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賃貸借/賃貸借の終了

賃貸借の終了の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

賃貸借契約がどのような場合に終わるか、その終了原因と終了に伴う効果を整理しています。賃借物が使用収益できなくなった場合の当然終了、期間の定めの有無に応じた解約の申入れ・解約権の留保、期間満了後の更新の推定、解除の効力、賃借人の原状回復義務までを扱います。

賃貸借の終了
終了原因要件効果根拠条文
物件の全部滅失等使用収益不能当然に終了616条の2
期間の定めなしの解約各当事者がいつでも可土地1年/建物3箇月/動産等1日617条
期間の定めありで解約権留保留保の合意がある場合617条の規定を準用618条
期間満了後も使用継続賃貸人が異議を述べず同一条件で更新と推定619条
賃貸借の解除契約を解除したとき将来に向かってのみ効力620条
  • 収穫季節のある土地は、季節後・次の耕作着手前に解約申入れが必要(617条2項)
  • 従前の担保は期間満了で消滅するが、敷金は消滅しない(619条2項)
  • 賃貸借の解除をしても、損害賠償の請求は妨げられない(620条)
  • 通常の使用収益による損耗と経年変化は原状回復の対象外(621条)
  • 損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものは原状回復不要(621条)
  • 賃貸借には使用貸借の597条1項・599条1項2項・600条の規定を準用(622条)
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賃貸借の終了

賃貸借の終了について、条文は何を定めているか。

第616_2条賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了使用収益不能で当然に終了1項判例なし
  • 賃借物の全部が使えなくなれば賃貸借は当然終了する
  • 滅失以外の事由でも使用収益不能なら同様に終了
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第617条期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ期間の定めがなければいつでも解約可2項・3号判例 7件
  • 各当事者はいつでも解約の申入れができる
  • 申入れ後、土地1年・建物3箇月・動産等1日で終了
  • 収穫季節のある土地は、季節後・耕作前に申入れ
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第618条期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保期間内でも解約権を留保できる1項判例 1件
  • 期間を定めても解約権を留保すれば617条〈期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ〉と同様に扱う
  • 留保は当事者の一方・双方どちらでも可
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第619条賃貸借の更新の推定等期間満了後も使用継続で更新推定2項判例 20件
  • 満了後も賃借人が使用収益を続け、賃貸人が異議なしなら更新とみなす
  • 更新後も617条〈期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ〉により解約申入れ可能
  • 従前の担保は期間満了で消滅(敷金は除く)
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第620条賃貸借の解除の効力賃貸借の解除は将来に向けてのみ効力1項判例 1件
  • 解除の効力は将来に向かってのみ生じる(遡及しない)
  • 解除しても損害賠償請求は妨げられない
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第621条賃借人の原状回復義務賃借人は原則、損傷を原状回復する義務1項判例 4件
  • 受け取った後に生じた損傷は原状回復が必要
  • 通常損耗・経年変化は原状回復の対象外
  • 賃借人の責めに帰せない損傷は原状回復不要
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第622条使用貸借の規定の準用使用貸借の一部規定を賃貸借に準用1項判例なし
  • 597条1項〈期間満了等による使用貸借の終了〉・599条1項〈借主による収去等〉2項・600条〈損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限〉の規定を準用する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第617条民法

農地の賃貸借の解約と農地法二〇条二項

裁判要旨農地法二〇条二項各号所定の事由は、都道府県知事が同条による許可を与えるについての要件であつて、農地の賃貸借の解約権の発生ないし行使の実体的要件をなすものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年5月25日 昭和47(オ)1028
登載
民集 第27巻5号667頁
参照法条
民法617条,農地法20条1項,農地法20条2項,農地法20条5項
論点2第617条民法

建物収去土地明渡を求める訴状の送達により原被告間の土地賃貸借契約解除の意思表示がなされたと解しうるか。

裁判要旨原告所有地上に被告が権限なく建物を存置してこれを占有していることを理由として建物収去土地明渡を求める訴状が被告に送達されたときは、特別の事情がないかぎり、原被告間にもし当該土地賃貸借契約が存在するならば、これを解約する旨の意思表示がなされたものと解することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年6月18日 昭和40(オ)9
登載
集民 第79号455頁
参照法条
民法617条
論点3第617条民法

一 賃貸借終了による賃貸家屋の明渡請求と家屋所有の要否
二 旅館共同経営にもとづく経営の参加と無断転賃の成否

裁判要旨一 賃貸借終了による賃貸家屋の明渡請求においては、賃貸人は、解除の時に家屋所有者であることを要しない。
二 家屋賃借人が第三者との旅館共同経営契約にもとづいて当該第三者に右営業上独立の占有させているなど原判決認定の事情のもとにおいては、民法第六一二条〈賃借権の譲渡及び転貸の制限〉の解除の原因となる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年3月10日 昭和38(オ)1050
登載
集民 第72号441頁
参照法条
民法617条,民法612条
論点4第617条民法

何時でも返還する特約のある農地賃貸借と民法第六一七条第二項の適用。

裁判要旨何時でも貸主の請求に応じ賃貸農地の返還をするなどの定めで農地を耕作させるに至つた場合でも、当時施行の農地調整法第九条第四項により右約定は存しないものとみなされるから、解約申入に民法第六一七条第二項の適用がある。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和38年12月24日 昭和37(オ)820
登載
集民 第70号495頁
参照法条
民法617条2項,農地調整法9条4項
論点5第617条民法

農地賃貸借の法定更新と賃貸期間。

裁判要旨農地の賃貸借が農地法第一九条により更新されたときは、以後期間の定めのない賃貸借として存続するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和35年7月8日 昭和32(オ)791
登載
民集 第14巻9号1731頁
参照法条
農地法19条,民法619条,民法617条
論点6第617条民法

一 証拠申請を放棄したものと認むべき一事例
二 所有権にもとずく家屋明渡の訴の提起は賃貸借解約の申入となり得るか

裁判要旨一 裁判所が証拠決定にもとずく証拠調を施行せず、また右決定の取消もしないで口頭弁論を終結しようとするにあたり、申請当事者においてこれに対し何ら異議を述べなかつたときは、当該証拠申請を放棄したものと解するのを相当とする。
二 賃貸人の提起した家屋明渡の訴の訴状に、賃貸借が解約申入によつて終了した経過を敍述し、その終了にかかわらず、賃借人が依然右家屋を占有しているから、所有権にもとずき明渡を求める旨記載されているときは、右訴の訴訟物は所有権にもとずく返還請求権にほかならないけれども、特別の事情のないかぎり、右記載自体、若しさきの解約申入が効力を生じていないならば、改めて解約申入をする旨の意思表示を暗黙に包含するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和28年10月23日 昭和26(オ)103
登載
民集 第7巻10号1114頁
参照法条
民訴法第2編第3章第1節,民法617条1項,借家法3条1項
論点7第617条民法

一 建物賃貸借契約書に用いられた「永久貸与」という文言の解釈
二 借家法第一条ノ〈基本原則 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。〉二にいわゆる正当の事由がある一事例

裁判要旨一 建物賃貸借契約書に用いられた「永久貸与」という文言を、他の証拠等に照らし、単に「長く貸しましよう。長く借りましよう。」という合意をあらわすもので、賃貸借の存続期間を定めたものでないと解釈しても、経験則に違背しない。
二 他人の賃借居住している家屋を譲り受けた者がなした賃貸借契約申入も、後記事実関係(原判決理由参照)のもとでは、借家法第一条ノ二にいわゆる正当の事由がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和27年12月11日 昭和26(オ)485
登載
民集 第6巻11号1139頁
参照法条
民法617条,民法604条,借家法第1条ノ2
論点8第618条民法

期間の定めのある賃貸借と解約申入

裁判要旨当事者に解約権が留保されていたとの事実を確定することなく、期間の定めのある賃貸借について期間内にされた解約申入によつて、賃貸借は終了したものであるとする判断は、違法である。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月12日 昭和47(オ)367
登載
集民 第110号273頁
参照法条
民法618条
論点9第619条民法

砂利採取契約に基づき砂利採取者が差し入れた保証金が、採取者の契約上の一切の債務の担保であり、その返還請求権は契約終了後土地明渡完了の時に被担保債権を控除した残額について発生するとされた事例

裁判要旨土地賃借人と砂利採取者との間の砂利採取契約において、採取者が賃借人に差し入れた保証金につき、採取者が契約に違反したときはその返還請求権が消滅する旨の約定があるなど原判示の事実関係のもとにおいては、保証金は、契約終了後採取者の土地明渡義務履行までに生ずる賃料相当損害金その他採取者の賃借人に対する一切の債務を担保するものであり、保証金返還請求権は、契約終了後土地明渡完了の時において、それまでに生じた右被担保債権を控除し、なお残額があるときに、その残額につき発生するものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和55年7月4日 昭和54(オ)90
登載
集民 第130号77頁
参照法条
民法619条2項
論点10第619条民法

土地賃借権の移転と敷金に関する敷金交付者の権利義務関係の承継の有無

裁判要旨土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場・合であつても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和53年12月22日 昭和52(オ)844
登載
民集 第32巻9号1768頁
参照法条
民法612条,民法619条2項
論点11第619条民法

賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無

裁判要旨家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和49年9月2日 昭和48(オ)30
登載
民集 第28巻6号1152頁
参照法条
民法533条,民法619条2項
論点12第619条民法

一、敷金返還請求権の発生時期とその額
二、長期にわたる賃料不払と催告不要の特約に基づく賃貸借契約解除

裁判要旨一、建物賃貸借における敷金は、賃貸借終了後、建物明渡完了の時において、それまでに生じた延滞賃料や賃料相当損害金などを控除した残額につき発生する。
二、建物の賃借人が一〇年以上にわたり全く賃料を支払わない場合に、賃貸人が賃貸借契約上の催告不要の特約に基づき無催告で右契約を解除することは、あながち不合理ではなく、その解除は有効である。(昭和四二年(オ)第一一〇四号同四三年一一月二一日第一小法廷判決・民集二二巻一二号二七四一頁参照)。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年3月22日 昭和44(オ)781
登載
集民 第108号479頁
参照法条
民法541条,民法619条
論点13第619条民法

一、敷金の被担保債権の範囲および敷金返還請求権の発生時期
二、家屋の賃貸借終了後におけるその所有権の移転と敷金の承継の成否
三、賃貸借終了後家屋明渡前における敷金返還請求権と転付命令

裁判要旨一、家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに生じた右被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につき具体的に発生するものと解すべきである。
二、家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合意のみによつては、新所有者に承継されない。
三、家屋の賃貸借終了後であつても、その明渡前においては、敷金返還請求権を転付命令の対象とすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年2月2日 昭和46(オ)357
登載
民集 第27巻1号80頁
参照法条
民法619条,民訴法601条
論点14第619条民法

建物賃貸借の法定更新と解約の申入れ

裁判要旨期間の定めある賃貸借が借家法二条にもとづき更新されたときは、期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人は、その後正当の事由があるかぎり、いつでも解約の申入れをすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年2月27日 昭和47(オ)920
登載
集民 第108号247頁
参照法条
借家法2条,民法619条
論点15第619条民法

建物の賃借人から敷金がさしいれられている場合と賃料延滞を理由とする契約解除

裁判要旨建物の賃借人から賃貸人に対し敷金がさしいれられている場合においても、特段の事情のないかぎり、賃借人が賃料を延滞したときは、これを理由に賃貸人は賃貸借契約を解除することができ、右差入敷金額が一六万円、延滞賃料が二〇万円で、差引をした場合には賃料の延滞分が一か月分にもみたないとしても、右契約解除が信義則に反し権利濫用となるものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和45年9月18日 昭和45(オ)433
登載
集民 第100号453頁
参照法条
民法619条
論点16第619条民法

賃貸建物の所有権移転と敷金の承継

裁判要旨建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年7月17日 昭和43(オ)483
登載
民集 第23巻8号1610頁
参照法条
民法619条,借家法1条1項
論点17第619条民法

民法第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉により競落物件の賃貸人たる地位を承継した競落人が敷金に関する法律関係を承継しなかつたことの立証責任。

裁判要旨民法第三九五条〈抵当建物使用者の引渡しの猶予〉により競落物件の賃貸人たる地位を承継した競落人が敷金に関する法律関係を当然に承継しなかつたことの立証責任は、競落人の側において負担する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年11月17日 昭和38(オ)826
登載
集民 第76号157頁
参照法条
民法395条,民法619条2項
論点18第619条民法

期間の定めのある建物賃貸借契約の更新と保証人の責任

裁判要旨期間の定めのある建物の賃貸借においで、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年11月13日 平成6(オ)1883
登載
集民 第186号105頁
参照法条
民法446条,民法619条2項,借地借家法26条
論点19第619条民法

消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約が消費者契約法10条〈後見開始の審判の取消し〉により無効ということはできないとされた事例

裁判要旨消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,保証金から控除されるいわゆる敷引金の額が賃料月額の3.5倍程度にとどまっており,上記敷引金の額が近傍同種の建物に係る賃貸借契約に付された敷引特約における敷引金の相場に比して大幅に高額であることはうかがわれないなど判示の事実関係の下では,消費者契約法10条により無効であるということはできない。
(補足意見及び反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成23年7月12日 平成22(受)676
登載
集民 第237号215頁
参照法条
消費者契約法10条,民法619条2項
論点20第619条民法

1 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約が消費者契約法10条〈後見開始の審判の取消し〉により無効となる場合
2 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約が消費者契約法10条により無効ということはできないとされた事例

裁判要旨1 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであると直ちにいうことはできないが,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる損耗や経年により自然に生ずる損耗の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものであるときは,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となる。
2 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,賃貸借契約締結から明渡しまでの経過期間に応じて18万円ないし34万円のいわゆる敷引金を保証金から控除するというもので,上記敷引金の額が賃料月額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていること,賃借人が,上記賃貸借契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等の一時金を支払う義務を負っていないことなど判示の事実関係の下では,上記敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,消費者契約法10条により無効であるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成23年3月24日 平成21(受)1679
登載
民集 第65巻2号903頁
参照法条
(1,2につき)消費者契約法10条,民法619条2項
論点21第619条民法

破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れたことにより敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において破産管財人が悪意の受益者であるとはいえないとされた事例

裁判要旨破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れたことにより,敷金返還請求権の質権者に対し不当利得返還義務を負う場合において,法律上の原因の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う目的債権の担保価値を維持すべき義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人を悪意の受益者であるということはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(オ)184
登載
集民 第222号643頁
参照法条
民法362条,民法619条2項,民法703条,民法704条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条,破産法148条1項7号,破産法148条1項8号,破産法151条
論点22第619条民法

1 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反するとされた事例
2 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害しても質権者に対して善管注意義務違反の責任を負うとはいえないとされた事例
3 破産管財人が破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除した際に賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に敷金を充当する旨の合意をして上記賃料等の現実の支払を免れた場合において破産管財人は敷金返還請求権の質権者に対して不当利得返還義務を負うとされた事例

裁判要旨1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことは,当時破産財団に上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
2 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する場合であっても,その義務違反の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う上記義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人は,質権者に対し,善管注意義務違反の責任を負うということはできない。
3 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れた場合において,当時破産財団には上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,破産管財人は,敷金返還請求権の質権者に対し,敷金返還請求権の発生が阻害されたことにより優先弁済を受けることができなくなった金額につき不当利得返還義務を負う。
(2につき補足意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年12月21日 平成17(受)276
登載
民集 第60巻10号3964頁
参照法条
(1〜3につき)民法362条,民法619条2項,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条7号,8号,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)49条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)50条,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)95条,破産法65条1項,破産法148条1項7号,8号,破産法151条
論点23第619条民法

賃料債権に対する抵当権者の物上代位による差押えと当該債権への敷金の充当

裁判要旨敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成14年3月28日 平成12(受)836
登載
民集 第56巻3号689頁
参照法条
民法304条1項,民法372条,民法511条,民法619条2項,民事執行法193条
論点24第619条民法

借地借家法20条1項後段の付随的裁判として敷金を差し入れるべき旨を定めその交付を命ずることの可否

裁判要旨裁判所は,借地借家法20条に基づく許可の裁判をする場合において,同条1項後段の付随的裁判として,相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め,その交付を命ずることができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成13年11月21日 平成13(許)20
登載
民集 第55巻6号1014頁
参照法条
借地借家法20条1項,民法619条2項
論点25第619条民法

賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合における賃貸人の地位の帰すう

裁判要旨自己の所有建物を他に賃貸して引き渡した者が右建物の所有権を第三者に移転した場合に、新旧所有者間において賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意したとしても、これをもって直ちに賃貸人の地位の新所有者への移転を妨げるべき特段の事情があるものということはできない。
(反対意見がある。)
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年3月25日 平成7(オ)1705
登載
集民 第192号607頁
参照法条
借家法1条,民法619条2項
論点26第619条民法

建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対し敷金返還請求権の存在確認を求める訴えにつき確認の利益があるとされた事例

裁判要旨建物賃貸借契約継続中に賃借人が賃貸人に対し敷金返還請求権の存在確認を求める訴えは、その内容が右賃貸借契約終了後建物の明渡しがされた時においてそれまでに生じた敷金の被担保債権を控除しなお残額があることを条件とする権利の確認を求めるものであり、賃貸人が賃借人の敷金交付の事実を争って敷金返還義務を負わないと主張しているときは、確認の利益がある。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成11年1月21日 平成7(オ)1445
登載
民集 第53巻1号1頁
参照法条
民訴法134条,民法619条2項
論点27第619条民法

災害により居住用の賃借家屋が滅失して賃貸借契約が終了した場合におけるいわゆる敷引特約の適用の可否

裁判要旨居住用の家屋の賃貸借における敷金につき、賃貸借契約終了時にそのうちの一定金額又は一定割合の金員を返還しない旨のいわゆる敷引特約がされた場合であっても、災害により家屋が滅失して賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り、右特約を適用することはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成10年9月3日 平成9(オ)1446
登載
民集 第52巻6号1467頁
参照法条
民法619条2項
論点28第620条民法

賃料不払を理由とする不動産賃貸借の解除に催告を要しないとされた事例

裁判要旨不動産の賃貸借において、賃借人が、約九年一〇か月の長期間賃料を支払わず、その間、当該不動産を自己の所有と主張して賃貸借関係の存在を否定し続けたなど原判示の事情(原判決理由参照)があるときは、賃貸人は、催告を要せず賃貸借を解除することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年4月26日 昭和45(オ)603
登載
民集 第28巻3号467頁
参照法条
民法540条,民法541条,民法601条,民法620条
論点29第621条民法

一、借地法の適用のある賃貸借の賃貸人が賃借人の破産を理由としてする解約申入と正当事由の要否
二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合における賃料債権の性質

裁判要旨一、借地法の適用のある賃貸借の賃借人が破産しても、賃借土地上に建物を所有している場合は、賃貸人が民法六二一条に基づき解約申入をするためには、借地法四条一項但書、六条二項の正当事由が解約申入の時から民法六一七条所定の期間満了に至るまで存続することを要するものと解すべきである。
二、賃借人が破産しても賃貸借が解約されない場合、破産宣告の日以後の賃料債権は、破産法四七条七号の財団債権と解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年10月30日 昭和47(オ)718
登載
民集 第27巻9号1289頁
参照法条
民法621条,借地法4条1項,借地法6条2項,破産法47条7号
論点30第621条民法

土地の賃貸借契約が賃借人の破産により解除されても信義則上転借権が消滅しないとされた事例

裁判要旨土地が適法に転貸され、転借人になんら非違もないのに、賃借人会社の代表者である賃貸入が、右転借権を消滅させるため、右会社の自己破産を申し立てて破産宣告をえ、これを理由に賃貸借契約を解除するようなことは、転借人に対し著しく信義則に反し、右解除により賃貸借契約が終了しても、転借権は消滅しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和48年10月12日 昭和48(オ)68
登載
民集 第27巻9号1192頁
参照法条
民法1条2項,民法612条,民法621条
論点31第621条民法

家屋の賃借人が破産したことを理由とする解約申入と借家法一条ノ〈基本原則 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。〉二

裁判要旨家屋の賃借人が破産したことを理由として賃貸借契約の解約を申し入れる場合には、借家法一条ノ二の適用はない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和45年5月19日 昭和45(オ)210
登載
集民 第99号161頁
参照法条
民法621条,借家法1条ノ2
論点32第621条民法

土地の転貸借について黙示の承諾があつたものと認められた事例。

裁判要旨土地の賃貸人が、賃借人において賃借土地の一部を転貸している事実を知りながら、三年余にわたる賃貸人であつた期間中、なんらの異議を述べないで賃借人から賃料を取り立てていたときは、右転貸について黙示の承諾をしたものと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年6月29日 昭和38(オ)476
登載
集民 第79号539頁
参照法条
民法第1編第4章第1節,民法621条1項

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民法 第616_2条(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了) 詳細ページ
(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
第六百十六条の二賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
民法 第617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ) 詳細ページ
(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第六百十七条当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一土地の賃貸借一年
二建物の賃貸借三箇月
三動産及び貸席の賃貸借一日
2収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。
民法 第618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保) 詳細ページ
(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
第六百十八条当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
民法 第619条(賃貸借の更新の推定等) 詳細ページ
(賃貸借の更新の推定等)
第六百十九条賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。
2従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、第六百二十二条の二第一項に規定する敷金については、この限りでない。
民法 第620条(賃貸借の解除の効力) 詳細ページ
(賃貸借の解除の効力)
第六百二十条賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
民法 第621条(賃借人の原状回復義務) 詳細ページ
(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
民法 第622条(使用貸借の規定の準用) 詳細ページ
(使用貸借の規定の準用)
第六百二十二条第五百九十七条第一項、第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百条の規定は、賃貸借について準用する。
出

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