相隣関係の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。
民法209条から226条は、隣り合う土地の利用が衝突する場面で、所有者同士がどこまで相手の土地に立ち入り・使用できるか、費用や償金をどう分担するかを定めています。隣地の使用、公道に出るための通行権、電気・ガス・水道等を受けるための設備設置権、水流に関する規律、境界標・囲障の設置費用という5つの場面に分かれます。実務担当者は、隣地に立ち入る前の通知や、発生した損害への償金の要否を条文ごとに確認する必要があります。
| 制度 | 要件・目的 | 方法・範囲 | 償金 |
|---|---|---|---|
| 隣地使用権(209条) | 工事・境界標調査・枝切取り | 損害最小の日時・場所・方法、事前通知 | 損害あれば請求可 |
| 通行権(210~213条) | 公道に出られない土地 | 必要かつ損害最小の場所・方法 | 原則必要(分割・譲渡は不要) |
| 設備設置権(213の2・3条) | 電気・ガス・水道等を受けられない | 損害最小の場所・方法、事前通知 | 原則必要(分割・譲渡は例外) |
| 水流の規律(214~222条) | 自然流水の妨害禁止、工作物修繕等 | 高地低地の通水、堰の設置等 | 堰設置は償金必要 |
| 境界標・囲障(223~226条) | 境界標設置、囲障設置(空地がある2棟間) | 高さ2メートル(協議不調時) | 相隣者で等しい割合負担 |
相隣関係について、条文は何を定めているか。
論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。
民法二一〇条〈公道に至るための他の土地の通行権〉の囲繞地通行権の対象となる通路の幅員と建築基準法四三条の規定基準
袋地の未登記所有者と囲繞地通行権の主張
一、民法二一三条二項〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉が適用される場合であるとして他の土地につき囲繞地通行権が認められないとされた事例
二、公道に面する一筆の土地の所有者がその土地のうち公道に面しない部分を他に賃貸し残余地を自ら使用している場合と民法二一〇条一項〈公道に至るための他の土地の通行権〉の適用
土地明渡の請求権行使により袋地が生じても権利濫用とならない。
既存通路が東京都建築安全条例第三条〈私権の享有は、出生に始まる。〉所定の幅員に欠ける場合と民法第二一〇条の囲繞地通行権の成否
一筆の土地全部を同時に分筆譲渡した場合に生ずる袋地と民法第二一三条第二項の適用。
民法二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の囲繞地通行権の対象地の特定承継と当該通行権の帰すう
自動車による通行を前提とする民法210条1項所定の通行権の成否及びその具体的内容を判断するために考慮すべき事情
公道に一・四五メートル接する土地の上に建築基準法が施行されるよりも前から存在した建築物が取り壊された場合に同土地の所有者のためにいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が認められないとされた事例
いわゆる袋地にあたらないとされた事例
民法第二一三条〈分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することが…〉の規定は土地の賃借人に準用されるか。
同一人の所有に属する数筆の土地の一部が担保権の実行としての競売により袋地となった場合と民法二一三条二項の囲繞地通行権の成否
民法二一六条〈水流に関する工作物の修繕等〉にいう工作物の破潰又は阻塞の原因
宅地の所有者が他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することの可否
境界確定の訴の当事者適格
共有地についての境界確定の訴と固有必要的共同訴訟
境界確定の訴の要件
一、上告裁判所である高等裁判所の意見が前に上告裁判所である大審院の法令の解釈についてした判決に反するとして事件が最高裁判所に移送された事例
二、境界確定の訴と取得時効
境界についての当事者の合意と境界の確定
一 釈明権不行使の違法のない事例
二 訴訟手続外の資料を使用した鑑定とその採用の当否
三 当事者の境界の合意と固有の境界の変動の有無
e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。
条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。