論点1第47条破産法
一 破産法人に対する予納法人税の債権のうち各事業年度の所得に係る部分と破産法四七条二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
二 破産法人に対する予納法人税の債権のうち租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)六三条一項〈運送中の物品の売主等の取戻権〉の規定による土地重課税に係る部分と破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
三 破産法人に対する住民税の債権と破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
四 破産法人に対する予納事業税の債権と破産法四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
裁判要旨一 破産法人に対する予納法人税の債権のうち、各事業年度の所得に係る部分は、破産法
四七条二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たらない。
二 破産法人に対する予納法人税の債権のうち、租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)六三条一項の規定による土地重課税に係る部分は、課税の対象となる譲渡利益金額の中に別除権の目的となつている土地等の譲渡によるものが含まれ、かつ、当該土地等の譲渡による収益の額から譲渡に際し支出された譲渡経費(換価費用)の額及び別除権者に対する優先弁済額を控除した残額がその譲渡による譲渡利益金額に満たない場合には、当該課税の対象たる譲渡利益金額の合計額からその満たない金額に相当する額を控除した金額を基礎に計算される土地重課税の額に相当する部分のみが破産法
四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たり、その余の部分は右請求権に当たらず、右以外の場合にはその全部が右請求権に当たる。
三 破産法人に対する住民税の均等割の債権は破産法
四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たり、また、破産法人に対する住民税の法人税割の債権のうち、当該法人に対する予納法人税の債権で右請求権に該当する部分に対応する部分は右請求権に当たり、その余の部分は右請求権に当たらない。
四 破産法人に対する予納事業税の債権は、破産法
四七条二号但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和62年4月21日 昭和59(行ツ)333
- 登載
- 民集 第41巻3号329頁
- 参照法条
- 破産法47条2号,法人税法102条1項,法人税法105条,租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)63条1項,地方税法53条2項,地方税法72条の29第1項,地方税法321条の8第2項
論点2第47条破産法
一、借地法の適用のある賃貸借の賃貸人が賃借人の破産を理由としてする解約申入と正当事由の要否
二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合における賃料債権の性質
裁判要旨一、借地法の適用のある賃貸借の賃借人が破産しても、賃借土地上に建物を所有している場合は、賃貸人が民法六二一条に基づき解約申入をするためには、借地法四条一項但書、六条二項の正当事由が解約申入の時から民法六一七条所定の期間満了に至るまで存続することを要するものと解すべきである。
二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合、破産宣告の日以後の賃料債権は、破産法
四七条七号〈開始後の法律行為の効力〉の財団債権と解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年10月30日 昭和47(オ)718
- 登載
- 民集 第27巻9号1289頁
- 参照法条
- 民法621条,借地法4条1項,借地法6条2項,破産法47条7号
論点3第47条破産法
破産宣告後は破産財団に属する財産に対し新たに国税徴収法による差押をすることができるか
裁判要旨破産宣告後は、破産財団に属する財産に対し、財団債権である国税債権をもつて新たに国税徴収法による差押をすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年7月16日 昭和39(行ツ)47
- 登載
- 民集 第24巻7号879頁
- 参照法条
- 破産法47条2号,破産法71条,国税徴収法47条
論点4第47条破産法
破産管財人の報酬と財団債権である国税その他の公課との優劣
裁判要旨破産手続において破産財団が財団債権を弁済するに不定する場合、破産管財人の報酬は、財団債権である国税その他の公課に優先して弁済を受けることができる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和45年10月30日 昭和40(オ)1467
- 登載
- 民集 第24巻11号1667頁
- 参照法条
- 破産法47条,破産法51条
論点5第47条破産法
破産財団に属する物件が他人の土地上に存在することによつて生ずる損害金債権の性質
裁判要旨破産財団に属する物件が他人の土地上に存在し、そのため、右土地を不法に占有することによつて生ずる損害金債権は、破産法
第四七条第四号〈開始後の法律行為の効力〉所定の財団債権にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年6月13日 昭和40(オ)1146
- 登載
- 民集 第22巻6号1149頁
- 参照法条
- 破産法47条4号
論点6第47条破産法
親株の取戻権者の破産管財人に対する配当金および子株の返還請求の許否
裁判要旨株式の取戻権者が株券引渡の訴を提起した後に右株式につき生じた配当金および右株式につき株主に割り当てられた新株を破産管財人において取得した場合には、右取戻権者は、破産管財人に対し不当利得に基づく財団債権として右配当金および新株の返還を請求することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和43年12月12日 昭和39(オ)496
- 登載
- 民集 第22巻13号2943頁
- 参照法条
- 破産法47条5号,民法704条,商法206条1項,商法280条ノ21項5号,商法280条ノ4,商法293条
論点7第47条破産法
破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に対する所得税と破産法第四七条第二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権
裁判要旨破産宣告後の原因に基づく破産者の所得に課せられた所得税は、破産法
第四七条第二号〈開始後の法律行為の効力〉但書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年10月8日 昭和39(行ツ)6
- 登載
- 民集 第22巻10号2093頁
- 参照法条
- 破産法47条2号,旧所得税法(昭和22年法律第27号)9条8号
論点8第47条破産法
破産者の財産に対する滞納処分手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方
裁判要旨破産者の財産に対する滞納処分手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成9年12月18日 平成8(行ツ)111
- 登載
- 集民 第186号685頁
- 参照法条
- 国税徴収法82条,国税徴収法129条1項,国税徴収法133条1項,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項
論点9第47条破産法
破産者所有の不動産に対する競売手続における交付要求に係る配当金を交付すべき相手方
裁判要旨破産者所有の不動産に対する競売手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え又は参加差押えがされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成9年11月28日 平成7(オ)1937
- 登載
- 民集 第51巻10号4172頁
- 参照法条
- 民事執行法84条,民事執行法87条1項,民事執行法188条,破産法47条2号,破産法49条,破産法51条1項,破産法71条1項,破産法95条,国税徴収法82条
論点10第47条破産法
破産会社の予納法人税と破産管財人の予納申告等の義務
裁判要旨破産会社の破産管財人には、予納法人税が破産法四七条二号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタルモノ」に当たるか否かを問わず、法人税法(昭和五六年法律第一二号による改正前のもの)一〇二条及び一〇五条に基づく予納申告等の義務がある。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成4年10月20日 平成2(行ツ)98
- 登載
- 集民 第166号105頁
- 参照法条
- 法人税法(昭和56年法律第12号による改正前のもの)102条,法人税法(昭和56年法律第12号による改正前のもの)105条,破産法47条2号ただし書
論点11第47条破産法
1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号所定の源泉徴収義務を負うか
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たるか
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負うか
裁判要旨1 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる。
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成23年1月14日 平成20(行ツ)236
- 登載
- 民集 第65巻1号1頁
- 参照法条
- (1〜3につき)所得税法6条 (1,2につき)所得税法204条1項2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)166条,破産法87条1項 (2につき)旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条3号,破産法148条1項2号 (3につき)所得税法30条1項,所得税法199条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)256条,破産法193条1項
論点12第47条破産法
破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れたことにより敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において破産管財人が悪意の受益者であるとはいえないとされた事例
裁判要旨破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れたことにより,敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において,法律上の原因の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う目的債権の担保価値を維持すべき義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人を悪意の受益者であるということはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(オ)184
- 登載
- 集民 第222号643頁
- 参照法条
- 民法362条,民法619条2項,民法703条,民法704条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条,破産法148条1項7号,破産法148条1項8号,破産法151条
論点13第47条破産法
1 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反するとされた事例
2 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害しても質権者に対して善管注意義務違反の責任を負うとはいえないとされた事例
3 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れた場合において破産管財人は敷金返還請求権の質権者に対して不当利得返還義務を負うとされた事例
裁判要旨1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことは,当時破産財団に上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
2 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する場合であっても,その義務違反の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う上記義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人は,質権者に対し,善管注意義務違反の責任を負うということはできない。
3 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れた場合において,当時破産財団には上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,破産管財人は,敷金返還請求権の質権者に対し,敷金返還請求権の発生が阻害されたことにより優先弁済を受けることができなくなった金額につき不当利得返還義務を負う。
(2につき補足意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(受)276
- 登載
- 民集 第60巻10号3964頁
- 参照法条
- (1〜3につき)民法362条,民法619条2項,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条1項,破産法148条1項7号,8号,破産法151条
論点14第49条破産法
自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,保証人が留保所有権を別除権として行使することの可否
裁判要旨自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは,保証人は,上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成29年12月7日 平成29(受)408
- 登載
- 民集 第71巻10号1925頁
- 参照法条
- 破産法49条,破産法65条1項,民法369条(所有権留保),民法500条,民法501条
論点15第54条破産法
破産宣告後の不動産転借権の取得と破産法五四条一項
裁判要旨破産宣告当時破産者所有の不動産につき対抗力ある賃借権の負担が存する場合において、破産宣告後に右不動産が転貸されたとしても、特段の事情のない限り、転借人の転借権取得は破産法五四条一項所定の破産者の法律行為によらない権利の取得に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年1月25日 昭和53(オ)662
- 登載
- 民集 第33巻1号1頁
- 参照法条
- 民法612条,破産法54条1項
論点16第59条破産法
請負人の破産と破産法五九条の適用
裁判要旨請負人が破産宣告を受けた場合には、当該請負契約の目的である仕事が請負人以外の者において完成することのできない性質のものでない限り、右契約について破産法五九条が適用される。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和62年11月26日 昭和59(オ)521
- 登載
- 民集 第41巻8号1585頁
- 参照法条
- 破産法59条,民法632条
論点17第59条破産法
預託金会員制ゴルフクラブの会員のゴルフ場施設利用料金支払義務と破産法五九条一項〈交互計算〉の未履行債務
裁判要旨預託金会員制ゴルフクラブの会員がゴルフ場施設を利用した場合に発生すべき所定の施設利用料金の支払義務は、破産法
五九条一項〈交互計算〉の未履行債務に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日 平成10(オ)1116
- 登載
- 集民 第197号269頁
- 参照法条
- 破産法59条1項,民法第3編第2章契約
論点18第59条破産法
一 破産管財人が破産法五九条一項〈交互計算〉に基づく解除権を行使することができない場合
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産しても破産管財人が破産法五九条一項により会員契約を解除することができないとされた事例
裁判要旨一 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法五九条一項に基づく解除権を行使することができない。
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除すると、破産財団は殊更解除に伴う財産的な出えんを要しないのに、ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持しこれを会員に利用させなければならない状況に変化がないまま、据置期間内の預託金を即時返還しなければならず、両者の均衡を失しており、同会社が右の不利益を破産法六〇条により回復することは困難であり、年会費支払義務が会員契約において付随的なものにすぎないなど判示の事情の下では、右解除により同会社に著しく不公平な状況が生じるということができ、破産管財人は、同法五九条一項により会員契約を解除することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成12年3月9日 平成11(受)1067
- 登載
- 集民 第197号289頁
- 参照法条
- 破産法59条1項,民法第3編第2章契約
論点19第59条破産法
一 破産管財人が破産法五九条一項〈交互計算〉に基づく解除権を行使することができない場合
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産しても破産管財人が破産法五九条一項により会員契約を解除することができないとされた事例
裁判要旨一 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法五九条一項に基づく解除権を行使することができない。
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除すると、破産財団は殊更解除に伴う財産的な出えんを要しないのに、ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持しこれを会員に利用させなければならない状況に変化がないまま、据置期間内の預託金を即時返還しなければならず、両者の均衡を失しており、同会社が右の不利益を破産法六〇条により回復することは困難であり、年会費支払義務が会員契約において付随的なものにすぎないなど判示の事情の下では、右解除により同会社に著しく不公平な状況が生じるということができ、破産管財人は、同法五九条一項により会員契約を解除することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成12年2月29日 平成8(オ)2224
- 登載
- 民集 第54巻2号553頁
- 参照法条
- 破産法59条1項,民法第3編第2章契約