民法 / テーマ別まとめ

所有権の限界/相隣関係

相隣関係の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民法209条から226条は、隣り合う土地の利用が衝突する場面で、所有者同士がどこまで相手の土地に立ち入り・使用できるか、費用や償金をどう分担するかを定めています。隣地の使用、公道に出るための通行権、電気・ガス・水道等を受けるための設備設置権、水流に関する規律、境界標・囲障の設置費用という5つの場面に分かれます。実務担当者は、隣地に立ち入る前の通知や、発生した損害への償金の要否を条文ごとに確認する必要があります。

相隣関係
制度要件・目的方法・範囲償金
隣地使用権(209条)工事・境界標調査・枝切取り損害最小の日時・場所・方法、事前通知損害あれば請求可
通行権(210~213条)公道に出られない土地必要かつ損害最小の場所・方法原則必要(分割・譲渡は不要)
設備設置権(213の2・3条)電気・ガス・水道等を受けられない損害最小の場所・方法、事前通知原則必要(分割・譲渡は例外)
水流の規律(214~222条)自然流水の妨害禁止、工作物修繕等高地低地の通水、堰の設置等堰設置は償金必要
境界標・囲障(223~226条)境界標設置、囲障設置(空地がある2棟間)高さ2メートル(協議不調時)相隣者で等しい割合負担
  • 住家への立入りは居住者の承諾が必要(209条1項ただし書)
  • 通路開設に伴う損害の償金は一括、それ以外は毎年払い可(212条ただし書)
  • 213条の2の設置者は209条1項ただし書・2〜4項を準用する(213条の2第4項)
  • 213条の3の場合、213条の2第5項の設置の償金規定は適用しない
  • 215条・216条の費用負担は別段の慣習があればそれに従う(217条)
  • 219条の水路・幅員変更は異なる慣習があればそれに従う
1

相隣関係

相隣関係について、条文は何を定めているか。

第209条隣地の使用工事目的なら隣地を使用できる4項・3号判例なし
  • 境界の工作物の築造・修繕、境界標調査、枝の切取りに限る
  • 住家への立入りは居住者の承諾が必要
  • 事前通知が原則、損害が出たら償金請求できる
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第210条公道に至るための他の土地の通行権囲まれた土地は他の土地を通行できる2項判例 9件
  • 公道に出られない土地の所有者に通行権がある
  • 池沼・河川・水路・海や崖で高低差著しい場合も同様
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第211条通行の場所・方法は損害最小のものを選ぶ2項判例 2件
  • 通行権者に必要で、他の土地の損害が最も少ない方法にする
  • 必要があれば通路を開設できる
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第212条通行には償金の支払いが必要1項判例なし
  • 通行する他の土地の損害に償金を支払う
  • 通路開設分を除き、毎年払うこともできる
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第213条分割・一部譲渡で生じた通路は無償2項判例 6件
  • 分割で公道に出られなくなった土地は他の分割者の土地のみ通行できる
  • この場合は償金不要
  • 土地の一部を譲り渡した場合も同様
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第213_2条継続的給付を受けるための設備の設置権等電気・ガス・水道の設備設置・使用権7項判例なし
  • 継続的給付を受けられない場合、他の土地に設備を設置・使用できる
  • 損害最小の場所・方法を選び、事前に目的等を通知する
  • 設置の損害に償金、他人設備使用は利益割合で費用分担
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第213_3条分割・一部譲渡時の設備設置権2項判例なし
  • 分割で継続的給付を受けられなくなった土地は他の分割者地のみに設置できる
  • この場合、設置の償金規定(213条の2第5項〈継続的給付を受けるための設備の設置権等〉)は適用しない
  • 土地の一部を譲り渡した場合も同様
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第214条自然水流に対する妨害の禁止隣地からの自然流水を妨げてはならない1項判例なし
  • 自然に流れてくる水の妨害は禁止
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第215条水流の障害の除去天災で塞がった水流は高地側で除去工事1項判例なし
  • 低地で水流が塞がったら高地の所有者が自費で除去工事できる
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第216条水流に関する工作物の修繕等他人の水利工作物を修繕・除去させられる1項判例 1件
  • 破壊・閉塞で自分の土地に損害またはそのおそれがあれば修繕・除去させられる
  • 必要なら予防工事もさせられる
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第217条費用の負担についての慣習費用負担は慣習があればそれに従う1項判例なし
  • 215条〈水流の障害の除去〉・216条〈水流に関する工作物の修繕等〉の費用負担に別段の慣習があればそれに従う
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第218条雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止雨水を隣地に直接注ぐ工作物は禁止1項判例なし
  • 屋根等、雨水を直接隣地に注ぐ構造は設けられない
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第219条水流の変更水路・幅員の変更は所有関係で制限される3項判例なし
  • 対岸が他人の土地なら水路・幅員を変更できない
  • 両岸とも自分の土地なら変更できるが隣地との合流点は自然水路に戻す
  • 異なる慣習があればそれに従う
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第220条排水のための低地の通水高地から低地へ排水を通せる1項判例 1件
  • 浸水を乾かす、または余水排出のため低地に水を通せる
  • 低地の損害が最も少ない場所・方法を選ぶ
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第221条通水用工作物の使用他人の通水工作物を使用できる2項判例 1件
  • 高地・低地所有者の工作物を使って自分の土地の水を通せる
  • 利益の割合に応じて設置・保存費用を分担する
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第222条堰の設置及び使用堰を対岸に付着させて設置できる3項判例なし
  • 対岸が他人の土地でも堰を対岸に付着させて設置できる
  • これにより生じた損害には償金を支払う
  • 対岸所有者は水流地の一部を持てば堰を使用でき、費用は利益割合で分担
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第223条境界標の設置隣地所有者と共同で境界標を設置できる1項判例 7件
  • 境界標の設置は隣地所有者と共同費用で行える
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第224条境界標の設置及び保存の費用境界標費用は等しい割合、測量費は面積比1項判例なし
  • 設置・保存費用は相隣者が等しい割合で負担
  • 測量費用は土地の広狭に応じて分担する
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第225条囲障の設置空地のある2棟間は共同費用で囲障設置2項判例なし
  • 所有者の異なる2棟の建物間に空地があれば囲障を設置できる
  • 協議が調わなければ板塀・竹垣等で高さ2メートルにする
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第226条囲障の設置及び保存の費用囲障の設置・保存費用は等しい割合で負担1項判例なし
  • 225条〈囲障の設置〉の囲障の費用は相隣者が等しい割合で負担する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第210条民法

民法二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権の対象となる通路の幅員と建築基準法四三条の規定基準

裁判要旨民法二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権の対象となる通路の幅員を定めるにあたつて、建築基準法四三条所定の規定基準をその判断資料にすることができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和49年4月9日 昭和47(オ)264
登載
集民 第111号531頁
参照法条
民法210条,建築基準法43条
論点2第210条民法

袋地の未登記所有者と囲繞地通行権の主張

裁判要旨袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和47年4月14日 昭和46(オ)630
登載
民集 第26巻3号483頁
参照法条
民法210条,民法177条
論点3第210条民法

一、民法二一三条二項〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉が適用される場合であるとして他の土地につき囲繞地通行権が認められないとされた事例
二、公道に面する一筆の土地の所有者がその土地のうち公道に面しない部分を他に賃貸し残余地を自ら使用している場合と民法二一〇条一項〈公道に至るための他の土地の通行権〉の適用

裁判要旨一、(省略)
二、公道に面する一筆の土地の所有者が、その土地のうち公道に面しない部分を他に賃貸し、その残余地を自ら使用している場合には、所有者と賃借人との間において通行に関する別段の特約をしていなかつたときでも、所有者は賃借人に対し賃貸借契約に基づく賃貸義務の一内容として、右残余地を当該賃貸借契約の目的に応じて通行させる義務があり、したがつて、その賃借地につき民法二一〇条一項は適用されない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和43(オ)1275
登載
集民 第97号259頁
参照法条
民法210条1項,民法213条2項
論点4第210条民法

土地明渡の請求権行使により袋地が生じても権利濫用とならない。

裁判要旨土地明渡により袋地を生ずることになつても、囲繞地通行権が民法上考えられているのであるから、右土地明渡請求権行使をもつて、権利濫用とはいえない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年5月26日 昭和38(オ)490
登載
集民 第73号657頁
参照法条
民法1条,民法210条,民法211条
論点5第210条民法

既存通路が東京都建築安全条例第三条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定の幅員に欠ける場合と民法第二一〇条の囲繞地通行権の成否

裁判要旨土地が路地状部分で公路に通じており、既存建物所有により右土地の利用をするのになんらの支障がない場合、その路地状部分が東京都建築安全条例第三条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定の幅員に欠けるとの理由で増築につき建築基準適合の確認がして貰えないというだけでは、民法第二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権は成立しない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和37年3月15日 昭和34(オ)1132
登載
民集 第16巻3号556頁
参照法条
民法210条,建築基準法6条,建築基準法43条,東京都建築安全条例3条
論点6第210条民法

一筆の土地全部を同時に分筆譲渡した場合に生ずる袋地と民法第二一三条第二項の適用。

裁判要旨土地の所有者が一筆の土地全部を同時に分筆譲渡し、よつて袋地を生じた場合において、袋地の右譲渡人は、民法第二一三条第二項〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の趣旨に徴し、右分筆前一筆であつた残余の土地についてのみ囲繞地通行権を有するに過ぎないと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年10月30日 昭和35(オ)1325
登載
民集 第16巻10号2182頁
参照法条
民法213条,民法210条
論点7第210条民法

民法二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の囲繞地通行権の対象地の特定承継と当該通行権の帰すう

裁判要旨民法二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定する囲繞地通行権は、通行の対象となる土地に特定承継が生じた場合にも消滅しない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成2年11月20日 昭和61(オ)181
登載
民集 第44巻8号1037頁
参照法条
民法210条,民法213条
論点8第210条民法

自動車による通行を前提とする民法210条1項所定の通行権の成否及びその具体的内容を判断するために考慮すべき事情

裁判要旨自動車による通行を前提とする民法210条1項所定の通行権の成否及びその具体的内容は,公道に至るため他の土地について自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,上記通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成18年3月16日 平成17(受)1208
登載
民集 第60巻3号735頁
参照法条
民法210条1項,民法211条1項
論点9第210条民法

公道に一・四五メートル接する土地の上に建築基準法が施行されるよりも前から存在した建築物が取り壊された場合に同土地の所有者のためにいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が認められないとされた事例

裁判要旨公道に一・四五メートル接する甲土地の上に建築基準法が施行されるよりも前から存在した建築物が老朽化したために取り壊されたが、その当時、甲土地に隣接し右公道に接する乙土地は同法の規定が適用される建築物の敷地とされていたなど判示の事実関係の下においては、甲土地の所有者のために、乙土地について、同法四三条一項本文所定のいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権は、認められない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成11年7月13日 平成8(オ)539
登載
集民 第193号427頁
参照法条
民法210条,建築基準法3条2項,建築基準法43条1項
論点10第213条民法

いわゆる袋地にあたらないとされた事例

裁判要旨分割により公路に面しなくなつた土地であつても、その土地が所有者を同一にする他の土地を経て公路に通ずるものである以上、いわゆる袋地にはあたらないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年3月28日 昭和42(オ)1175
登載
集民 第90号813頁
参照法条
民法213条
論点11第213条民法

民法第二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定は土地の賃借人に準用されるか。

裁判要旨民法第二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定は、農地を賃借してその引渡を受けた者と土地の所有者との間にこれを準用すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和36年3月24日 昭和31(オ)917
登載
民集 第15巻3号542頁
参照法条
民法213条,民法267条
論点12第213条民法

同一人の所有に属する数筆の土地の一部が担保権の実行としての競売により袋地となった場合と民法二一三条二項の囲繞地通行権の成否

裁判要旨同一人の所有に属する数筆の土地の一部が担保権の実行としての競売により袋地となった場合は、民法二一三条二項〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の囲繞地通行権が成立する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成5年12月17日 平成5(オ)860
登載
集民 第170号877頁
参照法条
民法213条2項
論点13第216条民法

民法二一六条〈水流に関する工作物の修繕等〉にいう工作物の破潰又は阻塞の原因

裁判要旨民法二一六条〈水流に関する工作物の修繕等〉にいう工作物の破潰又は阻塞は、それが、自然力ないしは不可抗力によつて生じた場合に限らず、工作物の所有者の故意過失によつて生じた場合をも含む。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和49年9月20日 昭和48(オ)621
登載
集民 第112号575頁
参照法条
民法216条
論点14第220条民法

宅地の所有者が他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することの可否

裁判要旨宅地の所有者は,他の土地を経由しなければ,水道事業者の敷設した配水管から当該宅地に給水を受け,その下水を公流,下水道等まで排出することができない場合において,他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することが他の方法に比べて合理的であるときは,その使用により当該給排水設備に予定される効用を著しく害するなどの特段の事情のない限り,当該給排水設備を使用することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年10月15日 平成13(受)1841
登載
民集 第56巻8号1791頁
参照法条
民法220条,民法221条
論点15第223条民法

境界確定の訴の当事者適格

裁判要旨争いのある境界によつて隣接する土地の所有者は、境界確定の訴につき、当事者適格を有する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年6月29日 昭和47(オ)358
登載
集民 第106号377頁
参照法条
民法223条,民訴法45法
論点16第223条民法

共有地についての境界確定の訴と固有必要的共同訴訟

裁判要旨隣接する土地の一方または双方が共有に属する場合の境界確定の訴は、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年12月9日 昭和44(オ)279
登載
民集 第25巻9号1457頁
参照法条
民訴法62条,民法223条,民法251条
論点17第223条民法

境界確定の訴の要件

裁判要旨相隣接する土地の境界が不明であるときは、右境界が主観的に不明であると客観的に不明であるとにかかわらず、右土地の所有者は、境界確定の訴を提起し、裁判所の判決を得て、右境界の不明に基因する紛争の解決を図ることができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年5月23日 昭和42(オ)105
登載
集民 第91号65頁
参照法条
民法223条,民訴法225条
論点18第223条民法

一、上告裁判所である高等裁判所の意見が前に上告裁判所である大審院の法令の解釈についてした判決に反するとして事件が最高裁判所に移送された事例
二、境界確定の訴と取得時効

裁判要旨一、(省略)
二、取得時効の成否は、境界確定の訴における境界確定とは関係がない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和43年2月22日 昭和42(オ)718
登載
民集 第22巻2号270頁
参照法条
民訴法406条ノ2,民訴規則58条2号,民法162条,民法223条,民訴法225条
論点19第223条民法

境界についての当事者の合意と境界の確定

裁判要旨隣接土地所有者間に境界についての合意が成立したことのみによつて、右合意のとおりの境界を確定することは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和42年12月26日 昭和41(オ)118
登載
民集 第21巻10号2627頁
参照法条
民法223条
論点20第223条民法

一 釈明権不行使の違法のない事例
二 訴訟手続外の資料を使用した鑑定とその採用の当否
三 当事者の境界の合意と固有の境界の変動の有無

裁判要旨一 山林の不法伐採禁止を請求された者が、「伐採個所は隣接する長男所有地の境界内の土地で約二十五年間継続して占有し植林、刈払いの手入れをして来た」等、原判決記載のような主張(原判決事実摘示参照)をして不法伐採の事実を争つた場合に、右土地に対する時効取得の有無を問うことなく同人を敗訴させても、釈明権不行使の違法ありとすることはできない。
二 係争山林の境界につき実測図の作成を命ぜられた鑑定人が、訴訟手続外で入手した図面を資料として鑑定書を作成した場合でも、正確な図面と判定して資料にしたものと認められるときは、その鑑定の結果を証拠に採用しても違法でない。
三 相隣者との間で境界を定めた事実があつても、これによつて、その一筆の土地の固有の境界自体は変動するものではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和31年12月28日 昭和30(オ)688
登載
民集 第10巻12号1639頁
参照法条
民訴法127条,民訴法185条,民訴法第2編第3章第3節(301条の前),民法223条
論点21第223条民法

隣接する土地の全部の時効取得と境界確定の訴えの原告適格

裁判要旨甲地に隣接する乙地の所有者が甲地の全部を時効取得したときは、甲地の所有者は、右両地の境界確定の訴えの原告適格を失う。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成7年7月18日 平成6(オ)2470
登載
集民 第176号491頁
参照法条
民法162条,民法223条,民訴法45条,民訴法第2編第1章訴
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第209条(隣地の使用) 詳細ページ
(隣地の使用)
第二百九条土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
一境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
二境界標の調査又は境界に関する測量
三第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り
2前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。
4第一項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
民法 第210条(公道に至るための他の土地の通行権) 詳細ページ
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
民法 第211条 詳細ページ
第二百十一条前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
民法 第212条 詳細ページ
第二百十二条第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
民法 第213条 詳細ページ
第二百十三条分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
民法 第213_2条(継続的給付を受けるための設備の設置権等) 詳細ページ
(継続的給付を受けるための設備の設置権等)
第二百十三条の二土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第一項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
2前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3第一項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
4第一項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第二百九条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。
5第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。
6第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
7第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
民法 第213_3条 詳細ページ
第二百十三条の三分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができる。この場合においては、前条第五項の規定は、適用しない。
2前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
民法 第214条(自然水流に対する妨害の禁止) 詳細ページ
(自然水流に対する妨害の禁止)
第二百十四条土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。
民法 第215条(水流の障害の除去) 詳細ページ
(水流の障害の除去)
第二百十五条水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。
民法 第216条(水流に関する工作物の修繕等) 詳細ページ
(水流に関する工作物の修繕等)
第二百十六条他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。
民法 第217条(費用の負担についての慣習) 詳細ページ
(費用の負担についての慣習)
第二百十七条前二条の場合において、費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う。
民法 第218条(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止) 詳細ページ
(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)
第二百十八条土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
民法 第219条(水流の変更) 詳細ページ
(水流の変更)
第二百十九条溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。
2両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は、水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない。
3前二項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
民法 第220条(排水のための低地の通水) 詳細ページ
(排水のための低地の通水)
第二百二十条高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。
民法 第221条(通水用工作物の使用) 詳細ページ
(通水用工作物の使用)
第二百二十一条土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる。
2前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。
民法 第222条(堰の設置及び使用) 詳細ページ
(堰の設置及び使用)
第二百二十二条水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
2対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、前項の堰を使用することができる。
3前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
民法 第223条(境界標の設置) 詳細ページ
(境界標の設置)
第二百二十三条土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
民法 第224条(境界標の設置及び保存の費用) 詳細ページ
(境界標の設置及び保存の費用)
第二百二十四条境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。
民法 第225条(囲障の設置) 詳細ページ
(囲障の設置)
第二百二十五条二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
2当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。
民法 第226条(囲障の設置及び保存の費用) 詳細ページ
(囲障の設置及び保存の費用)
第二百二十六条前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
出

一次情報

原文ママ

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