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親権/親権の効力

親権の効力の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民法820条から833条は、親権を行う者が子に対して負う監護・教育の権利義務、居所指定権、職業許可権、財産管理権などの具体的な内容を定めている。あわせて、父母双方が親権者である場合の行使方法、利益相反行為が生じた場合の対応、財産管理の計算や時効といった手続的なルールも定めている。

親権の効力
効力の種類内容行使者根拠条文
監護教育権子の利益のため監護・教育親権者820条
人格尊重義務体罰等の禁止親権者821条
居所指定権子は指定場所に居住親権者822条
職業許可権許可なく営業不可親権者823条
財産管理・代表権財産管理と法律行為代表親権者824条
親権の行使方法原則共同、例外単独父母824条の2
監護者の権利義務監護者が単独行使監護者824条の3
利益相反時の対応特別代理人選任請求家庭裁判所826条
管理の注意義務自己のためと同一注意親権者827条
管理の計算・時効成年到達後計算、5年時効親権者/子828条・832条
  • 824条の2第3項:父母の協議が調わない場合、家庭裁判所が父又は母の請求により一方の単独行使を定めることができる。
  • 825条:共同名義でした行為は、相手方が悪意であったときは効力を妨げられうる。
  • 829条:828条ただし書の相殺みなし規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示した財産には適用されない。
  • 830条:第三者が管理者を指定しないとき等は、家庭裁判所が子・親族・検察官の請求により管理者を選任する。
  • 831条:子の財産管理や830条の場合には、委任に関する第654条・第655条の規定が準用される。
  • 833条:父又は母が成年に達しない子であるときは、その子について親権を行う者が代わって親権を行う。
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親権の効力

親権の効力について、条文は何を定めているか。

第820条監護及び教育の権利義務子のための監護教育権を定める1項判例 8件
  • 親権者は子の利益のために監護・教育を行う権利義務を持つ
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第821条子の人格の尊重等子の人格尊重・体罰禁止を定める1項判例なし
  • 子の人格を尊重し年齢・発達の程度に配慮する
  • 体罰など心身の健全な発達に有害な言動を禁止
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第822条居所の指定居所は親権者が指定する1項判例なし
  • 子は親権者が指定した場所に居所を定めなければならない
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第823条職業の許可職業を営むには許可が必要2項判例なし
  • 子が職業を営むには親権者の許可が必要
  • 民法6条2項〈未成年者の営業の許可〉の場合は許可の取消・制限が可能
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第824条財産の管理及び代表財産管理と法律行為の代表権1項判例 3件
  • 親権者は子の財産を管理し法律行為を代表する
  • 子に債務を生じる行為は本人の同意が必要
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第824_2条親権の行使方法等親権は父母が共同で行うのが原則3項・3号判例なし
  • 一方のみが親権者等の場合は単独で行使できる
  • 日常の監護教育行為は単独で行使できる
  • 協議不調時は家裁が一方の単独行使を定められる
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第824_3条監護者の権利義務監護者は親権者と同じ権利義務を持つ2項判例なし
  • 監護・教育、居所指定、職業許可等を単独で行える
  • 親権者は監護者の行為を妨げてはならない
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第825条父母の一方が共同の名義でした行為の効力共同名義の行為は原則有効1項判例 2件
  • 父母の一方が共同名義でした行為は他方の意思に反しても有効
  • 相手方が悪意のときは効力を妨げられうる
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第826条利益相反行為利益相反行為は特別代理人が対応2項判例 20件
  • 親と子の利益が相反する行為は特別代理人選任を家裁に請求
  • 数人の子の間で利益相反する場合も同様に請求が必要
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第827条財産の管理における注意義務財産管理は自己と同一の注意義務1項判例なし
  • 親権者は自己のためにするのと同一の注意で管理する
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第828条財産の管理の計算成年到達後は管理の計算が必要1項判例なし
  • 子が成年に達したら遅滞なく管理の計算をする
  • 養育・管理の費用は子の財産の収益と相殺したとみなす
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第829条第三者の反対意思で相殺規定が不適用1項判例なし
  • 無償贈与者が反対の意思を示した財産には相殺規定が適用されない
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第830条第三者が無償で子に与えた財産の管理第三者が管理させない財産の扱い4項判例なし
  • 第三者が親に管理させない意思を示した財産は親の管理外
  • 管理者未指定なら家裁が請求により管理者を選任
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第831条委任の規定の準用財産管理に委任の規定を準用1項判例なし
  • 子の財産管理や830条〈第三者が無償で子に与えた財産の管理〉の場合に委任の規定(654条〈委任の終了後の処分〉・655条〈委任の終了の対抗要件〉)を準用
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第832条財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効管理に関する債権は5年で時効消滅2項判例なし
  • 親子間の財産管理に関する債権は管理権消滅から5年で時効消滅
  • 子が未成年で法定代理人がない場合は成年到達等から起算
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第833条子に代わる親権の行使未成年の親に代わり親権を行使1項判例なし
  • 父母が未成年のときはその親権者が代わって親権を行う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第820条民法

幼児引渡義務と養育費等の不当利得返還義務との間の同時履行関係の有無

裁判要旨幼児を養育していた者から親権者への幼児引渡義務と親権者から右養育者への養育費等の不当利得返還義務とは、同時履行の関係に立たない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年9月28日 昭和59(オ)462
登載
集民 第142号381頁
参照法条
民法533条,民法703条,民法820条
論点2第820条民法

一 児童が道路上で遊ぶことについて親権者に監督上の過失がないとされた事例
二 子が重傷を受けた場合の父母の精神的苦痛について慰藉料請求が認められた事例

裁判要旨一 父母が子の戸外行動についてそのつど特別の具体的注意ないし監視をしないからといつて、右の子が小学校二年生の男児であること、平常より同児に対し道路上で遊ぶ際の車両等に対する一般的注意が父母によつて与えられていたことなど判示事情のもとでは、父母に親権者としての監督上の過失があつたものとはいえない。
二 満七年二月の男児が自動車事故によつて重傷を受け、通算約一一月にわたる入院、約一〇回に及ぶ手術等の加療の結果、両足切断は免れたが、現になお判示のような身体障害をのこしている等判示事情のもとで父母が被つた精神的苦痛は、右事故によつて同児の生命が侵害された場合に比し著しく劣るものでなく、父母は、右苦痛による慰藉料を請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年1月31日 昭和40(オ)1004
登載
民集 第21巻1号61頁
参照法条
民法820条,民法722条2項,民法711条
論点3第820条民法

幼児引渡の請求を認容する判決と憲法第一三条。

裁判要旨いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第一三条となんら関係がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月17日 昭和36(オ)835
登載
民集 第17巻8号968頁
参照法条
民法820条,憲法13条
論点4第820条民法

一 幼児の引渡を求める訴訟においてその幼児が自由意思に基いて相手方の許に居住しているとはいえない事例
二 幼児引渡の請求を認容する判決と憲法第二二条〈住所〉の居住移転の自由

裁判要旨一 幼児の引渡を求める訴訟において、その幼児が三歳に満たない頃からひき続き相手方のもとで養育されているというだけでは、右幼児は自由意思に基いて同所に居住しているとはいえない。
二 いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第二二条所定の居住移転の自由となんら関係がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年3月15日 昭和32(オ)1166
登載
民集 第14巻3号430頁
参照法条
民法820条,憲法22条
論点5第820条民法

一 虚偽の嫡出子出生届をした者の嫡出親子関係不存在の主張の適否
二 虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否
三 父母一方の死亡と嫡出親子関係不存在確認訴訟の適否
四 嫡出親子関係不存在確認の請求と子の承諾の要否

裁判要旨一 子でない者が戸籍上嫡出子として記載されている場合に、その記載が親の虚偽の嫡出子出生届に基くものであるからといつて、その親の親子関係不存在の主張が禁止されることはない。
二 養子とする意図で他人の子を嫡出子として届けても、それによつて養子縁組が成立することはない。
三 父母一方の死亡後は、生存者単独で嫡出親子関係不存在確認の訴訟を提起することができる。
四 嫡出親子関係不存在確認の請求には、子の承諾(又は同意)を要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年12月28日 昭和24(オ)97
登載
民集 第4巻13号701頁
参照法条
民訴法225条,旧民法第4編第4章1節1款嫡出子,旧民法820条,旧民法837条,旧民法843条,旧民法847条,旧民法775条,旧民法第4編第4章第1節1款嫡出子,旧戸籍法(大正3年法律26号)88条
論点6第820条民法

離婚した父母のうち子の親権者と定められた父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることが権利の濫用に当たるとされた事例

裁判要旨離婚した父母のうち子の親権者と定められた父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることは,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,権利の濫用に当たる。
(1) 子が7歳であり,母は,父と別居してから4年以上,単独で子の監護に当たってきたものであって,母による上記監護が子の利益の観点から相当なものではないことの疎明がない。
(2) 母は,父を相手方として子の親権者の変更を求める調停を申し立てている。
(3) 父が,子の監護に関する処分としてではなく,親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年12月5日 平成29(許)17
登載
民集 第71巻10号1803頁
参照法条
民法1条3項,民法820条
論点7第820条民法

母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

裁判要旨母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は, 別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成17年12月6日 平成16(あ)2199
登載
刑集 第59巻10号1901頁
参照法条
刑法35条,刑法224条,民法818条,民法820条
論点8第820条民法

婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に子と同居していない親と子の面接交渉について家庭裁判所が相当な処分を命ずることの可否

裁判要旨婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に、子と同居していない親と子の面接交渉につき父母の間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法七六六条〈離婚後の子の監護に関する事項の定め等〉を類推適用し、家事審判法九条一項乙類四号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年5月1日 平成12(許)5
登載
民集 第54巻5号1607頁
参照法条
民法766条・民法818条3項・民法820条 家事審判法9条1項乙類4号
論点9第824条民法

一 記名株式を目的とする質権の設定の要件
二 親権の共同行使に違反して親権者の父または母が単独でした未成年の子の財産についての処分行為の効力

裁判要旨一 記名株式を目的とする質権の設定には、質権設定の合意のほか株券の交付を要するが、それのみで足りると解すべきである。
二 親権の共同行使に違反して親権者の父または母が単独でした未成年の子の財産についての処分行為は無効である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年9月29日 昭和41(オ)1225
登載
集民 第88号611頁
参照法条
商法205条(昭和41年法律83号による改正前のもの。),商法207条,商法209条,民法824条,民法825条
論点10第824条民法

新民法附則第四条〈成年〉により新法の遡及効を認め得ない一事例

裁判要旨旧民法施行当時、子と家を異にする母が、親権者母たる資格において子の法定代理人として締結した賃貸借には、新民法附則第四条〈成年〉によつて新民法を適用すべきでない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月27日 昭和25(オ)350
登載
民集 第6巻5号568頁
参照法条
民法附則4条,民法818条2項,民法824条,旧民法884条,旧民法877条2項
論点11第824条民法

一 親権者の代理権濫用の行為と民法九三条〈心〉ただし書
二 親権者において子を代理してその所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為と代理権の濫用

裁判要旨一 親権者が子を代理する権限を濫用して法律行為をした場合において、その行為の相手方が権限濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法九三条〈心〉ただし書の規定の類推適用により、その行為の効果は子には及ばない。
二 親権者が子を代理してその所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、代理権の濫用には当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成4年12月10日 平成1(オ)759
登載
民集 第46巻9号2727頁
参照法条
民法93条ただし書,民法824条
論点12第825条民法

一 訴訟行為と民法八二五条〈父母の一方が共同の名義でした行為の効力〉の適用の有無
二 父母が共同で親権を行う場合と民法八二六条一項〈利益相反行為〉の規定による特別代理人の選任申立権者
三 民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人が未成年者を代理してした行為が利益相反行為にあたるとされた事例

裁判要旨一 訴訟行為には民法八二五条〈父母の一方が共同の名義でした行為の効力〉は適用されない。
二 民法八二六条一項〈利益相反行為〉の規定による特別代理人の選任申立は、父母が共同で親権を行う場合においても、その一方が単独ですることができる。
三 民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人が親権者のした未成年者所有不動産の担保提供行為を追認することは、その被担保債務について特別代理人自身も連帯保証人となつているときは、同法条にいう「利益が相反する行為」にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年11月26日 昭和54(オ)549
登載
民集 第36巻11号2296頁
参照法条
民法825条,民法826条1項,民訴法49条
論点13第826条民法

民法八二六条一項〈利益相反行為〉の規定に基づいて選任された特別代理人と未成年者との利益が相反する行為と右特別代理人の権限行使の可否

裁判要旨民法八二六条一項〈利益相反行為〉の規定に基づいて選任された特別代理人と未成年者との利益が相反する行為については、右特別代理人は、選任の審判によつて付与された権限を行使することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年11月18日 昭和56(オ)586
登載
民集 第36巻11号2274頁
参照法条
民法826条1項
論点14第826条民法

共同相続人の一人である後見人が他の共同相続人である被後見人を代理してする相続の放棄が利益相反行為にあたらない場合

裁判要旨共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人みずからが相続の放棄をしたのちにされたか、又はこれと同時にされたときは、民法八六〇条〈利益相反行為〉によつて準用される同法八二六条にいう利益相反行為にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年2月24日 昭和50(オ)354
登載
民集 第32巻1号98頁
参照法条
民法826条,民法860条,民法938条
論点15第826条民法

民法八二六条〈利益相反行為〉の利益相反行為にあたるとされた事例

裁判要旨親権者が、債務者である株式会社の代表取締役として第三者から金銭を借り受け、右債務を担保するため、みずから個人として連帯保証をするとともに子の不動産につき根抵当権を設定する行為は、民法八二六条〈利益相反行為〉にいう利益相反行為にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年3月31日 昭和51(オ)1359
登載
集民 第120号397頁
参照法条
民法826条
論点16第826条民法

一、共有に属する株式につき株主の権利を行使すべき者を指定する行為と民法八二六条にいう利益相反行為
二、商法三五〇条一項の株券提出期間経過前に株式を譲り受けたが名義書換を経ていない株主と同条三項の異議催告公告請求権

裁判要旨一、株式が未成年の子とその親権者を含む数人の共有に属する場合において、親権者が未成年の子を代理して商法二〇三条二項にいう株主の権利を行使すべき者を指定する行為は、これを親権者自身と指定するときであつても、民法八二六条〈利益相反行為〉にいう利益相反行為にあたらない。
二、商法三五〇条一項の株券提出期間の経過前に株式を譲り受けた者は、名義書換を経ていない場合でも、同条三項によつて準用される同法三七八条の異議催告公告請求権を有し、右譲受により株式が数人の共有に属することとなつた場合には、株主の権利を行使すべき者の指定が株券提出期間経過後にされたときであつても、右指定を受けた者においてこれを請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年11月8日 昭和51(オ)419
登載
民集 第31巻6号847頁
参照法条
民法826条,商法203条,商法350条,商法378条1項
論点17第826条民法

一、民法八二六条二項〈利益相反行為〉所定の利益相反行為の意義
二、遺産分割の協議と民法八二六条二項

裁判要旨一、民法八二六条二項〈利益相反行為〉所定の利益相反行為とは、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるものを指称し、その行為の結果現実にその子らの間に利害の対立を生ずるか否かは問わない。
二、遺産分割の協議は、民法八二六条二項の適用上は、利益相反行為に該当し、共同相続人中の数人の未成年者が、相続権を有しない一人の親権者の親権に服するときは、右未成年者らのうち当該親権者によつて代理される一人の者を除くその余の未成年者については、各別に選任された特別代理人がその各人を代理して遺産分割の協議に加わることを要する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年7月22日 昭和46(オ)675
登載
集民 第112号389頁
参照法条
民法826条2項,民法907条
論点18第826条民法

一、親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議と民法八二六条二項の利益相反行為
二、親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議の効力

裁判要旨一、親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、かりに親権者において数人の子のいずれに対しても衡平を欠く意図がなく、親権者の代理行為の結果数人の子の間に利害の対立が現実化されていなかつたとしても、民法八二六条二項〈利益相反行為〉所定の利益相反する行為にあたる。
二、親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、追認のないかぎり無効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年4月24日 昭和47(オ)603
登載
集民 第109号183頁
参照法条
民法826条2項
論点19第826条民法

親権者が第三者の金銭債務を担保するため子の所有不動産に抵当権を設定することが民法八二六条にいう利益相反行為にあたる場合

裁判要旨親権者が第三者の金銭債務についてみずから連帯保証人になるとともに、子の代理人として右債務を担保するため子の所有不動産に抵当権を設定する行為は、民法八二六条〈利益相反行為〉にいう利益相反行為にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年12月18日 昭和45(オ)593
登載
集民 第101号783頁
参照法条
民法826条
論点20第826条民法

民法八二六条〈利益相反行為〉所定の利益相反行為にあたるとされた事例

裁判要旨親権者が第三者から金員を借り受けるにあたり、その未成年の子が連帯債務を負担し、また、同債務を担保するため、その子の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付賃借権の設定をなし、さらに、右代物弁済の予約完結の意思表示により右不動産の所有権が第三者に移転したことを即決和解または私法上の和解契約において確認する行為は、民法八二六条〈利益相反行為〉所定の利益相反行為にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年11月24日 昭和43(オ)946
登載
集民 第101号511頁
参照法条
民法826条
論点21第826条民法

親権者の債務につき未成年者が連帯債務を負うため審判によつて選任された特別代理人の代理行為が無権代理行為として無効であると判断された事例

裁判要旨親権者が債権者から新たに金五〇万円の貸与を受けるとともに旧債務金五〇万円を合わせた計金一〇〇万円につき、未成年者が連帯債務を負うため審判によつて選任された特別代理人が、旧債務金五〇万円についてのみ連帯債務を負う旨の契約を締結することは、判示事情関係のもとでは右審判に示された権限を逸脱した無権代理行為にあたるものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年11月18日 昭和43(オ)198
登載
集民 第97号359頁
参照法条
民法826条
論点22第826条民法

一、抵当権の設定契約の無効とその抵当権に基づく競売手続の効果
二、民法第八二六条〈利益相反行為〉の利益相反行為にあたるとされた事例

裁判要旨一、抵当権の設定契約が無効のときには、その抵当権に基づく競売により、抵当物件が競落されても、競落人はその所有権を取得することができない。
二、第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示事実関係のもとでは、子のためにされた連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為は、民法第八二六条〈利益相反行為〉にいう利益相反行為にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和43(オ)783
登載
民集 第22巻10号2172頁
参照法条
民法369条,民法826条,競売法2条
論点23第826条民法

利益相反にあたらないとされた事例

裁判要旨親権者が、その経営する事業につき、第三者の援助を仰ぎたいと考えて、子の財産を右第三者に贈与する契約を締結したとしても、右は親権者の単なる内心の意図にすぎず、民法第八二六条〈利益相反行為〉の利益相反行為にはあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年4月25日 昭和41(オ)79
登載
集民 第87号253頁
参照法条
民法826条
論点24第826条民法

親権者が自らおよび子の法定代理人として約束手形を共同で振り出した場合において利益相反関係を生じないとされた事例

裁判要旨親権者が子の法定代理人として約束手形を振り出し、自らもその共同振出人となつた場合において、右手形が子を主債務者とし親権者をその連帯保証人とする借受金の支払のために振り出されたものであるときには、子と親権者との間に民法第八二六条所定の利益相反関係は生じない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年4月18日 昭和40(オ)1499
登載
民集 第21巻3号671頁
参照法条
民法826条
論点25第826条民法

民法第八二六条〈利益相反行為〉の利益相反行為と行為の動機

裁判要旨民法第八二六条〈利益相反行為〉にいう利益相反行為に該当するか否かは、親権者が子を代理してなした行為の外形によつて決すべきであり、その行為の実質的な効果を顧慮して決すべきでない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年7月15日 昭和41(オ)489
登載
集民 第84号121頁
参照法条
民法826条
論点26第826条民法

親権者の一方がその子と利益相反し他の親権者が利益相反関係にない場合と民法第八二六条の適用。

裁判要旨民法第八二六条〈利益相反行為〉は、親権者の一方がその子と利益相反し他の親権者が利益相反関係にない場合にも適用がある(同旨、昭和三七年(オ)第一三四〇号同三九年四月二一日第三小法廷判決、裁判集(民)第七三号二九九頁)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年4月21日 昭和37(オ)1339
登載
集民 第73号287頁
参照法条
民法826条
論点27第826条民法

一 親権者の債務の担保のため未成年者の不動産に抵当権を設定するについての特別代理人選任の審判と被担保債務額の表示の要否
二 親権者の債務の担保のため未成年者の不動産に抵当権を設定するについて選任された特別代理人の根抵当権設定についての権限の有無

裁判要旨一 未成年者の親権者の債務担保のため未成年者所有の不動産に抵当権を設定するについて、家庭裁判所のなす特別代理人選任の審判は、被担保債権額が表示されていない場合でも有効である。
二 未成年者の親権者の債務担保のため未成年者所有の不動産に抵当権を設定するについて、家庭裁判所によつて選任された未成年者の特別代理人は、根抵当権設定についても授権されたものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月6日 昭和35(オ)1046
登載
民集 第16巻2号223頁
参照法条
民法826条,民法369条,家事審判法9条1項甲類10号
論点28第826条民法

法定代理人と本人との利益相反の有無を判断するにつきその行為の縁由を考慮すべきか

裁判要旨法定代理人と本人との利益相反の有無は、もつぱら、その行為自体を観察して判断すべきであつて、当該借入金の用途が何であるかというような当該契約に至つた縁由を考慮して判断すべきではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月27日 昭和36(オ)1013
登載
集民 第58号1023頁
参照法条
民法826条
論点29第826条民法

民法第八二六条〈利益相反行為〉の利益相反行為と行為の動機。

裁判要旨親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であつても、民法第八二六条〈利益相反行為〉にいう「利益が相反する行為」にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年10月2日 昭和34(オ)1128
登載
民集 第16巻10号2059頁
参照法条
民法826条
論点30第826条民法

一 親権者の一方に利益相反関係のある場合における代理の方法
二 民法八二六条第一項〈利益相反行為〉の利益相反行為の事例

裁判要旨一 親権者たる父母の一方に民法第八二六条第一項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。
二 甲が乙の親権者として、自己の事業上の債務のため乙所有の不動産を
代物弁済として他に譲渡する行為は、乙が甲の事業により生活上の利
益を受けており、その利益も考慮してなされたものであるとしても、
民法第八二六条第一項〈利益相反行為〉にいう利益相反行為である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年2月25日 昭和33(オ)968
登載
民集 第14巻2号279頁
参照法条
民法826条1項,民法818条3項
論点31第826条民法

親権者が特別代理人によらないで子と利益の相反する行為をした場合と子の追認。

裁判要旨親権者が特別代理人によらないで自ら未成年の子を代表して子と利益の相反する行為をした場合、子は、婚姻により成年に達したものとみなされた後に、これを追認することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年10月11日 昭和32(オ)277
登載
集民 第45号171頁
参照法条
民法826条
原

条文原文

原文ママ

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民法 第820条(監護及び教育の権利義務) 詳細ページ
(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
民法 第821条(子の人格の尊重等) 詳細ページ
(子の人格の尊重等)
第八百二十一条親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
民法 第822条(居所の指定) 詳細ページ
(居所の指定)
第八百二十二条子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
民法 第823条(職業の許可) 詳細ページ
(職業の許可)
第八百二十三条子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
民法 第824条(財産の管理及び代表) 詳細ページ
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
民法 第824_2条(親権の行使方法等) 詳細ページ
(親権の行使方法等)
第八百二十四条の二親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
一その一方のみが親権者であるとき。
二他の一方が親権を行うことができないとき。
三子の利益のため急迫の事情があるとき。
2父母は、その双方が親権者であるときであっても、前項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。
3特定の事項に係る親権の行使(第一項ただし書又は前項の規定により父母の一方が単独で行うことができるものを除く。)について、父母間に協議が調わない場合であって、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。
民法 第824_3条(監護者の権利義務) 詳細ページ
(監護者の権利義務)
第八百二十四条の三第七百六十六条(第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により定められた子の監護をすべき者は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。この場合において、子の監護をすべき者は、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限をすることができる。
2前項の場合には、親権を行う者(子の監護をすべき者を除く。)は、子の監護をすべき者が同項後段の規定による行為をすることを妨げてはならない。
民法 第825条(父母の一方が共同の名義でした行為の効力) 詳細ページ
(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第八百二十五条父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
民法 第826条(利益相反行為) 詳細ページ
(利益相反行為)
第八百二十六条親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
民法 第827条(財産の管理における注意義務) 詳細ページ
(財産の管理における注意義務)
第八百二十七条親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。
民法 第828条(財産の管理の計算) 詳細ページ
(財産の管理の計算)
第八百二十八条子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。
民法 第829条 詳細ページ
第八百二十九条前条ただし書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。
民法 第830条(第三者が無償で子に与えた財産の管理) 詳細ページ
(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
第八百三十条無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4第二十七条から第二十九条までの規定は、前二項の場合について準用する。
民法 第831条(委任の規定の準用) 詳細ページ
(委任の規定の準用)
第八百三十一条第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び前条の場合について準用する。
民法 第832条(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効) 詳細ページ
(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
第八百三十二条親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から五年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。
2子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。
民法 第833条(子に代わる親権の行使) 詳細ページ
(子に代わる親権の行使)
第八百三十三条父又は母が成年に達しない子であるときは、当該子について親権を行う者が当該子に代わって親権を行う。
出

一次情報

原文ママ

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