会社法 / テーマ別まとめ

清算手続と債権者への弁済

清算人は何をするか。債権の申出をどう催告し、残った財産をどう分けるか。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

清算株式会社の清算人は、現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の分配という3つの職務を行う。清算開始後は債権者に対して一定期間内に債権を届け出るよう官報で公告し、判明している債権者には個別にも催告しなければならず、その期間中は原則として弁済ができない。期間内に届出のなかった債権者は清算から除斥され、残った財産は清算人の決定に基づいて株主に分配される。

通常清算と特別清算の対比
項目通常清算特別清算
開始原因会社法475条各号に該当本ページの条文に規定なし
裁判所の関与限定的(弁済許可・清算人選任等)本ページの条文に規定なし
債権者集会の要否本ページの条文に規定なし本ページの条文に規定なし
  • 特別清算に関する条文は本ページで扱う条文の対象外のため、表の特別清算欄は記載なしとしている。
  • 業務執行の決定方法(過半数決定)は定款に別段の定めがある場合は異なる。
  • 少額債権等を期間内に弁済するには裁判所の許可が必要で、その申立ては清算人全員の同意による。
  • 残余財産の分配方法は清算人会設置会社では清算人会の決議で定める。
1

清算人の職務

現務の結了・債権の取立て・財産の分配

第481条清算人の職務清算人が行う3つの仕事を定める1項・3号判例 1件
  • 残っている業務を終わらせる(現務の結了)
  • 会社の債権を取り立て、債務を弁済する
  • 残った財産を株主に分配する
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第482条業務の執行清算人が複数いれば過半数で決める4項・4号判例なし
  • 清算人は清算株式会社の業務を執行する
  • 清算人が2人以上なら原則過半数で決定する
  • 支配人の選任など重要事項は各清算人に任せられない
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2

債権者に申し出てもらう

官報公告と個別催告

第499条債権者に対する公告等債権者に届出期間を公告・催告する2項判例なし
  • 官報で公告するほか、判明している債権者には個別に催告
  • 届出期間は2箇月を下ることができない
  • 期間内に届け出ないと除斥される旨を公告に付記する
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第500条債務の弁済の制限届出期間中は原則、弁済できない2項判例なし
  • 499条1項〈債権者に対する公告等〉の期間内は債務の弁済ができない
  • 弁済しなくても不履行の責任は免れない
  • 裁判所の許可があれば少額債権等は期間内でも弁済可(清算人全員の同意が必要)
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第503条清算からの除斥期間内に届け出ない債権者は除斥される3項判例なし
  • 知れていない債権者が期間内に届け出ないと清算から除斥
  • 除斥された債権者は未分配の残余財産にのみ請求できる
  • 一部株主に分配した場合、他の株主分は残余財産から控除
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3

残余財産を分ける

分配の方法と決定事項

第504条残余財産の分配に関する事項の決定残余財産の分配方法を清算人が決める3項・4号判例なし
  • 清算人の決定(清算人会設置会社は清算人会の決議)で定める
  • 財産の種類ごとに割当てを変えることもできる
  • 保有株式数に応じて残余財産を割り当てる
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第505条残余財産が金銭以外の財産である場合現物財産の代わりに金銭を請求できる3項・4号判例なし
  • 残余財産が金銭以外なら金銭分配請求権を持つ
  • 行使期間の末日の20日前までに株主へ通知
  • 市場価格があればその額、なければ裁判所が定める額を支払う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第481条会社法

1 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合における破産手続の終了と刑訴法339条1項4号にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」
2 破産手続開始当時の会社を代表する権限を有する取締役と当該会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続についての代表権の有無
3 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合における破産手続の終了と当該刑事事件に係る訴訟手続についての取締役の代表権の消長
4 汚水を下水道に放流する行為が下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)の罰則の対象となり得ることと廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条〈通知義務〉違反の罪の成否

裁判要旨1 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件が係属している場合には、破産手続が終了したとしても、刑訴法339条1項4号にいう「被告人たる法人が存続しなくなつたとき」に当たらない。
2 破産手続開始当時の会社を代表する権限を有する取締役は、破産手続開始によりその地位を当然には失わず、破産手続が終了するまでの間、当該会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続について当該会社を代表する。
3 破産手続開始の決定を受けた株式会社を被告人とする刑事事件に係る訴訟手続について当該会社を代表する取締役は、会社法478条1項2号〈清算人の就任 定款で定める者〉又は3号に掲げる者がある場合を除き、破産手続の終了後は、当該刑事事件に係る訴訟手続について清算人の立場で当該会社を代表する。
4 汚水を下水道に放流する行為は、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)によって基準に適合しない下水の排除として規制され、同法の罰則の対象となり得るとしても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条〈通知義務〉違反の罪が成立し得る。
裁判
最高裁判所第三小法廷 令和8年4月7日 令和6(あ)1479
登載
―
参照法条
(1、3につき)会社法475条1号、会社法476条、会社法481条1号 (1につき)刑訴法339条1項4号 (2、3につき)刑訴法27条1項 (2につき)会社法330条、会社法349条1項、民法653条2号、破産法78条1項 (3につき)会社法478条1項、会社法483条1項 (4につき)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)1条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)16条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)25条1項14号、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和4年法律第68号による改正前のもの)32条1項、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)1条、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)12条の2第1項、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)38条1項1号、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)45条、下水道法(令和3年法律第31号による改正前のもの)46条1項1号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第481条(清算人の職務) 詳細ページ
(清算人の職務)
第四百八十一条清算人は、次に掲げる職務を行う。
一現務の結了
二債権の取立て及び債務の弁済
三残余財産の分配
会社法 第482条(業務の執行) 詳細ページ
(業務の執行)
第四百八十二条清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2清算人が二人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
3前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
一支配人の選任及び解任
二支店の設置、移転及び廃止
三第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
4第三百五十三条から第三百五十七条(第三項を除く。)まで、第三百六十条並びに第三百六十一条第一項及び第四項の規定は、清算人(同条の規定については、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)について準用する。この場合において、第三百五十三条中「第三百四十九条第四項」とあるのは「第四百八十三条第六項において準用する第三百四十九条第四項」と、第三百五十四条中「代表取締役」とあるのは「代表清算人(第四百八十三条第一項に規定する代表清算人をいう。)」と、第三百六十条第三項中「監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社」とあるのは「監査役設置会社」と読み替えるものとする。
会社法 第499条(債権者に対する公告等) 詳細ページ
(債権者に対する公告等)
第四百九十九条清算株式会社は、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。
2前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。
会社法 第500条(債務の弁済の制限) 詳細ページ
(債務の弁済の制限)
第五百条清算株式会社は、前条第一項の期間内は、債務の弁済をすることができない。この場合において、清算株式会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
2前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。この場合において、当該許可の申立ては、清算人が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
会社法 第503条(清算からの除斥) 詳細ページ
(清算からの除斥)
第五百三条清算株式会社の債権者(知れている債権者を除く。)であって第四百九十九条第一項の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥される。
2前項の規定により清算から除斥された債権者は、分配がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる。
3清算株式会社の残余財産を株主の一部に分配した場合には、当該株主の受けた分配と同一の割合の分配を当該株主以外の株主に対してするために必要な財産は、前項の残余財産から控除する。
会社法 第504条(残余財産の分配に関する事項の決定) 詳細ページ
(残余財産の分配に関する事項の決定)
第五百四条清算株式会社は、残余財産の分配をしようとするときは、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一残余財産の種類
二株主に対する残余財産の割当てに関する事項
2前項に規定する場合において、残余財産の分配について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、清算株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、同項第二号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めることができる。
一ある種類の株式の株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
二前号に掲げる事項のほか、残余財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
3第一項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該清算株式会社及び前項第一号の種類の株式の株主を除く。)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて残余財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。
会社法 第505条(残余財産が金銭以外の財産である場合) 詳細ページ
(残余財産が金銭以外の財産である場合)
第五百五条株主は、残余財産が金銭以外の財産であるときは、金銭分配請求権(当該残余財産に代えて金銭を交付することを清算株式会社に対して請求する権利をいう。以下この条において同じ。)を有する。この場合において、清算株式会社は、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一金銭分配請求権を行使することができる期間
二一定の数未満の数の株式を有する株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及びその数
2前項に規定する場合には、清算株式会社は、同項第一号の期間の末日の二十日前までに、株主に対し、同号に掲げる事項を通知しなければならない。
3清算株式会社は、金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた残余財産に代えて、当該残余財産の価額に相当する金銭を支払わなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該残余財産の価額とする。
一当該残余財産が市場価格のある財産である場合当該残余財産の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額
二前号に掲げる場合以外の場合清算株式会社の申立てにより裁判所が定める額
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。