論点1第369条民法
譲渡担保権者から譲渡担保権消滅後に目的不動産を譲り受けた者と民法一七七条の第三者
裁判要旨不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者甲から譲渡担保権者乙への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に乙から目的不動産を譲り受けた丙は、民法
一七七条〈不動産に関する物権の変動の対抗要件〉にいう第三者に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年11月12日 昭和59(オ)691
- 登載
- 集民 第152号177頁
- 参照法条
- 民法177条,民法369条(譲渡担保)
論点2第369条民法
一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力
二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴え
三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例
裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物に及ぶ。
二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができる。
三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和62年11月10日 昭和57(オ)1408
- 登載
- 民集 第41巻8号1559頁
- 参照法条
- 民法85条,民法178条,民法181条,民法183条,民法333条,民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,競売法3条
論点3第369条民法
不動産の譲渡担保権者が先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことによつて取得する求償債権と譲渡担保権の被担保債権の範囲
裁判要旨不動産の譲渡担保権者がその不動産に設定された先順位の抵当権又は根抵当権の被担保債権を代位弁済したことによつて取得する求償債権は、譲渡担保設定契約に特段の定めのない限り、譲渡担保権によつて担保されるべき債権の範囲に含まれないものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年7月15日 昭和58(オ)1110
- 登載
- 集民 第148号307頁
- 参照法条
- 民法346条,民法369条(譲渡担保),民法374条,民法398条ノ3
論点4第369条民法
債務の弁済と担保仮登記の抹消登記手続の履行との同時履行関係の有無
裁判要旨仮登記担保権の被担保債務の弁済は、当該仮登記の抹消登記手続の履行に対し先給付の関係にあり、これと同時履行の関係に立つものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和61年4月11日 昭和55(オ)488
- 登載
- 集民 第147号515頁
- 参照法条
- 民法369条,民法533条
論点5第369条民法
仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者と当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効の援用
裁判要旨仮登記担保権の設定された不動産の第三取得者は、当該仮登記担保権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和60年11月26日 昭和57(オ)578
- 登載
- 民集 第39巻7号1701頁
- 参照法条
- 民法145条,民法369条,民法482条
論点6第369条民法
譲渡担保権者と第三者異議の訴え
裁判要旨譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、目的物件に対し民事執行法一二二条の規定により譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行につき、第三者異議の訴えによつてその排除を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和58年2月24日 昭和57(オ)1322
- 登載
- 集民 第138号229頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民事執行法38条1項,民事執行法122条
論点7第369条民法
譲渡担保の設定者と不法占有者に対する目的物件の返還請求権
裁判要旨譲渡担保の設定者は、正当な権原なく目的物件を占有する者に対し、その返還を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月28日 昭和56(オ)1209
- 登載
- 集民 第137号255頁
- 参照法条
- 民法206条,民法369条(譲渡担保)
論点8第369条民法
譲渡担保を設定した債務者の目的不動産に対するいわゆる受戻権と民法一六七条二項の規定の適用の可否
裁判要旨譲渡担保を設定した債務者による債務の弁済と右弁済に伴う目的不動産の返還請求権とを合体し、一個の形成権たる受戻権として、これに民法一六七条二項の規定を適用することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和57年1月22日 昭和55(オ)153
- 登載
- 民集 第36巻1号92頁
- 参照法条
- 民法167条2項,民法369条(譲渡担保)
論点9第369条民法
一 譲渡担保権者と第三者異議の訴え
二 譲渡担保権者が目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定した場合と第三者異議の訴え
裁判要旨一 譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、第三者異議の訴えによつて目的物件に対し譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができる。
二 譲渡担保権者は、目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定したのちにおいても、第三者異議の訴えによつて目的物件に対し原譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和56年12月17日 昭和53(オ)1463
- 登載
- 民集 第35巻9号1328頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,民事執行法38条1項
論点10第369条民法
仮登記担保関係において債権者が履行遅滞を理由に目的不動産につき予め交付を受けていた登記手続に必要な書類を利用して所有権移転登記を経由した場合と目的不動産の取戻
裁判要旨仮登記担保関係において、債権者が履行遅滞を理由に代物弁済予約の完結の意思表示をし、目的不動産につき予め交付を受けていた登記に必要な書類を利用して仮登記に基づく所有権移転登記を経由した場合でも、清算義務を負うときは、債務者は、清算金の提供を受けるまでは債務を弁済して目的不動産を取り戻すことができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月22日 昭和52(オ)1057
- 登載
- 集民 第126号139頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,不動産登記法2条,不動産登記法7条
論点11第369条民法
一 構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的
二 構成部分の変動する集合動産の譲渡担保につき目的物の範囲が特定されているとはいえないとされた事例
裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産であつても、その種類所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうる。
二 甲が、継続的倉庫寄託契約に基づき丙に寄託中の食用乾燥ネギフレーク四四トン余りのうち二八トンを乙に対する債務の譲渡担保とすること、乙はこれを売却処分することができることを約し、在庫証明の趣旨で丙が作成した預り証を乙に交付したが、乙も在庫を確認したにとどまり、その後処分のため乙に引き渡された右乾燥ネギフレークの大部分は甲の工場から乙に直送され、残部は甲が丙から受け出して乙に送付したものであるなど判示の事実関係のもとでは、甲が乙に寄託中の右乾燥ネギフレークのうち二八トンを特定して譲渡担保に供したものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月15日 昭和53(オ)925
- 登載
- 民集 第33巻1号51頁
- 参照法条
- 民法85条,民法369条
論点12第369条民法
債務の弁済供託により譲渡担保権が消滅した場合と民法四九六条二項の類推適用
裁判要旨債務の弁済供託により譲渡担保権が消滅した場合にも、民法
四九六条二項〈供託物の取戻し〉が類推適用される。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年12月22日 昭和51(オ)521
- 登載
- 集民 第125号913頁
- 参照法条
- 民法369条,民法496条2項
論点13第369条民法
仮登記担保権の実行においていわゆる過剰競売禁止の趣旨が類推された事例
裁判要旨共同仮登記担保の目的物のうち債務者所有の一箇の物件のみで被担保債権全額の優先弁済を受けられるなど原判決判示の事情があるときは、民訴法六七五条、民法
一条三項〈基本原則〉の趣旨に従い、右物件以外の目的物について仮登記担保権を実行することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年9月22日 昭和52(オ)340
- 登載
- 集民 第121号261頁
- 参照法条
- 民法1条3項,民法369条,民法482条,民訴法675条,競売法32条
論点14第369条民法
競売手続が完結した場合と抵当権と同時に設定された抵当権者自身を権利者とする賃借権の帰すう
裁判要旨抵当不動産につき、抵当権者自身を権利者とする、賃借権又は抵当債務の不履行を停止条件とする条件付賃借権が設定され、その登記又は仮登記が抵当権設定登記と順位を前後して経由された場合において、競売申立までに対抗要件を具備した短期賃借権者が現われないまま、競落によつて第三者が当該不動産の所有権を取得したときには、特段の事情のない限り、抵当権者の賃借権は、それが短期賃借権であつても消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年2月17日 昭和51(オ)1028
- 登載
- 民集 第31巻1号67頁
- 参照法条
- 民法369条,民法395条,民法601条
論点15第369条民法
仮登記担保権者が担保権実行のため代物弁済予約を完結した当時担保不動産の価格が被担保債権額を超過していない場合における担保不動産の所有権の帰すう
裁判要旨仮登記担保権者が担保権実行のため代物弁済予約を完結した当時において担保不動産の価格が被担保債権額を超過していない場合は、担保権者は予約完結によつて担保不動産の所有権を取得する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和52年11月10日 昭和52(オ)567
- 登載
- 集民 第122号217頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,不動産登記法2条
論点16第369条民法
一、後順位仮登記担保権者の先順位仮登記担保権者に対する債務者のためにする弁済と法定代位
二、先順位仮登記担保権者に対する代位弁済により先順位仮登記担保権者の有する抵当権及び仮登記担保権を取得した後順位仮登記担保権者の右抵当権設定登記及び仮登記抹消登記手続請求の可否
裁判要旨一、同一不動産を目的とする後順位仮登記担保権者は、債務者のために先順位仮登記担保権者の被担保債権を弁済するにつき民法五〇〇条にいう「正当ノ利益」を有する。
二、先順位仮登記担保権者に対する代位弁済により先順位仮登記担保権者の有する抵当権及び仮登記担保権を取得した後順位仮登記担保権者は、自己の債権につき債務者に履行遅滞があつたことにより代物弁済予約完結の意思表示をし、又は停止条件が成就したときは、先順位仮登記担保権者に対し、右抵当権設定登記及び仮登記の抹消登記手続を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和51年3月19日 昭和50(オ)1125
- 登載
- 集民 第117号223頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,民法500条,民法501条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項
論点17第369条民法
仮登記担保の目的不動産につき後順位権利者がある場合と被担保債権以外の債権を自働債権とする清算金支払債務との相殺の許否
裁判要旨仮登記担保権者は、目的不動産につき後順位権利者があるときは、債務者に対する被担保債権以外の金銭債権をもつて自己の負担する清算金支払債務と相殺することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年9月9日 昭和45(オ)1156
- 登載
- 民集 第29巻8号1249頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,民法505条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条
論点18第369条民法
いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権をその譲渡担保権者から譲り受けた者が譲渡担保設定者に対して有するF理事会の譲渡承認手続請求権と右設定者の譲渡担保権者に対する清算金支払請求権との同時履行関係
裁判要旨いわゆる預託金会員組織ゴルフ会員権を目的とする譲渡担保設定契約において、設定者が、あらかじめ、譲渡担保権者の換価処分によりゴルフ会員権を譲り受けた者のために、Fの規則上譲渡に必要とされているF理事会の承認を得るための手続に協力することを承諾している場合には、設定者は、譲受人に対し、同時履行の抗弁により、譲渡担保権者が清算金を提供しないことを理由として、右譲渡承認を得るための手続に協力することを拒絶することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年7月25日 昭和49(オ)246
- 登載
- 民集 第29巻6号1147頁
- 参照法条
- 民法362条,民法369条,民法533条
論点19第369条民法
一、いわゆる仮登記担保者と仮登記に遅れて目的不動産を占有する第三者に対する右不動産の換価処分における損害賠償請求
二、目的不動産の換価処分前に被担保債権について弁済の提供を受けその受領を拒絶したいわゆる仮登記担保権者と仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対する明渡請求
裁判要旨一、いわゆる仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分前においては、自己が右不動産を使用収益することができる旨の約定がある等特段の事情のないかぎり、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対し、賃料相当の損害金の賠償を請求することができない。
二、いわゆる仮登記担保権者が、目的不動産の換価処分前に、被担保債権について適法な弁済の提供を受けその受領を拒絶しながら、換価手続の一環として、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対しその明渡を請求することは、許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年2月25日 昭和46(オ)653
- 登載
- 民集 第29巻2号112頁
- 参照法条
- 民法369条,民法413条,民法482条,民法492条,民法556条,民法709条,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項
論点20第369条民法
譲渡担保として債務者所有の不動産に所有権移転請求権保全仮登記がされた場合における債務者から右不動産の不法占有者に対する明渡及び賃料相当損害金請求の許否
裁判要旨債務者所有の不動産が譲渡担保とされ所有権移転請求権保全の仮登記がされたというだけでは、いまだ債務者において右不動産の不法占有者に対する明渡及び賃料相当損害金の請求が許されないわけではない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年1月31日 昭和47(オ)1007
- 登載
- 集民 第114号77頁
- 参照法条
- 民法200条,民法369条
論点21第369条民法
仮登記担保権者から清算未了のまま目的不動産の譲渡を受けた第三者が債務者の意思に基づかないで所有権移転登記を経由した場合と債務者の右登記抹消手続請求権
裁判要旨仮登記担保権者が目的不動産を自己の所有に帰属させるとの意思表示をしただけで清算をしないで仮登記のまま目的不動産を第三者に譲渡し、第三者が本登記を経た場合において、本登記が債務者の意思に基づかずにされたときは、債務者は第三者に対して右本登記の抹消手続を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年11月28日 昭和49(オ)1087
- 登載
- 集民 第116号675頁
- 参照法条
- 民法177条,民法369条,民法482条
論点22第369条民法
一、金銭債権担保のため不動産について代物弁済予約又は売買予約等の形式をとる契約が締結され所有権移転請求権保全等の仮登記がされた場合における右契約の性質及び内容
二、いわゆる仮登記担保権者が清算義務を負う相手方
三、いわゆる仮登記担保権と競売手続との関係
四、いわゆる仮登記担保権の目的不動産に対し競売手続が開始されている場合における仮登記担保権者の仮登記の本登記手続又はその承諾請求の許否
裁判要旨一、債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者との間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約又は売買予約により、債務の不履行があつたときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ、停止条件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をしたときは、その権利(いわゆる仮登記担保権)の内容は、当事者が別段の意思を表示し、かつ、それが諸般の事情に照らして合理的と認められる特別の場合を除いては、債務者に履行遅滞があつた場合に権利者が予約完結の意思を表示し、又は停止条件が成就したときは、権利者において目的不動産を処分する権能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された価額で確定的に自己の所有に帰せしめること又は相当の価格で第三者に売却等をすることによつて、これを換価処分し、その評価額又は売却代金等から自己の債権の弁済を得ることにあり、右評価額又は売却代金等の額が権利者の債権額を超えるときは、権利者は、右超過額を清算金として債務者に交付すべきものであると解するのが粗当である。
二、いわゆる仮登記担保権者が目的不動産の換価金につき清算義務を負うのは、債務者又は仮登記後に目的不動産の所有権を取得してその登記を経由した第三者に対してのみであつて、仮登記後に目的不動産を差し押えた債権者、これにつき抵当権の設定を受けた第三者等に対しては、仮登記担保権者は、直接の清算義務を負わない。
三、いわゆる仮登記担保権者は、民訴法六四八条四号又は競売法二七条四項四号に基づき、当該権利が仮登記担保権であること及び被担保債権とその金額を明らかにして競売裁判所に届け出る方法により、目的不動産の競売手続に参加して配当を受けることができる。
四、いわゆる仮登記担保権者がその権利の実行として訴訟により仮登記の本登記手続又はその承諾を請求する前に既に第三者の申立により目的不動産につき競売手続が開始されている場合には、右の請求をすることは、原則として許されない。
(二につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和49年10月23日 昭和46(オ)503
- 登載
- 民集 第28巻7号1473頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条,民訴法648条,競売法27条
論点23第369条民法
抵当不動産の第三取得者と抵当権の被担保債権の消滅時効の援用
裁判要旨抵当不動産の譲渡を受けた第三者は、抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年12月14日 昭和45(オ)719
- 登載
- 民集 第27巻11号1586頁
- 参照法条
- 民法145条,民法166条,民法369条
論点24第369条民法
登記簿上後順位の債権者(抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者)であつたがすでにその登記につき他に附記登記による権利移転の登記を経由した者といわゆる仮登記担保権者による本登記承諾請求訴訟における引換給付の抗弁権提出の可否
裁判要旨登記簿上後順位の抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者であつた者でも、先順位の仮登記担保権者から不動産登記法一〇五条に基づく本登記手続承諾請求を受けた当時、すでに他にその登記につき附記登記による権利移転の登記を経由した者は、特段の事情のない限り、登記原因たる実体上の権利に基づき、仮登記担保権者に対して清算金を受けるべき地位にあることを主張することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年7月6日 昭和44(オ)486
- 登載
- 集民 第106号397頁
- 参照法条
- 民法369条,民法482条,不動産登記法7条,不動産登記法105条
論点25第369条民法
不動産を買い受けた者が抵当権および停止条件付代物弁済契約上の権利を有するものとして抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合と第三者
裁判要旨甲が、乙からその所有不動産を買い受けたものであるにもかかわらず、乙に対する貸金を被担保債権とする抵当権と、右貸金を弁済期に弁済しないことを停止条件とする代物弁済契約上の権利とを有するものとして、抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合において、丙が乙から右不動産を買い受けて所有権取得登記を経由したときは、丙が善意無過失であるかぎり、甲は、丙に対し、自己の経由した登記が実体上の権利関係と相違し、自己が仮登記を経由した所有権者であると主張することはできないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年11月19日 昭和43(オ)732
- 登載
- 民集 第24巻12号1916頁
- 参照法条
- 民法94条2項,民法369条,民法482条,不動産登記法2条2号
論点26第369条民法
一、代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている不動産の所有権が第三者に移転したときと予約完結権行使の相手方
二、債権担保のため同一不動産に代物弁済の予約とともに設定された抵当権が転抵当に供されている場合と予約完結権行使の許否
裁判要旨一、不動産に関する代物弁済の予約につき請求権保全の仮登記が経由されている場合においては、該不動産の所有権が第三者に移転したときであつても、代物弁済予約権者は、予約の相手方に対して予約完結の意思表示をすべきである。
二、貸金債権担保のため同一不動産につき代物弁済の予約とともに抵当権の設定があり、その抵当権が転抵当に供されている場合において、転抵当権の被担保債権額が原抵当権の被担保債権額以上であるときは、右代物弁済の予約が清算を要しないものでないかぎり、代物弁済予約権者は、予約完結権を行使することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年10月16日 昭和43(オ)489
- 登載
- 民集 第23巻10号1759頁
- 参照法条
- 民法482条,民法556条1項,民法369条,民法375条1項,不動産登記法2条2号,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条1項
論点27第369条民法
代物弁済に関する合意が停止条件付代物弁済契約でなく代物弁済の予約と解された事例
裁判要旨貸金債務を負担するに際し、抵当権を設定するとともに、またはこれに付加して代物弁済に関する契約を締結した場合において、右貸金債務について利息の約定のほかに、右利息の不支払を条件として期限の利益を失い、爾後約定利率に従つた遅延損害金を支払う旨の約定が存在するときは、右代物弁済に関する合意は停止条件付代物弁済契約ではなく、債権者において期限の到来後予約完結権の行使を必要とする代物弁済の予約と解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日 昭和42(オ)1423
- 登載
- 集民 第93号967頁
- 参照法条
- 民法482条,民法369条,民法420条
論点28第369条民法
一、抵当権の設定契約の無効とその抵当権に基づく競売手続の効果
二、民法第八二六条〈利益相反行為〉の利益相反行為にあたるとされた事例
裁判要旨一、抵当権の設定契約が無効のときには、その抵当権に基づく競売により、抵当物件が競落されても、競落人はその所有権を取得することができない。
二、第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示事実関係のもとでは、子のためにされた連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為は、民法
第八二六条〈利益相反行為〉にいう利益相反行為にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和43(オ)783
- 登載
- 民集 第22巻10号2172頁
- 参照法条
- 民法369条,民法826条,競売法2条
論点29第369条民法
一 他人の債務のため自己の所有物をいわゆる弱い譲渡担保に供した者は右債務の消滅時効を援用することができるか
二 債務者の時効の利益の放棄は当該債務のため自己の所有物をいわゆる弱い譲渡担保に供した者に影響を及ぼすか
裁判要旨一 他人の債務のため自己の所有物をいわゆる弱い譲渡担保に供した者は、右債務の消滅時効を援用することができる。
二 債務者の時効の利益の放棄は、当該債務のため自己の所有物をいわゆる弱い譲渡担保に供した者に影響を及ぼさない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年10月27日 昭和39(オ)523
- 登載
- 民集 第21巻8号2110頁
- 参照法条
- 民法369条,民法145条,民法146条
論点30第369条民法
免責的債務引受と抵当権の消滅。
裁判要旨免責的債務引受が行なわれたときは、右債務につき第三者により設定された抵当権は、設定者の同意がない限り、消滅する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年7月20日 昭和34(オ)335
- 登載
- 民集 第16巻8号1605頁
- 参照法条
- 民法464条,民法369条
論点31第369条民法
一 親権者の債務の担保のため未成年者の不動産に抵当権を設定するについての特別代理人選任の審判と被担保債務額の表示の要否
二 親権者の債務の担保のため未成年者の不動産に抵当権を設定するについて選任された特別代理人の根抵当権設定についての権限の有無
裁判要旨一 未成年者の親権者の債務担保のため未成年者所有の不動産に抵当権を設定するについて、家庭裁判所のなす特別代理人選任の審判は、被担保債権額が表示されていない場合でも有効である。
二 未成年者の親権者の債務担保のため未成年者所有の不動産に抵当権を設定するについて、家庭裁判所によつて選任された未成年者の特別代理人は、根抵当権設定についても授権されたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月6日 昭和35(オ)1046
- 登載
- 民集 第16巻2号223頁
- 参照法条
- 民法826条,民法369条,家事審判法9条1項甲類10号
論点32第369条民法
農業用動産抵当物件の任意売却の特約の効力
裁判要旨農場動産信用法に基づく農業用動産抵当権につき、法定の抵当権実行の方法によらずに抵当物件を任意売却してその取得金を債務の弁済に充当しうる旨の特約は、有効である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年1月18日 昭和35(オ)645
- 登載
- 民集 第16巻1号36頁
- 参照法条
- 農業動産信用法12条2項,農業動産信用法17条,農業用動産抵当権実行令1条,民法349条,民法369条1項
論点33第369条民法
保証人の求償権を担保する根抵当権の民法第四六〇条第二号の場合における効力。
裁判要旨主たる債務者の委託を受けた保証人が将来免責行為をしたときに取得すべき求償権を担保する為に、主債務の額を極度額とする根抵当権が設定されていた場合、その保証人は、主債務の弁済期の到来後は、まだ免責行為をしてなくても、先順位抵当権による競売手続において極度額まで配当要求をなし得る。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年6月25日 昭和32(オ)420
- 登載
- 民集 第13巻6号810頁
- 参照法条
- 民法369条1項,民法460条2号本文,民法461条2項
論点34第369条民法
借地上の建物の譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用収益をする場合と民法六一二条にいう賃借権の譲渡又は転貸
裁判要旨借地上の建物につき借地人から譲渡担保権の設定を受けた者が、建物の引渡しを受けて使用又は収益をする場合には、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法六一二条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成9年7月17日 平成5(オ)486
- 登載
- 民集 第51巻6号2882頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民法612条
論点35第369条民法
譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者の譲渡担保権設定者に対する明渡請求と譲渡担保権設定者の留置権の主張の可否
裁判要旨譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年4月11日 平成5(オ)358
- 登載
- 集民 第183号241頁
- 参照法条
- 民法295条,民法369条(譲渡担保)
論点36第369条民法
譲渡担保権者と滌除権
裁判要旨譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法
三七八条〈代価弁済〉所定の滌除権者たる第三取得者に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成7年11月10日 平成4(オ)1128
- 登載
- 民集 第49巻9号2953頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民法378条
論点37第369条民法
債務の弁済と譲渡担保の目的物の返還との同時履行関係の有無
裁判要旨債務の弁済と譲渡担保の目的物の返還とは、前者が後者に対し先履行の関係にあり、同時履行の関係に立たない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成6年9月8日 平成6(オ)1025
- 登載
- 集民 第173号21頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民法533条
論点38第369条民法
互いに主従の関係にない甲乙二棟の建物がその間の隔壁を除去する等の工事により一棟の丙建物となった場合と甲建物又は乙建物を目的として設定されていた抵当権の消長
裁判要旨互いに主従の関係にない甲乙二棟の建物がその間の隔壁を除去する等の工事により一棟の丙建物となった場合、甲建物又は乙建物を目的として設定されていた抵当権は、丙建物のうち甲建物又は乙建物の価格の割合に応じた持分を目的とするものとして存続する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成6年1月25日 平成3(オ)2024
- 登載
- 民集 第48巻1号18頁
- 参照法条
- 民法244条,民法247条2項,民法369条
論点39第369条民法
民法三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉ただし書の規定により解除された短期賃貸借ないしこれを基礎とする転貸借に基づき抵当不動産を占有する者に対する抵当権者の明渡請求の可否
裁判要旨抵当権者は、民法
三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉ただし書の規定により解除された短期賃貸借ないしこれを基礎とする転貸借に基づき抵当不動産を占有する者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として又は抵当権設定者の所有物返還請求権の代位行使として、その明渡しを求めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成3年3月22日 平成1(オ)1209
- 登載
- 民集 第45巻3号268頁
- 参照法条
- 民法369条,民法395条,民法423条
論点40第369条民法
金属スクラップ等の継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合に,買主が保管する金属スクラップ等を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が,売買代金が完済されていない金属スクラップ等につき売主に上記譲渡担保権を主張することができないとされた事例
裁判要旨金属スクラップ等の継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合に,上記契約では,毎月21日から翌月20日までを一つの期間として,期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され,一つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は,当該期間の売買代金の完済まで売主に留保されることが定められ,これと異なる期間の売買代金の支払を確保するために売主に留保されるものではないこと,売主は買主に金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが,これは売主が買主に上記契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解されることなど判示の事情の下においては,買主が保管する金属スクラップ等を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者は,売買代金が完済されていない金属スクラップ等につき売主に上記譲渡担保権を主張することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成30年12月7日 平成29(受)1124
- 登載
- 民集 第72巻6号1044頁
- 参照法条
- 民法176条,民法369条(譲渡担保),民法369条(所有権留保)
論点41第369条民法
売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記に後れる抵当権者と予約完結権の消滅時効の援用
裁判要旨売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記の経由された不動産につき抵当権の設定を受け、その登記を経由した者は、予約完結権の消滅時効を援用することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成2年6月5日 昭和63(オ)357
- 登載
- 民集 第44巻4号599頁
- 参照法条
- 民法145条,民法369条,民法556条
論点42第369条民法
銀行が,輸入業者の輸入する商品に関して信用状を発行し,当該商品につき譲渡担保権の設定を受けた場合において,上記輸入業者が当該商品を直接占有したことがなくても,上記輸入業者から占有改定の方法によりその引渡しを受けたものとされた事例
裁判要旨銀行であるXが,輸入業者であるYの輸入する商品に関して信用状を発行し,これによってYが負担する償還債務等に係る債権の担保として当該商品につき譲渡担保権の設定を受けた場合において,次の(1)及び(2)の事情の下では,Yが当該商品を直接占有したことがなくても,Xは,Yから占有改定の方法により当該商品の引渡しを受けたものといえる。
(1) XとYとの間においては,輸入業者から委託を受けた海運貨物取扱業者によって輸入商品の受領等が行われ,輸入業者が目的物を直接占有することなく転売を行うことが一般的であったという輸入取引の実情の下,上記譲渡担保権の設定に当たり,XがYに対し輸入商品の貸渡しを行ってその受領等の権限を与える旨の合意がされていた。
(2) 海運貨物取扱業者は,金融機関が譲渡担保権者として当該商品の引渡しを占有改定の方法により受けることとされていることを当然の前提として,Yから当該商品の受領等の委託を受け,当該商品を受領するなどした。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成29年5月10日 平成28(許)26
- 登載
- 民集 第71巻5号789頁
- 参照法条
- 民法183条,民法304条,民法369条(譲渡担保),民事再生法45条,民事再生法53条1項,民事再生法53条2項
論点43第369条民法
自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,保証人が留保所有権を別除権として行使することの可否
裁判要旨自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは,保証人は,上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成29年12月7日 平成29(受)408
- 登載
- 民集 第71巻10号1925頁
- 参照法条
- 破産法49条,破産法65条1項,民法369条(所有権留保),民法500条,民法501条
論点44第369条民法
自動車の売買代金の立替払をした者が,販売会社に留保されていた自動車の所有権の移転を受けたが,購入者に係る再生手続が開始した時点で上記自動車につき所有者としての登録を受けていないときに,留保した所有権を別除権として行使することの可否
裁判要旨自動車の購入者から委託されて販売会社に売買代金の立替払をした者が,購入者及び販売会社との間で,販売会社に留保されている自動車の所有権につき,これが,上記立替払により自己に移転し,購入者が立替金及び手数料の支払債務を完済するまで留保される旨の合意をしていた場合に,購入者に係る再生手続が開始した時点で上記自動車につき上記立替払をした者を所有者とする登録がされていない限り,販売会社を所有者とする登録がされていても,上記立替払をした者が上記の合意に基づき留保した所有権を別除権として行使することは許されない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成22年6月4日 平成21(受)284
- 登載
- 民集 第64巻4号1107頁
- 参照法条
- 民事再生法45条,民事再生法53条1項,民事再生法53条2項,民法369条(所有権留保)
論点45第369条民法
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶか
裁判要旨構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成22年12月2日 平成22(許)14
- 登載
- 民集 第64巻8号1990頁
- 参照法条
- 民法304条,民法369条(譲渡担保)
論点46第369条民法
動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在しその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,その所有権が担保権の性質を有することを理由として撤去義務や不法行為責任を免れるか
裁判要旨動産の購入代金を立替払した者が,立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権原を有せず,その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは,所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,上記弁済期が到来するまでは,特段の事情がない限り,撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,上記弁済期が経過した後は,留保された所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成21年3月10日 平成20(受)422
- 登載
- 民集 第63巻3号385頁
- 参照法条
- 民法206条,民法369条(所有権留保),民法709条
論点47第369条民法
国税の法定納期限等以前に将来発生すべき債権を目的として譲渡担保契約が締結され第三者に対する対抗要件が具備されていた場合における国税徴収法24条6項の適用
裁判要旨国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は国税徴収法24条6項にいう「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当する。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成19年2月15日 平成16(行ヒ)310
- 登載
- 民集 第61巻1号243頁
- 参照法条
- 国税徴収法24条,民法369条(譲渡担保),民法467条2項
論点48第369条民法
1 動産譲渡担保が重複設定されている場合における後順位譲渡担保権者による私的実行の可否
2 構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保の設定者が目的動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合における処分の相手方による承継取得の可否
裁判要旨1 動産譲渡担保が同一の目的物に重複して設定されている場合,後順位譲渡担保権者は私的実行をすることができない。
2 構成部分の変動する集合動産を目的とする対抗要件を備えた譲渡担保の設定者が,その目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合,当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り,当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年7月20日 平成17(受)948
- 登載
- 民集 第60巻6号2499頁
- 参照法条
- (1,2につき)民法369条(譲渡担保)
論点49第369条民法
買戻特約付売買契約の形式を採りながら目的不動産の占有の移転を伴わない契約の性質
裁判要旨買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年2月7日 平成17(受)282
- 登載
- 民集 第60巻2号480頁
- 参照法条
- 民法369条 民法579条
論点50第369条民法
1 特許庁の担当職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことによる損害の額
2 特許庁の担当職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことを理由とする国家賠償請求事件において損害の発生を認めるべきであって損害額の立証が困難であったとしても民訴法248条〈付合、混和又は加工に伴う償金の請求〉により相当な損害額が認定されなければならないとされた事例
裁判要旨1 特許庁の担当職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかった場合,これによる損害の額は,特段の事情のない限り,その被担保債権が履行遅滞に陥ったころ,当該質権を実行することによって回収することができたはずの債権額である。
2 特許権者戊に対して融資をしたXが,戊から特許権を目的とする質権の設定を受け,特許庁長官にその設定登録を申請し,これが受け付けられたにもかかわらず,この受付に後れて申請及び受付がされた己に対する特許権移転登録が先にされたため,上記質権を取得することができなかった場合において,上記特許権が最終的にはその事業化に成功せず消滅するに至ったとしても,(1)戊が,特許出願中の上記特許権を構成する技術の一部を用いた工法を発表したところ,多数の新聞に取り上げられ,多数の企業等から同工法についての照会や資料請求があったこと,(2)戊から上記特許権の譲渡を受けた己が,庚に対し,上記特許権等を代金4億円で譲渡したこと,(3)庚は,戊らと共に上記特許権の事業化に取り組み,その商品の販売営業に努力したこと,(4)戊は,銀行取引停止処分を受け,上記質権の被担保債務についての期限の利益を喪失したが,それは上記販売営業中のことであったこと,(5)庚は,最終的に,上記特許権の事業化は採算が合わないものと判断してこれを断念し,上記特許権の第5年分の特許料の支払をしなかったため,上記特許権が消滅したが,それは戊が銀行取引停止処分を受けてから約2年半後のことであったことなど判示の事実関係の下では,Xには上記質権を取得することができなかったことにより損害が発生したというべきであり,これを理由とする国家賠償請求事件につき,損害額の立証が極めて困難であったとしても,民訴法248条により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,相当な損害額が認定されなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成18年1月24日 平成17(受)541
- 登載
- 集民 第219号329頁
- 参照法条
- (1,2につき)国家賠償法1条1項,民法362条,民法369条,特許法27条1項3号,特許法95条,特許法98条1項3号 (2につき)民訴法248条
論点51第369条民法
譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることの可否
裁判要旨不動産を目的とする譲渡担保において,被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,設定者は,差押登記後に債務の全額を弁済しても,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成18年10月20日 平成16(受)1641
- 登載
- 民集 第60巻8号3098頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民事執行法38条1項
論点52第369条民法
1 所有者から占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者に対して抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる場合
2 抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり抵当権者が直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる場合
3 第三者による抵当不動産の占有と抵当権者についての賃料額相当の損害の発生の有無
裁判要旨1 抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても,抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり,その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができる。
2 抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,当該占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。
3 抵当権者は,抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年3月10日 平成13(オ)656
- 登載
- 民集 第59巻2号356頁
- 参照法条
- 民法369条,民法709条
論点53第369条民法
定款に株式譲渡制限の定めのある非上場会社の一人株主がその全株式を同社の債務の担保のため譲渡担保に供するなどした後に同社の役員の解任及び選任等の株式会社変更登記申請を行い同社の商業登記簿の原本にその旨記載させた行為につき公正証書原本不実記載罪が成立するとされた事例
裁判要旨定款に株式譲渡制限の定めのある非上場会社の一人株主が,その全株式を同社の債務の担保のため譲渡担保に供した後に,同社の役員の解任及び選任等の株式会社変更登記申請を債権者の関与なく行い,同社の商業登記簿の原本にその旨記載させた行為は,上記譲渡担保の契約当事者の合理的な意思解釈として,株主共益権を債権者に帰属させる旨の合意があったものと認められる判示の事情の下では,公正証書原本不実記載罪に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年11月15日 平成14(あ)1396
- 登載
- 刑集 第59巻9号1476頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),商法204条1項,商法241条1項,刑法157条1項
論点54第369条民法
根抵当権者が競売の申立ての際に提出した当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されている登記簿謄本とみなされる登記事項証明書と民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書
裁判要旨根抵当権者が競売の申立ての際に提出した登記簿謄本とみなされる登記事項証明書に,当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されていても,同登記事項証明書は,民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号の文書に当たる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年11月11日 平成17(許)22
- 登載
- 集民 第218号433頁
- 参照法条
- 民事執行法(平成16年法律第124号による改正前のもの)181条1項3号,民法179条1項,民法369条(譲渡担保),民法398条の2,旧不動産登記法(平成16年法律第123号による改正前のもの)151条ノ4
論点55第369条民法
金銭債務の担保として既発生債権及び将来債権を一括して譲渡するいわゆる集合債権譲渡担保契約における債権譲渡の第三者に対する対抗要件
裁判要旨甲が乙に対する金銭債務の担保として,甲の丙に対する既に生じ,又は将来生ずべき債権を一括して乙に譲渡することとし,乙が丙に対して担保権実行として取立ての通知をするまでは甲に譲渡債権の取立てを許諾し,甲が取り立てた金銭について乙への引渡しを要しないとの内容のいわゆる集合債権を対象とした譲渡担保契約において,同契約に係る債権の譲渡を第三者に対抗するには,指名債権譲渡の対抗要件の方法によることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成13年11月22日 平成12(受)194
- 登載
- 民集 第55巻6号1056頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保),民法467条2項
論点56第369条民法
既発生債権及び将来債権を一括して目的とするいわゆる集合債権の譲渡予約において譲渡の目的となるべき債権の特定があるとされる場合
裁判要旨甲が乙との間の特定の商品の売買取引に基づき乙に対して現に有し又は将来有することのある売掛代金債権を目的として丙との間で譲渡の予約をした場合、譲渡の目的となるべき債権は、甲の有する他の債権から識別ができる程度に特定されているということができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成12年4月21日 平成8(オ)1049
- 登載
- 民集 第54巻4号1562頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保)・民法466条
論点57第369条民法
一 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使が認められた事例
二 動産譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後における右譲渡担保権に基づく物上代位権行使の可否
裁判要旨一 銀行甲が、輸入業者乙のする商品の輸入について信用状を発行し、約束手形の振出しを受ける方法により乙に輸入代金決済資金相当額を貸し付けるとともに、乙から右約束手形金債権の担保として輸入商品に譲渡担保権の設定を受けた上、乙に右商品の貸渡しを行ってその処分権限を与えたところ、乙が、右商品を第三者に転売した後、破産の申立てをしたことにより右約束手形金債務につき期限の利益を失ったという事実関係の下においては、甲は、右商品に対する譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、転売された右商品の売買代金債権を差し押さえることができる。
二 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使は、右譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後においても妨げられない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成11年5月17日 平成10(許)2
- 登載
- 民集 第53巻5号863頁
- 参照法条
- 民法304条,民法369条(譲渡担保),破産法92条
論点58第369条民法
譲渡担保権者から目的不動産を譲り受けた第三者と譲渡担保権設定者の清算金支払請求権の消滅時効の援用
裁判要旨譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲り受けた第三者は、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権として目的不動産について留置権を有する譲渡担保権設定者に対し、右請求権の消滅時効を援用することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成11年2月26日 平成7(オ)690
- 登載
- 集民 第191号457頁
- 参照法条
- 民法145条,民法369条(譲渡担保)
論点59第369条民法
一 抵当権者が抵当不動産の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することの可否
二 抵当権者が権利の目的である建物の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使して直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができるとされた事例
裁判要旨一 第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる。
二 建物を目的とする抵当権を有する者がその実行としての競売を申し立てたが、第三者が建物を権原なく占有していたことにより、買受けを希望する者が買受け申出をちゅうちょしたために入札がなく、その後競売手続は進行しなくなって、建物の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となる状態が生じているなど判示の事情の下においては、抵当権者は、建物の所有者に対して有する右状態を是正するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使し、所有者のために建物を管理することを目的として、不法占有者に対し、直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができる。
(一、二につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 平成11年11月24日 平成8(オ)1697
- 登載
- 民集 第53巻8号1899頁
- 参照法条
- 民法369条,民法423条
論点60第369条民法
後順位抵当権者と先順位抵当権の被担保債権の消滅時効の援用
裁判要旨後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成11年10月21日 平成9(オ)1771
- 登載
- 民集 第53巻7号1190頁
- 参照法条
- 民法145条,民法369条,民法373条1項
論点61第373条民法
競売法による不動産競売手続における仮登記のある抵当権者に対する競売代金の配当方法
裁判要旨競売法による不動産競売手続において、競売裁判所は、仮登記のある抵当権者に対してはその仮登記の本登記をすれば第三者に対抗することができる抵当権の順位および内容にしたがつて競売代金を配当すべく、その配当額についてはこれを供託し、後日その仮登記の本登記をするに必要な条件を具備するに至つたとき、これを右仮登記権利者に交付すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和50年4月25日 昭和49(オ)1131
- 登載
- 集民 第114号661頁
- 参照法条
- 民訴法630条3項,民法373条,不動産登記法2条
論点62第376条民法
一 原抵当権が虚偽仮装であることにつき善意で転抵当権の設定を受けその旨の登記を経由した者が民法三七六条〈抵当権の処分〉所定の対抗要件を具備しない場合と同人の原抵当権設定者に対する原抵当権設定登記の抹消の承諾義務
二 民法九四条二項〈虚偽表示〉所定の第三者の善意の判定時期
裁判要旨一 甲と乙との通謀により甲から乙に対し抵当権を設定したものと仮装した抵当権設定登記が経由されたのち、乙が善意の丙に対し転抵当権を設定し、丙を権利者とする転抵当権設定登記が経由された場合において、丙は、いまだ民法三七六条所定の対抗要件を具備しないときであつても、原抵当権の設定の無効を理由とする原抵当権設定登記の抹消について、甲に対し承諾の義務を負うものではない。
二 民法
九四条二項〈虚偽表示〉所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至つた時期を基準として決すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和55年9月11日 昭和53(オ)1213
- 登載
- 民集 第34巻5号683頁
- 参照法条
- 民法94条,民法376条1項,不動産登記法146条1項
論点63第376条民法
抵当権の順位の譲渡の効力。
裁判要旨甲が、乙に対する債権確保のため、乙所有の不動産につき順位一番の抵当権設定登記をうけ、その後停止条件付代物弁済契約による所有権移転請求権保全の仮登記をうけ、さらにその後丙が乙に対する債権担保のため右不動産につき順位二番の抵当権設定登記をうけた場合に、甲が丙に対し順位一番の抵当権の順位を譲渡してその旨の附記登記を経由したときは、その後条件の成就により甲が乙から右代物弁済をうけても、丙は、甲および乙に対し順位一番の抵当権をもつて対抗することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年3月1日 昭和35(オ)82
- 登載
- 民集 第17巻2号269頁
- 参照法条
- 民法375条,民法376条
論点64第396条民法
弁済期到来前にした抵当権の実行と競落人の所有権の取得。
裁判要旨抵当権者が債権の履行期の到来前に抵当権を実行した場合であつても、競落許可決定により競落代金が支払われて競売手続が完了した以上、競落人は有効に競落不動産の所有権を取得する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和40年4月16日 昭和39(オ)1230
- 登載
- 民集 第19巻3号658頁
- 参照法条
- 民法396条1項,民訴法686条,競売法2条1項,競売法32条
論点65第396条民法
物上保証人が債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することの許否
裁判要旨物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成7年3月10日 平成6(オ)2325
- 登載
- 集民 第174号811頁
- 参照法条
- 民法147条3号,民法148条,民法396条
論点66第396条民法
抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合における当該抵当権自体の消滅時効
裁判要旨抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,民法
396条〈抵当権の消滅時効〉は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係においても,当該抵当権自体が,同法
167条2項〈人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効〉所定の20年の消滅時効にかかる。
(補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成30年2月23日 平成29(受)468
- 登載
- 民集 第72巻1号1頁
- 参照法条
- 民法167条2項,民法396条,破産法253条1項本文
論点67第374条民法
代物弁済予約形式の債権担保契約と民法三七四条の準用の有無
裁判要旨代物弁済予約形式の債権担保契約を締結した債権者が、その担保目的を実現するにあたって、後順位債権者に優先して弁済を受けうる利息・損害金については、民法
三七四条〈抵当権の順位の変更〉の規定は準用されないと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年10月26日 昭和46(オ)467
- 登載
- 民集 第26巻8号1465頁
- 参照法条
- 民法482条,民法374条
論点68第374条民法
元本極度額の登記がある根抵当権と民法第三七四条
裁判要旨根抵当権については、一般に民法第三七四条の適用はないが、元本極度額としての登記がある場合には同条の適用があり、最後の二年分の利息・損害金については、元本との合計額が極度額をこえる場合においても、抵当債権者は優先弁済を受け得るものと解すべきである(大審院昭和一三年(オ)第一二八六号同年二月一日判決、民集一七巻二一六五頁参照)。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和43年11月15日 昭和42(オ)662
- 登載
- 集民 第93号255頁
- 参照法条
- 民法374条
論点69第374条民法
債権者が根抵当権の極度額をこえる債権を有する場合において抵当物件の第三取得者が右極度額を弁済したときと根抵当権設定登記の抹消登記請求権の有無
裁判要旨債権者が根抵当権の極度額をこえる債権を有する場合において、抵当物件の第三取得者は、右極度額の限度で弁済したにすぎないときは、その根抵当権設定登記の抹消登記請求権を有しない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月8日 昭和42(オ)80
- 登載
- 民集 第21巻10号2561頁
- 参照法条
- 民法177条,民法374条,民法378条