論点1第365条旧商法下の裁判例
取締役と会社との取引が株主全員の合意によつてされた場合と取締役会の承認
裁判要旨取締役と会社との取引が株主全員の合意によつてされた場合には、右取引につき取締役会の承認を要しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和49年9月26日 昭和47(オ)1225
- 登載
- 民集 第28巻6号1306頁
- 参照法条
- 商法265条
論点2第365条旧商法下の裁判例
会社から貸金の返還を求められた取締役と商法二六五条違反の主張
裁判要旨会社が取締役に貸し付けた金員の返還を求めた場合に、その取締役は、商法二六五条違反を理由として右貸付けの無効を主張することができない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和48年12月11日 昭和48(オ)531
- 登載
- 民集 第27巻11号1529頁
- 参照法条
- 商法265条
論点3第365条旧商法下の裁判例
一、株式会社がその取締役が代表取締役となつている他の株式会社のために為替手形に引受をする行為と商法二六五条
二、商法二六五条に違反して株式会社が引受をした為替手形を取得した第三者に対する会社の手形上の責任
裁判要旨一、株式会社が、その取締役が代表取締役となつている他の株式会社のために為替手形に引受をする行為は、原則として、商法二六五条にいう取引にあたる。
二、甲株式会社が、その取締役が代表取締役となつている乙株式会社のために、商法二六五条に違反して、為替手形に引受をした場合において、甲会社は、右手形を裏書により取得した第三者に対しては、右手形が甲会社において前述のように乙会社のために引き受けたものであり、かつ、その引受につき取締役会の承認がなかつたことについて、右第三者が悪意であつたことを主張・立証しないかぎり、引受人としての責任を免かれない。
(一につき意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年2月22日 昭和42(オ)1258
- 登載
- 集民 第105号155頁
- 参照法条
- 商法265条
論点4第365条旧商法下の裁判例
会社が自己の取締役が代表取締役を兼ねている他の会社に宛てて約束手形を振り出す行為と商法二六五条
裁判要旨会社が自己の取締役が代表取締役を兼ねている他の会社に宛てて約束手形を振り出す行為は、原則として、商法二六五条にいわゆる取引にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和46年12月23日 昭和41(オ)556
- 登載
- 集民 第104号783頁
- 参照法条
- 商法265条
論点5第365条旧商法下の裁判例
一、株式会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為と商法二六五条
二、商法二六五条に違反して株式会社が振り出した約束手形を取得した第三者に対する会社の手形上の責任
三、約束手形の振出につき手形上の記載にかかわらず商法二六五条の適用がないとされた事例
裁判要旨一、株式会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為は、原則として、商法二六五条にいう取弓にあたる。
二、株式会社は、商法二六五条に違反して振り出した約束手形を裏書により取得した第三者に対しては、右手形が会社からその取締役にあてて振り出され、かつ、その振出につき取締役会の承認がなかつたことについて、右第三者が悪意であつたことを主張・立証しないかぎり、振出人としての責任を免れない。
三、株式会社振出の約束手形において、受取人の記載が右会社の取締役になつている場合でも、現実には、右会社が受取人欄白地の約束手形を振り出して直接取締役以外の者に交付し、その者が右取締役から受取人欄の補充と裏書を受けたものであるときは、商法二五六条の適用はない。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和46年10月13日 昭和42(オ)1464
- 登載
- 民集 第25巻7号900頁
- 参照法条
- 商法265条
論点6第365条旧商法下の裁判例
商法二六五条所定の取引につき取締役会の承認を要しないとされた事例
裁判要旨会社と取締役間に商法二六五条所定の取引がなされる場合でも、右取締役が会社の全株式を所有し、会社の営業が実質上右取締役の個人経営のものにすぎないときは、右取引によつて両者の間に実質的に利害相反する関係を生ずるものでなく、右取引については、同条所定の取締役会の承認を必要としない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年8月20日 昭和43(オ)335
- 登載
- 民集 第24巻9号1305頁
- 参照法条
- 商法265条
論点7第365条旧商法下の裁判例
甲乙両会社の代表取締役が甲会社の債務につき乙会社を代表してする保証と商法二六五条
裁判要旨甲乙両会社の代表取締役を兼ねている者が、甲会社の債務につき乙会社を代表してする保証は、甲会社の利益にして、乙会社に不利益を及ぼす行為であつて、商法二六五条にいう取締役が第三者のためにする取引にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年4月23日 昭和41(オ)223
- 登載
- 民集 第24巻4号364頁
- 参照法条
- 商法265条
論点8第365条旧商法下の裁判例
商法二六五条にいう取引にあたるとされた事例
裁判要旨取締役が会社を代表して債権者に対し連帯保証契約を締結する行為は、商法二六五条にいう取引にあたる。
(意見がある。)
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和45年3月12日 昭和44(オ)610
- 登載
- 集民 第98号365頁
- 参照法条
- 商法265条
論点9第365条旧商法下の裁判例
株式会社の取締役が使用人として給料の支払を受ける場合と取締役会の承認
裁判要旨株式会社の取締役が、会社の使用人たる地位を兼ね、会社から使用人としての給料の支払を受ける場合には、右給料の支払につき取締役会の承認を受けなければならない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和43年9月3日 昭和42(オ)461
- 登載
- 集民 第92号163頁
- 参照法条
- 商法265条
論点10第365条旧商法下の裁判例
一、商法第二六五条にいう取引の意義
二、商法第二六五条に違反する取引の効力
裁判要旨一、商法第二六五条にいう取引には、取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反行為のみならず、取締役個人の債務について、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をする等取締役個人の利益となり会社に不利益を与える行為も包含されるものと解すべきである。
二、会社は、商法第二六五条に違反する取引のうち、取締役と会社との間に直接成立すべき取引については、右取締役に対して、その無効を主張することができるが、取締役が会社を代表して自己のためにした会社以外の第三者との間の取引については、右第三者が取締役会の承認を受けていなかつたことについて悪意であるときにかぎり、その無効を主張することができる。
- 裁判
- 最高裁判所大法廷 昭和43年12月25日 昭和42(オ)1327
- 登載
- 民集 第22巻13号3511頁
- 参照法条
- 商法265条
論点11第365条旧商法下の裁判例
一 理由不備の違法があるとされた事例
二 株式会社の一人の清算人がした自己あてにした取引の効力
裁判要旨かりに株式会社の清算手続が清算人ひとりですることができるとしても、その清算人は、特段の事情のないかぎり清算会社と取引することができず、これに違反する取引は無効である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和42年12月15日 昭和42(オ)460
- 登載
- 集民 第89号427頁
- 参照法条
- 民訴法395条1項6号,商法430条2項,商法265条
論点12第365条旧商法下の裁判例
一 中小企業等協同組合法に基づく協同組合と株式会社間の取引においてその組合の代表理事が右会社の代表取締役を兼ねているときと同法第三八条の準用。
二 中小企業等協同組合法に基づく協同組合の理事会の招集につき一部の理事に対する通知もれと理事会の決議の効力。
裁判要旨一 中小企業等協同組合法に基づく協同組合と株式会社間に取引がされた場合において、その組合の代表理事が右会社の代表取締役を兼ねているときには、前記取引について同法第三八条の規定が準用されると解すべきである。
二 中小企業等協同組合法に基づく協同組合の理事会の招集につき一部の理事に対し通知もれがの違法があつたときは、原則として、右理事会の決議は無効であるが、右理事が出席しても理事会の決議の結果になんらの影響がないときは、右理事会の決議の効力に消長を来さないと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和39年8月28日 昭和36(オ)1147
- 登載
- 民集 第18巻7号1366頁
- 参照法条
- 中小企業等協同組合法38条,中小企業等協同組合法36条の3,中小企業等協同組合法42条,商法265条
論点13第365条旧商法下の裁判例
代位弁済と商法第二六五条。
裁判要旨取締役が第三者の会社に対する債務を代位弁済した場においては、取締役の右行為は、債務の履行に関する行為というべきであつて、なんら会社に不利益を与えるものではないから、商法第二六五条の取引に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年2月6日 昭和35(オ)672
- 登載
- 集民 第72号53頁
- 参照法条
- 商法265条
論点14第365条旧商法下の裁判例
手形裏書が商法第二六五条の取引にあたらないとされた事例。
裁判要旨会社が約束手形を取締役に裏書譲渡するに際し、取締役から手形金額と同額の金員の交付を受けた場合においては、右手形裏書は、商法第二六五条の取引に該当しない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年1月28日 昭和34(オ)1228
- 登載
- 民集 第18巻1号180頁
- 参照法条
- 商法265条
論点15第365条旧商法下の裁判例
約束手形の振出は商法第二六五条にいう取引にあたるか。
裁判要旨株式会社がその取締役に対して約束手形を振り出す行為は、商法第二六五条にいう取引にあたる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年3月14日 昭和35(オ)1139
- 登載
- 民集 第17巻2号335頁
- 参照法条
- 商法265条
論点16第365条旧商法下の裁判例
会社の代表者が自己の利を図る目的で会社の名においてした行為の会社に及ぼす効力。
裁判要旨会社の代表者がその権限を濫用し会社の損害において自己の利を図る目的で会社の名においてした行為は、相手方において右権限濫用の事実を知つていたという事実関係のもとでは、商法第二六五条の適用を問題とするまでもなく、その効力を会社に及ぼさない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年1月31日 昭和36(オ)798
- 登載
- 集民 第64号281頁
- 参照法条
- 民法53条,商法265条
論点17第365条旧商法下の裁判例
無利息無担保の金銭消費貸借は商法第二六五条にいう取引にあたるか。
裁判要旨株式会社に対しその取締役が無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為は、商法第二六五条にいう取引にあたらない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年12月6日 昭和37(オ)437
- 登載
- 民集 第17巻12号1664頁
- 参照法条
- 商法265条
論点18第365条旧商法下の裁判例
商法第二六五条違反の為替手形と裏書人の責任。
裁判要旨為替手形の振出行為、引受行為が商法第二六五条違反によつて無効であるとしても、裏書行為自体に何らの瑕疵もない以上、裏書人の責任に消長をきたさない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和38年10月3日 昭和35(オ)574
- 登載
- 集民 第68号125頁
- 参照法条
- 商法265条,手形法7条
論点19第365条旧商法下の裁判例
取締役会の招集手続の省略
裁判要旨株式会社の取締役の全員が会社の業務執行に関する事項につき協議決定したときは、たとえ取締役会の招集手続を経ない旨の明示の同意なしにその手続を経なかつた場合でも、当該事項につき取締役会の決議がなされたものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和31年6月29日 昭和29(オ)749
- 登載
- 民集 第10巻6号774頁
- 参照法条
- 商法259条ノ2,商法259条ノ3,商法260条,商法265条
論点20第365条旧商法下の裁判例
商法二六五条一項の取引を行うにつき同法二五四条三項(民法六四四条)、商法二五四条ノ三に定める義務に違反した取締役と同法二六六条一項五号の責任
裁判要旨株式会社の取締役が商法二六五条一項の取引によって会社に損害を被らせた場合、当該取締役は、同法二六六条一項四号の責任を負う外、右取引を行うにつき故意又は過失により同法二五四条三項(民法六四四条)、商法二五四条ノ三に定める義務に違反したときには、同法二六六条一項五号の責任をも負う。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成12年10月20日 平成10(オ)920
- 登載
- 民集 第54巻8号2619頁
- 参照法条
- 商法254条3項,商法254条ノ3,商法265条1項,商法266条1項4号,商法266条1項5号