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破産手続開始の効果

破産手続開始の効果の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

破産手続開始の効果は、開始決定後に破産者がした法律行為や、破産者の行為によらない権利取得が、破産財団との関係では原則として主張できなくなることを中心に定めています。あわせて、双務契約・賃貸借・委任・継続的給付契約・交互計算・手形など、開始時点で未処理・未履行の法律関係をどう清算するかのルールも含まれます。弁済や登記の効力は相手方の善意・悪意によって扱いが分かれるため、実務では取引の相手方がいつの時点で開始の事実を知っていたかの確認が重要になります。

破産手続開始の効果
場面原則の効力ただし・補足
開始後の法律行為(47条)破産手続では主張不可開始日の行為は開始後と推定
開始後の権利取得(48条)破産手続では主張不可開始日の取得も開始後と推定
開始後の登記・登録(49条)原則主張不可善意の登記権利者は主張可
開始後の弁済(50条)善意なら有効悪意なら利益の限度で有効
善意・悪意の推定(51条)公告前は善意推定公告後は悪意推定
共有財産の分割(52条)分割請求可他の共有者は持分取得可
双務契約の処理(53条)管財人が解除か履行請求を選択相手方は催告可、無回答なら解除
契約解除後の扱い(54条)損害賠償は破産債権として行使反対給付は現存分のみ返還請求
継続的給付契約(55条)開始後は履行拒絶不可申立後開始前の給付は財団債権
賃貸借等(56条)対抗要件があれば例外あり相手方の請求権は財団債権
委任事務の処理(57条)善意処理の債権は破産債権通知未着で善意な場合が対象
市場相場のある取引(58条)履行期が開始後なら解除擬制損害賠償額は相場との差額
交互計算(59条)開始により終了各当事者は残額請求可
手形等の善意支払(60条)善意の支払人は債権行使可小切手等にも準用
夫婦財産関係(61条)管理者変更等の規定を準用親権者にも準用
  • 47条2項・48条2項:開始日にした行為・権利取得は開始後にしたものと推定される
  • 49条:登記権利者が開始の事実を知らずにした登記・仮登記は例外的に主張できる
  • 51条:32条1項の公告の前後で善意・悪意の推定が入れ替わる(50条・60条に適用)
  • 55条3項:継続的給付に関する1項・2項の規定は労働契約には適用しない
  • 56条1項:賃借権等に対抗要件を備えている場合は53条1項・2項が適用されない
  • 58条4項・5項:取引所等の別段の定めや基本契約の差引計算の定めがあればそれに従う
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破産手続開始の効果

破産手続開始の効果について、条文は何を定めているか。

第47条開始後の法律行為の効力開始後の法律行為は対抗できない2項判例 13件
  • 破産者が開始後に財団の財産についてした行為は、破産手続では効力を主張できない
  • 開始日にした行為は、開始後にしたものと推定される
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第48条開始後の権利取得の効力開始後の権利取得も対抗できない2項判例なし
  • 法律行為によらずに開始後に財団財産の権利を得ても、破産手続では主張できない
  • 開始日の権利取得も、開始後の取得と同様に扱われる
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第49条開始後の登記及び登録の効力開始後の登記は原則対抗できない2項判例 5件
  • 開始前の登記原因でも、開始後にした登記や仮登記は破産手続で主張できない
  • 登記権利者が開始の事実を知らずにした登記・仮登記は主張できる
  • 権利の登録や企業担保権の登記・登録にも同様の扱いが準用される
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第50条開始後の破産者に対する弁済の効力善意の弁済は有効、悪意は利益の限度2項判例 2件
  • 開始の事実を知らずに破産者へした弁済は、破産手続でも有効を主張できる
  • 事実を知って弁済した場合は、破産財団が得た利益の限度でのみ有効
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第51条善意又は悪意の推定公告前は善意、公告後は悪意と推定1項判例 3件
  • 32条1項〈破産手続開始の公告等〉の公告より前は、事実を知らなかったものと推定される
  • 公告の後は、事実を知っていたものと推定される
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第52条共有関係共有者が破産しても分割請求できる2項判例なし
  • 分割しない特約があっても、共有財産の分割請求ができる
  • 他の共有者は相当の償金を払って破産者の持分を取得できる
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第53条双務契約管財人が契約解除か履行請求を選べる3項判例なし
  • 双方未履行の双務契約は、管財人が解除するか履行請求するか選べる
  • 相手方は相当期間を定めて催告でき、無回答なら解除とみなされる
  • 民法631条前段・642条1項前段の解約・解除にも同様の規定が準用される
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第54条解除時の損害賠償や反対給付の扱い2項判例 1件
  • 契約解除の場合、相手方は損害賠償を破産債権として行使できる
  • 反対給付が財団に現存すれば返還請求、なければ財団債権として行使
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第55条継続的給付を目的とする双務契約継続的給付は開始後の未払いで拒めない3項判例なし
  • 申立て前の給付の未払いを理由に、開始後は履行を拒めない
  • 申立て後開始前の給付に係る請求権は財団債権となる
  • この2つの規定は労働契約には適用されない
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第56条賃貸借契約等対抗要件があれば解除規定は適用されない2項判例なし
  • 賃借権などに対抗要件を備えていれば、契約解除等の規定は適用されない
  • その場合、相手方の請求権は財団債権となる
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第57条委任契約善意で処理した委任事務の債権は破産債権1項判例なし
  • 破産手続開始の通知を受けず、事実も知らずに委任事務を処理した場合が対象
  • その事務処理で生じた債権は、破産債権として行使できる
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第58条市場の相場がある商品の取引に係る契約履行期が開始後なら契約は解除とみなす5項判例なし
  • 特定の日時・期間内の履行が必須な市場取引は、履行期が開始後なら解除とみなされる
  • 損害賠償額は履行地等の相場と契約価格との差額で決まる
  • 取引所等に別段の定めや基本契約の差引計算の定めがあればそれに従う
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第59条交互計算交互計算は開始により終了する2項判例 4件
  • 当事者の一方が破産手続開始で、交互計算は終了する
  • 終了後は各当事者が計算を閉鎖し、残額を請求できる
  • 破産者の請求権は破産財団に属し、相手方の請求権は破産債権となる
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第60条為替手形の引受け又は支払等善意の支払人・引受人は債権行使できる3項判例なし
  • 振出人・裏書人の破産を知らずに引受け・支払をした支払人等は保護される
  • 生じた債権は破産債権として行使できる
  • 小切手や金銭・有価証券の給付を目的とする証券にも同様に適用される
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第61条夫婦財産関係における管理者の変更等配偶者財産の管理者変更等の規定を準用1項判例なし
  • 配偶者の財産管理者が破産した場合、民法の管理者変更等の規定が準用される
  • 親権を行う者が破産した場合も、同様の規定が準用される
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第47条破産法

一 破産法人に対する予納法人税の債権のうち各事業年度の所得に係る部分と破産法四七条二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権

二 破産法人に対する予納法人税の債権のうち租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)六三条一項〈運送中の物品の売主等の取戻権〉の規定による土地重課税に係る部分と破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権

三 破産法人に対する住民税の債権と破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権

四 破産法人に対する予納事業税の債権と破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権

裁判要旨一 破産法人に対する予納法人税の債権のうち、各事業年度の所得に係る部分は、破産法四七条二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たらない。

二 破産法人に対する予納法人税の債権のうち、租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)六三条一項の規定による土地重課税に係る部分は、課税の対象となる譲渡利益金額の中に別除権の目的となつている土地等の譲渡によるものが含まれ、かつ、当該土地等の譲渡による収益の額から譲渡に際し支出された譲渡経費(換価費用)の額及び別除権者に対する優先弁済額を控除した残額がその譲渡による譲渡利益金額に満たない場合には、当該課税の対象たる譲渡利益金額の合計額からその満たない金額に相当する額を控除した金額を基礎に計算される土地重課税の額に相当する部分のみが破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たり、その余の部分は右請求権に当たらず、右以外の場合にはその全部が右請求権に当たる。

三 破産法人に対する住民税の均等割の債権は破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たり、また、破産法人に対する住民税の法人税割の債権のうち、当該法人に対する予納法人税の債権で右請求権に該当する部分に対応する部分は右請求権に当たり、その余の部分は右請求権に当たらない。

四 破産法人に対する予納事業税の債権は、破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和62年4月21日 昭和59(行ツ)333
登載
民集 第41巻3号329頁
参照法条
破産法47条2号,法人税法102条1項,法人税法105条,租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)63条1項,地方税法53条2項,地方税法72条の29第1項,地方税法321条の8第2項
論点2第47条破産法

一、借地法の適用のある賃貸借の賃貸人が賃借人の破産を理由としてする解約申入と正当事由の要否
二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合における賃料債権の性質

裁判要旨一、借地法の適用のある賃貸借の賃借人が破産しても、賃借土地上に建物を所有している場合は、賃貸人が民法六二一条に基づき解約申入をするためには、借地法四条一項但書、六条二項の正当事由が解約申入の時から民法六一七条所定の期間満了に至るまで存続することを要するものと解すべきである。
二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合、破産宣告の日以後の賃料債権は、破産法四七条七号〈開始後の法律行為の効力〉の財団債権と解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年10月30日 昭和47(オ)718
登載
民集 第27巻9号1289頁
参照法条
民法621条,借地法4条1項,借地法6条2項,破産法47条7号
論点3第47条破産法

破産宣告後は破産財団に属する財産に対し新たに国税徴収法による差押をすることができるか

裁判要旨破産宣告後は、破産財団に属する財産に対し、財団債権である国税債権をもつて新たに国税徴収法による差押をすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和39(行ツ)47
登載
民集 第24巻7号879頁
参照法条
破産法47条2号,破産法71条,国税徴収法47条
論点4第47条破産法

破産管財人の報酬と財団債権である国税その他の公課との優劣

裁判要旨破産手続において破産財団が財団債権を弁済するに不定する場合、破産管財人の報酬は、財団債権である国税その他の公課に優先して弁済を受けることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月30日 昭和40(オ)1467
登載
民集 第24巻11号1667頁
参照法条
破産法47条,破産法51条
論点5第47条破産法

破産財団に属する物件が他人の土地上に存在することによつて生ずる損害金債権の性質

裁判要旨破産財団に属する物件が他人の土地上に存在し、そのため、右土地を不法に占有することによつて生ずる損害金債権は、破産法第四七条第四号〈開始後の法律行為の効力〉所定の財団債権にあたる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年6月13日 昭和40(オ)1146
登載
民集 第22巻6号1149頁
参照法条
破産法47条4号
論点6第47条破産法

親株の取戻権者の破産管財人に対する配当金および子株の返還請求の許否

裁判要旨株式の取戻権者が株券引渡の訴を提起した後に右株式につき生じた配当金および右株式につき株主に割り当てられた新株を破産管財人において取得した場合には、右取戻権者は、破産管財人に対し不当利得に基づく財団債権として右配当金および新株の返還を請求することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年12月12日 昭和39(オ)496
登載
民集 第22巻13号2943頁
参照法条
破産法47条5号,民法704条,商法206条1項,商法280条ノ21項5号,商法280条ノ4,商法293条
論点7第47条破産法

破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に対する所得税と破産法第四七条第二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権

裁判要旨破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に課せられた所得税は、破産法第四七条第二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権にあたらない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和39(行ツ)6
登載
民集 第22巻10号2093頁
参照法条
破産法47条2号,旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条8号
論点8第47条破産法

破産者の財産に対する滞納処分手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方

裁判要旨破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年12月18日 平成8(行ツ)111
登載
集民 第186号685頁
参照法条
国税徴収法82条,国税徴収法129条1項,国税徴収法133条1項,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項
論点9第47条破産法

破産者所有の不動産に対する競売手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方

裁判要旨破産者所有の不動産に対する競売手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成9年11月28日 平成7(オ)1937
登載
民集 第51巻10号4172頁
参照法条
民事執行法84条,民事執行法87条1項,民事執行法188条,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項,破産法95条,国税徴収法82条
論点10第47条破産法

破産会社の予納法人税と破産管財人の予納申告等の義務

裁判要旨破産会社の破産管財人には、予納法人税が破産法四七条二号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタルモノ」に当たるか否かを問わず、法人税法(昭和五六年法律第一二号による改正前のもの)一〇二条及び一〇五条に基づく予納申告等の義務がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成4年10月20日 平成2(行ツ)98
登載
集民 第166号105頁
参照法条
法人税法(昭和56年法律第12号による改正前のもの)102条,法人税法(昭和56年法律第12号による改正前のもの)105条,破産法47条2号ただし書
論点11第47条破産法

1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号所定の源泉徴収義務を負うか
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たるか
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負うか

裁判要旨1 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる。
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年1月14日 平成20(行ツ)236
登載
民集 第65巻1号1頁
参照法条
(1〜3につき)所得税法6条 (1,2につき)所得税法204条1項2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)166条,破産法87条1項 (2につき)旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条3号,破産法148条1項2号 (3につき)所得税法30条1項,所得税法199条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)256条,破産法193条1項
論点12第47条破産法

破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れたことにより敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において破産管財人が悪意の受益者であるとはいえないとされた事例

裁判要旨破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れたことにより,敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において,法律上の原因の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う目的債権の担保価値を維持すべき義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人を悪意の受益者であるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(オ)184
登載
集民 第222号643頁
参照法条
民法362条,民法619条2項,民法703条,民法704条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条,破産法148条1項7号,破産法148条1項8号,破産法151条
論点13第47条破産法

1 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反するとされた事例
2 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害しても質権者に対して善管注意義務違反の責任を負うとはいえないとされた事例
3 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れた場合において破産管財人は敷金返還請求権の質権者に対して不当利得返還義務を負うとされた事例

裁判要旨1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことは,当時破産財団に上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
2 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する場合であっても,その義務違反の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う上記義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人は,質権者に対し,善管注意義務違反の責任を負うということはできない。
3 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れた場合において,当時破産財団には上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,破産管財人は,敷金返還請求権の質権者に対し,敷金返還請求権の発生が阻害されたことにより優先弁済を受けることができなくなった金額につき不当利得返還義務を負う。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(受)276
登載
民集 第60巻10号3964頁
参照法条
(1〜3につき)民法362条,民法619条2項,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条1項,破産法148条1項7号,8号,破産法151条
論点14第49条破産法

自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,保証人が留保所有権を別除権として行使することの可否

裁判要旨自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは,保証人は,上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成29年12月7日 平成29(受)408
登載
民集 第71巻10号1925頁
参照法条
破産法49条,破産法65条1項,民法369条(所有権留保),民法500条,民法501条
論点15第54条破産法

破産宣告後の不動産転借権の取得と破産法五四条一項

裁判要旨破産宣告当時破産者所有の不動産につき対抗力ある賃借権の負担が存する場合において、破産宣告後に右不動産が転貸されたとしても、特段の事情のない限り、転借人の転借権取得は破産法五四条一項所定の破産者の法律行為によらない権利の取得に該当しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和54年1月25日 昭和53(オ)662
登載
民集 第33巻1号1頁
参照法条
民法612条,破産法54条1項
論点16第59条破産法

請負人の破産と破産法五九条の適用

裁判要旨請負人が破産宣告を受けた場合には、当該請負契約の目的である仕事が請負人以外の者において完成することのできない性質のものでない限り、右契約について破産法五九条が適用される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和62年11月26日 昭和59(オ)521
登載
民集 第41巻8号1585頁
参照法条
破産法59条,民法632条
論点17第59条破産法

預託金会員制ゴルフクラブの会員のゴルフ場施設利用料金支払義務と破産法五九条一項〈交互計算〉の未履行債務

裁判要旨預託金会員制ゴルフクラブの会員がゴルフ場施設を利用した場合に発生すべき所定の施設利用料金の支払義務は、破産法五九条一項〈交互計算〉の未履行債務に当たらない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日 平成10(オ)1116
登載
集民 第197号269頁
参照法条
破産法59条1項,民法第3編第2章契約
論点18第59条破産法

一 破産管財人が破産法五九条一項〈交互計算〉に基づく解除権を行使することができない場合
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産しても破産管財人が破産法五九条一項により会員契約を解除することができないとされた事例

裁判要旨一 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法五九条一項に基づく解除権を行使することができない。
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除すると、破産財団は殊更解除に伴う財産的な出えんを要しないのに、ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持しこれを会員に利用させなければならない状況に変化がないまま、据置期間内の預託金を即時返還しなければならず、両者の均衡を失しており、同会社が右の不利益を破産法六〇条により回復することは困難であり、年会費支払義務が会員契約において付随的なものにすぎないなど判示の事情の下では、右解除により同会社に著しく不公平な状況が生じるということができ、破産管財人は、同法五九条一項により会員契約を解除することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日 平成11(受)1067
登載
集民 第197号289頁
参照法条
破産法59条1項,民法第3編第2章契約
論点19第59条破産法

一 破産管財人が破産法五九条一項〈交互計算〉に基づく解除権を行使することができない場合
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産しても破産管財人が破産法五九条一項により会員契約を解除することができないとされた事例

裁判要旨一 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法五九条一項に基づく解除権を行使することができない。
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除すると、破産財団は殊更解除に伴う財産的な出えんを要しないのに、ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持しこれを会員に利用させなければならない状況に変化がないまま、据置期間内の預託金を即時返還しなければならず、両者の均衡を失しており、同会社が右の不利益を破産法六〇条により回復することは困難であり、年会費支払義務が会員契約において付随的なものにすぎないなど判示の事情の下では、右解除により同会社に著しく不公平な状況が生じるということができ、破産管財人は、同法五九条一項により会員契約を解除することができない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成12年2月29日 平成8(オ)2224
登載
民集 第54巻2号553頁
参照法条
破産法59条1項,民法第3編第2章契約
原

条文原文

原文ママ

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破産法 第47条(開始後の法律行為の効力) 詳細ページ
(開始後の法律行為の効力)
第四十七条破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。
2破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。
破産法 第48条(開始後の権利取得の効力) 詳細ページ
(開始後の権利取得の効力)
第四十八条破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。
2前条第二項の規定は、破産手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。
破産法 第49条(開始後の登記及び登録の効力) 詳細ページ
(開始後の登記及び登録の効力)
第四十九条不動産又は船舶に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が破産手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
2前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
破産法 第50条(開始後の破産者に対する弁済の効力) 詳細ページ
(開始後の破産者に対する弁済の効力)
第五十条破産手続開始後に、その事実を知らないで破産者にした弁済は、破産手続の関係においても、その効力を主張することができる。
2破産手続開始後に、その事実を知って破産者にした弁済は、破産財団が受けた利益の限度においてのみ、破産手続の関係において、その効力を主張することができる。
破産法 第51条(善意又は悪意の推定) 詳細ページ
(善意又は悪意の推定)
第五十一条前二条の規定の適用については、第三十二条第一項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。
破産法 第52条(共有関係) 詳細ページ
(共有関係)
第五十二条数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者があるときは、その共有に係る財産の分割の請求は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、することができる。
2前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って破産者の持分を取得することができる。
破産法 第53条(双務契約) 詳細ページ
(双務契約)
第五十三条双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
2前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。
3前項の規定は、相手方又は破産管財人が民法第六百三十一条前段の規定により解約の申入れをすることができる場合又は同法第六百四十二条第一項前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。
破産法 第54条 詳細ページ
第五十四条前条第一項又は第二項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。
2前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。
破産法 第55条(継続的給付を目的とする双務契約) 詳細ページ
(継続的給付を目的とする双務契約)
第五十五条破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。
2前項の双務契約の相手方が破産手続開始の申立て後破産手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、財団債権とする。
3前二項の規定は、労働契約には、適用しない。
破産法 第56条(賃貸借契約等) 詳細ページ
(賃貸借契約等)
第五十六条第五十三条第一項及び第二項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。
2前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。
破産法 第57条(委任契約) 詳細ページ
(委任契約)
第五十七条委任者について破産手続が開始された場合において、受任者は、民法第六百五十五条の規定による破産手続開始の通知を受けず、かつ、破産手続開始の事実を知らないで委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について、破産債権者としてその権利を行使することができる。
破産法 第58条(市場の相場がある商品の取引に係る契約) 詳細ページ
(市場の相場がある商品の取引に係る契約)
第五十八条取引所の相場その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって、その取引の性質上特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて、その時期が破産手続開始後に到来すべきときは、当該契約は、解除されたものとみなす。
2前項の場合において、損害賠償の額は、履行地又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引であって同一の時期に履行すべきものの相場と当該契約における商品の価格との差額によって定める。
3第五十四条第一項の規定は、前項の規定による損害の賠償について準用する。
4第一項又は第二項に定める事項について当該取引所又は市場における別段の定めがあるときは、その定めに従う。
5第一項の取引を継続して行うためにその当事者間で締結された基本契約において、その基本契約に基づいて行われるすべての同項の取引に係る契約につき生ずる第二項に規定する損害賠償の債権又は債務を差引計算して決済する旨の定めをしたときは、請求することができる損害賠償の額の算定については、その定めに従う。
破産法 第59条(交互計算) 詳細ページ
(交互計算)
第五十九条交互計算は、当事者の一方について破産手続が開始されたときは、終了する。この場合においては、各当事者は、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。
2前項の規定による請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し、相手方が有するときは破産債権とする。
破産法 第60条(為替手形の引受け又は支払等) 詳細ページ
(為替手形の引受け又は支払等)
第六十条為替手形の振出人又は裏書人について破産手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、破産債権者としてその権利を行使することができる。
2前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。
3第五十一条の規定は、前二項の規定の適用について準用する。
破産法 第61条(夫婦財産関係における管理者の変更等) 詳細ページ
(夫婦財産関係における管理者の変更等)
第六十一条民法第七百五十八条第二項及び第三項並びに第七百五十九条の規定は配偶者の財産を管理する者につき破産手続が開始された場合について、同法第八百三十五条の規定は親権を行う者につき破産手続が開始された場合について準用する。
出

一次情報

原文ママ

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