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相続/相続人の不存在

相続人の不存在の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

相続人がいるかどうか分からない相続財産は、いったん法人とみなされ、家庭裁判所が選ぶ清算人のもとで清算手続が進みます。手続の中では相続人・債権者・受遺者への公告と期限管理が中心になり、最終的に特別縁故者への分与または国庫への帰属で終わります。実務担当者は、公告期間や請求期限の起算点を条文どおりに押さえておく必要があります。

相続人の不存在
段階内容期間・回数根拠条文
相続財産法人成立相続人不明で自動的に法人化―951条
清算人選任・公告家裁が清算人選任、権利主張の公告6ヶ月以上952条
債権者等への公告清算人が請求申出を公告2ヶ月以上957条
権利主張なし相続人・債権者等は失権952条2項期間内958条
特別縁故者への分与特別縁故者が分与請求満了後3ヶ月以内958条の2
残余は国庫へ分与されなかった財産は国庫帰属―959条
  • 955条:相続人が判明すれば法人は不成立とみなされるが、清算人が権限内で行った行為の効力は妨げられない
  • 953条:清算人には民法27条から29条まで(不在者の財産管理人の規定)が準用される
  • 957条2項:債権者への弁済手続には927条2項〜4項、928条〜935条(932条ただし書を除く)を準用する
  • 958条:失権の対象は、952条2項の期間内に主張のなかった相続人、および清算人に知れなかった相続債権者・受遺者
  • 959条:残余財産が国庫に帰属する場合も956条2項(清算人の計算義務)を準用する
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相続人の不存在

相続人の不存在について、条文は何を定めているか。

第951条相続財産法人の成立相続人がいるか不明なら法人になる1項判例 4件
  • 相続人の存否が明らかでない相続財産は、自動的に法人とみなされる
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第952条相続財産の清算人の選任家裁が清算人を選び6ヶ月以上公告する2項判例なし
  • 利害関係人または検察官の請求で家裁が清算人を選任する
  • 相続人がいれば名乗り出るよう、6ヶ月を下らない期間で公告する
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第953条不在者の財産の管理人に関する規定の準用清算人には不在者財産管理人の規定を準用1項判例なし
  • 民法27条〈管理人の職務〉から29条〈管理人の担保提供及び報酬〉までの規定が、そのまま清算人にも適用される
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第954条相続財産の清算人の報告債権者らの求めで財産状況を報告する1項判例 1件
  • 相続債権者や受遺者から請求があれば、財産状況を報告する義務がある
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第955条相続財産法人の不成立相続人が見つかれば法人は最初から不成立1項判例 1件
  • 相続人が判明すると、951条〈相続財産法人の成立〉の法人は成立しなかったものとみなす
  • ただし清算人が権限内で行った行為の効力には影響しない
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第956条相続財産の清算人の代理権の消滅相続人が承認すると清算人の代理権は消滅2項判例 2件
  • 相続人が相続を承認した時点で、清算人の代理権は消滅する
  • 消滅後は清算人が遅滞なく相続人へ清算の計算を行う
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第957条相続債権者及び受遺者に対する弁済清算人は2ヶ月以上の期間で債権者に公告する2項判例 1件
  • 952条2項〈相続財産の清算人の選任〉の公告後、清算人は全ての債権者・受遺者へ請求申出を公告する
  • 期間は2ヶ月以上とし、相続人の権利主張期間内に満了させる
  • 927条2項〈相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告〉〜4項・928条〈公告期間満了前の弁済の拒絶〉〜935条〈公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者〉(932条〈弁済のための相続財産の換価〉ただし書除く)を準用する
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第958条権利を主張する者がない場合期間内に主張がなければ権利を失う1項判例 4件
  • 952条2項〈相続財産の清算人の選任〉の期間内に相続人としての権利主張がないと失権する
  • 清算人に知れなかった債権者・受遺者も権利行使できなくなる
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第958_2条特別縁故者に対する相続財産の分与特別縁故者は3ヶ月以内に分与を請求できる2項判例なし
  • 被相続人と生計を共にした者等は、残存財産の分与を家裁に請求できる
  • 請求は952条2項〈相続財産の清算人の選任〉の期間満了後、3ヶ月以内にしなければならない
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第959条残余財産の国庫への帰属分与されなかった財産は国庫に帰属する1項判例 1件
  • 958条の2〈特別縁故者に対する相続財産の分与〉で処分されなかった相続財産は、最終的に国庫に帰属する
  • この場合も956条2項〈相続財産の清算人の代理権の消滅〉(清算人の計算義務)を準用する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第951条民法

新民法施行後における旧民法による家督相続人選定親族会決議無効確認の訴の利益の有無

裁判要旨新民法施行後は、旧民法によつてされた家督相続人選定親族会決議の無効確認を求める訴の利益はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年4月28日 昭和40(オ)467
登載
集民 第87号341頁
参照法条
旧民法951条,旧民法985条,民法附則23条,民法附則25条,民訴法225条
論点2第951条民法

親族会招集期日の変更決定の送達を受けなかつた一部会員が右期日になした決議の効力

裁判要旨親族会の招集期日の変更決定が、三名の会員中一名だけに送達されたため、右期日に他の二名が出席してなした決議も当然無効ではなく、訴により取消を求め得るにすぎない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和29年2月26日 昭和27(オ)1258
登載
民集 第8巻2号569頁
参照法条
旧民法951条
論点3第951条民法

遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合と民法九五一条にいう「相続人のあることが明かでないとき」

裁判要旨遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、民法九五一条〈相続財産法人の成立〉にいう「相続人のあることが明かでないとき」に当たらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成9年9月12日 平成6(オ)2052
登載
民集 第51巻8号3887頁
参照法条
民法951条,民法964条,民法990条
論点4第951条民法

被相続人から抵当権の設定を受けた相続債権者が相続財産法人に対して抵当権設定登記手続を請求することの可否

裁判要旨相続債権者は、被相続人から抵当権の設定を受けていても、被相続人の死亡前に仮登記がされていた場合を除き、相続財産法人に対して抵当権設定登記手続を請求することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年1月21日 平成10(受)5
登載
民集 第53巻1号128頁
参照法条
民法929条,民法951条,民法957条
論点5第954条民法

扶養義務者の意に反して扶養権利者を引き取り扶養した他の扶養義務者と扶養費用の負担

裁判要旨現に扶養をしている扶養義務者の意に反して扶養権利者を引き取つて扶養したという事実だけでは、引き取つた他の扶養義務者が自己のみで扶養費用を負担すべきものとすることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和26年2月13日 昭和24(オ)350
登載
民集 第5巻3号47頁
参照法条
旧民法954条,旧民法955条,旧民法956条,新民法877条
論点6第956条民法

特別縁故者に分与されなかつた相続財産の国庫帰属の時期及び相続財産管理人の代理権消滅の時期

裁判要旨相続人不存在の場合において、特別縁故者に分与されなかつた相続財産は、相続財産管理人がこれを国庫に引き継いだ時に国庫に帰属し、相続財産全部の引継が完了するまでは、相続財産法人は消滅せず、相続財産管理人の代理権も引継未了の相続財産につき存続する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月24日 昭和49(オ)527
登載
民集 第29巻9号1483頁
参照法条
民法956条1項,民法958条の3,民法959条
論点7第958条民法

一 相続権確認訴訟の係属と右訴訟の当事者以外の者による相続申出についての民法九五八条〈権利を主張する者がない場合〉の規定による公告期間の延長の有無
二 民法九五八条の規定による公告期間を徒過した相続人と特別縁故者に対する相続財産分与後の残余財産についての相続権の有無

裁判要旨一 民法九五八条〈権利を主張する者がない場合〉の規定による公告期間内に相続申出をした者につき相続権確認訴訟が係属していても、右訴訟の当事者以外の者による相続申出について該訴訟の確定まで右公告期間が延長されるものではない。
二 民法九五八条の規定による公告期間を健過した相続人は、特別縁故者に対する相続財産分与後の残余財産についても相続権を有しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年10月30日 昭和52(オ)360
登載
民集 第35巻7号1243頁
参照法条
民法958条,民法958条の2,民法958条の3
論点8第958条民法

共有者の一人が相続人なくして死亡したときとその持分の帰すう

裁判要旨共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法九五八条の三に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされないときに、同法二五五条〈持分の放棄及び共有者の死亡〉により他の共有者に帰属する。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年11月24日 昭和63(行ツ)40
登載
民集 第43巻10号1220頁
参照法条
民法255条,民法958条の3
論点9第958条民法

相続財産分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えと訴えの利益の有無

裁判要旨民法九五八条の三第一項の規定による相続財産の分与の審判前に特別縁故者に当たると主張する者が提起した遺言無効確認の訴えは、訴えの利益を欠く。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成6年10月13日 平成3(オ)424
登載
集民 第173号149頁
参照法条
民法958条の3第1項,民訴法225条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第951条(相続財産法人の成立) 詳細ページ
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
民法 第952条(相続財産の清算人の選任) 詳細ページ
(相続財産の清算人の選任)
第九百五十二条前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。
民法 第953条(不在者の財産の管理人に関する規定の準用) 詳細ページ
(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
第九百五十三条第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の清算人(以下この章において単に「相続財産の清算人」という。)について準用する。
民法 第954条(相続財産の清算人の報告) 詳細ページ
(相続財産の清算人の報告)
第九百五十四条相続財産の清算人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。
民法 第955条(相続財産法人の不成立) 詳細ページ
(相続財産法人の不成立)
第九百五十五条相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の清算人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
民法 第956条(相続財産の清算人の代理権の消滅) 詳細ページ
(相続財産の清算人の代理権の消滅)
第九百五十六条相続財産の清算人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
2前項の場合には、相続財産の清算人は、遅滞なく相続人に対して清算に係る計算をしなければならない。
民法 第957条(相続債権者及び受遺者に対する弁済) 詳細ページ
(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第九百五十七条第九百五十二条第二項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、二箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。
2第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。
民法 第958条(権利を主張する者がない場合) 詳細ページ
(権利を主張する者がない場合)
第九百五十八条第九百五十二条第二項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
民法 第958_2条(特別縁故者に対する相続財産の分与) 詳細ページ
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の二前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
民法 第959条(残余財産の国庫への帰属) 詳細ページ
(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。