民法 / テーマ別まとめ

多数当事者の債権及び債務/連帯債権

連帯債権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

複数の債権者が一つの可分な債権を連帯して持つ場合のルールをまとめている。各債権者は単独で債務者に履行を請求でき、債務者もそのうちの一人に弁済すれば全員に対して効力を生じる。更改・免除・相殺・混同については他の債権者にも影響するが、それ以外の事由は原則として他の連帯債権者に影響しない、という整理になっている。

連帯債権
生じた事由効力内容の要点条文
履行の請求絶対効(全員に及ぶ)各自が全部・一部請求可432条
更改・免除絶対効(全員に及ぶ)失う利益分は請求不可433条
相殺の援用絶対効(全員に及ぶ)援用で他の債権者にも効力434条
混同絶対効(全員に及ぶ)弁済とみなす435条
その他の事由相対効(及ばない)原則効力なし、特約で別扱い可435条の2
  • 432条の対象は、債権の目的がその性質上可分である場合に限られる。
  • 433条の請求不可は、更改・免除がなければ本来分与されるはずだった利益に係る部分に限られる。
  • 435条の2はただし書きがあり、他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思表示をすればその意思に従う。
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連帯債権

連帯債権について、条文は何を定めているか。

第432条連帯債権者による履行の請求等各債権者が単独で全部請求できる1項判例 8件
  • 債権の目的が性質上可分な場合が対象
  • 各債権者は全部又は一部の履行を請求できる
  • 債務者はどの債権者に履行しても全員に有効
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第433条連帯債権者の一人との間の更改又は免除更改・免除は他の債権者にも影響1項判例なし
  • 連帯債権者の一人と債務者の間で更改・免除があった場合の話
  • その人が失う利益分について他の債権者は請求不可
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第434条連帯債権者の一人との間の相殺相殺は他の債権者にも効力が及ぶ1項判例 4件
  • 債務者が連帯債権者の一人に対して債権を持つ場合の話
  • 債務者がその相殺を援用すると他の債権者にも効力発生
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第435条連帯債権者の一人との間の混同一人と債務者が同一人になれば弁済扱い1項判例なし
  • 連帯債権者の一人と債務者の間に混同が生じた場合の話
  • 債務者は弁済をしたものとみなされる
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第435_2条相対的効力の原則上記以外の事由は他の債権者に影響しない1項判例なし
  • 432条〈連帯債権者による履行の請求等〉から435条〈連帯債権者の一人との間の混同〉までに規定する場合を除き相対効が原則
  • 一人の行為・一人について生じた事由は他に効力を及ぼさない
  • 他の連帯債権者の一人と債務者が別段の意思表示をすればそれに従う
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第432条民法

協議・審判等による具体的内容形成前の財産分与請求権に基づく債権者代位権行使の許否

裁判要旨離婚後協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成される前の財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することは許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和55年7月11日 昭和53(オ)321
登載
民集 第34巻4号628頁
参照法条
民法432条,民法768条
論点2第432条民法

一、自動車の借主の運行による事故につき貸主に自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任が認められた事例
二、数人が自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任を負う場合と民法四三八条の規定の適用の有無

裁判要旨一、甲がその所有の自動車を乙に貸与し、乙がその被用者に運転させて運行中事故を起こし、同乗していた乙の子丙が死亡した場合において、甲と乙とはかねてから親交があつて、相互に自動車の貸し借り、融通をしていた関係があり、右貸与の目的は休日のドライブという一時的なものであつたなど判示の事情があるときは、甲は、丙の被つた損害につき、自動車損害賠償保障法三条による運行供用者としての責任を負うべきである。
二、同一事故につき数人が自動車損害賠償保障法三条による運行供用者としての責任を負う場合には、各人の損害賠償債務は、相互に不真正連帯の関係に立ち、これにつき民法四三八条の規定の適用はないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和48年1月30日 昭和46(オ)1109
登載
集民 第108号119頁
参照法条
自動車損害賠償保障法3条,民法432条,民法438条
論点3第432条民法

一、連帯債務の成立について理由不備の違法があるとされた事例
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとした判断に理由不備があるとされた事例

裁判要旨一、共同買受人であるとの理由のみから直ちに買受代金債務を買受人全員の連帯債務であるとすることはできない。
二、連帯債務者の一人が消滅時効完成後債務を承認した場合において、連帯債務者間の各負担部分を確定することなく、直ちに、同人が全債務について消滅時効を援用しえないとすることはできない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年11月13日 昭和42(オ)1053
登載
集民 第97号249頁
参照法条
民法432条,民法428条,民法439条,民法440条,商法511条
論点4第432条民法

重畳的債務引受によつて連帯債務関係を生ずるか

裁判要旨重畳的債務引受があつた場合には、特段の事情のないかぎり、原債務者と債務引受人との間に連帯債務関係が生ずるものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和41年12月20日 昭和39(オ)1237
登載
民集 第20巻10号2139頁
参照法条
民法432条
論点5第432条民法

連帯債務を負担する旨の暗黙の合意があつたと認められた事例。

裁判要旨会社の資金とする目的で、同会社の専務取締役と使用人が共同して借金した場合には、右両名は連帯債務を負担する暗黙の合意があつたと認めるのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和39年9月22日 昭和38(オ)1380
登載
集民 第75号401頁
参照法条
民法432条
論点6第432条民法

連帯債務の相続。

裁判要旨連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年6月19日 昭和32(オ)477
登載
民集 第13巻6号757頁
参照法条
民法427条,民法432条,民法898条,民法899条
論点7第432条民法

一 連帯債務として主張しなかつた債務の履行を求める前訴の判決確定後の後訴において連帯債務である旨主張することの許否
二 ある金額を訴訟物の全部として訴求し勝訴の確定判決をえた場合における残額請求の許否

裁判要旨一 債権者が数人の債務者に対して金銭債務の履行を訴求するにあたり、これを連帯債務と主張しなかつたため分割債務として確定判決をえたときは、その後別訴において右債権を連帯債務である旨主張することは、前訴判決の既判力に牴触し、許されないものと解すべきである。

二 ある金額の支払を訴訟物の全部として訴求し勝訴の確定判決をえた後、別訴において、右請求をその訴訟物の一部である旨主張しその残額を訴求することは、許されないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和32年6月7日 昭和28(オ)878
登載
民集 第11巻6号948頁
参照法条
民訴法199条,民法427条,民法432条
論点8第432条民法

連帯債務者の一部の者に対する債権の転付とその余の連帯債務者に対する債権の移転の有無

裁判要旨連帯債務者の一部の者に対する債権が転付命令によって第三者に移転したとしても、その余の連帯債務者に対する債権は移転しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成3年5月10日 平成2(オ)1330
登載
集民 第163号37頁
参照法条
民法432条,民法440条,民事執行法159条,民事執行法160条
論点9第434条民法

一 共謀による共同不法行為と民法四三四条〈連帯債権者の一人との間の相殺〉の適用の有無
二 継続性のない事務処理を目的とする委任契約の債務不履行による解除と民法六五二条〈委任の解除の効力〉の適用

裁判要旨一 共同不法行為が行為者の共謀による場合であつても、民法四三四条〈連帯債権者の一人との間の相殺〉の規定は適用されない。
二 民法六五二条〈委任の解除の効力〉の規定は、継続性のない事務処理を目的とする委任契約を委任者の債務不履行を理由にして解除する場合にも適用される。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年3月4日 昭和56(オ)173
登載
集民 第135号269頁
参照法条
民法434条,民法652条,民法719条
論点10第434条民法

主たる債務が手形債務である連帯保証人に対する裁判上の請求と手形債務の消滅時効の中断

裁判要旨手形債務を主たる債務として手形外の連帯保証契約が締結されている場合において、連帯保証人に対し裁判上の請求がされたときは、手形債務についても消滅時効が中断する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和48年9月7日 昭和46(オ)774
登載
集民 第110号13頁
参照法条
民法147条1号,民法149条,民法434条,民法458条,手形法71条
論点11第434条民法

連帯保証債務の物上保証人に対する抵当権の実行と主債務の消滅時効の中断

裁判要旨甲の債務者乙の連帯保証人である丙の債務を担保するため、丁が物上保証人となった場合において、甲が丁に対して競売を申し立て、その手続が進行することは、乙の主債務の消滅時効の中断事由に該当しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年9月27日 平成7(オ)1914
登載
民集 第50巻8号2395頁
参照法条
民法147条,民法148条,民法149条,民法153条,民法155条,民法434条,民法458条,民事執行法45条2項,民事執行法188条
論点12第434条民法

仮差押えと民法四三四条にいう「履行ノ請求」

裁判要旨仮差押えは、民法四三四条〈連帯債権者の一人との間の相殺〉にいう「履行ノ請求」に含まれない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成5年4月22日 平成4(オ)1077
登載
集民 第169号25頁
参照法条
民法434条,民訴法(平成元年法律第91号による改正前のもの)741条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)750条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第432条(連帯債権者による履行の請求等) 詳細ページ
(連帯債権者による履行の請求等)
第四百三十二条債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
民法 第433条(連帯債権者の一人との間の更改又は免除) 詳細ページ
(連帯債権者の一人との間の更改又は免除)
第四百三十三条連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。
民法 第434条(連帯債権者の一人との間の相殺) 詳細ページ
(連帯債権者の一人との間の相殺)
第四百三十四条債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる。
民法 第435条(連帯債権者の一人との間の混同) 詳細ページ
(連帯債権者の一人との間の混同)
第四百三十五条連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなす。
民法 第435_2条(相対的効力の原則) 詳細ページ
(相対的効力の原則)
第四百三十五条の二第四百三十二条から前条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力を生じない。ただし、他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債権者に対する効力は、その意思に従う。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。