民事訴訟法 / テーマ別まとめ

証拠/書証

書証の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

書証は、文書を提出するか、所持者に提出命令・送付嘱託を求める形で申し出ます。文書提出義務の範囲や提出命令の申立て・審理の手続、命令に従わない場合の効果や過料、文書の成立の真正の証明方法(推定・筆跡対照)を条文にもとづき整理しています。

文書提出命令等に従わない場合の効果・過料
対象行為効果過料等
当事者提出命令に従わない相手方主張を真実と認定可―
当事者妨害目的で文書滅失等同上―
第三者提出命令に従わない過料20万円以下
相手方対照用筆記命令に不服従挙証者主張を真実と認定可―
第三者対照用文書提出命令に不服従過料10万円以下
当事者・代理人故意・重過失で成立を否認過料10万円以下
  • 220条4号の除外事由(イ~ホ)は文書の内容ごとに個別判断される
  • 221条2項:220条4号を提出義務の原因とする申立ては提出命令による必要がある場合のみ可
  • 222条:文書の特定が著しく困難なときは識別事項の明示で足り、裁判所から所持者に明示を求めてもらえる
  • 223条3~5項:公務員の職務上秘密文書は監督官庁の意見聴取など特別な手続がある
  • 226条ただし書:法令上正本・謄本の交付を請求できる場合は送付嘱託を使えない
  • 228条:公文書は方式・趣旨から真正推定、私文書は署名・押印があれば真正推定
1

書証

書証について、条文は何を定めているか。

第219条書証の申出書証は提出か提出命令申立てで行う1項判例 2件
  • 文書を自ら提出するか、所持者に提出を命じるよう申し立てる方法で行う
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第220条文書提出義務文書所持者が提出を拒めない場合1項・4号判例 23件
  • 当事者が訴訟で引用した文書を自ら持つ場合
  • 挙証者が引渡し・閲覧を求められる文書や挙証者のための文書
  • 上記以外でもイ~ホの除外事由がなければ提出義務あり
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第221条文書提出命令の申立て提出命令の申立てで明示すべき事項2項・5号判例 4件
  • 文書の表示・趣旨・所持者・証明事実・提出義務原因の5点を明示する
  • 220条4号〈文書提出義務 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。〉を理由とする申立ては提出命令による必要がある場合のみ可
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第222条文書の特定のための手続文書特定が困難なときの簡易手続2項判例 4件
  • 表示・趣旨の明示が著しく困難なら識別事項の明示で足りる
  • 裁判所に所持者への明示要求を申し出ることができる
  • 裁判所は申立てに理由がないことが明らかな場合を除き明示を求められる
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第223条文書提出命令等裁判所は決定で提出を命じる7項・2号判例 16件
  • 理由ありと認めるときは決定で提出を命じ、一部除外も可能
  • 第三者に命じる場合は審尋が必要
  • 決定には即時抗告ができる
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第224条当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果提出命令違反時は相手方主張を真実擬制3項判例 7件
  • 当事者が提出命令に従わないと文書記載に関する主張を真実と認定可
  • 妨害目的で文書を滅失等させた場合も同様
  • 具体的主張や他証拠での証明が著しく困難なら事実自体も真実と認定可
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第225条第三者が文書提出命令に従わない場合の過料第三者が命令違反なら過料20万円以下2項判例 56件
  • 第三者が提出命令に従わないと決定で20万円以下の過料
  • 決定には即時抗告ができる
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第226条文書送付の嘱託文書送付嘱託という申出方法もある1項判例 19件
  • 219条〈書証の申出〉によらず所持者への送付嘱託を申し立てられる
  • 法令上正本・謄本の交付を請求できる場合は不可
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第227条文書の留置等裁判所は提出・送付文書を留め置ける2項判例 12件
  • 必要があれば提出・送付された文書を留め置くことができる
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第228条文書の成立文書は真正な成立の証明が必要5項判例 12件
  • 公務員が職務上作成したと認められる文書は真正な公文書と推定
  • 疑いがあれば裁判所は職権で当該官庁等に照会できる
  • 私文書は本人・代理人の署名・押印があれば真正と推定
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第229条筆跡等の対照による証明筆跡・印影の対照でも成立を証明できる6項判例 3件
  • 対照用文書等の提出・送付にも219・223・224条〈当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果〉等を準用する
  • 適当な筆跡がなければ相手方に筆記を命じられる
  • 正当理由なく従わない・書体を変えると真実擬制、第三者は10万円以下の過料
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第230条文書の成立の真正を争った者に対する過料成立を争った当事者に過料の制裁3項判例なし
  • 故意・重過失で真実に反し成立を争うと10万円以下の過料
  • 訴訟係属中に成立を認めれば決定を取り消せる
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第231条文書に準ずる物件への準用図面・写真・録音等も書証と同様に扱う1項判例 12件
  • 文書でない図面・写真・録音テープ・ビデオテープ等にもこの節の規定を準用する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第219条民事訴訟法

地方公共団体は,その機関が保管する文書について,文書提出命令の名宛人となる文書の所持者に当たるか

裁判要旨地方公共団体は,その機関が保管する文書について,文書提出命令の名宛人となる文書の所持者に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成29年10月4日 平成29(行フ)2
登載
民集 第71巻8号1221頁
参照法条
民訴法219条,民訴法220条,民訴法221条1項,民訴法223条1項
論点2第219条民事訴訟法

債権の差押えに基づき第三者債務者として弁済した旨の抗弁に係る主張の補正及び立証について釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例

裁判要旨元本債権及びこれに対する遅延損害金債権の支払請求に対する抗弁として,被告が,いずれの債権についても同時に原告に対する滞納処分としての差押えがされその全額を支払ったと主張する一方,遅延損害金債権のみが差押債権として記載された債権差押通知書及び差押債権受入金として上記各債権の全額を領収した旨の記載がある領収証書を書証として提出していることから,同通知書につき上記各債権が同時に差し押さえられた旨の記載があるものと誤解していたことが明らかであるという事情の下においては,裁判所が,被告は上記差押えに基づき各債権の全額を支払ったと認定しながら,元本債権に対する差押えについての主張の補正及び立証をするかどうかについて釈明権を行使することなく,同差押えの事実を認めることができないとし,元本債権に対する弁済の主張を排斥したことには,釈明権の行使を怠った違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成17年7月14日 平成16(オ)1653
登載
集民 第217号399頁
参照法条
民訴法149条,民訴法219条
論点3第220条民事訴訟法

1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条1号〈文書提出義務 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。〉所定のいわゆる引用文書に該当するとして提出を命ずることの可否
2 刑事事件の捜査に関して作成された書類の写しで,それ自体もその原本も公判に提出されなかったものを,その捜査を担当した都道府県警察を置く都道府県が所持する場合に,当該写しにつき民訴法220条1号所定のいわゆる引用文書又は同条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否

裁判要旨1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条1号所定のいわゆる引用文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができる。
2 刑事事件の捜査に関して作成された書類の写しで,それ自体もその原本も公判に提出されなかったものを,その捜査を担当した都道府県警察を置く都道府県が所持し,当該写しについて文書提出命令の申立てがされた場合においては,当該原本を検察官が保管しているときであっても,当該写しが民訴法220条1号所定のいわゆる引用文書又は同条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該都道府県による当該写しの提出の拒否が,民事訴訟における当該写しを取り調べる必要性の有無,程度,当該写しが開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該都道府県の有する裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成31年1月22日 平成30(許)7
登載
民集 第73巻1号39頁
参照法条
(1,2につき)民訴法220条1号,民訴法220条4号ホ,刑訴法47条 (2につき)民訴法220条3号
論点4第220条民事訴訟法

岡山県議会の議員が県から交付された政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿が民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例

裁判要旨岡山県議会の議員が県から交付された政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿は,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。
(1) 岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)においては,平成21年岡山県条例第34号による改正により,政務調査費の交付を受けた議員は収支報告書に1万円を超える支出に係る領収書の写しその他の議長が定める書類を添付して議長に提出しなければならず,何人も議長に対してこれらの書類の閲覧を請求することができることとされた。
(2) 上記条例の委任を受けた岡山県議会の政務調査費の交付に関する規程(平成13年岡山県議会告示第1号。平成24年岡山県議会告示第2号による改正前のもの)においては,政務調査費の支出につき,その金額の多寡にかかわらず,議員に対して領収書その他の証拠書類等の整理保管及び保存が義務付けられており,上記改正後の上記条例の下では,上記領収書その他の証拠書類等は,議長において上記条例に基づく調査を行う際に必要に応じて支出の金額の多寡にかかわらず直接確認することが予定されているものである。
(3) 会計帳簿は,領収書その他の証拠書類等を原始的な資料とし,これらの資料から明らかとなる情報が一覧し得る状態で整理されたものであるところ,上記条例の委任を受けた上記規程においては,政務調査費の支出につき,議員に対して会計帳簿の調製及び保存が義務付けられており,上記改正後の上記条例の下では,上記会計帳簿は,議長において上記条例に基づく調査を行う際に必要に応じて直接確認することが予定されているものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年10月29日 平成26(行フ)3
登載
集民 第248号15頁
参照法条
民訴法220条4号ニ,地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの)100条14項,地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの)100条15項,岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)8条1項,岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)8条3項,岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)9条,岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)11条1項,岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例(平成13年岡山県条例第43号。平成24年岡山県条例第86号による改正前のもの)11条2項,岡山県議会の政務調査費の交付に関する規程(平成13年岡山県議会告示第1号。平成24年岡山県議会告示第2号による改正前のもの)6条,岡山県議会の政務調査費の交付に関する規程(平成13年岡山県議会告示第1号。平成24年岡山県議会告示第2号による改正前のもの)7条
論点5第220条民事訴訟法

全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書が民訴法231条〈文書に準ずる物件への準用〉において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たるとされた事例

裁判要旨全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書は,個人の特定に係る事項が一定の範囲で除外されていても,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,民訴法231条〈文書に準ずる物件への準用〉において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たる。
(1) 基幹統計調査である全国消費実態調査においては,被調査者の任意の協力による真実に合致した正確な報告が行われることが極めて重要であり,調査票情報の十全な保護を図ることによって被調査者の当該統計制度に係る情報保護に対する信頼を確保することが強く要請される。
(2) 上記準文書に記録された情報は,被調査者の家族構成や居住状況等に加え,月ごとの収入や日々の支出等の家計の状況,年間収入,貯蓄現在高や借入金残高等の資産の状況など,個人及びその家族の消費生活や経済状態等の委細にわたる極めて詳細かつ具体的な情報であって,金額等の数値もその大半が細目にわたり報告の内容のまま記録されている。
(3) 上記準文書が訴訟において提出されると,被調査者との関係等を通じて被調査者に係る上記(2)の情報の一部を知る者などの第三者において,被調査者を特定してこれらの情報全体の委細を知るに至る可能性がある。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成25年4月19日 平成25(行フ)2
登載
集民 第243号385頁
参照法条
民訴法220条4号ロ,民訴法231条,旧統計法(平成19年法律第53号による全部改正前のもの)2条,統計法2条4項,統計法2条11項
論点6第220条民事訴訟法

1 国立大学法人が所持しその役員又は職員が組織的に用いる文書についての文書提出命令の申立てと民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉括弧書部分の類推適用
2 民訴法220条4号ロにいう「公務員」には国立大学法人の役員及び職員も含まれるか

裁判要旨1 国立大学法人が所持し,その役員又は職員が組織的に用いる文書についての文書提出命令の申立てには,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉括弧書部分が類推適用される。
2 民訴法220条4号ロにいう「公務員」には,国立大学法人の役員及び職員も含まれる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成25年12月19日 平成25(許)6
登載
民集 第67巻9号1938頁
参照法条
(1,2につき)国立大学法人法2条1項(1につき)民訴法220条4号ニ,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律2条1項,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律別表第1(2につき)民訴法220条4号ロ,国立大学法人法19条
論点7第220条民事訴訟法

弁護士会の綱紀委員会の議事録のうち「重要な発言の要旨」に当たる部分が民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に該当するとされた事例

裁判要旨弁護士会の綱紀委員会の議事録のうち「重要な発言の要旨」に当たる部分は,次の(1)及び(2)の事情の下では,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に該当する。
(1) 当該弁護士会の会則等の内部規則において,綱紀委員会の議事及び議事録は非公開とされており,綱紀委員会の議決に基づき懲戒委員会に対し事案の審査を求めるに当たって提出すべき綱紀委員会の調査記録等にも,その議事録は含まれていない。
(2) 上記部分は,当該弁護士会の綱紀委員会内部における意思形成過程に関する情報が記載されているものである。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年10月11日 平成23(行ト)42
登載
集民 第238号35頁
参照法条
民訴法220条4号ニ,弁護士法58条
論点8第220条民事訴訟法

名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書が民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例

裁判要旨名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たる。
(1) 名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)の委任を受けた名古屋市会政務調査費の交付に関する規則(平成13年名古屋市規則第11号)は,会派の経理責任者に政務調査費の支出について会計帳簿の調製及び領収書等の証拠書類の整理並びにこれらの書類の保管を義務付けているが,上記条例及び規則の規定上,上記各書類は,専ら各会派の内部にとどめて利用すべき文書であることが予定されている。当該報告書は,当該会派が独自に使用しているもので,せいぜい上記規則所定の証拠書類に該当し得るにとどまり,これに添付された領収書は,上記規則所定の領収書に該当する。
(2) 当該報告書及びこれに添付された領収書は,個々の政務調査費の支出について,当該支出に係る調査研究活動をした議員の氏名,当該議員が用いた金額やその使途,主な調査内容等が具体的に記載されるものである上,調査研究活動に協力するなどした第三者の氏名等が記載されているがい然性が高いものである。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成22年4月12日 平成21(行フ)3
登載
集民 第234号1頁
参照法条
民訴法220条4号ニ,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条13項,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条14項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)4条,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)5条1項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)6条,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)8条1項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)8条2項,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号。平成20年名古屋市条例第1号による改正前のもの)別記様式,名古屋市会政務調査費の交付に関する規則(平成13年名古屋市規則第11号)6条2項,名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程(平成13年名古屋市会達第1号)2条,名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程(平成13年名古屋市会達第1号)別表
論点9第220条民事訴訟法

1 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客から守秘義務を負うことを前提に提供された非公開の当該顧客の財務情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例
2 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析,評価等に関する情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例
3 事実審である抗告審が民訴法223条6項〈文書提出命令等〉に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定を法律審である許可抗告審において争うことの許否

裁判要旨1 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客から守秘義務を負うことを前提に提供された非公開の当該顧客の財務情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,次の(1),(2)の事情の下では,上記文書は,当該金融機関の職業の秘密が記載された文書とはいえず,民訴法220条4号ハ〈文書提出義務 ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書〉所定の文書に該当しない。
(1) 当該金融機関は,上記情報につき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有しない。
(2) 当該顧客は,上記民事訴訟の受訴裁判所から上記情報の開示を求められたときは,次のア,イなどの理由により,民訴法220条4号ハ,ニ等に基づきこれを拒絶することができない。
ア 当該顧客は,民事再生手続開始決定を受けており,それ以前の信用状態に関する上記情報が開示されても,その受ける不利益は軽微なものと考えられる。
イ 上記文書は,少なくとも金融機関に提出することを想定して作成されたものであり,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていないものとはいえない。
2 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客の財務情報等を基礎として行った財務状況,事業状況についての分析,評価の過程及びその結果並びにそれを踏まえた今後の業績見通し,融資方針等に関する情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,次の(1),(2)などの判示の事情の下では,上記情報は,当該金融機関の職業の秘密には当たるが,保護に値する秘密には当たらないというべきであり,上記文書は,民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
(1) 当該顧客は,民事再生手続開始決定を受けており,それ以前の財務状況等に関する上記情報が開示されても,その受ける不利益は小さく,当該金融機関の業務に対する影響も軽微なものと考えられる。
(2) 上記文書は,上記民事訴訟の争点を立証する書証として証拠価値が高く,これに代わる中立的・客観的な証拠の存在はうかがわれない。
3 事実審である抗告審が民訴法223条6項〈文書提出命令等〉に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定は,それが一件記録に照らして明らかに不合理であるといえるような特段の事情がない限り,法律審である許可抗告審において争うことができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年11月25日 平成20(許)18
登載
民集 第62巻10号2507頁
参照法条
(1,2につき)民訴法197条1項3号,民訴法220条4号ハ (3につき)民訴法223条6項,民訴法337条
論点10第220条民事訴訟法

1 被疑者の勾留請求の資料とされた告訴状及び被害者の供述調書が民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当するとされた事例
2 被疑者の勾留請求の資料とされた告訴状及び被害者の供述調書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして文書提出命令が申し立てられた場合に,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した上記各文書の所持者である国の判断が,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとされた事例

裁判要旨1 検察官が被疑者の勾留請求に当たって刑訴規則148条1項3号〈裁判長の訴訟指揮権〉所定の資料として裁判官に提供した告訴状及び被害者の供述調書は,いずれも,上記各文書を所持する国と上記請求により勾留された者との間において,民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当する。
2 強姦の被疑事実に基づき勾留された被疑者が,勾留請求の違法を主張して国家賠償を求める本案訴訟において,検察官が刑訴規則148条1項3号所定の資料として裁判官に提供した告訴状及び被害者の供述調書について,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由として文書提出命令を申し立てた場合,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した上記各文書の所持者である国の判断は,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものというべきである。
(1) 勾留の裁判が準抗告審において取り消されており,検察官が被疑者には罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると判断するに際し最も基本的な資料となった上記各文書には,取調べの必要性がある。
(2) 被害者は,被疑事実が不法行為を構成するとして,被疑者に対する損害賠償請求訴訟を提起しており,その審理に必要な範囲でプライバシーが明らかにされることを容認していたということができ,また,国は,本案訴訟において,被害者の供述内容として被害の態様が極めて詳細かつ具体的に記載された検察官の陳述書を既に書証として提出しており,上記各文書が開示されることによって,被害者の名誉,プライバシーの侵害の弊害が生ずるおそれがあるとは認められない。
(3) 被疑事件については不起訴処分がされており,また,上記陳述書の内容はほぼ上記供述調書の記載に従ったもののようにうかがわれ,上記各文書が開示されることによって,捜査や公判に不当な影響が及ぶおそれがあるとは認められない。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成19年12月12日 平成19(許)22
登載
民集 第61巻9号3400頁
参照法条
(1,2につき)民訴法220条3号,4号ホ,刑訴法60条,刑訴法205条,刑訴法207条,刑訴規則148条1項3号 (2につき)刑訴法47条
論点11第220条民事訴訟法

1 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に,同情報は,民訴法197条1項3号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉にいう職業の秘密として保護されるか
2 金融機関と顧客との取引履歴が記載された明細表が,民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないとして,同法220条4号ハ〈文書提出義務 ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書〉所定の文書に該当しないとされた事例

裁判要旨1 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には,同情報は,金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有するときは別として,民訴法197条1項3号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉にいう職業の秘密として保護されない。
2 A,Bを当事者とする民事訴訟の手続の中で,Aが金融機関Cを相手方としてBとCとの間の取引履歴が記載された明細表を対象文書とする文書提出命令を申し立てた場合において,Bが上記明細表を所持しているとすれば民訴法220条4号〈文書提出義務 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。〉所定の事由のいずれにも該当せず提出義務が認められること,Cがその取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえないことなど判示の事情の下では,上記明細表は,同法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえず,同法220条4号ハ所定の文書に該当しない。
(1,2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年12月11日 平成19(許)23
登載
民集 第61巻9号3364頁
参照法条
(1,2につき)民訴法197条1項3号 (2につき)民訴法220条4号ハ
論点12第220条民事訴訟法

銀行が法令により義務付けられた資産査定の前提として債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるか

裁判要旨銀行が,法令により義務付けられた資産査定の前提として,監督官庁の通達において立入検査の手引書とされている「金融検査マニュアル」に沿って債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成19年11月30日 平成19(許)5
登載
民集 第61巻8号3186頁
参照法条
民訴法220条4号ニ,金融機能の再生のための緊急措置に関する法律6条,銀行法25条
論点13第220条民事訴訟法

1 法務省が外務省を通じて外国公機関に照会を行った際に同省に交付した依頼文書の控えにつき民訴法223条4項1号〈文書提出命令等 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ〉の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の監督官庁の意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断に違法があるとされた事例
2 外務省が外国公機関に交付した照会文書の控え及び同機関が同省に交付した回答文書につき民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の監督官庁の意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨1 難民であると主張する外国人に対する外国官憲作成名義の逮捕状等の写しの原本の存在及び成立の真正に関し,法務省が外務省を通じて同国公機関に対して照会を行った際に同省に交付した依頼文書の控えにつき,監督官庁が,民訴法223条4項1号〈文書提出命令等 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ〉の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり,同法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉所定の文書に該当する旨の意見を述べ,同文書の所持者である法務大臣が,同文書には,同国の内政上の諸問題,調査の際に特に留意すべき事項,調査に係る背景事情等に関する重要な情報等が記載され,その中に同国政府に知らせていない事項も含まれていると主張しているなど判示の事情の下においては,上記記載の存否及び内容について審理して,同文書が提出された場合に我が国と他国との信頼関係に与える影響等を検討することなく,上記意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断には,違法がある。
2 難民であると主張する外国人に対する外国官憲作成名義の逮捕状等の写しの原本の存在及び成立の真正に関し照会するために外務省が作成して同国公機関に交付した照会文書の控え及び同機関が同省に交付した照会に対する回答文書につき,監督官庁が,民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり,同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の意見を述べ,上記各文書の所持者である外務大臣が,上記各文書は,公開しないことが外交上の慣例とされる口上書と称される外交文書の形式によるものであり,発出者ないし受領者により秘密の取扱いとすべきことを表記した上で相手国に対する伝達事項等が記載されていると主張しているなど判示の事情の下においては,上記記載の存否及び内容,口上書の形式によるものであるとすれば上記慣例の有無等について審理して,上記各文書が提出された場合に我が国と他国との信頼関係に与える影響等を検討することなく,上記意見に相当の理由があると認めるに足りないとした原審の判断には,違法がある。
(1につき補足意見,2につき補足意見及び意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成17年7月22日 平成17(行フ)4
登載
民集 第59巻6号1888頁
参照法条
民訴法220条4号ロ,民訴法223条3項,民訴法223条4項1号
論点14第220条民事訴訟法

1 捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書が民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に当たるとされた事例
2 民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた捜索差押許可状の文書提出命令の申立てに対して刑訴法47条〈独立当事者参加〉に基づきその提出を拒否した所持者の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとされた事例
3 民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた捜索差押令状請求書の文書提出命令の申立てに対して刑訴法47条に基づきその提出を拒否した所持者の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例

裁判要旨1 警察官が文書提出命令の申立人の住居等において行った捜索差押えに係る捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書は,いずれも,当該警察官が所属し,上記各文書を所持する地方公共団体と文書提出命令申立人との間において,民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当する。
2 民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた捜索差押許可状の文書提出命令の申立てに対して,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した所持者の判断は,本案訴訟において同許可状を証拠として取り調べる必要性が認められ,同許可状が開示されたとしても今後の捜査,公判に悪影響が生ずるとは考え難いなど判示の事情の下では,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものというべきである。
3 民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた捜索差押令状請求書の文書提出命令の申立てに対して,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した所持者の判断は,本案訴訟において同請求書を証拠として取り調べる必要性は認められるものの,被疑事件につき,いまだ被疑者の検挙に至っておらず,現在も捜査が継続中であって,同請求書には捜査の秘密にかかわる事項や被害者等のプライバシーに属する事項が記載されている蓋然性が高いなど,同請求書を開示することによって,被疑事件の今後の捜査及び公判に悪影響が生じたり,関係者のプライバシーが侵害されたりする具体的なおそれが存するという事情の下では,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成17年7月22日 平成17(許)4
登載
民集 第59巻6号1837頁
参照法条
民訴法220条3号,民訴法220条4号ホ,刑訴法47条,刑訴法110条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項,刑訴法219条,刑訴法222条1項,刑訴規則155条1項,憲法35条
論点15第220条民事訴訟法

1 民訴法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉にいう「公務員の職務上の秘密」と公務員が職務上知ることができた私人の秘密
2 民訴法220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」 の意義
3 いわゆる災害調査復命書のうち行政内部の意思形成過程に関する情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の文書に該当するが労働基準監督官等の調査担当者が職務上知ることができた事業者にとっての私的な情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しないとされた事例

裁判要旨1 民訴法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉にいう「公務員の職務上の秘密」には,公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって,それが本案事件において公にされることにより,私人との信頼関係が損なわれ,公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれる。
2 民訴法220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」とは,単に文書の性格から公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず,その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要である。
3 労働災害が発生した際に労働基準監督官等の調査担当者が労働災害の発生原因を究明し同種災害の再発防止策等を策定するために調査結果等を踏まえた所見を取りまとめて作成した災害調査復命書に,(1)当該調査担当者が事業者や労働者らから聴取した内容,事業者から提供を受けた関係資料,当該事業場内での計測,見分等に基づいて推測,評価,分析した事項という当該調査担当者が職務上知ることができた当該事業者にとっての私的な情報のほか,(2)再発防止策,行政指導の措置内容についての当該調査担当者の意見,署長判決及び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されていること,(1)の情報に係る部分の中には,上記聴取内容がそのまま記載されたり,引用されたりしている部分はなく,当該調査担当者において,他の調査結果を総合し,その判断により上記聴取内容を取捨選択して,その分析評価と一体化させたものが記載されていること,調査担当者には,事業場に立ち入り,関係者に質問し,帳簿,書類その他の物件を検査するなどの権限があることなど判示の事情の下においては,上記災害調査復命書のうち,(2)の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の文書に該当しないとはいえないが,(1)の情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年10月14日 平成17(許)11
登載
民集 第59巻8号2265頁
参照法条
民訴法220条4号ロ,労働安全衛生法91条,労働安全衛生法94条,労働安全衛生法100条
論点16第220条民事訴訟法

1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否
2 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立てが理由がないとされた事例

裁判要旨1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができる。
2 既に自己の有罪判決が確定した刑事事件の公判に提出されなかった共犯者の捜査段階における供述調書につき,民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立ては,刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」である当該供述調書を本案訴訟において証拠として取り調べることが申立人の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないこと,当該供述調書が開示されることによって当該共犯者や第三者の名誉,プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえないことなど判示の事情の下では,保管者である検察官の提出拒否の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえず,理由がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成16年5月25日 平成15(許)40
登載
民集 第58巻5号1135頁
参照法条
民訴法220条3号,民訴法220条4号ホ,刑訴法47条
論点17第220条民事訴訟法

1 県が漁業協同組合との間で漁業補償交渉をする際の手持ち資料として作成した補償額算定調書中の文書提出命令申立人に係る補償見積額が記載された部分が民訴法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉所定の文書に該当するとされた事例
2 民訴法220条4号ロに該当する文書と同条3号に基づく提出義務

裁判要旨1 県が,漁業協同組合との間でその所属組合員全員が被る漁業損失の総額を対象とする漁業補償交渉をする際の手持ち資料として作成した補償額算定調書中,その総額を積算する過程で算出した文書提出命令申立人に係る補償見積額が記載された部分は,県が各組合員に対する補償額の決定,配分を同組合の自主的な判断にゆだねることを前提とし,そのために上記総額を算出する課程の個別の補償見積額は上記の交渉の際にも明らかにしなかったこと,上記部分が開示されることにより,上記前提が崩れ,同組合による補償額の決定,配分に著しい支障を生じるおそれがあり,今後,県が同様の漁業補償交渉を円滑に進める際の著しい支障ともなり得ることなど判示の事情の下においては,民訴法220条4号ロ〈文書提出義務 ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの〉所定の文書に該当する。
2 公務員の職務上の秘密に関する文書であって,その提出により公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものについては,民訴法220条3号に基づく提出義務を認めることはできない。
(1につき,補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年2月20日 平成15(許)48
登載
集民 第213号541頁
参照法条
民訴法191条,民訴法197条1項1号,民訴法220条3号,民訴法220条4号ロ
論点18第220条民事訴訟法

1 保険管理人によって設置された弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会が作成した調査報告書が民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例
2 民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉所定の「黙秘すべきもの」の意義
3 保険管理人によって設置された弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会が作成した調査報告書が民訴法220条4号ハ所定の「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」に当たらないとされた事例

裁判要旨1 破たんした保険会社につき選任された保険管理人が,金融監督庁長官から,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項,242条3項に基づき,当該保険会社の破たんについての旧役員等の経営責任を明らかにするために弁護士,公認会計士等の第三者を委員とする調査委員会を設置して調査を行うことを命じられたため,上記命令の実行として弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会を設置し,当該調査委員会から上記調査の結果が記載された調査報告書の提出を受けたという事実関係の下では,当該調査報告書は,民訴法220条4号ニ〈文書提出義務 ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。
2 民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉所定の「黙秘すべきもの」とは,一般に知られていない事実のうち,弁護士等に事務を行うこと等を依頼した本人が,これを秘匿することについて,単に主観的利益だけではなく,客観的にみて保護に値するような利益を有するものをいう。
3 破たんした保険会社につき選任された保険管理人が,金融監督庁長官から,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項,242条3項に基づき,当該保険会社の破たんについての旧役員等の経営責任を明らかにするために弁護士,公認会計士等の第三者を委員とする調査委員会を設置して調査を行うことを命じられたため,上記命令の実行として弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会を設置し,当該調査委員会から上記調査の結果が記載された調査報告書の提出を受けたという事実関係の下では,当該調査報告書は,民訴法220条4号ハ所定の「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」に当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年11月26日 平成16(許)14
登載
民集 第58巻8号2393頁
参照法条
民訴法197条1項2号,民訴法220条4号ニ,民訴法220条4号ハ,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)242条3項,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項
論点19第220条民事訴訟法

一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対し不服の申立てをすることの許否
二 民訴法一九七条一項三号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉所定の「技術又は職業の秘密」の意義

裁判要旨一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
二 民訴法一九七条一項三号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合〉所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいう。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年3月10日 平成11(許)20
登載
民集 第54巻3号1073頁
参照法条
民訴法197条1項3号,民訴法220条4号ロ,民訴法221条,民訴法223条4項
論点20第220条民事訴訟法

教科用図書検定調査審議会の作成した文書が民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらないとされた事例

裁判要旨文部大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会が作成した教科用図書についての判定内容を記載した書面及びその内容を記載した文部大臣に対する報告書は、民訴法二二〇条三号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉後段の文書に当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年3月10日 平成11(許)26
登載
集民 第197号341頁
参照法条
民訴法220条3号,学校教育法21条1項,学校教育法51条,教科用図書検定規則(平成元年文部省令第20号)7条
論点21第220条民事訴訟法

信用金庫の会員が代表訴訟において信用金庫の貸出稟議書につき文書提出命令の申立てをしたことと当該貸出稟議書が民訴法二二〇条四号ハ〈文書提出義務 ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書〉所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない特段の事情

裁判要旨信用金庫の会員が代表訴訟において信用金庫の貸出稟議書につき文書提出命令の申立てをしたことは、当該貸出稟議書が民訴法二二〇条四号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない特段の事情とはいえない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年12月14日 平成11(許)35
登載
民集 第54巻9号2709頁
参照法条
民訴法220条4号,信用金庫法39条,商法267条
論点22第220条民事訴訟法

検察官が被疑者として取り調べた者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体が、民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして文書提出命令の申立てがされた場合に、刑訴法47条に基づきその提出を拒否した上記記録媒体の所持者である国の判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとされた事例

裁判要旨刑事事件の被疑者の1人として逮捕、勾留され、上記刑事事件について起訴されたが、無罪判決を受けたXが、上記の逮捕、勾留及び起訴が違法であると主張して国家賠償を求める本案訴訟において、検察官がAを上記刑事事件の被疑者の1人として取り調べる際にAの供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体のうちXに係る上記刑事事件の公判において取り調べられなかった部分について、民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由として文書提出命令の申立てをした場合に、刑訴法47条に基づきその提出を拒否した上記部分の所持者である国の判断は、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものである。
⑴ 上記本案訴訟においては、AがXとの共謀の有無に関連して従前と異なる供述をするに至ったことに対する検察官Bの言動の影響の有無、程度、内容等が深刻に争われているところ、その審理を担当する原々審は、上記部分がBのAに対する取調べの具体的状況及び内容を立証するのに最も適切な証拠であり、上記記録媒体の一部分の反訳書面や人証によって代替することは困難であるとして、上記部分を取り調べる必要性の程度が高いと判断した。
⑵ Xが、Aに対し、Aが上記の供述をしたこと等によりXをえん罪に陥れたと主張して損害賠償を求める訴訟において、XとAとの間に訴訟上の和解が成立し、上記和解において、Aが上記記録媒体の証拠採用に反対せず、XもAのプライバシーの保護に最大限配慮することを明確に合意している。
⑶ 上記刑事事件に関与したとされる者のうち、Xについては無罪判決が確定し、X以外の者について捜査や公判が続けられていることもうかがわれない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和6年10月16日 令和6(許)5
登載
集民 第271号147頁
参照法条
民訴法220条3号、刑訴法47条、刑訴法301条の2
論点23第220条民事訴訟法

鑑定のために必要な処分としてされた死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体が民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当するとされた事例

裁判要旨文書提出命令の申立人の父の死体について司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定のために必要な処分として裁判官の許可を受けてした当該死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体であって当該司法警察職員が所属する地方公共団体が所持するものは,当該地方公共団体と当該申立人との間において,民訴法220条3号〈文書提出義務 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。〉所定のいわゆる法律関係文書に該当する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和2年3月24日 令和1(許)11
登載
民集 第74巻3号455頁
参照法条
民訴法220条3号
論点24第220条民事訴訟法

検察官等から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書等又はその写しは民訴法220条4号ホ〈文書提出義務 ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書〉に定める刑事事件に係る訴訟に関する書類又は刑事事件において押収されている文書に該当するか

裁判要旨検察官,検察事務官又は司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書若しくは準文書又はその写しは,民訴法220条4号ホ〈文書提出義務 ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書〉に定める刑事事件に係る訴訟に関する書類又は刑事事件において押収されている文書に該当する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和2年3月24日 令和1(許)12
登載
集民 第263号135頁
参照法条
民訴法220条4号ホ
論点25第221条民事訴訟法

即時抗告申立書の写しを即時抗告の相手方に送付するなどして相手方に攻撃防御の機会を与えることなく,相手方の申立てに係る文書提出命令を取り消し,同申立てを却下した抗告裁判所の審理手続に違法があるとして職権により破棄された事例

裁判要旨時間外勤務手当の支払を求める訴訟を提起したXの申立てにより,受訴裁判所が,使用者であるYに対し,Xのタイムカードの提出を命ずる決定をしたため,Yが上記タイムカードを所持している事実を争って即時抗告をした場合において,次の(1)〜(4)など判示の事情の下では,抗告裁判所が,即時抗告申立書の写しをXに送付するなどしてXに攻撃防御の機会を与えることのないまま,上記タイムカードが存在していると認めるに足りないとして,上記決定を取り消し,上記申立てを却下するというXに不利益な判断をしたことは,明らかに民事訴訟における手続的正義の要求に反するというべきであり,その審理手続には,裁量の範囲を逸脱した違法がある。
(1) 上記訴訟において,上記タイムカードは,Xが労働に従事した事実及び労働時間を証明する上で極めて重要な書証である。
(2) Yが上記タイムカードを所持しているとの事実の存否の判断は,当事者の主張やその提出する証拠に依存するところが大きい。
(3) 上記即時抗告申立書には,Yが上記タイムカードを所持していると認めた上記決定に対する反論が具体的な理由を示して記載され,かつ,上記理由を裏付ける証拠として,上記決定後にその写しが提出された書証が引用されていた。
(4) Xにおいて,Yが即時抗告をしたことを知っていた事実や,そのことを知らなかったことにつきXの責めに帰すべき事由があることはうかがわれない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年4月13日 平成22(ク)1088
登載
民集 第65巻3号1290頁
参照法条
民訴法2条,民訴法221条1項,民訴法223条1項,民訴法223条7項,民訴法286条1項,民訴法289条1項,民訴法331条本文,民訴規則47条1項
論点26第221条民事訴訟法

1 財務諸表等の監査証明に関する省令(平成12年総理府令第65号による改正前のもの)6条〈特許権等に関する訴え等の管轄〉に基づき特定の会計監査に関する記録又は資料を整理して備えておくべき監査調書に対する文書提出命令申立ての適否
2 文書中の氏名,会社名等の部分を除いて文書提出命令を発することができるとされた事例

裁判要旨1 財務諸表等の監査証明に関する省令(平成12年総理府令第65号による改正前のもの)6条〈特許権等に関する訴え等の管轄〉に基づき特定の会計監査に関し記録又は資料を整理して備えておくべき監査調書に対する文書提出命令申立ては,これに含まれる個々の文書の表示及び趣旨を明らかにしないときでも,適法である。
2 裁判所は,財務諸表等の監査証明に関する省令(平成12年総理府令第65号による改正前のもの)6条に基づき監査調書として整理された記録又は資料のうち,貸付先の一部の氏名,会社名等の部分を除いて文書提出命令を発することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年2月22日 平成12(許)10
登載
集民 第201号135頁
参照法条
民訴法221条1項,民訴法223条1項,財務諸表等の監査証明に関する省令(平成12年総理府令第65号による改正前のもの)6条
論点27第222条民事訴訟法

中断中の弁論に基づき、中断の事実を看過して口頭弁論を終結して判決が言い渡された場合の、訴訟手続の瑕疵

裁判要旨訴訟手続の中断中に、中断の事実を看過して口頭弁論期日を開き、弁論を終結し、判決を言い渡した原審の訴訟手続には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背があり、その判決は破棄を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和52年12月23日 昭和52(オ)588
登載
集民 第122号605頁
参照法条
民訴法222条
論点28第222条民事訴訟法

一 最高裁における訴訟手続受継の申立(破産による中断の場合)が却下された事例
二 上告人会社が上告状(昭四〇・五・一二)、上告理由書(昭四〇・六・二九)を提出し、上告理由書提出期間も経過して、一件記録が最高裁判所に到着後上告人会社が破産(昭四〇・八・一四)になり訴訟手続中断した場合において、民訴法第二二二条第一項〈文書の特定のための手続〉にのつとり、第四〇一条にのつとる判決言渡がされた事例

裁判要旨一 省略(決定理由参照)
二 本件(昭和四〇年(オ)第八〇一号約束手形金請求事件)の訴訟手続受継申立に対する却下決定参照。なお本件は被上告人らの上告人会社に対する約束手形金請求事件であつて一、二審共上告人会社敗訴となり、上告となつた事案である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年12月8日 昭和40(オ)801
登載
集民 第85号623頁
参照法条
民訴法222条1項,民訴法401条
論点29第222条民事訴訟法

訴訟行為の無効を主張し得ない事例

裁判要旨訴訟手続が必要的共同訴訟人の一人の死亡により中断した場合に、右死亡者について受継手続をなすべき者が他の共同訴訟人の中に在りながら何らその手続をとらないままに控訴申立を始め控訴審における一切の訴訟行為をなした場合においては、共同訴訟人らは上告審においてその訴訟行為の無効を主張することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年3月26日 昭和26(オ)518
登載
民集 第13巻4号493頁
参照法条
民訴法62条,民訴法208条,民訴法222条,民訴法第1編(総則)第4章(訴訟手続)第1節(口頭弁論)
論点30第222条民事訴訟法

上告人が上告理由書提出期間経過後に破産宣告を受けた場合に受継手続を経ることなく民訴法四〇一条により上告棄却の判決をすることの可否

裁判要旨上告裁判所は、上告を理由なしと認める場合には、上告理由書提出期間の経過後に上告人が破産宣告を受けたときであっても、受継手続を経ることなく、口頭弁論を経ずに上告棄却の判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成5(オ)747
登載
集民 第185号189頁
参照法条
民訴法214条,民訴法222条1項,民訴法401条,破産法69条,破産法246条
論点31第223条民事訴訟法

いわゆる勤評長野方式における自己評定義務の不存在確認の訴の適否

裁判要旨長野県教育委員会教育長の通達により同通達の定める勤務評定書(いわゆる長野方式)に自己観察の結果を表示することを命ぜられた教職員が、その表示義務の不履行に対して懲戒その他の不利益処分を受けるのを防止するために、あらかじめ右義務を負わないことの確認を求める訴は、不利益処分を受けたのちこれに関する訴訟において義務の存否を争うことによつては回復しがたい重大な損害を被るおそれがあるなど、事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情がないかぎり、訴の利益を欠き不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月30日 昭和41(行ツ)35
登載
民集 第26巻9号1746頁
参照法条
行政事件訴訟法3条1項,地方教育行政の組織及び運営に関する法律35条,地方公務員法40条,長野県立学校職員の勤務成績の評定に関する規則(長野県教育委員会規則 第1号)1条,長野県立学校職員の勤務成績の評定に関する規則6条2項,長野県立学校職員の勤務成績の評定に関する規則9条,長野県立学校職員の勤務評定実施について(通達),民訴法223条
論点32第223条民事訴訟法

一 店舗について共同占有の成立を認めた事例。
二 訴額の算定の違法と訴訟行為の効力。

裁判要旨一 判示の事情のもとでは、本件店舗については、真実の経営者と、経営者名義人の両名による共同占有が成立するものと認めるのが相当である。
二 かりに訴額の算定について違法であつても、これを看過してなされた訴訟行為の効力は無効とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年4月20日 昭和38(オ)246
登載
集民 第78号649頁
参照法条
民法180条,民訴印紙法11条,民訴法22条,民訴法223条
論点33第223条民事訴訟法

一 訴提起による時効中断の効力発生の時期
二 上告審において職権調査の結果原審と異る事実認定のもとに適法な訴状送達があつたと判断した事例

裁判要旨訴提起による時効中断の効力発生の時期は、訴状受理の時であつて、訴状送達の時ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年2月1日 昭和36(オ)855
登載
集民 第64号361頁
参照法条
民法147条,民訴法235条,民訴法223条
論点34第223条民事訴訟法

一 市議会の議決無効確認を求める訴の適否
二 市長が建設大臣及び知事に対してした建築許可、認可の申請および右申請に基く許可、認可について市議会議員の無効確認を求める訴の利益

裁判要旨一 市議会の議決の無効確認を求める訴は原則として不適法である。
二 市議会議員であるというだけでは、市長が建設大臣および知事に対してした建築許可、認可の申請および右申請に基く許可、認可について、無効確認を求める訴の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年6月12日 昭和26(オ)290
登載
民集 第7巻6号663頁
参照法条
行政事件訴訟特例法1条,民訴法223条
論点35第223条民事訴訟法

一 村議会議員の任期満了と議員除名議決の取消を求める訴の利益
二 訴の利益がなくなつた場合の訴訟費用の負担

裁判要旨一 村議会議員の任期の満了したときは、議員除名議決の取消を求める訴の利益は失われる。
二 訴訟が上告審に係属中訴の利益がなくなつたため、被上告人(原告)が敗訴の判決をうける場合でも、上告の理由がないときは、訴訟費用は上告人に負担せしめるのを相当とする。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月15日 昭和25(オ)177
登載
民集 第6巻2号88頁
参照法条
地方自治法134条,地方自治法135条,民訴法223条,民訴法90条
論点36第223条民事訴訟法

土地の所有者から河川管理者に対し当該土地につき河川法上の処分をしてはならない義務があることの確認ないし同法上の処分権限がないことの確認及び当該土地が同法にいう河川区域でないことの確認を求める訴えが不適法であるとされた事例

裁判要旨土地の所有者から河川管理者に対し、当該土地につき河川法上の処分をしてはならない義務があることの確認ないし同法上の処分権限がないことの確認、及び、当該土地が同法にいう河川区域でないことの確認を求める訴えは、いずれも同法七五条に基づく監督処分その他の不利益処分をまつてこれに関する訴訟等において事後的に争つたのでは回復しがたい重大な損害を被るおそれがある等特段の事情がないときは、その利益を欠き不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年7月4日 昭和63(行ツ)92
登載
集民 第157号361頁
参照法条
行政事件訴訟法3条1項,河川法6条1項,河川法24条ないし27条,河川法75条,民訴法223条
論点37第223条民事訴訟法

情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることの許否

裁判要旨情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を目的とする検証を被告に受忍義務を負わせて行うことは,原告が検証への立会権を放棄するなどしたとしても許されず,上記文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることも許されない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成21年1月15日 平成20(行フ)5
登載
民集 第63巻1号46頁
参照法条
民訴法223条1項,民訴法232条1項,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)5条,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)9条2項
論点38第223条民事訴訟法

文書提出命令申立て却下決定に対する口頭弁論終結後の即時抗告の適否

裁判要旨文書提出命令の申立てを却下する決定に対し口頭弁論終結後にされた即時抗告は,不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年4月26日 平成13(許)2
登載
集民 第202号229頁
参照法条
民訴法223条4項
論点39第223条民事訴訟法

文書提出命令の申立てについての決定に対して抗告の利益を有する者の範囲

裁判要旨文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年12月14日 平成11(許)36
登載
民集 第54巻9号2743頁
参照法条
民訴法223条4項
論点40第223条民事訴訟法

1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者と民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉の類推適用
2 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名,住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書を検証の目的として提示する義務を負うか

裁判要旨1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者は,民訴法197条1項2号〈次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合〉の類推適用により,職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができる。
2 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名,住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書について,当該通信の内容にかかわらず,検証の目的として提示する義務を負わない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和3年3月18日 令和2(許)10
登載
民集 第75巻3号822頁
参照法条
(1,2につき) 民訴法197条1項2号,電気通信事業法4条 (2につき) 民訴法223条1項,民訴法232条1項,民訴法234条
論点41第224条民事訴訟法

一 一個の行為により同一著作物についての著作財産権と著作者人格権とが侵害されたことを理由とする著作財産権に基づく慰藉料請求及び著作者人格権に基づく慰藉料請求と訴訟物の個数
二 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三六条ノ〈法定代理権の消滅の通知 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。〉二所定の著作者の声望名誉の意義

裁判要旨一 一個の行為により同一著作物についての著作財産権と著作者人格権とが侵害されたことを理由とする著作財産権に基づく慰藉料請求と著作者人格権に基づく慰藉料請求とは、訴訟物を異にする別個の請求である。
二 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三六条ノ〈法定代理権の消滅の通知 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。〉二所定の著作者の声望名誉とは、著作者がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価を指し、名誉感情を含まない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年5月30日 昭和58(オ)516
登載
民集 第40巻4号725頁
参照法条
旧著作権法(明治32年法律第39号)18条,旧著作権法(明治32年法律第39号)29条,旧著作権法(明治32年法律第39号)36条ノ2,民訴法186条,民訴法224条1項
論点42第224条民事訴訟法

更正登記手続を命ずる判決主文

裁判要旨被告の単独所有名義を原告らと被告との共有名義に更正すべき旨の登記手続を命ずる判決主文においては、更正後の登記事項として、原告らの共有持分だけでなく、被告に帰属する共有持分をも明らかにすべきである。

(意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和56年9月29日 昭和56(オ)27
登載
集民 第133号497頁
参照法条
不動産登記法56条,不動産登記法66条,民訴法191条1項,民訴法224条1項
論点43第224条民事訴訟法

訴状に原告の表示として記載された「甲合名会社業務執行社員乙」から原告として確定される者が甲合名会社であるとされた事例

裁判要旨訴状に共同原告の表示として「甲合名会社業務執行社員乙」及び乙個人が記載されていることならびに訴状に記載された請求の趣旨・原因(原判決参照)に照らし、右「甲合名会社業務執行社員乙」の表示から原告として確定される者は、甲合名会社と解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月3日 昭和50(オ)256
登載
集民 第116号229頁
参照法条
民訴法224条
論点44第224条民事訴訟法

一、身体傷害による財産上および精神上の損害の賠償請求における請求権および訴訟物の個数
二、不法行為による損害賠償の一部請求と過失相殺

裁判要旨一、同一事故により生じた同一の身体傷害を理由として財産上の損害と精神上の損害との賠償を請求する場合における請求権および訴訟物は、一個である。
二、不法行為に基づく一個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたつては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し、残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月5日 昭和43(オ)943
登載
民集 第27巻3号419頁
参照法条
民訴法186条,民訴法224条1項,民法709条,民法710条,民法722条2項
論点45第224条民事訴訟法

境界確定の訴における請求の趣旨。

裁判要旨境界確定の訴における請求は、不明な境界を確定することを求める点にあり、いずれの線が本来の境界であるかに関する当事者の主張は、ただ事実上の申述の一部にすぎない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和37(オ)490
登載
集民 第73号187頁
参照法条
民訴法224条
論点46第224条民事訴訟法

一 法人に対する民法第四四条〈補助参加についての異議等〉に基く請求と同法第七一五条に基く請求との訴訟物の異同
二 新聞記事が名誉を毀損すべき内容の意味かどうかの判断基準
三 新聞記事により過失に基き名誉を毀損した場合と正当業務行為の主張の許否

裁判要旨一 法人に対する民法第四四条〈補助参加についての異議等〉に基く損害賠償の請求と同法第七一五条に基く損害賠償の請求とは、訴訟物を異にする。
二 一定の新聞記事の内容が事実に反し名誉を毀損すべき意味のものかどうかは、一般読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきである。
三 新聞に事実に反する記事を掲載頒布し、これにより他人の名誉を毀損することは単なる過失に基く場合でも、これを正当業務行為ということはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年7月20日 昭和29(オ)634
登載
民集 第10巻8号1059頁
参照法条
民法44条,民法715条,民法709条,民訴法224条1項
論点47第224条民事訴訟法

訴訟物が金銭債権である訴と一定金額の表示の要否

裁判要旨訴訟物が金銭債権である訴においては、それが給付の訴たると確認の訴たるとを問わず、請求趣旨には、訴訟物たる債権の一定金額を表示することを要する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和25(オ)159
登載
民集 第6巻12号1282頁
参照法条
民訴法224条1項
論点48第225条民事訴訟法

第三者の提起する養子縁組無効の訴えと訴えの利益の有無

裁判要旨第三者の提起する養子縁組無効の訴えは、養子縁組が無効であることによりその者が自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは、訴えの利益を欠く。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月1日 昭和59(オ)236
登載
民集 第42巻3号157頁
参照法条
民法802条,民訴法225条,人事訴訟手続法2条2項,人事訴訟手続法18条1項,人事訴訟手続法24条,人事訴訟手続法26条
論点49第225条民事訴訟法

縁組が無効であるとの主張と離縁無効確認の訴えの利益

裁判要旨養子縁組の当事者の一方の提起した離縁無効確認の訴えは、その縁組が無効であるとの主張が認められた場合であつても、訴えの利益を失わない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和62年7月17日 昭和59(オ)11
登載
民集 第41巻5号1381頁
参照法条
民訴法225条,人事訴訟手続法24条
論点50第225条民事訴訟法

宗教法人の代表役員に就任したと称している者に対する自己が代表役員であること等の確認を求める訴えと確認の利益の有無

裁判要旨宗教法人の代表役員に就任したと称している者に対し、自己が代表役員であることの確認又は右の者が代表役員でないことの確認を求める訴えは、右法人に対し自己が代表役員であることの確認を求める訴えとともに提起しても、確認の利益を欠く。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和62年5月29日 昭和61(オ)1300
登載
集民 第151号117頁
参照法条
民訴法225条,宗教法人法18条
論点51第225条民事訴訟法

宗教法人の代議制意思決定機関がした決議の不存在確認の訴えの利益の有無

裁判要旨宗教法人の代議制意思決定機関がした決議の不存在確認の訴えは、当該法人の人的構成要素であり、かつ、右機関の議員の選挙及び被選挙資格を有する者によつてされた場合であつても、そのことの故に直ちに確認の利益があるものとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年3月12日 昭和57(オ)1229
登載
集民 第150号331頁
参照法条
民訴法225条,商法252条,宗教法人法12条1項6号
論点52第225条民事訴訟法

遺産確認の訴えの適法性

裁判要旨共同相続人間において特定の財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年3月13日 昭和57(オ)184
登載
民集 第40巻2号389頁
参照法条
民訴法225条,民法898条
論点53第225条民事訴訟法

一 遺言無効確認訴訟における確認の利益の判断にあたり原告の相続分が生前贈与等によりなくなるか否かを考慮することの可否
二 遺言無効確認訴訟が固有必要的共同訴訟にあたらないとされた事例
三 同一の証書に記載された二人の遺言の一方に方式違背がある場合と民法九七五条

裁判要旨一 遺言無効確認訴訟における確認の利益の存否を判断するにあたつては、原則として、原告の相続分が被相続人から受けた生前贈与等によりなくなるか否かを考慮すべきものではない。
二 単に相続分及び遺産分割の方法を指定したにすぎない遺言の無効確認を求める訴は、固有必要的共同訴訟にあたらない。
三 同一の証書に二人の遺言が記載されている場合は、そのうちの一方につき氏名を自書しない方式の違背があるときでも、右遺言は、民法九七五条により禁止された共同遺言にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年9月11日 昭和54(オ)1208
登載
民集 第35巻6号1013頁
参照法条
民法902条,民法903条1項,民法903条2項,民法908条,民法968条1項,民法975条,民法985条,民訴法62条,民訴法225条
論点54第225条民事訴訟法

権利能力なき社団の代表者が構成員の総有に属する不動産について構成員から信託的に与えられた財産管理権限に基づき総有権確認請求をすることができないとされた事例

裁判要旨権利能力なき社団の複数の代表者の各々が構成員の総有に属する不動産について構成員から信託的に管理権限を与えられている場合であつても、その不動産が右社団にとつて重要な資産であり、代表者全員の共有名義とされているなど、判示の事情があるときには、各代表者は、代表者全員の合意に基づくのでなければ、右管理権限に基づき右不動産につき総有権確認を請求することができない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和55年2月8日 昭和50(オ)702
登載
集民 第129号173頁
参照法条
民法33条,民法43条,民訴法46条,民訴法225条
論点55第225条民事訴訟法

母死亡後非嫡出の子の提起する親子関係存在確認の訴の許否

裁判要旨認知の訴によらず母との親子関係を主張できる非嫡出の子は、母が死亡した後でも、検察官を相手方として、同女との間の親子関係の存在確認の訴を提起することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月29日 昭和48(オ)18
登載
集民 第111号487頁
参照法条
民法787条,民訴法225条,人事訴訟手続法2条3項
論点56第225条民事訴訟法

土地所有権に基づく所有権移転登記手続を求める訴の係属中、相手方が同一土地について提起した所有権確認及び所有権移転登記手続請求権不存在確認の訴と重複起訴の成否

裁判要旨土地所有権に基づき甲から乙に対する所有権移転登記手続を求める訴が係層中、乙が甲を相手方として、同一土地につき、自己の所有権確認の訴を提起することは重複起訴の禁止にふれないが、甲が右所有権移転登記手続請求権を有しないことの確認を求める訴を提起することは重複起訴の禁止にふれる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年2月8日 昭和47(オ)393
登載
集民 第111号75頁
参照法条
民訴法225条,民訴法231条
論点57第225条民事訴訟法

登録意匠についてのいわゆる権利範囲確認の訴の適否

裁判要旨ある意匠が登録意匠の権利範囲に属するか否かの確認を求めるいわゆる権利範囲確認の訴は、許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年7月20日 昭和46(オ)410
登載
民集 第26巻6号1210頁
参照法条
意匠法25条,民訴法225条
論点58第225条民事訴訟法

遺言無効確認の訴の適否

裁判要旨遺言無効確認の訴は、その遺言が有効であるとすればそれから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しない.ことの確認を求めるものと解される場合で、原告がかかる確認を求める法律上の利益を有するときは、適法と解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年2月15日 昭和43(オ)627
登載
民集 第26巻1号30頁
参照法条
民訴法225条,民法985条
論点59第225条民事訴訟法

学校法人の理事会等の決議無効確認の訴の許否

裁判要旨学校法人の理事会または評議員会の決議が無効であることの確認を求める訴は、現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のため適切かつ必要と認められる場合には、許容されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月9日 昭和44(オ)719
登載
民集 第26巻9号1513頁
参照法条
民訴法225条,商法252条,私立学校法36条,私立学校法41条
論点60第225条民事訴訟法

株式会社が株券の発行を遅滞している場合における意思表示のみによる株式譲渡の効力

裁判要旨株式会社が株券の発行を不当に遅滞し、信義則に照らして、株式譲渡の効力を否定するのを相当としない状況に至つたときは、株券発行前であつても、株主は、意思表示のみにより、会社に対する関係においても有効に株式を譲渡することができる。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和47年11月8日 昭和39(オ)883
登載
民集 第26巻9号1489頁
参照法条
商法204条,商法205条1項,商法226条1項,商法247条,商法260条ノ2,民訴法225条
論点61第225条民事訴訟法

家督相続人たる地位確認請求が確認の利益を欠くとされた事例

裁判要旨自己が家督相続人として選定されたことを理由として、戸籍簿上の家督相続人を排除し自己の家督相続人たる地位を回復することを目的とする請求は、戸籍簿上の家督相続人を相手方とする家督相続回復の訴によるべきであり、選定者を相手方として家督相続人たる地位の確認を求める訴は確認の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年3月3日 昭和44(オ)1138
登載
集民 第98号359頁
参照法条
民訴法225条,旧民法966条(昭和22年法律第222号による改正前のもの)
論点62第225条民事訴訟法

一、源泉徴収による所得税についての納税の告知の法的性質
二、源泉徴収による所得税についての納税の告知を受けた支払者が右所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争う場合の訴訟の形式
三、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者のする求償権の行使と受給者の支払拒絶
四、源泉徴収による所得税を徴収されまたは期限後に納付した支払者が受給者に対して行使しうる求償権の範囲

裁判要旨一、源泉徴収による所得税についての納税の告知は、徴収処分であつて課税処分ではない。
二、支払者は、源泉徴収による所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争つて、納税の告知(徴収処分)に対する抗告訴訟を提起することができ、また、これにあわせてまたはこれと別個に、右徴収・納付義務の存否または範囲を訴訟上確定させるため、右義務の全部または一部の不存在確認の訴を提起することができる。
三、受給者は、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者から、その税額に相当する金額につき求償権の行使を受けたときは、自己の負担すべき源泉納税義務の存否または範囲を争つて、支払者の請求を拒むことができる。
四、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者の受給者に対する求償権は、右所得税の本税相当額についてのみ行使することができ、附帯税相当額には及ばない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年12月24日 昭和43(オ)258
登載
民集 第24巻13号2243頁
参照法条
旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条1項,旧所得税法(昭和22年法律第27号)43条2項,所得税法221条,所得税法222条,国税通則法15条,国税通則法36条,行政事件訴訟法3条,民訴法225条
論点63第225条民事訴訟法

一、宗教法人の代表役員および責任役員の地位にあることの確認を求める訴と確認の利益

二、上告審における不服申立の範囲の拡張

裁判要旨一、宗教法人の代表役員および責任役員の地位にあることの確認を求める訴は、当該宗教法人を相手方としないかぎり、確認の利益がない。

二、控訴判決に対して適法な上告があつた場合においては、当初不服申立の範囲を控訴判決の一部に限定したときでも、上告人は、上告理由書提出期間内においては、右不服申立の範囲を拡張することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月10日 昭和41(オ)805
登載
民集 第23巻8号1423頁
参照法条
民訴法225条,民訴法398条1項,民訴法402条,民訴規則50条,宗教法人法18条
論点64第225条民事訴訟法

裁判外の訴取下の合意の効力

裁判要旨裁判外で訴取下の合意が成立した場合には、権利保護の利益を喪失したものとして、訴を却下すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年10月17日 昭和44(オ)770
登載
民集 第23巻10号1825頁
参照法条
民訴法236条,民訴法225条
論点65第225条民事訴訟法

境界確定の訴の要件

裁判要旨相隣接する土地の境界が不明であるときは、右境界が主観的に不明であると客観的に不明であるとにかかわらず、右土地の所有者は、境界確定の訴を提起し、裁判所の判決を得て、右境界の不明に基因する紛争の解決を図ることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年5月23日 昭和42(オ)105
登載
集民 第91号65頁
参照法条
民法223条,民訴法225条
論点66第225条民事訴訟法

一、上告裁判所である高等裁判所の意見が前に上告裁判所である大審院の法令の解釈についてした判決に反するとして事件が最高裁判所に移送された事例
二、境界確定の訴と取得時効

裁判要旨一、(省略)
二、取得時効の成否は、境界確定の訴における境界確定とは関係がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月22日 昭和42(オ)718
登載
民集 第22巻2号270頁
参照法条
民訴法406条ノ2,民訴規則58条2号,民法162条,民法223条,民訴法225条
論点67第225条民事訴訟法

一、農地の受贈者に農地法第三条第二項の不許可事由のある場合と受贈者より贈与者に対して所有権移転登記手続等を求める訴えの利益の有無
二、時効期間内に農地所有権移転登記手続の請求が提訴され時効期間経過後に知事に対する許可申請手続の請求が追加されたときと許可申請請求権の消滅時効の中断の成否

裁判要旨一、農地の受贈者に農地所有権移転に必要な知事の許可を妨げる事由がある場合であつても、右受贈者から贈与者に対して、知事に対する許可申請手続および右許可を条件とする所有権移転登記手続を求める訴えの利益は失われない。
二、農地の受贈者から贈与者に対し、時効期間内に、農地所有権移転登記手続の請求が提訴された場合において、その後、時効期間経過後に知事に対する許可申請手続の請求が追加されたときは、これにより右許可申請の請求権の消滅時効は中断される。
(原審大阪高裁昭和四〇年(ネ)第八五〇号昭和四〇・一二・二一判決、下級民集一六巻一二号一七八七頁参照。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和41(オ)441
登載
集民 第93号907頁
参照法条
農地法3条,民法149条,民法153条,民法167条,民訴法225条,民訴法232条,民訴法235条
論点68第225条民事訴訟法

第三者の提起する養子縁組無効訴訟における訴の利益

裁判要旨養親の実子は、養親死亡後養子を相手方として養子縁組無効の訴を提起する訴の利益を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年12月20日 昭和43(オ)723
登載
集民 第93号747頁
参照法条
民訴法225条,人事訴訟手続法24条,人事訴訟手続法26条,人事訴訟手続法2条2項
論点69第225条民事訴訟法

裁量処分の無効確認訴訟における無効事由の主張・立証責任

裁判要旨行政庁の裁量に任された行政処分の無効確認を求める訴訟においては、その無効確認を求める者において、行政庁が右行政処分をするにあたつてした裁量権の行使がその範囲をこえまたは濫用にわたり、しかも、当該瑕疵が重大かつ明白であることを主張および立証することを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年4月7日 昭和40(行ツ)45
登載
民集 第21巻3号572頁
参照法条
行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟法3条4項,行政事件訴訟法30条,民訴法225条
論点70第225条民事訴訟法

新民法施行後における旧民法による家督相続人選定親族会決議無効確認の訴の利益の有無

裁判要旨新民法施行後は、旧民法によつてされた家督相続人選定親族会決議の無効確認を求める訴の利益はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年4月28日 昭和40(オ)467
登載
集民 第87号341頁
参照法条
旧民法951条,旧民法985条,民法附則23条,民法附則25条,民訴法225条
論点71第225条民事訴訟法

一 不動産登記用紙の閉鎖の回復手続を求める訴の許否
二 行政事件訴訟特例法のもとにおける行政処分の無効確認判決の効力

裁判要旨一 不動産登記用紙の閉鎖の回復手続を求める訴は、右閉鎖が違法にされた場合でも、許されない。
二 行政事件訴訟特例法のもとにおける行政処分の無効確認判決は、第三者に対しても効力を有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年3月14日 昭和38(オ)431
登載
民集 第21巻2号312頁
参照法条
不動産登記法24条ノ2,民訴法226条,民訴法225条,行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟特例法12条
論点72第225条民事訴訟法

離婚無効確認の訴について確認の利益があるとされた事例

裁判要旨原被告間に昭和二九年一二月一日離婚判決が言い渡され、同年同月二三日右判決が確定している事実があるからといつて、右確定前である同年一一月九日両者間になされた協議離婚につき、原告不知の間に被告において離婚届を偽造してなしたものであることを理由に、原告がその無効確認を求めて訴を提起することに、法律上の利益がないとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年7月16日 昭和38(オ)88
登載
集民 第79号859頁
参照法条
民訴法225条,民法763条,人事訴訟手続法1条
論点73第225条民事訴訟法

一 新株の発行があつた場合と新株発行に関する株主総会決議無効確認の訴の利益。
二 確定判決で無効でないと確認された決議の内容を再確認した決議に関する株主総会決議無効確認の訴と訴の利益。

裁判要旨一 新株がすでに発行された後は、新株発行無効の訴を提起しないかぎり、当該新株の発行を無効とするに由なく、新株発行に関する株主総会決議無効確認の訴は、確認の利益がない。
二 株主総会決議無効確認の訴を提起して請求棄却の確定判決を受けた者が、後の株主総会で行なわれた右決議内容再確認の決議に対し、更に無効確認の訴を提起しても、訴の利益はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年6月29日 昭和38(オ)992
登載
民集 第19巻4号1045頁
参照法条
商法252条,商法280条ノ2,商法280条ノ15,民訴法225条
論点74第225条民事訴訟法

行政事件訴訟特例法の下において、行政処分無効確認訴訟が当該処分につき同一被告に対し処分の無効を前提とする私法上の法律関係に関する訴訟の係属中に提起された場合と二重訴訟および訴の利益

裁判要旨行政事件訴訟特例法の下において、行政処分無効確認訴訟が、当該処分につき同一被告に対し処分の無効を前提とする私法上の法律関係に関する訴訟の係属中に提起された場合においても、後訴をもつて前訴と二重訴訟の関係にあるものとなし得ないのはもとより、訴の利益を欠くものとみることもできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年12月23日 昭和38(オ)62
登載
集民 第81号759頁
参照法条
行政事件訴訟特例法1条,民訴法231条,民訴法225条
論点75第225条民事訴訟法

供託無効確認の訴の適否。

裁判要旨単に供託が無効であることの確認を求める訴は、許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年11月25日 昭和39(オ)327
登載
民集 第19巻8号2040頁
参照法条
民法494条,民訴法225条
論点76第225条民事訴訟法

民訴法第七一条〈訴訟費用額の確定手続〉に基づく参加人が原告および被告の双方を相手方として確認の請求をした場合において相手方の一方が参加人の請求を争わないときと確認の利益の有無。

裁判要旨民訴法第七一条〈訴訟費用額の確定手続〉に基づく参加人が原告および被告の双方を相手方として確認の請求をした場合において、相手方の一方が参加人の請求を争わないときでも、他の相手方が参加人の請求を争つているかぎり、参加人は、相手方双方に対し、当然確認の利益を有する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年10月15日 昭和39(オ)402
登載
民集 第19巻7号1788頁
参照法条
民訴法62条,民訴法71条,民訴法225条
論点77第225条民事訴訟法

買収農地の売渡を受けた者が当該農地の所有権を時効取得したときと被買収者が右農地の買収処分の無効確認を求める訴の利益の有無。

裁判要旨自作農創設特別措置法により買収農地の売渡を受けた者が当該農地の所有権を時効取得したときは、右農地の被買収者は、その買収処分の無効確認を求める訴の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年10月20日 昭和37(オ)1403
登載
民集 第18巻8号1740頁
参照法条
自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法16条,民法162条,民訴法225条
論点78第225条民事訴訟法

競売手続無効確認の訴の許否。

裁判要旨競売手続の無効を原因として現在の法律関係の存否確認を求めることなく単に右競売手続自体の無効確認を求めることは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年9月22日 昭和33(オ)285
登載
民集 第13巻11号1467頁
参照法条
競売法22条,民訴法225条
論点79第225条民事訴訟法

一 訴を不適法として却下する判決に対する上訴において上訴審が原判決を是認する場合になすべき判決。
二 農地買収、売渡処分の無効を前提とする土地所有権確認並びに登記抹消請求訴訟における県知事の被告適格。
三 農地の譲渡後、所有権移転登記の未経由の間に、譲渡人をその所有者として買収、売渡処分がなされた場合において、右譲渡人が買収、売渡処分の無効確認を求める法律上の利益を有しないとされた事例。

裁判要旨一 訴を不適法として却下する判決に対する上訴において、上訴審が原判決を是認する場合には、上訴棄却の判決をなすべきものである。
二 農地買収、売渡処分の無効を前提とする土地所有権確認並びに登記抹消請求訴訟においては、県知事は被告適格を有しない。
三 農地の譲渡後、所有権移転登記の未経由の間に、譲渡人をその所有者として買収処分がなされた場合において、譲受人が売渡手続にいて売渡の相手方となりこれを原因として所有権移転登記を経由したときは、譲渡人と譲受人との間の任意譲渡を原因とする所有権移転登記は未経由であつても、右譲渡人は、もはや、買収、売渡処分の無効確認を求める法律上の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年6月16日 昭和32(オ)672
登載
民集 第13巻6号718頁
参照法条
民訴法384条,民訴法396条,民訴法225条,行政事件訴訟特例法3条
論点80第225条民事訴訟法

賃借権に基く給付訴訟の係属と賃借権確認の訴の適否

裁判要旨賃借権に基き土地の引渡を求める給付訴訟が係属しても、その基本たる賃借権の存否内容につき即時確定の利益の認められる限り、賃借権確認の訴は許されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年3月25日 昭和31(オ)259
登載
民集 第12巻4号589頁
参照法条
民訴法225条,民訴法231条
論点81第225条民事訴訟法

一 日本国籍離脱が無効な場合にその後なされた国籍回復許可の効力
二 日本国籍を有することについて争のない場合に、その取得原因について確認を求める法律上の利益

裁判要旨一 日本国籍離脱が無効な場合には、その後なされた国籍回復許可も無効である。
二 現在日本国籍を有することについて争のない場合でも、その国籍取得が国籍回復許可によるものではなく日本人を父としての出生したことによると主張する者はその旨の確認を求める法律上の利益がある。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和32年7月20日 昭和25(オ)318
登載
民集 第11巻7号1314頁
参照法条
民訴法225条,旧国籍法20条ノ2,旧国籍法26条
論点82第225条民事訴訟法

離婚無効確認の訴と確認の利益

裁判要旨原告が被告に対し裁判上の離婚を求める意思があるからといつて、協議離婚の無効確認を求める利益がないということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年6月26日 昭和30(オ)456
登載
民集 第10巻6号748頁
参照法条
民訴法225条,民法763条,人事訴訟手続法1条
論点83第225条民事訴訟法

遺言者生前の遺言無効確認の訴の適否

裁判要旨遺言者の生前の遺言無効確認の訴は不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年10月4日 昭和30(オ)95
登載
民集 第10巻10号1229頁
参照法条
民訴法225条,民法985条
論点84第225条民事訴訟法

一 相続放棄無効確認の訴の適否
二 相続放棄無効確認の請求に対する請求どおりの判決を求める旨の陳述と請求の認諾

裁判要旨一 相続の放棄が無効であることの確認を求める訴は、不適法である。
二 相続の放棄が無効であることの確認を求める請求に対し、被告が、口頭弁論において、原告の請求どおりの判決を求める旨陳述しても、請求の認諾の効力を生ずるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年9月30日 昭和27(オ)743
登載
民集 第9巻10号1491頁
参照法条
民訴法225条,民訴法203条
論点85第225条民事訴訟法

一 推定相続人は被相続人がなした仮装売買について無効確認を求め得るか
二 推定相続人は被相続人の権利を代位行使し得るか

裁判要旨一 たとえ被相続人が所有財産を他に仮装売買したとしても、単にその推定相続人であるというだけでは、右売買の無効(売買契約より生じた法律関係の不存在)の確認を求めることはできない。
二 単に推定相続人であるというだけでは、被相続人の権利を代位行使することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年12月26日 昭和27(オ)683
登載
民集 第9巻14号2082頁
参照法条
民法882条,民法423条,民訴法225条
論点86第225条民事訴訟法

請求が証書真否確認の訴の対象たる資格を欠く訴における請求の認諾の効力

裁判要旨請求が証書真否確認の訴の対象たる資格を欠く不適法な訴においてした請求の認諾は、訴訟法上の効力を生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年10月15日 昭和26(オ)74
登載
民集 第7巻10号1083頁
参照法条
民訴法203条,民訴法225条
論点87第225条民事訴訟法

一 虚偽の嫡出子出生届をした者の嫡出親子関係不存在の主張の適否
二 虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否
三 父母一方の死亡と嫡出親子関係不存在確認訴訟の適否
四 嫡出親子関係不存在確認の請求と子の承諾の要否

裁判要旨一 子でない者が戸籍上嫡出子として記載されている場合に、その記載が親の虚偽の嫡出子出生届に基くものであるからといつて、その親の親子関係不存在の主張が禁止されることはない。
二 養子とする意図で他人の子を嫡出子として届けても、それによつて養子縁組が成立することはない。
三 父母一方の死亡後は、生存者単独で嫡出親子関係不存在確認の訴訟を提起することができる。
四 嫡出親子関係不存在確認の請求には、子の承諾(又は同意)を要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年12月28日 昭和24(オ)97
登載
民集 第4巻13号701頁
参照法条
民訴法225条,旧民法第4編第4章1節1款嫡出子,旧民法820条,旧民法837条,旧民法843条,旧民法847条,旧民法775条,旧民法第4編第4章第1節1款嫡出子,旧戸籍法(大正3年法律26号)88条
論点88第225条民事訴訟法

一 国籍取得の原因に関する過去の事実の確認を求める訴の適否
二 アメリカ合衆国の国籍に関する確認訴訟の管轄

裁判要旨一 被上告人等の有する日本の国籍が出生によるものであつて国籍の回復によるものでないというが如き過去の事実の確認を求める訴は許されない。
二 被上告人がアメリカ合衆国の国籍を有することの確認を求める訴は、アメリカ合衆国の裁判権に専属するものであつて、わが国の裁判権に属しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和24年12月20日 昭和24(オ)24
登載
民集 第3巻12号507頁
参照法条
裁判所法3条,民訴法225条,民訴法202条,国籍法20条ノ2,国籍法26条
論点89第225条民事訴訟法

共同相続人間における遺産確認の訴えと固有必要的共同訴訟

裁判要旨共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年3月28日 昭和60(オ)727
登載
民集 第43巻3号167頁
参照法条
民訴法62条,民訴法225条,民法898条
論点90第225条民事訴訟法

境界確定訴訟の提起による所有権に関する取得時効中断の効力が生じないものとされる場合

裁判要旨隣接する一方の土地の所有者甲が、乙主張の境界を越えて隣接地の一部を占有しているため、右隣接地の所有者乙が甲による右占有部分の取得時効完成前に甲に対して提起した境界確定訴訟において、乙主張のとおり両土地の境界が確定されても、右境界確定訴訟と併合審理された乙の甲に対する土地所有権に基づく右占有部分の明渡請求が、当該部分に関する乙の所有権が否定された結果棄却された場合には、右占有部分について、境界確定訴訟の提起による所有権に関する取得時効中断の効力は生じないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年3月28日 昭和58(オ)216
登載
集民 第156号373頁
参照法条
民法147条,民法149条,民法162条,民訴法225条
論点91第225条民事訴訟法

一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如と他の株主との関係における取締役の職務上の義務違反の有無
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえないとされた事例

裁判要旨一 特定の株主に対する株主総会の招集通知の欠如は、すべての株主に対する関係において取締役の職務上の義務違反に当たる。
二 定款上株式の譲渡には取締役会の承認を要することとされている会社において、既に競売により株式を失っていたが株主名簿には株主として記載されていた者に対し株主総会の招集通知が行われないまま決議がされた場合に、右当時、右の者が会社を被告として株主としての地位の確認を請求する訴訟において請求を棄却すべきものとする判決が言い渡されていたものの、同判決は未確定であったなど判示の事実関係の下においては、右の者に対する株主総会の招集通知の欠如につき取締役に悪意又は重大な過失による職務上の義務違反がなかったとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年9月9日 平成6(オ)362
登載
集民 第185号199頁
参照法条
商法204条1項,商法224条1項,商法231条,商法266条ノ3第1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ2,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)204条ノ5,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)206条1項,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)232条,民訴法225条
論点92第225条民事訴訟法

共同相続人の一部の間において土地所有権確認請求を棄却する判決が確定した場合に敗訴原告が右土地につき遺産確認の訴えを提起することの可否

裁判要旨共同相続人甲、乙、丙のうち甲と乙との間において、ある土地につき甲の所有権確認請求を棄却する旨の判決が確定し、右確定判決の既判力により、甲が乙に対して相続による右土地の共有持分の取得を主張し得なくなった場合であっても、甲は右土地につき遺産確認の訴えを提起することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年3月14日 平成5(オ)920
登載
集民 第182号537頁
参照法条
民訴法45条,民訴法199条,民訴法225条,民法898条
論点93第225条民事訴訟法

宗教法人である寺院の前住職の長男であるにすぎない者は前住職の五男が右法人の代表役員及び責任役員の地位にないことの確認を求める訴えについて原告適格を有しないとされた事例

裁判要旨宗教法人である寺院の前住職の長男であるにすぎない甲は、右法人においては、宗教上の地位である住職の地位にある者を代表役員及び責任役員に充てることになっているが、長男の権利放棄が長男以外の者を住職に任命するための要件にはなっておらず、その他に甲が右法人の代表役員等の地位について何らかの法律上の利害関係を有する地位にあることを肯認するに足りる事情が認められないときは、前住職の五男が右法人の代表役員及び責任役員の地位にないことの確認を求める訴えについて原告適格を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年6月24日 平成7(オ)823
登載
集民 第179号389頁
参照法条
民訴法45条,民訴法225条,宗教法人法18条
論点94第225条民事訴訟法

宗教法人における檀徒の地位が法律上の地位に当たるとされた事例

裁判要旨宗教法人において檀信徒名簿が備え付けられていて檀徒であることが右法人の代表役員を補佐する機関である総代に選任されるための要件とされ、予算編成、不動産の処分等の右法人の維持経営に係る諸般の事項の決定につき、総代による意見の表明を通じて檀徒の意見が反映される体制となっており、檀徒による右法人の維持経営の妨害行為が除名処分事由とされているという判示の事実関係の下においては、右法人における檀徒の地位は、具体的な権利義務ないし法律関係を含む法律上の地位ということができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成7年7月18日 平成4(オ)1260
登載
民集 第49巻7号2717頁
参照法条
裁判所法3条,民訴法225条
論点95第225条民事訴訟法

特定の財産がいわゆる特別受益財産であることの確認を求める訴えの適否

裁判要旨特定の財産がいわゆる特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成7年3月7日 平成3(オ)252
登載
民集 第49巻3号893頁
参照法条
民法903条1項,民訴法225条
論点96第225条民事訴訟法

一 宗教法人である神社の代表役員たる地位の存否の確認を求める訴えの原告適格
二 宗教法人である神社の責任役員及び氏子総代は右法人の代表役員たる地位の存否の確認を求める訴えの原告適格を有するが氏子はこれを有しないとされた事例

裁判要旨一 宗教法人である神社の代表役員たる地位の存否の確認を求める訴えについて第三者の原告適格を肯定するには、組織上、その代表役員の任免に関与するなど代表役員の地位に影響を及ぼすべき立場にあるか、又は自らが代表役員によって任免される立場にあるなど代表役員の地位について法律上の利害関係を有していることを要する。
二 宗教法人である神社の代表役員たる地位の存否の確認を求める訴えについて、右法人の規則に、機関として代表役員及び責任役員等のほか氏子総代及びこれによって組織される総代会を置くこと、代表役員は責任役員である宮司をもって充て、宮司の進退については責任役員の具申により神社本庁統理が行うこと、代表役員以外の責任役員は氏子総代が選考することなどが定められているが、氏子については責任役員又は氏子総代に選任されることがある旨の定めがあるほかその権利義務について特段の定めがないなど判示の事実関係の下においては、責任役員及び氏子総代は右訴えの原告適格を有するが、氏子はこれを有しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成7年2月21日 平成3(オ)1503
登載
民集 第49巻2号231頁
参照法条
民訴法45条,民訴法225条,宗教法人法18条
論点97第225条民事訴訟法

相続財産分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えと訴えの利益の有無

裁判要旨民法九五八条の三第一項の規定による相続財産の分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えは、訴えの利益を欠く。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成6年10月13日 平成3(オ)424
登載
集民 第173号149頁
参照法条
民法958条の3第1項,民訴法225条
論点98第225条民事訴訟法

宗教団体内でされた懲戒処分の効力の有無の確認を求める訴えの適否

裁判要旨宗教団体内でされた懲戒処分の効力の有無の確認を求める訴えは、その処分が、当該宗教団体内部における被処分者の宗教活動を制限し、あるいはその宗教上の地位に関する不利益を与えるものにとどまる場合は、不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成4年1月23日 昭和63(オ)1730
登載
民集 第46巻1号1頁
参照法条
裁判所法3条,民訴法225条
論点99第225条民事訴訟法

株主であると主張する者が提起した新株発行不存在確認の訴えが訴えの利益を欠き不適法とされた事例

裁判要旨株主であると主張する者が提起した新株発行不存在確認の訴えは、その者が、株主でなく、当該新株発行につき他に格別の利害関係を有しないときは、訴えの利益を欠き、不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成4年10月29日 昭和63(オ)958
登載
集民 第166号477頁
参照法条
商法280条ノ15,民訴法225条
論点100第225条民事訴訟法

国鉄労働組合から日本国有鉄道清算事業団に対し鉄道乗車証制度の改廃に関する事項につき団体交渉を求め得る地位にあることの確認を求める訴えが適法であるとされた事例

裁判要旨国鉄労働組合から日本国有鉄道清算事業団に対し鉄道乗車証制度の改廃に関する事項につき団体交渉を求め得る地位にあることの確認を求める訴えは、両者の間で右事項が団体交渉の対象事項であるか否かが争われているときは、確認の利益を欠くものとはいえず、適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年4月23日 昭和62(オ)659
登載
集民 第162号547頁
参照法条
憲法28条,労働組合法7条2号,公共企業体等労働関係法(昭和61年法律第93号による改正前のもの)8条4号,民訴法225条
論点101第225条民事訴訟法

いわゆる配転無効確認の訴えが係属している場合に解雇の意思表示がされたときと訴えの利益

裁判要旨労働者がいわゆる配転無効確認の訴えを提起し遂行している場合に、使用者が右労働者に対し解雇の意思表示をしたとしても、右訴えの利益は、これによって消滅するものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年2月5日 平成1(オ)694
登載
集民 第162号85頁
参照法条
民訴法225条
論点102第225条民事訴訟法

認知されていない非嫡出子が提起した父子関係存在確認の訴えの許否

裁判要旨認知されていない非嫡出子は、父との間の親子関係の存在確認の訴えを提起することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成2年7月19日 平成1(オ)772
登載
集民 第160号271頁
参照法条
民法779条,民訴法225条,人事訴訟手続法第2章
論点103第225条民事訴訟法

宗教法人の代表役員の地位の不存在確認の訴えについて確認の利益が認められないとされた事例

裁判要旨寺院の住職の選任権又は右住職となる資格を有することを主張するにすぎない者は、右住職が宗教法人の代表役員に就任するものとされている場合であっても、右代表役員の地位の不存在の確認を求める法律上の利益を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成2年10月29日 平成2(オ)821
登載
集民 第161号71頁
参照法条
民訴法225条,宗教法人法18条
論点104第226条民事訴訟法

将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しないものとされた事例

裁判要旨共有者の一人が共有物を他に賃貸して得る収益につきその持分割合を超える部分の不当利得返還を求める他の共有者の請求のうち事実審の口頭弁論終結時後に係る請求部分は、将来の給付の訴えを提起することのできる請求としての適格を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和63年3月31日 昭和59(オ)1293
登載
集民 第153号627頁
参照法条
民訴法226条
論点105第226条民事訴訟法

執行不能を条件とする代償請求が将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠くとされた事例

裁判要旨株式譲渡承認の申請手続と右承認を条件とする株券の指図による占有移転を命ずる判決の執行不能を条件とする代償請求は、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年10月21日 昭和60(オ)522
登載
集民 第155号55頁
参照法条
民訴法226条,民事執行法31条2項
論点106第226条民事訴訟法

将来の賃料相当損害金の請求を認容する判決が確定した場合においてその後公租公課の増大等により認容額が不相当となつたときと損害金の追加請求

裁判要旨従前の土地の所有者は、仮換地の不法占拠者に対し、将来の賃料相当損害金の請求を認容する確定判決を得た場合においても、その事実審口頭弁論終結後に、公租公課の増大、土地の価格の昂騰により、又は比隣の土地の賃料に比較して、認容額が不相当となつたときは、新訴により、認容額と適正賃料額との差額に相当する損害金の支払を求めることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年7月17日 昭和56(オ)756
登載
民集 第40巻5号941頁
参照法条
民訴法199条,民訴法226条,民法709条
論点107第226条民事訴訟法

給付訴訟における被告適格

裁判要旨給付訴訟においては、給付義務者であると原告の主張している者に被告適格がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年7月10日 昭和58(オ)582
登載
集民 第148号269頁
参照法条
民訴法226条
論点108第226条民事訴訟法

交通事故の被害者が加害者に対する損害賠償請求訴訟と併合して保険会社に対し加害者に代位して提起した自動車保険普通保険約款に基づく保険金請求訴訟の許否

裁判要旨自動車保険普通保険約款に、加害者の保険会社に対する保険金請求権は、加害者と被害者との間で損害賠償額が確定したときに発生し、これを行使することができる旨の規定があつても、被害者が加害者に対する損害賠償請求と保険会社に対し加害者に代位してする保険金請求とを併合して訴求している場合には、右保険金請求訴訟は、将来の給付の訴えとして許される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月28日 昭和55(オ)188
登載
民集 第36巻8号1652頁
参照法条
民法423条,商法629条,民訴法226条
論点109第226条民事訴訟法

一 民事上の請求として一定の時間帯につき航空機の離着陸のためにする国営空港の供用の差止めを求める訴えの適否
二 営造物の利用の態様及び程度が一定の限度を超えるために利用者又は第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合と国家賠償法二条一項〈裁判所及び当事者の責務〉にいう営造物の設置又は管理の瑕疵
三 国営空港に離着陸する航空機の騒音が一定の程度に達しており空港周辺地域の住民の一部により右騒音を原因とする空港供用の差止請求等の訴訟が提起されているなどの状況のもとに右地域に転入した者が右騒音により被害を受けたとして国に対し慰藉料を請求した場合につき右請求を排斥すべき事由がないとした認定判断に経験則違背等の違法があるとされた事例
四 将来にわたつて継続する不法行為に基づく損害賠償請求権が将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格性を有するとされるための要件

裁判要旨一 民事上の請求として一定の時間帯につき航空機の離着陸のためにする国営空港の供用の差止めを求める訴えは、不適法である。
二 営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて利用者又は第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物につき国家賠償法二条一項〈裁判所及び当事者の責務〉にいう設置又は管理の瑕疵があるものというべきである。
三 当該空港に離着陸する航空機の騒音がその頻度及び大きさにおいて一定の程度に達しており、また、空港周辺住民の一部により右騒音を原因とする空港供用差止請求等の訴訟が提起され、主要日刊新聞紙上に当該空港周辺における騒音問題が頻々として報道されていたなど、判示のような状況のもとに空港周辺地域に転入した者が空港の設置・管理者たる国に対し右騒音による被害について慰藉料の支払を求めたのに対し、特段の事情の存在を確定することなく、転入当時右の者は航空機騒音が問題になつている事情ないしは航空機騒音の存在の事実をよく知らなかつたものとし、右請求を排斥すべき理由はないとした原審の認定判断には、経験則違背等の違法がある。
四 現在不法行為が行われており、同一態様の行為が将来も継続することが予想されても、損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず、具体的に請求権が成立したとされる時点においてはじめてこれを認定することができ、かつ、右権利の成立要件の具備については債権者がこれを立証すべきものと考えられる場合には、かかる将来の損害賠償請求権は、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格性を有しない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和56年12月16日 昭和51(オ)395
登載
民集 第35巻10号1369頁
参照法条
民訴法第2編第1章訴,民訴法226条,国家賠償法2条1項,民法709条
論点110第226条民事訴訟法

債権に対する仮差押の執行と当該債権についての給付訴訟

裁判要旨債権に対し仮差押が執行されても、仮差押債務者は、当該債権につき、給付訴訟を提起・追行し、かつ、無条件の勝訴判決を得ることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年3月13日 昭和45(オ)280
登載
民集 第27巻2号344頁
参照法条
民訴法226条,民訴法750条
論点111第226条民事訴訟法

一、自作農創設特別措置法による買収計画または買収処分に対する取消訴訟の提起と買収土地の取得時効の中断
二、自作農創設特別措置法による土地の被買収者が右土地の売渡の相手方に対し取得時効を中断する方法
三、自作農創設特別措置法による買収土地が売渡の相手方により時効取得された場合と右土地の所有権の回復のみを目的とする買収計画取消訴訟の利益

裁判要旨一、自作農創設特別措置法に基づき所有土地を買収された者が買収計画または買収処分に対する取消訴訟を提起しても、右土地につき売渡の相手方のために進行する取得時効は中断されない。
二、自作農創設特別措置法に基づき所有土地を買収された者は、右土地の売渡の相手方を被告として、買収計画または買収処分の取消を条件とする原状回復の請求(土地の返還、所有権取得登記の抹消等の請求)の訴または右取消によつて土地所有権を回復すべき法律上の地位に関し条件付権利の確認の訴を提起する等の方法によつて、右土地につき売渡の相手方のために進行する取得時効を中断することができる。
三、自作農創設特別措置法に基づき買収土地の売渡を受けた者が右土地を時効取得したときは、被買収者が右土地の所有権の回復のみを目的として提起した買収計画取消訴訟は、その利益を失う。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年12月12日 昭和46(行ツ)46
登載
民集 第26巻10号1850頁
参照法条
自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法16条1項,民法147条,民法148条,民法162条,民訴法226条,行政事件訴訟法9条
論点112第226条民事訴訟法

将来の給付請求が不適法であるとされた事例

裁判要旨借地法の適用のある土地賃貸借の期間が、事実審の口頭弁論終結後約六年後に満了する場合において、貸主がその期間満了による賃貸土地の返還を求める将来の給付請求は、その請求の基礎となる権利関係を確定することができない請求権を訴訟物とするものであつて、不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和44(オ)915
登載
集民 第97号287頁
参照法条
民訴法226条
論点113第226条民事訴訟法

仮処分の目的物件が換価されその売得金が供託された場合と本案訴訟のきすう

裁判要旨所有権に基づいて伐採木の搬出禁止を求める本案訴訟の係属中に、仮処分に付されていたその目的物件が執行裁判所によつて換価され、売得金が供託された場合においても、本案裁判所は、目的物件が換価されなかつた場合とひとしく、本来の訴訟物たる権利ないし法律関係について審理し、判決することを妨げない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年1月25日 昭和39(オ)586
登載
民集 第22巻1号1頁
参照法条
民訴法226条,民訴法750条,民訴法756条
論点114第226条民事訴訟法

農地法第六条の所有制限を受ける小作地の小作人から農業委員会に対し同法第八条所定の手続を開始する義務あることの確認を求める訴の許否

裁判要旨小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条〈訴訟の目的の価額の算定〉による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年12月19日 昭和41(行ツ)94
登載
集民 第93号723頁
参照法条
民訴法226条,行政事件訴訟法7条,農地法8条
論点115第226条民事訴訟法

和解調書に建物収去土地明渡および損害金支出の条項がある場合と右請求に対する訴の利益

裁判要旨和解調書に建物収去土地明渡および右土地の不法占有による損害金を支払うべき旨の条項があつても、その明渡の対象となる土地および収去の対象となる建物の表示が極めて不明確であつてその特定性を欠き、損害金の支払についてもその終期が特定しない等その債務名義としての内容に疑義がある場合には、さらに右建物収去土地明渡および損害金の支払の訴を提起することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月1日 昭和43(オ)754
登載
集民 第93号15頁
参照法条
民訴法226条
論点116第226条民事訴訟法

不動産登記の抹消登記手続を求める訴における訴の利益の有無

裁判要旨不動産登記の抹消登記手続を求める訴は、たとえ、右抹消登記の実行が不可能であつても、それがため、訴の利益を失うものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年3月2日 昭和39(オ)336
登載
集民 第86号391頁
参照法条
民訴法226条
論点117第226条民事訴訟法

和解調書に建物収去の条項がある場合と建物収去の訴の利益

裁判要旨和解調書に建物を収去すべき旨の条項があつても、建物収去のための債務名義としてその内容に疑義があるときは、さらに建物収去の訴を提起する利益がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年11月30日 昭和42(オ)523
登載
民集 第21巻9号2528頁
参照法条
民訴法226条
論点118第226条民事訴訟法

一 現況宅地である土地について農地法第三条〈最高裁判所規則〉の知事の許可申請手続を命じた判決を違法とした事例
二 現況宅地である土地について農地法第三条の知事の許可を条件とする所有権移転登記請求がされたとして裁判所のとるべき措置

裁判要旨現況宅地である土地について農地法第三条の知事の許可を条件として所有権移転登記を請求する訴訟が提起された場合には、裁判所は、宅地としての売買による所有権移転登記の請求についてまで前記条件を付する趣旨か否かを釈明して判断するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年6月30日 昭和39(オ)1226
登載
集民 第83号963頁
参照法条
農地法3条,民訴法127条,民訴法226条
論点119第226条民事訴訟法

所有権保存登記およびその後順次経由された所有権移転登記の抹消登記手続請求訴訟において一部の被告に敗訴した場合におけるその余の被告に対する請求についての訴の利益の有無

裁判要旨所有権保存登記およびその後順次経由された所有権移転登記の抹消登記手続請求訴訟において、最終登記名義人を被告とする請求について敗訴の判決があつた場合でも、その余の被告らに対する請求は訴の利益を失うものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年3月18日 昭和38(オ)160
登載
民集 第20巻3号464頁
参照法条
民訴法226条
論点120第226条民事訴訟法

訴の利益がないとして請求が排斥された場合と勝訴の当事者からの控訴申立の適否。

裁判要旨第一審裁判所が訴の利益がないとして原告の請求を排斥した場合は、請求棄却の判決を求めた被告も控訴申立の利益を有するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月19日 昭和39(オ)352
登載
民集 第19巻2号484頁
参照法条
民訴法226条,民訴法360条
論点121第226条民事訴訟法

抵当権の実行に基づく土地の買受人が当該土地の短期賃貸借の賃借人に対してした将来の明渡しを求める訴えが適法とされた事例

裁判要旨土地の短期賃貸借契約の締結が執行妨害の意図を含むものであって、その期間満了に当たって、右賃貸借の賃借人が種々の妨害工作をしないとの保障もないなど判示の事実関係の下においては、抵当権の実行に基づく当該土地の買受人が右賃借人に対してした将来の右期間満了時における明渡しを求める訴えは適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年9月13日 平成3(オ)353
登載
集民 第163号257頁
参照法条
民法395条,民訴法226条
論点122第227条民事訴訟法

選択的に併合されている甲、乙両請求につき甲請求の一部を認容しその余の請求を棄却した第一審判決に対し被告が控訴し原告が控訴、附帯控訴しなかつた場合において控訴審が第一審判決の右認容部分を取り消すべきであるとするときと乙請求についての判断の要否

裁判要旨選択的に併合されている甲、乙両請求につき、甲請求の一部を認容しその余の請求を棄却した第一審判決に対し、被告が控訴し、原告が控訴、附帯控訴しなかつた場合において、控訴審は、第一審判決の右認容部分を取り消すべきであるとするときには、乙請求につき審理判断すべきであり、乙請求を全部理由がないと判断すべきときにのみ、原告の請求を全部棄却しうると解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年4月14日 昭和57(オ)1023
登載
集民 第138号567頁
参照法条
民訴法227条,民訴法385条,民訴法386条
論点123第227条民事訴訟法

一 手形の裏書が裏書人を告とする詐害行為取消一一訟において取り消された場合と右被裏書人から隠れた取立委任裏書を受けていた者の地位

二 約束手形の振出人を原告としその受取人による裏書の被裏書人を被告とする右裏書に対する詐害行為取消の訴と右被裏書人から更に取立委任裏書を受けた者の振出人に対する手形金請求の訴とが併合審理された場合に詐害行為の成立が認められるときは手形金請求を棄却すべきものとされた事例

裁判要旨一 約束手形の振出人甲が原告となりその受取人乙から裏書を受けた丙を被告として提起した右裏書についての詐害行為取消の訴において、甲の請求が認容された場合には、甲は、丙から隠れた取立委任裏書を受けていた丁に対し、丁の善意・悪意を問わず、乙丙間の裏書が詐害行為として取り消された事実を援用して、丁の手形金請求を拒むことができる。

二 約束手形の振出人甲を原告としその受取人乙から裏書を受けた丙を被告とする右裏書に対する詐害行為取消の訴と、丙から更に裏書を受けた丁を原告とし甲を被告とする右手形金請求の訴とが同一裁判所に係属し、後者の訴訟において、甲が、抗弁として、右詐害行為の事実及び丙丁間の裏書が隠れた取立委任裏書であり詐害行為としての取消をもつて丁に対抗しうる旨を主張し、両訴訟が併合審理された結果、甲の主張事実が認められたときは、裁判所は、甲の丙に対する詐害行為取消請求を認容するとともに、丁の甲に対する手形金請求を棄却する裁判をすべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和54年4月6日 昭和50(オ)999
登載
民集 第33巻3号329頁
参照法条
民法424条,手形法17条,手形法18条,民訴法227条
論点124第227条民事訴訟法

原告勝訴の第一審判決に対する控訴審で予備的請求が追加された場合において予備的請求を認容するときの主文の判示方法

裁判要旨原告勝訴の第一審判決に対する控訴審で予備的請求が追加された場合において、控訴審が予備的請求を認容するときは、予備的請求に対する結論が第一次請求に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではなく、第一審判決を取り消し、第一次請求を棄却したうえ、予備的請求を認容する旨の裁判をすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年3月7日 昭和42(オ)829
登載
民集 第22巻3号529頁
参照法条
民訴法227条,民訴法232条,民訴法384条
論点125第227条民事訴訟法

詐害行為取消の反訴が認容されるべき場合には本訴である第三者異議訴訟は排斥を免れないとされた事例。

裁判要旨所有権を異議理由とする第三者異議訴訟の繋属中に、右所有権の取得原因たる契約が詐害行為に該当することを理由として右契約の取消を求める反訴が提起され、右本訴および反訴が同一の裁判所において審理された結果、詐害行為取消権が存すると判断され、前記の所有権取得が否定されるべきことが裁判所に明らかな場合においては、本訴である第三者異議訴訟は排斥を免れない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月26日 昭和34(オ)99
登載
民集 第19巻2号508頁
参照法条
民法424条,民訴法549条,民訴法239条,民訴法227条
論点126第227条民事訴訟法

一 控訴審で請求併合の態様が変更されたため認容の請求に変更を生じた場合と第一審判決取消の要否。
二 損害賠償額の予定の特約を記載して振り出された約束手形における右特約の効力。

裁判要旨一 第一審では甲乙両請求が選択的に併合されたため甲請求のみが認容されたが、控訴審では乙請求を第一次的請求、甲請求を予備的請求とすることに併合の態様が変更されたため乙請求のみを認容する場合には、甲請求を認容した第一審判決は、当然に失効するものと解すべきであるから、これを取り消すことを要しない。
二 損害賠償額の予定の特約を記載して振り出された約束手形においては、右特約は、振出人と受取人との間において、民法上の効力を生ずるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年4月7日 昭和37(オ)1148
登載
民集 第18巻4号520頁
参照法条
民訴法227条,民訴法232条,民訴法386条,手形法75条,民法420条
論点127第227条民事訴訟法

将来の給付の訴について仮執行宣言を付しうるか。

裁判要旨将来の給付の訴についても、仮執行宣言を付することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年1月24日 昭和38(オ)6
登載
集民 第71号313頁
参照法条
民訴法196条,民訴法227条
論点128第227条民事訴訟法

請求の予備的併合において主たる請求を排斥する一部判決が許されないとされた事例。

裁判要旨借主の代理人との間になされた消費賃借契約による貸金返還請求を主たる請求とし、代理人に代理権がない場合には、本人が代理人を通じ、右貸金を法律上の原因なくして受領したことによる不当利得金返還請求を予備的請求として併合した訴訟において、主たる請求を排斥する裁判をするときは同時に予備的請求についても裁判をすることを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年3月8日 昭和35(オ)197
登載
民集 第17巻2号304頁
参照法条
民訴法183条,民訴法227条
論点129第227条民事訴訟法

請求の併合の判断の順位の適否を判断した事例。

裁判要旨原告先代がその主張する和解契約により係争家屋を買付けた事実が認められるならば、原告は被告に対し家屋収去、土地明渡の請求をする必要がなく、単に家屋明渡の請求をすれば足り、右家屋の売買が認められない場合にのみ、原告は被告に対し家屋収去、土地明渡の請求をする必要がある事件において、原告が第一審で第一次請求として家屋収去、土地明渡を求め、予備的に家屋明渡を請求し、これに対し第一審判決が右予備的に附加した請求を第一次的に判断して原告の請求を容認したとしても、原告が控訴審において控訴棄却を申立てて第一審判決の維持を求め、また控訴審の口頭弁論を通じ右第一審判決の判断の順序につきなんら不服を申立てない場合には、右判断の順序は原告の意思に沿うものといえる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年6月19日 昭和34(オ)79
登載
集民 第61号245頁
参照法条
民訴法227条
論点130第227条民事訴訟法

第一審の判断を経ない予備的請求と第二審の判断。

裁判要旨いわゆる請求の予備的併合の場合、第一審裁判所が主たる請求を認容したため予備的請求につき判断をしなかつたときといえども、第二審裁判所は主たる請求を排斥した上予備的請求につき判断をなし得るものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年10月14日 昭和31(オ)822
登載
民集 第12巻14号3091頁
参照法条
民訴法360条,民訴法227条
論点131第227条民事訴訟法

一 数個の攻撃方法と請求の個数。
二 控訴審における判決理由の変更と民訴第三八五条〈申立ての却下〉。

裁判要旨一 所有権転移登記の抹消を請求する訴訟において破産管財人たる原告がその理由として、第一次に右登記の原因たる売買の虚偽仮装であることを主張し、第二次に予備的主張として、右売買につき破産法上の否認権を行使すると主張した場合においては、請求を理由あらしめる攻撃方法が二個あるだけで、請求としては、登記抹消の一個の請求があるだけである。
二 破産管財人たる原告が、その理由として、第一次に所有権転移登記の原因たる売買の虚偽仮装であることを主張し、第二次に予備的主張として右売買につき破産法上の否認権を行使すると主張する所有権転移登記の抹消を請求する訴訟において、第一審が原告の第一次の主張を排斥し、第二次の主張だけを採用して原告勝訴の判決をした場合、これに対する被告の控訴の申立に基き、第二審が、前記第一審で排斥された第一次の主張を採用して控訴棄却の判決をしても、民訴第三八五条〈申立ての却下〉に違反するものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和23年10月12日 昭和23(オ)22
登載
民集 第2巻11号365頁
参照法条
民訴法227条,民訴法385条
論点132第227条民事訴訟法

一 アメリカ合衆国軍隊の軍用地として使用されている土地につき時効取得が認められた事例
二 選択的併合の関係にある一の請求を認容した原判決に対する上告審において他の請求を認容するときと原判決の帰すう

裁判要旨一 戦後アメリカ合衆国軍隊に接収され今日まで軍用地として使用されている土地につき、登記簿上の所有名義人が同国政府のために締結された賃貸借契約に基づき継続して軍用地料を受領し、公租公課も負担してきたなど原判示の事実関係の下においては、右所有名義人の時効取得を認めることができる。
二 選択的併合の関係にある一の請求を認容した原判決に対する上告審において他の請求を認容するときは、原判決は、当然に失効する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年9月19日 昭和59(オ)199
登載
集民 第157号581頁
参照法条
民法162条,民訴法227条,民訴法408条
論点133第227条民事訴訟法

一 国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を予備的・追加的に併合することが許される場合
二 国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を控訴審において予備的・追加的に併合する場合の相手方の同意の要否

裁判要旨一 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を予備的、追加的に併合することが申し立てられた場合において、右予備的請求が、主位的請求と被告を同じくする上、その主張する経済的不利益の内容が同一で請求額もこれに見合うものであり、同一の行為に起因するものとして発生原因が実質的に共通するなど,相互に密接な関連性を有するものであるときは、右予備的請求の追加的併合は、請求の基礎を同一にするものとして民訴法二三二条の規定による訴えの追加的変更に準じて許される。
二 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に、憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を控訴審において予備的、追加的に併合するには、相手方の同意を要する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年7月20日 昭和63(オ)1410
登載
民集 第47巻7号4627頁
参照法条
民訴法227条,民訴法232条,憲法29条3項,国家賠償法1条1項,行政事件訴訟法第3章当事者訴訟
論点134第228条民事訴訟法

申立の手数料を特別抗告状却下命令ののちに納付したことを理由として右命令に対し特別抗告の申立をすることの許否

裁判要旨申立の手数料等の納付を命ずる補正命令に従わなかつたことを理由として高等裁判所の裁判長がした特別抗告状却下の命令に対しては、右命令ののちに申立の手数料等を納付したことを理由として特別抗告の申立をすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年2月22日 昭和56(ク)385
登載
集民 第135号217頁
参照法条
民訴法228条,民訴法370条,民訴法396条,民訴法409条ノ2,民訴法409条ノ3,民訴法419条ノ2,民訴法419条ノ3
論点135第228条民事訴訟法

受送達者及び送達場所につき誤つた記載のある送達報告書に基づいてされた高等裁判所裁判長の控訴状却下命令に対する不服申立方法

裁判要旨控訴状補正命令が受送達者である控訴人に送達されていないにもかかわらず、控訴人本人にその住所において送達された旨の誤つた記載のある送達報告書に基づき高等裁判所裁判長が控訴状却下の命令をしたときは、右控訴人は、控訴状却下命令に対し、民訴法四二九条、四二〇条一項九号の規定により、再審の申立をすることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月15日 昭和53(ク)371
登載
集民 第126号97頁
参照法条
民訴法228条,民訴法370条,民訴法420条1項9号,民訴法429条
論点136第228条民事訴訟法

補正命令の正本の瑕疵の治癒

裁判要旨控訴状の補正命令の正本に瑕疵があつたとしても、その送達を受けた控訴人が、補正命令に従つて印紙を増貼し、裁判所が控訴を適法なものとして、その本案につき審理判決したときは、右瑕疵は治癒されたものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年7月14日 昭和50(オ)334
登載
集民 第115号409頁
参照法条
民訴法205条,民訴法228条
論点137第228条民事訴訟法

上告状および上告理由書の上告人表示欄の補正を命じた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年4月22日 昭和45(オ)1125
登載
集民 第102号547頁
参照法条
民訴法228条,民訴法567条,民訴法570条,民訴法597条
論点138第228条民事訴訟法

補正命令に対する補正期間の延長の申出と裁判長の職権

裁判要旨補正命令によつて訴状の補正を命じられた者が補正期間の延長を申し出た場合に、申出を容れて延長するかどうかは裁判長の職権による裁量に委ねられる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年4月15日 昭和45(ク)213
登載
集民 第102号473頁
参照法条
民訴法228条
論点139第228条民事訴訟法

一 印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する救済を行政事件訴訟によつて求めることの許否
二 控訴審において民訴法第二〇二条〈尋問の順序〉によつた原判決を相当として口頭弁論を経ることなく控訴を棄却することの許否

裁判要旨一 上告状についての印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する不服は、民訴法所定の手続によるべく、審級の定めから上訴による不服申立のみちがない場合においても、行政事件訴訟をもつてその救済を求めることは許されない。

二 訴を不適法でその欠缺を補正しがたいものと認め民訴法第二〇二条〈尋問の順序〉により口頭弁論を経ないで却下した第一審判決に対し、控訴のあつた場合において、右原審の判断を相当とするときは、控訴審においても、口頭弁論を経ないで控訴を棄却することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月15日 昭和38(オ)969
登載
集民 第83号191頁
参照法条
民訴法397条,民訴法370条,民訴法228条,民訴法378条,民訴法202条,行訴法3条
論点140第228条民事訴訟法

印紙追貼命令およびこれに関連する措置等に対する救済を裁判所法第八二条〈救助の付与〉によつて求めることの許否

裁判要旨上告状についての印紙追貼命令およびこれに関連する措置等に対する救済は、民事訴訟法所定の不服申立方法によるべく、審級その他の定めから上訴による不服申立のみちのない場合においても、これに裁判所法第八二条に基づく司法行政監督上の措置を求めることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年4月14日 昭和38(オ)1306
登載
集民 第83号167頁
参照法条
民訴法397条,民訴法370条,民訴法228条,裁判所法82条
論点141第228条民事訴訟法

上級審における印紙の追貼とその訴訟書類の効力。

裁判要旨訴訟書類の貼用印紙に不足があつても、その不足額が上級審において追貼されれば、右書類は当初に遡つて有効になるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年11月30日 昭和35(オ)1065
登載
集民 第63号365頁
参照法条
民訴法228条,民訴用印紙法11条
論点142第228条民事訴訟法

一 控訴状における被控訴人の表示の誤記と補正
二 偽証と民訴法第第四二〇条第一項七号

裁判要旨一 控訴状に被控訴人の表示を「東京都千代田区ab丁目b番地A株式会社右代表者代表取締役D」と記載すべきを、「東京都中央区cd丁目d番地eA株式会社右代表者代表取締役E」と誤記したかしがあつても、控訴審の係属中に訂正した場合には右かしは補正される。
二 綜合認定に供された証言中に、偽証の証言があつても、偽証の証言が認定に全然関係がないか、もしくは主要事実の認定に影響を及ぼさない事情に関するものに過ぎないときは、民訴第四二〇条第一項七号の再審事由とならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年11月19日 昭和30(オ)649
登載
民集 第13巻12号1500頁
参照法条
民訴法367条2項,民訴法370条,民訴法228条,民訴法420条1項7号
論点143第228条民事訴訟法

上級審における印紙の追貼とその訴訟書類の効力

裁判要旨下級審に差し出された訴訟書類の正本に貼用された印紙に不足があつた場合に、これを上級審において追貼すれば、その瑕疵は補正されその書類は始めに遡つて有効となるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和31年4月10日 昭和29(オ)858
登載
民集 第10巻4号367頁
参照法条
民訴法228条,民事訴訟用印紙法11条
論点144第228条民事訴訟法

団体等規正令並びに解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基く法務総裁の処分の効力を争う訴の提起があつたときの裁判

裁判要旨団体等規正令並びに解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令に基く法務総裁の処分の効力を争う訴の提起を受けたときは、裁判長は直ちに、命令をもつて訴状を却下すべく、右命令に対する抗告事件においては、抗告裁判所の裁判長は、直ちに、命令をもつて抗告状を却下すべきである。また、右と異る下級審の裁判に対し上訴が提起されたときは、上訴裁判所は、直ちに、原判決を取り消し、訴状を却下すべきものである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和25年7月5日 昭和25(オ)147
登載
民集 第4巻7号264頁
参照法条
民訴法228条,民訴法202条,団体等規正令,解散団体の財産の管理及び処分等に関する政令(昭和23年政令238号)
論点145第228条民事訴訟法

一 控訴状に貼付すべき印紙の不足している間になされた訴訟行為の効力。
二 農地調整法にいわゆる農地にあたらない事例。

裁判要旨一 控訴状に貼付すべき印紙が不足していたとしても、その後その不足額の印紙が増貼された場合には、右補正前になされた弁論期日判決言渡期日の各指定及びその告知は、すべて有効である。
二 約一反歩の他人の宅地を数年来耕作してきた場合であつても、その宅地は所有者が後日自己の住家を建築するつもりで何人にも賃貸せず空地として残しておいたものであること、その後太平洋戦争が勃発するに及び次第に塀が壊されその一部に防空壕が造られたばかりでなく、勝手に蔬菜類を作るものもできたこと、また耕作者がこれを耕作するに際しても所有者の承諾を得ず、その耕作の状況は馬鈴薯畑約八十坪の外人参、ささぎ、牛蒡、胡瓜、葱、唐黍等の蔬菜園であつて、耕作者は農業会に加入せず、また土地は食糧供出の対象になつていないことの認められるような場合には、右土地は、普通の家庭菜園であつて農地調整法に定められた農地に該当するものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和24年5月21日 昭和24(オ)17
登載
民集 第3巻6号209頁
参照法条
民訴法228条,民事訴訟用印紙法11条,農地調整法2条1項
論点146第229条民事訴訟法

信義則上訴訟行為の無効を主張しえないとされた事例

裁判要旨訴状に被告として表示されている者が裁判所に対する訴状の提出後その送達前に死亡した場合において、相続人が異議を述べずに被告の訴訟を承継する手続をとり、第一、二審を通じて、自ら進んで訴訟行為をしたなど判示のような訴訟の経過(判決理由参照)のもとでは、相続人において、本件訴訟の被告が死者であるとして、上告審において自らの訴訟行為の無効を主張することは、信義則上許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年7月14日 昭和39(オ)1403
登載
民集 第20巻6号1173頁
参照法条
民訴法第1編第4章第1節,民訴法208条,民訴法229条
論点147第229条民事訴訟法

一 訴状の送達の時に代物弁済の予約完結権の行使があつたものと認められた事例
二 被担保債務の一部の内入弁済と代物弁済の予約完結権

裁判要旨一 訴状において停止条件附代物弁済契約の条件成就による所有権取得の効果の主張のみが記載されている場合においても、原告がその後の弁論において、代物弁済の予約の主張を追加してその予約の完結権行使が訴状の送達をもつてされた旨主張したときには、その訴状送達の時に右予約完結権の行使があつたものと認めることができる。
二 貸金担保のための代物弁済の予約において、被担保債務に対し一割に満たない一部の内入弁済があつても、特別の事情のないかぎり、その予約完結権は消滅しないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月20日 昭和36(オ)708
登載
集民 第72号215頁
参照法条
民法482条(556条),民訴法229条1項
論点148第229条民事訴訟法

不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき口頭弁論を経ずに訴えを却下するか又は却下判決に対する控訴を棄却する場合における被告に対する訴状、控訴状又は判決正本の送達の要否

裁判要旨不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき、口頭弁論を経ずに、訴えを却下するか、又は却下判決に対する控訴を棄却する場合には、訴状において被告とされている者に対し訴状、控訴状又は判決正本を送達することを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年5月28日 平成7(行ツ)67
登載
集民 第179号95頁
参照法条
民訴法193条,民訴法202条,民訴法229条,民訴法371条,民訴法384条
論点149第231条民事訴訟法

一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合と仮処分債務者の仮払金返還請求権
二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟と仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨一 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行後に仮処分命令が控訴審で取り消された場合には、本案訴訟が未確定であり、又は従業員としての地位保全の仮処分が同時に発せられていたときであつても、仮処分債務者は、特段の事情がない限り、仮処分債権者に対し仮払金の返還請求権を取得し、その返還義務の範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきである。
二 賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟において、仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出することは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月15日 昭和58(オ)1406
登載
民集 第42巻3号170頁
参照法条
民法505条,民法703条,民法704条,民訴法198条2項,民訴法199条2項,民訴法231条,民訴法756条ノ2,民訴法760条
論点150第231条民事訴訟法

必要的共同訴訟と二重上告

裁判要旨必要的共同訴訟の共同訴訟人の一人が上告を提起したのちに他の共同訴訟人が提起した上告は、二重上告として不適法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月12日 昭和59(オ)1476
登載
集民 第144号461頁
参照法条
民訴法62条1項,民訴法231条,民訴法378条,民訴法396条
論点151第231条民事訴訟法

一、農買収計についての訴願棄却裁決が行政事件訴訟特例法に基づく取消訴訟により買収計画の違法を理由として取り消された場合と買収計画の効カ
ニ、二重訴訟解消のため前訴が取り下げられた場合と前訴の提起による時効中断の効力

裁判要旨一、農地買収計画についての訴願を棄却した裁決が行政事件訴訟特例法に基づく裁決取消の訴訟において買収計画の違法を理由として取り消されたときは、右買収計画は効力を失うと解すべきである。
二、二重訴訟を解消するために前訴が取り下げられても、前訴の請求がそのまま後訴においても維持されている場合は、前訴の提起により生じた時効中断の効力は消滅しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和49(オ)197
登載
民集 第29巻10号1797頁
参照法条
行政事件訴訟特例法12条,民法147条,民法149条,民訴法231条
論点152第231条民事訴訟法

一、債権者代位訴訟に債権者が当事参加して第三債務者に対し提起した同一の重複訴訟
二、債権者代位訴訟に債務者が当事者参加して第三債務者に対し提起した同一の訴についての債務者の訴訟追行権

裁判要旨一、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条〈訴訟費用額の確定手続〉により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起することは、重複起訴の禁止にはふれない。
二、債権者甲が債務者乙に代位して第三債務者丙に対し提起した訴訟に、乙が、民訴法七一条により参加して、丙に対し甲の丙に対する訴と訴訟物を同じくする訴を提起した場合において、甲に代位原因がないときは、乙は丙に対する訴につき訴訟追行権を失わない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年4月24日 昭和47(オ)908
登載
民集 第27巻3号596頁
参照法条
民訴法45条,民訴法71条,民訴法201条2項,民訴法231条,民法423条1項
論点153第231条民事訴訟法

民訴法二三一条〈文書に準ずる物件への準用〉が禁止する二重起訴にあたるとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年9月23日 昭和46(オ)159
登載
集民 第103号541頁
参照法条
民訴法231条
論点154第231条民事訴訟法

同一金銭債権につき債権者代位権に基づく給付の訴の提起後に国税滞納処分に基づく取立の訴が提起された場合における両訴の関係

裁判要旨債権者が、債務者に属する金銭債権につき、債務者に代位して、第三債務者に対しその支払を求める訴を提起した後に、国が、右債務者に対する国税の滞納処分として同一債権を差し押え、第三債務者に対しその支払を求める訴を提起しても、債権者の代位権行使の権限が失われるものではなく、裁判所は、右二個の請求を併合して審理し、これをともに認容することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年6月2日 昭和44(オ)626
登載
民集 第24巻6号447頁
参照法条
民法423条,民訴法231条,民訴法598条,国税徴収法8条,国税徴収法67条
論点155第231条民事訴訟法

補助参加人の上告提起後にされた被参加人の上告の適否

裁判要旨補助参加人が上告を提起した後に被参加人のした上告は、二重上告として不適法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成元年3月7日 昭和63(オ)1695
登載
集民 第156号295頁
参照法条
民訴法69条,民訴法231条,民訴法378条,民訴法396条
論点156第231条民事訴訟法

別訴において訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺の抗弁の許否

裁判要旨別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として、相殺の抗弁を主張することは、許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成3年12月17日 昭和62(オ)1385
登載
民集 第45巻9号1435頁
参照法条
民法505条,民訴法199条2項,民訴法231条
原

条文原文

原文ママ

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民事訴訟法 第219条(書証の申出) 詳細ページ
(書証の申出)
第二百十九条書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
民事訴訟法 第220条(文書提出義務) 詳細ページ
(文書提出義務)
第二百二十条次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
四前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書
民事訴訟法 第221条(文書提出命令の申立て) 詳細ページ
(文書提出命令の申立て)
第二百二十一条文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一文書の表示
二文書の趣旨
三文書の所持者
四証明すべき事実
五文書の提出義務の原因
2前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。
民事訴訟法 第222条(文書の特定のための手続) 詳細ページ
(文書の特定のための手続)
第二百二十二条文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない。
2前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる。
民事訴訟法 第223条(文書提出命令等) 詳細ページ
(文書提出命令等)
第二百二十三条裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
2裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
3裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。
4前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
一国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
二犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
5第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。
6裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。
7文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第224条(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果) 詳細ページ
(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果)
第二百二十四条当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
2当事者が相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも、前項と同様とする。
3前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
民事訴訟法 第225条(第三者が文書提出命令に従わない場合の過料) 詳細ページ
(第三者が文書提出命令に従わない場合の過料)
第二百二十五条第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第226条(文書送付の嘱託) 詳細ページ
(文書送付の嘱託)
第二百二十六条書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。ただし、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。
民事訴訟法 第227条(文書の留置等) 詳細ページ
(文書の留置等)
第二百二十七条裁判所は、必要があると認めるときは、提出又は送付に係る文書を留め置くことができる。
2提出又は送付に係る文書については、第百三十二条の十三の規定は、適用しない。
民事訴訟法 第228条(文書の成立) 詳細ページ
(文書の成立)
第二百二十八条文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
民事訴訟法 第229条(筆跡等の対照による証明) 詳細ページ
(筆跡等の対照による証明)
第二百二十九条文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる。
2第二百十九条、第二百二十三条、第二百二十四条第一項及び第二項、第二百二十六条並びに第二百二十七条第一項の規定は、対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件の提出又は送付について準用する。
3対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる。
4相手方が正当な理由なく前項の規定による決定に従わないときは、裁判所は、文書の成立の真否に関する挙証者の主張を真実と認めることができる。書体を変えて筆記したときも、同様とする。
5第三者が正当な理由なく第二項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
6前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第230条(文書の成立の真正を争った者に対する過料) 詳細ページ
(文書の成立の真正を争った者に対する過料)
第二百三十条当事者又はその代理人が故意又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
3第一項の場合において、文書の成立の真正を争った当事者又は代理人が訴訟の係属中その文書の成立が真正であることを認めたときは、裁判所は、事情により、同項の決定を取り消すことができる。
民事訴訟法 第231条(文書に準ずる物件への準用) 詳細ページ
(文書に準ずる物件への準用)
第二百三十一条この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。
出

一次情報

原文ママ

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