会社法 / テーマ別まとめ

会計帳簿等/計算書類等

計算書類等の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

株式会社は毎事業年度、貸借対照表や損益計算書などの計算書類・事業報告とその附属明細書を作成し、会社の機関構成に応じて監査役や会計監査人の監査、取締役会の承認を経たうえで、定時株主総会に提出・報告します。作成後は本店・支店への備置きや貸借対照表の公告、株主・債権者からの閲覧請求への対応も必要になります。

計算書類等
書類監査承認備置期間(本店)
年度の計算書類監査役・会計監査人(設置時)取締役会→株主総会で承認総会前1週間から5年間
事業報告監査役(設置時のみ)取締役会→総会には報告のみ総会前1週間から5年間
附属明細書計算書類・事業報告と同様計算書類・事業報告に準ずる総会前1週間から5年間
臨時計算書類監査役・会計監査人(設置時)取締役会→株主総会で承認作成日から5年間
  • 取締役会設置会社は備置期間の起算日が総会の2週間前(非設置会社は1週間前)
  • 会計に限定する監査役設定の定款がある会社は監査役設置会社として扱う
  • 会計監査人設置会社は計算書類を監査役等+会計監査人が監査、事業報告は監査役等のみ監査
  • 会計監査人設置会社は法務省令の要件を満たせば計算書類の総会承認が不要(報告のみ)
  • 支店備置は写しを3年間、電磁的記録で法務省令の措置があれば備置不要
  • 親会社社員は裁判所の許可を得て計算書類等の閲覧等を請求できる
1

計算書類等

計算書類等について、条文は何を定めているか。

第435条計算書類等の作成及び保存会社は成立時と毎年度に計算書類を作る4項判例なし
  • 成立の日時点の貸借対照表を作成する
  • 毎事業年度、計算書類・事業報告・附属明細書を作成する
  • 電磁的記録での作成も可、計算書類は作成から10年間保存する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第436条計算書類等の監査等監査役や会計監査人が計算書類等を監査3項・2号判例 1件
  • 監査役設置会社は監査役が計算書類・事業報告等を監査する
  • 会計監査人設置会社は監査役等と会計監査人が計算書類を監査、事業報告は監査役等のみ
  • 取締役会設置会社は監査後(監査がなければそのまま)取締役会の承認が必要
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第437条計算書類等の株主への提供取締役会設置会社は招集通知時に計算書類を提供1項判例なし
  • 定時総会の招集通知にあわせ、承認済み計算書類・事業報告を株主に提供
  • 監査を受けた場合は監査報告・会計監査報告もあわせて提供
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第438条計算書類等の定時株主総会への提出等会社の類型ごとに総会へ計算書類等を提出3項・4号判例なし
  • 監査役設置会社(取締役会なし)は監査済みの計算書類等を提出
  • 取締役会設置会社は取締役会承認済みの計算書類等を提出
  • 総会は計算書類を承認し、事業報告は内容の報告を受ける
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第439条会計監査人設置会社の特則会計監査人設置会社は要件該当で承認省略1項判例なし
  • 取締役会承認済み計算書類が法務省令の要件を満たせば総会承認は不要
  • この場合、取締役は計算書類の内容を総会に報告する
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第440条計算書類の公告定時総会後に貸借対照表を公告する義務4項判例なし
  • 大会社は貸借対照表に加え損益計算書も公告する
  • 要旨公告可の会社は、5年間の電磁的開示で公告に代えられる
  • 有価証券報告書提出会社には、この公告義務が適用されない
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第441条臨時計算書類事業年度途中の臨時計算書類を作成できる4項・5号判例なし
  • 臨時決算日時点の貸借対照表と、期首からの損益計算書を作成できる
  • 監査役・会計監査人設置会社は監査を受け、取締役会設置会社は取締役会の承認も必要
  • 原則、株主総会の承認が必要(法務省令の要件を満たせば不要)
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第442条計算書類等の備置き及び閲覧等計算書類等は本店・支店に備え置き閲覧可能4項・8号判例なし
  • 本店には総会前1週間(取締役会設置会社は2週間)前から5年間備置
  • 支店には写しを3年間備置(電磁的記録で一定措置があれば不要)
  • 株主・債権者は営業時間内いつでも閲覧等を請求できる(一部費用あり)
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
第443条計算書類等の提出命令裁判所は訴訟当事者に提出を命じられる1項判例なし
  • 申立てまたは職権により、計算書類・附属明細書の提出を命令できる
  • 全部でも一部でも命令の対象になる
条文原文を見るこの条文の詳細ページ
論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第436条会社法

監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,その任務を尽くしたといえるか

裁判要旨監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,常にその任務を尽くしたといえるものではない。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和3年7月19日 令和1(受)1968
登載
集民 第266号157頁
参照法条
会社法389条1項,会社法389条2項,会社法423条1項,会社法436条1項,会社計算規則121条2項,会社計算規則122条1項2号,会社計算規則(平成21年法務省令第7号による改正前のもの)149条2項,会社計算規則(平成21年法務省令第7号による改正前のもの)150条1項2号
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

会社法 第435条(計算書類等の作成及び保存) 詳細ページ
(計算書類等の作成及び保存)
第四百三十五条株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
4株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。
会社法 第436条(計算書類等の監査等) 詳細ページ
(計算書類等の監査等)
第四百三十六条監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
2会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
一前条第二項の計算書類及びその附属明細書監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人
二前条第二項の事業報告及びその附属明細書監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)
3取締役会設置会社においては、前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第一項又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第一項又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。
会社法 第437条(計算書類等の株主への提供) 詳細ページ
(計算書類等の株主への提供)
第四百三十七条取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
会社法 第438条(計算書類等の定時株主総会への提出等) 詳細ページ
(計算書類等の定時株主総会への提出等)
第四百三十八条次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
一第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。)第四百三十六条第一項の監査を受けた計算書類及び事業報告
二会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。)第四百三十六条第二項の監査を受けた計算書類及び事業報告
三取締役会設置会社第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告
四前三号に掲げるもの以外の株式会社第四百三十五条第二項の計算書類及び事業報告
2前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
3取締役は、第一項の規定により提出され、又は提供された事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
会社法 第439条(会計監査人設置会社の特則) 詳細ページ
(会計監査人設置会社の特則)
第四百三十九条会計監査人設置会社については、第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合には、前条第二項の規定は、適用しない。この場合においては、取締役は、当該計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
会社法 第440条(計算書類の公告) 詳細ページ
(計算書類の公告)
第四百四十条株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
2前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。
3前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
4金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前三項の規定は、適用しない。
会社法 第441条(臨時計算書類) 詳細ページ
(臨時計算書類)
第四百四十一条株式会社は、最終事業年度の直後の事業年度に属する一定の日(以下この項において「臨時決算日」という。)における当該株式会社の財産の状況を把握するため、法務省令で定めるところにより、次に掲げるもの(以下「臨時計算書類」という。)を作成することができる。
一臨時決算日における貸借対照表
二臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの期間に係る損益計算書
2第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社又は会計監査人設置会社においては、臨時計算書類は、法務省令で定めるところにより、監査役又は会計監査人(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会及び会計監査人、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会及び会計監査人)の監査を受けなければならない。
3取締役会設置会社においては、臨時計算書類(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。
4次の各号に掲げる株式会社においては、当該各号に定める臨時計算書類は、株主総会の承認を受けなければならない。ただし、臨時計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合は、この限りでない。
一第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社又は会計監査人設置会社(いずれも取締役会設置会社を除く。)第二項の監査を受けた臨時計算書類
二取締役会設置会社前項の承認を受けた臨時計算書類
三前二号に掲げるもの以外の株式会社第一項の臨時計算書類
会社法 第442条(計算書類等の備置き及び閲覧等) 詳細ページ
(計算書類等の備置き及び閲覧等)
第四百四十二条株式会社は、次の各号に掲げるもの(以下この条において「計算書類等」という。)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
一各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第四百三十六条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間
二臨時計算書類(前条第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)臨時計算書類を作成した日から五年間
2株式会社は、次の各号に掲げる計算書類等の写しを、当該各号に定める期間、その支店に備え置かなければならない。ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、支店における次項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
一前項第一号に掲げる計算書類等定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から三年間
二前項第二号に掲げる計算書類等同号の臨時計算書類を作成した日から三年間
3株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
二前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
4株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の計算書類等について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
会社法 第443条(計算書類等の提出命令) 詳細ページ
(計算書類等の提出命令)
第四百四十三条裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、計算書類及びその附属明細書の全部又は一部の提出を命ずることができる。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。