論点1第143条刑事訴訟法
一 法律の錯誤としてたばこ専売法違反の成立を妨げないものとされた事例
二 共同被告人を分離して証人として尋問し、その証言を当該被告人の犯罪を認定する証拠とすることと憲法第三八条第一項
裁判要旨一 繊維製品の販売等を目的とする株式会社の代表取締役たる甲と同会社の取締役にして営業部長なる乙とが共謀の上、右会社が日本専売公社指定の製造たばこ小売人ではないのにもかかわらず、同会社の業務に関し、右公社の製造たばこを他に小売販売した場合には、たとえ甲および乙において、製造たばこの小売人の指定が乙の個人名義でなされていても、同人が右会社の前記のような地域にある関係上、会社において製造たばこの小売販売をなし得るものと信じていたとしても、それは法律の錯誤であつて、故意を阻却するものではなく、本件につきたばこ専売法違反の罪が成立することを妨げるものではない。
二 共犯者にして共同被告人たる甲、乙両名のある場合、甲を分離して乙のために甲を証人として尋問した後、更に併合の上、先に右甲が乙の証人としてなした証言を、甲の犯罪を認定する証拠としても、憲法第三八条第一項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年9月9日 昭和32(あ)2338
- 登載
- 刑集 第14巻11号1477頁
- 参照法条
- 刑法38条,刑法60条,たばこ専売法29条2項,たばこ専売法71条5号,たばこ専売法77条,憲法38条1項,刑訴法143条,刑訴法146条,刑訴法313条
論点2第143条刑事訴訟法
六歳の児童の証言を証拠に採用した事例
裁判要旨一 弁護人の上告趣意は、事実誤認の主張を出でないものであつて刑訴
四〇五条〈高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。〉の上告理由に当らない。また同
四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉を適用すべきものとは認められない。
二 (原判決の要旨)第一審判決は、Aの証言を説示の如き理由の下に排斥しているけれども、成程同人は当時僅か年歯六歳であつて智能程度も低く、又本件自故は瞬間的の出来事であるからその供述内容を全面的に信用することは無理であり、又供述の一部には他からの影響によるものもあるかも知れない。しかし同人は被害者Bが郵便ポストの所に立つていて、そのとき駅の方からトラツクが来て四つ角を左折し浜の方に行つた直ぐ後にBが転んでいたこと、その車は車輪が四個あり車体は青色であつたことについては検察官に対する供述以来、原審及び当審の証人尋問に至るまで終始一貫供述しているのであつて、同人は何と云つても本件自故直後における最初の目撃者であり、純真な子供のことであり故らに事実を曲げて供述しているものとは到底考えられないから、詳細微妙の点については不確実なものがあるにしても少くとも右の部分については信用してよいものと考えられる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年9月15日 昭和35(あ)759
- 登載
- 集刑 第135号329頁
- 参照法条
- 刑訴法143条,刑訴法318条
論点3第143条刑事訴訟法
共同被告人が弁論分離後他の事件の証人としてした証言を自己の犯罪事実に対する証拠とすることの可否
裁判要旨甲乙が共同被告人である場合に、弁論分離後乙が甲の事件の証人としてした証言は、乙の犯罪事実に対する証拠となる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年12月13日 昭和28(あ)3280
- 登載
- 刑集 第10巻12号1629頁
- 参照法条
- 刑訴法143条,刑訴法317条,刑訴法322条
論点4第143条刑事訴訟法
共同被告人を分離して証人として尋問することは不利益な供述の強要にあたるか
裁判要旨共同被告人を分離して証人として尋問しても不利益な供述を強要したものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年6月3日 昭和28(あ)5177
- 登載
- 刑集 第8巻6号802頁
- 参照法条
- 憲法38条1項,刑訴法143条
論点5第143条刑事訴訟法
有罪判決を受けて服役中の共犯者の供述の証拠能力
裁判要旨記録によれば同人(註、共犯者たる証人を指す)は既に有罪の判決を受けて事件が確定し、服役中の第三者であつて、右供述(註、第一審公判廷における供述及び検察官に対する供述)は、その服役中のものにかかり、従つて、その供述は証言であつて、自白とはいえないことは明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年3月26日 昭和26(あ)2856
- 登載
- 集刑 第77号327頁
- 参照法条
- 刑訴法317条,刑訴法143条,刑訴法321条1項2号,憲法38条
論点6第143条刑事訴訟法
検察官が在監者をいわゆる在延証人として尋問した場合と証言の証拠能力
裁判要旨所論の証人Aがたとえ当時本件に関連する窃盗被告事件のため未決勾留中で上田拘置所に在監していたのを検察官の命令で第一審公判延に出頭させ、検察官からいわゆる在延証人として尋問したものであつてもその故を以つて同証人が検察官に畏怖迎合して供述したものとは速断できないのであつて、所論は結局事実審の専権に属する証拠の証明力に関する判断を非難するもので採るを得ない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年3月11日 昭和25(あ)3305
- 登載
- 集刑 第62号343頁
- 参照法条
- 刑訴法143条,刑訴法318条
論点7第143条刑事訴訟法
共犯者を証人として宣誓せしめることの可否
裁判要旨刑事訴訟法は、
一四三条〈裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問することができる。〉において何人でも証人としてこれを尋問することができる旨を規定し、
一五四条〈証人には、この法律に特別の定のある場合を除いて、宣誓をさせなければならない。〉において証人には宣誓させなければならないと定め、唯証人は自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞がある等
一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉、
一四七条〈何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉等に規定する事由がある場合に限りかかる証言を拒むことができることとなつているのである。従つて共犯者と雖も証人たり得るし、証人である以上宣誓を命ぜられるのは当然である。記録によるとAは、第一審公判に証人として喚問され、裁判長より宣誓を命ぜられ且つ法定の証言拒否権も告げられた上、検察官や弁護人等の尋問に応じ供述しているものであつて、右供述が不任意になされたと認むべき形跡はない。従つて同証人に対する尋問手続は総て適法であつて、その証言は証拠能力のあるものといわなければならない。共犯者には宣誓なさしむべきでないとする所論は独断にすぎないし、共犯者を証人として尋問するに当り、宣誓せしめたが故に、その供述を強制したものと論ずることも根拠なき議論である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年2月26日 昭和26(あ)1547
- 登載
- 集刑 第61号597頁
- 参照法条
- 刑訴法143条,刑訴法154条,憲法38条1項
論点8第144条刑事訴訟法
刑訴法第一四四条〈公務員又は公務員であつた者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたと…〉但書の要件を具備しない証言拒絶を許容した違法があるとの意義申立を棄却する決定と特別抗告
裁判要旨刑訴法
第一四四条〈公務員又は公務員であつた者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたと…〉但書にいう「国の重大な利益を害する」との要件を具備しな証言拒絶を許容した違法があるとの意義申立を棄却する決定の如き訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴
第四三三条第一項〈この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、第四百五条に規定する事由があることを理由とする場合に…〉にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年4月18日 昭和32(し)55
- 登載
- 刑集 第12巻6号1109頁
- 参照法条
- 刑訴法144条,刑訴法420条,刑訴法433条1項,刑訴法309条
論点9第146条刑事訴訟法
一 刑訴法第二条第一項〈裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。〉にいわゆる「現在地」の意義
二 被告人の黙秘権と偽証教唆罪の成否
三 証人の証拠拒絶権と偽証罪の成否
裁判要旨一 刑訴
第二条第一項〈裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。〉にいわゆる「現在地」とは、公訴提起の当時被告人が任意または適法な強制処分によつて現在する地域をいう。
二 被告人に黙秘権があるからといつて他人に虚偽の証言をするように教唆したときは、偽証教唆罪が成立する。
三 証人が証言拒絶権を有する事項であつても宣誓の上虚偽の供述をすれば偽証罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年4月30日 昭和29(あ)3965
- 登載
- 刑集 第11巻4号1502頁
- 参照法条
- 刑訴法2条1項,刑訴法311条1項,刑訴法146条,刑訴法154条,刑法61条1項,刑法169条
論点10第146条刑事訴訟法
証言を拒んだ証人に対し過料の制裁を科さない措置と異議申立の適否
裁判要旨証人が正当の理由なく証言を拒んだときに、過料の制裁を科さなかつた措置に対して刑訴
第三〇九条第一項〈検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。〉の異議の申立をすることは許されないと解するを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年11月2日 昭和32(し)37
- 登載
- 刑集 第11巻12号3056頁
- 参照法条
- 刑訴法160条,刑訴法146条,刑訴法147条,刑訴法149条,刑訴法309条1項
論点11第146条刑事訴訟法
刑訴第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉にいう「刑事訴追を受ける虞あるとき」の意義
裁判要旨刑訴
第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉にいう「刑事訴追を受ける虞あるとき」とは、証言の内容自体に刑事訴追を受ける虞のある事実を包含する場合をいうのであつて、証人が真実を述べることにより其の供述を偽証なりとして訴追を受ける虞ありとの事由で、証言を拒否し得るものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年9月1日 昭和28(し)26
- 登載
- 刑集 第7巻9号1796頁
- 参照法条
- 憲法38条1項,刑訴法146条,刑法169条
論点12第146条刑事訴訟法
共犯関係にある者の一方(共同審理を受けていない)を他方のための証人として尋問することと憲法第三八条第一項
裁判要旨「何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。」のであるから(刑訴
一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉)、被告人と共犯関係があるものとして起訴されている者が証人となつても、自身の公訴事実について不利益な証言を強要されることにはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年4月7日 昭和28(し)23
- 登載
- 集刑 第78号203頁
- 参照法条
- 刑訴法146条,憲法38条1項
論点13第146条刑事訴訟法
刑訴第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉にいう「刑事訴追を受ける虞あるとき」の意義
裁判要旨刑訴
第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉にいう「刑事訴追を受ける虞あるとき」とは、証言の内容自体に刑事訴追を受ける虞のある事実を包含する場合をいうのであつて、証人が真実を述べることによりその供述を偽証なりとして訴追を受ける虞ありとの事由で、証言を拒否し得るものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年10月23日 昭和28(し)19
- 登載
- 刑集 第7巻10号1968頁
- 参照法条
- 刑訴法146条,刑法169条,憲法38条1項
論点14第146条刑事訴訟法
一 被告人の黙祕権と偽証教唆罪の成否
二 刑法第一〇四条の証憑の偽造には証人の偽証を包含するか
三 証人の証言拒絶権と偽証罪の成否
裁判要旨一 被告人自体に黙祕権があるからといつて、他人に虚偽の陳述をするように教唆したときは、偽証教唆罪が成立する。
二 刑法第一〇四条にいわゆる証憑の偽造とは、証拠自体の偽造を指称し、証人の偽証を包含しないと解すべきである。
三 証人が刑訴
第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉の証言拒否権を有したとしても、宣誓の上虚偽の陳述をしたときは偽証罪が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年10月19日 昭和27(あ)1976
- 登載
- 刑集 第7巻10号1945頁
- 参照法条
- 刑法61条1項,刑法169条,刑法104条,刑訴法311条1項,刑訴法146条,刑訴法154条,刑訴法155条1項
論点15第146条刑事訴訟法
一 新聞記者の取材源についての証言と刑訴法上の証言拒絶権
二 憲法第二一条と新聞記者の取材源に関する証言拒絶権
三 憲法第三八条第一項と刑訴第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉および第一四七条〈何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉との関係
四 被疑者不特定の被疑事件につき刑訴第二二六条〈犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又…〉に基き証人を尋問することと刑訴第一四六条および憲法第三八条第一項
五 刑訴第二二六条による証人尋問の請求と被疑事実の存在
六 逮捕状の請求発付の国家公務員法第一〇〇条にいわゆる「職務上知ることのできた秘密」
裁判要旨一 新聞記者は記事の取材源に関するという理由によつては刑訴法上証言拒絶権を有しない。
二 憲法第二一条は、新聞記者に対し、その取材源に関する証言を拒絶し得る特別の権利までも保障したものではない。
三 刑訴
第一四六条〈何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉は、憲法第三八条第一項による憲法上の保障を実現するための規定であるが、刑訴
第一四七条〈何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。〉の規定は、右憲法上保障される範囲には属しない。
四 刑訴
第二二六条〈犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又…〉に基き証人を尋問するにあたり、被疑者が未だ特定していなくても、それだけで、刑訴
第一四六条による証言拒絶権を奪い憲法第三八条第一項に違反するということはできない。
五 検察官が刑訴
第二二六条により裁判官に証人尋問の請求をするためには、捜査機関において犯罪ありと思料することが相当であると認められる程度の被疑事実の存在があれば足り、被疑事実が客観的に存在することを要しない。
六 当該逮捕状の請求、作成、発付の事務に関与する国家公務員たる職員については、右請求発付の事実は国家公務員法第一〇〇条にいわゆる職員の「職務上知ることのできた秘密」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和27年8月6日 昭和25(あ)2505
- 登載
- 刑集 第6巻8号974頁
- 参照法条
- 刑訴法146条,刑訴法147条,刑訴法226条,憲法21条,憲法38条1項,国家公務員法100条1項,国家公務員法100条2項
論点16第146条刑事訴訟法
一 団体等規制令第一〇条第三項による法務総裁の出頭要求の効力に関する裁判所の審判権限
二 刑訴第三二一条第一項第二号〈被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り… 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。〉の法意
三 証人が証言を拒む場合と刑訴第三二一条第一項第二号の適用
裁判要旨一 団体等規制令一〇条による法務総裁の出頭要求命令の効力についての争訟は日本の裁判所が裁判権を有しないと解すべきことは昭和二五年(オ)一四七号同年七月五日大法廷判決(民事判例集四巻七号二六四頁以下)及び昭和二三年(れ)一八六二号昭和二四年六月一三日大法廷判決(刑事判例集三巻七号九七四頁以下)の趣旨に徴して明らかなところであるから、被告人Aに対する本件出頭要求命令を無効なりと主張する各論旨は採用することができない。
二 刑訴
第三二一条第一項第二号〈被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り… 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。〉の規定に供述者が供述することができないときとしてその事由を掲記しているのは、その供述者を裁判所において証人として尋問することを妨ぐべき障碍事由を示したもので、これと同様またはそれ以上の事由の存する場合において同条所定の書面に証拠能力を認めることを妨げるものではない。
三 本件におけるが如く、Bが第一審裁判所に証人として喚問されながらその証言を拒絶した場合にあつては、検察官の面前における同人の供述につき被告人に反対尋問の機会を与え得ないことは右規定にいわゆる供述者の死亡した場合と何等選ぶところはないのであるから、原審が所論のBの検察官に対する供述調査の記載を、事実認定の資料に供した第一審判決を是認したからといつて、これを目して憲法第三七条第二項に違反すると即断することは出来ない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和27年4月9日 昭和26(あ)2357
- 登載
- 刑集 第6巻4号584頁
- 参照法条
- 団体等規正令10条1項3項,団体等規正令13条3号,刑訴法321条1項2号,刑訴法146条,刑訴法147条,憲法37条2項
論点17第146条刑事訴訟法
一 いわゆる刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託証人尋問調書の証拠能力
二 内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることと賄賂罪における職務行為
裁判要旨一 刑訴法はいわゆる刑事免責の制度を採用しておらず、刑事免責を付与して得られた供述を録取した嘱託証人尋問調書を事実認定の証拠とすることは許容されない。
二 内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることは、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示として、賄賂罪の職務行為に当たる。
(一につき補足意見,二につき補足意見及び意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成7年2月22日 昭和62(あ)1351
- 登載
- 刑集 第49巻2号1頁
- 参照法条
- 刑訴法1条,刑訴法146条,刑訴法226条,刑訴法248条,刑訴法317条,憲法38条1項,憲法66条,憲法68条,憲法72条,刑法(昭和55年法律30号による改正前のもの)197条1項,刑法(昭和55年法律30号による改正前のもの)198条1項,運輸省設置法(昭和47年法律105号による改正前のもの)3条11号,運輸省設置法(昭和47年法律105号による改正前のもの)4条1項44号の9,運輸省設置法(昭和47年法律105号による改正前のもの)28条の2第1項13号,航空法(昭和48年法律113号による改正前のもの)100条1項,航空法(昭和48年法律113号による改正前のもの)101条,航空法(昭和48年法律113号による改正前のもの)109条,航空法施行規則(昭和48年運輸省令59号による改正前のもの)210条1項,航空法施行規則(昭和48年運輸省令59号による改正前のもの)220条,内閣法4条,内閣法6条,内閣法8条
論点18第154条刑事訴訟法
一 公判調書中の「証人に別紙宣誓書により宣誓させた」との記載と証人の誓宣が各別に行われたことの有無
二 起訴状に被害場所の番地の未記入並びに被害者の姓の記載に誤記ある場合と公訴事実の同一性
裁判要旨一 所論のように各証人個別に宣誓書を朗読せしめたか否かのごときは公判調書の記載事項でもないし、また、これが記載を欠くからといつてその手続が行われなかつたとはいえない。そして、原審公判調書に「証人に別紙宣誓書により宣誓させた」との記載があり且つ所論の証人が各別に署名押印した宣誓書が現に記録中に存在しているのであるから、所論の証人が各別に宣誓をしたことは明白である。
二 起訴状記載の被害者の姓が誤記であり且つ起訴状に被害場所の番地を記入せず又はその被害場所居住主の氏名の記載等が間違つていても、公訴事実若しくは訴因に変更を来すものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和25年10月19日 昭和24新(れ)351
- 登載
- 集刑 第19号897頁
- 参照法条
- 刑訴法48条,刑訴法154条,刑訴法256条,刑訴規則44条
論点19第156条刑事訴訟法
一 劇場責任者と公然猥褻幇助罪の成立
二 公然猥褻被告事件において証人が演技を観覧した際の感想を述べることは自己の実験した事実に含まれるか
裁判要旨一 劇場責任者が、その劇場で公演されているストリツプ、シヨウを目撃し、その演技の内容が猥褻であると知りながら、劇場を引き続き使用されるときは、公然猥褻幇助罪が成立する。
二 公然猥褻被告事件において、証人が演技を観覧した際の感想を述べることは、自己の実験した事実の供述に当然包含される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年3月2日 昭和27(あ)5293
- 登載
- 集刑 第93号59頁
- 参照法条
- 刑法174条,刑法62条,刑訴法156条
論点20第157条刑事訴訟法
控訴審が事実の取調として職権により公判期日外において証人を尋問する場合とあらかじめ被告人に証人の氏名立証趣旨を知る機会を与えることの要否
裁判要旨控訴裁判所が事実の取調として行なう場合であつても、あらかじめ被告人に証人の氏名、立証趣旨すら知る機会を与えることなく、公判期日外において職権をもつて証人尋問を決定して施行することは、検察官および弁護人が立ち会い、かつ、異議がないとしても、訴訟法上許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年6月25日 昭和43(あ)267
- 登載
- 刑集 第22巻6号552頁
- 参照法条
- 刑訴法157条,刑訴法158条,刑訴法393条1項,刑訴規則109条
論点21第157条刑事訴訟法
公判期日外の証人尋問において被告人に退席を命じたところ、被告人は証人尋問立会権を放棄して任意退席した場合と憲法第三七条第二項。
裁判要旨所論は、被告人は所論証人甲外七名の証人尋問につき全然尋問する機会を与えられなかつたのであるから、かかる尋問の機会を与えない証人の尋問調書を証拠として有罪の認定をした第一審判決及びこれをそのまま支持した原判決は、憲法第三七条第二項に違反するものであるというにある。しかし、記録によると、第一審裁判所はその第一回公判期日において右証人等を含む合計一六名の証人を昭和三七年一〇月三日静岡県磐田郡a村所在磐田警察署において尋問する旨の決定をしたこと、その決定に基づき同日同警察署において、被告人及び弁護人立会の上、逐次証人の尋問が行なわれたが第八番目の証人乙の尋問の際、第一審裁判官は、同証人が被告人の面前では威迫を受ける虞れがあり証言することができないものと認め被告人に退席を命じたところ、被告人は右乙に対する証人尋問立会権を放棄するとともに、残余の証人甲以下七名に対する証人尋問立会権をも放棄して任意退席したこと、弁護人は証人全員の尋問に立会つたこと、これらの各証人尋問調書については第一審第二回公判期日において適法な証拠調が施行され、これに対し被告人及び弁護人から何らの意義申立もなされなかつたことが明らかである。されば被告人は所論証人甲以下七名の証人について尋問する機会が与えられなかつたということはできないのであるから、所論違憲の主張はその前提を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年7月10日 昭和38(あ)856
- 登載
- 集刑 第147号715頁
- 参照法条
- 刑訴法157条,刑訴法158条,刑訴法159条,刑訴法281条,刑訴法281条の2,刑訴法303条,憲法37条2項
論点22第157条刑事訴訟法
刑訴法第二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉、第二二八条〈前二条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。〉の証人尋問に立会う検察官の証人尋問権。
裁判要旨刑訴
二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉、
二二八条〈前二条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。〉の証人尋問に立会う検察官には同
一五七条三項〈検察官、被告人又は弁護人は、証人の尋問に立ち会うことができる。〉の準用により証人尋問権があると解される。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年2月24日 昭和33(あ)440
- 登載
- 集刑 第137号243頁
- 参照法条
- 刑訴法227条,刑訴法228条,刑訴法157条3項
論点23第157条刑事訴訟法
勾留中の被告人が原審の公判期日外の証人尋問に立ち合わなかつた場合と憲法第三七条第二項。
裁判要旨勾留中の被告人が出頭している原審公判廷で、被告人が一審においてはその供述調書を証拠とすることに同意していた証人五名を、検証の現場附近で尋問する旨の決定がされたのに、被告人および弁護人から立会の要求もなく、またその証人尋問には弁護人が立ち会い、それら証人尋問調書の証拠調にあたつても異議がなかつたときは、右証人尋問に際し被告人に反対尋問の機会が与えられなかつたから憲法第三七条第二項に反する旨の主張は、その前提を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和33年7月1日 昭和33(あ)417
- 登載
- 集刑 第126号623頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法326条
論点24第157条刑事訴訟法
立会の機会が与えられたのに被告人が立ち合わないで証人尋問がなされた場合の該手続の適否―その証人尋問調書の証拠能力
裁判要旨立会の機会が与えられたのに被告人が立ち合わないで証人尋問がなされたからといつてその尋問手続を違法とする理由はなく、又その証人尋問調書が証拠能力を有しないいわれもない(刑訴
三二一条二項〈被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り…〉参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年2月12日 昭和32(あ)902
- 登載
- 集刑 第123号273頁
- 参照法条
- 憲法37条,刑訴法157条,刑訴法321条
論点25第157条刑事訴訟法
証人尋問の期日を弁護人に通知しなかつた瑕疵とその治癒
裁判要旨第一審において所論証人尋問の期日を弁護人に通知しなかつた瑕疵があつたとしても、右尋問の調書は後に公判において証拠調が為され右期日に立会つた被告人からも弁護人からも何ら異議の申出のなかつたことは記録上明らかであるから右の疵疵はこれによつて治癒せられたとみとめるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和30年7月22日 昭和28(あ)3648
- 登載
- 集刑 第107号999頁
- 参照法条
- 刑訴法157条2項,刑訴法159条1項
論点26第157条刑事訴訟法
刑訴法第二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉による証人の供述調書を証拠とするにあたり、被告人の審問権を害しない措置がとられた場合と憲法第三七条―差戻前の公判期日では証拠とすることに同意ある場合―
裁判要旨記録についてみるに、原判示第三の事実認定の証拠として挙示されている証人A等に対する裁判官の各証人尋問調書によれば右各証人の尋問には検察官及び弁護人が立会つておる。右証人尋問は本件起訴後第一審第一回公判期日前に刑訴
二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉に基ずく請求によつてなされたものであるが、右各調書は差戻前の第一審第一回公判において、検察官から証拠調の請求があり、被告人は、右請求に異論なく且つ右書面を証拠とすることに同意し、検察官は之を順次朗読して裁判官に提出したことは、第一回公判調書の明記するところであり、被告人及び弁護人の出頭している差戻後の第一審公判においても適法な証拠調がなされているのであるから、各証人の証言内容について被告人がこれを知る機会を与えられていたことは明らかである。しかも、右公判において、被告人及び弁護人に証人喚問請求の機会が与えられていたにも拘わらず、何等その請求をなさず、裁判所においても、これを妨げた形跡は全然存しないのである。従つて所論憲法違反の主張はその前提たる事実を欠くものであつて理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月24日 昭和28(あ)2450
- 登載
- 集刑 第98号349頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法227条,刑訴法157条
論点27第157条刑事訴訟法
控訴審における証人尋問期日に被告人が出頭できなかつた場合と憲法三七条二項
裁判要旨所論は、結論として原判決が証拠とした三名の証人の供述について被告人に審問の機会を与えなかつたこととなるから、憲法三七条二項に違反すると主張するのであるが、その前提として、右三名の証人を取り調べた原審第七回の公判期日の召喚状は、被告人に不送達となつたため、被告人は出廷することができなかつたことを理由とする。しかし記録によれば原審は被告人の所在不明のため、刑訴規則六三条により右公判期日の召喚状を書留郵便に対して送達したものであることが認められるから、被告人の右公判期日不出頭は同人の責に帰すべきものである。(召喚状の送達と右公判期日との間に三日の猶予しかなかつたからといつて何等不当はない。刑訴規則六七条一項参照)のみならず、右公判期日には弁護人が出席して各証人に対し審問を行つているのであるから、被告人に証人に対する審問の機会を与えなかつたものであるということはできない。所論違憲の主張は前提を欠き採用するに足りない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年7月6日 昭和28(あ)15
- 登載
- 集刑 第97号153頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴規則63条,刑訴規則67条1項
論点28第157条刑事訴訟法
弁護人の意見に反し嘱託してなされた証人尋問と反対尋問権
裁判要旨証人を公判廷で尋問されたい旨の弁護人の意見に反して他の裁判所に嘱託して尋問したからといつて第一審裁判所が弁護人及び当時不拘束の被告人の反対尋問権を侵害したものとは認められず、被告人弁護人が任意にその嘱託尋問に立ち会わなかつたからといつて所論違憲の問題は起きない(昭和二六年(あ)二七六〇号同二七年二月八日第二小法廷判決)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年6月2日 昭和27(あ)6047
- 登載
- 集刑 第96号7頁
- 参照法条
- 刑訴法158条,刑訴法157条,憲法37条2項
論点29第157条刑事訴訟法
被告人および弁護人が控訴審における検証および証人尋問に立ち会わなかつた場合と憲法第三七条第二項
裁判要旨被告人および弁護人が検証および証人尋問の決定がなされた控訴審公判期日に出頭していて、裁判所外でなされる、これらの証拠調の日時、場所等を了知していたのにかかわらず、同人らがこれに立ち合わなかつた場合、憲法第三七条第二項に違反するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年8月18日 昭和27(あ)1830
- 登載
- 刑集 第7巻8号1742頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法393条
論点30第157条刑事訴訟法
刑訴第二二六条〈犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又…〉・第二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉に基づく裁判官の証人尋問と弁護人に対する尋問の日時および場所の通知
裁判要旨刑訴
第二二六条〈犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又…〉、
第二二七条〈第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日において…〉に基づく裁判官の証人尋問の場合、弁護人に対し尋問の日時および場所を通知する必要はない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年3月18日 昭和26(あ)1895
- 登載
- 刑集 第7巻3号568頁
- 参照法条
- 刑訴法226条,刑訴法227条,刑訴法228条2項,刑訴法157条2項
論点31第157条刑事訴訟法
公判廷外における証人尋問と憲法第三七条第二項の被告人の反対尋問権
裁判要旨裁判所が証人を裁判所外で尋問する場合に、被告人が監獄に拘禁されているときのごときは、弁護人に立会の機会を与えてあれば、必ずしも被告人自身を証人尋問に立ち合わせなくても憲法三七条二項の規定に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年3月13日 昭和26(あ)2390
- 登載
- 刑集 第7巻3号561頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法157条
論点32第157条刑事訴訟法
証人尋問期日通知書の送達の不適法と憲法第三七条第二項(証人尋問期日通知書の送達に関する違背とその治癒)
裁判要旨証人尋問期日通知書の送達が不適法であつたため弁護人が出頭できなかつた違法があつたとしても、原審第二回公判期日に所論の各証人尋問調書は朗読されており、これに対し弁護人から何らの請求も異議の申立もなされておらず、却つて弁護人において尋問調書を弁論に援用しているのであるから、右違法は判決に影響を及ぼすものとは認められないのであつて、所論は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年11月19日 昭和28(あ)2072
- 登載
- 集刑 第88号581頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法393条,刑訴法411条1号
論点33第157条刑事訴訟法
証人尋問につき被告人の審問権を実質的に害しない措置が講ぜられた場合と憲法三七条二項
裁判要旨裁判所が弁護人に対しては証人尋問に立会の機会を与え、被告人の審問権を実質的に害しない措置を講じたのに拘わらず、弁護人は、みずからその権利を抛棄し、被告人もその後何等の異議をさしはさまず同証人の公判廷喚問の申請もしなかつたときは、被告人が右証人尋問に立会せしめられなかつたことを以て憲法三七条二項に違反するということはできない。(昭和二四年(れ)第一八七三号同二五年三月一五日大法延判決参照)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月8日 昭和26(あ)2760
- 登載
- 集刑 第60号265頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法157条,刑訴法158条,刑訴法159条
論点34第157条刑事訴訟法
一 控訴審における事実の取調と被告人の立会権
二 控訴審における証人尋問と憲法第三七条第二項
三 控訴審の公判期日における証人尋問に被告人が立会しなくても違法でない一事例
裁判要旨一 控訴裁判所では、必ずしも常に事実の取調に被告人を立ち会わせ、被告人に弁論の機会を与えなければならないものということはない。
二 控訴審で事実の取調の一方法として証人の尋問をし、これを裁判の資料とするような場合には、憲法第三七条第二項の刑事被告人の権利保護のため特に被告人をこれに立ち会わせ、その証人を審問する機会を与えなければならないものと解するを相当とする。
三 本件記録によると、原審は第三回公判で証人二名を尋問し、しかもこれら証人の供述を事実認定の資料に供したこと、並びに、右証人尋問が行われた公判には被告人が出頭しておらず、且つその後においても特に被告人に対し、これら証人の供述の内容を知らせる手続を執らなかつたことは所論のとおりである。しかしながら、本件では、前記公判期日における証人の取調は、もともと弁護人の申請した証人の尋問であつて、各被告人にはいずれも右公判期日の召喚状が適法に送達され、且つ、弁護人は同公判期日に出頭して右各証人に対し、それぐ尋問もしていることが記録上明白であるから、被告人の前記憲法上の権利保護に充分な機会を与えたものといわなければならない。されば原審の手続には所論の違法があるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和27年2月6日 昭和25(あ)641
- 登載
- 刑集 第6巻2号134頁
- 参照法条
- 刑訴法393条,刑訴法390条,刑訴法389条,刑訴法388条,刑訴法293条,刑訴法404条,刑訴法157条,憲法37条2項
論点35第157条刑事訴訟法
一 法廷外の訴訟行為と公判手続の更新の要否
二 被害者の供述記載を含む検証調書と判断の資料に供した「検証の結果」の意義
三 控訴審において勾留中の被告人に対し、尋問の日時場所を予め通知しないで法廷外で決定実施した証人尋問と憲法第三七条第二項
四 弁護人の控訴趣意と内容同一なる被告人の控訴趣意に対して特に判断をしない控訴判決と刑訴四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉
裁判要旨一 証拠決定、並にこれが実施をしたのが何れも法廷外の訴訟行為であるときは、裁判所の構成に変更があつても、公判手続の更新を要しない。
二 控訴審でした検証調書に被害者の供述が記載されていても、同裁判所は別にその被害者を証人として訊問し、その判決において、「右検証の結果と右証人の証言とに徴し、第一審判決の事実認定には誤りがない。」と判断した場合には、その判決は、右検証調書中の被害者の供述を除いた、裁判官自ら実験した検証の結果と証人として尋問した被害者の証言とを判断の資料としたものと解すべきである。
三 被告人が勾留されている事件の控訴審において、公判延でした証拠決定に基き、検証とその検証現場における証人尋問を実施した際、裁判所が法廷外で職権により新な証人を尋問しようとして、検察官及び弁護人の何れも「然るべく」との意見を聴いた上、その証人尋問を決定し、即日その場で検察官、弁護人立会の上その証人を尋問したときは、予め被告人に対し右証人尋問の日時場所を通知せず又被告人をその尋問に立ち会わせなくても、憲法第三七条第二項に違反しない。
四 原審が被告人の弁護人砂山博をして、被告人本人の控訴趣意書及び同弁護人の控訴趣意書に基いて弁論をさせながら、原判決には弁護人の控訴趣意についてのみ判断を示し、被告人の控訴趣意については判断を示していないことは所論のとおりである。しかし被告人の控訴趣意は、事実誤認の主張で弁護人の控訴趣意第一点の内容と同様である。そして右第一点について原判決は判断を示しているので、原判決は被告人の控訴趣意についても判断を示したと同様に帰するから原判決の右瑕疵はこれを以つて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものといえない。(昭和二五年(あ)第一四四号同年七月六日第一小法廷判決、同二五年(あ)第四二号同年一〇月三日第三小法廷判決参照)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年1月11日 昭和26(あ)3051
- 登載
- 刑集 第6巻1号78頁
- 参照法条
- 刑訴法315条,刑訴法321条2項,刑訴法157条,刑訴法392条1項,刑訴法411条1号,憲法37条2項
論点36第157条刑事訴訟法
控訴審が採用しなかつた証拠について憲法第三七条第二項違反の主張と上告理由
裁判要旨原審が公判期日外の証人尋問をするに当り勾留中の被告人に実質的に立会の機会を与えていないのは憲法第三七条第二項に違反するというのであるが、原審は、これら証人尋問調書中の供述記載を事実認定或は量刑の資料としたものではなく、単に第一審判決を是認して控訴棄却したに止まることは、原判文自体に徴して極めて明らかである。然らば原判決には原判に影響のある憲法違反があるとの主張は、その前提を欠くものといわなればならない。。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年6月8日 昭和26(あ)211
- 登載
- 刑集 第5巻7号1250頁
- 参照法条
- 憲法37条2項,刑訴法393条1項,刑訴法157条,刑訴法405条1号,刑訴法410条1項
論点37第157条刑事訴訟法
検察官に対する検証並びに証人尋問の日時、場所の変更通知の方法と通知の事実が記録に記録されていない場合における右通知の有無
裁判要旨所論検証並びに証人尋問の日時、場所の変更を検察官に通知したことの明らかな証拠が、記録に存しないことは所論のとおりである。しかし、証人尋問や検証の日時、場所を検察官に通知するについては如何なる方法によるもの差支えないものであり、その通知の事実を記録に留めることは必ずしも必要ではないのであるから、その通知の明らかな証拠が記録にないとの一事によつて直ちに通知がなかつたものと断定することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年3月6日 昭和25(れ)1594
- 登載
- 集刑 第41号213頁
- 参照法条
- 刑訴法142条,刑訴法157条2項
論点38第157条刑事訴訟法
平成28年法律第54号による改正前の刑訴法157条の3,157条の4と憲法37条1項,2項前段,82条1項〈勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。〉
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成31年4月19日 平成30(あ)1333
- 登載
- 集刑 第325号95頁
- 参照法条
- 憲法37条1項,憲法37条2項,憲法82条1項,刑訴法(平成28年法律第54条による改正前のもの)157条の3,刑訴法(平成28年法律第54条による改正前のもの)157条の4
論点39第157条刑事訴訟法
刑訴法157条の3〈検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であつて、当該事項に…〉,157条の4〈裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれ…〉と憲法82条1項,37条1項,2項前段
裁判要旨刑訴法
157条の3〈検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であつて、当該事項に…〉,
157条の4〈裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれ…〉は,憲法82条1項,37条1項,2項前段に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年4月14日 平成16(あ)1618
- 登載
- 刑集 第59巻3号259頁
- 参照法条
- 憲法37条1項,憲法37条2項,憲法82条1項,刑訴法157条の3,刑訴法157条の4