論点1第11条日本国憲法
刑法二六条の三の規定と憲法一一条、一三条、三一条、三九条後段
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年2月3日 昭和56(し)12
- 登載
- 集刑 第221号83頁
- 参照法条
- 憲法11条、憲法13条、憲法31条、憲法39条後、刑法26条の3
論点2第11条日本国憲法
一 刑法二六条の三の規定の合憲性
二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消を同法二六条、二六条の二による刑の執行猶予言渡の取消と同時に行うことの許否
三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に乙執行猶予の言渡を同法二六条の三により取り消した場合においてこれに対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告の係属中に乙執行猶予の期間に相当する期間が経過したときと乙執行猶予の取消の効果
裁判要旨一 刑法二六条の三の規定は、憲法
一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉に違反しない。
二 刑法二六条の三による刑の執行猶予言渡の取消は、同法
二六条〈すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。〉、二六条の二による刑の執行猶予言渡取消決定の確定をまたず、これと同時に行うことも許される。
三 甲執行猶予の言渡を刑法二六条の二第二号により取り消すと同時に、乙執行猶予の言渡を同法二六条の三により取り消した場合において、右取消決定に対する即時抗告棄却決定が告知されたときには、甲乙両執行猶予の取消の効果が発生し、特別抗告の係属中に乙執行猶予の期間に相当する期間が経過しても、すでに発生している乙執行猶予の取消の効果に影響しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年2月25日 昭和54(し)135
- 登載
- 刑集 第34巻2号44頁
- 参照法条
- 刑法26条,刑法26条の2,刑法26条の3,刑法27条,憲法11条,憲法13条,憲法31条,刑訴法424条,刑訴法434条
論点3第11条日本国憲法
地方税法三四三条二項、七〇二条二項と憲法一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉
裁判要旨地方税法三四三条二項、七〇二条二項の規定は、憲法
一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年9月20日 昭和54(行ツ)17
- 登載
- 集民 第127号461頁
- 参照法条
- 憲法11条,憲法13条,憲法14条,憲法29条,地方税法343条2項,地方税法702条2項
論点4第11条日本国憲法
一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項の合憲性
二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項違反の争議行為と労働組合法第一条第二項の適用
裁判要旨一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項は、憲法
第一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
第一八条〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉、
第二五条〈すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。〉、
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉、
第三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、
第九八条〈この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力…〉に違反しない。
二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項に違反してなされた争議行為にも、労働組合法第一条第二項の適用がある。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和41年10月26日 昭和39(あ)296
- 登載
- 刑集 第20巻8号901頁
- 参照法条
- (一、二につき)公共企業体等労働関係法17条1項,(二につき)公共企業体等労働関係法3条,(一につき)憲法11条,(一につき)憲法14条,(一につき)憲法18条,(一につき)憲法25条,(一につき)憲法28条,(一につき)憲法31条,(一につき)憲法98条,(二につき)労働組合法1条,(二につき)郵便法79条1項
論点5第11条日本国憲法
刑法第一八条の合憲性。
裁判要旨一 罰金不完納の場合の労役場留置は、憲法
一八条〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉にいう「犯罪による処罰」に当たることは明白であるから、刑法一八条が憲法
一八条に違反するとなし得ないことは自から明らかである。
二 刑法一八条が憲法
一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違反するものでないことも昭和二四年(れ)第一八九〇号、同二五年六月七日大法廷判決(刑集第四巻六号九六一頁)および昭和二三年(れ)第一四二六号、同二四年一〇月五日大法廷判決(刑集三巻一〇号一六四八頁)の趣旨に徴し明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年3月25日 昭和32(あ)1581
- 登載
- 集刑 第132号739頁
- 参照法条
- 憲法11条,憲法13条,憲法18条,刑法18条
論点6第11条日本国憲法
刑法第二六条第三号と憲法第一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、第三八条〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉、第三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉。
裁判要旨刑法第二六条第三号は憲法
第一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
第三八条〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉、
第三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年10月4日 昭和35(し)34
- 登載
- 刑集 第14巻12号1533頁
- 参照法条
- 刑法26条3号,刑訴法349条,憲法11条,憲法13条,憲法38条,憲法39条
論点7第11条日本国憲法
刑法第一八条は、憲法第一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、第一八条〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉に違反するか
裁判要旨刑法第一八条は、憲法
第一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
第一八条〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉に違反しない
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和33年5月6日 昭和31(あ)874
- 登載
- 刑集 第12巻7号1351頁
- 参照法条
- 憲法11条,憲法13条,憲法18条,刑法18条
論点8第11条日本国憲法
一 土地に対する固定資産税の納税義務者
二 地方税法第三四三条、第三五九条の合憲性
裁判要旨一 土地台帳若しくは土地補充課税台帳に一月一日に所有者として登録されている者は、納期において所有権を有しなくてもその年の四月一日に始まる年度の固定資産税の納税義務を負う。
二 地方税法第三四三条および第三五九条は憲法
第一一条〈国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として…〉、
第一二条〈この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用し…〉、
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉、
第三〇条〈国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。〉、
第六五条〈行政権は、内閣に属する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和30年3月23日 昭和28(オ)616
- 登載
- 民集 第9巻3号336頁
- 参照法条
- 地方税法343条,地方税法359条,憲法11条,憲法12条,憲法14条,憲法29条,憲法30条,憲法65条,憲法84条
論点9第11条日本国憲法
認定事実に関係なき事項について無用の説示をした判決の適否
裁判要旨所論A及びBの共犯関係についての原判決の説示は所論の事実ありと仮定して無用の説明をなしたに過ぎないものであるからこの点を捉えて云為する論旨(註、共犯関係については何らの証拠がないから憲法一一条に違反するとする事を指す)は原判決を破棄する理由となすに足りない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年10月1日 昭和27(あ)6219
- 登載
- 集刑 第87号1頁
- 参照法条
- 憲法11条,刑訴法411条,刑訴法396条,刑訴規則246条
論点10第11条日本国憲法
一 刑法第九八条、同法第一〇二条〈この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、こ…〉の合憲性
二 違憲審査権の限界(違憲の主張のない法令の違憲審査はできるか)
裁判要旨一 しかし憲法は理由があれば被疑者が拘禁され抑留されうることを認め且犯罪による処罰の場合には犯人に肉体的拘束が加えられることを是認している(憲法
第三四条〈何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当…〉、
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉)。従つて所論未決若しくは既決の囚人が拘禁の苦痛を免れようとする衝動から逃走するのは、憲法が保障する自由を回復する行為ではない。なぜならば未決、既決の囚人がその身体の自由を制限されている場合には法律の定める手続によらなければ右自由を回復しえないものだからである。そしてかかる囚人の自己逃走を処罰するために設けられた前記刑法第九八条及び同法第一〇二条の規定は公共の福祉を保持するために自由の制限を認めたものであつて、所論のごとき違憲のかどは認められないから論旨は採用できない。
二 (少数意見要旨)裁判官栗山茂
憲法上立法権の専断的行使を抑制(チエック)する一方法として裁判所は訴訟の形式においてだけ違憲法律の審判ができることになつているのである。これを通俗に司法の優位と呼んだからといつて憲法上の機関として司法権が立法権に優位するのではないから、裁判所は争訟がないのに(争訟がないということは当事者から違憲性の主張がないということと同じである。)法律が憲法に適合するかしないかについて調査をしてその意見を表示する権限までも含むものではない。されば裁判所は当事者から法律の違憲について主張がないにもかかわらず、性質上適憲性が推定されている法条を解釈適用するに当つて、一々該法条が適憲であるかどうかを判断した上で事案を処理しなければならないものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和26年7月11日 昭和25(あ)1545
- 登載
- 刑集 第5巻8号1419頁
- 参照法条
- 刑法98条,刑法102条,憲法11条,憲法13条,憲法81条
論点11第11条日本国憲法
民法改正前における分家同意書の偽造、行使罪の処罰可能と憲法第一一条
裁判要旨一 原判決の確定したところによれば、被告人は昭和一九年六月末頃私文書である戸主Aの分家同意書を偽造、行使したというのである。そして、既に成立したかかる私文書偽造、行使罪を免訴とすべき憲法規定は存しないのであるから、所論は採用し難い。(弁護人沖田誠の上告趣意書)
二 本件は封建的旧民法の戸主権を極端に認容した非民主的思想に重点を置いた判決であつて、現在家族制度は廃止され、戸主権はないのであるから、仮りに戸主の同意書を無断で作つて分家したとしても何人の権益をも侵さないのは勿論の事で、かくの如き事実を以て被告人を有罪と断定するは、憲法に保証された被告人の基本的人権を侵害する不当の判決と云わなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年10月4日 昭和26(れ)1044
- 登載
- 集刑 第54号135頁
- 参照法条
- 刑法159条,旧刑訴法363条2号,旧刑訴法161条,憲法11条
論点12第11条日本国憲法
一 憲法第三八條第三項刑訴應急措置法第一〇條第三項の自白に補強證據を要するとする法意
二 犯罪事實の一部の證據が被告人の自白だけである場合と補強證據
三 賍物罪の成立に必要な賍物たることの認識の程度
四 罰金を完納できない者に對する勞役場留置とその金錢的換價率
五 金千圓の罰金不完納による勞役場留置期間を一日金二〇圓と定めたことの合憲性
裁判要旨一 憲法第三八條第三項及び刑訴應急措置法第一〇條第三項において「自己に不利益な唯一の證據が本人の自白である場合には有罪とされ」ないと規定した法意は、現實には犯罪が行われていないのに、被告人の架空は自白によつて犯罪が行われた如く虚構されて有罪とされる危險を防止するために、被告人を有罪とするには、自白のほかに自白の眞實に合致することを裏書するに足りる他の證據(補強證據)を必要とする趣旨を明らかにしたものである。
二 他の證據によつて犯罪が現實に行われた客觀的事實が裏書されて自白が架空のものでないことが確められる限り、たとい犯罪事實の一部の證據が被告人の自白だけであつてもこれらの證據と相まつて自白により犯罪事實を認定することは、法の許容するところと云わなければならない(昭和二二年(れ)第一五三號同二三年六月九日當裁判所大法廷判決參照)
三 贓物に關する罪の成立に必要な贓物たることの知情は、財産罪により不法に領得された物であることを認識すれば足りるのであつて、その物が何人のいかなる犯行によつて不法に領得されたかの具体的事實までをも認識することを要するものではない。
四 罰金刑の言渡を受けた者が罰金を完納することができない場合の勞役場における留置は、刑の執行に準ずべきものであるから(舊刑訴第五六五條、刑訴五〇五條)留置一日に相應する金錢的換價率は、必ずしも自白な社會における勤勞の報酬額と同率に決定されるべきものではない。
五 原審が被告人兩名において金千圓の罰金を完納することができないときは金二〇圓を一日に換算した期間被告人等を勞役場に留置すると言渡したことは、基本的人權と法の下における國民の平等を保障した憲法第一一條に反するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和24年10月5日 昭和23(れ)1426
- 登載
- 刑集 第3巻10号1646頁
- 参照法条
- 憲法38条3項,憲法11条,刑訴応急措置法10条3項,刑法256条,刑法38条2項,刑法18条1項4項,刑法18条,旧刑訴法565条
論点13第12条日本国憲法
一 訴訟代理人の他の受任事件の都合による第一回口頭弁論期日変更申請拒否の適否。
二 公職選挙法第二五一条の二の規定は憲法第一二条および第一三条に違反するか。
裁判要旨一 訴訟代理人たる弁護士の他の受任事件の都合による第一回口頭弁論期日の変更申請は、当事者の出頭しがたい顕著な事由に基づくものとは認めがたく、これを許容しなくても違法とすることはできない。
二 公職選挙法第二五一条の二の規定は、憲法
第一二条〈この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用し…〉および
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年2月26日 昭和39(行ツ)42
- 登載
- 集民 第77号611頁
- 参照法条
- 民訴法152条,民訴規則14条,公職選挙法251条の2,憲法12条,憲法13条
論点14第12条日本国憲法
一 労働関係調整法第七条と正当争議行為
二 生産管理開始のときから占有していた物を後に領得した行為の擬律
三 労働組合法第一条第二項と刑法第三五―争議行為の正当性
四 生産管理において労働者の団体が工場、設備、資材等を接収してその占有下においた場合には会社側の占有を完全に離脱するか
五 労働者が生産管理中の工場から争議期間中の賃金支払にあてる目的をもつて工場資材を工場外に搬出した行為と窃盗罪の成立
六 生産管理と同盟罷業との関係―生産管理の違法性
七 憲法と勤労者の争議権―争議行為の正当性の限界
八 生産管理と労働関係調整法第七条にいわゆる「その他」の行為
裁判要旨一 労働関係調整法第七条は、争議行為の定義を掲げただけであつて、争議行為の正当性は別個の観点から判断すべきものである。
二 被告人等が本件生産管理開始のときから判示鉄板を占有していたとしても、それは違法の占有であるから、後にこれを領得しても横領罪とはならず窃盗罪となる。
三 労働組合法第一条第二項は、労働組合の団体交渉その他の行為について無条件に刑法第三五条の適用があることを規定しているのではなく唯労働組合法所定の目的達成のために為した正当な行為についてのみ適用を認めているに過ぎない(昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五月一八日最高裁判所大法廷判決参照)。如何なる争議行為を以て正当とするかは、具体的に個々の争議につき、争議の目的並びに争議手段としての各個の両面に亘つて、現行法秩序全体との関連において決すべきである。従つて至産管理及び生産管理中の個々の行為が、すべて当然に正当行為であるとの論旨は理由がない。
四 原判決が、生産管理においては労働者の団体が工場、設備、資材等一切のものを接収してその占有下におくと判示し、本件においては被告人が既に生産管理に入つたものであることを認めながら、而も他方において判示鉄板は「会社の占有を完全に離脱したものでない」と判示したのは、生産管理開始により労働者の図体が工場、設備、資材等一切のものを自己の支配下におき占有を取得したと言つても、個々の資材物件等については、それが会社構内に存置せられる以上、会社側にもなお占有が存するという趣旨に解すべきである。
五 論旨は、原判決が、本件鉄板は会社の占有を完全に離脱したものではないので被告人等が壇にこれを工場外に搬出した行為は会社の所持を奪つたものであり、窃盗の罪責を免れない、と判示したことを非難し生産管理の下においては占有の所持は労働者側にあり、会社は観念上間接占有を有するに過ぎないから、所持の奪取即ち窃盗はあり得ないい。被告人等には占有奪取の意思もなく、不正領得の意思もなかつたと主張する。しかし労働者側がいわゆる生産管理開始のとき工場、設備、資材等をその占有下においたのは違法の占有であり、判示鉄板についてもそのとき会社側の占有に対して占有の侵奪があつたというべきであるが、原判決はこれを工場外に搬出したとき不法領得の実現行為があつたものと認定したものである。これを証拠に照らし合わせて考えてみても、被告人等が争議期間中の労働者の賃金支払等に充てるために売却する目的を以て、会社側の許可なくしてこれを工場外に運び出し、自己の事実上の支配内に收めた行為は、正に不法領得の意思を以て会社の所持を奪つたものというべきであつて、原判決が窃盗罪にあたるものとしたのは当然である。
六 論旨は生産管理が同盟罷業と性質を異にするものでないということを理由として、生産管理も同盟罷業と同様に違法性を阻却される争議行為であると主張する。しかしわが国現行の法律秩序は私有財産制度を基幹として成り立つており、企業の利益と損失とは資本家に帰する。従つて企業の経営、生産行程の指揮命令は、資本家又はその代理人たる経営担当者の権限に属する。労働者が所論のように企業者と並んで企業の担当者であるとしても、その故に当然に労働者が企業の使用收益権を有するのでもなく、経営権に対する権限を有するものでもないい。従つて労働者側が企業者側の私有財産の基幹を揺がすような争議手段は許されない。なるほど同盟罷業も財産権の侵害を生ずるけれども、それは労働力の給付が積務不履行となるに過ぎない。然るに本件のようないわゆる生産管理に於ては、企業経営の権能を権利者の意思を排除して非権利者が行うのである。それ故に同盟罷業も生産管理も財産権の侵害である点においては同様であるからとて、その相違点を無視するわけにはゆかない。前者において違法性が阻却されるからとて、後者においてもそうだという理由はない。
七 論旨は、憲法が労働者の争議権を認めたことを論拠として、従来の市民法的個人法的観点を楊棄すべきことを説き、かような立場から労働者が争議によつて使用者たる資本家の意思を抑圧してその要求を貫徹することは不当でもなく違法でもないと主張する。しかし憲法は勤労者に対して団結権、団体交渉権その他の団体行動権を保障すると共に、すべての国民に対して平等権、自由権、財産権等の基本的人権を保障しているのであつて、是等諸々の基本的人権が労働者の争議権の無制限な行使の前に悉く排除されることを認めているのでもなく、後者が前者に対して絶対的優位を有することを認めているのでもない。寧ろこれ等諸々の一般的基本的人権と労働者の権利との調和をこそ期待しているのであつて、この調和を破らないことが、即ち争議権の正当性の限界である。その調和点を何処に求めるべきかは、法律制度の精神を全般的に考察して決すべきである。固より使用者側の自由権や財産権と雖も絶対無制限ではなく、労働者の団体行動権等のためある程度の制限を受けるのは当然であるが、原判決の判示する程度に、使用者側の自由意思を抑圧し、財産に対する支配を阻止することは、許さるべきでないと認められる。それは労働者側の争議権を偏重して使用者側の権利を不当に侵害し、法が求める調和を破るものだからである。
八 論旨は、原判決を以て、生産管理の本質を誤り、生産管理が争議権行使の一方法であることを否認し、争議権行使の方法を制限した違法あるものとして、非難すると共に、生産管理が労働関係調整法第七条にいわゆる「その他」の行為の中に含まれるということを論拠として、労働者が争議方法として生産管理を行うことには何等の制限を受くべきでないと主張する。しかし右の法条は争議行為の定義を掲げただけであつて、争議行為又はそれに伴う諸々の行為がすべて適法又は正当であると言つているのではない。従つて生産管理が右の「その他」の行為の中に含まれるとしても、そのことだけから、生産管理を行う自由があると即断することはできない。具体的争議行為の適法性の限界については、別個の観点から判断されなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和25年11月15日 昭和23(れ)1049
- 登載
- 刑集 第4巻11号2257頁
- 参照法条
- 労働関係調整法7条,刑法235条,刑法252条,刑法35条,労働組合法1条2項,労働組合法1条,憲法12条,憲法28条,憲法29条
論点15第12条日本国憲法
一 家宅捜索について居住者の不任意の承諾と住居侵入罪
二 予審制度廃止以前に作成された予審訊問調書の証拠能力
三 目的の正否と公共の福祉
四 憲法第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉にいわゆる団結権等の意義
五 権限を有しない者の隠匿物資摘発行為と違法性阻却の理由
裁判要旨一 A市長夫人Bが被告人C等に対して家宅捜索の承諾を与えたのは、赤旗を擁した多数の威力を背景とする同人等の言動に威圧されたためであつて、その真意から出たものでないことをCも知つていたことは、原判決挙示の各証拠就中Dに対する予審判事の証人訊問調書中同人の供述記載によつて十分に推認することができる。それ故に原判決には所論のように証拠によらずしてCの犯意を認定したという違法はない。
二 予審制度は現在廃止せられているけれども、その廃止以前に適法に作成された予審訊問調書が証拠能力を有することは、当裁判所の判例(昭和二二年れ第三一九号同二四年五月一八日大法廷判決)の趣旨とするところである。
三 市民のため食糧を獲得すること又は市長や食糧営団の職員に反省を促すことが目的として正しいとしても、それだけでその目的を達成するための手段がすべて正当化される訳ではない。その手段は秩序を守りつゝ個人の自由や権利を侵さないように行われなければならない。けだし秩序が維持されることも個人の基本的人権が尊重されることもそれ自体が公共の福祉の内容を成すものだからである。それ故に原判決が被告人等の所為を公共の福祉に反するものとし、正常の行為に非ずと断じたのは当然である。
四 憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉にいわゆる団結権、団体交渉権等は、単なる一般市民の集合には適用されない。
五 仮りに所論のように、当局者が隠匿摘発物資の励行を怠つていたとしても、本件被告人がしたような方法(赤旗を擁した多数の威力を背景として家宅捜索の承諾を得た)によつてこれを摘発することが不当であつて、違法性阻却の事由とならないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五月一八日大法廷判決)に徴して明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和25年10月11日 昭和24(れ)1601
- 登載
- 刑集 第4巻10号2012頁
- 参照法条
- 刑法130条,刑法第1編第7章(犯罪ノ不成立及ビ刑ノ減免),刑法35条,旧刑訴法300条,刑訴応急措置法9条,憲法12条,憲法13条,憲法28条
論点16第13条日本国憲法
国選弁護人に支給すべき報酬額の決定に対する不服申立の可否(補足意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和63年11月29日 昭和62(し)120
- 登載
- 集刑 第250号1045頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法31条,憲法32条,憲法37条3項,憲法98条1項,刑訴法38条2項,419条,428条,刑訴費用等に関する法律8条2項
論点17第13条日本国憲法
一 出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めと憲法二一条二項前段にいう検閲
二 名誉侵害と侵害行為の差止請求権
三 公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関する出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めの許否
四 公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によつて命ずる場合と口頭弁論又は債務者審尋
裁判要旨一 雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法
二一条二項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉前段にいう検閲に当たらない。
二 名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる。
三 人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、右出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときに限り、例外的に許される。
四 公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によつて命ずる場合には、原則として口頭弁論又は債務者の審尋を経ることを要するが、債権者の提出した資料によつて、表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であり、かつ、債権者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があると認められるときは、口頭弁論又は債務者の審尋を経なくても憲法二一条の趣旨に反するものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和61年6月11日 昭和56(オ)609
- 登載
- 民集 第40巻4号872頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,民訴法757条2項,民訴法760条,民法1条ノ2,民法198条,民法199条,民法709条,民法710条,刑法230条ノ2
論点18第13条日本国憲法
いわゆるビニ本写真誌の販売目的所持に対する刑法一七五条の適用を違憲とする主張が排斥された事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年10月21日 昭和59(あ)790
- 登載
- 集刑 第244号55頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,刑法175条
論点19第13条日本国憲法
一 刑法一七七条、一八一条が憲法一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、九九条〈天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。〉に違反しないとされた事例
二 刑訴規則五五条一項にいう「裁判をした裁判官」の意義
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年3月19日 昭和59(あ)1111
- 登載
- 集刑 第239号139頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法14条,憲法99条,刑法177条,刑法181条,刑訴規則55条1項
論点20第13条日本国憲法
刑法一七五条と憲法一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年9月21日 昭和58(あ)1546
- 登載
- 集刑 第238号33頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点21第13条日本国憲法
親権者でない親と子の面接交渉と憲法一三条
裁判要旨協議離婚をした際に親権者とされなかつた親に子との面接交渉を認めるかどうかは、子の監護に関する処分について定める民法七六六条一項又は二項の解釈適用の問題であつて、憲法
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違背するかどうかの問題にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年7月6日 昭和58(ク)103
- 登載
- 集民 第142号273頁
- 参照法条
- 憲法13条,民法766条1項,民法766条2項
論点22第13条日本国憲法
刑法一七五条と憲法一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉
裁判要旨刑法一七五条は、憲法
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年10月27日 昭和57(あ)859
- 登載
- 刑集 第37巻8号1294頁
- 参照法条
- 刑法175条,憲法13条,憲法21条,憲法31条
論点23第13条日本国憲法
刑法一七五条が憲法一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しないとされた事例
刑法一七五条の「猥褻」の概念が不明確である旨の憲法三一条違反の主張が欠前提とされた事例(一、二につき補足意見がある)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年10月27日 昭和57(あ)311
- 登載
- 集刑 第232号461頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点24第13条日本国憲法
嫡出の否認につき訴によるべきこと及び右訴について出訴期間を定めた民法の規定と憲法一三条、一四条一項
裁判要旨嫡出の推定を受ける子につき夫がその嫡出であることを否認するためには嫡出否認の訴によるべきものとし、かつ、右訴につき出訴期間を定めた民法の規定は、憲法
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない(昭和二八年(オ)第三八九号同三〇年七月二〇日大法廷判決・民集九巻九号一一二二頁、昭和五四年(オ)第一四九号同五四年六月二一日第一小法廷判決・裁判集民事第一二七号一一七頁)。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年3月27日 昭和54(オ)1331
- 登載
- 集民 第129号353頁
- 参照法条
- 民法774条,民法775条,民法777条,憲法13条,憲法14条1項
論点25第13条日本国憲法
刑法二〇五条二項と憲法一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、七六条〈すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。〉
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年7月10日 昭和54(あ)499
- 登載
- 集刑 第215号69頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法14条,憲法76条,刑法205条2項
論点26第13条日本国憲法
法律上の父子関係は認知によつてはじめて発生するものと定めることと憲法一三条及び一四条一項
裁判要旨法律上の父子関係は認知によつてはじめて発生するものと定めることは憲法一三条にも
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉にも違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年6月21日 昭和54(オ)149
- 登載
- 集民 第127号117頁
- 参照法条
- 民法779条,憲法13条,憲法14条1項
論点27第13条日本国憲法
一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律五四条二項〈衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集し…〉と昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の手続上の適法性
二、憲法と子どもに対する教育内容の決定権能の帰属
三、教育行政機関の法令に基づく教育の内容及び方法の規制と教育基本法一〇条
四、昭和三六年当時の中学校学習指導要領(昭和三三年文部省告示第八一号)の効力
五、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査と教育基本法一〇条
六、教育の地方自治と昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の適法性
裁判要旨一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律
五四条二項〈衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集し…〉は、文部大臣に対し、昭和三六年度全国中学生一せい学力調査のような調査の実施を教育委員会に要求する権限を与えるものではないが、右規定を根拠とする文部大臣の右学力調査の実施の要求に応じて教育委員会がした実施行為は、そのために手続上違法となるものではない。
二、憲法上、親は一定範囲においてその子女の教育の自由をもち、また、私学教育の自由及び教師の教授の自由も限られた範囲において認められるが、それ以外の領域においては、国は、子ども自身の利益の擁護のため、又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、子どもの教育内容を決定する権能を有する。
三、教育行政機関が法令に基づき教育の内容及び方法に関して許容される目的のために必要かつ合理的と認められる規制を施すことは、必ずしも教育基本法一〇条の禁止するところではない。
四、昭和三六年当時の中学校学習指導要領(昭和三三年文部省告示第八一号)は、全体としてみた場合、中学校における教育課程に関し、教育の機会均等の確保及び全国的な一定水準の維持の目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な遵守基準を設定したものとして、有効である。
五、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査は、教育基本法一〇条一項にいう教育に対する「不当な支配」として同条に違反するものではない。
六、文部大臣が地方教育行政の組織及び運営に関する法律
五四条二項の規定を根拠として教育委員会に対してした昭和三六年度全国中学校一せい学力調査の実施の要求は、教育の地方自治の原則に違反するが、右要求に応じてした教育委員会の調査実施行為自体は、そのために右原則に違反して違法となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和51年5月21日 昭和43(あ)1614
- 登載
- 刑集 第30巻5号615頁
- 参照法条
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律32条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律43条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項,刑法95条1項,憲法13条,憲法23条,憲法26条,憲法92条,教育基本法 前文,教育基本法10条,学校教育法38条,学校教育法106条,学校教育法施行規則54条の2
論点28第13条日本国憲法
一、ゴルフ場の利用に対し娯楽施設利用税を課することとした地方税法七五条一項二号の規定が違憲であるとの主張が排斥された事例
二、ゴルフ場の土地建物につき固定資産税を賦課したうえゴルフ場を利用する者に対し娯楽施設利用税を賦課することと二重課税の成否
裁判要旨一、省略
二、ゴルフ場の土地建物につき固定資産税を賦課したうえゴルフ場を利用する者に対し娯楽施設利用税を賦課しても、二重課税の問題は生じない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年2月6日 昭和44(行ツ)64
- 登載
- 集民 第114号117頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法14条1項,憲法21条1項,地方税法75条1項2号,地方税法343条
論点29第13条日本国憲法
常習賭博罪の憲法一三条違反の主張が不適法とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月7日 昭和50(あ)1455
- 登載
- 集刑 第198号425頁
- 参照法条
- 憲法13条,刑法186条1項
論点30第13条日本国憲法
控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人にあらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとした原決定の合憲性
裁判要旨控訴趣意書差出最終日指定後選任された弁護人に、あらためて最終日の通知をしなかつたことを違法でないとして、控訴棄却の決定に対する異議申立を棄却した原決定は、憲法
三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉、
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年2月13日 昭和45(し)5
- 登載
- 刑集 第24巻2号45頁
- 参照法条
- 憲法32条,憲法13条,刑訴法386条,刑訴法376条,刑訴規則236条
論点31第13条日本国憲法
一 昭和二九年京都市条例第一〇号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例の合憲性
二 みだりに容ぼう等を撮影されない自由と憲法一三条
三 犯罪捜査のため容ぼう等の写真撮影が許容される限度と憲法一三条、三五条
裁判要旨一 昭和二九年京都市条例第一〇号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は、憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
二 何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有し、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉の趣旨に反し許されない。
三 警察官による個人の容ぼう等の写真撮影は、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときは、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、憲法
一三条、
三五条〈何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和44年12月24日 昭和40(あ)1187
- 登載
- 刑集 第23巻12号1625頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法13条,憲法35条,集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和29年京都市条例10号)2条,6条,刑訴法218条2項,刑訴法220条,警察法2条1項
論点32第13条日本国憲法
死刑を定める刑法の規定の合憲性
裁判要旨死刑を定める刑法の規定が憲法第一三条、第三一条、第三六条に違反しないことは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決、刑集二巻三号一九一頁)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年7月14日 昭和41(あ)2439
- 登載
- 集刑 第163号893頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法31条,憲法36条,刑法9条,刑法11条
論点33第13条日本国憲法
幼児引渡の請求を認容する判決と憲法第一三条。
裁判要旨いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第一三条となんら関係がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月17日 昭和36(オ)835
- 登載
- 民集 第17巻8号968頁
- 参照法条
- 民法820条,憲法13条
論点34第13条日本国憲法
旧酒税法(昭和一五年法律第三五号)第六六条本文の合憲性
裁判要旨旧酒税法(昭和一五年法律第三五号)六六条本文が罰金刑ついて刑法六六条の規定を排除したからといつて、憲法
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
七六条三項〈すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。〉に違反するということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年4月13日 昭和36(あ)2391
- 登載
- 集刑 第141号823頁
- 参照法条
- 旧酒税法(昭和15年法律35号)66条,憲法13条,憲法76条3項,刑法66条
論点35第13条日本国憲法
刑法第一八条は憲法第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するか。
裁判要旨刑法一八条が憲法
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一八九〇号、同二五年六月七日大法廷判決、刑集四巻六号九五六頁)の趣旨に徴し明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和36年12月15日 昭和36(あ)2081
- 登載
- 集刑 第140号465頁
- 参照法条
- 刑法18条,憲法13条,憲法14条
論点36第13条日本国憲法
浪費者であることを理由として準禁治産を宣告する制度と憲法第一三条および同第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉。
裁判要旨浪費者であることを理由として準禁治産を宣告する制度は、憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉および同
第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和36年12月13日 昭和36(ク)22
- 登載
- 民集 第15巻11号2795頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法29条,民法11条
論点37第13条日本国憲法
刑訴法第三九二条第二項の合憲性
裁判要旨刑訴第三九二条二項が控訴審に職権調査の義務を課さなかつたといつて、憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
第七六条第三項〈すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年9月18日 昭和30(あ)1627
- 登載
- 刑集 第11巻9号2340頁
- 参照法条
- 刑訴法392条,憲法13条,憲法76条3項
論点38第13条日本国憲法
一 控訴審において主張判断のない事項を上告理由とすることの適否。
二 旧関税法第八三条第一項の法意と憲法第二九条。
裁判要旨一 所論は原審において主張判断を経ない事項であるから、上告適法の理由とならない。
二 (所論の要旨)原判決の支持する第一審判決によれば「関税法第八三条第一項により主文第二項記載の物件を没収する」と摘示しており、右物件中にはAが包含せられている。これによつてこれを見れば、右法条中犯人の占有に係るものとして、右船舶を没収したものと解せられる、若し本件船舶が同法条にあたるものとせば、同法条は憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反し無効なりといわざるを得ない。蓋し右Aは、B株式会社の所有品であつて、訴外甲等が賃借し、更に同人等より被告人等が転借占有していたもので、被告人等において密輸入に使用するの企図を以て占有していたとしても、所有者たるB株式会社はかかる企図につきては、何等知ることなきは勿論何等関知せざりしものである。単に賃貸借契約せるのみで、その転借人の行為により、船舶が没収せらるるとせば、会社は何等の故意過失なくして没収されることとなるからである。
三 旧関税法第八三条第一項(昭和二三年法律第一〇七号により改正された明治三二年法律第六一号)は、犯人以外の第三者の所有に属する同条所定の貨物または船舶でも、それが犯人の占有に係るものであれば、右所有者の善意、悪意に関係なく、すべて無条件に没収すべき旨を定めたものではなく、右所有者たる第三者が貨物について同条所定の犯罪行為が行われることまたは船舶が同条所定の犯罪行為の用に供せられることをあらかじめ知つており、その犯罪が行われた時から引きつづき右貨物または船舶を所有していた場合にその貨物または船舶を没収できる趣旨に解すべきであつて、憲法
第二九条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年11月27日 昭和26(あ)1897
- 登載
- 刑集 第11巻12号3132頁
- 参照法条
- 旧関税法(明治32年法律61号−昭和23年法律107号により改正されたもの)83条,旧関税法(明治32年法律61号−昭和23年法律107号により改正されたもの)76条,旧関税法(明治32年法律61号−昭和23年法律107号により改正のもの)83条1項,関税法(昭和29年法律61号)118条,関税法(昭和29年法律61号)118条1項,憲法13条,憲法29条,刑訴法405条,刑訴法414条,刑訴法392条
論点39第13条日本国憲法
無期懲役刑の合憲性
裁判要旨無期懲役刑は憲法第一三条第三一条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和31年12月25日 昭和31(あ)3215
- 登載
- 刑集 第10巻12号1711頁
- 参照法条
- 刑法12条,憲法13条,憲法31条
論点40第13条日本国憲法
一 民法第七八七条但書と憲法第一三条
二 民法第七八七条但書は憲法第一四条の「差別」の規定であるか
裁判要旨一 民法第七八七条但書の規定は、憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違反しない。
二 民法第七八七条但書の規定は、認知の訴の提起に関し、すべての嫡出でない子につき一律平等にその権利の存続期間を制限したものであり、その間に差別を加えたものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和30年7月20日 昭和28(オ)389
- 登載
- 民集 第9巻9号1122頁
- 参照法条
- 民法787条但書,憲法13条,憲法14条
論点41第13条日本国憲法
一 刑訴第三七九条にいう「訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである」の意義
二 刑法第一二七条にいう「前条」には刑法第一二六条第三項を含むか
三 刑法第一二六条第三項にいう「人」には車外の人を含むか
四 刑法第一二七条にいう「汽車又は電車」には刑法第一二五条の犯行に供用されたものを含むか
五 過失致死の結果的加重犯について死刑を定めた刑法第一二七条は憲法第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、第三六条〈公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。〉に違反するか
六 刑訴第四〇〇条但書によるいわゆる自判の限界
七 被告人が犯罪の実行者であることについて自白のみによる認定は憲法第三八条第三項に違反するか
八 日本国有鉄道職員の争議禁止は憲法第二八条に違反するか
九 刑訴法第三七九条の法意
一〇 判決に影響を及ぼすことが明らかでない訴訟手続の違法ある判決と憲法第三一条
一一 第一審の訴訟手続の違法が判決に影響を及ぼしたことが明らかといえない場合と刑訴第三七九条
一二 憲法第三八条第二項〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉にいう「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」にあたらない一事例
一三 控訴申立をした検察庁の検察官が作成した控訴趣意書を控訴裁判所に対応する検察庁の検察官が提出することは違法か
裁判要旨一 刑訴
第三七条〈すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。〉の場合は、訴訟手続の法令違反が判決に影響を及ぼすべき可能性があるというだけでは、控訴理由とすることはできないのであつて、その法令違反がなかつたならば現になされている判決と異る判決がなされたであろうという蓋然性がある場合でなければ、同条の法令違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであるということはできない。
二 刑法第一二七条は、刑法第一二五条の罪を犯し因て汽車又は電車の顛覆若しくは破壊を致し、因て人の致死の結果を生じた場合には、刑法第一二六条第三項の例により処断すべきことを規定したものと解するを相当とする。
三 刑法第一二六条第三項にいう「人」とは、必ずしも同条第一項の車中に現在した人に限定すべきでなく、汽車又は電車の顛覆くは破壊に因つて死に致された人をすべて包含する法意と解するを相当する。
四 刑法第一二七条にいう「汽車又は電車」には、刑法第一二五条の犯行に供用されたものを含むものと解すべきである。
五 刑法第一二七条が、刑法第一二六条第三項の例により汽車又は電車の顛覆若くは破壊による人の致死の場合に、死刑をもつて処断し得ることを定めても、憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
第三六条〈公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。〉に違反しない。
六 刑訴第四〇〇条但書は、控訴審において事実の取調をする必要がないと認める場合でも、必ず新たな証拠の取調をした上でなければ自判できない旨を規定しているものと解すべきではない。また控訴審において記録調査及び事実取調の結果第一審判決を破棄すべき理由ありと認め、且つそれ以上審理をなすまでもなく判決をなすに孰していると認められ、しかも客観的に見て自判の結果が差戻または移送後の第一審判決よりも被告人にとつて不利益でないということが確信される場合ならば、自判により第一審判決の無期懲役の宣告刑を変更して死刑を言い渡すことも、必ずしも違法ということはできない。
七 被告人の自白について、同人が犯罪の実行者であると推断するに足る直接の補強証拠が欠けていても、その他の点について補強証拠が備わり、それと被告人の自白とを綜合して犯罪事実を認定するに足る以上、憲法
第三八条第三項〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉の違反があるということはできない。
八 日本国有鉄道職員が公共企業体労働関係法第一七条により争議行為を禁止されても、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に違反しない。
九 絶対的控訴理由(三七七条三七八条)に当る場合は常に相当因果関係があるものと訴訟法上みなされているものと解すべきであるが、三七九条の場合には、裁判所が当該事件について具体的に諸般の情況を検討して判断すべき問題であつて、或る訴訟手続の法令違反は当然に判決に影響あるものと解し、或はその影響の可能性があれば足ると解するが如きは、同条の法意に反するものといわなければならない。また判決に影響を及ぼすことが明らかでない訴訟手続の違法があつたからといつて、その判決が憲法三一条にいわゆる法律の定める手続によらなかつたものであるということのできないのはいうまでもない。
一〇 第一審において、検察官の起訴状朗読に先だち、事件の実体又は証拠関係に触れた被告人側の右起訴が無効である旨の主張及び控訴の取消を求むる発言を許容したこと、法定の手続を経ないで被告人等からの事件の実体に触れた上申書を受理して訴訟記録に編綴したこと、甲証拠の証明力を争うために提出した証拠を乙証拠の証明力を否定する資料に供したこと、の各訴訟手続の法令違反があつても、その違反が常に第一審判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえない。
一一 記録に徴すれば、検察官に対する被告人の自白は拘禁一七日以後なされたものであり、また所論公判廷における供述は勾留五ケ月余又は一〇ケ月余を経てなされたものであることは明らかであるけれども、本件事案の内容、取調の経過その他諸般の事情に照し右一七日の拘禁は不当に長きにわたる拘禁とはいえない。また所論公判廷における自白は既に右検察官に対してなされた自白の反覆であるから、右公判廷における自白をもつて、不当に長い拘禁後の自白ということはできない。
一二 控訴趣意書を控訴申立をした検察庁の検察官が作成し、これを控訴裁判所に対応する検察庁の検察官が提出することは、少しも訴訟法に違反するものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和30年6月22日 昭和26(あ)1688
- 登載
- 刑集 第9巻8号1189頁
- 参照法条
- 刑訴法379条,刑訴法400条,刑訴法319条2項,刑訴法319条1項,刑訴法376条,刑法127条,刑法126条3項,憲法13条,憲法36条,憲法31条,憲法38条3項,憲法28条,憲法38条2項,公共企業体労働関係法2条,公共企業体労働関係法17条,公共企業体労働関係法18条
論点42第13条日本国憲法
一 農業団体法第六七条の合憲性
二 犯罪の個数の認定の誤による罰金合算額の相違が判決に影響することが明らかでない一事例
裁判要旨一 農業団体法第六七条は憲法に違反しない。
二 犯罪の個数の認定を誤つたため罰金の合算額が正当な合算額を超えている場合であつても、宣告刑が正当な合算額の範囲内であつて、しかも甚だ低いものである場合には、右の法令違反は、判決に影響することが明らかであるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和30年3月16日 昭和27(あ)697
- 登載
- 刑集 第9巻3号461頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法14条,農業団体法67条,刑訴法380条,刑法55条
論点43第13条日本国憲法
一 覚せい剤取締法第一四条にいわゆる「所持」の概念
二 覚せい剤取締違法第四一条第一項が第一号から第五号までの所為に対し同一の法定刑を定めたことは憲法第一三条に違反するか
三 被告人にとり不利益な主張であつて上告理由として許されない一事例
裁判要旨一 覚せい剤取締法第一四条にいわゆる「所持」の概念は明確を欠くものではない。
二 覚せい剤取締法第四一条第一項がその第一号から第五号までの所為に対し、同一の法定刑を定めたからといつて、憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違反しない
三 押収の覚せい剤を没収しなかつた第一審判決の違法を職権により匡正しないでこれを看過した原判決は違法であると主張する上告論旨は、被告人にとり不利益な主張であつて、上告理由として許されない
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和30年12月21日 昭和30(あ)2311
- 登載
- 刑集 第9巻14号2946頁
- 参照法条
- 覚せい剤取締法14条,覚せい剤取締法41条,覚せい剤取締法41条の3,憲法13条,憲法31条,刑訴法405条
論点44第13条日本国憲法
憲法違反の主張がその前提を欠く場合 −詐術を用いて犯行を誘発せしめたとの主張−
裁判要旨所論第一は、要するに捜査当局が犯人にあらざるものに詐術を以て強いて犯罪を行わしめこれを逮捕するがごときは個人の人権の侵害で憲法一三条に違反するというのである。しかし、本件被告人が捜査当局から詐術を以て本件犯罪を強いて誘発された事実を認むべき証拠がないから(被告人は、所論Aより相談を持ちかけられる前既に友人亡Bから本件麻薬の売却方を依頼されていたことは論旨も認めるところである。)所論は、その前提を欠くものであつて採用できない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年1月21日 昭和26(れ)1938
- 登載
- 集刑 第91号541頁
- 参照法条
- 憲法13条,刑法61条,刑法62条,麻薬取締規則(昭和21年厚生省第25号)23条
論点45第13条日本国憲法
一 昭和二三年七月七日法律第一一〇号による改正後で、同二五年七月三一日法律第二二六号による改正前の地方税法第一三六条第二項の合憲性
二 昭和二三年七月七日法律一一〇号による改正後で、同二後年七月三一日法律第二二六号による改正前の地方税法(以下旧地方税法と略称)第一三六条第二項の不納入罪の成立と同法第四一条の督促との関係
三 旧地方税法第一三六条第二項の犯罪の日時の判示に欠けるところのない事例
四 昭和二三年八月一日以後同二四年六月一日以前に為された入場税および同附加税犯則事件と通告処分および告発
五 入場税法の犯則取締について通告処分や告発を必要とするものと定めるか否かによつて法令の違憲の問題を生ずるか
六 税法違反被告事件について大審院民事判例を引用して判例違反を主張することの適否
裁判要旨一 旧地方税法第一三六条第二項は憲法
第一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
第三六条〈公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。〉に違反しない。
二 旧地方税法第一三六条第二項の不納入罪は特別徴収義務者が納入すべき金額を納入しないで法定の期限を経過することによつて当然に成立するものであつて、これに対して同法第四一条の督促状を発することは右不納入罪の成立要件ではない。
三 判決に被告人が入場税および同附加税を徴収した年月日を明示し、徴収した入場税を府税条例所定の期限内に所定の場所に納入しなかつた旨判示してある以上、旧地方税法第一三六条第二項の犯罪成立の年月日は判示されているものというべきである。
四 昭和二三年八月一日以後同二四年六月一日以前に為された入場税および同附加税犯則事件については国税犯則取締法所定の通告処分および告発を訴訟条件と解すべき余地はない。
五 入場税法の犯則取締について通告処分や告発を必要とするものと定めるか否かというが如きことは、国が立法政策として自由に決し得るところであつて、このことで法令の違憲問題を生ずるものではない。
六 税金不納入と刑事責任との関係が問題となつている税法違反被告事件において、債務の履行遅滞または不履行と損害賠償との関係に関する民事判例を引用して判例違反を主張するのは失当である。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和29年11月10日 昭和26(あ)990
- 登載
- 刑集 第8巻11号1749頁
- 参照法条
- 旧地方税法136条2項(昭和23年7月7日法律110号による改正後で、同25年7月31日法律226号による改正前のもの),旧地方税法136条1項,旧地方税法136条2項,旧地方税法136条3項,旧地方税法140条,旧地方税法36条,旧地方税法37条,旧地方税法41条,旧地方税法46条,旧地方税法99条,旧地方税法141条,旧地方税法151条,憲法13条,憲法36条,刑訴法335条,刑訴法405条3号,昭和24年法律第169号中の地方税法に第126条の2を加えた部分,昭和24年法律第169号中の地方税法に第126条の2を加えた附則1項,昭和24年法律第169号中の地方税法に第126条の2を加えた附則3項,大阪府税条例58条,大阪府入場税条例6条,大阪府入場税条例7条,大阪市税条例39条,地方税法(昭和23年法律110号による改正後で、同25年法律226号による改正前のもの)136条2項
論点46第13条日本国憲法
政府乃至都道府縣が賭場開帳図利罪若しくは富籖罪と本質上同一行為を為すことによつて右賭博等の犯罪行為を公認したものといえるか―刑法第二三章の各条項は失効しない
裁判要旨賭博及び富籖に関する行為が風俗を害し公共の福祉に反するものというべきこと勿論であつて、政府乃至都道府縣が自ら賭場開帳図利若しくは富籖罪と本質上同一の行為を為すこと自体が適法であるか否か又これを認める立法の当否は問題となるが原に犯罪行為と本質上同一である或る種の行為が行われているという事実並にこれを公認している立法があるということだけから国家自身一般に賭博並に富籖に関する罪を公認したものとかこれが処罰を定めた刑法第二三章賭博及び富籖に関する各条項が当然に失効したものということはできない。(昭和二五年(れ)第二八〇号同年一一月二二日大法廷判決参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年5月1日 昭和25(あ)982
- 登載
- 集刑 第45号101頁
- 参照法条
- 刑法186条2項,刑法187条,憲法13条
論点47第13条日本国憲法
一 白金指輪は昭和一八年六月商工省告示第五五三号所定の「貴金属製品」にあたる
二 罰金不完納の場合金五〇円を一日に換算し労役場に留置するとしたことと憲法第一四条
裁判要旨一 原審の適用した昭和一八年六月二六日商工省告示第五五三号の四五九には単に「白金」とあること所論のとおりであるが、右告示の五二一には「貴金属製品」とあつて、本件白金指輪はこれに該当してその輸出は禁じられているものであるから、原判決が右告示を適用したことは何等法令の誤りはなく、論旨は理由がない。
二 罰金刑の言渡を受けた者が罰金を完納することができない場合の労役場における留置は、刑の執行に準ずべきものであるから、留置一日に相応する金銭的換価率、は必ずしも自由な社会における勤労の報酬額と同率に決定されるべきものではなく、旧刑訴法事件において一日二〇円の換算であつても、基本的人権と法の下における国民の平等を保障した憲法の条項に皮するものではないこと、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一、四二六号同二四年一〇月五日大法廷判決)の示すとおりである。されば原審が被告人において罰金を完納することができないときは金五〇円を一日に換算した機関被告人を労役場に留置すると言渡したことは、何等人受蹂躙の裁判でもなく刑の不当な加重にも当らないから論旨は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年1月23日 昭和24(れ)2803
- 登載
- 集刑 第39号615頁
- 参照法条
- 昭和18年6月26日商工省告示553号,貿易統制令(昭和16年勅令581号)4号,貿易統制令施行規則10条ノ2(昭和18年6月26日改正の分),刑法18条,旧刑訴法565条,憲法13条,憲法14条
論点48第13条日本国憲法
刑法中賭博罪に関する規定の合憲性
裁判要旨刑法中賭博罪に関する規定は、憲法に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年12月7日 昭和26(れ)1430
- 登載
- 刑集 第5巻13号2513頁
- 参照法条
- 憲法13条,刑法185条,刑法186条1項
論点49第13条日本国憲法
一 土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務の機関委任事務該当性
二 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条〈天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。〉に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「駐留軍用地特措法」という。)三条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務の主務大臣
三 職務執行命令訴訟における司法審査の範囲
四 駐留軍用地特措法と憲法前文、九条〈日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争…〉、一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、二九条三項〈財産権は、これを侵してはならない。〉
五 沖縄県における駐留軍用地特措法の適用と憲法前文、九条、一三条、一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、二九条三項、九二条〈地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。〉
六 使用認定が無効である場合に駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることの適否
七 使用認定に取り消し得べき瑕疵がある場合に駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることの適否
八 沖縄県内の土地を駐留軍の用に供するためにされた使用認定にこれを当然に無効とするような瑕疵があるとはいえないとされた事例
九 土地収用法三六条二項が土地所有者等の立会いを求めている趣旨
一〇 駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行の懈怠を放置することにより著しく公益を害することが明らかであるとされた事例
裁判要旨一 土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務は、都道府県知事に機関委任された国の事務である。
二 駐留軍用地特措法三条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務の主務大臣は、内閣総理大臣である。
三 地方自治法一五一条の二第三項の規定による職務執行命令訴訟においては、裁判所は、主務大臣の発した職務執行命令がその適法要件を充足しているか否かを客観的に審理判断すべきである。
四 駐留軍用地特措法は、憲法前文、
九条〈日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争…〉、
一三条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉、
二九条三項〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
五 内閣総理大臣の適法な裁量判断の下に沖縄県内の土地に駐留軍用地特措法を適用することがすべて許されないとまでいうことはできず、同法の同県内での適用が憲法前文、
九条、
一三条、
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
二九条三項九二条〈地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。〉に違反するということはできない。
六 使用認定が無効である場合には、駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは違法である。
七 使用認定に取り消し得べき瑕疵があるとしても、駐留軍用地特措法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは適法である。
八 駐留軍の用に供するためにされた使用認定の対象となった沖縄県内の土地が、沖縄復帰時において駐留軍の用に供することが日米両国間で合意された土地であり、その後における駐留軍の用に供された施設及び区域の整備縮小のための交渉によっても返還の合意に至らず、駐留軍基地の各種施設の敷地等として他の多くの土地と一体となって有機的に機能しており、駐留軍基地から派生する問題の軽減のための対策も講じられてきたなど判示の事実関係の下においては、同県に駐留軍基地が集中している現状や右各土地の使用状況等について沖縄県知事が主張する諸事情を考慮しても、右各土地の使用認定にこれを当然に無効とする瑕疵があるとはいえない。
九 土地収用法三六条二項は、土地調書及び物件調書が有効に成立する段階で、調書を土地所有者及び関係人に現実に提示し、記載事項の内容を周知させることを求めているものと解される。
一〇 駐留軍用地特措法三条の規定により沖縄県内の土地を使用する手続において、沖縄県知事が同法一四条、土地収用法三六条五項に基づく署名等代行事務の執行を懈怠していることを放置することは、これにより著しく公益を害することが明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成8年8月28日 平成8(行ツ)90
- 登載
- 民集 第50巻7号1952頁
- 参照法条
- 土地収用法36条2項,土地収用法36条5項,地方自治法148条1項,地方自治法148条2項,地方自治法151条の2第1項,地方自治法151条の2第2項,地方自治法151条の2第3項,地方自治法別表第3第1号(108),日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法1条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法3条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法5条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法14条,総理府設置法4条14号,行政事件訴訟法6条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約6条,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定2条,憲法前文,憲法9条,憲法13条,憲法14条1項,憲法29条3項,憲法92条
論点50第13条日本国憲法
一 刑法186条1項(平成7年法律第91号による改正前のもの)の合憲性(憲法13条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉)
二 いわゆる鉄火場賭博の検挙・処罰と憲法14条
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年9月26日 平成7(あ)544
- 登載
- 集刑 第266号1009頁
- 参照法条
- 刑法186条1項,憲法13条,憲法14条
論点51第13条日本国憲法
1 放送法64条1項の意義
2 放送法64条1項の合憲性
3 日本放送協会の放送の受信についての契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合に発生する受信料債権の範囲
4 日本放送協会の放送の受信についての契約に基づき発生する,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効の起算点
裁判要旨1 放送法64条1項は,日本放送協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者に対しその放送の受信についての契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会からの上記契約の申込みに対して上記の者が承諾をしない場合には,日本放送協会がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め,その判決の確定によって上記契約が成立する。
2 放送法64条1項は,同法に定められた日本放送協会の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の,日本放送協会の放送の受信についての契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法
13条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉,
21条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉,
29条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
3 日本放送協会の放送の受信についての契約を締結した者は受信設備の設置の月から定められた受信料を支払わなければならない旨の条項を含む上記契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する。
4 日本放送協会の放送の受信についての契約に基づき発生する,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(上記契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は,上記契約成立時から進行する。
(1につき補足意見,1,2につき補足意見,1,3につき補足意見,1~4につき反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成29年12月6日 平成26(オ)1130
- 登載
- 民集 第71巻10号1817頁
- 参照法条
- (1~4につき) 放送法1条,放送法第3章 日本放送協会,放送法64条1項 (1,3につき) 民法414条2項ただし書,民事執行法174条1項本文 (2につき) 憲法13条,憲法21条,憲法29条 (4につき) 民法166条1項
論点52第13条日本国憲法
1 民法750条と憲法13条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉
2 民法750条と憲法14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
3 民法750条と憲法24条〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉
裁判要旨1 民法750条は,憲法
13条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉に違反しない。
2 民法750条は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
3 民法750条は,憲法
24条〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉に違反しない。
(3につき補足意見,意見,反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成27年12月16日 平成26(オ)1023
- 登載
- 民集 第69巻8号2586頁
- 参照法条
- (1~3につき)憲法13条,憲法14条1項,憲法24条,民法750条
論点53第13条日本国憲法
刑法175条と憲法13条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉,19条〈思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。〉,21条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉,31条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成26年10月7日 平成24(あ)1080
- 登載
- 集刑 第315号1頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法19条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点54第13条日本国憲法
葬儀場の営業を行う業者が,その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し,上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も,葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例
裁判要旨葬儀場の営業を行う業者は,その近隣に上記営業の開始前から建っている居宅から,告別式等の参列者が葬儀場に参集する様子や棺が搬入又は搬出される様子等が見えることにより,上記居宅を共有してこれに居住する者が強いストレスを感じているとしても,次の(1)〜(4)など判示の事情の下においては,上記の者に対し,上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も,葬儀場の営業についての不法行為責任も負わない。
(1) 葬儀場と上記居宅との間には幅員15.3mの道路があり,上記居宅において葬儀場の様子が見える場所は2階の一部の居室等に限られる。
(2) 葬儀場における棺の搬入や出棺は,霊きゅう車等を葬儀場の建物の玄関先まで近付けて停車させ,速やかに,ごく短時間のうちに行われている。
(3) 葬儀場の建物の建築やその営業は,行政法規の規制に反するものではない。
(4) 上記業者は,周辺住民により構成される自治会からの要望事項に配慮して,目隠しのためのフェンスの設置,入口位置の変更,防音,防臭対策等の措置を講じている。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成22年6月29日 平成21(受)1709
- 登載
- 集民 第234号159頁
- 参照法条
- 民法2条,民法709条,憲法13条
論点55第13条日本国憲法
被告の所有する土地が建築基準法42条2項所定の道路(いわゆるみなし道路)に当たるとして人格権的権利に基づき同土地上の工作物の撤去を求める訴訟において被告が同土地がみなし道路であることを否定することは信義則上許されないとされた事例
裁判要旨被告の所有する土地が建築基準法42条2項所定の道路(いわゆるみなし道路)に当たるとして同土地周辺の建物所有者である原告らが提起した人格権的権利に基づき同土地上の工作物の撤去を求める訴訟において,被告が同土地がみなし道路であることを否定することは,被告が,建物を建築するに際し,同土地がみなし道路であることを前提に建築確認を得,同土地に幅員4mの道路を開設し,その後5年以上同土地がみなし道路であることを前提に建物を所有してきた上,同土地は公衆用道路として非課税とされているという事実関係の下では,信義則上許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年3月23日 平成15(受)1886
- 登載
- 集民 第219号967頁
- 参照法条
- 民法1条2項,民法2条,民法198条,民訴法2条,建築基準法42条2項,憲法13条
論点56第13条日本国憲法
1 不正競争防止法2条1項1号,2号にいう「営業」と宗教法人の宗教活動
2 宗教法人の名称を冒用されない権利に基づく侵害行為の差止請求の可否
3 宗教法人Yによる「天理教豊文教会」との名称の使用が宗教法人Xの「天理教」との名称を冒用されない権利を違法に侵害するものとはいえないとされた事例
裁判要旨1 不正競争防止法2条1項1号,2号にいう「営業」は,宗教法人の本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にある事業を含まない。
2 宗教法人は,その名称を他の宗教法人等に冒用されない権利を有し,これを違法に侵害されたときは,加害者に対し,侵害行為の差止めを求めることができる。
3 「天理教」との名称の宗教法人Xと被包括関係を設定していた宗教法人Yが,被包括関係の廃止に伴い,その名称を「天理教豊文分教会」から「天理教豊文教会」に変更した場合において,Yは長年にわたって「天理教」の語を冠した名称を使用してきたこと,Yの信奉する教義は社会一般の認識においては「天理教」にほかならないこと,YにおいてXの名称の周知性を殊更に利用しようとするような不正な目的をうかがわせる事情もないことなど判示の事情の下では,Yによる「天理教豊文教会」との名称の使用は,Xの名称を冒用されない権利を違法に侵害するものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年1月20日 平成17(受)575
- 登載
- 民集 第60巻1号137頁
- 参照法条
- (1につき)不正競争防止法1条,不正競争防止法2条1項1号,2号,宗教法人法6条 (2,3につき)民法2条,民法198条,民法199条,憲法13条,宗教法人法12条1項2号
論点57第13条日本国憲法
1 人の容ぼう,姿態をその承諾なく撮影する行為と不法行為の成否
2 写真週刊誌のカメラマンが刑事事件の法廷において被疑者の容ぼう,姿態を撮影した行為が不法行為法上違法とされた事例
3 人の容ぼう,姿態を描写したイラスト画を公表する行為と不法行為の成否
4 刑事事件の法廷における被告人の容ぼう,姿態を描いたイラスト画を写真週刊誌に掲載して公表した行為が不法行為法上違法とはいえないとされた事例
5 刑事事件の法廷において身体の拘束を受けている状態の被告人の容ぼう,姿態を描いたイラスト画を写真週刊誌に掲載して公表した行為が不法行為法上違法とされた事例
裁判要旨1 人はみだりに自己の容ぼう,姿態を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し,ある者の容ぼう,姿態をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは,被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容,撮影の場所,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。
2 写真週刊誌のカメラマンが,刑事事件の被疑者の動静を報道する目的で,勾留理由開示手続が行われた法廷において同人の容ぼう,姿態をその承諾なく撮影した行為は,手錠をされ,腰縄を付けられた状態の同人の容ぼう,姿態を,裁判所の許可を受けることなく隠し撮りしたものであることなど判示の事情の下においては,不法行為法上違法である。
3 人は自己の容ぼう,姿態を描写したイラスト画についてみだりに公表されない人格的利益を有するが,上記イラスト画を公表する行為が社会生活上受忍の限度を超えて不法行為法上違法と評価されるか否かの判断に当たっては,イラスト画はその描写に作者の主観や技術を反映するものであり,公表された場合も,これを前提とした受け取り方をされるという特質が参酌されなければならない。
4 刑事事件の被告人について,法廷において訴訟関係人から資料を見せられている状態及び手振りを交えて話しているような状態の容ぼう,姿態を描いたイラスト画を写真週刊誌に掲載して公表した行為は,不法行為法上違法であるとはいえない。
5 刑事事件の被告人について,法廷において手錠,腰縄により身体の拘束を受けている状態の容ぼう,姿態を描いたイラスト画を写真週刊誌に掲載して公表した行為は,不法行為法上違法である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年11月10日 平成15(受)281
- 登載
- 民集 第59巻9号2428頁
- 参照法条
- 民法709条,民法710条,憲法13条,刑訴規則215条
論点58第13条日本国憲法
平成一一年法律第一三八号による刑訴法二二二条の二の追加前において検証許可状により電話傍受を行うことの適否
裁判要旨平成一一年法律第一三八号による刑訴法二二二条の二の追加前において、捜査機関が電話の通話内容を通話当事者の同意を得ずに傍受することは、重大な犯罪に係る被疑事件について、罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、他の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存し、犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められる場合に、対象の特定に資する適切な記載がある検証許可状によって実施することが許されていた。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成11年12月16日 平成9(あ)636
- 登載
- 刑集 第53巻9号1327頁
- 参照法条
- 憲法13条,憲法21条2項,憲法31条,憲法35条,刑訴法128条,刑訴法129条,刑訴法197条1項,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項,刑訴法218条5項,刑訴法219条1項,刑訴法222条1項,刑訴法222条の2
論点59第13条日本国憲法
1 優生保護法3条1項1号から3号まで、10条〈日本国民たる要件は、法律でこれを定める。〉及び13条2項〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉(3条1項1号〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉、2号及び10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)と憲法13条及び14条1項
2 優生保護法3条1項1号から3号まで、10条及び13条2項(3条1項1号、2号及び10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)に係る国会議員の立法行為の国家賠償法1条1項所定の違法性の有無
3 裁判所が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる場合
4 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例
裁判要旨1 優生保護法3条1項1号から3号まで、
10条〈日本国民たる要件は、法律でこれを定める。〉及び
13条2項〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ…〉(
3条1項1号〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉、2号及び
10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、
3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、
13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)は、憲法
13条及び
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反する。
2 優生保護法3条1項1号から3号まで、
10条及び
13条2項(
3条1項1号、2号及び
10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、
3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、
13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受ける。
3 不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる。
4 優生保護法(昭和27年法律第141号による改正後のもの)3条1項1号の規定に基づいて生殖を不能にする手術を受けた者及びその配偶者並びに同法13条2項の規定に基づいて生殖を不能にする手術を受けた者が、国に対し、上記各規定を含む優生保護法の関係規定に係る国会議員の立法行為は違法であると主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた場合において、次の⑴~⑸など判示の事情の下では、上記の者らが上記損害賠償を求める訴えを提起した後に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が成立し、施行されたことを考慮しても、上記の者らの上記の損害賠償請求権の行使に対して国が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の主張をすることは、信義則に反し、権利の濫用として許されない。
⑴ 国は、約48年間にわたり、国家の政策として、優生保護法3条1項1号から3号まで、
10条及び
13条2項の規定(
3条1項1号、2号及び
10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、
3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、
13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの)に基づく施策を実施してきた。
⑵ 国は、上記施策の実施に当たり、審査を要件とする優生手術を行う際に身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合がある旨の厚生事務次官通知を各都道府県知事宛てに発出するなどして、優生手術を行うことを積極的に推進していた。
⑶ 上記施策が実施された結果として、少なくとも約2万5000人の者が上記規定に基づいて生殖を不能にする手術を受け、これにより生殖能力を喪失するという被害を受けた。
⑷ 上記訴えを提起した者らについて、上記損害賠償請求権の速やかな行使を期待することができたと解すべき事情があったことはうかがわれない。
⑸ 国は、平成8年に上記規定が削除された後、長期間にわたって、上記規定により行われた生殖を不能にする手術は適法であり、補償はしないという立場をとり続けてきた。
(3につき補足意見及び意見、4につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和6年7月3日 令和5(受)1319
- 登載
- 民集 第78巻3号382頁
- 参照法条
- (1、2、4につき)優生保護法(昭和27年法律第141号による改正後のもの)3条1項1号ないし3号、優生保護法(昭和27年法律第141号による改正後のもの)4条、優生保護法(昭和27年法律第141号による改正後のもの)10条、優生保護法(昭和27年法律第141号による改正後のもの)12条、優生保護法(昭和27年法律第141号による改正後のもの)13条 (1につき)憲法13条、憲法14条1項 (2、4につき)国家賠償法1条1項 (3、4につき)民法1条2項、民法3項、民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条
論点60第14条日本国憲法
租税逋脱犯において差別的起訴を理由とする憲法一四条、三一条違反の主張が排斥された事例
所得税逋脱犯につき懲役一年二月、罰金七〇〇〇万円の量刑が維持された事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年7月18日 昭和58(あ)1590
- 登載
- 集刑 第243号671頁
- 参照法条
- 憲法14条,憲法31条,刑訴法411条,刑訴法2条
論点61第14条日本国憲法
一 公職選挙法一三条一項、同法別表第一、同法附則七項ないし九項の衆議院議員の議員定数配分規定の合憲性
二 衆議院議員選挙が違憲の議員定数配分規定に基づいて行われた場合において選挙無効の請求を棄却するとともに主文において当該選挙が違法である旨を宣言すべきものとされた事例
裁判要旨一 公職選挙法一三条一項、同法別表第一、同法附則七項ないし九項の衆議院議員の議員定数配分規定は、昭和五八年一二月一八日施行の衆議院議員選挙当時、全体として憲法一四条一項に違反していたものである。
二 衆議院議員選挙か憲法一四条一項に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたことにより違法な場合であつても、選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避することを相当とする判示のような事情があるときは、いわゆる事情判決の制度の基礎に存するものと解すべき一般的な法の基本原則に従い、選挙無効の請求を棄却するとともに主文において当該選挙が違法である旨を宣言すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和60年7月17日 昭和59(行ツ)339
- 登載
- 民集 第39巻5号1100頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,公職選挙法13条,公職選挙法204条,公職選挙法205条1項,公職選挙法別表第1,公職選挙法附則7項ないし9項,行政事件訴訟法31条1項
論点62第14条日本国憲法
刑法五六条、五七条の規定は憲法一四条、三九条、三一条、三二条に違反しない
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年6月4日 昭和60(あ)45
- 登載
- 集刑 第240号155頁
- 参照法条
- 刑法56条,刑法57条,憲法14条,憲法39条,憲法31条,憲法32条
論点63第14条日本国憲法
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)八五条三号の規定と憲法一四条一項、三一条、三二条
二 独禁法八五条三号の規定と憲法七七条一項
三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承を得させることとする行政指導がある場合と石油製品価格に関する不当な取引制限行為の成否
四 不当な取引制限行為が事業者団体によつて行われた場合と事業者の処罰
五 独禁法二条六項にいう「相互にその事業活動を拘束し」にあたる場合
六 独禁法二条六項にいう「公共の利益に反して」の意義
七 法人の従業者が法人の業務に関して独禁法八九条一項一号違反の行為をした場合と右従業者及び法人の処罰
八 独禁法八九条一項一号の罪の既遂時期
九 石油製品価格に関する行政指導の許される範囲
一〇 適法な行政指導に従つて行われた行為と違法性の阻却
一一 独禁法九六条二項所定の告発状の方式
一二 刑訴規則五八条違反の瑕疵のある告発状の効力
一三 清算の結了による株式会社の法人格消滅の要件
一四 株式会社の吸収合併が不成立ないし不存在とはいえないとされた事例
一五 会社の吸収合併と刑事責任の承継
裁判要旨一 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた同法八五条三号の規定は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、
三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉に違反しない。
二 独禁法八九条から九一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権を東京高等裁判所に専属させた同法八五条三号の規定は、憲法
七七条一項〈最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。〉に違反しない。
三 石油製品の値上げの上限に関し通産省の了承を得させることとする行政指導が行われており、右行政指導が違法とまではいえない場合であつても、石油製品元売り会社の従業者等が、値上げの上限に関する通産省の了承を得るために右上限についての業界の希望案を合意するに止まらず、その属する事業者の業務に関し、通産省の了承の得られることを前提として、了承された限度一杯まで各社一致して石油製品の価格を引き上げることまで合意したときは、右合意は、独禁法三条、八九条一項一号、九五条一項によつて禁止・処罰される不当な取引制限行為にあたる。
四 独禁法上処罰の対象となる不当な取引制限行為が事業者団体によつて行われた場合であつても、これが同時に事業者団体を構成する各事業者の従業者等によりその業務に関して行われたと観念しうる事情があるときは、右行為に対する刑責を事業者団体のほか各事業者に対して問うことも許される。
五 各事業者の従業者等が、事業者の業務に関し、その内容の実施に向けて努力する意思をもち、かつ、他の事業者もこれに従うものと考えて、製品の価格をいつせいに一定の幅で引き上げる旨の協定を締結したときは、協定の実効性を担保するための制裁等の定めがなくても、独禁法二条六項にいう「相互にその事業活動を拘束し」にあたる。
六 独禁法二条六項の「公共の利益に反して」との文言は、原則としては同法の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを意味するが、現に行われた行為が形式上これに該当するものであつても、右法益と当該行為によつて守られる利益とを比較衡量すれば「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という同法の究極の目的に実質的には反しないと認められる例外的な場合を、同項にいう「不当な取引制限」行為から除外する趣旨を含む。
七 事業者たる法人の従業者である自然人が、法人の業務に関して、独禁法八九条一項一号に違反する行為をした場合には、行為者たる自然人及びその所属する法人は、いずれも、同法九五条一項及び同法八九条一項一号により処罰される。
八 事業者が他の事業者と共同して対価を協議・決定する等相互にその事業活動を拘束すべき合意をした場合において、右合意により、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争が実質的に制限されたものと認められるときは、独禁法八九条一項一号の罪は直ちに既遂に達し、右決定された内容が各事業者によつて実施に移されることや決定された実施時期が現実に到来することなどは、同罪の成立に必要ではない。
九 石油業法に直接の根拠を持たない石油製品価格に関する行政指導であつても、これを必要とする事情がある場合に、これに対処するため社会通念上相当と認められる方法によつて行われるものは、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という独禁法の究極の目的に実質的に抵触しない限り、違法とはいえない。
一〇 価格に関する事業者間の合意は、形式的に独禁法に違反するようにみえる場合であつても、適法な行政指導に従いこれに協力して行われたものであるときは、違法性を阻却される。
一一 独禁法九六条二項所定の告発状の方式には、刑訴規則五八条の適用ないし準用があり、公正取引委員会委員長の署名押印が必要である。
一二 告発状の方式に刑訴規則五八条違反の瑕疵がある場合でも、その体裁・形式・記載内容などから告発人の真意に基づいて作成されたものであることが容易に推認されうるときは、告発状の訴訟法上の効力は否定されない。
一三 清算の結了により株式会社の法人格が消滅したというためには、商法四三〇条一項、一二四条所定の清算事務が終了しただけでは足りず、清算人が決算報告書を作成してこれを株主総会に提出しその承認を得ることを要する。
一四 解散後清算事務を終了したが商法四二七条一項所定の手続が未了であつた甲株式会社につき会社継続の手続をしたうえ、乙株式会社をこれに吸収する合併契約をする等の手続を履践して行われた本件吸収合併(判文参照)は、これを不成立ないし不存在ということはできない。
一五 乙会社の従業者が会社の業務に関して価格協定に参加したのち、同会社が甲会社との吸収合併により消滅したときは、合併当時甲会社が清算事務を終了しており、かつ、右合併が乙会社の株式の額面金額の変更のみを目的としたものであつたとしても、現に存在する甲会社に対し右従業者の行為を理由としてその刑責を追及することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年2月24日 昭和55(あ)2153
- 登載
- 刑集 第38巻4号1287頁
- 参照法条
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)1条,独禁法2条6項,独禁法8条1項,独禁法33条,独禁法85条3号,独禁法89条1項(昭和52年法律第63号による改正前のもの),独禁法95条1項(昭和52年法律第63号による改正前のもの),独禁法96条,憲法14条,憲法31条,憲法32条,憲法77条1項,商法124条,商法406条,商法408条,商法415条,商法427条,商法430条1項,刑訴法239条,刑訴法241条,刑訴法339条1項4号,刑訴法490条1項,刑訴規則58条,刑法35条,通商産業省設置法3条2号,石油業法3条,石油業法4条,石油業法7条,石油業法15条,法人ノ役員処罰ニ関スル法律
論点64第14条日本国憲法
「保護観察付執行猶予中の者」という社会的身分による差別であるという憲法一四条、三一条違反の主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年5月12日 昭和58(あ)197
- 登載
- 集刑 第231号195頁
- 参照法条
- 憲法14条,憲法31条,刑法25条2項,刑法25条の2
論点65第14条日本国憲法
郵便物集配業務に従事中の郵政事務官に対して暴行を加えた者を公務執行妨害罪で処罰することと憲法一四条
裁判要旨Aにおける便郵物集配業務に従事中の郵政事務官に対して暴行を加えた者を公務執行妨害罪で処罰しても憲法一四条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年3月29日 昭和57(あ)294
- 登載
- 集刑 第230号671頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法95条
論点66第14条日本国憲法
刑の言渡の効力を失なつた前科であつても量刑上参酌することは憲法でないとして、憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉違反の主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年5月4日 昭和56(あ)1977
- 登載
- 集刑 第227号293頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法27条,刑法34条の2第1項
論点67第14条日本国憲法
被告人と対向的な共犯関係に立つ疑いのある者の一部が警察段階の捜査において不当に有利な取扱いを受けた場合と被告人自身に対する捜査手続の合憲性
裁判要旨被告人自身に対する警察の捜査が刑訴法にのつとり適正に行われており、被告人が、その思想、信条、社会的身分又は門地などを理由に、一般の場合に比べ捜査上不当に不利益に取り扱われたものでないときは、かりに、当該被疑事実につき被告人と対向的な共犯関係に立つ疑いのある者の一部が、警察段階の捜査において不当に有利な取扱いを受け、事実上刑事訴追を免れるという事実があつたとしても、そのために、被告人自身に対する捜査手続が憲法一四条に違反することになるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年6月26日 昭和55(あ)353
- 登載
- 刑集 第35巻4号426頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑訴法338条4号
論点68第14条日本国憲法
刑訴法八九条三号の常習性を認定するのに同種前科があることを考慮したこと等を理由とする違憲(憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、三七条〈すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。〉、三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉)の主張が前提を欠くとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年2月20日 昭和56(し)19
- 登載
- 集刑 第221号119頁
- 参照法条
- 憲法14条、憲法31条、憲法37条、憲法39条、刑訴法89条3号
論点69第14条日本国憲法
道路交通法一二一条二項の規定違憲(憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉違反)の主張を立法政策の問題として不適法とした事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年11月11日 昭和56(あ)613
- 登載
- 集刑 第224号19頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑訴法405条,道交法121条2項
論点70第14条日本国憲法
刑法二五条一項二号と憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年6月26日 昭和54(あ)267
- 登載
- 集刑 第214号745頁
- 参照法条
- 刑法25条1項2号,憲法14条,憲法39条
論点71第14条日本国憲法
賭博罪規定違憲論(一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉)が欠前提で処理された事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和54年2月1日 昭和53(あ)1860
- 登載
- 集刑 第214号47頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法185条,刑法186条
論点72第14条日本国憲法
一 公職選挙法二三五条の二第二号にいう選挙に関する「報道又は評論」の意義
二 公職選挙法二三五条の二第二号違反の行為と違法性の阻却
三 公職選挙法一四八条三項一号イの「新聞紙にあつては毎月三回以上」の部分と憲法二一条、一四条
裁判要旨一 公職選挙法二三五条の二第二号にいう選挙に関する「報道又は評論」とは、当該選挙に関する一切の報道・評論を指すのではなく、特定の候補者の得票について有利又は不利に働くおそれがある報道・評論をいう。
二 公職選挙法二三五条の二第二号の構成要件に形式的に該当する場合であつても、もしその新聞紙・雑誌が真に公正な報道・評論を掲載したものであれば、その行為の違法性は阻却される。
三 公職選挙法一四八条三項一号イの「新聞紙にあつては毎月三回以上」の部分は、憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年12月20日 昭和53(あ)846
- 登載
- 刑集 第33巻7号1074頁
- 参照法条
- 公職選挙法148条3項,公職選挙法235条の2第2号,刑法35条,憲法14条,憲法21条
論点73第14条日本国憲法
料理飲食等消費税の逋脱につき通告処分の対象とするほかに重加算金の徴収を定める地方税法の規定が憲法一四条に違反するという主張を欠前提で処理した事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年10月19日 昭和53(あ)1079
- 登載
- 集刑 第216号143頁
- 参照法条
- 憲法14条,地方税法128条,地方税法139条,地方税法142条
論点74第14条日本国憲法
刑法の賭博罪の規定が憲法一四条に違反するとの主張を欠前提で処理した事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年7月21日 昭和53(あ)647
- 登載
- 集刑 第211号871頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法185条,刑法186条
論点75第14条日本国憲法
民訴法三九条が憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反する旨の特別抗告理由の適否
裁判要旨民訴法三九条の規定と右規定により除斥又は忌避申立事件を審判するものとされた裁判機関が憲法一四条の規定に違反して不平等な判断をするかどうかとは関係がなく、民訴法三九条が憲法
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反する旨の違憲の主張は、その前提を欠き、不適法である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年6月8日 昭和53(ク)138
- 登載
- 集民 第124号105頁
- 参照法条
- 民訴法39条,憲法14条
論点76第14条日本国憲法
官公庁の労働争議で派生した暴力事犯に公務執行罪を適用するのは、憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に反するとの主張を欠前提で処理した事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年8月11日 昭和51(あ)949
- 登載
- 集刑 第205号359頁
- 参照法条
- 憲法14条,憲法28条,刑法95条
論点77第14条日本国憲法
刑法五六条一項、五七条の規定が憲法一四条、三九条に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年10月27日 昭和52(あ)1323
- 登載
- 集刑 第207号773頁
- 参照法条
- 憲法14条,憲法39条,刑法56条1項,刑法57条
論点78第14条日本国憲法
配偶者の直系尊属に対する傷害致死について定めた刑法二〇五条二項と憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨配偶者の直系尊属に対する傷害致死について定めた刑法二〇五条二項の規定は、憲法
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和51年2月6日 昭和50(あ)1563
- 登載
- 刑集 第30巻1号1頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法205条
論点79第14条日本国憲法
刑法二〇五条二項と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨尊属傷害致死に関する刑法二〇五条二項の規定は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和50(あ)1283
- 登載
- 集刑 第198号707頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法205条2項
論点80第14条日本国憲法
刑法二〇五条二項と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨尊属傷害致死に関する刑法二〇五条二項の規定は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年11月20日 昭和50(あ)48
- 登載
- 集刑 第198号491頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法205条2項
論点81第14条日本国憲法
民訴法三九条と憲法三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉、一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨民訴法三九条は憲法
三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉、
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年2月8日 昭和48(ク)263
- 登載
- 集民 第111号161頁
- 参照法条
- 憲法32条,憲法14条,民訴法39条
論点82第14条日本国憲法
刑法二〇五条二項と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
違憲でないことがきわめて明らかであるとして、違憲の主張が不適法とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和49年12月20日 昭和49(あ)1997
- 登載
- 集刑 第194号495頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法22条,刑法205条
論点83第14条日本国憲法
刑法二〇〇条と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨刑法二〇〇条は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反する。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 昭和45(あ)1310
- 登載
- 刑集 第27巻3号265頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法199条,刑法200条
論点84第14条日本国憲法
刑法二〇〇条と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨刑法二〇〇条は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反する。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 昭和44(あ)916
- 登載
- 集刑 第187号21頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法199条,刑法200条,刑法203条
論点85第14条日本国憲法
刑法二〇〇条と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨刑法二〇〇条は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反する。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和48年4月4日 昭和45(あ)2580
- 登載
- 集刑 第187号155頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑法199条,刑法200条
論点86第14条日本国憲法
累犯加重に関する刑法五六条、五七条と憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年12月20日 昭和48(あ)1963
- 登載
- 集刑 第190号997頁
- 参照法条
- 刑法56条,刑法57条,憲法14条,憲法39条
論点87第14条日本国憲法
一、憲法一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、一九条〈思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。〉と私人相互間の関係
二、特定の思想、信条を有することを理由とする雇入れの拒否は許されるか
三、雇入れと労働基準法三条
四、企業者が労働者の雇入れにあたりその思想、信条を調査することの可否
五、試用期間中に企業者が管理職要員として不適格であると認めたときは解約できる旨の特約に基づく留保解約権の行使が許される場合
裁判要旨一、憲法
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉や
一九条〈思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。〉の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。
二、企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。
三、労働基準法三条は、労働者の雇入れそのものを制約する規定ではない。
四、労働者を雇い入れようとする企業者が、その採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、違法とはいえない。
五、企業者が、大学卒業者を管理職要員として新規採用するにあたり、採否決定の当初においてはその者の管理職要員としての適格性の判定資料を十分に蒐集することができないところから、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨で試用期間を設け、企業者において右期間中に当該労働者が管理職要員として不適格であると認めたときは解約できる旨の特約上の解約権を留保したときは、その行使は、右解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和48年12月12日 昭和43(オ)932
- 登載
- 民集 第27巻11号1536頁
- 参照法条
- 憲法14条,憲法19条,民法1条,民法90条,労働基準法3条,労働基準法第2章
論点88第14条日本国憲法
会社更生法二四〇条二項と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨会社更生法二四〇条二項は憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和45年6月10日 昭和42(オ)1168
- 登載
- 民集 第24巻6号499頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,会社更生法240条2項
論点89第14条日本国憲法
一、会社更正法(昭和四二年法律第八八号による改正前のもの)一一二条、二四一条、会社更生法二一三条、二四二条と憲法二九条一項〈財産権は、これを侵してはならない。〉、二項
二、会社更生法(昭和四二年法律八八号による改正前のもの)一二五条、一四七条、二三七条、二四一条、会社更正法二一三条、二四二条、二四三条と憲法二九条二項、三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉
三、会社更生法(昭和四二年法律第八号による改正前のもの)二四四条と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨一、会社更生法(昭和四二年法律第八八号による改正前のもの)一一二条、二四一条、会社更生法二一三条、二四二条は、憲法
二九条一項〈財産権は、これを侵してはならない。〉、二項に違反しない。
二、会社更生法(昭和四二年法律第八八号による改正前のもの)一二五条、一四七条、二三七条、二四一条、会社更生法二一三条、二四二条、二四三条は、憲法
二九条二項、
三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉に違反しない。
三、会社更生法(昭和四二年法律第八八号による改正前のもの)二四四条は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和45年12月16日 昭和40(ク)464
- 登載
- 民集 第24巻13号2099頁
- 参照法条
- 会社更生法(昭和43年法律第88号による改正前のもの)112条,会社更生法(昭和43年法律第88号による改正前のもの)125条,会社更生法(昭和43年法律第88号による改正前のもの)147条,会社更生法(昭和43年法律第88号による改正前のもの)237条,会社更生法(昭和43年法律第88号による改正前のもの)241条,会社更生法(昭和43年法律第88号による改正前のもの)244条,会社更生法213条,会社更生法242条,会社更生法243条,憲法29条1項,憲法29条2項,憲法32条,憲法14条1項
論点90第14条日本国憲法
刑法第一八五条および第一八六条の規定は憲法第一四条に違反するか
裁判要旨刑法第一八五条および第一八六条の規定が憲法第一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和二五年(れ)第二八〇号同年一一月二二日大法定判決(刑集四巻一一号二三八〇頁)の趣旨に徴し明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月15日 昭和42(あ)1041
- 登載
- 集刑 第165号435頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法185条,刑法186条
論点91第14条日本国憲法
一 国鉄の事業ないし業務は刑法第二三三条第二三四条にいう業務に含まれるか
二 国鉄の業務と民営鉄道の業務との間の法律上の保護の差異と憲法第一四条
裁判要旨一 国定の行なう事業ないし業務は、刑法第二三三条、第二三四条にいう業務に含まれる。
二 国鉄の業務が、これに対する妨害に対し、業務妨害罪または公務執行妨害罪の保護を受け、民営鉄道の業務との間に、法律上の保護に差異があることは、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和41年11月30日 昭和36(あ)823
- 登載
- 刑集 第20巻9号1076頁
- 参照法条
- 刑法233条,刑法234条,刑法95条1項,憲法14条
論点92第14条日本国憲法
刑法第二〇〇条(尊属殺)の規定は憲法第一四条に違反するか。
裁判要旨所論は違憲をいうが、刑法第二〇〇条の規定が憲法第一四条に違反するものでないことは既に当裁判所の判例とするところであり(昭和二四年(れ)第二一〇五号同二五年一〇月二五日大法廷判決、刑集四巻一〇号二一二六頁・昭和二八年(あ)第一一二六号同三二年二月二〇日大法廷判決、刑集二巻二号八二四頁)、今なおこれを変更すべきものとは認められないから論旨は理由がない。(この判決は第二小法廷裁判官―裁判官奥野健一、同山田作之助、同城戸芳彦、同石田和外にて構成―全員一致の意見にして本裁判要旨引用の大法廷判決の多数意見と同趣旨である。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年5月29日 昭和38(あ)3205
- 登載
- 集刑 第151号273頁
- 参照法条
- 刑法200条,憲法14条
論点93第14条日本国憲法
刑法第二〇五条は憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するか。
裁判要旨故意犯である刑法第二〇五条に該当する者が、過失犯である同法第二一〇条、第二一一条に該当する者よりも重く処罰されるのは、故意による傷害致死行為という行為の属性に由来するのであつて、人によつて差別を設けたものではなく、人の地位、身分による区別ではないのであり、何人にも適用される法条なのである。従つて刑法第二〇五条は憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年2月22日 昭和37(あ)2451
- 登載
- 集刑 第146号419頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法205条,刑法210条,刑法211条
論点94第14条日本国憲法
賭博常習者と憲法第一四条にいう「社会的身分」
裁判要旨賭博常習者というのは、賭博を反覆する習癖、即ち犯罪者の属性による刑法上の身分であるが、憲法
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉にいわゆる社会的身分と解することはできないから刑法一八六条の規定をもつて憲法一四条に違反するものであるとすることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年4月24日 昭和35(あ)2683
- 登載
- 集刑 第141号915頁
- 参照法条
- 刑法186条,憲法14条
論点95第14条日本国憲法
刑訴法に定めた簡易公判手続の合憲性
裁判要旨刑訴法に定めた簡易公判手続は、憲法
第三七条第二項〈すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。〉、
第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月22日 昭和36(あ)1915
- 登載
- 刑集 第16巻2号203頁
- 参照法条
- 刑訴法291条の2,刑訴法307条の2,刑訴法320条2項,憲法37条2項,憲法14条1項
論点96第14条日本国憲法
刑法第二五条第二項但書と憲法第三九条後段、第一四条第一項。
裁判要旨刑法第二五条第二項但書は、憲法
第三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉後段、
第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年11月16日 昭和35(あ)779
- 登載
- 刑集 第16巻11号1562頁
- 参照法条
- 刑法25条1項,刑法2項,憲法39条,憲法14条1項
論点97第14条日本国憲法
一 農林漁業金融公庫法第一七条、第一九条第二項の各規定の合憲性。
二 刑訴法第四一一条第一号にあたらない事例。
裁判要旨一 農林漁業金融公庫法第一七条、第一九条第二項の各規定は憲法第一四条第一項に違反しない。
二 農林中央金庫の職員に対し贈賄した行為に対する法令の適用として刑法第一九八条が掲げられている以上、農林漁業金融公庫法第一九条第二項の規定によるべき場合に、誤つて、同法第一七条を表示したとしても、刑訴第四一一条第一号にいわゆる判決に影響を及ぼす違法があるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年7月25日 昭和35(あ)701
- 登載
- 刑集 第15巻7号1216頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,農林漁業金融公庫法17条,農林漁業金融公庫法19条2項,刑法198条,刑訴法411条1号
論点98第14条日本国憲法
公職選挙法第二五三条の二の規定の合憲性。
裁判要旨公職選挙法第二五三条の二の規定(いわゆる百日裁判の規定)は、憲法
第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
第三七条第一項〈すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。〉、第二項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和36年6月28日 昭和35(あ)672
- 登載
- 刑集 第15巻6号1015頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法37条1項,憲法2項,公職選挙法253条の2,刑訴法1条
論点99第14条日本国憲法
暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。〉の数人共同シテ刑法第二二二条ノ罪ヲ犯ス罪の法定刑が刑法第二二二条の脅迫の罪のそれより重いのは身分による差別か。
裁判要旨暴力行為等処罰ニ関スル法律
第一条〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。〉の数人共同シテ刑法第二二二条ノ罪ヲ犯ス罪と、刑法第二二二条の脅迫の罪とは、行為の態様により刑罰に軽重がある場合であつて、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉の社会的身分によつて差別される場合にあたらないこと明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年7月14日 昭和35(あ)372
- 登載
- 集刑 第134号443頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条,刑法222条,憲法14条
論点100第14条日本国憲法
配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条)と憲法第一四条。
裁判要旨配偶者の直系尊属に対する殺人の規定(刑法第二〇〇条)は憲法第一四条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年1月19日 昭和34(あ)1857
- 登載
- 刑集 第14巻1号23頁
- 参照法条
- 刑法200条,憲法14条
論点101第14条日本国憲法
刑法第一五八第一項の法定刑が同法第一六一条第一項のそれより重いのは身分による差別か。
裁判要旨刑法第一五八条第一項の偽造公文書行使罪の法定刑が同法第一六一条第一項の偽造私文書行使罪のそれより重いのは、その保護法益である公文書の信頼度が私文書のそれより高いことに基くものであつて、その文書作成名義者の身分による差別ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和34年9月22日 昭和31(あ)1113
- 登載
- 刑集 第13巻11号2985頁
- 参照法条
- 刑法158条1項,刑法161条1項,憲法14条
論点102第14条日本国憲法
上告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決することと憲法第一四条。
裁判要旨民訴規則第五〇条の定める上告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法第一四条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和34年7月8日 昭和33(ク)371
- 登載
- 民集 第13巻7号955頁
- 参照法条
- 憲法14条,民訴法398条1項,民訴規則50条
論点103第14条日本国憲法
刑法第二〇〇条は憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するか。
裁判要旨刑法第二〇〇条の規定は、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年4月2日 昭和33(あ)2414
- 登載
- 刑集 第13巻4号423頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法200条
論点104第14条日本国憲法
刑法第五六条、第五七条と憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉。
裁判要旨累犯加重に関する刑法第五六条、第五七条は憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉の規定に違反するものではないこと既に当裁判所の判例とするところである(昭和二四年新(れ)第八八号、同二五年一月二四日第三小法廷判決、集四巻一号五四頁、並びにその引用にかかる昭和二三年(れ)第四三五号、同年一〇月六日大法廷判決、集二巻一一号一二七五頁参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和34年4月24日 昭和33(あ)2654
- 登載
- 集刑 第129号533頁
- 参照法条
- 刑法56条,刑法57条,憲法14条
論点105第14条日本国憲法
刑法第二五条第一項第一号第二号と憲法第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨刑法第二五条第一項が、執行猶予の言渡をすることのできる条件として同項第一号または第二号にあたる者たることを必要とし、これとそうでない者との間に差異を設けたことをもつて、憲法
第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するものとはいえない
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月19日 昭和33(あ)478
- 登載
- 刑集 第12巻10号2243頁
- 参照法条
- 刑法25条1項1号,刑法25条1項2号,憲法14条1項
論点106第14条日本国憲法
刑法第一五六条の法意
裁判要旨刑法第一五六条は信用度の高い公文書の無形偽造を私文書と異つて特に処罰することにしたものであつて、その保護法益は公文書の信用性に存し、行為者が公務員であるか否かによつてその保護に軽重を設けた規定ではない
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年5月30日 昭和31(あ)236
- 登載
- 刑集 第12巻8号1914頁
- 参照法条
- 刑法156条,憲法14条
論点107第14条日本国憲法
一 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第八三条第三項の意義と憲法第一四条
二 密輸出入行為の用に供した船舶の換価処分と犯人の占有
裁判要旨一 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第八三条第三項は、共に起訴された共犯者の一人または数人がその物の所有者であることが明らかである場合には、必ずしも、右共犯者全員のそれぞれに対し、各独立して物の原価全額の追徴を命じなければならぬものと解すべきではなく、その物の所有者たる被告人のみに対して追徴を命ずることも、許すと解するを相当とする。そして右条項を以上のように解しても同条項は憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
二 犯人の占有にかかる密輸出入行為の用に供した船舶が、裁判官の差押令状に基いて差し押えられ、その後検察官の刑訴第二二二条第一二二条に基く換価処分により公売処分に附せられた結果、他人に競落されたとしても、没収の関係においては、これによつて犯人の右船舶に対する占有は失われるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和33年3月5日 昭和26(あ)3100
- 登載
- 刑集 第12巻3号384頁
- 参照法条
- 旧関税法(明治32年法律61号―昭和29年法律61号による改定前のもの)83条1項,旧関税法(明治32年法律61号―昭和29年法律61号による改定前のもの)83条2項,旧関税法(明治32年法律61号―昭和29年法律61号による改定前のもの)83条3項,憲法14条,刑訴法122条,刑訴法222条,刑法19条
論点108第14条日本国憲法
刑法第二二〇条第二項(尊属逮捕監禁)は憲法第一四条に違反するか。
裁判要旨刑法第二二〇条第二項の規定は憲法第一四条の規定に違反するものでない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年10月24日 昭和31(あ)3112
- 登載
- 刑集 第12巻14号3392頁
- 参照法条
- 刑法220条,憲法14条
論点109第14条日本国憲法
前科(累犯とならないものを含む)を量刑上参酌することと憲法第三九条第一四条
裁判要旨原判決が被告人の前科(累犯とならないものを含む)を量刑上参酌したからといつて何ら憲法三九条、一四条に違反するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年6月25日 昭和32(あ)483
- 登載
- 集刑 第119号605頁
- 参照法条
- 憲法39条,憲法14条,刑法56条,刑法57条
論点110第14条日本国憲法
犯罪が前刑の執行猶予期間内に犯されたことを量刑に考慮することの適否
裁判要旨量刑の当否を判断するにあたり、犯罪が前刑の執行猶予期間内に犯されたことを情状として考慮することは、違法ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年4月25日 昭和31(あ)3746
- 登載
- 刑集 第11巻4号1485頁
- 参照法条
- 刑訴法381条,刑訴法248条,憲法14条
論点111第14条日本国憲法
刑法第二〇〇条にいわゆる配偶者の直系尊属の意義
裁判要旨刑法第二〇〇条にいわゆる配偶者の直系尊属とは、現に生存する配偶者の直系尊属を指すものと解するを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年2月20日 昭和28(あ)1126
- 登載
- 刑集 第11巻2号824頁
- 参照法条
- 刑法200条,憲法14条
論点112第14条日本国憲法
一 法律「廃止前になしたる行為に関する罰則の適用については、なお、従前の令による」との規定の趣旨
二 同種の犯行について、その行為の時期により刑罰規定を異にすることと憲法第一四条
三 入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)第一七条ノ三のいわゆる両罰規定の法意
四 入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)第一七条ノ三のいわゆる両罰規定と憲法第三九条
裁判要旨一 地方税法(昭和二三年法律第一一〇号)第一五一条第三項の「入場税法の廃止前になした行為に関する罰則の適用については、なお、従前の例による」との規定は、従前の行為に関する限り、旧入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)の刑罰規定については何等変更なきことを規定したものと解すべきである。
二 同種の犯行についてその行為の時期によつて刑罰規定に差異を設けても憲法第一四条に違反しない。
三 入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)第一七条ノ三のいわゆる両罰規定は、事業主たる「人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者」が入場税を逋脱しまたは逋脱せんとした行為に対し、事業主として右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべく、したがつて事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業者もまた刑責を免れないとする法意である。
四 入場税法(昭和二二年法律第一四二号による改正前のもの)第一七条ノ三のいわゆる両罰規定については、憲法
第三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉違反の問題を生じない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年11月27日 昭和26(れ)1452
- 登載
- 刑集 第11巻12号3113頁
- 参照法条
- 旧地方税法(昭和23年法律110号)151条3項,旧入場税法(昭和22年法律142号による改正前のもの)16条,旧入場税法(昭和22年法律142号による改正前のもの)17条ノ3,刑法6条,憲法14条,憲法39条
論点113第14条日本国憲法
一 心覚えのため取引を書き留めた手帳の証拠能力
二 たばこ専売法第六六条、第七一条は憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するとの主張の当否
裁判要旨一 被告人以外の者が単にその心覚えのため取引を書き留めた手帳は、これを刑訴法第三二三条第三号の書面としてその証拠能力を認めることはできず、刑訴法第三二一条第一項第三号の書面として証拠能力を決すべきである。
二 たばこ専売法は、たばこの製造販売等の機能を国民中一定の者に許すのではなく、国民に対しては無差別にこれを禁止するものであるから、たばこ専売法第六六条第七一条は日本専売公社のみを厚く保護するもので憲法第一四条に違反するとの主張は前提を欠くものである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和31年3月27日 昭和27(あ)302
- 登載
- 刑集 第10巻3号387頁
- 参照法条
- 刑訴法321条1項3号,刑訴法323条,憲法14条,たばこ専売法2条,たばこ専売法3条,たばこ専売法66条,たばこ専売法71条1号
論点114第14条日本国憲法
一 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉の罪の性質
二 営業犯の公訴時効
三 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律附則第一一項と憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨一 貸金業等の取締に関する法律
第一八条第一号〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉の罪は営業犯である。
二 営業犯の公訴時効は最終の犯罪行為が終つた時から進行する。
三 刑罰法令は行為時法によるべきものであつて、所為出資の受入、預り近及び金利等の取締等に関する法律附則第一一項は貸金業等の取締に関する法律
第五条〈皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規…〉違反の行為をした者に対しては、何人に対しても平等に適用せられ、何ら差別を設けていないのであるから、違憲の主張はその前提を欠き、所論は適法な上告理由とは認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年10月25日 昭和31(あ)813
- 登載
- 刑集 第10巻10号1447頁
- 参照法条
- 貸金業等の取締に関する法律5条,貸金業等の取締に関する法律18条1号,貸金業等の取締に関する法律18条,出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律附則5項11項,刑訴法250条5号,刑訴法253条,刑法45条,出資の受入預り金及び金利等の取締等に関る法律附則11項,憲法14条
論点115第14条日本国憲法
刑法第二五三条の業務上他にの物を占有するということは、憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉にいわゆる社会的身分にあたるか
裁判要旨刑法第二五三条の業務上他人の物を占有するということは、犯罪者の属性による刑法上の身分であるが、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉にいわゆる社会的身分と解することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和30年8月18日 昭和30(あ)216
- 登載
- 刑集 第9巻9号2031頁
- 参照法条
- 刑法65条,刑法253条,憲法14条
論点116第14条日本国憲法
従業員の解雇が単なる信条を理由とする解雇でないと認められた事例
裁判要旨連合軍占領下における紡績会社の共産党員である従業員の解雇が、その従業員の企業の生産を阻害すべき具体的言動を根拠とするものであつて、解雇当時の事情の下でこれを単なる抽象的危虞に基く解雇として非難することができないものと認められる場合には、かかる解雇をもつて共産党員であることもしくは単に共産主義を信奉すること自体を理由とするものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年11月22日 昭和29(オ)355
- 登載
- 民集 第9巻12号1793頁
- 参照法条
- 憲法14条,労働基準法3条
論点117第14条日本国憲法
一 供述調書の任意性とその調査の方法
二 犯罪の類似した犯人間の処罰の差異と憲法第一四条
三 多数の同種の違反者が起訴されず被告人らのみ起訴処罰された場合と憲法第一四条
裁判要旨一 事実審裁判所は適当と認める方法で供述調書の任意性を調査すれば足りるのであつて、本件についてもその調査に違法は認められないのであるから所論違憲の主張はその前提を欠くことにより理由がない。
二 犯情の類似した被告人間の処罰の差異が憲法一四情に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)四三五号同年一〇月六日大法廷判決)とするところであつて、この趣旨は他の多数の違反者が検挙られず、或は起訴されなかつた場合にも推し及ぼさざるべきものである(昭和二六年(れ)五四四号同年九月一四日第二小法廷判決参照)。従つて論旨のように、たとえ他の違反者が検挙処罰されなかつたとしても原判決を目して憲法一四条に違反するものと論ずることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年6月22日 昭和28(あ)321
- 登載
- 集刑 第96号397頁
- 参照法条
- 刑訴法319条,刑訴法325条,憲法14条
論点118第14条日本国憲法
被告人間の刑の軽重の差異と憲法第一四条
裁判要旨何年間刑の執行を猶予するか、又は何年間選挙権を停止するかということは、事実審たる裁判所が各犯人毎に法定の範囲内で自由に裁量するところに委ねられているものといわなければならない。懲役四月に処せられた他の被告人には一年間の執行猶予が言い渡されたにもかかわらず、懲役三月に処せられた本件被告人には二年間の執行猶予が言い渡され、そのために後者が前者よりも長い期間選挙権を停止されるという結果を生じたとしても、これを目して憲法一四条に違反するものと言うを得ない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年10月26日 昭和28(あ)4623
- 登載
- 集刑 第99号389頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑訴法381条
論点119第14条日本国憲法
刑法第一七条と憲法第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
裁判要旨刑法第一七条は憲法
第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年6月24日 昭和25(あ)3269
- 登載
- 刑集 第7巻6号1366頁
- 参照法条
- 刑法177条,憲法14条1項
論点120第14条日本国憲法
罰金不完納の場合金一〇〇円を一日に換算し労役場に留置するとしたことと憲法第一四条
裁判要旨罰金刑の言渡を受けた者が罰金を完納することができない場合における労役場留置の金銭的換算率を定めるにあたり、金百円を留置一日に換算するとしたことが、今日の経済事情に副わないと仮定しても、それをもつて、憲法
一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年4月17日 昭和26(あ)2971
- 登載
- 集刑 第78号773頁
- 参照法条
- 刑法18条,憲法14条
論点121第14条日本国憲法
必要的弁護の条件に関する新旧両刑訴法の差異と憲法の平等の原則
裁判要旨必要的弁護の条件が新旧刑訴法の間に区別があり従つて旧件と新件との間に取扱に差等を生ずるが、それは憲法の平等原則に違反するものでない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年1月31日 昭和26(れ)2132
- 登載
- 集刑 第59号483頁
- 参照法条
- 憲法14条,旧刑訴法334条,新刑訴法289条
論点122第14条日本国憲法
一 賭博常習者と憲法第一四条にいわゆる社会的身分
二 四年前の賭博の前科を常習性認定の一資料とすることの可否
裁判要旨一 刑法第一八六条の常習賭博罪が同第一八五条の単純賭博罪に比し、賭博常習者という身分によつて刑を加重していることは所論のとおりである。そして右加重の理由は賭博を反覆する習癖にあるのであつて、即ち常習者賭博は単純賭博に比しその反社会性が顕著で、犯情が重いとされるからである。そして、賭博常習者というのは、賭博を反覆する習癖、即ち犯罪者の属性による刑法上の身分であるが、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉にいわゆる社会的身分と解することはできない。されば刑法第一八六条の規定をもつて憲法第一四条に違反するものであるとの趣旨は到底これを採用することはできない。
二 賭博の前科のみによつて賭博の常習性を認定することは必らずしも違法ではなく、また所論の右最終前科と本件賭博との間にたとい四年の歳月を経過していればとて、右前科を賭博常習認定の一資料とすることに何等経験則上の違背も認めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和26年8月1日 昭和25(れ)1219
- 登載
- 刑集 第5巻9号1709頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法186条,刑法185条
論点123第14条日本国憲法
罰金不完納の場合の労役場留置期間の割合を一日金二〇円と定めたことと憲法第一四条
裁判要旨所論は未決勾留日数の法定通算に関する罰金等臨時措置法第七条四項を援用するけれども、未決勾留日数の法定通算と罰金不完納の場合における労役場留置とは必ずしも同列に断ずることを得ないばかりでなく本件犯行は同法施行前の行為にかかり、従つて本件犯行に対する罰金額は金千円を超えることを得ないのであるから原判決が労役場留置期間の割合を一日金二〇円に定めたことを定めたことを以つて、所論の如く、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年5月11日 昭和25(れ)1763
- 登載
- 集刑 第45号627頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法18条,刑法21条,罰金等臨時措置法7条4項
論点124第14条日本国憲法
一 刑訴施行法第二条の合憲性
二 食糧緊急措置令第一〇条本文を適用した主要食糧不正受配の事実につき詐欺罪を以て問擬すべしと主張する上告の適否
裁判要旨一 新刑訴法を如何なる時から如何なる事件に適用するかは、経過法の制定に際して諸般の事情を勘案して決せらるべき問題で法律に一任されているところである。従つて刑訴施行法第二条が新刑訴法施行前に公訴の提起があつた事件について新法施行後もなお旧刑訴応急措置法を適用すべき旨を規定したとしても何等憲法に違反するものではなく(昭和二三年(れ)第一五七七号同年五月一八日大法廷判決、第三巻六号八四七頁参照)。しかも同条は「すべて同類型の事件に同様の取扱をなすものであつて、もとより憲法第一四条の平等の原則に違反するものではない」(昭和二四年(れ)第二三二号同二五年七月一九日大法廷判決集四巻八号一四二九頁参照)。
二 原判決は単に主食の不正受配の事実を認定しただけであつて、被告人に詐欺の犯意があつたことを認定してはいないのである。従つて原審が本件につき食糧緊急措置令第一〇条本文を適用しただけで刑法第二四六条第一項によつて処断しなかつたのは当然であり、原判決には所論のような違法はない。しかも本件において原審が適用した食糧緊急措置令第一〇条よりも重い法定刑を定めている詐欺罪を以て問擬すべしとなす論旨は、被告人のため不利益を主張するものに外ならないのであつて上告適法の理由とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年3月29日 昭和26(れ)53
- 登載
- 集刑 第42号861頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑訴施行法2条,旧刑訴法409条,旧刑訴法403条,刑法246条1項,食糧緊急措置令10条本文
論点125第14条日本国憲法
尊属殺人の規定(刑法第二〇〇条)の合憲性(第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉)
裁判要旨刑法第二〇〇条は、憲法
第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するものでないことは、当裁判所が昭和二五年あ第二九二号事件について、同年一〇月一一日言渡した大法廷判決の趣旨に徴して、明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和25年10月25日 昭和24(れ)2105
- 登載
- 刑集 第4巻10号2126頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法200条
論点126第14条日本国憲法
一 刑法第二〇五条第二項の尊属傷害致死の規定は憲法第一四条に違反するか
二 憲法第一四条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉にいわゆる「法の下における平等」の意義と刑法における尊属殺人等の規定
裁判要旨一 刑法第二〇五条第二項の規定は、新憲法実施後の今日においても、厳としてその効力を存続するものというべく、従つて本件において原審が被告人の尊属致死の所為を認定しながら、これに同法条の適用を拒定し、一般傷害致死に関する同法第二〇五条第一項を擬律処断したことは、憲法
第一四条第一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉の解釈を誤り、当然に適用すべき刑事法条を適用しなかつた違法があることに帰し本件上告はその理由があるのである。
二 おもうに憲法第一条が法の下における国民平等の原則を宣明し、すべて国民が人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会関係上差別的な取扱を受けない旨を規定したのは、人格の価値がすべての人間について同等であり、従つて人種、宗教、男女の性職業、社会的身分等の差異にもとずいて、あるいは特権を有し、あるいは特別に不利益な待遇を与えられてはならぬという大原則を示したものに外ならない。奴隷制や貴族等の特権が認められず、又新民法において妻の無能力制、戸主の特権的地位が廃止せられたごときは畢竟するにこの原則に基くものである。しかしながら、このことは法が、国民の基本的平等の原則の範囲内において、各人の年齢、自然的素質、職業、人と人との間の特別の関係等の各事情を考慮して、道徳正義、合目的性等の要請より適当な具体的規定をすることを妨げるものではない。刑法において尊属親に対する殺人、傷害致死等が一般の場合に比して重く罰せられているのは、法が子の親に対する道徳的義務をとくに重要視したものであり、これ道徳の要請にもとずく法にある具体的規定に外ならないのである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和25年10月11日 昭和25(あ)292
- 登載
- 刑集 第4巻10号2037頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法205条2項,刑法200条
論点127第14条日本国憲法
一 法定で傍聴人がメモを取ることと憲法八二条一項
二 法廷で傍聴人がメモを取ることと憲法二一条一項
三 法廷警察権行使についての裁量の範囲
四 法廷でメモを取ることを報道機関の記者に対してのみ許可することと憲法一四条一項
五 法廷警察権の行使と国家賠償法一条一項の違法性
裁判要旨一 憲法
八二条一項〈裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。〉は、法廷で傍聴人がメモを取ることを権利として保障しているものではない。
二 法廷で傍聴人がメモを取ることは、その見聞する裁判を認識記憶するためにされるものである限り、憲法
二一条一項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉の精神に照らし尊重に値し、故なく妨げられてはならない。
三 法廷警察権の行使は、裁判長の広範な裁量に委ねられ、その行使の要否、執るべき措置についての裁判長の判断は、最大限に尊重されなければならない。
四 法廷でメモを取ることを司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ許可し、一般傍聴人に対して禁止する裁判長の措置は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
五 法廷警察権の行使は、法廷警察権の目的、範囲を著しく逸脱し、又はその方法が甚だしく不当であるなどの特段の事情のない限り、国家賠償法一条一項にいう違法な公権力の行使ということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成元年3月8日 昭和63(オ)436
- 登載
- 民集 第43巻2号89頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法21条1項,憲法82条1項,裁判所法71条,刑訴法288条2項,国家賠償法1条1項
論点128第14条日本国憲法
一 所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)中の給与所得に係る課税関係規定が給与所得者の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するという主張が失当であるとされた事例
二 国税通則法及び所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)に定める給与所得に係る源泉徴収制度と憲法一四条一項
裁判要旨一 所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)中の給与所得に係る課税関係規定につき、その課税最低限がいわゆる総評理論生計費を下まわることを根拠に給与所得者の「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するという主張は、立法府の裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないゆえんを具体的に主張しているものではなく、失当である。
二 国税通則法及び所得税法(昭和四七年法律第三一号による改正前のもの)に定める給与所得に係る源泉徴収制度は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成元年2月7日 昭和58(オ)300
- 登載
- 集民 第156号87頁
- 参照法条
- 所得税法(昭和47年法律第31号による改正前のもの)2編2章,所得税法(昭和47年法律第31号による改正前のもの)4編2章,憲法14条1項,憲法25条,国税通則法15条,国税通則法36条
論点129第14条日本国憲法
民法九〇〇条四号ただし書前段と憲法一四条一項
裁判要旨民法九〇〇条四号ただし書前段は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成7年7月5日 平成3(ク)143
- 登載
- 民集 第49巻7号1789頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,民法900条
論点130第14条日本国憲法
再婚禁止期間について男女間に差異を設ける民法七三三条を改廃しない国会ないし国会議員の行為と国家賠償責任の有無
裁判要旨再婚禁止期間について男女間に差異を設ける民法七三三条を改廃しない国会ないし国会議員の行為は、国家賠償法一条一項の適用上、違法の評価を受けるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年12月5日 平成4(オ)255
- 登載
- 集民 第177号243頁
- 参照法条
- 民法733条,国家賠償法1条1項,憲法14条1項
論点131第14条日本国憲法
所得税法七八条一項、二項一号と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、八四条〈あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。〉
裁判要旨個人の国又は地方公共団体に対する寄付金に関する所得控除について限度額を設けている所得税法七八条一項、二項一号の規定は、法人税法三七条三項一号が法人に関する同様の寄付金についてその全額の損金算入を認めているからといって、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
八四条〈あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。〉に違反するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成5年2月18日 平成4(行ツ)127
- 登載
- 集民 第167号157頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法84条,所得税法78条1項,所得税法78条2項1号,法人税法37条3項1号
論点132第14条日本国憲法
所得税法二三条二項と憲法一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉
裁判要旨所得税法二三条二項は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉、
二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成3年4月11日 平成2(行ツ)191
- 登載
- 集民 第162号461頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,憲法29条,所得税法23条2項
論点133第14条日本国憲法
刑法205条2項と憲法14条〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成2年11月26日 平成1(あ)165
- 登載
- 集刑 第256号271頁
- 参照法条
- 憲法14条,刑法205条2項
論点134第14条日本国憲法
1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分と憲法14条1項,24条2項
2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分と憲法14条1項,24条2項
3 立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合
4 国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例
裁判要旨1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉,
24条2項〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉に違反しない。
2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法
14条1項,
24条2項に違反するに至っていた。
3 法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして,例外的に,その立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがある。
4 平成20年当時において国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことは,(1)同項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分が合理性を欠くに至ったのが昭和22年民法改正後の医療や科学技術の発達及び社会状況の変化等によるものであり,(2)平成7年には国会が同条を改廃しなかったことにつき直ちにその立法不作為が違法となる例外的な場合に当たると解する余地のないことは明らかであるとの最高裁判所第三小法廷の判断が示され,(3)その後も上記部分について違憲の問題が生ずるとの司法判断がされてこなかったなど判示の事情の下では,上記部分が違憲であることが国会にとって明白であったということは困難であり,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。
(1につき補足意見,1,2につき補足意見及び意見,1~4につき補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成27年12月16日 平成25(オ)1079
- 登載
- 民集 第69巻8号2427頁
- 参照法条
- (1~4につき)憲法14条1項,憲法24条,民法733条,民法772条 (3,4につき)国家賠償法1条1項
論点135第14条日本国憲法
1 民法900条4号ただし書前段の規定と憲法14条1項
2 民法900条4号ただし書前段の規定を違憲とする最高裁判所の判断が他の相続における上記規定を前提とした法律関係に及ぼす影響
裁判要旨1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反していた。
2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。
(1,2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成25年9月4日 平成24(ク)984
- 登載
- 民集 第67巻6号1320頁
- 参照法条
- (1,2につき)憲法14条1項,民法900条 (2につき)憲法81条
論点136第14条日本国憲法
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
裁判要旨民法900条4号ただし書前段は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成21年9月30日 平成20(ク)1193
- 登載
- 集民 第231号753頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,民法900条
論点137第14条日本国憲法
1 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分が公序良俗に反しないとされた事例
2 入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分が民法90条の規定により無効とされた事例
裁判要旨1 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分は,現在においても,公序良俗に反するものということはできない。
2 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち,入会権者の資格を原則として男子孫に限定し,同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分は,遅くとも平成4年以降においては,性別のみによる不合理な差別として民法90条の規定により無効である。
(2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年3月17日 平成16(受)1968
- 登載
- 民集 第60巻3号773頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法2条,民法90条,民法92条,民法263条,民法294条,憲法14条1項
論点138第14条日本国憲法
1 地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることと労働基準法3条,憲法14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉
2 東京都が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた措置が労働基準法3条,憲法14条1項に違反しないとされた事例
裁判要旨1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法
14条1項に違反しない。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成17年1月26日 平成10(行ツ)93
- 登載
- 民集 第59巻1号128頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,労働基準法3条,労働基準法112条,地方公務員法(平成10年法律第112号による改正前のもの)58条3項,地方公務員法13条,地方公務員法17条,地方公務員法19条
論点139第14条日本国憲法
1 親族が居住者と別に事業を営む場合における所得税法56条の適用の有無
2 親族が居住者と別に事業を営む場合に所得税法56条を適用してされた課税処分と憲法14条1項
裁判要旨1 所得税法56条は,居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合であっても,その居住者の営む事業に従事したことなどの同条所定の要件が満たされる限り,適用される。
2 配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合にその居住者の事業所得等の金額の計算に所得税法56条を適用してされた課税処分は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成16年11月2日 平成16(行ツ)23
- 登載
- 集民 第215号517頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,所得税法56条,所得税法57条
論点140第14条日本国憲法
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
裁判要旨民法900条4号ただし書前段は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成16年10月14日 平成16(オ)992
- 登載
- 集民 第215号253頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,民法900条
論点141第14条日本国憲法
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
裁判要旨民法900条4号ただし書前段は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成15年3月31日 平成14(オ)1963
- 登載
- 集民 第209号397頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,民法900条
論点142第14条日本国憲法
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
裁判要旨民法900条4号ただし書前段は,憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年3月28日 平成14(オ)1630
- 登載
- 集民 第209号347頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,民法900条
論点143第14条日本国憲法
民法九〇〇条四号ただし書前段と憲法一四条一項
裁判要旨民法九〇〇条四号ただし書前段は、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成12年1月27日 平成11(オ)1453
- 登載
- 集民 第196号251頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,民法900条
論点144第14条日本国憲法
第一審で無罪判決の言渡しを受けた外国人である被告人について控訴審が判決前に勾留したことは憲法14条1項に違反するという主張が前提を欠くとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成11年10月13日 平成11(し)159
- 登載
- 集刑 第276号245頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,刑訴法60条1項,刑訴法345条
論点145第14条日本国憲法
一 公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
二 同一選挙区内の複数の選挙人が提起する選挙の効力に関する訴訟と類似必要的共同訴訟
裁判要旨一 平成六年法律第四七号による参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の改正の結果、選挙区間において、平成二年の国勢調査による人口に基づく議員一人当たりの人口及び右改正当時における議員一人当たりの選挙人数にそれぞれ最大一対四・八一及び最大一対四・九九の較差が残ることとなったとしても、右改正をもって国会の立法裁量権の限界を超えるものとはいえず、平成七年七月二三日施行の参議院議員選挙当時右の較差は更に縮小しているから、公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は、右選挙当時、憲法
一四条一項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反していたものということはできない。
二 同一選挙区内の複数の選挙人が提起する選挙の効力に関する訴訟は、類似必要的共同訴訟に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成10年9月2日 平成9(行ツ)104
- 登載
- 民集 第52巻6号1373頁
- 参照法条
- 憲法14条1項,公職選挙法14条,公職選挙法204条,公職選挙法別表第3,民訴法40条1項
論点146第14条日本国憲法
1 令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号の規定のうち被保佐人であることを警備員の欠格事由として定めた部分と憲法22条1項及び14条1項
2 国会が令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号の規定のうち被保佐人であることを警備員の欠格事由として定めた部分を改廃する立法措置をとらなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例
裁判要旨1 令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号の規定のうち被保佐人であることを警備員の欠格事由として定めた部分は、平成29年3月の時点において、憲法
22条1項〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉及び
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反するに至っていた。
2 国会が平成29年3月の時点までに令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号の規定のうち被保佐人であることを警備員の欠格事由として定めた部分を改廃する立法措置をとらなかったことは、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。
⑴ 昭和57年以降、社会における障害の捉え方の変化等の流れを反映して障害者の権利に関する条約の批准やこれに伴う国内法の整備、その施行に向けた準備等の様々な事象が積み重なり、徐々に障害者を取り巻く社会や国民の意識の変化が進み、労働者について障害を理由とする差別が禁止されるべきであるとする考え方が確立したこと等により、平成29年3月の時点において、上記部分は、違憲となるに至っていた。こうした変化等は、その性質上、外形的事実として観察することができるものではなく、容易に看取し得るものではない。
⑵ 上記時点までに、成年被後見人又は被保佐人であることを欠格事由とする規定の見直しの必要性自体は指摘されていたものの、当該規定に憲法上の問題があることを理由とするものではなかった。また、上記時点までに、成年被後見人又は被保佐人であることを欠格事由とする規定について、憲法上の問題があるとした学説はほとんど存在せず、職業に関する当該規定について、裁判所において違憲である旨の判断がされたことはなかった。
⑶ 平成28年5月に成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行された後、成年被後見人又は被保佐人であることを欠格事由とする規定の見直しに向けた検討が継続され、170余の法律に設けられた当該規定の全てについて統一的な見直しの方針が策定された上で、令和元年中にいずれも削除されるに至っている。見直しに当たり、欠格条項を設けている各種制度の間の整合性について検討を行うことのないまま、上記部分についてのみ先行して見直しを行うことを要するような事情が存在したことはうかがわれない。
(1、2につき、個別意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和8年2月18日 令和5(オ)360
- 登載
- 民集 第80巻2号123頁
- 参照法条
- (1、2につき)憲法14条1項、憲法22条1項、警備業法(令和元年法律第37号による改正前のもの)3条1号、警備業法3条7号、警備業法14条、警備業の要件に関する規則(昭和58年国家公安委員会規則第1号)3条1項 (2につき)国家賠償法1条1項
論点147第14条日本国憲法
衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りを定める公職選挙法13条1項、別表第1の規定の合憲性
裁判要旨令和6年10月27日に行われた衆議院議員総選挙当時において、公職選挙法13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
(意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和7年9月26日 令和7(行ツ)155
- 登載
- 民集 第79巻6号2676頁
- 参照法条
- 憲法14条1項、憲法15条1項、3項、憲法43条1項、憲法44条、公職選挙法13条1項、公職選挙法別表第1
論点148第14条日本国憲法
国が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条7項1号〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉所定の無店舗型性風俗特殊営業を行う事業者に対して持続化給付金給付規程(中小法人等向け)(令和2年8月1日付けのもの)及び家賃支援給付金給付規程(中小法人等向け)(同年10月29日改正前のもの)に定める各給付金を給付しないこととしていることと憲法14条1項
裁判要旨国が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
2条7項1号〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉所定の無店舗型性風俗特殊営業を行う事業者に対して持続化給付金給付規程(中小法人等向け)(令和2年8月1日付けのもの)及び家賃支援給付金給付規程(中小法人等向け)(同年10月29日改正前のもの)に定める各給付金を給付しないこととしていることは、憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反しない。
(補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和7年6月16日 令和6(行ツ)21
- 登載
- 民集 第79巻4号1523頁
- 参照法条
- 憲法14条1項、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条7項1号
論点149第14条日本国憲法
1 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定の適法性
2 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定の合憲性
裁判要旨1 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定は、令和5年4月9日に行われた千葉県議会議員一般選挙当時、公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえない。
2 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定は、令和5年4月9日に行われた千葉県議会議員一般選挙当時、憲法
14条1項〈すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差…〉に違反していたものとはいえない。
(1、2につき補足意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和7年1月28日 令和5(行ツ)404
- 登載
- ―
- 参照法条
- (1、2につき) 公職選挙法15条8項、千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)2条 (2につき) 憲法14条1項
論点150第14条日本国憲法
衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りを定める公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の規定の合憲性
裁判要旨令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙当時において、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和5年1月25日 令和4(行ツ)130
- 登載
- 民集 第77巻1号1頁
- 参照法条
- 憲法14条1項、憲法15条1項、憲法15条3項、憲法43条1項、憲法44条、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)別表第1
論点151第14条日本国憲法
公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
裁判要旨令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙当時、平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。
(意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和5年10月18日 令和5(行ツ)54
- 登載
- 民集 第77巻7号1654頁
- 参照法条
- 憲法14条1項、憲法15条1項、3項、憲法43条1項、憲法44条、公職選挙法14条、公職選挙法別表第3
論点152第15条日本国憲法
一、公選投票賄賂罪の規定の公職選挙法施行後における効力
二、公選投票賄賂罪の規定の合憲性
裁判要旨一、旧刑法二編四章九節二三四条のいわゆる公選投票賄賂罪の規定は、公職選挙法施行後においても、同法の適用または準用のない公選の投票に対する関係では、依然として刑罰法規としての効力をもつている。
二、旧刑法二編四章九節二三四条のいわゆる公選投票賄賂罪の規定は、憲法
一五条四項〈公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 昭和44(あ)1125
- 登載
- 刑集 第24巻13号1738頁
- 参照法条
- 旧刑法234条,刑法施行法25条,憲法15条4項
論点153第15条日本国憲法
一 労働組合の統制権と憲法第二八条
二 公職選挙への立候補の自由と憲法第一五条第一項
三 労働組合の統制権と組合員の立候補の自由
裁判要旨一 労働組合は、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。
二 公職の選挙に立候補する自由は、憲法
第一五条第一項〈公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。〉の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。
三 労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和43年12月4日 昭和38(あ)974
- 登載
- 刑集 第22巻13号1425頁
- 参照法条
- 憲法15条1項,憲法25条,憲法28条,労働組合法1条1項,労働組合法2条,公職選挙法10条,公職選挙法225条1号,公職選挙法225条3号
論点154第15条日本国憲法
公職選挙法所定の詐偽投票罪の捜査のため投票済み投票用紙の差押え等がされた場合において投票した選挙人の投票の秘密に係る法的利益の侵害がないとされた事例
裁判要旨公職選挙法所定の詐偽投票罪の捜査のため、市議会議員選挙における特定の候補者甲の氏名を記載した投票済み投票用紙全部の差押えがされ、右用紙から検出された指紋と警察保管の指紋との照合がされたが、右選挙の選挙人で投票した甲及び乙らは詐偽投票罪の被疑者とされておらず、右捜査により甲及び乙らの投票内容が外部に知られたとの事実はうかがえないし、右捜査は甲及び乙らの投票内容を探索する目的でされたものではなく、照合に使用された指紋には甲及び乙らの指紋は含まれていないため、指紋の照合により甲及び乙らの投票内容が外部に知られるおそれもなかったなど判示の事実関係の下においては、甲及び乙らが自己の投票の秘密に係る法的利益を侵害されたということはできない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年3月28日 平成4(オ)2148
- 登載
- 集民 第182号715頁
- 参照法条
- 憲法15条4項,公職選挙法52条,国家賠償法1条1項,刑訴法218条
論点155第15条日本国憲法
1 公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が在外国民の国政選挙における投票を平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時全く認めていなかったことと憲法15条1項,3項,43条1項〈両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。〉,44条〈両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によ…〉ただし書
2 公職選挙法附則8項の規定のうち在外国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分と憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書
3 在外国民が次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えの適否
4 在外国民と次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができる地位
5 国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合
6 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙までに国会が在外国民の国政選挙における投票を可能にするための立法措置を執らなかったことについて国家賠償請求が認容された事例
裁判要旨1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法
15条1項〈公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。〉,3項,
43条1項〈両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。〉,
44条〈両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によ…〉ただし書に違反する。
2 公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法
15条1項,3項,
43条1項,
44条ただし書に違反する。
3 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
4 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録され ていることに基づいて投票をすることができる地位にある。
5 国会議員の立法行為又は立法不作為は,その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受ける。
6 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の機会を確保するためには,上記国民に上記選挙権の行使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず,上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案となった後,平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり,国は,上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被った上記国民に対し,慰謝料各5000円の支払義務を負う。
(1,2,4〜6につき,補足意見,反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成17年9月14日 平成13(行ツ)82
- 登載
- 民集 第59巻7号2087頁
- 参照法条
- 憲法15条1項,憲法15条3項,憲法41条,憲法43条1項,憲法44条,公職選挙法第4章の2 在外選挙人名簿,公職選挙法42条,公職選挙法49条の2,公職選挙法附則8項,公職選挙法(平成12年法律第62号による改正前のもの)21条1項,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)42条,住民基本台帳法15条1項,行政事件訴訟法4条,国家賠償法1条1項
論点156第15条日本国憲法
1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことと憲法15条1項、79条2項、3項
2 国が在外国民に対して次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求める訴えの適否
3 国会において在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとされた事例
裁判要旨1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことは、憲法
15条1項〈公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。〉、
79条2項〈最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣で…〉、3項に違反する。
2 国が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に対して国外に住所を有することをもって次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
3 国会において在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことは、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、平成29年10月22日に施行された上記審査の当時において、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
⑴ 国会においては、平成10年、在外国民に国政選挙の選挙権の行使を認める制度を創設する法律案に関連して、在外国民に審査権の行使を認める制度についての質疑がされた。
⑵ 平成17年、最高裁判所大法廷判決により在外国民に対する選挙権の制約に係る憲法適合性について判断が示され、これを受けて、同18年の法改正により在外国民に国政選挙の選挙権の行使を認める制度の対象が広げられ、同19年、在外国民に憲法改正についての国民の承認に係る投票の投票権の行使を認める法律も制定された。
⑶ 在外国民に審査権の行使を認める制度の創設に当たり検討すべき課題があったものの、その課題は運用上の技術的な困難にとどまり、これを解決することが事実上不可能ないし著しく困難であったとまでは考え難い。
(1、2につき、補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和4年5月25日 令和2(行ツ)255
- 登載
- 民集 第76巻4号711頁
- 参照法条
- (1~3につき) 憲法79条2項、憲法79条3項、憲法79条4項、最高裁判所裁判官国民審査法4条、最高裁判所裁判官国民審査法8条 (1、3につき) 憲法15条1項 (2につき) 行政事件訴訟法4条 (3につき) 国家賠償法1条1項
論点157第18条日本国憲法
一、公労法一七条が憲法に違反しないとの原判決の憲法解釈の当否が原判決の結論に影響するものでないことがその判示自体において明らかであるとして違憲の主張が不適法とされた事例
二、国鉄職員による列車の一時進行阻止行為が威力業務妨害罪の成立に必要な違法性に欠けるところはないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和51年6月15日 昭和50(あ)1927
- 登載
- 集刑 第201号27頁
- 参照法条
- 憲法28条,憲法31条,憲法18条,刑法234条,刑法35条
論点158第18条日本国憲法
一、地方公務員法三七条一項、六一条四号の合憲性
二、地方公務員法六一条四号の法意
三、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した行為につき道路交通法一二〇条一項九号、七六条四項二号の罪の成立を否定した原判決が刑訴法四一一条一号にあたるとされた事例
裁判要旨一、地方公務員法三七条一項は憲法
二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に、地方公務員法六一条四号は憲法
一八条〈何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。〉、
二八条に違反しない。
二、地方公務員法六一条四号は、地方公務員の争議行為に違法性の強いものと弱いものとを区別して前者のみが右法条にいう争議行為にあたるものとし、また、右争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる等の行為のうちいわゆる争議行為に通常随伴する行為を刑事制裁の対象から除外する趣旨と解すべきではない。
三、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した本件行為(判文参照)につき、道路交通法一二〇条一項九号、七六条四項二号に該当するとしながら、正当な団体行動権の行使にあたることを理由に違法性が阻却されるとした原判決は、法令の解釈適用を誤り、かつ、これを破棄しなければ著しく正義に反する場合にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和51年5月21日 昭和44(あ)1275
- 登載
- 刑集 第30巻5号1178頁
- 参照法条
- 憲法18条,憲法21条,憲法28条,地方公務員法37条1項,地方公務員法61条4号,道路交通法76条4項2号,道路交通法120条1項9号,刑法35条,刑訴法411条1号
論点159第19条日本国憲法
刑法一七五条が憲法一九条〈思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。〉、二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年3月8日 昭和57(あ)281
- 登載
- 集刑 第230号277頁
- 参照法条
- 憲法19条,憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点160第19条日本国憲法
一 外国人のわが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利と憲法の保障の有無
二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断と法務大臣の裁量権
三 出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無についての判断と裁判所の審査の限界
四 わが国に在留する外国人と政治活動の自由に関する憲法の保障
五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障と在留の許否を決する国の裁量に対する拘束の有無
六 外国人の在留期間中の憲法の保障が及ばないとはいえない政治活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないとした法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできないとされた事例
裁判要旨一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。
二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすることが許されないものではない。
三 裁判所は、出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断についてそれが違法となるかどうかを審査するにあたつては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものとして違法であるとすることができる。
四 政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても及ぶ。
五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障を含むものではない。
六 上告人の本件活動は、外国人の在留期間中の政治活動として直ちに憲法の保障が及ばないものであるとはいえないが、そのなかにわが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれており、法務大臣が右活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和53年10月4日 昭和50(行ツ)120
- 登載
- 民集 第32巻7号1223頁
- 参照法条
- 憲法第3章,憲法19条,憲法21条,憲法22条1項,出入国管理令21条3項,行政事件訴訟法30条
論点161第19条日本国憲法
新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決の合憲性
裁判要旨一 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあつては、憲法
第一九条〈思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。〉に違反しないことは当裁判所の大法廷の判決(昭和二八年(オ)第一二四一号同三一年七月四日大法廷判決、民集一〇巻七号七八五頁参照)の示すところであり、右のごとき判決が憲法第二一条第一項に違反しないことは、右判決の趣旨に徴して明らかである(注、本件は新聞紙の発行人に対するものを含み、代替執行できない点が前記大法廷判決と異なることに留意のこと)。
二 (意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和41年4月21日 昭和39(テ)35
- 登載
- 集民 第83号269頁
- 参照法条
- 民法723条,憲法19条,憲法21条1項
論点162第19条日本国憲法
逮捕監禁行為の違法性の有無につき破壊活動防止法の合憲性等の判断を要しないとした事例。
裁判要旨公安調査官に対する本件逮捕監禁行為(判文参照)の違法性の有無を判断するためには、破壊活動防止法の合憲性、日本共産党に対する調査の合憲性ないし合法性の判断は必要でない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和36年9月14日 昭和35(あ)578
- 登載
- 刑集 第15巻8号1348頁
- 参照法条
- 刑法220条,刑法35条,破壊活動防止法3条,破壊活動防止法27条,憲法19条,憲法21条,憲法28条
論点163第19条日本国憲法
一 謝罪広告を命ずる判決と強制執行
二 右判決は憲法第一九条に反しないか
裁判要旨一 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあつては、民訴第七三三条により代替執行をなし得る。
二 右判決は憲法第一九条に反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和31年7月4日 昭和28(オ)1241
- 登載
- 民集 第10巻7号785頁
- 参照法条
- 民訴法733条,民法723条,憲法19条
論点164第19条日本国憲法
政治活動をしないことを条件とする雇傭契約と基本的人権の制限
裁判要旨憲法で保障されたいわゆる基本的人権も絶対のものではなく、自己の自由意思に基く特別な公法関係または私法関係上の義務によつて制限を受けるものであつて、自己の自由意思により、校内において政治活動をしないことを条件として教員として学校に雇われた場合には、その契約は無効ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月22日 昭和25(オ)7
- 登載
- 民集 第6巻2号258頁
- 参照法条
- 憲法19条,憲法20条,憲法21条,民法623条
論点165第19条日本国憲法
ポストノーティス命令が憲法一九条に違反するものとはいえないとされた事例
裁判要旨使用者に対し、陳謝文という題の下に、使用者が労働組合の組合員に対し仕事上の差別取扱いをしたことが労働委員会により不当労働行為であると認定された旨及び使用者が労働組合とその組合員に対し右不当労働行為を行つたことについて深く陳謝すると共に今後このような行為を繰り返さないことを約する旨の文言を墨書した白色木板を掲示するよう命じたポストノーティス命令は、使用者に対し陳謝の意思表明を強制するものではなく、憲法
一九条〈思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。〉に違反するものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成3年2月22日 昭和63(行ツ)140
- 登載
- 集民 第162号123頁
- 参照法条
- 憲法19条,労働組合法27条4項
論点166第19条日本国憲法
ポストノーティス命令が憲法一九条に違反するという主張が失当とされた事例
裁判要旨医療法人に対し、誓約書という題の下に、「当社団が行つた次の行為は、神奈川県地方労働委員会により不当労働行為と認定されました。当社団は、ここに深く反省するとともに今後再びかかる行為を繰り返さないことを誓約します。」との文言を墨書した白色木板を当該法人経営の病院入口に掲示するよう命じたポストノーティス命令は、当該法人に対し反省等の意思表明を強制するものではなく、右命令について憲法一九条違反をいう主張は失当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成2年3月6日 昭和63(行ツ)102
- 登載
- 集民 第159号229頁
- 参照法条
- 憲法19条,労働組合法27条4項
論点167第20条日本国憲法
一 加持祈祷の結果人を死亡させた行為と憲法第二〇条第一項
二 捜査の必要上、宗教的行事の外形を再現した検証調書と証拠能力の有無
裁判要旨一 精神異常者の平癒を祈願するために宗教行為として加持祈祷行為がなされた場合でも、それが原判決の認定したような他人の生命、身体等に危害を及ぼす違法な有形力の行使に当るものであり、それにより被害者を死に致したものである以上、憲法
第二〇条第一項〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。〉の信教の自由の保障の限界を逸脱したものというほかなく、これを刑法第二〇五条に該当するものとして処罰することは、何ら憲法の右条項に反するものではない。
二 上告趣意第五中に、司法警察員作成の昭和三三年一〇月二五日付検証調書の内容である検証は、宗教的所作を、宗教を伴わないで再現しようとしたものであつて、宗教に対する冒涜であるから、かかる検証調書は、証拠能力を有しない旨の主張があるが、捜査の必要上、宗教行為としてでなく、宗教的行事の外形を再現したからといつて、その一事をもつてそれが宗教に対する冒涜であり、その状況を記載した検証調書が証拠能力を有しないものであるということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和38年5月15日 昭和36(あ)485
- 登載
- 刑集 第17巻4号302頁
- 参照法条
- 憲法20条1項,刑法205条,刑訴法218条,刑訴法220条,刑訴法318条,刑訴法321条3項
論点168第20条日本国憲法
一 県がD神社又はE神社の挙行した例大祭、みたま祭又は慰霊大祭に際し玉串料、献灯料又は供物料を県の公金から支出して奉納したことが憲法二〇条三項、八九条に違反するとされた事例
二 委任又は専決により県の補助職員らが公金支出を処理した場合において知事は指揮監督上の義務に違反したものであり過失があったが補助職員らは判断を誤ったけれども重大な過失があったということはできないとされた事例
三 複数の住民が提起する住民訴訟と類似必要的共同訴訟
四 複数の住民が共同訴訟人として提起した住民訴訟において共同訴訟人の一部の者がした上訴又は上訴の取下げの効力
裁判要旨一 愛媛県が、宗教法人D神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である例大祭に際し玉串料として九回にわたり各五〇〇〇円(合計四万五〇〇〇円)を、同みたま祭に際し献灯料として四回にわたり各七〇〇〇円又は八〇〇〇円(合計三万一〇〇〇円)を、宗教法人愛媛県E神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である慰霊大祭に際し供物料として九回にわたり各一万円(合計九万円)を、それぞれ県の公金から支出して奉納したことは、一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難く、その奉納者においてもこれが宗教的意義を有する者であるという意識を持たざるを得ず、これにより県が特定の宗教団体との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないのであり、これが、一般人に対して、県が当該特定の宗教団体を特別に支援しており右宗教団体が他の宗教団体とは異なる特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ないなど判示の事情の下においては、憲法
二〇条三項〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。〉、
八九条〈公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは…〉に違反する。
二 愛媛県が憲法二〇条三項八九条に違反して宗教法人D神社等に玉串料等を県の公金から支出して奉納したことにつき、右支出の権限を法令上本来的に有する知事は、委任を受け又は専決することを任された補助職員らが右支出を処理した場合であっても、同神社等に対し、右補助職員らに玉串料等を持参させるなどしてこれを奉納したと認められ、当該支出には憲法に違反するという重大な違法があり、地方公共団体が特定の宗教団体に玉串料等の支出をすることについて、文部省自治省等が、政教分離原則に照らし、慎重な対応を求める趣旨の通達、回答をしてきたなどの事情の下においては、その指揮監督上の義務に違反したものであり、過失があったというのが相当であるが、右補助職員らは、知事の右のような指揮監督の下でこれを行い、右支出が憲法に違反するか否かを極めて容易に判断することができたとまではいえないという事情の下においては、その判断を誤ったものであるが、重大な過失があったということはできない。
三 複数の住民が提起する住民訴訟は、類似必要的共同訴訟と解すべきである。
四 複数の住民が共同訴訟人として提起した住民訴訟において、共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶが、上訴をしなかった共同訴訟人は、上訴人にはならず、上訴をした共同訴訟人のうちの一部の者が上訴を取り下げた場合は、その者は上訴人ではなくなる。
(一につき、補足意見、意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成9年4月2日 平成4(行ツ)156
- 登載
- 民集 第51巻4号1673頁
- 参照法条
- 地方自治法153条1項,地方自治法242条の2第1項,地方自治法242条の2第4項,地方自治法243条の2第1項,憲法20条,憲法89条,民訴法52条1項,民訴法363条
論点169第20条日本国憲法
信仰上の理由により剣道実技の履修を拒否した市立高等専門学校の学生に対する原級留置処分及び退学処分が裁量権の範囲を超える違法なものであるとされた事例
裁判要旨市立高等専門学校の校長が、信仰上の理由により剣道実技の履修を拒否した学生に対し、必修である体育科目の修得認定を受けられないことを理由として二年連続して原級留置処分をし、さらに、それを前提として退学処分をした場合において、右学生は、信仰の核心部分と密接に関連する真しな理由から履修を拒否したものであり、他の体育種目の履修は拒否しておらず、他の科目では成績優秀であった上、右各処分は、同人に重大な不利益を及ぼし、これを避けるためにはその信仰上の教義に反する行動を採ることを余儀なくさせるという性質を有するものであり、同人がレポート提出等の代替措置を認めて欲しい旨申し入れていたのに対し、学校側は、代替措置が不可能というわけでもないのに、これにつき何ら検討することもなく、右申入れを一切拒否したなど判示の事情の下においては、右各処分は、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超える違法なものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成8年3月8日 平成7(行ツ)74
- 登載
- 民集 第50巻3号469頁
- 参照法条
- 学校教育法11条,学校教育法70条の2,学校教育法施行規則13条,学校教育法施行規則27条,学校教育法施行規則72条の6,神戸市立工業高等専門学校学則(昭和38年神戸市教育委員会規則第10号)13条,神戸市立工業高等専門学校学則(昭和38年神戸市教育委員会規則第10号)14条,神戸市立工業高等専門学校学則(昭和38年神戸市教育委員会規則第10号)31条,行政事件訴訟法30条,教育基本法3条1項,教育基本法9条,憲法20条
論点170第20条日本国憲法
1 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法89条,20条1項後段に違反するとされた事例
2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例
裁判要旨1 市が連合町内会に対し市有地を無償で建物(地域の集会場等であるが,その内部に祠が設置され,外壁に神社の表示が設けられている。),鳥居及び地神宮の敷地としての利用に供している行為は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記行為がもともとは小学校敷地の拡張に協力した地元住民に報いるという世俗的,公共的な目的から始まったものであるとしても,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものであって,憲法
89条〈公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは…〉,
20条1項〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。〉後段に違反する。
(1) 鳥居,地神宮,神社と表示された建物入口から祠に至る上記各物件は,一体として神道の神社施設に当たるもので,そこで行われている諸行事も,このような施設の性格に沿って宗教的行事として行われている。
(2) 上記各物件を管理し,祭事を行っている氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を連合町内会に支払うほかは,上記各物件の設置に通常必要とされる対価を支払うことなく,その設置に伴う便益を長期間にわたり継続的に享受しており,前記行為は,その直接の効果として,宗教団体である氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にするものである。
2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断には,違法がある。
(1) 上記神社施設を直ちに撤去させるべきものとすることは,氏子集団の同施設を利用した宗教的活動を著しく困難なものにし,その構成員の信教の自由に重大な不利益を及ぼすものとなる。
(2) 神社施設の撤去及び土地明渡請求以外に,例えば土地の譲与,有償譲渡又は適正な対価による貸付け等,上記行為の違憲性を解消するための他の手段があり得ることは,当事者の主張の有無にかかわらず明らかである。
(3) 原審は,当事者がほぼ共通する他の住民訴訟の審理を通じて,上記行為の違憲性を解消するための他の手段が存在する可能性があり,市長がこうした手段を講ずる場合があることを職務上知っていた。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成22年1月20日 平成19(行ツ)260
- 登載
- 民集 第64巻1号1頁
- 参照法条
- (1について)憲法20条1項,憲法89条 (2について)民訴法149条1項,民訴法149条2項,地方自治法242条の2第1項3号
論点171第20条日本国憲法
詐欺罪の事案につき宗教上の教義の真偽を判断しているから信教の自由を侵害しているとの違憲主張が欠前提処理された事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成20年8月27日 平成19(あ)170
- 登載
- 集刑 第295号1頁
- 参照法条
- 憲法20条1項,憲法76条1項,刑法246条1項
論点172第20条日本国憲法
市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料の全額を免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例
裁判要旨市長が市の管理する都市公園内の国公有地上に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して上記施設の敷地の使用料の全額を免除した行為は,次の(1)~(5)など判示の事情の下では,上記施設の観光資源等としての意義や歴史的価値を考慮しても,一般人の目から見て,市が上記法人の上記施設における活動に係る特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものであって,憲法
20条3項〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。〉に違反する。
(1) 上記施設は,上記都市公園の他の部分から仕切られた区域内に一体として設置され,上記施設の本殿と位置付けられている建物は,その内部の正面には孔子の像及び神位(神霊を据える所)が配置され,家族繁栄,学業成就,試験合格等を祈願する多くの人々による参拝を受けているほか,上記建物の香炉灰が封入された「学業成就(祈願)カード」が上記施設で販売されていたこともあった。
(2) 上記施設で行われる儀式は,孔子の霊の存在を前提として,これを崇め奉るという宗教的意義を有するものであり,上記施設の建物等は,上記儀式を実施するという目的に従って配置されたものである。
(3) 市が策定した上記都市公園周辺の土地利用計画案においては,同計画案の策定業務に係る委員会等で孔子等を祀る廟の宗教性を問題視する意見があったこと等を踏まえて,前記(1)の建物を建設する予定の敷地につき上記法人の所有する土地との換地をするなどして,同建物を私有地内に配置することが考えられる旨の整理がされていた。
(4) 上記法人に対する上記施設の設置許可に係る占用面積は1335㎡であり,免除の対象となる敷地の使用料に相当する額は年間で576万7200円であり,また,上記設置許可の期間は3年であるが,公園の管理上支障がない限り更新が予定されている。
(5) 上記法人は,上記施設の公開や前記(2)の儀式の挙行を定款上の目的又は事業として掲げている。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和3年2月24日 令和1(行ツ)222
- 登載
- 民集 第75巻2号29頁
- 参照法条
- 憲法20条3項
論点173第21条日本国憲法
一 人格権又は条理を根拠とするいわゆる反論文掲載請求権の成否
二 新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例
裁判要旨一 新聞記事に取り上げられた者は、当該新聞紙を発行する者に対し、その記事の掲載により名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、人格権又は条理を根拠として、右記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修正かつ無料で掲載することを求めることはできない。
二 新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的評価の低下を狙つたものであるが乙政党を批判・論評する内容のものであり、かつ、その記事中乙政党の綱領等の要約等が一部必ずしも妥当又は正確とはいえないとしても、右要約のための綱領等の引用文言自体は原文のままであり、要点を外したものといえないなど原判示の事実関係のもとでは、右広告の掲載は、その広告が公共の利害に関する事実にかかり専ら公益を図る目的に出たものであり、かつ、主要な点において真実の証明があつたものとして、名誉毀損の不法行為となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和62年4月24日 昭和55(オ)1188
- 登載
- 民集 第41巻3号490頁
- 参照法条
- 憲法21条,民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条ノ2
論点174第21条日本国憲法
刑法一七五条の規定が憲法二一条、三一条に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月12日 昭和59(あ)1564
- 登載
- 集刑 第239号277頁
- 参照法条
- 刑法175条,憲法21条,憲法31条
論点175第21条日本国憲法
一 鉄道営業法三五条及び刑法一三〇条後段を適用しても憲法二一条一項に違反しないとされた事例
二 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」の意義
三 刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」の意義
四 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」及び刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」にあたるとされた事例
裁判要旨一 駅係員の許諾を受けないで駅構内において乗降客らに対しビラ多数を配布して演説等を繰り返したうえ、駅管理者からの退去要求を無視して約二〇分間にわたり駅構内に滞留した被告人らの所為につき、鉄道営業法三五条及び刑法一三〇条後段の各規定を適用してこれを処罰しても憲法二一条一項に違反しない。
二 鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」とは、鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にあるものをいう。
三 刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」とは、人が事実上管理・支配する建造物をいう。
四 構造上駅舎の一部で鉄道利用客のための通路として使用されており、また、駅の財産管理権を有する駅長が現に駅構内への出入りを制限し又は禁止する権限を行使している本件駅出入口階段付近(判文参照)は、鉄道営業法三五条にいう「鉄道地」にあたるとともに、刑法一三〇条にいう「人ノ看守スル建造物」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和59年12月18日 昭和59(あ)206
- 登載
- 刑集 第38巻12号3026頁
- 参照法条
- 鉄道営業法35条,刑法130条,憲法21条1項
論点176第21条日本国憲法
刑法一七五条が憲法二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和58年7月15日 昭和57(あ)1121
- 登載
- 集刑 第231号853頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法31条,刑法175条
論点177第21条日本国憲法
捜索差押令状による差押物件について公文書毀棄罪の成立を認めたことが憲法二一条、三五条に違反する旨の主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年9月18日 昭和55(あ)300
- 登載
- 集刑 第223号321頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法35条,刑法258条
論点178第21条日本国憲法
下級審がその事件について上告審の破棄理由とした法律上の判断に従つてした判決に対する上告理由が不適法とされた事例
裁判要旨下級審がその事件について上告審の破棄理由とした法律上の判断に従つてした判決に対しては、その法律上の判断を不服として上告することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年7月4日 昭和54(あ)1427
- 登載
- 集刑 第218号117頁
- 参照法条
- 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和25年東京都条例44号)1条,集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和25年東京都条例44号)5条,憲法21条,憲法31条,刑訴法405条,裁判所法4条
論点179第21条日本国憲法
新聞記者の証言拒絶を理由ありとした決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告がその実質は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎず不適法であるとして却下された事例
裁判要旨(省略)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和55年3月6日 昭和54(ク)392
- 登載
- 集民 第129号255頁
- 参照法条
- 憲法21条,民訴法281条1項3号
論点180第21条日本国憲法
刑法一七五条が憲法二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しないとされた事例
原判決の説示が女性を不当に差別する思想に基づくとして違憲(憲法二四条二項〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉違反)をいう主張が「欠前提」とされた事例
大審院判例を引用する判例違反の主張がすでに最高裁判所の判例があるとして不適法とされた事例―いわゆる「ふたりのラブジユース」事件ー
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年11月28日 昭和54(あ)690
- 登載
- 集刑 第220号331頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法24条2項,刑法175条,刑訴法405条3号
論点181第21条日本国憲法
一 大阪市屋外広告物条例(昭和四九年四月一日大阪市条例三二号による改正前のもの)二条一項〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉、四条三項〈天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。〉、一六条一号〈何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何…〉と憲法二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、九四条〈地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。〉、四一条〈国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。〉との関係
二、観念的競合の関係にある二つの罪のうち一つについて刑の廃止があるが原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められないとされた事例
裁判要旨一 大阪市屋外広告物条例(昭和四九年四月一日大阪市条例第三二号による改正前のもの)
二条一項〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉、
一六条一号〈何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何…〉は憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉、
四条三項〈天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。〉、
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、
九四条〈地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。〉、
四一条〈国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。〉に違反しない。
二 被告人に対する本件公訴事実のうち、被告人が大阪市条例によりはり紙の表示が禁止された物件である電柱にビラ五枚を表示した点については、原判決後の法令により刑の廃止があった場合にあたるが、右事実は法定の除外事由がないのに大阪市長の許可を受けないではり紙を表示した事実と観念的競合の関係にあるものとして起訴されており、かつ、これら両罪の法定刑は同一であること、被告人に対する原判決の科刑(罰金二、〇〇〇円、換刑一、〇〇〇円一日、一年間執行猶予)は、法定の除外事由がないのに大阪市長の許可を受けないではり紙を表示した罪だけに対する科刑としても不当に重いとは認められないことを考慮すると、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年5月29日 昭和49(あ)1377
- 登載
- 集刑 第196号517頁
- 参照法条
- 大阪市屋外広告物条令(昭和49年4月1日大阪市条例32号による改正前のもの)2条1項,大阪市屋外広告物条令(昭和49年4月1日大阪市条例32号による改正前のもの)4条3項,大阪市屋外広告物条令(昭和49年4月1日大阪市条例32号による改正前のもの)16条1項,憲法21条,憲法31条,憲法41条,憲法94条,刑訴法337条2号,刑訴法411条5号,刑法54条1項前段
論点182第21条日本国憲法
侮辱と憲法二一条
裁判要旨「市民諸君阿呆につける薬があつたら、この市長につけてやつて下さい」「三田市長Bは公団、県のいぬ的存在」「B市長の頭脳の空ラツポさ……」などと記載した新聞一万部を市民に頒布して公然他人を侮辱する行為が憲法の保障する言論の自由の範囲内に属するものでないことは、当裁判所昭和三一年七月四日大法廷判決(民集一〇巻七号七八五頁)の趣旨に照らして明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年6月5日 昭和47(あ)2303
- 登載
- 集刑 第189号259頁
- 参照法条
- 刑法231条,憲法21条
論点183第21条日本国憲法
一 破壊活動防止法三九条および四〇条は犯罪の構成要件が不明確か
二 公訴棄却を求める申立とこれに対する裁判の要否
裁判要旨一 破壊活動防止法三九条および四〇条は、その所定の目的をもつて、刑法一九九条、一〇六条等の罪を実行するための具体的な準備をすることや、その実行のための具体的な協議をすることのような、社会的に危険な行為を処罰しようとするものであり、その犯罪構成要件が不明確なものとは認められない。
二 公訴棄却を求める申立は、職権の発動を促す意味をもつに過ぎず、これに対して申立棄却の裁判をする義務はない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月2日 昭和42(あ)2220
- 登載
- 刑集 第24巻7号412頁
- 参照法条
- 破壊活動防止法39条,破壊活動防止法40条,憲法21条,憲法31条,刑訴法338条,刑訴法339条,刑訴規則33条
論点184第21条日本国憲法
一 報道および取材の自由と憲法二一条
二 報道機関の取材フイルムに対する提出命令の許容される限度
裁判要旨一 報道の自由は、表現の自由を規定した憲法二一条の保障のもとにあり、報道のための取材の自由も、同条の精神に照らし、十分尊重に値いするものといわなければならない。
二 報道機関の取材フイルムに対する提出命令が許容されるか否かは、審判の対象とされている犯罪の性質、態様、軽重および取材したものの証拠としての価値、公正な刑事裁判を実現するにあたつての必要性の有無を考慮するとともに、これによつて報道機関の取材の自由が妨げられる程度、これが報道の自由に及ぼす影響の度合その他諸般の事情を比較衡量して決せられるべきであり、これを刑事裁判の証拠として使用することがやむを得ないと認められる場合でも、それによつて受ける報道機関の不利益が必要な限度をこえないように配慮されなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和44年11月26日 昭和44(し)68
- 登載
- 刑集 第23巻11号1490頁
- 参照法条
- 憲法21条,刑訴法99条,刑訴法262条,刑訴法265条
論点185第21条日本国憲法
侮辱と憲法二一条
裁判要旨「A吸血鬼」「暴力所長Bを追放せよ」と記載したビラを乗用車の車体に貼付して市内の目抜通りを行進するように公然他人を侮辱する行為は、言論の自由の乱用であつて、憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉の保障する言論の自由の範囲内に属すると認めることができないことは当裁判所の判例(昭和二八年(オ)第一二四一号、同三一年七月四日大法廷判決、民集一〇巻七号七八五頁)の趣旨に照らして明らかである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年10月23日 昭和44(あ)806
- 登載
- 集刑 第173号561頁
- 参照法条
- 刑法231条,憲法21条
論点186第21条日本国憲法
一 芸術的思想的価値のある文書と猥褻性
二 文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係
三 憲法二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉二三条〈学問の自由は、これを保障する。〉と公共の福祉
四 法律判断で無罪を言い渡した第一審判決を事実の取調をすることなく破棄し控訴裁判所がみずから有罪の判決をすることと刑訴法四〇〇条但書
裁判要旨一 芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはさしつかえない。
二 文書の個々の章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならない。
三 憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉の表現の自由や同法二三条の学問の自由は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉の制限の下に立つものである。
四 第一審裁判所が法律判断の対象となる事実を認定し、法律判断だけで無罪を言い渡した場合には、控訴裁判所は、改めて事実の取調をすることなく、刑訴法四〇〇条但書によつて、みずから有罪の判決をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和44年10月15日 昭和39(あ)305
- 登載
- 刑集 第23巻10号1239頁
- 参照法条
- 刑法175条,憲法21条,憲法23条,刑訴法400条
論点187第21条日本国憲法
雑誌記事掲載をもつて人を脅迫し、金員を喝取した行為を刑法第二四九条により処罰することと憲法第二一条第一項。
裁判要旨被告人および弁護人の各上告趣意中には、いずれも憲法第二一条第一項違反をいう部分があるが、憲法
第二一条第一項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉の保障する表現の自由といえども国民の恣意のままに許されるものでなく、つねに公共の福祉によつて調整されなければならないことおよび言論、出版による脅迫が公共の福祉を害し、表現の自由の限界を逸脱するものであることは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一三〇八号同二四年五月一八日大法廷判決、刑集三巻六号八三九頁、昭和三一年(あ)第三一四号同三三年四月二二日第三小法廷判決、刑集一二巻六号一一一八頁)により明らかであつて、その趣旨に徴し、雑誌記事掲載をもつて人を脅迫し、金員を喝取した行為を刑法第二四九条により処罰することは、なんら憲法の右条項に違反するものでないから、右違憲の主張は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月17日 昭和36(あ)1340
- 登載
- 集刑 第148号511頁
- 参照法条
- 憲法21条1項,刑法249条
論点188第21条日本国憲法
一 暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。〉(脅迫)にあたる事例
二 脅迫と憲法第二一条
裁判要旨一 日本共産党員である被告人等が、町長選挙に際し、候補者(A)が前日居宅に火焔瓶投擲を受けて畏怖しつつあるのに乗じ、共同して同人を非難脅迫するビラを町内に撒布し同人を選挙において不利に陥れるとともに同人に右ビラを閲覧させてこれを脅迫すべきことを共謀し翌七月一二日共同して同町内で多人数に対し「天誅遂に下る。天人共に許さざる売国奴Aに町民の怒り爆発」と題し、「七月一一日おさえにおさえた町民の怒りは爆発した、過去四年間横暴の限りをつくし、町民の苦しみの上に私腹を肥した現町長Aの自宅は英雄的な町民により襲撃された、これはAをとりまく売国奴共へ愛国的町民が叩きつけたたたかいの宣言である。彼ら売国奴共が自己の行為を反省してくいあらためぬ限り、追撃の手は更にのびるであろう」との文言の記録があるガリ版ビラ約四〇〇枚を頒布して同人に多数第三者を通じ、うち約三〇枚を閲読させた所為は暴力行為等処罰に関する法律
第一条第一項〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。〉に該当する
二 脅迫は、公共の福祉を害し憲法の保障する言論、表現の自由の限界を逸脱する
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和33年4月22日 昭和31(あ)314
- 登載
- 刑集 第12巻6号1118頁
- 参照法条
- 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条1項,刑法222条,憲法21条
論点189第21条日本国憲法
地方税を納付しないことを煽動するが如きビラを頒布する行為と言論の自由
裁判要旨原審が原判示のビラを頒布した被告人等の行為を以て「地方税を納付しないことを煽動したもの」と認めたのは相当であり、これを非難する論旨は当らない。そしてそれ自体犯罪を構成する右の様な行為が憲法二一条の保障の範囲外であることは昭和二三年(れ)第一三〇八号事件同二四年五月一八日大法廷判決の趣旨に徴し明である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年11月17日 昭和27(あ)541
- 登載
- 集刑 第88号491頁
- 参照法条
- 憲法21条,地方税法12条
論点190第21条日本国憲法
一 新聞記者の取材源についての証言と刑訴法上の証言拒絶権
二 憲法第二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉と新聞記者の取材源に関する証言拒絶権
三 憲法第三八条第一項〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉と刑訴第一四六条および第一四七条との関係
四 被疑者不特定の被疑事件につき刑訴第二二六条に基き証人を尋問することと刑訴第一四六条および憲法第三八条第一項
五 刑訴第二二六条による証人尋問の請求と被疑事実の存在
六 逮捕状の請求発付の国家公務員法第一〇〇条にいわゆる「職務上知ることのできた秘密」
裁判要旨一 新聞記者は記事の取材源に関するという理由によつては刑訴法上証言拒絶権を有しない。
二 憲法
第二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉は、新聞記者に対し、その取材源に関する証言を拒絶し得る特別の権利までも保障したものではない。
三 刑訴第一四六条は、憲法
第三八条第一項〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉による憲法上の保障を実現するための規定であるが、刑訴第一四七条の規定は、右憲法上保障される範囲には属しない。
四 刑訴第二二六条に基き証人を尋問するにあたり、被疑者が未だ特定していなくても、それだけで、刑訴第一四六条による証言拒絶権を奪い憲法第三八条第一項に違反するということはできない。
五 検察官が刑訴第二二六条により裁判官に証人尋問の請求をするためには、捜査機関において犯罪ありと思料することが相当であると認められる程度の被疑事実の存在があれば足り、被疑事実が客観的に存在することを要しない。
六 当該逮捕状の請求、作成、発付の事務に関与する国家公務員たる職員については、右請求発付の事実は国家公務員法第一〇〇条にいわゆる職員の「職務上知ることのできた秘密」にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和27年8月6日 昭和25(あ)2505
- 登載
- 刑集 第6巻8号974頁
- 参照法条
- 刑訴法146条,刑訴法147条,刑訴法226条,憲法21条,憲法38条1項,国家公務員法100条1項,国家公務員法100条2項
論点191第21条日本国憲法
報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押処分が憲法二一条に違反しないとされた事例
裁判要旨報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の本件差押処分は、右テープが重大な被疑事件の解明にほとんど不可欠であり、報道機関による右テープの放映自体には支障をきたさないなどの具体的事情の下においては、憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成元年1月30日 昭和63(し)116
- 登載
- 刑集 第43巻1号19頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法35条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項
論点192第21条日本国憲法
報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押処分が憲法二一条に違反しないとされた事例
裁判要旨報道機関の取材ビデオテープが軽視できない悪質な被疑事件の全容を解明する上で重要な証拠価値を持ち、他方、右テープが被疑者らの協力によりその犯行場面等を撮影収録したものであり、右テープを編集したものが放映済みであって、被疑者らにおいてその放映を了承していたなど判示の事実関係の下においては、右テープに対する捜査機関の差押処分は、憲法
二一条〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成2年7月9日 平成2(し)74
- 登載
- 刑集 第44巻5号421頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法35条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項
論点193第21条日本国憲法
卒業式の開式直前に保護者らに対して大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,卒業式の円滑な遂行を妨げた行為をもって刑法234条の罪に問うことが,憲法21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しないとされた事例
裁判要旨卒業式の開式直前に,式典会場である体育館において,主催者に無断で,保護者らに対して,国歌斉唱のときには着席してほしいなどと大声で呼び掛けを行い,これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,その場を喧噪状態に陥れるなどして,卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為をもって,刑法234条の罪に問うことは,憲法
21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成23年7月7日 平成20(あ)1132
- 登載
- 刑集 第65巻5号619頁
- 参照法条
- 憲法21条1項,刑法234条
論点194第21条日本国憲法
1 分譲マンションの各住戸にビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に立ち入った行為につき,刑法130条前段の罪が成立するとされた事例
2 分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しないとされた事例
裁判要旨1 分譲マンションの各住戸のドアポストにビラ等を投かんする目的で,同マンションの集合ポストと掲示板が設置された玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に立ち入った行為は,同マンションの構造及び管理状況,そのような目的での立入りを禁じたはり紙が玄関ホールの掲示板にちょう付されていた状況などの本件事実関係(判文参照)の下では,同マンションの管理組合の意思に反するものであり,刑法130条前段の罪が成立する。
2 分譲マンションの各住戸のドアポストに政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの玄関ホールの奥にあるドアを開けるなどして7階から3階までの廊下等の共用部分に,同マンションの管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法
21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成21年11月30日 平成20(あ)13
- 登載
- 刑集 第63巻9号1765頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項
論点195第21条日本国憲法
1 管理者が管理する,公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が,刑法130条の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例
2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しないとされた事例
裁判要旨1 管理者が管理する,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び同宿舎の各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示しているその敷地(判文参照)は,刑法130条にいう「人の看守する邸宅」及びその囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になる。
2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で,職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の共用部分及び敷地に,同宿舎の管理権者の意思に反して立ち入った行為(判文参照)をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法
21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成20年4月11日 平成17(あ)2652
- 登載
- 刑集 第62巻5号1217頁
- 参照法条
- (1,2につき)刑法130条前段 (2につき)憲法21条1項
論点196第21条日本国憲法
従業員と使用者との間でされた従業員に対し特定の労働組合から脱退する権利を行使しないことを義務付ける合意と公序良俗違反
裁判要旨従業員と使用者との間において従業員が特定の労働組合に所属し続けることを義務付ける内容の合意がされた場合において,同合意のうち,従業員に上記労働組合から脱退する権利をおよそ行使しないことを義務付けて脱退の効力そのものを生じさせないとする部分は,公序良俗に反し無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成19年2月2日 平成16(受)1787
- 登載
- 民集 第61巻1号86頁
- 参照法条
- 労働組合法第2章 労働組合,民法90条,憲法21条1項,憲法28条
論点197第21条日本国憲法
1 民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかを判断する基準
2 民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができる場合
裁判要旨1 民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかは,当該報道の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該取材の態様,将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容,程度等と,当該民事事件の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該民事事件において当該証言を必要とする程度,代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきである。
2 民事事件において証人となった報道関係者は,当該報道が公共の利益に関するものであって,その取材の手段,方法が一般の刑罰法令に触れるとか,取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく,しかも,当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため,当該取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く,そのために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には,民訴法197条1項3号に基づき,原則として,当該取材源に係る証言を拒絶することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年10月3日 平成18(許)19
- 登載
- 民集 第60巻8号2647頁
- 参照法条
- (1,2につき)民訴法197条1項3号,憲法21条
論点198第21条日本国憲法
一 裁判所法五二条一号にいう「積極的に政治運動をすること」の意義
二 裁判官が積極的に政治運動をすることを禁止する裁判所法五二条一号と憲法二一条一項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉
三 裁判官が積極的に政治運動をしたとされた事例
四 裁判官が積極的に政治運動をしたことがその職務上の義務に違反するとして当該裁判官に対し戒告がされた事例
五 裁判官分限事件への憲法八二条一項の適用の有無
六 民事訴訟又は非訟の手続において期日に立ち会う代理人の数を制限することの可否
裁判要旨一 裁判所法五二条一号にいう「積極的に政治運動をすること」とは、組織的、計画的又は継続的な政治上の活動を能動的に行う行為であって裁判官の独立及び中立・公正を害するおそれがあるものをいい、具体的行為の該当性を判断するに当たっては、行為の内容、行為の行われるに至った経緯、行われた場所等の客観的な事情のほか、行為をした裁判官の意図等の主観的な事情をも総合的に考慮して決するのが相当である。
二 裁判官が積極的に政治運動をすることを禁止する裁判所法五二条一号の規定は、憲法
二一条一項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉に違反しない。
三 裁判官が、その取扱いが政治的問題となっていた法案を廃案に追い込もうとする党派的な運動の一環として開かれた集会において、会場の一般参加者席から、裁判官であることを明らかにした上で、「当初、この集会において、盗聴法と令状主義というテーマのシンポジウムにパネリストとして参加する予定であったが、事前に所長から集会に参加すれば懲戒処分もあり得るとの警告を受けたことから、パネリストとしての参加は取りやめた。自分としては、仮に法案に反対の立場で発言しても、裁判所法に定める積極的な政治運動に当たるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する。」との趣旨の発言をした行為は、判示の事実関係の下においては、右集会の参加者に対し、右法案が裁判官の立場からみて令状主義に照らして問題のあるものであり、その廃案を求めることは正当であるという同人の意見を伝えるものというべきであり、右集会の開催を決定し右法案を廃案に追い込むことを目的として共同して行動している諸団体の組織的、計画的、継続的な反対運動を拡大、発展させ、右目的を達成させることを積極的に支援しこれを推進するものであって、裁判所法五二条一号が禁止している「積極的に政治運動をすること」に該当する。
四 裁判官が積極的に政治運動をしたことは、裁判所法四九条所定の懲戒事由である職務上の義務違反に該当し、当該行為の内容、その後の態度等判示の事情にかんがみれば、当該裁判官を戒告することが相当である。
五 裁判官分限事件には、憲法
八二条一項〈裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。〉は適用されない。
六 民事訴訟又は非訟の手続を主宰する裁判所は、その手続を円滑に進行させるために与えられた指揮権に基づいて、期日を開く場所の収容能力、当該期日に予定されている手続の内容、裁判所の法廷警察権ないし指揮権行使の難易等を考慮して、必要かつ相当な場合には、期日に立ち会う代理人の数を合理的と認められる限度にまで制限することができる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成10年12月1日 平成10(分ク)1
- 登載
- 民集 第52巻9号1761頁
- 参照法条
- 裁判所法49条,裁判所法52条1項,憲法21条1項,憲法82条1項,裁判官分限法2条,裁判官の分限事件手続規則7条,非訟事件手続法6条,非訟事件手続法13条,民訴法55条,民訴法148条,刑訴法35条,刑訴規則26条,刑訴規則27条
論点199第21条日本国憲法
刑法175条1項の規定が憲法21条1項に違反するとの主張が欠前提処理された事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和5年9月26日 令和4(あ)1407
- 登載
- 集刑 第332号219頁
- 参照法条
- 憲法21条1項、刑法175条1項
論点200第21条日本国憲法
不当景品類及び不当表示防止法7条2項と憲法21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉,22条1項〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉
裁判要旨不当景品類及び不当表示防止法7条2項は,憲法
21条1項〈集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。〉,
22条1項〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和4年3月8日 令和3(行ツ)33
- 登載
- 集民 第267号29頁
- 参照法条
- 憲法21条1項,憲法22条1項,不当景品類及び不当表示防止法5条1号,不当景品類及び不当表示防止法7条
論点201第21条日本国憲法
1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっての検討及び判断の方法
2 刑法175条のわいせつな電磁的記録に該当する女性器の三次元形状データファイル又は同データが記録されたCD-Rを頒布した被告人の行為について,正当行為として違法性が阻却されるものではないとされた事例
裁判要旨1 行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,刑法175条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっては,電磁的記録が視覚情報であるときには,同記録を視覚化したもののみを見て,これらの検討及び判断をするのが相当である。
2 刑法175条のわいせつな電磁的記録に該当する女性器の三次元形状データファイル又は同データが記録されたCD-Rを頒布した被告人の行為は,女性器に対する卑わいな印象を払拭し,女性器を表現することを日常生活に浸透させたいという思想に基づくものであるということや,同データの頒布が被告人の作品制作に資金を提供する者に対し資金提供という方法で作品制作に参加する機会を与えるものであるということ,同データ又は同CD-Rの頒布がそれらの提供を受けた者に対し同データを加工して創作をする機会を与えるものであるということによって正当行為として違法性が阻却されるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和2年7月16日 平成29(あ)829
- 登載
- 刑集 第74巻4号343頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法31条,刑法175条,刑法35条
論点202第22条日本国憲法
一 刑訴法第二五五条にいう「犯人が国外にいる場合」の意義。
二 出入国管理令第六〇条第二項第七一条および旅券法第一三条第一項第一四条第一九条第一項第四号の合憲性。
裁判要旨一 刑訴法第二五五条にいう「犯人が国外にいる場合」とは、検察官において公訴を提起し得る程度に犯人および犯罪事実を覚知していることを要件とするものではなく、単に犯人が国外にいるという事実があれば足りるとした原判決の判断は正当である―昭和三五年(あ)第七三五号、同三七年九月一八日最高裁判所第三小法廷判決、刑集一六巻九号一三八六頁参照。
二 所論は憲法第二二条第二項、第三一条違反につきるる主張をするが、本件に適用された出入国管理令第六〇条第二項、第七一条および旅券法第一三条第一項、第一四条、第一九条第一項第四号の規定が憲法の右条項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和三四年(あ)第一六七八号、同三七年一一月二八日判決、刑集一六巻一一号一六三三頁、昭和二九年(オ)第八九八号、同三三年九月一〇日判決、民集一二巻一三号一九六九頁)の趣旨とするところであり、いまこれを変更する必要を認めない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年11月25日 昭和38(あ)1800
- 登載
- 集刑 第157号305頁
- 参照法条
- 刑訴法255条,憲法22条2項,憲法31条,出入国管理令60条2項,出入国管理令71条,旅券法13条1項,旅券法14条,旅券法19条1項4号
論点203第22条日本国憲法
刑法第三七条第一項にいう現在の危難と断定することはできないとされた事例。
裁判要旨被告人Aが原判示のような事情(原判決理由参照)の下において、「民主叛逆者に対する刑事事件臨時処理法」を除く一連のいわゆる革命立法の施行時期が切迫し、保釈も取り消された上いわゆる革命裁判によつて重刑に処せられることを予想していたとしても、これを以て刑法第三七条第一項にいう現在の危難と断定することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年8月4日 昭和38(あ)139
- 登載
- 集刑 第152号429頁
- 参照法条
- 刑法37条1項,出入国管理令70条2号,出入国管理令9条5項,憲法22条
論点204第22条日本国憲法
一 刑訴法第二五五条第一項前段の法意
二 出入国管理令第六〇条第二項、第七一条の合憲性
裁判要旨一 刑訴法第二五五条第一項前段は、犯人が国外にいる場合は、そのことだけで、公訴の時効はその国外にいる期間中進行を停止することを規定したものである。
二 出入国管理令第六〇条第二項、第七一条は、憲法
第二二条第二項〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年9月18日 昭和35(あ)735
- 登載
- 刑集 第16巻9号1386頁
- 参照法条
- 刑訴法255条1項,出入国管理令60条2項,出入国管理令条71条,憲法22条2項
論点205第22条日本国憲法
一 出入国管理令第六〇条の合憲性
二 出入国管理令第六〇条第二項違反罪における訴因の特定
裁判要旨一 出入国管理令第六〇条は、憲法
第二二条第二項〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉に違反しない。
二 密出国の日時を「昭和二七年四月頃より同三三年六月下旬まで」、その場所を「本邦より本邦外の地域たる中国に」と各表示し、その方法につき具体的な表示をしていない起訴状であつても、検察官の冒頭陳述により、被告人は昭和二七年四月頃までは本邦に在住していたが、その後所在不明となつてから、日時は詳らかでないが中国に向けて不法に出国し、引き続いて本邦外にあり、同三三年七月八日帰国したものであるとして、右不法出国の事実を起訴したものとみるべき場合には、審判の対象および防禦の範囲はおのずから明らかであつて、刑訴第二五六条第三項に違反するものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和37年11月28日 昭和34(あ)1678
- 登載
- 刑集 第16巻11号1633頁
- 参照法条
- 出入国管理令60条,出入国管理令71条,憲法22条2項,刑訴法256条3項
論点206第22条日本国憲法
一 不正競争防止法第五条第二号と憲法第二二条〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉
二 同号にいう「不正ノ競争ノ目的」の意義
三 同号の罪は反覆継続性を要素とするか
裁判要旨一 不正競争防止法第五条第二号は憲法
第二二条〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉に違反しない。
二 同号にいう「不正ノ競争ノ目的」とは、公序良俗、信義衡平に反する手段によつて、他人の営業と同種または類似の行為をなし、その物の営業上の競争をする意図をいう。
三 同号の罪はその構成要件上、行為の一定期間内における反覆継続性を要素とするものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和35年4月6日 昭和33(あ)342
- 登載
- 刑集 第14巻5号525頁
- 参照法条
- 憲法22条,不正競争防止法1条1号,不正競争防止法1条2号,不正競争防止法5条2号
論点207第22条日本国憲法
一 幼児の引渡を求める訴訟においてその幼児が自由意思に基いて相手方の許に居住しているとはいえない事例
二 幼児引渡の請求を認容する判決と憲法第二二条の居住移転の自由
裁判要旨一 幼児の引渡を求める訴訟において、その幼児が三歳に満たない頃からひき続き相手方のもとで養育されているというだけでは、右幼児は自由意思に基いて同所に居住しているとはいえない。
二 いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第二二条所定の居住移転の自由となんら関係がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和35年3月15日 昭和32(オ)1166
- 登載
- 民集 第14巻3号430頁
- 参照法条
- 民法820条,憲法22条
論点208第22条日本国憲法
一 昭和二六年八月広島県条例第三九号「金属屑業条例」第一〇条〈日本国民たる要件は、法律でこれを定める。〉、第二〇条〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。〉、第二三条〈学問の自由は、これを保障する。〉の合憲性
二 右条例第一〇条は地方自治法第二条、第一四条に違反するか
裁判要旨一 昭和二六年八月広島県条例第三九号「金属屑業条例」
第一〇条〈日本国民たる要件は、法律でこれを定める。〉、
第二〇条〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。〉、
第二三条〈学問の自由は、これを保障する。〉は職業選択の自由について規定した憲法第二二条第一項に違反しない。
二 右条例
第一〇条は民法第四条第五条と牴触せず、従つて地方自治法第二条、第一四条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年4月3日 昭和28(あ)5222
- 登載
- 刑集 第11巻4号1319頁
- 参照法条
- 昭和26年8月広島県条例39号「金属屑業条例」10条,昭和26年8月広島県条例39号「金属屑業条例」20条,昭和26年8月広島県条例39号「金属屑業条例」23条,憲法22条1項,民法4条,民法5条,地方自治法2条,地方自治法14条
論点209第22条日本国憲法
一 麻薬取締法第六七条等の合憲性
二 書面審理と憲法第八二条第一項
三 包括一罪を構成する一部の行為に対する追起訴状の提出と二重起訴
四 旧麻薬取締法の一部を改正する昭和二七年法律第一五二号の施行期日の前後にまたがる常習行為の適条
裁判要旨一 麻薬取締法第六七条等は憲法第二二条第一項に違反しない。
二 一審裁判所は、被告人、弁護人の出頭した公開の公判廷で審理を行い、被告人は犯罪事実をすべて自認し、弁護人同意の下に証拠書類について適法に証拠調を終つた上、弁論を終結して判決し、控訴審もまた公開した公判廷において出頭した弁護人の控訴趣意書に基く弁論並びにこれに対する検察官の意見をきいた上結審して、控訴を理由ないものとして棄却する旨の判決を宣告した以上憲法第八二条に違反するところはない。
三 麻薬取締法違反の常習営利の一罪を構成する行為について追起訴状が提出されても、それが右一罪を構成する行為で起訴状に洩れたものを追加補充する趣旨でなされたものと認められる以上、二重起訴の違法はない。
四 旧麻薬取締法の一部を改正して、常習行為の加重処罰を規定した昭和二七年法律第一五二号の施行期日の前後にまたがる行為は、それが不可分の関係にあつて一罪と認められる場合でないかぎり、これをその前後によつて区分し、それぞれ行為時法に従つて法律上の処遇を判断すべきものと解するを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和31年12月26日 昭和29(あ)1400
- 登載
- 刑集 第10巻12号1746頁
- 参照法条
- 麻薬取締法67条,麻薬取締法66条,麻薬取締法64条,麻薬取締法12条,麻薬取締法附則第2項,16項,憲法22条1項,憲法82条1項,憲法39条,刑訴法312条,刑訴法309条2項,刑訴法338条3号,刑訴規則209条,刑訴規則205条2項,旧麻薬取締法(昭和27年法律152号による改正後のもの)57条ノ3,旧麻薬取締法(昭和27年法律152号による改正後のもの)57条ノ4,旧麻薬取締法(昭和27年法律152号による改正後のもの)附則2項
論点210第22条日本国憲法
一 商標法第三四条第一号第三号の合憲性
二 商標法第三四条第一号第三号と憲法第二二条〈何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。〉
裁判要旨一 商標法第三四条第一号、第三号の規定は憲法第二五条に違反しない。
二 商標法第三四条第一号、第三号の規定は職業選択の自由を保障した憲法第二二条と何等関係はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年8月31日 昭和28(あ)664
- 登載
- 集刑 第98号439頁
- 参照法条
- 憲法22条,憲法25条,商標法34条1号,商標法34条3号
論点211第22条日本国憲法
一 無許可の古物営業を処罰する古物営業法の規定と憲法第二二条
二 否認調書の取調の時期
裁判要旨一 古物営業を許可制度とし、無許可の営業を処罰する古物営業法の規定は、「職業選択の自由」を保障した憲法第二二条に違反しない。
二 被告人の否認調書を他の証拠より先に取り調べても刑訴三〇一条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年3月18日 昭和26(あ)4629
- 登載
- 刑集 第7巻3号577頁
- 参照法条
- 古物営業法1条,古物営業法2条1項,古物営業法4条,古物営業法6条,古物営業法26条,古物営業法27条,憲法22条,刑訴法301条
論点212第23条日本国憲法
一、学生集会と憲法二三条の関係
二、併合罪の関係にある二個の公訴事実についてされた原判決につき上告審が主文においてこれを破棄差し戻す旨を示しその理由中において右公訴事実の一部にのみ関係のある破棄理由を示すにとどまる判決を言い渡した場合における右破棄判決の効果
裁判要旨一、大学の許可した学生集会であつても、真に学問的研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動にあたる行為をする場合には、大学の有する特別の自由と自治を享有するものではない。
二、併合罪の関係にある甲乙二個の公訴事実のうち甲についてはその一部の事実を認めながら正当行為とし、乙についてはその事実が認められないとした第一審の無罪判決を維持した第二審判決全部に対し検察官が上告したが、憲法違反、法令違反のみを主張し、事実誤認の主張をしなかつた場合において、上告審が原判決および第一審判決を破棄し事件を第一審裁判所に差し戻す旨の主文の判決を言い渡したときは、その理由として検察官の憲法違反の諭旨が理由があると判示しただけであつても、右第一、二審判決はすべて破棄されたものであり、起訴された甲、乙の各行為はすべて、いまだ無罪とされたものでも、また刑事上の責任を問われたものでもない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年3月22日 昭和42(あ)47
- 登載
- 刑集 第27巻2号167頁
- 参照法条
- 憲法23条,憲法39条,刑訴法337条1号,刑訴法386条1項1号,刑訴法413条,刑訴法414条
論点213第24条日本国憲法
一 民法第七六二条第一項の憲法第二四条〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉適否。
二 所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないことの憲法第二四条適否。
裁判要旨一 民法第七六二条第一項は憲法
第二四条〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉に違反しない。
二 所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないからといつて憲法第二四条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和36年9月6日 昭和34(オ)1193
- 登載
- 民集 第15巻8号2047頁
- 参照法条
- 憲法24条,民法762条1項,所得税法1条1項,所得税法9条1項本文
論点214第24条日本国憲法
民法750条及び戸籍法74条1号と憲法24条〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉
裁判要旨民法750条及び戸籍法74条1号は,憲法
24条〈婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな…〉に違反しない。
(補足意見,意見及び反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 令和3年6月23日 令和2(ク)102
- 登載
- 集民 第266号1頁
- 参照法条
- 憲法24条,民法750条,戸籍法74条1号
論点215第25条日本国憲法
被告人を労役場に留置することにより家族が生活困難におちいる場合と憲法第二五条
裁判要旨被告人が罰金を納めることができず、ために労役場に留置せられるためその家族が生活困難におちいるとしてもその判決が憲法二五条に違反しないことは当裁判所判例の趣旨とするところである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年11月11日 昭和26(あ)3235
- 登載
- 集刑 第69号217頁
- 参照法条
- 憲法25条,刑法18条
論点216第25条日本国憲法
他世帯との同居を命じた判決と憲法第二五条
裁判要旨他世帯との同居を命じた判決は、憲法
第二五条〈すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年3月23日 昭和25(オ)55
- 登載
- 民集 第5巻4号163頁
- 参照法条
- 憲法25条,民訴法182条
論点217第26条日本国憲法
昭和三六年全国中学一せい学力調査が違憲であるとの主張を刑訴法四〇八条により処理した事例
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和54年3月23日 昭和53(あ)726
- 登載
- 集刑 第214号95頁
- 参照法条
- 憲法26条,憲法92条,憲法94条,刑訴法408条
論点218第26条日本国憲法
1 大学と当該大学の学生との間の在学契約の性質
2 大学の入学試験の合格者が納付する入学金の性質
3 大学と在学契約等を締結した者が当該在学契約等を任意に解除することの可否
4 大学の入学試験の合格者による書面によらない在学契約の解除の意思表示の効力
5 大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約等を締結して当該大学に入学金を納付した後に同契約等が解除された場合等における当該大学の入学金返還義務の有無
6 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約の性質
7 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約等の消費者契約該当性
8 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に関する消費者契約法9条1号所定の平均的な損害等の主張立証責任
9 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
10 専願等を出願資格とする大学の推薦入学試験等の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
裁判要旨1 大学と当該大学の学生との間で締結される在学契約は,大学が学生に対して,講義,実習及び実験等の教育活動を実施するという方法で,大学の目的にかなった教育役務を提供するとともに,これに必要な教育施設等を利用させる義務を負い,他方,学生が大学に対して,これらに対する対価を支払う義務を負うことを中核的な要素とするものであり,学生が部分社会を形成する組織体である大学の構成員としての学生の身分,地位を取得,保持し,大学の包括的な指導,規律に服するという要素も有し,教育法規や教育の理念によって規律されることが予定されている有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約である。
2 大学の入学試験の合格者が納付する入学金は,その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り,合格者が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有し,当該大学が合格者を学生として受け入れるための事務手続等に要する費用にも充てられることが予定されているものである。
3 大学と在学契約又はその予約を締結した者は,原則として,いつでも任意に当該在学契約又はその予約を将来に向かって解除することができる。
4 大学の入学試験に合格し当該大学との間で在学契約を締結した者が当該大学に対して入学辞退を申し出ることは,それがその者の確定的な意思に基づくものであることが表示されている以上は,口頭によるものであっても,原則として有効な在学契約の解除の意思表示であり,入学試験要項等において所定の期限までに書面で入学辞退を申し出たときは入学金以外の所定の納付金を返還する旨を定めている場合や,入学辞退をするときは書面で申し出る旨を定めている場合であっても,解除の効力は妨げられない。
5 大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約又はその予約を締結して当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有する入学金を納付した後に,同契約又はその予約が解除され,あるいは失効しても,当該大学は当該合格者に入学金を返還する義務を負わない。
6 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質を有する。
7 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約又はその予約は,消費者契約法2条3項所定の消費者契約に該当する。
8 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約に納付済みの授業料等を返還しない旨の特約がある場合,消費者契約法9条1号所定の平均的な損害及びこれを超える部分については,事実上の推定が働く余地があるとしても,基本的には当該特約の全部又は一部の無効を主張する当該合格者において主張立証責任を負う。
9 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,国立大学及び公立大学の後期日程入学試験の合格者の発表が例年3月24日ころまでに行われ,そのころまでには私立大学の正規合格者の発表もほぼ終了し,補欠合格者の発表もほとんどが3月下旬までに行われているという実情の下においては,同契約の解除の意思表示が大学の入学年度が始まる4月1日の前日である3月31日までにされた場合には,原則として,当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして,同号によりすべて無効となり,同契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には,原則として,上記授業料等が初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り,上記平均的な損害を超える部分は存しないものとして,すべて有効となる。
10 入学試験要項等の定めにより,その大学,学部を専願あるいは第1志望とすること,又は入学することを確約することができることが出願資格とされている大学の推薦入学試験等の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,上記授業料等が初年度に納付すべき範囲内のものである場合には,同契約の解除の時期が当該大学において同解除を前提として他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り,消費者契約法9条1号所定の平均的な損害を超える部分は存しないものとして,すべて有効となる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年11月27日 平成17(受)1158
- 登載
- 民集 第60巻9号3437頁
- 参照法条
- (1,2,5につき)民法第3編第2章 契約,(1につき)学校教育法52条,学校教育法69条の2第1項,教育基本法6条1項,(2,5,6,8〜10につき)学校教育法6条,(2,5につき)学校教育法施行規則4条1項7号,(3,4につき)民法540条1項,(3につき)憲法26条1項,学校教育法施行規則67条,(5につき)民法703条,(6,8〜10につき)民法420条,(7につき)消費者契約法2条,(8〜10につき)消費者契約法9条,(8につき)民訴法第2編第4章第1節 総則,(9につき)学校教育法施行規則44条,72条1項
論点219第27条日本国憲法
弁護人の出頭と必要的弁護事件の裁判言渡期日における開廷の要件
裁判要旨刑訴法二八九条はいわゆる必要的弁護事件を審理する場合には弁護人がなければ開廷することができない旨を規定する法意であつて、弁護人の出頭を当該事件についての裁判言渡期日における開廷の要件として規定するものではないからこの点に関する原審の訴訟手続には何等法令に違背するところはない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年7月16日 昭和34(あ)633
- 登載
- 集刑 第130号591頁
- 参照法条
- 刑訴法289条,憲法27条3項
論点220第27条日本国憲法
禁錮刑と憲法第二七条第一項。
裁判要旨法律により犯罪者に対し自由刑の一種として禁錮刑を定めることは憲法第二七条第一項に牴触するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和33年9月10日 昭和31(あ)38
- 登載
- 刑集 第12巻13号2897頁
- 参照法条
- 憲法27条1項,刑法13条,監獄法26条
論点221第27条日本国憲法
一 刑法第一一七条の二前段にいう「業務」の意義。
二 行政官庁の許可を受けていない夜警勤務と刑法第一一七条ノ二の「業務」としての刑事責任。
裁判要旨一 刑法第一一七条の二前段にいう「業務」は、当該火災の原因となつた火を直接取扱うことを業務の内容の全部または一部としているもののみに限らず、火災等の発見防止等の任務にあたる夜警の如きをも包含するものと解するを相当とする。
二 所論は被告人は料理人として昼間八時間勤務した上、更に夜警として勤務したものであるところ、右夜警勤務は行政官庁の許可を受けていないから、憲法
二七条二項〈すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。〉、労働基準法九三条に違反し無効である。従つて被告人の本件刑事責任は否定さるべきである旨主張する。しかしながら右行政官庁の許可の有無は夜警勤務に関する労働契約の効力如何の問題たるに止まり、夜警としての任務に服したものである以上、刑法一一七条の二の「業務」としての刑事上の責任には何ら消長を来すものとは解することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年7月25日 昭和30(あ)4124
- 登載
- 刑集 第12巻12号2746頁
- 参照法条
- 刑法117条の2,刑法117条ノ2,憲法27条2項,労働基準法93条
論点222第28条日本国憲法
銀行に対する一円振込み行動が憲法二八条の権利行使にあたらないとされた事例
裁判要旨銀行に対する本件一円振込み行動は、使用者対被使用者の関係を前提とする憲法二八条の権利行使にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年12月13日 昭和56(あ)233
- 登載
- 集刑 第232号1145頁
- 参照法条
- 憲法28条,刑法234条
論点223第28条日本国憲法
一 失業対策事業等に就労する日雇労働者と団体交渉権
二 団体交渉ないし団体行動権の正当な行使にあたらないとされた事例
裁判要旨一 失業対策事業等に就労する日雇労働者は、その使用者である事業主体に対する関係で団体交渉権を有する。
二 多数の勢威を背景に実力を行使して団体交渉を迫り、要求を受けながら県庁庁舎から退去しなかつた被告人らの本件所為(原判文参照)は、その手段・方法において社会通念の許容する団体交渉ないし団体行動権の正当な行使にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年12月19日 昭和52(あ)2090
- 登載
- 刑集 第33巻7号966頁
- 参照法条
- 憲法28条,刑法35条,刑法130条後段,労働組合法1条,労働組合法7条2号
論点224第28条日本国憲法
一、公共企業体等労働関係法一七条一項と憲法二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉
二、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と労働組合法一条二項の適用
三、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と刑事法上の処罰阻却
四、郵政職員の争議行為に参加を呼びかけた行為が郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されないとされた事例
五、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準
六、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた建造物侵入行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例
裁判要旨一 公共企業体等労働関係法一七条一項は、憲法
二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に違反しない。
二 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為には、労働組合法一条二項の適用はない。
三 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為が犯罪構成要件に該当し、違法性があり、責任がある場合であつても、それが同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであつて、同条項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けることのないようなものであるときには、争議行為の単純参加者に限り、その罰則による処罰を阻却される。
四 郵政職員が争議行為として行つた勤務時間内二時間の職場大会に参加を呼びかけた本件行為は、郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されない。
五 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が同条項違反の争議行為に際しこれに付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならない。
六 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に参加を呼びかけるため行われた本件建造物侵入行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和52年5月4日 昭和44(あ)2571
- 登載
- 刑集 第31巻3号182頁
- 参照法条
- 憲法28条,刑法第1編第7章,刑法35条,刑法130条,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条,労働組合法3条,郵便法79条1項
論点225第28条日本国憲法
一 使用者の団体交渉拒否が正当とされた事例
二 原判決自体においてその結論に影響のないことが明らかな憲法解釈を非難する上告趣意の適否
裁判要旨一 A東京支部からの団体交渉の要求に対し、東京都側が、その三日前および前日の際のように数百名の組合員らが東京都庁に押しかけ、場合によつては三日前の際のように庁内における正常な業務が阻害されるおそれがあると判断して(判文参照)、右団体交渉の求めを拒否したのは、正当である。
二 原判決自体においてその結論に影響のないことが明らかな憲法解釈を非難する主張は、適法な上告理由にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和49年2月22日 昭和44(あ)2701
- 登載
- 集刑 第191号165頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法1条2項,刑訴法405条
論点226第28条日本国憲法
一、勤労者の争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準
二、A労働組合員らの争議行為の際における信号所侵入行為が刑法上の違法性を欠くものでなくその刑事責任を問うことが憲法二八条に違反しないとされた事例
三、鉄道営業法四二条一項により鉄道係員が旅客公衆を車外または鉄道地外に退去させるにあたり必要最少限度の強制力を用いることの可否と憲法三一条
四、旧「鉄道公安職員基本規程」(昭和二四年一一月一八日総裁達四六六号)三条〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉、五条〈皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規…〉(現「鉄道公安職員基本規程(管理規程)」(昭和三九年四月一日総裁達一六〇号)二条〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉、四条〈天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。〉)に定める鉄道公安職員の鉄道施設警備等の職務と公務執行妨害罪における公務
五、A労働組合員らの争議行為の際におけるてこ扱所二階の信号所への立入り、同所に通ずる階段へのすわり込みが鉄道営業法三七条、四二条一項三号にいう公衆がみだりに鉄道地内に立ち入つた場合にあたるとされた事例
六、鉄道公安職員がてこ扱所二階の信号所に立ち入り同所に通ずる階段にすわり込んだA労働組合員らを鉄道営業法四二条一項により退去させる場合に許される強制力行使の程度
裁判要旨一 勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が争議行為に際し行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない。
二 A労働組合員らの争議行為の際における被告人ら三名の本件信号所各侵入行為(被告人甲は、信号所の勤務員三名を勧誘、説得してその職務を放棄させ、勤務時間内の職場集会に参加させる意図をもつて、駅長の禁止に反して侵入したもの、また、被告人乙および丙は、労働組合員ら多数が同信号所を占拠した際にこれに加わり、それぞれ侵入したもの。判文参照)は、いずれも刑法上違法性を欠くものではない。このように解して被告人ら三者の刑事責任を問うことは、憲法
二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に違反しない。
三 鉄道営業法四二条一項により鉄道係員が当該の旅客、公衆を車外または鉄道地外に退去させるにあたつて、旅客、公衆が自発的な退去に応じない場合、または危険が切迫する等やむをえない場合には、鉄道係員において当該具体的事情に応じて必要最少限度の強制力を用いることができる。このように解しても、憲法
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉に違反しない。 (注)判示事項および裁判要旨の四項以下はカード番号二六号の二に続く。
四 旧「鉄道公安職員基本規程」(昭和二四年一一月一八日総裁達四六六号)
三条〈天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。〉、
五条〈皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規…〉(現「鉄道公安職員基本規程(管理規程)」(昭和三九年四月一日総裁達一六〇号)
二条〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉、
四条〈天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。〉)に定める鉄道公安職員の鉄道施設警備等の職務は、公務執行妨害罪における公務にあたる。
五 A労働組合員らの本件てこ扱所二階の信号所への立入り、同所に通ずる階段へのすわり込み(判文参照)は、鉄道営業法三七条、四二条一項三号にいう公衆が鉄道地内にみだりに立ち入つた場合にあたる。
六 鉄道公安職員は、本件てこ扱所二階の信号所に立ち入り、同所に通ずる階段にすわり込んだA労働組合員らを鉄道営業法四二条一項により退去させるにあたつては、必要最少限度の強制力の行使として、自発的な退去を促したのに、これに応じないで階段の手すりにしがみつき、あるいはたがいに腕を組む等をして居すわつている者に対し、手や腕を取つてこれをほどき、身体に手をかけて引き、あるいは押し、必要な場合にはこれをかかえ上げる等して階段から引きおろし、退去の実効を収めるために必要な限度で階段下から適当な場所まで腕をとつて進行する等の行為をもなしうるものであり、このような行為が必要最少限度のものかどうかは、労働組合員らの抵抗の状況等の具体的事情を考慮して決定すべきものである。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和48年4月25日 昭和43(あ)837
- 登載
- 刑集 第27巻3号418頁
- 参照法条
- 刑法35条,刑法95条1項,刑法130条,憲法28条,憲法31条,鉄道営業法37条,鉄道営業法42条1項,日本国有鉄道法32条1項,日本国有鉄道法34条1項,旧鉄道公安職員基本規程(昭和24年11月18日総裁達466号)3条,旧鉄道公安職員基本規程(昭和24年11月18日総裁達466号)5条,鉄道公安職員基本規程(管理規程)(昭和39年4月1日総裁達160号)2条,鉄道公安職員基本規程(管理規程)(昭和39年4月1日総裁達160号)4条
論点227第28条日本国憲法
一、民間会社における従業員の在籍専従と使用者の承諾義務
二、労働組合法一七条の規定により拡張適用される労働協約の範囲
三、在籍専従に関する労働協約の規定の法的性質
裁判要旨一、民間会社において、使用者が従業員の在籍専従を認めるか否かは、その自由に委ねられているものと解するのが相当である。
二、労働組合法一七条の規定により拡張適用される労働協約の範囲は、いわゆる規範的部分にかぎられる。
三、在籍専従に関する労働協約の規定は、いわゆる規範的部分に属しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年11月8日 昭和42(オ)939
- 登載
- 集民 第110号407頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法2条,労働組合法16条,労働組合法17条
論点228第28条日本国憲法
一 公共企業体等労働関係法一七条一項の合憲性
二 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と労働組合法一条二項の適用
裁判要旨一 公共企業体等労働関係法一七条一項は、憲法
二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に違反しない。
二 公共企業体等労働関係法一七条一項に違反してなされた争議行為にも、労働組合法一条二項の適用がある。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和45年9月16日 昭和41(あ)2579
- 登載
- 刑集 第24巻10号1345頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法1条,公共企業体等労働関係法17条1項,公共企業体等労働関係法3条
論点229第28条日本国憲法
一 国鉄連絡船の乗務船員でない国鉄労働組合員が航行中の同船内において勤務当直者でない乗務船員に対してオルグ活動をしようとして乗船した場合と船長の退去命令
二 国鉄労働争議における国鉄労働組合員の信号扱所侵入行為が正当性を欠き建造物侵入罪を構成するとされた事例
裁判要旨一 国鉄連絡船の乗務船員でない国鉄労働組合員が同船に乗り込んだことが、同組合の団体行動として同船の航行中に勤務当直者でない乗務船員たる組合員らに対するオルグ活動をするためであるとしても、船長が退去を命令したときは、これに従うことを要し、これに従わないで船内に滞留することは、労働組合法一条二項にいう正当な行為とはいえず、艦船不退去罪を構成する。
二 本件国鉄労働争議における判示のような事実関係のもとでの被告人らの信号扱所侵入行為(判文参照)は、組合員多数の勢力をもつてする実力行動により信号扱所に対する国鉄当局側の管理を排除して侵入したものであつて、被告人らの信号扱所への立入りが、同所に勤務する組合員に職場大会への参加を呼びかける目的に出たもので、組合員の原判示時限ストを実行するためになされたものであるとしても、これをもつて直ちに労働組合法一条二項にいう正当な行為とはいえず、建造物侵入罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和43(あ)1462
- 登載
- 刑集 第24巻7号475頁
- 参照法条
- 刑法130条,船員法7条,公共企業体等労働関係法3条1項,公共企業体等労働関係法17条1項,労働組合法1条2項,憲法28条
論点230第28条日本国憲法
労働組合法第一条第一項の目的達成のための正当行為と認められない事例。
裁判要旨スト支援者が会社の構内において争議中の労組員ら六、七〇名と共謀し、たまたま五・三〇記念大会視察中の巡査部長を取り囲み、多衆の威力を背景にして身体または自由に対し危害を加えかねまじき気勢を示して脅迫を続け、取り上げた警察手帳を読み上げたりした上強要して詫状を書かせ、これを参集者に向つて読み上げさせた後、強いてデモ隊の中央附近に引き入れてスクラムを組み、その脱出を不可能にして同所より警察署前まで連行し、三時間余り同巡査部長を不法に監禁した所為は、労働組合法第一条第一項の目的達成のためにした正当行為というこはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和34年4月28日 昭和31(あ)1649
- 登載
- 刑集 第13巻4号466頁
- 参照法条
- 労働組合法1条,刑法223条1項,刑法220条1項,憲法28条
論点231第28条日本国憲法
憲法第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉の保障する団体行動権の行使にあたらない事例。
裁判要旨鉱山会社の人員整理に伴う企業整備反対闘争を有利に展開するため、同会社の労働組合員である被告人らが、執務中の同会社文珠坑坑長および同坑労務係長をその各自室から約七百米または約百米離れた角力場まで連行し、爾後約三時間の長きにわたり、組合員数百名と円陣を作つて取り囲み、その脱出を不能ならしめた上マイクをつき付けて執拗に人員解雇の根拠等の釈明を要求し、右坑長らを多衆の包囲と威圧下において、その自由を拘束する所為は、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉の保障する団体行動権の行使にあたるものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年7月11日 昭和31(あ)685
- 登載
- 刑集 第12巻11号2532頁
- 参照法条
- 刑法220条,憲法28条,労働組合法1条
論点232第28条日本国憲法
憲法第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉の保障する争議権の行使にあたらない事例
裁判要旨被告人らが駐留軍横浜陸上輸送部隊と争議中、同部隊バス通用門から争議に参加しなかつた同部隊勤務の日本人運転手A外五人が駐留軍軍人、軍属らを輸送するためa駅に赴くべく各一台のバスを運転し一列縦隊で順次出門しようとするや、右通用門の前にピケラインを張つていた組合員約三〇名位と共謀の上、その出門を阻止しようとして右門前において、組合員数名とともに右Aの運転するバス前面の道路上に寝転んで、その進行を停止せしめたほか、Aに対し暴行を加えるなどしてそのバス運転を不能ならしめると同時に、強いてバスを運転して出門しようとした外五名の出門をも不能ならしめて同人らの運転業務を妨害する所為は、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉の保障する争議権の行使であるとはいえない
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年6月20日 昭和31(あ)306
- 登載
- 刑集 第12巻10号2250頁
- 参照法条
- 憲法28条,刑法234条,刑法233条
論点233第28条日本国憲法
労働争議における労働者側の威力行使の手段(いわゆるピケツト、ライン)と威力業務妨害罪の成立および憲法第二八条
裁判要旨労働争議に際し、使用者側の遂行しようとする業務行為を阻止するためにとられた労働者側の威力行使の手段(いわゆるピケツト、ライン)が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には、威力業務妨害罪が成立し、したがつて、これを処罰することは、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉に違反しない
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和33年5月28日 昭和27(あ)4798
- 登載
- 刑集 第12巻8号1694頁
- 参照法条
- 刑法234条,刑法233条,憲法28条,労働組合法1条2項
論点234第28条日本国憲法
一 憲法第三八条第一項〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉の法意
二 氏名の黙秘権の有無
三 氏名黙秘の弁護人選任届の却下は憲法第三七条第三項第三八条第一項に違反するか
四 憲法第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉の保障する団体行動に該当しない一事例
裁判要旨一 憲法
第三八条第一項〈何人も、自己に不利益な供述を強要されない。〉は、何人も自己が刑事上の責任を問われる虞ある事項について供述を強要されないことを保障したものと解すべきである。
二 被告人の氏名の如きは原則として、不利益な事項ということはできず、それにつき黙秘する権利があるとはいえない。
三 被告人が氏名を黙秘し監房番号の自署、拇印等により自己を表示し、弁護人が署名押印した上提出した弁護人選任届を第一審裁判所が適法な弁護人選任届でないとして却下したため、被告人が結局その氏名を開示しなければならなくなつたとしても、その訴訟手続およびこれを認容した原判決が憲法第三八条第一項、第三七条第三項に反することにはならない。
四 労働組合員相互間において会社との交渉方針等を協議中、応援に来集した組合員以外の者が多数参加しその集団の威力を背景として業務に従事中の新聞記者又は警察職員の業務を妨げたような場合は、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉の保障する団体行動に該当するといえない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年2月20日 昭和27(あ)838
- 登載
- 刑集 第11巻2号802頁
- 参照法条
- 憲法38条1項,憲法37条3項,憲法28条,刑訴法291条,刑訴規則18条,刑訴規則196条,刑訴規則197条
論点235第28条日本国憲法
労働組合法第一条第一項の目的達成のための正当行為と認められない事例
裁判要旨鉱山会社の企業整備に伴う人員解雇の撤回要求貫徹のため、同会社の労働組合執行委員たる被告人が、執務中の同会社鉱務課長を強いて会社事務所外の組合本部前広場まで連行した上爾後約三時間四〇分の長きに亘り、組合員数百名と円陣を作つて取り囲み、その脱出を不能ならしめた上マイクを突きつけて解雇反対に協力方を執拗に迫り或は組合員大衆のデモ隊の先頭に立たせて数百米の間を強いて駈足行進させる等、もつて同課長を多衆の包囲と威圧下において、その自由を拘束し、業務を妨害したという事実関係の下においては、被告人の所為が労働組合法第一条第一項の目的を達成するためにした正当な行為であると認めることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年12月24日 昭和31(あ)686
- 登載
- 刑集 第11巻14号3349頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法1条,刑法220条,刑法234条
論点236第28条日本国憲法
団体行動権の行使と認められない一事例
裁判要旨某会社がその従業員一三名に対し解雇通知および同会社への立入禁止の通告をしたのに対し、同会社労働組合側では右解雇通知の当否を調査し、不当なものについては法定の手続によつて救済を求むべく事後の対策を協議中にもかかわらず、右解雇および立入禁止の通告を受けた二名およびこれを関知した同会社従業員でもなく同会社労働組合員でもない一〇名の者が、同組合の右解雇通知に対する闘争態勢を強化し同会社をして右措置を撤回せしめようと企図して、同組合とかかわりなく同会社本社構内にほしいままに立入つた所為は、団体行動権の行使ということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和31年10月24日 昭和28(あ)56
- 登載
- 刑集 第10巻10号1500頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法1条2項,労働関係調整法6条,労働関係調整法7条,刑法35条
論点237第28条日本国憲法
正当な争議行為とは認められない一事例
裁判要旨国鉄当局の業務命令に違反して禁止された電車を運転し、しかもその出発に当つて多数の威力を用いて信号掛を威嚇して進行信号現示のやむなきに至らしめた場合の如きは、正当な争議行為ということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年12月23日 昭和26(あ)5000
- 登載
- 刑集 第8巻13号2175頁
- 参照法条
- 労働関係調整法6条,労働関係調整法7条,労働組合法1条,公共企業体労働関係法17条,憲法28条
論点238第28条日本国憲法
一 人を逮捕し、引き続き監禁した場合の擬律
二 監禁罪が成立するために要する脅迫の程度
三 監禁の動機目的と監禁罪の成否
四 同時に同一場所に数人を監禁した行為と罪数
五 憲法ならびに労働組合法施行前の労働組合の団体交渉と刑法第三五条
六 権利を実行する行為が違法とならない要件
七 逮捕監禁の所為が単純一罪として起訴されているとき、監禁の事実のみを有罪とする場合の判示方 ―逮捕の点についても説示することを要するか―
八 いわゆる人民裁判による判決の履行のために監禁することは適法か
裁判要旨一 人を不法に逮捕し引き続き監禁した場合には、刑法第二二〇条第一項の一罪が成立する。
二 脅迫による監禁罪が成立するためには、その脅迫は被害者をして一定の場所から立ち去ることを得しめない程度のものでなければならない。
三 監禁罪は、暴行によると脅迫によるとを問わず、他人を一定の場所の外に出ることができなくした場合に成立し、目的の如何を問わない。
四 同時に同一場所において別個の人を監禁したときは、一個の行為で被害者の数に応じた数個の監禁の罪名に触れる。
五 出勤手当坑内五円、坑外三円の支給を受けることが労働組合側から見れば一種の債権であり、かつ、憲法ならびに労働組合法(昭和二〇年法律第五一号)施行前において右組合がこれを要求のため団体交渉をすること自体が正当であるとしても、その手段として為された所為が社会通念上許容される限度を超えたものであるときは、その行為は刑法第三五条の正当の行為とはいえない。
六 他人に対し権利を有するものが、その権利を実行する行為は、それが権利の範囲内であつて、かつその方法が社会通念上一般に許容されるものと認められる程度を超えない限り違法とはならない。
七 逮捕監禁の所為ありとして起訴され若しくは公判に付された場合に、裁判所が単に監禁の事実だけを認め、逮捕の事実は認められないとしたときは、逮捕の点は単純一罪の一部に過ぎないから、認められた監禁の事実だけを判決に判示し、これについて処断すれば足り、逮捕の点は判決主文において無罪を言渡すべきではなく、その理由中においても、必ずしも罪として認めない理由を判示する必要はない。
八 日本国民は、法律に定めた裁判官以外の裁判を受けることのないことは、憲法に保障されている国民の権利である。本件、労働組合員等大衆を裁判官とする人民裁判において、B、Cが敗訴の判決を受けたのに、これに服しなかつたため退去を許されず、又その判決の履行を、迫られたもので、被告人等に不法監禁罪は成立しないという所論は、法治国の精神に反し、憲法を無視する所論であつて採るを得ない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年6月17日 昭和24(れ)1622
- 登載
- 刑集 第7巻6号1289頁
- 参照法条
- 刑法220条,刑法54条1項,刑法35条,労働組合法(昭和20年法律51号)1条,憲法28条,憲法32条,旧刑訴法360条1項
論点239第28条日本国憲法
刑法第二二三条第一項にいわゆる強要罪にあたる一事例
―限界を超えた争議行為―
裁判要旨原審の認定した事実によれば、所論団体交渉の席上被告人が会社側職員に対し労働者側の要求を受諾しないならば、会社に対する辞職願を書けと申向けこれに応じなければ同人等の身体、自由等に対し如何なる危害が及ぶかもしれないと感ぜしめるような態度を示して脅迫し、よつてその場において同人等をして会社に対する辞職願を作成の上交附せしめて、同人等をして義務のないことを行わしめたというのであつて、かかる被告人の所為が旧労働組合法一条一項の目的達成のためにする正当行為と目し得ないものであることは多言を要しないところである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年11月26日 昭和28(あ)1461
- 登載
- 集刑 第88号861頁
- 参照法条
- 憲法28条,旧労働組合法(昭和24年法律174号による改正前のもの)1条,刑法223条,刑法35条
論点240第28条日本国憲法
労働争議に対する激励行為を逸脱した構内侵入と建造物侵入罪の成立
裁判要旨原判決が証拠に基き適法に確定したところによれば、被告人の本件侵入行為は団体交渉のためではなく、被告人の属するA労働組合でない他の組合である判示B化学工業株式会社D工業所の労働組合の争議に対する激励のためのデモ敢行のためであり、また、本件工場内にはいわゆる賠償工場に指定されているものも点在し前日における再三に亘るデモ隊の行進状況から見て使用者側が右賠償工場等にいかなる危険の及ぶかも測られぬことも危惧して正門を閉ざすことも巳むを得ないところであつて、使用者側が正門を閉してデモ隊の入門を拒否し得る特別の事情があつたのでこれを拒否したところ、被告人等デモ隊員の或る者は工業所人事課調査係員Cの左頬をなぐりその奥歯が折れるような暴行を加え、そのことから双方乱闘に入り斯くて被告人等は同工業所の正門(鉄さく高さ五尺位)を乗り越えて同所構内に侵入した場合には建造物侵入罪を構成する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年1月17日 昭和26(れ)1952
- 登載
- 刑集 第6巻1号93頁
- 参照法条
- 憲法28条,刑法130条,労働組合法(昭和24年法律174号による改正前)1条,労働組合法(昭和24年法律174号による改正前)10条,労働関係調整法6条
論点241第28条日本国憲法
一 正当争議行為にあたらない一事例
二 争議行為にあたらない一事例
裁判要旨一 労働争議中の工場に擅に入場する行為は、たとえ争議目的達成のためなされたしても、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉、労働組合法第一条の正当行為にあたらない。
二 労働関係の当事者たる労働組合員以外の者が、労働争議中組合の争議行為を応援するためにした行為は、争議行為にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年7月12日 昭和26(れ)782
- 登載
- 刑集 第5巻8号1432頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法1条(昭和24年法律174号による改正前のもの),労働関係調整法6条,刑法130条
論点242第28条日本国憲法
一 納税者の有志で組織したA同盟員と共同して税務署長等に対し納税者に有利な処分を為すべきことを交渉する行為と憲法第二八条
二 被告人に訴訟費用の負担を命じるその額を明示しない判決と憲法第三一条第三二条
裁判要旨一 税務署長の税務行政処分に不服な納税者等の有志をもつて組織されたA同盟の同盟員等と共同して右税務署の署長、直税課長、庶務課長等に対し、納税者に有利な処分を求むるため交渉することは、憲法
第二八条〈勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。〉により保障された団結権ないし団体交渉権にもとずくものとはいえない。
二 判決において訴訟費用は被告人等の連帯負担とする旨言い渡しただけでその訴訟費用の額を明示しないからといつてその判決は検事に対し訴訟費用に関する実質的な裁判をすることを許したものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和26年5月16日 昭和24(れ)139
- 登載
- 刑集 第5巻6号1157頁
- 参照法条
- 憲法28条,憲法31条,憲法32条,刑法95条,旧刑訴法237条,旧刑訴法245条
論点243第28条日本国憲法
前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条項の一部が公序に反し無効とされた事例
裁判要旨すべての原因による不就労を基礎として算出した前年の稼働率が八〇パーセント以下の従業員を翌年度のベースアップを含む賃金引上げの対象者から除外する旨の労働協約条項は、そのうち労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は有効であるが、右各権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎とする部分は公序に反し無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成元年12月22日 昭和59(オ)303
- 登載
- 集民 第158号805頁
- 参照法条
- 民法90条,労働基準法39条,労働基準法65条,労働基準法66条,労働基準法67条,労働基準法68条,労働基準法76条,労働組合法2章,労働組合法14条,労働組合法16条,憲法28条
論点244第28条日本国憲法
ユニオン・ショップ協定の効力
裁判要旨ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成元年12月21日 昭和62(オ)515
- 登載
- 集民 第158号659頁
- 参照法条
- 憲法28条,民法90条,労働組合法2章,労働組合法3章
論点245第28条日本国憲法
前年の稼働率によって従業員を翌年度の賃金引上げ対象者から除外する旨の労働協約条項の一部が公序に反し無効とされた事例
裁判要旨すべての原因による不就労を基礎として算出した前年の稼働率が八〇パーセント以下の従業員を翌年度のベースアップを含む賃金引上げの対象者から除外する旨の労働協約条項は、そのうち労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は有効であるが、右各権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎とする部分は公序に反し無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成元年12月14日 昭和58(オ)1542
- 登載
- 民集 第43巻12号1895頁
- 参照法条
- 民法90条,労働基準法39条,労働基準法65条,労働基準法66条,労働基準法67条,労働基準法68条,労働基準法76条,労働組合法第2章,労働組合法14条,労働組合法16条,憲法28条
論点246第28条日本国憲法
ユニオン・ショップ協定の効力
裁判要旨ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成元年12月14日 昭和60(オ)386
- 登載
- 民集 第43巻12号2051頁
- 参照法条
- 憲法28条,民法90条,労働組合法2章,労働組合法3章
論点247第28条日本国憲法
国鉄労働組合から日本国有鉄道清算事業団に対し鉄道乗車証制度の改廃に関する事項につき団体交渉を求め得る地位にあることの確認を求める訴えが適法であるとされた事例
裁判要旨国鉄労働組合から日本国有鉄道清算事業団に対し鉄道乗車証制度の改廃に関する事項につき団体交渉を求め得る地位にあることの確認を求める訴えは、両者の間で右事項が団体交渉の対象事項であるか否かが争われているときは、確認の利益を欠くものとはいえず、適法である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成3年4月23日 昭和62(オ)659
- 登載
- 集民 第162号547頁
- 参照法条
- 憲法28条,労働組合法7条2号,公共企業体等労働関係法(昭和61年法律第93号による改正前のもの)8条4号,民訴法225条
論点248第29条日本国憲法
一 刑訴法一八条一項、刑事訴訟費用等に関する法律二条三号〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉と憲法二九条一項〈財産権は、これを侵してはならない。〉、三七条三項〈すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。〉
二 訴訟費用の全部を被告人に負担させた裁判が憲法二九条一項、三七条三項に違反しないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和63年9月27日 昭和62(あ)1285
- 登載
- 集刑 第250号139頁
- 参照法条
- 憲法29条1項,憲法37条3項,刑訴法181条1項,刑訴費用法2条3号
論点249第29条日本国憲法
一 森林法一八六条本文と憲法二九条二項
二 民法二五八条による共有物の現物分割と価格賠償の方法による調整
三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産についての民法二五八条による現物分割といわゆる一括分割
四 民法二五八条による多数共有者間の現物分割といわゆる一部分割
裁判要旨一 森林法一八六条本文は、憲法
二九条二項〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反する。
二 民法二五八条により共有物の現物分割をする場合には、その一態様として、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整することも許される。
三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法二五八条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される。
四 多数の者が共有する物を民法二五八条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される。
(一につき補足意見、意見及び反対意見、二、四につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和62年4月22日 昭和59(オ)805
- 登載
- 民集 第41巻3号408頁
- 参照法条
- 憲法29条1項,憲法29条2項,民法256条1項,民法258条,森林法186条
論点250第29条日本国憲法
一 道路標識等による最高速度の指定を都道府県公安委員会に委任することと憲法三一条、七三条六号
二 訴訟費用の負担と憲法二九条、三二条
裁判要旨一 道路標識等による最高速度の指定を都道府県公安委員会に委任することは、憲法
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、
七三条六号〈内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。〉に違反しない。
二 証人尋問に要した訴訟費用の負担を有罪の言渡しを受けた被告人に命ずることは、憲法
二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉、
三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和60年12月19日 昭和59(あ)1472
- 登載
- 集刑 第241号543頁
- 参照法条
- 憲法29条,憲法31条,憲法32条,憲法73条6号,道路交通法4条,道路交通法22条,刑訴法181条
論点251第29条日本国憲法
事前に陳述・防禦の機会を与えずに保釈取消・保釈保証金没取の決定をすることと憲法三一条・二九条
裁判要旨保釈取消及び保釈保証金没取の決定をするについて事前に被告人に陳述・防禦の機会を与えなくとも、憲法
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、
二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和59年9月4日 昭和59(し)87
- 登載
- 集刑 第238号1頁
- 参照法条
- 憲法29条,憲法31条,刑訴法96条
論点252第29条日本国憲法
都市公園法附則四項及び七項に基づく損失補償と従前の使用許可による権利の喪失との関係
裁判要旨都市公園法附則四項及び七項に基づく損失補償は、従前の使用許可による権利の喪失と同時履行の関係に立つものではなく、右補償がされなくとも右権利喪失の効果は生じると解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年11月10日 昭和54(オ)211
- 登載
- 集民 第140号443頁
- 参照法条
- 憲法29条3項,民法533条,都市公園法12条2項,都市公園法12条3項,都市公園法附則4項,都市公園法附則7項,都市公園法附則8項
論点253第29条日本国憲法
所得税法二五条二項二号の規定の合憲性
裁判要旨所得税法二五条二項二号の規定は、憲法
二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉、
八四条〈あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年12月21日 昭和56(行ツ)167
- 登載
- 集民 第137号653頁
- 参照法条
- 憲法29条,憲法84条,所得税法25条2項2号
論点254第29条日本国憲法
原判決の刑の量定に対する非難を上告理由として認めるか否かは立法政策の問題であるとして処理された事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和52年9月9日 昭和52(あ)1045
- 登載
- 集刑 第205号515頁
- 参照法条
- 憲法81条,憲法29条1項,関税法118条2項,刑訴法408条
論点255第29条日本国憲法
仮装による所有権移転登記を刑法一五七条一項によつて処罰するのは憲法二九条に違反するとの主張が欠前提とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和52年9月30日 昭和52(あ)935
- 登載
- 集刑 第205号545頁
- 参照法条
- 憲法29条,刑法157条
論点256第29条日本国憲法
最高裁判所のした保釈保証金没取決定に対する異議申立権の有無
裁判要旨最高裁判所のした保釈保証金没取決定に対しては刑訴法四二八条の準用により異議の申立をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年4月4日 昭和52(す)12
- 登載
- 刑集 第31巻3号163頁
- 参照法条
- 憲法29条,憲法31条,刑訴法96条,刑訴法428条
論点257第29条日本国憲法
一 保釈保証金等を納付しまたは保証書を差し出した被告人以外の者の保証金没取決定に対する不服申立権の有無
二 あらかじめ告知・弁解等の機会を与えずになされた保証金没取決定と憲法第三一条第二九条
裁判要旨一 被告人以外の者で、保釈保証金もしくはこれに代わる有価証券を納付し、または保証書を差し出したものは、保釈保証金没取決定につき刑訴法第三五二条にいう「検察官又は被告人以外の者で決定を受けたもの」に該当し、その者も右決定に対し不服の申立(抗告)をすることができる。
二 保釈保証金没取決定は、これに対し事後に不服申立の途が認められれば、あらかじめ告知、弁解、防禦の機会が与えられていないからといつて、憲法
第三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉、
第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和43年6月12日 昭和42(し)7
- 登載
- 刑集 第22巻6号462頁
- 参照法条
- 刑訴法94条,刑訴法352条,刑訴法96条2項,刑訴法96条3項,憲法31条,憲法29条
論点258第29条日本国憲法
密輸に係る貨物の所有者を確定しないで被告人らから同貨物の価格に相当する金額を追徴した場合と破棄理由。
裁判要旨職権をもつて調査すると、原判決の是認する第一審判決は、同判示第一の犯罪に係る貨物の所有者を確定しないで、同貨物の価格に相当する金額を被告人らから追徴しているのであるが、犯罪に係る貨物等が被告人以外の第三者の所有である場合には、その物の没収につき当該第三者に告知、弁解、防禦の機会を与えるべき旨の規定がないから、没収は憲法第三一条、第二九条に違反するものであり、従つて没収に代わる追徴の言渡もまた許されないものと解すべきことは、当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第五六六号、同三七年一二月一二日大法廷判決)とするところであるから、本件において右貨物が被告人らおよび第一審相被告人ら以外の者の所有であるとすれば、被告人らに対しこれが没収に代わる追徴の言渡をすることは、許されないわけである。そうだとすれば、本件密輸に係る貨物の所有者が誰であるかを確定しないで被告人らから同貨物の価格に相当する金額を追徴した第一審判決およびこれを是認した原判決は関税法第一一八条第二項の解釈を誤つた違法があるか、又は追徴の前提要件たる貨物の所有者を確定しない審理不尽の違法がある。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和38年5月8日 昭和34(あ)1423
- 登載
- 集刑 第147号181頁
- 参照法条
- 関税法111条1項,関税法118条1項,関税法118条2項,憲法31条,憲法29条,刑訴法411条1号,刑訴法413条
論点259第29条日本国憲法
著作権法第三〇条第一項第八号は憲法第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違背するか。
裁判要旨著作権法第三〇条第一項第八号の規定は、憲法
第二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違背しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和38年12月25日 昭和34(オ)780等
- 登載
- 民集 第17巻12号1789頁
- 参照法条
- 憲法29条,著作権法22条ノ7,著作権法30条1項8号,著作権法30条2項
論点260第29条日本国憲法
一 いわゆる連合国財産返還命令による財産権の喪失につき直接憲法第二九条第三項の規程を根拠として国に対し補償を求めることの当否
二 宗教法人令第一一条の不動産処分にあたるとされた事例
三 宗教法人令による法人が宗教法人法による法人に組織変更した場合と宗教法人令当時なした同令第一一条所定の主管者の承認をえない不動産長期賃貸借契約の効力
裁判要旨一 昭和二一年勅令第二九四号「連合国財産の返還に関する件」
第二条〈皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。〉に基く大蔵大臣の命令によつて生じた財産権の喪失につき、直接憲法第二九条第三項の規程を根拠として国に対し補償を求めることはできない。
二 建物所有を目的とし、民法第六〇二条所定の存在期間をこえる土地の賃借契約は、宗教法人令第一一条にいう不動産の処分にあたる。
三 宗教法人令による法人のなした同令第一一条第一項所定の主管者の承認をえない不動産長期賃貸借契約は、その後右法人が宗教法人法による法人に組織変更され、宗教法人法上は右処分につき制限がない場合でも、そのことにより当然に有効となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月20日 昭和36(オ)186
- 登載
- 民集 第16巻8号1632頁
- 参照法条
- 連合国財産の返還等の件(昭和21年勅令294号)2条,憲法29条3項,宗教法人11条,宗教法人法23条,宗教法人法24条,宗教法人法附則5項,宗教法人法18項,民法602条
論点261第29条日本国憲法
組合員の過半数の決議による組合財産の処分と憲法第二九条
裁判要旨組合財産の処分が業務執行としてなされる場合、組合員の過半数を以て決せられるのを原則とすることは民法第六七〇条の明定するところであるから、組合契約上別段の定めがないかぎり、組合員はかかる業務執行を当然のこととして組合契約をしたものとすべく、過半数の決議によつて所有者の意思に反し財産権を奪うことを前提として憲法第二九条違反をいうのは前提を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年2月23日 昭和35(テ)28
- 登載
- 集民 第58号939頁
- 参照法条
- 民法670条,憲法29条
論点262第29条日本国憲法
一 外国とみなされていた地域から貨物の無免許輸入等の罪と右地域が外国とみなされなくなつたことによる刑の廃止の有無
二 第三者所有物の没収の違憲と旧関税法第八三条第三項による追徴の適否
裁判要旨一 北緯二九度以南、同二七度以北の南西諸島が外国とみなされていた当時、免許を受けないで、同地域から貨物を輸入しまたはその貨物を故買、牙保した罪について、その後右地域が外国とみなされなくなつた場合は、犯罪後の法令により刑が廃止されるものと解すべきである。
二 旧関税(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)
第八三条第一項〈国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。〉による第三者所有物の没収が違憲である場合には、同条第三項によるその没収に代わる追徴を言渡すこともまた許されない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和37年12月12日 昭和29(あ)566
- 登載
- 刑集 第16巻12号1672頁
- 参照法条
- 旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)76条,旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)76条の二,旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)104条,旧関税法(明治32年法律61号・昭和26年11月29日法律271号により改正されたもの)104条,旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)第76条,旧関税法(昭和25年4月30日法律117号による改正前のもの)第83条,関税法104条,関税法関税定率法12条及び噸税法第8条の規定に基き附属島しょを定める等の省令(昭和24年5月26日大蔵省令36号)1条,関税定率法及び噸税法の適用上外国とみなされる地域を定ける政令(昭和27年4月7日政令第99号),奄美群島の復帰に伴う国税関係法令の適用の暫定措置等に関する政令(昭和28年12月24日政令407号)附則8項,刑法6条,刑訴法337条2号,刑訴法411条5号,刑訴法411条1号,憲法29条,憲法31条
論点263第29条日本国憲法
一 刑法第一九条第一項の規定と憲法第二九条
二 公文書偽造、同行使罪にあたる事例
裁判要旨一 刑法第一九条第一項の規定は憲法第二九条に違反しない
二 実在しない東京都千代田区a町b番地司法局別館人権擁護委員会会計課作成名義の証明書を作成、行使した場合においても、その文書の形式外観において、一般人をして、右の如く公務所が実在し、右委員会がその職務権限内において作成した公文書であると誤信せしめるに足りるものと認められるときは、その所為は公文書偽造、同行使罪にあたる
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和36年3月30日 昭和35(あ)1358
- 登載
- 刑集 第15巻3号667頁
- 参照法条
- 刑法19条1項,刑法155条1項,刑法158条1項,憲法29条
論点264第29条日本国憲法
刑法第一一五条の法意
裁判要旨刑法第一一五条は、同条の物件が犯人の所有に属する場合であつても、若し差押を受け、物権を負担しまたは賃貸し若しくは保険に付したものを焼燬するときは、損害を他人に及ぼしまたは及ぼすおそれがあるので、そのような他人の利益の侵害となる行為を犯罪として処罰する趣旨であつて、犯人の財産権の公私を制限することを内容とした規定ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年3月27日 昭和32(あ)2511
- 登載
- 刑集 第12巻4号666頁
- 参照法条
- 刑法115条,憲法29条
論点265第29条日本国憲法
宅地の附帯買収処分の効果は宅地上の樹木にも及ぶか
裁判要旨自作農創設特別措置法第一五条の規定により宅地を附帯買収する場合において、その宅地上に生立する樹木が、買収対価の算定上宅地自体の買収対価とは別に考慮を払うことを必要とする程度の価額を有するものであるときは、右宅地の買収処分の効果は、右樹木には及ばないと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年2月13日 昭和29(オ)565
- 登載
- 民集 第12巻2号227頁
- 参照法条
- 民法86条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正法律)15条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正法律)6条2項,自作農創設特別措置法施行令11条,昭和22年5月4日農林省告示71号「宅地等の対価算定基準に関する件」,憲法29条
論点266第29条日本国憲法
一 関税法による没収および追徴の性質
二 関税法の没収および追徴の規定の趣旨
三 想像的競合の関係にある数罪の処断と、没収または追徴の附加
裁判要旨一 昭和二七年法律第一九八号による改正後の関税法第八三条による没収および追徴は、国家が同法規に違背して輸入したる貨物またはこれに代るべき価額が犯則者の手に存在することを禁止し、もつて密輸入の取締を厳に励行せんとする趣旨に出たものであつて、被告人をして不正の利益を獲得せしめざるがため、これを剥奪することを本旨とするものではない。
二 右同条の規定は、刑法第一九条および第一九条の二の規定に対する特則であつて、いわゆる必要的没収または追徴を定めたものである。
三 想像的競合の関係にある数罪が刑法第五四条第一項前段の規定により、その最も重い刑をもつて処断される場合においては、その最も重い罪について没収または追徴を附加すべき旨の規定がないときでも、その他の罪につきその旨の規定が存する限り、これを附加することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年7月19日 昭和29(あ)3590
- 登載
- 刑集 第11巻7号1996頁
- 参照法条
- 憲法29条,憲法31条,関税法(昭和27年法律198号による改正後のもの)75条,関税法(昭和27年法律198号による改正後のもの)76条ノ2,関税法(昭和27年法律198号による改正後のもの)83条,刑法19条,刑法19条ノ2,刑法10条,刑法49条,刑法54条,刑法256条2項
論点267第29条日本国憲法
一 供出完了後のいわゆる余剰米に関する食糧管理法第九条第一項、同施行令第六条の適用の合憲性
二 食糧管理法違反罪における買受米の換価金の没収
三 懲役と罰金とを併科し、更に附加刑として換価金の没収を科することの可否
裁判要旨一 生産者の供出完了後のいわゆる余剰米といえども、食糧管理法第九条第一項同施行令第六条適用の対象となり、その規定に違反した者に対し、同法第三一条第三四条を適用して処断することは憲法第二九条に違反するものではない。
二 所論換価金は、被告人が本件犯行によつて得た米の換価金であるから、ひつきよう米そのものと同視すべきものであり、したがつて刑法一九条はこれを没収し得べきものとしているのである。
三 所論懲役と罰金とを併科し得る場合、それを併せ科しても、それは何れも主刑としての刑罰であつて、その罰金が所論のように、犯人に何罪による利益を保有せしめない趣旨の下に科せられるものではない。されば第一審判決が主刑として懲役と罰金を併せ科し、更に附加刑として換価金の没収を科したからといつて同一の犯罪について重複して個人の財産権を不当に侵害するものといいえないことはいうまでもない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年2月8日 昭和29(あ)3450
- 登載
- 刑集 第11巻2号539頁
- 参照法条
- 食糧管理法9条1項,食糧管理法31条,食糧管理法34条,食糧管理法施行令6条,憲法29条,刑法19条,刑訴法122条
論点268第29条日本国憲法
一 裁判所法第一〇条第一号最高裁判所裁判事務処理規則第九条第三項によつて最高裁判所大法廷が同条第二項にあたる点のみについて審理裁判した場合の判決主文
二 土地区画整理施行規程に基き土地台帳地積によつてした換地予定地指定処分と憲法第二九条
裁判要旨一 裁判所法第一〇条第一号最高裁判所裁判事務処理規則第九条第三頃によつて最高裁判所大法廷が同条第二項にあたる論旨の一部のみについて審理し、論旨は理由がないとするときの判決主文は「本上告論旨は理由がない」とすべきである。
二 土地区画整理施行規程で従前の土地の地積は土地台帳の地積による旨を規定し右地積によつて換地予定地の指定をしても憲法第二九条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年12月25日 昭和29(オ)752
- 登載
- 民集 第11巻14号2423頁
- 参照法条
- 裁判所法10条,最高裁判所裁判事務処理規則9条,民訴法191条,都市計画法12条2項(昭和29年5月法律120号による改正前),耕地整理法30条,耕地整理法31条,都市計画法施行令17条(昭和30年3月政令47号による削除前),鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程3条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程5条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程14条,鳥取都市計画事業鳥取火災復興土地区画整理施行規程15条,憲法29条
論点269第29条日本国憲法
被告人が負担すべき訴訟費用がないのに之を被告人に負担させた場合と空文
裁判要旨論旨は原判決が憲法二九条に違反すると主張する。なるほど原審は、「当番の国選弁護人に支給した訴訟費用は被告人の負担とする」との判決をしているけれども、記録上国選弁護人に報酬等を支給した形跡は認められず、被告人に負担させるべき費用は存在しない。従つて判決中右の部分は空文に帰したと同様である。それ故、被告人が現実に訴訟費用を徴収されることを前提として違憲を主張する論旨は、その前提を失い、採用することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年7月19日 昭和28(あ)3973
- 登載
- 集刑 第107号571頁
- 参照法条
- 刑訴法181条,憲法29条
論点270第29条日本国憲法
一 憲法第三二条〈何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。〉違反の主張とならない場合
二 憲法第二九条第一項〈財産権は、これを侵してはならない。〉違反の主張とならない場合。
裁判要旨一 上告理由のうち上告棄却の判決をなすのに好都合な点のみを採り上げ他の上告理由について裁判をしていない旨の主張は、原判決の判断遺脱又は理由不備を主張するに帰し憲法第三二条違反の主張とはならない。
二 裁判所が給付請求権の存在を認めないことがその財産権の侵害となるという主張は、憲法
第二九条第一項〈財産権は、これを侵してはならない。〉違反の主張とはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和25年6月2日 昭和23(テ)3
- 登載
- 民集 第4巻6号195頁
- 参照法条
- 憲法32条,憲法29条,民訴法395条
論点271第29条日本国憲法
一 国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を予備的・追加的に併合することが許される場合
二 国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を控訴審において予備的・追加的に併合する場合の相手方の同意の要否
裁判要旨一 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を予備的、追加的に併合することが申し立てられた場合において、右予備的請求が、主位的請求と被告を同じくする上、その主張する経済的不利益の内容が同一で請求額もこれに見合うものであり、同一の行為に起因するものとして発生原因が実質的に共通するなど,相互に密接な関連性を有するものであるときは、右予備的請求の追加的併合は、請求の基礎を同一にするものとして民訴法二三二条の規定による訴えの追加的変更に準じて許される。
二 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に、憲法
二九条三項〈財産権は、これを侵してはならない。〉の規定に基づく損失補償請求を控訴審において予備的、追加的に併合するには、相手方の同意を要する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成5年7月20日 昭和63(オ)1410
- 登載
- 民集 第47巻7号4627頁
- 参照法条
- 民訴法227条,民訴法232条,憲法29条3項,国家賠償法1条1項,行政事件訴訟法第3章当事者訴訟
論点272第29条日本国憲法
1 法律行為が公序に反することを目的とするものであるかどうかを判断する基準時
2 証券取引法42条の2第1項3号が平成3年法律第96号による同法の改正前に締結された損失保証や特別の利益の提供を内容とする契約に基づく履行の請求をも禁止していることと憲法29条
裁判要旨1 法律行為が公序に反することを目的とするものであるとして無効になるかどうかは,法律行為がされた時点の公序に照らして判断すべきである。
2 証券取引法42条の2第1項3号が,平成3年法律第96号による同法の改正前に締結された損失保証や特別の利益の提供を内容とする契約に基づいてその履行を請求する場合を含め,顧客等に対する損失補てんや利益追加のための財産上の利益の提供を禁止していることは,憲法
29条〈財産権は、これを侵してはならない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年4月18日 平成11(受)1519
- 登載
- 民集 第57巻4号366頁
- 参照法条
- 民法90条,憲法29条,証券取引法42条の2第1項3号
論点273第29条日本国憲法
カルテル行為について私的独占の禁止及び不正取引の確保に関する法律違反被告事件において罰金刑を科せられるとともに不当利得返還請求訴訟を提起されている者に対し課徴金の納付を命ずることと憲法三九条、二九条、三一条
裁判要旨カルテル行為について私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被告事件において罰金刑を科せられるとともに取引の相手方である国から不当利得返還請求訴訟を提起されている者に対し同法七条の二第一項の規定に基づき課徴金の納付を命ずることは、憲法
三九条〈何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、…〉、
二九条〈財産権は、これを侵してはならない。〉、
三一条〈何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。〉に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年10月13日 平成9(行ツ)214
- 登載
- 集民 第190号1頁
- 参照法条
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7条の2第1項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律48条の2第1項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律89条,民法703条,憲法29条,憲法31条,憲法39条