会社法 / テーマ別まとめ

監査役・会計監査人の監査

監査役は何を調べ、何を報告するか。会計監査人との違いと、独立性を守る仕組み。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

監査役は取締役や会計参与の職務執行を監査し、不正やそのおそれ、法令・定款違反を見つけたときの報告先や、株主総会に出す議案の調査結果の報告について定められている。会計監査人は計算書類などの会計監査を担当し、公認会計士または監査法人であることや、被監査会社との利害関係を持たないことが資格要件とされる。監査役・会計監査人それぞれの選任や報酬の決め方にも、独立性を保つための手続が用意されている。

監査役・会計監査人・会計参与の比較
区分資格選任・解任監査(調査)の対象報告先
監査役規定なし選任に監査役の同意が必要取締役・会計参与の職務執行取締役(会)/株主総会
会計監査人公認会計士又は監査法人規定なし計算書類・臨時計算書類等監査役/定時総会(意見陳述)
会計参与規定なし規定なし監査役の監査対象に含まれる該当なし
  • 監査役会設置会社では、選任の同意・請求は監査役会が行う(343条3項)
  • 監査役の解任決議には、役員解任の通常の規定(341条)は適用されない(343条4項)
  • 監査役が複数の場合、報酬の配分は定款・決議がなければ監査役の協議による(387条2項)
  • 会計監査人になれない者として、子会社役員等から継続報酬を得る者・その配偶者などがある(337条3項)
  • 会計監査人は職務にあたり、子会社役員等から継続報酬を得る者などを使用できない(396条5項)
  • 指名委員会等設置会社では、396条2項の「取締役」は「執行役、取締役」と読み替える(396条6項)
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監査役は何をするか

業務監査と会計監査の範囲

第381条監査役の権限監査役の調査権限と監査報告作成4項判例 1件
  • 取締役・会計参与の職務執行を監査し、監査報告を作成する
  • いつでも取締役・会計参与・使用人に事業報告を求められる
  • 子会社にも報告・調査を求められるが、正当な理由があれば拒める
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第382条取締役への報告義務取締役の不正等を発見したら遅滞なく報告1項判例なし
  • 取締役に不正行為・そのおそれ、法令や定款違反などを発見したら報告する
  • 取締役会設置会社では、取締役会に報告する
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第384条株主総会に対する報告義務総会提出議案・書類を調査し、問題があれば報告1項判例なし
  • 取締役が株主総会に出す議案・書類などを事前に調査する
  • 法令・定款違反や著しく不当な点があれば、総会で報告する
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独立性をどう守るか

選任議案への同意権と報酬の決定

第343条監査役の選任に関する監査役の同意等監査役の選任には監査役自身の同意が必要4項判例なし
  • 監査役選任議案には監査役(2人以上なら過半数)の同意が必要
  • 監査役会設置会社では、同意・請求は監査役会が行う
  • 監査役の解任決議には341条〈役員の選任及び解任の株主総会の決議〉の規定は適用されない
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第387条監査役の報酬等監査役の報酬は定款か総会決議で決める3項判例なし
  • 定款に額の定めがなければ、株主総会の決議で報酬を定める
  • 複数の監査役で個別配分の定めがなければ、範囲内で協議して決める
  • 監査役は総会で報酬について意見を述べられる
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会計監査人の監査

資格・権限・意見の陳述

第337条会計監査人の資格等会計監査人は公認会計士か監査法人に限る3項・3号判例なし
  • 会計監査人になれるのは公認会計士または監査法人だけ
  • 監査法人が選ばれたら、社員から職務担当者を選び会社に通知する
  • 子会社役員等から継続的報酬を得る者やその配偶者等はなれない
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第396条会計監査人の権限等会計監査人の監査範囲と独立性の制限6項・5号判例なし
  • 計算書類・臨時計算書類・連結計算書類を監査し、会計監査報告を作成する
  • いつでも会計帳簿等を閲覧・謄写し、会計に関する報告を求められる
  • 子会社役員等から継続報酬を得る者などは職務に使用できない
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第398条定時株主総会における会計監査人の意見の陳述会計監査人が定時総会で意見を述べる場面5項判例なし
  • 監査役と意見が違うときは、定時総会に出席して意見を述べられる
  • 総会が出席を求める決議をしたときは、出席して意見を述べなければならない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第381条会社法

農業協同組合の代表理事が,補助金の交付を受けることにより同組合の資金的負担のない形で堆肥センター建設事業を進めることにつき理事会の承認を得たにもかかわらず,その交付申請につき理事会に虚偽の報告をするなどして同組合の費用負担の下で同事業を進めた場合において,資金の調達方法を調査,確認することなく,同事業が進められるのを放置した同組合の監事に,任務のけ怠があるとされた事例

裁判要旨農業協同組合の代表理事が,補助金の交付を受けることにより同組合の資金的負担のない形で堆肥センター建設事業を進めることにつき理事会の承認を得たにもかかわらず,補助金の交付申請につき理事会に虚偽の報告をするなどして同組合の費用負担の下で同事業を進めた場合において,代表理事が,(1)理事会において,それまでの説明に出ていなかった補助金の交付申請先に言及しながら,その申請先や申請内容について具体的な説明をすることなく,補助金の受領見込みについてあいまいな説明に終始した上,(2)その後の理事会においても,補助金が入らない限り同事業に着手しない旨を繰り返し述べていながら,補助金の受領見込みを明らかにしないまま,同組合の資金の立替えによる建設用地の取得を提案したなど判示の事実関係の下においては,代表理事に対し,補助金の受領見込みに関する資料の提出を求めるなどして,建設資金の調達方法を調査,確認することなく,同事業が進められるのを放置した同組合の監事は,その任務を怠ったものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成21年11月27日 平成19(受)1503
登載
集民 第232号393頁
参照法条
農業協同組合法(平成17年法律第87号による改正前のもの)33条1項,農業協同組合法(平成17年法律第87号による改正前のもの)33条2項,農業協同組合法(平成17年法律第87号による改正前のもの)39条1項,農業協同組合法(平成17年法律第87号による改正前のもの)39条2項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)254条3項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)274条1項,民法644条,会社法381条1項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第381条(監査役の権限) 詳細ページ
(監査役の権限)
第三百八十一条監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
2監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
4前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。
会社法 第382条(取締役への報告義務) 詳細ページ
(取締役への報告義務)
第三百八十二条監査役は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に報告しなければならない。
会社法 第384条(株主総会に対する報告義務) 詳細ページ
(株主総会に対する報告義務)
第三百八十四条監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他法務省令で定めるものを調査しなければならない。この場合において、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。
会社法 第343条(監査役の選任に関する監査役の同意等) 詳細ページ
(監査役の選任に関する監査役の同意等)
第三百四十三条取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
2監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
3監査役会設置会社における前二項の規定の適用については、第一項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは「監査役会」と、前項中「監査役は」とあるのは「監査役会は」とする。
4第三百四十一条の規定は、監査役の解任の決議については、適用しない。
会社法 第387条(監査役の報酬等) 詳細ページ
(監査役の報酬等)
第三百八十七条監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
2監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。
3監査役は、株主総会において、監査役の報酬等について意見を述べることができる。
会社法 第337条(会計監査人の資格等) 詳細ページ
(会計監査人の資格等)
第三百三十七条会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。
2会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
3次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
一公認会計士法の規定により、第四百三十五条第二項に規定する計算書類について監査をすることができない者
二株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
三監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの
会社法 第396条(会計監査人の権限等) 詳細ページ
(会計監査人の権限等)
第三百九十六条会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
2会計監査人は、いつでも、次に掲げるものの閲覧及び謄写をし、又は取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対し、会計に関する報告を求めることができる。
一会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面
二会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの
3会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計監査人設置会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
4前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。
5会計監査人は、その職務を行うに当たっては、次のいずれかに該当する者を使用してはならない。
一第三百三十七条第三項第一号又は第二号に掲げる者
二会計監査人設置会社又はその子会社の取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人である者
三会計監査人設置会社又はその子会社から公認会計士又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者
6指名委員会等設置会社における第二項の規定の適用については、同項中「取締役」とあるのは、「執行役、取締役」とする。
会社法 第398条(定時株主総会における会計監査人の意見の陳述) 詳細ページ
(定時株主総会における会計監査人の意見の陳述)
第三百九十八条第三百九十六条第一項に規定する書類が法令又は定款に適合するかどうかについて会計監査人が監査役と意見を異にするときは、会計監査人(会計監査人が監査法人である場合にあっては、その職務を行うべき社員。次項において同じ。)は、定時株主総会に出席して意見を述べることができる。
2定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計監査人は、定時株主総会に出席して意見を述べなければならない。
3監査役会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査役会又は監査役」とする。
4監査等委員会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査等委員会又は監査等委員」とする。
5指名委員会等設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会又はその委員」とする。
出

一次情報

原文ママ

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