刑法 / テーマ別まとめ

詐欺及び恐喝の罪

詐欺及び恐喝の罪の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

詐欺及び恐喝の罪は、人を欺いたり脅したりして財物や財産上の利益を得る行為を処罰する規定群です。信頼関係を裏切って本人に損害を与える背任や、判断力の乏しい者の弱みに付け込む準詐欺もあわせて定められています。未遂も処罰対象となり、親族間の犯罪に関する特例規定も準用されます。

詐欺及び恐喝の罪
罪名行為対象法定刑
詐欺(246条)人を欺く財物・財産上の利益10年以下の拘禁刑
準詐欺(248条)未成年者や心神耗弱者に乗じる財物・財産上の利益10年以下の拘禁刑
恐喝(249条)人を恐喝する財物・財産上の利益10年以下の拘禁刑
背任(247条)任務に背く行為本人の財産上の損害5年以下拘禁刑・50万円以下罰金
  • 246条・248条・249条・250条・251条は「この章の罪」として未遂罰・準用の対象。247条(背任)は別の罪だが同じ章に規定。
  • 詐欺・準詐欺・恐喝はいずれも1項(財物交付)と2項(財産上不法の利益)の両方を定める。
  • 250条によりこの章の罪(詐欺・背任・準詐欺・恐喝)の未遂も処罰される。
  • 251条により242条・244条・245条の規定がこの章の罪に準用される。
1

詐欺及び恐喝の罪

詐欺及び恐喝の罪について、条文は何を定めているか。

第246条詐欺人を欺いて財物・利益を得る罪2項判例 60件
  • 人を欺いて財物を交付させると10年以下の拘禁刑
  • 欺く方法で財産上の利益を得ても同じ刑が科される
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第247条背任任務に背き本人に損害を与える罪1項判例 23件
  • 自己や第三者の利益を図るか本人への損害を狙う目的が必要
  • その目的で任務に背き本人に財産上の損害を与えると成立
  • 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第248条準詐欺未成年者や心神耗弱者に付け込む罪1項判例なし
  • 未成年者の判断力の乏しさや心神耗弱に乗じて財物を得る
  • 財産上の利益を得させても同じく10年以下の拘禁刑
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第249条恐喝人を脅して財物・利益を得る罪2項判例 35件
  • 人を恐喝して財物を交付させると10年以下の拘禁刑
  • 恐喝の方法で財産上の利益を得ても同じ刑が科される
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第250条未遂罪この章の罪は未遂も処罰される1項判例 7件
  • 詐欺・背任・準詐欺・恐喝はいずれも未遂段階でも処罰対象
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第251条準用親族間の特例規定を準用する1項判例 1件
  • 242条〈他人の占有等に係る自己の財物〉・244条〈親族間の犯罪に関する特例〉・245条〈電気〉の規定をこの章の罪に準用する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第246条刑法

いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪ではなく窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪になるとされた事例

裁判要旨甲と乙が、当初は丙を殺害してその所持する覚せい剤を強取することを計画したが、その後計画を変更し、共謀の上、まず甲において、覚せい剤取引の斡旋にかこつけて丙をホテルの一室に呼び出し、別室に買主が待機しているかのように装つて、覚せい剤の売買の話をまとめるためには現物を買主に見せる必要がある旨申し向けて丙から覚せい剤を受け取り、これを持つて同ホテルから逃走した後、間もなく、乙が丙のいる部屋に赴き丙を拳銃で狙撃したが殺害の目的を遂げなかつたという本件事案(判文参照)においては、いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪は成立しないが、窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪が成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年11月18日 昭和60(あ)1198
登載
刑集 第40巻7号523頁
参照法条
刑法45条,刑法235条,刑法236条,刑法238条,刑法240条,刑法243条,刑法246条1項
論点2第246条刑法

一 公訴事実の同一性があるとされた事例
二 金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例または小松市寄附金品取締条例にいう寄附募集にあたるとされた事例

裁判要旨一 「今度のお盆に戦没者の法要をするので、おろうそく代を上げて欲しい」等虚構の事実を申し向けて合計六〇〇円と合計七七〇円の各金銭を詐取したとの各事実と、金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例に基づく金沢市長の許可を受けず、または、小松市寄附金品取締条例に基づく小松市長に対する届出をしないで、それぞれ右各同額の寄附募集をしたとの右各条例違反の事実との間には、公訴事実の同一性がある。
二 「盆の法要を営むので、御志をいただきたい」旨述べて前後五回にわたり合計六〇〇円と前後一七回にわたり合計七七〇円の各金銭の交付を受けた場合における被告人の各行為(原判文参照)は、金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例または小松市寄附金品取締条例にいわゆる寄附募集にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月25日 昭和40(あ)2483
登載
刑集 第26巻6号366頁
参照法条
刑訴法256条3項,刑訴法256条5項,刑訴法312条,刑法246条1項,金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例3条,金沢市金銭物品等の寄附募集に関する条例11条1号,小松市寄附金品取締条例2条2項,小松市寄附金品取締条例11条
論点3第246条刑法

特定郵便局長が郵便切手類および印紙の売さばき人の名義を使用して郵便切手類等を売りさばきその手数料を取得した行為が詐欺罪および業務上横領罪にあたるとされた事例

裁判要旨特定郵便局長が、手数料を取得する目的で、郵便切手類および印紙の売さばき人の名義を借り受け、自己の計算のもとに郵便切手類等を売りさばき、それを、あたかも、名義人自身が売りさばいたように書類を作成して、指定郵便局に提出し、歳出金支払証票の交付を受けた行為は詐欺罪となり、また自己の保管する渡切経費の中から、手数料支払名下に、右手数料相当額を取得した行為は、業務上横領罪になると解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年7月5日 昭和41(あ)776
登載
刑集 第22巻7号588頁
参照法条
郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律(昭和29年法律14号による改正前のもの)5条,郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律(昭和29年法律14号による改正前のもの)7条,刑法246条1項,刑法253条
論点4第246条刑法

刑訴法第四一一条第二号に該当するとして原判決破棄刑の執行猶予が言い渡された事例

裁判要旨被告人は炭坑事故のため負傷し生活保護を受けている者であり、三三才の病妻と二児を扶養し、三九才の今日まで一切犯歴がなく、被告人が副会長をしていた生活保護者の互助会の会員の中で生活苦のため米代の支払えない者が数名おり、被告人が金融業者Kから高利で一五万円を借りうけて右の支払にあててやつたが、その金利に追われ生活苦に陥つたのが本件犯行の動機であり、本件の被害総額は約一六万円であるが、実質的な被害者はKただひとりであつて、犯行の発覚前すでに同人との間に示談が成立しており、弁償の担保として被告人所有の家屋一棟を提供している等の諸事情(判文参照)を考慮すると、原判決が被告人を懲役六月の実刑に処したのは、量刑が甚しく不当であつて、これを破棄しなければ著しく正義に反する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年7月19日 昭和42(あ)2877
登載
集刑 第168号609頁
参照法条
刑訴法411条2号,刑訴法381条,刑法159条1項,刑法161条1項,刑法246条1項,刑法252条1項
論点5第246条刑法

公正証書原本不実記載罪とその行使罪と詐欺罪との関係

裁判要旨甲から金員を騙取するため、乙名義の偽造の委任状等を登録官吏に提出し、乙の不動産の登記簿の原本に抵当権が設定された旨の不実の記載をさせて、これを行使するとともに、甲にその登録済権利証を示して、抵当権設定登録を経由した旨誤信させ、同人から借用金名下に金員を騙取したときは、公正証書原本不実記載罪とその行使罪と詐欺罪との牽連犯となる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年8月28日 昭和41(あ)2732
登載
刑集 第21巻7号863頁
参照法条
刑法45条,刑法54条1項,刑法157条1項,刑法158条1項,刑法246条1項
論点6第246条刑法

土地所有者の氏名を冒用して起訴前の和解の申立をし内容虚偽の和解調書を作成させこれを用いて登記簿に不実の記載をさせた場合と詐欺罪の成否

裁判要旨土地所有者の氏名を冒用して、簡易裁判所に起訴前の和解の申立をし、被告人に右土地の所有権移転登記手続をする旨の内容虚偽の和解調書を作成させたうえ、その正本を登記官吏に登記原因を証する書面として提出し、登記簿にその旨不実の記載をさせても、右土地に関する詐欺罪は成立しないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年12月21日 昭和42(あ)786
登載
刑集 第21巻10号1453頁
参照法条
刑法246条1項,刑法157条1項
論点7第246条刑法

公訴事実の同一性がなく訴因の予備的追加の請求が許されないとされた事例

裁判要旨「被告人は喜多方市a町b番地において衣料品商を営んでいた者であるが、昭和二六年度の衣料品の暴落等により業績振るわず経営頗る困難な状態に立至つたところ、予て自己に対し多額の不正融資をしていたA農業協同組合専務理事Bがその回収を急いでいる弱点に乗じ、旧い債務と共に返済するという口実等で同人から金員を騙取せんことを企て昭和二七年九月二四日頃喜多方市字c丁目d番地A農業協同組合事務所において、右Bに対し、仕事も順調だから儲けられる故、手形でもよいから貸してくれと虚構の事実を申し向け、その旨誤信した同人から額面四〇万円の約束手形一通を騙取した」旨の本位的訴因と「被告人は喜多方市字c丁目d番地所在A農業協同組合の専務理事として同農業協同組合の金銭出納保管など一切の業務に従事していたBと共謀のうえ昭和二九年九月頃、前同所においてその業務上保管にかかる現金二〇万円を擅にCに対する借金の返済として同人に交付して横領したものである」旨の予備的に追加された訴因との間には公訴事実の同一性は存しないから第一審裁判所が検察官の右追加請求を許可したことは、刑訴法第三一二条第一項に違反するものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年4月12日 昭和39(あ)804
登載
集刑 第159号157頁
参照法条
刑法246条,刑法253条,刑訴法256条,刑訴法312条
論点8第246条刑法

収賄と詐欺の両訴因につき、事実の同一性が認められた事例。

裁判要旨一 本件収賄と詐欺の両訴因については、事実の同一性を有するものと認められる。
二 (収賄の訴因)被告人は、Aが神戸市土地区画整理事業の対象となつた同市a区bc丁目d番地の八所在同人所有の土地約四十一坪につき、神戸市に対し右所有地を換地用地として買収方を希望しており、同人により右買収価格の査定につき寛大有利な取扱いを受けたい趣旨のもとに供与されることの情を知りながら、昭和三十三年四月十一日頃同市a区ec丁目f番地喫茶店「B」において、現金五万円の供与を受け、自己の職務に関し収賄したものである。

三 (詐欺の訴因)被告人は、神戸市a区bc丁目に宅地四十坪余を所有しているAが同宅地を神戸市より高価に買収されることを希望しているのを奇貨として、その運動資金名義のもとに金員を騙取しようと企て、昭和三十三年四月十日頃同人に対し、自己は右買収価格査定に関する職務を担当しておらず、又その職務担当の係に対し斡旋運動などしてやる意思がないのにも拘らず、同宅地の買収に関する用務のため建設省に出張する上司に対する運動資金が必要につき明日午前十一時までに五万円出してくれと虚構の事実を申向け同人をしてその旨誤信させ、よつて、翌十一日頃同市a区ec丁目f番地喫茶店「B」において、同人から右土地の高価買収に関する運動資金名義のもとに現金五万円の交付を受けてこれを騙取したものである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年8月20日 昭和39(あ)125
登載
集刑 第152号537頁
参照法条
刑訴法256条,刑訴法312条,刑法246条1項,刑法197条1項
論点9第246条刑法

刑訴法第四〇〇条但書に違反しないとされた事例。

裁判要旨第一審が被告人の所為を詐欺の幇助として認定したのに対し、控訴審が被告人質問によつて事実の取調を行なつたうえ、同一の事実関係を前提として、これを詐欺の共同正犯に問擬した措置は、刑訴法第四〇〇条但書の許さないところではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年6月2日 昭和37(あ)389
登載
集刑 第151号315頁
参照法条
刑訴法400条,刑法246条,刑法60条,刑法62条
論点10第246条刑法

各個の包括一罪をなす詐欺罪の訴因特定方法。

裁判要旨本件公訴事実は同一被害者に対し、一定期間反覆継続して行われた単一意思の発現と認めらるる同種の詐欺行為を包括して、一個の詐欺罪とし、八名の被害者につき各個の訴因毎に、被害者、詐欺の行われた日時(始期と終期)、場所及び被害物件の総計その価格の総額等を明示しているのであるから、詐欺罪の訴因の特定について欠くることなく、右一罪の内容をなす個々の行為につき、更に、日時場所等によりこれを特定する要なき旨の原審の判断は、違法とは認められない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年4月23日 昭和38(あ)2437
登載
集刑 第151号71頁
参照法条
刑法246条1項,刑法45条,刑訴法256条
論点11第246条刑法

公訴事実の同一性を認められた事例。―詐欺の本位的訴因と賍物牙保の予備的訴因―

裁判要旨一 本件記訴状記載の詐欺の事実と予備的訴因追加請求書掲記の賍物牙保の事実との間に公訴事実の同一性を認めた原判断を相当と認める。
二 (原判断の要旨)詐欺の本意的訴因と賍物牙保の予備的訴因の両者が構成要件、罪名を異にし、前者は甲を被害者とする金員騙取の行為であるのに対し後者は乙会社が遺失物に対して有する追及回復の権利を侵害する行為であつて、両者は被害者及び被害法益を異にし一見恰も公訴事実の同一性を害するもののようであるが、後者において第一ないし第四に分割されている各賍物牙保罪を通じてその基本に存する事実関係が、後者における検察官の罪数的評価にもかかわらず前者の事実関係と全面的に重畳融合していることは、いずれの事実関係も丙が本件小切手を拾得したことに縁由し、被告人から第一審相被告人A、B、Cに順次右小切手の割引換金の依頼承諾がなされ、いずれも右小切手の正当に入手されたものでないことを知りながら敢てなした右一連の依頼承諾に基づき、究極において甲から割引換金を受けたというに帰するのであり、被告人及びA、B、C三名の現実の行為はその内容、日時、場所等同一であつて、この同一の事実関係を本位的訴因は詐欺罪に該るものと評価し、予備的訴因は賍物牙保罪に該るものと評価するに過ぎないのであつて、畢竟両者は基本的事実関係を同じくするものというべく公訴事実の同一性において欠くるところはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月22日 昭和37(あ)2463
登載
集刑 第151号67頁
参照法条
刑法246条,刑法256条2項,刑訴法312条,刑訴法256条
論点12第246条刑法

変造にかかる預金通帳による変造金額の払戻請求と詐欺罪成立の範囲

裁判要旨真実の預金額よりも多額に変造した預金通帳を行使して、払戻名義の下にその変造金額の交付を受けたときは、その全額につき詐欺罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年1月12日 昭和34(あ)810
登載
集刑 第141号1頁
参照法条
刑法246条1項,刑法162条,刑法163条
論点13第246条刑法

型の適用に関する裁判所の裁量権。―刑法第二四六条第一項〈詐欺〉の法定刑

裁判要旨刑法二四六条一項〈詐欺〉は、「人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス」る旨を規定し、詐欺の犯罪構成要件の定め方に明確を欠くところはない。そして右のように刑の適用に関し裁判所の裁量権を広く認めているのは、形式的標準によつて量刑を拘束することを不当とする立法政策によるものであつて、量刑については、犯人の性行、経歴、環境、犯行の動機、手段方法、実害の大小等犯人の主観及び客観の事情を併せ考察してその適切を期すべきことを当然の前提とするものであり、決して裁判所の恣意を許す趣旨に出たものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年6月16日 昭和36(あ)588
登載
集刑 第138号455頁
参照法条
刑法246条1項,刑訴法333条
論点14第246条刑法

一 適法な上告理由にあたらない事例
二 包括一罪と認められる事例

裁判要旨一 包括一罪として法令を適用したのに対し、右は併合罪であるとして判例違反を主張することは、自己に不利益な主張であつて適法な上告理由にあたらない。
二 被害者の子女を真実一流歌手として世に出しうる社会的地位背景なくその見込もないのに、その旨欺罔して金員を騙取しようと企て、種々術策を弄してその旨誤信させ、因つて右運動費等の名目で昭和三三年九月三〇日被害者の別宅で二万円、同年一〇月六日頃同本宅で一〇万円、同月一〇日頃同所で二万円、同月一三日頃同所で三万五千円、同月二四日頃同所で壱万円の各交付を受けてこれを騙取所為は、包括一罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和35年6月16日 昭和35(あ)265
登載
集刑 第134号87頁
参照法条
刑法45条,刑法246条1項,刑訴法402条,刑訴法405条2号
論点15第246条刑法

一 国鉄公傷年金証書は財物か
二 担保に供した国鉄公傷年金証書に対する詐欺罪の成立

裁判要旨一 国鉄公傷年金証書は、刑法にいわゆる財物にあたる。
二 国鉄公傷年金証書はこれを債権の担保に供することは法令上禁止され無効であるとしても、該年金の受給者がその証書を債権担保のため債権者に差入れた後債権者を欺罔して右証書を交付させたときは、刑法第二四二条〈他人の占有等に係る自己の財物〉にいわゆる「他人ノ財物ト看做」された自己の財物を騙取した詐欺罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月28日 昭和31(あ)4282
登載
刑集 第13巻10号2906頁
参照法条
刑法242条,刑法246条1項,刑法251条,国有鉄道共済組合規則(昭和15年鉄道省令7号)34条,国有鉄道共済組合規則(昭和135鉄道省令7号)31条,公共企業体職員等共済組合法29条,恩給法11条
論点16第246条刑法

詐欺の実行の着手が認められる事例。

裁判要旨屑鉄商である被告人が、製鋼会社の屑鉄納入商の下請商に屑鉄を供給するにあたり、右会社計量場における検収に際し、秤量器に操作して同所検収係員を欺罔して水増秤量させ、その結果を実量と誤信させて検収せしめた以上、右下請商に対する水増秤量分の屑鉄代金騙取の実行の着手があつたものと認められる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和34年5月19日 昭和31(あ)1552
登載
集刑 第129号871頁
参照法条
刑法43条,刑法246条,刑法250条
論点17第246条刑法

恐喝の手段の中に虚偽の部分がある場合の擬律。―恐喝罪か、詐欺罪か―

裁判要旨第一審の確定した事実によれば、被告人は原判示Aが煙草の密耕作を行つたことを聞知し、これを奇貨とし、同人より金品を喝取しようの企て、Bと共謀の上、Bを刑事に仕立てて、右A方に赴き、同人に対し、原判示の如く申し向け、同人をしてこの儘放置すれば、煙草の密耕作で検挙されるものと畏怖させ、更に、同人に対し、「新聞社への口止料を出せ」と申し向け、若しこれを拒絶するにおいては、検挙に至るものと感得畏怖せしめ、よつて原判示の如く、他人と共謀の上又は単独にて、同人から金品を喝取したというにあり、なる程被告人の施用した手段の中には、虚偽の部分があり原判示Aがその虚偽の事実に欺かれたことは、まさに所論のとおりであるが、その虚偽の部分も同人に畏怖の念を生ぜしめる一材料となり、その畏怖の結果として原判示金品を被告人等に交付する決意をするに至つたと認められる以上、縦令その施用手段中に虚偽の部分があつても、全体としてそれは詐欺罪をもつて論ずべきではなく、恐喝罪をもつて論ずべきものである
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年6月18日 昭和30(あ)2214
登載
集刑 第126号409頁
参照法条
刑法249条1項,刑法246条1項
論点18第246条刑法

一 公訴事実の同一性の認められる一事例
二 業務上横領と詐欺

裁判要旨被告人はA事務局の外務員として同連盟賛助会員の募金並びに賛助金集金等の業務に従事中、昭和二六年三月二四日頃から同年八月一六日頃までの間二五回にわたつてB株式会社外二四名から集金した合計一七五〇〇〇円をその都度ほしいままに着服横領したとの業務上横領の訴因と、被告人は昭和二五年一〇月末まで右事務局員として右事務に従事し同日解職されたものであるが、なお右事務局員であるが如くよそおい前記期間中右二五名から賛助金名義で前記金額を騙取したとの詐欺の訴因とは、事実の同一性を失わない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年11月9日 昭和29(あ)2278
登載
刑集 第10巻11号1531頁
参照法条
刑訴法312条,刑訴法256条,刑法253条,刑法246条
論点19第246条刑法

刑訴第四一一条一号にあたる一事例 ―詐欺の犯意の認定の審理不尽、理由不備の違法―

裁判要旨被告人が欺罔手段を弄し、選挙管理委員会をして、選挙権者に、特別投票用紙および特別投票者証明書を郵送させたという事案において、右選挙権者がその特別投票用紙等を受け取る権利のある者であるか否か、或いは被告人が右選挙権者にその権利ありと信じていたか否かを審理しないで、たんに手段に欺罔行為があつたという一事(被告人が選挙管理委員会に対し、何等予め当該選挙人の承認を得たものでないことを十分知つていながら、勝手に選挙人の名義を用いて、本人よりの請求の如く装い、特別投票用紙等の請求手続をしたことが認め得られるという一事)をもつて、ただちに被告人の詐欺の犯意を認定し得るとすることは、審理不尽、理由不備の違法があつて刑訴第四一一条第一号にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年4月5日 昭和27(あ)4768
登載
集刑 第104号1頁
参照法条
刑訴法411条1号,刑法246条1項,地方自治法(昭和25年4月法律101号による改正前)34条1項3号,同施行令(昭和25年5月政令113号による改正前)36条1項,同施行令(昭和25年5月政令113号による改正前)37条1項3号,公職選挙法49条,公職選挙法施行令52条
論点20第246条刑法

主訴因を詐欺罪、予備的訴因を物価統制令違反罪(不当高価販売)とした起訴事実を詐欺罪として判断した判決は同一性質の所為を物価統制令違反罪(不当高価販売)として処断した判例に反するか

裁判要旨主訴因を詐欺罪、予備的訴因を物価統制令違反罪(不当高価販売)とした起訴事実を詐欺罪とした処断した原判決は、同一性質の事件につき訴因を不当高価販売罪として起訴され、判決においても物価統制令違反罪(不当高価販売)の成立を認めた高裁判例に違反するということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年12月26日 昭和29(あ)9
登載
集刑 第111号865頁
参照法条
刑法246条,物価統制令9条ノ2,刑訴法405条3号,刑訴法256条3項
論点21第246条刑法

詐欺罪について訴因の変更を必要としない一事例

裁判要旨被告人が昭和二七年一〇月中旬頃およびその翌日頃の二回に古鉄商A方において、同人に偽造の砲金棒を示してこれが純正な砲金棒であるように装い同人をそのとおり誤信させ砲金棒合計二七本の買受方を承諾させて現金合計二十七万三千五百円を騙取した旨の訴因に対し、被告人が右各日時頃二回に前同所古鉄商B(A方の女)方において前同様の方法で同人を欺罔し砲金棒合計二七本の買受方を承諾させて現金合計二十七万三千五百円を騙取した旨の事実を認定するには、訴因変更の手続を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年10月4日 昭和28(あ)4367
登載
刑集 第9巻11号2136頁
参照法条
刑法246条1項,刑訴法256条,刑訴法312条
論点22第246条刑法

公訴事実の同一性が認められる一事例

裁判要旨所論の本件公訴事実と原審認定事実とは基本的事実関係としては、いずれも同一物件について車票の差換による不法領得という同一行為に関するものであつて、一は所論の日時場所における貨車の転送をもつて窃盗既遂として起訴し他の転送先の駅又は倉庫で管理者より騙取し又は騙取しようとしたと認定したのは単に占有関係の法的価値評価を異にした結果にすぎない。それ故原審認定事実と公訴事実は同一性を失うものではなく所論は理由がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月24日 昭和29(れ)3
登載
刑集 第8巻8号1426頁
参照法条
旧刑訴法291条,旧刑訴法410条18号,刑法235条,刑法246条1項
論点23第246条刑法

倉荷証券に記載された物件の大部分が虚偽無価値のものである場合にその倉荷証券を担保として金融を受けた行為と詐欺罪の成否

裁判要旨倉荷証券に記載されている物件の大部分が虚偽無価値のものであることを知れば相手方は同証券を担保に金員を交付することがなかつた関係がある以上、右倉荷証券自体は真正に成立したものであるため、相手方と倉庫営業所との間における寄託に関する事項は同証券に記載されているところによるとしても刑法第二四六条第一項の詐欺罪の成立を妨げない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年6月11日 昭和27(あ)4447
登載
刑集 第8巻6号859頁
参照法条
刑法246条,商法627条,商法602条,商法599条
論点24第246条刑法

詐欺罪について起訴事実と認定事実とが単に欺罔方法の一部につき差異あるに過ぎない場合と訴因変更の要否

裁判要旨所論公訴事実と原審認定の事実とはその基本的事実関係において相違するところなく、単に欺罔方法の一部に差異あるに過ぎないのであるから、たとえ原審が訴因変更の手続を経ることなく、判示事実を認定したからとて、これによつて、実質的に被告人に不当な不意打を加えその防禦権の行使を妨げたものと認めることはできないのであつて原判決には所論の訴訟法違反もない。(昭和二六年(あ)一三〇三号同二八年三月五日当法廷決定、集七巻三号四四三頁以下参照)
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年4月22日 昭和28(あ)2982
登載
集刑 第94号587頁
参照法条
刑法246条,刑訴法256条,刑訴法312条
論点25第246条刑法

通帳を騙取した行為と右通帳を配給所へ提出して米穀を騙取した行為との関係

裁判要旨米穀通帳を騙取しこれを配給所へ提出し、係員を欺罔して米穀の配給を受けた場合、米穀通帳の詐欺罪のほかに米穀の詐欺罪が成立するのであつて、この二罪は併合罪の関係にあるものと解するのを相当とする。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和28年6月30日 昭和27(あ)1485
登載
刑集 第7巻6号1397頁
参照法条
刑法246条,刑法45条,刑法47条
論点26第246条刑法

一 詐欺罪と背任行為
二 控訴裁判所が第一審判決には法令の適用に誤がありとしてこれを破棄した場合と控訴審における訴因変更の要否

裁判要旨一 他人の事務を処理する者が自己の利益を図り任務に関して本人を欺き財物を交付せしめたときは、詐欺罪が成立し、別に背任罪を構成しない。
二 第一審裁判所が、基礎状記載の訴因と同一の背任罪を認定して刑法第二四七条を適用したが、背任罪として判示したのは法令の誤解であつて判示自体により詐欺の事実が確定されているものと認められる場合には、控訴裁判所は第一審判決を破棄した上、法令適用の誤を正すべきであつて、控訴審において背任の訴因を詐欺の訴因に変更する手続を必要としない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年5月8日 昭和26(あ)3819
登載
刑集 第7巻5号965頁
参照法条
刑法246条,刑法247条,刑訴法256条,刑訴法312条,刑訴法380条
論点27第246条刑法

一 公訴事実に同一性の認められる一場合
二 一審で横領と認定した事実を控訴審で訴因罰条の変更手続を経ることなく占有離脱物横領と認定することの適法な一場合

裁判要旨一 「被告人は甲日、某信用組合において、事務員Aが誤つて他人に支払うべき払戻金三万五千円を被告人に提供せんとするや右誤信に乗じてこれを受け取り騙取した」との詐欺の事実(主たる訴因)と「被告人は甲日某信用組合事務員の過失により他人に支払うべき払戻金三万五千円を受領し帰宅後、事務員Bより財布の内容を尋ねられるや、領得の意思でその返還を拒否して着服横領した」との横領の事実(予備的訴因)とは、公訴事実の同一性があるし控訴審において、これを右はA事務員の真意に基かない授受であるとして、占有離脱物横領と認定することも、公訴事実の同一性を害しない。
二 右の場合、横領を占有離脱物横領と認定するには訴因罰条の変更手続を経るを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年5月29日 昭和26(あ)4626
登載
刑集 第7巻5号1158頁
参照法条
刑訴法312条,刑訴法256条,刑訴規則209条,刑法246条,刑法252条,刑法254条
論点28第246条刑法

一 労働基準法第八五条第一、二項と訴訟の必要的前置手続
二 労働基準法第七九条にいわゆる業務上死亡と認められない一事例

裁判要旨一 労働基準法第八五条第一、二項は訴訟の必要的前置手続を定めたものではない。

二 東京都練馬区a町b内Aに雇われている大工が、平常どおり、その日の作業を終り、就業時間経過後に、右職場を離れて、任意に、東上線電車に乗車し、自宅に帰る途中、誤つてその車輛から顛落死亡した場合は、労働基準法第七九条にいわゆる業務上の死亡にあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和28年11月17日 昭和26(あ)4857
登載
刑集 第7巻11号2185頁
参照法条
労働基準法85条1項,労働基準法85条2項,労働基準法79条,刑法246条
論点29第246条刑法

正当な権利を有する者がその権利を実行するにあたり詐欺恐喝の手段を用いた場合に関する判例と債権回収の目的でした強盗行為

裁判要旨法律上、他人より財物の交付を受け又は財産上の利得を領得すべき正当の権利を有する者が、その権利を実行するにあたり、欺罔又は恐喝の手段を用いて義務の履行をなさしめて財産の交付を受け又は財産上の利益を領得するも、詐欺恐喝の罪を構成することなしとした大審院刑事総部連合の判決(大正二年(れ)第一二一一号同年一二月二三日宣告)は、債権を回収するためとはいえ、虚言をもつて被害者をおびき出した上、突如野球用バツトにその頭部を強打して昏倒させ、その所持していた金品を強取した事案に対しては、判例として適切でない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年3月7日 昭和26(れ)1800
登載
集刑 第62号295頁
参照法条
刑法236条,刑法246条,刑法249条,刑訴法405条3号
論点30第246条刑法

一 公訴犯罪事実につき裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項を起訴状に記載することの違法性
二 詐欺の起訴状に詐欺の前科を記載することと裁判官の予断

裁判要旨一 公訴犯罪事実について、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項は、起訴状に記載することは許されないのであつて、かかる事項を起訴状に記載したときは、これによつてすでに生じた違法性は、その性質上もはや治癒することができないものと解するを相当とする。
二 本件起訴状によれば、詐欺罪の公訴事実について、その冒頭に、「被告人は詐欺罪により既に二度処罰を受けたものであるが」と記載しているのであるが、このように詐欺の公訴について、詐欺の前科を記載することは、両者の関係からいつて、公訴犯罪事実につき、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある事項にあたると解しなければならない。もつとも被告人の前科であつても、それが、公訴犯罪事実の構成要件となつている場合(例えば常習累犯窃盗)又は公訴犯罪事実の内容となつている場合(例えば前科の事実を手段方法として恐喝)等は、公訴犯罪事実を示すのに必要であつて、これを一般の前科と同様に解することはできないからこれを記載することはもとより適法である。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和27年3月5日 昭和25(あ)1089
登載
刑集 第6巻3号351頁
参照法条
刑訴法256条,刑法246条
論点31第246条刑法

一 その裁判所の事件を審判する権限のない裁判官を構成してした公判手続及び公判調書の効力と旧刑訴法第一二条〈拘禁刑〉の決意
二 公務員の身分を有しない者が虚偽の申立をなし情を知らない公務員をして虚偽の証明書を作成させた行為と刑法第一五六条〈虚偽公文書作成等〉の間接正犯
三 公務員の身分を有しない者が虚偽の申立をなし情を知らない公務員をして作成させた虚偽の証明書を行使した行為と虚偽公文書行使罪の成否
四 係員を欺罔して旅券の下附を受ける行為と詐欺罪の成否
五 アメリカ領事館員と刑法にいわゆる「公務員」

裁判要旨一 その裁判所の事件を審判する権限のない裁判官がその裁判所を構成してした公判手段は、無効であつてその公判調書を事実認定の資料とすることは違法である。旧刑訴法第一二条〈拘禁刑〉には「訴訟手続は管轄違ひの理由に因り其の効力を後はず」と規定されているのであるがこの規定は本来裁判権を有する裁判所に事件を分配することを目的とする事物及び土地の管轄に関する規定の違背があつても、唯それだけの事由では訴訟手続を無効たらしめるものでないこと明らかにしたに過ぎないものであつて管轄権ある裁判所を構成する裁判官その人がその裁判所に繋属ずる事件を審判する権限のなかつたような場合にまで拡張解釈して準用すべきものではないのである。
二 公務員の身分を有しない者が、虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し、情を知らない同係員をして村長名義の虚偽の証明書を作成させた行為は、刑法第一五六条〈虚偽公文書作成等〉の間接正犯として処罰すべきではない。
三 公務員の自分を有しない者が虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し、情を知らない同係員をして作成させた村長名義の虚偽の証明書を行使しても、虚偽公文書行使罪にあたらない。
四 係員を欺罔して旅券の下附を受ける行為は詐欺罪にあたらない。
五 アメリカ領事館員は刑法にいわゆる「公務員」にあたらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和24(れ)1496
登載
刑集 第6巻12号1387頁
参照法条
旧刑断法12条,旧刑断法60条1項2項,旧刑断法410条1号,裁判所法47条,刑法155条,刑法156条,刑法157条,刑法158条,刑法246条,刑法7条
論点32第246条刑法

一 事実認定を異にする判例を援用してした判例違反の主張の適否
二 判決書に裁判所の「部名」を表示することの要否

裁判要旨一 第一審判決は、被害者Aが、被告人は検事であるから代金は支払つてくれるものと誤信した結果、金約五百円に相当する酒食を被告人に提供した事実を認定し、原判決もこの事実認定を肯定しているのである。しかるに所論援用の当裁判所判例では、被害者は畏怖の結果として財物の交付をするに至つた場合なのであるから、本件とは事例を異にし、従つて、原判決は何等右判例と相反する判断を示しているものではない。
二 判決書には裁判所名を示すを以て足り部名を表示することは、刑訴法上要請されていない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年8月9日 昭和25(あ)2884
登載
集刑 第51号793頁
参照法条
刑訴法405条2号,刑訴法405条3号,刑訴法44条,刑法246条,刑法249条,刑訴規則55条,刑訴規則58条
論点33第246条刑法

一 「モミ」賭博の方法と詐欺罪の成立
二 いわゆる「モミ」賭博による詐欺の実行の着手
三 被害者の金銭の不所持と「モミ」賭博による詐欺未遂罪の成否

裁判要旨一 原審の認定した事実によれば、本件詐欺は俗にモミと称する詐欺賭博によるものであつて、見物人には一の数字を書いた紙玉を落し入れると称して金を賭けさせ、金を賭けたものが一の数字のある紙玉を拾い上げたときは賭金の三倍相当の金をやり、もし他の数字のある紙を拾うたときはその賭金は胴元の所得とするという方法であり、被告人においては一の数字のある紙玉を「数他玉中に落して混ぜるように見せかけ、実際は混入せず巧に自分の手中で他の数字を書いた紙玉と取替え」るというのであるから、賭金した見物人には勝つ機会が全くないに拘らず、その機会があるかのように欺罔して賭金を騙取するのである。論旨は、モミ賭博に手品が介在することは社会常識であるから詐欺にはならないと主張するがかかる場合に客は手品に乗らないつもりで賭けても胴元の手品に引かかるのであるから、やはり錯誤に陥つた結果金銭を交付するのであつて詐欺の要件を具えていることはいうまでもない。
二 原審の認定した本件詐欺の方法は、第一点に説明した通りであつて、原判決の認識した事実は賭金した見物人には勝つ機会が全くないのに拘らずその機会があるように「盛にその方法によつて客に勝負をすすめ、被告人AとB、C等は見物人の中に居て勝負するように見せかけて客を誘う所謂サクラの役をつとめ、被告人Dは見張となつて戒の役をしていると見物人中のEことF(当時二十五年)がうまく欺しの手に乗つて勝負しようと決定し」たというのであるから欺罔着手のあつたことは極めて明白である。
三 旅行中の船客は多少の金銭を所有するのが普通であり又他人から金銭を借りることもできたかも知れないのであるからたまたまFが賭金に足りるだけの金銭を持つていなかつたと仮定しても金銭騙取という結果発生の可能性はあつたのである。されば、詐欺の被害物件がないのに犯罪成立するものとした違法があるとの論旨は理由がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年5月8日 昭和25(れ)1715
登載
刑集 第5巻6号1004頁
参照法条
刑法246条1項,刑法43条,刑法60条,刑法246条,刑法250条
論点34第246条刑法

一個の通帳に基く数個の詐欺受配行為と罪数

裁判要旨刑法第五五条〈削除〉が削除された後においては、いわゆる犯意の継続があつたからとて、それだけで数個の行為を一罪として処断しなければならないという理由はない。本件についてみれば、原審が認定しているように、各受配の度毎にそれぞれ別個の欺罔行為が認められる以上、たとえそれが一個の配給通帳に基き、継続した意図の下にくりかえされたものであつても、各受配行為ごとに一個の詐欺罪が成立するものといわなければならない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年5月8日 昭和26(れ)131
登載
刑集 第5巻6号1012頁
参照法条
刑法55条(削除前),刑法45条,刑法246条1項
論点35第246条刑法

一 刑訴施行法第二条〈すべての者の国外犯〉の合憲性

二 食糧緊急措置令第一〇条〈刑の軽重〉本文を適用した主要食糧不正受配の事実につき詐欺罪を以て問擬すべしと主張する上告の適否

裁判要旨一 新刑訴法を如何なる時から如何なる事件に適用するかは、経過法の制定に際して諸般の事情を勘案して決せらるべき問題で法律に一任されているところである。従つて刑訴施行法第二条〈すべての者の国外犯〉が新刑訴法施行前に公訴の提起があつた事件について新法施行後もなお旧刑訴応急措置法を適用すべき旨を規定したとしても何等憲法に違反するものではなく(昭和二三年(れ)第一五七七号同年五月一八日大法廷判決、第三巻六号八四七頁参照)。しかも同条は「すべて同類型の事件に同様の取扱をなすものであつて、もとより憲法第一四条の平等の原則に違反するものではない」(昭和二四年(れ)第二三二号同二五年七月一九日大法廷判決集四巻八号一四二九頁参照)。

二 原判決は単に主食の不正受配の事実を認定しただけであつて、被告人に詐欺の犯意があつたことを認定してはいないのである。従つて原審が本件につき食糧緊急措置令第一〇条〈刑の軽重〉本文を適用しただけで刑法第二四六条第一項によつて処断しなかつたのは当然であり、原判決には所論のような違法はない。しかも本件において原審が適用した食糧緊急措置令第一〇条よりも重い法定刑を定めている詐欺罪を以て問擬すべしとなす論旨は、被告人のため不利益を主張するものに外ならないのであつて上告適法の理由とならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年3月29日 昭和26(れ)53
登載
集刑 第42号861頁
参照法条
憲法14条,刑訴施行法2条,旧刑訴法409条,旧刑訴法403条,刑法246条1項,食糧緊急措置令10条本文
論点36第246条刑法

一 被告人のみの申立てた上告事件において上告裁判所が罰金刑を言渡した第二審判決を破棄し懲役刑のみに該る罪に問擬し自判する場合の言渡刑
二 金融機関でない者が金融機関従業員を欺き封鎖支払を受けた場合の罪責

裁判要旨一 金融緊急措置令第一条第一項〈国内犯〉(第三条第二項〈国民の国外犯〉)第一一条〈死刑〉を適用し罰金刑を言渡した第二審判決に対し、被告人だけから上告申立のあつた事件において上告裁判所が右判決には事実の確定に影響を及ぼさない法令の違反があるとして、右判決を破棄し刑法第二四六条第一項を適用して更に判決をするときは、上告裁判所は旧刑訴法第四五二条により被告人に対し罰金刑の言渡をすることができる。
二 金融緊急措置令は、毫もその支払受領者側を罰していない。されば、同令第一一条所定の第一条第三条、第二項若しくは第四条〈公務員の国外犯〉違反罪を規定した立法趣旨は、差し当り単に同令第八条所定の金融機関に従事する者であつて、現にその違法行為をなした者のみを処罰するだけで足りるとする趣旨に出たものと解するを相当する。従つて、金融機関でない支払受領者が欺罔手段を以て犯意なき金融機関従業者を錯誤に陷れ封鎖預金等を支払わしめたとしても、詐欺罪を構成するは格別前記措置令第一一条違反の間接正犯を以て論ずべきものではない。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和26年1月17日 昭和24(れ)875
登載
刑集 第5巻1号1頁
参照法条
金融緊急措置令1条1項,金融緊急措置令11条,金融緊急措置令3条,金融緊急措置令1条,旧刑訴法452条,刑法246条
論点37第246条刑法

詐欺罪につき実行の着手があるとされた事例

裁判要旨現金を被害者宅に移動させた上で,警察官を装った被告人に現金を交付させる計画の一環として述べられた嘘について,その嘘の内容が,現金を交付するか否かを被害者が判断する前提となるよう予定された事項に係る重要なものであり,被害者に現金の交付を求める行為に直接つながる嘘が含まれ,被害者にその嘘を真実と誤信させることが,被害者において被告人の求めに応じて即座に現金を交付してしまう危険性を著しく高めるといえるなどの本件事実関係(判文参照)の下においては,当該嘘を一連のものとして被害者に述べた段階で,被害者に現金の交付を求める文言を述べていないとしても,詐欺罪の実行の着手があったと認められる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成30年3月22日 平成29(あ)322
登載
刑集 第72巻1号82頁
参照法条
刑法43条,刑法246条,刑法250条
論点38第246条刑法

詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして自宅で受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例

裁判要旨宅配便で現金を送付させてだまし取る特殊詐欺において,被告人が自宅に配達される荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして受け取り,直ちに回収役に渡す仕事を複数回繰り返して多額の報酬を受領していること,被告人は荷物の中身が詐欺の被害品である可能性を認識しており,現金とは思わなかったなどと述べるのみで詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情は見当たらないことなどの本件事実関係(判文参照)の下では,被告人には,詐欺の故意に欠けるところはなく,共犯者らとの共謀も認められる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成30年12月14日 平成28(あ)1808
登載
刑集 第72巻6号737頁
参照法条
刑法60条,刑法246条1項
論点39第246条刑法

指示を受けてマンションの空室に赴き詐欺の被害者が送付した荷物を名宛人になりすまして受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例

裁判要旨マンションの空室に宅配便で現金を送付させてだまし取る特殊詐欺において,被告人が指示を受けてマンションの空室に赴き,そこに配達される荷物を名宛人になりすまして受け取り,回収役に渡すなどしていること,被告人は同様の受領行為を多数回繰り返して報酬等を受け取っており,犯罪行為に加担していると認識していたこと,詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情は見当たらないことなどの本件事実関係(判文参照)の下では,被告人には,詐欺の故意に欠けるところはなく,共犯者らとの共謀も認められる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成30年12月11日 平成29(あ)44
登載
刑集 第72巻6号672頁
参照法条
刑法60条,刑法246条1項
論点40第246条刑法

共犯者による欺罔行為後だまされたふり作戦開始を認識せずに共謀の上被害者から発送された荷物の受領行為に関与した者が詐欺未遂罪の共同正犯の責任を負うとされた事例

裁判要旨共犯者による欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに共犯者らと共謀の上,詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた被害者から発送された荷物の受領行為に関与したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず,被告人はその加功前の欺罔行為の点も含め詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負う。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成29年12月11日 平成29(あ)1079
登載
刑集 第71巻10号535頁
参照法条
刑法60条,刑法250条,刑法246条1項
論点41第246条刑法

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)3条1項9号〈国民の国外犯 第二百十四条から第二百十六条まで(業務上堕胎及び同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷)の罪〉にいう「詐欺罪に当たる行為を実行するための組織」に当たるとされた事例

裁判要旨リゾート会員権の販売等を目的とする団体の実質オーナーである被告人を始めとする主要な構成員において,当該団体が実質的な破綻状態にあり,集めた預託金等を返還する能力がないことを認識したにもかかわらず,それ以降も,当該団体の役員及び従業員によって構成される組織による営業活動として,預託金等の名目で金銭を集める行為を継続したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,上記組織は,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)3条1項9号〈国民の国外犯 第二百十四条から第二百十六条まで(業務上堕胎及び同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷)の罪〉にいう「詐欺罪に当たる行為を実行するための組織」に当たり,その組織が元々は詐欺罪に当たる行為を実行するための組織でなく,また,その組織の中に詐欺行為に加担している認識のない者が含まれていたとしても,別異に解すべき理由はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成27年9月15日 平成27(あ)177
登載
刑集 第69巻6号721頁
参照法条
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)2条1項,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成23年法律第74号による改正前のもの)3条1項9号,刑法246条
論点42第246条刑法

約款で暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨定めている銀行の担当者に暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明,確約して口座開設等を申し込み通帳等の交付を受けた行為が,詐欺罪に当たるとされた事例

裁判要旨暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明,確約して銀行の担当者に口座開設等を申し込み,通帳等の交付を受けた行為は,当該銀行において,政府指針を踏まえて暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨の約款を定め,申込者に対し暴力団員でないことを確認していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,刑法246条1項〈詐欺〉の詐欺罪に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年4月7日 平成24(あ)1595
登載
刑集 第68巻4号715頁
参照法条
刑法246条1項
論点43第246条刑法

暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為が,詐欺罪にいう人を欺く行為に当たらないとされた事例

裁判要旨暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において,暴力団関係者であるビジター利用客が,暴力団関係者であることを申告せずに,一般の利用客と同様に,氏名等を偽りなく記入した受付表等を提出して施設利用を申し込む行為は,ゴルフ場の従業員から暴力団関係者でないことを確認されなかったなどの本件事実関係(判文参照)の下では,申込者が当然に暴力団関係者でないことまで表しているとは認められず,詐欺罪にいう人を欺く行為には当たらない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年3月28日 平成25(あ)3
登載
刑集 第68巻3号582頁
参照法条
刑法246条2項,刑訴法411条3号
論点44第246条刑法

入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずに同人に関するゴルフ場の施設利用を申し込み,施設を利用させた行為が,刑法246条2項〈詐欺〉の詐欺罪に当たるとされた事例

裁判要旨ゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずにそのゴルフ場の施設利用を申し込み,同人に施設を利用させた行為は,入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,刑法246条2項〈詐欺〉の詐欺罪に当たる。
(意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年3月28日 平成25(あ)725
登載
刑集 第68巻3号646頁
参照法条
刑法246条2項
論点45第246条刑法

暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為が,詐欺罪にいう人を欺く行為に当たらないとされた事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成26年3月28日 平成25(あ)911
登載
集刑 第313号329頁
参照法条
刑法246条2項,刑訴法411条3号
論点46第246条刑法

他の者を搭乗させる意図を秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求してその交付を受けた行為が,詐欺罪に当たるとされた事例

裁判要旨外国行きの自己に対する搭乗券を他の者に渡してその者を搭乗させる意図であるのにこれを秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に対し乗客として自己の氏名が記載された航空券を呈示して搭乗券の交付を請求し,その交付を受けた行為は,搭乗券の交付を請求する者が航空券記載の乗客本人であることについて厳重な確認が行われていたなどの本件事実関係の下では,刑法246条1項〈詐欺〉の詐欺罪に当たる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成22年7月29日 平成20(あ)720
登載
刑集 第64巻5号829頁
参照法条
刑法246条1項
論点47第246条刑法

1 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例
2 包括一罪を構成する街頭募金詐欺について,その罪となるべき事実の特定に欠けるところはないとされた事例

裁判要旨1 街頭募金の名の下に通行人から現金をだまし取ろうと企てた者が,約2か月間にわたり,事情を知らない多数の募金活動員を通行人の多い複数の場所に配置し,募金の趣旨を立看板で掲示させるとともに,募金箱を持たせて寄付を勧誘する発言を連呼させ,これに応じた通行人から現金をだまし取ったという本件街頭募金詐欺については,(1)不特定多数の通行人一般に対し一括して同一内容の定型的な働き掛けを行って寄付を募るという態様のものであること,(2)1個の意思,企図に基づき継続して行われた活動であること,(3)被害者が投入する寄付金を個々に区別して受領するものではないことなどの特徴(判文参照)にかんがみると,これを一体のものと評価して包括一罪と解することができる。
2 包括一罪を構成する判示のような街頭募金詐欺の罪となるべき事実については,募金に応じた多数人を被害者とした上,被告人の行った募金の方法,その方法により募金を行った期間,場所及びこれにより得た総金額を摘示することをもってその特定に欠けるところはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成22年3月17日 平成21(あ)178
登載
刑集 第64巻2号111頁
参照法条
(1,2につき)刑法246条1項 (2につき)刑訴法335条1項
論点48第246条刑法

詐欺罪の事案につき宗教上の教義の真偽を判断しているから信教の自由を侵害しているとの違憲主張が欠前提処理された事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成20年8月27日 平成19(あ)170
登載
集刑 第295号1頁
参照法条
憲法20条1項,憲法76条1項,刑法246条1項
論点49第246条刑法

Yが投資資金名下にXから金員を騙取した場合に,Xからの不法行為に基づく損害賠償請求においてYが詐欺の手段として配当金名下にXに交付した金員の額を損益相殺等の対象としてXの損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例

裁判要旨Yが自己を介して米国債を購入すれば高額の配当金を得ることができると架空の事実を申し向けてXから金員を騙取した場合において,Yが,詐欺の発覚を防ぎ,更なる詐欺を実行するための手段として,あたかも米国債を購入して配当金を得たかのように装い,配当金名下にXに金員を交付したという事情の下では,XのYに対する不法行為に基づく損害賠償請求において同金員の額を損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象としてXの損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年6月24日 平成19(受)1146
登載
集民 第228号385頁
参照法条
民法708条,民法709条,刑法246条1項
論点50第246条刑法

預金通帳等を第三者に譲渡する意図を秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項〈詐欺〉の詐欺罪に当たるか

裁判要旨預金通帳等を第三者に譲渡する意図であるのに,これを秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み,預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項〈詐欺〉の詐欺罪に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年7月17日 平成18(あ)2319
登載
刑集 第61巻5号521頁
参照法条
刑法246条1項,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律16条の2第1項,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律16条の2第2項
論点51第246条刑法

公共工事の請負者が,地方公共団体から使途を限定して請負者名義の預金口座に振り込まれた前払金につき,上記使途に沿った支払と偽って,払出しに係る金員を領得したことが詐欺罪に当たるとされた事例

裁判要旨公共工事の請負者甲が,地方公共団体から使途を限定して甲名義の預金口座に振り込まれた前払金につき,上記使途に沿った下請業者乙に対する支払と偽って預金の払出しを請求し,その旨誤信した銀行係員をして,乙に無断で開設していた乙名義の預金口座に振込入金させた行為は,詐欺罪に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成19年7月10日 平成19(あ)156
登載
刑集 第61巻5号405頁
参照法条
刑法246条1項
論点52第246条刑法

国民健康保険被保険者証の詐取と詐欺罪の成否

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年8月21日 平成18(あ)431
登載
集刑 第289号505頁
参照法条
刑法246条1号
論点53第246条刑法

1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人の氏名を冒書する行為と有印私文書偽造罪の成否
2 他人あての送達書類を廃棄するだけの意図で他人を装って受領する行為について詐欺罪における不法領得の意思が認められないとされた事例

裁判要旨1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人である受送達者本人の氏名を冒書する行為は,同人名義の受領書を偽造したものとして,有印私文書偽造罪を構成する。
2 支払督促の債務者を装い郵便配達員を欺いて支払督促正本を受領することにより,送達が適式にされたものとして支払督促の効力を生じさせ,債務者から督促異議申立ての機会を奪ったまま確定させて,その財産を差し押さえようとしたが,支払督促正本はそのまま廃棄するだけで外に何らかの用途に利用,処分する意思がなかったという判示の事実関係の下では,支払督促正本に対する詐欺罪における不法領得の意思を認めることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年11月30日 平成16(あ)761
登載
刑集 第58巻8号1005頁
参照法条
刑法159条1項,刑法161条1項,刑法246条1項,民訴法99条,民訴法109条,民訴法第7編督促手続,郵便法(平成14年法律第98号による改正前のもの)66条
論点54第246条刑法

誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否

裁判要旨誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年3月12日 平成10(あ)488
登載
刑集 第57巻3号322頁
参照法条
刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)246条1項,民法666条
論点55第246条刑法

消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合の罪責

裁判要旨消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上これを利用して同社の現金自動入出機から現金を引き出した場合には,同係員を欺いて同カードを交付させた点につき詐欺罪が成立し,同カードを利用して現金自動入出機から現金を引き出した点につき窃盗罪が成立する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年2月8日 平成13(あ)1341
登載
刑集 第56巻2号71頁
参照法条
刑法235条,刑法246条1項
論点56第246条刑法

交通事故による休業損害補償金として自動車共済契約による共済金を騙し取ったとされた事件において詐欺の故意が認められないとして無罪が言い渡された事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 平成13年1月25日 平成11(あ)1614
登載
集刑 第280号5頁
参照法条
刑法246条1項,刑訴法336条,刑訴法411条3号
論点57第246条刑法

詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて送付先のマンションに設置された宅配ボックスから取り出して受領するなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例

裁判要旨宅配便で現金を送付させてだまし取る特殊詐欺において,被告人が依頼を受け,他人の郵便受けの投入口から不在連絡票を取り出すという著しく不自然な方法を用いて,送付先のマンションに設置された宅配ボックスから荷物を取り出した上,これを回収役に引き渡すなどしていること,他に詐欺の可能性の認識を排除するような事情も見当たらないことなどの本件事実関係(判文参照)の下では,被告人には,詐欺の故意に欠けるところはなく,共犯者らとの共謀も認められる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和元年9月27日 平成30(あ)1224
登載
刑集 第73巻4号47頁
参照法条
刑法60条,刑法246条1項
論点58第246条刑法

依頼を受けて現金自動預払機付近で待機し電子計算機使用詐欺の犯行により増加した預貯金を引き出すなどした者に電子計算機使用詐欺の共謀が認められた事例

裁判要旨還付金等を受け取ることができる旨誤信させられていた者に電話で指示して、振込送金の操作であると気付かせないまま、現金自動預払機で振込送金する操作を行わせ、被告人らの管理する預貯金口座の残高を増加させる電子計算機使用詐欺において、被告人が氏名不詳者らから依頼を受けて同口座のキャッシュカードを所持して現金自動預払機付近で待機し、氏名不詳者らから電話で指示があれば直ちに同キャッシュカードを使用して現金自動預払機から現金を引き出し、報酬を差し引いた残りを回収役に交付したこと、被告人が特殊詐欺等の犯罪行為によって得られた現金を引き出すものである可能性を認識していたことなどの本件事実関係の下では、被告人と氏名不詳者らとの間で、電子計算機使用詐欺の共謀が認められる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和7年7月11日 令和6(あ)264
登載
刑集 第79巻5号199頁
参照法条
刑法60条、刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)246条の2
論点59第246条刑法

不正に入手した暗号資産NEMの秘密鍵で署名した上でNEMの移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為が刑法246条の2〈電子計算機使用詐欺〉にいう「虚偽の情報」を与えたものとされた事例

裁判要旨暗号資産NEMのネットワークに参加している者は、自らの管理するNEMアドレスに紐づけられている秘密鍵でNEMの取引に必要な情報(トランザクション情報)に署名しなければ、NEMの取引を行うことができないのであるから、秘密鍵で署名した上でトランザクション情報をNEMのネットワークに送信することは、正規に秘密鍵を保有する者によるNEMの取引であることの確認のために求められるものといえるという本件事情の下では、不正に入手した秘密鍵で署名した上でNEMの移転行為に係るトランザクション情報をNEMのネットワークに送信した行為は、正規に秘密鍵を保有する者がNEMの取引をするものであるとの「虚偽の情報」をNEMのネットワークを構成するNISノード(サーバ)に与えたものというべきである。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和6年7月16日 令和4(あ)1460
登載
刑集 第78巻3号113頁
参照法条
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(令和4年法律第97号による改正前のもの)11条、刑法246条の2
論点60第246条刑法

人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合において,当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項〈仮釈放の取消し等〉違反の罪に該当するときに,刑法246条1項〈詐欺〉を適用することの可否

裁判要旨人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合,当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項〈仮釈放の取消し等〉違反の罪に該当するとしても,裁判所は当該事実について刑法246条1項を適用することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和3年6月23日 令和2(あ)1528
登載
刑集 第75巻7号641頁
参照法条
刑法246条1項,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項
論点61第247条刑法

図利加害の意欲ないし積極的認容と特別背任罪における図利加害目的

裁判要旨特別背任罪における図利加害目的の存在を肯認するには、図利加害の意欲ないし積極的認容までを要するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和63年11月21日 昭和60(あ)714
登載
刑集 第42巻9号1251頁
参照法条
商法486条1項(昭和56年法律74号による改正前のもの),刑法247条
論点62第247条刑法

背任罪にいわゆる任務違背の行為に当たるとされた事例

裁判要旨信用組合の専務理事である被告人が、自ら所管する貸付事務について、貸付金の回収が危ぶまれる状態にあることを熟知しながら、無担保あるいは不十分な担保で貸付を実行する手続をとつた本件行為は、それが決裁権を有する理事長の決定・指示によるものであり、被告人がその貸付について理事長に対し反対意見を具申したという事情があつたとしても、背任罪にいわゆる任務違背の行為に当たる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月3日 昭和57(あ)671
登載
刑集 第39巻3号131頁
参照法条
刑法247条
論点63第247条刑法

一 刑法二四七条〈背任〉にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」の意義
二 信用保証協会職員の保証業務行為が背任罪に該当するとされた事例

裁判要旨一 刑法二四七条〈背任〉にいう「本人ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」とは、経済的見地において本人の財産状態を評価し、被告人の行為によつて本人の財産の価値が減少したとき又は増加すべかりし価値が増加しなかつたときをいう。
二 信用保証協会の業務の性質上、その行う債務保証が、常態においても同協会に損害を生じさせる場合が少なくないとしても、同協会の支所長が、企業者の資金使途が倒産を一時糊塗するためのものであることを知りながら、委任された限度額を超えて同人に対する債務保証を専決し、あるいは協会長に対する稟議資料に不実の記載をし、保証条件についての協会長の指示に従わないで保証書を交付するなどして、同協会をして企業者の債務を保証せたときは、右支所長は、任務に背き同協会に財産上の損害を加えたものというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年5月24日 昭和56(あ)411
登載
刑集 第37巻4号437頁
参照法条
刑法247条,信用保証協会法1条,信用保証協会法20条
論点64第247条刑法

背任罪の共同正犯ではなく幇助犯が成立するにとどまるとされた事例

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年4月22日 昭和54(あ)340
登載
集刑 第227号75頁
参照法条
刑法60条,刑法62条1項,刑法65条1項,刑法247条
論点65第247条刑法

背任罪と預金等に係る不当契約の取締に関する法律五条一項一号〈外国判決の効力〉の罪は法条競合か

裁判要旨刑法二四七条〈背任〉の背任の罪と預金等に係る不当契約の取締に関する法律五条一項一号〈外国判決の効力〉の罪との間にいわゆる法条競合の関係はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和50年4月3日 昭和45(あ)2415
登載
刑集 第29巻4号63頁
参照法条
刑法第1編第9章,刑法247条,預金等に係る不当契約の取締に関する法律5条1項1号,預金等に係る不当契約の取締に関する法律5条2項,預金等に係る不当契約の取締に関する法律3条
論点66第247条刑法

村長が給与所得者に対し村民税の過少賦課徴収をしたことが背任行為にあたるとされた事例

裁判要旨村長が、給与所得を有する村民税納税義務者に対する所得割の賦課に際し、村条例の規定にしたがった課税総所得金額の算定をせず、村条例になんら規定がないのに、総収入金額から、それが一〇〇万円以下のものについてはその三九パーセントにあたる金額を、それが一〇〇万円をこえるものについては三九万円を、それぞれ控除し、それに相応する額の過少賦課をしたうえ、同額の過少徴収をすることは、法令上許されず、村長の任務に違背する行為である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年3月2日 昭和44(あ)10
登載
刑集 第26巻2号67頁
参照法条
刑法247条,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)313条1項,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)313条2項,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)314条の2第1項,地方税法(昭和39年法律29号による改正前のもの)3条1項,所得税法(昭和22年法律27号)9条1項(昭和39年法律20号による改正前のもの)
論点67第247条刑法

横領罪が成立するとされた事例

裁判要旨一 一審判決認定の事実関係の下で、被告人の所為を横領罪に当るとした原判断は正当である。
二 (原判断の大要は、次のとおり)「不動産(時価千万円位相当)の所有者からその不動産を担保として銀行から資金の融資を受け、一年以内に礼金(五〇万円位)を添えきれいにして返す旨の約で、一時登記名義を移すために必要な書類等を預かり、移転登記を経て、法律上これを占有した者が、期限内に弁済できる見込がないのにかかわらず、他人から四〇七万円を期限二ケ月半の約で借り受けるにあたり右不動産につき右債務不履行を停止条件とする代物弁済契約をなし、その旨の登記をなすが如きは、原状回復義務の履行不能を予見しつつ不動産を処分するものにほかならず所有者でなければできない処分行為で、横領罪を構成する。」
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年3月14日 昭和42(あ)2921
登載
集刑 第170号659頁
参照法条
刑法252条,刑法247条
論点68第247条刑法

被告人に会計法規に違反する認識のあつたことをもつて直ちに国に損害を加える認識もあつたとして背任罪の成立を認めるのは相当でないとされた事例

裁判要旨農林省仙台農地事務局八郎潟南部干拓建設事業所長であつた被告人が、不用物品の払下げにあたり、物品管理法(昭和四〇年法律第四一号による改正前のもの)および予算決算及び会計令(昭和三七年政令第三一四号による改正前のもの)の規定に違反し、あらかじめ不用決定等をすることなく、代金納入前に、所管の廃材を引き渡した事実があつたとしても、右代金は物件引渡の二日後に納入され、被告人が、右引渡当時、その代金支払の確実性を信じていたと認められる状況があるとき(判文参照)は、被告人に前記会計法規に違反する認識のあつたことをもつて、直ちに国に損害を加える認識もあつたものとして、背任罪が成立するものとするのは相当でない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年4月26日 昭和41(あ)1568
登載
刑集 第22巻4号301頁
参照法条
刑法247条,物品管理法(昭和40年法律41号による改正前のもの)28条,予算決算及び会計令(昭和37年政令314号による改正前のもの)73条
論点69第247条刑法

一 横領罪ではなく背任罪が成立するとされた事例。
二 刑訴法第四一一条第一号にあたらないとされた事例。

裁判要旨一 農業協同組合の組合長である被告人が、任務に背いて組合名義をもつて約束手形を振出したときは、背任罪が成立し、その手形を組合の当座預金から払出して支払つた行為もまた右背任罪の一部であつて、別に横領罪を構成するものではない。
二 原判決の認定する被告人の犯行が、合計二四回総額一、三四一万円に達する業務上横領並びに合計六回総額二、二三〇万円に達する背任の所為である場合において、原判決が法令の適用を誤り、背任罪とすべきものを業務上横領として処断したのが、そのうち合計四回総額一六五万円にすぎないときは、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年5月27日 昭和39(あ)2013
登載
刑集 第19巻4号396頁
参照法条
刑法247条,刑法253条,刑訴法411条1号
論点70第247条刑法

農地を売り渡し、代金を受領した者が、該農地につき県知事の許可前に第三者のためにした抵抗権設定行為と該農地の買主に対する背任罪の成立。

裁判要旨県知事の許可を条件として農地を売り渡し、代金を受領した者が、右許可前に該農地につき自己の債務の担保として擅に第三者のため抵当権を設定し、その登記を経たときは、該農地の買主に対する背任罪が成立する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年7月9日 昭和37(あ)2444
登載
刑集 第17巻6号608頁
参照法条
刑法247条
論点71第247条刑法

刑法第二四七条〈背任〉にいわゆる「財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」の意義。

裁判要旨刑法第二四七条〈背任〉にいわゆる「財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」とは、財産上の実害を発生させた場合のみでなく、実害発生の危険を生じさせた場合をも包含する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月28日 昭和37(あ)1931
登載
刑集 第17巻2号166頁
参照法条
刑法247条
論点72第247条刑法

刑法第二四七条〈背任〉にいわゆる「財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」の意義

裁判要旨刑法第二四七条〈背任〉にいわゆる「財産上ノ損害ヲ加ヘルトキ」とは、財産上の実害を発生せた場合だけでなく、実害発生の危険を生じさせた場合をも包含する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月13日 昭和33(あ)1199
登載
刑集 第16巻2号68頁
参照法条
刑法247条
論点73第247条刑法

一 背任罪(農業共同組合法違反)の成立する事例。
二 訴因変更の手続を要しない事例。―業務上横領と背任

裁判要旨一 原審の確定した事実関係の下においては、本件行為が岐阜県販売農業協同組合連合会の事業の範囲外の行為であつて、農業協同組合法に違反するものであるとした原審の判断は正当である。
二 (原判決の要旨)被告人A等が販連の資金をその事業の範囲外において融資(貸付)することは、販連定款及び農業協同組合法により固く禁止されており、これに違反することはその任務に背く行為であるのにかかわらず、同人等はその情を知りながら役員会に諮りB活性炭株式会社に対し事業資金の融資を図らんことを決意し、B、C等と共謀の上、同年度第十回役員会を開催し「活性炭素取扱に関する件」と題する議案を提出して、販連より同社に対し融資(貸付)をする旨の議決をなした上、その後右融資を隠蔽するため……同組合をして架空または虚偽の内容を記載した薪炭発送報告書(空発報と略称)を作成してこれを販連に送付させ、そして同空発報にもとずき販連より同社に対し融資する旨を決定し……販連に対し財産上の損害を加えた。
三 業務上横領の控訴事実につき、訴因変更の手続を経ないで、背任の犯罪事実を認定しても差支えない。
四 (公訴事実の要旨)被告人Dは岐阜県販売農業協同組合連合会の会計主任として……いたものであるが被告人B、Cより依頼を受け、共謀の上E銀行F支店の普通預金として業務上保管中の販連の資金中より百五十万円を引出し、ほしいままにG化工株式会社の設立資本金として利用する目的をもつて同銀行の被告人B名義の普通預金口座に入金して横領したものである。
五 (原審認定の要旨)販連の会計主任として……いた被告人Dは第三者の利益を図り、その任務に背き、或いは本人たる販連に財産上の損害を加うべきことを認識しながら、業務上保管中の販連の資金中より百五十万円を販連名義をもつてG化工株式会社に不正融資(貸付)し、その結果、右金員の回収を不能ならしめて、販連に同額の財産上の損害を加えたものであるから、背任罪を構成する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年4月27日 昭和34(あ)2130
登載
集刑 第137号633頁
参照法条
農業協同組合法1条,農業協同組合法10条,刑法247条,刑法253条,刑訴法312条
論点74第247条刑法

背任罪の成立する事例。

裁判要旨村長が特定の個人の選挙運動資金を村費から支出するため、該個人の利益を図り、道路改修工事補助金名下に実際の所要経費に右運動資金所要見込額を水増した内容不実の歳出追加更正予算案(道路修繕維持費)を発案し、その旨あらかじめ村議会協議会において村議会議員に諮議しその無修正可決につき諒解を得た上右予算案を村議会本会議に提出し、所期のとおりその議決を得た後、村収入役代理に対し右予算に基き道路改修工事補助金支払名義をもつて前記運動資金所要見込額相当の金員の支出を命令し、これを右資金保管者に対し村公金中から支払わせて村に同額の財産上の損害を加えたときは、村長の任務に違背し、背任罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月8日 昭和32(あ)1074
登載
刑集 第13巻10号2747頁
参照法条
刑法247条
論点75第247条刑法

信用組合の支店長等の預金者に対するいわゆる預金謝礼金の交付および融資希望者に対する不正高利の貸付がともに業務上横領罪を構成するとされた事例。

裁判要旨信用組合の支店長等が、支店の預金成績の向上を装うため、勧誘に応じた一部預金者に対し、正規の利息のほかに多額の金員を自己の業務上保管する組合の金員中から預金謝礼金名下に勝手に支出交付し、同謝礼金を補填するため、正規に融資を受ける資格のない者に対し、前同様組合の金員を貸付名下に高利をもつて勝手に支出交付したときは、それが自己の計算においてなされたものである限り、いずれも業務上横領罪を構成する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年10月10日 昭和31(あ)1324
登載
刑集 第12巻14号3246頁
参照法条
刑法253条,刑法247条
論点76第247条刑法

一 訴因、罰条の追加、変更をさせないで審判することが違法と解せられる事例
二 背任の成立しない事例
三 期待可能性についての無用の判示と判例違反

裁判要旨一 第一審が業務上横領罪の訴因、罰条について判決した事件について、控訴審が背任の点についても既に十分な証拠調がされているというだけの理由で、未だ任務に背いたか否かの点について十分な防禦を尽していると認められないのにかかわらず、背任について訴因罰条の追加、変更なしに審判することは違法である。
二 A公団BA局長が先に従業員に貸し付けた越冬資金の返済方を強行すれば、ストライキは避けられない情勢の下において、石炭操作賃金名義で資金を作り、恰も帳簿上右越冬資金の返済があつたかのように装つて、規定上は許されない右資金の返済方の免除を行つたからといつて、直ちに背任罪を構成するとはいえない。
三 右の場合背任罪は成立するが期待可能性がない旨の判断は無用の議論であつて、判例と相反する判断をしたものとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年4月30日 昭和30(あ)737
登載
集刑 第118号1111頁
参照法条
刑訴法256条,刑訴法312条,刑法253条,刑法247条
論点77第247条刑法

背任罪成立の一事例 ―大審院令と相反する判断をしたことにあたらない場合―

裁判要旨論旨援用の判例(大審院大正三年十〇月一六日刑録二〇輯一八六七頁)は、「本人に損害を加えたる場合においても」「若しその目的にして本人の利益を図るに在りとすれば」背任罪は成立しないというのである。しかるに原判決は、被告人の「所論保障はその主要な目的が直接本人たるA銀行のためでなくして(A銀行の利益をも無視したものではないとしても)同被告人自己の責任である不当貸付の免責を図るがため」であつたという事実を認めて、これを有罪としたのであるから、前記判例に反するところは少しもない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年3月30日 昭和27(あ)5855
登載
集刑 第93号1007頁
参照法条
刑法247条,刑訴法405条3号,刑訴法408条
論点78第247条刑法

一 貯蓄信用組合理事が組合名義で組合員以外の者から貯金を受入れた場合とその金銭所有権の帰属
二 背任罪における目的の主従と同罪の成否

裁判要旨一 貯蓄信用組合理事がその資格をもつて、組合の名において、組合に対する貯金として受入れたものである以上、たとえ、右貯金が組合員以外の者のした貯金であるが故に、組合に対する消費寄託としての法律上の効力を生じないものであるとしても、貯金の目的となつた金銭の所有権は組合に帰属する。
二 主として、不法に融資して第三者の利益を図る目的がある以上、従として、右融資により本人(貯蓄信用組合)の貸付金回収を図る目的であつても、背任罪を構成する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年11月5日 昭和27(あ)5403
登載
刑集 第8巻11号1675頁
参照法条
民法192条,民法703条,刑法247条
論点79第247条刑法

銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例

裁判要旨銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,融資の前提となるスキーム(判文参照)を頭取らに提案してこれに沿った行動を取り,同融資の担保となる物件の担保価値を大幅に水増しした不動産鑑定書を作らせるなどして,同融資の実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者は,上記特別背任行為に共同加功をしたということができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成20年5月19日 平成18(あ)2030
登載
刑集 第62巻6号1623頁
参照法条
商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)486条1項,刑法60条,刑法65条,刑法247条
論点80第247条刑法

商社の代表取締役社長が行った巨額の融資につき特別背任罪における加害目的が認められた事例

裁判要旨商社の代表取締役社長がその任務に違背して巨額の融資を行った場合において,融資実行の動機は同社の利益よりも自己らの利益を図ることにあり,同社に損害を加えることの認識,認容もあったなど判示の事実関係の下では,特別背任罪における図利目的はもとより加害目的をも認めることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成17年10月7日 平成14(あ)1431
登載
刑集 第59巻8号779頁
参照法条
商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)486条1項,刑法247条
論点81第247条刑法

銀行の頭取が信用保証協会の役員と共謀して同協会に対する背任罪を犯したと認めるには合理的な疑いが残るとされた事例

裁判要旨甲銀行の頭取乙が,丙信用保証協会の役員丁から,丙の基本財産の増強計画に基づき甲において負担金を拠出するよう依頼された際に,丁に対し,丙の甲に対する別件の保証債務につき免責を主張する丙の方針を見直して代位弁済に応ずるよう要請した結果,丁ら役員が丙の従前の方針を変更し,丙が代位弁済に応じた場合において,甲が上記負担金の拠出を拒絶することが実際上可能であったか疑問であること,丙としては代位弁済に応ずることと負担金の拠出が受けられないこととの利害得失を総合検討して態度を決定すべき立場にあったことなどの事情の下では(判文参照),乙が丁らと共謀して丙に対する背任罪を犯したと認めるには,合理的な疑いが残る。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年9月10日 平成13(あ)347
登載
刑集 第58巻6号524頁
参照法条
刑法60条,刑法65条,刑法247条
論点82第247条刑法

質権設定者が質入れした株券につき除権判決を得て失効させ質権者に損害を加えた場合と背任罪の成否

裁判要旨株式を目的とする質権の設定者が,質入れした株券について虚偽の申立てにより除権判決を得て株券を失効させ,質権者に損害を加えた場合には,背任罪が成立する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成15年3月18日 平成11(あ)941
登載
刑集 第57巻3号356頁
参照法条
刑法247条,商法207条,商法(平成14年法律第44号による改正前のもの)230条,公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律769条
論点83第249条刑法

いわゆるユーザーユニオン事件

裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和62年1月21日 昭和57(あ)1193
登載
集刑 第245号1頁
参照法条
刑法249条1項,刑法250条
論点84第249条刑法

権利行使と恐喝罪成否に関する大審院判例の変更

裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年2月21日 昭和49(あ)1587
登載
集刑 第195号541頁
参照法条
刑法249条
論点85第249条刑法

債権の取立と恐喝未遂罪の成否

裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年4月20日 昭和46(あ)206
登載
集刑 第184号141頁
参照法条
刑法249条1項,刑法250条
論点86第249条刑法

被告人に対し不利益な判例違反の主張として適法な上告理由にあたらないとされた事例

裁判要旨原判決が昭和二五年(れ)第一二六〇号同二六年九月二八日第二小法定判決(集五巻一〇号二一二七頁)と相反する判断をしていることは所論指摘のとおりであるが、右判例に従えば、原判決の是認した第一審判決の適用している刑法第二四九条第一項の未遂の罪よりも重い同条第二項の既遂の罪によつて処断しなければならなくなり、被告人に不利益な結果を来すことになるから、所論判例違反の主張は、被告人に不利益な主張であつて、上告理由として許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年3月6日 昭和42(あ)1736
登載
集刑 第166号311頁
参照法条
刑訴法402条,刑訴法405条2号,刑法249条
論点87第249条刑法

銀行支店長らを脅迫して融資名下に同支店における犯人の当座預金口座に一定額の入金の記帳をさせた行為に対する擬律

裁判要旨銀行支店長らを脅迫して畏怖させ、共犯者の経営する会社に対する融資名下に、同支店における右会社の当座預金口座に金九、七四八、九〇〇円の入金の記帳をさせた行為は、人を恐喝して財産上不法の利益を得た場合に当り、刑法第二四九条第二項〈恐喝〉に問擬するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年3月27日 昭和42(あ)1659
登載
集刑 第166号537頁
参照法条
刑法249条
論点88第249条刑法

刑法第二四九条第二項〈恐喝〉の恐喝罪における被害者の処分行為

裁判要旨飲食代金の請求を受けた被告人が、その請求者らを脅迫してこれを畏怖させ、よつて請求を一時断念させた場合には、刑法第二四九条第二項〈恐喝〉の恐喝罪が成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年12月11日 昭和43(あ)1645
登載
刑集 第22巻13号1469頁
参照法条
刑法249条2項
論点89第249条刑法

二通の小切手を喝取した事実を単純一罪として起訴されその一部について犯罪の成立が認められない場合の判示方法

裁判要旨被告人が二通の小切手を喝取した事実を単純一罪として起訴された場合、右被害金品の一部である額面六六万円の小切手一通について、犯罪の成立が認められないときには、有罪と認めた事実のみを罪となるべき事実として判示すれば足り、認めなかつた部分について、主文においては勿論理由においても特に判示する必要はないものと解すべきであるから、所論のように審判の請求を受けた事件について判決をしなかつたという違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月15日 昭和40(あ)2538
登載
集刑 第159号215頁
参照法条
刑訴法335条,刑訴法336条,刑法249条
論点90第249条刑法

権利行使と恐喝罪成否に関する判例変更の有無。

裁判要旨一 判例違反を主張する所論引用の大正二年(れ)第一二一一号同年一二月二三日大審院判決は、当裁判所の判例によりすでに変更されたものである(昭和二七年(あ)第六五九六号同三〇年一〇月一四日第二小法廷判決、刑集九巻一一号二一七三頁・昭和三一年(あ)第四六九号同三三年五月六日第三小法廷判決、刑集一二巻七号一三三六頁参照)。
二 (所論引用の大審院判決の要旨)正当な権利者が欺罔または恐喝の手段を用いて、義務者から正数以外の財物または正数以上の利益を取得した場合、詐欺恐喝の罪は、右権利の範囲外において領得した財産または利益の部分につき成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月26日 昭和39(あ)2421
登載
集刑 第155号289頁
参照法条
刑訴法405条,刑法249条
論点91第249条刑法

権利行使と恐喝罪成立の擬律は大審院判例に違反するか。

裁判要旨所論は、被告人が被害者に対して脅迫的言動をしたのは、債権行使のためであるから、脅迫罪が成立するのは格別恐喝罪は成立しないのにかかわらず、原判決が被告人を恐喝、同未遂罪に問擬したのは所論引用の判例に反するというのである。しかし所論引用の大正一二年(れ)第一八〇五号同一三年三月五日大審院判定、刑集三巻三号一七八頁は、すでに当裁判所の判例により変更されたものである(昭和二六年(れ)第七七号同年六月一日第二小法廷判決、刑集五巻七号一二二二頁・昭和二七年(あ)第六五九六号同三〇年一〇月一四日第二小法廷判決、刑集九巻一一号二一七三頁・昭和三一年(あ)第四六九号同三三年五月六日第三小法廷判決、刑集一二巻七号一三三六頁各参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年8月28日 昭和38(あ)1028
登載
集刑 第152号653頁
参照法条
刑法405条3号,刑法249条,刑法222条,刑法35条
論点92第249条刑法

権利行使と恐喝罪成否に関する大審判例の変更の有無。

裁判要旨判例違反を主張する所論引用の大正一二年(れ)第一八〇五号同一三年三月五日大審院決定は、当裁判所の判例により変更されたものである(昭和二六年(れ)第七七号同年六月一日第二小法廷判決、刑集五巻七号一二二二頁・昭和二七年(あ)第六五九六号同三〇年一〇月一四日第二小法廷判決、刑集九巻一一号二一七三頁・昭和三一年(あ)第四六九号同三三年五月六日第三小法廷判決、刑集一二巻七号一三三六頁参照)。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月26日 昭和39(あ)258
登載
集刑 第151号517頁
参照法条
刑訴法405条,刑法249条
論点93第249条刑法

雑誌記事掲載をもつて人を脅迫し、金員を喝取した行為を刑法第二四九条により処罰することと憲法第二一条第一項。

裁判要旨被告人および弁護人の各上告趣意中には、いずれも憲法第二一条第一項違反をいう部分があるが、憲法第二一条第一項の保障する表現の自由といえども国民の恣意のままに許されるものでなく、つねに公共の福祉によつて調整されなければならないことおよび言論、出版による脅迫が公共の福祉を害し、表現の自由の限界を逸脱するものであることは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一三〇八号同二四年五月一八日大法廷判決、刑集三巻六号八三九頁、昭和三一年(あ)第三一四号同三三年四月二二日第三小法廷判決、刑集一二巻六号一一一八頁)により明らかであつて、その趣旨に徴し、雑誌記事掲載をもつて人を脅迫し、金員を喝取した行為を刑法第二四九条により処罰することは、なんら憲法の右条項に違反するものでないから、右違憲の主張は理由がない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月17日 昭和36(あ)1340
登載
集刑 第148号511頁
参照法条
憲法21条1項,刑法249条
論点94第249条刑法

権利行使の方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱している事例

裁判要旨一 本件権利行使の方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱していると認むべきこと原判示のとおりである。
二 (原審の認定事実の要旨)被告人AはBに約二万円余を横領されその被害金の弁償を受けるまで同人所有家屋内の戸、障子等を担保にとつたところ、事情を知らない同人の妻Cが担保品を売却したことから躍起となつて、被告人D等と共謀し右C等に担保にとつと戸、障子を売つたからその代りに仏壇を貰つて行くと大声で怒鳴り、もしその要求が容れられないときはどうゆう危害を加えるかも知れないような態度を見せて右C等を畏怖させ、同家所有の仏壇一基を交付させた。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和34年10月8日 昭和31(あ)2806
登載
集刑 第131号661頁
参照法条
刑法249条
論点95第249条刑法

権利行使と恐喝罪

裁判要旨権利行使の意図に出たものであつても、その手段が権利行使の方法として社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段を用いて第三者に財産上不法の利益を得させた場合には恐喝罪が成立する
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年5月6日 昭和31(あ)469
登載
刑集 第12巻7号1336頁
参照法条
刑法249条
論点96第249条刑法

一 被告人の経歴等と詳細な記載がある起訴状が刑訴法第二五六条第六項〈盗品譲受け等〉に違反しないとされた一事例
二 恐喝の手段として郵送された脅迫文書の殆んど全文が記載された起訴状と刑訴法第二五六条第六項

裁判要旨一 本件起訴状に被告人の経歴等に関する詳細な記載があるからといつてそれが刑訴法第二五六条第六項〈盗品譲受け等〉に違反するものであるということはできない
二 恐喝の手段として被害者に郵送された脅迫文書の趣旨が婉曲暗示的であつて、起訴状にこれを要約摘示するには相当詳細にわたるのでなければその文書の趣旨が判明し難いような場合には、起訴状にその文書の全文と殆んど同様の記載がなされても、その起訴状は刑訴法第二五六条第六項に違反しないものと解すべきである
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年5月20日 昭和28(あ)3906
登載
刑集 第12巻7号1398頁
参照法条
刑訴法256条,刑法249条
論点97第249条刑法

恐喝罪における害悪通知の方法

裁判要旨恐喝罪における害悪通知の方法には制限がないから、第一審判決判示の如く被告人が被害者に判示暴行を加え、さらに判事の如く申し受けて同人をして若しその要求に応じないときはさらに暴行等いかなる危害を加えるかも知れないと畏怖せしめたような場合には、暴行も恐喝罪の手段となり得る。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年3月6日 昭和32(あ)2716
登載
刑集 第12巻3号452頁
参照法条
刑法249条
論点98第249条刑法

恐喝罪が成立する一事例

裁判要旨二人共謀の上通行人に暴行、脅迫を加えて金員を要求し、因つて畏怖した被害者が所持の手提鞄中の財布(現金約二万三千円在中)から現金数百円を交付しようとして取り出した際犯人の一人が右財布ごとこれを奪い去つたときは窃盗罪ではなく恐喝一罪を構成する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年3月5日 昭和30(あ)1379
登載
集刑 第118号43頁
参照法条
刑法235条,刑法249条
論点99第249条刑法

一 供述調書中に引用された他の供述調書についても常に証拠調を要するか
二 旧刑訴法第三六〇条第二項の主張にあたらない事例

裁判要旨一 論旨援用の当裁判所の判例は、証拠とされた副検事の聴取書に「司法警察官作成の意見書記載の犯罪事実を読み聞けたところ、相違なき旨を述べた」との記載があり、右の意見書を見なければ聴取書の内容がよくわからないにもかかわらず、この意見書の証拠調をしなかつた場合についてのものである。しかるに本件においては、所論昭和二三年三月二五日附及び同年四月一五日附被告人Aに対する検察官の聴取書には、被告人が所論各会社当から金を貰つたという事実の記載があるのであるから、読み聞かされた司法警察官の意見書を除いても、右の聴取書の記載だけで判事事実を証明する証拠となり得るものである。それ故原審が右の司法警察官の意見書について証拠調をしないで検事の聴取書のみについて証拠調をしこれを証拠に採用したとしても、所論のような違法はなく、所論援用の判例に違背するところもない。論旨は理由がない。
二 原審公判において、被告人及びその弁護人が、被告人が判示各会社等から交付を受けた各金員は、喝取したものではなく、本代、広告料の値上りの差額及び「株式時代来る」という単行本の料金として受取つたものである旨を供述し主張していることは所論のとおりである。しかし右の主張は、旧刑訴三六〇条二項にいわゆる法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張に該当するものとは認められない。それ故原判決には所論のような違法はなく、所論援用の各判例は本件と場合を異にするものであつて、適切でない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年3月22日 昭和29(れ)9
登載
集刑 第103号599頁
参照法条
刑訴法305条,刑法249条,旧刑訴法360条2項
論点100第249条刑法

訴因変更を要しない例 ―恐喝の起訴に対し脅迫と認定する場合―

裁判要旨恐喝として起訴されたものを脅迫と認定しても、脅迫をしたという基本事実に変更がなく、かつ、被告人の防禦に実質的な不利益を生ずるおそれのないものであるから訴因変更の手続を経る必要はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年11月9日 昭和28(あ)914
登載
集刑 第100号91頁
参照法条
刑法249条,刑法222条,刑訴法312条
論点101第249条刑法

訴因罰条の変更を必要としない一事例

裁判要旨控訴裁判所が、強盗の起訴に対し強盗幇助と認定した第一審判決を破棄して、自ら恐喝と認定するについては訴因、罰条の変更手続を経ることを要しないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和29年10月19日 昭和29(あ)1260
登載
刑集 第8巻10号1600頁
参照法条
刑法236条,刑法62条,刑法249条,刑訴法312条
論点102第249条刑法

一 恐喝罪の起訴状に、恐喝手段が正当な権利の行使にあたらないことを示す為に被告人の所為を記載することと刑訴法第二五六条第六項〈盗品譲受け等〉
二 刑訴第四七条〈有期拘禁刑の加重〉本文の注意
三 刑訴第四七条但書にあたる一事例
四 控訴審における刑訴第三九三条但書による事実取調のための証人尋問請求却下の当否

裁判要旨一 所論は、要するに恐喝罪にかかる本件起訴状の前段記載に「被告人は…塩酸キニーネ一壜(約百五十瓦在中)価格約千円位のものを五万円の塩酸モルヒネと言う高価な薬だと偽つて売却方を依頼した如く見せかけた後」とあるのを指摘し、かかる記載は裁判官に事件に付予断を生ぜしめる虞のある事項にあたり、本件起訴は無効であるというのである。しかしながら本件の場合恐喝手段が正当な権利の行使にあたらないことを示すために本件起訴状に所論指摘のような記載をしても違法ということはできない。
二 刑訴第四七条〈有期拘禁刑の加重〉本文は訴訟に関する書類が公判開廷前に公開されることによつて訴訟関係人の名誉を毀損し、公序良俗を害し、または裁判に対する不当な影響を引き起すことを防止するための規定である。
三 検察官が公訴の提起という本来の職務を行うために、その保管にかかり、捜査中の他の被疑事件記録中の書類から知得した事実を起訴状の公訴事実のなかに公訴の提起に必要なかぎり記載してこれを公にすることは、刑訴第四七条但書にあたるものと解すべきである。
四 仮りにこの原審における証人尋問の請求が刑訴三九三条但書前段の要件を具備するとしても、なおその証人を取り調べることが但書後段の要件を具備しこれを取り調べる必要のある場合にあたるかどうかは、結局原審の判断によつて決せられる事項であるから、原審が弁護人の請求の理由と、すでに取り調べた事実と証拠とを合せて考えた上、右証人を取り調べなければならない場合に当らないものとして却下したことはなんら違法ということはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和28年7月18日 昭和27(あ)801
登載
刑集 第7巻7号1547頁
参照法条
刑法249条,刑訴法256条6項,刑訴法47条,刑訴法256条,刑訴法393条,刑訴規則164条
論点103第249条刑法

一 起訴状および訴因追加請求書各謄本の被告人に対する不送達と刑訴第四一一条
二 恐喝罪の公訴犯罪事実中に被告人の性格、経歴及び素行等を記載することと刑訴法第二五六条第六項

裁判要旨一 起訴状および訴因追加請求書の各謄本が被告人に送達されていなくても、起訴の日に被告人が自ら弁護人を選任し、弁護人は裁判所書記官に請求して、起訴状および訴因追加請求書各謄本の送達を受け、第一審第一回公判も起訴の日から二箇月以内に開かれており、また起訴状謄本が弁護人に送達されてから同公判までに一箇月以上、訴因追加請求書が同人に送達されてからでも同じく一箇月近くの余裕があつて、弁論準備のために十分の期間があつたものということができ、かつ右公判で被告人側から何の異議も申し立てていない場合には、前記のような刑訴第二七一条第一項、第三一二条第三項、刑訴規則第二〇九条第三項の不遵守は、未だ刑訴第四一一条を適用すべき事由とするにたらない。
二 本件公訴事実は、被告人が一般人を恐れさせるに足るような自己の性格、経歴及び素行等に関する事実を告知し、若しくは相手方が予ねて、そのような事実を知つて恐れをなしているのに乗じて金品、その他財産上の利益を受けるという方法によつて度々の恐喝を働いたというにあつて、被告人の性格、経歴及び素行等に関する事実は、本件では、犯罪事実と何等直接の関係のない事項ではなく、むしろ、その恐喝手段そのものゝ内容をなしている事柄であるといわなければならないから刑訴第二五六条〈盗品譲受け等〉末項に反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年7月18日 昭和25(あ)262
登載
刑集 第6巻7号913頁
参照法条
刑訴法271条1項,刑訴法312条3項,刑訴法411条,刑訴法256条,刑訴規則209条3項,刑法249条
論点104第249条刑法

権利行使の方法が違法と認められ恐喝罪又は脅迫罪の成立を免れない一事例

裁判要旨他人に対し権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であつて、且つその方法が社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を越えないかぎり、なんら違法の問題を生じないけれども、右の範囲又は程度を逸脱するときは違法となり恐喝罪又は脅迫罪の成立することがあると解するのを相当とする。そして被告人の採つた債権の行使は、社念通念上一般に、債務者の忍容すべきものと認められる程度を明らかに越えるものであるから、たとえ取り立てた金額は、債権の範囲内であつても、その方法において違法たるを免れないのである。従つて、仮りに所論によつても、少くとも脅迫罪の成立することは明らかであり、原判示の量刑はその刑期の範囲内であつて、且つ原判決の認定した事実によればその量刑は原判決を破棄しなければ著しく正義に反する場合とも認められず、論旨は、この点においても結局とることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月20日 昭和26(れ)2482
登載
集刑 第64号575頁
参照法条
刑法249条,刑法222条,刑訴法411条
論点105第249条刑法

恐喝罪の起訴状記載につき刑訴法第二五六条第六項に違反しない例

裁判要旨「被告人は賭博恐喝等の前科数犯あり、その乾分数名と無為徒食し常に粗暴なる言動ある為世人の嫌忌畏怖して居るに乗じ恐喝せんことを企て」なる起訴状の記載は、恐喝罪の構成要件たる事実であるから、これを起訴状に記載したことは違法ではない(昭和二六年(あ)第二一四四号同年一二月一八日当裁判所決定、昭和二五年(あ)第一〇八九号同二七年三月五日大法定判決理由参照)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年4月8日 昭和26(あ)5087
登載
集刑 第63号115頁
参照法条
刑法249条,刑訴法256条6項
論点106第249条刑法

数個の恐喝罪と暴行罪(懲役刑選撰)とを併合加重する場合の法令適用の判示方

裁判要旨数個の恐喝罪と一個の暴行罪(懲役刑選択)とを併合加重するにあたつては、何れの罪が最も重いかを明示説明しなくても、必ずしも違法でない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年10月2日 昭和26(あ)4561
登載
刑集 第6巻9号1100頁
参照法条
刑法249条,刑法208条,刑法45条,刑法47条,刑法10条,刑訴法335条
論点107第249条刑法

一 公判調書における証拠調をした書類の表示方と「各聴取書」との表示の意義
二 甘藷澱粉の恐喝罪と之を運搬した食糧管理法違反罪との関係

裁判要旨一 しかし本件記録中には、聴取書として原本たる多くの聴取書の外に、所論指摘の聴取書謄本同抄本が編綴されており、謄本又は抄本の原本たる聴取書は編綴されていない。そして、原審第二回公判調書には、ただ単に「各聴取書」とのみ記載され、「各聴取書原本」と記載されていないのであるから、右「各聴取書」の中には前示各聴取書の謄本及び抄本も含まれていると解するのを相当とする。
二 甘藷澱粉の恐喝はその性質上通常必ずしも甘藷澱粉を食糧管理法の条項に違反して運搬する手段としてなされるものということはできない上、甘藷澱粉の恐喝とそれを食糧管理法に違反して不法に運搬する罪とは、犯罪構成要件も異り、被害法益も異つているから、原判決が本件恐喝罪と食糧管理法違反の罪とを併合罪として処断したことは正当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年9月25日 昭和26(れ)1431
登載
集刑 第53号345頁
参照法条
旧刑訴法343条1項3号,旧刑訴法60条,刑法45条,刑法249条,食糧管理法9条
論点108第249条刑法

権利実行の手段としての恐喝にあたらない事例

裁判要旨原判決は、その判示のごときAが原審相被告人Bに無断で同人の住所及び氏名を冐用し、禁制品である手巻タバコを小包郵便で他に発送したという不都合な所為につき、被告人が原審共同被告人Bと共謀し、右Aを恐喝して右の事情を内密に済ませるという名義の下にAから金員を喝取することを企て、判示のごとき恐喝行為をしたという事実を認定したものであることは原判文上明瞭であつて所論のように、被告人が所論権利実行の手段として右のごとき恐喝をしたことは原審の認定しないところであり、また、被告人も原審において、右のごとき事実関係を主張した形迹はみとめられないのである所論は理由がない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年4月27日 昭和25(れ)1791
登載
集刑 第44号689頁
参照法条
刑法249条1項,刑法60条,旧刑訴法409条
論点109第249条刑法

判例違反が判決に影響を及ぼさない一事例

裁判要旨被告人が一箇の恐喝行為によつて同時に二人の被害者から全品を奪取した所為に対し刑法第五四条第一項前段、第一〇条を適用しなかつた点に、たとえ判例違反があるとしても、右犯行と併合罪の関係にある他の恐喝罪の刑に併合罪の加重をして処断している以上、右判例違反は判決に影響を及ぼさないことが明らかである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年12月25日 昭和25(あ)1189
登載
刑集 第5巻13号2613頁
参照法条
刑訴法405条,刑訴法410条1項,刑法249条,刑法54条1項,刑法45条前段,刑法47条
論点110第249条刑法

恐喝罪として起訴された事実を暴力行為等処罰に関する法律違反と認定する場合と公訴の時効

裁判要旨検事が犯行後三年五月を経過したときに恐喝罪として公訴を提起した公訴事実を、裁判所が暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項〈国内犯〉に該当する所為と認めるときは、被告人に対し公訴の時効が完成したものとして免訴の言渡をなすべきものである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年12月25日 昭和26(れ)1984
登載
刑集 第5巻13号2623頁
参照法条
旧刑訴法281条,旧刑訴法363条,刑法249条,暴力行為等処罰に関する法律1条
論点111第249条刑法

強要罪の認定に対し恐喝罪を主張することの適否

裁判要旨刑法第二二三条第一項〈強要〉前段の強要罪の認定に対し、恐喝罪をもつて処断すべきであるとの主張は、被告人の不利益に帰すから、上告の理由として許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和25年12月19日 昭和25(れ)1228
登載
刑集 第4巻12号2562頁
参照法条
刑法223条1項,刑法249条,旧刑訴法409条
論点112第249条刑法

恐喝の事実につき審理不尽ないし事実誤認の疑いがあるとして原判決を破棄差戻した事例

裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年4月21日 昭和59(あ)19
登載
集刑 第251号657頁
参照法条
刑法249条,刑訴法411条1号,刑訴法411条3号
論点113第249条刑法

恐喝未遂罪の成否に関する原判決の事実認定の是非等について補足意見,反対意見が付された事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 平成21年4月22日 平成20(あ)765
登載
集刑 第296号503頁
参照法条
刑法250条,刑法249条1項,刑訴法411条3号
論点114第249条刑法

恐喝の手段として監禁が行われた場合の罪数関係

裁判要旨恐喝の手段として監禁が行われた場合であっても,両罪は,牽連犯の関係にはない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成17年4月14日 平成16(あ)2077
登載
刑集 第59巻3号283頁
参照法条
刑法45条,刑法54条1項,刑法220条,刑法249条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

刑法 第246条(詐欺) 詳細ページ
(詐欺)
第二百四十六条人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法 第247条(背任) 詳細ページ
(背任)
第二百四十七条他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法 第248条(準詐欺) 詳細ページ
(準詐欺)
第二百四十八条未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
刑法 第249条(恐喝) 詳細ページ
(恐喝)
第二百四十九条人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法 第250条(未遂罪) 詳細ページ
(未遂罪)
第二百五十条この章の罪の未遂は、罰する。
刑法 第251条(準用) 詳細ページ
(準用)
第二百五十一条第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪について準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。