論点1第162条民法
農地の取得時効につき無過失であつたとはいえないとされた事例
裁判要旨農地の譲受人が、当該各譲渡について必要な農地調整法(昭和二二年法律第二四〇号による改正前のもの)四条一項所定の地方長官の許可又は農地法(昭和四五年法律第七八号による改正前のもの又は同年法律第五五号による改正前のもの)三条所定の知事の許可を受けていないときは、特段の事情のない限り、右農地を占有するに当たつてこれを自己の所有と信じても、無過失であつたとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和63年12月6日 昭和59(オ)758
- 登載
- 集民 第155号187頁
- 参照法条
- 民法162条2項,農地調整法(昭和22年法律第240号による改正前のもの)4条1項,農地調整法(昭和22年法律第240号による改正前のもの)4条3項,農地法(昭和45年法律第78号又は同第55号による改正前のもの)3条1項,農地法(昭和45年法律第78号又は同第55号による改正前のもの)3条4項
論点2第162条民法
一 解除条件付売買契約に基づいて開始される占有と自主占有
二 解除条件付売買契約に基づいて開始される自主占有の条件成就による他主占有への変更の有無
裁判要旨一 売買契約に基づいて開始される占有は、残代金が約定期限までに支払われないときは当該売買契約は当然に解除されたものとする旨の解除条件が付されている場合であつても、自主占有であるというを妨げない。
二 売買契約に基づいて開始された自主占有は、当該売買契約が解除条件(残代金を約定期限までに支払わないときは契約は当然に解除されたものとする旨)の成就により失効しても、それだけでは、他主占有に変わるものではないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和60年3月28日 昭和56(オ)292
- 登載
- 集民 第144号297頁
- 参照法条
- 民法127条2項,民法162条,民法186条
論点3第162条民法
農地の取得時効につき無過失であつたとはいえないとされた事例
裁判要旨農地の譲受人が、当該譲渡について必要な農地調整法(昭和二四年法律第二一五号による改正前のもの)四条一項所定の知事の許可を受けていないときは、特段の事情のない限り、右農地を占有するに当たつてこれを自己の所有と信じても、無過失であつたとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和59年5月25日 昭和58(オ)1064
- 登載
- 民集 第38巻7号764頁
- 参照法条
- 民法162条2項,農地調整法(昭和24年法律215号による改正前のもの)4条1項,農地調整法(昭和24年法律215号による改正前のもの)4条3項,農地法3条1項,農地法3条4項
論点4第162条民法
取得時効の要件が具備されたのち当該不動産の占有者がその占有を喪失した場合と時効援用の可否
裁判要旨民法
一六二条〈所有権の取得時効〉所定の取得時効の要件が具備された場合、当該不動産の占有者は、時効期間の経過後右不動産の占有を喪失しても、これが時効利益の放棄に該当しない限り、右時効の援用権者として、これを援用しうるものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和58年9月30日 昭和57(オ)70
- 登載
- 集民 第139号587頁
- 参照法条
- 民法162条,民法164条
論点5第162条民法
民法一八六条一項〈占有の態様等に関する推定〉の所有の意思の推定が覆される場合
裁判要旨民法
一八六条一項〈占有の態様等に関する推定〉の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかつたものと解される事情が証明されるときは、覆される。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年3月24日 昭和57(オ)548
- 登載
- 民集 第37巻2号131頁
- 参照法条
- 民法162条,民法186条1項,民訴法185条
論点6第162条民法
隣接する甲乙両地の各所有者間の境界確定訴訟において甲地のうち右境界の一部に接続する部分につき乙地の所有者の時効取得が認められた場合と右境界部分の境界確定を求めることの許否
裁判要旨隣接する甲乙両地の各所有者間の境界確定訴訟において、甲地のうち右境界の一部に接続する部分につき乙地の所有者の時効取得が認められても、甲地の所有者は、右境界部分についても境界確定を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和58年10月18日 昭和57(オ)97
- 登載
- 民集 第37巻8号1121頁
- 参照法条
- 民法162条,民訴法2編1章訴
論点7第162条民法
一 一区画の仮換地の一部でこれに対応する従前の土地部分の特定がないものを所有の意志をもつて占有した場合における従前の土地の共有持分の時効取得及びこれに伴い右占有に係る土地について取得する使用収益権能
二 甲土地に対する仮換地を乙土地に対する仮換地であると誤信し所有の意志をもつて占有した者と甲土地の時効取得
裁判要旨一 一区画の仮換地の一部を所有の意思をもつて所要の期間継続して占有した者は、従前の土地につき右占有部分に対応する部分が特定されていないときは、時効により従前の土地に対する共有持分権を取得するとともに、当該占有部分につき、共有持分権者の一人が現に排他的な使用収益権能を取得している場合と同様の使用収益権能を取得する。
二 所有の意思をもつて甲土地に対する仮換地の占有を継続した者がこれを乙土地に対する仮換地と誤信していた場合であつても、その者による甲土地についての時効取得が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年6月4日 昭和53(オ)204
- 登載
- 民集 第35巻4号735頁
- 参照法条
- 民法162条,民法249条,土地区画整理法99条
論点8第162条民法
民法一六二条〈所有権の取得時効〉にいう「所有ノ意思」の立証責任
裁判要旨占有者の占有が自主占有にあたらないことを理由に取得時効の成立を争う者は、右占有が他主占有にあたることについての立証責任を負う。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年7月31日 昭和54(オ)19
- 登載
- 集民 第127号315頁
- 参照法条
- 民法162条,民法186条1項
論点9第162条民法
一 共同相続人の一人によつて相続権を侵害された他の相続人の右侵害排除を求める請求について民法八八四条の適用がないとされた事例
二 共同相続人の一人が相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したとはいえないとされた事例
裁判要旨一 共同相続人の一人甲が、他の共同相続人乙丙の承諾を得ることなく乙丙名義で相続放棄の申述をし、これに基づき相続財産に属する不動産につき甲単独名義の相続登記をして乙丙の相続権を侵害している場合においては、右侵害排除の趣旨で甲単独名義の登記を甲乙丙共有名義の登記に更正することを求める乙丙の請求について、民法
八八四条〈相続回復請求権〉は適用されない。
二 共同相続人の一人甲が、家業である農業を受け継いで相続財産に属する不動産につき単独の占有管理を継続し、他の共同相続人乙丙がこれに異議を述べなかつた場合であつても、相続開始当時甲において他に共同相続人として乙丙のいることを知つており、乙丙の承諾を得ることなく乙丙名義で相続放棄申述をし、これに基づき右不動産につき甲単独名義の相続登記をし、かつ右不動産を単独で占有している、との事情があるときは、甲が相続開始の時から右不動産につき単独所有者としての自主占有を取得したというには疑いがある。
(一につき意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和54年4月17日 昭和51(オ)639
- 登載
- 集民 第126号541頁
- 参照法条
- 民法162条,民法185条,民法884条
論点10第162条民法
占有の承継が主張された場合と民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失の判定時点
裁判要旨不動産の占有主体に変更があつて承継された二個以上の占有が併せて主張された場合には、民法
一六二条二項〈所有権の取得時効〉にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和53年3月6日 昭和52(オ)658
- 登載
- 民集 第32巻2号135頁
- 参照法条
- 民法162条2項,民法187条
論点11第162条民法
農地の賃借人が所有者から右農地を買い受けたが未だ農地調整法四条所定の知事の許可又は農地委員会の承認を得るための手続がとられていない場合と新権原による自主占有の開始
裁判要旨農地の賃借人が所有者から右農地を買い受けその代金を支払つたときは、農地調整法四条所定の都道府県知事の許可又は市町村農地委員会の承認を得るための手続がとられなかつたとしても、買主は、特段の事情のない限り、売買契約が締結されその代金が支払われた時に、民法
一八五条〈占有の性質の変更〉にいう新権原により所有の意思をもつて右農地の占有を始めたものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年3月3日 昭和51(オ)1060
- 登載
- 民集 第31巻2号157頁
- 参照法条
- 民法162条,民法185条,農地調整法(昭和26年法律第89号による改正前のもの)4条
論点12第162条民法
所有者の無権代理人から農地を買い受けた小作人が新権原による自主占有を開始したものとされ右占有の始め過失がないとされた事例
裁判要旨甲所有の農地を小作し、長期にわたり右農地の管理人のように振舞つていた乙に小作料を支払つていた丙が、甲の代理人と称する乙から右農地を買い受け、右買受につき農地法所定の許可を得て所有権移転登記手続を経由し、その代金を支払つた等判示の事情のもとにおいては、丙は、乙に甲を代理する権限がなかつたとしても、遅くとも右登記の時には民法一八五条にいう新権原により所有の意思をもつて右農地の占有を始めたものであり、かつ、その占有の始めに所有権を取得したものと信じたことに過失がないということができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和51年12月2日 昭和51(オ)117
- 登載
- 民集 第30巻11号1021頁
- 参照法条
- 民法162条2項,民法185条
論点13第162条民法
一、自作農創設特別措置法による買収土地の売渡の椙手方による占有と右土地の所有権の時効取得
二、自作農創設特別措置法による買収土地を売渡の相手方が一〇年間所有の意思をもつて、平穏公然に占有しその占有の始め善意無過失であつた場合と右土地の所有権の回復を目的とする買収計画取消訴訟の利益
裁判要旨一、自作農創設特別措置法による買収土地を売渡の相手方が一〇年間所有の意思をもつて、平穏、公然に占有し、その占有の始め、善意、無過失であつた場合において、買収に関する処分の取消判決が確定したときは、売渡の相手方は、民法
一六二条二項〈所有権の取得時効〉により右土地の所有権を時効取得する。
二、自作農創設特別措置法による買収土地を売渡の相手方が一〇年間所有の意思をもつて、平穏、公然に占有し、その占有の始め、善意、無過失であつたときは、被買収者が右土地の所有権の回復を目的として提起した買収計画取消訴訟は、その利益を失う。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年12月23日 昭和45(行ツ)23
- 登載
- 集民 第113号729頁
- 参照法条
- 自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法16条1項,民法162条,行政事件訴訟法9条
論点14第162条民法
取得時効における前主の占有と民訴法一八六条
裁判要旨建物を甲から乙、乙から丙、丙から丁、丁から戊が順次買受けて占有を承継し、甲以下の前主の占有を併せると、甲が占有を開始したときから二〇年を経過したときに戊のため取得時効が完成した旨の主張は、仮に乙と丙との間に占有承継人として別の者が介在することが証拠上認められるとするならば、その者の占有をも前記取得時効の期間として主張する趣旨を含むものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年11月22日 昭和49(オ)660
- 登載
- 集民 第113号225頁
- 参照法条
- 民法162条,民法186条,民法187条,民訴法186条
論点15第162条民法
一、入会部落の総有に属する土地を買い受けた同部落の構成員と民法一七七条の第三者
二、一筆の土地の一部の所有権時効取得と対抗要件
裁判要旨一、入会部落の総有に属する土地の譲渡を受けた同部落の構成員は、右譲渡前にこれを時効取得した者に対する関係において、民法
一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉にいう第三者にあたる。
二、一筆の土地の一部を時効取得した場合でも、右土地部分の所有権取得につき登記がないときは、時効完成後旧所有者からこれを買い受けた第三者に対抗することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月5日 昭和47(オ)1188
- 登載
- 民集 第27巻9号1110頁
- 参照法条
- 民法162条,民法177条,民法263条
論点16第162条民法
共同相続人の一人が相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したと認められた事例
裁判要旨共同相続人の一人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、その管理、使用を専行してその収益を独占し、公租公課も自己の名でその負担において納付してきており、これについて他の相続人がなんら関心をもたず、異議も述べなかつた等原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、前記相続人はその相続のときから相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和47年9月8日 昭和45(オ)265
- 登載
- 民集 第26巻7号1348頁
- 参照法条
- 民法162条,民法185条,民法186条1項,民法187条1項
論点17第162条民法
一、自作農創設特別措置法による買収計画または買収処分に対する取消訴訟の提起と買収土地の取得時効の中断
二、自作農創設特別措置法による土地の被買収者が右土地の売渡の相手方に対し取得時効を中断する方法
三、自作農創設特別措置法による買収土地が売渡の相手方により時効取得された場合と右土地の所有権の回復のみを目的とする買収計画取消訴訟の利益
裁判要旨一、自作農創設特別措置法に基づき所有土地を買収された者が買収計画または買収処分に対する取消訴訟を提起しても、右土地につき売渡の相手方のために進行する取得時効は中断されない。
二、自作農創設特別措置法に基づき所有土地を買収された者は、右土地の売渡の相手方を被告として、買収計画または買収処分の取消を条件とする原状回復の請求(土地の返還、所有権取得登記の抹消等の請求)の訴または右取消によつて土地所有権を回復すべき法律上の地位に関し条件付権利の確認の訴を提起する等の方法によつて、右土地につき売渡の相手方のために進行する取得時効を中断することができる。
三、自作農創設特別措置法に基づき買収土地の売渡を受けた者が右土地を時効取得したときは、被買収者が右土地の所有権の回復のみを目的として提起した買収計画取消訴訟は、その利益を失う。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年12月12日 昭和46(行ツ)46
- 登載
- 民集 第26巻10号1850頁
- 参照法条
- 自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法16条1項,民法147条,民法148条,民法162条,民訴法226条,行政事件訴訟法9条
論点18第162条民法
占有の承継人が前主の占有をあわせて取得時効の完成を主張する場合における占有者の善意・無過失
裁判要旨占有の承継人が前主の占有をあわせて取得時効の完成を主張する場合においても、占有者の善意・無過失の要件は、前主につき、その占有の開始時において充足されることを要し、かつ、それをもつて足りる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和46年3月23日 昭和45(オ)1090
- 登載
- 集民 第102号293頁
- 参照法条
- 民法162条2項,民法187条
論点19第162条民法
換地予定地指定通知後の従前の土地の占有と従前の土地に対する所有権地上権または賃借権の取得時効の成否
裁判要旨特別都市計画法一三条所定の換地予定地の指定通知が従前の土地の所有者に対してなされたのちにおいては、当該換地予定地を占有するのでなければ、従前の土地を占有したからといつて、その従前の土地の所有権地上権または賃借権を時効によつて取得することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年11月26日 昭和43(オ)795
- 登載
- 民集 第25巻8号1365頁
- 参照法条
- 特別都市計画法13条,特別都市計画法14条,土地区画整理法99条,民法162条,民法163条
論点20第162条民法
不動産の売主が売買契約の効力を争い仮定的に取得時効を援用した場合ただちに取得時効を認めることの可否
裁判要旨不動産の売主が売買契約の効力の発生を争うとともに仮定的にその取得時効を援用した場合に、売買契約の効力につき判断することなく、売主のため取得時効の完成を認めることを妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和46年11月25日 昭和42(オ)1055
- 登載
- 集民 第104号445頁
- 参照法条
- 民法162条,民訴法137条
論点21第162条民法
占有における所有の意思の有無の判断基準
裁判要旨占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあつても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年6月18日 昭和45(オ)315
- 登載
- 集民 第99号375頁
- 参照法条
- 民法162条,民法186条
論点22第162条民法
本訴原告が土地の売渡によりその所有権を喪失したことを理由に本訴原告のその所有権に基づく請求を棄却するとともに反訴原告が右売渡を受けた買主の占有を基礎とする取得時効により右土地の所有権を取得したことを理由に反訴原告のその所有権に基づく請求を認容することが矛盾しないとされた事例
裁判要旨(省略)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年3月6日 昭和43(オ)921
- 登載
- 集民 第94号571頁
- 参照法条
- 民法162条,民法187条,民訴法239条
論点23第162条民法
一、上告裁判所である高等裁判所の意見が前に上告裁判所である大審院の法令の解釈についてした判決に反するとして事件が最高裁判所に移送された事例
二、境界確定の訴と取得時効
裁判要旨一、(省略)
二、取得時効の成否は、境界確定の訴における境界確定とは関係がない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月22日 昭和42(オ)718
- 登載
- 民集 第22巻2号270頁
- 参照法条
- 民訴法406条ノ2,民訴規則58条2号,民法162条,民法223条,民訴法225条
論点24第162条民法
抵当不動産の占有と民法第一六二条第二項にいう善意・無過失
裁判要旨民法
第一六二条第二項〈所有権の取得時効〉にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信ずるにつき過失のないことをいい、占有者において、占有の目的不動産に抵当権が設定されていることを知り、または、不注意により知らなかつた場合でも、ここにいう善意・無過失の占有者ということを妨げない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和41(オ)837
- 登載
- 民集 第22巻13号3366頁
- 参照法条
- 民法162条2項,民法397条
論点25第162条民法
取得時効の成否の判断にあたり占有開始の起算日の調書の記載により右日時について当事者間に争いがないとした原判決の判断を違法といえないとした事例
裁判要旨取得時効の成否の判断にあたり、占有開始の起算日についてその弁論が、判示のように口頭弁論調書に記載されている以上、右日時をもつて占有を開始した事は当事者間に争いがない旨判示しても、原判決には違法があるとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月20日 昭和40(オ)246
- 登載
- 集民 第85号763頁
- 参照法条
- 民法162条,民訴法144条,民訴法147条,民訴法257条
論点26第162条民法
買収農地の売渡を受けた者が当該農地の所有権を時効取得したときと被買収者が右農地の買収処分の無効確認を求める訴の利益の有無。
裁判要旨自作農創設特別措置法により買収農地の売渡を受けた者が当該農地の所有権を時効取得したときは、右農地の被買収者は、その買収処分の無効確認を求める訴の利益を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年10月20日 昭和37(オ)1403
- 登載
- 民集 第18巻8号1740頁
- 参照法条
- 自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法16条,民法162条,民訴法225条
論点27第162条民法
山林の所有権取得時効の基礎要件たる占有。
裁判要旨山林の所有権取得時効の基礎要件たる占有は、時効援用者の単独占有でなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年2月21日 昭和37(オ)970
- 登載
- 集民 第64号515頁
- 参照法条
- 民法162条,民法164条
論点28第162条民法
一 民法第一六二条〈所有権の取得時効〉の取得時効完成の基礎となる占有と認められないとされた事例
二 地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽された立木の所有権の対抗要件の要否
裁判要旨山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年8月3日 昭和35(オ)900
- 登載
- 集民 第62号21頁
- 参照法条
- 民法162条,民法177条,民法242条
論点29第162条民法
一 民法第一六二条第二項〈所有権の取得時効〉の無過失の事例
二 相続財産の管理人選任前取得時効期間が満了した場合と民法第一六〇条
裁判要旨一 空襲により一家全滅した本家の再興のため、親族の協議により相続人に選ばれて本家の家業を継ぎ、相続財産に属する土地を占有している二二歳の女子につき、原審認定のような事実関係(原判決理由参照)があるときは、同人がその土地の所有権を取得したものと信ずるにつき過失はないものと解すべきである。
二 民法
第一六〇条〈相続財産に関する時効の完成猶予〉は、相続財産の管理人の選任前、相続財産たる土地を、所有の意思をもつて、平穏、公然、善意無過失で一〇年間占有した場合にも、その適用があるものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和35年9月2日 昭和35(オ)348
- 登載
- 民集 第14巻11号2094頁
- 参照法条
- 民法162条2項,民法160条
論点30第162条民法
取得時効の時効期間の起算点。
裁判要旨時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和35年7月27日 昭和32(オ)344
- 登載
- 民集 第14巻10号1871頁
- 参照法条
- 民法144条,民法162条
論点31第162条民法
一 隠居者と家督相続人との合意の下になされた、確定日附のない財産留保の効力
二 民法第一六二条第二項〈所有権の取得時効〉の無過失の一事例
三 隠居者が相続財産全部を保留した場合の効力
裁判要旨一 隠居者の財産保留は、家督相続人との合意の下になされたときは、確定日附がなくとも、当事者間においては効力があるものと解するを相当とする。
二 隠居者が確定日附ある証書による財産保留をしなかつたため、家督相続人において建物の所有権を相続したとしても、原審認定の事実(原判決参照)の下に、隠居者がこれを有効に保留し得たものと信じたのは過失がない。
三 隠居者の財産全部の保留は、相続人の遺留分について問題を生ずるだけで、保留を全面的に無効ならしめるものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和29年12月24日 昭和27(オ)368
- 登載
- 民集 第8巻12号2271頁
- 参照法条
- 旧民法988条,民法162条2項,民法90条
論点32第162条民法
一 アメリカ合衆国軍隊の軍用地として使用されている土地につき時効取得が認められた事例
二 選択的併合の関係にある一の請求を認容した原判決に対する上告審において他の請求を認容するときと原判決の帰すう
裁判要旨一 戦後アメリカ合衆国軍隊に接収され今日まで軍用地として使用されている土地につき、登記簿上の所有名義人が同国政府のために締結された賃貸借契約に基づき継続して軍用地料を受領し、公租公課も負担してきたなど原判示の事実関係の下においては、右所有名義人の時効取得を認めることができる。
二 選択的併合の関係にある一の請求を認容した原判決に対する上告審において他の請求を認容するときは、原判決は、当然に失効する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成元年9月19日 昭和59(オ)199
- 登載
- 集民 第157号581頁
- 参照法条
- 民法162条,民訴法227条,民訴法408条
論点33第162条民法
境界確定訴訟の提起による所有権に関する取得時効中断の効力が生じないものとされる場合
裁判要旨隣接する一方の土地の所有者甲が、乙主張の境界を越えて隣接地の一部を占有しているため、右隣接地の所有者乙が甲による右占有部分の取得時効完成前に甲に対して提起した境界確定訴訟において、乙主張のとおり両土地の境界が確定されても、右境界確定訴訟と併合審理された乙の甲に対する土地所有権に基づく右占有部分の明渡請求が、当該部分に関する乙の所有権が否定された結果棄却された場合には、右占有部分について、境界確定訴訟の提起による所有権に関する取得時効中断の効力は生じないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成元年3月28日 昭和58(オ)216
- 登載
- 集民 第156号373頁
- 参照法条
- 民法147条,民法149条,民法162条,民訴法225条
論点34第162条民法
一 他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合における所有の意思の立証責任
二 他主占有者の相続人について独自の占有に基づく取得時効の成立が認められた事例
裁判要旨一 他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合には、相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を証明すべきである。
二 甲が所有しその名義で登記されている土地建物について、甲の子である乙が甲から管理をゆだねられて占有していたところ、乙の死亡後、その相続人である乙の妻子丙らが、乙が生前に甲から右土地建物の贈与を受けてこれを自己が相続したものと信じて、その登記済証を所持し、固定資産税を納付しつつ、管理使用を専行し、賃借人から賃料を取り立てて生活費に費消しており、甲及びその相続人らは、丙らが右のような態様で右土地建物の事実的支配をしていることを認識しながら、異議を述べていないなど判示の事実関係があるときは、丙らが、右土地建物が甲の遺産として記載されている相続税の申告書類の写しを受け取りながら格別の対応をせず、乙の死亡から約一五年経過した後に初めて右土地建物につき所有権移転登記手続を求めたという事実があるとしても、丙らの右土地建物についての事実的支配は、外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解するのが相当であり、丙らについて取得時効が成立する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成8年11月12日 平成7(オ)228
- 登載
- 民集 第50巻10号2591頁
- 参照法条
- 民法162条,民法185条,民法186条1項,民法187条1項,民法896条
論点35第162条民法
隣接する土地の全部の時効取得と境界確定の訴えの原告適格
裁判要旨甲地に隣接する乙地の所有者が甲地の全部を時効取得したときは、甲地の所有者は、右両地の境界確定の訴えの原告適格を失う。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年7月18日 平成6(オ)2470
- 登載
- 集民 第176号491頁
- 参照法条
- 民法162条,民法223条,民訴法45条,民訴法第2編第1章訴
論点36第162条民法
境界の全部に接続する土地部分の時効取得と境界確定の訴えの当事者適格
裁判要旨公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接する場合に、乙地の所有者が甲地のうち境界の全部に接続する部分を時効取得したとしても、甲乙両地の各所有者は、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成7年3月7日 平成6(オ)1728
- 登載
- 民集 第49巻3号919頁
- 参照法条
- 民法162条,民訴法45条,民訴法第2編第1章訴
論点37第162条民法
登記簿上の所有名義人に対して所有権移転登記手続を求めないなどの土地占有者の態度が他主占有と解される事情として十分であるとはいえないとされた事例
裁判要旨土地の登記簿上の所有名義人甲の弟である乙が右土地を継続して占有した場合に、甲の家が本家、乙の家が分家という関係にあり、乙が経済的に苦しい生活をしていたため甲から援助を受けたこともあり、乙は家族と共に居住するための建物を建築、移築、増築して右土地を使用し、甲はこれに異議を述べたことがなかったなど判示の事実関係の下においては、乙が、甲に対して右土地の所有権移転登記手続を求めず、右土地に賦課される固定資産税を負担しなかったことをもって、外形的客観的にみて乙が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情として十分であるということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成7年12月15日 平成6(オ)1905
- 登載
- 民集 第49巻10号3088頁
- 参照法条
- 民法162条,民法186条1項
論点38第162条民法
農地の小作人が所有者に対し所有の意思のあることを表示したものとして右農地の時効取得が認められた事例
裁判要旨農地の小作人がいわゆる農地解放後に最初に地代を支払うべき時期にその支払をせず、これ以降、所有者は小作人が地代等を一切支払わずに右農地を自由に耕作し占有することを容認していたなど原判示の事実関係の下においては、小作人は、遅くとも右の時期に、所有者に対して右農地につき所有の意思のあることを表示したものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成6年9月13日 平成5(オ)118
- 登載
- 集民 第173号53頁
- 参照法条
- 民法162条,民法185条
論点39第162条民法
不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における,再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長
裁判要旨不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を授用したときは,上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り,上記占有者が,上記不動産を時効取得する結果,上記抵当権は消滅する。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成24年3月16日 平成22(受)336
- 登載
- 民集 第66巻5号2321頁
- 参照法条
- 民法162条,民法177条,民法397条
論点40第162条民法
不動産の取得時効完成後に当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した者が背信的悪意者に当たる場合
裁判要旨甲が時効取得した不動産について,その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合において,乙が,当該不動産の譲渡を受けた時に,甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年1月17日 平成17(受)144
- 登載
- 民集 第60巻1号27頁
- 参照法条
- 民法162条,民法177条
論点41第162条民法
公有水面埋立法に基づく埋立免許を受けて埋立工事が完成した後竣功認可がされていない埋立地が土地として私法上所有権の客体になる場合
裁判要旨公有水面埋立法に基づく埋立免許を受けて埋立工事が完成した後竣功認可がされていない埋立地であっても,長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され,公共用財産としての形態,機能を完全に喪失し,その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したがそのため実際上公の目的が害されるようなこともなく,これを公共用財産として維持すべき理由がなくなり,同法に基づく原状回復義務の対象とならなくなった場合には,土地として私法上所有権の客体になる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年12月16日 平成15(受)1980
- 登載
- 民集 第59巻10号2931頁
- 参照法条
- 公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)2条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)22条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)35条1項,民法86条1項,民法162条,国有財産法3条
論点42第162条民法
取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者が当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するためその設定登記時を起算点とする再度の取得時効を援用することの可否
裁判要旨取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者は,当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するため,その設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成を主張し,援用をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成15年10月31日 平成12(受)1589
- 登載
- 集民 第211号313頁
- 参照法条
- 民法144条,民法145条,民法162条,民法177条,民法397条
論点43第162条民法
転用目的の農地の売買につき農地法5条所定の許可を得るための手続が執られていない場合における買主の自主占有の開始時期
裁判要旨農地を農地以外のものにするために買い受けた者は,農地法5条所定の許可を得るための手続が執られなかったとしても,特段の事情のない限り,代金を支払い農地の引渡しを受けた時に,所有の意思をもって農地の占有を始めたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成13年10月26日 平成13(受)94
- 登載
- 民集 第55巻6号1001頁
- 参照法条
- 民法162条,農地法5条
論点44第162条民法
遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与に基づき目的物を占有した者の取得時効の援用と減殺請求による遺留分権利者への右目的物についての権利の帰属
裁判要旨遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与を受けた者が、右贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法
一六二条〈所有権の取得時効〉所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、右贈与に対する減殺請求による遺留分権利者への右目的物についての権利の帰属は妨げられない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成11年6月24日 平成8(オ)2292
- 登載
- 民集 第53巻5号918頁
- 参照法条
- 民法162条,民法1030条,民法1031条
論点45第162条民法
相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるか
裁判要旨相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 令和6年3月19日 令和4(受)2332
- 登載
- 民集 第78巻1号63頁
- 参照法条
- 民法162条、民法884条
論点46第163条民法
土地賃借権の時効取得が認められるとされた事例
裁判要旨甲所有の土地を買い受けてその所有権を取得したと称する乙から右土地を賃借した丙が、右賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙に対し賃料を支払つているなど判示の事情のもとにおいては、丙は、民法
一六三条〈所有権以外の財産権の取得時効〉の時効期間の経過により、甲に対して右土地の賃借権を時効取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和62年6月5日 昭和60(オ)615
- 登載
- 集民 第151号135頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点47第163条民法
建物転借の意思が客観的に表現されるに至つたとされた事例
裁判要旨甲が乙に賃貸している建物の一部につき、丙が、乙との間において転貸借契約を締結し、平穏公然に当該建物部分を占有使用して、乙に対し賃料の支払いを継続してきた場合において甲が丙の用益の事実を知つたなど判示の事実関係のもとにおいては、丙の用益が転借の意思に基づくものであることが甲に対しても客観的に表現されるに至つたというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和62年12月15日 昭和61(オ)698
- 登載
- 集民 第152号263頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法612条
論点48第163条民法
土地賃借権の無断譲受人による土地の使用が賃借意思に基づくものではないとして賃借権の時効取得が否定された事例
裁判要旨土地賃借権の無断譲受人が、土地の引渡を受けながら賃貸人に賃料を支払つたことがなく、また、賃貸人に賃借権譲渡の承諾を求めたが拒絶され、かえつて譲渡人との賃貸借契約は既に解除ずみであるとして土地の明渡を求められ、その後にいたつて賃料の弁済供託を開始したなど、判示の事実関係のもとにおいては、譲受人が賃借意思に基づいて土地の使用を継続したものということはできず、賃借権の時効取得を認めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和53年12月14日 昭和53(オ)719
- 登載
- 民集 第32巻9号1658頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法612条
論点49第163条民法
土地賃借権の時効取得が認められるとされた事
裁判要旨例甲所有の土地につきその管理をまかされ他に賃貸する権限をも与えられていると自称する乙から、これを信じて右土地を賃借した丙が、賃貸借契約に基づき平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙及びその相続人らに対して賃料を支払つている、など判示の事情のもとにおいては、丙は、民法
一六三条〈所有権以外の財産権の取得時効〉所定の時効期間の経過により、甲に対する右土地の賃借権を時効取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年9月29日 昭和51(オ)996
- 登載
- 集民 第121号301頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点50第163条民法
土地使用借権の取得時効の要件
裁判要旨土地に対する使用貸借上の借主の権利の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在し、かつ、その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを必要とする。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年4月13日 昭和47(オ)1191
- 登載
- 集民 第109号93頁
- 参照法条
- 民法163条,民法593条
論点51第163条民法
地上権の時効取得が認められた事例
裁判要旨(省略)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和46年11月26日 昭和45(オ)788
- 登載
- 集民 第104号479頁
- 参照法条
- 民法163条,民法265条
論点52第163条民法
一、地上権の時効取得の成立要件
二、右成立要件の立証責任
裁判要旨一、地上権の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用という外形的事実が存在するほかに、その使用が地上権行使の意思にもとづくものであることが、客観的に表現されていることを要する。
二、右成立要件の立証責任は、地上権の時効取得の成立を主張する者の側にある。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年5月28日 昭和45(オ)60
- 登載
- 集民 第99号233頁
- 参照法条
- 民法163条・265条
論点53第163条民法
土地賃借権の時効取得が認められるとされた事例
裁判要旨寺院境内地についての賃貸借契約が当時の法令に違反し無効とされる場合であつても、その賃借人が、右契約に基づき平穏公然に目的土地の占有と継続し、その間寺院に約定の賃料の支払を続けていたときは、賃借人は、有効な賃貸借契約に基づく場合と同様の賃借権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和45年12月15日 昭和41(オ)1176
- 登載
- 民集 第24巻13号2051頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点54第163条民法
土地の無断転貸借と土地の賃借権ないし転借権の時効取得
裁判要旨他人の土地の用益がその他人の承諾のない転貸借に基づくものである場合において、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、その土地の賃借権ないし転借権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年7月8日 昭和41(オ)991
- 登載
- 民集 第23巻8号1374頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法612条
論点55第163条民法
土地賃借権の時効取得
裁判要旨土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和42(オ)954
- 登載
- 民集 第22巻10号2154頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条
論点56第163条民法
一 漫画の登場人物のいわゆるキャラクターの著作物性
二 二次的著作物の著作権が生ずる部分
三 連載漫画において登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した後に当該登場人物について著作権を主張することの可否
四 著作権法二一条の複製権を時効取得する要件としての権利行使の態様とその立証責任
五 上告審における被上告人の新たな主張が民訴法四二〇条一項八号に照らし許されるものとされた事例
裁判要旨一 漫画において一定の名称、容貌、役割等の特徴を有するものとして反復して描かれている登場人物のいわゆるキャラクターは、著作物に当たらない。
二 二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作物部分のみについて生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じない。
三 連載漫画において、登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した場合には、後続の漫画の著作権の保護期間がいまだ満了していないとしても、当該登場人物について著作権を主張することはできない。
四 著作権法二一条の複製権を時効取得する要件としての継続的な行使があるというためには、著作物の全部又は一部につき外形的に著作権者と同様に複製権を独占的、排他的に行使する状態が継続されていることを要し、そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負う。
五 被上告人の平成五年法律第四七号による改正前の不正競争防止法(昭和九年法律第一四号)一条一項一号に基づく差止請求に対して、上告人が商標権の行使を理由として同法六条の抗弁を主張している場合において、事実審の口頭弁論終結後に当該商標権につき商標登録を無効とする審決が確定したときは、民訴法四二〇条一項八号に照らし、被上告人は上告審でこれを主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成9年7月17日 平成4(オ)1443
- 登載
- 民集 第51巻6号2714頁
- 参照法条
- 著作権法2条1項1号,著作権法2条1項11号,著作権法21条,著作権法53条1項,著作権法56条1項,民法163条,民訴法第2編第3章第1節総則,民訴法394条,民訴法420条1項8号,旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)1条1項1号,旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)6条,商標法46条1項1号
論点57第163条民法
抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否
裁判要旨不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に,当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合,上記の者は,上記登記後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,当該不動産を継続的に用益したとしても,競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年1月21日 平成21(受)729
- 登載
- 集民 第236号27頁
- 参照法条
- 民法163条,民法601条,民法605条,民事執行法59条1項,民事執行法59条2項,国税徴収法124条1項
論点58第163条民法
農地の賃借権の時効取得と農地法3条の適用の有無
裁判要旨時効による農地の賃借権の取得については,農地法3条の規定の適用はない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成16年7月13日 平成14(受)1459
- 登載
- 集民 第214号953頁
- 参照法条
- 農地法3条,民法163条,民法601条