論点1第22条民事執行法
債権者の代理人が本人としてした作成嘱託に基づき作成された公正証書の効力
裁判要旨債権者の代理人が本人としてした作成嘱託に基づき作成された公正証書は、債務名義としての効力がない。
(反対意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和56年3月24日 昭和53(オ)203
- 登載
- 民集 第35巻2号254頁
- 参照法条
- 公証人法2条,公証人法32条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)559条3号,民事執行法22条
論点2第22条民事執行法
外国裁判所の判決に記載がない利息を付加して執行判決をすることができる場合
裁判要旨外国裁判所の判決に記載がない利息であっても、当該外国の法制上、判決によって支払を命じられた金員に付随して発生し、執行することができるとされている場合には、これを付加して執行判決をすることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年7月11日 平成5(オ)1761
- 登載
- 民集 第51巻6号2530頁
- 参照法条
- 民訴法200条,民事執行法22条6号,民事執行法24条
論点3第22条民事執行法
いわゆる懲罰的損害賠償を命じた外国裁判所の判決について執行判決をすることの可否
裁判要旨外国裁判所の判決のうち、補償的損害賠償等に加えて、見せしめと制裁のために懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分については、執行判決をすることができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年7月11日 平成5(オ)1762
- 登載
- 民集 第51巻6号2573頁
- 参照法条
- 民訴法200条3号,民事執行法22条6号,民事執行法24条,民法709条
論点4第22条民事執行法
記載内容が事実に合致しないため公正証書が無効とされた事例
裁判要旨公正証書には、昭和六一年二月一三日に二〇〇〇万円を貸し付けたと記載されているが、実際には、同年二月五日から三月一九日まで(二月一三日を除く。)の間に七回にわたり合計七七八万円余の消費貸借、準消費貸借契約を締結し、公正証書作成日である三月二二日ころ債権者が債務者に対し、右各債権を含め将来二〇〇〇万円の限度で逐次貸し付ける旨を約したものであるなど判示の事実関係の下においては、公正証書に記載された債権と真実の債権との間に客観的な同一性を認めることができず、公正証書は債務名義としての効力を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成6年4月5日 平成2(オ)53
- 登載
- 集民 第172号201頁
- 参照法条
- 民事執行法22条
論点5第22条民事執行法
訴訟当事者に判決の内容が了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続と民訴法118条3号にいう公の秩序
裁判要旨外国裁判所の判決に係る訴訟手続において,当該判決の内容を了知させることが可能であったにもかかわらず,実際には訴訟当事者にこれが了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより,不服申立ての機会が与えられないまま確定した当該判決に係る訴訟手続は,民訴法118条3号にいう公の秩序に反する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成31年1月18日 平成29(受)2177
- 登載
- 民集 第73巻1号1頁
- 参照法条
- 民訴法118条3号,民事執行法22条6号,民事執行法24条
論点6第22条民事執行法
1 人事に関する訴え以外の訴えにおける民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無の判断基準
2 違法行為により権利利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えと民訴法3条の3第8号の「不法行為に関する訴え」
3 違法行為により権利利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えにおける民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」の意義
4 違法行為により権利利益を侵害され又は侵害されるおそれがあるとして差止請求を認めた外国裁判所の判決について民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無を判断する場合において,民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」が当該外国裁判所の属する国にあるというために証明すべき事項
裁判要旨1 人事に関する訴え以外の訴えにおける民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無については,基本的に我が国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ,個々の事案における具体的事情に即して,外国裁判所の判決を我が国が承認するのが適当か否かという観点から,条理に照らして判断すべきである。
2 民訴法3条の3第8号の「不法行為に関する訴え」は,違法行為により権利利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えをも含む。
3 違法行為により権利利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えについては,民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」は,違法行為が行われるおそれのある地や,権利利益を侵害されるおそれのある地をも含む。
4 違法行為により権利利益を侵害され,又は侵害されるおそれがあるとして差止請求を認めた外国裁判所の判決について民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無を判断する場合において,民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」が当該外国裁判所の属する国にあるというためには,被告が原告の権利利益を侵害する行為を同国内で行うおそれがあるか,原告の権利利益が同国内で侵害されるおそれがあるとの客観的事実関係が証明されれば足りる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成26年4月24日 平成23(受)1781
- 登載
- 民集 第68巻4号329頁
- 参照法条
- (1,4につき)民訴法118条1号,民事執行法22条6号,民事執行法24条 (2〜4につき)民訴法3条の3第8号
論点7第22条民事執行法
第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合における当該建物の明渡請求と併合されている他の請求の当否等についての控訴審の判断
裁判要旨第1審判決の仮執行宣言に基づく強制執行によって建物が明け渡されている場合には,控訴審は,当該建物の明渡請求と併合されている賃料相当損害金等の支払請求の当否や同請求に対する抗弁において主張されている敷金返還請求権の存否についても,当該明渡しの事実を考慮することなく,判断すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成24年4月6日 平成22(受)754
- 登載
- 民集 第66巻6号2535頁
- 参照法条
- 民訴法136条,民訴法259条,民訴法260条,民事執行法22条2号
論点8第22条民事執行法
一 香港高等法院がした訴訟費用の負担を命ずる裁判と民事執行法二四条所定の「外国裁判所の判決」
二 併合請求の裁判籍が存在することを根拠に香港の裁判所に民訴法一一八条一号所定の「外国裁判所の裁判権」が認められた事例
三 司法共助に関する条約に定められた方法によらない送達と民訴法一一八条二号所定の「訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達」
四 香港在住の当事者から私的に依頼を受けた者が我が国でした直接交付の方法による送達と民訴法一一八条二号
五 弁護士費用を含む訴訟費用全額の負担を命ずる裁判と民訴法一一八条三号所定の「公の秩序」
六 中国に返還される前の香港と我が国との間における民訴法一一八条四号所定の「相互の保証」の有無
裁判要旨一 香港高等法院がした訴訟費用負担命令並びにこれと一体を成す費用査定書及び費用証明書は、民事執行法
二四条〈外国裁判所の判決の執行判決〉所定の「外国裁判所の判決」に当たる。
二 甲及び甲が代表者を務める乙会社と丁との間の起訴契約に基づき、丁が丙に対して香港の裁判所に保証債務の履行を求める第一訴訟を提起したところ、丙が、第一訴訟が認容された場合に備えて、甲に対して根抵当権の代位行使ができることの確認を求める第二訴訟を、甲及び乙会社に対して求償請求ができることの確認を求める第三訴訟を提起し、第一訴訟及び第二訴訟については香港に国際裁判管轄が存在するなど判示の事実関係の下においては、第三訴訟については、民訴法七条の規定の趣旨に照らし、第二訴訟との間の併合請求の裁判籍が香港に存在することを肯認して、香港の裁判所のした判決を我が国で承認することが、当事者間の公平、裁判の適正・迅速の理念に合致し、条理にかなうものである。
三 裁判上の文書の送達につき、判決国と我が国との間に司法共助に関する条約が締結されていて、訴訟手続の開始に必要な文書の送達が右条約に定める方法によるべきものとされている場合には、右条約に定められた方法を遵守しない送達は、民訴法一一八条二号所定の要件を満たさない。
四 香港在住の当事者から私的に依頼を受けた者が我が国でした直接交付の方法による送達は、民訴法一一八条二号所定の要件を満たさない。
五 弁護士費用を含む訴訟費用の全額をいずれか一方の当事者に負担させる裁判は、実際に生じた費用の範囲内でその負担を命ずるものである限り、民訴法一一八条三号所定の「公の秩序」に反するものではない。
六 中国に返還される前の香港と我が国との間には、金銭の支払を命じた判決に関し、民訴法一一八条四号所定の「相互の保証」がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成10年4月28日 平成6(オ)1838
- 登載
- 民集 第52巻3号853頁
- 参照法条
- 民事執行法22条6号,民事執行法24条,民訴法7条,民訴法118条,民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約,日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約
論点9第22条民事執行法
民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合に,その弁済が上記部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることの可否
裁判要旨民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記外国裁判所の強制執行手続においてされたものであっても,これが上記部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和3年5月25日 令和2(受)170
- 登載
- 民集 第75巻6号2935頁
- 参照法条
- 民訴法118条3号,民事執行法22条6号,民事執行法24条
論点10第23条民事執行法
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法
裁判要旨権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしようとする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,強制執行の申立書に,当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して,当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきであり,上記債務名義につき,上記登記名義人を債務者として上記不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成22年6月29日 平成21(受)1298
- 登載
- 民集 第64巻4号1235頁
- 参照法条
- 民法33条,民訴法29条,民事執行法23条3項,民事執行法25条,民事執行法27条2項,民事執行法33条,民事執行規則21条,民事執行規則23条
論点11第23条民事執行法
第三者異議の訴えの原告についての法人格否認の法理の適用
裁判要旨第三者異議の訴えの原告の法人格が執行債務者に対する強制執行を回避するために濫用されている場合には,原告は,執行債務者と別個の法人格であることを主張して強制執行の不許を求めることは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年7月15日 平成16(受)1611
- 登載
- 民集 第59巻6号1742頁
- 参照法条
- 民事執行法23条,民事執行法38条1項,民訴法115条,民法33条,商法52条
論点12第24条民事執行法
一 民訴法二〇〇条四号所定の「相互ノ保証アルコト」の意義
二 民訴法二〇〇条三号の規定と外国裁判所の判決の成立についての公序良俗違反
裁判要旨一 民訴法二〇〇条四号所定の「相互ノ保証アルコト」とは、当該判決をした外国裁判所の属する国において、右判決と同種類の我が国の裁判所の判決が同条各号所定の条件と重要な点で異ならない条件のもとに効力を有するものとされていることをいうものと解すべきである。
二 民訴法二〇〇条三号の規定は、外国裁判所の判決の内容のほかその成立も我が国の公序良俗に反しないことを要するとしたものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年6月7日 昭和57(オ)826
- 登載
- 民集 第37巻5号611頁
- 参照法条
- 民事執行法24条,民訴法200条3号,民訴法200条4号
論点13第25条民事執行法
給与等の支払をする者が判決に基づく強制執行によりその回収を受ける場合における源泉徴収義務の有無
裁判要旨所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者が,その支払を命ずる判決に基づく強制執行によりその回収を受ける場合であっても,上記の者は,同法183条1項所定の源泉徴収義務を負う。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成23年3月22日 平成21(受)747
- 登載
- 民集 第65巻2号735頁
- 参照法条
- 所得税法6条,28条1項,183条1項,民事執行法25条
論点14第26条民事執行法
免責許可の決定の効力が及ばない破産債権であることを理由として当該破産債権が記載された破産債権者表につき執行文付与の訴えを提起することの許否
裁判要旨免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が,当該破産債権が破産法253条1項各号に掲げる請求権に該当することを理由として,当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成26年4月24日 平成25(受)419
- 登載
- 民集 第68巻4号380頁
- 参照法条
- 民事執行法26条,民事執行法27条1項,民事執行法27条2項,民事執行法33条1項,破産法221条,破産法253条1項,破産法253条3項
論点15第31条民事執行法
執行不能を条件とする代償請求が将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠くとされた事例
裁判要旨株式譲渡承認の申請手続と右承認を条件とする株券の指図による占有移転を命ずる判決の執行不能を条件とする代償請求は、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和63年10月21日 昭和60(オ)522
- 登載
- 集民 第155号55頁
- 参照法条
- 民訴法226条,民事執行法31条2項
論点16第33条民事執行法
家庭裁判所において請求異議の訴えが適法に損害賠償請求の訴えに交換的に変更された場合と新訴の取扱い
裁判要旨家庭裁判所において請求異議の訴えが適法に損害賠償請求の訴えに交換的に変更された場合には、民訴法三〇条一項により、新訴を管轄裁判所に移送すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成5年2月18日 平成3(オ)131
- 登載
- 民集 第47巻2号632頁
- 参照法条
- 民訴法30条1項,民訴法232条,民事執行法33条2項,民事執行法35条
論点17第35条民事執行法
不動産の引渡命令の発付を受けた買受人が当該不動産を第三者に譲渡した場合と引渡命令の相手方が右買受人に対して提起する引渡命令に対する請求異議の訴えにおける異議の事由
裁判要旨不動産の引渡命令の発付を受けた買受人が当該不動産を第三者に譲渡したとしても、引渡命令の相手方は、右買受人に対して提起する引渡命令に対する請求異議の訴えにおいて、右譲渡の事実をもつて異議の事由とすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和63年2月25日 昭和62(オ)491
- 登載
- 集民 第153号443頁
- 参照法条
- 民事執行法35条,民事執行法83条1項
論点18第35条民事執行法
裁判上の和解調書に基づく強制執行が権利の濫用に当たらないものとされた事例
裁判要旨甲.乙間に土地の境界をめぐる紛争があり、乙が建築しようとした建物についての甲の申請にかかる建築工事禁止仮処分事件で甲・乙間に裁判上の和解が成立した場合において、右和解の趣旨.目的が、右仮処分申請当時、建築工事中の右建物の一部が甲主張の境界線を若干越えていたが、既に基礎工事が完成していたところから、既存の工事部分をできるだけ壊さないで利用できるようにするとともに、右建物と境界線との間に民法二三四条一項に従い五〇センチメートルの距離を保てるようにするため、互譲により形成されたA線をもつて境界とすることを相互に確認するとともに、乙は甲に対し右A線から五〇センチメートルの間隔を置いたB線とA線との間には建物を建築しないことを約するにあり、右和解目的の実現のため、乙が甲に対し和解成立当時既にB線を越えて設置されていた構築物を乙の費用負担において撤去することを約したにもかかわらず、乙が右和解成立後B線を越えて建物の建築を続行し、これを完成するに至つたなど判示の事情のもとにおいては、甲が、乙に対し、裁判上の和解調書中の右構築物撤去条項を債務名義とする強制執行として、B線を越えて建築された右構築物と一体をなす建物部分の撤去を求めることは、正当な権利の行使であつて、権利の濫用に当たるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年7月16日 昭和59(オ)1368
- 登載
- 集民 第151号423頁
- 参照法条
- 民事執行法35条,民法1条2項,民法1条3項
論点19第35条民事執行法
白地手形による手形金請求を棄却する判決の確定後に白地部分を補充して手形上の権利の存在を主張することの許否
裁判要旨白地手形の所持人は、手形金請求の前訴において、事実審口頭弁論終結前に白地補充権を行使しえたのにこれを行使しないため手形要件を欠くとして請求棄却の判決を受け、これが確定したときは、特段の事情のない限り、その後に白地部分を補充しても、後訴において手形上の権利の存在を主張することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年3月30日 昭和54(オ)110
- 登載
- 民集 第36巻3号501頁
- 参照法条
- 手形法10条,手形法77条2項,民訴法199条1項,民訴法545条2項(昭和54年法律第4号による改正前のもの),民事執行法35条2項
論点20第35条民事執行法
建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後における建物買取請求権の行使と請求異議の訴え
裁判要旨土地の賃借人が賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後に建物買取請求権を行使した場合、その行使の効果は、建物収去土地明渡請求を認容する確定判決に対する請求異議の訴えにおける異議の事由となる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成7年12月15日 平成4(オ)991
- 登載
- 民集 第49巻10号3051頁
- 参照法条
- 借地法4条2項,民事執行法35条
論点21第35条民事執行法
検察官が訴訟費用の裁判の執行のため発した徴収命令に対する請求異議の訴えの許否
裁判要旨検察官が訴訟費用の裁判の執行のため発した徴収命令に対し、請求異議の訴えによってその効力を争うことは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成4年7月17日 平成3(オ)1925
- 登載
- 民集 第46巻5号538頁
- 参照法条
- 民事執行法35条1項,刑訴法490条,刑訴法502条,刑訴法504条
論点22第35条民事執行法
強制執行を受けた債務者がその請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合に執るべき手続
裁判要旨強制執行を受けた債務者が,その請求債権につき強制執行を行う権利の放棄又は不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合には,執行抗告又は執行異議の方法によることはできず,請求異議の訴えによるべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年9月11日 平成18(許)13
- 登載
- 民集 第60巻7号2622頁
- 参照法条
- 民事執行法10条,民事執行法11条,民事執行法35条
論点23第35条民事執行法
共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく潮受堤防排水門の開門請求を認容する判決が確定した後,当該確定判決に係る訴訟の口頭弁論終結時に存在した共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく開門請求権が消滅したことのみでは当該確定判決に対する請求異議の事由とはならないとされた事例
裁判要旨共同漁業権から派生する漁業行使権(漁業法8条1項の漁業を営む権利)に基づく潮受堤防排水門の開門請求を認容する判決が確定した後,当該確定判決に係る訴訟の口頭弁論終結時に存在した共同漁業権の存続期間の経過により同共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく開門請求権が消滅したとしても,当該確定判決が,その主文から,同存続期間の経過後に当該確定判決に基づく開門が継続されることをも命じていたことが明らかであるなど判示の事情の下では,当該確定判決に係る請求権は,同開門請求権のみならず,同存続期間の末日の翌日に免許がされた同共同漁業権と同一内容の共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく開門請求権をも包含するものと解され,前者の開門請求権が消滅したことは,それのみでは当該確定判決に対する請求異議の訴えにおける異議の事由とはならない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 令和元年9月13日 平成30(受)1874
- 登載
- 集民 第262号89頁
- 参照法条
- 民事執行法35条1項,漁業法8条1項,漁業法21条1項
論点24第36条民事執行法
請求異議の訴えについて請求を棄却する判決が確定し、当該訴えを本案とする強制執行の停止を命ずる裁判が取り消された場合において、当該裁判に係る申立てをした者が、債権者が強制執行の停止によって被った損害を賠償する義務を負うか
裁判要旨請求異議の訴えを本案とする民事執行法36条1項の強制執行の停止の申立てがされ、強制執行の停止を命ずる裁判がされた後、当該訴えについて請求を棄却する判決が確定し、当該強制執行の停止を命ずる裁判が取り消された場合において、当該申立てをした者に主張した異議の事由が事実上又は法律上の根拠を欠くことについて故意又は過失があるときは、当該申立てをした者は、債権者が強制執行の停止によって被った損害を賠償する義務を負う。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和7年9月9日 令和5(受)2207
- 登載
- 民集 第79巻6号2652頁
- 参照法条
- 民法709条、民事執行法36条1項
論点25第38条民事執行法
一 遺言執行者がある場合と遺贈の目的物についての受遺者の第三者に対する権利行使
二 民法一〇一三条に違反してされた相続人の処分行為の効力
三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前と民法一〇一三条にいう「遺言執行者がある場合」
裁判要旨一 遺言者の所有に属する特定の不動産の受遺者は、遺言執行者があるときでも、所有権に基づき、右不動産についてされた無効な抵当権に基づく担保権実行としての競売手続の排除を求めることができる。
二 遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効である。
三 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前であつても、民法一〇一三条にいう「遺言執行者がある場合」に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年4月23日 昭和61(オ)264
- 登載
- 民集 第41巻3号474頁
- 参照法条
- 民法1012条,民法1013条,民事執行法38条,民事執行法194条
論点26第38条民事執行法
譲渡担保権者と第三者異議の訴え
裁判要旨譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、目的物件に対し民事執行法一二二条の規定により譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行につき、第三者異議の訴えによつてその排除を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年2月24日 昭和57(オ)1322
- 登載
- 集民 第138号229頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民事執行法38条1項,民事執行法122条
論点27第38条民事執行法
不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分が実体的権利関係に適合しないことにより自己の権利を害される者が強制執行法上の手続による救済を求めることを怠つた場合と国に対する損害賠償請求の可否
裁判要旨不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分が関係人間の実体的権利関係に適合しない場合において、右処分により自己の権利を害される者が、強制執行法上の手続による救済を求めることを怠り、このために損害を被つたときは、執行裁判所みずからその処分を是正すべき場合等特別の事情がある場合でない限り、その賠償を国に対して請求することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年2月23日 昭和52(オ)1155
- 登載
- 民集 第36巻2号154頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条1項,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,民事執行法38条1項
論点28第38条民事執行法
一 譲渡担保権者と第三者異議の訴え
二 譲渡担保権者が目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定した場合と第三者異議の訴え
裁判要旨一 譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、第三者異議の訴えによつて目的物件に対し譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができる。
二 譲渡担保権者は、目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定したのちにおいても、第三者異議の訴えによつて目的物件に対し原譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年12月17日 昭和53(オ)1463
- 登載
- 民集 第35巻9号1328頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,民事執行法38条1項
論点29第38条民事執行法
譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることの可否
裁判要旨不動産を目的とする譲渡担保において,被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,設定者は,差押登記後に債務の全額を弁済しても,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年10月20日 平成16(受)1641
- 登載
- 民集 第60巻8号3098頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民事執行法38条1項
論点30第38条民事執行法
1 弁護士を受託者とし、預り金を信託財産に属すべきものと定めた信託契約に関し、信託の目的についての合意が成立したことの主張があるとはいえないとされた事例
2 預金債権の債権者が信託法23条5項の規定による異議に係る訴えを提起した場合において、上記預金債権が信託財産に属する財産であるか否かを判断する基準時
裁判要旨1 預金債権の差押えを受けた弁護士が、上記預金債権は、自らを受託者とする信託契約によって信託財産に属すべきものと定められた依頼者からの預り金を原資とするもので、信託財産に属する財産であると主張し、差押債権者に対し、信託法23条5項の規定による異議に係る訴えを提起した場合に、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、上記弁護士がその成立をいう上記信託契約に関し、信託の目的についての合意が成立したことの主張があるとはいえない。
⑴ 上記差押債権者は、上記信託契約の成立を争い、信託の目的をはじめとする上記信託契約の具体的内容を上記弁護士において明らかにすることを求めている。
⑵ 上記弁護士は、依頼者からの預り金が信託財産に属する財産となることは当然であることなどからすると、上記信託契約の具体的内容を明らかにする必要はないとして、自己が依頼者から預り金を預かり保管した目的に関し、具体的な主張を明示的にしていない。
⑶ 上記弁護士は、上記預り金に関する帳簿や上記預金債権に係る口座の通帳の一部を証拠として提出しているものの、上記帳簿等をみても上記預り金を預かり保管した目的を把握することができない。
2 受託者の固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を請求債権として、信託財産に属する預金債権に対する差押えがされたのに対し、上記預金債権の債権者が、上記預金債権が信託財産に属する財産であって自らが受託者であると主張し、信託法23条5項の規定による異議に係る訴えを提起した場合において、上記預金債権が信託財産に属する財産であるか否かは、事実審の口頭弁論終結時を基準として判断される。
(1、2につき補足意見、1につき意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和8年1月20日 令和5(受)2245
- 登載
- 民集 第80巻1号1頁
- 参照法条
- (1、2につき)信託法23条1項、5項、民事執行法38条 (1につき)民訴法246条、信託法3条1号、信託法16条1号 (2につき)民訴法253条1項4号
論点31第39条民事執行法
1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に債務者につき更生手続開始の決定がされた場合における上記担保の被担保債権の性質
2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合において債務者につき更生計画認可の決定がされた後であっても供託金の還付請求権を行使することの可否
裁判要旨1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に,債務者につき更生手続開始の決定がされた場合,その被担保債権である損害賠償請求権は,更生担保権ではなく,更生債権に当たる。
2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保が立てられた場合,被供託者は,債務者につき更生計画認可の決定がされても,会社更生法203条2項にいう「更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利」として,供託金の還付請求権を行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成25年4月26日 平成24(許)15
- 登載
- 民集 第67巻4号1150頁
- 参照法条
- (1,2につき)民訴法76条,民訴法77条,民訴法259条,民訴法403条1項,民訴法405条2項,民事執行法39条1項 (1につき)会社更生法2条8項,会社更生法2条10項 (2につき)会社更生法203条2項,会社更生法204条1項,供託法8条1項
論点32第39条民事執行法
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止のために担保が立てられた場合における債務者に対する破産宣告と担保の事由の消滅
裁判要旨仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止のために担保が立てられた場合において,債務者が破産宣告を受けたことの一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成14年4月26日 平成14(許)1
- 登載
- 集民 第206号401頁
- 参照法条
- 破産法70条1項,民訴法79条1項,民訴法259条,民訴法398条1項,民訴法400条2項,民事執行法39条1項
論点33第39条民事執行法
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い担保を立てさせて強制執行停止等がされた場合における債務者に対する破産宣告と担保の事由の消滅
裁判要旨仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い担保を立てさせて強制執行の停止又は既にした執行処分の取消しがされた場合において,債務者が破産宣告を受けたことの一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成13年12月13日 平成13(許)21
- 登載
- 民集 第55巻7号1546頁
- 参照法条
- 破産法70条1項,民訴法79条1項,民訴法259条,民訴法398条1項,民訴法400条2項,民事執行法39条1項,民事執行法40条1項
論点34第39条民事執行法
いわゆる弁済受領文書の提出による強制執行の停止の期間中にされた執行処分の効力
裁判要旨執行処分が、民事執行法
39条1項8号〈強制執行の停止 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書〉にいう債権者が債務名義の成立後に弁済を受けた旨を記載した文書(いわゆる弁済受領文書)の提出による強制執行の停止の期間中にされたものであったとしても、そのことにより当該執行処分が当然に無効となるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 令和5年3月2日 令和3(受)1176
- 登載
- 民集 第77巻3号389頁
- 参照法条
- 民事執行法39条1項8号、民事執行法39条2項