論点1第886条民法
旧民法第八八六条による親族会の同意を得ないでした親権者の法律行為の効力
裁判要旨旧民法第八八六条による親族会の同意を得なければならない法律行為を親権者が右同意なしに行つた場合、その行為は当然無効とならず、旧民法第八八七条による取消がなされていないかぎりは有効として取扱われる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年2月15日 昭和35(オ)557
- 登載
- 集民 第58号633頁
- 参照法条
- 民法601条,旧民法886条,旧民法887条
論点2第886条民法
未成年者の親権者母が親族会の同意を得ないでした家屋譲渡契約を取り消したことによる原状回復義務と同時履行。
裁判要旨親権者母が、親族会の同意を得ないでした家屋譲渡契約を取り消したときは、その原状回復義務については民法第五三三条を準用すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年6月16日 昭和24(オ)191
- 登載
- 民集 第7巻6号629頁
- 参照法条
- 旧民法886条3号,旧民法887条,民法546条,民法533条,民法121条
論点3第886条民法
民法応急措置法施行前に親権を行う母が旧民法第八八六条の規定に違反してした契約を同法施行後新民法施行前において取り消すことができるか。
裁判要旨民法応急措置法施行前に、親権者たる母が親族会の同意を得ずして未成年の子に代つてした契約は、同法施行後、新民法施行前においても、これを取り消すことはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和25年11月10日 昭和24(オ)100
- 登載
- 民集 第4巻11号538頁
- 参照法条
- 旧民法886条,民法応急措置法2条,新民法附則15条
論点4第887条民法
民法応急措置法施行中に相続が開始した場合と被相続人の兄弟姉妹の直系卑属の代襲相続権の有無
裁判要旨日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律の施行中に相続が開始し、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合において、同人らが右相続開始前に死亡していたときは、同人らの直系卑属は代襲相続権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月22日 昭和41(オ)106
- 登載
- 民集 第22巻12号2777頁
- 参照法条
- 日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律1条,日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律7条,旧民法994条,旧民法995条,旧民法996条,民法887条,民法889条
論点5第887条民法
大韓民国人について昭和三一年当時生じた遺産相続の相続人
裁判要旨大韓民国においては、昭和三一年当時には、家族である未婚者の死亡した場合、その遺産は、家に在るが、父のいないときは、母がこれを相続すべき慣習上の相続権を有し、また家族の一員である配遇者のある男子の死亡した場合、その遺産は、被相続人の妻および男女を問わずすべての直系卑属がこれを共同相続する慣習上の相続権を有していたものと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月10日 昭和34(オ)1194
- 登載
- 民集 第16巻8号1712頁
- 参照法条
- 民法887条,民法889条,民法890条,法例25条
論点6第887条民法
「相続させる」旨の遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合における当該遺言の効力
裁判要旨遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成23年2月22日 平成21(受)1260
- 登載
- 民集 第65巻2号699頁
- 参照法条
- 民法887条,民法908条,民法985条
論点7第887条民法
被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができない者
裁判要旨被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者は被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和6年11月12日 令和5(行ヒ)165
- 登載
- 民集 第78巻6号1377頁
- 参照法条
- 民法887条2項、民法889条1項2号、2項
論点8第891条民法
遺言書又はこれについてされた訂正が方式を欠き無効である場合に遺言者の意思を実現させる趣旨で方式を具備させ有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為と民法八九一条五号〈相続人の欠格事由 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者〉所定の相続欠格事由
裁判要旨相続に関する被相続人の遺言書又はこれについてされている訂正が方式を欠き無効である場合に、相続人が右方式を具備させて有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為は、民法
八九一条五号〈相続人の欠格事由 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者〉にいう遺言書の偽造又は変造にあたるが、それが遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたにすぎないものであるときは、右相続人は同号所定の相続欠格者にあたらない。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年4月3日 昭和55(オ)596
- 登載
- 民集 第35巻3号431頁
- 参照法条
- 民法891条5号
論点9第891条民法
相続に関する不当な利益を目的としない遺言書の破棄隠匿行為と相続欠格事由
裁判要旨相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法
八九一条五号〈相続人の欠格事由 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者〉所定の相続欠格者に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年1月28日 平成6(オ)804
- 登載
- 民集 第51巻1号184頁
- 参照法条
- 民法891条
論点10第891条民法
民法八九一条五号〈相続人の欠格事由 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者〉にいう遺言書の隠匿に当たらないとされた事例
裁判要旨被相続人甲からその子乙が遺言公正証書の正本の保管を託され、乙は遺産分割協議の成立に至るまで法定相続人の一人である姉に対して遺言書の存在と内容を告げなかったが、甲の妻丙は甲が公正証書によって遺言をしたことを知っており、丙の実家の当主は証人として遺言書の作成に立ち会った上、遺言執行者の指定を受け、また、乙は遺産分割協議の成立前に法定相続人の一人である妹に対して遺言公正証書の正本を示してその存在と内容を告げたなど判示の事実関係においては、乙の行為は、民法
八九一条五号〈相続人の欠格事由 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者〉にいう遺言書の隠匿に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成6年12月16日 平成4(オ)658
- 登載
- 集民 第173号503頁
- 参照法条
- 民法891条5号
論点11第891条民法
共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えと固有必要的共同訴訟
裁判要旨共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成16年7月6日 平成15(受)1153
- 登載
- 民集 第58巻5号1319頁
- 参照法条
- 民訴法40条,民訴法134条,民法891条,民法898条
論点12第892条民法
家事審判法九条一項乙類九号の推定相続人廃除に関する処分の審判の合憲性
裁判要旨家事審判法九条一項乙類九号の推定相続人廃除に関する審判は、憲法八二条、三一条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和59年3月22日 昭和57(ク)329
- 登載
- 集民 第141号379頁
- 参照法条
- 家事審判法9条1項乙類9号,民法892条,憲法31条,憲法82条
論点13第892条民法
推定相続人廃除請求事件の性質
裁判要旨民法
八九二条〈推定相続人の廃除〉の推定相続人廃除の規定は、被相続人に対し実体法の相続人廃除権ないし廃除請求権を付与したものではなく、右推定相続人廃除請求の手続は、非訟事件たる性質を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年7月10日 昭和54(ク)149
- 登載
- 集民 第130号205頁
- 参照法条
- 憲法32条,憲法82条,民法892条,家事審判法9条1項乙類9号
論点14第893条民法
遺言執行者による推定相続人の廃除の申立てを却下する審判に対し他の推定相続人である参加人が即時抗告をすることの許否
裁判要旨遺言執行者が推定相続人の廃除を求める審判手続において,廃除を求められていない推定相続人が利害関係人として審判手続に参加した場合に,参加人は廃除の申立てを却下する審判に対して即時抗告をすることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成14年7月12日 平成14(許)2
- 登載
- 集民 第206号815頁
- 参照法条
- 民法893条,家事審判法14条,家事審判規則14条,家事審判規則27条2項,家事審判規則100条2項
論点15第895条民法
一 民法第八九五条〈推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理〉と遺贈の目的物についての受遺者の仮処分申請の許否
二 民法第一〇一二条〈遺言執行者の権利義務〉と遺贈の目的物についての受遺者の仮処分申請の許否
三 民法第九七六条〈死亡の危急に迫った者の遺言〉による遺言と医師の立会等の要否
裁判要旨一 民法
第八九五条〈推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理〉の規定は、受遺者が、相続人廃除の手続進行中、相続人から遺贈の目的物を譲り受けた第三者に対し、右目的物につき仮処分を申請することを妨げるものではない。
二 民法
第一〇一二条〈遺言執行者の権利義務〉の規定は、受遺者が自ら遺贈の目的物につき仮処分を申請することを妨げるものではない。
三 禁治産者でない通常人が民法
第九七六条〈死亡の危急に迫った者の遺言〉による遺言をなす場合には、医師二人以上の立会その他同法第九七三条所定の方式を必要とするものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年5月10日 昭和28(オ)943
- 登載
- 民集 第9巻6号657頁
- 参照法条
- 民法895条,民法1012条,民法976条,民法982条,民法973条,民訴法755条