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法律行為/意思表示

意思表示の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

契約などの法律行為は当事者の意思表示によって成り立ち、その効力の有無や取り消せるかどうかは民法93条から98条の2までに定められています。心裡留保・虚偽表示・錯誤・詐欺・強迫では、無効・取消しの要件や善意の第三者が保護される範囲がそれぞれ異なります。あわせて、意思表示がいつ効力を生じるか、相手が分からないときの通知方法、意思表示を受け取る相手側の能力についても定めがあります。

意思表示
類型効力第三者保護ポイント
心裡留保原則有効善意の第三者に対抗不可相手方が知り得たら無効
虚偽表示無効善意の第三者に対抗不可通謀が必要
錯誤取消可善意無過失の第三者に対抗不可重要な錯誤に限る
詐欺取消可善意無過失の第三者に対抗不可第三者詐欺は相手方の認識次第
強迫取消可規定なし常に取消可
  • 錯誤のうち前提事情の思い違い(95条1項2号)は、その前提を相手に示していた場合に限り取消せる(95条2項)
  • 表意者に重大な過失があると錯誤の取消しは原則できないが、相手方が悪意・重過失、または同一の錯誤に陥っていた場合は取消せる(95条3項)
  • 第三者による詐欺は、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り取消せる(96条2項)
  • 意思表示は相手方が正当な理由なく到達を妨げたとき、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす(97条2項)
  • 相手方や所在が分からないときは公示による意思表示ができ、原則として2週間経過で到達したものとみなす(98条)
  • 相手方が意思無能力者・未成年者・成年被後見人であった場合、意思表示をその相手方に対抗できない(98条の2)
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意思表示

意思表示について、条文は何を定めているか。

第93条心裡留保本心でなくても表示どおり原則有効2項判例 11件
  • 表意者が本心でないと分かっていても意思表示は原則有効
  • 相手方が本心でないと知っていた・知り得たときは無効
  • その無効は善意の第三者には対抗できない
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第94条虚偽表示相手と示し合わせた意思表示は無効2項判例 23件
  • 相手方と通じ合わせた虚偽の意思表示は無効
  • その無効は善意の第三者には対抗できない
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第95条錯誤重要な思い違いなら取り消せる4項・4号判例 21件
  • 意思表示に対応する認識を欠く錯誤、または前提事情の誤認が対象
  • 前提事情の誤認は、その前提を相手に示していたときに限り取消せる
  • 表意者に重大な過失があると原則取消しできない(例外あり)
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第96条詐欺又は強迫だまされた・脅された意思表示は取り消せる3項判例 12件
  • 詐欺・強迫による意思表示は取り消せる
  • 第三者による詐欺は、相手方がその事実を知り、又は知り得たときに限り取消せる
  • 詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できない
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第97条意思表示の効力発生時期等意思表示は相手に届いた時に効力発生3項判例 8件
  • 通知が相手方に到達した時から効力が生じる
  • 相手が正当な理由なく到達を妨げたら、通常届くはずだった時に到達とみなす
  • 発信後に表意者が死亡・意思能力喪失・行為能力制限を受けても効力は妨げられない
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第98条公示による意思表示相手が分からない時は公示で意思表示できる5項判例なし
  • 相手方や所在が分からない場合、公示の方法で意思表示できる
  • 官報掲載や裁判所掲示を始めた日から原則2週間で到達とみなす
  • 表意者に過失があれば到達の効力は生じない
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第98_2条意思表示の受領能力受け取った相手が制限行為能力者なら対抗不可1項・2号判例 2件
  • 相手が意思無能力者・未成年者・成年被後見人だと意思表示を対抗できない
  • 法定代理人や、能力を回復・取得した本人が知った後は対抗できる
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第93条民法

理事が権限を濫用して振り出した約束手形の第三取得者に対する農業協同組合の手形上の責任

裁判要旨農業協同組合の理事が自己又は第三者の利益をはかるため代表権限を濫用して約束手形を振り出した場合において、受取人が右権限濫用の事実を知り又は知りうべかりし状態のもとに手形の交付を受けたときは、民法九三条〈心〉但書の規定の類推適用により、農業協同組合は理事の振出行為を無効として受取人に対する手形上の責任を免れることができるが、右受取人がさらに手形を他に裏書譲渡したときは、農業協同組合は、手形法一七条但書の規定により、第三取得者が受取人の右知情について悪意であることを立証した場合に限つて、右第三取得者に対する手形上の責任を免れることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年2月16日 昭和52(オ)1109
登載
集民 第123号65頁
参照法条
農業協同組合法41条,民法53条,民法93条,手形法17条,手形法77条1項1号
論点2第93条民法

株式会社の代表取締役のした金銭借入れにつき会社が借主であるとした判断が違法とされた事例

裁判要旨株式会社の代表取締役甲が、新規事業のための調査等に必要な資金として乙から金銭を借り入れた場合において、乙が甲の私的な旧知であり、右新規事業の構想につき役員間に反対があることを知らされていること、右借入れについては、甲から代表取締役の肩書を表示した甲の名刺に右金銭借用の旨を記載した借用書の交付を受け、担保として甲個人の手形の振出し交付を受けただけで、会社の正規の借用書が作成されておらず、右借入金の出納も会社の経理部を経由していないこと等、右借入れが甲の個人的利益のために行われたもので、乙も当然これを知りえたと認める余地のある事実関係を認定しながら、その旨の会社の主張があるのにかかわらず、単に、甲と乙との間に本件借入れの当事者が甲個人であるとする別段の意思表示があつたと認めるに足りないとの理由を示しただけで、借主は会社であると判断したときは、審理不尽、理由不備の違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年11月26日 昭和51(オ)689
登載
集民 第119号265頁
参照法条
民法93条,商法261条,民訴法395条1項6号
論点3第93条民法

信用金庫の表見支配人が自己の利益を図るためにした行為と信用金庫の責任

裁判要旨信用金庫法四〇条、商法四二条、三八条一項に基づく信用金庫の責任は、相手方が善意である限り、表見支配人のした行為の目的のいかんにかかわらず、これを免れないが、行為者の意図が自己の利益を図るにあり、かつ、相手方が右の意図を知り又は知りうべかりしときには、民法九三条〈心〉但書の類推適用により、その責に任じない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和51年10月1日 昭和51(オ)523
登載
集民 第119号1頁
参照法条
信用金庫法40条,商法38条1項,商法42条,民法93条但書
論点4第93条民法

一、代理人が権限を濫用して振り出した約束手形と第三取得者に対する本人の手形抗弁
二、手形行為は農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれるか

裁判要旨一、代理人が自己または第三者の利益をはかるため、代理権限を濫用して約束手形を振り出した場合において、権限濫用の事実を知りまたは知りうべかりし状態で右手形の交付を受けた受取人が、これを他に裏書譲渡したときは、本人は、手形法一七条但書の規定により、第三取得者が受取人の右知情について悪意であることを立証した場合にかぎり、右第三取得者に対する手形上の責任を免れることができると解するのが相当である。
二、手形行為は、農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年4月3日 昭和42(オ)602
登載
民集 第23巻4号737頁
参照法条
手形法77条1項1号,手形法17条,民法43条,民法93条,農業協同組合法10条
論点5第93条民法

代理人が権限を濫用して約束手形の振出人のためにした手形上の保証と手形受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えた国に対する保証人の責任

裁判要旨代理人が、自己の利益をはかるため、代理権限を濫用して、約束手形の振出人のために、本人名義で手形上の保証をした場合において、代理人から手形の交付を受けた手形受取人が権限濫用の事実を知りうべきであったときは、受取人に対する国税滞納処分として右手形を差し押えて占有するに至つた国において、差押当時受取人の知情の点につき善意であつたことを主張立証しないかぎり、本人である保証人は、国に対し、手形上の保証による責任を負わない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年11月14日 昭和42(オ)694
登載
民集 第23巻11号2023頁
参照法条
民法93条但書,民法94条2項,手形法77条3項,手形法32条
論点6第93条民法

表見代表取締役が自己の利益を図るためにした行為と会社の責任

裁判要旨商法第二六二条は、第三者が代表権の欠缺について善意であるかぎり、表見代表取締役のした行為の目的のいかんにかかわらず適用され、行為者の意図が自己の利益を図ることにあつた場合においては、第三者がその意図を知り、または知りうべかりしときにかぎり、会社は、民法第九三条〈心〉但書の提起を類推適用して、その責を免れることができるにすぎないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年7月6日 昭和41(オ)875
登載
集民 第88号1頁
参照法条
商法262条,民法93条但書
論点7第93条民法

代理人の権限濫用の行為と民法第九三条

裁判要旨代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであつた場合にかぎり、民法第九三条〈心〉但書の規定を類推適用して、本人はその行為についての責に任じないと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年4月20日 昭和39(オ)1025
登載
民集 第21巻3号697頁
参照法条
民法93条,民法99条
論点8第93条民法

一 株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないでした対外的な個々的取引行為の効力。
二 中小企業等協同組合が代表理事に対し委任できる業務執行の意思決定の権限の範囲。

裁判要旨一 株式会社の代表取締役が、取締役会の決議を経てすることを要する対外的な個々取引行為を、右決議を経ないでした場合でも、右取引行為は、相手方において右決議を経ていないことを知りまたは知ることができたときでないかぎり、有効である。
二 中小企業等協同組合は、法令がとくに理事会の決議事項であると定めたものを除いて、理事会に属する業務執行の意思決定の権限を、定款で、代表理事に委任することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年9月22日 昭和36(オ)1378
登載
民集 第19巻6号1656頁
参照法条
商法260条,商法261条,商法78条1項,民法93条,中小企業等協同組合法33条,中小企業等協同組合法36条の2,中小企業等協同組合法42条
論点9第93条民法

代表取締役の権限濫用の行為と民法第九三条。

裁判要旨株式会社の代表取締役が自己の利益のため会社の代表者名義でなした法律行為は、相手方が右代表取締役の真意を知り、または、知りうべきものであつたときは、その効力を生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和38年9月5日 昭和35(オ)1388
登載
民集 第17巻8号909頁
参照法条
民法93条,商法261条
論点10第93条民法

一 旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)の意義
二 養子縁組の無効と民法第九三条但書

裁判要旨一 旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)にいわゆる「当事者間に縁組をする意思がないとき」とは、当事者間において真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ養子縁組の届出自体については当事者間に意思の一致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものに過ぎないときは、養子縁組は、効力を生じない。
二 養子関係の設定を欲する効果意思のないことによる養子縁組の無効は、絶対的のものであつて民法第九三条但書の適用をまつてはじめて無効となるのではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和23年12月23日 昭和23(オ)85
登載
民集 第2巻14号493頁
参照法条
旧民法851条1号,新民法802条1号,新民法93条但書
論点11第93条民法

一 親権者の代理権濫用の行為と民法九三条ただし書
二 親権者において子を代理してその所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為と代理権の濫用

裁判要旨一 親権者が子を代理する権限を濫用して法律行為をした場合において、その行為の相手方が権限濫用の事実を知り又は知り得べかりしときは、民法九三条〈心〉ただし書の規定の類推適用により、その行為の効果は子には及ばない。
二 親権者が子を代理してその所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、代理権の濫用には当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成4年12月10日 平成1(オ)759
登載
民集 第46巻9号2727頁
参照法条
民法93条ただし書,民法824条
論点12第94条民法

民法九四条二項〈虚偽表示〉の適用ないし類推適用がないとされた事例

裁判要旨甲が他から買い受けた建物につき乙名義で所有権移転登記を経由した後これを丙に賃貸してその引渡しを了した場合において、右建物が真実乙の所有であると信じていた丁が、これを乙から買い受けようとした戊に融資をして乙より右建物につき抵当権の設定を受け、その実行により自ら競落人となつて右建物の所有権を取得したときは、丁において右建物の所有者が甲であること及び甲・乙間の賃貸借契約締結の事実を知らなかつたとしても、丙は、右賃借権をもつて丁に対抗することができ、丙に対する関係では民法九四条二項を適用ないし類推適用する余地はないというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和61年11月18日 昭和59(オ)1367
登載
集民 第149号115頁
参照法条
民法94条2項,借家法1条1項
論点13第94条民法

土地の仮装譲受人から右土地上の建物を賃借した者と民法九四条二項所定の第三者

裁判要旨土地の仮装譲受人からその建築にかかる右土地上の建物を賃借した者は、民法九四条二項〈虚偽表示〉所定の第三者にはあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年6月8日 昭和56(オ)988
登載
集民 第136号57頁
参照法条
民法94条2項
論点14第94条民法

財団法人の設立を目的とする寄附行為と民法九四条一項の規定の類推適用

裁判要旨寄附行為の一環としてされた財産出捐行為が、財団法人設立関係者の通謀に基づいてされた虚偽仮装のものであるときは、民法九四条一項〈虚偽表示〉の規定を類推適用して該寄附行為を無効とするのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和56年4月28日 昭和53(オ)823
登載
民集 第35巻3号696頁
参照法条
民法39条,民法94条1項
論点15第94条民法

一 原抵当権が虚偽仮装であることにつき善意で転抵当権の設定を受けその旨の登記を経由した者が民法三七六条所定の対抗要件を具備しない場合と同人の原抵当権設定者に対する原抵当権設定登記の抹消の承諾義務
二 民法九四条二項〈虚偽表示〉所定の第三者の善意の判定時期

裁判要旨一 甲と乙との通謀により甲から乙に対し抵当権を設定したものと仮装した抵当権設定登記が経由されたのち、乙が善意の丙に対し転抵当権を設定し、丙を権利者とする転抵当権設定登記が経由された場合において、丙は、いまだ民法三七六条所定の対抗要件を具備しないときであつても、原抵当権の設定の無効を理由とする原抵当権設定登記の抹消について、甲に対し承諾の義務を負うものではない。
二 民法九四条二項〈虚偽表示〉所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至つた時期を基準として決すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年9月11日 昭和53(オ)1213
登載
民集 第34巻5号683頁
参照法条
民法94条,民法376条1項,不動産登記法146条1項
論点16第94条民法

民法上の組合所有の不動産を理事名義に登記することを承諾した組合員が組合から右不動産を譲り受けたのちも理事名義のままにしておいた場合とその後理事の意思に基づいて経由された所有権移転登記どおり名義人が所有者であると信じた第三者に対する責任

裁判要旨民法上の組合が不動産を取得するにあたり理事名義に所有権移転登記を経由することを承諾した組合員甲が、組合から右不動産を譲り受けたのちも理事所有名義のままにしておいた場合において、さらに理事の意思に基づいて第三者乙に対する所有権移転登記が経由されたときは、甲は、乙の所有権取得の無効をもつて善意無過失の第三者丙に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和52年12月8日 昭和51(オ)858
登載
集民 第122号303頁
参照法条
民法94条2項,民法110条
論点17第94条民法

民法九四条二項〈虚偽表示〉にいう善意の第三者

裁判要旨民法九四条〈虚偽表示〉にいう第三者とは、虚偽表示の当事者又はその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいい、甲乙間における虚偽表示の相手方乙との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた丙が悪意であつても、丙からの転得者丁が善意であるときは、丁は同条項にいう善意の第三者にあたる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年4月25日 昭和49(オ)513
登載
集民 第114号649頁
参照法条
民法94条2項
論点18第94条民法

未登記建物の所有者においてその建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを承認していた場合と民法九四条二項の類推適用

裁判要旨未登記建物の所有者は、その建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認していた場合には、民法九四条二項〈虚偽表示〉の類推適用により、右名義人が所有権を有しないことを善意の第三者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年6月28日 昭和47(オ)1164
登載
民集 第27巻6号724頁
参照法条
民法94条2項
論点19第94条民法

通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決と口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者

裁判要旨通謀による虚偽の登記名義を真正なものに回復するための所有権移転登記手続請求訴訟における被告敗訴の確定判決は、口頭弁論終結後被告から善意で当該不動産を譲り受けた第三者に対してその効力を有しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年6月21日 昭和47(オ)198
登載
民集 第27巻6号712頁
参照法条
民法94条2項,民訴法201条1項,民訴法497条ノ2第1項
論点20第94条民法

借地上建物の仮装譲渡の無効は土地賃貸人に対抗しうるか

裁判要旨土地の賃借人が地上建物を仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、右譲渡につき民法九四条二項にいわゆる第三者にあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年4月24日 昭和47(オ)1301
登載
集民 第109号205頁
参照法条
民法94条,民法612条
論点21第94条民法

借地上建物の仮装譲渡の場合に土地賃貸人は民法九四条二項の第三者にあたるか

裁判要旨土地賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合に、右土地の賃貸人は民法九四条二項にいう第三者にあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年3月7日 昭和46(オ)777
登載
集民 第105号259頁
参照法条
民法94条2項,民法612条
論点22第94条民法

登記簿の記載から賃借権の消滅を信頼した建物の競落人について民法九四条二項の類推適用がないとされた事例

裁判要旨競落建物について、抵当権設定前にこれに対する賃借権の譲渡を受け、かつ、その引渡を受けた者が、家主および賃借権の譲渡人と通謀のうえ、いつたん転借権の設定登記を経由し、その後これを真実の権利関係に符合させるために、抵当権設定登記後になつて、新たな賃借権の設定登記を、ついで、合意解約を理由とする右転借権の抹消登記を順次経由した場合において、右建物の競落人がこの登記簿の記載のみから、自己に対抗しうる賃借権は存在しないものと信じてこれを競落したとしても、賃借人が当初から建物の占有を継続しており、登記簿上も、右のとおり、抵当権設定登記前から継続して同一人が転借人または賃借人として登記されている事情があるときは、競落人は、民法九四条二項〈虚偽表示〉を類推して賃借人が自己に対抗しうる賃借権を有しないものと主張することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年2月24日 昭和46(オ)197
登載
民集 第26巻1号146頁
参照法条
民法94条2項
論点23第94条民法

仮装の仮登記をする意思で甲の署名押印した書類を乙がほしいままに用いてした所有権移転登記と甲の第三者に対する責任

裁判要旨甲が、乙と相通じ、仮装の所有権移転請求権保全の仮登記手続をする意思で、乙の提示した所有権移転登記手続に必要な書類に、これを仮登記手続に必要な書類と誤解して署名押印したところ、乙がほしいままに右書類を用いて所有権移転登記手続をしたときは、甲は、乙の所有権取得の無効をもつて善意・無過失の第三者に対抗することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年11月28日 昭和46(オ)803
登載
民集 第26巻9号1716頁
参照法条
民法94条2項,民法110条
論点24第94条民法

不実の所有権移転登記が所有者の承認のもとに存続せしめられていたものとして民法九四条二項を類推適用すべきものとされた事例

裁判要旨不動産の所有者甲が、その不知の間に甲から乙に対する不実の所有権移転登記の経由されたことを知りながら、経費の都合や、のちに乙と結婚して同居するようになつた関係から、抹消登記手続を四年余にわたつて見送り、その間に甲において他から金融を受けた際にもその債務を担保するため乙所有名義のまま右不動産に対する根抵当権設定登記が経由されたような事情がある場合には、民法九四条二項〈虚偽表示〉を類推適用し、甲は、不動産の所有権が乙に移転していないことをもつて、その後にこれを乙から買受けた善意の第三者丙に対抗することができないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年9月22日 昭和43(オ)91
登載
民集 第24巻10号1424頁
参照法条
民法94条2項
論点25第94条民法

不動産を買い受けた者が抵当権および停止条件付代物弁済契約上の権利を有するものとして抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合と第三者

裁判要旨甲が、乙からその所有不動産を買い受けたものであるにもかかわらず、乙に対する貸金を被担保債権とする抵当権と、右貸金を弁済期に弁済しないことを停止条件とする代物弁済契約上の権利とを有するものとして、抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合において、丙が乙から右不動産を買い受けて所有権取得登記を経由したときは、丙が善意無過失であるかぎり、甲は、丙に対し、自己の経由した登記が実体上の権利関係と相違し、自己が仮登記を経由した所有権者であると主張することはできないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年11月19日 昭和43(オ)732
登載
民集 第24巻12号1916頁
参照法条
民法94条2項,民法369条,民法482条,不動産登記法2条2号
論点26第94条民法

民法第九四条第二項〈虚偽表示〉の適用または類推適用がないとされた事例

裁判要旨部落民全員が、その総有に属する土地について、入会権者として登記の必要に迫られ、単に登記の便宜から、右部落民の一部の者のために売買による所有権移転登記を経由した場合には、民法第九四条第二項〈虚偽表示〉の適用または類推適用がない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和42(オ)524
登載
集民 第93号233頁
参照法条
民法94条2項,民法263条
論点27第94条民法

共有持分の放棄と民法第九四条

裁判要旨他の共有者に対してなされた共有持分の放棄の意思表示が、右共有者との通謀による虚偽のものであるときは、右意思表示については、民法第九四条〈虚偽表示〉が類推適用される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和42年6月22日 昭和41(オ)1277
登載
民集 第21巻6号1479頁
参照法条
民法94条,民法255条
論点28第94条民法

民法第九四条第二項〈虚偽表示〉にいう善意の有無を定める基準となる時期。

裁判要旨通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物件取得の法律関係につき、予約権利指が民法第九四条第二項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和38年6月7日 昭和35(オ)15
登載
民集 第17巻5号728頁
参照法条
民法94条,民法556条
論点29第94条民法

一 会社役員たる資格を与えるためのいわゆる資格株の譲渡の効力。
二 木工品製作業の附帯事業の範囲。
三 木材統制法と立木伐木の買入。
四 木材業又は製材業が許可事業であることと、その許可を受けずして附帯事業としてなす立木伐木の買入。
五 介入権行使の効果。

裁判要旨一 会社役員たる資格を与えるためのいわゆる資格株の譲渡であつて、後日返還することを約したものであるからといつて、その譲渡を仮装であるということはできない。
二 附帯事業というのは、主たる目的事業に関連のある各種の事業をいうのであつて木工品の製作を主たる目的とする事業の附帯事業のうちには、その資材原料たる立木、伐木等の買入をする事業をも包含する。
三 木材統制法は、木材の生産消費を規正したもので、木工業者が立木、伐木等を買い入れること自体を禁止したものではない。
四 木材業又は製材業が許可を要する事業であつて、木工業者がその許可を受けずしてその資材原料たる立木、伐木等を買い入れたとしてもそのために、その取引が附帯事業の範囲に属すると判断する妨げとならない。
五 商法第二六四条第二項による介入権行使の効果は、取締役は、その取引によつて、取得した金銭その他の物はこれを会社に引き渡し、権利はこれを会社に移転することを要するのであつて、取締役がその取引によつて取得した所有権その他の物権が、介入権の行使により当然に会社に移転するいわゆる物権的効力を有するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和24年6月4日 昭和23(オ)69
登載
民集 第3巻7号235頁
参照法条
民法94条1項,商法204条,商法264条1項,商法264条,商法(昭和25年法律167号による改正前のもの)264条2項,木材統制法1条,木材統制法6条
論点30第94条民法

不実の所有権移転登記がされたことにつき所有者に自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性があるとして民法94条2項,110条を類推適用すべきものとされた事例

裁判要旨不動産の所有者であるXから当該不動産の賃貸に係る事務や他の土地の所有権移転登記手続を任せられていた甲が,Xから交付を受けた当該不動産の登記済証,印鑑登録証明書等を利用して当該不動産につき甲への不実の所有権移転登記を了した場合において,Xが,合理的な理由なく上記登記済証を数か月間にわたって甲に預けたままにし,甲の言うままに上記印鑑登録証明書を交付した上,甲がXの面前で登記申請書にXの実印を押捺したのにその内容を確認したり使途を問いただしたりすることなく漫然とこれを見ていたなど判示の事情の下では,Xには,不実の所有権移転登記がされたことについて自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性があり,Xは,民法94条2項〈虚偽表示〉,110条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用により,甲から当該不動産を買い受けた善意無過失のYに対し,甲が当該不動産の所有権を取得していないことを主張することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年2月23日 平成15(受)1103
登載
民集 第60巻2号546頁
参照法条
民法94条2項 民法110条
論点31第94条民法

地目変更等のためと偽って不動産の所有者から交付を受けた登記済証,白紙委任状,印鑑登録証明書等を利用して当該不動産につき不実の所有権移転登記がされた場合において不動産の所有者が善意無過失の第三者に対して当該不動産の所有権が移転していないことを対抗することができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨不動産の売買等を業とする会社が,地目変更等のためと偽って不動産の所有者から交付を受けた登記済証,白紙委任状,印鑑登録証明書等を利用して,当該不動産につき同社への不実の所有権移転登記を了したが,当該所有者が,虚偽の権利の帰属を示すような外観の作出につき何ら積極的な関与をしておらず,上記の不実の登記の存在を知りながら放置していたとみることもできないなど判示の事情の下においては,民法94条2項〈虚偽表示〉,110条〈権限外の行為の表見代理〉の類推適用により当該所有者が善意無過失の第三者に対して同社に当該不動産の所有権が移転していないことを対抗することができないとした原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年6月13日 平成14(受)1008
登載
集民 第210号143頁
参照法条
民法94条2項,民法110条
論点32第94条民法

相続税申告の基礎となった遺産分割協議の無効を確認する判決が確定したことが国税通則法23条2項1号に該当することを理由として更正の請求をすることはできないとされた事例

裁判要旨通謀虚偽表示により遺産分割協議が成立した外形を作出し,これに基づいて相続税の申告を行った後,遺産分割協議の無効を確認する判決が確定したという事実関係の下においては,当該判決の確定が国税通則法23条2項1号に該当することを理由として更正の請求をすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成15年4月25日 平成13(行ヒ)230
登載
集民 第209号689頁
参照法条
国税通則法23条1項,国税通則法23条2項,民法94条,民法907条1項
論点33第94条民法

不動産競売手続における建物の買受人が民法九四条二項、一一〇条の法意により建物所有権を取得してもその敷地の賃借権を取得しないとされた事例

裁判要旨土地賃借人甲が右土地上に乙名義で建築確認申請をして建物を建築し、乙名義での家屋補充課税台帳への登録を事後的に承認していたところ、乙が甲に無断で建物につき所有権保存登記を経由した上、右登記を過失なく信頼した丙との間で抵当権設定契約を締結した場合において、右抵当権に基づく不動産競売手続により建物を買い受けた丁は、民法九四条二項〈虚偽表示〉、一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の法意により建物の所有権を取得しても、右土地の賃借権について右法意により保護されるなどの事情がないときは、右土地の賃借権を取得しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成12年12月19日 平成11(受)1197
登載
集民 第200号257頁
参照法条
民法87条2項,民法94条2項,民法110条,民法370条,民事執行法79条
論点34第95条民法

手形金額に錯誤のある裏書と悪意の取得者に対する償還義務の範囲

裁判要旨手形の裏書人が、金額一五〇〇万円の手形を金額一五〇万円の手形と誤信し同金額の手形債務を負担する意思のもとに裏書をした場合に、悪意の取得者に対して錯誤を理由に償還義務の履行を拒むことができるのは、右手形金のうち一五〇万円を超える部分についてだけであつて、その全部についてではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年9月6日 昭和53(オ)1281
登載
民集 第33巻5号630頁
参照法条
民法95条,手形法12条2項,手形法17条,手形法77条1項
論点35第95条民法

損害保険会社が保険金の支払に関する示談契約を締結する場合と保険契約上の免責条項該当事由の調査義務

裁判要旨損害保険会社が、自動車事故につき、被保険者のほか被害者を交えた三者間で、保険金の支払に関する示談契約を締結する場合には、該保険会社は、保険契約上の免責条項該当の事由の有無につき、所轄警察署に照会するだけでなく、事故関係者からの事情聴取等の方法により、慎重な調査を尽くすべき義務がある。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年11月14日 昭和50(オ)290
登載
集民 第116号465頁
参照法条
民法95条但書
論点36第95条民法

動機が表示されても民法九五条にいう法律行為の要素とはならないとされた事例

裁判要旨甲乙問の土地売買契約の解除と土地交換契約の締結に伴い、甲が乙に対して負担した清算金債務を弁済するため、自己が金融機関である丙との間で締結していた定期貯金契約を合意解約し、その払戻金を乙に支払うことを丙に対し委任した場合において、右売買契約の解除および交換契約が甲の土地評価の誤認に起因し法律行為の要素の錯誤により無効であり、甲の前記清算金債務は存在しないときであつても、甲が右支払を委任するに至つた動機のごときは、丙に表示されたとしても、右定期貯金契約の合意解約および支払委任につき、民法九五条〈錯誤〉にいう法律行為の要素とはならないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年5月19日 昭和45(オ)685
登載
民集 第26巻4号723頁
参照法条
民法95条
論点37第95条民法

抵当権設定契約が錯誤により無効であつてもこれを締結する前提として同時に約定された準消費貸借契約に要素の錯誤がないとされた事例

裁判要旨抵当権設定契約とこれを締結する前提として約定された準消費貸借契約が同時に締結された場合において、右両契約の締結された主たる目的が抵当権の設定にあつたものであつても、右準消費貸借契約が経済的には借主にとつて有利なものである等の事情(原判決理由参照)があるときは、抵当権設定契約が錯誤により無効であつても、準消費貸借契約が錯誤により無効であるとすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年5月29日 昭和44(オ)829
登載
集民 第99号273頁
参照法条
民法95条
論点38第95条民法

要素の錯誤による意思表示の無効を第三者が主張することが許される場合

裁判要旨第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において、表意者がその意思表示の要素に関し錯誤のあることを認めているときは、表意者みずからは該意思表示の無効を主張する意思がなくても、右第三者は、右意思表示の無効を主張して、その結果生ずる表意者の債権を代位行使することが許される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年3月26日 昭和43(オ)27
登載
民集 第24巻3号151頁
参照法条
民法95条,民法423条
論点39第95条民法

公正証書上の執行受諾の意思表示と民法九五条の適用

裁判要旨公正証書に記載される執行受諾の意思表示に要素の錯誤があるときは、民法九五条〈錯誤〉が適用され、表意者に重大な過失のないかぎり、その意思表示は効力を生じない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年9月18日 昭和43(オ)687
登載
民集 第23巻9号1675頁
参照法条
民法95条,民訴法559条3号
論点40第95条民法

錯誤を理由とする和解の無効を失当とした事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年7月9日 昭和43(オ)7
登載
集民 第91号645頁
参照法条
民法95条,民法696条
論点41第95条民法

相続放棄の申述と民法第九五条の適用の有無。

裁判要旨相続放棄の申述についても、民法第九五条〈錯誤〉の適用がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年5月27日 昭和36(オ)201
登載
集民 第79号201頁
参照法条
民法95条,民法938条
論点42第95条民法

手形振出に動機の錯誤がある場合と手形振出行為の効力

裁判要旨手形振出の動機に重大な錯誤があり、それが一般には要素の錯誤とみられるとしても、手形振出行為自体の効力を左右するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年3月23日 昭和36(オ)1349
登載
集民 第59号603頁
参照法条
民法95条,手形法1条
論点43第95条民法

一 和解が要素の錯誤によつて無効とされた事例
二 契約の要素に錯誤があつた場合と民法第五七〇条の適用の有無

裁判要旨一 仮差押の目的となつているジヤムが一定の品質を有することを前提として和解契約をなしたところ、右ジヤムが原判示の如き(原判決理由参照)粗悪品であつたときは、右和解は要素に錯誤があるものとして無効であると解すべきである
二 契約の要素に錯誤があつて無効であるときは、民法第五七〇条〈抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求〉の瑕疵担保の規定の適用は排除される
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和33年6月14日 昭和32(オ)1171
登載
民集 第12巻9号1492頁
参照法条
民法696条,民法95条,民法570条
論点44第95条民法

一 手形書替の性質
二 手形書替後における旧手形の効力
三 手形書替後における手形金の請求方法
四 手形行為と民法第九五条の適用

裁判要旨一 手形の書替は、旧手形を現実に回収して発行する等特別の事情のない限り、単に旧手形債務の支払を延長するためになされるものと解すべきである。
二 旧手形が新手形に書き替えられても、旧手形は当然に無効となるものではない。
三 旧手形債務の支払を延長するために手形の書替が行われたときは、新手形の所持人は、新手形のみにて手形金の請求をすることができる。
四 手形の書替にあたり、旧手形が返還されるものと誤信して新手形を振出したとしても、手形振出の要素に錯誤があるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年11月18日 昭和26(オ)603
登載
民集 第8巻11号2052頁
参照法条
手形法1条,民法95条
論点45第95条民法

一 調停に対する請求異議の第一審の管轄
二 区裁判所で成立した調停に対し裁判所法施行後に提起する請求異議の第一審の管轄
三 調停について要素の錯誤の認められない一事例
四 家屋の賃貸借契約の期限付合意解除の効力

裁判要旨一 調停調書に対する請求異議の訴の第一審は、当該調停の成立した裁判所の専属管轄に属する。
二 区裁判所で成立した調停に対し裁判所法施行後に提起する請求異議の訴の第一審は、右区裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄に属する。
三 家屋の賃貸人がみずから使用する必要があるとして、賃借人を相手方として家屋明渡の調停を申し立て、その結果、賃貸借契約を合意により解除し家屋を賃貸人に明け渡す旨の調停が成立した場合、かりにその後に至り、賃貸人に右家屋を必要とする事情のなかつたことが明らかになつたとしても、賃貸人において家屋を必要とする事情が右合意解除または明渡の合意の内容となつていない以上、該調停は要素に錯誤があるものということはできない。
四 当事者が家屋の賃貸借契約を合意解除し、右合意解除の効力発生を期限の到来にかからしめたときは、期限の到来により賃貸借は当然終了し、この場合には借家法第一条ノ二、第二条第一項〈解釈の基準〉の賃貸借の更新に関する規定は適用がないと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和28年5月7日 昭和24(オ)271
登載
民集 第7巻5号510頁
参照法条
民訴法545条1項,民訴法560条,民訴法563条,借地借家調停法28条,借地借家調停法13条,裁判所法施行令3条1項,裁判所法施行法の規定に基く調停に関する法律の変更適用に関する政令(昭和22年政令31号)本文1号,民法95条,借家法1条ノ2,借家法2条1項
論点46第95条民法

協議離婚に伴う財産分与契約をした分与者の課税負担の錯誤に係る動機が意思表示の内容をなしたとされた事例

裁判要旨協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に二億円余の譲渡所得税が課されることが判明した場合において、右契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなど判示の事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の右課税負担の錯誤に係る動機は、妻に黙示的に表示されて意思表示の内容をなしたものというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成元年9月14日 昭和63(オ)385
登載
集民 第157号555頁
参照法条
民法95条,民法768条,所得税法33条
論点47第95条民法

敷金返還請求権を目的とする質権設定についての第三債務者の異議をとどめない承諾に要素の錯誤があるとされた事例

裁判要旨敷金返還請求権を目的として質権が設定され、第三債務者がこれを承諾した場合において、第三債務者としては敷金から控除される金額の割合を定めた特約の存在について異議をとどめて承諾をするつもりであったのに、その使者がこれと異なった表示をしたため、錯誤により異議をとどめない承諾がされる結果となったものであり、右特約が返還の対象となる敷金の額と密接なかかわりを有する約定であったなど判示の事実関係の下においては、第三債務者の右の錯誤は、承諾をするに至った動機における錯誤ではなく、承諾の内容自体に関する錯誤であって、要素の錯誤に当たるというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成8年6月18日 平成4(オ)874
登載
集民 第179号331頁
参照法条
民法95条,民法364条,民法467条,民法468条
論点48第95条民法

特定の土地の分割方法を定めた遺言の存在を知らないでされた遺産分割協議の意思表示に要素の錯誤がないとはいえないとされた事例

裁判要旨特定の土地につきおおよその面積と位置を示して分割した上それぞれを相続人甲、乙、丙に相続させる趣旨の分割方法を定めた遺言が存在したのに、相続人丁が右土地全部を相続する旨の遺産分割協議がされた場合において、相続人の全員が右遺言の存在を知らなかったなど判示の事実関係の下においては、甲のした遺産分割協議の意思表示に要素の錯誤がないとはいえない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年12月16日 平成2(オ)1828
登載
集民 第170号757頁
参照法条
民法95条,民法907条,民法908条
論点49第95条民法

給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について,法定納期限の経過後に当該源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことの可否

裁判要旨給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について,法定納期限が経過したという一事をもって,当該源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことが許されないとはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成30年9月25日 平成29(行ヒ)209
登載
民集 第72巻4号317頁
参照法条
所得税法183条1項,国税通則法36条1項,民法95条
論点50第95条民法

1 信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結されて融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において,信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例
2 金融機関による融資の主債務者が反社会的勢力であったときにおける信用保証協会と金融機関との間の信用保証に関する基本契約に定められた保証債務の免責条項にいう「保証契約に違反したとき」に当たる場合

裁判要旨1 信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において,上記保証契約の当事者がそれぞれの業務に照らし,上記の場合が生じ得ることを想定でき,その場合に信用保証協会が保証債務を履行しない旨をあらかじめ定めるなどの対応を採ることも可能であったにもかかわらず,上記当事者間の信用保証に関する基本契約及び上記保証契約等にその場合の取扱いについての定めが置かれていないなど判示の事情の下では,主債務者が反社会的勢力でないことという信用保証協会の動機は,明示又は黙示に表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,上記保証契約の内容となっていたとは認められず,信用保証協会の上記保証契約の意思表示に要素の錯誤はない。
2 金融機関が,主債務者が反社会的勢力であるか否かについて相当な調査をすべきであるという信用保証協会との間の信用保証に関する基本契約上の付随義務に違反して,その結果,反社会的勢力を主債務者とする融資について保証契約が締結された場合には,上記基本契約に定められた保証債務の免責条項にいう金融機関が「保証契約に違反したとき」に当たる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成28年1月12日 平成26(受)1351
登載
民集 第70巻1号1頁
参照法条
(1,2につき)民法446条 (1につき)民法95条 (2につき)民法91条,信用保証協会法1条
論点51第95条民法

信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が中小企業者の実体を有しないことが判明した場合において,信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例

裁判要旨信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が中小企業者の実体を有しないことが判明した場合において,上記保証契約の当事者がそれぞれの業務に照らし,上記の場合が生じ得ることを想定でき,その場合に信用保証協会が保証債務を履行しない旨をあらかじめ定めるなどの対応を採ることも可能であったにもかかわらず,上記当事者間の信用保証に関する基本契約及び上記保証契約等にその場合の取扱いについての定めが置かれていないなど判示の事情の下では,主債務者が中小企業者の実体を有することという信用保証協会の動機は,それが表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,上記保証契約の内容となっていたとは認められず,信用保証協会の上記保証契約の意思表示に要素の錯誤はない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成28年12月19日 平成27(受)1394
登載
集民 第254号105頁
参照法条
民法95条,民法446条
論点52第95条民法

学校法人の理事長AがBとの間で,Aを始めとする同法人の旧理事らは辞任し,同法人の理事会においてB及びその推薦する者を後任の理事に選任する決議をすること,Bの責任において,同法人の借入金債務について,債権者である金融機関と交渉して旧理事らの連帯保証債務を免れさせることなどを合意し,これに従い旧理事らが辞任の意思表示及び理事会における議決権の行使をした場合において,旧理事らにおいて,Bには旧理事らの連帯保証債務を免れさせるという債務を履行する能力があると信頼したにもかかわらず,実際にはその能力がなかったとしても,上記の意思表示又は議決権行使が要素の錯誤により無効であるとはいえないとされた事例

裁判要旨学校法人の理事長AがBとの間で,Aを始めとする同法人の旧理事らは辞任し,同法人の理事会においてB及びその推薦する者を後任の理事に選任する決議をすること,Bの責任において,同法人の借入金債務について,債権者である金融機関と交渉して旧理事らの連帯保証債務を免れさせることなどを合意し,これに従い旧理事らが辞任の意思表示及び理事会における議決権の行使をした場合において,旧理事らにおいて,Bには旧理事らの連帯保証債務を免れさせるという債務を履行する能力があると信頼したにもかかわらず,実際にはその能力がなかったとしても,上記信頼が,同法人の理事に大物の就任が予定されているなどの説明を受けたことによるものであって,その説明の内容が上記の意思表示及び議決権行使の当時現実に存在した事柄であり,Bの資力,資金調達の見込み等,上記債務の履行可能性を左右すべき重要な具体的事実に関する認識に誤りがあったとはうかがわれないなど判示の事情の下においては,旧理事らの上記信頼が表示されていたか否かにかかわらず,上記の意思表示又は議決権行使が要素の錯誤により無効であるとはいえない
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成22年3月18日 平成20(受)1392
登載
集民 第233号255頁
参照法条
民法95条
論点53第95条民法

株式会社の代表取締役らが当該会社の全株式を売却したことにつき詐欺による取消し又は錯誤による無効が認められないとした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨株式会社の代表取締役甲らが容易に現金化が可能な約10億円の純資産を有する当該会社の全株式を合計2億円で売却したことにつき,それが不自然ではないといえるような特段の事情が存在しない上,上記売却は,甲らの全面的な信頼を受けて甲らの資産管理を受託していた乙が甲らの財産の保全,増加に必要であるとして提案し,甲らがこれに全面的に従ってされたものであり,乙が,買主である会社の全株式を有しており,その結果,労せずして多額の利益を得たといえるなど判示の事情の下においては,上記売却につき詐欺による取消し又は錯誤による無効が認められないとした原審の判断には,違法がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成16年7月8日 平成15(受)1259
登載
集民 第214号687頁
参照法条
民法95条,民法96条1項
論点54第95条民法

商品代金の立替払契約に基づく債務の保証人の意思表示に要素の錯誤があるとされた事例

裁判要旨特定の商品の代金について立替払契約が締結され,同契約に基づく債務について保証契約が締結された場合において,立替払契約は商品の売買契約が存在しないいわゆる空クレジット契約であって,保証人は,保証契約を締結した際,そのことを知らなかったなど判示の事実関係の下においては,保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成14年7月11日 平成11(受)602
登載
集民 第206号707頁
参照法条
民法95条,民法446条
論点55第96条民法

売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定したのち後訴において詐欺を理由に右売買を取り消して所有権の存否を争うことの許否

裁判要旨売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定したのちは、後訴において詐欺を理由に右売買を取り消して所有権の存否を争うことは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和55年10月23日 昭和55(オ)589
登載
民集 第34巻5号747頁
参照法条
民法96条,民法121条,民訴法199条
論点56第96条民法

民法九六条三項〈詐欺又は強迫〉にいう第三者にあたる場合

裁判要旨甲を欺罔してその農地を買い受けた乙が、農地法五条の許可を条件とする所有権移転仮登記を得たうえ、右売買契約上の権利を善意の丙に譲渡して右仮登記移転の附記登記をした場合には、丙は民法九六条三項にいう第三者にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年9月26日 昭和45(オ)344
登載
民集 第28巻6号1213頁
参照法条
民法96条3項
論点57第96条民法

売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務と同時履行

裁判要旨売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年9月7日 昭和46(オ)1127
登載
民集 第26巻7号1327頁
参照法条
民法96条,民法121条,民法533条,民法546条
論点58第96条民法

詐欺を理由に取り消された法律行為に基づく利得を破産者が返還した場合と破産法七二条一号の適用

裁判要旨破産会社が、破産宣告を受ける前に、その経営が事実に反し健全であるかのように装つて第三者を欺罔し、新株の引受および貸付の意思表示をさせて金員の給付を受けたのち、その意思表示が詐欺を理由に取り消されたため、その利得の返還として同額の金員を同人に支払つた場合においても、破産債権者を害する意図のもとに支払をしたときは、その弁済について破産法七二条一号が適用されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年12月19日 昭和42(オ)699
登載
民集 第26巻10号1937頁
参照法条
破産法15条,破産法72条1号,民法96条,民法121条
論点59第96条民法

保険会社外務員と民法第九六条第二項の第三者

裁判要旨保険会社外務員は、保険契約の締結について民法第九六条第二項にいう第三者にあたらない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年10月21日 昭和41(オ)722
登載
集民 第84号703頁
参照法条
民法96条2項
論点60第96条民法

暴行強迫による為替手形引受行為の効力。

裁判要旨為替手形の引受が他人の暴行強迫により意思決定の自由を奪われた者によりなされた場合は、その引受は無効である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年2月23日 昭和39(オ)351
登載
集民 第77号557頁
参照法条
民法96条
論点61第96条民法

約束手形振出の意思表示が所持人の強迫によることを理由として同人に対し右意思表示の取消がなされた事例。

裁判要旨(添付、原審判決理由参照)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年1月26日 昭和39(オ)163
登載
集民 第77号145頁
参照法条
民法96条,手形法17条
論点62第96条民法

詐欺による意思表示の取消が権利濫用にあたらないとされた事例。

裁判要旨当該土地が既に公立中学校の敷地として使用されているからといつて、その土地を目的とする契約の意思表示を詐欺により取り消すことは、権利の濫用といわねばならないことはない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和39年2月7日 昭和37(オ)1412
登載
集民 第72号99頁
参照法条
民法1条,民法96条
論点63第96条民法

小切手の割引取得者は民法第九六条第三項の第三者に該当するか。

裁判要旨小切手を割引により取得した者は、小切手振出の原因関係たる売買契約の取消につき、民法第九六条第三項〈詐欺又は強迫〉の第三者に該当しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年6月18日 昭和37(オ)1404
登載
集民 第66号547頁
参照法条
民法96条
論点64第96条民法

強迫による意思表示と選択の自由。

裁判要旨強迫による意思表示が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失つたことを要するものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和33年7月1日 昭和31(オ)1100
登載
民集 第12巻11号1601頁
参照法条
民法96条
論点65第96条民法

甲が丁の強迫により消費貸借契約の借主となり貸主乙に指示して貸付金を丙に給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消した場合の乙から甲に対する不当利得返還請求につき甲が右給付により利益を受けなかったものとされた事例

裁判要旨甲が丁の強迫により消費貸借契約の借主となり貸主乙に指示して貸付金を丙に給付させた後に右強迫を理由に契約を取り消したが、甲と丙との間には事前に何らの法律上又は事実上の関係はなく、甲が丁の言うままに乙に対して貸付金を丙に給付するように指示したなど判示の事実関係の下においては、乙から甲に対する不当利得返還請求について、甲が右給付によりその価額に相当する利益を受けたとみることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成10年5月26日 平成8(オ)497
登載
民集 第52巻4号985頁
参照法条
民法96条1項,民法537条,民法587条,民法703条
論点66第97条民法

口頭による催告の到達が認められた事例

裁判要旨売買契約の買主が口頭で代金の受領を求める旨の催告を売主の同居する家族で通常人の理解能力を有する者に対してした場合には、右催告は、売主本人に到達したものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和50年6月27日 昭和50(オ)228
登載
集民 第115号177頁
参照法条
民法97条1項
論点67第97条民法

日本電信電話公社の加入電話加入者に対する加入電話加入契約上の意思表示の到達が認められた事例

裁判要旨電話加入権の譲渡承認をえて加入電話加入者となつた者が、右譲渡承認の請求に際し譲受人の住所として特定の場所を表示して右承認をえ、右場所に設置された電話機を、同所に営業所を設けて営業を営む第三者に使用させている場合には、加入電話加入者みずからは同所に居住していなくても、同所に居住する者によつて、日本電信電話公社より加入電話加入者に対する加入電話加入契約上の意思表示を記載した書面が受領されたときは、右意思表示が到達したものと認めるべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月17日 昭和41(オ)743
登載
民集 第22巻13号2998頁
参照法条
民法97条1項
論点68第97条民法

準備書面に記載した形成権行使の意思表示がなされた時期

裁判要旨準備書面に記載した形成権行使の意思表示は当該準備書面を相手方に受領せしめた時に行使されたと認めることもできる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和41年10月20日 昭和41(オ)641
登載
集民 第84号629頁
参照法条
民訴法243条,民法97条
論点69第97条民法

民法第九七条ノ〈意思表示の効力発生時期等 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。〉二第三項但書の過失の主張立証責任

裁判要旨民法第九七条ノ〈意思表示の効力発生時期等 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。〉二第三項但書の主張立証責任は、公示による意思表示到達の無効を主張する者にある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年4月26日 昭和36(オ)1174
登載
民集 第16巻4号992頁
参照法条
民法97条ノ21項3項,民訴法第2編第3章1節(257条の前)
論点70第97条民法

催告書の到達を認めた事例。

裁判要旨会社に対する催告書が使者によつて持参された時、たまたま会社事務室に代表取締役の娘が居合せ、代表取締役の机の上の印を使用して使者の持参した送達簿に捺印の上、右催告書を右机の抽斗に入れておいたという場合には、同人に右催告書を受領する権限がなく、また同人が社員に右の旨を告げなかつたとしても、催告書の到達があつたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年4月20日 昭和33(オ)315
登載
民集 第15巻4号774頁
参照法条
民法97条
論点71第97条民法

訴状の送達による契約解除の意思表示の到達を認めた事例。

裁判要旨解除権者が訴を提起し、契約解除による効果の実行を求めた場合には、当該訴状が相手方に送達された時に当該契約解除の意思表示があつたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和36年11月9日 昭和35(オ)741
登載
民集 第15巻10号2444頁
参照法条
民法540条,民法97条
論点72第97条民法

出奔して所在不明となった県職員に対する懲戒免職処分が効力を生じたとされた事例

裁判要旨出奔して所在不明となった県職員に対し出奔から約二箇月後に無断欠勤を理由に懲戒免職の決定がされた上、その旨が記載された人事発令通知書及び処分説明書が右職員の最後の住所においてその妻に交付され、かつ、県公報に右通知書の内容が掲載された場合には、県が従前から行政実例を受けて所在不明となった職員に対する懲戒免職処分を右の方法によって行ってきたのであれば、当該職員は右の方法によって懲戒免職処分がされることを十分に了知し得たものであり、右処分は効力を生じたものというべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年7月15日 平成9(オ)367
登載
集民 第193号469頁
参照法条
民法97条1項,民法97条ノ2,地方公務員法29条,職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和38年兵庫県条例第31号)2条
論点73第97条民法

一 遺産分割協議の申入れに遺留分減殺の意思表示が含まれていると解すべき場合
二 遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合に意思表示の到達が認められた事例

裁判要旨一 被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合において、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解すべきである。
二 遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年6月11日 平成9(オ)685
登載
民集 第52巻4号1034頁
参照法条
民法97条,民法907条,民法1031条
論点74第98_2条民法

一 民法第八九五条〈推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理〉と遺贈の目的物についての受遺者の仮処分申請の許否
二 民法第一〇一二条〈遺言執行者の権利義務〉と遺贈の目的物についての受遺者の仮処分申請の許否
三 民法第九七六条〈死亡の危急に迫った者の遺言〉による遺言と医師の立会等の要否

裁判要旨一 民法第八九五条〈推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理〉の規定は、受遺者が、相続人廃除の手続進行中、相続人から遺贈の目的物を譲り受けた第三者に対し、右目的物につき仮処分を申請することを妨げるものではない。
二 民法第一〇一二条〈遺言執行者の権利義務〉の規定は、受遺者が自ら遺贈の目的物につき仮処分を申請することを妨げるものではない。
三 禁治産者でない通常人が民法第九七六条による遺言をなす場合には、医師二人以上の立会その他同法第九七三条所定の方式を必要とするものではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和30年5月10日 昭和28(オ)943
登載
民集 第9巻6号657頁
参照法条
民法895条,民法1012条,民法976条,民法982条,民法973条,民訴法755条
論点75第98_2条民法

家督相続人選定の効力発生時期

裁判要旨家督相続人の選定は、選定により効力を生じ、届出は、その効力発生の要件ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年2月22日 昭和25(オ)252
登載
民集 第6巻2号267頁
参照法条
旧民法982条,旧民法980条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第93条(心裡留保) 詳細ページ
(心裡留保)
第九十三条意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
民法 第94条(虚偽表示) 詳細ページ
(虚偽表示)
第九十四条相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
民法 第95条(錯誤) 詳細ページ
(錯誤)
第九十五条意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
民法 第96条(詐欺又は強迫) 詳細ページ
(詐欺又は強迫)
第九十六条詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
民法 第97条(意思表示の効力発生時期等) 詳細ページ
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
民法 第98条(公示による意思表示) 詳細ページ
(公示による意思表示)
第九十八条意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。
民法 第98_2条(意思表示の受領能力) 詳細ページ
(意思表示の受領能力)
第九十八条の二意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
一相手方の法定代理人
二意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。