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原文整理テーマ別まとめ概要
原文解釈- 六箇月前から引き続き株式を有する株主(定款でこれを下回る期間を定めた場合はその期間、第百八十九条第二項の定款の定めにより権利を行使することができない単元未満株主を除く)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により発起人等の責任追及等の訴えの提起を請求できる。
- 公開会社でない株式会社においては、この保有期間要件は適用されず、単に株主であれば提訴請求ができる。
- 株式会社が請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、請求をした株主が株式会社のために自ら責任追及等の訴えを提起できる。
- 株式会社は六十日以内に提訴しない場合において、請求をした株主又は発起人等から請求を受けたときは、遅滞なく、提訴しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
- 六十日の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、当該株主は直ちに提訴できるが、不正な利益を図り又は会社に損害を加える目的の場合はこの限りでない。
株主による責任追及等の訴えの提起要件
原文解釈横スクロールできます| 区分 | 主体 | 保有期間要件 | 請求方法・手続 | 効果・例外 |
|---|---|---|---|---|
| 原則(第一項) | 六箇月(定款でこれを下回る期間を定めた場合はその期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めにより権利を行使することができない単元未満株主を除く) | 六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き保有 | 書面その他の法務省令で定める方法により、株式会社に責任追及等の訴えの提起を請求 | 責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合はこの限りでない |
| 公開会社でない株式会社における特則(第二項) | 株主 | 適用なし(「株主」と読み替え) | 同上 | 同上 |
| 株主による提訴(第三項) | 第一項の請求をした株主 | ― | 株式会社が第一項の請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないとき | 当該株主が株式会社のために責任追及等の訴えを提起できる |
| 提訴しない理由の通知(第四項) | 第一項の請求をした株主又は発起人等から請求を受けた株式会社 | ― | 第一項の請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、請求をした株主又は発起人等から請求を受けたとき | 遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない |
| 直ちの提訴(第五項) | 第一項の株主 | ― | 第三項の六十日の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合 | 株式会社のために直ちに責任追及等の訴えを提起できる(第一項ただし書に規定する場合を除く) |
主要な判例
原文ママ裁判所が付した参照法条による機械照合で選定会社法組合員代表訴訟事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成20(受)442
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成21年3月31日 その他
- 登載
- 民集 第63巻3号472頁
- 参照法条
- (1につき)農業協同組合法(平成17年法律第87号による改正前のもの)39条1項,農業協同組合法(平成17年法律第87号による改正前のもの)39条2項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条3項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)275条ノ4,会社法386条2項1号,会社法847条1項,会社法847条3項 (2,3につき)民法第3編第2章 契約
- 判示事項
- 1 農業協同組合の理事に対する代表訴訟を提起しようとする組合員が,同組合の代表者として監事ではなく代表理事を記載した提訴請求書を同組合に送付したが,監事において,当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する機会があった場合における,上記組合員の提起した代表訴訟の適法性 2 農業協同組合の合併契約に,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう等があったため新設組合が損害を受けたときは故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項がある場合,被合併組合の理事会で上記契約の締結に賛成した理事等は上記条項に基づく責任を負うか 3 農業協同組合の合併契約中の,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう等があったため新設組合が損害を受けたときは故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項が,被合併組合に貸倒引当金の過少計上があったときには,故意又は重過失のある被合併組合の役員に引当不足額相当額をてん補する義務を負わせる趣旨を含むとされた事例
裁判要旨1 農業協同組合の理事に対する代表訴訟を提起しようとする組合員が,同組合の代表者として監事ではなく代表理事を記載した提訴請求書を同組合に送付した場合であっても,監事において,上記請求書の記載内容を正確に認識した上で当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する機会があったときは,上記組合員が提起した代表訴訟を不適法として却下することはできない。
2 農業協同組合の合併契約に,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったために新設組合が損害を受けたときは,そのことに故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項が含まれている場合,被合併組合の理事会に出席して上記契約の締結に賛成した理事又はこれに異議を述べなかった監事は,個人として上記条項に基づく責任を負う旨の意思表示をしたものとして,新設組合との関係で,上記責任を免れない。
3 農業協同組合の合併契約中の,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったために新設組合が損害を受けたときは,そのことに故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項は,次の(1),(2)などの判示の事実関係の下では,被合併組合において,不良債権が適正に評価されておらず,貸倒引当金が過少に計上されていることが判明したときには,過少に計上したことに故意又は重過失のある被合併組合の理事及び監事に対して,引当不足額相当額を新設組合にてん補する義務を負わせる趣旨を含むものと解される。
(1) 上記契約は,新設組合に引き継がれる被合併組合の財産が貸借対照表等どおりのものであることを前提とするものであり,被合併組合の総会では,不良債権であるのに,そうでないように見せ掛けるなどした場合に,被合併組合の役員が上記条項に基づく責任を負うことになるなどの説明がされている。
(2) 被合併組合及び新設組合では,不良債権を適正に評価し,必要な貸倒引当金を計上し,自己資本比率の維持,向上を図っていくことが重要な課題となっていた。
2 農業協同組合の合併契約に,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったために新設組合が損害を受けたときは,そのことに故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項が含まれている場合,被合併組合の理事会に出席して上記契約の締結に賛成した理事又はこれに異議を述べなかった監事は,個人として上記条項に基づく責任を負う旨の意思表示をしたものとして,新設組合との関係で,上記責任を免れない。
3 農業協同組合の合併契約中の,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったために新設組合が損害を受けたときは,そのことに故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項は,次の(1),(2)などの判示の事実関係の下では,被合併組合において,不良債権が適正に評価されておらず,貸倒引当金が過少に計上されていることが判明したときには,過少に計上したことに故意又は重過失のある被合併組合の理事及び監事に対して,引当不足額相当額を新設組合にてん補する義務を負わせる趣旨を含むものと解される。
(1) 上記契約は,新設組合に引き継がれる被合併組合の財産が貸借対照表等どおりのものであることを前提とするものであり,被合併組合の総会では,不良債権であるのに,そうでないように見せ掛けるなどした場合に,被合併組合の役員が上記条項に基づく責任を負うことになるなどの説明がされている。
(2) 被合併組合及び新設組合では,不良債権を適正に評価し,必要な貸倒引当金を計上し,自己資本比率の維持,向上を図っていくことが重要な課題となっていた。
会社法所有権移転登記手続請求事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 民集登載
- 事件番号
- 平成19(受)799
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成21年3月10日 その他
- 登載
- 民集 第63巻3号361頁
- 参照法条
- 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項,会社法423条1項,会社法847条1項
- 判示事項
- 株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれるか
裁判要旨株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,同法266条1項各号所定の責任など同法が取締役の地位に基づいて取締役に負わせている責任のほか,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれる。
会社法損害賠償請求事件
- 位置づけ
- 最高裁 / 裁判集登載
- 事件番号
- 平成21(受)183
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成22年7月15日 破棄自判
- 登載
- 集民 第234号225頁
- 参照法条
- 会社法330条,会社法355条,会社法423条1項,会社法847条,民法644条
- 判示事項
- A社が事業再編計画の一環としてB社の株式を任意の合意に基づき買い取る場合において,A社の取締役に上記株式の買取価格の決定について善管注意義務違反はないとされた事例
裁判要旨不動産賃貸あっせんのフランチャイズ事業等を展開するA社が,事業再編計画の一環としてB社を完全子会社とする目的で同社の株式を任意の合意に基づき買い取る場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,株式交換に備えて算定された上記株式の評価額が1株当たり6561円ないし1万9090円であったとしても,上記株式の買取価格をB社の設立時の株式の払込金額を基準として1株当たり5万円とする決定をしたことについて,A社の取締役が取締役としての善管注意義務に違反したということはできない。
(1) B社の株主には,A社が事業の遂行上重要であると考えていた上記フランチャイズ事業の加盟店等が含まれる。
(2) 非上場株式である上記株式の評価額には相当の幅があり,事業再編の効果によるB社の企業価値の増加も期待できた。
(3) 上記の決定に至る過程で,A社の役付取締役全員により構成される経営会議において検討がされ,弁護士の意見も聴取されるなどの手続が履践された。
(1) B社の株主には,A社が事業の遂行上重要であると考えていた上記フランチャイズ事業の加盟店等が含まれる。
(2) 非上場株式である上記株式の評価額には相当の幅があり,事業再編の効果によるB社の企業価値の増加も期待できた。
(3) 上記の決定に至る過程で,A社の役付取締役全員により構成される経営会議において検討がされ,弁護士の意見も聴取されるなどの手続が履践された。
実務注記
原文解釈- 保有期間要件は定款で短縮可能六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有することが原則の要件となる。
- 単元未満株主の除外第百八十九条第二項の定款の定めにより権利を行使することができない単元未満株主は、請求主体から除かれる。
- 公開会社でない株式会社は保有期間要件なし公開会社でない株式会社においては第一項の保有期間要件が適用されず、単に株主であれば足りる(第二項)。
- 60日不提訴時の株主提訴・会社の通知義務会社が請求の日から六十日以内に提訴しないときは、請求株主が自ら提訴でき(第三項)、会社は請求を受けたときは遅滞なく提訴しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない(第四項)。
- 不正目的の場合は請求・提訴できない責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、第一項の請求も第五項の直ちの提訴もできない。
条文原文
原文ママ会社法 第847条(株主による責任追及等の訴え)
(株主による責任追及等の訴え)
第八百四十七条六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
2公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
3株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
4株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
5第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
一次情報
- 条文e-Gov法令検索 会社法 第847条
- 判例裁判所ウェブサイト 裁判例検索
- 注記法令は改正されます。実務判断の際は上記リンクで最新の条文を再確認してください。