論点1第473条民法
いわゆる学校債券が無記名証券にあたるとされた事例
裁判要旨学校法人が設備拡充資金の借入れを目的とし、一般の起債の方法により作成、発行した左記の学園債券は、無記名証券にあたる。
(学園債権は末尾添付)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年6月24日 昭和43(オ)1227
- 登載
- 民集 第23巻7号1143頁
- 参照法条
- 民法86条3項,民法473条,商法517条,商法519条
論点2第473条民法
被害者の有する自賠法16条1項の規定による請求権の額と労災保険法12条の4第1項により国に移転した上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合において、自動車損害賠償責任保険の保険会社が国の上記請求権の行使を受けて国に対してした支払の効力
裁判要旨被害者の有する自賠法16条1項の規定による請求権の額と労災保険法12条の4第1項により国に移転した上記請求権の額の合計額が自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合であっても、自動車損害賠償責任保険の保険会社が国の上記請求権の行使を受けて国に対して上記保険金額の限度でした損害賠償額の支払は、有効な弁済に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和4年7月14日 令和3(受)1473
- 登載
- 民集 第76巻5号1205頁
- 参照法条
- 自動車損害賠償保障法(自賠法)16条1項、労働者災害補償保険法(労災保険法)12条の4第1項、民法473条
論点3第474条民法
借地上の建物の賃借人と地代の弁済についての利害関係の有無
裁判要旨借地上の建物の賃借人は、地代の弁済について法律上の利害関係を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和63年7月1日 昭和62(オ)1577
- 登載
- 集民 第154号245頁
- 参照法条
- 民法474条2項
論点4第474条民法
物上保証人からされた被担保債権の将来の弁済を原因とする抵当権設定登記又はいわゆる仮登記担保権の仮登記の抹消登記手続請求における弁済と抹消登記手続義務との関係
裁判要旨物上保証人からされた被担保債権の将来の弁済を原因とする抵当権設定登記又はいわゆる仮登記担保権の仮登記の抹消登記手続を求める請求は、将来物上保証人が被担保債権を弁済することを条件としても、認容することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和63年4月8日 昭和59(オ)594
- 登載
- 集民 第154号11頁
- 参照法条
- 民法474条,民法533条
論点5第474条民法
民法第四七四条第二項〈第三者の弁済〉の解釈。
裁判要旨弁済をするにつき利害関係のある第三者は、債務者の意思に反しても弁済をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年2月4日 昭和38(オ)544
- 登載
- 集民 第77号235頁
- 参照法条
- 民法474条2項
論点6第474条民法
民法第四七四条第二項〈第三者の弁済〉にいう「利害ノ関係」を有する者の意義。
裁判要旨民法
第四七四条第二項〈第三者の弁済〉にいう「利害ノ関係」を有する者とは、弁済をするについて法律上の利害関係を有する第三者をいうものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年4月21日 昭和37(オ)158
- 登載
- 民集 第18巻4号566頁
- 参照法条
- 民法474条
論点7第474条民法
第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したことの主張立証責任。
裁判要旨第三者の弁済につき当事者が反対の意思を表示したかどうかの主張立証の責任は、その表示ありとして第三者弁済の無効を主張する者の側にある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年11月15日 昭和37(オ)272
- 登載
- 集民 第69号215頁
- 参照法条
- 民法474条1項,民訴法第3章第1節
論点8第478条民法
銀行総合口座取引における預金払戻権限を有すると称する者への貸越しと民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用
裁判要旨銀行総合口座取引において、銀行が権限を有すると称する者からの普通預金払戻請求に応じて貸越しをするにつき銀行として尽くすべき相当の注意を用いたときは、民法
四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用により、銀行は、右貸越しによつて生じた貸金債権を自働債権とする定期預金債権との相殺をもつて真実の預金者に対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和63年10月13日 昭和60(オ)1402
- 登載
- 集民 第155号5頁
- 参照法条
- 民法478条
論点9第478条民法
一 上告審における被告の破産と破産債権確定訴訟への訴えの変更
二 指名債権が二重に譲渡された場合に対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済と民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用
三 二重に譲渡された指名債権の債務者が対抗要件を後れて具備した譲受人に対してした弁済について過失がないというための要件
裁判要旨一 給付訴訟の上告審係属中に被告が破産宣告を受け破産管財人が訴訟手続を受継した場合には、原告は、上告審において、右給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更することができる。
二 指名債権が二重に譲渡された場合に、民法
四六七条二項〈債権の譲渡の対抗要件〉所定の対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済についても、同法
四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用がある。
三 二重に譲渡された指名債権の債務者が民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信じてした弁済について過失がないというためには、対抗要件を先に具備した譲受人の債権譲受又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることを要する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月11日 昭和57(オ)272
- 登載
- 民集 第40巻3号558頁
- 参照法条
- 民訴法232条,破産法244条1項,破産法246条1項,民法467条,民法478条
論点10第478条民法
金融機関が記名式定期預金の預金者と誤認した者に対する貸付債権をもつてした預金債権との相殺につき民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉が類推適用されるために必要な注意義務を尽くしたか否かの判断の基準時
裁判要旨金融機関が、記名式定期預金につき真実の預金者甲と異なる乙を預金者と認定して乙に貸付をしたのち、貸付債権を自働債権とし預金債権を受働債権としてした相殺が民法
四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用により甲に対して効力を生ずるためには、当該貸付時において、乙を預金者本人と認定するにつき金融機関として負担すべき相当の注意義務を尽くしたと認められれば足りる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和59年2月23日 昭和55(オ)260
- 登載
- 民集 第38巻3号445頁
- 参照法条
- 民法478条,民法505条
論点11第478条民法
定期預金の期限前払戻につき民法四七八条による免責が認められた事例
裁判要旨定期預金の期限前払戻を請求した者が、預金証書と届出印鑑を所持しているほか、年末資金として預金の一部を必要とすることと残額を再び預け入れることを申し入れ、払戻請求書に預金者の住所をほぼ正確に記載したなど原判示の事実関係のもとでは、払戻しをした銀行の係員に過失がなく、払戻は債権の準占有者に対する弁済として有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年9月25日 昭和54(オ)296
- 登載
- 集民 第127号475頁
- 参照法条
- 民法478条,民法666条
論点12第478条民法
定期預金債権の準占有者にあたらないものとされた事例
裁判要旨預金者のために架空人名義の定期預金の預入行為をした者について、同人が右預金につき届け出られた印章を所持しており、また、右預金の預金証書を紛失したと称し、その紛失の届出が同人からされている旨の警察署の証明書を銀行に提出して預金証書の再交付を受けるなど判示のような事実があつても、これら事実から直ちにこの者が定期預金債権の準占有者にあたるということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和53年5月1日 昭和50(オ)587
- 登載
- 集民 第124号1頁
- 参照法条
- 民法478条
論点13第478条民法
銀行が無記名定期預金の預金者と認定した者に対して貸付をした場合における貸付債権をもつてする相殺と民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用
裁判要旨銀行が、無記名定期預金につき真実の預金者と異なる者を預金者と認定し、この者に対し、右預金と相殺する予定のもとに貸付をし、その後右の相殺をするときには、民法
四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年3月27日 昭和41(オ)815
- 登載
- 民集 第27巻2号376頁
- 参照法条
- 民法478条
論点14第478条民法
賃貸家屋が他に譲渡された場合と賃借人の賃料の弁済の効力
裁判要旨賃貸家屋が他に譲渡されいまだ対抗要件を具備していない場合においても、賃借人が後にこの事実を認めて、新家主に対し、遡つて賃料を皮払つたときは、右賃料の弁済は、その弁済時以前の分も含めて、すべて有効と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年12月3日 昭和46(オ)734
- 登載
- 集民 第104号557頁
- 参照法条
- 民法605条,民法478条
論点15第478条民法
銀行預金の払戻に債権の準占有者の成立が認められた事例
裁判要旨旧閉鎖機関保管人委員会委員長が占領軍総司令部代表官の指示を受けて、銀行預金を閉鎖機関たるD株式会社の権利であるとして、その管理処分に着手した以上、右預金は、同会社の預金としての外観をそなえるに至り、右委員長は、Dの財産管理者として、右預金の準占有者となつたものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年3月29日 昭和40(オ)579
- 登載
- 集民 第90号835頁
- 参照法条
- 民法478条
論点16第478条民法
民法第一〇二三条〈前の遺言と後の遺言との抵触等〉と第四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉との関係
裁判要旨民法
第一〇一三条〈遺言の執行の妨害行為の禁止〉の規程が適用される場合においても、
第四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の規程が排除されるわけではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年12月20日 昭和43(オ)883
- 登載
- 集民 第93号767頁
- 参照法条
- 民法478条,民法1013条
論点17第478条民法
預金通帳を呈示しない無権限者の請求に対して銀行のした預金の払戻に過失がないとされた事例
裁判要旨無権限者が預金通帳を呈示しないで預金の払戻を請求し、銀行がその支払をした場合であつても、払戻請求書に押捺された会社代表者の印影が届出の印影と合致し、請求者が当該会社の代表者を補助して会社の設立事務に従事し、設立後は取締役の一員となつていたことを当該係員において知つているなど判示の事情があるときは、銀行がその者に預金の払戻を請求する代理権限があると信じたことに過失はない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和42年12月21日 昭和42(オ)711
- 登載
- 民集 第21巻10号2613頁
- 参照法条
- 民法478条
論点18第478条民法
債権の準占有者に対する弁済と弁済者の善意無過失
裁判要旨債権の準占有者に対する弁済が有効とされるためには、弁済者が善意かつ無過失であることを要する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月12日 昭和40(オ)1229
- 登載
- 集民 第83号123頁
- 参照法条
- 民法478条
論点19第478条民法
定期預金の期限前払戻に民法第四七八条の適用があるとされた事例
裁判要旨定期預金契約の締結に際し、当該預金の期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約当事者の合意により確定されているときは、右預金の期限前の払戻であつても、民法
第四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用をうける。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年10月4日 昭和38(オ)1006
- 登載
- 民集 第20巻8号1565頁
- 参照法条
- 民法478条,民法666条
論点20第478条民法
債権が重複して差し押えられた場合において第三債務者が無効な転付命令を取得した債権者に対し善意無過失で弁済したときと民法第四八一条第一項〈差押えを受けた債権の第三債務者の弁済〉の規定の適用の有無。
裁判要旨甲が、乙に対する債権に基づいて、乙の丙に対する債権を差し押えて取立命令を得た後に、乙に対する他の債権者丁が、同一債権を重ねて差し押えて無効な転付命令を得た場合には、たとい丙が善意無過失で丁に弁済しても、甲は、民法
第四八一条第一項〈差押えを受けた債権の第三債務者の弁済〉の規定に基づき、丙に対して重ねて弁済を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年11月19日 昭和39(オ)129
- 登載
- 民集 第19巻8号1986頁
- 参照法条
- 民法481条1項,民法478条
論点21第478条民法
銀行の自己宛小切手が窃取された場合に呈示期間経過後取得した右小切手の所持人に対する支払が無効とされた事例。
裁判要旨銀行の自己宛小切手が窃取された場合、呈示期間経過後取得した右小切手の所持人に対する小切手金支払は、たとい該所持人を小切手金債権の準占有者とみなしてなされたとしても、同銀行が右事情を知悉しているかぎり無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年12月4日 昭和36(オ)796
- 登載
- 集民 第76号373頁
- 参照法条
- 民法467条,民法478条,小切手法21条,小切手法32条2項,小切手法35条
論点22第478条民法
生命保険会社がいわゆる契約者貸付制度に基づいて保険契約者の代理人と称する者の申込みにより行った貸付けと民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用
裁判要旨生命保険会社甲が、いわゆる契約者貸付制度に基づいて保険契約者乙の代理人と称する丙の申込みによる貸付けを実行した場合において、丙を乙の代理人と認定するにつき相当の注意義務を尽くしたときは、甲は、民法
四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用により、乙に対し、右の貸付けの効力を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成9年4月24日 平成5(オ)1951
- 登載
- 民集 第51巻4号1991頁
- 参照法条
- 民法91条,民法478条,民法587条,商法673条
論点23第478条民法
預金者の代理人と称する者に対して預金担保貸付けをした場合における払戻充当と民法四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の類推適用
裁判要旨金融機関が、自行の定期預金の預金者の代理人と称する者に対し、右定期預金債権に質権を設定して金銭を貸し付け、その後質権実行の趣旨で右定期預金を払い戻して貸付債権の弁済に充当した場合には、民法
四七八条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉が類推適用される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成6年6月7日 平成2(オ)1510
- 登載
- 集民 第172号623頁
- 参照法条
- 民法478条
論点24第478条民法
預金者以外の者が真正なキャッシュカードを使用し正しい暗証番号を入力して現金自動支払機から預金の払戻しを受けた場合と免責約款による銀行の免責
裁判要旨銀行の設置した現金自動支払機を利用して預金者以外の者が預金の払戻しを受けたとしても、真正なキャッシュカードが使用され、正しい暗証番号が入力されていた場合には、銀行による暗証番号の管理が不十分であったなど特段の事情がない限り、銀行は、免責約款により免責される。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成5年7月19日 平成1(オ)1473
- 登載
- 集民 第169号255頁
- 参照法条
- 民法91条,民法478条
論点25第478条民法
簡易生命保険契約の保険金受取人が無断で保険金等の支払を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において上記の者が損害の発生を否認して請求を争うことが信義誠実の原則に反し許されないとされた事例
裁判要旨簡易生命保険契約の保険金受取人であるXが,無断で保険金等の支払を受けたY1及びY2に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記支払が有効な弁済とはならず,Xが依然として上記保険金等の支払請求権を有しているとしても,Y1及びY2がXに損害が発生したことを否認してXの損害賠償請求を争うことは,信義誠実の原則に反し許されない。
(1) Y1及びY2は,郵便局員から上記保険金等の支払請求権がXに帰属する旨の説明を受けていながら,Xに無断で,X名義の支払請求書兼受領証を作成するなどして,支払請求手続きを執った。
(2) Y1及びY2が上記保険金等の支払を受けた後,Xは,日本郵政公社に上記保険金等の支払を請求したが拒絶された。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年2月18日 平成21(受)216
- 登載
- 集民 第236号147頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法478条,民法709条,民法719条,民訴法2条
論点26第478条民法
銀行が相続財産である預金債権の全額を共同相続人の一部に払い戻した場合について他の共同相続人にその法定相続分相当額の預金の支払をした後でなくても当該銀行には民法703条〈不当利得の返還義務〉所定の「損失」が発生するものとされた事例
裁判要旨甲銀行に対し預金債権を有していた丁の死亡により,乙,丙及び戊が当該預金債権を相続したのに,甲銀行が当該預金債権の全額を乙及び丙に払い戻したこと,乙及び丙は,戊の法定相続分相当額の預金については,これを受領する権限がなかったにもかかわらず,払戻しを受けたものであり,この払戻しが債権の準占有者に対する弁済に当たるということもできないことなど判示の事情の下においては,甲銀行が戊にその法定相続分相当額の預金の支払をした後でなくても,甲銀行には民法703条所定の「損失」が発生したものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年7月11日 平成16(受)2134
- 登載
- 集民 第217号329頁
- 参照法条
- 民法478条,民法703条,民法899条
論点27第478条民法
不当利得返還請求訴訟において不当利得返還請求権の成立要件である「損失」が発生していないと主張して請求を争うことが信義誠実の原則に反するとされた事例
裁判要旨甲が,乙と共に相続した預金債権のうちの乙の法定相続分に当たる部分について何らの受領権限もないのに受領権限があるものとして金融機関から払戻しを受けていながら,その払戻しに係る金員について乙が提起した不当利得返還請求訴訟において,一転して,上記払戻しは民法478条の弁済として有効であるとはいえず,乙が上記金融機関に対して乙の法定相続分に当たる預金債権を有していることに変わりはなく,乙には不当利得返還請求権の成立要件である「損失」が発生していないと主張するに至ったなど判示の事情の下では,甲が上記主張をして乙の不当利得返還請求を争うことは,信義誠実の原則に反し許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成16年10月26日 平成16(受)458
- 登載
- 集民 第215号473頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法478条,民法703条,民法899条,民訴法2条
論点28第478条民法
1 現金自動入出機による預金の払戻しと民法478条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉の適用の有無
2 無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというための要件
3 無権限者が預金通帳を使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けたことについて銀行に過失があるとされた事例
裁判要旨1 現金自動入出機による預金の払戻しについても民法
478条〈受領権者としての外観を有する者に対する弁済〉が適用される。
2 無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというためには,銀行において,上記方法により預金の払戻しが受けられる旨を預金者に明示すること等を含め,現金自動入出機を利用した預金の払戻しシステムの設置管理の全体について,可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽くしていたことを要する。
3 預金通帳を使用し暗証番号を入力すれば現金自動入出機から預金の払戻しを受けられるシステムになっているのに,銀行がそのことを預金規定等に規定して預金者に明示することを怠っていたなど判示の事実関係の下では,銀行は,真正な預金通帳が使用され,入力された暗証番号が届出暗証番号と一致することが機械的に確認された場合であっても,無権限者が現金自動入出機から預金の払戻しを受けたことについて過失がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成15年4月8日 平成14(受)415
- 登載
- 民集 第57巻4号337頁
- 参照法条
- 民法91条,民法478条
論点29第479条民法
還付請求権の代理関係が供託書に表示されていない場合の弁済供託の効力
裁判要旨共同売主たる甲乙に対する代金金額の供託が供託物還付請求権者甲のみの表示をもつてなされ、乙との関係が供託書上に何ら表示されていないとしても、乙が右売買取引に関する一切の代理権を甲に与えている以上、該供託は右代金債務全部に対する弁済供託としての効力を有するものと解して妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和41年10月21日 昭和40(オ)1304
- 登載
- 集民 第84号679頁
- 参照法条
- 民法99条,民法479条,供託法9条
論点30第479条民法
共同債権者の一人に弁済受領の権限を認めない特約がある場合にその者になされた弁済の効力。
裁判要旨共同債権者甲乙と債務者丙との間に、甲に弁済受領の権限を認めない旨の特約をしている場合でも、丙が甲に対してなした弁済は、当該債権の弁済としてその効力を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年6月11日 昭和33(オ)945
- 登載
- 民集 第13巻6号704頁
- 参照法条
- 民法479条
論点31第481条民法
債権仮差押命令送達前に第三債務者が債務支払のために振り出した小切手が右送達後に支払われた場合と民法四八一条一項〈差押えを受けた債権の第三債務者の弁済〉
裁判要旨第三債務者が債権仮差押命令の送達を受ける前に債務者に対し債務支払のために小切手を振り出していた場合には、右送達後にその小切手が支払われたとしても、第三債務者は右債務の消滅を仮差押債権者に対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和49年10月24日 昭和46(オ)521
- 登載
- 民集 第28巻7号1504頁
- 参照法条
- 民法481条1項,民訴法598条,民訴法750条3項
論点32第481条民法
債権仮差押と差押とが競合する場合当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済と民法第四八一条の適用の有無。
裁判要旨債権仮差押と差押とが競合する場合、当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済については、民法
第四八一条〈差押えを受けた債権の第三債務者の弁済〉は適用されず、右弁済は仮差押債権者その他配当に与かるべき者全員に対してもその効力を有するものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年7月9日 昭和37(オ)909
- 登載
- 民集 第19巻5号1178頁
- 参照法条
- 民法481条,民訴法602条,民訴法621条,民訴法750条3項
論点33第481条民法
仮差押中の債権につき別の債権者が差押をした場合当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済と民法第四八一条の適用の有無。
裁判要旨仮差押中の債権につき別の債権者が差押をした場合、当該債権につき取立命令を得た差押債権者に対する第三債務者の弁済については、民法
第四八一条〈差押えを受けた債権の第三債務者の弁済〉は適用されず、右弁済は仮差押債権者その他配当に与かるべき者全員に対してもその効力を有するものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年7月20日 昭和38(オ)555
- 登載
- 集民 第79号905頁
- 参照法条
- 民法481条,民訴法602条,民訴法621条,民訴法750条3項
論点34第481条民法
債権執行による差押えと物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合において双方の差押債権者に対し二重に弁済をした第三債務者の不当利得返還請求権
裁判要旨同一の債権につき、甲の強制執行による差押えと乙の物上代位権の行使としての差押えとが競合した場合に、甲乙に対し二重に弁済をした第三債務者は、甲に対し不当利得として右弁済金の返還を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成5(オ)1612
- 登載
- 集民 第181号313頁
- 参照法条
- 民法481条,民法703条,民事執行法145条,民事執行法155条1項,民事執行法193条
論点35第481条民法
第三債務者が差押債務者に対する弁済後に差押債権者に対してした更なる弁済は,差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるか
裁判要旨債権差押命令の送達を受けた第三債務者が,差押債権につき差押債務者に対して弁済をし,差押債権者に対して更に弁済をした後,差押債務者が破産手続開始の決定を受けた場合,後者の弁済は,破産法162条1項の規定による否認権行使の対象とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 平成28(受)1797
- 登載
- 集民 第257号29頁
- 参照法条
- 破産法162条1項,民法481条1項
論点36第481条民法
第三債務者が仮差押命令の送達を受けた時点で仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し先日付振込みの依頼をしていた場合において上記送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することの可否
裁判要旨債権者甲が債務者乙の第三債務者丙に対する金銭債権の仮差押えをした場合において,丙が,仮差押命令の送達を受けた時点で,既に当該仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し他の金融機関の乙名義の預金口座に先日付振込みの依頼をしていたとしても,その振込入金が未了であったときは,丙は,人的又は時間的余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がない限り,上記送達後にされた振込みによる弁済を甲に対抗することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年7月20日 平成16(受)226
- 登載
- 民集 第60巻6号2475頁
- 参照法条
- 民法481条1項,民事保全法50条1項,民事保全法50条5項,民事執行法145条4項
論点37第481条民法
債権に対する仮差押えの執行後に本執行がされた場合において仮差押えが取り下げられたときの仮差押えの執行後本執行前にされた被差押債権の弁済の差押債権者に対する効力
裁判要旨債権に対する仮差押えの執行後に本執行がされた場合において,仮差押命令及びその執行の申立てが取り下げられたときは,第三債務者は,仮差押えの執行後本執行前にした被差押債権の弁済をもって差押債権者に対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成14年6月7日 平成13(受)1662
- 登載
- 集民 第206号413頁
- 参照法条
- 民法481条,民事保全法50条,民訴法262条1項
論点38第482条民法
債務者が代物弁済に供した不動産をその登記未了の間に第三者に譲渡したがその後代物弁済契約が遡つて失効した場合と債権者に対する不法行為責任の有無
裁判要旨債務者が、債権者に対し賃借権譲受代金債務の支払に代えて不動産を譲渡した後その登記未了の間に、これを第三者に二重に譲渡し登記を経由した場合であつても、右賃借権譲渡契約が解除されて右債務が遡つて消滅し、代物弁済契約による所有権移転の効果も遡つて失われたときは、債務者は債権者に対し、右不動産の所有権侵害による不法行為責任を負わない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年12月20日 昭和58(オ)706
- 登載
- 集民 第146号355頁
- 参照法条
- 民法176条,民法482条,民法545条,民法709条
論点39第482条民法
仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者と当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効の援用
裁判要旨仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者は、当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年11月26日 昭和57(オ)578
- 登載
- 民集 第39巻7号1701頁
- 参照法条
- 民法145条,民法369条,民法482条
論点40第482条民法
清算金の支払のないまま仮登記担保権者から目的不動産の所有権を取得した第三者の債務者に対する右不動産の明渡請求と債務者の留置権の抗弁
裁判要旨清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、右第三者からの右不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月31日 昭和55(オ)211
- 登載
- 民集 第37巻2号152頁
- 参照法条
- 民法295条,民法482条,仮登記担保契約に関する法律3条1項
論点41第482条民法
不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期
裁判要旨不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示がされたときは、これにより該不動産の所有権移転の効果が生ずる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年6月4日 昭和57(オ)111
- 登載
- 集民 第136号39頁
- 参照法条
- 民法176条,民法482条
論点42第482条民法
債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記と民法三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉
裁判要旨債権担保の目的でされた代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記のある不動産につき設定された短期賃借権には、民法
三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉の規定は類推適用されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年7月17日 昭和54(オ)225
- 登載
- 民集 第35巻5号950頁
- 参照法条
- 民法395条,民法482条
論点43第482条民法
仮登記担保関係において債権者が履行遅滞を理由に目的不動産につき予め交付を受けていた登記手続に必要な書類を利用して所有権移転登記を経由した場合と目的不動産の取戻
裁判要旨仮登記担保関係において、債権者が履行遅滞を理由に代物弁済予約の完結の意思表示をし、目的不動産につき予め交付を受けていた登記に必要な書類を利用して仮登記に基づく所有権移転登記を経由した場合でも、清算義務を負うときは、債務者は、清算金の提供を受けるまでは債務を弁済して目的不動産を取り戻すことができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月22日 昭和52(オ)1057
- 登載
- 集民 第126号139頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,不動産登記法2条,不動産登記法7条
論点44第482条民法
仮登記担保権の実行においていわゆる過剰競売禁止の趣旨が類推された事例
裁判要旨共同仮登記担保の目的物のうち債務者所有の一箇の物件のみで被担保債権全額の優先弁済を受けられるなど原判決判示の事情があるときは、民訴法六七五条、民法
一条三項〈基本原則〉の趣旨に従い、右物件以外の目的物について仮登記担保権を実行することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年9月22日 昭和52(オ)340
- 登載
- 集民 第121号261頁
- 参照法条
- 民法1条3項,民法369条,民法482条,民訴法675条,競売法32条
論点45第482条民法
いわゆる根仮登記担保権の極度額
裁判要旨一定の継続的取引から発生する不特定の債権を担保するためのいわゆる根仮登記担保権の極度額は、設定契約上、特段の定めがない場合には、目的不動産の適正な評価額をその額とした趣旨であると解すべきであり、このことは、特段の事情がない限り、根仮登記担保権が根抵当権と併用された場合でも異ならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月25日 昭和48(オ)403
- 登載
- 民集 第31巻2号320頁
- 参照法条
- 民法398条ノ2,民法482条,不動産登記法2条
論点46第482条民法
仮登記担保権者が担保権実行のため代物弁済予約を完結した当時担保不動産の価格が被担保債権額を超過していない場合における担保不動産の所有権の帰すう
裁判要旨仮登記担保権者が担保権実行のため代物弁済予約を完結した当時において担保不動産の価格が被担保債権額を超過していない場合は、担保権者は予約完結によつて担保不動産の所有権を取得する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年11月10日 昭和52(オ)567
- 登載
- 集民 第122号217頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,不動産登記法2条
論点47第482条民法
一、後順位仮登記担保権者の先順位仮登記担保権者に対する債務者のためにする弁済と法定代位
二、先順位仮登記担保権者に対する代位弁済により先順位仮登記担保権者の有する抵当権及び仮登記担保権を取得した後順位仮登記担保権者の右抵当権設定登記及び仮登記抹消登記手続請求の可否
裁判要旨一、同一不動産を目的とする後順位仮登記担保権者は、債務者のために先順位仮登記担保権者の被担保債権を弁済するにつき民法
五〇〇条〈第四百六十七条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用す…〉にいう「正当ノ利益」を有する。
二、先順位仮登記担保権者に対する代位弁済により先順位仮登記担保権者の有する抵当権及び仮登記担保権を取得した後順位仮登記担保権者は、自己の債権につき債務者に履行遅滞があつたことにより代物弁済予約完結の意思表示をし、又は停止条件が成就したときは、先順位仮登記担保権者に対し、右抵当権設定登記及び仮登記の抹消登記手続を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和51年3月19日 昭和50(オ)1125
- 登載
- 集民 第117号223頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,民法500条,民法501条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項
論点48第482条民法
仮登記担保の目的不動産につき後順位権利者がある場合と被担保債権以外の債権を自働債権とする清算金支払債務との相殺の許否
裁判要旨仮登記担保権者は、目的不動産につき後順位権利者があるときは、債務者に対する被担保債権以外の金銭債権をもつて自己の負担する清算金支払債務と相殺することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年9月9日 昭和45(オ)1156
- 登載
- 民集 第29巻8号1249頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,民法505条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条
論点49第482条民法
所有権移転予約形式の仮登記担保関係における予約完結権の行使と目的不動産の所有権の移転
裁判要旨所有権移転予約形式の仮登記担保権を有する債権者が債務者の履行遅滞を理由として予約完結権を行使した場合でも、債権者において清算金を支払う必要があり債務者においてその支払があるまで目的不動産についての本登記手続義務の履行を拒みうるときは、目的不動産の所有権は、右予約完結権の行使により直ちに債権者に移転するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年7月17日 昭和45(オ)310
- 登載
- 民集 第29巻6号1080頁
- 参照法条
- 民法176条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条1項
論点50第482条民法
代物弁済として不動産を譲渡した場合における民法一一〇条の正当の理由
裁判要旨債務者が代理人として本人の所有不動産を自己の債務の弁済に代え債権者に譲渡した場合において、民法
一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉にいわゆる第三者としての債権者が債務者に代理権があると信ずべき正当の理由の存否は、債務者がその所有権移転登記手続をした時又は右登記に必要な書類を債権者に交付してその義務の履行を終了した時に存在する諸般の事情を考慮して判断すべきものである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月24日 昭和50(オ)170
- 登載
- 集民 第115号99頁
- 参照法条
- 民法110条,民法482条
論点51第482条民法
いわゆる仮登記担保契約と民法九〇条
裁判要旨いわゆる仮登記担保契約は、被担保債権額と目的不動産の価額との間に著しい較差がある場合であつても、特段の事情のないかぎり、暴利行為として公序良俗に反するものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年4月10日 昭和48(オ)889
- 登載
- 集民 第114号497頁
- 参照法条
- 民法90条,民法482条,民法556条
論点52第482条民法
一、いわゆる仮登記担保者と仮登記に遅れて目的不動産を占有する第三者に対する右不動産の換価処分における損害賠償請求
二、目的不動産の換価処分前に被担保債権について弁済の提供を受けその受領を拒絶したいわゆる仮登記担保権者と仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対する明渡請求
裁判要旨一、いわゆる仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分前においては、自己が右不動産を使用収益することができる旨の約定がある等特段の事情のないかぎり、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対し、賃料相当の損害金の賠償を請求することができない。
二、いわゆる仮登記担保権者が、目的不動産の換価処分前に、被担保債権について適法な弁済の提供を受けその受領を拒絶しながら、換価手続の一環として、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対しその明渡を請求することは、許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年2月25日 昭和46(オ)653
- 登載
- 民集 第29巻2号112頁
- 参照法条
- 民法369条,民法413条,民法482条,民法492条,民法556条,民法709条,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項
論点53第482条民法
仮登記担保権者から清算未了のまま目的不動産の譲渡を受けた第三者が債務者の意思に基づかないで所有権移転登記を経由した場合と債務者の右登記抹消手続請求権
裁判要旨仮登記担保権者が目的不動産を自己の所有に帰属させるとの意思表示をしただけで清算をしないで仮登記のまま目的不動産を第三者に譲渡し、第三者が本登記を経た場合において、本登記が債務者の意思に基づかずにされたときは、債務者は第三者に対して右本登記の抹消手続を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和49(オ)1087
- 登載
- 集民 第116号675頁
- 参照法条
- 民法177条,民法369条,民法482条
論点54第482条民法
一、金銭債権担保のため不動産について代物弁済予約又は売買予約等の形式をとる契約が締結され所有権移転請求権保全等の仮登記がされた場合における右契約の性質及び内容
二、いわゆる仮登記担保権者が清算義務を負う相手方
三、いわゆる仮登記担保権と競売手続との関係
四、いわゆる仮登記担保権の目的不動産に対し競売手続が開始されている場合における仮登記担保権者の仮登記の本登記手続又はその承諾請求の許否
裁判要旨一、債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者との間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約又は売買予約により、債務の不履行があつたときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ、停止条件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をしたときは、その権利(いわゆる仮登記担保権)の内容は、当事者が別段の意思を表示し、かつ、それが諸般の事情に照らして合理的と認められる特別の場合を除いては、債務者に履行遅滞があつた場合に権利者が予約完結の意思を表示し、又は停止条件が成就したときは、権利者において目的不動産を処分する権能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された価額で確定的に自己の所有に帰せしめること又は相当の価格で第三者に売却等をすることによつて、これを換価処分し、その評価額又は売却代金等から自己の債権の弁済を得ることにあり、右評価額又は売却代金等の額が権利者の債権額を超えるときは、権利者は、右超過額を清算金として債務者に交付すべきものであると解するのが粗当である。
二、いわゆる仮登記担保権者が目的不動産の換価金につき清算義務を負うのは、債務者又は仮登記後に目的不動産の所有権を取得してその登記を経由した第三者に対してのみであつて、仮登記後に目的不動産を差し押えた債権者、これにつき抵当権の設定を受けた第三者等に対しては、仮登記担保権者は、直接の清算義務を負わない。
三、いわゆる仮登記担保権者は、民訴法六四八条四号又は競売法二七条四項四号に基づき、当該権利が仮登記担保権であること及び被担保債権とその金額を明らかにして競売裁判所に届け出る方法により、目的不動産の競売手続に参加して配当を受けることができる。
四、いわゆる仮登記担保権者がその権利の実行として訴訟により仮登記の本登記手続又はその承諾を請求する前に既に第三者の申立により目的不動産につき競売手続が開始されている場合には、右の請求をすることは、原則として許されない。
(二につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和49年10月23日 昭和46(オ)503
- 登載
- 民集 第28巻7号1473頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条,民訴法648条,競売法27条
論点55第482条民法
一、代物弁済予約形式の債権担保契約につき予約完結後清算前になされた債務弁済の効カ
二、代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と債務者の本登記手続義務ないし引渡義務との関係
裁判要旨一、債権担保のため債務者所有の不動産につき代物弁済予約形式の契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため予約完結権を行使した場合であつても、目的不動産の換価処分または評価清算前に債務の弁済があつたときは、債務者に対し、右仮登記の抹消登記手続をしなければならない。
二、代物弁済予約形式の債権担保契約においては、債権者は、予約完結後目的不動産を換価処分または評価清算して優先弁済をうるため、債務者に対し、その所有権移転登記ないし引渡を請求することができるが、右請求に対し、債務者が、右不動産の価額から債権額を控除した残額を清算金としてその支払と引換えに履行をなすべき旨を主張したときは、債権者の右請求は、原則として、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年1月26日 昭和43(オ)343
- 登載
- 民集 第27巻1号51頁
- 参照法条
- 民法482条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点56第482条民法
登記簿上後順位の債権者(抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者)であつたがすでにその登記につき他に附記登記による権利移転の登記を経由した者といわゆる仮登記担保権者による本登記承諾請求訴訟における引換給付の抗弁権提出の可否
裁判要旨登記簿上後順位の抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者であつた者でも、先順位の仮登記担保権者から不動産登記法一〇五条に基づく本登記手続承諾請求を受けた当時、すでに他にその登記につき附記登記による権利移転の登記を経由した者は、特段の事情のない限り、登記原因たる実体上の権利に基づき、仮登記担保権者に対して清算金を受けるべき地位にあることを主張することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年7月6日 昭和44(オ)486
- 登載
- 集民 第106号397頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点57第482条民法
代物弁済予約形式の債権担保契約と民法三七四条の準用の有無
裁判要旨代物弁済予約形式の債権担保契約を締結した債権者が、その担保目的を実現するにあたって、後順位債権者に優先して弁済を受けうる利息・損害金については、民法
三七四条〈抵当権の順位の変更〉の規定は準用されないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年10月26日 昭和46(オ)467
- 登載
- 民集 第26巻8号1465頁
- 参照法条
- 民法482条,民法374条
論点58第482条民法
債権担保のための清算型代物弁済予約について釈明権不行使の違法があるとされた事例
裁判要旨当事者が代物弁済予約の存在を前提に、その予約完結に基づく本登記義務の存否を争つている場合において、裁判所が審理の結果、右予約の実質は、債権担保のための清算型代物弁済予約であり、しかも、後順位抵当権が実行中であつて、右請求がそのまま認容しえないことが判明したときは、裁判所は、当事者に対し、その法律関係について釈明を求めるべきであり、これをしないで、右理由により直ちに原告の請求を排斥することは、釈明権の行使を誤つたものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年6月18日 昭和44(オ)431
- 登載
- 集民 第103号159頁
- 参照法条
- 民法482条,民訴法127条,民訴法186条
論点59第482条民法
一、数個の不動産上に代物弁済予約形式の債権担保契約を締結した場合の債権者の清算義務
二、代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と所有権移転請求権保全の仮登記、根抵当権設定登記、賃借権設定の仮登記を了している後順位債権者の地位
三、代物弁済予約形式の債権担保契約における債権者の清算義務と債務者の本登記手続義務ないし引渡義務との関係
裁判要旨一、数個の不動産上に代物弁済予約形式の債権担保契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため予約完結権を行使して担保目的の実現をはかるため同一訴訟手続で本登記手続を求めた場合に、債務者が清算金の支払と引換えに履行する旨の主張をしたときは、特段の事情のないかぎり、各不動産の価額に準じて債権者の有する債権額を按分したうえで、債務者への清算金の額を算定して、その清算金の支払と引換えに右請求を認容すべきである。
二、代物弁済予約形式の債権担保契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者が、担保目的実現の手段として、後順位債権者に対し本登記手続承諾の請求をしたときは、後順位債権者は、清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨の主張をなしうるが、その場合、後順位債権者が、根抵当権設定登記とともに所有権移転請求権保全の仮登記および賃借権設定の仮登記をも有するとしても、その各仮登記が、根抵当権の設定と併用してなされた同一債権担保の目的を有する債権担保契約に基づく仮登記にすぎないときは、右各仮登記は、右引換履行の主張をするにあたつては、根抵当権設定登記と一体として取扱われるべきものである。
三、貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき代物弁済予約形式の契約を締結し、これを原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないため、予約完結権を行使した場合において、目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによつて具体化する右物件の価額から、自己の債権額および優先弁済を受くべき後順位債権者の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのであつて、この担保目的実現の手段として債務者に対し右物件につき本登記手続ないしその引渡を求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、債権者が第三者への換価処分による売却代金を取得したのちに清算金を支払えば足りると認められる客観的な合理的理由がある場合を除き、債権者の右請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年9月24日 昭和43(オ)371
- 登載
- 民集 第24巻10号1450頁
- 参照法条
- 民法482条,民法392条1項,不動産登記法1条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点60第482条民法
代物弁済形式の担保権の実行に伴う法律関係につき民法三八八条の類推適用による法定地上権の成立が認められなかつた事例
裁判要旨土地に対する抵当権の設定当時において地上に建物が存在しなかつた場合には、右抵当権と同一債権の担保を目的として重ねて右土地につき停止条件付代物弁済契約が結ばれた当時には地上に債務者所有の建物が存在したときでも、右代物弁済契約の条件成就後の法律関係につき、民法
三八八条〈法定地上権〉の類推適用による法定地上権の成立を認めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和41(オ)647
- 登載
- 民集 第24巻7号982頁
- 参照法条
- 民法388条,民法482条
論点61第482条民法
不動産を買い受けた者が抵当権および停止条件付代物弁済契約上の権利を有するものとして抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合と第三者
裁判要旨甲が、乙からその所有不動産を買い受けたものであるにもかかわらず、乙に対する貸金を被担保債権とする抵当権と、右貸金を弁済期に弁済しないことを停止条件とする代物弁済契約上の権利とを有するものとして、抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合において、丙が乙から右不動産を買い受けて所有権取得登記を経由したときは、丙が善意無過失であるかぎり、甲は、丙に対し、自己の経由した登記が実体上の権利関係と相違し、自己が仮登記を経由した所有権者であると主張することはできないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年11月19日 昭和43(オ)732
- 登載
- 民集 第24巻12号1916頁
- 参照法条
- 民法94条2項,民法369条,民法482条,不動産登記法2条2号
論点62第482条民法
一、代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている不動産の所有権が第三者に移転したときと予約完結権行使の相手方
二、債権担保のため同一不動産に代物弁済の予約とともに設定された抵当権が転抵当に供されている場合と予約完結権行使の許否
裁判要旨一、不動産に関する代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている場合においては、該不動産の所有権が第三者に移転したときであつても、代物弁済予約権者は、予約の相手方に対して予約完結の意思表示をすべきである。
二、貸金債権担保のため同一不動産につき代物弁済の予約とともに抵当権の設定があり、その抵当権が転抵当に供されている場合において、転抵当権の被担保債権額が原抵当権の被担保債権額以上であるときは、右代物弁済の予約が清算を要しないものでないかぎり、代物弁済予約権者は、予約完結権を行使することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年10月16日 昭和43(オ)489
- 登載
- 民集 第23巻10号1759頁
- 参照法条
- 民法482条,民法556条1項,民法369条,民法375条1項,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条1項
論点63第482条民法
代物弁済に関する合意が停止条件付代物弁済契約でなく代物弁済の予約と解された事例
裁判要旨貸金債務を負担するに際し、抵当権を設定するとともに、またはこれに付加して代物弁済に関する契約を締結した場合において、右貸金債務について利息の約定のほかに、右利息の不支払を条件として期限の利益を失い、爾後約定利率に従つた遅延損害金を支払う旨の約定が存在するときは、右代物弁済に関する合意は停止条件付代物弁済契約ではなく、債権者において期限の到来後予約完結権の行使を必要とする代物弁済の予約と解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和42(オ)1423
- 登載
- 集民 第93号967頁
- 参照法条
- 民法482条,民法369条,民法420条
論点64第482条民法
一、債権者の代物弁済予約完結の行為が破産法第七二条第二号により否認されうる場合
二、右予約完結に際し代物弁済予約による所有権移転請求権保全の仮登記が存する場合およびその後右仮登記が権利放棄を理由に債権者により抹消された場合と破産法第七二条第二号による否認
裁判要旨一、債務の弁済期が未到来のため債権者が代物弁済一方の予約に基づく予約完結権を行使できない間に、債権者および債務者が債務者に対し破産の申立がされたことを知つて、両者が相通じ、債務者は期限の利−益を放棄して予約完結権の行使を誘致し、債権者は債務者に対し一方的予約完結の意思表示をし代物弁済の効力を生ぜしめた場合には、債権者の右予約完結の行為は破産法第七二条第二号により否認することができる。
二、右の場合において、債権者の代物弁済の予約による所有権移転請求権保全の仮登記がされているときは、特別の事情のないかぎり、破産管財人は、債権者の右行為を破産法第七二条第二号により否認することはできないが、右仮登記が、その後、権利放棄を理由に債権者により抹消されて右仮登記に基づく本登記がありえなくなつた場合には、債権者の右行為の当時に右仮登記が存したことをもつて否認権の行使をさまたげられるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和40(オ)1107
- 登載
- 民集 第22巻12号2629頁
- 参照法条
- 破産法72条2号,民法482条,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項
論点65第482条民法
譲渡担保契約において目的物の所有権が債務者に復帰する時期を債務完済の時と異なる時期と約定することの可否
裁判要旨譲渡担保契約において目的の所有権が債務者に復帰する時期を債務完済の時と異なる時期と約定することは差し支えない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和41年1月14日 昭和40(オ)211
- 登載
- 集民 第82号25頁
- 参照法条
- 民法176条,民法482条
論点66第482条民法
代物弁済の予約成立の要件
裁判要旨代物弁済の予約が成立するためには、代物弁済によつて消滅すべき債権の数額が当初より一定していることを要しないが、少くとも一定しうべき基礎が定められていることを要する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月6日 昭和39(オ)255
- 登載
- 集民 第85号531頁
- 参照法条
- 民法482条,民法556条
論点67第482条民法
約束手形の交付により既存債務を消滅させる合意の成立を認めることが経験則に違反するとされた事例
裁判要旨既存債務のため手形を交付する場合、右手形の交付は弁済の方法としてなされたものと推認すべく、現実の弁済を得た事実の認められない以上は、特段の事情のない限り、既存の債務を終了せしめる効果を伴うものではない。原審の確定した事実関係(判決理由参照)の下では、原判決認定の合意(本件手形の交付により、上告人に対する被上告人の本件約定債務を終了させる旨の合意)の成立を認めるに足る特段の事情があるとは解せられない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年11月24日 昭和38(オ)912
- 登載
- 集民 第85号269頁
- 参照法条
- 民法493条,民法482条,民法513条
論点68第482条民法
不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期。
裁判要旨不動産を目的とする代物弁済の予約完結の意思表示がなされたときは、これにより、該不動産の所有権移転の効果が生ずるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年3月11日 昭和39(オ)919
- 登載
- 集民 第78号259頁
- 参照法条
- 民法482条,民法176条
論点69第482条民法
債権担保の機能を営む代物弁済の予約において一部弁済があつた場合と予約完結権の行使
裁判要旨債権担保の機能を営む代物弁済の予約において、一部弁済があつた場合でも、反対の特約もしくは権利の濫用と認められるような特段の事情がないかぎり、予約完結権の行使を妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月17日 昭和39(オ)254
- 登載
- 集民 第81号589頁
- 参照法条
- 民法482条,民法556条
論点70第482条民法
一 訴状の送達の時に代物弁済の予約完結権の行使があつたものと認められた事例
二 被担保債務の一部の内入弁済と代物弁済の予約完結権
裁判要旨一 訴状において停止条件附代物弁済契約の条件成就による所有権取得の効果の主張のみが記載されている場合においても、原告がその後の弁論において、代物弁済の予約の主張を追加してその予約の完結権行使が訴状の送達をもつてされた旨主張したときには、その訴状送達の時に右予約完結権の行使があつたものと認めることができる。
二 貸金担保のための代物弁済の予約において、被担保債務に対し一割に満たない一部の内入弁済があつても、特別の事情のないかぎり、その予約完結権は消滅しないものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月20日 昭和36(オ)708
- 登載
- 集民 第72号215頁
- 参照法条
- 民法482条(556条),民訴法229条1項
論点71第482条民法
建物を目的とする代物弁済予約の効力が及ぶ範囲を判断するにつき審理不尽理由不備の違法があるとされた事例。
裁判要旨建物を目的とする代物弁済予約の効力が、右予約後右建物に加えられた築造部分に及ぶかどうかを判断するにつき、建物の物理的構造のみに依拠し、取引または利用の対象として観察した建物の状況を勘案しなかつたのは、審理不尽理由不備の違法がある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年1月30日 昭和35(オ)856
- 登載
- 民集 第18巻1号196頁
- 参照法条
- 民法482条,民法370条,民訴法395条6号
論点72第482条民法
一 停止条件付代物弁材契約が公序良俗に違反しないとされた事例
二 同一審級における裁判官の過半数の更迭と民訴法第一八七条第三項後段の適用の有無
裁判要旨適用なし。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年12月21日 昭和37(オ)616
- 登載
- 集民 第63号831頁
- 参照法条
- 民法90条,民法482条,民訴法187条
論点73第482条民法
一 証拠方法を放棄したものと認むべき一事例
二 代物弁済の予約が公序良俗に反すると認められる一事例
裁判要旨一 証拠申請につき許否を決定しないで口頭弁論を終結した場合、当事者が異議を述べないときは、その証拠方法を放棄したものと認むべきである。
二 代物弁済の予約につき、後記事由(第二審判決理由参照)があるときは、公序良俗に反し無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年11月20日 昭和24(オ)138
- 登載
- 民集 第6巻10号1015頁
- 参照法条
- 民訴法258条,民法482条,民法90条
論点74第482条民法
一 手形の授受と既存債務の担保の推定。
二 既存債務の担保の手形と請求順序。
三 既存債務の担保の手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つた場合と既存債務の行使。
裁判要旨一 手形が既存債務の支払確保のため振り出された場合、当事者間に別段の意思表示がなく、且つ、債務者自身が手形上の唯一の義務者であるときは、右手形の授受は、既存債務の担保のためになされたものと推定するのが相当である。
二 手形が既存債務の担保のため授受せられた場合には、債権者は、既存の債権と手形上の権利とのいずれをも任意に選択して行使することができる。
三 手形が既存の貸金債務の担保のため授受せられた場合、その手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つたため、手形上の権利の行使ができなくなつても、既存の貸金債権を行使することは妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和23年10月14日 昭和23(オ)12
- 登載
- 民集 第2巻11号376頁
- 参照法条
- 民法482条,手形法9条,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)2条1項3号,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)9条1項
論点75第483条民法
家屋の明渡について現実の提供をしたものとは認めがたいとした事例。
裁判要旨本件家屋の主たる倉庫を空け、電話機を取り外して出入口を閉鎖して施錠し、その鍵および右電話機を家主の代理人に交付した事実があつても右倉庫の附属建物であるその管理室ともいうべき建物に居住占拠の状態が残つている以上、いまだ本件家屋の明渡について、現実の提供をしたものとは認めがたいと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年6月1日 昭和37(オ)101
- 登載
- 集民 第79号265頁
- 参照法条
- 民法415条,民法483条
論点76第484条民法
取立払の定めのある賃料を債権者が取立に赴かなくてもその不払を理由とする賃貸借契約の解除が許されるとされた事例
裁判要旨六箇月ごとの取立払の定めのある賃料につき、賃貸人が再三賃借人方に取立に赴きまた督促のため電話したのに対し、賃借人がその事実を知りながら支払の意思を示す態度がなかつたなどの判示の事実関係のもとにおいて、賃貸人が一年七箇月分の賃料を持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人方に取立に赴かなかつたとしても、賃借人が弁済の準備をしその旨を賃貸人に通知して取立を促す等信義則上の措置に出ないで催告期間を徒過したときは、賃貸人は、右催告にかかる賃料の不払を理由に、賃貸借契約を解除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年1月20日 昭和46(オ)882
- 登載
- 集民 第105号7頁
- 参照法条
- 民法484条,民法493条,民法541条,民法601条,民法1条2項
論点77第484条民法
取立払の定のある債務について債権者が取立に赴かなくても解除権の行使が許されるとされた事例
裁判要旨取立払の定のある賃料について、増額請求を受けた賃借人が、賃貸人の一箇月分の賃料の取立にさいしてその全額の支払を拒絶し、その後引続き適正額の賃料の支払をも拒絶する態度を示している等判示事実関係のもとにおいては、賃貸人が客観的に適正とされる額によつて五年分の賃料を自己の住所へ持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人の住所に取立のため赴かなかつたとしても、賃借人が弁済の準備をしその旨を賃貸人に通知して取立を促がす等の措置に出ないで催告期間を徒過したときには、賃貸人は、賃貸借契約を解除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年8月2日 昭和42(オ)1066
- 登載
- 集民 第92号55頁
- 参照法条
- 民法484条,民法493条,民法541条,民法601条,民法1条2項
論点78第484条民法
一 売買代金支払のため振り出された小切手の呈示期間経過後に支払銀行に対してなされた小切手金の払込と弁済の効力
二 判決の基本たる口頭弁論に臨席しない裁判官の判決関与と不服申立なき部分の破棄
裁判要旨一 売買当事者間に特段の契約があるか又は特段の慣習が存在しないかぎり、売買代金支払のため振り出された小切手の呈示期間経過後に買主が自己の取引銀行(支払銀行)の口座に小切手資金の払込をしただけでは、代金支払の効果を発生しない。
二 判決の基本たる口頭弁論に臨席しない判事が関与した判決の一部につき上告のなされた場合、上告裁判所は、不服申立のない部分についても破棄すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和25年9月15日 昭和24(オ)33
- 登載
- 民集 第4巻9号395頁
- 参照法条
- 民法484条,民訴法187条1項,民訴法395条1項1号,民訴法396条,民訴法385条
論点79第486条民法
家賃領収書交付債務の不履行と家賃支払債務の履行の拒絶の可否。
裁判要旨家賃の支払いとその受取証書の交付とは同時履行の関係にあると解すべきであるが、借家人が受取証書の交付を受けないで異議なく家賃の支払いをした場合には、さきに支払つた家賃について受取証書の交付のないことを理由として、その後の家賃の支払いを拒絶することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年10月8日 昭和38(オ)679
- 登載
- 集民 第75号635頁
- 参照法条
- 民法486条,民法533条
論点80第488条民法
不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合と弁済充当の方法
裁判要旨不動産競売手続における配当金が同一担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合には、弁済充当の指定に関する特約があつても、その配当金は、民法
四八九条〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉ないし
四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従つて右数個の債権に充当される。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和62年12月18日 昭和62(オ)893
- 登載
- 民集 第41巻8号1592頁
- 参照法条
- 民法488条,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条,民事執行法188条
論点81第488条民法
債権者債務者間の弁済充当の合意と連帯保証人の免責との関係。
裁判要旨債権者と債務者間との間に数口の債務がある場合に債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは両者間の契約により定めうるところであり、これにより弁済充当のなされなかつた債務の連帯保証人が免責を受けないことになつてもやむを得ない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年11月1日 昭和36(オ)1357
- 登載
- 集民 第62号13頁
- 参照法条
- 民法488条,民法489条
論点82第488条民法
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときの充当関係
裁判要旨元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成26年7月29日 平成25(受)78
- 登載
- 集民 第247号127頁
- 参照法条
- 民法488条
論点83第488条民法
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときの充当関係
裁判要旨元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定の毎月の返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成26年7月24日 平成24(受)2832
- 登載
- 集民 第247号113頁
- 参照法条
- 民法488条
論点84第488条民法
継続的な金銭消費貸借取引に係る基本契約が過払金充当合意を含む場合における,過払金について発生した民法704条前段所定の利息を新たな借入金債務に充当することの可否及びその充当方法
裁判要旨継続的な金銭消費貸借取引に係る基本契約が過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む場合には,別段の合意があると評価できるような特段の事情がない限り,まず過払金について発生した民法704条前段所定の利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過払金を新たな借入金債務の残額に充当すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成25年4月11日 平成22(受)1983
- 登載
- 集民 第243号303頁
- 参照法条
- 民法488条,704条前段,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項
論点85第488条民法
無担保のリボルビング方式の金銭消費貸借に係る基本契約に基づく取引により発生した過払金を不動産に担保権を設定した上で締結された確定金額に係る金銭消費貸借契約に基づく借入金債務に充当する旨の合意が存在すると解することの可否
裁判要旨同一の貸主と借主との間で無担保のリボルビング方式の金銭消費貸借に係る基本契約に基づく取引が続けられた後,改めて不動産に担保権を設定した上で確定金額に係る金銭消費貸借契約が締結された場合において,第2の契約に基づく借入金の一部が第1の契約に基づく約定残債務の弁済に充てられ,借主にはその残額のみが現実に交付されたこと,第1の契約に基づく取引は長期にわたって継続しており,第2の契約が締結された時点では当事者間に他に債務を生じさせる契約がないことなどの事情があっても,当事者が第1の契約及び第2の契約に基づく各取引が事実上1個の連続した貸付取引であることを前提に取引をしていると認められる特段の事情がない限り,第1の契約に基づく取引により発生した過払金を第2の契約に基づく借入金債務に充当する旨の合意が存在すると解することはできない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成24年9月11日 平成23(受)122
- 登載
- 民集 第66巻9号3227頁
- 参照法条
- 民法488条,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項
論点86第488条民法
金銭消費貸借に係る基本契約が順次締結され,これらに基づく金銭の借入れと弁済が繰り返された場合において,各基本契約に当初の契約期間の経過後も当事者からの申出がない限り当該契約を2年間継続し,その後も同様とする旨の定めが置かれていることから,先に締結された基本契約に基づく取引により発生した各過払金をその後に締結された基本契約に基づく取引に係る各借入金債務に充当する旨の合意が存在するとした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨金銭消費貸借に係る基本契約が順次締結され,これらに基づく金銭の借入れと弁済が繰り返された場合において,先に締結された基本契約に基づく最終の弁済からその後に締結された基本契約に基づく最初の貸付けまでの間に,約1年6か月ないし約2年4か月の期間があるにもかかわらず,これらの期間を考慮することなく,各基本契約に当初の契約期間の経過後も当事者からの申出がない限り当該契約を2年間継続し,その後も同様とする旨の定めが置かれていることから,先に締結された基本契約に基づく取引により発生した各過払金をその後に締結された基本契約に基づく取引に係る各借入金債務に充当する旨の合意が存在するとした原審の判断には,違法がある。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成23年7月14日 平成23(受)332
- 登載
- 集民 第237号263頁
- 参照法条
- 民法488条,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項
論点87第488条民法
市が,職員の福利厚生のための事業を委託している社団法人に支払った補給金のうち退職した職員に対する退会給付金等の給付に充てられた部分につき,同法人に対し不当利得金の返還請求権を有していた場合において,同法人から退会給付金制度の廃止により不要となった補給金を清算する趣旨で支払われた金員を上記不当利得金の返還債務に充当する旨の市と同法人との間の合意により,上記不当利得金の返還請求権が消滅するとされた事例
裁判要旨市が,職員の福利厚生のための事業を委託している社団法人に支払った補給金のうち退職した職員に対する退会給付金等の給付に充てられた部分につき,同法人に対し不当利得金の返還請求権を有していた場合において,同法人から退会給付金制度の廃止により不要となった補給金を清算する趣旨で支払われた金員を上記不当利得金の返還債務に充当する旨の市と同法人との間の合意が,債権の放棄を内容とするものとして議会の議決を要するとはいえず,公序良俗に反するともいえないなど判示の事情の下では,上記合意により上記不当利得金の返還請求権は消滅する。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成22年3月25日 平成21(行ヒ)42
- 登載
- 集民 第233号295頁
- 参照法条
- 民法488条,地方自治法242条の2第1項4号
論点88第488条民法
複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた債権者が,特約に基づく充当指定権を行使することが許されないとされた事例
裁判要旨複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた債権者が,上記弁済を受けてから1年以上が経過した時期に初めて,債権者において任意の時期に弁済充当の指定ができる旨の特約に基づく充当指定権を行使する旨を主張するに至ったなど判示の事実関係の下においては,上記充当指定権の行使は,法的安定性を著しく害するものとして許されない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成22年3月16日 平成20(受)1459
- 登載
- 集民 第233号205頁
- 参照法条
- 民法488条
論点89第488条民法
1 第1の基本契約に基づく継続的な金銭の貸付けに対する利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金を,その後に締結された第2の基本契約に基づく継続的な金銭の貸付けに係る債務に充当することの可否
2 第1の基本契約に基づく継続的な金銭の貸付けに対する利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金を,その後に締結された第2の基本契約に基づく継続的な金銭の貸付けに係る債務に充当する旨の合意が存在すると解すべき場合
裁判要旨1 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法
1条1項〈基本原則〉所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されない。
2 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法
1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合において,下記の事情を考慮して,第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができるときには,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を第2の基本契約に基づく取引により生じた新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するものと解するのが相当である。
記
第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間,第1の基本契約についての契約書の返還の有無,借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無,第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成20年1月18日 平成18(受)2268
- 登載
- 民集 第62巻1号28頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法488条,利息制限法1条1項
論点90第488条民法
同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずに切替え及び貸増しとしてされた多数回の貸付けに係る金銭消費貸借契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例
裁判要旨同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付けが,1度の貸付けを除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており,その1度の貸付けも,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであり,上記各貸付けは1個の連続した貸付取引と解すべきものであるという判示の事情の下においては,各貸付けに係る金銭消費貸借契約は,各貸付けに基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年7月19日 平成18(受)1534
- 登載
- 民集 第61巻5号2175頁
- 参照法条
- 民法488条,利息制限法1条1項
論点91第488条民法
カードの利用による継続的な金銭の貸付けを予定した基本契約が同契約に基づく借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には弁済当時他の借入金債務が存在しなければこれをその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例
裁判要旨同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており,同契約には,毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算するなどの条項があって,これに基づく債務の弁済が借入金の全体に対して行われるものと解されるという事情の下においては,上記基本契約は,同契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年6月7日 平成18(受)1887
- 登載
- 民集 第61巻4号1537頁
- 参照法条
- 民法488条,利息制限法1条1項
論点92第488条民法
1 貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合に第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しその後第2の貸付けに係る債務が発生したときにおける第1の貸付けに係る過払金の同債務への充当の可否
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項〈基本原則〉所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において悪意の受益者が付すべき民法704条〈悪意の受益者の返還義務等〉前段所定の利息の利率
裁判要旨1 貸主と借主との間で継続的に貸付けが繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し,その後,第2の貸付けに係る債務が発生したときには,特段の事情のない限り,第1の貸付けに係る過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されない。
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法
1条1項〈基本原則〉所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成19年2月13日 平成18(受)1187
- 登載
- 民集 第61巻1号182頁
- 参照法条
- (1,2につき)利息制限法1条1項 (1につき)民法488条 (2につき)民法404条,民法704条,商法514条
論点93第488条民法
1 信用保証会社の受ける保証料及び事務手数料が貸金業者の受ける利息制限法3条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定のみなし利息に当たるとされた事例
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払ったことによって生じた過払金と他の借入金債務への充当
裁判要旨1 貸金業者甲の受ける利息,調査料及び取立料と甲が100%出資して設立した子会社である信用保証会社乙の受ける保証料及び事務手数料との合計額が利息制限法所定の制限利率により計算した利息の額を超えていること,乙の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,乙の受ける保証料等の割合と甲の受ける利息等の割合との合計は乙を設立する以前に甲が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であったこと,乙は甲の貸付けに限って保証しており,甲から手形貸付けを受ける場合には乙の保証を付けることが条件とされていること,乙は,保証委託契約の締結業務及び保証料の徴収業務を甲に委託しており,信用調査業務についても甲が主体となって行い,債権回収業務も甲が相当程度代行していたことなど判示の事実関係の下においては,乙の受ける保証料等は,甲の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たる。
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法
489条〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉及び
491条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成15年9月16日 平成14(受)622
- 登載
- 集民 第210号729頁
- 参照法条
- 利息制限法1条1項,利息制限法2条,利息制限法3条,民法136条2項,民法488条,民法489条,民法491条
論点94第488条民法
1 信用保証会社の受ける保証料及び事務手数料が貸金業者の受ける利息制限法3条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定のみなし利息に当たるとされた事例
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払ったことによって生じた過払金と他の借入金債務への充当
裁判要旨1 貸金業者甲の受ける利息,調査料及び取立料と甲が100%出資して設立した子会社である信用保証会社乙の受ける保証料及び事務手数料との合計額が利息制限法所定の制限利率により計算した利息の額を超えていること,乙の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,乙の受ける保証料等の割合と甲の受ける利息等の割合との合計は乙を設立する以前に甲が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であったこと,乙は甲の貸付けに限って保証しており,甲から手形貸付けを受ける場合には乙の保証を付けることが条件とされていること,乙は,保証委託契約の締結業務及び保証料の徴収業務を甲に委託しており,信用保証契約の締結に際しても独自の審査を行っておらず,甲が債権回収のための訴えの提起を行っていたことなど判示の事実関係の下においては,乙の受ける保証料等は,甲の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たる。
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法
489条〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉及び
491条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務の利息及び元本に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成15年9月11日 平成12(受)1000
- 登載
- 集民 第210号617頁
- 参照法条
- 利息制限法1条1項,利息制限法2条,利息制限法3条,民法136条2項,民法488条,民法489条,民法491条
論点95第488条民法
1 信用保証会社の受ける保証料及び事務手数料が貸金業者の受ける利息制限法3条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定のみなし利息に当たるとされた事例
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払ったことによって生じた過払金と他の借入金債務への充当
裁判要旨1 貸金業者甲の受ける利息,調査料及び取立料と甲が100%出資して設立した子会社である信用保証会社乙の受ける保証料及び事務手数料との合計額が利息制限法所定の制限利率により計算した利息の額を超えていること,乙の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,乙の受ける保証料等の割合と甲の受ける利息等の割合との合計は乙を設立する以前に甲が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であったこと,乙は甲の貸付けに限って保証しており,甲から手形貸付けを受ける場合には乙の保証を付けることが条件とされていること,乙は,甲に対し,保証委託契約の締結業務,保証料の徴収業務,信用調査業務及び保証の可否の決定業務の委託等をしており,債権回収業務も甲が相当程度代行していたことなど判示の事実関係の下においては,乙の受ける保証料等は,甲の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たる。
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法
489条〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉及び
491条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年7月18日 平成13(受)1032
- 登載
- 民集 第57巻7号895頁
- 参照法条
- 利息制限法1条1項,利息制限法2条,利息制限法3条,民法136条2項,民法488条,民法489条,民法491条
論点96第488条民法
複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税を差押えに係る地方税とする滞納処分において当該差押えに係る地方税に配当された金銭であってその後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものの帰すう
裁判要旨複数年度分の普通徴収に係る個人の住民税(市町村民税及び道府県民税)を差押えに係る地方税とする滞納処分において,当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって,その後に減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の住民税に充当されていたものは,その配当時において当該差押えに係る地方税のうち他の年度分の住民税が存在する場合には,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)
489条〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉の規定に従って当該住民税に充当される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和3年6月22日 令和2(行ヒ)337
- 登載
- 民集 第75巻7号3124頁
- 参照法条
- 地方税法17条,地方税法331条6項,国税徴収法(平成26年法律第10号による改正前のもの)129条1項1号,国税徴収法(平成30年法律第7号による改正前のもの)129条1項1号,民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)489条,民法488条4項
論点97第489条民法
自働債権又は受働債権として数個の元本債権があるにもかかわらず当事者が相殺の順序の指定をしなかつた場合における相殺充当の方法
裁判要旨自働債権又は受働債権として複数の元本債権を含む数個の債権があり、当事者のいずれもが右元本債権につき相殺の順序の指定をしなかつた場合には、まず元本債権相互間で相殺に供しうる状態となつた時期の順に従つて相殺の順序を定めたうえ、その時期を同じくする元本債権相互間及び元本債権とこれについての利息、費用債権との間で民法四八九条、四九一条の規定の準用により相殺充当を行うべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年7月2日 昭和55(オ)396
- 登載
- 民集 第35巻5号881頁
- 参照法条
- 民法489条,民法491条,民法512条
論点98第489条民法
数個の債務につき元本のほか費用、利息を支払うべき場合の弁済充当の順序
裁判要旨数個の債務について元本のほかに費用、利息を支払うべき場合において、その債務の全部を消滅させるに足りない給付をしたときは、数個の債務についての費用、利息は、各債務の元本より先に充当されるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和46年3月30日 昭和45(オ)322
- 登載
- 集民 第102号387頁
- 参照法条
- 民法489条,民法491条
論点99第489条民法
一 準消費貸借契約と利息制限法
二 制限超過部分の充当の順序。
裁判要旨一 準消費貸借契約にも利息制限法の適用がある。
二 制限を超過して任意に支払われた利息部分は、先ず弁済期までの全制限利息に充当さるべく、残余ある場合初めて元本に充当される。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年6月24日 昭和39(オ)1347
- 登載
- 集民 第79号503頁
- 参照法条
- 民法588条,民法489条,利息制限法1条1項
論点100第489条民法
一 民法第四八九条第二号〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉にいわゆる「債務者ノ為メニ弁済ノ利益多キモノ」を定める標準
二 弁済に充当せらるべき順序
裁判要旨一 民法
第四八九条第二号〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉にいわゆる「債務者ノ為メニ弁済ノ利益多キモノ」を定めるにあたつては、甲債務は利息附であり、乙債務は新造船と網とが担保となつていることを確定しただけでは足らず、なお担保契約の内容等諸般の事情を考慮しなければならない。
二 右の場合において仮に乙債務が債務者のために弁済の利益が多いとしても、なお弁済の充当は先ず甲債務の利息につきなされなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年7月16日 昭和27(オ)700
- 登載
- 民集 第8巻7号1350頁
- 参照法条
- 民法489条,民法491条
論点101第489条民法
一 罰金の寡額が刑法第一五条〈補助開始の審判〉によつて定められている場合においては罰金の寡額の引上は罰金等臨時措置法第二条第一項〈解釈の基準〉によるのか
二 検察官が供述調書を作成する際にこれを供述者に読み聞けなかつた場合における供述調書の証拠能力
三 公法関係において債務の一部弁済があつた場合民法第四八九条を適用するのは相当か
四 民法第四八九条第二号〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉の弁済の利益中には刑事上の責任の有無を含むか
五 前任者が控除した失業保険料を所定期日までに納付しなかつた者について失業保険法第五三条第三号の罪が成立するか
六 自ら保険料を控除した者であつても所定の納付期日にはその地位を去つた者について失業保険法第五三条第三号の罪が成立するか
七 失業保険法第三四条〈法人の能力〉(改正前のもの)、同法施行令第一〇条にいわゆる翌月末日の意義
八 失業保険法第五五条の規定により法人が責任を負う場合において行為者が異るときは公訴事実も異なるか
裁判要旨一 特別法であつても、罰金の寡額が刑法第一五条によつて定められる場合には、その寡額の引上は、罰金等臨時措置法第四条によるのではなく、同法第二条第一項の規定によるものである。
二 検察官が供述調書を作成する際にこれを供述者に読み聞けなかつたとしても、その一事のみによつて供述調書がただちに証拠能力を失うことにはならない。
三 債務の一部弁済があつた場合に特段の規定または合意のないかぎりは、公法関係においても民法第四八九条の規定に従うものと解するのが相当である。
四 民法
第四八九条第二号〈元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当〉の弁済の利益は、財産上の利益を指称し、刑事上の責任の有無を含まない。
五 失業保険法第五三条第三号は、自ら保険料を控除した者が、これを所定期日までに納付しなかつた場合はもとより、その前任者が控除したことを知りながら、所定期日までに納付しなかつた者をも処罰するものと解すべきである。
六 自ら失業保険料を控除した者であつても、所定の納付期日にはこれを納付すべき地位を去つた者については、失業保険法第五三条第三号の罪は成立しない。
七 失業保険法
第三四条〈法人の能力〉(改正前のもの)、同法施行令第一〇条にいわゆる翌月末日とは、それが前月の遅延分であつても、実際に失業保険料を控除した日から起算して翌月末日と解すべきである。
八 失業保険法第五五条の規定により会社が従業者等の違反行為につき責任を負うべき場合において、責任を負うべき従業者等が異る場合においては、会社についても公訴事実を異にするものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年1月27日 昭和25(あ)3098
- 登載
- 刑集 第7巻1号64頁
- 参照法条
- 罰金等臨時措置法2条1項,罰金等臨時措置法4条,刑訴法198条4項,刑訴法223条,刑訴法312条,刑訴法256条,民法489条,失業保険法53条,失業保険法34条(改正前のもの),失業保険法55条,失業保険法施行令10条
論点102第489条民法
一 債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合における被担保債権への充当方法
二 債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合において同一の目的を有する複数の被担保債権があるときの案分の基礎となる被担保債権額の算出方法
裁判要旨一 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りない場合においては、配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に被担保債権額に応じて案分した上、右案分額を民法四八九条ないし
四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉の規定に従って各債務者に対する被担保債権に充当すべきである。
二 不動産競売手続における債務者複数の根抵当権についての配当金を各債務者に対する債権を担保するための部分に案分する場合には、ある債務者に対する債権の弁済によって他の債務者に対する債権も消滅するという関係にある複数の被担保債権があるときにおいても、いずれの債権もその全額を案分の基礎となる各債務者の被担保債権額に算入すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年1月20日 平成6(オ)2122
- 登載
- 民集 第51巻1号1頁
- 参照法条
- 民法398条ノ2,民法398条ノ14,民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条
論点103第489条民法
配当表記載の根抵当権者の配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合における,当該供託金の充当方法
裁判要旨担保不動産競売の手続における配当表記載の根抵当権者の配当額について配当異議の訴えが提起されたためにその配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者が上記訴えに係る訴訟において勝訴したことにより,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合には,当該供託金は,その支払委託がされた時点における被担保債権に民法489条から491条までの規定に従った充当がされる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成27年10月27日 平成25(受)2415
- 登載
- 民集 第69巻7号1763頁
- 参照法条
- 民法489条,民法490条,民法491条,民事執行法85条1項,民事執行法85条6項,民事執行法90条,民事執行法91条1項7号,民事執行法92条1項,民事執行法188条,民事執行規則61条,民事執行規則173条1項,供託規則30条1項
論点104第490条民法
融資契約に定められた限度をこえて貸付が行われたのち一部弁済があつた場合と保証人の責任。
裁判要旨融資契約で定められた貸付限度をこえる金額の貸付が行われ、のち一部弁済があつた場合は、該弁済が融資契約による限度内の元金に充当されたのか、それをこえる元金に充当されたのかを確定しないかぎり、融資契約についての保証人の責任の範囲を判定しえないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和38(オ)671
- 登載
- 集民 第73号239頁
- 参照法条
- 民法448条,民法490条
論点105第491条民法
債務者が任意に支払つた利息制限法所定の制限をこえる利息または損害金は当然に残存元本に充当されるか
裁判要旨債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息または損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法
第四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉によつて、残存元本に充当される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年11月26日 昭和39(オ)1121
- 登載
- 集民 第93号475頁
- 参照法条
- 利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
論点106第491条民法
一、任意に支払われた法定の制限をこえる利息・損害金と弁済充当の順位に関する特約がある場合の充当関係
二、法定の制限をこえて支払われた利息・損害金を残存元本等に充当するには債務者からその旨の抗弁が提出されることを要するか
三、法定の制限をこえる利息を支払つた連帯債務者は他の連帯債務者に対して制限超過の利息相当金を求償することができるか
四、利息について法定の制限をこえる約定があるが遅延損害金については約定のない貸金債権と民法第四一九条第一項〈金銭債務の特則〉但書および利息制限法第四条第一項の適用の有無
裁判要旨一、債権者と債務者間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約が存在する場合において、債務者が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つたときは、右超過部分に対する弁済は、右特約の趣旨に従つて次順位に充当されるべき債務で有効に存在するものに充当されるものと解すべきである。
(反対意見がある)
二、裁判所は、利息制限法所定の制限をこえて任意に支払われた利息・損害金の存在することが弁論にあらわれ、これを確定した以上、当事者から右制限超過分を残存元本等に充当すべき旨の特別の申立ないし抗弁が提出されなくても、右弁済充当関係を判断することができる。
三、連帯債務者の一人が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つても、他の連帯債務者に対して右制限をこえる利息相当金を求償することはできない。
四、金銭を目的とする消費貸借上の利息について利息制限法第一条第一項の利率の制限をこえる約定があるが、遅延損害金の約定がない場合には、遅延損害金についても利息制限法第一条の制限額にまで減縮され、その限度で支払を求めうるにすぎない。
(反対意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月29日 昭和42(オ)967
- 登載
- 民集 第22巻10号2257頁
- 参照法条
- 利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法419条,民法442条,民法491条
論点107第491条民法
任意に支払われた法定の制限超過の利息損害金は残存元本に充当されるか
裁判要旨残存元本に充当されるものと解すべきである(昭和三九年一一月一八日大法廷判決に従つて、昭和三七年六月一三日大法廷判決によつた原判決を破棄した事案)。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年2月3日 昭和39(オ)1201
- 登載
- 集民 第82号309頁
- 参照法条
- 利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
論点108第491条民法
債務者が任意に支払つた利息制限法超過の利息損害金は当然に残存元本に充当されるか。
裁判要旨一 債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、当然に残存元本に充当されるものと解すべきである。
二 (意見がある)。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年2月9日 昭和35(オ)1370
- 登載
- 集民 第77号327頁
- 参照法条
- 利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
論点109第491条民法
債務者が任意に従つた利息制限法所定の制限をこえる損害金は当然に残存元本に充当されるか
裁判要旨債権者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法
第四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉により、残存元本に充当されるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年10月5日 昭和39(オ)1118
- 登載
- 集民 第80号581頁
- 参照法条
- 利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
論点110第491条民法
債務者が任意に支払つた利息制限法所定の制限をこえる利息・損害金は当然に残存元本に充当されるか。
裁判要旨債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法
第四九一条〈数個の給付をすべき場合の充当〉により、残存元本に充当されるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和39年11月18日 昭和35(オ)1151
- 登載
- 民集 第18巻9号1868頁
- 参照法条
- 利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
論点111第491条民法
債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が差押債権の取立てとして金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となるか
裁判要旨債権差押命令の申立書に請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成29年10月10日 平成28(許)46
- 登載
- 民集 第71巻8号1482頁
- 参照法条
- 民事執行法155条1項,民事執行法155条2項,民法491条
論点112第492条民法
賃貸人の賃借人に対する賃貸物を使用収益させる義務につき民法四九二条〈弁済の提供の効果〉を適用し賃貸人が債務不履行の責を負わないとされた事例
裁判要旨賃貸建物に隣接する賃貸人所有建物が賃貸建物に倒れかかり危険なため、賃貸人において大工に依頼し補強工事をするにあたり、賃貸建物内にある賃借人所有の品物を一時搬出しなければ作業ができないため、賃借人にこれを告げて搬出方の協力を求めたが、賃借人においてこれに応じないため右補強工事をなしえなかつたとの判示事情があるときは、賃貸人はその負担する義務の履行につき準備をととのえて債権者である賃借人の協力を求めたもので、その債務の履行を提供したものとして、以後債務不履行の責を免れる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年10月13日 昭和45(オ)548
- 登載
- 集民 第101号71頁
- 参照法条
- 民法492条,民法493条
論点113第492条民法
賃料増額の請求がなされた場合と従前の額による賃料提供の適否。
裁判要旨賃料増額の請求がなされた場合には、従前の賃料額と適正増額賃料額との差が僅少である等信義則上従前の賃料額の提供をもつて債務の本旨に従つた履行の提供とみられるような特別の事情があるときのほか、債務者は、従前の賃料額をもつて相当であると考えたとしても、従前の賃料額を提供しただけでは、履行遅滞の責を免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年12月10日 昭和38(オ)1365
- 登載
- 民集 第19巻9号2117頁
- 参照法条
- 借家法7条,民法492条,民法541条
論点114第492条民法
一 供託金額の不足が弁済提供および供託の効力に影響を及ぼさない事例
二 売渡担保の目的物返還義務不履行による損害額算定の時期
裁判要旨一 消費貸借上の債務弁済のため提供供託された元利合計金一五万三一四〇円が、正当な元利合計額に金一、三〇〇余円不足するとしても、この一事により弁済提供および供託の効果を否定することはできない。
二 債権者が弁済期到来前売渡担保の目的物である山林の立木を伐採したため、弁済により右山林の所有権が債務者に復帰した場合立木の引渡不能によつて債務者の被るべき損害の額は、右不能が確定的となつた伐採時の価格を基準として算出すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年12月15日 昭和33(オ)483
- 登載
- 民集 第14巻14号3060頁
- 参照法条
- 民法492条,民法494条,民法415条