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信託財産の破産に関する特則

信託財産の破産に関する特則の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

信託財産が独立して破産手続の対象となる場合の管轄・開始原因・申立権者・破産財団の範囲などを定めた特則です。通常の破産手続の規定を信託財産という特殊な財産にどう当てはめるかを条文ごとに読み替えています。受託者等の説明義務、信託債権者・受益者の地位、否認権や破産管財人の権限についても個別に定めています。

信託財産の破産に関する特則
項目内容
管轄裁判所受託者の住所地の地方裁判所
開始原因支払不能または債務超過
申立権者信託債権者・受益者・受託者等
破産財団の範囲信託財産に属する財産全部(国内外問わず)
債権者の優先順位信託債権が受益債権に優先
廃止の申立て受託者等が行う(信託継続の手続が必要)
  • 該当する地方裁判所がない場合は財産所在地(債権は請求できる地)の地裁が管轄する
  • 二以上の地裁に管轄権がある場合は先に破産手続開始の申立てがあった地裁が管轄する
  • 受託者等が一人、または受託者等の全員が申立てた場合は開始原因の疎明が不要
  • 受益債権と約定劣後破産債権は同順位。ただし信託行為の定めで劣後破産債権を優先させることも可
  • 固有財産等責任負担債務に係る債権者は破産債権者として権利行使できない
  • 保全管理命令の規定では「債務者の財産」は「信託財産に属する財産」と読み替える
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信託財産の破産に関する特則

信託財産の破産に関する特則について、条文は何を定めているか。

第244_2条信託財産に関する破産事件の管轄受託者の住所地の地裁が管轄する5項判例なし
  • 財産か受託者の住所が国内にある時のみ申立てできる
  • まず受託者の住所地の地裁が管轄する
  • 該当なければ財産所在地、複数該当なら先の申立て地裁
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第244_3条信託財産の破産手続開始の原因支払不能に加え債務超過も開始原因になる1項判例なし
  • 信託財産責任負担債務を財産で完済できない状態が債務超過
  • 通常の支払不能に加えてこの債務超過でも開始できる
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第244_4条破産手続開始の申立て受託者等も含め申立てできる人を定める4項・2号判例なし
  • 信託債権者・受益者・受託者等のいずれも申立てできる
  • 申立て時は疎明が必要(受託者等全員一致なら不要な場合あり)
  • 信託終了後も残余財産の給付終了まで申立てできる
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第244_5条破産財団の範囲破産手続開始時の信託財産全部が破産財団1項判例なし
  • 開始時に信託財産に属する財産は国内外問わず破産財団になる
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第244_6条受託者等の説明義務等受託者等・会計監査人に説明義務がある4項・2号判例なし
  • 管財人等の請求や債権者集会の決議で説明義務が生じる
  • 退任後の受託者等・会計監査人にも説明義務が及ぶ
  • 個人の受託者等には説明・引継ぎ等の規定を準用
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第244_7条信託債権者及び受益者の地位信託債権者は債権全額で手続に参加できる3項判例なし
  • 受託者個人が破産していても債権全額で参加できる
  • 信託債権は受益債権より優先する
  • 受益債権と約定劣後破産債権は同順位(信託行為で劣後化も可)
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第244_8条受託者の地位受託者の信託法上の権利は金銭債権とみなす1項判例なし
  • 信託法第49条1項による受託者の権利は金銭債権として扱う
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第244_9条固有財産等責任負担債務に係る債権者の地位固有財産等責任負担債務の債権者は権利行使不可1項判例なし
  • 固有財産等責任負担債務に係る債権者は破産債権者として権利行使できない
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第244_10条否認権に関する規定の適用関係等受託者等の行為は破産者の行為とみなして否認4項判例なし
  • 受託者等が信託財産に関してした行為は破産者の行為とみなす
  • 相手方が受託者等・会計監査人なら悪意を推定する場合がある
  • 支払不能・支払停止の認識も推定される場合がある
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第244_11条破産管財人の権限信託法上の取消権等の行使は破産管財人が行う3項・7号判例なし
  • 信託法の取消権・追認・責任追及等は管財人が行使する
  • 保全管理人にも同じ権限が準用される
  • 受託者等・会計監査人の財産保全処分や損害賠償請求の査定も準用
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第244_12条保全管理命令保全管理命令の対象財産は信託財産に読み替え1項判例なし
  • 保全管理命令の「債務者の財産」は信託財産に属する財産と読み替える
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第244_13条破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て廃止の申立ては受託者等が行う3項判例なし
  • 受託者等が同意廃止の申立てをする
  • 受託者等が複数なら各自が申立てできる
  • 申立てには信託を継続させる手続が必要
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原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

破産法 第244_2条(信託財産に関する破産事件の管轄) 詳細ページ
(信託財産に関する破産事件の管轄)
第二百四十四条の二信託財産についてのこの法律の規定による破産手続開始の申立ては、信託財産に属する財産又は受託者の住所が日本国内にあるときに限り、することができる。
2信託財産に関する破産事件は、受託者の住所地(受託者が数人ある場合にあっては、そのいずれかの住所地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
3前項の規定による管轄裁判所がないときは、信託財産に関する破産事件は、信託財産に属する財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
4信託財産に関する破産事件に対する第五条第八項及び第九項並びに第七条第五号の規定の適用については、第五条第八項及び第九項中「第一項及び第二項」とあるのは「第二百四十四条の二第二項及び第三項」と、第七条第五号中「同条第一項又は第二項」とあるのは「第二百四十四条の二第二項又は第三項」とする。
5前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、信託財産に関する破産事件は、先に破産手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。
破産法 第244_3条(信託財産の破産手続開始の原因) 詳細ページ
(信託財産の破産手続開始の原因)
第二百四十四条の三信託財産に対する第十五条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(受託者が、信託財産責任負担債務につき、信託財産に属する財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
破産法 第244_4条(破産手続開始の申立て) 詳細ページ
(破産手続開始の申立て)
第二百四十四条の四信託財産については、信託債権(信託法第二十一条第二項第二号に規定する信託債権をいう。次項第一号及び第二百四十四条の七において同じ。)を有する者又は受益者のほか、受託者又は信託財産管理者、信託財産法人管理人若しくは同法第百七十条第一項の管理人(以下「受託者等」と総称する。)も、破産手続開始の申立てをすることができる。
2次の各号に掲げる者が信託財産について破産手続開始の申立てをするときは、それぞれ当該各号に定める事実を疎明しなければならない。
一信託債権を有する者又は受益者その有する信託債権又は受益債権の存在及び当該信託財産の破産手続開始の原因となる事実
二受託者等当該信託財産の破産手続開始の原因となる事実
3前項第二号の規定は、受託者等が一人であるとき、又は受託者等が数人ある場合において受託者等の全員が破産手続開始の申立てをしたときは、適用しない。
4信託財産については、信託が終了した後であっても、残余財産の給付が終了するまでの間は、破産手続開始の申立てをすることができる。
破産法 第244_5条(破産財団の範囲) 詳細ページ
(破産財団の範囲)
第二百四十四条の五信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、破産手続開始の時において信託財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
破産法 第244_6条(受託者等の説明義務等) 詳細ページ
(受託者等の説明義務等)
第二百四十四条の六信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人若しくは債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。
一受託者等
二会計監査人(信託法第二百四十八条第一項又は第二項の会計監査人をいう。以下この章において同じ。)
2前項の規定は、同項各号に掲げる者であった者について準用する。
3第三十七条及び第三十八条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等(個人である受託者等に限る。)について準用する。
4第四十一条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等について準用する。
破産法 第244_7条(信託債権者及び受益者の地位) 詳細ページ
(信託債権者及び受益者の地位)
第二百四十四条の七信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、信託債権を有する者及び受益者は、受託者について破産手続開始の決定があったときでも、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。
2信託財産について破産手続開始の決定があったときは、信託債権は、受益債権に優先する。
3受益債権と約定劣後破産債権は、同順位とする。ただし、信託行為の定めにより、約定劣後破産債権が受益債権に優先するものとすることができる。
破産法 第244_8条(受託者の地位) 詳細ページ
(受託者の地位)
第二百四十四条の八信託法第四十九条第一項(同法第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により受託者が有する権利は、信託財産についての破産手続との関係においては、金銭債権とみなす。
破産法 第244_9条(固有財産等責任負担債務に係る債権者の地位) 詳細ページ
(固有財産等責任負担債務に係る債権者の地位)
第二百四十四条の九信託財産について破産手続開始の決定があったときは、固有財産等責任負担債務(信託法第二十二条第一項に規定する固有財産等責任負担債務をいう。)に係る債権を有する者は、破産債権者としてその権利を行使することができない。
破産法 第244_10条(否認権に関する規定の適用関係等) 詳細ページ
(否認権に関する規定の適用関係等)
第二百四十四条の十信託財産について破産手続開始の決定があった場合における第六章第二節の規定の適用については、受託者等が信託財産に関してした行為は、破産者がした行為とみなす。
2前項に規定する場合における第百六十一条第一項の規定の適用については、当該行為の相手方が受託者等又は会計監査人であるときは、その相手方は、当該行為の当時、受託者等が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
3第一項に規定する場合における第百六十二条第一項第一号の規定の適用については、債権者が受託者等又は会計監査人であるときは、その債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
4第一項に規定する場合における第百六十八条第二項及び第百七十条の二第二項の規定の適用については、当該行為の相手方が受託者等又は会計監査人であるときは、その相手方は、当該行為の当時、受託者等がこれらの規定に規定する隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
破産法 第244_11条(破産管財人の権限) 詳細ページ
(破産管財人の権限)
第二百四十四条の十一信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げるものは、破産管財人がする。
一信託法第二十七条第一項又は第二項の規定による取消権の行使
二信託法第三十一条第五項の規定による追認
三信託法第三十一条第六項又は第七項の規定による取消権の行使
四信託法第三十二条第四項の規定による権利の行使
五信託法第四十条又は第四十一条の規定による責任の追及
六信託法第四十二条(同法第二百五十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による責任の免除
七信託法第二百二十六条第一項、第二百二十八条第一項又は第二百五十四条第一項の規定による責任の追及
2前項の規定は、保全管理人について準用する。
3第百七十七条の規定は信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等又は会計監査人の財産に対する保全処分について、第百七十八条から第百八十一条までの規定は信託財産についての破産手続における受託者等又は会計監査人の責任に基づく損失のてん補又は原状の回復の請求権の査定について、それぞれ準用する。
破産法 第244_12条(保全管理命令) 詳細ページ
(保全管理命令)
第二百四十四条の十二信託財産について破産手続開始の申立てがあった場合における第三章第二節の規定の適用については、第九十一条第一項中「債務者(法人である場合に限る。以下この節、第百四十八条第四項及び第百五十二条第二項において同じ。)の財産」とあり、並びに同項、第九十三条第一項及び第九十六条第二項中「債務者の財産」とあるのは、「信託財産に属する財産」とする。
破産法 第244_13条(破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て) 詳細ページ
(破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て)
第二百四十四条の十三信託財産の破産についての第二百十八条第一項の申立ては、受託者等がする。
2受託者等が数人あるときは、前項の申立ては、各受託者等がすることができる。
3信託財産の破産について第一項の申立てをするには、信託の変更に関する規定に従い、あらかじめ、当該信託を継続する手続をしなければならない。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。