民事訴訟法 / テーマ別まとめ

証拠/総則

総則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

証拠に関する総則は、証明を要しない事実の範囲、証拠の申出や証拠調べの進め方、外国や裁判所外での証拠調べ、調査の嘱託、参考人等の審尋、疎明の方法、そして過料の裁判の執行といった、証拠調べ全般に共通するルールを定めています。個別の証拠方法(証人尋問や書証など)に入る前提となる基本ルールとして押さえておく部分です。

総則
条文テーマ内容
179条証明不要な事実自白した事実と顕著な事実
180条証拠の申出事実を特定、期日前も可
181条証拠調べの要否不要な証拠は取調べ不要
182条集中証拠調べ争点整理後に集中して実施
183条当事者不出頭不出頭でも証拠調べ可
184条外国での証拠調べ管轄官庁や大使等に嘱託
185条裁判所外の証拠調べ相当なら裁判所外で実施
186条調査の嘱託官公署等に嘱託、結果提示
187条参考人等の審尋決定で完結する事件のみ
188条疎明即時に取調べ可能な証拠で
189条過料の裁判の執行検察官の命令で執行
  • 185条:受託裁判官は相当と認めればさらに他の地裁・簡裁へ証拠調べを嘱託できる
  • 185条:映像と音声の送受信による証拠調べは、当事者の意見を聴いた上で最高裁判所規則の定めによる
  • 184条:外国での証拠調べは、その国の法律に違反していても本法に違反しなければ効力を有する
  • 187条:参考人の審尋は当事者が申し出た者に限られ、相手方がある事件では双方立会い可能な期日で行う
  • 187条:参考人の審尋は当事者双方に異議がなければ音声のみの通話でも行える(当事者本人の審尋も同様)
  • 189条:過料の裁判の執行後に即時抗告で原裁判が取り消され再度過料の裁判がされたときは、その金額の限度で執行があったものとみなし、超過額は還付する
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総則

総則について、条文は何を定めているか。

第179条証明することを要しない事実自白した事実と顕著な事実は証明不要1項判例なし
  • 裁判所で当事者が認めた事実は証明しなくてよい
  • 誰でも知っている顕著な事実も証明不要
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第180条証拠の申出証拠の申出は証明事項を特定して行う2項判例なし
  • 何を証明するための証拠か特定して申し出る
  • 期日前でも証拠の申出ができる
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第181条証拠調べを要しない場合不要な証拠は取り調べなくてよい2項判例 1件
  • 裁判所が不要と判断した証拠は取調べ不要
  • 取調べに期間未定の支障があれば見送り可
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第182条集中証拠調べ尋問は争点整理後に集中して行う1項判例 4件
  • 証人・当事者本人の尋問はできる限り集中実施
  • 争点及び証拠の整理が終わった後に行う
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第183条当事者の不出頭の場合の取扱い当事者が欠席でも証拠調べは可能1項判例 2件
  • 期日に当事者が出頭しなくても証拠調べできる
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第184条外国における証拠調べ外国での証拠調べは嘱託により行う2項判例なし
  • その国の管轄官庁か駐在の大使・公使・領事に嘱託
  • その国の法律違反でも本法に反しなければ有効
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第185条裁判所外における証拠調べ裁判所外でも相当なら証拠調べ可3項判例 48件
  • 合議体の一員への命令や地裁・簡裁への嘱託で実施可
  • 受託裁判官はさらに他庁へ嘱託できる
  • 当事者の意見を聴き映像音声通話でも実施可
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第186条調査の嘱託官公署等への調査嘱託ができる2項判例 47件
  • 官庁・学校・商工会議所等に調査を嘱託可
  • 嘱託結果は当事者に提示しなければならない
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第187条参考人等の審尋決定で終わる事件は参考人等を審尋4項判例 19件
  • 参考人の審尋は当事者が申し出た者に限る
  • 相手方がいる事件は双方立会い可能な期日で実施
  • 異議がなければ音声のみの通話でも審尋可
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第188条疎明疎明は即時に取り調べられる証拠で1項判例 5件
  • その場ですぐ取り調べられる証拠のみ使える
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第189条過料の裁判の執行過料の裁判は検察官の命令で執行4項判例 3件
  • 執行命令は執行力ある債務名義と同じ効力
  • 民事執行法等に従うが送達前でも執行できる
  • 即時抗告で取消・再度過料の場合は金額調整
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第181条民事訴訟法

痴漢の虚偽申告を理由とするXのYに対する損害賠償請求訴訟において,目撃者が見付からない場合に,これに準ずる立場にある者の証人尋問を実施せず,Yの供述の信用性を肯定して,Xが痴漢行為をしたと認めた原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨電車内でXから痴漢行為を受けた旨のYの警察官に対する申告が虚偽であることを理由としてXがYに損害賠償を求める訴訟において,目撃者が見付からない場合に,(1)痴漢行為があったとYが主張する時点の前後にかけてYと電話をしていたAが電話を通して聞いたXとYの発言についてのAの検察官に対する供述内容が,Yの供述と整合しない一方で,Xの供述と合致すること,(2)Aは目撃証人に準ずる立場にある唯一の人物ということができることなど判示の事情の下においては,Aの証人尋問を実施することなく,Yの供述の信用性を肯定し,Xの供述の信用性を否定して,Xが痴漢行為をしたと認めた原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成20年11月7日 平成19(受)1878
登載
集民 第229号151頁
参照法条
民法709条,民訴法181条,民訴法247条
論点2第182条民事訴訟法

控訴審において請求が減縮された場合と判決主文

裁判要旨第一審において原告の請求が全部認容されたが、その控訴審において請求が減縮された場合において、原告の請求を相当とし、被告の控訴を理由がないと判断するときは、実質的に債務名義として有効に存続する部分を明確にするため、控訴判決の主文において、控訴を棄却したうえ、第一審判決を訂正し、減縮後の原告の請求自体につき認容する判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年12月4日 昭和45(オ)625
登載
集民 第101号639頁
参照法条
民訴法182条,民訴法186条,民訴法237条,民訴法384条
論点3第182条民事訴訟法

当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の許否

裁判要旨口頭弁論期日において当事者双方が不出頭であつても、口頭弁論を終結することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年11月22日 昭和40(オ)361
登載
民集 第20巻9号1914頁
参照法条
民訴法182条,民訴法238条
論点4第182条民事訴訟法

裁判所は当事者双方不出頭の場合に弁論を終結し呼出をせずに判決言渡をすることができるか

裁判要旨裁判所は、訴訟が裁判をするに熟するときは、当事者双方不出頭の場合でも弁論を終結し、判決言渡期日を指定することができ、この場合には更めて呼出をせずに、該指定期日に判決を言渡しても違法ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年11月22日 昭和40(オ)319
登載
集民 第85号215頁
参照法条
民訴法182条,民訴法238条
論点5第182条民事訴訟法

他世帯との同居を命じた判決と憲法第二五条

裁判要旨他世帯との同居を命じた判決は、憲法第二五条に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和26年3月23日 昭和25(オ)55
登載
民集 第5巻4号163頁
参照法条
憲法25条,民訴法182条
論点6第183条民事訴訟法

一、民訴法第七一条の参加のある訴訟と本案判決
二、右訴訟の本案につき一部判決がされた違法と職権調査事項

裁判要旨一、民訴法第七一条の参加に基づく、参加人、原告、被告間の訴訟について本案判決をするときは、右三当事者を判決の名宛人とする一個の終局判決のみが許され、右当事者の一部に関する判決をすることも、また、残余のものに関する追加判決をすることも、許されない。
二、右に違背してされた一部判決の違法は職権調査事項にあたる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年4月12日 昭和41(オ)288
登載
民集 第22巻4号877頁
参照法条
民訴法71条,民訴法62条,民訴法183条,民訴法195条,民訴法405条
論点7第183条民事訴訟法

請求の予備的併合において主たる請求を排斥する一部判決が許されないとされた事例。

裁判要旨借主の代理人との間になされた消費賃借契約による貸金返還請求を主たる請求とし、代理人に代理権がない場合には、本人が代理人を通じ、右貸金を法律上の原因なくして受領したことによる不当利得金返還請求を予備的請求として併合した訴訟において、主たる請求を排斥する裁判をするときは同時に予備的請求についても裁判をすることを要する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年3月8日 昭和35(オ)197
登載
民集 第17巻2号304頁
参照法条
民訴法183条,民訴法227条
論点8第185条民事訴訟法

交差点における衝突事故につき加害自動車と被害歩行者がともに青信号で交差点に入つたとの認定に経験則違反又は理由不備、理由齟齬の違法があるとされた事例

裁判要旨交差点において西進中の自動車と北上横断中の歩行者との衝突事故につき、被害者が青信号に従つて横断を開始したものと仮定して、加害車の走行状況を原審の説示する時速、反応時間、制動時間、制動距離等に則り衝突地点から逆算すると、加害車はその対面信号が青から黄に変わつた時には交差点より手前にいたことになるなど判示のような事情があるときは、加害車と被害者がともに青信号で交差点に入つたとの原審の認定には、経験則違反又は理由不備、理由齟齬の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年4月26日 昭和56(オ)880
登載
集民 第144号551頁
参照法条
民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条6号
論点9第185条民事訴訟法

地代の増額請求に基づく相当賃料額の判断に証拠に基づかないで認定したか又は理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨地代の増額請求に基づく相当賃料額を判断するにあたり、どのような算定方法を採るかの説示もなく、借地法一二条一項所定の諸事情等につき具体的な事実の確定もせず、しかも判示の相当賃料額に直接符合するような証拠又は根拠が見当たらず、かえつて判示の相当賃料額に反し、あるいはこれにそわない趣旨の証拠が存在し、また、挙示の証拠のどの部分を採用し、どの部分を排斥して右の相当賃料額を算定するに至つたかを了知することができない場合には、証拠に基づかないで認定したか又は理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和60年1月24日 昭和57(オ)1202
登載
集民 第144号65頁
参照法条
借地法12条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点10第185条民事訴訟法

事実認定が証拠に基づかないものとして違法とされた事例

裁判要旨新生児が核黄疸による脳性麻痺に罹患したことにつき、担当医師が新生児に投与したリンコシンがビリルビン転送機能障害の副作用を有するネオマイシン系抗生物質に属し、右投与が黄疸を増強させたとの事実を認定して、医師の過失を肯定している場合において、リンコシンがネオマイシン系抗生物質に属することの証拠がない等判示の事実関係があるときは、右事実の認定は証拠に基づかない違法なものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和60年12月13日 昭和59(オ)43
登載
集民 第146号251頁
参照法条
民訴法185条,民訴法257条
論点11第185条民事訴訟法

書証を排斥した判断に審理不尽、採証法則違背、理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和59年3月13日 昭和55(オ)474
登載
集民 第141号295頁
参照法条
民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号
論点12第185条民事訴訟法

鑑定の結果が受訴裁判所の心証形成の資料に供されたのちに鑑定の申出を撤回することの許否

裁判要旨鑑定の結果が受訴裁判所の心証形成の資料に供されたのちは、鑑定の申出を撤回することは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年5月26日 昭和56(オ)466
登載
集民 第139号1頁
参照法条
民訴法185条,民訴法258条,民訴法301条
論点13第185条民事訴訟法

民法一八六条一項の所有の意思の推定が覆される場合

裁判要旨民法一八六条一項の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかつたものと解される事情が証明されるときは、覆される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月24日 昭和57(オ)548
登載
民集 第37巻2号131頁
参照法条
民法162条,民法186条1項,民訴法185条
論点14第185条民事訴訟法

一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時の意義
二 遺留分権利者が減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張しているときと減殺すべき贈与があつたことを知つたと推認される場合

裁判要旨一 民法一〇四二条にいう減殺すべき贈与があつたことを知つた時とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時をいう。
二 遺留分権利者が、減殺すべき贈与の無効を訴訟上主張していても、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを認識していたときは、その無効を信じていたため遺留分減殺請求権を行使しなかつたことにもつともと認められる特段の事情のない限り、右贈与が減殺することができるものであることを知つていたと推認するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和57年11月12日 昭和54(オ)907
登載
民集 第36巻11号2193頁
参照法条
民法1042条,民訴法185条
論点15第185条民事訴訟法

判決の理由に心証形成の過程を判示することの要否

裁判要旨判決の理由には、事実認定の資料として採用した証拠の標目を摘示し、これに反する証拠を措信し難いとして排斥する旨を説示すれば足り、心証形成の過程を判示する必要はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和56年11月13日 昭和56(オ)715
登載
集民 第134号227頁
参照法条
民訴法185条,民訴法191条1項
論点16第185条民事訴訟法

旧手形交換所交換規則所定の不渡届に対する消印手続の委任の成立を否定した判断に経験則違背があるとされた事例

裁判要旨手形の買戻しをした者が不渡届消印手続を依頼するために、当該銀行に備えつけられた所定の用紙に所要事項を記載して担当の係員に提出したときは、右係員においてその受領を拒絶したとか、右依頼に基づき委任契約が成立するためには銀行側の特別の意思表示を必要とすることが明確にされているとか、の特段の事情がない限り、銀行側において依頼を承諾したものとして、不渡手形消印手続に関する委任契約が成立したものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和54年5月29日 昭和51(オ)1309
登載
集民 第127号31頁
参照法条
民訴法185条,旧東京手形交換所交換規則21条
論点17第185条民事訴訟法

借地法上の建物の取引価格が零であると認めて借地法一〇条の買取請求権を否定した認定判断が違法とされた事例

裁判要旨借地法一〇条の建物買取請求権の成否を判断するにあたり、鑑定書に、借地権がない場合の建物の相当売買価額は零である旨の記載部分があつても、その理由としては、建物を解体撤去するのが妥当で、古材は解体費用に満たないとの記載があるにとどまり、かえつて、借地権があるとした場合の相当売買価額は七〇二万八〇〇〇円であり、借地権の価格は二九二一万一〇〇〇円である旨の記載があるなど判示の事情があるときは、右鑑定書を唯一の証拠として、特段の理由を説示することなく、建物を取引上無価値であると認め、建物買取請求権を否定するのは、借地法一〇条の解釈を誤つた結果、採証法則に違背し、ひいて理由不備、理由齟齬の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年7月17日 昭和53(オ)55
登載
集民 第124号399頁
参照法条
借地法10条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点18第185条民事訴訟法

頭部に受けた打撲創の結果外傷性てんかんないし頭部外傷後遺症が生じたとは認められないとした認定につき経験則違背の違法があるとされた事例

裁判要旨頭部打撲創の受傷を契機として被害者に生じた症状につき、D病院、E病院、F病院の各専門医師が脳波検査、気脳写検査などを含む神経医学上の諸検査を経たうえ、頭部外傷後遺症ないし外傷性てんかんの診断を下しているなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情のない限り、被害者に右受傷の結果頭部外傷後遺症ないし外傷性てんかんが生じたことを否定するのは、経験則に反する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月9日 昭和52(オ)608
登載
集民 第123号7頁
参照法条
民法709条,民訴法185条,民訴法394条
論点19第185条民事訴訟法

整地請負契約における契約の一部解除の認定が相当でないとされた事例

裁判要旨対価として土地一〇〇〇坪の譲渡を受けるという約定のもとに、自動車学校の用地の整地、練習用コース周囲の明渠の設置及び排水の諸工事を請け負つた者が期日までに約一〇分の二程度の工事しかせず、全工事完成の見込みがたたなくなつたので、注文者が残工事部分の打切りを申し入れるとともに、既に請負人に譲渡ずみの土地五〇〇坪全部の返還を要求しているなど判示の事情のもとにおいては、他に特別の事情がない以上、注文者は契約全部を解除する旨の意思表示をしたものと解するのが相当であり、残工事部分のみについての契約解除の意思表示をしたものと断定するのは相当でない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年12月23日 昭和52(オ)583
登載
集民 第122号597頁
参照法条
民法541条,民法632条,民訴法185条
論点20第185条民事訴訟法

手形に保証の趣旨で裏書をした場合に原因債務についての民事保証を推認することの可否

裁判要旨金銭を借用するにあたり、借主甲が、借受金の弁済確保のため甲の振り出す約束手形になんぴとか確実な保証人の裏書をもらつてくるよう貸主乙から要求されたため、丙に依頼して右手形に丙の裏書を受けたうえ、これを乙に手交して金銭の貸渡しを受けたという事実関係があるだけでは、右手形が金融を得るために用いられることを丙において認識していた場合であつても、丙が手形振出の原因となつた甲乙間の消費貸借上の債務を保証したものと推認することはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年11月15日 昭和51(オ)1187
登載
民集 第31巻6号900頁
参照法条
民訴法185条,民法446条,手形法15条,手形法77条
論点21第185条民事訴訟法

医師が化膿性髄膜炎の治療としてしたルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)の施術とその後の発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定したのが経験則に反するとされた事例

裁判要旨重篤な化膿性髄膜炎に罹患した三才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻癖、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後一五分ないし二〇分を経て突然に生じたものであつて、右施術に際しては、もともと血管が脆弱で出血性傾向があり、かつ、泣き叫ぶ右幼児の身体を押えつけ、何度か穿刺をやりなおして右施術終了まで約三〇分を要し、また、脳の異常部位が左部にあつたと判断され、当時化膿性髄膜炎の再燃するような事情も認められなかつたなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情がないかぎり、右ルンバ一ルと右発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定するのは、経験則に反する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月24日 昭和48(オ)517
登載
民集 第29巻9号1417頁
参照法条
民法709条,国家賠償法1条1項,民訴法185条,民訴法394条
論点22第185条民事訴訟法

一、国際海上物品運送法12条一項所定の通知書と損傷の概況の記載
二、船荷証券上の「運送品を外観上良好な状態で船積した」旨の記載の意義
三、船荷証券上に「運送品を外観上良好な状態で船積した」旨の記載がある場合と運送品の損傷時期の推定

裁判要旨一、運送品の損傷があつた場合に発せられる国際海上物品運送法一二条一項所定の通知書には、荷受人または船荷証券所持人が運送品の点検をした結果知りえたその損傷の種類および程度の概略が、損傷の概況として、記載されなければならない。
二、船荷証券上の「運送品を外観上良好な状態で船積した」旨の記載は、運送品が包装ないし荷造されていて運送品自体を外部から見ることができない場合においては、右包装ないし荷造りが外観上異常がなく、かつ、運送品を目的地に運送するに十分な状態であること、および運送品そのものが相当な注意をもつてしても外部からはなんらの異常も感知できない状態であることを運送人が認めたものではあるが、運送人において相当な注意をしても外部から感知できない運送品そのものの状態に異常がないことまでも認めたものではないと解すべきである。
三、「運送品を外観上良好な状態で船積した」旨の記載のある船荷証券の所持人において荷揚当時外部から運送品そのものにつき損傷等の異常を認めうる状態にあつたときは、特段の事情がないかぎり、運送品そのものの損傷等の異常は、運送人の運送品取扱中に生じたものと事実上推定される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月19日 昭和44(オ)543
登載
民集 第27巻3号527頁
参照法条
国際海上物品運送法7条1項3号,国際海上物品運送法12条1項,商法769条,民訴法185条
論点23第185条民事訴訟法

請負代金債権の消滅時効の起算日の認定判断に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨原判示の事実関係のもとにおいて、賃貸マーケット等の用に供する建物の建築工事請負契約に基づく残代金債権の弁済期はその建物にマーケットの賃借人が充員した時に到来し、右残代金債権の消滅時効はその時から進行を開始したとする原審の認定判断には、審理不尽・理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年4月20日 昭和46(オ)814
登載
集民 第105号613頁
参照法条
民法166条1項,民法170条2号,民法633条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点24第185条民事訴訟法

自動車の割賦販売契約が合意解除された場合に買主に損害の賠償を命じた判断に審理不尽理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨昭和三六年八月二二日締結された自動車の割賦販売契約が、割賦代金の支払の遅滞があつて合意解除された場合に、何らの証拠も特段の事情も示すことなく、一般に、右契約には、売主が自動車の返還を受けて他に売却処分しその売却代金を残存の代金債務の弁済に充て売買契約関係を清算決済する旨の特約が付されるのが通常であり、本件の契約にも右と同趣旨の特約が付されていたと認めるのが相当であると判示したのみで、右特約を前提として、買主に判示の損害の賠償を命じたのは、審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年3月3日 昭和44(オ)521
登載
集民 第98号341頁
参照法条
民法92条,民訴法185条
論点25第185条民事訴訟法

一、一筆の土地の一部の明渡を命ずる判決における主文不明確の事例
二、共同訴訟人間における証拠共通の原則
三、不動産の二重譲渡において双方の買主がそれぞれ売主に対して処分禁止の仮処分を執行した後第一次仮処分債権者が本案の勝訴判決に基づいて所有権移転登記を経由した場合と第二次仮処分債権者に対する所有権の対抗

裁判要旨一、一筆の土地の一部の明渡を命ずる判決において、土地の表示として土地の所在地番のほか「一、山林三反四畝歩のうち東部の宅地一三九坪」との記載があるにとどまり、記録中にも明渡を命ずる土地の範囲がいかなる部分かを特定する手掛りが存在しないときは、右土地の範囲を明確にしたものとはいえず、主文不明確の違法がある。
二、共同訴訟人の一人が提出した証拠は、その相手方に対するばかりでなく、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠として認定資料に供することができる。
三、不動産が二重に譲渡された後、双方の買主がそれぞれ売主を債務者とする処分禁止の仮処分を執行した場合において、第一次仮処分債権者たる買主が本案たる所有権移転登記請求訴訟に勝訴し、その確定判決に基づき売主から所有権移転登記を経由したときは、右買主は、第二次仮処分債権者たる買主に対し自己の所有権取得を対抗することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年1月23日 昭和43(オ)282
登載
集民 第98号43頁
参照法条
民訴法62条,民訴法185条,民訴法191条,民訴法755条,民訴法758条,民法177条
論点26第185条民事訴訟法

書証の成立の認定に審理不尽の違法があるとされた事例

裁判要旨契約の成立を主張する当事者がこれに関する重要な書証である相手方作成名義の文書を二審の最終口頭弁論期日にはじめて提出した場合において、判示のように、他の証拠との対比などからもその真否を疑うべき事情があるにかかわらず、裁判所が、成立を争う相手方に反証提出の機会を十分に与えることなく即日口頭弁論を終結し、その文書における自己の名下の印影のみを肯定し署名を否認する趣旨の相手方本人の供述を唯一の資料として右文書の成立の真正を認定し、これを右契約成立の認定の用に供したときは、二審判決には、右書証の成立に関し審理を尽くさなかつた違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月30日 昭和45(オ)282
登載
集民 第101号313頁
参照法条
民訴法185条,民訴法325条,民訴法394条
論点27第185条民事訴訟法

銀行による新規貸付契約が成立した旨の事実認定に経験則違背・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨原判示の事実関係のもとにおいて、銀行が、従来何らの取引関係もなかつた相手方に対し、金額四二万〇、六四〇円の不渡手形を返還するとともに、新規に金四二万円を貸し付ける旨の契約をしたと認定することは経験則に違背し、その判断には理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年5月2日 昭和42(オ)766
登載
集民 第95号275頁
参照法条
民法587条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点28第185条民事訴訟法

手形取得の経路についての事実認定に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨手形が甲(振出人)―乙―丙(所持人)の経路で丙によつて取得されたものでなく、甲−乙−丁の経路で丁が取得したが、丁は訴訟信託の目的で丙に譲渡したものであるから、丙に対しては支払義務がない旨の訴訟信託の抗弁を審理するに際し、丁は乙の債権者として右手形を取得する事情があるのに対し、丙にはそのような事情がなく、また丁と丙とは親戚関係にあつて判示のような密接な生活関係を有するほか、丙が手形を入手するについては振出人甲の信用状態等を調査したこともない等判示のような事実関係を確定し、他方該手形を譲り受けるに際し乙に交付したと丙の供述する割引金額は手形の額面金額をこえていることが証拠上窺われるのにかかわらず、特段の事情を示すことなく、右手形は甲―乙―丙の経路で丙が裏書譲渡を受けたものと認定することは、審理不尽・理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年9月19日 昭和42(オ)479
登載
集民 第92号305頁
参照法条
手形法17条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点29第185条民事訴訟法

宅地建物取引業者の受ける報酬額についの慣習の認定に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨宅地建物取引業者が売買の媒介を行なう場合に受ける報酬について、愛知県宅地建物取引業者の報酬額に関する規則(昭和二七年愛知県規則第五九号)の定める最高額により授受される慣習が存在するとするためには、これを相当として首肯するに足りる合理的根拠を必要とし、原判決挙示の証拠のみによつてたやすくこれを認定したのは、審理不尽・理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年8月20日 昭和40(オ)228
登載
民集 第22巻8号1677頁
参照法条
民法92条,民訴法185条,宅地建物取引業法(昭和39年法律第286号による改正前のもの)17条1項,愛知県宅地建物取引業者の報酬額に関する規則(昭和27年愛知県規則第59号)2条
論点30第185条民事訴訟法

一、運送保険の被保険者である荷送人が保険金の支払を受ける前に運送人に対する損害賠償請求権を放棄した場合と右運送保険の保険者の保険金支払義務
二、荷送人が運送人に対する損害賠償請求権を放棄した旨の判断に経験則違背・理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨一、運送保険の被保険者である荷送人が、保険金の支払を受ける前に、商法第六六二条所定の保険者代位の対象となるべき運送人に対する損害賠償請求権を放棄した場合には、右運送保険の保険者は、右放棄にかかる損害賠償請求権の金額の限度において、保険金の支払義務を免れるものと解すべきである。
二、荷送人が、運送契約の締結の際に、運送人に対し、運送品の運送中の事故に関する運送保険契約を締結するよう申し出るとともに、右事故による損害は右保険契約に基づいて支払われる保険金のみをもつて填補することを約したと認められる場合でも、特段の事情のないかぎり、右事実関係だけから、荷送人が運送人に対し右事故による一切の損害の賠償請求権を放棄する旨の意思表示をしたものと解することは経験則に違背し、右判断には理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年7月11日 昭和41(オ)1385
登載
民集 第22巻7号1489頁
参照法条
商法629条,商法662条,民法519条,民訴法185条,民訴法395条1項6号
論点31第185条民事訴訟法

地積の確定は検証の結果によらねばならないか。

裁判要旨地積の確定に争いあるときは検証の結果によって判定しなければならないという経験則はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年6月18日 昭和38(オ)870
登載
集民 第74号115頁
参照法条
民訴法185条,民訴法259条
論点32第185条民事訴訟法

黙示の保証契約が成立したとの認定が経験則に反しないとされた事例。

裁判要旨妻が夫に内緒で借金し、支払に窮して夫に打ち明けたが、債務が高額なため処理できず、その後同人ら方で債権者らが出席してその対策が講ぜられ、その際右夫が当初各債権者に挨拶したのみで、その後は全く沈黙しており、同人の伯父が各債権者に対し同人(夫)が払えるようになつたら支払うようにすると述べたときにも、とくに発言しないでただ頭を下げるのみであつた等、原判決引用の一審判決判示の事情があるときは、右夫は各債権者に対して妻の債務につき保証する旨の意思表示をしたものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年5月1日 昭和38(オ)978
登載
集民 第73号443頁
参照法条
民法464条,民訴法185条
論点33第185条民事訴訟法

私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によつて顕出された場合と文書の真正の推定。

裁判要旨私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によつて顕出されたものであるときは、反証のないかぎり、該印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定するのを相当とするから、民訴法第三二六条により、該文書が真正に成立したものと推定すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月12日 昭和39(オ)71
登載
民集 第18巻4号597頁
参照法条
民訴法326条,民訴法185条
論点34第185条民事訴訟法

継続的取引関係の終期における残代金の支払請求において、取引の開始日について争いがあるのに当事者間に争いがないと判示された場合は破棄事由となるか。

裁判要旨継続的取引関係の終期における残代金の支払請求においては取引の始期および終期の確定は、右取引関係を特定させる方法にすぎないから、取引の始期について争いがあるのに争いがないものと判示する違法であつても、ただちに判決に影響を及ぼす法令違反があるとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月27日 昭和38(オ)104
登載
集民 第72号329頁
参照法条
民訴法185条,民訴法257条,民訴法394条
論点35第185条民事訴訟法

自白が錯誤にもとづきなされたとの事実認定が経験則に違反するとされた事例。

裁判要旨原告主張の甲売買を被告が乙売買と混同、錯誤して自白したものと認定した場合において、甲乙間には成立日時において九ケ月、目的土地の面積において二倍、代金において一一倍の開きがあるのみならず買受人も異る事情にあるときには、右錯誤の認定は経験則に照らし肯認しえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年10月20日 昭和38(オ)1208
登載
集民 第75号917頁
参照法条
民訴法257条,民訴法185条
論点36第185条民事訴訟法

事実認定に経験則違反があるとされた事例。

裁判要旨判示の事情のもとで無権代理につき相手方が悪意であつたとの事実を認定するのは経験則に違反する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年2月8日 昭和35(オ)1479
登載
集民 第64号393頁
参照法条
民訴法185条,民訴法374条
論点37第185条民事訴訟法

鑑定価格を修正して建物価格を算定した事例

裁判要旨建物価格についての鑑定価格を採用するに当り、地主に対する書換料等を顧慮してその額を修正することは差し支えない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年4月6日 昭和36(オ)228
登載
集民 第60号21頁
参照法条
民訴法301条,民訴法185条
論点38第185条民事訴訟法

用紙の差替自由な帳簿の証拠力

裁判要旨用紙の差替自由な帳簿を証拠として採用したからといつて違法でない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月27日 昭和34(オ)1163
登載
集民 第58号997頁
参照法条
民訴法185条,民訴法311条
論点39第185条民事訴訟法

一 前審関与にあたらない場合
二 遡及買収基準日当時における住所の所在の認定につき爾後の事実をしんしやくすることの許否
三 遡及買収基準日当時在村地主であつたと認められた事例

裁判要旨一 裁判官が、前審において口頭弁論に列席し、当事者の陳述・証拠の申出・証人の供述を聴き、証拠決定をし、その他訴訟指揮に関する決定に関与したというだけでは、民事訴訟法第三五条第六号〈特別代理人〉にいう裁判官が前審の裁判に関与した場合に当らない。
二 遡及買収基準日当時における住所の所在の認定につき爾後の事実をしんしやくすることは違法ではない。
三 原審認定の事実関係(原判決参照)の下では、被買収者は、遡及買収基準日当時在村地主であつたと認むべきものである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年2月28日 昭和30(オ)518
登載
民集 第12巻2号363頁
参照法条
民訴法35条6号,民訴法185条,自作農創設特別措置法3条
論点40第185条民事訴訟法

解約申入における正当性の存否の時期についての判断が違法とされた事例

裁判要旨解約申入当時存在しなかつた事実を斟酌して、解約申入の正当性を否定した判決は、違法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年7月25日 昭和26(オ)288
登載
民集 第11巻7号1359頁
参照法条
借家法1条ノ2,民訴法185条
論点41第185条民事訴訟法

認知の訴において父子関係の存在が証明されたと認むべき一事例

裁判要旨認知の訴において、(イ)甲(原告)の母は、受胎可能の期間中乙(被告)と継続的に情交を結んだ事実があり、(ロ)乙以外の男と情交関係のあつた事情が認められず、(ハ)血液型検査の結果によつても、甲乙間には血液型の上の背馳がないときは、他に別段の事情のないかぎり、甲が乙の子であるとの事実は証明せられたものと認めても、経験則に違反しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年6月21日 昭和29(オ)928
登載
民集 第11巻6号1125頁
参照法条
民法787条,民訴法185条,人事訴訟手続法29条ノ2
論点42第185条民事訴訟法

認知の訴において父子関係の存在が証明されたと認むべき一事例

裁判要旨認知の訴において、(イ)甲(原告)の母は、受胎可能の期間中乙(被告)と継続的に情交を結んだ事実があり(ロ)右期間中甲の母が乙以外の男と情交関係のあつた事情は認められず(ハ)乙は甲出生の頃甲の母を妻に迎えたい旨申入れた事実があり(ニ)血液型からすれば乙が甲の父であり得べきときは、他に別段の事情のないかぎり、乙は甲の父であると推認すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和32年12月3日 昭和29(オ)91
登載
民集 第11巻13号2009頁
参照法条
民法787条,民訴法185条,人事訴訟手続法29条ノ2
論点43第185条民事訴訟法

認知の訴において父子関係の存在が証明されたと認むべき一事例

裁判要旨認知の訴において(イ)甲(原告)の母は、受胎可能の日、乙(被告)と情交を通じた事実、(ロ)各種血液型の検査、血液中の凝血素価と凝集素の分析の結果によれば、甲乙間に父子関係があつても矛盾することのない事実、並びに(ハ)乙は、甲の出生当時、甲を抱擁する等父親としての愛情を示したことがある事実、その他判文記載の事実関係(判決理由参照)が認められる以上、他に別段の事情のないかぎり、甲が乙の子であるとの事実は証明せられたものというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和31年9月13日 昭和29(オ)856
登載
民集 第10巻9号1135頁
参照法条
民法787条,民訴法185条,人事訴訟法29条ノ2
論点44第185条民事訴訟法

一 釈明権不行使の違法のない事例
二 訴訟手続外の資料を使用した鑑定とその採用の当否
三 当事者の境界の合意と固有の境界の変動の有無

裁判要旨一 山林の不法伐採禁止を請求された者が、「伐採個所は隣接する長男所有地の境界内の土地で約二十五年間継続して占有し植林、刈払いの手入れをして来た」等、原判決記載のような主張(原判決事実摘示参照)をして不法伐採の事実を争つた場合に、右土地に対する時効取得の有無を問うことなく同人を敗訴させても、釈明権不行使の違法ありとすることはできない。
二 係争山林の境界につき実測図の作成を命ぜられた鑑定人が、訴訟手続外で入手した図面を資料として鑑定書を作成した場合でも、正確な図面と判定して資料にしたものと認められるときは、その鑑定の結果を証拠に採用しても違法でない。
三 相隣者との間で境界を定めた事実があつても、これによつて、その一筆の土地の固有の境界自体は変動するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年12月28日 昭和30(オ)688
登載
民集 第10巻12号1639頁
参照法条
民訴法127条,民訴法185条,民訴法第2編第3章第3節(301条の前),民法223条
論点45第185条民事訴訟法

伝聞証言の証拠能力

裁判要旨民訴第二九四条〈第一審判決についての仮執行の宣言〉が証人尋問につき一種の交互尋問制をとつているからといつて、そのためいわゆる伝聞証言の証拠能力が当然制限されると解すべきではなく、右証言の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委されているものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年12月5日 昭和25(オ)181
登載
民集 第6巻11号1117頁
参照法条
民訴法294条,民訴法185条
論点46第185条民事訴訟法

一 第三者作成文書の成立の真正の認定
二 手形の被偽造者の手形上の責任

裁判要旨一 相手方が不知をもつて答えた第三者作成の文書については、特段の立証はなくても、弁論の全趣旨により、成立の真正を認めることができる。
二 手形の被偽造者は、手形を偽造されるにつき重大な過失があつたと否と、また受取人の善意であつたと否とにかかわらず、偽造手形により何ら手形上の義務を負うものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和27年10月21日 昭和25(オ)219
登載
民集 第6巻9号841頁
参照法条
民訴法325条,民訴法185条,手形法69条
論点47第185条民事訴訟法

法令の規定と契約の解釈

裁判要旨罹災都市借地借家臨時処理法に第一四条〈職権証拠調べ〉の規定があるからといつて、「賃借期間中に賃借人の責任に非る原因に依り家屋が火災其の他災厄に罹りたるときは賃貸又は更に新築して賃借人に之を賃貸すべきことなお官公署の命に依り他に移動する場合も亦右趣旨に依ること」という契約条項が必ず防空法による強制除却の場合を包含するものであると解釈しなければならないことはない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和25年7月4日 昭和23(オ)174
登載
民集 第4巻7号251頁
参照法条
罹災都市借地借家臨時処理法14条,民訴法185条
論点48第185条民事訴訟法

一 医療過誤訴訟において鑑定のみに依拠してされた顆粒球減少症の起因剤の認定に経験則違反の違法があるとされた事例
二 医療過誤訴訟において鑑定のみに依拠してされた顆粒球減少症の発症日の認定に経験則違反の違法があるとされた事例
三 顆粒球減少症の副作用を有する薬剤を長期間継続的に投与された患者に薬疹の可能性のある発疹を認めた場合における開業医の義務

裁判要旨一 顆粒球減少症の副作用を有する複数の薬剤の投与を原因として患者が同症にかかった場合において、鑑定は、右薬剤はいずれも起因剤と断定するには難点があり、発症時期に最も近接した時期に投与されたネオマイゾンが最も疑われるが確証がなく、複数の右薬剤の相互作用により同症が発症することはあり得るものの本件においては右相互作用による発症は医学的に具体的に証明されていないとするにとどまり、本件において右相互作用により同症が発症したという蓋然住を否定するものではなく、証拠として提出された医学文献には同症の病因論は未完成な部分が多く個々の症例において起因剤を決定することは困難なことが多い旨が記載されているなど判示の事実関係の下においては、右鑑定のみに依拠してネオマイゾンを唯一単独の起因剤と認定することには、経験則違反の違法がある。
二 顆粒球減少症の副作用を有する複数の薬剤の投与を原因として患者が同症にかかった場合において、鑑定は、四月一四日より前の患者の病歴に同症発症を確認し得る検査所見及び症候がないこと並びに同日以降の患者の症状の急激な進行から推測して、発症日を四月一三日から一四日朝とするが、これは患者の同症発症日をどこまでさかのぼり得るかについて科学的、医学的見地から確実に証明できることだけを述べたにすぎないものであり、他方、同症発症を確認し得る検査所見及び症候がないのは医師が同症特有の症状の有無に注意を払った問診及び診察をしなかった結果にすぎず、患者の症状の進行が急激であったと断ずるには疑いを生じさせる事情も存在するなど判示の事実関係の下においては、右鑑定のみに依拠して発症日は四月一三日から一四日朝と認定することには、経験則違反の違法がある。
三 開業医は、顆粒球減少症の副作用を有する多種の薬剤を長期間継続的に投与された患者について薬疹の可能性のある発疹を認めた場合においては、自院又は他の診療機関において患者が必要な検査、治療を速やかに受けることができるように相応の配慮をすべき義務がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年2月25日 平成7(オ)1205
登載
民集 第51巻2号502頁
参照法条
民法415条,民法709条,民訴法185条,民訴法394条
論点49第185条民事訴訟法

市立保育園の保母の業務と同人に発症した頸肩腕症候群との間の因果関係を否定したことが経験則に反するとされた事例

裁判要旨市立保育園の保母が、勤務開始後三年目には肩や背中の痛みを、その約一年半後には慢性的肩凝りや右腕等の筋肉の痛みを感ずるようになり、その状態のまま新設保育園に主任保母として着任し、保育開始準備等に集中的に当たった後一、二歳児六名を一人で担当するようになり、その年の夏季合同保育期間中に調理を担当した際右背中に激痛を感じ、その翌月頸肩腕症候群と診断されて通院を開始したが、その後も、業務負担が重くなったことはあっても軽減されることはなく、症状も若干の起伏を伴いながら続いたなど判示の事実関係の下においては、他に明らかに原因となった要因が認められない限り、右保母の業務と右頸肩腕症候群との間の因果関係を否定することは、経験則に反する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年11月28日 平成5(行ツ)85
登載
集民 第186号269頁
参照法条
民法415条,民訴法185条
論点50第185条民事訴訟法

遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合

裁判要旨共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年12月17日 平成5(オ)1946
登載
民集 第50巻10号2778頁
参照法条
民法249条,民法593条,民法703条,民法898条,民訴法185条
論点51第185条民事訴訟法

一 一般国道等の道路の周辺住民が受けた自動車騒音の屋外騒音レベルの認定に違法はないとされた事例
二 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により受けた被害が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして右道路の設置又は管理に瑕疵があるとされた事例
三 自動車騒音によるいわゆる生活妨害を被害の中心として多数の被害者から一律の額の慰謝料が請求された場合についての受忍限度を超える被害を受けた者とそうでない者とを識別するための基準の設定に違法はないとされた事例

裁判要旨一 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音にほぼ一日中暴露されている場合、右道路の周辺地域を交通量によって三地域に道路構造によって四区画に分類した上、右道路端からの遠近や右道路への見通しの程度に基づき、周辺住民を合計一九のグループに分け、鑑定の結果を基本にして、右グループごとに上限と下限の等価騒音レベルによる数値を抽出し、その幅のある数値をもって同一のグループに属する各住民が日常暴露された原則的な屋外騒音レベルと推認することに違法はない。
二 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ・ラジオの聴取等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛等の被害を受けている場合において、右道路は産業物資流通のための地域間交通に相当の寄与をしているが、右道路が地域住民の日常生活の維持存続に不可欠とまではいうことのできないいわゆる幹線道路であって、周辺住民が右道路の存在によってある程度の利益を受けているとしても、その利益とこれによって被る被害との間に、後者の増大に必然的に前者の増大が伴うというような彼此相補の関係はないなど判示の事情の存するときは、右被害は社会生活上受忍すべき限度を超え、右道路の設置又は管理には瑕疵があるというべきである。
三 一般国道等の道路の供用に伴う自動車騒音によるいわゆる生活妨害を被害の中心とし、多数の被害者から全員に共通する限度において各自の被害につき一律の額の慰謝料が請求された場合について、受忍限度を超える被害を受けた者とそうでない者とを識別するため、被害者の居住地における屋外等価騒音レベルを主要な基準とし、右道路端と居住地との距離を補助的な基準としたのは、侵害行為の態様及び被害の内容との関連性を考慮したものとして不合理ではなく、この基準の設定に違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成7年7月7日 平成4(オ)1503
登載
民集 第49巻7号1870頁
参照法条
民訴法185条,国家賠償法2条1項,民法709条
論点52第185条民事訴訟法

行政指導を受けたことと建築確認の遅延との間に因果関係がないとした認定に経験則違反、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨一筆の土地に容積率の上限に近い建物を建築した上、右土地を分筆し、建物の存在しない方の土地をマンション建築用地として売り渡した者に対する買主の損害賠償請求訴訟において、買主が市から建築確認申請を保留するようにとの行政指導を受け、いったんマンションの建築を断念したが、後日、売主が容積率違反の状態を解消する措置を採ることを命ずる市長の命令に応じないことが明らかになり、買主も右行政指導に従う意思を放棄して建築確認申請をしたため、結局、申請どおりの建築確認がされたなど、判示の事実関係の下において、買主が行政指導を受けたことと建築確認の遅延との間に因果関係がないとした原審の認定には、経験則違反ひいては審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成5年4月23日 平成3(オ)1386
登載
集民 第169号37頁
参照法条
民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号,建築基準法52条
論点53第185条民事訴訟法

一 原子炉設置許可処分の取消訴訟における審理・判断の方法
二 原子炉設置許可処分の取消訴訟における主張・立証
三 原子炉設置許可の段階における安全審査の対象

裁判要旨一 原子炉施設の安全性に関する被告行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであつて、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。
二 原子炉施設の安全性に関する被告行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟においては、右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものであるが、被告行政庁の側において、まず、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議において用いられた具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認される。
三 原子炉設置の許可の段階の安全審査においては、当該原子炉施設の基本設計の安全性にかかわる事項のみをその対象とするものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成4年10月29日 昭和60(行ツ)133
登載
民集 第46巻7号1174頁
参照法条
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前のもの)23条,核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前のもの)24条,行政事件訴訟法30条,民訴法185条
論点54第185条民事訴訟法

デモ行進の参加者がこれを規制する警察機動隊員の殴打行為により負傷したとの認定に経験則違反、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例

裁判要旨約五〇〇名が参加するデモ行進に対し警察機動隊員が規制・解除を繰り返し、デモ隊と機動隊の間で押し合い等があったなど判示のような事情がある場合、右デモ行進にグループ間の連絡等の役割で参加した者が路上に転倒し約四〇針縫合する左上口唇裂傷等の傷害を負った事故につき、機動隊員がどの程度の厚さの手袋を着用していたか、規制の解除によるデモ隊の急な前進によって背後かち突き飛ばされて右参加者が転倒したことがなかったかどうかについて判断を加えることなく、右参加者の負傷が機動隊員の一回の手拳による殴打行為に起因したものとした原審の認定には、経験則違反ひいては審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年1月18日 昭和62(オ)774
登載
集民 第162号1頁
参照法条
国家賠償法1条1項,民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号
論点55第185条民事訴訟法

手形に保証の趣旨で裏書をした者が原因債務につき保証をしたものと推認するのが相当とされた事例

裁判要旨甲が乙から三回にわたって金銭を借り受けた場合に、丙が、乙とは旧知の仲で右貸借の紹介老でもあり、その貸借の都度、甲に同行して乙と直接会い、その場において、乙の求めに応じ、甲振出の約束手形に保証の趣旨で裏書をして乙に交付し、甲の支払拒絶後は、右三回目の貸金の弁済を求める乙の強い意向に沿う行動をとるなど判示の事情があるときは、丙は、他に特段の事情がない限り、乙に対し、右三回目の貸金債務につき保証をしたものと推認するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成2年9月27日 昭和63(オ)1570
登載
民集 第44巻6号1007頁
参照法条
民法446条,手形法15条,手形法77条,民訴法185条
論点56第186条民事訴訟法

一 一個の行為により同一著作物についての著作財産権と著作者人格権とが侵害されたことを理由とする著作財産権に基づく慰藉料請求及び著作者人格権に基づく慰藉料請求と訴訟物の個数
二 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三六条ノ二所定の著作者の声望名誉の意義

裁判要旨一 一個の行為により同一著作物についての著作財産権と著作者人格権とが侵害されたことを理由とする著作財産権に基づく慰藉料請求と著作者人格権に基づく慰藉料請求とは、訴訟物を異にする別個の請求である。
二 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三六条ノ二所定の著作者の声望名誉とは、著作者がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価を指し、名誉感情を含まない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和61年5月30日 昭和58(オ)516
登載
民集 第40巻4号725頁
参照法条
旧著作権法(明治32年法律第39号)18条,旧著作権法(明治32年法律第39号)29条,旧著作権法(明治32年法律第39号)36条ノ2,民訴法186条,民訴法224条1項
論点57第186条民事訴訟法

第一審で主張されなかつた事実が第一審判決事実摘示に記載され控訴審において「第一審判決事実摘示のとおり陳述する」旨弁論した場合と右弁論の意味

裁判要旨第一審で主張されなかつた事実であつても、第一審判決事実摘示に右の事実が主張された旨記載され、控訴審の口頭弁論期日において第一審の口頭弁論の結果を陳述するに際し「第一審判決事実摘示のとおり陳述する」旨弁論した場合は、右の事実は控訴審の口頭弁論で陳述されたことになる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和61年12月11日 昭和60(オ)1454
登載
集民 第149号275頁
参照法条
民訴法186条,民訴法377条
論点58第186条民事訴訟法

死因贈与の主張に対し生前贈与を認定することの許否

裁判要旨相続による特定財産の所有権取得を原因とする登記手続請求訴訟において、被相続人が死亡時までに死因贈与により右財産の所有権を喪失したとの抗弁が提出された場合、裁判所が、右死因贈与の主張には生前贈与の主張をも包含するものと解して生前贈与による所有権喪失を認定しても、当事者の主張しないことを認定した違法はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年4月27日 昭和56(オ)419
登載
集民 第135号813頁
参照法条
民訴法186条,民法549条,民法554条
論点59第186条民事訴訟法

一 共有物分割の訴えにおいて分割の方法を具体的に指定することの要否
二 共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによつて著しく価格を損するおそれがあるときと裁判の内容

裁判要旨一 共有物分割の訴えにおいては、当事者は、共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することを要しない。
二 共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによつて著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年3月9日 昭和53(オ)927
登載
集民 第135号313頁
参照法条
民法258条,民訴法186条
論点60第186条民事訴訟法

不動産の所有権移転経過の認定について弁論主義違反の違法があるとされた事例

裁判要旨原告らが、係争不動産は原告らの被相続人乙が甲から買い受け乙の死亡によつて原告らが共同相続したものであると主張して、右不動産の所有名義人である被告に対し、共有持分権に基づき各持分に応ずる所有権移転登記手続を求め、これに対し被告が、右不動産は被告の夫丙が甲から買い受けたものであり丙の死亡によつて被告がそれを相続取得したものであると主張したにとどまる場合において、裁判所が、右不動産は乙が甲から買い受けたのち丙に死因贈与したものであるとの事実を認定し、原告らの請求を排斥するのは、弁論主義に違反する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年2月7日 昭和52(オ)1144
登載
民集 第34巻2号123頁
参照法条
民訴法186条
論点61第186条民事訴訟法

民訴法一八六条違反があるとされた事例

裁判要旨原告がその主張にかかる損害賠償債権額から一部弁済の受領分として一定の金額を控除し、その残額をもつて請求金額としている場合には、裁判所は、その認定にかかる原告の損害賠償債権額から原告の控除にかかる右一定金額を控除した金額を認容額とすべきであり、その一部を控除するにとどめることは、民訴法一八六条に違反するものとして違法である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和53年7月25日 昭和52(オ)1086
登載
集民 第124号483頁
参照法条
民訴法186条
論点62第186条民事訴訟法

借家法一条ノ二の正当事由に基づく解約申入の認定について狭義の弁論主義違反の違法があるとされた事例

裁判要旨「被告は、賃借家屋を改造するにつき賃貸人たる原告に立会の機会を与えず、原告の予期しなかつた改造を行い、また、原告に対して賃借家屋の補強工事をすると約束したのにその完全な履行をしなかつた。被告のこのような改造の方法、程度及びその後の補強のしかたは、賃貸借における当事者間の信頼関係を破壊するものであるから、賃貸借契約を解除する。」との原告主張は、被告の賃借家屋の用方義務違反を理由とする契約解除の主張であつて、このような場合に、裁判所が借家法一条ノ二の正当事由に基づく解約申入及び正当事由の存在を認定して原告の家屋明渡請求を認容したのは、当事者の主張しない事実を認定した違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和52年5月27日 昭和51(オ)402
登載
集民 第120号607頁
参照法条
民訴法186条
論点63第186条民事訴訟法

取得時効における前主の占有と民訴法一八六条

裁判要旨建物を甲から乙、乙から丙、丙から丁、丁から戊が順次買受けて占有を承継し、甲以下の前主の占有を併せると、甲が占有を開始したときから二〇年を経過したときに戊のため取得時効が完成した旨の主張は、仮に乙と丙との間に占有承継人として別の者が介在することが証拠上認められるとするならば、その者の占有をも前記取得時効の期間として主張する趣旨を含むものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年11月22日 昭和49(オ)660
登載
集民 第113号225頁
参照法条
民法162条,民法186条,民法187条,民訴法186条
論点64第186条民事訴訟法

当事者参加訴訟の一審判決に対し一入が控訴した場合における他の二者間の請求と控訴審の審判

裁判要旨原告甲の被告乙に対する請求ならびに参加入丙の甲および乙に対する各請求が合一にのみ確定すべき当事者参加訴訟において、甲の乙に対する請求を棄却し、丙の甲および乙に対する請求をそれぞれ一部認容する旨の一審判決に対し、甲が、その敗訴部分の取消、甲の乙に対する請求認容および丙の甲に対する請求中一審認容部分の棄却を求めて控訴したにとどまり、乙が控訴または附帯控訴をしない場合であつても、控訴審は合一確定に必要な限度で、一審判決中丙の乙に対する請求を認容した部分を丙に不利に変更することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年7月20日 昭和44(オ)316
登載
民集 第27巻7号863頁
参照法条
民訴法62条,民訴法71条,民訴法186条,民訴法377条1項,民訴法385条
論点65第186条民事訴訟法

一、身体傷害による財産上および精神上の損害の賠償請求における請求権および訴訟物の個数
二、不法行為による損害賠償の一部請求と過失相殺

裁判要旨一、同一事故により生じた同一の身体傷害を理由として財産上の損害と精神上の損害との賠償を請求する場合における請求権および訴訟物は、一個である。
二、不法行為に基づく一個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に、過失相殺をするにあたつては、損害の全額から過失割合による減額をし、その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し、残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月5日 昭和43(オ)943
登載
民集 第27巻3号419頁
参照法条
民訴法186条,民訴法224条1項,民法709条,民法710条,民法722条2項
論点66第186条民事訴訟法

弁論主義違反がないとされた事例

裁判要旨無断転貸を理由とする賃貸借契約解除の主張が賃借権無断譲渡を理由とする解除の趣旨をも含むと解して、これを認めても、弁論主義に反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年6月29日 昭和45(オ)819
登載
集民 第106号369頁
参照法条
民訴法186条
論点67第186条民事訴訟法

契約書に記載されない特約の存否に関する認定と経験則

裁判要旨国と私人との間に、私人を売主として成立した土地売買契約において、目的土地の利用方法に関する特約は、当事者にとつて極めて重要な特約であるから、右契約につき予算決算及び会計令(昭和二七年政令七六号による改正前)六八条に基づき契約書が作成された以上、かかる特約の趣旨は契約者に記載されるのが通常の事態であり、これに記載されていないときは、特段の事情のないかぎり、かかる特約は存在しないものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年3月2日 昭和43(オ)1294
登載
集民 第105号225頁
参照法条
民法91条,予算決算及び会計令(昭和47年政令76号による改正前)68条,民訴法186条
論点68第186条民事訴訟法

一、甲所有の物を買受けた乙が売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合における丙の甲に対する物の引渡請求と甲の留置権の抗弁
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合においてその被担保債権の支払義務者が第三者であるときの判決主文

裁判要旨一、甲所有の物を買受けた乙が、売買代金を支払わないままこれを丙に譲渡した場合には、甲は、丙からの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
二、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合において、その物に関して生じた債務の支払義務を負う者が、原告ではなく第三者であるときは、被告に対し、その第三者から右債務の支払を受けるのと引換えに物の引渡をすることを命ずるべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年11月16日 昭和45(オ)1055
登載
民集 第26巻9号1619頁
参照法条
民法295条,民訴法186条
論点69第186条民事訴訟法

一、被控訴人が控訴審においてした書面による請求の趣旨変更の申立およびその申立書添付の物件目録訂正の申立が附帯控訴の申立と認められた事例
二、いわゆる立件の意義およびその効力

裁判要旨一、(省略)
二、裁判所が特定の申立についてするいわゆる立件は、裁判所の内部における事務処理上の手続にすぎないものであつて、それがその申立を審理した口頭弁論の終結後になされたときでも、その申立の訴訟法上の効力に影響を及ぼすものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年7月1日 昭和45(オ)1222
登載
集民 第103号375頁
参照法条
民訴法372条,民訴法374条,民訴法367条,民訴法150条,民訴法186条,裁判所法60条
論点70第186条民事訴訟法

当事者の一定の主張を排斥するために当事者から主張されない他の事実を認定することと弁論主義

裁判要旨請求原因事実または抗弁事実の存否に争いがある場合に、裁判所が右主張事実を証拠上肯認することができない事情として、右事実と両立せず、かつ、相手方に主張責任のない事実を認定し、もつて右請求原因事実または抗弁事実の立証なしとして排斥することは、認定された事実が当事者によつて主張されていない場合でも、弁論主義に違反しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年6月29日 昭和46(オ)286
登載
集民 第103号319頁
参照法条
民訴法186条
論点71第186条民事訴訟法

債権担保のための清算型代物弁済予約について釈明権不行使の違法があるとされた事例

裁判要旨当事者が代物弁済予約の存在を前提に、その予約完結に基づく本登記義務の存否を争つている場合において、裁判所が審理の結果、右予約の実質は、債権担保のための清算型代物弁済予約であり、しかも、後順位抵当権が実行中であつて、右請求がそのまま認容しえないことが判明したときは、裁判所は、当事者に対し、その法律関係について釈明を求めるべきであり、これをしないで、右理由により直ちに原告の請求を排斥することは、釈明権の行使を誤つたものというべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和46年6月18日 昭和44(オ)431
登載
集民 第103号159頁
参照法条
民法482条,民訴法127条,民訴法186条
論点72第186条民事訴訟法

当事者の申し立てない事項につき判決した場合にあたらないとされた事例

裁判要旨請求の趣旨が贈与による所有権移転登記手続を求める旨表示されている場合に、主位的請求原因が所有権に基づく真正な登記名義回復を求め、予備的請求原因が贈与による所有権移転登記手続を求めるにあつて、主位的請求を認容するときは、たんに所有権移転登記手続を命ずる判決をしても、当事者の申し立てない事項につき判決した違法はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年12月23日 昭和43(オ)941
登載
集民 第104号791頁
参照法条
民訴法186条,不動産登記法36条1項
論点73第186条民事訴訟法

手形法一六条一項の適用を求める主張があると解すべき場合

裁判要旨原告が、連続した裏書の記載のある手形を所持し、その手形に基づき手形金の請求をしている場合には、当然に、手形法一六条一項の適用を求める主張があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和45年6月24日 昭和42(オ)747
登載
民集 第24巻6号712頁
参照法条
手形法16条1項,手形法77条1項1号,民訴法186条
論点74第186条民事訴訟法

一、控訴審判決の主文において物件を表示するにつき第一審判決に掲げる物件の表示を引用することの可否
二、賃借権存在確認の訴において、賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することの要否

裁判要旨一、控訴審判決の主文において物件を表示するにつき第一審判決に掲げる物件の表示を引用することは許される。
二、賃借権存在確認の訴において、原告が確定を求めていない賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記することは必要でない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年9月11日 昭和44(オ)500
登載
集民 第96号539頁
参照法条
民訴法391条,民訴法186条,民法601条
論点75第186条民事訴訟法

一、共有持分に基づく所有権保存登記抹消請求の許否
二、所有権保存登記の全部抹消を求める請求と更正登記手続を命ずる判決

裁判要旨一、共有者の一人の単独名義に所有権の登記がされている場合には、その登記が保存登記であり、かつ、第三者のための登記が存在しないときでも、他の共有者は、右所有権の登記につき、自己の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続を求めることができるにすぎず、その全部の抹消登記手続を求めることはできない。
二、共有者の一人から他の共有者に対する所有権保存登記全部の抹消登記手続を求める請求は、共有持分に応ずる更正登記手続を求める申立を包含するものと解して、その限度でこれを認容することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年5月29日 昭和42(オ)316
登載
集民 第95号421頁
参照法条
民法249条,不動産登記法63条,民訴法186条
論点76第186条民事訴訟法

贈与の主張に対し死因贈与を認定することの適否

裁判要旨係争家屋の所有権を贈与により取得したとして贈与者の相続人らに対し贈与を原因とする所有権移転登記を求めたのに対し、裁判所が、右贈与の主張は死因贈与の主張を包含するものと解して、死因贈与による所有権移転を認定しても、当事者の主張しない事実を認定したものとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年9月12日 昭和42(オ)246
登載
集民 第92号231頁
参照法条
民訴法186条,民法554条
論点77第186条民事訴訟法

一 民法第七六八条第三項による財産の分与の額の定め方
二 人事訴訟手続法第一五条第一項による財産の分与の申立方法

裁判要旨一 民法第七六八条第三項によつて財産の分与の額を定めるには、金銭以外の財産をもつてすることができ、この場合には、その財産を特定すれば足りる。
二 人事訴訟手続法第一五条第一項によつて財産の分与の申立をするには、分与を求める額および方法を特定してすることを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年7月15日 昭和39(オ)539
登載
民集 第20巻6号1197頁
参照法条
民法768条,人事訴訟手続法15条1項,民訴法186条
論点78第186条民事訴訟法

裏書連続の主張

裁判要旨手形法第一六条第一項の適用を主張するには、連続した裏書の記載のある手形を所持する事実を主張することを要し、これをもつて足りる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年3月4日 昭和40(オ)820
登載
民集 第20巻3号406頁
参照法条
手形法16条1項,民訴法186条
論点79第186条民事訴訟法

一 間接事実の認定と当事者の主張の要否
二 強迫行為の認定のための具体性はいかなる程度で足りるか
三 時効援用の機会を与えなかつた原審の措置を違法でないとした事例

裁判要旨一 間接事実は、当事者の主張がなくても判断することができる。
二 強迫行為の判示については、具体的日時場所を判示することを要せず、強迫行為の態様を示し、かつ、これを特定しうれば足りる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年3月11日 昭和38(オ)1141
登載
集民 第82号669頁
参照法条
民訴法186条,民訴法96条,民訴法394条,民訴法127条
論点80第186条民事訴訟法

一 賃貸人の承諾をえた賃借権の譲渡による旧賃借人が賃貸借関係から離脱した旨の判断については、当事者の主張を要するか
二 所有者兼賃貸人からする賃借人に対する損害賠償の請求について同人の占有関係を確定しないでこれを排斥することが適法とされた事例

裁判要旨一 賃貸人の承諾をえた賃借権の譲渡による旧賃借人が賃貸借関係から離脱した旨の判断については、当事者の主張を要しない。けだし、これは、適法な賃借権の譲渡の事実から生ずる法律上の効果にすぎないからである。
二 所有者兼賃貸人から賃借人に対する損害賠償の請求は、賃貸借の終了による原状回復義務の債務不履行にもとづくものであると解せられる場合には、その終了が認められない以上、賃借人の占有関係を確定しないで、右請求を排斥しても、違法ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年12月16日 昭和41(オ)798
登載
集民 第85号685頁
参照法条
民訴法186条,民訴法39条,民法613条,民法416条
論点81第186条民事訴訟法

控訴審口頭弁論における「第一審判決事実摘示のとおり陳述」の意味

裁判要旨控訴審口頭弁論において、原審口頭弁論の結果を陳述するに際し、「第一審判決事実摘示のとおり陳述する」旨弁論したときは、第一審の口頭弁論で主張した事項であつて、第一審判決の事実摘示に記載されていない事実は、控訴審口頭弁論では陳述されなかつたことになる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年11月10日 昭和39(オ)651
登載
集民 第85号43頁
参照法条
民訴法377条,民訴法186条
論点82第186条民事訴訟法

使用貸借の解約告知に基づく家屋明渡訴訟の口頭弁論により新たな解約告知をしたものと認められた事例

裁判要旨使用貸借の解約告知に基づく家屋明渡訴訟を維持し口頭弁論を行なつた場合には、もしさきの解約告知の効力が認められないとすればあらためて解約告知をなす意思を、弁論の都度表示したものと解すべきであり、告知の時期を異にすることにより、明渡請求権が別個の権利となるものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月20日 昭和39(オ)12
登載
集民 第84号607頁
参照法条
民法597条,民訴法186条
論点83第186条民事訴訟法

控訴棄却の申立なしにその判決をすることと民訴法第一八六条

裁判要旨控訴裁判所は、審理の結果、控訴申立の理由がないと認めるときは、当然これを棄却しなければならないのであつて、このことは被控訴人による控訴棄却の申立を欠いた場合においても同じである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年7月29日 昭和40(オ)304
登載
集民 第79号973頁
参照法条
民訴法186条,民訴法377条,民訴法384条
論点84第186条民事訴訟法

民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条の主張責任。

裁判要旨民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条の適用を主張する当事者は、その要件事実につき主張責任がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年3月5日 昭和39(オ)274
登載
集民 第78号45頁
参照法条
民訴法186条,民法100条但書,商法504条
論点85第186条民事訴訟法

将来発生する金銭債務を基礎とする準消費貸借。

裁判要旨将来金員を貸与する旨の契約が締結された場合には、その契約が履行される以前でも、その金員をもつて準消費貸借の目的とすることを約することができ、その後右金員が貸与されたとき、右準消費貸借契約は、当然に、効力を生ずる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年10月7日 昭和40(オ)200
登載
民集 第19巻7号1723頁
参照法条
民法588条,民訴法186条
論点86第186条民事訴訟法

準備書面、書証の表示文言によっては、要証事実の主張があったと見られなかった事例。

裁判要旨準備書面及び書証の表示文言に判示のような記載があっただけでは、当該要証事実の主張があったとは見られない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年6月30日 昭和38(オ)235
登載
集民 第74号353頁
参照法条
民訴法186条,民訴法244条,民訴法258条
論点87第186条民事訴訟法

民法第一一二条の表見代理の主張に対し商法第二六二条の表見代表取締役の規定を適用して判断することの可否。

裁判要旨当事者が民法第一一二条の表見代理による約束手形金の支払請求を主張している場合であっても、商法第二六二条の要件事実が主張されている以上、同条の表見代表取締役の行為による会社に対する責任に基づいて、請求を認容することに違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年6月12日 昭和38(オ)306
登載
集民 第74号57頁
参照法条
民法112条,商法262条,民訴法186条
論点88第186条民事訴訟法

民訴法第一八六条に違反しない事例。

裁判要旨所有権転移仮登記の権利者が、仮登記後所有権取得登記を経た第三者に対し、右登記の抹消登記手続を請求した場合、裁判所が、仮登記に基づく本登記手続につき承諾を命ずる判決をしても、民訴法第一八六条に違反しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月13日 昭和37(オ)1410
登載
集民 第72号153頁
参照法条
民訴法186条,不動産登記法7条,不動産登記法105条,不動産登記法146条
論点89第186条民事訴訟法

手形債務の保証の主張と連帯保証の判定。

裁判要旨本件保証が手形債務の保証であることの主張がある以上、本件保証には商行為性があり連帯保証となると判断したからといつて、当事者の主張しない事項を認定判断したことにはならない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月28日 昭和37(オ)1159
登載
集民 第65号321頁
参照法条
民訴法186条,商法501条4号,商法511条2項
論点90第186条民事訴訟法

一 金員貸渡の日時につき主張と認定との間に同一性が害されず当事者の主張もない事項について判断したとはいえないとされた事例
二 遅延損害金の支払を命じた点に審理不尽理由不備があるとされた事例

裁判要旨一 原告が昭和二四年九月一一日から同二五年一〇年二〇日にわたる二五口の金員消費貸借契約の成立を原因として、その貸金請求を併せてする訴訟において、右のうち一口の貸渡日時が昭和二五年九月一〇日と主張されているのに対し、被告が他の二四口の貸渡日時自体については争わず右一口の貸渡日は昭和二三年中であると主張して消滅時効を援用した場合、それが昭和二五年九月一〇日に貸し渡されたことは確認できないが、早くとも昭和二五年八、九月中に、遅くともその後の同年中に貸し渡されたことが認められるとして、時効期間満了の主張が排斥され、右一口の請求が認容されたとしても、当事者の主張と同一性を害する事実を認定して主張しない事項について判断したとはいえない。
二 期限の定めのない消費貸借において借主が履行遅滞に陥つた事実を確定することなく、漫然貸渡より後の年の一月一日以降遅延損害金の支払を命ずる判決には、審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年12月26日 昭和38(オ)206
登載
集民 第70号625頁
参照法条
民訴法186条,民訴法395条1項6号,民法591条,民法412条
論点91第186条民事訴訟法

一 控訴審における訴の一部取下と主文に表示することの要否
二 控訴費用負担、仮執行宣言の担保の額の判定権限の性質

裁判要旨一 控訴審において訴の一部取下が適法になされ、かつ、控訴を棄却する場合には、当該取下部分につき主文で原判の一部取消を言い渡さなくても違法はない。
二 訴訟費用負担、仮執行宣言の担保判定は、裁判所の自由裁量による。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年6月8日 昭和35(オ)825
登載
集民 第61号97頁
参照法条
民訴法89条,民訴法90条,民訴法91条,民訴法92条,民訴法93条,民訴法186条,民訴法196条,民訴法237条
論点92第186条民事訴訟法

当事者の主張しない事項につき判断しなかつたとされた事例

裁判要旨自作農創設特別措置法第五条五号の事由ありと主張した事案において、同条四号の事由に該当するとの主張があるとしての判断をしなかつたとしても違法はない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年1月19日 昭和36(オ)736
登載
集民 第58号305頁
参照法条
民訴法349条,民訴法186条
論点93第186条民事訴訟法

一 文書の成立の真正を推定しえないとされた事例
二 当事者の申し立てない事項につき判決したと認められた事例

裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年11月6日 昭和34(オ)797
登載
集民 第63号47頁
参照法条
民訴法326条,民訴法186条
論点94第186条民事訴訟法

賃借人のある建物について買取請求権が行使された場合における建物収去土地明渡を求める相手方の請求。

裁判要旨土地賃貸人からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法第一〇条により買取請求権を行使した場合に、その建物に賃借人があるときは、右収去明渡の請求には、建物の指図による占有移転を求める趣旨を包合するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和36年2月28日 昭和33(オ)989
登載
民集 第15巻2号324頁
参照法条
借地法10条,民法184条,民訴法186条
論点95第186条民事訴訟法

控訴棄却の申立なしにその判決をすることと民訴法第一八六条。

裁判要旨控訴の申立がある以上控訴裁判所はその当否について判断し応答すべきものであつて、控訴棄却の申立はなくても、控訴の理由がないと認められるときは、その旨の裁判をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年2月24日 昭和32(オ)961
登載
民集 第15巻2号301頁
参照法条
民訴法186条,民訴法377条,民訴法384条
論点96第186条民事訴訟法

一 手形の補箋の表面になした署名と手形保証の成否
二 申立てない事項について判決をした違法のある事例

裁判要旨一 約束手形の補箋の表面になした単なる署名は保証と看做すべきである。
二 約束手形の共同振出を原因として手形金の請求をしている場合に、手形保証を理由として請求を認容したときは、当事者の申立てない事項について判決をした違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和35年4月12日 昭和33(オ)643
登載
民集 第14巻5号825頁
参照法条
手形法31条3項,手形法77条3項,民訴法186条
論点97第186条民事訴訟法

一 家屋収去土地明渡の請求は家屋買取請求権の行使があつた場合に家屋の引渡を求める申立を含むか
二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容する場合と判決主文

裁判要旨一 家屋収去土地明渡請求に対し家屋買取請求権の行使があつた場合、右明渡請求は家屋の引渡を求める申立を包含する趣旨と解すべきである
二 物の引渡請求に対する留置権の抗弁を認容するときは、引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきである
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和33年6月6日 昭和30(オ)993
登載
民集 第12巻9号1384頁
参照法条
民訴法186条,民法295条
論点98第186条民事訴訟法

贈与の主張に対し死因贈与を認定したことの適否

裁判要旨係争家屋の所有権を取得したと抗争する被告が、その取得の原因として「被告は原告の亡先代から右家屋の贈与を受けた」旨主張している場合弁論の全趣旨から右贈与の主張が死因贈与の主張を包含すると認められる以上、たとい死因贈与を受けた旨の明示的主張がなくても、裁判所が被告は原告先代から右家屋の死因贈与を受けその所有権を取得したと認定しても、当事者の主張しない事実を認定したものとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年2月22日 昭和24(オ)277
登載
民集 第5巻3号106頁
参照法条
民訴法186条,民法554条
論点99第186条民事訴訟法

請求の一部についての予備的請求原因となるべき事実を被告が主張した場合に原告がこれを自己の利益に援用しなくても裁判所はこの事実をしんしゃくすべきであるとされた事例

裁判要旨原告が単独で土地を賃借し地上に建物を建築したことを主張する所有権確認等請求訴訟において、被告らがこれを否認して土地を賃借し建物を建築したのは原被告らの被相続人であると主張した場合には、原告がこれを自己の利益に援用しなかったとしても、裁判所は、適切に釈明権を行使するなどした上でこの事実をしんしゃくし、相続による持分の取得を理由に原告の請求の一部を認容すべきであるかどうかについて審理判断すべきである。

(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年7月17日 平成7(オ)1562
登載
集民 第183号1031頁
参照法条
民訴法186条
論点100第186条民事訴訟法

一 金銭債権の一部請求と相殺
二 金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断の既判力

裁判要旨一 特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺の抗弁が理由がある場合には、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、請求額が残存額の範囲内であるときは請求の全額を、残存額を超えるときは残存額の限度でこれを認容すべきである。
二 特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断は、右金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既報力を生じない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年11月22日 平成2(オ)1146
登載
民集 第48巻7号1355頁
参照法条
民法505条,民訴法186条,民訴法199条2項
論点101第186条民事訴訟法

給付訴訟において不執行の合意が認定された場合の判決主文

裁判要旨給付訴訟において、給付請求権について不執行の合意がある旨の主張がされ、その事実が認められる場合には、裁判所は、右請求権について強制執行をすることができないことを判決主文において明らかにすべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年11月11日 平成2(オ)170
登載
民集 第47巻9号5255頁
参照法条
民訴法186条,民訴法191条1項
論点102第187条民事訴訟法

第一審における民訴法一八七条三項違背と控訴理由

裁判要旨第一審の訴訟手続に民訴法一八七条三項違背があつても、控訴審は当然に第一審判決を取り消さなければならないものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和58年11月24日 昭和57(オ)1005
登載
集民 第140号473頁
参照法条
民訴法187条3項,民訴法384条
論点103第187条民事訴訟法

弁論更新手続上のかしが補正されたものと認められた事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和51年6月29日 昭和50(オ)1254
登載
集民 第118号145頁
参照法条
民訴法187条1項,民訴法187条2項
論点104第187条民事訴訟法

民訴法一八七条三項は本人尋問に準用されるか

裁判要旨民訴法一八七条三項は、本人尋問には準用されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年5月4日 昭和45(オ)514
登載
集民 第106号1頁
参照法条
民訴法187条3項
論点105第187条民事訴訟法

民訴法第一八七条第三項は本人尋問に準用されるか

裁判要旨民訴法第一八七条第三項は、本人尋問には準用されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和42年3月31日 昭和41(オ)1389
登載
民集 第21巻2号502頁
参照法条
民訴法187条3項
論点106第187条民事訴訟法

当事者一方の不出頭の弁論の更新

裁判要旨民訴法第一八七条第二項の手続を履践すべき場合、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年12月23日 昭和39(オ)1159
登載
集民 第81号769頁
参照法条
民訴法187条2項
論点107第187条民事訴訟法

控訴審における証人の再尋問の申出と民訴法第一八七条第三項後段の適用の有無。

裁判要旨民訴法第一八七条第三項後段の規定は、同一審級において裁判官の過半数が変更するに至った場合に証人の再尋問の申立があったときの手続を定めたものであって、第一審裁判所が尋問した証人につき、控訴審において再尋問の申出があった場合に適用すべきものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年7月3日 昭和38(オ)1397
登載
集民 第74号417頁
参照法条
民訴法187条3項,民訴法378条
論点108第187条民事訴訟法

民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるとされた事例。

裁判要旨基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年7月21日 昭和37(オ)832
登載
集民 第74号685頁
参照法条
民訴法187条1項,民訴法395条1項1号
論点109第187条民事訴訟法

民訴法第一八七条第三項後段は審級を異にした場合に適用あるか。

裁判要旨第一審裁判所が尋問した証人につき控訴審で再尋問の申出があつた場合、民訴法第一八七条第三項後段を適用することを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年4月17日 昭和38(オ)1104
登載
集民 第73号249頁
参照法条
民訴法187条3項後段
論点110第187条民事訴訟法

第一審において尋問した証人につき控訴審でさらに尋問の申出がなされた場合に必ずこれを尋問しなければならないか。

裁判要旨必ずしも尋問しなければならないものではない(昭和二七年一二月二五日第一小法廷判決、民集六巻一二号一二四〇頁参照)。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年9月3日 昭和36(オ)303
登載
集民 第67号379頁
参照法条
民訴法187条3項
論点111第187条民事訴訟法

民訴法第一八七条第三項の法意

裁判要旨民訴法第一八七条第三項は、同一審級における証人の再尋問に関する規定であつて、第一審において尋問された証人について、控訴審が同審における右証人の尋問申請を却下し、第一審における右証人の証言を事実認定の資料に供することは、同条項に違反するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月10日 昭和36(オ)990
登載
集民 第62号129頁
参照法条
民訴法187条3項
論点112第187条民事訴訟法

弁論更新の補正

裁判要旨続行期日における裁判官の更迭によつて弁論が更新された場合には、それ以前における裁判官の更迭についての弁論の更新がなくても、そのかしは補正される。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年4月20日 昭和35(オ)60
登載
集民 第60号345頁
参照法条
民訴法187条1項,民訴法187条2項
論点113第187条民事訴訟法

民訴法第一八七条第三項の「従前訊問ヲ為シタル証人ニ付当事者カ更ニ訊問ノ申出ヲ為シタルトキ」の意義

裁判要旨当事者甲の申し出により従前尋問された証人につき相手方乙からの尋問申出があつた場合には、民訴法第一八七条第三項による尋問を必要としない。
(補足意見がある)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年1月30日 昭和34(オ)1242
登載
集民 第58号377頁
参照法条
民訴法187条3項
論点114第187条民事訴訟法

一 停止条件付代物弁材契約が公序良俗に違反しないとされた事例
二 同一審級における裁判官の過半数の更迭と民訴法第一八七条第三項後段の適用の有無

裁判要旨適用なし。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年12月21日 昭和37(オ)616
登載
集民 第63号831頁
参照法条
民法90条,民法482条,民訴法187条
論点115第187条民事訴訟法

一 適法に弁論の更新がなされたものと認めえない事例。
二 弁論の更新手続をしないでなされた判決の違法。

裁判要旨一 従前の口頭弁論の結果を陳述した旨の記載が、調書の完成後、立会書記官以外の者によつてなされたときは、適法に弁論の更新が行われたものと認めるをえない。
二 裁判官の更迭があつたのにかからず、適法に弁論の更新手続をしないで、更迭後の裁判官によつてなされた判決は、民訴第三九五条第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉の違法がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年11月4日 昭和31(オ)691
登載
民集 第12巻15号3247頁
参照法条
民訴法142条,民訴法147条,民訴法187条,民訴法395条
論点116第187条民事訴訟法

民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法のある事例

裁判要旨基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴第三九五条第一項第一号〈督促異議の申立てによる訴訟への移行〉に該当する違法があるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年10月4日 昭和32(オ)212
登載
民集 第11巻10号1703頁
参照法条
民訴法187条1項,民訴法395条1項1号
論点117第187条民事訴訟法

一 当事者の一方だけが出頭した場合における民訴第一八七条第二項〈参考人等の審尋〉の手続
二 当事者の一方だけが出頭した場合における民訴第一八七条第二項の手続と調書の記載

裁判要旨一 民訴第一八七条第二項〈参考人等の審尋〉の手続を履践すべき場合、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは、裁判長は出頭した当事者に双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。
二 裁判官の更迭があつた場合、口頭弁論調書に、当事者の一方だけが出頭し「前回までの口頭弁論調書にもとづいて従前の口頭弁論の結果を陳述」したとの記載があるときは、出頭当事者において双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述したものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年4月13日 昭和29(オ)285
登載
民集 第10巻4号388頁
参照法条
民訴法187条2項
論点118第187条民事訴訟法

一 民訴第一八七条第三項〈参考人等の審尋〉後段の趣旨
二 証拠決定をしないで結審しても違法でない場合

裁判要旨一 民訴第一八七条第三項〈参考人等の審尋〉後段の規定は、同一審級において裁判官の過半数が変更するに至つた場合に証人の再尋問の申出があつたときの手続を定めたものであつて、第一審裁判所が尋問した証人につき控訴審において再尋問の申出があつた場合に適用すべきでない。
二 当事者の申し出た証拠が唯一の証拠方法でないときは、申出の許否を決定することなく結審しても違法でない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月25日 昭和24(オ)93
登載
民集 第6巻12号1240頁
参照法条
民訴法187条3項,民訴法259条
論点119第187条民事訴訟法

一 責問権喪失の事例
二 証拠申出の放棄と認められる事例
三 裁判所法第二六条第二項第一号の決定を変更する決定の適否
四 裁判所法第二六条第二項第一号の決定及びその変更決定の方式
五 合議体の審理が単独裁判官の審理に移行した場合と口頭弁論更新の要否
六 労務の提供と賃貸借契約の成否

裁判要旨一 甲証人尋問のため指定された期日に、別に期日外に申請されていた乙証人がたまたま在廷していたために、甲証人尋問に引き続いてその取調をした場合においても、当事者がその尋問について異議を述べなかつたときは、その証拠申請について特に意見を述べる機会が与えられていなくても、乙証人の証言を証拠とすることは差支えない。
二 本人尋問を申し出た当事者が、その尋問未済のまま口頭弁論終結に際して「他に主張立証はない」と述べたときは、その申出を放棄したものと認むべきである。
三 地方裁判所は、合議体で、裁判所法第二六条第二項一号の決定を変更して、一人の裁判官で事件を取り扱わしめる旨の決定をすることができる。
四 裁判所法第二六条第二項第一項の決定及びその変更決定は、口頭弁論調書若しくは合議体の裁判官全員の署名押印又は少くとも押印をもつて、記録上明白にして置くべきである。
五 合議体の審理が単独裁判官の審理に移行した場合において、その合議体の構成員が単独裁判官として引き続き審理をするときは、口頭弁論の更新を要しない。
六 家屋使用の対価としてその家屋の留守管理をする旨の契約は、賃貸借契約とはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年3月29日 昭和24(オ)63
登載
民集 第5巻5号177頁
参照法条
民訴法141条,民訴法258条,民訴法144条,民訴法207条,民訴法187条2項,裁判所法26条2項1号,民法601条
論点120第187条民事訴訟法

一 売買代金支払のため振り出された小切手の呈示期間経過後に支払銀行に対してなされた小切手金の払込と弁済の効力
二 判決の基本たる口頭弁論に臨席しない裁判官の判決関与と不服申立なき部分の破棄

裁判要旨一 売買当事者間に特段の契約があるか又は特段の慣習が存在しないかぎり、売買代金支払のため振り出された小切手の呈示期間経過後に買主が自己の取引銀行(支払銀行)の口座に小切手資金の払込をしただけでは、代金支払の効果を発生しない。
二 判決の基本たる口頭弁論に臨席しない判事が関与した判決の一部につき上告のなされた場合、上告裁判所は、不服申立のない部分についても破棄すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和25年9月15日 昭和24(オ)33
登載
民集 第4巻9号395頁
参照法条
民法484条,民訴法187条1項,民訴法395条1項1号,民訴法396条,民訴法385条
論点121第188条民事訴訟法

言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡と民訴法三八七条にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」

裁判要旨言渡期日の指定なくしてされた判決の言渡は、民訴法三八七条にいう「判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月15日 昭和62(オ)1076
登載
集民 第153号561頁
参照法条
民訴法152条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法396条
論点122第188条民事訴訟法

訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否

裁判要旨訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年10月1日 昭和62(オ)457
登載
集民 第152号1頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
論点123第188条民事訴訟法

口頭弁論を経ないで控訴を棄却する判決を言い渡す場合と判決言渡期日の告知及び呼出手続の要否

裁判要旨訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合には、当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを必要としない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年10月19日 昭和57(オ)541
登載
集民 第137号391頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法202条,民訴法384条
論点124第188条民事訴訟法

判決言渡期日の告知及び呼出状の送達を欠いたままされた判決言渡しと上告理由

裁判要旨期日外で判決言渡期日を指定しながら、当事者に対する右期日の告知及び呼出状の送達を欠いたままされた判決の言渡しは、違法ではあるが、右違法は、判決に影響を及ぼさないかぎり上告理由にならない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月24日 昭和50(オ)486
登載
集民 第116号375頁
参照法条
民訴法154条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法394条,民訴法396条
論点125第188条民事訴訟法

確定判決の弁論手続が民訴法一四三条に違反する場合と判決の絶対無効

裁判要旨確定判決の弁論手続に民訴法一四三条違反の違法があることを理由として、他の訴訟において、当該判決の無効を主張することは、許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年2月14日 昭和48(オ)552
登載
集民 第111号163頁
参照法条
民訴法143条,民訴法188条,民訴法387条,民訴法394条,民訴法395条,民訴法420条
論点126第189条民事訴訟法

裁判所書記官の判決原本領収の時期と原本に基づく判決言渡

裁判要旨判決言渡と裁判所書記官の判決原本領収との間に五十余日の経過があるからといつて、該判決が原本に基づかないで言い渡されたと認めなければならないことはない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年12月21日 昭和39(オ)1312
登載
集民 第81号713頁
参照法条
民訴法189条
論点127第189条民事訴訟法

判決原稿による言渡が判決原本に基づく言渡と同視された事例。

裁判要旨原稿により判決の言渡がなされた場合であつても、その当時判決原本たるべき文書の浄書を終えるばかりになつており、かつその当日中に判決原本が裁判所書記官に交付されたときは、右言渡は判決原本に基づいてなされたものと同視できるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月14日 昭和34(オ)1032
登載
集民 第65号119頁
参照法条
民訴法189条
論点128第189条民事訴訟法

一 判決言渡の方式遵守を記載した口頭弁論調書の効力
二 直前に施行された別件の証人尋問の調書を書証として提出することは可能か

裁判要旨一 判決言渡調書に判決がその原本に基き言い渡された旨記載されている以上、右言渡が判決原本に基かずしてなされたとの主張は、民訴第一四七条〈裁判上の請求による時効の完成猶予等〉により認められない。
二 別件の証人尋問の終了直後に引き続き開始された本件の口頭弁論において、右証人尋問の調書を書証として提出することは、不可能とはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和26年2月22日 昭和24(オ)224
登載
民集 第5巻3号102頁
参照法条
民訴法147条,民訴法189条1項,民訴法146条,民訴法322条
原

条文原文

原文ママ

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民事訴訟法 第179条(証明することを要しない事実) 詳細ページ
(証明することを要しない事実)
第百七十九条裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
民事訴訟法 第180条(証拠の申出) 詳細ページ
(証拠の申出)
第百八十条証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない。
2証拠の申出は、期日前においてもすることができる。
民事訴訟法 第181条(証拠調べを要しない場合) 詳細ページ
(証拠調べを要しない場合)
第百八十一条裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。
2証拠調べについて不定期間の障害があるときは、裁判所は、証拠調べをしないことができる。
民事訴訟法 第182条(集中証拠調べ) 詳細ページ
(集中証拠調べ)
第百八十二条証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならない。
民事訴訟法 第183条(当事者の不出頭の場合の取扱い) 詳細ページ
(当事者の不出頭の場合の取扱い)
第百八十三条証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。
民事訴訟法 第184条(外国における証拠調べ) 詳細ページ
(外国における証拠調べ)
第百八十四条外国においてすべき証拠調べは、その国の管轄官庁又はその国に駐在する日本の大使、公使若しくは領事に嘱託してしなければならない。
2外国においてした証拠調べは、その国の法律に違反する場合であっても、この法律に違反しないときは、その効力を有する。
民事訴訟法 第185条(裁判所外における証拠調べ) 詳細ページ
(裁判所外における証拠調べ)
第百八十五条裁判所は、相当と認めるときは、裁判所外において証拠調べをすることができる。この場合においては、合議体の構成員に命じ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所に嘱託して証拠調べをさせることができる。
2前項に規定する嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において証拠調べをすることを相当と認めるときは、更に証拠調べの嘱託をすることができる。
3裁判所(第一項の規定により職務を行う受命裁判官及び前二項に規定する嘱託により職務を行う受託裁判官を含む。)は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、第一項の規定による証拠調べの手続を行うことができる。
民事訴訟法 第186条(調査の嘱託) 詳細ページ
(調査の嘱託)
第百八十六条裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。
2裁判所は、当事者に対し、前項の嘱託に係る調査の結果の提示をしなければならない。
民事訴訟法 第187条(参考人等の審尋) 詳細ページ
(参考人等の審尋)
第百八十七条裁判所は、決定で完結すべき事件について、参考人又は当事者本人を審尋することができる。ただし、参考人については、当事者が申し出た者に限る。
2前項の規定による審尋は、相手方がある事件については、当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においてしなければならない。
3裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、参考人を審尋することができる。この場合において、当事者双方に異議がないときは、裁判所及び当事者双方と参考人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、参考人を審尋することができる。
4前項の規定は、当事者本人を審尋する場合について準用する。
民事訴訟法 第188条(疎明) 詳細ページ
(疎明)
第百八十八条疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。
民事訴訟法 第189条(過料の裁判の執行) 詳細ページ
(過料の裁判の執行)
第百八十九条この章の規定による過料の裁判は、検察官の命令で執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2過料の裁判の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。ただし、執行をする前に裁判の送達をすることを要しない。
3刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第七編第二章(第五百十一条、第五百十一条の二及び第五百十三条第七項から第十項までを除く。)の規定は、過料の裁判の執行について準用する。この場合において、同条第一項中「者若しくは裁判の執行の対象となるもの」とあるのは「者」と、「裁判の執行の対象となるもの若しくは裁判」とあるのは「裁判」と読み替えるものとする。
4過料の裁判の執行があった後に当該裁判(以下この項において「原裁判」という。)に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料の裁判をしたときは、その金額の限度において当該過料の裁判の執行があったものとみなす。この場合において、原裁判の執行によって得た金額が当該過料の金額を超えるときは、その超過額は、これを還付しなければならない。
出

一次情報

原文ママ

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