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先取特権の種類/一般の先取特権

一般の先取特権の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

一般の先取特権は、民法306条が定める共益費用・雇用関係・子の監護費用・葬式費用・日用品供給の5つの原因から生じ、いずれも債務者の総財産を対象とする担保物権である。各類型の具体的な範囲や相当額の考え方は307条から310条(子の監護費用は308条の2)で個別に定められている。

一般の先取特権
種類根拠条文先取特権の対象範囲・相当額
共益の費用307条財産の保存・清算・配当費用有益だった債権者分のみ
雇用関係308条給料等雇用関係上の債権-
子の監護の費用308条の2夫婦間の扶助等の定期金債権監護費用として相当な額
葬式の費用309条本人・扶養親族の葬式費用相当な額
日用品の供給310条飲食料品・燃料・電気の供給最後の六箇月分
  • 307条2項:全債権者に有益でなかった費用は、その利益を受けた債権者に対してのみ先取特権が生じる。
  • 308条の2の対象義務は752条(夫婦間の協力扶助)、760条(婚姻費用分担)、766条・766条の3(子の監護、749条・771条・788条準用含む)、877条から880条(扶養義務)。
  • 308条の2の相当額は、扶養を受けるべき子の数等に応じ法務省令で算定した額。
  • 309条2項:葬式費用の先取特権は、債務者本人の分だけでなく、扶養すべき親族の葬式費用にも及ぶ。
  • 310条の対象者は債務者本人に限らず、扶養すべき同居の親族及び家事使用人も含む。
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一般の先取特権

一般の先取特権について、条文は何を定めているか。

第306条一般の先取特権一般の先取特権の5類型を定める1項・5号判例 4件
  • 共益費用・雇用関係・子の監護費用・葬式費用・日用品供給の5つ
  • これらの債権を持つ者は債務者の総財産に先取特権を持つ
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第307条共益費用の先取特権共益費用の先取特権の範囲を定める2項判例なし
  • 財産の保存・清算・配当のためにかかった費用が対象
  • 全債権者に有益でなかった費用は、利益を受けた債権者にのみ及ぶ
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第308条雇用関係の先取特権雇用関係の先取特権の対象を定める1項判例 2件
  • 給料など使用人との雇用関係から生じた債権が対象
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第308_2条子の監護費用の先取特権子の監護費用の先取特権の対象を定める1項・4号判例なし
  • 夫婦の協力扶助義務(752条〈同居、協力及び扶助の義務〉)に基づく定期金債権が対象
  • 婚姻費用分担(760条〈婚姻費用の分担〉)、子の監護に関する義務(766条〈離婚後の子の監護に関する事項の定め等〉・766条の3〈子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例〉)も対象
  • 扶養義務(877条〈扶養義務者〉から880条〈扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し〉)に基づく定期金債権も対象
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第309条葬式費用の先取特権葬式費用の先取特権の範囲を定める2項判例なし
  • 債務者本人の葬式費用のうち相当な額が対象
  • 債務者が扶養すべき親族の葬式費用にも及ぶ
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第310条日用品供給の先取特権日用品供給の先取特権の対象を定める1項判例 1件
  • 飲食料品・燃料・電気の供給が対象
  • 対象期間は生活に必要な最後の六箇月間
  • 債務者本人だけでなく扶養すべき同居親族・家事使用人の分も含む
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第306条民法

民法三〇六条二号〈一般の先取特権 雇用関係〉、三〇八条〈雇用関係の先取特権〉にいう「雇人」の意義

裁判要旨民法三〇六条二号〈一般の先取特権 雇用関係〉、三〇八条〈雇用関係の先取特権〉にいう「雇人」とは、雇傭契約によつて労務を供給する者を指すものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和47年9月7日 昭和46(オ)612
登載
民集 第26巻7号1314頁
参照法条
民法306条2号,民法308条
論点2第306条民法

法人と民法三一〇条にいう債務者

裁判要旨法人は、民法三一〇条〈日用品供給の先取特権〉にいう債務者に含まれない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和46年10月21日 昭和44(オ)1254
登載
民集 第25巻7号969頁
参照法条
民法310条,民法306条4号
論点3第306条民法

一、破産手続において債権表に記載された債権の消滅時効期間
二、退職金債権と一般の先取特権

裁判要旨一、確定債権についての債権表の記載は確定判決と同一の効力を有するから、右債権表に記載された債権の消滅時効については、民法一七四条ノ二第一項により、その時効期間は一〇年であると解すべきである。
二、給料の後払いとしての性格を有する退職金債権については、その最後の六か月間の給料相当額について一般の先取特権があると解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和44年9月2日 昭和43(オ)1095
登載
民集 第23巻9号1641頁
参照法条
民法174条ノ2,民法306条,民法308条,破産法242条
論点4第306条民法

不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより配当要求債権について差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるための要件

裁判要旨不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより,上記配当要求における配当要求債権について,差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるためには,民事執行法181条1項各号に掲げる文書により上記債権者が上記先取特権を有することが上記手続において証明されれば足り,債務者が上記配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく売却代金の配当又は弁済金の交付が実施されるに至ったことを要しない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 令和2年9月18日 平成31(受)310
登載
民集 第74巻6号1762頁
参照法条
民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)147条2号,民法148条1項2号,民法306条1号,民事執行法51条1項,民事執行法181条1項,建物の区分所有等に関する法律7条1項,建物の区分所有等に関する法律7条2項,建物の区分所有等に関する法律66条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第306条(一般の先取特権) 詳細ページ
(一般の先取特権)
第三百六条次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一共益の費用
二雇用関係
三子の監護の費用
四葬式の費用
五日用品の供給
民法 第307条(共益費用の先取特権) 詳細ページ
(共益費用の先取特権)
第三百七条共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
2前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。
民法 第308条(雇用関係の先取特権) 詳細ページ
(雇用関係の先取特権)
第三百八条雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。
民法 第308_2条(子の監護費用の先取特権) 詳細ページ
(子の監護費用の先取特権)
第三百八条の二子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。
一第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
二第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
三第七百六十六条及び第七百六十六条の三(これらの規定を第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
四第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
民法 第309条(葬式費用の先取特権) 詳細ページ
(葬式費用の先取特権)
第三百九条葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する。
2前項の先取特権は、債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する。
民法 第310条(日用品供給の先取特権) 詳細ページ
(日用品供給の先取特権)
第三百十条日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の六箇月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。