論点1第24条労働基準法
使用者がその責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合の労働基準法一二条四項〈この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の…〉所定の賃金と労働者が解雇期間中他の職に就いて得た利益額の控除
裁判要旨使用者が、その責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合、労働基準法
一二条四項〈この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の…〉所定の賃金については、その全額を対象として、右賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に労働者が他の職に就いて得た利益の額を控除することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年4月2日 昭和59(オ)84
- 登載
- 集民 第150号527頁
- 参照法条
- 民法536条2項,労働基準法12条1項,労働基準法12条4項,労働基準法24条1項,労働基準法26条
論点2第24条労働基準法
出張・外勤命令に従わず内勤業務に従事した従業員らに対し使用者が賃金の支払義務を負わないとされた事例
裁判要旨使用者が、従業員らに対し、文書により個別に、就業すべき日、時間、場所及び業務内容を指定して出張・外勤を命ずる業務命令を発したが、従業員らが、いずれも所属労働組合の外勤・出張拒否闘争に従い、右指定された時間に会社に出勤し、内勤の場合における各人の分担に応じ内勤業務に従事し、右業務命令に対応する労務を提供しなかつた等、判示の事実関係の下においては、右従業員らは債務の本旨に従つた労務の提供をしたものとはいえず、使用者は、その時間に対応する賃金の支払義務を負わない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和60年3月7日 昭和55(オ)39
- 登載
- 集民 第144号141頁
- 参照法条
- 民法493条,労働基準法24条
論点3第24条労働基準法
賞与の支給日前に嘱託期間の満了により退職した会社の嘱託が当該賞与の受給権を有しないとされた事例
裁判要旨「賞与はその支給日に在籍している従業員及び嘱託に対してのみ支給する。ただし、賞与の計算期間中に在籍し支給日に在籍しない定年退職又は死亡退職の従業員及び死亡解嘱の嘱託に対しては当該賞与を支給する。」との慣行が存するときは、賞与の支給日前に嘱託期間の満了により退職した会社の嘱託は、当該賞与の計算期間中に在籍していても、当該賞与の受給権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和60年11月28日 昭和60(オ)258
- 登載
- 集民 第146号165頁
- 参照法条
- 労働基準法24条
論点4第24条労働基準法
ユニオン・シヨツプ協定に基づく解雇が無効である場合における労働者の賃金請求権
裁判要旨労働組合から除名された労働者に対してされたユニオン・シヨツプ協定に基づく解雇が権利の濫用として無効である場合には、右解雇を理由として労務提供の受領が拒否されても、労働者は、賃金請求権を失わない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和59年3月29日 昭和55(オ)1030
- 登載
- 集民 第141号461頁
- 参照法条
- 労働基準法24条,民法536条2項
論点5第24条労働基準法
賞与の支給日前に退職した者が当該賞与の受給権を有しないとされた事例
裁判要旨就業規則の「賞与は決算期毎の業績により各決算期につき一回支給する。」との定めが「賞与は決算期毎の業績により支給日に在籍している者に対し各決算期につき一回支給する。」と改訂された場合において、右改訂前から、年二回の決算期の中間時点を支給日と定めて当該支給日に在籍している者に対してのみ右決算期を対象とする賞与が支給されるという慣行が存在し、右就業規則の改訂は単に従業員組合の要請によつて右慣行を明文化したにとどまるものであつて、その内容においても合理性を有するときは、賞与の支給日前に退職した者は当該賞与の受給権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年10月7日 昭和56(オ)661
- 登載
- 集民 第137号297頁
- 参照法条
- 労働基準法24条
論点6第24条労働基準法
ストライキ期間中の家族手当の削減が違法とはいえないとされた事例
裁判要旨ストライキの場合における家族手当の削減が昭和二三年ころから昭和四四年までは就業規則の規定に基づいて実施されており、その後右規定が削除され同様の規定が社員賃金規則細部取扱のうちに定められてからも従前の取扱が引続き異議なく行われてきたなど、原判示の事実関係のもとにおいては、ストライキの場合における家族手当の削減は労使問の労働慣行として成立していたものであり、このような労働慣行のもとにおいてされた本件ストライキ期間中の家族手当の削減は、違法とはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和56年9月18日 昭和51(オ)1273
- 登載
- 民集 第35巻6号1028頁
- 参照法条
- 労働基準法24条,労働基準法37条2項
論点7第24条労働基準法
無効な休職処分により就労を拒否された労働者の右期間中の賃金請求につき平均査定配分額の限度で賃金協定中の賃上額のいわゆる査定部分に関する協定の効力が右労働者にも及ぶものとして賃上額による賃金請求権が認められた事例
裁判要旨(省略)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年7月18日 昭和52(オ)398
- 登載
- 集民 第124号441頁
- 参照法条
- 民法623条,労働基準法24条,労働組合法16条
論点8第24条労働基準法
同業他社への転職者に対する退職金の支給額を一般の退職の場合の半額と定めた退職金規定の効力
裁判要旨原審確定の事実関係のもとにおいては、会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限し、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給する退職金の額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることは、労働基準法
三条〈均等待遇〉、
一六条〈賠償予定の禁止〉、
二四条〈賃金の支払〉及び民法九〇条に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年8月9日 昭和51(オ)1270
- 登載
- 集民 第121号225頁
- 参照法条
- 労働基準法3条,労働基準法16条,労働基準法24条,民法90条
論点9第24条労働基準法
公立学校の教員につき給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法二四条一項〈賃金の支払〉本文の規定に違反し許されないとされた事例
裁判要旨省略
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和50年3月6日 昭和46(オ)569
- 登載
- 集民 第114号299頁
- 参照法条
- 労働基準法24条1項本文,民法505条1項,地方公務員法25条1項
論点10第24条労働基準法
一、賃金にあたる退職金債権放棄の効力
二、賃金にあたる退職金債権の放棄が労働者の自由な意思に基づくものとして有効とされた事例
裁判要旨一、賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である。
二、甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年1月19日 昭和44(オ)1073
- 登載
- 民集 第27巻1号27頁
- 参照法条
- 労働基準法11条,労働基準法24条1項,民法91条,民法519条
論点11第24条労働基準法
賞与協定中の欠勤控除条項に基づきストライキによる不就労の日数に応じて賞与から控除することが労働組合法七条一号〈公民権行使の保障〉に違反しないとされた事例
裁判要旨賞与協定中に欠勤控除条項として、欠勤一日につき一率分賞与の一五〇分の一を控除する(遅刻、早退は三回をもつて欠勤一日とする)旨の定めがある場合に、右条項に基づきストライキによる不就労の日数に応じて賞与から控除することは、労働組合法七条一号に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年12月18日 昭和44(オ)489
- 登載
- 集民 第110号715頁
- 参照法条
- 労働組合法7条1号,労働基準法24条1項
論点12第24条労働基準法
一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺と労働基準法二四条一項〈賃金の支払〉本文
二、公立学校の教員につき給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法二四条一項本文の規定に違反し許されないとされた事例
裁判要旨一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてなされ、しかも、その金額、方法等においても労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものである場合にかぎり、労働基準法
二四条一項〈賃金の支払〉本文による制限の例外として許される。
二、公立学校の教員らに対して昭和三三年一〇月および一二月に支給された給与中に最高一か月分給与の約二七・三。パーセント、最低同じく約三・八。パーセントに相当する金額の過払があり、右過払金の返還請求権を自働債権とし、同三四年三月二〇日に支給されるべき同月分の給与の支払請求権を受働債権として相殺がなされた場合、右相殺の遅れた主な原因が、その事務を担当していた県教育委員会事務局において、相殺をするかどうかまたはその法律上の可否、根拠等の調査研究等に相当の日時を費し、あるいは他の所管事務の処理に忙殺されていた点にあつたなど判示の事情があるにとどまるときは、右相殺は、いまだ労働基準法二四条一項本文の規定による制限の例外として許される場合にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月30日 昭和42(行ツ)61
- 登載
- 民集 第24巻11号1693頁
- 参照法条
- 労働基準法24条1項本文,民法505条1項,地方公務員法25条1項
論点13第24条労働基準法
一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺と労働基準法二四条一項〈賃金の支払〉
二、公立中学校の教員につき、給与過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、その後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法二四条一項の規定に違反しないとされた事例
裁判要旨一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、かつ、あらかじめ労働者に予告されるとかその額が多額にわたらない等労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものであるときは、労働基準法
二四条一項〈賃金の支払〉の規定に違反しない。
二、公立中学校の教員に対して昭和三三年一二月一五日に支給された勤勉手当中に九四〇円の過払があつた場合において、昭和三四年一月二〇日頃右教員に対し過払金の返納を求め、この求めに応じないときは翌月分の給与から過払額を減額する旨通知したうえ、過払金の返還請求権を自働債権とし、同年三月二一日に支給される同月分の給料および暫定手当合計二万二九六〇円の支払請求権を受働債権としてした原判示の相殺(原判決理由参照)は、労働基準法
二四条一項の規定に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年12月18日 昭和40(行ツ)92
- 登載
- 民集 第23巻12号2495頁
- 参照法条
- 労働基準法24条1項,民法505条1項,地方公務員法25条1項
論点14第24条労働基準法
一、退職金の支払と労働基準法第二四条第一項の適用
二、退職金債権の譲渡性の有無
裁判要旨一、退職金は、労働基準法
第一一条〈この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを…〉にいう労働の対償としての賃金に該当し、その支払については性質の許すかぎり、同法
第二四条第一項〈賃金の支払〉本文の直接払の原則が適用される。
二、退職金債権は同法第二四条第一項本文にかかわらず譲渡することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年5月28日 昭和42(オ)511
- 登載
- 集民 第91号133頁
- 参照法条
- 労働基準法11条,労働基準法24条1項,民法466条
論点15第24条労働基準法
一、国家公務員等退職手当法に基づく退職手当の支払と労働基準法第二二四条一項の適用または準用の有無
二、右退職手当の受給権を譲り受けた者が国または公社に対し直接支払を求めることの許否
裁判要旨一、国家公務員等退職手当法に基づいて支給される一般の退職手当は、労働基準法
第一一条〈この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを…〉所定の賃金に該当し、その支払については、性質の許すかぎり、同法
第二四条第一項〈賃金の支払〉本文の規定が適用または準用される。
二、右退職手当の支給前に、退職者またはその予定者が退職手当の受給権を他に譲渡した場合において、譲受人が直接国または公社に対してその支払を求めることは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年3月12日 昭和40(オ)527
- 登載
- 民集 第22巻3号562頁
- 参照法条
- 国家公務員等退職手当法2条,労働基準法11条,労働基準法24条1項,労働基準法120条,民法466条
論点16第24条労働基準法
ストライキを理由とする賃金の削減ができる固定給と認めた判断に審理不尽の違法があるとされた事例。
裁判要旨月掛生命保険外務職員のストライキを理由として、当該職員に支給すべき給与のうちから特定項目の給料を削減したことの適否を判断するにあたり、かかる削減を行なうことのできる特段の事情があるかどうか、それがないとすれば、右給料が拘束された勤務時間に応じて支払われる賃金としての性格を有するかどうかを審究することなく、単に、勤務時間拘束の制度が仕事の成果に応ずる能率給の実を挙げるために設けられたものではなく、また右給料が一定の資格にとどまる間その期間中における募集、集金の成果と関係なく支給されるということから、これをいわゆる固定給と認めてストライキによる削減を適法と判断したことは、審理不尽の違法をおかしたものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年2月5日 昭和37(オ)1452
- 登載
- 民集 第19巻1号52頁
- 参照法条
- 労働基準法24条,民法624条,民訴法395条1項6号
論点17第24条労働基準法
使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することの可否およびその限度。
裁判要旨使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することはできるが、その限度は、平均賃金の四割の範囲内にとどめるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月20日 昭和36(オ)190
- 登載
- 民集 第16巻8号1656頁
- 参照法条
- 民法536条2項,労働基準法26条,労働基準法24条1項
論点18第24条労働基準法
使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することの可否およびその限度。
裁判要旨使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することはできるが、その限度は、平均賃金の四割の範囲内にとどめるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月20日 昭和36(オ)189
- 登載
- 集民 第61号737頁
- 参照法条
- 民法536条2項,労働基準法24条1項,労働基準法26条
論点19第24条労働基準法
労働者の賃金債権に対し不法行為を原因とする債権をもつてする相殺の許否。
裁判要旨労働者の賃金債権に対しては、使用者は、労働者に対して有する不法行為を原因とする債権をもつても相殺することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和36年5月31日 昭和34(オ)95
- 登載
- 民集 第15巻5号1482頁
- 参照法条
- 労働基準法24条,労働基準法17条,民法505条,民法509条
論点20第24条労働基準法
一 労働基準法第二四条第二項〈賃金の支払〉違反(賃金不払)罪の罪数を定める基準
二 事業主たる法人の代表者と同法第一二一条第一項の代理人
裁判要旨一 労働基準法
第二四条第二項〈賃金の支払〉違反(賃金不払)罪は、その犯意が単一であると認め難いときは、支払を受け得なかつた労働者各人毎に同条違反の罪が成立すると認むべきである。
二 事業主たる法人の代表者は、同法第一二一条第一項の代理人というに包含されている趣旨と解するの相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年3月26日 昭和33(あ)1614
- 登載
- 刑集 第13巻3号401頁
- 参照法条
- 労働基準法24条1項,労働基準法121条
論点21第24条労働基準法
一 労働基準法第二四条〈賃金の支払〉に定められた資金支払義務者の意義
二 表面上は会社の有限責任社員に過ぎないが事実上会社運営の実権を握り経営を担当している者と労働基準法第一〇条〈この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべ…〉にいわゆる「使用者」
裁判要旨一 労働基準法
一二〇条一号〈次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 第十四条、第十五条第一項若しくは第三項、第十八条第七項、第二十二条第一項から第三項まで、第二十三条から第二十七条まで、第三十二条の二第二項(第三十二条の三第四項、第三十二条の四第四項及び第三十二条の五第三項において準用する場合を含む。)、第三十二条の五第二項、第三十三条第一項ただし書、第三十八条の二第三項(第三十八条の三第二項において準用する場合を含む。)、第三十九条第七項、第五十七条から第五十九条まで、第六十四条、第六十八条、第八十九条、第九十条第一項、第九十一条、第九十五条第一項若しくは第二項、第九十六条の二第一項、第百五条(第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第百六条から第百九条までの規定に違反した者〉にいわゆる
第二四条〈賃金の支払〉の規定に違反した者とは、同法
二四条の規定により賃金を支払うべき使用者であつて、しかも、同条に違反した物をいうものと解するを相当とする。
二 労働基準法で使用者とは、同法
一〇条〈この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべ…〉において、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」と規定している。されば、第一審判決が、被告人を「表面上は同会社の有限責任社員に過ぎないが事実上は右設立以来同会社は同被告人経営の個人商店の如く同会社運営に関する実権を握つて同会社の経営を担当してゐるもの」と認定判示して、本件行為に対し同法二四条二項、一二〇条一号等を適用したのは、正当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年12月20日 昭和26(あ)3254
- 登載
- 刑集 第5巻13号2552頁
- 参照法条
- 労働基準法10条,労働基準法24条
論点22第24条労働基準法
一 いわゆるチェック・オフと労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)二四条一項
二 いわゆるチェック・オフの中止が労働組合法七条三号の不当労働行為に該当しないとされた事例
裁判要旨一 いわゆるチェック・オフは、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)
二四条一項〈賃金の支払〉但書の要件を具備しない限り、これをすることができない。
二 使用者が過去一五年余にわたってしてきたいわゆるチェック・オフを中止した場合において、当時労働組合から脱退者が続出して、労働組合が当該事業場の従業員の過半数で組織されているかどうか極めて疑わしく、かつ、右チェック・オフについては書面による協定がなかったなど判示のような事実関係の下では、右中止は、労働組合法七条三号の不当労働行為には該当しない。
(一、二につき反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成元年12月11日 昭和63(行ツ)157
- 登載
- 民集 第43巻12号1786頁
- 参照法条
- 労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)24条1項,労働組合法7条3号
論点23第24条労働基準法
労働組合の組合員から組合費のチェック・オフを行ってこれを併存する別組合に交付したことが不当労働行為に当たる場合に右組合費相当額を組合員にではなくその所属組合に支払うことを命ずる救済命令が違法とされた事例
裁判要旨甲労働組合の内部抗争によりそれぞれ甲組合と同一名称を名乗る乙組合と丙組合とが併存するに至った後に、使用者が、甲組合とのいわゆるチェック・オフ協定に基づき、乙組合の組合員から組合費のチェック・オフを行い、これを丙組合に交付したことが不当労働行為に当たる場合であっても、右組合費相当額を、組合員個人に対してではなく、乙組合に支払うことを命ずる救済命令は、乙組合との間にチェック・オフ協定の締結もなく、組合員からのその旨の委任もない以上、救済命令に関する労働委員会の裁量権の合理的行使の限界を超えるものとして、違法である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成7年2月23日 平成3(行ツ)91
- 登載
- 民集 第49巻2号281頁
- 参照法条
- 労働組合法7条3号,労働組合法27条4項,労働組合法27条12項,労働基準法24条1項
論点24第24条労働基準法
いわゆるチェック・オフと個々の組合員からの委任の要否
裁判要旨使用者と労働組合との間にいわゆるチェック・オフ協定が締結されている場合であっても、使用者が有効なチェック・オフを行うためには、賃金から控除した組合費相当分を労働組合に支払うことにつき個々の組合員から委任を受けることが必要である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成5年3月25日 平成3(オ)928
- 登載
- 集民 第168号127頁
- 参照法条
- 労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)24条1項,民法643条,民法651条1項
論点25第24条労働基準法
一 使用者が労働者の同意を得て労働者の退職金債権に対してする相殺と労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)二四条〈賃金の支払〉・一項本文
二 使用者が労働者の同意の下に労働者の退職金債権等に対してした相殺が有効とされた事例
三 使用者が労働者の同意の下に労働者の退職金債権等に対してして相殺が否認権行使の対象とならないとされた事例
裁判要旨一 使用者が労働者の同意を得て労働者の退職金債権に対してする相殺は、右同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)
二四条一項〈賃金の支払〉本文に違反しない。
二 甲会社の従業員乙が、銀行等から住宅資金の貸付けを受けるに当たり、退職時には乙の退職金等により融資残債務を一括返済し、甲会社に対しその返済手続を委任する等の約定をし、甲会社が、乙の同意の下に、右委任に基づく返済費用前払請求権をもつて乙の有する退職金債権等と相殺した場合において、右返済に関する手続を乙が自発的に依頼しており、右貸付けが低利かつ相当長期の挽割弁済の約定の下にされたものであつて、その利子の一部を甲会社が負担する措置が執られるなど判示の事情があるときは、右相殺は、乙の自由な意思に基づくものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効と解すべきである。
三 甲会社の従業員乙が、銀行等から住宅資金の貸付けを受けるに当たり、退職時には乙の退職金等により融資残債務を一括返済し、甲会社に対しその返済手続を委任する等の約定をした場合において、甲会社が、乙の破産宣告前、右約定の趣旨を確認する旨の乙の同意の下に、右委任に基づく返済費用前払請求権をもつてした乙の有する退職金債権等との相殺は、否認権行使の対象とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成2年11月26日 昭和63(オ)4
- 登載
- 民集 第44巻8号1085頁
- 参照法条
- 労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)24条1項,民法91条,民法505条1項,破産法72条,破産法98条
論点26第24条労働基準法
学校法人の理事会が,人事院勧告に準拠して給与規程を改定し,教職員の月例給を引き下げることを決定した上,12月期の期末勤勉手当につき,改定後の給与規程に基づいて算定した額からその年の4月分から11月分までの給与の減額分を控除するなどの調整をしてその支給額を定めた場合において,上記調整をする旨の決定がその効力を否定されることはないとされた事例
裁判要旨学校法人の理事会が,人事院勧告に準拠して給与規程を改定し,教職員の月例給を引き下げることを決定した上,12月期の期末勤勉手当につき,改定後の給与規程に基づいて算定した額からその年の4月分から11月分までの給与の減額分を控除するなどの調整をしてその支給額を定めた場合において,(1)期末勤勉手当の支給については,給与規程に「その都度理事会が定める金額を支給する。」との定めがあるにとどまり,具体的な支給額又はその算定方法の定めがないこと,(2)前年度の支給実績を下回らない期末勤勉手当を支給する旨の労使慣行が存したなどの事情もうかがわれないこと,(3)これに先立つ理事会における議決で,期末勤勉手当の算定基礎額と乗率が一応決定されたものの,人事院勧告を受けて後に理事会で正式に決定する旨の留保が付されていたことなど判示の事情の下では,上記調整をする旨の決定は,既に発生した具体的権利である期末勤勉手当の請求権を処分し又は変更するものであるとはいえず,この観点から効力を否定されることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成19年12月18日 平成17(受)2044
- 登載
- 集民 第226号539頁
- 参照法条
- 労働基準法11条,労働基準法24条1項,労働基準法89条4号
論点27第24条労働基準法
使用者の責めに帰すべき事由による解雇の期間中の賃金につき使用者が支払義務を負う金額を算定する場合において期末手当等の全額を対象として労働者が他の職に就いて得た利益の額を控除すべきであるとされた事例
裁判要旨使用者の責めに帰すべき事由による解雇の期間中の賃金につき使用者が支払義務を負う金額を算定する場合において,労働者が同期間中に他の職に就いて得た利益の額が当該利益を得た期間における平均賃金合計額の4割を超え,かつ,使用者が労働者に対し労働基準法12条4項所定の賃金に当たる期末手当及び勤勉手当を支払うこととされているという事実関係の下では,上記利益を得た期間に時期的に対応する期間に係る期末手当及び勤勉手当の全額を対象として,上記の平均賃金合計額の4割を超える利益の額を控除すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年3月28日 平成15(受)1099
- 登載
- 集民 第219号1033頁
- 参照法条
- 民法536条2項,労働基準法12条1項,4項,労働基準法24条1項,労働基準法26条
論点28第24条労働基準法
債権譲渡の対価としてされた金銭の交付が貸金業法2条1項と出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条3項〈強制労働の禁止〉にいう「貸付け」に当たるとされた事例
裁判要旨債権譲渡の対象が労働者の使用者に対する賃金債権であり、譲受人は、自ら使用者に対して支払を求めることは許されず、実際には債権を買い戻させることなどにより労働者から資金を回収するほかなく、労働者は、事実上自ら債権を買い戻さざるを得なかったなどの判示の事情(判文参照)の下では、譲受人から労働者に対する金銭の交付は、形式的には、債権譲渡の対価としてされたものであり、使用者の不払の危険を譲受人が負担するとされていたとしても、貸金業法2条1項と出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
5条3項〈強制労働の禁止〉にいう「貸付け」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日 令和4(あ)288
- 登載
- 刑集 第77巻2号13頁
- 参照法条
- 貸金業法2条1項、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条3項、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律7条、労働基準法24条1項
論点29第26条労働基準法
一 労働基準法二六条〈休業手当〉の「使用者の責に帰すべき事由」と民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」
二 部分ストライキのため会社が命じた休業が労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものとはいえないとされた事例
裁判要旨一 労働基準法
二六条〈休業手当〉の「使用者の責に帰すべき事由」は、民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む。
二 定期航空運輸事業を営む会社に職業安定法四四条違反の疑いがあつたことから、労働組合がその改善を要求して部分ストライキを行つた場合であつても、同社がストライキに先立ち、労働組合の要求を一部受け入れ、一応首肯しうる改善案を発表したのに対し、労働組合がもつぱら自らの判断によつて当初からの要求の貫徹を目指してストライキを決行したなど判示の事情があるときは、右ストライキにより労働組合所属のストライキ不参加労働者の労働が社会観念上無価値となつたため同社が右不参加労働者に対して命じた休業は、労働基準法
二六条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものということができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和62年7月17日 昭和57(オ)1189
- 登載
- 民集 第41巻5号1283頁
- 参照法条
- 労働基準法26条,民法536条2項