論点1第271条刑事訴訟法
起訴状謄本の不送達と公訴時効停止の効力
裁判要旨刑訴法
二五四条一項〈時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める…〉の規定は、起訴状の謄本が法定の期間内に被告人に送達されなかつたため決定で公訴が棄却される場合にも適用があり、公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は、右公訴棄却決定の確定した時から再びその進行を始める。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和55年5月12日 昭和54(あ)621
- 登載
- 刑集 第34巻3号185頁
- 参照法条
- 刑訴法254条1項,刑訴法271条2項,刑訴法339条1項1号
論点2第271条刑事訴訟法
一 被告人であるアメリカ合衆国軍人等に対する訴訟書類の送達方法
二 被告人であるアメリカ合衆国軍属に対する起訴状謄本の送達の瑕疵と公訴提起の効力
裁判要旨一 被告人であるアメリカ合衆国軍人等に対する訴訟書類の送達をするには、刑訴法
五四条〈書類の送達については、裁判所の規則に特別の定めのある場合を除いては、民事訴訟に関する法令の規定(民事訴訟法(平成八年法律…〉によつて準用される民訴法一六九条その他によるほか、日米合同委員会の合意事項たる「日米行政協定の実施上問題となる事項に関する件」八項Eによるべきである。
二 被告人であるアメリカ合衆国軍属に対する起訴状謄本の送達につき、送達すべき場所の表示を誤つたほか、日本文の起訴状の謄本自体が被告人本人に交付されなかつた瑕疵があつたとしても、横須賀米海軍基地司令部法務部気付で被告人宛とされた右起訴状謄本が同法務部に送付され、米軍当局の慣行に従い、同法務部が職務上これを英文を翻訳したのち、同英訳にかかる起訴状が弁護人選任に関する通知とともに被告人本人に交付されたときは、右送達の瑕疵は、いまだ被告人に対する公訴提起の効力を失わせるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和47年7月28日 昭和46(あ)1422
- 登載
- 刑集 第26巻6号397頁
- 参照法条
- 刑訴法54条,刑訴法271条,刑訴法272条,刑訴法339条1項1号,刑訴規則176条,刑訴規則177条,民訴法169条,民訴法削除前の167条,日米行政協定の実施上問題となる事項に関する件8項E
論点3第271条刑事訴訟法
一 起訴状(略式命令請求書)との間に記載内容上軽微とはいえない差異がある略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合における審理の対象
二 訴因罰条の追加を明確な形でなさしめなかつた訴訟手続上の瑕疵が治癒されたものと認められた事例
裁判要旨一 訴因について起訴状(略式命令請求書)と略式命令との各記載内容に軽微とはいえない差異(判文参照)があり、被告人には略式命令の謄本だけが送達されたまま、右略式命令に対し正式裁判の請求がなされ公判が開始された場合、その公判における審理の対象(訴因)は、起訴状と略式命令との各記載内容が一致した部分にかぎられるものと解すべきである。
二 本件のように実質において訴因、罰条の追加と同視できる手続がなされている場合(判文参照)、その訴因、罰条の追加を明確な形でなさしめなかつたという点において、第一審判決に訴訟手続上の瑕疵があつたとしても、控訴趣意中になんら右瑕疵の指摘がなされていないときには、右瑕疵は既に治癒されたものと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月24日 昭和42(あ)1798
- 登載
- 刑集 第21巻9号1258頁
- 参照法条
- 刑訴法256条,刑訴法271条,刑訴法461条,刑訴法463条,刑訴法312条
論点4第271条刑事訴訟法
起訴状謄本不送達による公訴棄却の決定がなされた後その確定前に同一の事実についてさらに公訴を提起することは二重起訴にあたるか。
裁判要旨起訴状謄本不送達による公訴棄却の決定がなされた後、その確定前に同一の事実についてさらに公訴の提起があつた場合、その後右決定が確定したときは、二重の起訴のあつた場合にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年10月31日 昭和33(あ)65
- 登載
- 刑集 第15巻9号1653頁
- 参照法条
- 刑訴法338条3号,刑訴法339条1項1号,刑訴法339条2項,刑訴法271条
論点5第271条刑事訴訟法
検察官の氏名の記載のない起訴状謄本の送達とその効力
裁判要旨被告人に送達された起訴状登録に、起訴検察官の氏名が遺脱しているとの一事だけでは、その送達を無効ならしめるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年2月10日 昭和30(あ)3137
- 登載
- 刑集 第12巻2号125頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴規則176条,刑訴規則164条,刑訴規則58条
論点6第271条刑事訴訟法
拘置所長あてに送達された起訴状の謄本が誤つて同姓同名の他の在監者に交付された場合と公訴提起の効力
裁判要旨拘置所長あてに送達された起訴状の謄本が、誤つて同姓同名の他の在監者に交付され、被告人がその交付を受けなかつた場合には、起訴状の謄本の送達がなかつた場合と同様に、公訴の提起はさかのぼつてその効力を失う。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和32年6月12日 昭和31(し)49
- 登載
- 刑集 第11巻6号1649頁
- 参照法条
- 刑訴法54条,刑訴法271条,民訴法168条,監獄法48条
論点7第271条刑事訴訟法
正式裁判の請求があつた場合の起訴状謄本送達の要否
裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二九年(あ)二一八〇号同年一二月二日第一小法廷決定、集八巻一二号二〇六一頁)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和31年5月25日 昭和31(あ)53
- 登載
- 集刑 第113号587頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法465条,刑訴規則290条
論点8第271条刑事訴訟法
一 刑訴第二七一条第二項〈裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。〉(昭和二八年法律第一七二号により追加された刑訴第三三九条第一項第一号〈左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。 第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。〉の規定の施行前における)の規定による公訴提起の失効と判断の要否
二 第一次の公訴提起失効後の第二次の公訴提起と二重危険
裁判要旨一 昭和二八年法律第一七二号により追加された刑訴
第三三九条第一項第一号〈左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。 第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。〉の規定の施行前においては、起訴状の謄本が公訴の提起があつた日から二箇月以内に被告人に送達されなかつた場合には、公訴の提起は、公訴棄却の裁判をまつまでもなく当然さかのぼつてその効力を失つたものと解すべきである。
二 第一次の公訴の提起がさかのぼつてその効力を失つた以上、同一事件につき第二次の公訴の提起があつても被告人を二重危険に曝すことはあり得ない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和30年11月1日 昭和28(あ)5050
- 登載
- 刑集 第9巻12号2370頁
- 参照法条
- 刑訴法271条2項,刑訴法339条1項1号(昭和28年法律172号により改正されたもの),刑訴規則176条2項(昭和28年最高規則21号による改正前),刑訴規則219条の2,憲法39条
論点9第271条刑事訴訟法
正式裁判の請求の起訴状謄本送達の要否
裁判要旨適法に略式命令の告知を受けた被告人から、正式裁判の請求があつた場合には、改めて被告人に対し起訴状の謄本を送達する必要がないものと解するを相当とする。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和29年12月2日 昭和29(あ)2180
- 登載
- 刑集 第8巻12号2061頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法464条,刑訴法465条,刑訴規則290条,刑訴規則292条(刑訴法463条3項),刑訴規則292条(刑訴法463条4項),刑訴規則292条(刑訴法463条の2)
論点10第271条刑事訴訟法
同一裁判所に二重の起訴があつたものとして控訴棄却申立があつた場合における判断の時期と方法
裁判要旨起訴状の謄本が所定期間内に送達されなかつたとして検察官がさらに控訴を提起した場合に、弁護人から同一裁判所に二重の起訴があつたものとして控訴棄却の申立があつたとしても、裁判所は、最終の判決自体においてその判断を示せばたり、その都度申立に対し決定することを要しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和28年1月22日 昭和25(し)17
- 登載
- 刑集 第7巻1号26頁
- 参照法条
- 刑訴法338条3号,刑訴法271条
論点11第271条刑事訴訟法
一 起訴状および訴因追加請求書各謄本の被告人に対する不送達と刑訴第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉
二 恐喝罪の公訴犯罪事実中に被告人の性格、経歴及び素行等を記載することと刑訴法第二五六条第六項
裁判要旨一 起訴状および訴因追加請求書の各謄本が被告人に送達されていなくても、起訴の日に被告人が自ら弁護人を選任し、弁護人は裁判所書記官に請求して、起訴状および訴因追加請求書各謄本の送達を受け、第一審第一回公判も起訴の日から二箇月以内に開かれており、また起訴状謄本が弁護人に送達されてから同公判までに一箇月以上、訴因追加請求書が同人に送達されてからでも同じく一箇月近くの余裕があつて、弁論準備のために十分の期間があつたものということができ、かつ右公判で被告人側から何の異議も申し立てていない場合には、前記のような刑訴
第二七一条第一項〈裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。〉、
第三一二条第三項〈裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又…〉、刑訴規則第二〇九条第三項の不遵守は、未だ刑訴
第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉を適用すべき事由とするにたらない。
二 本件公訴事実は、被告人が一般人を恐れさせるに足るような自己の性格、経歴及び素行等に関する事実を告知し、若しくは相手方が予ねて、そのような事実を知つて恐れをなしているのに乗じて金品、その他財産上の利益を受けるという方法によつて度々の恐喝を働いたというにあつて、被告人の性格、経歴及び素行等に関する事実は、本件では、犯罪事実と何等直接の関係のない事項ではなく、むしろ、その恐喝手段そのものゝ内容をなしている事柄であるといわなければならないから刑訴
第二五六条〈公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。〉末項に反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年7月18日 昭和25(あ)262
- 登載
- 刑集 第6巻7号913頁
- 参照法条
- 刑訴法271条1項,刑訴法312条3項,刑訴法411条,刑訴法256条,刑訴規則209条3項,刑法249条
論点12第271条刑事訴訟法
刑訴法第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉に該当しない一事例(起訴状謄本の送達が適式でなくても被告人が異議を述べていないとき)
裁判要旨かりに、起訴状謄本の送達が適式でなかつたとしても、本件においては、被告人が異議を述べていないのであつてかかる場合には刑訴
四二条〈被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。〉の問題とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年7月15日 昭和25(あ)2628
- 登載
- 集刑 第66号225頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法309条,刑訴法411条
論点13第271条刑事訴訟法
一 在監者に対する送達が違法と認められる一事例
二 違法な起訴状謄本の送達と刑訴第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉
裁判要旨一 代用監獄である警視庁管下の警察署に在監する被告人に対して起訴状謄本を送達するにあたり、監獄の長たる右警察署長あてとすることなく警視総監あてとすることは違法である。
二 警視庁刑事部押送係において受領した起訴状謄本の伝達を受けた同庁管下警察署看守係巡査が、刑訴
第二七一条第一項〈裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。〉所定の期間内に同署に在監する被告人に対し、弁護人の選任通知書とともに、右記訴状謄本を示し、且つ、読み聞かせた上、被告人承諾の下に改めてこれを保管したという場合には、被告人に対する起訴状謄本の交付があつたものと認められるのみならず、弁論の経過をみても被告人の防禦権が害されたと認むべき何らの事迹のないときは、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年5月31日 昭和25(あ)1226
- 登載
- 刑集 第6巻5号788頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法54条,刑訴法411条,民訴法168条
論点14第271条刑事訴訟法
被告人が異議を述べない違法な起訴状謄本の送達と刑訴法第四一一条
裁判要旨一 しかし、東京地方裁判所が昭和二四年一一月二日を以て被告人に対し本件起訴状謄本と同封して送達の手続をとつた弁護人の選任に関する通知書に対し、被告人は同年同月八日附で国選弁護人を頼みたい旨を同裁判所あてに回答していることは記録上(三丁、四丁)明らかであるし、また、被告人が翌九日小松川警察署の留置場から移監されて(記録第三五丁参照、東京拘置所に入所の際には既に本件起訴状の謄本を所持していたことは当裁判所の職権調査の結果明らかであるから、同月二日附の本件起訴状の謄本は同月八日までに被告人に交付されていることが推断できるのである しかのみならず、同年一二月一日の第一審裁判所の第一回公判期日に被告人及びその弁護人が出頭し、検事の起訴状の朗読を裁判長から被告事件について陳述することがあるかどうかを尋ねられた際にも、なおその後第一審判決の言渡しを受けるに至るまでのあいだにも、本件起訴状の謄本の送達がなかつたことについて異議を述べた形跡のないことは記録上明らかなところである。
二 されば、仮りに本件起訴状の謄本の送達が警視総監あてになされ所論のように小松川警察署長あてになされなかつたことが適式でないとしても被告人に対し豪も不利益を及ぼすものとはいえない。されば所論は明らかに刑訴
第四〇五条〈高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。〉に定める上告適法の事由にあたらないし、また同
第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉を適用して原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとも認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年4月12日 昭和25(あ)2920
- 登載
- 刑集 第5巻5号893頁
- 参照法条
- 刑訴法271条,刑訴法411条
論点15第272条刑事訴訟法
弁護権の不法制限とならないとされた事例
裁判要旨本件記録によると、原審が、第一回公判期日を昭和四〇年九月三日と指定し、同年八月三日、国選弁護人として弁護士小野原肇を選任したが、被告人の申請により、右公判期日を同年一〇月一五日に変更し、同年九月三日、被告人が私選弁護人を選任したので、右国選弁護人を解任したところ、同年一〇月四日、被告人から、弁護人の選任、証拠の収集を理由として再び公判期日の変更申請がなされ、同月七日、右私選弁護人が辞任したが、原審は、同月一五日公判を開き、当日在廷していた前記小野原弁護士を再び国選弁護人として選任し、同弁護人請求の証拠を却下したうえ、異議なく弁論を修了したことが認められる。 このような場合には、前記私選弁護人が辞任した後、被告人において直ちに他の弁護人を選任するか、または裁判所に対し国選弁護人の選任を請求しなかつたことは、むしろ被告人の懈怠に基づくものというべきであり(昭和二四年(れ)第二三八号、同年一一月三〇日大法廷判決、刑集三巻一一号一八五七頁参照)、また、本件は、その内容がさほど複雑というけでもないのであるから、これと前記の経緯とを合わせ考えると、原審が被告人の再度の公判期日変更申請に応じなかつたことをもつて不当とするのは当らず、さらに、さきに本件について、一ケ月以上の期間被告人の国選弁護人の地位にあつた小野原弁護人としては、十分に事件の全貌を把握し得て、被告人の弁護に欠くるところのないものと信じて、直ちに証拠調を請求し、結審について別段の異議を述べなかつたものと推断するのが相当であるから、このような事情の下では、原審の手続は違法とはいえず、違憲(
三七条〈左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。〉)の主張は、前提を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年11月22日 昭和40(あ)2526
- 登載
- 集刑 第161号335頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法272条,刑訴法289条,刑訴法273条,刑訴法276条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則178条の2,刑訴規則178条の4(250条)
論点16第272条刑事訴訟法
「貧困のため弁護人を選任しえない」旨の回答は国選弁護人選任の請求となるか。
裁判要旨第一審において、裁判所より被告人に対し、弁護人を選任するや否やと照会していること明らかであり、仮に被告人よりこれに対し、貧困のため弁護人を選任しえない旨回答したことが所論の如くであつたとしても、これを以つては未だ、積極的に弁護人選任を請求したものとはなしえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和34年1月30日 昭和33(あ)1858
- 登載
- 集刑 第129号11頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法272条,刑訴規則28条
論点17第272条刑事訴訟法
一 刑訴規則第一七九条第一項違反と刑訴法第四一一条第一号。
二 刑訴法第二七二条〈裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により弁護人…〉、刑訴規則第一七七条の規定は、控訴の審判に準用があるか。
三 刑訴規則第一七八条の規定は、起訴の審判に準用があるか。
四 控訴の相手方たる検察官は、刑訴規則第二四三条により答弁書差出の義務があるか。
裁判要旨一 刑訴規則第一七九条第一項に違反して、被告人に対する第一回の公判期日の召喚状の送達が起訴状の謄本を送達する前になされた違法があつても、起訴状の謄本の送達と第一回の公判期日との間に二〇日の期間が存し、しかも右第一回の公判期日において裁判官が訴訟当事者に弁論を命ずることなく被告人に対し十分訴訟準備をするように告げた上公判期日の変更決定をなし、更に一六日先きに次回の公判期日を指定し告知したような場合においては、右の違法は未だ判決に影響を及ぼすべきものとはいえない。
二 刑訴法
第二七二条〈裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により弁護人…〉、刑訴規則第一七七条の規定は控訴の審判については準用されないものと解すべきである。
三 刑訴規則第一七八条の規定は起訴の審判についても準用される。
四 刑訴規則第二四三条の規定は、控訴の相手方である検察官に対し答弁書差出の義務を課したものと解すべきではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和33年9月12日 昭和33(あ)220
- 登載
- 刑集 第12巻13号3007頁
- 参照法条
- 刑訴法275条,刑訴法411条1号,刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴法289条,刑訴規則179条,刑訴規則177条,刑訴規則250条,刑訴規則178条,刑訴規則243条
論点18第272条刑事訴訟法
控訴趣意書最終差出日の通知と弁護人選任の要否
裁判要旨強制弁護の事件について、控訴裁判所が被告人に対し控訴趣意書の最終差出日を通知するにあたり、まだ弁護人の選任届が提出されていない場合でも、先ず弁護人を選任したうえでなければ右通知をすることができないものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和30年6月3日 昭和30(し)18
- 登載
- 刑集 第9巻7号1136頁
- 参照法条
- 刑訴法376条1項,刑訴法388条,刑訴法389条,刑訴法404条,刑訴法272条
論点19第272条刑事訴訟法
弁護人選任権の不法制限とならない一事例
裁判要旨憲法三七条三項前段所定の弁護人に依頼する権利は、被告人が自ら行使すべきもので、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければ足るものであること、同条項後段の規定は被告人が貧困その他の理由で弁護人を依頼できないときは国に対して弁護人の選任を請求できるものであり、国はこれに対して弁護人を附すれば足るものであること及び同条項は被告人に対し弁護人の選任を盛況し得る旨を告知すべき義務を裁判所に負わせているものでないことは、すでに当裁判所の判例としているところである(昭和二四年(れ)二三八号同年一一月三〇日大法廷判決、集三巻一一号一八五七頁)。本件において、被告人Aは、同被告人に対する詐欺、賍物故買被告事件について、昭和二八年四月九日、盛岡地裁一関支部が言渡した判決に対し同日控訴の申立をなし即日第一審において被告人の弁護人があつた弁護人千葉参治を原審弁護人に選任したのであるが、同弁護人は同年五月一日辞任したので、原審は、同年五日二一日被告人に対して刑訴規則一七七条、一七八条の通知書及び控訴趣意書差出最終日通知書(最終日は同年六月一九日)を郵便により送達し、被告人は同年六月五日弁護人を私選する旨を回答をしたが、自己の弁護人を選任しないのみならず、国選弁護人の選任をも請求せず、適法に定められた控訴趣意書差出期間内に控訴趣意書提出をしなかつたため、原審は刑訴
三八六条一項〈左の場合には、控訴裁判所は、決定で控訴を棄却しなければならない。〉一条〈この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適…〉により控訴を棄却したことが、本件記録上明らかである。そして、被告人が弁護人において控訴趣意書差出期間内に控訴趣意書を提出できるような時期に弁護人を選任しなかつたことは、被告人の懈怠に基因するものであり、記録を調べても、原審が被告人の憲法三七条三項によつて保障された弁護人選任権の行使を妨げた事跡は認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和30年2月23日 昭和28(し)56
- 登載
- 集刑 第102号907頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法272条,刑訴法289条,刑訴法376条,刑訴法386条1項1号,刑訴規則177条,刑訴規則178条(250条)
論点20第272条刑事訴訟法
刑の執行猶予取消請求事件において弁護人選任等の告知をする必要があるか
裁判要旨刑の執行猶予取消請求事件において、所論のような弁護人選任等の告知をする必要のないことは原決定の説示するとおりであるばかりでなく、公判手続においてすら、右の告知をしなかつたからといつて、憲法三七条三項に違反するものでないことは当裁判所の判例とするところである。(昭和二五年(あ)第二一五号昭和二八年四月一日大法廷判決参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年7月13日 昭和28(し)5
- 登載
- 集刑 第84号477頁
- 参照法条
- 憲法37条3項前段,刑訴法272条,刑訴規則178条
論点21第272条刑事訴訟法
一 憲法第三七条第三項前段と刑訴規則第一七八条により裁判所のなす弁護人選任の照会手続
二 控訴趣意書の提出期限に近接してなされた弁護人選任の請求と憲法第三七条第三項
裁判要旨一 刑訴規則第一七八条により裁判所のなす弁護人選任の照会手続は、憲法第三七条第三項前段の要請にもとずくものでない。
二 被告人による弁護人選任の請求がその責に帰すべき事由により控訴趣意書の提出期限に近接していて、期間内に控訴趣意書を提出できるような適当な時期になされなかつた場合には、たとえ裁判所が控訴趣意書の提出期限後に弁護人を選任したとしても、憲法第三七条第三項によつて保障された権利の行使を妨げたものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和28年4月1日 昭和25(あ)2153
- 登載
- 刑集 第7巻4号713頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴法272条,刑訴法289条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条
論点22第272条刑事訴訟法
一 強姦の実行着手時期
二 地方検察庁検察事務官の告訴受理権
裁判要旨一 被告人は婦女を誘惑して郊外に連れ出し、午後一〇時過頃、人家も稀れなお寺の境内に連れ込み、同所で同女を強姦しようと企て、突然同女の首を締めて境内の方へ押すようにしながら「大きな声をするな殺して逃げてしまえばそれまでだ」と申し向けて脅迫したというのであるから、たとい被告人に所論の如くいまだ猥褻行為に出でんとした直接の姿態がなかつたとしても、これを以て強姦の実行に着手したものというに妨げない。
二 刑訴応急措置法の適用される事件については、地方検察庁の検察事務官にも告訴を受理する権限がある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和28年3月13日 昭和26(れ)1590
- 登載
- 刑集 第7巻3号529頁
- 参照法条
- 刑法177条,刑法179条,旧刑訴法272条,刑訴応急措置法19条,検察庁法27条
論点23第272条刑事訴訟法
弁護士は資格のある弁護人か
裁判要旨国選弁護人は、裁判所がその所在地に在る弁護士の中から、特に明らかに不適当な事情のない限り、何人かを選任すれば足りるのであつて各選任毎にその弁護人の実質的な能力責任感の強弱等を調査する責務を負担するものとは解されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年12月15日 昭和27(あ)5113
- 登載
- 集刑 第89号317頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法272条,刑訴法36条,刑訴規則177条
論点24第272条刑事訴訟法
被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたといえない事例−第一審における請求の効力が第二審に及ばないと解した場合
裁判要旨第一審における被告人の国選弁護人選任方の請求の効力が第二審に対しても及ぶものと解しなかつたからといつて、被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年9月11日 昭和27(あ)1940
- 登載
- 集刑 第67号21頁
- 参照法条
- 刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条
論点25第272条刑事訴訟法
一 国選弁護人の選任が控訴趣意書最終提出日経過後であつても弁護権の制限とならない事例
二 控訴審において上申書等として提出された書面につき判断することの要否―弁護人が控訴趣意として陳述していない場合
裁判要旨一 原審における国選弁護人の選任が控訴趣意書最終提出日経過後であつたとしても、弁護人は控訴趣意書補充書を提出し、原審公判延に出頭の上異議なく被告人の控訴趣意書及び右補充書に基いて弁論をしているのであり、原判決もこの補充書に対し判断を加えているのである、従つて、原審が弁護権の行使を制限したことを前提とする論旨は、既にその前提において失当であるから論旨の理由のないこと明らかである。
二 上申書等として提出された書面であつて被告人出頭の原審公判廷で弁護人が控訴趣意として陳述していないものについては、原判決がこれについて判断を与えなくても違法はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年5月6日 昭和26(あ)5038
- 登載
- 集刑 第64号225頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法376条,刑訴法289条,刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴法388条,刑訴法389条,刑訴法392条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条
論点26第272条刑事訴訟法
控訴裁判所が刑訴第二七二条〈裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により弁護人…〉の告知をしなかつたため弁護人の国選がみられ控訴趣意書差出期間を経過した場合と憲法第三七条第三項
裁判要旨原審裁判所が控訴申立事件を受理するや直ちに被告人に弁護人の選任を請求することができる旨告知せず、又被告人も亦これが請求をしないで控訴趣意提出期間を経過しその後になつて始めて被告人は右請求をなし原裁判所が弁護人を選任したため、同弁護人は控訴趣意書を提出することができなくなつたからといつて、原裁判所は、被告人に対しその弁護人に依頼する権利の行使を妨げたものではなく被告人に対しては右権利行使の機会を与えているのであるから、原裁判所の右措置は何等憲法第三七条第三項に違反するものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年7月3日 昭和25(あ)1712
- 登載
- 集刑 第49号23頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴法規則177条
論点27第272条刑事訴訟法
被告人に対し弁護人選任に関する通知をしなかつたことの合憲性
裁判要旨原審が被告人に対し弁護人の選任に関する通知をしなかつたからとて所論憲法の規定に違反しないことは大法廷判決(昭和二四年(れ)第二三八号同年一一月三〇日判決)の趣旨に徴し明らかであり、すでに当裁判所に同趣旨の判決がある。(昭和二五年(あ)第二四三一号同二六年五月一五日第三小法廷判決)。それゆえ、論旨は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年7月17日 昭和26(あ)1087
- 登載
- 集刑 第50号83頁
- 参照法条
- 憲法34条,憲法37条,刑訴法272条
論点28第272条刑事訴訟法
聴取書中の処罰を求むる旨の供述と告訴
裁判要旨告訴ありとするには、被害者から、司法警察員又は検察官に対し犯罪事実につき犯人の処罰を求める旨の意思表示あるを以て足りるものであり、そして、検察官のAに対する聴取書中の供述記載によれば、同女は検察官に対しかかる処罰を求める意思表示をしたことを認めることができる。されば、判示第三の事実につき告訴の要件を充している。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年7月12日 昭和26(れ)755
- 登載
- 刑集 第5巻8号1427頁
- 参照法条
- 旧刑訴法272条,旧刑訴法273条
論点29第272条刑事訴訟法
控訴趣意書提出期間経過後に選任された弁護人に控訴趣意書を提出させる措置を採らないことと憲法三七条第三項
裁判要旨憲法第三七条前段所定の弁護人に依頼する権利は被告人が自ら行使すべきもので同条項は裁判所が被告人に対し国選弁護人の選任を請求し得る旨を告知すべき義務を課したものではなく、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与えたこの行使を妨げなければならないのである。(昭和二四年(れ)第二三八号同二四年一一月三〇日大法廷判決参照)然るに、本件において被告人は第一審大阪地方裁判所の弁護人選任に対する通知に対し弁護人は私選する旨回答し、且つ弁護人を私選し、原審においても国選弁護人の選任を請求せず却つて控訴趣意書提出期間経過後の昭和二五年六月一日自ら弁護人を選任し同弁護人は同年六月一六日の第一回公判期日に出頭の上被告人提出の控訴意趣書に基いて異議なく弁論を終了していることは本件記録に徴し明らかである。そして被告人が弁護人において控訴趣意提出期間内に控訴趣意書を提出できるような適当な時期に弁護人を選任しなかつたことは正に被告人の懈怠に基くものであつて記録を精査しても原審が被告憲法第三七条三項によつて保障された弁護人選任権の行使を妨げた事跡はとうてい認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年5月15日 昭和25(あ)2431
- 登載
- 刑集 第5巻6号1152頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法414条,刑訴法272条,刑訴法289条
論点30第272条刑事訴訟法
控訴趣意書最終提出日の通知と弁護人選任の要否
裁判要旨強制弁護の事件につき、裁判所が被告人に対し、弁護人を選任することができること、貧困その他の事由によつて弁護人を選任することができないときは、弁護人の選任を請求することができるとの記載のある弁護人選任に関する通知を出したのに対し、被告人から自分の方で弁護人甲を選任する旨を回答があつた場合には、控訴裁判所は被告人に対し、控訴趣意書の最終提出日を通知するにあたり、まだ弁護人の選任届が提出されていない場合でも、先ず弁護人を選任したうえでなければ右通知をすることができないものではない。(昭和二四年(れ)第二三八号同年一一年三〇日大法廷判決第三巻二号一八五七頁参照)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年2月9日 昭和25(し)27
- 登載
- 刑集 第5巻3号397頁
- 参照法条
- 刑訴法272条,刑訴法376条1項,刑訴法388条,刑訴法289条,刑訴法389条,刑訴規則236条1項,刑訴規則177条,刑訴規則178条
論点31第273条刑事訴訟法
公判期日取消請求却下決定及び公判期日指定に対する異議申立棄却決定を争う特別抗告が申立の利益を欠いて不適法とされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和59年3月6日 昭和59(し)14
- 登載
- 集刑 第236号151頁
- 参照法条
- 刑訴法273条,刑訴法276条,刑訴法309条
論点32第273条刑事訴訟法
一 参考人の自白調書について、約束ないし利益誘導があつたことを理由とする判例違反の主張を事案を異にするとし、憲法三八条違反の主張を欠前提として処理した事例
二 控訴審において被告人不出頭のまま公判を開廷したことを理由とする判例違反の主張を事案を異にするとして処理した事例
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年5月11日 昭和57(あ)210
- 登載
- 集刑 第227号333頁
- 参照法条
- 憲法38条1項,憲法38条2項,刑訴法273条2項,刑訴法404条
論点33第273条刑事訴訟法
控訴審の公判期日について被告人に対する召喚手続または公判期日の通知を怠つた場合と破棄事由
裁判要旨控訴審の第一回公判期日において、弁護人の出頭はあつたが被告人の出頭がないまま実質審理を行ない即日結審している場合において、同公判期日についての召喚手続または同公判期日の通知が被告人に対しなされていないときは、その訴訟手続は違法であり、原判決を破棄しなければいちじるしく正義に反する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和44年10月3日 昭和42(あ)2527
- 登載
- 集刑 第173号201頁
- 参照法条
- 刑訴法273条2項,刑訴法390条,刑訴法404条,刑訴法411条1号
論点34第273条刑事訴訟法
控訴審において被告人に公判期日を通知することなく被告人不出頭のまま公判を開廷することの適否
裁判要旨控訴審において被告人に公判期日(判決宣告期日を含む。)の通知をすることなく、被告人が出頭しないまま公判を開廷することは違法である。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和44年10月1日 昭和44(し)22
- 登載
- 刑集 第23巻10号1161頁
- 参照法条
- 刑訴法273条2項,刑訴法404条,刑訴法390条
論点35第273条刑事訴訟法
任意弁護事件の第一審において判決宣告期日として指定告知された公判期日に国選弁護人の出頭がないままで弁論を再開し審理判決することは違法か
裁判要旨国選弁護人が付されている第一審において、判決宣告期日として指定告知された公判期日に、弁護人の出頭がないままで、弁論を再開し、書証の取調を行なつたのち、即日判決を宣告することは、事件がいわゆる必要的弁護事件でない場合でも、違法な措置というべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月27日 昭和41(あ)760
- 登載
- 刑集 第20巻10号1242頁
- 参照法条
- 刑訴法36条,刑訴法273条3項,刑訴法289条1項,刑訴法293条2項,刑訴規則211条
論点36第273条刑事訴訟法
一 弁論の分離決定によつて著しく裁判の遅延を招来するものということはできないとした事例
二 特別抗告について刑訴法第四一一条の準用があるか
三 公判期日を追つて指定する旨の裁判長の処分が迅速裁判の要請に著しく反し違法であるとされた事例
裁判要旨一 抗告趣意第一点は、原分離決定は、著しく裁判の遅延を招来するものであるから憲法三七条1項に違反すると主張するが、原分離決定は、被告人Aに対する被告事件と他の被告人に対する被告事件とを別個に審判する効果を有するにすぎないから、これによつて著しく裁判の遅延を招来するものということはできない。
二 特別抗告については、刑訴法
第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉の準用がある。
三 被告人の留学の便宜を考慮し五年後に被告人が帰国した後に判決宣告をしようとする意図によつてなされた判決宣告期日を追つて指定する旨の裁判長の処分は、迅速裁判の要請に著しく反し、違法である。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和37年2月14日 昭和36(し)38
- 登載
- 刑集 第16巻2号85頁
- 参照法条
- 刑訴法313条,刑訴法1条,刑訴法433条,刑訴法434条,刑訴法411条,刑訴法273条,憲法37条1項
論点37第273条刑事訴訟法
刑訴法第三九〇条〈控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、裁判所は、五十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法…〉但書の出頭命令と裁判所の裁量。
裁判要旨控訴審においては、被告人は、原則として公判期日に出頭することを要せず(刑訴
三九〇条〈控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、裁判所は、五十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法…〉本分)、公判期日に対する被告人の召喚は、召喚とはいつても、その性質は、右期日を被告人に通知し自ら欲すれば出頭する機会与える意味をもつに過ぎず(昭和二四年新(れ)第五一九号、同二七年一月二日第一小法廷判決、刑集六巻一二号一四〇一頁)、ただ、例外としていわゆる軽微事件以外の事件について、被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは、被告人の出頭を命ずることができる(同
三九〇条但書)のであるが、被告人の出頭を命ずるかどうかは、裁判所の裁量に属するところである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年12月14日 昭和34(あ)1279
- 登載
- 集刑 第145号541頁
- 参照法条
- 刑訴法390条,刑訴法273条2項
論点38第273条刑事訴訟法
刑訴法第四一一条第一号〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する… 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。〉にあたる事例。(判決宣告期日を変更しながら変更前の期日に判決を宣告した場合)
裁判要旨判決宣告期日を変更したにも拘らず、その変更前の期日に言い渡した第二審判決は、刑訴
第四一一条第一号〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する… 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。〉により破棄を免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年6月10日 昭和34(あ)2388
- 登載
- 刑集 第14巻7号970頁
- 参照法条
- 刑訴法411条1号,刑訴法342条,刑訴法273条
論点39第273条刑事訴訟法
弁護人に対する公判期日の通知が適法になされなかつた違法があつても弁護権を侵害したことにならぬとされた事例。
裁判要旨控訴審において弁護人に対する公判期日の通知が適法になされなかつたため、その弁護人が右公判期日に出頭しなかつたとしても、判決宣告期日の通知は適法になされており、弁護人は判決宣告までに弁論再開の申立をする等自ら弁論をする機会を得ることができた筈であるのにそのことなくして経過したばかりでなく、弁護人の控訴趣意書は提出せられており、これに基き国選弁護人によつて弁論がなされ、且つ検察官の控訴趣意に対しても国選弁護人による答弁がなされているときは、弁護権の行使が不当に妨げられたものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年5月7日 昭和33(あ)371
- 登載
- 刑集 第13巻5号606頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法273条3項
論点40第273条刑事訴訟法
一 憲法違反の主張と認められない一事例
二 刑訴法第二七三条第二項〈裁判長は、公判期日を定めなければならない。〉の合憲性
裁判要旨一 刑訴
第二七三条第二項〈裁判長は、公判期日を定めなければならない。〉の規定は、憲法第三二条に違反するというだけであつて、何ら原判決に対する不服の理由を示していない主張は、適法な上告理由と認められない。
二 刑訴
二七三条二項は違憲でない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年5月31日 昭和32(あ)178
- 登載
- 集刑 第119号293頁
- 参照法条
- 刑訴法273条2項,刑訴法405条,刑訴法273条2項,憲法32条
論点41第273条刑事訴訟法
一 弁護権の不法制限にあたらない一事例
二 控訴審の破棄差戻判決関与裁判官の破棄差戻後の控訴審判決言渡関与の適否
裁判要旨一 控訴審において、一人の弁護人に公判期日の通知をしなかつた違法があつても、適法な通知を受けた他の弁護人において公判期日に出頭し、同弁護人において、主任弁護人の指定を受け、不出頭の弁護人の控訴趣意書についても弁論し、その後何らの異議なく審判がなされたときは、右手続の瑕疵は判決破棄の理由とならない。
二 控訴審の破棄差戻判決に関与した裁判官が、その後の控訴審の判決の宣告に関与しても除斥の理由とならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年4月16日 昭和30(あ)1291
- 登載
- 刑集 第11巻4号1372頁
- 参照法条
- 刑訴法411条1号,刑訴法273条3項,刑訴法20条7号
論点42第273条刑事訴訟法
公判期日召喚状の罪名の誤記と判決への影響。
裁判要旨原審の被告人に対する昭和三〇年一〇月四日の公判期日召喚状の送達報告書に「公職選挙法違反被告事件」と記載されていることは、所論のとおりであるが、該召喚状は罪名を異にしているだけであるばかりでなく、被告人は右召喚状の送達を受け、公判期日に出頭する機会を与えられていたこと記録上明らかであるから、右のような手続の瑕疵は、判決に何ら影響を及ぼさないものと認むべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年12月24日 昭和30(あ)3626
- 登載
- 集刑 第122号827頁
- 参照法条
- 刑訴法273条,刑訴法62条,刑訴法63条
論点43第273条刑事訴訟法
控訴趣意書提出最終日の指定、変更、公判期日の指定には裁判書の作成を必要とするか
裁判要旨控訴趣意書提出最終日の指定、その変更及び公判期日の指定は、刑訴規則五五条二項の裁判書とはいえないから、所論の書類に裁判官の署名若しくは記名がないからといつて、かゝる指定を無効とすべきいわれはない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和28年3月31日 昭和27(あ)4526
- 登載
- 集刑 第77号669頁
- 参照法条
- 刑訴規則55条,刑訴規則236条,刑訴法273条
論点44第273条刑事訴訟法
控訴審における判決宣告期日の指定及びその通知に関する手続上の瑕疵が判決に影響を及ぼさない一事例
裁判要旨判決宣告期日が如何にして指定されたか、またその期日の通知が弁護人及び被告人等になされたものであるか否かを記録上窺い知る由もないときは原審の訴訟手続が適法になされたものといい得ないが、前示裁判宣告期日には弁護人三名が出廷していること明らかでその公判手続の公正に行われたことは認め得るのであるから、右手続上の瑕疵は原判決に影響がない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和27年11月13日 昭和26(あ)2675
- 登載
- 集刑 第69号269頁
- 参照法条
- 刑訴法273条,刑訴法411条
論点45第273条刑事訴訟法
控訴審における刑訴第二七三条第三項〈裁判長は、公判期日を定めなければならない。〉違背が刑訴第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉に該当しないものと認められる一事例
裁判要旨控訴審において第一回公判期日の通知が被告人の私選弁護人に対して為されていなくても、被告人が控訴審で初め弁護人を私選しない旨回答しながら、被告人のために弁護人が国選せられ、被告人および国選弁護人の双方から控訴趣意書の提出があり、国選弁護人に右公判期日の通知がなされた後(但し、被告人に対しては未だ同公判期日の召喚場が送達されない以前)になつて、あらたに弁護人を私選したものであり、同公判期日にはさきに私選弁護人の選任によつて一たん解任された国選弁護人が再任せられたが、同期日に出頭した被告人はこれに対し何ら異議の申立もせず、また同弁護人は同公判で被告人および国選弁護人の控訴趣意書は勿論、弁護人の選任届と同時に提出せられた前記私選弁護人の控訴趣意書に基ずいて弁論しており、原判決もまたこの三者について適確な判断を与えており、さらに判決言渡期日たる第二回公判期日は右私選弁護人にも適法に通知せられているのに、同弁護人よりは弁論再開の申請等の申立もなく、原判決が、同弁護人出頭の上同公判で言い渡されている場合には、前記のような刑訴第二七三第三項違背は未だもつて原判決破棄の理由とするにたらないものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年10月7日 昭和27(あ)3013
- 登載
- 刑集 第6巻9号1109頁
- 参照法条
- 刑訴法404条,刑訴法273条,刑訴法388条,刑訴法389条,刑訴法392条1項,刑訴法411条1号
論点46第273条刑事訴訟法
一 公判期日が別個の裁判所により同一日時に指定された場合には弁護人は何れの期日を遵守すべきか
二 公判期日の変更申請にあたつて明らかにすべき事項
三 弁護権の不法制限とならない一事例
裁判要旨一 公判期日が別個の裁判所により同一日時に指定された場合には、弁護人は、特別の事情のないかぎり先に指定された公判期日を遵守しなければならない。
二 弁護人は、公判期日の変更の申請をするに当つては、当時判明している自己に支障のある日時を裁判所に明らかにしなければならない。
三 弁護人が右手続を怠つた結果、裁判所が更に指定した公判期日が既に他の裁判所により指定された公判期日と同一日時であつたため弁護人が右期日に出頭できなかつたところで弁護権を不法に制限したものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和26年9月14日 昭和26(れ)499
- 登載
- 刑集 第5巻10号1928頁
- 参照法条
- 刑訴法273条,刑訴法276条,刑訴法276条1項,刑訴規則179条の4,刑訴規則施行規則3条1号
論点47第273条刑事訴訟法
一、自首減軽と裁判所の自由裁量
一、自首調書を作成しないことと法令違背の有無
裁判要旨所論の如き旧刑訴法上の手続違反(自首調書を作成せざる)があつたとしても、それは原審の訴訟手続に関するものではないばかりでなく、自首減軽を為すべきか否かは原審が自由に決し得べきことであるから、真実被告人が自首したものであり且つ原審において自首減軽を相当と認めたならば所論調書の有無に拘わらず、自首の事実を認定して減軽することができるのである、従つて所論調書を作成しないからとて判決に影響すべき法令違背があるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年4月24日 昭和25(れ)1620
- 登載
- 集刑 第44号431頁
- 参照法条
- 刑法42条,旧刑訴法276条,旧刑訴法273条,旧刑訴法411条
論点48第273条刑事訴訟法
弁護人に対する公判期日通知の方法
裁判要旨記録に徴すると控訴裁判所においては、第一回公判期日を昭和二四年一一月二六日午前一〇時と定め、同月一〇日これを警察官、弁護人、被告人に通知したことが認められる論旨の指摘するとおり国選弁護人大畑正盛に対しては、郵便送達報告書が編綴してないがかかる通知は特段の規定がない限り必ずしも送達の方法によることを要せず、適宜の方法でこれを行つて、これを記録上明らかにしておけば足りるものである(刑訴規則第二九八条第三項参照)。従つて本件公判期日の通知も弁護人にした旨明らかにしてある以上右大畑弁護人に対してかかる通知がなかつたものとも断じ難い。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和25年12月26日 昭和25(あ)403
- 登載
- 刑集 第4巻12号2322頁
- 参照法条
- 刑訴法273条,刑訴規則298条3項
論点49第273条刑事訴訟法
一 舊刑訴法第六九第二項により判決書に記載すべき檢事の氏名
二 控訴審の公判期日に被告人を召喚することの要否。
裁判要旨一 舊刑事訴訟法第六九條第二項により判決書に記載すべき檢事の氏名は公判に關與した檢事の氏名であるから、審理又は判決言渡のいずれかの公判に關與した檢事の氏名であればよいのであつて、必ず審理に關與した檢事の氏名でなければならないと解すべき理由はない。
二 控訴審の公判期日に被告人を召喚する手続がとられていなくても、その期日が被告人に通知されておれば、その控訴審の手続も違法ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和24年9月10日 昭和24(れ)519
- 登載
- 刑集 第3巻10号1585頁
- 参照法条
- 舊刑訴法69條2項,刑訴法404条,刑訴法273条2項,刑訴法390条
論点50第275条刑事訴訟法
刑訴規則第一七九条第三項と刑訴法第二七五条〈第一回の公判期日と被告人に対する召喚状の送達との間には、裁判所の規則で定める猶予期間を置かなければならない。〉との関係
裁判要旨刑訴規則一七九条三項は刑訴法
二七五条〈第一回の公判期日と被告人に対する召喚状の送達との間には、裁判所の規則で定める猶予期間を置かなければならない。〉の授権の範囲内と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和27年10月25日 昭和26(あ)4493
- 登載
- 集刑 第68号675頁
- 参照法条
- 刑訴規則179条3項,刑訴法275条
論点51第276条刑事訴訟法
単に公判期日を変更する場合と公判手続更新の要否。
裁判要旨本件のように単に公判期日を変更するに止まるような場合には、開廷後裁判官がかわつたときでも、公判手続を更新する必要はないと解すべきである。(昭和二九年(あ)第一〇三四号同二九年六月一六日第二小法廷決定、裁判集九六号二五三頁参照)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和40年12月2日 昭和40(あ)1064
- 登載
- 集刑 第157号427頁
- 参照法条
- 刑訴法276条,刑訴法315条
論点52第276条刑事訴訟法
一 特別抗告について刑訴法第四一一条の準用があるか
二 公判期日変更決定が刑訴規則第一八二条第一項に違反するとされた事例
裁判要旨一 特別抗告については刑訴法第四一一条の準用がある
二 裁判所が判決宣言期日を変更した場合に、被告事件についての審理が判決に熟しているものと認められ、右公判期日変更が証拠調その他犯罪事実及び情状についての審理を更に続行し或は再開する必要上為されたものと認むべき事迹は全くなく、専ら約一〇月半の時の経過を測る目的を以て為されたと認められる等の事情(判文参照)があるときは、右期日変更決定を支持した原決定は刑訴規則第一八二条第一項の解釈を誤つた違法がある
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年5月9日 昭和36(し)10
- 登載
- 刑集 第15巻5号871頁
- 参照法条
- 刑訴法276条,刑訴法443条,刑訴法434条,刑訴法411条,刑訴規則182条1項
論点53第276条刑事訴訟法
一 弁護権の不法制限にならない一事例
二 事実の取調請求とは認められない一事例
裁判要旨一 量刑不当を主張している控訴趣意書を提出した私選弁護人が約二ヶ月の余裕を以て通知された第一回公判期日の三日前になつてから病気を理由として、公判期日変更の申請をしても、その病気が既に三ヶ月前に発した乳糜病でなお二ヶ月の安静加療を要するという場合には、右公判期日当日国選弁護人を選任して手続を進めても、特段の異議がない限り弁護権の不法制限とはいえない
二 量刑不当を理由とする控訴趣意書に数種の証明書類が添附されていたというだけでは、その証明書につき事実の取調請求があつたものとはいえない
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和33年5月6日 昭和30(あ)4054
- 登載
- 刑集 第12巻7号1327頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法276条,刑訴法389条,刑訴法393条1項,刑訴規則179の5
論点54第276条刑事訴訟法
公判期日変更申請却下の決定並びに刑訴法第二八五条第二項による公判期日不出頭許可の決定は刑訴法第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当るか。
裁判要旨公判期日変更申請却下の決定並びに刑訴法二八五条二項による公判期日不出頭許可の決定は、いずれも訴訟手続に関し判決前にした決定であつて、かかる決定は、刑訴
四三三条一項〈この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、第四百五条に規定する事由があることを理由とする場合に…〉にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らないと解するを相当とする。それ故、本件特別抗告は不適法たるを免れない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年10月9日 昭和33(し)72
- 登載
- 集刑 第128号211頁
- 参照法条
- 刑訴法276条,刑訴法285条,刑訴法433条,刑訴規則179条の4
論点55第276条刑事訴訟法
弁護権の不法制限とならない一事例
裁判要旨弁護人は既に昭和二九年一二月一四日附で、同三〇年一月一八日の福岡高裁の公判期日の通知を受けておりながら、同三〇年一月一三日に至つて始めて、同月一八日の他の公判に出頭することを理由として期日変更の申立をしたに止まり、刑訴規則一七九条の四所定の申請をしていない。それ故これを却下されても何等憲法の問題を生じない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年3月5日 昭和30(あ)570
- 登載
- 集刑 第118号39頁
- 参照法条
- 刑訴法276条1項,刑訴規則179条の4
論点56第276条刑事訴訟法
弁護権の不法制限とならない事例
裁判要旨控訴審において公判期日を指定告知した後、弁護人から他の裁判所の公判があるため差支があるとの理由により二回にわたつて公判期日の変更申請があり、控訴審は第一回はこれを許したけれども第二回はこれを却下したのであるが、右申請はいずれも刑訴規則第一七九条の四所定の変更事由の疏明資料の添付なく且つ変更事由の継続期間も明らかにしていない場合には、第二回目の申請を却下して公判を進行したからといつて弁護権を不法に制限したものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和31年4月17日 昭和29(あ)2224
- 登載
- 集刑 第113号365頁
- 参照法条
- 刑訴法276条1項,刑訴規則179条の4
論点57第276条刑事訴訟法
裁判官の更迭があつても公判手続を更新する必要のない場合
裁判要旨単に公判期日を変更する場合の如きその公判期日において事実の審理をする訳ではないからたとえ判事の更迭があつても公判手続を更新する必要はないと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年6月16日 昭和29(あ)1034
- 登載
- 集刑 第96号253頁
- 参照法条
- 刑訴法315条,刑訴法276条
論点58第276条刑事訴訟法
刑訴四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉にあたらない事例 −控訴審における弁護人の不出頭−
裁判要旨弁護人から公判期日延期の申請があつても、その申請の理由につき何等疏明もしない本件においては、原裁判所は、これを許さなければならないものではない。原裁判所は右申請を許さず当初指定した公判期日にその公判を開いたものであつて、その法廷において右申請を許さない旨の決定を宣したからといつてその決定を被告人並びに弁護人に通知する必要はない。又本件は必要弁護事件ではないから、弁護人が出頭しなくても開廷することができるものであり、原審は刑訴
三九一条〈弁護人が出頭しないとき、又は弁護人の選任がないときは、この法律により弁護人を要する場合又は決定で弁護人を附した場合を除い…〉に基き検察官の陳述を聴いて結審し弁護人提出の控訴趣意書に含まれた事項につき判決したのであるから、控訴趣意書につき審理しないとの主張は理由がない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年5月21日 昭和29(あ)448
- 登載
- 集刑 第95号519頁
- 参照法条
- 刑訴法276条,刑訴法391条,刑訴法411条,刑訴規則179条の4,刑訴規則179条の5
論点59第276条刑事訴訟法
弁護権の不法制限とならない一事例
裁判要旨控訴審において公判期日を指定告知した後、弁護人から他の裁判所の公判があるため差支がある旨の証明書を添えてその公判期日の変更申請があつても、右期日は裁判所において弁護人の再三の変更申請を容れて指定したものであり、当該期日には国選弁護人により右私選弁護人提出の控訴趣意書に基き弁論し、その内容も量刑不当および多数の犯罪事実中の一部認定事実の誤記を指して事実誤認を主張するものにすぎないようなものである場合には、右変更申請を却下しても弁護権を不法に制限したものということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年12月18日 昭和28(あ)2551
- 登載
- 刑集 第8巻13号2158頁
- 参照法条
- 刑訴法276条1項,刑訴規則179条ノ4
論点60第276条刑事訴訟法
弁護人の公判期日変更申請を許容せず国選弁護人の弁論をきいてした裁判と弁護権の制限の有無
裁判要旨記録によれば、原審裁判所が弁護人木原主計の第一回公判期日変更申請を許容しなかつたこと及び、同弁護人がその期日に公判に立会わないことは所論のとおりであるが、国選弁護人により被告人自身選定した右木原弁護人提出の控訴趣意書に基く弁論がなされたこと、その控訴趣意は簡単明白であり特に新たな事実証拠の取調を要する趣旨でもないこと及び原審は控訴趣意の量刑不当の主張を容れて第一審判決を破棄し処刑を減軽していることが認められるのであるから、原審で公判期日変更請求を許容しなかつた結果が被告人に不利益を来したとは到底考えられない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年7月24日 昭和25(あ)1590
- 登載
- 集刑 第50号933頁
- 参照法条
- 憲法37条3項,刑訴法276条
論点61第278条刑事訴訟法
病気の被告人の防禦権制限の有無
裁判要旨原審が被告人質問のため数回被告人を召喚したにもかかわらず被告人において病気のためこれに応じなかつたところから被告人質問はこれをしない旨決定して結審したからといつて原審裁判官がその良心に反して裁判をしたということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和32年3月13日 昭和31(あ)4292
- 登載
- 集刑 第118号341頁
- 参照法条
- 刑訴法278条,刑訴規則183条
論点62第278条刑事訴訟法
一 被告人の在延する公判廷において口頭で罰条を追加する場合に特に被告人に通知手続を執ることの要否
二 犯罪事実認定の資料となる医師の診断書の採証要件
三 一個の強盗行為の手段として甲、乙に対してそれぞれ暴行を加え、同人等に各傷害を与えた場合の罪責
裁判要旨一 被告人が在延する公判廷における口頭の罰条追加の場合には裁判所が特に被告人に対しこれが通知の手続を執る必要のないことは多言を要しないし、また、犯罪事実認定の資料となるべき医師の診断書は刑訴法第三二一条、第三二六条の要件あるを以て足り(本件では同
第三二六条〈検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認め…〉の同意あること記録上明白である)、同
第二七八条〈公判期日に召喚を受けた者が病気その他の事由によつて出頭することができないときは、裁判所の規則の定めるところにより、医師の…〉、刑訴規則第一八三条所定の事実を記載するの必要ないこと勿論であるから、刑訴法
第四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉を適用すべきものとも認められない。
二 一個の強盗行為の手段として甲、乙に対しそれぞれ暴行を加え同人等に各傷害を与えた場合は、甲、乙に対する各強盗傷人罪の併合罪となる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和26年8月9日 昭和26(あ)1140
- 登載
- 刑集 第5巻9号1730頁
- 参照法条
- 刑訴法312条,刑訴法321条,刑訴法411条,刑訴法326条,刑訴法278条,刑訴規則183条,刑法240条前段,刑法45条前段
論点63第278条刑事訴訟法
刑訴法278条の2第3項〈保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、召喚を受け正当な理由がなく公判期日に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。〉に規定する過料の制裁と憲法31条,37条3項
裁判要旨刑訴法
278条の2第3項〈保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、召喚を受け正当な理由がなく公判期日に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。〉に規定する過料の制裁は,憲法31条,37条3項に違反しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成27年5月18日 平成27(し)149
- 登載
- 刑集 第69巻4号573頁
- 参照法条
- 憲法31条,憲法37条3項,刑訴法278条の2第1項,刑訴法278条の2第3項
論点64第280条刑事訴訟法
一 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合と第一回公判期日前における勾留理由の開示をなすべき裁判官
二 特別抗告審において原決定後の事由により原決定が取り消された事例
裁判要旨一 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合には、第一回公判期日前における勾留理由の開示は、その地方裁判所の裁判官が行なうべきものである。
二 金沢地方裁判所裁判官がした本件勾留理由開示請求事件を金沢簡易裁判所に移送する旨の決定およびこれを是認した原決定(判文参照)は、いずれもその決定の時点においては正当であつたが、事件につき公訴が提起された現在においては、同簡易裁判所裁判官は、もはや本件勾留理由の開示をすることはできないから、いずれも刑訴法四一一条一号によりこれを取り消すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年4月28日 昭和47(し)22
- 登載
- 刑集 第26巻3号249頁
- 参照法条
- 刑訴法82条,刑訴法280条,刑訴法433条,刑訴規則187条
論点65第280条刑事訴訟法
事件の同一性を欠くとされた事例
裁判要旨被告人が、昭和四三年三月二八日にaにおいて賭博をしたとの勾留状記載の事実と、同日同所においてAらがした賭博開張図利を、賭具を貸与して幇助したとの起訴状記載の事実とは、併合罪の関係にあるものであるから、事件の同一性を欠くものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和45年7月10日 昭和45(あ)576
- 登載
- 集刑 第177号171頁
- 参照法条
- 刑法45条,刑法185条,刑法186条2項,刑訴法60条,刑訴法256条,刑訴法280条,刑訴法312条
論点66第280条刑事訴訟法
除斥又は忌避の理由の認められない一事例
裁判要旨宇治山田簡易裁判所裁判官Aが逮捕状並びに勾留状を発しながら本件第一審の審理判決をしたことは所論のとおりであるが、そのために同裁判官が職務から除斥されることがないことは勿論忌避の理由があるものとも認められない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和27年7月15日 昭和26(あ)175
- 登載
- 集刑 第66号253頁
- 参照法条
- 刑訴法20条,刑訴法21条,刑訴法280条,刑訴規則187条
論点67第280条刑事訴訟法
被疑者の勾留尋問をした判事の審判関与と憲法第三七条第一項
裁判要旨起訴前被疑者の勾留尋問をした判事がその事件の第二審の審判に関与しても憲法第三七条第一項の違反にならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年6月26日 昭和26(あ)694
- 登載
- 刑集 第5巻7号1291頁
- 参照法条
- 憲法37条1項,刑訴法207条,刑訴法280条,刑訴法20条7号,刑訴規則187条1項,刑訴規則187条2項,刑訴規則187条3項
論点68第280条刑事訴訟法
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求に対する検察官の意見書の謄写を許可しなかった裁判官の処分が是認できないとされた事例
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成28年10月25日 平成28(し)607
- 登載
- 集刑 第320号463頁
- 参照法条
- 刑訴法40条1項,刑訴法280条1項,刑訴法280条3項
論点69第280条刑事訴訟法
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て
裁判要旨公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年10月24日 平成17(し)406
- 登載
- 刑集 第59巻8号1442頁
- 参照法条
- 刑訴法40条1項,刑訴法280条1項,3項,刑訴法309条2項,刑訴法429条1項2号,刑訴規則86条
論点70第280条刑事訴訟法
公訴提起後の接見等禁止請求書と刑訴規則141条又は150条の準用の有無
裁判要旨検察官が公訴の提起後に裁判官に対してした接見等禁止請求に係る請求書については、刑訴規則141条も
150条〈召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠…〉も準用されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和8年5月27日 令和8(し)416
- 登載
- ―
- 参照法条
- 刑訴法40条1項、刑訴法81条、刑訴法280条1項、3項、刑訴規則141条、刑訴規則150条
論点71第281条刑事訴訟法
公判期日外の証人尋問において被告人に退席を命じたところ、被告人は証人尋問立会権を放棄して任意退席した場合と憲法第三七条第二項。
裁判要旨所論は、被告人は所論証人甲外七名の証人尋問につき全然尋問する機会を与えられなかつたのであるから、かかる尋問の機会を与えない証人の尋問調書を証拠として有罪の認定をした第一審判決及びこれをそのまま支持した原判決は、憲法第三七条第二項に違反するものであるというにある。しかし、記録によると、第一審裁判所はその第一回公判期日において右証人等を含む合計一六名の証人を昭和三七年一〇月三日静岡県磐田郡a村所在磐田警察署において尋問する旨の決定をしたこと、その決定に基づき同日同警察署において、被告人及び弁護人立会の上、逐次証人の尋問が行なわれたが第八番目の証人乙の尋問の際、第一審裁判官は、同証人が被告人の面前では威迫を受ける虞れがあり証言することができないものと認め被告人に退席を命じたところ、被告人は右乙に対する証人尋問立会権を放棄するとともに、残余の証人甲以下七名に対する証人尋問立会権をも放棄して任意退席したこと、弁護人は証人全員の尋問に立会つたこと、これらの各証人尋問調書については第一審第二回公判期日において適法な証拠調が施行され、これに対し被告人及び弁護人から何らの意義申立もなされなかつたことが明らかである。されば被告人は所論証人甲以下七名の証人について尋問する機会が与えられなかつたということはできないのであるから、所論違憲の主張はその前提を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年7月10日 昭和38(あ)856
- 登載
- 集刑 第147号715頁
- 参照法条
- 刑訴法157条,刑訴法158条,刑訴法159条,刑訴法281条,刑訴法281条の2,刑訴法303条,憲法37条2項
論点72第281条刑事訴訟法
一 いわゆる準新事件の公訴時効とその中断
二 同事件につき上告趣意書提出最終日の指定がなされその通知書が上告人に送達されたときは公訴時効中断の効力を生ずるか。
三 同事件につき上告審で公訴時効が完成した場合の措置。
裁判要旨一 本件のように昭和二三年二月一九日公訴が提起され同二六年六月一九日原判決の言渡があつた事件においては、刑訴施行法第二条、第三条の二より、公訴の時効、その中断等については、旧刑訴
第二八一条〈証人については、裁判所は、第百五十八条に掲げる事項を考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き必要と認めるときに…〉、
第二八五条〈拘留に当たる事件の被告人は、判決の宣告をする場合には、公判期日に出頭しなければならない。その他の場合には、裁判所は、被告…〉等旧刑訴の適用を受けるものであつて、刑訴
第二五四条〈時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める…〉等の適用を受けるものではない。
二 右事件につき上告趣意書提出最終日の指定がなされその通知書が上告人に送達されたときは、旧刑訴
第二八五条の公判の処分があつたものとして、公訴時効中断の効力を生ずる。
三 同事件につき上告審において公訴の時効が完成したときは、刑訴施行法第二条、第三条の二、刑訴
第四一一条第五号〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する… 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。〉を準用し、原判決を破棄の上、旧刑訴
第四四八条〈再審の請求が理由のあるときは、再審開始の決定をしなければならない。〉、
第四五五条〈非常上告をするには、その理由を記載した申立書を最高裁判所に差し出さなければならない。〉、
第三六三条第四号〈上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にこれをしなければならない。〉により被告人を免訴すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年6月9日 昭和29(れ)10
- 登載
- 刑集 第14巻7号953頁
- 参照法条
- 刑法130条,刑訴施行法2条,刑訴施行法3条の2,刑訴法411条5号,旧刑訴法281条,旧刑訴法285条,旧刑訴法363条4号,旧刑訴法448条,旧刑訴法455条
論点73第281条刑事訴訟法
公判期日外の証人尋問に際し、あらかじめ被告人に尋問事項を告知しなかつた瑕疵と上訴理由
裁判要旨公判期日外の証人尋問の際の尋問事項は、裁判所が職権で証人を尋問する場合には裁判所が両当事者にこれを知らせるべく(刑訴規則一〇九条)又、一方の当事者の申請による証人を尋問する場合には、その申請をした当事者がその相手方にこれを知らせるべきもの(同
一〇八条〈差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。ただし、裁判所が被告人の保護のため…〉)であるから、本件において、前記各証人の公判期日外における尋問につき各尋問事項書が被告人に送達された形跡は記録上存しないけれども、証人A以外の右証人はいずれも被告人側の申請にかかるものであること上述のとおりである以上被告人がその不送達の瑕疵を問題とし得るのは右証人Aの尋問についてのみであるが、同証人の尋問には弁護人が立会つており、その供述調書の証拠調に当つても何ら異議が述べられなかつたのであるから、かかる場合においては尋問事項書不送達の瑕疵を違法として上訴することはできないものと解するを相当とする。(昭和二九年(あ)第二一三五号同年九月二四日第二小法廷判決、集八巻九号一五三四頁参照)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和32年9月10日 昭和32(あ)1331
- 登載
- 集刑 第120号325頁
- 参照法条
- 刑訴法281条,刑訴法158条,刑訴法309条,刑訴規則108条,刑訴規則109条
論点74第281条刑事訴訟法
公訴時効完成により刑訴法第四一一条により免訴を言渡した一事例
裁判要旨贈賄の事実については、原判決の言渡後、本件を当裁判所が受理した昭和三一年六月二二日までに既に三年以上経過し、しかも、その間公訴時効の中断の事実のないことは記録上明らかであるので、右の罪に対する公訴の時効が完成したものであるから、共に被告人に免訴の言渡をすべきであつて、この点において原判決は破棄を免れない。よつて、刑訴施行法二条、三条の二、刑訴
四一一条〈上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反する…〉により、原判決破棄の上、旧刑訴
四四八条〈再審の請求が理由のあるときは、再審開始の決定をしなければならない。〉、
四五五条〈非常上告をするには、その理由を記載した申立書を最高裁判所に差し出さなければならない。〉、
三六三条三号〈上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にこれをしなければならない。〉、四号により被告人を免訴すべきものとする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和31年9月14日 昭和31(れ)8
- 登載
- 集刑 第114号695頁
- 参照法条
- 刑法198条,刑訴法411条5号,旧刑訴法281条5号,旧刑訴法363条4号
論点75第281条刑事訴訟法
一 受訴裁判所内で受命裁判官による証人尋問を行うことの適否
二 違法な証人尋問についてその手続上の瑕疵が治癒されたものと解せられる一事例
三 刑法一九七条の三にいわゆる「相当ノ行為ヲ為ササルトキ」に当る場合
裁判要旨一 受訴裁判所内で行う証人尋問を受命裁判官をして行わしめることは法の認めないところであることは所論のとおりであるけれども、本件所論の場合においては、第一審裁判所は、予め検察官弁護人東京高等裁判所訴訟関係人の同意を得た上で、受命裁判官をして証人の尋問をなさしめたものであり、かつ右証人尋問には、被告人弁護人もこれに立会い、しかも、その施行について何ら異議を述べた形跡はなく、また、その後公判において右尋問調書の証拠調が行われた際にも訴訟関係人が異議を述べた事実のないことは記録上明らかであるから、右手続上の瑕疵はこれによつて治癒せられたものと解するを相当する。
二 犯罪捜査の衝にあたる巡査が、とくに被疑者の要望を容れて証拠品の押収を取止めた、本件のごとき場合は、刑法一九七条の三にいわゆる「相当ノ行為ヲ為ササルトキ」に該当することは、原判決の説示するとおりである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年9月24日 昭和27(あ)6178
- 登載
- 刑集 第8巻9号1519頁
- 参照法条
- 刑訴法163条1項,刑訴法281条,刑法197条の3
論点76第281条刑事訴訟法
一 公判期日外の証人尋問に際し、あらかじめ被告人に尋問事項を告知しなかつた瑕疵と上訴理由
二 特段の事由なしにその裁判所において公判期日外に証人を尋問することと上訴理由
裁判要旨一 公判期日外の証人尋問に際し、あらかじめ被告人に尋問事項を告知しなかつた瑕疵があつても、被告人、弁護人が何らの異議なく右尋問に立ち会い、その供述調書の証拠調にあたつても異議を述べなかつたときは之を違法として上訴することはできない。
二 恐喝の被害者らを特段の事由がないのにその裁判所において公判期日外で尋問しても、立ち会つた被告人、弁護人に異議がなく、公判廷における右供述調書調に際しても異議を述べなかつたときは、これを上訴の理由とすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和29年9月24日 昭和29(あ)2135
- 登載
- 刑集 第8巻9号1534頁
- 参照法条
- 刑訴法281条,刑訴法158条,刑訴法309条,刑訴規則108条5項
論点77第281条刑事訴訟法
恐喝罪として起訴された事実を暴力行為等処罰に関する法律違反と認定する場合と公訴の時効
裁判要旨検事が犯行後三年五月を経過したときに恐喝罪として公訴を提起した公訴事実を、裁判所が暴力行為等処罰に関する法律
第一条第一項〈この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適…〉に該当する所為と認めるときは、被告人に対し公訴の時効が完成したものとして免訴の言渡をなすべきものである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和26年12月25日 昭和26(れ)1984
- 登載
- 刑集 第5巻13号2623頁
- 参照法条
- 旧刑訴法281条,旧刑訴法363条,刑法249条,暴力行為等処罰に関する法律1条