑事訴訟法 第462_2条 詳細ページ
第四百六十二条の二検察官は、略式命令の請求をする場合において、その事件について被告人との間でした第三百五十条の二第一項の合意があるときは、当該請求と同時に、合意内容書面を裁判所に差し出さなければならない。
2前項の規定により合意内容書面を裁判所に差し出した後、裁判所が略式命令をする前に、当該合意の当事者が第三百五十条の十第二項の規定により当該合意から離脱する旨の告知をしたときは、検察官は、遅滞なく、同項の書面をその裁判所に差し出さなければならない。
刑事訴訟法 第463条 詳細ページ
第四百六十三条第四百六十二条の請求があつた場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。
2検察官が、第四百六十一条の二に定める手続をせず、又は第四百六十二条第二項に違反して略式命令を請求したときも、前項と同様である。
3裁判所は、前二項の規定により通常の規定に従い審判をするときは、直ちに検察官にその旨を通知しなければならない。
4検察官は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、裁判所に対し、被告人に送達するものとして、起訴状の謄本を提出しなければならない。
5第一項及び第二項の場合には、第二百七十一条及び第二百七十一条の二の規定の適用があるものとする。この場合において、第二百七十一条第一項中「公訴の提起」とあるのは「第四百六十三条第四項の規定による起訴状の謄本の提出」と、同条第二項中「公訴の提起が」とあるのは「第四百六十三条第三項の規定による通知が」と、第二百七十一条の二第二項中「公訴の提起において、裁判所に対し、起訴状とともに」とあるのは「第四百六十三条第三項の規定による通知を受けた後速やかに、裁判所に対し」とする。
6前項において読み替えて適用する第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出は、第三百三十八条(第四号に係る部分に限る。)の規定の適用については、公訴の提起においてされたものとみなす。
刑事訴訟法 第463_2条 詳細ページ
第四百六十三条の二前条の場合を除いて、略式命令の請求があつた日から四箇月以内に略式命令が被告人に告知されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。
2前項の場合には、裁判所は、決定で、公訴を棄却しなければならない。略式命令が既に検察官に告知されているときは、略式命令を取り消した上、その決定をしなければならない。
3前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
刑事訴訟法 第464条 詳細ページ
第四百六十四条略式命令には、罪となるべき事実、適用した法令、科すべき刑及び附随の処分並びに略式命令の告知があつた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる旨を示さなければならない。
刑事訴訟法 第465条 詳細ページ
第四百六十五条略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
2正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。
刑事訴訟法 第466条 詳細ページ
第四百六十六条正式裁判の請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる。
刑事訴訟法 第467条 詳細ページ
第四百六十七条第三百五十三条、第三百五十五条乃至第三百五十七条、第三百五十九条、第三百六十条及び第三百六十一条乃至第三百六十五条の規定は、正式裁判の請求又はその取下についてこれを準用する。
刑事訴訟法 第468条 詳細ページ
第四百六十八条正式裁判の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
2正式裁判の請求を適法とするときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。
3前項の場合においては、略式命令に拘束されない。
4検察官は、第二項の規定により通常の規定に従い審判をすることとされた場合において、起訴状に記載された第二百七十一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者の個人特定事項について、必要と認めるときは、裁判所に対し、当該個人特定事項が被告人に知られないようにするための措置をとることを求めることができる。
5前項の規定による求めは、第二百七十一条の二第一項の規定による求めとみなして、同条第二項の規定を適用する。この場合において、同項中「公訴の提起において、裁判所に対し、起訴状とともに」とあるのは、「速やかに、裁判所に対し」とする。
6第四百六十三条第六項の規定は、前項において読み替えて適用する第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出について準用する。
刑事訴訟法 第469条 詳細ページ
第四百六十九条正式裁判の請求により判決をしたときは、略式命令は、その効力を失う。
2略式命令が効力を失つたときは、第三百四十五条の二の規定による決定及び第三百四十五条の三において読み替えて準用する第三百四十二条の八第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による決定に係る勾留状は、その効力を失う。
刑事訴訟法 第470条 詳細ページ
第四百七十条略式命令は、正式裁判の請求期間の経過又はその請求の取下により、確定判決と同一の効力を生ずる。正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、同様である。
出

一次情報

原文ママ

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