民事訴訟法 / テーマ別まとめ

上訴/控訴

控訴の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決や簡易裁判所の終局判決に対する不服申立ての手続です。誰が対象になり、いつまでに、どこへ、どのような書面で申し立てるか、また却下・取下げ・附帯控訴の扱いや控訴審での審理の範囲を定めています。

控訴
対象となる裁判控訴の可否備考
地裁・簡裁の終局判決できる通常のケース
上告権留保の不控訴合意ありできない双方合意が必要
訴訟費用の負担のみの裁判独立控訴は不可本案とあわせて争う
終局判決前の裁判控訴審の判断を受ける即時には争えない
不服申立て不可・抗告対象の裁判控訴審の対象外別途抗告等による
  • 281条ただし書:当事者双方が上告権を留保し控訴をしない旨の合意をした場合は控訴できない
  • 上記の合意には11条2項・3項の規定が準用される
  • 282条:訴訟費用の負担の裁判だけを取り出して独立して控訴することはできない
  • 283条ただし書:不服申立てができない裁判、抗告により不服申立てができる裁判は控訴審の対象外
1

控訴

控訴について、条文は何を定めているか。

第281条控訴をすることができる判決等地裁・簡裁の終局判決に控訴できる2項判例 2件
  • 地裁の第一審判決・簡裁の判決が控訴の対象
  • 双方が上告権を留保し控訴しない合意をすれば控訴不可
  • 11条2項〈管轄の合意〉・3項がこの合意に準用される
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第282条訴訟費用の負担の裁判に対する控訴の制限訴訟費用の裁判だけでは控訴不可1項判例なし
  • 訴訟費用の負担部分だけを取り出して独立して控訴できない
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第283条控訴裁判所の判断を受ける裁判判決前の裁判は控訴審でまとめて審理1項判例なし
  • 終局判決前の裁判は原則として控訴裁判所の判断を受ける
  • 不服申立てできない裁判は対象外
  • 抗告で争える裁判も対象外
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第284条控訴権の放棄控訴する権利は放棄できる1項判例なし
  • 控訴をする権利は放棄することができる
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第285条控訴期間控訴期間は送達から2週間1項判例 2件
  • 電子判決書等の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起
  • 期間前に提起した控訴の効力も妨げられない
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第286条控訴提起の方式控訴状を第一審裁判所へ提出2項・2号判例 2件
  • 控訴状は第一審裁判所に提出する
  • 当事者・法定代理人を記載する
  • 第一審判決の表示と控訴する旨を記載する
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第287条第一審裁判所による控訴の却下不備が直らない控訴は第一審が却下2項判例なし
  • 補正できない不適法な控訴は第一審裁判所が決定で却下
  • この却下決定には即時抗告ができる
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第288条裁判長の控訴状審査権等控訴状の不備は裁判長が審査1項判例 1件
  • 記載事項違反には137条〈裁判長の訴状審査権〉、手数料未納には137条の2〈訴えの提起の手数料の納付がない場合の訴状却下〉を準用
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第289条控訴状の送達控訴状は被控訴人に送達2項判例 3件
  • 控訴状は被控訴人に送達しなければならない
  • 送達できない場合(費用未予納含む)は137条〈裁判長の訴状審査権〉を準用
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第290条口頭弁論を経ない控訴の却下不備が直らない控訴は控訴審も却下可1項判例なし
  • 補正できない不適法な控訴は口頭弁論を経ずに判決で却下できる
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第291条呼出費用の予納がない場合の控訴の却下呼出費用を予納しないと却下も2項判例なし
  • 相当の期間を定めた予納命令に応じないと決定で控訴却下
  • この却下決定には即時抗告ができる
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第292条控訴の取下げ控訴は控訴審判決まで取下げ可2項判例なし
  • 控訴審の終局判決があるまで取り下げることができる
  • 261条3項〈訴えの取下げ〉・4項、262条1項〈訴えの取下げの効果〉、263条〈訴えの取下げの擬制〉の規定を準用
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第293条附帯控訴被控訴人は附帯控訴ができる3項判例 2件
  • 控訴権消滅後でも口頭弁論終結まで附帯控訴が可能
  • 控訴の取下げ・却下により附帯控訴は原則効力を失う
  • 控訴の要件を備えれば独立した控訴とみなす
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第294条第一審判決についての仮執行の宣言第一審の未確定部分に仮執行宣言可1項判例 4件
  • 不服申立てがない部分に限り申立てにより決定で仮執行宣言できる
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第295条仮執行に関する裁判に対する不服申立て仮執行の裁判には原則不服申立て不可1項判例 1件
  • 仮執行に関する控訴審の裁判には不服申立てができない
  • 294条〈第一審判決についての仮執行の宣言〉の申立てを却下する決定には即時抗告ができる
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第296条口頭弁論の範囲等口頭弁論は変更を求める範囲のみ2項判例なし
  • 第一審判決の変更を求める限度でのみ口頭弁論を行う
  • 当事者は第一審における口頭弁論の結果を陳述する
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第297条第一審の訴訟手続の規定の準用第一審の手続規定を控訴審に準用1項判例 5件
  • 前編第1章から第7章までの規定を控訴審の手続に準用
  • 訴えの変更に関する269条〈大規模訴訟に係る事件における合議体の構成〉は準用されない
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第298条第一審の訴訟行為の効力等第一審の訴訟行為は控訴審でも有効2項判例 2件
  • 第一審でした訴訟行為は控訴審でも効力を持つ
  • 準備的口頭弁論等終了後の攻撃防御方法提出は167条〈準備的口頭弁論終了後の攻撃防御方法の提出〉・178条〈書面による準備手続終結後の攻撃防御方法の提出〉を準用
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第299条第一審の管轄違いの主張の制限第一審の管轄違いは原則主張不可2項判例なし
  • 控訴審では第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張できない
  • 専属管轄(11条〈管轄の合意〉の合意によるものを除く)は主張できる
  • 6条1項〈特許権等に関する訴え等の管轄〉の裁判所で他の専属管轄に属する訴訟は例外が適用されない
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第300条反訴の提起等控訴審の反訴は相手の同意が必要3項判例 1件
  • 反訴の提起は相手方の同意がある場合に限られる
  • 異議を述べず本案の弁論をすれば同意したとみなす
  • 選定者に係る請求の追加にも同様の規定を準用
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第281条民事訴訟法

新聞記者の証言拒絶を理由ありとした決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告がその実質は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎず不適法であるとして却下された事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和55年3月6日 昭和54(ク)392
登載
集民 第129号255頁
参照法条
憲法21条,民訴法281条1項3号
論点2第281条民事訴訟法

事件が一人の裁判官により審理された後、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が民訴法254条1項により判決書の原本に基づかないで第1審判決を言い渡した場合において、全部勝訴した原告が控訴をすることの許否

裁判要旨第1審において、事件が一人の裁判官により審理された後、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が民訴法254条1項により判決書の原本に基づかないで第1審判決を言い渡した場合、全部勝訴した原告であっても、第1審判決に対して控訴をすることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和5年3月24日 令和4(受)324
登載
民集 第77巻3号803頁
参照法条
民訴法249条1項、民訴法254条1項、民訴法281条1項、民訴法338条1項1号
論点3第285条民事訴訟法

宣誓無能力者が宣誓のうえした証言の効力。

裁判要旨民訴法第二八九条により宣誓をさせることのできない者が宣誓のうえした証言であつても、裁判所は、これを証拠として採用することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和40年10月21日 昭和38(オ)980
登載
民集 第19巻7号1910頁
参照法条
民訴法289条,民訴法285条
論点4第285条民事訴訟法

一 同一審級における同一証人の再尋問と宣誓の要否
二 宣誓を欠く証人尋問手続の違法と責問権
三 民事上告審判特例法の違憲を上告理由とすることの適否

裁判要旨一 同一審級において同一証人を再び尋問する場合においても、尋問事項を異にするときは、宣誓をなさしめることを要する。
二 宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合と雖も、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失う。
三 最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律が違憲であることを上告理由とすることは許されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和29年2月11日 昭和26(オ)878
登載
民集 第8巻2号429頁
参照法条
民訴法285条,民訴法141条,民訴法394条
論点5第286条民事訴訟法

即時抗告申立書の写しを即時抗告の相手方に送付するなどして相手方に攻撃防御の機会を与えることなく,相手方の申立てに係る文書提出命令を取り消し,同申立てを却下した抗告裁判所の審理手続に違法があるとして職権により破棄された事例

裁判要旨時間外勤務手当の支払を求める訴訟を提起したXの申立てにより,受訴裁判所が,使用者であるYに対し,Xのタイムカードの提出を命ずる決定をしたため,Yが上記タイムカードを所持している事実を争って即時抗告をした場合において,次の(1)〜(4)など判示の事情の下では,抗告裁判所が,即時抗告申立書の写しをXに送付するなどしてXに攻撃防御の機会を与えることのないまま,上記タイムカードが存在していると認めるに足りないとして,上記決定を取り消し,上記申立てを却下するというXに不利益な判断をしたことは,明らかに民事訴訟における手続的正義の要求に反するというべきであり,その審理手続には,裁量の範囲を逸脱した違法がある。
(1) 上記訴訟において,上記タイムカードは,Xが労働に従事した事実及び労働時間を証明する上で極めて重要な書証である。
(2) Yが上記タイムカードを所持しているとの事実の存否の判断は,当事者の主張やその提出する証拠に依存するところが大きい。
(3) 上記即時抗告申立書には,Yが上記タイムカードを所持していると認めた上記決定に対する反論が具体的な理由を示して記載され,かつ,上記理由を裏付ける証拠として,上記決定後にその写しが提出された書証が引用されていた。
(4) Xにおいて,Yが即時抗告をしたことを知っていた事実や,そのことを知らなかったことにつきXの責めに帰すべき事由があることはうかがわれない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成23年4月13日 平成22(ク)1088
登載
民集 第65巻3号1290頁
参照法条
民訴法2条,民訴法221条1項,民訴法223条1項,民訴法223条7項,民訴法286条1項,民訴法289条1項,民訴法331条本文,民訴規則47条1項
論点6第286条民事訴訟法

最高裁判所が、抗告許可の申立てについて、抗告許可申立書が最高裁判所に提出されたことを理由として、原裁判所に移送することなく不適法として却下することができる場合

裁判要旨抗告許可の申立てをする者が、抗告許可申立書を提出すべき裁判所が原裁判所であることを認識しながら不当な目的をもってあえて最高裁判所に抗告許可申立書を提出した場合には、最高裁判所は、抗告許可の申立てについて、抗告許可申立書が最高裁判所に提出されたことを理由として、原裁判所に移送することなく不適法として却下することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 令和8年1月28日 令和7(許)18
登載
民集 第80巻1号101頁
参照法条
民訴法16条1項、民訴法286条1項、民訴法313条、民訴法337条1項、2項、6項
論点7第288条民事訴訟法

抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正命令を受けた者が,当該命令において定められた期間の経過後にこれを納付した場合の抗告状の効力

裁判要旨抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正命令を受けた者が,当該命令において定められた期間内にこれを納付しなかった場合においても,その不納付を理由とする抗告状却下命令が確定する前にこれを納付すれば,その不納付の瑕疵は補正され,抗告状は当初に遡って有効となる。
(補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成27年12月17日 平成27(行フ)1
登載
集民 第251号121頁
参照法条
民訴法137条,民訴法288条,民訴法331条
論点8第289条民事訴訟法

婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことと憲法32条

裁判要旨婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が,抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことは,憲法32条所定の「裁判を受ける権利」を侵害したものとはいえない。
(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成20年5月8日 平成19(ク)1128
登載
集民 第228号1頁
参照法条
憲法32条,民法760条,家事審判法7条,家事審判法9条1項乙類3号,家事審判規則18条,非訟事件手続法25条,民訴法289条1項,民訴法331条本文
論点9第293条民事訴訟法

上告受理の申立てにつき不受理決定がされた場合の附帯上告受理の申立ての帰すう

裁判要旨上告受理の申立てに対して附帯上告受理の申立てがされた場合において,上告受理の申立てにつき事件を上告審として受理しない旨の決定がされたときは,民訴法318条5項,313条〈控訴の規定の準用〉,293条2項〈附帯控訴〉により,附帯上告受理の申立ては,それが上告受理の申立ての要件を備えるものでない限り,その効力を失う。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年4月8日 平成10(受)475
登載
集民 第193号1頁
参照法条
民訴法293条2項,民訴法313条,民訴法318条5項
論点10第293条民事訴訟法

上告受理の申立てに対する附帯上告の提起又は上告に対する附帯上告受理の申立ての許否

裁判要旨上告受理の申立てに対して附帯上告を提起し、又は上告に対して附帯上告受理の申立てをすることは,許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成11年4月23日 平成10(受)644
登載
集民 第193号253頁
参照法条
民訴法293条,民訴法313条,民訴法318条5項
論点11第294条民事訴訟法

反対訊問の機会がなかつた本人訊問の結果を証拠資料となし得る一事例。

裁判要旨当事者本人に対する臨床訊問が途中で打ち切られ、結局、反対訊問の機会がなかつたとしても、それが、右本人の病状に照らし、やむを得ない事由によるものと認められる以上、右本人訊問の結果は、これを証拠資料としても違法ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年2月8日 昭和30(オ)249
登載
民集 第11巻2号258頁
参照法条
民訴法294条1項,民訴法342条
論点12第294条民事訴訟法

裁判所が職権で訊問した証人の供述を事実認定の資料とすることの適否

裁判要旨裁判所が職権で訊問した証人の供述を事実認定の資料に供しても、その証人の訊問がさきに当事者の申請に基き訊問した証人の再訊問であつて、かつその訊問事項も当事者が訊問を求めた事項の範囲を出でないものであるときは、裁判所の右の措置をもつて、弁論主義に違反する違法があるものとなすべきではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和30年7月14日 昭和28(オ)1051
登載
民集 第9巻9号1038頁
参照法条
民訴法旧261条,民訴法294条
論点13第294条民事訴訟法

伝聞証言の証拠能力

裁判要旨民訴第二九四条〈第一審判決についての仮執行の宣言〉が証人尋問につき一種の交互尋問制をとつているからといつて、そのためいわゆる伝聞証言の証拠能力が当然制限されると解すべきではなく、右証言の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委されているものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和27年12月5日 昭和25(オ)181
登載
民集 第6巻11号1117頁
参照法条
民訴法294条,民訴法185条
論点14第294条民事訴訟法

刑事訴訟手続において外国の管轄司法機関により行われた嘱託証人尋問の調書の民事訴訟における証拠能力

裁判要旨刑事訴訟手続において外国の管轄司法機関により行われた嘱託証人尋問の調書は、当事者に反対尋問の機会が与えられていなくても、民事訴訟において書証としての証拠能力を有する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成7年6月29日 平成6(行ツ)16
登載
集民 第175号769頁
参照法条
民訴法294条1項,民訴法第2編第3章第4節書証,刑訴法226条
論点15第295条民事訴訟法

尋問事項書を相手方に交付せずにされた証人尋問の適否

裁判要旨尋問事項書を相手方に交付せずに証人尋問が行われた場合でも、それが再尋問であつて尋問内容を容易に予想することができ、かつ異議なく尋問を終了したときは、該証言を採用しても、違法ではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和41年3月25日 昭和40(オ)1375
登載
集民 第82号781頁
参照法条
民訴法276条,民訴法295条,民訴規則31条
論点16第297条民事訴訟法

1 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告を提起した後にされた他の共同訴訟人による上告の適否
2 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後にされた他の共同訴訟人による上告受理の申立ての適否

裁判要旨1 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告を提起した後に他の共同訴訟人が提起した上告は,二重上告として不適法である。
2 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて,共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後に他の共同訴訟人がした上告受理の申立ては,二重上告受理の申立てとして不適法である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年2月17日 平成21(オ)1022
登載
集民 第236号67頁
参照法条
(1,2につき)民訴法40条1項,民訴法142条,民訴法297条,民訴法313条,人事訴訟法2条3号 (2につき)民訴法318条5項
論点17第297条民事訴訟法

1 原告として確定されるべき者が訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが昭和47年9月29日の日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された国家としての中国であるとされた事例
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅が公知の事実である場合における代表権の消滅の効力発生時期
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に我が国政府が当該外国国家の政府として上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したために上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合における訴訟手続の中断
4 上告審が職権探知事項に当たる中断事由の存在を確認して原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨1 (1)本件訴訟は昭和42年9月6日に提起されたが,その訴状には,原告の表示として「中華民国」と,原告代表者の表示として「中華民国駐日本国特命全権大使」とそれぞれ記載されていたこと,(2)原告の訴訟代理人に訴訟代理権を授与したのは,中華民国駐日本国特命全権大使であったこと,(3)「中華民国」は,国家としての中国(中国国家)の国名として用いられてきたものであること,(4)我が国政府は,中国国家の政府として中華民国政府を承認し,昭和27年4月28日,同政府との間で,「日本国と中華民国との間の平和条約」を締結しており,訴訟提起当時,中国国家の我が国における代表権は,中華民国駐日本国特命全権大使が有していたこと,(5)中華民国政府は,訴訟提起当時,自らが中国国家の唯一の政府であると主張していたこと,(6)我が国政府が,昭和47年9月29日,「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明)において,中国国家の政府として,中華民国政府に代えて中華人民共和国政府を承認したことに伴って,中国国家の国名が「中華民国」から「中華人民共和国」に変更されたことなど判示の事実関係の下では,原告として確定されるべき者は,訴訟提起当時その国名を「中華民国」としていたが,日中共同声明に伴って「中華人民共和国」に国名が変更された中国国家というべきである。
2 訴訟当事者を代表していた者の代表権の消滅は,それが公知の事実である場合には,相手方に通知されなくても直ちにその効力を生ずる。
3 外国国家を代表して外交使節が我が国で訴訟を提起した後に,我が国政府が,当該外国国家の政府として,上記外交使節を派遣していた政府に代えて新たな政府を承認したため,上記外交使節の我が国における当該外国国家の代表権が消滅した場合には,上記外交使節から訴訟代理権の授与を受けた訴訟代理人がいるとしても,上記代表権の消滅の時点で,訴訟手続は中断する。
4 上告審は,職権探知事項に当たる中断事由が存在することを確認して原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年3月27日 昭和62(オ)685
登載
民集 第61巻2号711頁
参照法条
(1につき)民訴法第1編第3章 当事者,民訴法133条2項1号 (2,3につき)民訴法37条 (2につき)民訴法36条1項 (3,4につき)民訴法124条1項3号 (3につき)民訴法58条1項4号,民訴法124条2項,外交関係に関するウィーン条約3条1(a) (4につき)民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条,旧民訴法395条1項4号
論点18第297条民事訴訟法

判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由に上告裁判所が原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨上告裁判所は,判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成19年1月16日 平成18(オ)1598
登載
集民 第223号1頁
参照法条
民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法312条2項1号,民訴法313条,民訴法319条
論点19第297条民事訴訟法

上告審が判決で訴訟の終了を宣言する前提として原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨上告審は,判決で訴訟の終了を宣言する前提として原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成18年9月4日 平成17(オ)1451
登載
集民 第221号1頁
参照法条
民訴法87条,民訴法124条1項,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条
論点20第297条民事訴訟法

1 地方税法585条1項にいう「土地又はその取得」の意義
2 上告審が不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する前提として原判決を破棄する場合における口頭弁論の要否

裁判要旨1 地方税法585条1項にいう「土地又はその取得」とは,経過的事実に則してとらえた土地の所有又はその所有権取得の事実をいい,所有権取得の原因となった法律行為が取消し,解除等により覆されたかどうかにかかわらない。
2 上告審は,不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する前提として原判決を破棄する場合には,口頭弁論を経ないでその旨の判決をすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年12月17日 平成13(行ツ)205
登載
集民 第208号581頁
参照法条
地方税法585条1項,民訴法87条,民訴法140条,民訴法297条,民訴法313条,民訴法319条
論点21第298条民事訴訟法

建物の賃借人が賃貸借終了後に右建物につき留置権を行使した場合に建物の使用を継続することができるか

裁判要旨建物の従前の賃借人が、賃借中支出した費用の償還を請求するためその建物につき留置権を行使した場合には、賃借中と同一の態様をもつて建物の占有・使用を継続することは、特段の事情のないかぎり、留置権に基づく適法な行為と解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年3月30日 昭和45(オ)1142
登載
集民 第105号413頁
参照法条
民訴法298条2項
論点22第298条民事訴訟法

証人尋問中の当事者本人に対する退任命令の有無と口頭弁論調書の証明力

裁判要旨口頭弁論の方式に関する事項は、調書の記載のみによつて証明できるから、証人尋問中、当事者本人の退廷を命じたことの違法をいう所論は、右調書にその旨の記載がない以上採用できない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和37年2月2日 昭和35(オ)119
登載
集民 第58号501頁
参照法条
民訴法147条,民訴法298条
論点23第300条民事訴訟法

1 離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについての控訴審における相手方の同意の要否
2 原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において上訴審が原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について違法があることを理由に原判決を破棄し又は取り消して当該事件を原審に差し戻すとの判断に至ったときに離婚請求に係る部分を差し戻すことの要否

裁判要旨1 離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについては,控訴審においても,相手方の同意を要しない。
2 原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において,上訴審が,原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について違法があることを理由に原判決を破棄し,又は取り消して当該事件を原審に差し戻すとの判断に至ったときには,離婚請求を認容した原審の判断に違法がない場合であっても,財産分与の申立てに係る部分のみならず,離婚請求に係る部分をも破棄し,又は取り消して,共に原審に差し戻すこととするのが相当である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成16年6月3日 平成14(受)505
登載
集民 第214号355頁
参照法条
民法768条,民法771条,人事訴訟法32条1項,家事審判法9条1項乙類5号,人事訴訟手続法8条,人事訴訟法18条,民訴法300条,民訴法307条,民訴法308条,民訴法325条
原

条文原文

原文ママ

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民事訴訟法 第281条(控訴をすることができる判決等) 詳細ページ
(控訴をすることができる判決等)
第二百八十一条控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
2第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。
民事訴訟法 第282条(訴訟費用の負担の裁判に対する控訴の制限) 詳細ページ
(訴訟費用の負担の裁判に対する控訴の制限)
第二百八十二条訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して控訴をすることができない。
民事訴訟法 第283条(控訴裁判所の判断を受ける裁判) 詳細ページ
(控訴裁判所の判断を受ける裁判)
第二百八十三条終局判決前の裁判は、控訴裁判所の判断を受ける。ただし、不服を申し立てることができない裁判及び抗告により不服を申し立てることができる裁判は、この限りでない。
民事訴訟法 第284条(控訴権の放棄) 詳細ページ
(控訴権の放棄)
第二百八十四条控訴をする権利は、放棄することができる。
民事訴訟法 第285条(控訴期間) 詳細ページ
(控訴期間)
第二百八十五条控訴は、電子判決書又は第二百五十四条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録された電子調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。
民事訴訟法 第286条(控訴提起の方式) 詳細ページ
(控訴提起の方式)
第二百八十六条控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。
2控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一当事者及び法定代理人
二第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨
民事訴訟法 第287条(第一審裁判所による控訴の却下) 詳細ページ
(第一審裁判所による控訴の却下)
第二百八十七条控訴が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、第一審裁判所は、決定で、控訴を却下しなければならない。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第288条(裁判長の控訴状審査権等) 詳細ページ
(裁判長の控訴状審査権等)
第二百八十八条第百三十七条の規定は控訴状が第二百八十六条第二項の規定に違反する場合について、第百三十七条の二の規定は民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い控訴の提起の手数料を納付しない場合について、それぞれ準用する。
民事訴訟法 第289条(控訴状の送達) 詳細ページ
(控訴状の送達)
第二百八十九条控訴状は、被控訴人に送達しなければならない。
2第百三十七条の規定は、控訴状の送達をすることができない場合(控訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む。)について準用する。
民事訴訟法 第290条(口頭弁論を経ない控訴の却下) 詳細ページ
(口頭弁論を経ない控訴の却下)
第二百九十条控訴が不適法でその不備を補正することができないときは、控訴裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、控訴を却下することができる。
民事訴訟法 第291条(呼出費用の予納がない場合の控訴の却下) 詳細ページ
(呼出費用の予納がない場合の控訴の却下)
第二百九十一条控訴裁判所は、民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い当事者に対する期日の呼出しに必要な費用の予納を相当の期間を定めて控訴人に命じた場合において、その予納がないときは、決定で、控訴を却下することができる。
2前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第292条(控訴の取下げ) 詳細ページ
(控訴の取下げ)
第二百九十二条控訴は、控訴審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
2第二百六十一条第三項及び第四項、第二百六十二条第一項並びに第二百六十三条の規定は、控訴の取下げについて準用する。
民事訴訟法 第293条(附帯控訴) 詳細ページ
(附帯控訴)
第二百九十三条被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。
2附帯控訴は、控訴の取下げがあったとき、又は不適法として控訴の却下があったときは、その効力を失う。ただし、控訴の要件を備えるものは、独立した控訴とみなす。
3附帯控訴については、控訴に関する規定による。ただし、附帯控訴の提起は、附帯控訴状を控訴裁判所に提出してすることができる。
民事訴訟法 第294条(第一審判決についての仮執行の宣言) 詳細ページ
(第一審判決についての仮執行の宣言)
第二百九十四条控訴裁判所は、第一審判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。
民事訴訟法 第295条(仮執行に関する裁判に対する不服申立て) 詳細ページ
(仮執行に関する裁判に対する不服申立て)
第二百九十五条仮執行に関する控訴審の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。ただし、前条の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法 第296条(口頭弁論の範囲等) 詳細ページ
(口頭弁論の範囲等)
第二百九十六条口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。
2当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
民事訴訟法 第297条(第一審の訴訟手続の規定の準用) 詳細ページ
(第一審の訴訟手続の規定の準用)
第二百九十七条前編第一章から第七章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第二百六十九条の規定は、この限りでない。
民事訴訟法 第298条(第一審の訴訟行為の効力等) 詳細ページ
(第一審の訴訟行為の効力等)
第二百九十八条第一審においてした訴訟行為は、控訴審においてもその効力を有する。
2第百六十七条の規定は、第一審において準備的口頭弁論を終了し、又は弁論準備手続を終結した事件につき控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について、第百七十八条の規定は、第一審において書面による準備手続を終結した事件につき同条の陳述又は確認がされた場合において控訴審で攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する。
民事訴訟法 第299条(第一審の管轄違いの主張の制限) 詳細ページ
(第一審の管轄違いの主張の制限)
第二百九十九条控訴審においては、当事者は、第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することができない。ただし、専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)については、この限りでない。
2前項の第一審裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項ただし書の規定は、適用しない。
民事訴訟法 第300条(反訴の提起等) 詳細ページ
(反訴の提起等)
第三百条控訴審においては、反訴の提起は、相手方の同意がある場合に限り、することができる。
2相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなす。
3前二項の規定は、選定者に係る請求の追加について準用する。
出

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