論点1第85条民法
一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力
二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴え
三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例
裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物に及ぶ。
二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができる。
三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和62年11月10日 昭和57(オ)1408
- 登載
- 民集 第41巻8号1559頁
- 参照法条
- 民法85条,民法178条,民法181条,民法183条,民法333条,民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,競売法3条
論点2第85条民法
海と民法八六条一項にいう土地
裁判要旨海は、民法施行当時特定の者が排他的総括支配権を取得していたときを除いては、同法
八六条一項〈不動産及び動産〉にいう土地に当たらない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和61年12月16日 昭和55(行ツ)147
- 登載
- 民集 第40巻7号1236頁
- 参照法条
- 民法85条,民法86条1項,不動産登記法1条
論点3第85条民法
一 構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的
二 構成部分の変動する集合動産の譲渡担保につき目的物の範囲が特定されているとはいえないとされた事例
裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産であつても、その種類所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうる。
二 甲が、継続的倉庫寄託契約に基づき丙に寄託中の食用乾燥ネギフレーク四四トン余りのうち二八トンを乙に対する債務の譲渡担保とすること、乙はこれを売却処分することができることを約し、在庫証明の趣旨で丙が作成した預り証を乙に交付したが、乙も在庫を確認したにとどまり、その後処分のため乙に引き渡された右乾燥ネギフレークの大部分は甲の工場から乙に直送され、残部は甲が丙から受け出して乙に送付したものであるなど判示の事実関係のもとでは、甲が乙に寄託中の右乾燥ネギフレークのうち二八トンを特定して譲渡担保に供したものとはいえない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和54年2月15日 昭和53(オ)925
- 登載
- 民集 第33巻1号51頁
- 参照法条
- 民法85条,民法369条
論点4第86条民法
共有の性質を有しない入会地上の天然の樹木の所有権が土地の所有者に属するとされた事例
裁判要旨付近住民の採草放牧や薪炭材採取等に利用されていた入会地が、入会住民全員の同意のもとに、入会権を存続させ入会住民の保育した天然の樹木を売却する際にはその保育に対する報償として売却代金の一部を入会住民に交付することを条件として村に贈与され、右条件の趣旨に沿つて村が制定した条例に従つて、入会住民が造林組合を結成して組合名義で村に対し入会地の天然の樹木の伐採申請をし、これを受けた村が右樹木を売却してその代金の一部を組合に交付してきたなど判示の事実関係のもとにおいては、右入会地上に生育する天然の樹木は、共有の性質を有しない右入会地の所有者である村の所有に属する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和63年1月18日 昭和59(オ)1447
- 登載
- 集民 第153号1頁
- 参照法条
- 民法86条,民法242条,民法294条
論点5第86条民法
一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂と公有水面の地盤から独立した動産としての存在
二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂を埋立権とは別個に譲渡することの可否
裁判要旨一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、その投入によつて直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立工事の竣功認可の時に埋立権者の取得する埋立地に附合するものであつて、その時までは、独立した動産としての存在を失わない。
二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、動産としての独立性を失わない限り、埋立権とは別個にこれを譲渡することができる。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和57年6月17日 昭和54(オ)736
- 登載
- 民集 第36巻5号824頁
- 参照法条
- 民法86条2項,民法206条,民法242条,民法247条1項,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)16条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)24条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)35条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)36条
論点6第86条民法
建物の改造によるその物理的変化と新旧建物の同一性の有無
裁判要旨建物につき改造がされ、物理的変化が生じた場合における建物の同一性の有無については、新旧の建物の材料、構造、規模等の異同に基づき社会観念に照らして判断すべきであり、右建物の物理的変化の程度によつては、新旧の建物の同一性が失われることもありうる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和50年7月14日 昭和44(オ)798
- 登載
- 集民 第115号379頁
- 参照法条
- 民法86条1項
論点7第86条民法
いわゆる学校債券が無記名証券にあたるとされた事例
裁判要旨学校法人が設備拡充資金の借入れを目的とし、一般の起債の方法により作成、発行した左記の学園債券は、無記名証券にあたる。
(学園債権は末尾添付)
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年6月24日 昭和43(オ)1227
- 登載
- 民集 第23巻7号1143頁
- 参照法条
- 民法86条3項,民法473条,商法517条,商法519条
論点8第86条民法
旧建物と工事後の新建物とが同一性を有するものとされた事例
裁判要旨旧建物と新建物とは、ともに木造平屋建一棟の居宅であつて、旧建物は、その相当部分が取り毀されたが、その主要部分である八畳間と押入は一部改造されたものの、元の場所に存置され、旧建物を支えていた柱も八畳間の四囲にあつた相当数のものが残つて新建物の支柱となり、旧建物の残存部分は、新建物の主たる構成部分を形成しているなどの事実関係のもとにおいては、旧建物と新建物とは、社会通念上同一性を有する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和44年3月25日 昭和43(オ)1127
- 登載
- 集民 第94号629頁
- 参照法条
- 民法86条
論点9第86条民法
法律上一筆の土地と認められないとされた事例。
裁判要旨土地台帳付属地図に「a番の内」と表示された部分が存在する場合に、該表示か判示のような事情(本判決理由参照)によってなされたものであり、かつ、該部分が土地台帳に一筆として登録された事実が認められないときは、これを法律上一筆の土地とみることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和39年7月16日 昭和37(オ)1013
- 登載
- 集民 第74号603頁
- 参照法条
- 民法86条1項,旧土地台帳規則(明治32年勅令39号)1条,旧土地台帳規則(明治32年勅令39号)2条,旧地租法16条
論点10第86条民法
建物の同一性。
裁判要旨浴場、居宅、物置、便所および廊下を以て構成される建物のうち、ボイラー室全部と居宅の北半分程をとりこわしその跡へ新たな材料を使用して土台から新たに築き直して従来の浴場並びに居宅とは棟の方向を異にする一棟を建てて浴場とする等の改造をした場合であつても、その後完成された建物と従前の建物とを比較して原判示のような事実(一審判決理由参照)が認められるときは、建物の同一性は失なわれていないものと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月12日 昭和38(オ)121
- 登載
- 集民 第73号509頁
- 参照法条
- 民法86条
論点11第86条民法
一 改造後の建物が建物全体として比較して見て改善前と同一性を失わないとされた事例
二 建物賃借人が所有者の承諾を得て増改築工事をした場合における増改築部分の所有権の帰属
裁判要旨一 旧建物が本屋と物置の二棟であつたのを、物置を取り除き、その後を利用し旧本屋と合せて、店舗兼居宅一棟を増改築した場合、総坪数が増加し新材を用いるとしても、大部分において原形を残している等全体としての比較において新旧建物の同一性は失われていないと判断することができる。
二 建物賃借人が賃貸人(建物所有者)の承諾を得て建物の増改築をした場合でも、その増改築部分が既存建物の本屋と一体をなすものとして築造され独立の所有権の客体となり得ないときは、右増改築部分は賃貸人の所有に帰属する。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和38年1月25日 昭和35(オ)1211
- 登載
- 集民 第64号201頁
- 参照法条
- 民法86条,民法242条
論点12第86条民法
石油タンクが旧地方税法第八八条にいう不動産に該当しないとされた事例
裁判要旨地上に置かれるものとして設計、製作された鋼製丸型の石油タンクであつても、土地に砂を盛つてその上に置かれているに過ぎないものは、その自重、荷重によつて若干沈下しているとしても、旧地方税法第八八条にいう不動産に該当しないと認むべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月29日 昭和33(オ)188
- 登載
- 民集 第16巻3号643頁
- 参照法条
- 旧地方税法(昭和23年法律第110号)88条,福岡県税賦課徴収条例58条,福岡県税賦課徴収条例59条,民法86条
論点13第86条民法
取毀し途中の建物が社会通念上不動産といえるとされた事例
裁判要旨二割位取り毀された建物であつても、原審認定の事実関係のもとにおいては、社会通念上不動産であるといえる。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年1月16日 昭和34(オ)1271
- 登載
- 集民 第58号95頁
- 参照法条
- 民法86条
論点14第86条民法
農地の買収処分の効果は地上の樹木に及ぶか。
裁判要旨自作農創設特別措置法(昭和二二年法律第二四一号による改正前のもの)の規定により、農地が買収されたときは、その地上に生立する樹木は、特に買収処分の対象から除外されていないかぎり、原則として、地盤とともに国の所有に属する。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和36年3月14日 昭和30(オ)617
- 登載
- 民集 第15巻3号396頁
- 参照法条
- 民法86条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正以前のもの)3条
論点15第86条民法
改造途中の工作物を賃借人が建物として完成させた場合の附合の成否
裁判要旨二階建アパートの階下の一画の区分所有権者が、これを賃貸の目的で改造するために取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、右工作物を、賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人において約旨に従い建物として完成させた場合には、賃借人の工事により附加された物の附合により、右建物は工作物所有者の所有に帰したものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和34年2月5日 昭和31(オ)407
- 登載
- 民集 第13巻1号51頁
- 参照法条
- 民法242条,民法86条1項
論点16第86条民法
宅地の附帯買収処分の効果は宅地上の樹木にも及ぶか
裁判要旨自作農創設特別措置法第一五条の規定により宅地を附帯買収する場合において、その宅地上に生立する樹木が、買収対価の算定上宅地自体の買収対価とは別に考慮を払うことを必要とする程度の価額を有するものであるときは、右宅地の買収処分の効果は、右樹木には及ばないと解するのが相当である。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和33年2月13日 昭和29(オ)565
- 登載
- 民集 第12巻2号227頁
- 参照法条
- 民法86条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正法律)15条,自作農創設特別措置法(昭和22年法律241号による改正法律)6条2項,自作農創設特別措置法施行令11条,昭和22年5月4日農林省告示71号「宅地等の対価算定基準に関する件」,憲法29条
論点17第86条民法
一 いわゆる無記名定期預金債権の性質
二 無記名定期預金の債権者の判定
三 無記名定期預金の債権者でない者が単に届出印鑑を使用してなした相殺の効力
裁判要旨一 いわゆる無記名定期預金債権は無記名債権でなく氏名債権に属する。
二 甲が乙に金員を交付して甲のため無記名定期預金の預入れを依頼し、よつて乙がその金員を無記名定期預金として預入れた場合、乙において右金員を横領し自己の預金としたものでない以上、その預入れにあたり、乙が、届出印鑑として乙の氏を刻した印鑑を使用し、相手方の銀行が、かねて乙を知つており、届出印鑑を判読して預金者を乙と考え、預金元帳にも乙を預金者と記載した事実があつたとしても、右無記名定期預金の債権者は乙でなく、甲と認めるのが相当である。
三 右無記名定期預金において、相手方の銀行は、無記名定期預金証書と届出印鑑を呈示した者に支払をすることにより免責される旨の特約がなされている場合、届出印鑑のみを提出した乙との間に、右無記名定期預金と乙の銀行に対する債務と相殺する旨の合意をしても、右銀行はこれによつて、甲に対する無記名定期預金払戻債務につき、免責を得るものではない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和32年12月19日 昭和29(オ)485
- 登載
- 民集 第11巻13号2278頁
- 参照法条
- 民法666条,民法86条3項,民法467条1項,民法505条
論点18第86条民法
建物の同一性
裁判要旨木造瓦葺二階建工場建坪一二坪二合五勺、二階同は後記(判決参照)のような工事により、木造瓦葺二階建店舗建坪一一坪七合八勺、二階同、木造瓦葺平屋便所建坪一坪、木造亜鉛葺平屋居宅二坪九合四勺となつても、建物の同一性を失わないものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和31年7月20日 昭和29(オ)462
- 登載
- 民集 第10巻8号1045頁
- 参照法条
- 民法86条
論点19第86条民法
公有水面埋立法に基づく埋立免許を受けて埋立工事が完成した後竣功認可がされていない埋立地が土地として私法上所有権の客体になる場合
裁判要旨公有水面埋立法に基づく埋立免許を受けて埋立工事が完成した後竣功認可がされていない埋立地であっても,長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され,公共用財産としての形態,機能を完全に喪失し,その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続したがそのため実際上公の目的が害されるようなこともなく,これを公共用財産として維持すべき理由がなくなり,同法に基づく原状回復義務の対象とならなくなった場合には,土地として私法上所有権の客体になる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 平成17年12月16日 平成15(受)1980
- 登載
- 民集 第59巻10号2931頁
- 参照法条
- 公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)2条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)22条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)35条1項,民法86条1項,民法162条,国有財産法3条
論点20第87条民法
一、土地の賃借人が地上に所有する建物の抵当権を設定しその登記を経たのち第三者が賃貸人の承諾を得て土地賃借権のみを譲り受けた場合と抵当権実行後の右土地賃借権の帰すう
二、土地の賃貸人が抵当権の実行による地上建物の競落人の土地賃借権取得を承諾したことにより右抵当権の設定登記後に賃貸人の承諾を得て土地の賃借権のみを譲り受けた者が賃借人としての地位を失つた場合と賃貸人の責に帰すべき事由の有無
裁判要旨一、土地の賃借人が地上に所有する建物に抵当権を設定しその登記を経たのちに賃貸人の承諾を得て賃借人から土地の賃借権のみを譲り受けた者は、抵当権の実行により競落人が建物の所有権とともに土地の賃借権を取得したときに競落人との関係において賃借権を失い、競落人が右賃借権の取得につき賃貸人の承諾を得たときに賃貸人との関係においても賃借人の地位を失う。
二、土地の賃貸人が抵当権の実行による地上建物の競落人の土地賃借権取得を承諾したことにより、右抵当権の設定登記後に賃貸人の承諾を得て土地の賃借権のみを譲り受けた者が賃借人としての地位を失つても、これをもつて賃貸人の責に帰すべき事由によるものとすることはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和52年3月11日 昭和48(オ)118
- 登載
- 民集 第31巻2号171頁
- 参照法条
- 民法87条2項,民法370条,民法415条,民法601条,民法612条1項
論点21第87条民法
賃借地上にある建物の売主と敷地賃借権譲渡の承諾取得義務
裁判要旨賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、売主は、買主に対し、その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであつて、それに伴い、その賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 昭和47年3月9日 昭和45(オ)803
- 登載
- 民集 第26巻2号213頁
- 参照法条
- 民法87条,民法555条,民法601条,民法612条
論点22第87条民法
宅地上の従物と抵当権の効力
裁判要旨宅地に対する抵当権の効力は、特段の事情のないかぎり、抵当権設定当時右宅地の従物であつた石燈籠および庭石にも及び、抵当権の設定登記による対抗力は、右従物についても生ずる。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和44年3月28日 昭和43(オ)1250
- 登載
- 民集 第23巻3号699頁
- 参照法条
- 民法87条,民法177条,民法370条
論点23第87条民法
一 土地貸借人が該地上の建物に設定した抵当権の効力は当該土地の賃借権に及ぶか。
二 地上建物に抵当権を設定した土地賃借人は抵当建物の競落人に対し地主に代位して当該土地の明渡を請求できるか。
裁判要旨一 土地賃借人が該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。
二 前項の場合には、賃借人は、賃貸人において右賃借権の移転を承諾しないときであつても、競落人に対し、土地所有者たる賃貸人に代位して右土地の明渡を請求することはできない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和40年5月4日 昭和39(オ)1033
- 登載
- 民集 第19巻4号811頁
- 参照法条
- 民法370条,民法87条2項,民法423条,民法612条
論点24第87条民法
抵当権設定登記の抹消登記手続請求を認容した判断に審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例。
裁判要旨甲乙丙三棟の建物を所有する債務者が、未登記の甲建物の所有権保存登記をなすべく司法書士に委任したところ、甲建物を主たる建物、乙丙建物を付属建物と表示する登記がなされ、次いで、債権者の手により甲乙丙建物を目的物とする抵当権設定登記が経由されたのに対し、抵当権設定契約の不存在を理由として右抵当権設定登記の抹消登記手続を請求する場合、右請求を認容するにつき、債権者と債務者が甲建物に対する抵当権設定を合意した事実を認定しながら、乙丙建物が甲建物の従物であるかのごとく窺われる証拠ならびに民法
八七条二項〈主物及び従物〉の適用につき顧慮した形跡がないときは、審理不尽、理由不備の違法があり、また、判示の趣旨が甲建物のみに対する抵当権の設定を合意し、乙丙建物は除外したというにあるとすれば、債務者において、前期請求に代え、乙丙建物を前期抵当権設定登記の目的物から取り除くことを目的とする別個の登記請求をするかどうかの点を審理することなく、前記請求をそのまま全面的に認容したことは、審理不尽、理由そごの違法がある。
- 裁判
- 最高裁判所第二小法廷 昭和37年10月5日 昭和35(オ)234
- 登載
- 集民 第62号709頁
- 参照法条
- 民法177条,民法87条2項,民訴法395条6号
論点25第87条民法
ガソリンスタンドの店舗用建物に設定された抵当権の効力がその設定当時建物の従物であつた地下タンク、ノンスペース型計量機洗車機などの諸設備にも及ぶとされた事例
裁判要旨ガソリンスタンドの店舗用建物に対する抵当権設定当時、建物内の設備と一部管によつて連通する地下タンク、ノンスペース型計量機、洗車機などの諸設備を右建物の敷地上又は地下に近接して設置し、これらを右建物に付属させて経済的に一体として右営業に使用していたなど判示の事情の下においては、右諸設備には、右建物の従物として抵当権の効力が及ぶ。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成2年4月19日 昭和62(オ)524
- 登載
- 集民 第159号461頁
- 参照法条
- 民法87条,民法370条
論点26第87条民法
不動産競売手続における建物の買受人が民法九四条二項、一一〇条の法意により建物所有権を取得してもその敷地の賃借権を取得しないとされた事例
裁判要旨土地賃借人甲が右土地上に乙名義で建築確認申請をして建物を建築し、乙名義での家屋補充課税台帳への登録を事後的に承認していたところ、乙が甲に無断で建物につき所有権保存登記を経由した上、右登記を過失なく信頼した丙との間で抵当権設定契約を締結した場合において、右抵当権に基づく不動産競売手続により建物を買い受けた丁は、民法
九四条二項〈虚偽表示〉、
一一〇条〈権限外の行為の表見代理〉の法意により建物の所有権を取得しても、右土地の賃借権について右法意により保護されるなどの事情がないときは、右土地の賃借権を取得しない。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 平成12年12月19日 平成11(受)1197
- 登載
- 集民 第200号257頁
- 参照法条
- 民法87条2項,民法94条2項,民法110条,民法370条,民事執行法79条
論点27第88条民法
一 民法第一八九条第二項〈善意の占有者による果実の取得等〉の「本権の訴」の意義
二 建物の占有者の居住による利得と民法第一八九条
裁判要旨一 民法
第一八九条第二項〈善意の占有者による果実の取得等〉の「本権の訴」とは、占有者から所有名義人に対して提起した所有権取得登記抹消登記請求の訴ないし所有権確認の訴をも含むと解すべきである。
二 建物の占有者の住居による利得は民法
第一八九条第一項にいう果実に当る。
- 裁判
- 最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月27日 昭和33(オ)454
- 登載
- 集民 第58号977頁
- 参照法条
- 民法88条,民法189条,民法189条2項
論点28第88条民法
共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力
裁判要旨相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。
- 裁判
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年9月8日 平成16(受)1222
- 登載
- 民集 第59巻7号1931頁
- 参照法条
- 民法88条2項,民法89条2項,民法427条,民法601条,民法896条,民法898条,民法899条,民法900条,民法907条,民法909条