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判例・論点索引

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最高裁大法廷 / 民集登載6件

一、振出日白地の手形による訴提起と時効中断 二、満期が記載されている白地手形の白地補充権の消滅時効

最高裁判所大法廷昭和45年11月11日昭和43(オ)753民集 第24巻12号1876頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨一、振出日白地の約束手形の所持人が、その満期から三年以内に、振出人に対して、右白地部分を補充しないまま手形金請求の訴を提起し、その後右訴の事実審口頭弁論終結時までに右白地部分を補充したときは、たとえその補充の時が満期から三年を経過したのちであつたとしても、右手形上の権利の時効は、右訴の提起の時に中断されたものと解すべき…
参照法条手形法10条,手形法70条1項,手形法71条,手形法77条1項,民法149条

手形法一六条一項の適用を求める主張があると解すべき場合

最高裁判所大法廷昭和45年6月24日昭和42(オ)747民集 第24巻6号712頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨原告が、連続した裏書の記載のある手形を所持し、その手形に基づき手形金の請求をしている場合には、当然に、手形法一六条一項の適用を求める主張があるものと解すべきである。
参照法条手形法16条1項,手形法77条1項1号,民訴法186条

自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が右原因債権の完済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用

最高裁判所大法廷昭和43年12月25日昭和38(オ)330民集 第22巻13号3548頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人は、その後右債権の完済を受けて裏書の原因関係が消滅したときは、特別の事情のないかぎり、以後右手形を保持すべき正当の権原を有しないことになり、手形上の権利を行使すべき実質的理由を失つたものであつて、右手形を返還しないで自己が所持するのを奇貨として、自己の形式的権利…
参照法条手形法77条,手形法17条,民法1条2項,民法1条3項

為替手形の支払呈示期間経過後に支払場所にした呈示の効力

最高裁判所大法廷昭和42年11月8日昭和38(オ)1240民集 第21巻9号2300頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨為替手形の支払呈示期間経過後における支払のための呈示は、支払地内にある手形の主たる債務者の営業所または住所においてすることを要し、支払場所に呈示しても、手形債務者を遅滞に付する効力を有しない。
参照法条手形法1条,手形法4条,手形法38条,商法516条2項,商法517条

白地手形による訴提起と時効の中断

最高裁判所大法廷昭和41年11月2日昭和38(オ)1301民集 第20巻9号1674頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨白地手形のまま手形金請求の訴を提起した場合でも、右訴提起の時に時効の中断があつたものと解すべきである。
参照法条手形法10条,手形法71条,民法149条

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

最高裁判所大法廷昭和38年1月30日昭和35(オ)533民集 第17巻1号99頁
位置づけ最高裁大法廷 / 民集登載
裁判要旨手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
参照法条民法147条1号,民法153条,手形法38条1項,手形法9条1項

最高裁 / 民集登載93件

会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行が,同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を銀行取引約定に基づき同会社の債務の弁済に充当することの可否

最高裁判所第一小法廷平成23年12月15日平成22(受)16民集 第65巻9号3511頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行は,同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を,法定の手続によらず同会社の債務の弁済に充当し得る旨を定める銀行取引約定に基づき,同会社の債務の弁済に充当することができる。 (補足意見がある。)
参照法条民事再生法53条1項,民事再生法53条2項,民事再生法85条1項,商法521条,手形法18条,手形法77条1項1号,民法91条

手形について除権判決の言渡しがあったこととこれよりも前に当該手形を善意取得した者の手形上の権利

最高裁判所第一小法廷平成13年1月25日平成10(受)562民集 第55巻1号1頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形について除権判決の言渡しがあったとしても,これよりも前に当該手形を善意取得した者は,当該手形に表章された手形上の権利を失わない。
参照法条公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律785条,手形法16条2項,手形法77条1項1号

満期の日として振出日より前の日が記載されている確定日払の約束手形の効力

最高裁判所第一小法廷平成9年2月27日平成6(オ)363民集 第51巻2号686頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨満期の日として振出日より前の日が記載されている確定日払の約束手形は、無効である。
参照法条手形法75条

約束手形の振出人に対する満期前の手形金請求訴訟の提起ないし訴状の送達と遡求権行使の要件である支払のための呈示としての効力の有無

最高裁判所第二小法廷平成5年10月22日平成3(オ)1476民集 第47巻8号5136頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の振出人に対する満期前の手形金請求訴訟の提起ないし訴状の送達は、裏書人に対する満期後の遡求権行使の要件である支払のための呈示としての効力を有しない。
参照法条手形法43条,手形法77条1項4号

白地手形の満期が補充された場合とその他の手形要件の白地補充権の消滅時効

最高裁判所第三小法廷平成5年7月20日平成3(オ)1715民集 第47巻7号4652頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨満期及びその他の手形要件を白地として振り出された手形の満期が補充された場合は、右手形のその他の手形要件の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に時効によって消滅することなく、手形上の権利が消滅しない限りこれを行使することができる。
参照法条手形法10条,手形法70条1項,手形法77条1項

手形に保証の趣旨で裏書をした者が原因債務につき保証をしたものと推認するのが相当とされた事例

最高裁判所第一小法廷平成2年9月27日昭和63(オ)1570民集 第44巻6号1007頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲が乙から三回にわたって金銭を借り受けた場合に、丙が、乙とは旧知の仲で右貸借の紹介老でもあり、その貸借の都度、甲に同行して乙と直接会い、その場において、乙の求めに応じ、甲振出の約束手形に保証の趣旨で裏書をして乙に交付し、甲の支払拒絶後は、右三回目の貸金の弁済を求める乙の強い意向に沿う行動をとるなど判示の事情があるときは…
参照法条民法446条,手形法15条,手形法77条,民訴法185条

手形の被裏書人の記載の抹消と裏書の効力

最高裁判所第二小法廷昭和61年7月18日昭和59(オ)1453民集 第40巻5号977頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の裏書のうち被裏書人の記載のみが抹消された場合、当該裏書は、裏書の連続の関係においては、右抹消が権限のある者によつてされたことを証明するまでもなく、白地式裏書となる。
参照法条手形法16条1項,手形法77条1項1号

一 「壱百円」の記載と手形法六条一項にいう文字をもつてした記載 二 金額を「壱百円」及び「¥1,000,000―」と記載した約束手形の手形金額が一〇〇円と認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和61年7月10日昭和57(オ)1175民集 第40巻5号925頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の金額欄の「壱百円」の記載は、手形法六条一項にいう文字をもつてした記載に当たる。 二 金額欄に文字で「壱百円」と記載され、その右上段に数字で「¥1,000,000―」と記載されている約束手形の手形金額は、一〇〇円が手形金額としてはほとんどありえない低額であり、右手形に一〇〇円の収入印紙が貼付されているとして…
参照法条手形法6条1項,手形法77条2項

約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲

最高裁判所第三小法廷昭和57年9月7日昭和56(オ)851民集 第36巻8号1607頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法四六五条一項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないとき…
参照法条民法427条,民法442条,民法465条1項,手形法17条,手形法30条1項,手形法47条1項,手形法47条3項,手形法49条,手形法77条1項1号,手形法77条1項4号,手形法77条3項

約束手形の裏書人が振出人の手形金支払義務の時効による消滅に伴い自己の所持人に対する償還義務も消滅したとしてその履行を免れようとすることが信義則に反し許されないとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和57年7月15日昭和53(オ)728民集 第36巻6号1113頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の裏書人が、その所持人に対して、自己の償還義務について消滅時効の利益の放棄ないし債務の承認をしたうえ、専ら自己に対する信頼に基づいて右手形を取得した所持人本人及びその代理人である弁護士に対して、再三にわたり、しかも振出人の債務とは必ずしも関係なく自己固有の債務として手形金の支払義務があることを認めるような態度を…
参照法条手形法50条1項,手形法70条1項,手形法77条1項4号,手形法77条1項8号,民法1条2項

白地手形による手形金請求を棄却する判決の確定後に白地部分を補充して手形上の権利の存在を主張することの許否

最高裁判所第三小法廷昭和57年3月30日昭和54(オ)110民集 第36巻3号501頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨白地手形の所持人は、手形金請求の前訴において、事実審口頭弁論終結前に白地補充権を行使しえたのにこれを行使しないため手形要件を欠くとして請求棄却の判決を受け、これが確定したときは、特段の事情のない限り、その後に白地部分を補充しても、後訴において手形上の権利の存在を主張することは許されない。
参照法条手形法10条,手形法77条2項,民訴法199条1項,民訴法545条2項(昭和54年法律第4号による改正前のもの),民事執行法35条2項

不渡の符箋等により満期後の支払拒絶が手形面上明らかにされたのちの裏書と手形法二〇条一項

最高裁判所第一小法廷昭和55年12月18日昭和54(オ)271民集 第34巻7号942頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の支払拒絶証書作成前でその作成期間の経過前にされた裏書は、不渡の符箋等により満期後の支払拒絶の事実が手形面上明らかにされたのちのものであつても、満期前の裏書と同一の効力を有する。
参照法条手形法20条1項,手形法77条1項1号

手形偽造者の悪意の取得者に対する手形上の責任

最高裁判所第二小法廷昭和55年9月5日昭和55(オ)375民集 第34巻5号667頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形を偽造した者は、その取得者が悪意であるときは、手形法八条の規定の類推適用がなく、右取得者に対し手形上の責任を負わない。
参照法条手形法8条,手形法77条2項

約束手形の所持人と裏書人との間において支払猶予の特約がされた場合と所持人の裏書人に対する手形上の請求権の消滅時効の起算点

最高裁判所第二小法廷昭和55年5月30日昭和54(オ)1104民集 第34巻3号521頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の所持人と裏書人との間において裏書人の手形上の債務につき支払猶予の特約がされた場合には、所持人の裏書人に対する手形上の請求権の消滅時効は、右猶予期間が満了した時から進行する。
参照法条手形法70条2項,手形法77条1項8号,民法166条1項

手形金額に錯誤のある裏書と悪意の取得者に対する償還義務の範囲

最高裁判所第一小法廷昭和54年9月6日昭和53(オ)1281民集 第33巻5号630頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の裏書人が、金額一五〇〇万円の手形を金額一五〇万円の手形と誤信し同金額の手形債務を負担する意思のもとに裏書をした場合に、悪意の取得者に対して錯誤を理由に償還義務の履行を拒むことができるのは、右手形金のうち一五〇万円を超える部分についてだけであつて、その全部についてではない。
参照法条民法95条,手形法12条2項,手形法17条,手形法77条1項

一 手形の裏書が裏書人を告とする詐害行為取消一一訟において取り消された場合と右被裏書人から隠れた取立委任裏書を受けていた者の地位 二 約束手形の振出人を原告としその受取人による裏書の被裏書人を被告とする右裏書に対する詐害行為取消の訴と右被裏…

最高裁判所第二小法廷昭和54年4月6日昭和50(オ)999民集 第33巻3号329頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の振出人甲が原告となりその受取人乙から裏書を受けた丙を被告として提起した右裏書についての詐害行為取消の訴において、甲の請求が認容された場合には、甲は、丙から隠れた取立委任裏書を受けていた丁に対し、丁の善意・悪意を問わず、乙丙間の裏書が詐害行為として取り消された事実を援用して、丁の手形金請求を拒むことができる…
参照法条民法424条,手形法17条,手形法18条,民訴法227条

手形に保証の趣旨で裏書をした場合に原因債務についての民事保証を推認することの可否

最高裁判所第三小法廷昭和52年11月15日昭和51(オ)1187民集 第31巻6号900頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金銭を借用するにあたり、借主甲が、借受金の弁済確保のため甲の振り出す約束手形になんぴとか確実な保証人の裏書をもらつてくるよう貸主乙から要求されたため、丙に依頼して右手形に丙の裏書を受けたうえ、これを乙に手交して金銭の貸渡しを受けたという事実関係があるだけでは、右手形が金融を得るために用いられることを丙において認識してい…
参照法条民訴法185条,民法446条,手形法15条,手形法77条

喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形の再発行請求権

最高裁判所第一小法廷昭和51年4月8日昭和49(オ)584民集 第30巻3号183頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨白地手形を喪失した者は、右手形について除権判決を得た場合でも、手形債務者に対し喪失手形と同一の内容の手形の再発行を請求する権利を有しない。
参照法条手形法10条,民訴法785条

金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先

最高裁判所第一小法廷昭和50年9月25日昭和46(オ)1110民集 第29巻8号1287頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
参照法条民法468条,民法511条,民訴法601条,手形法39条,手形法50条,手形法77条

約束手形の受取人欄の変造と手形法一六条一項の適用

最高裁判所第三小法廷昭和49年12月24日昭和48(オ)931民集 第28巻10号2140頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の受取人欄が変造された場合であつても、その手形面上変造後の受取人から現在の所持人へ順次連続した裏書の記載があるときは、右所持人は、振出人に対する関係においても手形法七七条一項一号、一六条一項により適法な所持人と推定される。
参照法条手形法16条1項,手形法69条,手形法77条1項

手形偽造と手形法八条の類推適用

最高裁判所第二小法廷昭和49年6月28日昭和43(オ)942民集 第28巻5号655頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形を偽造した者は、手形法八条の類推適用により手形上の責任を負うものと解するのが相当である。
参照法条手形法8条,手形法77条2項

裏書によらない手形債権の譲渡の性質

最高裁判所第一小法廷昭和49年2月28日昭和47(オ)1233民集 第28巻1号121頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の受取人甲が、乙からその手形の割引を受け、裏書をしないでこれを乙に交付したときは、甲は、指名債権譲渡の方法によつて乙に右手形債権を譲渡したものと解するのが相当である。
参照法条手形法11条,民法467条

約束手形の裏書を受けた手形所持人が裏書の原因関係である法律行為が無効であるときに振出人に対してする手形金請求と権利濫用

最高裁判所第二小法廷昭和48年11月16日昭和47(オ)104民集 第27巻10号1391頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の裏書を受けた手形所持人が、裏書の原因関係である法律行為が無効であるにかかわらず、手形を所持していることを奇貨として振出人に対し手形金を請求することは、特段の事情のないかぎり、権利の濫用として許されない。
参照法条手形法77条,手形法17条,民法1条2項,民法1条3項

一、約束手形の振出署名者の得た除権判決の効力 二、約束手形の振出署名者の申立にかかる除権判決により手形が無効になつた場合と除権判決前に手形上の権利を取得していた者の権利行使の方法

最高裁判所第一小法廷昭和47年4月6日昭和44(オ)118民集 第26巻3号455頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、約束手形に振出人として署名したが、これを流通におく前に盗取されまたは紛失した者の得た除権判決は、右振出署名者において、除権判決後その手形を取得した者に対し支払を拒絶しうる効力を有するにとどまり、除権判決前に手形を悪意または重大な過失なく取得し、振出署名者に対して振出人としての責任を追求しえた者の有する実質的権利まで…
参照法条民訴法777条,民訴法778条,民訴法784条,民訴法785条,手形法17条,手形法38条,手形法39条,手形法77条,手形法78条1項

一、双方代理により振り出された約束手形と振出完成の時期 二、民法一〇八条に違反して振り出された約束手形の第三取得者に対する本人の手形上の責任

最高裁判所第三小法廷昭和47年4月4日昭和43(オ)813民集 第26巻3号373頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、約束手形の振出人の代理人と受取人の代表者とが同一人であつて、手形の振出につき双方代理行為が成立するときは、振出行為の完成を留保すべき特段の事情のないかぎり、振出人の代理人として法定の形式に従つて手形の作成をおえた時に振出行為が完成し、その後は受取人の代表者の資格において手形を所持するにいたるものと解すべきである。 …
参照法条民法108条,手形法75条,手形法8条

手形の振出が法人のためにされたものであるとも代表者個人のためにされたものであるとも解しうる場合における法律関係

最高裁判所第一小法廷昭和47年2月10日昭和46(オ)209民集 第26巻1号17頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形上の記載からは、手形の振出が法人のためにされたものであるとも、代表者個人のためにされたものであるとも解しうる場合には、手形所持人は、法人および代表者個人のいずれに対しても手形金の請求をすることができ、他方、請求を受けた者は、その振出が真実いずれの趣旨でされたかを知つていた直接の相手方に対しては、その旨の人的抗弁を主…
参照法条手形法8条,手形法17条,手形法75条

盗難・紛失により流通におかれた約束手形に振出人として署名した者の手形上の責任

最高裁判所第三小法廷昭和46年11月16日昭和41(オ)568民集 第25巻8号1173頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨流通におく意思で約束手形に振出人として署名または記名捺印をした者は、右手形が盗難・紛失等のため自己の意思によらずに流通におかれた場合でも、連続した裏書のある右手形の所持人に対しては、悪意または重大な過失によつて同人がこれを取得したことを主張・立証しないかぎり、振出人としての責任を免れない。
参照法条手形法16条2項,手形法77条1項1号,手形法78条

一、銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度 二、印影照合についての銀行の注意義務と免責約款の効力 三、当座勘定取引契約に基づき手形の支払委託をうけた銀行が振出日欄白地の約束手形を支払つた場合にお…

最高裁判所第一小法廷昭和46年6月10日昭和42(オ)64民集 第25巻4号492頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、銀行が、当座勘定取引契約に基づき、届出の印鑑と手形上の印影とを照合するにあたつては、銀行の照合事務担当者に対して社会通念上一般に期待されている業務上相当の注意をもつて慎重に行なうことを要し、右事務に習熟している銀行員が右のような注意を払つて熟視するならば肉眼で発見しうるような印影の相違が看過されて偽造手形が支払われ…
参照法条民法644条,手形法10条,手形法75条,手形法77条2項

振出および裏書の原因関係がともに消滅した場合における人的抗弁の対抗

最高裁判所第一小法廷昭和45年7月16日昭和45(オ)16民集 第24巻7号1077頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形振出人は、受取人から手形所持人に対する裏書の原因関係が消滅し、所持人が手形の支払を求めるなんらの経済的利益も有しないときは、受取人との間における振出の原因関係消滅の抗弁をもつて、手形所持人に対抗することができる。
参照法条手形法17条,手形法77条1項1号

中小企業等協同組合法に基づく信用協同組合と手形保証

最高裁判所第一小法廷昭和45年7月2日昭和45(オ)231民集 第24巻7号731頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨中小企業等協同組合法に基づく信用協同組合がその組合員のために組合員の負担する手形債務につき手形保証をすることは、同法九条の八第一項四号所定の附帯業務として有効である。
参照法条中小企業等協同組合法9条の8,民法43条,手形法32条

不渡異議申立手続の委託に伴う預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合と支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつてする相殺の許否

最高裁判所第一小法廷昭和45年6月18日昭和43(オ)778民集 第24巻6号527頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の不渡異議申立手続を委託した手形債務者から異議申立提供金に見合う資金として支払銀行に交付された預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合に、支払銀行が右債権の差押前から手形債務者に対して有する反対債権をもつて被転付債権と相殺することが、預託金返還請求権の性質上制限されるものと解すべき理由はない。
参照法条手形法38条,民法646条1項,民法52条

主たる債務者の手形債務の時効消滅と手形保証債務の消滅

最高裁判所第一小法廷昭和45年6月18日昭和45(オ)18民集 第24巻6号544頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨主たる債務者の手形債務について消滅時効が完成したときは、手形保証債務も消滅する。
参照法条手形法32条,手形法71条,手形法77条1項8号,手形法77条3項

手形金債務の支払につき手形外の保証契約が締結されている場合と裏書によつて手形債権を取得した者の保証人に対する履行請求

最高裁判所第三小法廷昭和45年4月21日昭和44(オ)188民集 第24巻4号283頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の振出人のため手形金債務の支払につき受取人との間で手形外の保証契約が締結されている場合には、裏書によつて手形債権を取得した者は、これとともに保証債権を取得し、かつ、その取得につき対抗要件を具備することなく、保証人に対し保証債務の履行を求めることができる。
参照法条民法446条,民法467条,手形法14条,手形法32条

将来発生することあるべき債務の担保のために振り出された約束手形の受取人が右債務の不発生が確定した後に振出人のための手形保証人に対してする手形金請求と権利の濫用

最高裁判所第三小法廷昭和45年3月31日昭和44(オ)1118民集 第24巻3号182頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨将来発生することあるべき債務の担保のために振り出され、振出人のために手形保証のなされた約束手形の受取人は、手形振出の右原因関係上の債務の不発生が確定したときは、特別の事情のないかぎり、以後手形保証人に対して手形上の権利を行使すべき実質的理由を失つたものであつて、右手形を返還せず、手形が自己の手裡に存するのを奇貨として手…
参照法条手形法77条,手形法32条1項,手形法32条2項,手形法17条,民法1条2項,民法1条3項

代理人が権限を濫用して約束手形の振出人のためにした手形上の保証と手形受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えた国に対する保証人の責任

最高裁判所第二小法廷昭和44年11月14日昭和42(オ)694民集 第23巻11号2023頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理人が、自己の利益をはかるため、代理権限を濫用して、約束手形の振出人のために、本人名義で手形上の保証をした場合において、代理人から手形の交付を受けた手形受取人が権限濫用の事実を知りうべきであったときは、受取人に対する国税滞納処分として右手形を差し押えて占有するに至つた国において、差押当時受取人の知情の点につき善意であ…
参照法条民法93条但書,民法94条2項,手形法77条3項,手形法32条

一、代理人が権限を濫用して振り出した約束手形と第三取得者に対する本人の手形抗弁 二、手形行為は農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれるか

最高裁判所第一小法廷昭和44年4月3日昭和42(オ)602民集 第23巻4号737頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、代理人が自己または第三者の利益をはかるため、代理権限を濫用して約束手形を振り出した場合において、権限濫用の事実を知りまたは知りうべかりし状態で右手形の交付を受けた受取人が、これを他に裏書譲渡したときは、本人は、手形法一七条但書の規定により、第三取得者が受取人の右知情について悪意であることを立証した場合にかぎり、右第…
参照法条手形法77条1項1号,手形法17条,民法43条,民法93条,農業協同組合法10条

訴訟行為をさせることを主たる目的としてされた手形の裏書と手形抗弁

最高裁判所第一小法廷昭和44年3月27日昭和41(オ)1338民集 第23巻3号601頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨訴訟行為をさせることを主たる目的としてされた手形の裏書は、隠れた取立委任のためにされたものにほかならないが、右の場合には、信託法一一条の規定により、たんに手形外の取立委任の合意が無効となるにとどまらず、裏書自体も無効となり、すべての手形債務者は、被裏書人たる所持人が手形上無権利者であることを主張してその手形上の請求を拒…
参照法条手形法77条1項1号,手形法14条,手形法17条,信託法11条,信託法1条

平年における二月二九日を満期とする手形の記載の趣旨

最高裁判所第三小法廷昭和44年3月4日昭和43(オ)1079民集 第23巻3号586頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨平年における二月二九日を満期とする手形の記載は、二月末日を満期として記載した趣旨と解するのが相当である。
参照法条手形法1条4号,手形法2条2項,手形法75条3号,手形法76条2項

満期白地の手形の補充権の消滅時効期間

最高裁判所第一小法廷昭和44年2月20日昭和43(オ)709民集 第23巻2号427頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨満期白地の手形の補充権は、五年の時効によつて消滅する。
参照法条商法522条,手形法10条,手形法77条1項8号,手形法70条1項

手形偽造に民法第一一〇条の類推適用があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和43年12月24日昭和41(オ)1204民集 第22巻13号3382頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨無権限者が機関方式により手形を振り出し本人名義の手形を偽造した場合であつても、右の手形振出が本人から付与された代理権の範囲をこえてなされたものであり、かつ、手形受取人において右無権限者が本人名義で手形を振り出す権限ありと信ずるにつき正当の理由がある等原審認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、本人は、民法第一…
参照法条手形法8条,手形法77条2項,民法110条

他人名義で約束手形を振り出した者に手形振出人としての責任が認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和43年12月12日昭和43(オ)854民集 第22巻13号2963頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲を代表取締役とする会社が手形取引停止処分を受けたため、甲が実兄乙名義で銀行の当座取引口座を設け、その後、半年間に多数回にわたり乙名義を使用して約束手形を振り出しており、乙が経済的な信用や実績のない者であるなど判示の事情のもとにおいては、甲は、右約束手形の振出人として責任を負う。
参照法条手形法75条

一、喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形上の権利の行使 二、喪失した白地手形について除権判決を得た者が手形外でする白地補充の意思表示の効果

最高裁判所第二小法廷昭和43年4月12日昭和42(オ)1403民集 第22巻4号911頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一、白地手形を喪失した所持人は、除権判決を得ただけでは、白地を補充して手形上の権利の行使をすることができない。 二、喪失した白地手形について除権判決を得た所持人が手形外で白地補充の意思表示をしても、これにより白地補充の効力が生ずるとはいえない。
参照法条手形法10条,民訴法785条

一 約束手形の満期の記載が変造された場合と変造前の文言の立証責任 二 手形金額の白地補充権の濫用と悪意重過失についての立証責任

最高裁判所第三小法廷昭和42年3月14日昭和39(オ)1223民集 第21巻2号349頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の満期の記載が変造された場合には、変造前の文言については、手形所持人が立証責任を負う。 二 約束手形の金額欄の白地の補充について、第三者が、補充権に関する合意に反することを知り、または重過失により知らないで、右白地を補充したこと、または右合意に反して補充された手形を取得したことの立証責任は、振出人が負う。
参照法条手形法77条1項7号,手形法77条2項,手形法69条,手形法10条

手形に白地式による裏書の署名をした者が譲受人に手形を交付せず、振出人に返還した場合において手形債務の負担が認められた事例

最高裁判所第二小法廷昭和42年2月3日昭和41(オ)969民集 第21巻1号103頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形受取人は、裏書譲渡の意思で被裏書人白地のまま当該手形に署名をした場合には、原判決判示の事情(原判決理由参照)により手形を譲受人に交付することなくそのまま振出人に返還した場合でも、右手形の適法の所持人に対し手形債務を負担する。
参照法条手形法15条

一 約束手形の受取人欄の抹消と手形の変造 二 受取人欄の記載が変造された手形の所持人による手形金請求の許否

最高裁判所第一小法廷昭和41年11月10日昭和36(オ)1198民集 第20巻9号1697頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の受取人欄の記載が無権限で抹消された場合は手形の変造にあたり、振出人は、変造前の文言に従つて責任を負う。 二 前項の場合、変造後の当該手形の所持人は、当初の受取人から同手形を取得した経路とその取得をもつて振出人に対抗しうる事由を主張立証しないかぎり、振出人に対し手形金の支払を請求することができない。
参照法条手形法69条

所持人が白地手形の補充をした場合と手形法第一〇条の適用

最高裁判所第一小法廷昭和41年11月10日昭和41(オ)407民集 第20巻9号1756頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形法第一〇条の規定は、白地手形を取得した所持人が自ら補充に関する合意と異なる補充をした場合にも、適用される。
参照法条手形法10条

振出日白地の確定日払手形による呈示の効力

最高裁判所第一小法廷昭和41年10月13日昭和39(オ)960民集 第20巻8号1632頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨確定日払の手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない。
参照法条手形法1条,手形法38条,手形法43条

法人の裏書の方式としての署名

最高裁判所第三小法廷昭和41年9月13日昭和39(オ)1379民集 第20巻7号1359頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の裏書人が法人である場合には、その代表機関が法人のためにすることを明らかにして自己の署名をすることを要するものと解すべきである。
参照法条手形法13条

手形法第一六条第一項による推定を覆すために主張すべき事項

最高裁判所第三小法廷昭和41年6月21日昭和40(オ)293民集 第20巻5号1084頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形法第一六条第一項による推定を覆すためには、手形取得者に同条第二項但書所定の事実が存在することの主張を要する。
参照法条手形法16条

受取人白地の約束手形による手形金請求の許否。

最高裁判所第一小法廷昭和41年6月16日昭和41(オ)329民集 第20巻5号1046頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨受取人白地のままの約束手形によつては、手形金の請求をすることはできない。
参照法条手形法10条,手形法38条

手形を所持しないでされた手形金請求が認容された事例

最高裁判所第二小法廷昭和41年4月22日昭和39(オ)100民集 第20巻4号734頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨振出人甲、受取人兼裏書人乙、被裏書人丙という約束手形について甲、乙および丙間において書替の合意がされ、甲において乙を受取人とする新手形を振り出し、従前の手形は丙から甲に返還されたが、右新手形が乙の手許で破棄されたため、丙において手形上の権利を取得できなかつた場合には、従前の手形がすでに甲によつて破棄されて滅失していたと…
参照法条手形法38条,手形法39条

裏書連続の主張

最高裁判所第二小法廷昭和41年3月4日昭和40(オ)820民集 第20巻3号406頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形法第一六条第一項の適用を主張するには、連続した裏書の記載のある手形を所持する事実を主張することを要し、これをもつて足りる。
参照法条手形法16条1項,民訴法186条

手形を所持しない手形権利者の裁判上の請求と時効中断の有無。

最高裁判所第三小法廷昭和39年11月24日昭和37(オ)522民集 第18巻9号1952頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形権利者が手形を所持しないでなした裁判上の請求によつても、時効中断の効力がある。
参照法条民法147条1号,手形法38条1項,手形法39条1項

手形債務者は隠れた取立委任裏書の裏書人に対して有する人的抗弁事由をもつてその被裏書人に対抗しうるか。

最高裁判所第二小法廷昭和39年10月16日昭和36(オ)1270民集 第18巻8号1727頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形債務者は隠れた取立委任裏書の裏書人に対して有する人的抗弁事由をもつてその被裏書人に対抗しうる。
参照法条手形法17条,手形法18条

いわゆる署名代理の方法により振り出された約束手形を本人みずから振り出したものと信じた場合における民法第一一〇条の類推適用の有無。

最高裁判所第三小法廷昭和39年9月15日昭和37(オ)232民集 第18巻7号1435頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理人が代理権の範囲を越えいわゆる署名代理の方法により振り出した約束手形について、受取人においてこれを本人みずから振り出した手形であると信じ、かつ、そのように信ずるにつき正当の理由があつたときは、本人は、民法第一一〇条の類推適用により、振出人としての責に任ずると解するのが相当である。
参照法条民法110条,手形法8条

時を異にする手形の共同振出と再度の交付の要否。

最高裁判所第三小法廷昭和39年4月21日昭和36(オ)652民集 第18巻4号552頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨振出によりすでに受取人の所持に帰した約束手形に共同振出人として署名した者は、あらためてこれを受取人に交付する行為がなくても、手形振出人としての債務を負担する。
参照法条手形法9条1項,手形法78条1項

会社が商業登記簿上の名称以外の名称を用いて振り出した手形が当該会社提出の手形と認められた事例。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月17日昭和38(オ)45民集 第18巻4号543頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨商業登記簿上の名称が「D(平仮名)林業株式会社」である会社が営業上「D林業株式会社」の名称を用いるのを常とし、手形取引においてもその名称を用いていた場合、右名称を用いて振り出した手形は右会社振出の手形として有効である。
参照法条手形法1条,手形法75条7号,商法16条

一 控訴審で請求併合の態様が変更されたため認容の請求に変更を生じた場合と第一審判決取消の要否。 二 損害賠償額の予定の特約を記載して振り出された約束手形における右特約の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和39年4月7日昭和37(オ)1148民集 第18巻4号520頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 第一審では甲乙両請求が選択的に併合されたため甲請求のみが認容されたが、控訴審では乙請求を第一次的請求、甲請求を予備的請求とすることに併合の態様が変更されたため乙請求のみを認容する場合には、甲請求を認容した第一審判決は、当然に失効するものと解すべきであるから、これを取り消すことを要しない。 二 損害賠償額の予定の特約…
参照法条民訴法227条,民訴法232条,民訴法386条,手形法75条,民法420条

実在しない法人の代表者名義で約束手形を振り出した者の責任。

最高裁判所第三小法廷昭和38年11月19日昭和37(オ)1003民集 第17巻11号1403頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨実在しない法人の代表者名義で約束手形を振り出した者は、手形法第八条の類推適用により、右手形の振出人としての責任を負うべきである。
参照法条手形法8条

捺印のみの裏書により記名株式の譲渡と会社の株式名簿書換義務の存否

最高裁判所第三小法廷昭和38年10月1日昭和36(オ)392民集 第17巻9号1091頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨譲渡人の捺印のみで記名を欠く裏書により記名株式の譲渡をうけた者が、記名を補充せずに会社に対し株主名簿の名義書換請求しても、会社はこれに応ずる義務がないと解すべきである。
参照法条商法205条,商法206条,手形法13条

一 約束手形の裏書人たる破産者が被裏書人から手形を受け戻すにつき手形金額の支払をした場合と破産法第七三条第一項の類推適用の有無 二 破産法第七三条第一項にいう「手形ノ支払」と「債務者ノ一人又ハ数人ニ対スル手形上ノ権利」の意義

最高裁判所第三小法廷昭和37年11月20日昭和33(オ)689民集 第16巻11号2293頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の裏書人たる破産者が被裏書人から手形を受け戻すにつき手形金額の支払をした場合には破産法第七三条第一項は類推適用のされない。 二 破産法第七三条第一項にいう「手形ノ支払」とは、約束手形にあつては振出人の支払を指し、「債務者ノ一人又ハ数人ニ対スル手形上ノ権利」とは、手形所持人の前者に対する遡及権を指すにほかなら…
参照法条破産法73条,破産法72条,手形法43条,手形法53条,手形法777条1項,手形法77条1項

期限後裏書と悪意の抗弁。

最高裁判所第二小法廷昭和37年9月7日昭和34(オ)705民集 第16巻9号1870頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨為替手形を期限内に善意で取得した者が拒絶証書作成期間経過後にこれを裏書譲渡した場合において、その被裏書人が手形を取得した当時悪意であつても、手形引受人は被裏書人たる所持人に対して手形の振出人に対する悪意の抗弁をもつて対抗することができないと解するのを相当とする。
参照法条手形法20条,手形法11条,手形法17条

代理人が本人名義の記名捺印をもつてした手形振出は有効か。

最高裁判所第二小法廷昭和37年7月6日昭和36(オ)402民集 第16巻7号1491頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形振出の代理権限を有する者が本人の記名捺印を代つてする権限をも与えられている場合に、本人名義の記名捺印をもつてした手形振出は、手形代理行為として有効である。
参照法条手形法8条,手形法77条2項

権限踰越の署名代理による手形振出と民法第一一〇条の適用

最高裁判所第三小法廷昭和37年3月27日昭和36(オ)282民集 第16巻3号632頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨代理権限を踰越し署名代理の方法によつて約束手形が振出された場合にも、民法第一一〇条の適用がある。
参照法条手形法8条,手形法77条2項,民法110条

約束手形の支払地「東京都」なる記載が適法とされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和37年2月20日昭和34(オ)974民集 第16巻2号341頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨支払地「東京都」、支払場所「自宅払」、振出地「東京都」、振出人「東京都世田谷区a町b番地『甲』、千葉県野田市cd番地『て』なる記載のある約束手形の支払地は東京都世田谷区と解するのを相当とする。
参照法条手形法75条,手形法76条1項,手形法76条第3項,手形法76条第4項,手形法77条2項,手形法4条

一 小切手法第一三条の適用。 二 白地小切手補充権の消滅時効期間。

最高裁判所第二小法廷昭和36年11月24日昭和33(オ)843民集 第15巻10号2536頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 小切手法第一三条は、善意でかつ重過失なくして白地小切手を取得した所持人が自ら予めなされた合意と異なる補充をした場合にも適用があるものと解すべきである。 二 振出日白地の小切手の補充権は、五年の時効によつて消滅する。
参照法条小切手法13条,手形法10条,商法522条

商号変更に関する株主総会の決議前に、新商号のもとに振り出された約束手形につき会社が振出人としての責を負うとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和36年10月10日昭和32(オ)783民集 第15巻9号2281頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨登記簿上A商号B目的代表取締役甲名義の株式会社が株主総会の決議なしに実際上C商号D目的代表取締役乙名義のもとに三ケ月余にわたつて取引活動をして来た場合、乙がC商号を使用し、その代表者として振り出した約束手形については、その後商号および目的の変更、乙の取締役選任の各決議がなされ、かつ乙が代表取締役に選任され、右につき各登…
参照法条手形法8条,手形法78条,商法12条,民法113条

組合の代表者名義で提出された約束手形に対する組合員の責任の有無。

最高裁判所第二小法廷昭和36年7月31日昭和32(オ)693民集 第15巻7号1982頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨民法上の組合の代表者が、組合のために、その組合代表者名義で約束手形を振出した場合には、同組合の組合員は、共同振出人として、同手形について合同してその責を負うものと解するのが相当である。
参照法条手形法75条7号,手形法47条

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

最高裁判所第一小法廷昭和36年7月20日昭和34(オ)471民集 第15巻7号1892頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の呈示を伴わない催告には、手形債権の時効を中断する効力がない。
参照法条民法147条1号,民法153条,手形法38条1項,手形法39条1項

中間裏書の実質的無効と手形所持人の権利取得。

最高裁判所第二小法廷昭和36年6月23日昭和32(オ)169民集 第15巻6号1669頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨第一裏書が実質的要件を欠くため無効であつても、第二裏書により手形を取得した手形所持人は、取得に際し善意かつ重大な過失がないときは、振出人に対する手形上の権利を取得する。
参照法条手形法16条2項,手形法7条

一 小切手振出の代理権消滅後の手形振出と本人の責任 二 手形の受取人に表見代理の成立する場合と所持人に対する本人の責任

最高裁判所第一小法廷昭和35年12月27日昭和30(オ)286民集 第14巻14号3234頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 当座勘定取引のため小切手を振出す代理権しかない者が、その代理権消滅後、代理人と称して約束手形を振出した場合に、受取人が右代理権の消滅につき善意無過失で、右の者に手形振出の権限があると信じるにつき正当の理由を有するときは、本人は受取人に対し振出人としての責任を免れない。 二 無権代理人の振出した約束手形につき、本人が…
参照法条民法110条,民法112条,手形法8条,手形法14条

手形所持人の過失の有無と手形法第一七条。

最高裁判所第三小法廷昭和35年10月25日昭和33(オ)762民集 第14巻12号2720頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨債務者を害することを知らないで手形の所持人となつた者に対しては、重大な過失があると否とを問わず、前者に対する人的抗弁をもつて対抗することはできない。
参照法条手形法17条,小切手法22条

手形法第四八条第一項第二号の利息は満期当日の利息を含むか。

最高裁判所第三小法廷昭和35年10月25日昭和33(オ)841民集 第14巻12号2775頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形法第四八条第一項第二号の「満期以後の利息」は満期当日の利息を含む。
参照法条手形法48条1項2号

自己の信用を利用させる意味で約束手形の共同振出人となつた事実と連帯保証債務負担の意思の推認。

最高裁判所第二小法廷昭和35年9月9日昭和32(オ)1084民集 第14巻11号2114頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨金員を借り受けるにつき自己の信用を利用させる意味で他人と共同して約束手形を振出した事実があるからといつて、その他人に対し、右金員借受につき連帯保証債務を負担すべきことを諾約し、その意思を自己に代つて表示する権限を与えたものと推認しなければならないものではない。
参照法条手形法75条,民法454条

商号変更および代表取締役就任の登記の未了と会社の代表取締役として約束手形の振出をした者の手形上の責任。

最高裁判所第一小法廷昭和35年4月14日昭和32(オ)175民集 第14巻5号833頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨実在する会社の代表取締役として約束手形の振出をした者は、会社の商号変更および右代表取締役の就任につき登記がされていなくても、個人として手形上の責任を負うものではない。
参照法条手形法8条,商法12条

一 手形の補箋の表面になした署名と手形保証の成否 二 申立てない事項について判決をした違法のある事例

最高裁判所第三小法廷昭和35年4月12日昭和33(オ)643民集 第14巻5号825頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 約束手形の補箋の表面になした単なる署名は保証と看做すべきである。 二 約束手形の共同振出を原因として手形金の請求をしている場合に、手形保証を理由として請求を認容したときは、当事者の申立てない事項について判決をした違法がある。
参照法条手形法31条3項,手形法77条3項,民訴法186条

手形呈示義務免除の効力。

最高裁判所第二小法廷昭和34年5月29日昭和32(オ)977民集 第13巻5号621頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨支払のためにする手形の呈示義務の免除は、口頭でなされたものであつても、なお、免除者とその相手方との間においては、その効力を有すると解すべきである。
参照法条手形法38条

拒絶証書作成不要文句の記載方法。

最高裁判所第三小法廷昭和34年2月6日昭和32(オ)669民集 第13巻1号81頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の裏書欄に、拒絶証書作成不要の文句を記載する場合には、必ずしも特別の署名をする必要はなく、裏書自体に署名するをもつて足りると解すべきである。
参照法条手形法77条,手形法46条

手形振出人の一人が支払により手形を受け戻した上更に第三者に交付した場合における他の振出人の責任。

最高裁判所第一小法廷昭和33年9月11日昭和31(オ)1047民集 第12巻13号1998頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲乙共同振出にかかる受取人白地の約束手形を、甲が満期後手形金を支払つて受け戻し、更にこれを丙に交付した場合には、乙は丙に対し手形金の支払をなす義務はない。
参照法条手形法20条,手形法39条

手形法第七条による署名者の責任と取得者の悪意

最高裁判所第一小法廷昭和33年3月20日昭和32(オ)926民集 第12巻4号583頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形法第七条による裏書人の手形上の責任は、取得者の悪意により消長を来たさないと解すべきである。
参照法条手形法7条

白地手形による支払のための呈示の効力

最高裁判所第二小法廷昭和33年3月7日昭和31(オ)529民集 第12巻3号511頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であり、その呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものではない。
参照法条手形法38条,手形法53条,手形法10条

一 手形の「依頼返還」の効力 二 弁済期到来前の受働債権の譲渡または転付と債務者の相殺 三 受働債権の譲渡と債務者の相殺の意思表示の相手方

最高裁判所第二小法廷昭和32年7月19日昭和29(オ)723民集 第11巻7号1297頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 手形交換所における手形の呈示後、手形振出人の依頼に基きこれをして取引停止処分を免れさせるため、手形持出銀行がその受入銀行から手形のいわゆる「依頼返還」を受けたとしても、そのために一たんなされた手形の呈示および支払拒絶の効力は失われない。 二 弁済期到来前に受働債権の譲渡または転付があつた場合でも、債務者が右の譲渡通…
参照法条手形法38条,民法468条2項,民法506条1項

約束手形が無効でないものと認められた一事例

最高裁判所第二小法廷昭和32年7月12日昭和30(オ)173民集 第11巻7号1247頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の表面に紙片を附し、振出人が「本手形ハ他人ニ交付又ハ譲渡シタルトキハ無効トスル」旨記載したとしても、約束手形を無効ならしめるものではない。
参照法条手形法75条,手形法76条,手形法77条,手形法11条

無権限の署名代理による手形振出と民法第一〇九条の適用の有無

最高裁判所第一小法廷昭和32年2月7日昭和30(オ)71民集 第11巻2号227頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲が乙から手形振出の代理権を与えられたものと誤信し、その権限がないのに乙の記名印および認印を使用して、乙名義の手形を振り出した場合には、右手形は無権代理行為として振り出されたものであつて、民法第一〇九条は、この場合にも適用があるものと解すべきである。
参照法条手形法7条,手形法8条,民法109条

白地裏書人が手形を受戻した後、さきの白地裏書に記載した裏書を利用して右手形を第三者に譲渡した場合と裏書人としての責任の有無

最高裁判所第一小法廷昭和31年7月12日昭和30(オ)207民集 第10巻7号845頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨甲から白地裏書により乙に、乙から記名裏書により丙に、順次交付された手形が甲に返還され、かつ乙のなした裏書が適法に抹消された後において、甲がさきの白地裏書の記載をそのまま利用して、右手形を丁に譲渡したときは、甲は丁に対し、裏書人としての手形上の責任を負担する。
参照法条手形法14条2項,手形法16条1項,手形法43条前段,手形法77条

手形の書替により旧手形に基く債務は消滅するか

最高裁判所第二小法廷昭和31年4月27日昭和29(オ)802民集 第10巻4号459頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨手形の書替がなされた場合、その目的が支払延期のためであり、かつ旧手形はこれを新手形の見返り担保とする意味で回収されなかつた以上、旧手形に基く債務は、直接の当事者間においても、右書替により消滅することはない。
参照法条手形法1条,手形法17条

一 隠れたる取立委任裏書と手形上の権利移転の有無 二 裏書の連続を欠く手形上の権利行使の許否

最高裁判所第三小法廷昭和31年2月7日昭和29(オ)86民集 第10巻2号27頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 隠れたる取立委任裏書により、手形上の権利は、裏書人から被裏書人へ移転するものと解すべきである。 二 手形所持人は、たとえ手形が裏書の連続を欠くため形式的資格を有しなくても、実質的権利を証明するときは、手形上の権利を行使することができる。
参照法条手形法14条,手形法18条,手形法40条3項,手形法77条1項1号,手形法16条1項,手形法77条1項1号3号

約束手形の振出人のため手形保証をなした者は、受取人に対し、振出人の受取人に対する人的抗弁を以て対抗しうるか

最高裁判所第一小法廷昭和30年9月22日昭和29(オ)660民集 第9巻10号1313頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨約束手形の振出人のために手形保証をなした者は、振出人が受取人に対して有する人的抗弁を以つて受取人に対抗しえない。
参照法条手形法77条,手形法32条

一 手形書替の性質 二 手形書替後における旧手形の効力 三 手形書替後における手形金の請求方法 四 手形行為と民法第九五条の適用

最高裁判所第一小法廷昭和29年11月18日昭和26(オ)603民集 第8巻11号2052頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 手形の書替は、旧手形を現実に回収して発行する等特別の事情のない限り、単に旧手形債務の支払を延長するためになされるものと解すべきである。 二 旧手形が新手形に書き替えられても、旧手形は当然に無効となるものではない。 三 旧手形債務の支払を延長するために手形の書替が行われたときは、新手形の所持人は、新手形のみにて手形金…
参照法条手形法1条,民法95条

期間後裏書の被裏書人に対抗しうべき人的抗弁の範囲

最高裁判所第一小法廷昭和29年3月11日昭和27(オ)1263民集 第8巻3号688頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨期間後裏書の被裏書人に対しては、その裏書の裏書人に対する人的抗弁をもつて対抗することができるが、右裏書人の前者に対する人的抗弁をもつて対抗することはできない。
参照法条手形法20条1項,手形法17条

一 第三者作成文書の成立の真正の認定 二 手形の被偽造者の手形上の責任

最高裁判所第三小法廷昭和27年10月21日昭和25(オ)219民集 第6巻9号841頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 相手方が不知をもつて答えた第三者作成の文書については、特段の立証はなくても、弁論の全趣旨により、成立の真正を認めることができる。 二 手形の被偽造者は、手形を偽造されるにつき重大な過失があつたと否と、また受取人の善意であつたと否とにかかわらず、偽造手形により何ら手形上の義務を負うものではない。
参照法条民訴法325条,民訴法185条,手形法69条

一 特定物の売買においてその物が引渡前空襲により滅失した場合と代金債務支払のために振り出された手形債権の効力 二 手形振出人に対し手形債務の確認とその手形債務を保証する目的でした手形裏書人に対しその債務について給付の判決を求めることの可否

最高裁判所第三小法廷昭和24年5月31日昭和23(オ)150民集 第3巻6号226頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 特定物の売買においては、その物が引渡前空襲により滅失したとしても、売主の代金債権が消滅する理由がなく、従つてこれにより、その代金支払のために振り出された手形の振出が原因を欠くに至つたものとはいえない。 二 手形の裏書人が振出人の手形債務を保証する目的で裏書をした場合においても、裏書人の債務と振出人の債務とは別個の債…
参照法条民法534条,民法446条,手形法11条

一 手形の授受と既存債務の担保の推定。 二 既存債務の担保の手形と請求順序。 三 既存債務の担保の手形につき臨時財産調査令による財産申告を怠つた場合と既存債務の行使。

最高裁判所第一小法廷昭和23年10月14日昭和23(オ)12民集 第2巻11号376頁
位置づけ最高裁 / 民集登載
裁判要旨一 手形が既存債務の支払確保のため振り出された場合、当事者間に別段の意思表示がなく、且つ、債務者自身が手形上の唯一の義務者であるときは、右手形の授受は、既存債務の担保のためになされたものと推定するのが相当である。 二 手形が既存債務の担保のため授受せられた場合には、債権者は、既存の債権と手形上の権利とのいずれをも任意に…
参照法条民法482条,手形法9条,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)2条1項3号,臨時財産調査令(昭和21年勅令85号)9条1項

最高裁 / 裁判集登載92件

貸金債権の未発生の利息の支払のために振り出された約束手形であることを知って右手形を取得した行為と手形法一七条ただし書

最高裁判所第二小法廷平成7年7月14日平成6(オ)1719集民 第176号403頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の所持人が手形を裏書によって取得する際に当該手形が貸金債権の未発生の利息の支払のために振り出されたものであることを知っていたとしても、貸金債権の元本が弁済期より前に弁済されることによって右利息債権が発生しないであろうことを知っていたなどの特段の事情がない限り、手形法一七条ただし書にいう「債務者ヲ害スルコトヲ知リ…
参照法条手形法17条,手形法77条

前任の代表者名義を用いてされた手形振出行為が有効とされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和61年12月19日昭和58(オ)699集民 第149号379頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨会社の現代表者から手形振出に必要な権限を授与された者が、右権限に基づき現代表者を表示する名称として前代表者の名称を用いて手形を振り出したときは、右会社は手形の振出人としての責任を負う。
参照法条手形法8条

手形債権の一部の指名債権譲渡の方法による譲渡の効力

最高裁判所第三小法廷昭和60年7月2日昭和60(オ)243集民 第145号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形債権の金額的一部の指名債権譲渡の方法による譲渡は、無効である。
参照法条手形法12条2項,手形法77条1項,民法466条

約束手形の裏書に付加された取立委任文言が抹消された場合と譲渡裏書としての効力を生ずる時期

最高裁判所第三小法廷昭和60年3月26日昭和57(オ)1382集民 第144号233頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の取立委任裏書を受けてこれを所持している者が、裏書人との間で当該手形の譲渡を受ける旨の合意をして、後日右裏書中の取立委任文言を抹消しても、右裏書が譲渡裏書としての効力を生ずるのは、取立委任文言の抹消の時からであつて、譲渡の合意の成立時に遡つてその効力を生ずるものではない。
参照法条手形法12条,手形法18条,手形法77条

振出日白地の確定日払約束手形の効力

最高裁判所第一小法廷昭和58年3月31日昭和57(オ)1426集民 第138号463頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨振出日白地の確定日払約束手形は、手形としての効力を有しない。
参照法条手形法75条,手形法76条

約束手形の満期前に遡求の要件を満たすためにすべき呈示の場所

最高裁判所第一小法廷昭和57年11月25日昭和57(オ)755集民 第137号509頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の満期前に遡求の要件を満たすためにすべき呈示の場所は、振出人の営業所又は住所である。
参照法条手形法43条後段2号,手形法44条5項,手形法77条1項4号

期限後裏書の被裏書人に対抗しうべき人的抗弁の範囲

最高裁判所第一小法廷昭和57年9月30日昭和57(オ)296集民 第137号261頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨期限後裏書の被裏書人に対しては、その裏書の裏書人に対する人的抗弁をもつて対抗することができるが、右期限後裏書が戻裏書と同一に評価しうるような特段の事情がない限り、右裏書人の前者に対する人的抗弁をもつて対抗することはできない。
参照法条手形法17条,手形法20条1項,手形法77条1項1号

自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が右原因債権の完済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用

最高裁判所第三小法廷昭和57年7月20日昭和56(オ)1108集民 第136号737頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人は、その後右債権の完済を受けて裏書の原因関係が消滅したときは、特別の事情のない限り、振出人に対し手形金を請求するのは権利の濫用にあたり、振出人は、右所持人に対し手形金の支払を拒むことができる。
参照法条手形法17条,手形法77条1項,民法1条2項,民法1条3項

倉荷証券の裏書人欄に裏書人である会社の記名及び会社印の押捺はあるがその代表機関の署名ないし記名捺印がない裏書を適式として扱う商慣習法又は商慣習の存否

最高裁判所第一小法廷昭和57年7月8日昭和53(オ)1284集民 第136号429頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨倉荷証券の裏書人欄に裏書人である会社の記名がされ、かつ、倉荷証券を発行した倉庫営業者にあらかじめ届出がされた右裏書人の会社印が押捺されている場合には、会社の代表機関が会社のためにすることを示して署名ないし記名捺印をしなくても、これを適式の裏書として扱う旨の商慣習法又は商慣習の存在は認められない。
参照法条民法92条,手形法13条,商法1条,商法519条,商法603条

裏書の連続を欠く手形による手形金請求の訴えの提起と消滅時効の中断

最高裁判所第一小法廷昭和57年4月1日昭和56(オ)783集民 第135号633頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裏書の連続を欠く手形による手形金請求の訴えを提起した場合でも、手形所持人がその実質的権利を証明するときは、右手形債権の消滅時効は中断する。
参照法条手形法16条,手形法71条,手形法77条1項8号,民法147条

手形の表面に裏書禁止文句の記載があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和57年3月12日昭和56(オ)1047集民 第135号381頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨統一手形用紙による約束手形の表面の振出日欄と振出地欄との行間に、ゴム印様のもので押捺された約二ミリメートル大の不動文字からなる「裏書譲渡禁ず」との文言が幅一・二センチメートルにわたり横書で記入されているときは、裏書禁止文句の記載があると認めて妨げない。
参照法条手形法11条

約束手形の受取人の氏名に続けて「限り」と明白に読みとれる記載がある場合と手形法一一条二項

最高裁判所第一小法廷昭和56年10月1日昭和56(オ)196集民 第134号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨統一手形用紙を使用した約束手形の受取人欄に受取人の氏名に続けて「限り」と明白に読みとれる記載がある場合には、右記載は、手形法一一条二項にいう指図禁止と同一の意義を有する文言の記載にあたる。
参照法条手形法11条2項,手形法77条1項

手形の裏書の連続があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和56年7月17日昭和56(オ)218集民 第133号395頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の受取人「D商品株式会社」と第一裏書人「D商品株式会社E」との間には裏書の連続がある。
参照法条手形法16条1項,手形法77条

手形の満期が変造された場合と所持人の振出人に対する手形債権の消滅時効の起算点

最高裁判所第一小法廷昭和55年11月27日昭和55(オ)801集民 第131号173頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の満期が振出後に変造された場合には、右手形の所持人の振出人に対する手形債権の消滅時効は、変造前の満期から進行する。
参照法条手形法69条,手形法70条1項,手形法77条1項7号,手形法77条1項8号

振出日白地の確定日払の為替手形の取立委任を受けた銀行に白地補充等の義務がないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和55年10月14日昭和54(オ)771集民 第131号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨振出日白地の確定日払の為替手形の取立委任を受けた銀行と取立委任者との間に白地補充について特段の合意がなく、かつ、各種金融機関が取立委任を受ける確定日払の手形には振出日白地のものが多数あり、金融機関は、手形所持人に白地補充を促したり、自ら補充したりしないでそのまま取立に回すのが慣習であり、手形交換所の定めにおいても確定日…
参照法条手形法1条7号,手形法10条,手形法18条,民法644条

一 不渡異議申立手続の委託に伴う預託金の返還請求権が手形債権者に転付きれた場合と支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつてする相殺の許否 二 第三債務者が民訴法六〇九条に基づき被差押債権の存在を認め支払意思を表明したことと相殺権の放…

最高裁判所第二小法廷昭和55年5月12日昭和54(オ)1134集民 第129号637頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 支払銀行に対し、手形の不渡異議申立手続を委託した手形債務者から異議申立提供金に見合う資金として支払銀行に交付された預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合に、支払銀行が右債権の差押前から手形債務者に対して有する反対債権をもつて被転付債権と相殺することが、預託金返還請求権の性質上制限されるものと解すべき理由はな…
参照法条手形法38条,民法511条,民法646条1項,民訴法609条,民訴法748条

約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつた場合と手形法所定の利息

最高裁判所第一小法廷昭和55年3月27日昭和54(オ)1375集民 第129号359頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつたときは、その後に呈示されても、振出人は、手形法所定の利息の支払義務を負わない。
参照法条手形法28条2項,手形法48条1項2号,手形法49条2号,手形法78条1項

手形の満期が日曜日でその翌日が国民の祝日にあたる場合と手形の支払呈示期間

最高裁判所第一小法廷昭和54年12月20日昭和54(オ)985集民 第128号269頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の満期である昭和五二年一〇月九日が日曜日であり、翌一〇月一〇日が体育の日であつて、いずれも法定の休日にあたるときは、右手形の支払呈示期間は同年一〇月一三日までである。
参照法条手形法38条1項,手形法72条1項,手形法77条1項,手形法87条

手形の書替により新旧両手形の所持人となつた者が一方の手形の支払を受けた場合と他方の手形の支払請求の可否

最高裁判所第二小法廷昭和54年10月12日昭和53(オ)1375集民 第128号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨支払延期のため旧手形がこれを回収せずに新手形に書き替えられた場合に、新旧両手形の所持人となつた者が新手形を書替手形と知つて取得した悪意の取得者であるときは、右所持人は、いずれか一方の手形の支払を受けたのちに、振出人に対し重ねて他方の手形の支払を求めることはできない。
参照法条手形法1条,手形法17条,手形法77条1項

手形面上印刷された指図文句を抹消することなく指図禁止文句が併記された場合と裏書禁止手形

最高裁判所第一小法廷昭和53年4月24日昭和53(オ)149集民 第123号603頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の振出人が、手形用紙に印刷された指図文句を抹消することなく、指図禁止文句を記載したため、手形面上指図文句と指図禁止文句が併記されている場合には、他に特段の事情のない限り、右手形は裏書禁止手形にあたる。
参照法条手形法11条2項,手形法77条1項

手形割引依頼人に対する買戻請求権の行使と手形債務者に対する権利の行使との関係

最高裁判所第三小法廷昭和53年3月28日昭和49(オ)583集民 第123号289頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨割引手形の買戻請求権行使後の手形所持人は、割引依頼人の買戻債務が発生しても現実に履行されるまでは同時履行の抗弁権によりその手形を保有することができ、現実に支払を受けるまでは手形の正当な所持人として一切の権利を行使することができる。
参照法条手形法43条,手形法77条

理事が権限を濫用して振り出した約束手形の第三取得者に対する農業協同組合の手形上の責任

最高裁判所第一小法廷昭和53年2月16日昭和52(オ)1109集民 第123号65頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨農業協同組合の理事が自己又は第三者の利益をはかるため代表権限を濫用して約束手形を振り出した場合において、受取人が右権限濫用の事実を知り又は知りうべかりし状態のもとに手形の交付を受けたときは、民法九三条但書の規定の類推適用により、農業協同組合は理事の振出行為を無効として受取人に対する手形上の責任を免れることができるが、右…
参照法条農業協同組合法41条,民法53条,民法93条,手形法17条,手形法77条1項1号

手形行為の表見代理における第三者

最高裁判所第二小法廷昭和52年12月9日昭和52(オ)487集民 第122号313頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨民法一一〇条に第三者とあるのは代理人と法律行為をした直接の相手方をいうものと解すべきであり、権限のない者の振り出した約束手形につき、本人が民法一一〇条に基づき振出人とし,ての責任を負うべきときは、受取人からその手形の裏書譲渡を受けた者に対しても、その者の善意悪意を問わず、振出人としての責任を免れえないものと解するのが相…
参照法条民法110条,手形法8条

人的抗弁の存在につき手彫所持人の前者が善意であつても、信義則上、人的抗弁をもつて所持人に対抗することができるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和52年9月22日昭和50(オ)766集民 第121号251頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲会社の乙銀行に対する借入金債務を連帯保証人丙及び丁が弁済し、右借入金債務の担保として甲会社が乙銀行に裏書譲渡していた約束手形を丙及び丁が乙銀行から無担保裏書を受けて取得した場合において、甲会社が丙の主宰するワンマン会社ないしは同族会社であつて、丁は丙の三女で本件手形に関する限り丙と実質上も経済上も一体とみることができ…
参照法条民法1条2項,手形法17条

盗難手形の取得者に手形法一六条二項但書の重大な過失があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和52年6月20日昭和51(オ)1041集民 第121号45頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の譲受人において、手形受取名義人が当該手形の所持人であることにつき疑念を懐いて然るべき原判決理由説示のような事情があるのに、手形振出名義人又は支払担当銀行に照会するなどなんらかの方法で手形振出の真否につき調査をしなかつたのは、重大な過失があるということができる。
参照法条手形法16条2項

権利の承継人として民訴法七四条一項の第三者にあたる場合

最高裁判所第二小法廷昭和52年3月18日昭和50(オ)1011集民 第120号295頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の被裏書人丙が、適法な遡及条件を具備することなく、所持人として、振出人甲に対し手形金請求訴訟を提起し、その係属中に、前裏書人乙が丙から右約束手形の返還を受けたときは、乙は訴訟の目的たる手形金債権の承継人として民訴法七四条一項の第三者にあたる。
参照法条手形法14条,手形法16条,手形法49条,民訴法73条,民訴法74条

喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形の再発行請求権

最高裁判所第二小法廷昭和51年6月18日昭和48(オ)574集民 第118号123頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨白地手形を喪失した者は、右手形について除権判決を得た場合でも、手形債務者に対し喪失手形と同一の内容の手形の再発行を請求する権利を有しない。
参照法条手形法10条,民訴法785条

約束手形の満期の変造と裏書人の遡及義務

最高裁判所第三小法廷昭和50年8月29日昭和50(オ)439集民 第115号643頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の満期が裏書後裏書人の同意を得ないで変造された場合、所持人が右裏書人に対して遡及権を行使するためには変造前の満期にしたがつてその保全手続をとらなければならない。
参照法条手形法44条,手形法46条,手形法69条,手形法77条1項4号,手形法77条1項7号

受取人欄白地の手形の振出人とこれを補充した所持人との間に人的抗弁の対抗を受ける当事者としての関係がない場合

最高裁判所第一小法廷昭和49年12月19日昭和46(オ)876集民 第113号647頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨数人の手を経由して受取人欄白地の手形の交付を受けた所持人が受取人として自己の氏名を補充した場合、その手形上の形式的記載にかかわらず、右所持人は、振出人との関係においては、原因関係欠缺の人的抗弁の対抗を受ける直接の当事者にあたらない。
参照法条手形法10条,手形法17条,手形法77条

融通手形の所持人の振出人に対する不当仮差押と振出人につき生じた損害との間の因果関係の認定に理由不備があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和49年3月15日昭和47(オ)720集民 第111号387頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人が融通手形であることを理由としてその支払を拒絶した場合に、右振出人が同一の被融通者に対し額面合計五六七万円余に及ぶ七通の融通手形を振出しており、しかも右被融通者が既に支払を停止しているときは、これらの事実を知つた金融機関は右振出人との金融取引を警戒、敬遠するのが一般であるから、当該手形の所持人の右振出人…
参照法条手形法77条,手形法17条,民法709条

主たる債務が手形債務である連帯保証人に対する裁判上の請求と手形債務の消滅時効の中断

最高裁判所第一小法廷昭和48年9月7日昭和46(オ)774集民 第110号13頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形債務を主たる債務として手形外の連帯保証契約が締結されている場合において、連帯保証人に対し裁判上の請求がされたときは、手形債務についても消滅時効が中断する。
参照法条民法147条1号,民法149条,民法434条,民法458条,手形法71条

手形法一七条但書にあたるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和48年3月22日昭和47(オ)1211集民 第108号487頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形を裏書によつて取得した者が、取得の際、右手形が請負代金の前渡金として振り出されたものであり、かつ、請負人の財産状態が悪化して仕事の完成が期待しえないことを知つていたときには、手形法一七条但書にいわゆる「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形ヲ取得シタルトキ」にあたると解すべきである。
参照法条手形法17条

盗難手形を取得した金融機関に手形法一六条二項の重過失がないとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和47年11月10日昭和47(オ)762集民 第107号169頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨第一裏書人が白地裏書をしたまま保管中盗取された約束手形につき、金融機関が同手形の所持人から金融取引によりこれを取得するに当たつて右所持人等につき原判決理由説示のような調査をしたときは、右所持人が当該手形を所持することにつき疑念を抱かず、かつ、当該手形の振出人および第一裏書人に対し直接照会をしなかつたとしても、右金融機関…
参照法条手形法16条2項,手形法77条1項1号

手形の裏書が抹消されたものではないとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和47年4月25日昭和47(オ)89集民 第105号863頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の裏書欄中、裏書人の名下の捺印部分に重ねて、同印の約三分の一の直径の、通常会計帳簿に使用される「済」なる印が青色インクで押捺されているが、裏書人の記名は存置されていて、判示のようなこれを抹消する通常の手段がとられていない場合には、右裏書は抹消されたものではない。
参照法条手形法16条1項

約束手形の呈示期間の徒過と裏書人の遡求義務の消滅

最高裁判所第三小法廷昭和47年2月22日昭和44(オ)673集民 第105号165頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形が法定の呈示期間内に呈示されなかつたときは、裏書人の遡求義務は、右呈示期間の徒過によつて消滅する。
参照法条手形法53条,手形法77条

手形買戻請求権に関する事実たる慣習の存否について審理不尽の違法があるとされた事例

最高裁判所第三小法廷昭和46年6月29日昭和43(オ)934集民 第103号293頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨銀行と手形割引依頼人との間の取引約定書に、割引手形の振出人の信用悪化の場合には右割引依頼人において割引手形を買い戻す規定をおきながら、割引依頼人の関係においては、単に手形割引の都度右手形と同額の貸金債務を負担したものとする旨、および同人の信用悪化の場合に、同人の銀行に対する一切の債務について期限の利益を失う旨の規定をお…
参照法条手形法77条,手形法45条,民法92条

一、手形の押収と時効の停止 二、利得償還請求権の消滅時効期間

最高裁判所第二小法廷昭和46年4月23日昭和45(オ)879集民 第102号579頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一、手形が押収されていたため呈示できなかつたとしても、消滅時効の進行が停止される筋合ではない。 二、手形法第八五条の利得償還請求権の消滅時効期間は、五年と解するのが相当である。
参照法条民法161条,手形法85条,商法522条

いわゆる不渡異議申立提供金の預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合と支払銀行が手形債務者に対して有する反対債権をもつてする相殺の許否

最高裁判所第二小法廷昭和45年10月23日昭和45(オ)125集民 第101号155頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨いわゆる不渡異議申立提供金の預託金の返還請求権が手形債権者に転付された場合に、支払銀行が右債権の差押前から手形債務者に対して有する反対債権をもつて被転付債権と相殺することは許される。
参照法条民法646条1項,民法511条,手形法38条

一、銀行の貸付金債権についてされた期限の利益喪失約款の差押債権者に対する効力 二、手形の不渡異議申立手続に関し手形債務者が支払銀行に預託する預託金の返還債務の履行期

最高裁判所第一小法廷昭和45年8月20日昭和42(オ)900集民 第100号333頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一、銀行の貸付金債権について、債務者に対し強制執行、仮差押等の手続が開始されたときは、なんらの通知、催告を要せず、右債務が当然期限の利益を失う旨の合意は、右貸付金債権を差し押えた者に対しても、その効力を対抗しうる。 二、手形の不渡異議申立手続に関し、手形債務者が支払銀行に預託する預託金の返還債務の履行期は、支払銀行が、…
参照法条民法511条,民法646条,民訴法598条,手形法58条

偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係

最高裁判所第二小法廷昭和45年5月22日昭和44(オ)260集民 第99号215頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。
参照法条民法709条,民法715条,手形法43条

信用組合の表見参事が権限なくして約束手形を振り出した場合と信用組合の手形所持人に対する人的抗弁

最高裁判所第二小法廷昭和45年3月27日昭和42(オ)848集民 第98号565頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形振出の代理権を有しない信用組合の表見参事が代理資格を冒用して約束手形を振り出した場合において、手形受取人および同人の被裏書人がいずれも右代理権のないことを知つて手形を取得したときには、信用組合は被裏書人である手形所持人に対し、右表見参事が右代理権を有しなかつたことをもつて対抗することができる。
参照法条商法38条3項,手形法17条,手形法77条1項1号,中小企業等協同組合法44条

喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形上の権利行使

最高裁判所第三小法廷昭和45年2月17日昭和44(オ)967集民 第98号209頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨白地手形を喪失し除権判決を得た者は、手形債務者から手形の再発行を得て白地を補充したうえ請求するのであれば格別、除権判決を得たことのみを主張して手形金の支払を求めることはできない。
参照法条手形法10条,民訴法785条

約束手形所持人の振出人に対する手形債権に基づく詐害行為取消請求と手形裏書の原因関係の消滅時効

最高裁判所第二小法廷昭和45年1月23日昭和42(オ)608集民 第98号33頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の所持人が、その振出人に対する手形債権に基づき、右振出人と第三者との間の行為を詐害行為としてその取消を求める訴訟において、右所持人への裏書の原因関係上の債務につき消滅時効が完成していても、その債務の債務者が時効を援用していないかぎり、被告たち受益者は、右債務の消滅を主張して、右所持人の権利の行使を拒むことができ…
参照法条民法145条,民法424条,手形法77条,手形法17条

手形法四〇条三項にいう重大な過失があるとされた事例

最高裁判所第二小法廷昭和44年9月12日昭和43(オ)827集民 第96号553頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が乙に対し売買代金債権を有し、乙が右支払のため甲の代理人丙に乙振出甲宛の約束手形二通を交付したところ、丙は、そのうち一通を甲に交付し、他の一通の手形(以下、本件手形という。)については、乙に申し入れて、受取人を甲とする記載部分の抹消を受け、勝手に丙名義に補充してこれを満期に呈示したのであるが、右呈示前、乙は、甲から書…
参照法条手形法77条1項3号,手形法40条3項

手形の騙取と手形の交付

最高裁判所第二小法廷昭和44年6月20日昭和43(オ)448集民 第95号521頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨振出人甲が信用金庫の保証を得た約束手形を約束どおり現金と引換えでなければ交付できないと拒絶したが、手形ブローカー乙から融資する者に見せてくるから貸してくれといわれてだまされてとりあげられたときは、右手形の交付があつたものというべきである。
参照法条手形法78条

為替手形の支払人の記載が誤記でないとして、その記載以外の者が引き受けた行為を無効とした事例

最高裁判所第三小法廷昭和44年4月15日昭和44(オ)71集民 第95号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨統一手形用紙に基づく為替手形においても、その支払人の記載が明白なあやまりでない以上、右支払人と表示された者以外の者のした手形引受は無効と解すべきである。
参照法条手形法28条

喪失した白地手形について除権判決を得た者と手形上の権利の行使

最高裁判所第一小法廷昭和44年3月20日昭和43(オ)668集民 第94号623頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨喪失した白地手形について除権判決がなされても、右判決によつて当該白地手形自体が復活するわけではないから、それのみでは白地を補充して手形上の権利を行使することはできない。
参照法条手形法10条,民訴法785条

会社が取引上の通称を用いて振り出した約束手形につき振出人として支払の責に任ずべきものであるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和44年1月30日昭和43(オ)1070集民 第94号129頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨有限会社カネ一D自転車商会なる商号の会社が、その営業活動の実態の変化に伴い、手形取引も含めて、取引上自己をあらわす名称として有限会社D商会なる名称を使用しているなど原判示の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、有限会社カネ一D自転車商会は、同社が有限会社D商会なる名称を用いて振り出した約束手形につき、振出人として…
参照法条手形法75条

裏書の連続が認められた事例

最高裁判所第三小法廷昭和43年12月17日昭和43(オ)899集民 第93号701頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の受取人として「D株式会社」と記載され、第一裏書人として「E株式会社」と記載されているときは、裏書の連続があると解することができる。
参照法条手形法16条1項

原因債務の時効消滅と手形抗弁

最高裁判所第一小法廷昭和43年12月12日昭和43(オ)638集民 第93号585頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形債務者は、原因債務が時効消滅したことを理由として、原因関係上の当事者たる手形所持人からの手形金請求を拒むことができる。
参照法条手形法17条,民法173条1号

約束手形の振出人の弁済と裏書人の償還義務の一部免除

最高裁判所第二小法廷昭和43年12月6日昭和43(オ)451集民 第93号553頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人が当該手形上の債務を弁済した場合において、強制和議により右弁済前の時点にさかのぼつて右手形の裏書人の償還義務のみが一部免除されたときは、右償還義務は、右振出人の弁済により、右弁済額から右免除された債務額を控除した残額について消滅する。
参照法条手形法77条1項4号,手形法47条1項

一、手形行為は農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれるか 二、農業協同組合の参事が代理名義を用いず直接同組合の理事名義で手形を振出した場合の右手形の振出行為の効力

最高裁判所第一小法廷昭和43年10月31日昭和42(オ)1329集民 第92号773頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一、手形行為は、農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれると解すべきである。 二、農業協同組合の参事が代理名義を用いず、直接同組合の理事名義で手形を振出した場合、右手形の振出行為は組合の行為として有効である。
参照法条農業協同組合法10条,農業協同組合法42条3項,民法43条,商法38条1項,手形法8条

受取人欄白地の手形による支払のための呈示の効力

最高裁判所第三小法廷昭和43年10月8日昭和43(オ)679集民 第92号501頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨白地手形による支払のための呈示は無効であつてその呈示期間経過後の補充により右呈示が遡つて有効になるものでないことは当裁判所の判例であり(昭三三年三月七日第二小法廷判決、民集一二巻三号五一一頁)、右につき、受取人欄白地の手形を別異に解することはできない。
参照法条手形法38条,手形法53条,手形法10条,手形法77条

手形取得の経路についての事実認定に審理不尽・理由不備の違法があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和43年9月19日昭和42(オ)479集民 第92号305頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形が甲(振出人)―乙―丙(所持人)の経路で丙によつて取得されたものでなく、甲−乙−丁の経路で丁が取得したが、丁は訴訟信託の目的で丙に譲渡したものであるから、丙に対しては支払義務がない旨の訴訟信託の抗弁を審理するに際し、丁は乙の債権者として右手形を取得する事情があるのに対し、丙にはそのような事情がなく、また丁と丙とは親…
参照法条手形法17条,民訴法185条,民訴法395条1項6号

同一債権の支払方法として引き受けられた新旧二通の為替手形を所持する債権者の旧手形に基づく権利行使が認められた事例

最高裁判所第一小法廷昭和43年2月1日昭和42(オ)1000集民 第90号187頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨(省略)
参照法条手形法1条,手形法17条

手形行為と商法第二三条

最高裁判所第三小法廷昭和42年6月6日昭和39(オ)815集民 第87号941頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨銀行との当座預金取引および手形行為について自己の氏名商号の使用を許諾したにすぎない者は、右許諾を受けた者が許諾者名義で引き受けた為替手形につき、商法第二三条による責任を負わない。
参照法条商法23条,手形法8条

一 手形の書替と手形上の権利行使の方法 二 手形の書替と手形法第三九条

最高裁判所第三小法廷昭和42年3月28日昭和39(オ)860集民 第86号735頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 約束手形が書替えられた場合において、旧手形に基づく債務が消滅しないときは、手形の所持人は、新旧いずれの手形によつても手形上の権利を行使することができる。 二 約束手形の書替をした者が、新旧いずれか一方の手形による手形金請求を受けた場合には、右手形振出人は、新旧両手形をともに返還すべきことを請求することができる。
参照法条手形法38条,手形法39条

振出人との間で手形債務を負担しないことを約して手形保証をした者の受取人に対する抗弁の対抗

最高裁判所第一小法廷昭和42年3月23日昭和41(オ)977集民 第86号647頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨甲が乙に対して振り出した約束手形上に、丙が当該手形金の支払を負担しないことを甲に約して手形保証としての署名をした場合において、乙が右の事情を知つているかぎり、丙は乙に対し手形金の支払を拒むことができる。
参照法条手形法17条,手形法30条

前任の代表者名義でなされた手形行為を有効とした判決に審理不尽理由不備の違法があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和41年12月15日昭和40(オ)317集民 第85号659頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨前任の代表者名義を用いてなされた手形振出行為を有効とした判決において、当該手形署名が代表権限ないし代理権限ある何びとによつてなされたものかの認定判示が明確でないときには審理不尽、理由不備の違法がある。
参照法条手形法8条,民訴法395条1項6号

白地補充権なくして白地要件が補充された約束手形につき振出人に手形金支払義務があるとされた事例

最高裁判所第一小法廷昭和41年12月1日昭和41(オ)586集民 第85号489頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨会社の資力を仮装するため単に見せ手形として使用する約束のもとに振出人欄に記名押印し振出日および受取人欄を空欄として交付された約束手形につき、相手方が約旨に反して右空欄を補充した場合であつても、さらに裏書譲渡を受けた所持人が悪意重過失なくして右約束手形を取得したものである以上、振出人は所持人に対して手形金支払義務を負うも…
参照法条手形法77条2項,手形法10条

約束手形の振出人名義が偽造であるとされた事実関係のもとで振出名義人本人の追認が認められた事例

最高裁判所第二小法廷昭和41年7月1日昭和40(オ)1127集民 第84号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人名義がその記名捺印の冒用による偽造であるとされた事実関係(原判決理由参照)のもとで、振出名義人本人の追認があれば、振出の当初からその効力が本人に及ぶものと解して妨げない。
参照法条手形法7条,手形法8条

手形の受取人として記載されていない者がなした裏書を有効とした事例

最高裁判所第二小法廷昭和41年3月11日昭和40(オ)925集民 第82号721頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の受取人として記載されていない者が裏書をなした場合でも、その後に振出人が右手形の受取人名を右裏書人の氏名に訂正し、かつ、裏書人がその裏書に際し受取人名が右のように訂正されることを前提として裏書をしたものであるときは、右裏書は有効である。
参照法条手形法16条1項,手形法11条

他人名義の手形署名を行なう場合の法律関係。

最高裁判所第二小法廷昭和40年12月10日昭和40(オ)749集民 第81号405頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の署名自体は、事実行為であつて意思表示ではないから、これにつき代理はありえない。
参照法条手形法8条,民法99条

時効による債務の消滅と不当利得の成否

最高裁判所第三小法廷昭和40年10月12日昭和38(オ)222集民 第80号705頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人が、手形上の債務を時効によつて免かれた場合には、手形上の権利者に対し不当利得償還義務を負わない。
参照法条民法703条,手形法77条1項8号,手形法70条

名宛人に寄託中に寄託の趣旨に反して流通におかれた約束手形の振出の効力。

最高裁判所第三小法廷昭和40年6月1日昭和40(オ)7集民 第79号283頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人が、その自由意思により手形を名宛人に寄託中、その物が寄託の趣旨に反して流通に置いた場合、振出人は第三者に対し振出行為を否定することはできない。
参照法条手形法1条

約束手形の振出人のための保証人に対する所持人の権利は遡求手続の懈怠によつて失われるか。

最高裁判所第二小法廷昭和40年5月28日昭和39(オ)1283集民 第79号235頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の振出人のための保証人に対する所持人の権利は、所持人が遡求手続を懈怠したからといつて、失われることはない。
参照法条手形法77条3項,手形法32条1項,手形法53条

裏書の連続を欠く手形の所持人について実質的権利関係があつたものとは認められないとした事例。

最高裁判所第一小法廷昭和40年4月1日昭和39(オ)333集民 第78号469頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の最後の被裏書人と所持人との間に裏書の連続が欠く場合において、最後の被裏書人、その裏書人および手形所持人との間で、手形を右被裏書人から裏書人に受け戻したうえこれを同人から所持人に譲渡し右所持人の委任に基づいて裏書人が右手形金を取り立てる旨の合意が成立したなど判示の事実関係のもとでは、右手形の所持について、手形上…
参照法条手形法16条1項,民訴法395条1項6号

約束手形振出の意思表示が所持人の強迫によることを理由として同人に対し右意思表示の取消がなされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月26日昭和39(オ)163集民 第77号145頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨(添付、原審判決理由参照)
参照法条民法96条,手形法17条

約束手形の善意取得者は振出人に対する手形金請求権を失わないために支払呈示期間内に手形の呈示を必要とするか。

最高裁判所第三小法廷昭和40年1月19日昭和38(オ)242集民 第77号49頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の善意取得者は支払呈示期間内に手形の呈示をしなければ振出人に対する手形請求権を失うと解しなければならない理はない。
参照法条手形法38条1項,手形法78条1項

手残り手形上の権利と新手形金の弁済との関係。

最高裁判所第二小法廷昭和39年11月6日昭和38(オ)1475集民 第76号1頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨書替え後のいわゆる手残手形(旧手形)の期限後裏書譲渡をうけた者は、その後新手形について弁済があつたことにより手形債権を喪失する。
参照法条手形法20条

手形金債務の承認による消滅時効の中断。

最高裁判所第二小法廷昭和39年8月24日昭和37(オ)683集民 第75号93頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形金債務の消滅時効が承認により中断せられるためには、該手形の呈示を伴う手形金の請求がなければならないものではない。
参照法条手形法38条,民法147条3号

超権代理人による手形の振出と民法第一一〇条の第三者。

最高裁判所第二小法廷昭和39年6月26日昭和37(オ)1311集民 第74号285頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形が代理人によりその権限を超越して振り出された場合に、民法第一一〇条により、本人の手形の責任が生ずるためには、手形受取人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべき正当の理由を有するときに限るのであって、右受取人にかかる事由のないときは、たとい、その後の手形所持人において右代理人に振出の権限があるものと信ずべ…
参照法条手形法8条,民法110条

一 手形の振出と民法第一一〇条にいう第三者。 二 約束手形の所持人が該手形を満期に支払場所で所持していれば呈示があったとみられるか。

最高裁判所第一小法廷昭和39年6月25日昭和37(オ)412集民 第74号195頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 手形の振出について民法第一一〇条を適用する場合において、受取人が振出代理人の機関として振出人の氏名を記載したとしても、当該手形の受取人を同条にいう「第三者」と解するにさまたげない。 二 約束手形の所持人が該手形の満期にこれを支払場所で所持していた場合には、振出人が出頭しないときでも、適法な提示があったものとみるべき…
参照法条民法110条,手形法38条

裏書の抹消による手形の譲渡が期限後になされた場合と指名債権譲渡の対抗要件を具備することの要否。

最高裁判所第二小法廷昭和39年4月10日昭和38(オ)929集民 第73号83頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨裏書の抹消による手形の譲渡が期限後になされた場合に、指名債権譲渡の対抗要件を具備することは必要でない。
参照法条手形法14条,手形法20条1項,民法467条

いわゆる署名代理による手形振出行為の有効性。

最高裁判所第一小法廷昭和39年3月19日昭和38(オ)581集民 第72号581頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨いわゆる署名代理による手形振出行為は有効であつて、本人が振出人として手形上の責任を負う。
参照法条手形法8条,手形法77条2項

偽造裏書と手形の連続。

最高裁判所第一小法廷昭和39年2月13日昭和38(オ)364集民 第72号161頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の裏書のうちに偽造のものがあるからといつて、裏書の連続を欠くものとはいえない。
参照法条手形法16条1項

手形の呈示を伴わない催告による時効中断の効力の有無。

最高裁判所第二小法廷昭和39年1月24日昭和37(オ)1429集民 第71号309頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の呈示を伴わない催告にも、手形債権の時効を中断する効力がある。
参照法条民法147条,民法153条,手形法38条1項

手形の裏書交付と原因債務についての保証契約の成否。

最高裁判所第三小法廷昭和38年10月8日昭和37(オ)1032集民 第68号293頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の裏書交付があつたからといつて、原因関係たる貸金債務の保証若しくは連帯保証契約を締結する意思を表示したものと解することはできない。
参照法条手形法11条,民法446条

商法第二六五条違反の為替手形と裏書人の責任。

最高裁判所第一小法廷昭和38年10月3日昭和35(オ)574集民 第68号125頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨為替手形の振出行為、引受行為が商法第二六五条違反によつて無効であるとしても、裏書行為自体に何らの瑕疵もない以上、裏書人の責任に消長をきたさない。
参照法条商法265条,手形法7条

白地補充権の消滅時効期間。

最高裁判所第三小法廷昭和38年7月16日昭和37(オ)645集民 第67号75頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨約束手形の白地補充権は五年の短期消滅時効にかかるものと解するのを相当とする。
参照法条手形法10条,商法522条

一 約束手形の振出人欄の住所氏名印および角印部分のみが真正に成立している場合に手形全体の成立が民訴法第三二六条により推定されるかどうかの判断 二 約束手形の振出人欄における住所氏名などの記名印をもつて署名にかわる記名捺印があるとはされなかつ…

最高裁判所第一小法廷昭和38年6月20日昭和36(オ)1428集民 第66号561頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 消極、 二 約束手形の振出人欄に「大阪府泉南郡a町b」「D金属製作所」「D団治」なる三個の記名印が並んで押捺されてあり、右三個の記名印影にまたがつて「D金属製作所之印」なる角形の朱印が押捺されていても、D団治の振出人としての署名にかわる記名捺印があるとは認められない。
参照法条民訴法326条,手形法1編1章,手形法82条

手形署名代理は手形代理行為として有効か。

最高裁判所第三小法廷昭和38年6月4日昭和37(オ)546集民 第66号397頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形署名代理は、手形代理行為として有効である。
参照法条手形法8条

裏書の連続の意義。

最高裁判所第三小法廷昭和38年5月21日昭和37(オ)1154集民 第66号113頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形法第一六条第一項にいう裏書の連続は、その形式によりこれを判定すれば足り、裏書が真正なものかどうかは問うところではない。
参照法条手形法16条,手形法77条1項1号

準消費貸借の目的たる約束手形金債務を特定するについて手形要件全部の判示を必要とするか。

最高裁判所第二小法廷昭和38年3月1日昭和35(オ)1024集民 第65号41頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨準消費貸借の目的たる約束手形金債務を特定するために、必ずしも手形要件のすべてを判示する要はない。
参照法条民法588条,手形法75条

誤記のある手形が後日訂正によつて有効となつた場合、振出交付行為は最初のときか、訂正の時か、

最高裁判所第二小法廷昭和37年12月21日昭和35(オ)734集民 第63号825頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨誤記して振出した手形も、後日訂正によつて完全な手形となりうる可能性がある以上、振出交付行為自体は振出人が手形に署名し相手方に交付した時にあると解すべきである。
参照法条手形法2条,手形法10条

一 隠れたる取立委任裏書の性質 二 形式的資格を欠く場合の手形権利者の権利行使方法

最高裁判所第二小法廷昭和37年12月7日昭和35(オ)1283集民 第63号445頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨一 隠れたる取立委任の場合、取立委任の合意は単に当事者間の人的抗弁事由に止まる。 二 形式的資格を欠く場合でも、手形所持人が債務者に対し実質的権利者であることを証明した場合は、債務者は支払を拒否することはできない。
参照法条手形法16条,手形法18条

約束手形の振出人欄の肩書と押印から会社が振出人であるとされた事例。

最高裁判所第三小法廷昭和37年10月30日昭和35(オ)1360集民 第62号1059頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨振出人欄に「B」、その肩書部分に「たからや」の記載がなされ、右「B」名下に「有限会社D洋装店代表取締役印」の押印がなされている約束手形の振出人は、有限会社D洋装店と認めるのが相当である。
参照法条手形法75条

支払延期のため新手形の振出と旧手形上の権利。

最高裁判所第二小法廷昭和37年6月8日昭和35(オ)379集民 第61号91頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨支払延期のために、旧手形の回収なしに、新手形が振出された場合、所持人は新旧両手形上の権利を有する。
参照法条手形法1条,手形法17条

被裏書人欄の補充は権利行使のため必要か

最高裁判所第二小法廷昭和37年4月6日昭和36(オ)1108集民 第60号35頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨被裏書人欄のおよび裏書の日附欄白地の手形所持人は、右白地を補充しないで権利を行使できる。
参照法条手形法13条2項,手形法16条1項

手形振出に動機の錯誤がある場合と手形振出行為の効力

最高裁判所第二小法廷昭和37年3月23日昭和36(オ)1349集民 第59号603頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形振出の動機に重大な錯誤があり、それが一般には要素の錯誤とみられるとしても、手形振出行為自体の効力を左右するものではない。
参照法条民法95条,手形法1条

法律上存在しない会社の取締役社長名義による約束手形の振出の効力

最高裁判所第一小法廷昭和37年2月15日昭和32(オ)294集民 第58号605頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨振出当時いまだ法律上存在しない会社の取締役社長何某として振出人欄に署名して振り出された約束手形は、右何某個人によつて振り出されたものと認めるものが相当である。
参照法条商法57条,手形法8条,手形法75条

手形の取立委任と信託法第一一条

最高裁判所第二小法廷昭和37年2月2日昭和36(オ)934集民 第58号509頁
位置づけ最高裁 / 裁判集登載
裁判要旨手形の取立委任をしたからといつて、当然に信託法第一一条に違反するとはいえない。
参照法条信託法11条,手形法18条