論点1第802条民法
第三者の提起する養子縁組無効の訴えと訴えの利益の有無
裁判要旨第三者の提起する養子縁組無効の訴えは、養子縁組が無効であることによりその者が自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは、訴えの利益を欠く。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和63年3月1日 昭和59(オ)236
- 登載
- 民集 第42巻3号157頁
- 参照法条
- 民法802条,民訴法225条,人事訴訟手続法2条2項,人事訴訟手続法18条1項,人事訴訟手続法24条,人事訴訟手続法26条
論点2第802条民法
虚偽の認知届と養子縁組の成否
裁判要旨認知の届出が事実に反するため無効である場合には、認知者が、被認知者を自己の養子とすることを意図し、後日、被認知者の母と婚姻した事実があるとしても、右認知届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和54年11月2日 昭和54(オ)498
- 登載
- 集民 第128号87頁
- 参照法条
- 民法739条,民法781条,民法799条,民法802条2号
論点3第802条民法
虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否
裁判要旨養子とする意図で他人の子を嫡出子として出生届をしても、右出生届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年4月8日 昭和49(オ)861
- 登載
- 民集 第29巻4号401頁
- 参照法条
- 旧民法775条,旧民法847条,旧民法851条2号,民法739条,民法799条,民法802条2号
論点4第802条民法
朝鮮民事令(明治四五年制令第七号)の適用をうける朝鮮人が他人の子を養子とする意図でした虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否
裁判要旨朝鮮民事令(明治四五年制令第七号)の適用をうける朝鮮人が、他人の子を養子とする意図のもとに嫡出子として届け出ても、それによつて養子縁組が成立するとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年12月23日 昭和43(オ)520
- 登載
- 民集 第28巻10号2098頁
- 参照法条
- 朝鮮民事令(明治45年制令第7号)11条2項,民法739条,民法799条,民法802条2号
論点5第802条民法
一、養子縁組の当事者である夫婦の一方に縁組の意思がない場合における縁組の効カ
ニ、養子縁組の当事者である夫婦の一方に縁組の意思がない場合に他方の配偶者について縁組が有効とされた事例
裁判要旨一、夫婦が共同して養子縁組をするものとして届出がされたところ、その一方に縁組をする意思がなかつた場合には、原則として、縁組の意思のある他方の配偶者についても縁組は無効であるが、その他方と縁組の相手方との間に単独でも親子関係を成立させることが民法七九五条本文の趣旨にもとるものではないと認められる特段の事情がある場合には、縁組の意思を欠く当事者の縁組のみを無効とし、縁組の意思を有する他方の配偶者と相手方との間の縁組は有効に成立したものと認めることを妨げない。
二、甲男乙女夫婦を養親、幼児である丙を養子として届出のされた養子縁組につき、乙に縁組をする意思がなかつた場合であつても、右届出の当時、甲と乙とが別居しその婚姻共同生活の実体は少なくとも一〇年間は失われていて事実上の離婚状態が形成されていたものであり、甲および丙の親権者らは、乙とはかかわりなく甲丙間に縁組をする意思を有し、縁組後は、丙は、甲およびその事実上の妻丁に養育されて親子として生活をともにしており、甲丙間に親子関係が成立することは乙の意思にも反するものではなかつたなど判示の事実関係のもとにおいては、甲丙間においてのみ縁組を有効とすることを妨げない特段の事情が存在するものと認めるのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月12日 昭和47(オ)209
- 登載
- 民集 第27巻3号500頁
- 参照法条
- 民法795条,民法802条1号
論点6第802条民法
過去に情交関係があつた当事者間における養子縁組につき縁組意思が存在したと認められた事例
裁判要旨養子縁組の当事者である甲男と乙女との間に、たまたま過去に情交関係があつたが、事実上の夫婦然たる生活関係が形成されるには至らなかつた場合において、乙は、甲の姪で、永年甲方に同居してその家事や家業を手伝い、家計をもとりしきつていた者であり、甲は、すでに高令に達し、病を得て家業もやめたのち、乙の世話になつたことへの謝意をもこめて、乙を養子とすることにより、自己の財産を相続させあわせて死後の供養を託する意思をもつて、縁組の届出に及んだものであるなど判示の事実関係があるときは、甲乙間に縁組を有効に成立させるに足りる縁組の意思が存在したものということができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年10月22日 昭和45(オ)975
- 登載
- 民集 第25巻7号985頁
- 参照法条
- 民法802条1号
論点7第802条民法
養子縁組の届出が受理された当時当事者が意識を失つていた場合と養子縁組の届出の効力
裁判要旨当事者間において養子縁組の合意が成立しており、かつ、その当事者から他人に対し右縁組の届出の委託がなされていたときは、届出が受理された当時当事者が意識を失つていたとしても、その受理の前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届出の受理により養子縁組は有効に成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年11月24日 昭和45(オ)266
- 登載
- 民集 第24巻12号1933頁
- 参照法条
- 民法799条,民法739条,民法802条
論点8第802条民法
一 刑法上の直系尊属にあたらないとされた事例
二 刑法上の直系尊属としての養親の解釈について、民法上の追認に関する法理を容れる余地の有無
裁判要旨一 戸籍上、被告人の養子縁組につき、その代諾権者とされている者が真実の親権者でないときは、右縁組は、適法な届出を欠くものとして、人事訴訟による確定または戸籍の訂正をまたず、無効であり、しかも、被告人が犯行前において右無効原因を認識して右縁組を追認したと認めることができないときは、被告人と事実上の養親との生活事実の如何にかかわりなく、本人たる被告人の無権代理行為の追認があつたと認める余地もないから、右事実上の養親は、刑法上、被告人の直系尊属にあたらないものと解すべきである。
二 一五歳未満の子の養子縁組に関する代諾者の法定代理権の欠缺は一種の無権代理と解し、満一五歳に達した養子は、法定代理人でない者が自己のため代諾した養子縁組を有効に御委任することができ、しかもこの追認は黙示で足り、その意思表示は満一五歳に達した養子から生存養親に対してなすべく、適法に追認がなされたときは縁組はこれにより当初から有効となるものと解するのが相当である(昭和二四年(オ)第二二九号同二七年一〇月三日第二小法廷判決、民集六巻九号七五三頁参照)。このことは、刑法上、直系尊属としての養親にあたるかどうかの解釈についても、少くとも犯罪行為以前における本人の追認に関する限りは、あてはまると考えられる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和38年12月24日 昭和36(あ)2486
- 登載
- 刑集 第17巻12号2537頁
- 参照法条
- 刑法200条,民法797条,民法802条,民法113条,民法807条,民法119条
論点9第802条民法
他の相続人の相続分を排することを主たる目的とする養子縁組の効力。
裁判要旨他の相続人の相続分を排することを主たる目的としなされた養子縁組であつても、親子としての精神的つながりをつくる意思が認められるかぎり無効ではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月20日 昭和37(オ)1235
- 登載
- 集民 第70号425頁
- 参照法条
- 民法802条
論点10第802条民法
養子縁組届書に届出人氏名代書の事由の記載を欠いた場合と縁組の効力
裁判要旨養子縁組届書に届出人氏名代書の事由の記載を欠いていても、その届出が受理された以上、縁組は有効に成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年1月18日 昭和36(オ)863
- 登載
- 集民 第58号139頁
- 参照法条
- 民法802条
論点11第802条民法
協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力。
裁判要旨合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月7日 昭和32(オ)508
- 登載
- 民集 第13巻10号1251頁
- 参照法条
- 民法763条,民法764条,民法742条,民法802条
論点12第802条民法
養子縁組届出人の氏名の代書事由不記載と養子縁組の効力
裁判要旨養子縁組届書に届出人の氏名が代書された場合にその事由の記載を欠いても、その届出が受理された以上縁組は有効に成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和31年7月19日 昭和29(オ)356
- 登載
- 民集 第10巻7号908頁
- 参照法条
- 民法802条2号,戸籍法29条,同法施行規則62条
論点13第802条民法
一 旧民法第八五一条第一号〈後見監督人の職務 後見人の事務を監督すること。〉(新民法第八〇二条第一号〈縁組の無効 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。〉)の意義
二 養子縁組の無効と民法第九三条〈心〉但書
裁判要旨一 旧民法
第八五一条第一号〈後見監督人の職務 後見人の事務を監督すること。〉(新民法
第八〇二条第一号〈縁組の無効 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。〉)にいわゆる「当事者間に縁組をする意思がないとき」とは、当事者間において真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものに過ぎないときは、養子縁組は、効力を生じない。
二 養子関係の設定を欲する効果意思のないことによる養子縁組の無効は、絶対的のものであつて民法第九三条但書の適用をまつてはじめて無効となるのではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和23年12月23日 昭和23(オ)85
- 登載
- 民集 第2巻14号493頁
- 参照法条
- 旧民法851条1号,新民法802条1号,新民法93条但書
論点14第802条民法
養親の相続財産全部の包括受遺者が提起する養子縁組の無効の訴えと訴えの利益の有無
裁判要旨養子縁組の無効の訴えを提起する者は,養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに当該訴えにつき法律上の利益を有するとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成31年3月5日 平成30(受)1197
- 登載
- 集民 第261号75頁
- 参照法条
- 民法802条,民法964条,民訴法134条,人事訴訟法2条3号
論点15第802条民法
専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合と民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」
裁判要旨専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成29年1月31日 平成28(受)1255
- 登載
- 民集 第71巻1号48頁
- 参照法条
- 民法802条1号
論点16第803条民法
養子夫婦の一方が養親夫婦の一方より年長であることを理由に縁組を取り消す場合における取消の限度
裁判要旨養子夫婦の一方が養親夫婦の一方より年長であることを理由に縁組全部の取消が請求された場合には、年長の養子と年少の養親との間の縁組だけを取り消せば足りる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和53年7月17日 昭和52(オ)385
- 登載
- 民集 第32巻5号980頁
- 参照法条
- 民法793条,民法795条本文,民法803条,民法805条
論点17第805条民法
養親が提起した年長養子の禁止に違反する縁組取消請求訴訟と養親の死亡による訴訟承継の成否
裁判要旨養親が養子を相手方として提起した年長養子の禁止に違反する縁組の取消請求訴訟は、養親の死亡により、当然終了する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和51年7月27日 昭和50(オ)732
- 登載
- 民集 第30巻7号724頁
- 参照法条
- 民法793条,民法805条,民訴法208条,人事訴訟手続法2条,人事訴訟手続法26条