9つの設計内容。全部の株式に付ける定めと、種類株式として一部に付ける定め。
会社法は株式の内容について2段階の仕組みを用意している。107条は発行する全部の株式に共通して付けられる3種類の定め(譲渡制限・取得請求権・取得条項)を、108条は一部の株式(種類株式)だけに異なる内容を持たせられる9種類の定めを認めている。副題の「9つの設計内容」は108条1項各号を指し、号ごとに定款へ記載すべき事項や、設ける・変更するときの手続き(株主全員の同意や種類株主総会の要否)が異なる。
| 号 | 内容 | 定款で定める事項 | 種類株主総会 |
|---|---|---|---|
| 号1 | 剰余金の配当 | 配当額の決定方法など | 不要 |
| 号2 | 残余財産の分配 | 分配額の決定方法など | 不要 |
| 号3 | 議決権制限 | 議決権行使事項・条件 | 不要 |
| 号4 | 譲渡制限 | 承認の要否・条件 | 新設時に必要 |
| 号5 | 取得請求権付株式 | 取得請求の内容・対価 | 不要 |
| 号6 | 取得条項付株式 | 取得事由・対価 | 不要(全員同意が必要) |
| 号7 | 全部取得条項付種類株式 | 取得対価の決定方法 | 新設時に必要 |
| 号8 | 種類株主総会決議の上乗せ | 対象事項・条件 | 必要(制度の目的そのもの) |
| 号9 | 取締役・監査役の選任権 | 選任数・共同選任の定め | 必要(その総会で選任) |
条文の項・号をすべて展開しています。号の本文はe-Gov原文そのまま。関連条文のチップにカーソルを合わせるとその条の見出しが出ます。
| 号 | 対象となる株主総会(条文原文) | 関連条文 |
|---|---|---|
| 内容の異なる二以上の種類の株式として定められる事項会社法 第108条第1項株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。該当 9 号 | ||
| 一 | 剰余金の配当 | ― |
| 二 | 残余財産の分配 | ― |
| 三 | 株主総会において議決権を行使することができる事項 | ― |
| 四 | 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。 | ― |
| 五 | 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。 | ― |
| 六 | 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。 | ― |
| 七 | 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。 | ― |
| 八 | 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第八項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの | 第478条 |
| 九 | 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。次項第九号及び第百十二条第一項において同じ。)又は監査役を選任すること。 | 第112条 |
| 定款で定めなければならない事項会社法 第108条第2項株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。該当 9 号 | ||
| 一 | 剰余金の配当当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容 | ― |
| 二 | 残余財産の分配当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容 | ― |
| 三 | 株主総会において議決権を行使することができる事項次に掲げる事項 イ株主総会において議決権を行使することができる事項 ロ当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件 | ― |
| 四 | 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項 | ― |
| 五 | 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること次に掲げる事項 イ当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項 ロ当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法 | ― |
| 六 | 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること次に掲げる事項 イ当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項 ロ当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法 | ― |
| 七 | 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること次に掲げる事項 イ第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の価額の決定の方法 ロ当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件 | ― |
| 八 | 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの次に掲げる事項 イ当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項 ロ当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件 | ― |
| 九 | 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること次に掲げる事項 イ当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数 ロイの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数 ハイ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項 ニイからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項 | ― |
| 定款の定めの特則会社法 第108条第3項前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。 | ||
譲渡制限・取得請求権・取得条項
9つの類型と定款の記載
定款で定める枠
論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。
株式会社の従業員がいわゆる持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の当該従業員と持株会との間の合意が有効とされた事例
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